(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098644
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/871 20180101AFI20240717BHJP
F24F 11/86 20180101ALI20240717BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240717BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240717BHJP
F25B 41/40 20210101ALI20240717BHJP
【FI】
F24F11/871
F24F11/86
F24F11/64
F25B1/00 381D
F25B1/00 383
F25B1/00 361A
F25B1/00 371Z
F25B41/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002246
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 宏明
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB03
3L260BA15
3L260CA32
3L260CB04
3L260CB06
3L260CB24
3L260DA10
3L260EA07
3L260FB04
3L260FB13
(57)【要約】
【課題】圧縮機に起因する騒音と、室外ファンに起因する騒音とが合成されることにより発生するうなり音によるユーザの不快感を低減する。
【解決手段】空気調和機1は、冷媒回路4に冷媒を循環させる回転数可変の圧縮機5と、冷媒回路4に設けられる室外熱交換器7に外気を送風する回転数可変の室外ファン14と、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数とが、予め定められた所定の条件を満たすときに圧縮機5の回転数または室外ファン14の回転数を変更する室外機制御装置18とを室外機2に備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路に冷媒を循環させる回転数可変の圧縮機と、
前記冷媒回路に設けられる室外熱交換器に外気を送風する回転数可変の室外ファンと、
前記圧縮機の回転数とファン回転数とが、予め定められた条件を満たすときに前記圧縮機の回転数または前記ファン回転数が変更されるように、前記室外ファンと前記圧縮機のいずれか一方を制御する制御部
とを室外機に備える空気調和機。
【請求項2】
うなり音回避制御テーブルを記憶する記憶装置をさらに備え、
前記予め定められた条件は、前記うなり音回避制御テーブルにおいて使用禁止の組み合わせとなる前記圧縮機の回転数と前記ファン回転数となっている場合であり、前記制御部は、前記条件を満たすときに前記圧縮機の回転数または前記ファン回転数を変更する
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記圧縮機の回転数と前記ファン回転数とが前記条件を満たすときで、かつ、前記ファン回転数が予め定められたファン最大回転数より小さいときに、前記ファン回転数が大きくなるように、前記室外ファンを制御し、
前記圧縮機の回転数と前記ファン回転数とが前記条件を満たすときで、かつ、前記ファン回転数が前記ファン最大回転数より大きいときに、前記圧縮機の回転数が小さくなるように、前記圧縮機を制御する
請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
複数の室内機をさらに備え、
前記制御部は、
前記圧縮機の回転数と前記ファン回転数とが前記条件を満たすときで、かつ、前記複数の室内機のうちの少なくとも1つの室内機がサーモオフ状態であるときに、前記圧縮機の回転数が小さくなるように、前記圧縮機を制御し、
前記圧縮機の回転数と前記ファン回転数とが前記条件を満たすときで、かつ、前記複数の室内機の全部がサーモオン状態であるときに、前記ファン回転数が大きくなるように、前記室外ファンを制御する
請求項2に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記外気の温度を計測する外気温度センサをさらに備え、
前記制御部は、
前記圧縮機の回転数と前記ファン回転数とが前記条件を満たすときで、かつ、予め定められた温度範囲に前記外気の温度が含まれるときに、前記ファン回転数が大きくなるように、前記室外ファンを制御し、
前記圧縮機の回転数と前記ファン回転数とが前記条件を満たすときで、かつ、前記温度範囲に前記外気の温度が含まれないときに、前記圧縮機の回転数が小さくなるように、前記圧縮機を制御する
請求項2に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの室外機に設けられる複数の圧縮機からそれぞれ発生する複数の騒音における周波数がわずかに異なるときに、振幅(音の大きさ)が緩やかに変化する合成波が生じる所謂うなりを緩和する空気調和機が知られている(特許文献1)。1つの室外機に設けられる複数の室外ファンからそれぞれ発生する複数の騒音が合成された合成波のうなり音を緩和する空気調和機が知られている(特許文献2)。このような空気調和機は、うなり音によるユーザの不快感を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05-149604号公報
【特許文献2】特開平09-264564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気調和機は、さらに、圧縮機に起因する騒音と、室外ファンに起因する騒音とが合成されることによりうなり音が発生することがあるが、このようなうなり音がユーザに与える不快感を低減する手段については、提案されていない。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、圧縮機に起因する騒音と、室外ファンに起因する騒音とが合成されることにより発生するうなり音によるユーザの不快感を低減する空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による空気調和機は、冷媒回路に冷媒を循環させる回転数可変の圧縮機と、前記冷媒回路に設けられる室外熱交換器に外気を送風する回転数可変の室外ファンと、圧縮機の回転数とファンの回転数とが予め定められた条件を満たすときに前記圧縮機の回転数または前記ファンの回転数が変更されるように、前記室外ファンと前記圧縮機とのいずれか一方を制御する制御部とを室外機に備える。
【発明の効果】
【0007】
開示の空気調和機は、圧縮機に起因する騒音と、室外ファンに起因する騒音とが合成されることにより発生するうなり音によるユーザの不快感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1の空気調和機を示す冷媒回路図である。
【
図2】
図2は、室外機制御装置を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、うなり音回避制御テーブルを示す図である。
【
図4】
図4は、うなり音回避制御動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、通常の冷房運転が実行されるときの冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。
【
図6】
図6は、低外気冷房運転が実行されるときの冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。
【
図7】
図7は、低外気冷房運転が実行されるときで、かつ、室外ファンの回転数が上昇したときの冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる空気調和機について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例0010】
実施例1の空気調和機1は、
図1に示されているように、室外機2と複数の室内機3-1~3-3とを備えている。
図1は、実施例1の空気調和機1を示す冷媒回路図である。室外機2は、屋外に設置されている。複数の室内機3-1~3-3は、空気調和機1により冷暖房される複数の部屋にそれぞれ設置されている。空気調和機1は、冷媒回路4を備えている。冷媒回路4は、圧縮機5と四方弁6と室外熱交換器7と室外膨張弁8と複数の室内熱交換器9-1~9-3と複数の室内膨張弁10-1~10-3とを備えている。圧縮機5と四方弁6と室外熱交換器7と室外膨張弁8とは、室外機2の内部に配置されている。複数の室内熱交換器9-1~9-3と複数の室内膨張弁10-1~10-3とは、複数の室内機3-1~3-3の内部にそれぞれ配置されている。
【0011】
冷媒回路4は、吸入管11と吐出管12とをさらに備えている。圧縮機5は回転数可変であり、圧縮機5が動作することにより、吸入管11を介して冷媒回路4から圧縮機5に吸入される冷媒を圧縮し、圧縮機5の回転数に対応する流量の冷媒を吐出管12に吐出する。圧縮機5の回転数は、単位時間あたりの回転数を示している。圧縮機5が単位時間あたりに冷媒を吐出する量は、圧縮機5の回転数が大きいほど大きい。圧縮機5が動作する際は騒音を発生する。その騒音は、圧縮機5の回転数に応じた周波数(以降、基本波と記載する場合がある)とその高調波を含む音波である。
【0012】
四方弁6は、吸入管11と吐出管12とが接続され、吸入管11と吐出管12とを介して圧縮機5に接続されている。四方弁6は、さらに、冷媒管を介して室外熱交換器7に接続され、冷媒管を介して複数の室内熱交換器9-1~9-3のそれぞれの一端に接続されている。四方弁6が切り替えられることにより、冷媒回路4は、暖房サイクルまたは冷房サイクルに切り替えられる。冷媒回路4が暖房サイクルに切り替えられているときに、吐出管12が四方弁6を介して複数の室内熱交換器9-1~9-3に接続され、室外熱交換器7が四方弁6を介して吸入管11に接続される。冷媒回路4が冷房サイクルに切り替えられているときに、吐出管12が四方弁6を介して室外熱交換器7に接続され、複数の室内熱交換器9-1~9-3が四方弁6を介して吸入管11に接続される。
【0013】
室外熱交換器7は、冷媒管を介して室外膨張弁8と接続されている。複数の室内熱交換器9-1~9-3のうちの第1室内熱交換器9-1は、第1室内機3-1の内部に配置され、第2室内熱交換器9-2は、第2室内機3-2の内部に配置され、第3室内熱交換器9-3は、第3室内機3-3の内部に配置されている。複数の室内熱交換器9-1~9-3のそれぞれの他端は、冷媒管を介して室外膨張弁8と接続されている。
【0014】
室外機2は、室外ファン14を備えている。室外ファン14は、複数の翼を備え、複数の翼が図示しない回転数可変のモータの駆動で回転することにより、室外ファン14の回転数に対応する風量の外気を室外熱交換器7に通過させる。室外ファン14の回転数は、単位時間あたりの回転数を示している。単位時間あたりに外気が室外熱交換器7を通過する外気の量は、室外ファン14の回転数が大きいほど、大きい。室外ファン14が動作する際は騒音を発生する。その騒音は、室外ファン14の回転数に応じた周波数とその高調波を含む音波である。
【0015】
空気調和機1は、外気温度センサ15と複数の室温センサ16-1~16-3とをさらに備えている。外気温度センサ15は、室外機2の内部に配置され、室外ファン14の回転によって室外機2の内部に取り込まれた外気の温度を計測する。複数の室温センサ16-1~16-3のうちの第1室温センサ16-1は、第1室内機3-1の内部に配置され、第1室内機3-1が設置される部屋の温度を計測する。第2室温センサ16-2は、第2室内機3-2の内部に配置され、第2室内機3-2が設置される部屋の温度を計測する。第3室温センサ16-3は、第3室内機3-3の内部に配置され、第3室内機3-3が設置される部屋の温度を計測する。
【0016】
空気調和機1は、複数の室内機制御装置17-1~17-3と室外機制御装置18とをさらに備えている。複数の室内機制御装置17-1~17-3のうちの第1室内機制御装置17-1は、第1室内機3-1の内部に配置されている。第1室内機制御装置17-1は、第1室温センサ16-1により計測された室内温度と第1室内機3-1で使用者により設定された設定温度とに基づいて算出された、第1室内機3-1が室外機2に要求する空調能力を室外機2に送信する。第2室内機制御装置17-2は、第2室内機3-2の内部に配置されている。第2室内機制御装置17-2は、第2室温センサ16-2により計測された室内温度と第2室内機3-2で使用者により設定された設定温度とに基づいて算出された、第2室内機3-2が室外機2に要求する空調能力を室外機2に送信する。第3室内機制御装置17-3は、第3室内機3-3の内部に配置されている。第3室内機制御装置17-3は、第3室温センサ16-3により計測された室内温度と第3室内機3-3で使用者により設定された設定温度とに基づいて算出された、第3室内機3-3が室外機2に要求する空調能力を室外機2に送信する。室外機制御装置18は、室外機2の内部に配置され、複数の室内機制御装置17-1~17-3に情報伝達可能に接続されている。室外機制御装置18は、複数の室内機3-1~3-3からそれぞれが要求する空調能力を受信し、その空調能力の合計値に基づいて、圧縮機5の回転数制御や室外膨張弁8の開度調整、室外ファン14の回転数制御制御を行う。
【0017】
図2は、室外機制御装置18を示すブロック図である。室外機制御装置18は、記憶装置21とCPU22(Central Processing Unit)とを備えている。記憶装置21は、室外機制御装置18にインストールされるコンピュータプログラムを記憶し、CPU22により利用される情報を記憶する。CPU22は、室外機制御装置18にインストールされるコンピュータプログラムを実行することにより、外気温度センサ15と複数の室内機制御装置17-1~17-3とから情報を取得し、圧縮機5と四方弁6と室外膨張弁8と複数の室内膨張弁10-1~10-3とを制御する。記憶装置21は、さらに、うなり音回避制御テーブル23を記憶している。
【0018】
図3は、うなり音回避制御テーブル23(テーブル」に対応)を示す図である。うなり音回避制御テーブル23には、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが複数記憶されている。複数の組み合わせの各々は、「使用禁止」(請求項における「予め定められた条件を満たすとき」に対応)または「使用許可」に区分されている。
図3では、ハッチングが施されている組み合わせが「使用禁止」であり、ハッチングが施されていない組み合わせが「使用許可」である。圧縮機5の回転数と室外ファン14の室外ファン14の回転数とが、うなり音回避制御テーブル23における「使用禁止」に該当する組み合わせとなっているとき、圧縮機5から発生する騒音と、室外ファン14から発生する騒音とが合成されることによりうなり音が発生してユーザに不快感を与える。うなり音回避制御テーブル23は、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせによって発生するうなり音が、人に不快感を与えるものであるか否かを予め試験を行って確認することにより、作成されている。
【0019】
室外機制御装置18は、うなり音回避制御テーブル23を参照して、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが「使用禁止」に該当するか否かを判定する。室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが「使用禁止」に該当するときに、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが「使用許可」に該当するまで、圧縮機5を制御して圧縮機5の回転数を低下させ、または、室外ファン14を制御して室外ファン14の回転数を上昇させる。
【0020】
空気調和機1は、暖房運転と、冷房運転と、通常制御と、暖房運転や冷房運転を行っている際にうなり音を抑制するうなり音回避制御動作とを実行する。
【0021】
[暖房運転]
暖房運転は、たとえば、空気調和機1がユーザにより暖房運転を実行するように操作されたときに実行される。室外機制御装置18は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、四方弁6を制御し、冷媒回路4を暖房サイクルに切り替える。室外機制御装置18は、圧縮機5を制御し、吸入管11を介して圧縮機5に供給された低圧気相冷媒を圧縮する。低圧気相冷媒は、圧縮機5により圧縮され、高圧気相冷媒になる。圧縮機5は、さらに、高圧気相冷媒を吐出管12に吐出する。吐出管12に吐出された高圧気相冷媒は、冷媒回路4が暖房サイクルに切り替えられていることにより、複数の室内熱交換器9-1~9-3に供給される。
【0022】
第1室内熱交換器9-1は、四方弁6から供給された高圧気相冷媒と、第1室内機3-1が設置された部屋の空気とを熱交換する。高圧気相冷媒は、第1室内熱交換器9-1で部屋の空気に放熱して、過冷却状態の高圧液相冷媒になる。すなわち、第1室内熱交換器9-1は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。第1室内機3-1は、第1室内熱交換器9-1で、高圧気相冷媒と熱交換された空気を部屋に吹き出すことにより、部屋を暖房する。第2室内熱交換器9-2と第3室内熱交換器9-3とは、第1室内熱交換器9-1と同様に、凝縮器として機能する。第2室内機3-2と第3室内機3-3とは、第1室内機3-1と同様に、高圧気相冷媒と熱交換された空気を部屋に吹き出すことにより、部屋を暖房する。複数の室内熱交換器9-1~9-3から流出した高圧液相冷媒は、第1室内膨張弁10-1へと流れ、第1室内膨張弁10-1を介して室外膨張弁8へと流れる。
【0023】
複数の室内膨張弁10-1~10-3は、複数の室内熱交換器9-1~9-3から室外熱交換器7に流れる冷媒の流量を調節するとともに、複数の室内熱交換器9-1~9-3から供給された高圧液相冷媒を減圧する。高圧液相冷媒は、複数の室内膨張弁10-1~10-3と室外膨張弁8により減圧され、低圧気液二相冷媒になる。室外膨張弁8から流出した低圧気液二相冷媒は、室外熱交換器7に供給される。
【0024】
室外熱交換器7は、複数の室内機3-1~3-3の各々が要求する暖房能力の合計値に応じた開度とされている室外膨張弁8で減圧された低圧気液二相冷媒と外気とを熱交換する。低圧気液二相冷媒は、室外熱交換器7で加熱され、低圧気相冷媒になる。すなわち、室外熱交換器7は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。室外熱交換器7から流出した低圧気相冷媒は、四方弁6に供給される。四方弁6に供給された低圧気相冷媒は、冷媒回路4が暖房サイクルに切り替えられていることにより、吸入管11に供給され、吸入管11を介して圧縮機5に吸入される。
【0025】
第1室内機制御装置17-1は、空気調和機1が暖房運転を実行しているときに、第1室温センサ16-1を用いて、第1室内機3-1が設置される部屋の温度を計測する。第1室内機制御装置17-1は、第1室温センサ16-1により計測された室温が、第1室内機3-1に設定された設定温度より所定温度(例えば、1℃)以上高いときに、第1室内機3-1が停止するサーモオフ状態になるように、第1室内機3-1を制御する。第1室内機3-1をサーモオフ状態とする制御は、たとえば、第1室内熱交換器9-1に冷媒が流れなくなるように、第1室内膨張弁10-1の開度の制御することを含んでいる。第1室内機制御装置17-1は、第1室内機3-1がサーモオフ状態とされているときに、第1室温センサ16-1により計測された室温が設定温度より所定温度(例えば、1℃)以上低くなれば、第1室内機3-1を再起動するサーモオン状態とする。第2室内機制御装置17-2と第3室内機制御装置17-2も、空気調和機1が暖房運転を実行しているときに、第1室内機制御装置17-1と同様に、室温に応じてサーモオフ状態またはサーモオン状態となるように、第2室内機3-2と第3室内機3-3をそれぞれ制御する。
【0026】
[冷房運転]
冷房運転は、たとえば、空気調和機1がユーザにより冷房運転を実行するように操作されたときに実行される。室外機制御装置18は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、四方弁6を制御し、冷媒回路4を冷房サイクルに切り替える。室外機制御装置18は、圧縮機5を制御し、吸入管11を介して圧縮機5に供給された低圧気相冷媒を圧縮する。低圧気相冷媒は、圧縮機5により圧縮され、高圧気相冷媒になる。圧縮機5は、さらに、高圧気相冷媒を吐出管12に吐出する。吐出管12に吐出された高圧気相冷媒は、冷媒回路4が冷房サイクルに切り替えられていることにより、室外熱交換器7へと流れる。
【0027】
室外熱交換器7は、四方弁6を介して流入した高圧気相冷媒と外気とを熱交換する。高圧気相冷媒は、室外熱交換器7で放熱し、過冷却状態の高圧液相冷媒になる。すなわち、室外熱交換器7は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。高圧液相冷媒は、複数の室内機3-1~3-3の各々が要求する冷房能力の合計値に応じた開度とされている室外膨張弁8へと流れ、室外膨張弁8を介して複数の室内膨張弁10-1~10-3へと流れる。
【0028】
複数の室内膨張弁10-1~10-3は、室外熱交換器7から複数の室内熱交換器9-1~9-3に流れる冷媒の流量を調節するとともに、室外熱交換器7から供給された高圧液相冷媒を減圧する。高圧液相冷媒は、複数の室内膨張弁10-1~10-3と室外膨張弁8により減圧され、低圧気液二相冷媒になる。複数の室内膨張弁10-1~10-3から流出した低圧気液二相冷媒は、複数の室内熱交換器9-1~9-3にそれぞれ供給される。
【0029】
第1室内熱交換器9-1は、複数の室内機3-1~3-3の各々が要求する冷房能力の合計値に応じた開度とされている第1室内膨張弁10-1で減圧された低圧気液二相冷媒と、第1室内機3-1が設置された部屋の空気とを熱交換する。第1室内機3-1は、第1室内熱交換器9-1で、低圧気液二相冷媒と熱交換された空気を部屋に吹き出すことにより、部屋を冷房する。低圧気液二相冷媒は、第1室内熱交換器9-1で加熱され、低圧気相冷媒になる。すなわち、第1室内熱交換器9-1は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。第2室内熱交換器9-2と第3室内熱交換器9-3とは、第1室内熱交換器9-1と同様に、蒸発器として機能する。第2室内機3-2と第3室内機3-3とは、第1室内機3-1と同様に、低圧気液二相冷媒と熱交換された空気を部屋に吹き出すことにより、部屋を冷房する。
【0030】
複数の室内熱交換器9-1~9-3から流出した低圧気相冷媒は、四方弁6に供給される。四方弁6に供給された低圧気相冷媒は、冷媒回路4が冷房サイクルに切り替えられていることにより、吸入管11に供給され、吸入管11を介して圧縮機5に吸入される。
【0031】
第1室内機制御装置17-1は、空気調和機1が冷房運転を実行しているときに、第1室温センサ16-1を用いて、第1室内機3-1が設置される部屋の温度を計測する。第1室内機制御装置17-1は、第1室温センサ16-1により計測された室温が、第1室内機3-1に設定された設定温度より所定温度(例えば、1℃)以上低いときに、第1室内機3-1が停止するサーモオフ状態になるように、第1室内機3-1を制御する。第1室内機3-1をサーモオフ状態とする制御は、たとえば、第1室内熱交換器9-1に冷媒が流れなくなるように、第1室内膨張弁10-1の開度の制御することを含んでいる。第1室内機制御装置17-1は、第1室内機3-1がサーモオフ状態とされているときに、第1室温センサ16-1により計測された室温が設定温度より所定温度(例えば、1℃)以上高くなれば、第1室内機3-1を再起動するサーモオン状態とする。第2室内機制御装置17-2と第3室内機制御装置17-2も、空気調和機1が暖房運転を実行しているときに、第1室内機制御装置17-1と同様に、室温に応じてサーモオフ状態またはサーモオン状態となるように、第2室内機3-2と第3室内機3-3をそれぞれ制御する。
【0032】
[通常制御動作]
通常制御動作は、空気調和機1が暖房運転または冷房運転を行う際に実行される。通常制御動作では、第1室内機制御装置17-1は、第1温度差を算出し、第2室内機制御装置17-2は、第2温度差を算出し、第3室内機制御装置17-3は、第3温度差を算出する。第1温度差は、第1室内機3-1に設定された設定温度と、第1室温センサ16-1により計測された室内温度との温度差の絶対値を示している。第2温度差は、第2室内機3-2に設定された設定温度と、第2室温センサ16-2により計測された室内温度との温度差の絶対値を示している。第3温度差は、第3室内機3-3に設定された設定温度と、第3室温センサ16-3により計測された室内温度との温度差の絶対値を示している。
【0033】
第1室内機制御装置17-1は、第1室内機3-1が要求する空調能力を第1温度差に基づいて算出し、その算出された空調能力を室外機制御装置18に送信する。第2室内機制御装置17-2は、第2室内機3-2が要求する空調能力を第2温度差に基づいて算出し、その算出された空調能力を室外機制御装置18に送信する。第3室内機制御装置17-3は、第3室内機3-3が要求する空調能力を第3温度差に基づいて算出し、その算出された空調能力を室外機制御装置18に送信する。室外機制御装置18は、各室内機の温度差に基づいて各室内機が要求する空調能力(冷房時:冷房能力/暖房時:暖房能力)を複数の室内機3-1~3-3から受信すると、空調能力を合算し、合算した空調能力の合計値に基づいて目標圧縮機回転数と目標室外ファン回転数とを決定する。室外機制御装置18は、目標圧縮機回転数に基づいて圧縮機5を制御し、目標室外ファン回転数に基づいて室外ファン14を制御する。具体的には、室外機制御装置18は、合算した空調能力の合計値が大きくなるほど、目標圧縮機回転数を大きくする。室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数が目標圧縮機回転数に等しくなるように、圧縮機5を制御する。また、空調能力の合計値が大きくなるほど、目標室外ファン回転数を大きくする。室外機制御装置18は、室外ファン14の回転数が目標室外ファン回転数に等しくなるように、室外ファン14を制御する。空気調和機1は、このような通常制御動作が実行されることにより、部屋を冷暖房する能力を適切に調整することができる。
【0034】
室外機2は、暖房運転または冷房運転が実行されているときに、圧縮機5から発生する騒音と、室外ファン14から発生する騒音とが合成されることにより、振幅(音の大きさ)が周期的に変化するうなり音が発生する場合がある。たとえば、圧縮機5から発生する騒音の基本波または高調波と、室外ファン14から発生する騒音の基本波または高調波との間で周波数が近いものがあれば、うなり音が発生する。うなり音は、圧縮機5から発生する騒音の基本波または高調波と、室外ファン14から発生する騒音の基本波または高調波との合成波であり、その振幅が周期的に変化する。そして、うなり音は特定の周波数で人の耳障りとなることがある。すなわち、うなり音回避制御テーブル23では、発生するうなり音が人の耳障りとなる圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが「使用禁止」に該当している。
【0035】
[うなり音回避制御動作]
うなり音回避制御動作は、通常制御動作が実行されている最中に実行され、暖房運転または冷房運転が開始してから時間がたって暖房運転または冷房運転が安定状態になっているときに、実行される。圧縮機5の回転数と、室外ファン14の回転数とは、暖房運転または冷房運転が安定状態になっているときに、安定している。
図4は、うなり音回避制御動作を示すフローチャートである。うなり音回避制御動作では、室外機制御装置18は、通常制御動作の実行中に圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数とを取得し、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが使用禁止に該当するか否かを判定する(ステップS1)。すなわち、室外機制御装置18は、取得した圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが、うなり音回避制御テーブル23において「使用禁止」の組み合わせに該当するときに、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせがうなり音回避制御テーブル23における使用禁止であると判定する。一方で、室外機制御装置18は、取得した圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが、うなり音回避制御テーブル23において「使用禁止」の組み合わせに該当しないときに、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが使用禁止ではないと判定する。
【0036】
室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが使用禁止であると判定されたとき(請求項における「条件を満たすとき」に対応)に(ステップS1、Yes)、外気温度が低いときに行われる冷房運転(以降、低外気冷房運転と記載する場合がある)が実行されているか否かを判定する(ステップS2)。すなわち、室外機制御装置18は、空気調和機1が冷房運転を実行しているときに外気温度センサ15を用いて外気温を計測し、計測された外気温が、予め定められた外気温閾値より低いときに(たとえば、外気温が19℃以下であるときに)、低外気冷房運転が実行されていると判定する。室外機制御装置18は、空気調和機1が冷房運転を実行していないときに、または、外気温度センサ15により計測された外気温が外気温閾値より高いときに、低外気冷房運転が実行されていないと判定する。
【0037】
室外機制御装置18は、低外気冷房運転が実行されていないと判定されたときに(ステップS2、No)、第1室内機3-1がサーモオフ状態になっているか否かを第1室内機制御装置17-1から取得し、第2室内機3-2がサーモオフ状態になっているか否かを第2室内機制御装置17-2から取得し、第3室内機3-3がサーモオフ状態になっているか否かを第3室内機制御装置17-3から取得する(ステップS3)。室外機制御装置18は、複数の室内機3-1~3-3が全てサーモオフ状態になっていないときに(ステップS3、No)、室外ファン14の回転数がファン最大回転数(たとえば、710rpm)以上であるか否かを判定する(ステップS4)。室外機制御装置18は、室外ファン14の回転数がファン最大回転数より小さいときに(ステップS4、No)、室外ファン14を制御し、室外ファン14の回転数を上昇させる(ステップS6)。このとき、室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが「使用禁止」の組み合わせでなくなるまで、または、室外ファン14の回転数がファン最大回転数に等しくなるまで、室外ファン14の回転数を継続して上昇させる。
【0038】
室外機制御装置18は、低外気冷房運転が実行されていると判定されたときに(ステップS2、Yes)、または、複数の室内機3-1~3-3のうちの少なくとも1つの室内機がサーモオフ状態になっているときに(ステップS3、Yes)、または、室外ファン14の回転数がファン最大回転数に等しいときに(ステップS4、Yes)、圧縮機5を制御し、圧縮機5の回転数を低下させる(ステップS5)。このとき、室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが「使用禁止」の組み合わせでなくなるまで、圧縮機5の回転数を継続して低下させる。
【0039】
室外機制御装置18は、ステップS6の処理が実行された後に、ステップS6で室外ファン14の回転数が目標室外ファン回転数となるのに必要である時間(たとえば、60秒間)待機する(ステップS7)。また、室外機制御装置18は、ステップS5の処理が実行された後に、ステップS5で圧縮機5の回転数が目標圧縮機回転数となる回転数となるのに必要である時間(たとえば、60秒間)待機する(ステップS7)。室外機制御装置18は、60秒間待機した後に、または、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが「使用禁止」ではないと判定されたときに(ステップS1、No)、ステップS1~S7の処理を繰り返し実行する。
【0040】
うなり音回避制御テーブル23は、「使用許可」に該当する圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせと、「使用禁止」に該当する圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせとを表している。空気調和機1は、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせがうなり音回避制御テーブル23で「使用禁止」に該当するときに、圧縮機5の回転数または室外ファン14の回転数を変更することにより、うなり音の周波数を変えることができる。空気調和機1は、うなり音の周波数を変えることにより、うなり音によるユーザの不快感を低減することができる。
【0041】
空気調和機1は、圧縮機5の回転数を上げることにより、または、圧縮機5の回転数を下げることにより、または、室外ファン14の回転数を下げることにより、または、室外ファン14の回転数を上げることにより、うなり音の周波数を変更することができる。空気調和機1は、圧縮機5の回転数が上昇したときに、凝縮圧力が上昇しすぎて圧縮機5が保護停止に至るおそれがある。また、空気調和機1は、圧縮機5の回転数が下降したときに、または、室外ファン14の回転数が下降したときに、冷媒回路4の能力の低下を招く。以上のことから、空気調和機1は、うなり音の周波数を変更するときに、室外ファン14の回転数を優先して上昇させることにより、冷媒回路4の能力の低下を抑制することができ、冷暖房時に冷媒回路4の能力が不足することを防止することができる。しかしながら、空気調和機1は、サーモオフ状態になっている室内機があるときにうなり音の周波数を変える場合は、室外ファン14の回転数を上昇させるのではなく圧縮機5の回転数を低下させる。サーモオフ状態になっている室内機があるときは、全ての室内機が運転している場合と比べてサーモオンとなっている室内機で必要とされる空調能力が少なくなっている。このときに室外ファン14の回転数を上昇させると、運転している室内機において空調能力が過剰となってサーモオフ状態となり、その後サーモオン状態となったときに短時間で再びサーモオフ状態となる、というように運転している室内機でサーモオフ状態とサーモオン状態とが頻繁に切り換わるおそれがある。そこで、空気調和機1は、サーモオフ状態になっている室内機があるときで、かつ、うなり音の周波数を変えるときに、室外ファン14の回転数を上昇させないで圧縮機5の回転数を低下させることにより、冷媒回路4の能力が過剰に生成されることを防止することができる。
【0042】
また、空気調和機1は低外気冷房運転を行っているときに、うなり音の周波数を変える場合は、室外ファン14の回転数を上昇させるのではなく圧縮機5の回転数を低下させる。
図5は、低外気冷房運転でない通常の冷房運転が実行されるときの冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。通常の冷房運転が実行されるときの凝縮過程31での冷媒の圧力である凝縮圧力と蒸発過程32での冷媒の圧力である蒸発圧力との差圧は、外気温が高い温度(たとえば、35℃)であるときに、冷媒回路4に必要量(各室内機で要求される冷房能力を発揮させるのに必要な量)の冷媒を循環させるのに十分な値となる。
【0043】
一方、低外気冷房運転時、例えば外気温が外気温閾値(例えば、19℃)より低いときで、かつ、空気調和機1が冷房運転を実行しているときは、
図6のモリエル線図に示すように、凝縮過程33での冷媒の圧力である凝縮圧力は、通常の冷房運転が実行されるときの凝縮過程31での凝縮圧力より低くなる。このため、凝縮圧力と蒸発圧力との差圧は、凝縮過程33での凝縮圧力が低くなることにより、小さくなる。低外気冷房運転が実行されるときの凝縮圧力と蒸発圧力との差圧は、外気温が低いほど、小さくなる。
【0044】
上記のような低外気冷房運転を行うときに、うなり音の周波数を変えるために室外ファン14の回転数を上昇させると、
図7のモリエル線図に示すように、
図6における凝縮過程33での凝縮圧力よりさらに低くなる。このため、
図7に示す状態のときの凝縮圧力と蒸発圧力との差圧は、
図6に示す状態のときの凝縮圧力と蒸発圧力との差圧よりさらに小さくなり、冷媒回路4に十分な量の冷媒を循環させることが困難となることがある。
【0045】
しかしながら、空気調和機1は、低外気冷房運転が実行されているときに、または、サーモオフ状態となっている室内機があるときに、複数の室内機3-1~3-3が要求する空調能力の合計値が低下し、冷媒が冷媒回路4を単位時間あたりに循環する循環量が小さい場合でも、必要な冷房能力を生成することができる。このため、空気調和機1は、低外気冷房運転が実行されているときに、または、サーモオフ状態となっている室内機があるときに、室外ファン14の回転数を上昇させるのではなく圧縮機5の回転数を低下させた場合でも、部屋を適切に冷房するとともに、うなり音による不快感を低減することができる。
【0046】
[実施例1の空気調和機1の効果]
実施例1の空気調和機1は、圧縮機5と室外ファン14と室外機制御装置18とを室外機2に備えている。圧縮機5は、回転数可変であり、冷媒回路4に冷媒を循環させる。室外ファン14は、回転数可変であり、冷媒回路4に設けられる室外熱交換器7に外気を送風する。室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが予め定められた条件を満たす(たとえば、うなり音回避制御テーブル23で「使用禁止」に該当する)ときに圧縮機5の回転数または室外ファン14の回転数が変更されるように、室外ファン14と圧縮機5とのいずれか一方を制御する。このとき、実施例1の空気調和機1では、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数の組み合わせが「使用禁止」、すなわち、圧縮機5の騒音と室外ファン14から発生する騒音とのうなり音がユーザに不快感を与える場合に、室外ファン14の回転数を上昇させる、あるいは、圧縮機5の回転数を低下させる。これにより、発生するうなり音によるユーザの不快感を低減することができる。
【0047】
また、実施例1の空気調和機1は、うなり音回避制御テーブル23を記憶する記憶装置21をさらに備えている。ここで、前述の予め定められた条件とは、うなり音回避制御テーブル23において圧縮機5の回転数とファン回転数との組み合わせが「使用禁止」に該当する場合である。すなわち、室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせがうなり音回避制御テーブル23中の「使用禁止」に該当する組み合わせであるときに、圧縮機5の回転数または室外ファン14の回転数が変更されるように、室外ファン14と圧縮機5とのいずれか一方を制御する。
【0048】
また、実施例1の空気調和機1の室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数とが所定の条件を満たすときで、かつ、室外ファン14の回転数が予め定められたファン最大回転数より小さいときに、室外ファン14の回転数が大きくなるように、室外ファン14を制御する。室外機制御装置18は、さらに、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数とが所定の条件を満たすときで、かつ、室外ファン14の回転数が室外ファン最大回転数より大きいときに、圧縮機5の回転数が小さくなるように、圧縮機5を制御する。このとき、実施例1の空気調和機1は、うなり音がユーザに不快感を与えると判定されたときに、室外ファン14の回転数が優先して上昇されることにより、冷媒回路4の能力の低下を抑制しつつ、うなり音によるユーザの不快感を低減することができる。
【0049】
また、実施例1の空気調和機1は、複数の室内機3-1~3-3をさらに備えている。室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数とが所定の条件を満たすときで、かつ、複数の室内機3-1~3-3のうちの少なくとも1つの室内機がサーモオフ状態になっているときに、圧縮機5の回転数が小さくなるように、圧縮機5を制御する。室外機制御装置18は、さらに、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数とが所定の条件を満たすときで、かつ、複数の室内機3-1~3-3の全部がサーモオフ状態になっていないときに、室外ファン14の回転数が大きくなるように、室外ファン14を制御する。このとき、実施例1の空気調和機1は、サーモオフ状態になっている室内機がないときに、室外ファン14の回転数が優先して上昇されることにより、冷媒回路4の能力の低下を抑制しつつ、うなり音によるユーザの不快感を低減することができる。実施例1の空気調和機1は、さらに、サーモオフ状態になっている室内機があるときに、圧縮機5の回転数が低下されることにより、冷媒回路4の能力が過剰に生成されることを抑制しつつ、うなり音によるユーザの不快感を低減することができる。
【0050】
また、実施例1の空気調和機1は、外気の温度を計測する外気温度センサ15をさらに備えている。室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数とファン回転数とが所定の条件を満たすときで、かつ、予め定められた温度範囲に外気温が含まれるときに、室外ファン14の回転数が大きくなるように、室外ファン14を制御する。圧縮機5の回転数とファン回転数とが所定の条件を満たすときで、かつ、温度範囲に外気温が含まれないときに、圧縮機5の回転数が小さくなるように、圧縮機5を制御する。このとき、実施例1の空気調和機1は、低外気冷房運転が実行されているか否かを外気温に基づいて適切に判定することができる。実施例1の空気調和機1は、さらに、低外気冷房運転が実行されているときに、圧縮機5の回転数が優先して低下されることにより、冷媒回路4の能力の低下を抑制しつつ、うなり音によるユーザの不快感を低減することができる。
実施例2の空気調和機は、既述の実施例1の空気調和機1の室外機制御装置18の記憶装置21に記憶されるうなり音回避制御テーブル23が複数の数式に置換され、他の部分は、既述の実施例1の空気調和機1と同じである。
実施例2の空気調和機は、既述の実施例1の空気調和機1と同様に、暖房運転中および冷房運転中に通常制御動作を実行し、通常運転制御中にうなり音回避制御動作を実行する。うなり音回避制御動作では、室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数rが、式(3)で算出される回転数のうち式(4)で算出される回転数を除いた使用禁止範囲に含まれているとき、および、室外ファン14の回転数Rが、式(5)で算出される回転数のうち式(6)で算出される回転数を除いた使用禁止範囲に含まれているときに、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが使用禁止である(請求項における「条件を満たすとき」に対応)と判定する。室外機制御装置18は、圧縮機5の回転数rが使用禁止範囲から外れているときに、または、室外ファン14の回転数Rが使用禁止範囲から外れているときに、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが使用禁止ではないと判定する。
室外機制御装置18は、うなり音の周波数を変更するために室外ファン14の回転数Rを上昇させるときに、室外ファン14の回転数Rが室外ファン14の回転数Rの使用禁止範囲から外れるまで、または、室外ファン14の回転数Rがファン最大回転数となるまで、室外ファン14の回転数Rを上昇させる。また、室外機制御装置18は、うなり音の周波数を変更するために圧縮機5の回転数rを低下させるときに、圧縮機5の回転数rが圧縮機5の回転数rの使用禁止範囲から外れるまで、圧縮機5の回転数rを低下させる。
実施例2の空気調和機は、既述の実施例1の空気調和機1と同様に、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数とに基づいて、室外機2から発生するうなり音の周波数が特定の周波数範囲に含まれるか否かを適切に判定することができる。実施例2の空気調和機は、既述の実施例1の空気調和機1と同様に、さらに、うなり音の周波数が特定の周波数範囲に含まれるときに、うなり音の周波数を変化させることができ、うなり音によるユーザの不快感を低減することができる。
実施例2の空気調和機は、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが使用禁止であるか否かが判定されるときに、圧縮機5の騒音に含まれる高調波の次数nと、室外ファン14の騒音に含まれる高調波の次数Nとの組み合わせ毎に上記の数式を計算する必要があり、比較的時間がかかる。既述の実施例1の空気調和機1は、予めうなり音回避制御テーブル23を準備して記憶しておくことで、複数回の計算を実行する必要がある実施例2の空気調和機に比較して、圧縮機5の回転数と室外ファン14の回転数との組み合わせが使用禁止であるか否かをより短時間に判定することができる。
ところで、既述の実施例の空気調和機は、室外ファン14の回転数を上昇させてうなり音の周波数を変更しているが、冷媒回路4の高圧側の圧力の過昇を招かないのであれば室外ファン14の回転数を低下させてうなり音の周波数を変更してもよい。また、既述の実施例の空気調和機は、圧縮機5の回転数を低下させてうなり音の周波数を変更しているが、冷媒回路4の高圧側の圧力の過昇や各室内機における空調能力の過多を招かないのであれば圧縮機5の回転数を上昇させてうなり音の周波数を変更してもよい。空気調和機は、この場合も、うなり音の周波数を変化させて、うなり音によるユーザの不快感を低減することができる。
また、既述の実施例1の空気調和機1の複数の室内機3-1~3-3は、3台であるが、2台または4台以上であってもよい。既述の実施例1の空気調和機1は、複数の室内機3-1~3-3を備えているが、第2室内機3-2と第3室内機3-3とが省略されて1台の第1室内機3-1のみを備えていてもよい。空気調和機は、この場合も、うなり音の周波数を変化させて、うなり音によるユーザの不快感を低減することができる。
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。