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特開2024-98653送信制御装置、受信制御装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098653
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】送信制御装置、受信制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20240717BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20240717BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240717BHJP
【FI】
H04W28/06
H04W84/10 110
H04W84/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002263
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000102739
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 豊
(72)【発明者】
【氏名】作田 豊
(72)【発明者】
【氏名】菊池 太樹
(72)【発明者】
【氏名】永井 倫亮
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067DD44
5K067DD45
5K067GG01
(57)【要約】
【課題】資源の浪費を抑制する通信技術を提供する。
【解決手段】N個の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、送信装置の伝送に関する制御を行う送信制御装置であって、N個の送信装置から通信品質を示す通信品質情報を収集するか、またはN個の送信装置の各々と1対1で通信するN個の受信装置から通信品質情報を収集する収集部と、収集部により収集された通信品質情報にもとづき、N個の送信装置ごとに、同じデータを繰り返し送信する回数を決定する決定部と、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、送信装置の伝送に関する制御を行う送信制御装置であって、
前記N個の送信装置から通信品質を示す通信品質情報を収集するか、または前記N個の送信装置の各々と1対1で通信する前記N個の受信装置から前記通信品質情報を収集する収集部と、
前記収集部により収集された前記通信品質情報にもとづき、前記N個の送信装置ごとに、同じデータを繰り返し送信する回数を決定する決定部と、
を備えた送信制御装置。
【請求項2】
前記通信品質情報は、前記N個の受信装置における受信電波強度であり、
前記決定部は、前記収集部により収集された前記N個の受信装置の各々における受信電波強度が大きいほど、同じデータを繰り返し送信する回数として少ない回数を決定する請求項1に記載の送信制御装置。
【請求項3】
前記通信品質情報は、前記N個の送信装置における変調符号化方式であり、
前記決定部は、前記収集部により収集された変調符号化方式により定まる前記N個の送信装置の各々における送信装置の伝送レートが大きいほど、同じデータを繰り返し送信する回数を少ない回数に決定する請求項1に記載の送信制御装置。
【請求項4】
前記通信品質情報は、前記N個の受信装置における信号対雑音比であり、
前記決定部は、前記収集部により収集された前記N個の受信装置の各々における信号対雑音比が大きいほど、同じデータを繰り返し送信する回数を少ない回数に決定する請求項1に記載の送信制御装置。
【請求項5】
N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、前記N個の受信装置が受信したデータを受信する受信制御装置であって、
前記データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記データを識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、既に取得されている識別情報が含まれる前記データを破棄するとともに、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されていない場合に、上位装置に前記データを出力する出力部と、
を備えた受信制御装置。
【請求項6】
N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、送信装置の伝送に関する制御を行う送信制御装置の制御方法であって、
前記送信制御装置が、前記N個の送信装置から通信品質を示す通信品質情報を収集するか、または前記N個の送信装置の各々と1対1で通信する前記N個の受信装置から前記通信品質情報を収集する収集ステップと、
前記送信制御装置が、前記収集ステップにより収集された前記通信品質情報にもとづき、前記N個の送信装置ごとに、同じデータを繰り返し送信する回数を決定する決定ステップと、
を備えた制御方法。
【請求項7】
N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、前記N個の受信装置が受信したデータを受信し、前記データを記憶する記憶部を備えた受信制御装置の制御方法であって、
前記受信制御装置が、前記記憶部に記憶された前記データを識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、既に取得されている識別情報が含まれる前記データを破棄するとともに、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されていない場合に、上位装置に前記データを出力する出力ステップ、
を備えた制御方法。
【請求項8】
N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、送信装置の伝送に関する制御を行う送信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記N個の送信装置から通信品質を示す通信品質情報を収集するか、または前記N個の送信装置の各々と1対1で通信する前記N個の受信装置から前記通信品質情報を収集する収集部と、
前記収集部により収集された前記通信品質情報にもとづき、前記N個の送信装置ごとに、同じデータを繰り返し送信する回数を決定する決定部と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項9】
N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、前記N個の受信装置が受信したデータを受信し、前記データを記憶する記憶部を備えた受信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記記憶部に記憶された前記データを識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、既に取得されている識別情報が含まれる前記データを破棄するとともに、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されていない場合に、上位装置に前記データを出力する出力部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信制御装置、受信制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Wifi(登録商標)やWiGig(登録商標)などの無線通信では、時々刻々と無線経路の状態が変化する。そこで、同じデータを複数回送信することにより、安定的な通信が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-145522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同じデータの送信回数を多くするほど通信品質の安定化が期待できる一方で、使用する電力が増加したり、周波数がひっ迫するなど、資源を必要以上に浪費するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、資源の浪費を抑制する通信技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、送信装置の伝送に関する制御を行う送信制御装置であって、N個の送信装置から通信品質を示す通信品質情報を収集するか、またはN個の送信装置の各々と1対1で通信するN個の受信装置から通信品質情報を収集する収集部と、収集部により収集された通信品質情報にもとづき、N個の送信装置ごとに、同じデータを繰り返し送信する回数を決定する決定部と、を備えた送信制御装置を提供する。
【0007】
本発明の一態様は、上記の送信制御装置において、通信品質情報は、N個の受信装置における受信電波強度であり、決定部は、収集部により収集されたN個の受信装置の各々における受信電波強度が大きいほど、同じデータを繰り返し送信する回数として少ない回数を決定する送信制御装置を提供する。
【0008】
本発明の一態様は、上記の送信制御装置において、通信品質情報は、N個の送信装置における変調符号化方式であり、決定部は、収集部により収集された変調符号化方式により定まるN個の送信装置の各々における送信装置の伝送レートが大きいほど、同じデータを繰り返し送信する回数を少ない回数に決定する送信制御装置を提供する。
【0009】
本発明の一態様は、上記の送信制御装置において、通信品質情報は、N個の受信装置における信号対雑音比であり、決定部は、収集部により収集されたN個の受信装置の各々における信号対雑音比が大きいほど、同じデータを繰り返し送信する回数を少ない回数に決定する送信制御装置を提供する。
【0010】
本開示の一態様は、N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、N個の受信装置が受信したデータを受信する受信制御装置であって、データを記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたデータを識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、既に取得されている識別情報が含まれるデータを破棄するとともに、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されていない場合に、上位装置にデータを出力する出力部と、を備えた受信制御装置を提供する。
【0011】
本開示の一態様は、N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、送信装置の伝送に関する制御を行う送信制御装置の制御方法であって、送信制御装置が、N個の送信装置から通信品質を示す通信品質情報を収集するか、またはN個の送信装置の各々と1対1で通信するN個の受信装置から通信品質情報を収集する収集ステップと、送信制御装置が、収集ステップにより収集された通信品質情報にもとづき、N個の送信装置ごとに、同じデータを繰り返し送信する回数を決定する決定ステップと、を備えた制御方法を提供する。
【0012】
本開示の一態様は、N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、N個の受信装置が受信したデータを受信し、データを記憶する記憶部を備えた受信制御装置の制御方法であって、受信制御装置が、記憶部に記憶されたデータを識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、既に取得されている識別情報が含まれるデータを破棄するとともに、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されていない場合に、上位装置にデータを出力する出力ステップ、を備えた制御方法を提供する。
【0013】
本開示の一態様は、N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、送信装置の伝送に関する制御を行う送信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、コンピュータを、N個の送信装置から通信品質を示す通信品質情報を収集するか、またはN個の送信装置の各々と1対1で通信するN個の受信装置から通信品質情報を収集する収集部と、収集部により収集された通信品質情報にもとづき、N個の送信装置ごとに、同じデータを繰り返し送信する回数を決定する決定部として機能させるためのプログラムを提供する。
【0014】
本開示の一態様は、N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、N個の受信装置が受信したデータを受信し、データを記憶する記憶部を備えた受信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、コンピュータを、記憶部に記憶されたデータを識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されている場合に、既に取得されている識別情報が含まれるデータを破棄するとともに、取得した識別情報と同じ識別情報が既に取得されていない場合に、上位装置にデータを出力する出力部として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、この発明によれば、資源の浪費を抑制する通信技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】送信制御装置、受信制御装置を含む通信システムの概略構成を示す図である。
図2】フレームの一例である。
図3】RSSIと回数の対応を示す図である。
図4】MCSと回数の対応を示す図である。
図5】SNRと回数の対応を示す図である。
図6】RSSIにもとづいて決定する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
図7】MCSにもとづいて決定する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
図8】SNRにもとづいて決定する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】決定された回数が1回~4回の場合に送信されるデータを説明するための図である。
図10】出力部の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る通信システムについて説明する。本実施形態で説明する通信システムは、N個(Nは1以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムである。
【0018】
具体的に、図1を用いて説明する。図1は、送信制御装置10、および受信制御装置70を含む通信システム1の概略構成を示す図である。通信システム1は、送信制御装置10、送信サーバ40、送信装置50-1、…、50-N、受信装置60-1、…、60-N、受信制御装置70、および受信サーバ80を備える。以下の説明において、送信装置50-1、…、50-Nのそれぞれを区別しない場合には、送信装置50と表現する。受信装置60-1、…、60-Nのそれぞれを区別しない場合には、受信装置60と表現する。送信装置50は、受信装置60と1対1で通信する。本実施形態では、送信装置50-k(k=1~N)と受信装置60-kとが1対1で通信する。また、送信装置50、および受信装置60は、例えば無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を用いて通信を行う。
【0019】
送信サーバ40は、送信制御装置10に受信サーバ80に送信するデータを送信する。送信制御装置10は、送信装置50に送信サーバ40から受信したデータを複製し、同じデータを各送信装置50に出力する。送信装置50は、送信制御装置10により出力されたデータを、無線により受信装置60に送信する。このとき、データは後述するフレームに埋め込まれて送信される。受信装置60は、送信装置50から受信したデータを受信制御装置70に出力する。受信制御装置70は、受信装置60により出力されたデータを受信サーバ80に送信する。
【0020】
送信制御装置10の詳細について説明する。送信制御装置10は、演算部20、および送信制御部30で構成される。演算部20は、収集部21、決定部22、および通知部23で構成される。収集部21は、N個の送信装置50から通信品質を示す通信品質情報を収集するか、またはN個の送信装置の各々と1対1で通信するN個の受信装置60から通信品質情報を収集する。本実施形態では、通信品質情報として、送信装置50と1対1で通信する受信装置60における受信電波強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))、送信装置50における変調符号化方式(MCS(Modulation and Coding Scheme))、または送信装置50と1対1で通信する受信装置60におけるSNR(Signal to Noise Ratio)を収集する。なお、変調符号化方式は、変調方式や符号化率がインデックス化されたものであるが、本実施形態では、説明を簡単にするために、MCS値(以下、単に「MCS」という)を収集部21が取得するものとする。収集部21は、RSSI、MCS、およびSNRをSNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて取得してもよい。
【0021】
決定部22は、収集部21により収集された通信品質情報にもとづき、N個の送信装置50ごとに、同じデータを繰り返し送信する回数を決定する。具体的に本実施形態において、決定部22は、収集部21により収集されたRSSI、MCS、またはSNRにもとづき、送信装置50が同じデータを繰り返し送信する回数を決定する。回数は、送信装置50ごとに決定される。決定方法については後述する。通知部23は、決定部22により決定された回数を特定する回数情報を送信制御部30の設定部31に通知する。上述したように、回数情報は送信装置50ごとに存在するため、全ての送信装置50の回数情報が通知される。
【0022】
送信制御部30は、設定部31、信号受信部32、およびフレーム送信部33で構成される。設定部31は、通知部23から通知された上記回数情報をフレーム送信部33に出力する。信号受信部32は、送信サーバ40から送信されたデータを受信し、フレーム送信部33に出力する。フレーム送信部33は、信号受信部32から出力されたデータをフレームに埋め込み、そのフレームを複製し、送信装置50に出力する。このとき、送信装置50ごとに回数情報に示される回数だけ送信装置50に出力される。
【0023】
図2は、フレームの一例である。図2に示されるフレームは、本実施形態に無関係なヘッダや誤り訂正符号などは省略している。図2に示されるように、フレームには、順番情報とデータとが含まれる。順番情報は、データの順番を示す情報である。
【0024】
フレームが入力された送信装置50は、それぞれ対応する受信装置60に無線によりデータを送信する。受信装置60は、受信したデータを受信制御装置70に出力する。
【0025】
図1に示されるように、受信制御装置70は、信号受信部71、記憶部72、および出力部73で構成される。信号受信部71は、受信装置60から出力されたデータを受信する。記憶部72は、信号受信部71が受信したデータを一時記憶する。出力部73は、記憶部72に記憶されたデータ(「データA」とする)の順番情報をフレームから取得し、取得した順番情報と同じ順番情報が既に取得されている場合に、データAを破棄する。また、出力部73は、フレームから取得した順番情報が直前に送信したデータの順番情報の次の順番を示す場合に、上位装置にデータAを出力する。
【0026】
次に、決定部22の決定方法について説明する。上述したように、決定部22は、送信装置が同じデータを繰り返し送信する回数を決定する。まず、RSSIにもとづく決定方法について説明する。
【0027】
決定部22は、送信装置50ごとに収集部21によって収集されたRSSIが大きいほど、同じデータを繰り返し送信する回数を少ない回数に決定する。図3は、RSSIと回数の対応を示す図である。RSSIが、-30dBm以上の場合は、回数は1回に決定される。RSSIが、-30dBm未満で-50dBm以上の場合は、回数は2回に決定される。RSSIが、-50dBm未満で-80dBm以上の場合は、回数は3回に決定される。RSSIが、-80dBm未満の場合は、回数は4回に決定される。このように通信品質がよいほど、同じデータを繰り返し送信する回数として少ない回数が決定される。
【0028】
次に、MCSにもとづく決定方法について説明する。決定部22は、送信装置50ごとに収集部21によって収集されたMCSが示す伝送レートが大きいほど、同じデータを繰り返し送信する回数を少ない回数に決定する。図4は、MCSと回数の対応を示す図である。なお、図4に示す例は、MCSが0~9の値をとり、値が大きいほど伝送レートが大きい場合の回数を示す。MCSが、8または9の場合は、回数は1回に決定される。MCSが、6または7の場合は、回数は2回に決定される。MCSが、4または5の場合は、回数は3回に決定される。MCSが、0~3の場合は、回数は4回に決定される。このように伝送レートが大きい、すなわち通信品質がよいほど、同じデータを繰り返し送信する回数として少ない回数が決定される。
【0029】
次に、SNRにもとづく決定方法について説明する。決定部22は、送信装置50ごとに収集部21によって収集されたSNRが大きいほど、同じデータを繰り返し送信する回数を少ない回数に決定する。図5は、SNRと回数の対応を示す図である。SNRが、60dB以上の場合は、回数は1回に決定される。SNRが、60dB未満で40dB以上の場合は、回数は2回に決定される。SNRが、40dB未満で20dB以上の場合は、回数は3回に決定される。SNRが、20dB未満の場合は、回数は4回に決定される。このように通信品質がよいほど、同じデータを繰り返し送信する回数として少ない回数が決定される。
【0030】
図3図5に示した対応を示す情報は、例えばテーブルとして不図示の記憶部に記憶されていてもよいし、プログラムのif文またはcase文などを用いてプログラムに組み込んでいてもよい。また、図3図5に示した回数を定めるための各閾値は一例である。
【0031】
次に処理の流れについて説明する。まずRSSIにもとづいて回数を決定する場合の送信制御装置10の処理を図6のフローチャートを用いて説明する。なお、送信装置50、および受信装置60のいずれもN個設けられているものとする。そして、N個の受信装置60に1~Nの番号が割り当てられているものとし、番号kの受信装置60から取得されたRSSIをRSSI(k)と表現する。さらに、k番目の受信装置60と通信する送信装置50を送信装置(k)と表現する。
【0032】
図6において、収集部21は、各受信装置60からRSSI(1)~RSSI(N)を取得する(ステップS101)。決定部22は、ループカウンタkを1で初期化する(ステップS102)。決定部22は、RSSI(k)が-30dBm以上か否かを判定する(ステップS103)。RSSI(k)が-30dBm以上の場合には(ステップS103:YES)、決定部22は、送信装置(k)の回数を1回に決定し(ステップS104)、ステップS110に進む。
【0033】
RSSI(k)が-30dBm未満の場合には(ステップS103:NO)、決定部22は、RSSI(k)が-50dBm以上か否かを判定する(ステップS105)。RSSI(k)が-50dBm以上の場合には(ステップS105:YES)、決定部22は、送信装置(k)の回数を2回に決定し(ステップS106)、ステップS110に進む。
【0034】
RSSI(k)が-50dBm未満の場合には(ステップS105:NO)、決定部22は、RSSI(k)が-80dBm以上か否かを判定する(ステップS107)。RSSI(k)が-80dBm以上の場合には(ステップS107:YES)、決定部22は、送信装置(k)の回数を3回に決定し(ステップS108)、ステップS110に進む。RSSI(k)が-80dBm未満の場合には(ステップS107:NO)、決定部22は、送信装置(k)の回数を4回に決定し(ステップS109)、ステップS110に進む。
【0035】
次いで、ステップS110において、決定部22は、k=Nか否かを判定する(ステップS110)。k=Nではない場合には(ステップS110:NO)、決定部22は、kを1だけ増分し(ステップS111)、ステップS103に戻る。k=Nの場合には(ステップS110:YES)、全ての送信装置60の回数を決定したこととなるため、通知部23は、回数情報を設定部31に通知し(ステップS112)、処理を終了する。
【0036】
次にMCSにもとづいて回数を決定する場合の送信制御装置10の処理を図6のフローチャートを用いて説明する。なお、送信装置50、および受信装置60のいずれもN個設けられているものとする。そして、N個の受信装置60に1~Nの番号が割り当てられているものとし、番号kの受信装置60から取得されたMCSをMCS(k)と表現する。さらに、k番目の受信装置60と通信する送信装置50を送信装置(k)と表現する。
【0037】
図7において、収集部21は、各受信装置60からMCS(1)~MCS(N)を取得する(ステップS201)。決定部22は、ループカウンタkを1で初期化する(ステップS202)。決定部22は、MCS(k)が8または9か否かを判定する(ステップS203)。MCS(k)が8または9の場合には(ステップS203:YES)、決定部22は、送信装置(k)の回数を1回に決定し(ステップS204)、ステップS210に進む。
【0038】
MCS(k)が8でもなく、9でもない場合には(ステップS203:NO)、決定部22は、MCS(k)が6または7か否かを判定する(ステップS205)。MCS(k)が6または7の場合には(ステップS205:YES)、決定部22は、送信装置(k)の回数を2回に決定し(ステップS206)、ステップS210に進む。
【0039】
MCS(k)が6でもなく、7でもない場合には(ステップS205:NO)、決定部22は、MCS(k)が4または5か否かを判定する(ステップS207)。MCS(k)が4または5の場合には(ステップS207:YES)、決定部22は、送信装置(k)の回数を3回に決定し(ステップS208)、ステップS210に進む。MCS(k)が4でもなく、5でもない場合には(ステップS207:NO)、決定部22は、送信装置(k)の回数を4回に決定し(ステップS209)、ステップS210に進む。
【0040】
次いで、ステップS210において、決定部22は、k=Nか否かを判定する(ステップS210)。k=Nではない場合には(ステップS210:NO)、決定部22は、kを1だけ増分し(ステップS211)、ステップS203に戻る。k=Nの場合には(ステップS210:YES)、全ての送信装置60の回数を決定したこととなるため、通知部23は、回数情報を設定部31に通知し(ステップS212)、処理を終了する。
【0041】
次にSNRにもとづいて回数を決定する場合の送信制御装置10の処理を図6のフローチャートを用いて説明する。なお、送信装置50、および受信装置60のいずれもN個設けられているものとする。そして、N個の受信装置60に1~Nの番号が割り当てられているものとし、番号kの受信装置60から取得されたSNRをSNR(k)と表現する。さらに、k番目の受信装置60と通信する送信装置50を送信装置(k)と表現する。
【0042】
図6において、収集部21は、各受信装置60からSNR(1)~SNR(N)を取得する(ステップS301)。決定部22は、ループカウンタkを1で初期化する(ステップS302)。決定部22は、SNR(k)が60dB以上か否かを判定する(ステップS303)。SNR(k)が60dB以上の場合には(ステップS303:YES)、決定部22は、送信装置(k)の回数を1回に決定し(ステップS304)、ステップS310に進む。
【0043】
SNR(k)が60dB未満の場合には(ステップS303:NO)、決定部22は、SNR(k)が40dB以上か否かを判定する(ステップS305)。SNR(k)が40dB以上の場合には(ステップS305:YES)、決定部22は、送信装置(k)の回数を2回に決定し(ステップS306)、ステップS310に進む。
【0044】
SNR(k)が40dB未満の場合には(ステップS305:NO)、決定部22は、SNR(k)が20dB以上か否かを判定する(ステップS307)。SNR(k)が20dB以上の場合には(ステップS307:YES)、決定部22は、送信装置(k)の回数を3回に決定し(ステップS308)、ステップS310に進む。SNR(k)が20dB未満の場合には(ステップS307:NO)、決定部22は、送信装置(k)の回数を4回に決定し(ステップS309)、ステップS310に進む。
【0045】
次いで、ステップS310において、決定部22は、k=Nか否かを判定する(ステップS310)。k=Nではない場合には(ステップS310:NO)、決定部22は、kを1だけ増分し(ステップS311)、ステップS303に戻る。k=Nの場合には(ステップS310:YES)、全ての送信装置60の回数を決定したこととなるため、通知部23は、回数情報を設定部31に通知し(ステップS312)、処理を終了する。
【0046】
図9は、4つの送信装置50(送信装置A~D)で、決定された回数が1回~4回の場合に送信されるデータを説明するための図である。図9では、送信装置Aの回数は4回に決定され、送信装置Bの回数は3回に決定され、送信装置Cの回数は3回に決定され、送信装置Dの回数は1回に決定された場合に送信されるデータが示されている。図9において、T1~T15は、送信タイミングを示す。
【0047】
送信タイミングT1~T4において、送信装置Aは、各送信タイミングT1~T4でデータa1を送信する。送信装置Bは、各送信タイミングT1~T3でデータa1を送信する。送信タイミングT1~T4において、送信装置Cは、各送信タイミングT1~T2でデータa1を送信する。送信タイミングT1~T4において、送信装置Dは、送信タイミングT1でデータa1を送信する。
【0048】
従来は、例えば回数を4回と定めた場合には、送信装置A~Dの全てが4回データを送信していたが、本実施形態では、通信品質に応じて柔軟に回数を決定することから、例えば送信装置Dのように、送信タイミングT1~T4において、1回だけデータを送信すればよい。よって、従来と比較して、消費電力を抑制することができる。また、例えば送信装置A~Eまで用意されており、通信装置A~Dで十分に通信できる場合には、通信装置Eは通信せずともよいことから、使用する周波数を減らすことができるので、周波数のひっ迫を抑制することができる。よって、本実施形態によれば、資源の浪費を抑制する通信技術を提供することができる。
【0049】
また、図9において、送信装置B~Dは、データを送信していないタイミングがあるが、このタイミングに他のデータを送信することで、送信装置50を有効に活用でき、より多くのデータを送信可能となる。
【0050】
次に、受信制御装置70の処理について説明する。図10は、出力部73の処理の流れを示すフローチャートである。出力部73は、直前に受信サーバ80に出力したデータの順番を取得する(ステップS401)。出力部73は、記憶部72を参照して、次のデータが記憶されているか否かを判定する(ステップS402)。次のデータが記憶されていない場合には(ステップS402:NO)、データの記憶待ちとなる。次のデータが記憶されている場合には(ステップS402:YES)、出力部73は、次のデータを受信サーバ80に出力し(ステップS403)、ステップS401に戻る。
【0051】
このように、出力部73は、記憶部72において記憶されたデータに含まれるデータの順番に従って、受信サーバ80にデータを出力する。これにより、順番が担保されたデータを上位装置に出力することができるので、安定的かつ効率的な通信を行う技術を提供することができる。
【0052】
以上説明した実施形態において、収集部21がRSSI、MCS、またはSNRを収集するタイミングは、無線品質の変化の度合いに応じて定めるようにしてもよい。すなわち、無線品質の変化の度合いが大きい場合には、例えば1分ごとに収集して送信装置50を選択させる。このようにすることで、刻々と変化する無線品質に対応することができる。一方、無線品質の変化の度合いが小さい場合には、例えば1日ごとに収集して送信装置50を選択させる。このようにすることで、収集部21と送信装置50との通信頻度を無駄に多くする場合と比較して、収集部21と送信装置50との間のトラヒックを抑制でき、また演算部20の演算に要する処理も削減することができる。
【0053】
以上説明した実施形態において、送信制御装置10および受信制御装置70は、ソフトウェアで実現されていてもよいし、ハードウェアで実現されていてもよい。例えば、送信制御装置10において、データを送信装置50に出力する処理や、受信制御装置70においてデータを記憶部72に記憶させる処理をハードウェアで実現することで、より高速化することができる。また、演算部20をソフトウェアで実現し、送信制御装置10から演算部20の機能を除いたものをハードウェアで実現してもよい。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、送信装置50の送信回数を決定することで、従来技術のように全ての送信装置で送信する場合と比較して、消費電力を抑制でき、かつ周波数のひっ迫も抑制できることから、資源の浪費を抑制することができる。
【0055】
なお、以上説明した実施形態では、通信品質情報として、受信電波強度、変調符号化方式、または信号対雑音比を例にしたが、これに限るものではない。通信品質情報として、通信の品質を示す情報(例えば、通信速度や通信の安定度合いを示す情報)であれば、どのような情報でもよい。また、上述した実施形態では、回数の上限を4回として説明したが、これに限るものではない。回数は、実際の通信品質に応じて定めるようにしてもよい。また送信装置の数も考慮して回数を定めてもよい。例えば、送信装置の数が多いほど、回数の上限を小さくしてもよい。逆に送信装置の数が少ないほど、回数の上限を大きくしてもよい。このようにすることで、資源の浪費の抑制だけではなく、通信の安定性も確保できる。
【0056】
上述した実施形態における送信制御装置10、受信制御装置70、または演算部20の処理をソフトウェアによりコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0057】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 通信システム、10 送信制御装置、20 演算部、21 収集部、22 決定部、23 通知部、30 送信制御部、31 設定部、32 信号受信部、33 フレーム送信部、40 送信サーバ、50 送信装置、60 受信装置、70 受信制御装置、71 信号受信部、72 記憶部、73 出力部、80 受信サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10