(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098654
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】美術品売買仲介支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/08 20120101AFI20240717BHJP
【FI】
G06Q30/08
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002264
(22)【出願日】2023-01-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】521240619
【氏名又は名称】株式会社日本美術品評価鑑定センター
(74)【代理人】
【識別番号】100155158
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 仁
(72)【発明者】
【氏名】金子 紀昭
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB24
5L030BB73
5L049BB24
5L049BB73
(57)【要約】
【課題】売り手への支払金額による仲介業者の金銭的リスクを低減することができる美術品売買仲介支援システムを提供する。
【解決手段】美術品売買仲介支援装置100は、売り手が売却を希望する美術品の鑑定結果に基づき算定された査定価格を入力し、入力した査定価格に基づいて、オークション実施前に売り手に支払う第1支払金額として、美術品の査定価格からこの美術品に応じた安全金額を控除した金額を算出し、オークションで落札された美術品の落札価格を入力し、
入力した査定価格及び入力した落札価格に基づいて、オークション実施後に売り手に支払う第2支払金額を算出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オークションを介して美術品の売買の仲介を支援する美術品売買仲介支援システムであって、
売り手が売却を希望する前記美術品の鑑定結果に基づき算定された当該美術品の査定価格に関する査定価格情報を入力する査定価格情報入力手段と、
前記査定価格情報入力手段で入力した査定価格情報に基づいて、オークション実施前に前記売り手に支払う第1支払金額として、前記美術品の査定価格から当該美術品に応じた安全金額を控除した金額を算出する第1支払金額算出手段と、
オークションで落札された前記美術品の落札価格に関する落札価格情報を入力する落札価格情報入力手段と、
前記査定価格情報入力手段で入力した査定価格情報又は前記第1支払金額算出手段で算出した第1支払金額、及び前記落札価格情報入力手段で入力した落札価格情報に基づいて、オークション実施後に前記売り手に支払う第2支払金額を算出する第2支払金額算出手段とを備えることを特徴とする美術品売買仲介支援システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記美術品に関する美術品情報を入力する美術品情報入力手段と、
オークションを介した美術品の取引履歴情報を、当該美術品に関する美術品情報と対応づけて記憶する取引履歴情報記憶手段から、前記美術品情報入力手段で入力した美術品情報に係る美術品と同一の又は所定関係を有する美術品に係る前記取引履歴情報を取得する取引履歴情報取得手段とを備え、
前記安全金額は、前記取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて設定されることを特徴とする美術品売買仲介支援システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて、オークションにおける前記美術品の成約率を算出する成約率算出手段を備え、
前記安全金額は、前記成約率算出手段で算出した成約率に基づいて設定されることを特徴とする美術品売買仲介支援システム。
【請求項4】
請求項2において、
前記取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて、オークションにおける前記美術品の最低落札価格又は平均落札価格を算出する落札価格算出手段を備え、
前記安全金額は、前記落札価格算出手段で算出した最低落札金額又は平均落札価格に基づいて設定されることを特徴とする美術品売買仲介支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オークションを介した美術品の売買の仲介を支援する美術品売買仲介支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オークションを介した商品の売買の仲介を支援するシステムとして、例えば、特許文献1の売買の仲介システムがある。かかる仲介システムにおいて、代行店は、車を売り手から預かる際に最初にどこの買取店よりも高い金額を保証金額として売り手に支払う。そして、初期価格から価格を競り下げていくダウンオークション形式(競り下げ形式)にて車をオークションにかけ、その後買い手との間で売買が成立すると、実際に販売された価格と保証金額との差額から必要経費を差し引いた額(アップ分)を追加分として売り手に支払うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術にあっては、不特定物(例えば量産品)であり買い取り価格の比較的決めやすい中古車の売買の仲介には適しているが、特定物であり査定価格の決めにくい美術品の売買の仲介には適していない。
すなわち、美術品は、制作者、制作時期、保存状態、取引履歴などの様々な要素を考慮した上で鑑定を行って査定価格を決定すること、世の中にそれしかない一品制作物であることから、不特定物である中古車と異なり、査定価格を容易に決定することができない。また、査定価格が必ずしも買い手のニーズ(相場)と合致するとも限らないので、中古車に比して、売り手に支払金額を保証したいがリスクが大きい。しかし一方で、美術品ごとにそのリスクは異なるので、リスクを一律に見積もることも妥当でない。
【0005】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、売り手への支払金額による仲介業者の金銭的リスクを低減することができる美術品売買仲介支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の美術品売買仲介支援システムは、オークションを介して美術品の売買の仲介を支援する美術品売買仲介支援システムであって、売り手が売却を希望する前記美術品の鑑定結果に基づき算定された当該美術品の査定価格に関する査定価格情報を入力する査定価格情報入力手段と、前記査定価格情報入力手段で入力した査定価格情報に基づいて、オークション実施前に前記売り手に支払う第1支払金額として、前記美術品の査定価格から当該美術品に応じた安全金額を控除した金額を算出する第1支払金額算出手段と、オークションで落札された前記美術品の落札価格に関する落札価格情報を入力する落札価格情報入力手段と、前記査定価格情報入力手段で入力した査定価格情報又は前記第1支払金額算出手段で算出した第1支払金額、及び前記落札価格情報入力手段で入力した落札価格情報に基づいて、オークション実施後に前記売り手に支払う第2支払金額を算出する第2支払金額算出手段とを備える。
【0007】
このような構成であれば、査定価格情報入力手段により、査定価格情報が入力されると、第1支払金額算出手段により、入力された査定価格情報に基づいて、オークション実施前に前記売り手に支払う第1支払金額として、前記美術品の査定価格から当該美術品に応じた安全金額を控除した金額が算出される。また、落札価格情報入力手段により、オークションで落札された前記美術品の落札価格に関する落札価格情報が入力されると、第2支払金額算出手段により、入力された落札価格情報に基づいて、オークション実施後に前記売り手に支払う第2支払金額が算出される。
【0008】
ここで、上記安全金額は、例えば、美術品がオークションで売れ残ったり、査定価格を下回る落札価格で落札されたりした場合に仲介業者に生じるリスク(損失分)を考慮して設定される金額(安全マージン)である。例えば、人気があって且つ状態の良い美術品は、オークションにて落札されやすく且つ比較的高額な落札価格で落札されるため売却リスクが小さい。一方、人気が無くて且つ状態の悪い美術品は、オークションで売れ残ったり比較的低額で落札されたりと売却リスクが大きい。したがって、安全金額は、例えば売却リスクの大きさに応じて、リスクが小さいほど低額に設定され、リスクが大きいほど高額に設定される。
【0009】
また、本システムは、単一の装置、端末その他の機器として実現するようにしてもよいし、複数の装置、端末その他の機器を通信可能に接続したネットワークシステムとして実現するようにしてもよい。後者の場合、各構成要素は、それぞれ通信可能に接続されていれば、複数の機器等のうちいずれに属していてもよい。
〔発明2〕 さらに、発明2の美術品売買仲介支援システムは、発明1の美術品売買仲介支援システムにおいて、前記美術品に関する美術品情報を入力する美術品情報入力手段と、オークションを介した美術品の取引履歴情報を、当該美術品に関する美術品情報と対応づけて記憶する取引履歴情報記憶手段から、前記美術品情報入力手段で入力した美術品情報に係る美術品と同一の又は所定関係を有する美術品に係る前記取引履歴情報を取得する取引履歴情報取得手段とを備え、前記安全金額は、前記取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて設定される。
【0010】
このような構成であれば、美術品情報入力手段により、美術品に関する美術品情報が入力され、取引履歴情報取得手段により、取引履歴情報記憶手段から、前記美術品情報入力手段で入力した美術品情報に係る美術品と同一の又は所定関係を有する美術品に係る前記取引履歴情報が取得されると、取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて安全金額が設定される。
ここで、取引履歴情報記憶手段は、取引履歴情報をあらゆる手段で且つあらゆる時期に記憶するものであり、取引履歴情報を予め記憶してあるものであってもよいし、取引履歴情報を予め記憶することなく、本システムの動作時に外部からの入力等によって取引履歴情報を記憶するようになっていてもよい。
【0011】
また、取引履歴情報を美術品情報と対応づけて記憶することとしては、例えば、(1)取引履歴情報及び美術品情報を同一のレコードに登録するなど直接対応づけて記憶すること、(2)取引履歴情報及び中間情報を対応づけて登録するテーブルと、美術品情報及び中間情報を対応づけて登録するテーブルを設けるなど、中間に1又は複数の情報を介して記憶することが含まれる。すなわち、美術品情報から取引履歴情報を辿ることができる態様であれば、あらゆるデータ構造を採用することができる。
【0012】
〔発明3〕 さらに、発明3の美術品売買仲介支援システムは、発明2の美術品売買仲介支援システムにおいて、前記取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて、オークションにおける前記美術品の成約率を算出する成約率算出手段を備え、前記安全金額は、前記成約率算出手段で算出した成約率に基づいて設定される。
このような構成であれば、成約率算出手段により、取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて、オークションにおける前記美術品の成約率が算出されると、前記成約率算出手段で算出した成約率に基づいて安全金額が設定される。
【0013】
〔発明4〕 さらに、発明4の美術品売買仲介支援システムは、発明2の美術品売買仲介支援システムにおいて、前記取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて、オークションにおける前記美術品の最低落札価格又は平均落札価格を算出する落札価格算出手段を備え、前記安全金額は、前記落札価格算出手段で算出した最低落札金額又は平均落札価格に基づいて設定される。
このような構成であれば、落札価格算出手段により、取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて、オークションにおける前記美術品の最低落札価格又は平均落札価格が算出されると、落札価格算出手段で算出した最低落札金額又は平均落札価格に基づいて安全金額が設定される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、発明1の美術品売買仲介支援システムによれば、オークションの実施前に売り手に支払う第1支払金額として査定価格から美術品に応じた安全金額を控除した額を算出するようにしたので、美術品が落札されなかったり、落札価格が査定価格を下回ったりした場合の仲介業者の金銭的リスクを低減することができる。
さらに、発明2の美術品売買仲介支援システムによれば、売り手が売却を希望する美術品に係るオークションを介した美術品の取引履歴情報に基づいて安全金額を設定するようにした。これにより、取引履歴情報に基づいて、例えば、売り手の美術品の売却し易さや落札価格の状況等に応じた安全金額を設定することができるので、仲介業者の金銭的リスクの発生をより低減することができる。
【0015】
さらに、発明3の美術品売買仲介支援システムによれば、売り手が売却を希望する美術品に係る美術品の過去のオークションでの取引成約率に基づいて安全金額を設定するようにしたので、例えば、売り手の美術品の売れ残り等による仲介業者の金銭的リスクの発生を低減することができる。
さらに、発明4の美術品売買仲介支援システムによれば、売り手が売却を希望する美術品に係る美術品の過去のオークションでの最低落札価格又は平均落札価格に基づいて安全金額を設定するようにしたので、例えば、売り手の美術品の落札価格が査定価格を下回るような場合等の美術品の落札価格による仲介業者の金銭的リスクの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施の形態に係る美術品売買仲介支援装置100のハードウェア構成を示す図である。
【
図2】(a)~(e)は、売り手管理テーブル400、美術品管理テーブル410、オークション情報テーブル420、オークション履歴情報テーブル430及び買い手管理テーブル440のデータ構造を示す図である。
【
図3】第1支払金額算出処理を示すフローチャートである。
【
図4】第1支払金額計算画面500の一例を示す図である。
【
図5】割合情報生成処理を示すフローチャートである。
【
図6】第2支払金額算出処理を示すフローチャートである。
【
図7】第2支払金額計算画面600の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔構成〕
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至
図7は、本実施の形態を示す図である。
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図1は、美術品売買仲介支援装置100のハードウェア構成を示す図である。
美術品売買仲介支援装置100は、
図1に示すように、制御プログラムに基づいて演算及びシステム全体を制御するCPU(Central Processing Unit)30と、所定領域に予めCPU30の制御プログラム等を格納しているROM(Read Only Memory)32と、ROM32等から読み出したデータやCPU30の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM(Random Access Memory)34と、外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F(InterFace)38とで構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバス39で相互に且つデータ授受可能に接続されている。
【0018】
I/F38には、外部装置として、ヒューマンインターフェースとしてデータの入力が可能なキーボードやマウス等からなる入力装置40と、データやテーブル等をファイルとして格納する記憶装置42と、画像信号に基づいて画面を表示する表示装置44とが接続されている。
美術品売買仲介支援装置100は、売り手の美術品のオークションを介した売買を仲介する仲介会社の店舗又は仲介業者ごとに設置される装置である。仲介業者は、売り手から預かった美術品を、自社の開催するオークション又は他社が開催するオークションに出品して買い手に販売するようになっている。その際に、オークションの実施前に査定価格から安全金額を控除した金額を第1支払金額として売り手に支払うようになっている。また、オークションの終了後に美術品が査定価格より高い落札価格で落札された場合は、落札価格から諸経費を差し引いた残りの金額からさらに査定価格又は第1支払金額を差し引いた金額を第2支払金額として売り手に支払うようになっている。なお、諸経費としては、例えば、オークションを介した売買に係る手数料(例えば、落札価格の33%~38.5%)、美術品の鑑定費用、美術品の運搬費用及び保管費用、カタログ掲載費用等がある。
【0019】
すなわち、美術品売買仲介支援装置100は、売り手に支払う第1支払金額及び第2支払金額の算出を支援する装置である。
次に、記憶装置42のデータ構造を説明する。
図2(a)~(e)は、売り手管理テーブル400、美術品管理テーブル410、オークション情報テーブル420、オークション履歴情報テーブル430及び買い手管理テーブル440のデータ構造を示す図である。
記憶装置42には、
図2(a)~(e)に示すように、仲介業者に美術品の売却を依頼した売り手の情報を登録する売り手管理テーブル400と、売り手から預かった美術品の情報を登録する美術品管理テーブル410と、オークションの情報を登録するオークション情報テーブル420と、オークションの取引履歴情報を登録するオークション履歴情報テーブル430と、美術品を落札した買い手の情報を登録する買い手管理テーブル440とが記憶されている。
【0020】
売り手管理テーブル400には、
図2(a)に示すように、売り手IDごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、売り手ID、メールアドレス、住所、氏名、電話番号、口座情報、作成日、更新日、その他の情報からなる主要情報が登録されている。
ここで、売り手IDは、美術品の売り手を識別するための情報であり、例えば、売り手ごとに固有の番号(例えば数字のみ、文字や数字の組み合わせ)などから構成される。なお、固有の番号については、以下の他のID情報についても同様となる。
【0021】
美術品管理テーブル410には、
図2(b)に示すように、美術品種別ID、美術品ID及び売り手IDの組合せごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、美術品種別ID、美術品ID、売り手ID、美術品名、制作者名、サイズ、作成数、作成年、作成場所、状態、修復、来歴、展覧会歴、査定金額、第1支払金額、諸経費情報、出品オークションID、出品日付、落札価格、買い手ID、第2支払金額、不落札情報、作成日、更新日、その他の情報からなる主要情報が登録されている。
【0022】
ここで、美術品種別IDは、例えば、絵画、掛け軸、屏風、彫刻、石像、銅像、アンティークジュエリー、焼き物、壺、花瓶、茶碗、ガラス工芸品等の美術品の種別を識別するための情報である。なお、美術品種別IDとしては、焼き物、壺、骨董品などの1つの美術品の有する複数の種別の全てに対して1つのIDを設定してもよいし、種別ごとに複数のIDを設定してもよい。また、美術品IDは、美術品を識別するための情報である。
また、第1支払金額は、売り手の美術品をオークションにかける前に売り手へと先行して支払う金額であり、査定価格から安全金額を控除した金額である。すなわち、売り手から依頼のあった美術品が査定価格以上の落札価格で落札されるとは限らないため金銭的リスクを考慮した金額となる。例えば、査定価格の所定割合(例えば、50%~80%)の金額とする。また、第2支払金額は、オークションの実施後に落札価格から諸経費を差し引いた金額が査定価格よりも高い場合に売り手へと支払う金額である。なお、落札価格から諸経費を差し引いた金額が査定価格よりも低い場合でも第1支払金額の払い戻し(返金)はないようになっている。すなわち、第1支払金額は、売り手に対する最低保証金額となる。
【0023】
オークション情報テーブル420には、
図2(c)に示すように、オークションIDごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、オークションID、オークション主催者、オークション名、オークション開催日、オークション形態、オークション形式、出品手数料、落札手数料、諸経費情報、その他の情報を含む主要情報が登録されている。
ここで、オークションIDは、オークション主催者によって開催されるオークションを識別するための情報である。また、オークション形態は、例えば、ネット上で行われるネットオークション、オークション会場にて行われるライブオークションなどのオークションの形態を示す情報である。また、オークション形式は、競り上げ形式、競り下げ形式、封印形式等のオークションの形式を示す情報である。
【0024】
オークション履歴情報テーブル430には、
図2(d)に示すように、オークションIDごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、オークションID、オークション開催日、出品美術品情報、落札美術品情報、売れ残り美術品情報、その他の情報を含む主要情報が登録されている。
出品美術品情報は、オークションに出品された美術品の情報であり、例えば、各美術品の種別、各美術品名、各美術品の制作者等の美術品管理テーブル410の美術品に関する情報と同等の情報が含まれる。また、落札美術品情報は、オークションで落札された(取引が成約した)美術品の情報であり、例えば、各落札美術品の種別、各落札美術品名、各落札美術品の落札価格などの情報が含まれる。また、売れ残り美術品情報は、オークションで落札されなかった美術品の情報であり、例えば、各不落札美術品の種別、各不落札美術品名、各不落札美術品の開始価格などの情報が含まれる。
【0025】
買い手管理テーブル440には、
図2(e)に示すように、買い手IDごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、買い手ID、購入美術品種別ID、購入美術品ID、参加オークションID、オークション履歴情報、収集情報、希望美術品情報、その他の情報を含む主要情報が登録されている。
買い手IDは、美術品の買い手を識別するための情報である。また、購入美術品種別IDは、買い手が購入した美術品の美術品種別IDであり、購入美術品IDは、買い手が購入した美術品の美術品IDである。また、参加オークションIDは、買い手が参加したオークションのオークションIDであり、オークション履歴情報は、買い手が参加したことのあるオークションの取引履歴情報であり、参加したオークションの情報、落札した美術品の情報、落札価格の情報などを含む。また、収集情報は、例えば、絵画、陶磁器などの買い手の収集している美術品の情報であり、希望美術品情報は、買い手が現在求めている美術品(購入希望の美術品)の情報である。
【0026】
〔動作〕
次に、本実施の形態の動作を説明する。
〔第1支払金額算出処理〕
次に、売り手から預かった美術品の査定(鑑定)後で且つオークションの実施前に売り手へと支払う第1支払金額を算出する場合の美術品売買仲介支援装置100の動作について説明する。
ここで、第1支払金額は、即金でお金を得たい売り手のことを考慮した支払金額であり、仲介業者の都合で後から金額を下げたり、落札価格が低かったからといって売り手に対して返金を要求したりすることがない金額である。すなわち、売り手に対する最低保証金額となる。
図3は、第1支払金額算出処理を示すフローチャートである。また、
図4は、第1支払金額計算画面500の一例を示す図である。
【0027】
CPU30は、ROM32の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、
図3のフローチャートに示す第1支払金額算出処理を実行する。
第1支払金額算出処理は、CPU30において実行されると、
図3に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、表示装置44に、
図4に示す第1支払金額計算画面500を表示して、ステップS102に移行する。
ステップS102では、入力装置40を介して第1支払金額計算画面500の売り手情報の入力欄に売り手番号(売り手ID)が入力されると、ステップS104に移行する。
【0028】
これにより、売り手番号に対応する売り手の氏名が売り手管理テーブル400から取得され、第1支払金額計算画面500の氏名の欄に売り手番号に対応する売り手の氏名が表示される。加えて、売り手番号の入力に応じて、美術品管理テーブル410から売り手番号に対応する売り手の美術品の情報が読み出され、第1支払金額計算画面500の美術品情報の入力欄の右端にドロップダウンボタンが表示される。
ステップS104では、入力装置40を介したドロップダウンボタンの押下によって美術品情報の入力が要求されると、美術品の選択候補のドロップダウンリストが第1支払金額計算画面500内に表示される(図示略)。そして、入力装置40を介して表示された選択候補から第1支払金額の算出対象の美術品情報が選択されると、選択された美術品情報が入力される。その後、ステップS106に移行する。これにより、美術品情報の入力欄には、選択された美術品の情報が表示される。
図4の例では、「○○焼の特大皿」が表示される。
【0029】
ステップS106では、入力装置40を介して第1支払金額計算画面500のオークション情報の入力欄に美術品を出品するオークションの情報が入力されると、ステップS108に移行する。ここでも、入力装置40を介したドロップダウンボタンの押下によって出品可能なオークションの選択候補のリストが表示され、この選択候補のなかから任意のオークションを選択することで出品するオークションの情報が入力される。これにより、オークション情報の入力欄には、選択されたオークションの情報が表示される。
図4の例では、「オークションA(自社主催)」が表示される。すなわち、オークションAは、仲介会社の主催するオークションを示している。
【0030】
ステップS108では、入力装置40を介して第1支払金額計算画面500の査定価格の入力欄に査定価格が入力されると、ステップS110に移行する。これにより、査定価格の入力欄には、入力された査定価格の情報が表示される。
図4の例では、「¥1,234,567」が表示される。
ステップS110では、ステップS102~S108の入力情報に基づいて、割合情報生成処理が実行され、ステップS112に移行する。これにより、割合情報が生成される。ここで、割合情報は、安全金額を決定するための情報であるとともに、査定価格の所定割合を第1支払金額として算出するための情報である。例えば、「80%」、「0.8」、「4/5」等の数値情報などが該当する。この場合は、査定価格の「20%」が安全金額として決定される。
【0031】
ステップS112では、割合情報に基づいて第1支払金額を算出して、ステップS114に移行する。
例えば、割合情報が80%の場合は、査定価格に0.8を乗算した金額が第1支払金額として算出される。この場合、査定価格の20%の金額が安全金額となり、査定価格から安全金額を控除した査定価格の80%の金額が第1支払金額となる。
ステップS114では、ステップS112で算出した第1支払金額を第1支払金額計算画面500の第1支払金額の表示欄に表示して、ステップS116に移行する。
図4の例では、割合情報が「70%」である例を示しており、「¥864,196」が表示される。
【0032】
ステップS116では、割合情報、出品するオークションの情報(オークションID)、第1支払金額の情報を含む各種情報を、美術品管理テーブル410の該当するレコードに登録して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
〔割合情報生成処理〕
次に、
図5に基づいて、上記ステップS110の割合情報生成処理の処理手順を説明する。
図5は、割合情報生成処理を示すフローチャートである。
割合情報生成処理は、ステップS110において実行されると、
図5に示すように、まず、ステップS200に移行する。
【0033】
ステップS200では、入力された美術品情報に基づいて、オークション履歴情報テーブル430から、第1支払金額計算画面500のオークション情報入力欄に入力されたオークションに対応し、且つ美術品情報入力欄に入力された美術品情報の美術品に対応する最新から過去所定期間まで(例えば過去3年間分)の取引履歴情報を取得する。その後、ステップS202に移行する。
具体的に、オークション履歴情報テーブル430から、入力されたオークション情報に対応するオークションの、入力された美術品情報の美術品と一致又はこの美術品と所定関係を有する美術品の取引に関する取引履歴情報を取得する。ここで、所定関係を有する美術品とは、例えば、入力された美術品情報の美術品の美術品種別、制作者、製作場所等と一致する美術品種別、制作者、製作場所等の美術品が該当する。
【0034】
例えば、出品するオークションが20年前から毎年開催されている場合に、このオークションの現在から過去3年間の美術品の出品数、落札数、不落札数、落札価格の情報等を取得する。なお、過去3年間に限らず、美術品の種別等に応じて過去2年間以下又は過去4年間以上などとしてもよい。例えば、時代によって値崩れの大きい美術品は所定期間を比較的短くし、値崩れの小さい美術品は所定期間を比較的長くする。または、出品数が極めて少ない希少な美術品なども所定期間を比較的長くする。
【0035】
ステップS202では、ステップS200で取得した取引履歴情報に基づいて、統計情報を算出して、ステップS204に移行する。
例えば、入力された美術品情報の美術品と同一の美術品の取引履歴が複数存在する場合は、この美術品の落札数(成約数)及び不落札数(不成約数)等から取引の成約率を算出し、また落札価格から平均落札価格又は最低落札価格を算出する。また、入力された美術品情報の美術品について、取引履歴が複数存在しない場合は、この美術品と同じ美術品種別、同じ制作者、同じ製造場所等の所定関係を有する美術品の落札数及び不落札数等から美術品種別、制作者、製造場所等ごとの取引成約率を算出し、また落札価格から美術品種別、制作者、製造場所等ごとの平均落札価格又は最低落札価格を算出する。なお、例えば、エディション番号の異なる同じ原版の複数の作品がある版画などの複数の同じ作品がある美術品の場合でも、この美術品と同じ美術品種別、同じ制作者、同じ製造場所等の美術品の取引履歴情報を取得し、それぞれの統計情報を算出してもよい。また、例えば、他に同一の美術品が無い一品もので出品歴が少ない美術品の場合などは、統計値の信頼性が低くなるためこの美術品と所定関係を有する美術品の取引履歴情報を追加で又は代わりに用いてもよい。
【0036】
ステップS204では、ステップS202で算出した統計情報に基づいて、割合設定用情報を生成して、ステップS206に移行する。
ここで、割合設定用情報は、例えば、ステップS202で算出した統計情報から算出した評価値の情報などが該当する。例えば、取引成約率が60%以下の場合は「1」、61%~70%の範囲の場合は「2」、71%~80%の範囲の場合は「3」、81%~90%の範囲の場合は「4」、91%~100%の範囲の場合は「5」といったように、各統計値に対してスコアを設定する。また、統計値そのものだけでなく、例えば、平均落札価格又は最低落札価格から査定価格を減算した金額が、5千円未満の場合は「1」、5千円以上1万円未満の場合は「2」、1万円以上2万円未満の場合は「3」、2万円以上5万円未満の場合は「4」、5万円以上の場合は「5」といったスコアを設定する。なお、この価格範囲は、美術品の種別等に応じて変更してもよい。そして、これらスコアの合計値を評価値として算出する。
【0037】
ステップS206では、ステップS204で生成した割合設定用情報に基づいて割合情報を算出し、算出した割合情報を第1支払金額の計算に用いる割合情報に設定して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
例えば、評価値の最大値が「10」の場合に、査定価格の80%を第1支払金額の最大金額として、評価値が「10」なら80%、「9」なら78%、「8」なら75%、「7」なら70%、「6」なら65%、「5」なら60%を割合情報として設定する。なお、評価値「4」以下は、さらに割合を下げてもよいし、リスクが高いので例えば売り手との取引を不成立としてもよい。
【0038】
なお、算出した各統計情報、各統計情報のスコア、割合設定用情報及び割合情報は、美術品管理テーブル410の該当するレコードに登録するようにしてもよい。
また、出品可能な全てのオークションのオークションごとの各統計情報、各統計情報のスコア、割合設定用情報及び割合情報を算出して、これらの情報を一覧表として表示できるようにしてもよい。その際に、全オークションの各統計情報の平均値、各統計情報のスコアの平均値、割合設定用情報(評価値)の平均値及び割合情報の平均値を算出し、その算出結果も表示するようにしてもよい。この一覧表を売り手に見せながら第1支払金額の算出理由について数値的に説明することで売り手の理解を得られやすくすることができる。すなわち、売り手側が納得する第1支払金額を設定しやすくすることができる。
【0039】
〔第2支払金額算出処理〕
次に、オークションの実施後に売り手に支払う第2支払金額を算出する場合の美術品売買仲介支援装置100の動作について説明する。
図6は、第2支払金額算出処理を示すフローチャートである。また、
図7は、第2支払金額計算画面600の一例を示す図である。
CPU30は、ROM32の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、
図6のフローチャートに示す第2支払金額算出処理を実行する。
【0040】
第2支払金額算出処理は、CPU30において実行されると、
図6に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ステップS300では、表示装置44に、
図7に示す第2支払金額計算画面600を表示して、ステップS302に移行する。
ステップS302では、入力装置40を介して第2支払金額計算画面600の売り手情報の入力欄に売り手番号(売り手ID)が入力されると、ステップS304に移行する。
これにより、第1支払金額計算画面500のときと同様に、売り手番号に対応する売り手の氏名が第2支払金額計算画面600の氏名の欄に表示される。同様に、第2支払金額計算画面600の美術品情報の入力欄の右端にドロップダウンボタンが表示される。
【0041】
ステップS304では、入力装置40を介したドロップダウンボタンの押下によって美術品情報の入力が要求されると、美術品の選択候補が第2支払金額計算画面600内に表示される(図示略)。そして、入力装置40を介して表示された選択候補から第2支払金額の算出対象の美術品情報が選択されると、選択された美術品情報が入力される。その後、ステップS306に移行する。
これにより、美術品情報の入力欄には、選択された美術品の情報が表示される。加えて、入力された美術品情報の美術品を出品したオークションの情報が美術品管理テーブル410から読み出されオークション情報の入力欄に自動で表示される。
図7の例では、「○○焼の特大皿」及び「オークションA(自社主催)」がそれぞれ表示されている。
【0042】
ステップS306では、入力装置40を介して第2支払金額計算画面600の落札価格の入力欄に落札価格が入力されると、ステップS308に移行する。これにより、落札価格の入力欄には、入力された落札価格が表示される。
図7の例では、落札価格として「¥1,750,000」が表示されている。
ステップS308では、入力装置40を介して第2支払金額計算画面600の諸経費の入力欄に諸経費が入力されると、ステップS310に移行する。これにより、諸経費の入力欄には、入力された諸経費が表示される。
図7の例では、諸経費として、落札価格の38.5%と、その他の費用2万円とを加算した額である「¥693,750」が表示されている。なお、売り手及び美術品の組合せごとの諸経費の情報を登録するテーブルを記憶装置42に記憶するとともに、このテーブルに事前に諸経費の情報を登録しておき、美術品情報の入力に応じて、このテーブルから諸経費の情報を読み出して、諸経費の入力欄に自動で入力する構成としてもよい。
【0043】
ステップS310では、美術品管理テーブル410から美術品情報入力欄に入力された美術品情報に対応する美術品の査定価格を取得して、ステップS312に移行する。
ステップS312では、ステップS306で入力された落札価格、ステップS308で入力された諸経費及びステップS310で取得した査定価格に基づいて、第2支払金額を算出して、ステップS314に移行する。
具体的に、落札価格から諸経費を減算し、この減算結果から査定価格を減算して第2支払金額を算出する。この算出結果がマイナスとなる場合は、第2支払金額を「¥0」とする。なお、ステップS310にて、査定価格に代えて第1支払金額を取得し、落札価格から諸経費を減算し、この減算結果から第1支払金額を減算して第2支払金額を算出する構成としてもよい。
【0044】
ステップS314では、ステップS312で算出した第2支払金額を第2支払金額計算画面600の第2支払金額の表示欄に表示して、ステップS316に移行する。これにより、第2支払金額の表示欄には、算出した第2支払金額が表示される。
図7の例では、第2支払金額として「¥192,054」が表示されている。なお、第2支払金額がマイナスの値となる場合は、第2支払金額の表示欄には「¥0」が表示される。
ステップS316では、落札価格、第2支払金額の情報を含む各種情報を、美術品管理テーブル410に登録して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
【0045】
〔実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、第1支払金額計算画面500を介して、売り手が売却を希望する美術品の情報を入力し、この美術品を出品するオークションの情報を入力し、この美術品の鑑定結果に基づき算定された美術品の査定価格を入力することで、これらの情報に基づいて、オークション実施前に売り手に支払う第1支払金額として、美術品の査定価格からこの美術品に応じた安全金額を控除した金額を算出するようにした。加えて、第2支払金額計算画面600を介して、売り手が売却を希望する美術品の情報を入力し、オークションで落札された美術品の落札価格を入力し、諸経費の情報を入力することで、査定価格又は第1支払金額、落札価格及び諸経費に基づいて、オークション実施後に売り手に支払う第2支払金額を算出するようにした。
【0046】
このような構成であれば、例えば、美術品が落札されなかったり、落札価格が査定価格を下回ったりした場合の仲介業者の金銭的リスクを低減することができる。
さらに、本実施の形態では、記憶装置42に、オークションを介した美術品の取引履歴情報を、この美術品に関する美術品情報と対応づけて登録したオークション履歴情報テーブル430を記憶し、オークション履歴情報テーブル430から入力された美術品の情報に係る美術品と同一の又は所定関係を有する美術品に係る取引履歴情報を取得し、取得した取引履歴情報に基づいて割合情報を設定し、この割合情報に基づいて安全金額を設定するようにした。
【0047】
このような構成であれば、例えば、売り手の美術品の売却し易さや落札価格の状況等に応じた安全金額を設定することができるので、仲介業者の金銭的リスクの発生をより低減することができる。
さらに、本実施の形態では、上記取得した取引履歴情報に基づいて、オークションにおける美術品の取引成約率を算出し、算出した取引成約率に基づいて割合情報を設定し、この割合情報に基づいて安全金額を設定するようにした。
このような構成であれば、例えば、売り手の美術品の売れ残り等による仲介業者の金銭的リスクの発生を低減することができる。
【0048】
さらに、本実施の形態では、上記取得した取引履歴情報に基づいて、オークションにおける美術品の最低落札価格又は平均落札価格を算出し、算出した最低落札金額又は平均落札価格に基づいて割合情報を設定し、この割合情報に基づいて安全金額を設定するようにした。
このような構成であれば、例えば、売り手の美術品の落札価格が査定価格を下回るような場合等の美術品の落札価格による仲介業者の金銭的リスクの発生を低減することができる。
【0049】
〔対応関係〕
本実施の形態において、ステップS104及びS304は、発明3乃至5の美術品情報入力手段に対応し、ステップS108は、発明1乃至3の査定情報入力手段に対応し、ステップS110~S112は、発明1乃至の第1支払情報算出手段に対応し、記憶装置42は、発明3の取引履歴情報記憶手段に対応している。
ている。
また、本実施の形態において、ステップS306は、発明2の落札情報入力手段に対応し、ステップS308は、発明2の諸経費情報入力手段に対応し、ステップS312は、発明2の第2支払情報算出手段に対応している。
【0050】
〔変形例〕
なお、上記実施の形態においては、第1支払金額計算画面500のオークション情報の入力欄に、選択候補リストのなかから出品するオークションの情報を選択入力し、このオークションについて取引履歴情報を取得し、取得した取引履歴情報に基づいて割合情報を算出し、算出した割合情報に基づいて第1支払金額を算出する構成とした。この構成に限らず、例えば、出品可能な全てのオークションのオークションごとの各統計情報、各統計情報のスコア、割合設定用情報(評価値)及び割合情報を算出し、出品可能な複数のオークションの中から評価値の最も高いオークションを自動で選択し、選択したオークションに対応する割合情報に基づいて第1支払金額を算出する構成としてもよい。
【0051】
または、自動で選択するのではなく、評価値の高い順に上位所定順位(例えば3位)までをレコメンドする構成としてもよい。仲介業者は、例えば、レコメンドされたオークションのなかから、自社にとって許容できる金銭的リスクの範囲で且つそのなかで第1支払金額が最高額となる可能性のあるオークションを選択する。
すなわち、査定価格の○○%を第1支払金額として算出するが、第1支払金額が落札価格を上回ると、運営者に損が発生する。一方だからといって%を小さくすると、売り手のメリットが少なくなる。そこで、リスクを抑えつつ過去の取引履歴に基づいて%が最も高くなるように調整する。
【0052】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、美術品を出品するオークションを仲介業者が選択する構成を説明したが、この構成に限らず、例えば、出品するオークションを売り手が選択できる構成としてもよい。その際に、売り手は各オークションについて特徴等を詳しくは知らないので、出品可能な各オークションの各統計情報のスコア値、割合設定用情報(評価値)及び割合情報の一覧を表示して、売り手にその一覧表を提示するようにしてもよい。または、売り手が条件(割合が○○%以上、評価値が○○点以上等)を入力することで、その条件に合致したオークションを検索して表示できるようにしてもよい。これにより、美術品を出品するオークションを売り手が選択できるので、その結果の第1支払金額について売り手の納得を得られやすくすることができる。
【0053】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、オークションの取引履歴情報に基づいて第1支払金額を算出する構成としたが、この構成に限らない。オークション履歴情報に加えて又は代えて、例えば、買い手管理テーブル440の自社主催のオークションに参加する買い手の収集情報、希望美術品情報等に基づいて、割合設定用情報(評価値)及び割合情報を生成する構成としてもよい。これにより、例えば、出品する美術品が登録された買い手の収集している美術品又は現在欲している美術品であり同様の買い手が複数人いる場合に、成約率が上がる可能性が高く且つ落札価格が上がる可能性が高いので、第1支払金額を比較的高い金額に設定することができる。
また、上記実施の形態及びその変形例においては、単一の装置である美術品売買仲介支援装置100として実現したが、これに限らず、ネットワークシステムとして実現することもできる。インターネット等のネットワークには、支払金額算出サーバと、複数のユーザ端末とが接続されている。支払金額算出サーバは、美術品売買仲介支援装置100と同等の機能を有して構成されている。異なるのは、入力装置40による入力に代えてユーザ端末から情報を受信する点と、表示装置44による表示に代えてユーザ端末に情報を送信する点である。
【0054】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、美術品売買仲介支援装置100が備える記憶装置42を利用するように構成したが、これに限らず、データベースサーバ等の外部の記憶装置を利用するように構成することもできる。
また、上記実施の形態及びその変形例において、
図4及び
図6のフローチャートに示す処理を実行するにあたってはいずれも、ROMに予め格納されているプログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAMに読み込んで実行するようにしてもよい。
また、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。例えば、美術品に限らず、楽器、着物、古書、切手、古銭、玩具、スポーツ用品などの美術品以外のジャンルにおいて、オークションを介した売買を仲介することを支援する場合について本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
100…美術品売買仲介支援装置、 30…CPU、 32…ROM、 34…RAM、 38…I/F、 39…バス、 40…入力装置、 42…記憶装置、 44…表示装置、 400…売り手管理テーブル、 410…美術品管理テーブル、 420…オークション情報テーブル、 430…オークション履歴情報テーブル、 440…買い手管理テーブル、 500…第1支払金額計算画面、 600…第2支払金額計算画面
【手続補正書】
【提出日】2023-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オークションを介して美術品の売買の仲介を支援する美術品売買仲介支援システムであ
って、
売り手が売却を希望する前記美術品の鑑定結果に基づき算定された当該美術品の査定価
格に関する査定価格情報を入力する査定価格情報入力手段と、
前記査定価格情報入力手段で入力した査定価格情報に基づいて、オークション実施前に
前記売り手に支払う第1支払金額として、前記美術品の査定価格から当該美術品に応じた
安全金額を控除した金額を算出する第1支払金額算出手段と、
オークションで落札された前記美術品の落札価格に関する落札価格情報を入力する落札
価格情報入力手段と、
前記査定価格情報入力手段で入力した査定価格情報又は前記第1支払金額算出手段で算
出した第1支払金額、及び前記落札価格情報入力手段で入力した落札価格情報に基づいて
、オークション実施後に前記売り手に支払う第2支払金額を算出する第2支払金額算出手
段とを備えることを特徴とする美術品売買仲介支援システム。
【請求項2】
オークションを介して美術品の売買の仲介を支援する美術品売買仲介支援システムであって、
売り手が売却を希望する前記美術品の鑑定結果に基づき算定された当該美術品の査定価格に関する査定価格情報を入力する査定価格情報入力手段と、
前記査定価格情報入力手段で入力した査定価格情報及び前記美術品に応じた割合情報に基づいて、オークション実施前に前記売り手に支払う第1支払金額として、当該美術品の査定価格から当該美術品に応じた安全金額を控除した金額を算出する第1支払金額算出手段と、
オークションで落札された前記美術品の落札価格に関する落札価格情報を入力する落札価格情報入力手段と、
前記査定価格情報入力手段で入力した査定価格情報又は前記第1支払金額算出手段で算出した第1支払金額、及び前記落札価格情報入力手段で入力した落札価格情報に基づいて、オークション実施後に前記売り手に支払う第2支払金額を算出する第2支払金額算出手段とを備えることを特徴とする美術品売買仲介支援システム。
【請求項3】
オークションを介して美術品の売買の仲介を支援する美術品売買仲介支援システムであ
って、
売り手が売却を希望する前記美術品の鑑定結果に基づき算定された当該美術品の査定価
格に関する査定価格情報を入力する査定価格情報入力手段と、
前記査定価格情報入力手段で入力した査定価格情報に基づいて、オークション実施前に
前記売り手に支払う第1支払金額として、前記美術品の査定価格から当該美術品に応じた
安全金額を控除した金額を算出する第1支払金額算出手段と、
オークションで落札された前記美術品の落札価格に関する落札価格情報を入力する落札
価格情報入力手段と、
前記査定価格情報入力手段で入力した査定価格情報又は前記第1支払金額算出手段で算
出した第1支払金額、及び前記落札価格情報入力手段で入力した落札価格情報に基づいて
、オークション実施後に前記売り手に支払う第2支払金額を算出する第2支払金額算出手
段と、
前記美術品に関する美術品情報を入力する美術品情報入力手段と、
オークションを介した美術品の取引履歴情報を、当該美術品に関する美術品情報と対応づけて記憶する取引履歴情報記憶手段から、前記美術品情報入力手段で入力した美術品情報に係る美術品と同一の又は所定関係を有する美術品に係る前記取引履歴情報を取得する取引履歴情報取得手段とを備え、
前記安全金額は、前記取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて設定されることを特徴とする美術品売買仲介支援システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて、オークションにおける前記美術品の成約率を算出する成約率算出手段を備え、
前記安全金額は、前記成約率算出手段で算出した成約率に基づいて設定されることを特徴とする美術品売買仲介支援システム。
【請求項5】
請求項3において、
前記取引履歴情報取得手段で取得した取引履歴情報に基づいて、オークションにおける前記美術品の最低落札価格又は平均落札価格を算出する落札価格算出手段を備え、
前記安全金額は、前記落札価格算出手段で算出した最低落札金額又は平均落札価格に基づいて設定されることを特徴とする美術品売買仲介支援システム。