(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098658
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】板状屋根材
(51)【国際特許分類】
E04D 1/12 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
E04D1/12 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002268
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】512251253
【氏名又は名称】甍エンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和彦
(57)【要約】
【課題】板状屋根材において、屋根材の固定がビス固定の場合、屋根材の下面側に雨水が吹き込んでしまうと屋根材下面の緊結穴から緊結材を伝って雨水が野地板内部に浸入してしまうという課題があった。
【解決手段】本発明の板状屋根材は、ルーフィング上に直接敷設して緊結材のビスで前記屋根下地に固定し、尻側には複数の緊結穴を設け、下面には緊結穴よりも尻側に水上止水部を設け、水上止水部の両端には水抜き部を設け、板状屋根材を敷設した際に流れ方向で下段の前記板状屋根材の尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、水上止水部はルーフィング上面と接地し、水抜き部はルーフィング上面より離隔する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材において、前記板状屋根材の尻側には複数の緊結穴を設け、前記下面には前記緊結穴毎に前記緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、前記板状屋根材を敷設した際に流れ方向で下段の前記板状屋根材の尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、前記水上止水部はルーフィングの上面と接地し、前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔したことを特徴とする板状屋根材。
【請求項2】
前記水抜き部は前記緊結穴毎に前記下面の前記緊結穴の両側に前記緊結穴から離隔した位置で設けたことを特徴とする請求項1記載の板状屋根材。
【請求項3】
前記板状屋根材の前記下面の前記頭側に凹面の緊結材収納空間を設け、所定の働き長さで前記板状屋根材を敷設した際に、前記緊結材収納空間の凹面深さを下段の前記板状屋根材を緊結する緊結材頭部の高さより深くし、下段の前記緊結材の前記緊結材頭部が上段の前記板状屋根材の前記緊結材収納空間に収納されることを特徴とする請求項1記載の板状屋根材。
【請求項4】
前記緊結材の前記ビスはビス頭部の上面形状がフラットもしくはフラットに近似の薄い頭形状であり、前記ビス頭部と軸部の接合部が円錐形状であり、前記緊結穴の緊結穴上面側も円錐形状であり、敷設の際に前記ビスで前記屋根下地に留め付けることで、前記緊結穴上面側の前記円錐形状の上面又は前記板状屋根材の前記上面と前記ビスの前記ビス頭部の下面が密着し、前記水上止水部とルーフィングの前記上面が密着することを特徴とする請求項1記載又は請求項3記載の板状屋根材。
【請求項5】
前記板状屋根材の前記緊結穴の周囲の前記下面は、前記緊結穴の周囲が前記水上止水部と連続した矩形の平面であることを特徴とした請求項1記載又は請求項3記載の板状屋根材。
【請求項6】
前記水上止水部には前記板状屋根材の前記上面と平行な平面部を有し、前記水上止水部には前記水上止水部の前記平面部の尻側端部から前記尻側に向けてルーフィング接地面を設け、前記ルーフィング接地面の傾斜角度は、前記板状屋根材を所定の働き長さで敷設した際に、前記板状屋根材の厚みにより発生する戻り勾配の角度と同一とし、前記ルーフィング接地面は前記ルーフィングの前記上面と面で接地することを特徴とした請求項1記載又は請求項2記載の板状屋根材。
【請求項7】
前記ビスの前記軸部に弾性状で同心円状のパッキンを設け、前記パッキンの外径は前記緊結穴の前記下面の穴径よりも大きく、かつ前記緊結穴の前記上面の穴径及び前記ビス頭部の頭径よりも小さく、前記パッキンの内径は前記ビスの軸部の径とほぼ同じとし、前記緊結穴の前記上面の穴径は前記下面の穴径よりも大きく、前記緊結穴上面側は段状の切り欠きを有し、敷設の際に前記ビスで前記板状屋根材を前記屋根下地に留め付けることで、前記緊結穴上面側と前記パッキンが密着することを特徴とする請求項1記載又は請求項3記載の板状屋根材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材において、前記板状屋根材の尻側には複数の緊結穴を設け、前記下面には前記緊結穴毎に前記緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、前記板状屋根材を敷設した際に流れ方向で下段の前記板状屋根材の尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、前記水上止水部はルーフィングの上面と接地し、前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔したことを特徴としたものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術の特許文献1には、実公平8-6907号の屋根構造がある。この特許文献は、板状の屋根材の天然石からなる屋根板の配設構造に関するものである。
板状の屋根材の天然石からなる屋根板の配設構造として、屋根面に複数載置される屋根板と、断面L字状をなし上面に流水溝を有するジョイント板と、これら屋根板およびジョイント板を屋根面に固定する釘と、両面接着テープと、から構成し、前記屋根板は、水平方向において側端部同士を当接するように配置され、前記ジョイント板は各屋根板同士の前記当接部分の下面にL字状の立上り部分が屋根板の上端と係合するように配設され、前記釘は屋根板の上方両縁部に屋根板およびジョイント板を屋根面に固定するように打ち込まれ、前記両面接着テープは、前記各釘の上面を覆うように、釘に沿って水平に貼着するようにして屋根の水平方向における一列を構成し、この水平方向における一列を、屋根面の下方から上方にかけて、前列の両面接着テープ部分に、屋根板およびジョイント板の下方端が重合するように複数列設ける提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では板状の屋根材の天然石からなる屋根板の配設構造に関するものであり、屋根面に複数載置される屋根板と、断面L字状をなし上面に流水溝を有するジョイント板と、これら屋根板およびジョイント板を屋根面に固定する釘と、両面接着テープと、から構成し、前記屋根板は、水平方向において側端部同士を当接するように配置され、前記ジョイント板は各屋根板同士の前記当接部分の下面にL字状の立上り部分が屋根板の上端と係合するように配設され、前記釘は屋根板の上方両縁部に屋根板およびジョイント板を屋根面に固定するように打ち込まれ、前記両面接着テープは、前記各釘の上面を覆うように、釘に沿って水平に貼着するようにして屋根の水平方向における一列を構成し、この水平方向における一列を、屋根面の下方から上方にかけて、前列の両面接着テープ部分に、屋根板およびジョイント板の下方端が重合するように複数列設けることを特徴とするものである。この構成により、各屋根板間の当接部から侵入する雨水が屋根面に到達することを防止するようにして、屋根板の三枚重ねを不用とすることにより屋根板枚数を減少させるとともに、従来の天然石からなる屋根板の三枚重ね部における厚み不均一を解消し、両面接着テープにより釘目をシールして防水性を向上させる一方、屋根板の亀裂等から生じる屋根板の落下を防止するという効果を発揮する。
【0005】
特許文献1の板状の屋根材の天然石からなる屋根板の配設構造では、屋根板を固定する釘は屋根板の上方両縁部に屋根板およびジョイント板を屋根面に固定するように打ち込まれ、前記両面接着テープは、前記各釘の上面を覆うように、釘に沿って水平に貼着するようにして屋根の水平方向における一列を構成し、この水平方向における一列を、屋根面の下方から上方にかけて、前列の両面接着テープ部分に、屋根板およびジョイント板の下方端が重合するように複数列設けることで、防水性能の向上と屋根材の固定性能の向上を発揮するとあるが、両面接着テープの経年劣化により屋根板上面からの防水性能は低下してくる。
屋根板の上面からの防水性能が低下し、屋根材の裏面側に雨水が吹き込んでしまった際に、吹き込んだ雨水が屋根面の上面に浸入し、屋根材の下面側を軒先側に流れ出し、屋根板を固定する釘の釘穴部から屋根面に打ち込まれている釘を伝って屋根下地内部に雨水が浸入してしまうという課題があった。
また、天然石からなる屋根材は本来耐久性の高い屋根材だが、屋根への取り付けの際に屋根板を釘で留め付け、更に各釘の上面を両面接着テープで上面を覆う配設構造となっているため、屋根材を再利用出来る状態で取り外すことが難しく、再利用できる状態で多くの工数をかけて取り外す手間よりも、新たな屋根材を用意した方がコスト的に安くなるため、屋根材の劣化が進んでいなくても屋根材を廃棄するという事が取られている。
この大量生産、大量消費、大量廃棄の考え方は、特許文献1が発明された時代では当たり前の考え方であったが、その結果、現在は気候変動問題、天然資源の枯渇、大規模な資源採取による生物多様性の破壊など様々な環境問題に発展している。
大量生産、大量消費、大量廃棄といった一方通行型の経済社会活動から、持続可能な形で資源を利用する「循環経済」への移行を実現するために、製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指す屋根材が必要とされている。
【0006】
本発明は、勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材において、前記板状屋根材の尻側には複数の緊結穴を設け、前記下面には前記緊結穴毎に前記緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、前記板状屋根材を敷設した際に流れ方向で下段の前記板状屋根材の尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、前記水上止水部はルーフィングの上面と接地し、前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔したことで、屋根材の下面側に雨水が吹き込んでしまった場合においても、屋根材下面の緊結穴から緊結材であるビスを伝って雨水が野地板内部に浸入しない板状屋根材を提供する。
従来は直接屋根下地に留め付ける屋根材の場合、緊結材をビスにするとルーフィングをビスのネジ部で大きく穴を開けてしまい、屋根材の裏に回った雨水をルーフィングでは防水しきれない技術的な問題があった。
そのため、直接屋根下地に留め付ける屋根材ではビスが使われずに釘が使われていた。
しかし、屋根材を釘で留め付けた場合、屋根材を再利用出来る状態で取り外すことが難しく、再利用できる状態で多くの工数をかけて取り外す手間よりも、新たな屋根材を用意した方がコスト的に安くなるため、屋根材の劣化が進んでいなくても屋根材を廃棄し、新たな需要に対しては新たに屋根材を生産し提供するという事が繰り返され、温室効果ガスの排出による地球温暖化、資源の枯渇、廃棄による環境破壊などの問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明の板状屋根材は、勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材において、前記板状屋根材の尻側には複数の緊結穴を設け、前記下面には前記緊結穴毎に前記緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、前記板状屋根材を敷設した際に流れ方向で下段の前記板状屋根材の尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、前記水上止水部はルーフィングの上面と接地し、前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の板状屋根材において、前記水抜き部は前記緊結穴毎に前記下面の前記緊結穴の両側に前記緊結穴から離隔した位置で設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の板状屋根材において、前記板状屋根材の前記下面の前記頭側に凹面の緊結材収納空間を設け、所定の働き長さで前記板状屋根材を敷設した際に、前記緊結材収納空間の凹面深さを下段の前記板状屋根材を緊結する緊結材頭部の高さより深くし、下段の前記緊結材の前記緊結材頭部が上段の前記板状屋根材の前記緊結材収納空間に収納されることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項1又は請求項3に記載の板状屋根材において、前記緊結材の前記ビスはビス頭部の上面形状がフラットもしくはフラットに近似の薄い頭形状であり、前記ビス頭部と軸部の接合部が円錐形状であり、前記緊結穴の緊結穴上面側も円錐形状であり、敷設の際に前記ビスで前記屋根下地に留め付けることで、前記緊結穴上面側の前記円錐形状の上面又は前記板状屋根材の前記上面と前記ビスの前記ビス頭部の下面が密着し、前記水上止水部とルーフィングの前記上面が密着することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の本発明は、請求項1又は請求項3に記載の板状屋根材において、前記板状屋根材の前記緊結穴の周囲の前記下面は、前記緊結穴の周囲が前記水上止水部と連続した矩形の平面であることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の本発明は、請求項1又は請求項2記載の板状屋根材において、前記水上止水部には前記板状屋根材の前記上面と平行な平面部を有し、前記水上止水部には前記水上止水部の前記平面部の尻側端部から前記尻側に向けてルーフィング接地面を設け、前記ルーフィング接地面の傾斜角度は、前記板状屋根材を所定の働き長さで敷設した際に、前記板状屋根材の厚みにより発生する戻り勾配の角度と同一とし、前記ルーフィング接地面は前記ルーフィングの前記上面と面で接地することを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の本発明は、請求項1又は請求項3に記載の板状屋根材において、前記ビスの前記軸部に弾性状で同心円状のパッキンを設け、前記パッキンの外径は前記緊結穴の前記下面の穴径よりも大きく、かつ前記緊結穴の前記上面の穴径及び前記ビス頭部の頭径よりも小さく、前記パッキンの内径は前記ビスの軸部の径とほぼ同じとし、前記緊結穴の前記上面の穴径は前記下面の穴径よりも大きく、前記緊結穴上面側は段状の切り欠きを有し、敷設の際に前記ビスで前記板状屋根材を前記屋根下地に留め付けることで、前記緊結穴上面側と前記パッキンが密着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材において、前記板状屋根材の尻側には複数の緊結穴を設け、前記下面には前記緊結穴毎に前記緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、前記板状屋根材を敷設した際に流れ方向で下段の前記板状屋根材の尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、前記水上止水部はルーフィングの上面と接地し、前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔することで、風雨による雨水の吹込みに対する防水性能を向上させることが出来る。
本発明では、板状屋根材にて1次防水を行いルーフィングで2次防水を行っている。
暴風雨などでは1次防水だけでは雨水の浸入を防ぎきることが出来ないため、屋根材の奥のルーフィング上まで雨水が吹き込んだ場合、ルーフィング上の雨水を緊結材の穴から屋根下地内部に浸入させることなく軒先側に円滑に流し出すことが防水性能として必要になる。
本発明の板状屋根材は、尻側に緊結穴を複数設け、緊結穴毎に下面の尻側に緊結穴水上止水部を設けている。
板状屋根材は、緊結材としてビスを使用することで、板状屋根材を屋根下地に固定する際に水上止水部がルーフィング上面と強く密着され、屋根材の裏面にあるルーフィング上まで吹き込んだ雨水は水上止水部で完全に止水されることになる。
水上止水部の水下側にある板状屋根材を固定するビスには雨水が浸入することが無くなり、その結果、ビス固定部から屋根下地内部に雨水が浸入することが無くなる。
緊結穴毎に水上止水部を設け、水上止水部の両側にルーフィング上面と離隔している水抜き部を設ける構成とすることで、ルーフィング上まで吹き込んだ雨水は水上止水部で滞留せずにルーフィング上面と離隔している水抜き部から雨水を軒先側に円滑に流し出すことが出来る。
また、本発明の板状屋根材は、敷設の際に流れ方向で下段の板状屋根材の尻側に上段の板状屋根材の頭側を重ねて配置する構成により、ルーフィング上面と板状屋根材の下面は、軒先側に行くにしたがって板状屋根材の厚み分だけ離隔する為、水抜き穴から流れた雨水を軒先まで円滑に流し出すことが出来る。
軒先側に行くにしたがって板状屋根材の厚み分だけ離隔する構成については複数の水抜き穴を有する構成と合わさることにより、水抜き穴が空気の通り道となり、ルーフィング上面の空気が桁方向だけでなく流れ方向の両方向に動く効果を発揮し、板状屋根材下の空間で屋根面全体の通気が促進される。
屋根面全体で通気が促進されることにより、ルーフィング上に浸入した雨水や冬場の放射冷却現象により発生する結露水などを乾燥させるので、屋根下地の腐食を防止し、屋根全体の耐久性を上げることが出来る。
さらに本発明の板状屋根材は、前記の効果によりビスを使用した場合でも防水における課題が解決できるようになった為、板状屋根材を屋根下地の上に設けたルーフィングの上に直接敷設し、屋根下地にビスで固定する構成が実現し、その結果、屋根材を損傷なく容易に取り外すことが出来る。
この構成により、工数を掛けなくても屋根材を容易に取り外せるようになったため、安価に屋根材を再利用することが出来るようになり、従来は葺き替えが必要だった建て替えやルーフィング材の交換などでも屋根材を廃棄せず本発明の板状屋根材を繰り返し再利用することが出来るようになった。
本発明を用いる際に、その屋根材の素材を耐久性が非常に高い陶磁器にした場合、200年、300年と繰り返し使うことが出来るので、温室効果ガスの排出抑制、資源消費の最小化、廃棄物の抑制による環境保護といった人類共通の課題により多くの貢献が出来、屋根材における「循環経済」への移行を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明の実施例による板状屋根材の製品図面の断面図
【
図3】本発明の実施例による板状屋根材の屋根伏せ図
【
図4】本発明の実施例による板状屋根材の施工断面図
【
図5】本発明の実施例による板状屋根材の施工断面図の拡大図
【
図6】本発明の実施例による緊結材と緊結材収納空間との位置を表した屋根伏せ図
【
図7】本発明の他の実施例による板状屋根材の施工断面図の拡大図
【
図8】本発明の他の実施例による板状屋根材の製品図面
【
図9】本発明の他の実施例による板状屋根材の製品図面の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施の形態における板状屋根材は、勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材において、前記板状屋根材の尻側には複数の緊結穴を設け、前記下面には前記緊結穴毎に前記緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、前記板状屋根材を敷設した際に流れ方向で下段の前記板状屋根材の尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、前記水上止水部はルーフィングの上面と接地し、前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔したものである。
本実施の形態によれば、本発明の板状屋根材は、風雨による雨水の吹込みに対する防水性能を向上させることが出来る。
本発明では、板状屋根材にて1次防水を行いルーフィングで2次防水を行っている。
暴風雨などでは1次防水だけでは雨水の浸入を防ぎきることが出来ないため、屋根材の奥のルーフィング上まで雨水が吹き込んだ場合、ルーフィング上の雨水を緊結材の穴から屋根下地内部に浸入させることなく軒先側に円滑に流し出すことが防水性能として必要になる。
本発明の板状屋根材は、尻側に緊結穴を複数設け、緊結穴毎に下面の尻側に緊結穴水上止水部を設けている。
板状屋根材は、緊結材としてビスを使用することで、板状屋根材を屋根下地に固定する際に水上止水部がルーフィング上面と強く密着され、屋根材の裏面にあるルーフィング上まで吹き込んだ雨水は水上止水部で完全に止水されることになる。
水上止水部の水下側にある板状屋根材を固定するビスには雨水が浸入することが無くなり、その結果、ビス固定部から屋根下地内部に雨水が浸入することが無くなる。
緊結穴毎に水上止水部を設け、水上止水部の両側にルーフィング上面と離隔する水抜き部を設ける構成とすることで、ルーフィング上まで吹き込んだ雨水は水上止水部で滞留せずにルーフィング上面と離隔している水抜き部から雨水を軒先側に円滑に流し出すことが出来る。
また、本発明の板状屋根材は、敷設の際に流れ方向で下段の板状屋根材の尻側に上段の板状屋根材の頭側を重ねて配置する構成により、ルーフィング上面と板状屋根材の下面は、軒先側に行くにしたがって板状屋根材の厚み分だけ離隔する為、水抜き穴から流れた雨水を軒先まで円滑に流し出すことが出来る。
軒先側に行くにしたがって板状屋根材の厚み分だけ離隔する構成については複数の水抜き穴を有する構成と合わさることにより、水抜き穴が空気の通り道となり、ルーフィング上面の空気が桁方向だけでなく流れ方向の両方向に動く効果を発揮し、板状屋根材下の空間で屋根面全体の通気が促進される。
屋根面全体で通気が促進されることにより、ルーフィング上に浸入した雨水や冬場の放射冷却現象により発生する結露水などを乾燥させるので、屋根下地の腐食を防止し、屋根全体の耐久性を上げることが出来る。
さらに本発明の板状屋根材は、前記の効果によりビスを使用した場合でも防水における課題が解決できるようになった為、板状屋根材を屋根下地の上に設けたルーフィングの上に直接敷設し、屋根下地にビスで固定する構成が実現し、その結果、屋根材を損傷なく容易に取り外すことが出来る。
この構成により、工数を掛けなくても屋根材を容易に取り外せるようになったため、安価に屋根材を再利用することが出来るようになり、従来は葺き替えが必要だった建て替えやルーフィング材の交換などでも屋根材を廃棄せず本発明の板状屋根材を繰り返し再利用することが出来るようになった。
本発明を用いる際に、その屋根材の素材を耐久性が非常に高い陶磁器にした場合、200年、300年と繰り返し使うことが出来るので、温室効果ガスの排出抑制、資源消費の最小化、廃棄物の抑制による環境保護といった人類共通の課題により多くの貢献が出来、屋根材における「循環経済」への移行を実現することが出来る。
【0017】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による板状屋根材において、前記水抜き部は前記緊結穴毎に前記下面の前記緊結穴の両側に前記緊結穴から離隔した位置で設けるというものである。
本実施の形態によれば、水上止水部で止水した雨水をより円滑に水抜き部から軒先側に円流し出すことが出来る。
【0018】
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態による板状屋根材において、前記板状屋根材の前記下面の前記頭側に凹面の緊結材収納空間を設け、所定の働き長さで前記板状屋根材を敷設した際に、前記緊結材収納空間の凹面深さを下段の前記板状屋根材を緊結する緊結材頭部の高さより深くし、下段の前記緊結材の前記緊結材頭部が上段の前記板状屋根材の前記緊結材収納空間に収納されるというものである。
本実施の形態によれば、所定の働き長さで前記板状屋根材を敷設した際に、緊結材としてのビス頭部が緊結材収納空間に収納されるので、板状屋根材の下面と緊結材のビス頭部が干渉して板状屋根材の頭側が浮き、隙間が出来てしまうことを防ぐことが出来る。
その結果、上下段の板状屋根材は隙間なく敷設されるため、風雨の吹込みに対して高い防水性能を発揮することが出来る。
また、緊結材のビス頭部と板状屋根材の下面が干渉した場合、施工者が板状屋根材に載った際に施工者の体重が点荷重として板状屋根材に掛かるため、踏み割れなどの不具合が発生してしまうが、緊結材収納空間を設けることで板状屋根材の頭側の下面と板状屋根材の尻側の上面が面で荷重を受けるので高い耐荷重性能を発揮することが出来る。
【0019】
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態又は第3の実施の形態による板状屋根材において、前記緊結材の前記ビスはビス頭部の上面形状がフラットもしくはフラットに近似の薄い頭形状であり、前記ビス頭部と軸部の接合部が円錐形状であり、前記緊結穴の緊結穴上面側も円錐形状であり、敷設の際に前記ビスで前記屋根下地に留め付けることで、前記緊結穴上面側の前記円錐形状の上面又は前記板状屋根材の前記上面と前記ビスの前記ビス頭部の下面が密着し、前記水上止水部とルーフィングの前記上面が密着するというものである。
本実施の形態によれば、ビス固定により屋根下地への固定強度が増すことで、大型台風などの強風においても飛散することなく板状屋根材を固定することが出来る基本性能だけでなく、緊結穴の円錐形状の上面又は板状屋根材上面とビス頭部の下面が密着することで板状屋根材上面から緊結穴への雨水の浸入防止効果が発揮され、止水性能が向上する。
さらに、ビスで固定することで板状屋根材の水上止水部とルーフィング上面が完全に密着するため板状屋根材下面からの止水性能を向上させることが出来る。
本実施の形態では、板状屋根材の上面からビスの頭部を極力出したくないことから、ビス頭部の上面形状がフラットもしくはフラットに近い薄い頭部のビスとしている。
ビス頭部の上面がフラットもしくはフラットに近い薄い頭部のビスの場合、ビス頭部と軸部の剪断強度を上げるためにビス頭部と軸部の接合部を円錐形状とし、ビスの円錐形状部と緊結穴が干渉しないように緊結穴の上面側も円錐形状にすることで、板状屋根材の上面からのビス頭の出寸法を最小にすることが出来る。
【0020】
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態又は第3の実施の形態による板状屋根材において、前記板状屋根材の前記緊結穴の周囲の前記下面は、前記緊結穴の周囲が前記水上止水部と連続した矩形の平面である。
本実施の形態によれば、本発明の板状屋根材は下面における緊結穴の周囲面と水上止水部とが連続した矩形の平面なのでルーフィング上面との密着が緊結穴周囲面まで及び止水性能が向上する。
また、緊結穴の周囲の基材の肉厚が厚いため強風による吹き上げ荷重がかかった際にも高い耐風強度を発揮することが出来る。
【0021】
本発明の第6の実施の形態は、第1の実施の形態又は第2の実施の形態による板状屋根材において、前記水上止水部には前記板状屋根材の前記上面と平行な平面部を有し、前記水上止水部には前記水上止水部の前記平面部の尻側端部から前記尻側に向けてルーフィング接地面を設け、前記ルーフィング接地面の傾斜角度は、前記板状屋根材を所定の働き長さで敷設した際に、前記板状屋根材の厚みにより発生する戻り勾配の角度と同一とし、前記ルーフィング接地面は前記ルーフィングの前記上面と面で接地するものである。
本実施の形態によれば、本発明の板状屋根材は前記ルーフィング接地面が前記ルーフィングの上面と面で接地することにより、前記水上止水部とルーフィング上面の密着度があがり、水上止水部における止水性能がさらに向上する。
また、施工者が板状屋根材の上に載って施工するケースや雪により板状屋根材の上面に1メートル以上の積雪となるケースにおいて、ルーフィング接地面がルーフィング上面と面で接地することにより、板状屋根材の正荷重における曲げ破壊強度を向上させることが出来る。
【0022】
本発明の第7の実施の形態は、第1の実施の形態又は第3の実施の形態による板状屋根材において、前記ビスの前記軸部に弾性状で同心円状のパッキンを設け、前記パッキンの外径は前記緊結穴の前記下面の穴径よりも大きく、かつ前記緊結穴の前記上面の穴径及び前記ビス頭部の頭径よりも小さく、前記パッキンの内径は前記ビスの軸部の径とほぼ同じとし、前記緊結穴の前記上面の穴径は前記下面の穴径よりも大きく、前記緊結穴上面側は段状の切り欠きを有し、敷設の際に前記ビスで前記板状屋根材を前記屋根下地に留め付けることで、前記緊結穴上面側と前記パッキンが密着するものである。
本実施の形態によれば、所定の厚みを持った弾性状のパッキンを入れても板状屋根材上面からのビス頭部の高さを抑えることが出来る。
また、パッキンをビスの軸部に設けることにより、ビスで緊結した際に緊結穴上面側とパッキンが密着し、緊結穴の上面から緊結穴に浸入した雨水を確実に止水することが出来、さらに防水性能を向上させることが出来る。
【実施例0023】
以下本発明の実施例による板状屋根材1について説明する。
図1は実施例による板状屋根材1の製品図面である。
図1は板状屋根材1の製品図面で投影法による6面図である。
左側面図は右側面図と対象にあらわれるため省略している。
図1の平面図では製品の上面9をあらわしており、板状屋根材1を屋根2に敷設する際の伏せ図で用いる図である。
桁方向3は図面位置での左右方向、流れ方向4は図面位置での上下方向となり、図面位置の下側が板状屋根材1の頭側6、上側が尻側5となる。
実施例の板状屋根材1では、働き幅Wは455mmであり建物の設計単位寸法Pでは、尺モジュールの0.5Pにあたる寸法としている。
実施例の板状屋根材1は、耐久性の高い陶磁器素材とし、金型で成形しやすい形状としている。
全長さLAについては300mmであり、働き幅Wとの寸法比は次の通りとなる。
全長さLA:働き幅W=1:約1.5
働き長さLについては、屋根2の勾配26ごとに勾配伸び率応じて設定を変えている。
実施例では、働き長さの水平投影寸法Lhを建物の設計単位寸法Pの1/4にあたる227.5mmとし、働き長さの水平投影寸法Lhに勾配伸び率を掛けて働き長さLを求めている。平面図には3寸勾配、4寸勾配、5寸勾配でのそれぞれの働き長さLを記載している。
尻側水切りと緊結穴11を働き長さLよりも尻側5に設けている。
緊結穴11は4個であり左右対称に設けている。
また、平面図では緊結穴11と同時に緊結穴上面側11Uも表している。
右側面図では、側端部7、下面8の尻側5に尻部垂直面17とルーフィング接地面18を表している。
実施例では、板状屋根材1の厚みTは8.5mmとしている。
下面8には凹面が設けて有り、凹面深さDは1mmとしている。
底面図は、板状屋根材1の下面8を表す図である。
前記板状屋根材1の下面8には矩形の凹面10を一定間隔で複数個設け、格子状としている。
本発明の板状屋根材1は、下面8に矩形の凹面10を一定間隔で複数個設けた格子状とすることで、屋根材として必要な耐曲げ破壊荷重を維持しながら屋根材の軽量化を図ることが出来る。
下面8に矩形の凹面10を一定間隔で複数個設けた格子状とすることで、板状屋根材1の下面8とルーフィング25上面との空間容量が増え、板状屋根材1から屋根下地24への断熱性能が向上する。
板状屋根材1の尻側5には複数の緊結穴11を設け、下面8には緊結穴11毎に緊結穴11よりも尻側5に水上止水部12を設けている。
実施例では、4つの緊結穴11に対して、それぞれの尻側5に水上止水部12を設け、緊結穴11毎に水上止水部12の両端に凹面10の水抜き部13を設けている。
水抜き部13は、一つひとつの緊結穴11毎に緊結穴11の両側で離隔した位置に設けている。
水上止水部12の両端に凹面10を設けることで、敷設の際に水抜き部13はルーフィング25の上面と離隔し、ルーフィング25上に浸入した雨水を滞留させることなく軒先側27へ排出する。
水上止水部12の長さは短い方が雨水の滞留は少なくなるが、緊結穴11からの離隔距離が短くなると軒先側27に流れる際にルーフィング25上で雨水が緊結穴11の方まで広がる恐れがある。
緊結穴11と水抜き穴13の離隔距離は5mmから60mmの範囲が望ましい。
言い換えれば、緊結穴11に対して尻側5に位置する水上止水部12は桁方向3の片側で5mmから60mmの範囲で緊結穴に重なる構成が望ましく、水上止水部12の長さで表現すれば10mmから120mmの長さの範囲が望ましい。
実施例の水上止水部12の桁方向3の長さ寸法は、46mmと32mmとなっている。
4つの緊結穴11に対して緊結穴11の両側に水抜き穴13を設けているが、3つの水抜き穴13は隣り合う緊結穴11と共用しているので、4つの緊結穴11に対して5つの水抜き穴13を設けている。
板状屋根材1の下面8の緊結穴11の周囲は、緊結穴11の周囲が水上止水部12と連続した矩形の平面としている。
板状屋根材1は下面8における緊結穴11の周囲面と水上止水部12とが連続した矩形の平面なのでルーフィング25上面との密着が緊結穴11周囲面まで及び止水性能が向上する。
また、緊結穴11の周囲の基材の肉厚が厚いため強風による吹き上げ荷重がかかった際にも高い耐風強度を発揮することが出来る。
水上止水部12には板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12には水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻部垂直面17の下端部に向けてルーフィング接地面18を設けている。
本実施例では、平面部15の尻側端部16が水上止水部12となるが、水上止水部12はルーフィング25上面とルーフィング接地面18と面で接地しルーフィング接地面18全体が水上止水部12として機能する。
板状屋根材1の下面8の頭側6には矩形で凹面10の緊結材収納空間14を4個設けている。緊結材収納空間14は緊結穴11と対応する構成のため、本実施例では緊結穴11が4個なので緊結材収納空間も4個を設けている。
本実施例の緊結材収納空間14は桁方向3に縦長になっているが、これは勾配26毎の勾配伸び率により重なり寸法が変わることで緊結材19と緊結材収納空間14の位置関係が変わったとしても緊結材収納空間14に収納できるよう縦長になっている。
図1には
図2に記載の断面図の断面位置を記載している。
【0024】
図2は実施例による板状屋根材1の製品図面の断面図である。
図2(a)は、
図1の平面図に図示されたA-A断面箇所における断面図である。
板状屋根材1の下面8には凹面深さDが1mmの凹面10が流れ方向4で連続している。
図2(a)の拡大図は緊結穴11の周囲及び水上止水部12の構成を示している。
板状屋根材1の下面8の水上止水部12には板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12には水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻部垂直面17の下端部に向けてルーフィング接地面18を設けている。
緊結穴11の下面8の周囲が水上止水部12と連続した平面となっている。
緊結穴上面側11Uは円錐形状になっており、断面図では上面9に向けて広がるテーパー形状になっている。
図2(b)は、
図1の平面図に図示されたB-B断面箇所における断面図である。
板状屋根材1の下面8の頭側6には、凹面深さDが1mmの緊結材収納空間14がある。
図2(b)の拡大図は水抜き部13の構成を示している。
水上止水部12の両側に凹面10を設け、その凹面10を水抜き止水部13としている構成なので、板状屋根材1を敷設する際、水抜き部13はルーフィング25上面より凹面深さDと近似する距離だけ離隔することにより、ルーフィング25上に浸入した雨水を緊結材19で屋根下地24に留め付けた留め付け穴に雨水を浸入させることなく軒先側27に排水することが出来る。
図2(c)は、
図1の底面図に図示されたC-C断面箇所における断面図である。
板状屋根材1の下面8には凹面深さDが1mmの凹面10が桁方向3で連続している。
【0025】
図3は実施例による板状屋根材1の屋根伏せ図である
本実施例の伏せ図は切妻屋根もしくは片流れ屋根形状での伏せ図となる。
桁方向3で一段毎に板状屋根材1を半分ずらして敷設する千鳥葺きである。
実施例の板状屋根材1は、働き幅Wが設計単位寸法Pの1/2であり、1Pが910mmの尺モジュールなので2枚の働き幅Wで1Pの910mmの長さとなる。
本実施例の板状屋根材1は、耐久性の高い陶磁器素材としている。
陶磁器素材は、紫外線劣化もなく、耐久性は200年、300年と長く使える素材である。
この耐久性を活かし、屋根2への留め付けの効率化だけでなく、屋根2からの取り外しも板状屋根材1を損傷させることなく容易に取り外せる構成としている。
働き長さの水平投影寸法Lhは設計単位寸法の1/4の227.5mmだが、働き長さLは勾配26毎に変化する。
屋根2の勾配26は5寸勾配としているので、勾配伸び率は1.118となる。
よって、本図における板状屋根材1の働き長さLは、働き長さの水平投影寸法Lhの227.5mmに勾配伸び率の1.118を掛けて254.4mmとなる。
板状屋根材1の全長さLAは300mmなので、屋根材の重なり寸法は45.6mmとなる。
上面9の尻側5の屋根材重なり部に設けている4つの緊結穴11の内、内側の2つの緊結穴11を用いてジョイント板23と板状屋根材1を緊結材19で屋根下地24に共打ちで固定する。
ジョイント板23の中央ラインと板状屋根材1の側端部7を合わせることで容易に千鳥葺きを行うことが出来る。
なお本図面では、緊結材19は屋根下地24への固定保持力が高いビス19Bを用いている。
留め付けの手順としては、先ず、板状屋根材1の4つの緊結穴11の内、外側の2つの緊結穴11を用いて、板状屋根材1と屋根下地24を固定する。
その後、内側の2つの緊結穴11を用いてジョイント板23と板状屋根材1を緊結材19で屋根下地24に共打ちで固定する。
このように、ビス19Bのみを用いて屋根下地25に固定する構成としているので損傷なく板状屋根材1を取り外すことが出来、再利用することで製品を廃棄することなく繰り返し使用することが出来る。
【0026】
図4は実施例による板状屋根材1の施工断面図である。
図4(a)は、
図3の屋根伏せ図に図示されたD-D断面箇所における断面図であり、流れ方向4での断面図である。
屋根2の勾配26は5寸勾配で、勾配伸び率は1.118となる。
屋根下地24の上にルーフィング25を施工し、そのルーフィング25上に板状屋根材1を直接敷設し、緊結材19にて屋根下地24に固定する構造である。
実施例では、緊結材19を固定力が高いビス19Bとしている。
緊結材19をビス19Bにすることで屋根下地24への固定強度が増すことで、大型台風などの強風においても飛散することなく板状屋根材1を固定することが出来る基本性能だけでなく、緊結穴上面側11Uの円錐形状の上面9又は板状屋根材1上面9とビス頭部20Hの下面8が密着することで板状屋根材1上面9からの止水性能が向上する。
さらに、ビス19Bで固定することで板状屋根材1の水上止水部12とルーフィング25上面が完全に密着するため板状屋根材1下面8からの止水性能を向上させることが出来る。
働き長さの水平投影寸法Lhは設計単位寸法の1/4の227.5mmであり、働き長さLは、働き長さの水平投影寸法Lhの227.5mmに勾配伸び率の1.118を掛けて254.4mmとなる。
流れ方向4で下段の前記板状屋根材1の尻側5に上段の板状屋根材1の頭側6を重ねて配置する。
水上止水部12はルーフィング25上面と接地し、水抜き部13はルーフィング25上面より離隔する。
本実施例では、働き幅Wの半分ずらした千鳥葺きなので1段ごとにビス19Bにて留め付けている水上止水部とルーフィング25上から離隔している水抜き部13の納まりが交互となっている。
本発明では、板状屋根材1にて1次防水を行いルーフィング25で2次防水を行っている。
暴風雨などでは1次防水だけでは雨水の浸入を防ぎきることが出来ないため、屋根材の奥のルーフィング25上まで雨水が吹き込んだ場合、ルーフィング25上の雨水を緊結材19で屋根下地24に開けた穴から屋根下地24内部に浸入させることなく軒先側27に円滑に流し出すことが防水性能として必要になる。
板状屋根材1は、尻側5に設けた複数の緊結穴11に対して尻側5の下面8に水上止水部12を設けている。
この水上止水部12が板状屋根材1を敷設した際にルーフィング25上面と接地することで水上止水部12は雨水の水下側への浸入を止水する。
板状屋根材1は、緊結材19で屋根下地に固定する際にことで、水上止水部12とルーフィング25上面の接地面は密着され、屋根材の下面8側のルーフィング25上まで吹き込んだ雨水は水上止水部12で完全に止水される。
水上止水部12の水下側にある緊結穴11への雨水の浸入は無くなり、その結果、緊結材19で屋根下地24に開けた穴から屋根下地24内部に雨水が浸入することも無くなる。
本実施例におけるルーフィング接地面18の傾斜角度は、板状屋根材1を働き長さLを254.4mmで敷設した際に、板状屋根材1の厚みT8.5mmにより発生する戻り勾配の角度となる。
厚みT8.5mm÷働き長さLを254.4mm=0.0334となり、この0.0334をアークタンジェントで計算することで戻り勾配の角度を算出することが出来る。
本実施例における戻り勾配は1.9度となるため、ルーフィング接地面18の傾斜角度を1.9度で設定することでルーフィング25の上面とルーフィング接地面18とは面接地する。
図4(b)は、
図4(a)の施工断面図に図示されたE-E断面箇所における断面図であり、桁方向3での断面図である。
緊結材19の水上側に水上止水部12があり、その水上止水部12の両端には凹面10の水抜き部13を設けている。
水上止水部12はルーフィング25上と接地することでルーフィング25上に浸入した雨水を止水し、水上止水部12の両端に設けた水抜き部13にて雨水を軒先側に流す構造となっている。
ルーフィング25上まで吹き込んだ雨水は、水上止水部12で止水することで一旦雨水が滞留するが、水上止水部12の両端に設けた凹面10を有した水抜き部13がルーフィング25上面と離隔しているので、水上止水部12で滞留した雨水を軒先側27に流し出すことが出来る。
図4(c)は、
図4(a)の水抜き部13の拡大図である。
水抜き部13がルーフィング25上から離隔しているため、吹き込んだ雨水を水抜き部13で軒先側27に流す。
その結果、緊結材19で屋根下地24に開けた穴から屋根下地24内部に雨水を浸入させることが無い。
本発明の板状屋根材1は、敷設の際に流れ方向4で下段の板状屋根材1の尻側5に上段の板状屋根材1の頭側6を重ねて配置する構成により、ルーフィング25上面と板状屋根材1の下面8は、軒先側27に行くにしたがって板状屋根材1の厚みT分だけ離隔する為、水抜き部13から流れた雨水を軒先側27まで円滑に流し出すことが出来る。
【0027】
図5は実施例による板状屋根材の施工断面図における、
図4(a)のビス19B固定部の拡大図である。
図5(a)は、D-D断面図のビス19Bで固定している部分の拡大図であり、ビス頭部20Hの上面がフラット形状のビス19Bを使用している図である。
ビス19Bは、ビス頭部20Hと軸部21の接合部22が円錐形状となっている。
本実施の形態では、板状屋根材1の上面9からビス頭部20Hを極力出したくないことから、ビス頭部20Hの上面形状をフラット形状のビス19Bとしている。
また、緊結穴11の緊結穴上面側11Uもビス19Bと同様に円錐形状となっている。
ビス頭部20Hの上面9がフラット形状のビス19Bの場合、ビス頭部20Hと軸部21の剪断強度を上げるためにビス頭部20Hと軸部21の接合部22を円錐形状とし、ビス19Bの円錐形状部と緊結穴11が干渉しないように緊結穴上面側11Uも円錐形状にすることで、板状屋根材1の上面9からのビス頭20Hの出寸法を最小にすることが出来る。
板状屋根材1を敷設して固定する際にビス19Bで屋根下地24に留め付けることで、緊結穴上面側11Uの前記円錐形状の上面とビス19Bのビス頭部20Hの下面が密着する。
更に、ビス19Bで屋根下地24に固定することで、水上止水部12とルーフィング25上面が密着する。
その結果、板状屋根材1の重なり部に浸入した雨水や重なり部を越えてルーフィング25上まで浸入した雨水を止水することが出来る。
板状屋根材1の下面8の頭側6には、凹面10の緊結材収納空間14を設けている。
敷設した際に、上段の板状屋根材1の緊結材収納空間14の凹面深さDが、下段の板状屋根材1を留め付けているビス19Bのビス頭部20Hの高さより深くなっているので、ビス頭部20Hは板状屋根材1の下面8と干渉することなく緊結材収納空間14内に納まる。
本実施の形態によれば、板状屋根材1を留め付ける緊結材19は、緊結材19の緊結材頭部20の高さ分だけ板状屋根材1の上面9よりも高い位置に位置するが、緊結材19の緊結材頭部20の高さよりも深い凹面10を持った緊結材収納空間14が緊結材19の緊結材頭部20を収納するので、板状屋根材1の下面と緊結材19の緊結材頭部20が干渉して板状屋根材1の頭側6が浮き、隙間が出来てしまうことを防ぐことが出来る。
その結果、上下段の板状屋根材1は隙間なく敷設されるため、風雨の吹込みに対して高い防水性能を発揮することが出来る。
また、緊結材19の緊結材頭部20と板状屋根材1の下面8が干渉した場合、施工者が板状屋根材1に載った際に施工者の体重が点荷重として板状屋根材1に掛かるため、踏み割れなどの不具合が発生してしまうが、緊結材収納空間14を設けることで板状屋根材1の頭側6の下面8と板状屋根材1の尻側5の上面9が面で荷重を受けるので高い耐荷重性能を発揮することが出来る。
板状屋根材1の下面8に設けている水上止水部12には板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻部垂直面17の下端部に向けてルーフィング接地面18を設ける。
水上止水部12の内、ルーフィング25の上面と接地することで止水機能を発揮している部分は、尻側端部16とルーフィング接地面18となる。
本実施の形態によれば、本発明の板状屋根材1はルーフィング接地面18がルーフィング25の上面と面接地することで水上止水部12における止水性能がさらに向上する。
更に施工者が板状屋根材1の上に載ったり、積雪などにより板状屋根材1の上面9から板状屋根材1の本体に荷重が掛かった際に、ルーフィング接地面18がルーフィング25上面と面接地するため、板状屋根材1の強度を向上させることが出来る。
図5(b)はD-D断面図のビス19Bで固定している部分の拡大図であり、ビス頭部20Hの上面がフラットに近く厚みが薄い円弧形状のビス19Bを使用している図である。
板状屋根材1の上面9からビス頭部20Hを極力出したくないことから、ビス頭部20Hの上面形状をフラットに近い薄い頭部のビス19Bとしている。
ビス19Bは、ビス頭部20Hと軸部21の接合部22が円錐形状となっている。
また、緊結穴11の緊結穴上面側11Uもビス19Bと同様に円錐形状となっている。
ビス頭部20Hの上面9がフラットに近い薄い頭部形状のビス19Bの場合、ビス頭部20Hと軸部21の剪断強度を上げるためにビス頭部20Hと軸部21の接合部22を円錐形状とし、ビス19Bの円錐形状部と緊結穴11が干渉しないように緊結穴上面側11Uも円錐形状にすることで、板状屋根材1の上面9からのビス頭20Hの出寸法を最小にすることが出来る。
板状屋根材1を敷設して固定する際にビス19Bで屋根下地24に留め付けることで、板状屋根材1上面9と前記ビス19Bのビス頭部20Hの下面が密着する。
更に、ビス19Bで屋根下地24に固定することで、水上止水部12とルーフィング25上面が密着する。
その結果、板状屋根材1の重なり部に浸入した雨水や重なり部を越えてルーフィング25上まで浸入した雨水を止水することが出来る。
板状屋根材1の下面8の頭側6には、凹面10の緊結材収納空間14を設けている。
敷設した際に、上段の板状屋根材1の緊結材収納空間14の凹面深さDが、下段の板状屋根材1を留め付けているビス19Bのビス頭部20Hの高さより深くなっているので、ビス頭部20Hは板状屋根材1の下面8と干渉することなく緊結材収納空間14内に納まる。
板状屋根材1の下面8に設けている水上止水部12には板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻部垂直面17の下端部に向けてルーフィング接地面18を設ける。
水上止水部12の内、ルーフィング25の上面と接地することで止水機能を発揮している部分は、尻側端部16とルーフィング接地面18となる。
【0028】
図6は実施例による板状屋根材1を屋根下地24に留め付ける緊結材19と緊結材収納空間14との勾配26毎の位置関係を表した屋根伏せ図である。
図6(a)は勾配26が3寸勾配の際の板状屋根材1の屋根伏せ図である。
板状屋根材1の上面9と下面8の位置関係が分かるように、下面8の形状を表す線については点線で記載する。
また、緊結材収納空間14についてはハッチを掛けて記載する。
3寸勾配での働き長さLは237.5mmとなる。
下段の尻側5の上面9に留め付けたビス19Bのビス頭部20Hは、上段の頭側6の下面8に設けた緊結材収納空間14の範囲内に収まっている。
緊結材収納空間14を矩形で凹面10とすることで施工時に所定の働き長さに多少の誤差が生じたとしても干渉せず問題なく施工することが出来る。
図6(b)は勾配26が4寸勾配の際の板状屋根材1の屋根伏せ図である。
板状屋根材1の上面9と下面8の位置関係が分かるように、下面8の形状を表す線については点線で記載する。
また、緊結材収納空間14についてはハッチを掛けて記載する。
4寸勾配での働き長さLは245.0mmとなる。
下段の尻側5の上面9に留め付けたビス19Bのビス頭部20Hは、上段の頭側6の下面8に設けた緊結材収納空間14の範囲内に収まっている。
図6(c)は勾配26が5寸勾配の際の板状屋根材1の屋根伏せ図である。
板状屋根材1の上面9と下面8の位置関係が分かるように、下面8の形状を表す線については点線で記載する。
また、緊結材収納空間14についてはハッチを掛けて記載する。
3寸勾配での働き長さLは254.4mmとなる。
下段の尻側5の上面9に留め付けたビス19Bのビス頭部20Hは、上段の頭側6の下面8に設けた緊結材収納空間14の範囲内に収まっている。
【0029】
図7は本発明の他の実施例による板状屋根材の施工断面図における、ビス19B固定部の拡大図である。
図7(a)は、ビス19Bで固定している部分の拡大図であり、ビス頭部20Hの上面がフラット形状のビス19Bを使用し、同心円状で弾性状のパッキン28がビス19Bの軸部21に設けられ、緊結穴上面側11Uが段状の切り欠き29を有している図である。
緊結穴11の形状は
図5の形状とは異なり、緊結穴11形状Bとして図示している。
ビス19Bは、ビス頭部20Hと軸部21の接合部22が円錐形状となっている。
本実施の形態では、板状屋根材1の上面9からビス頭部20Hを極力出したくないことから、ビス頭部20Hの上面形状をフラット形状のビス19Bとしている。
また、緊結穴11の緊結穴上面側11Uは、ビス19Bと同様に円錐形状となっていて、さらにパッキン28の厚み分をキャンセルするために緊結穴上面側11Uは段状の切り欠き29を設けている。
パッキン28の外径は、緊結穴11の下面8の穴径よりも大きく、かつ緊結穴11の上面9の穴径よりも小さく、ビス頭部の頭径よりも小さい寸法とする。
パッキン28の内径は、ビスの軸部の径とほぼ同じとする。
緊結結穴11の上面9の穴径は下面8の穴径よりも大きい寸法とする。
敷設の際にビス19Bで板状屋根材1を屋根下地24に留め付けることで、緊結穴上面側11Uとビス頭部20Hでパッキン28が圧縮され密着する。
その結果、雨水が緊結穴11の上面9から浸入したとしても、緊結穴上面側11Uでパッキン28により完全に止水することが出来、屋根下地材24内部への水の浸入を防ぐことが出来る。
また、パッキン28は緊結穴11の上面9の段状の切り欠き29の穴径よりも小さいため、段状の切り欠き29内にパッキン28が入ることでパッキン28の厚みをキャンセルし、板状屋根材1の上面9からビス頭部20Hの出寸法を最小にすることが出来る。
板状屋根材1の下面8の頭側6には、凹面10の緊結材収納空間14を設けている。
敷設した際に、上段の板状屋根材1の緊結材収納空間14の凹面深さDが、下段の板状屋根材1を留め付けているビス19Bのビス頭部20Hの高さより深くなっているので、ビス頭部20Hは板状屋根材1の下面8と干渉することなく緊結材収納空間14内に納まる。
本実施の形態によれば、板状屋根材1を留め付ける緊結材19は、緊結材19の緊結材頭部20の高さ分だけ板状屋根材1の上面9よりも高い位置に位置するが、緊結材19の緊結材頭部20の高さよりも深い凹面10を持った緊結材収納空間14が緊結材19の緊結材頭部20を収納するので、板状屋根材1の下面と緊結材19の緊結材頭部20が干渉して板状屋根材1の頭側6が浮き、隙間が出来てしまうことを防ぐことが出来る。
その結果、上下段の板状屋根材1は隙間なく敷設されるため、風雨の吹込みに対して高い防水性能を発揮することが出来る。
また、緊結材19の緊結材頭部20と板状屋根材1の下面8が干渉した場合、施工者が板状屋根材1に載った際に施工者の体重が点荷重として板状屋根材1に掛かるため、踏み割れなどの不具合が発生してしまうが、緊結材収納空間14を設けることで板状屋根材1の頭側6の下面8と板状屋根材1の尻側5の上面9が面で荷重を受けるので高い耐荷重性能を発揮することが出来る。
板状屋根材1の下面8に設けている水上止水部12には板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻部垂直面17の下端部に向けてルーフィング接地面18を設ける。
水上止水部12の内、ルーフィング25の上面と接地することで止水機能を発揮している部分は、尻側端部16とルーフィング接地面18となる。
本実施の形態によれば、本発明の板状屋根材1はルーフィング接地面18がルーフィング25の上面と面接地することで水上止水部12における止水性能がさらに向上する。
更に施工者が板状屋根材1の上に載ったり、積雪などにより板状屋根材1の上面9から板状屋根材1の本体に荷重が掛かった際に、ルーフィング接地面18がルーフィング25上面と面で接地するため、板状屋根材1の強度を向上させることが出来る。
図7(b)は、ビス19Bで固定している部分の拡大図であり、
ビス頭部20Hの上面がフラットに近く厚みが薄い円弧形状のビス19Bを使用し、同心円状で弾性状のパッキン28がビス19Bの軸部21に設けられ、緊結穴上面側11Uが段状の切り欠き29を有している図である。
緊結穴11の形状は
図5の形状や
図7(a)とは異なり、緊結穴11形状Cとして図示している。
ビス19Bは、ビス頭部20Hと軸部21の接合部22が円錐形状となっている。
本実施の形態では、板状屋根材1の上面9からビス頭部20Hを極力出したくないことから、ビス頭部20Hの上面形状をフラットに近い薄い頭部の形状のビス19Bとしている。
また、緊結穴11は、パッキン28の厚み分をキャンセルするために緊結穴上面側11Uは段状の切り欠き29を設けている。
緊結穴上面側11Uの形状は緊結穴11の上面9の穴径で段状の切り欠き部29が設けられ、緊結穴上面側11Uの上面9はフラットになっている。
パッキン28の外径は、緊結穴11の下面8の穴径よりも大きく、かつ緊結穴11の上面9の穴径よりも小さく、ビス頭部の頭径よりも小さい寸法とする。
パッキン28の内径は、ビスの軸部の径よりもやや大きくする。
緊結結穴11の上面9の穴径は下面8の穴径よりも大きく、ビス頭部20Hの頭径よりも大きい寸法とする。
敷設の際にビス19Bで板状屋根材1を屋根下地24に留め付けることで、緊結穴上面側11Uとビス頭部20Hでパッキン28が圧縮され密着する。
緊結穴上面側11Uの上面9とパッキン28の下面9がそれぞれフラットなので面で密着し高い止水性を発揮する。
また、ビス19Bでパッキン28を圧縮する際に円錐形状の接合部22がパッキン28に入り込みパッキン内部と密着するため高い止水性を発揮する。
その結果、雨水が緊結穴11の上面9から浸入したとしても、緊結穴上面側11Uでパッキン28により完全に止水することが出来、屋根下地材24内部への水の浸入を防ぐことが出来る。
また、緊結穴11の上面9の段状の切り欠き29の穴径は、ビス頭部20Hよりも大きいため、段状の切り欠き29内にパッキン28だけでなくビス頭部20Hも入るため、段状の切り欠き29の深さを深くすることで、パッキン28の厚みだけでなくビス頭部20Hの厚みもキャンセルすることが出来る。
その結果、板状屋根材1の上面9からビス頭部20Hの出寸法を最小にすることが出来る。
板状屋根材1の下面8の頭側6には、凹面10の緊結材収納空間14を設けている。
敷設した際に、上段の板状屋根材1の緊結材収納空間14の凹面深さDが、下段の板状屋根材1を留め付けているビス19Bのビス頭部20Hの高さより深くなっているので、ビス頭部20Hは板状屋根材1の下面8と干渉することなく緊結材収納空間14内に納まる。
板状屋根材1の下面8に設けている水上止水部12には板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻部垂直面17の下端部に向けてルーフィング接地面18を設ける。
水上止水部12の内、ルーフィング25の上面と接地することで止水機能を発揮している部分は、尻側端部16とルーフィング接地面18となる。
【0030】
図8は他の実施例による板状屋根材1の製品図面である。
図8は
図1と同様に板状屋根材1の製品図面で投影法による6面図であり、製品形状も一部を除き、ほぼ同じ形状の図面となっている。
そのため、
図1と同様の部分については記載を省略し、
図8が
図1と異なる部分についてのみ記載する。
なお、本実施例の板状屋根材1についても、
図1と同様に耐久性が高い陶磁器素材とし、金型で成形しやすい形状としている。
図8の形状が
図1と異なる部分は、水上止水部12に設けたルーフィング接地面18の形状である。
水上止水部12は板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12には水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻側5に向けてルーフィング接地面18を設けている。
尻側端部16から尻側5に伸びるルーフィング接地面18は、尻部垂直面18まで伸びずに尻側5の外周より内側にセットバックした位置までの構成としている。
この形状により、板状屋根材1の材質を陶磁器にした際に施釉工程、焼成工程において生産しやすくなり、生産性を上げることが出来る。
ルーフィング接地面18の効果などは
図1と同様で、板状屋根材1を所定の働き長さLで敷設した際に、前記板状屋根材1の厚みTにより発生する戻り勾配の角度をルーフィング接地面18の傾斜角度にすることで、ルーフィング接地面18はルーフィング25の上面9と面で接地することが出来る。
図8には
図9に記載の断面図の断面位置を記載している。
【0031】
図9は他の実施例による板状屋根材1の製品図面の断面図である。
図9(a)は、
図8の平面図に図示されたA-A断面箇所における断面図である。
図9(b)は、
図8の平面図に図示されたB-B断面箇所における断面図である。
図9(c)は、
図8の底面図に図示されたC-C断面箇所における断面図である。
図9は
図2と同様に
図8に図示された断面箇所の断面図であり、
図9の断面形状についても
図2の断面形状の一部を除き、ほぼ同じ形状の断面図となっている。
そのため、
図2と同様の部分については記載を省略し、
図9が
図2と異なる部分についてのみ記載する。
図9(a)及び
図9(b)にて形状が
図2と異なる部分は、水上止水部12に設けたルーフィング接地面18の形状と頭側6及び尻側5での下面8及び上面9との交点部の形状である。
ルーフィング接地面18の形状の違いは、下記の通り。
水上止水部12は板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12には水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻側5に向けてルーフィング接地面18を設けている。
尻側端部16から尻側5に伸びるルーフィング接地面18は、尻部垂直面18まで伸びずに尻側5の外周より内側にセットバックした位置までの構成としている。
頭側6及び尻側5での下面8及び上面9との交点部の形状の違いは、
図2(a)、(b)は交点が角形状になっているが
図9(a)、(b)ではR形状になっている点である。
また、
図9(c)での
図2(c)との形状の違いは、側端部7での下面8及び上面9との交点部の形状である。
側端部7での下面8及び上面9との交点部の形状の違いは、
図2(c)は交点が角形状になっているが
図9(c)ではR形状になっている点である。