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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098662
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】車両充電制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240717BHJP
   H02H 7/26 20060101ALI20240717BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240717BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240717BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02H7/26 H
H02H7/26 G
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002280
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明義
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB09
5G503CC02
5G503FA03
5G503FA06
5G503FA17
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BE02
5H125CD02
5H125CD03
5H125CD04
5H125DD02
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】電気自動車の充電においてトラッキング現象が検出された場合に給電を遮断できること。
【解決手段】車両充電制御システムは、電源に電路を介して接続されかつ受電コネクタに接続される給電コネクタの端子間で発生する放電を検知する放電検知部と、放電検知部から出力される放電検知信号に基づいて放電の発生を判定する放電判定部と、放電が発生したと放電判定部が判定した場合、放電発生信号を出力する放電発生信号出力部と、放電発生信号に基づいて給電コネクタからの給電を遮断する遮断部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に電路を介して接続されかつ受電コネクタに接続される給電コネクタの端子間で発生する放電を検知する放電検知部と、
前記放電検知部から出力される放電検知信号に基づいて前記放電の発生を判定する放電判定部と、
前記放電が発生したと前記放電判定部が判定した場合、放電発生信号を出力する放電発生信号出力部と、
前記放電発生信号に基づいて前記給電コネクタからの給電を遮断する遮断部と、
を備える車両充電制御システム。
【請求項2】
前記放電発生信号に基づいて前記放電が発生したことを、前記給電コネクタからの給電が遮断された状態において前記電源から供給された電力を用いて報知する報知部をさらに備える
請求項1に記載の車両充電制御システム。
【請求項3】
前記報知部は、車両に備えられる
請求項2に記載の車両充電制御システム。
【請求項4】
前記遮断部は、前記受電コネクタと前記給電コネクタとの接続を解除することによって前記給電コネクタからの給電を遮断する
請求項1に記載の車両充電制御システム。
【請求項5】
前記放電判定部は、前記放電検知部から出力される放電検知信号に基づいて、前記端子に流れる電流の大きさが所定の閾値より高い場合に前記放電が発生したと判定し、
前記閾値は、充電電圧に応じて変更される
請求項1に記載の車両充電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両充電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、及びプラグイン・ハイブリッド自動車(PHV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)の普及が進んでいる。これらの電気自動車、及びプラグイン・ハイブリッド自動車では、リチウムイオン電池などの二次電池を用いた高電圧バッテリーが搭載され、外部電源からの充電が可能である。車両の充電は、充電器に充電ケーブルを介して接続された給電コネクタが、車両の受電コネクタに接続されて行われる。給電コネクタと受電コネクタとの接続を強制的に解除する技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
一方、例えば電気コンセントなどにおいて、埃の堆積、空気中の水分が原因となって端子間の通電性が上がり放電が発生する場合がある。この現象は、トラッキング現象として知られ、火災の原因となり得る。トラッキング現象を検出する技術として、例えば、自動車などの配線接続用のコネクタ内部の端子間のトラッキング現象を検出する装置が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-048346号公報
【特許文献2】特開2010-101800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気自動車の充電においても、給電コネクタの端子間においてトラッキング現象が発生し得る。充電中にトラッキング現象が発生した場合、火災などの事故を防ぐため充電が停止されることが求められる。しかしながら、電気自動車の充電において、トラッキング現象の検出が行われていなかった。電気自動車の充電においてトラッキング現象が検出された場合に給電を遮断できることが求められている。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、電気自動車の充電においてトラッキング現象が検出された場合に給電を遮断できる車両充電制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、電源に電路を介して接続されかつ受電コネクタに接続される給電コネクタの端子間で発生する放電を検知する放電検知部と、前記放電検知部から出力される放電検知信号に基づいて前記放電の発生を判定する放電判定部と、前記放電が発生したと前記放電判定部が判定した場合、放電発生信号を出力する放電発生信号出力部と、前記放電発生信号に基づいて前記給電コネクタからの給電を遮断する遮断部と、を備える車両充電制御システムである。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の車両充電制御システムにおいて、前記放電発生信号に基づいて前記放電が発生したことを、前記給電コネクタからの給電が遮断された状態において前記電源から供給された電力を用いて報知する報知部をさらに備える。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の車両充電制御システムにおいて、前記報知部は、車両に備えられる。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の車両充電制御システムにおいて、前記遮断部は、前記受電コネクタと前記給電コネクタとの接続を解除することによって前記給電コネクタからの給電を遮断する。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の車両充電制御システムにおいて、前記放電判定部は、前記放電検知部から出力される放電検知信号に基づいて、前記端子に流れる電流の大きさが所定の閾値より高い場合に前記放電が発生したと判定し、前記閾値は、充電電圧に応じて変更される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電気自動車の充電においてトラッキング現象が検出された場合に給電を遮断できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両充電システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る充電器の機能構成の一例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る車両の機能構成の一例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る放電検知処理の流れの一例を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る車両充電システムの構成の一例を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る充電器の機能構成の一例を示す図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る車両の機能構成の一例を示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る放電検知処理の流れの一例を示す図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る車両充電システムの構成の一例を示す図である。
図10】本発明の第3の実施形態に係る充電器の機能構成の一例を示す図である。
図11】本発明の第3の実施形態に係る車両の機能構成の一例を示す図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係る放電検知処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る車両充電システム1の構成の一例を示す図である。車両充電システム1は、充電器2と、車両3と、交流電源4とを備える。充電器2は、車両3に搭載されたバッテリー31を充電する。充電器2は、車両用充電器である。
【0015】
充電器2は、充電ケーブル20と、給電コネクタ21と、電源プラグ22と、電源ケーブル23とを備える。充電ケーブル20の一端には、充電器2の本体が接続され、他端には給電コネクタ21が接続される。給電コネクタ21は、車両3に備えられる受電コネクタ30に接続される。交流電源4からの電力は、充電ケーブル20を介して、給電コネクタ21から受電コネクタ30に供給される。したがって、給電コネクタ21は、交流電源4に電路を介して接続される。
【0016】
なお、充電器2は、車両用充電装置などと呼ばれてもよい。給電コネクタ21は、充電ガン、または充電プラグなどと呼ばれてもよい。受電コネクタ30は、充電ソケット、充電ポート、またはインレットなどと呼ばれてもよい。
なお、給電コネクタ21、及び受電コネクタ30はそれぞれ、普通充電用と、急速充電用とのいずれであってもよい。
【0017】
電源ケーブル23の一端には、充電器2の本体が接続され、他端には電源プラグ22が接続される。電源プラグ22は、充電用コンセント5に接続される。交流電源4からの電力は、充電用コンセント5、及び電源プラグ22を介して充電器2に供給される。充電用コンセント5の電圧は、例えば、200Vである。充電用コンセント5の電圧は、100Vまたは、400Vなどであってもよい。
交流電源4は、例えば、家庭用電源として個人の住宅に設けられてもよいし、商業施設または公共施設などの駐車場に設けられてもよい。
【0018】
車両3は、交流電源4から給電コネクタ21を利用して充電可能な車両である。車両3は、一例として、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、またはプラグイン・ハイブリッド自動車(PHV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)などである。車両3は、プラグイン車両と呼ばれてもよい。なお、以下の説明では、電気自動車と、プラグイン・ハイブリッド自動車とを区別せず単に電気自動車と称する。
【0019】
ここでバッテリー31と受電コネクタ30とは、電力ライン32によって接続される。つまり、電力ライン32の一端には、受電コネクタ30が接続され、他端にはバッテリー31が接続される。したがって、バッテリー31は、受電コネクタ30に電路を介して接続される。
【0020】
バッテリー31は、搭載されている高電圧の充電式バッテリーである。バッテリー31では、多数の電池セルが直列に接続されて高電圧バッテリーとして構成される。直列に接続される電池セルの個数は、例えば、数十から百数十個であり、その場合、バッテリー31の電圧は、数十から数百Vである。電池セルは、一例として、リチウムイオン電池である。なお、電池セルとしては、リチウムイオン電池に代えて、ニッケルカドミウム電池などの充放電可能な二次電池が用いられてもよい。
【0021】
図2は、本実施形態に係る充電器2の機能構成の一例を示す図である。充電器2は、充電器制御部24と、電力供給部25と、操作部26と、放電検知部27と、遮断部28と、報知部29と、充電器通信部210と、記憶部211とを備える。充電器制御部24と、電力供給部25と、操作部26と、放電検知部27と、遮断部28と、報知部29と、充電器通信部210と、記憶部211とは、互いに信号線によって接続される。
【0022】
充電器制御部24は、充電器2について各種の制御を行う。充電器制御部24は、コントロールユニット(Control Unit:CU)と呼ばれてもよい。充電器制御部24は、充電制御部240と、放電判定部241と、放電発生信号出力部242と、報知制御部243とを備える。これらの機能部はそれぞれ、例えばCPUがROM(Read Only Memory)から読み込んだプログラムをRAM(Random Access Memory)に展開して、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。当該ROM、当該RAMは、記憶部211に含まれる。これらの機能部の詳細は、後述する。
【0023】
電力供給部25は、交流電源4から供給される電力を充電電力として充電ケーブル20及び給電コネクタ21に出力する。ここで電力供給部25は、交流電源4から供給される交流電力を直流電力に変換して充電電力として出力する。電力供給部25は、例えば、例えば、変圧器、整流回路、及びレギュレータ回路(DC-DCコンバータ)などを含む。
【0024】
操作部26は、ユーザから各種の操作を受け付ける。操作部26が受け付ける操作には、例えば、充電を開始または停止する操作、充電設定を行う操作、及び充電状態を確認する画面を表示させる操作などが含まれる。操作部26は、例えば、タッチパネルを含む。操作部26は、各種のボタン、または各種のスイッチなどを含んでもよい。各種のボタン、または各種のスイッチは、例えば、充電を開始するためのボタンまたはスイッチ、及び、充電を停止するためのボタンまたはスイッチである。
【0025】
放電検知部27は、給電コネクタ21の端子間で発生する放電を検知する。放電検知部27は、放電を検知すると、放電検知信号を充電器制御部24に出力する。放電検知信号は、放電検知部27によって検知された給電コネクタ21の端子に流れる電流の大きさを示す信号である。
【0026】
給電コネクタ21の端子間で発生する放電は、トラッキング現象、またはトラッキング現象の初期段階による放電である。放電検知部27は、例えば、センサ、出力線、及び検知回路を含む。当該センサは、例えば、給電コネクタ21の端子間に発生する放電を検知する。当該センサは、例えば、導電部材により形成される。当該センサに、放電による火花が接触すると微小な電流が発生し、出力線に電流が流れる。出力線に電流が流れると、検知回路に備えられるスイッチング素子がオンの状態となり、検知回路から当該電流の大きさに応じた放電検知信号が出力される。なお、当該センサは、給電コネクタ21の端子間に発生する放電を検知できさえすれば、いずれの種類のセンサが用いられてもよい。
【0027】
ここで充電器制御部24が備える各機能部の詳細について説明する。
充電制御部240は、電力供給部25を制御することによって充電器2の充電の状態を制御する。充電制御部240は、車両3に対して交流電源4からの電力が供給されるように電力供給部25を制御する。充電制御部240は、充電開始の後、例えば、車両3に備えられる車両制御部33から充電の完了を示す信号が受信されると、電力供給部25に充電を終了させる。充電制御部240は、充電開始から所定時間が経過した場合、電力供給部25に充電を終了させてもよい。所定時間とは、例えば、数分から数時間である。
【0028】
放電判定部241は、放電検知部27から出力される放電検知信号に基づいて放電の発生を判定する。放電判定部241は、放電検知部27から出力される放電検知信号に基づいて、給電コネクタ21の端子に流れる電流の大きさが所定の閾値より高い場合に放電が発生したと判定する。なお、放電判定部241は、放電検知部27から出力される放電検知信号を取得すると、放電検知信号が示す電流の値によらず放電が発生したと判定してもよい。
【0029】
放電発生信号出力部242は、放電が発生したと放電判定部241が判定した場合、放電発生信号を出力する。放電発生信号は、放電が発生したと判定されたことを示す信号である。放電発生信号出力部242は、放電発生信号を遮断部28、及び報知制御部243にそれぞれ出力する。
【0030】
報知制御部243は、報知部29に報知を行わせるための制御を行う。
【0031】
遮断部28は、放電発生信号出力部242から出力される放電発生信号に基づいて給電コネクタ21からの給電を遮断する。ここで遮断部28は、例えば、遮断器を含む。遮断部28は、当該遮断器によって交流電源4と給電コネクタ21とを接続する電路を遮断することによって、給電コネクタ21からの給電を遮断する。
【0032】
また、遮断部28は、受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続を解除することによって給電コネクタ21からの給電を遮断してもよい。その場合、遮断部28は、車両3に備えられる車両制御部33に、解除信号を送信する。解除信号は、受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続を解除させることを示す信号である。受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続の解除の動作については後述する。
【0033】
報知部29は、給電コネクタ21の端子間に放電が発生したことを報知する。報知部29は、例えば、光、及び音のうち1以上によって報知を行う。報知部29は、報知を行う方法に応じて、ランプ、及びブザーのうち1以上を含む。
【0034】
ここで、報知部29が報知を行う時点では、給電コネクタ21からの給電は遮断されている。本実施形態では、一例として、報知部29は、放電発生信号に基づいて放電が発生したことを、給電コネクタ21からの給電が遮断された状態において交流電源4から供給された電力を用いて報知する。なお、報知部29は、交流電源4から供給された電力以外の電力を用いて報知を行ってもよい。例えば、充電器2に電池が備えられ、報知部29は当該電池を電源として用いて報知を行ってもよい。
【0035】
充電器通信部210は、無線通信によって、各種の情報の送信及び受信を行う。充電器通信部210は、無線通信を行うための通信インターフェース(I/F)を含む。充電器通信部210は、例えば、車両3と通信を行う。充電器通信部210は、例えば、近距離無線通信、無線LAN(Local Area Network)、及び移動体通信網などのうち1以上によって無線通信を行う。また、上述したように、充電器通信部210は、ユーザに携帯される携帯端末装置と通信を行ってもよい。また、充電器通信部210は、有線通信を行ってもよい。
【0036】
記憶部211は、各種の情報を記憶する。記憶部211は、半導体記憶装置等の記憶装置を含む。記憶部211が記憶する情報には、例えば、放電判定部241が放電の発生を判定するために用いる電流値の閾値、充電制御部240が充電制御を行うための設定情報などが含まれる。
【0037】
図3は、本実施形態に係る車両3の機能構成の一例を示す図である。車両3は、バッテリー31と、車両制御部33と、接続切替機構34と、切り離し機構35と、車両通信部36とを備える。なお、図3では、車両3の構成のうち、バッテリー31の充電に関する構成が示されており、車両3の駆動に関する構成は省略されている。バッテリー31と、車両制御部33、接続切替機構34、切り離し機構35、及び車両通信部36とはそれぞれ、電力ラインによって接続される。車両制御部33と、接続切替機構34と、切り離し機構35と、車両通信部36とは、互いに信号線によって接続される。当該信号線による接続は、例えば、CAN(Controller Area Network)に基づく接続である。
【0038】
車両制御部33は、車両3について各種の制御を行う。車両制御部33は、コントロールユニット(Control Unit:CU)と呼ばれてもよい。車両制御部33は、車両充電制御部330と、接続解除部331と、切り離し部332とを備える。これらの機能部はそれぞれ、例えばCPUがROMから読み込んだプログラムをRAMに展開して、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。
【0039】
車両充電制御部330は、バッテリー31の充電を制御する。例えば、車両充電制御部330は、充電の開始及び停止、並びに充電速度について制御を行う。また、車両充電制御部330は、バッテリー31の充電が完了した場合、充電器2に備えられる充電器制御部24に充電の完了を示す信号を送信する。
【0040】
接続解除部331は、受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続を解除する。接続解除部331は、接続切替機構34を駆動して受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続を解除する。
【0041】
切り離し部332は、給電コネクタ21を受電コネクタ30から切り離す。切り離し部332は、切り離し機構35を駆動することによって給電コネクタ21を受電コネクタ30から切り離す。
【0042】
接続切替機構34は、受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続の状態を、接続状態と、非接続状態とで切り替える。接続切替機構34としては、受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続の状態を、接続状態と、非接続状態とで切り替えることができれば、いずれの機構が用いられてもよい。接続切替機構34は、例えば、給電コネクタ21を受電コネクタ30に係止するための係止部材などを含む機構が用いられてよい。接続切替機構34は、例えば、特許文献1に記載の技術が用いられてもよい。
【0043】
切り離し機構35は、給電コネクタ21を受電コネクタ30から切り離す。切り離し機構35は、受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続の状態が非接続状態である場合に、給電コネクタ21を受電コネクタ30から切り離すことが可能である。切り離し機構35としては、給電コネクタ21を受電コネクタ30から切り離すことが可能であれば、いずれの機構が用いられてもよい。切り離し機構35は、例えば、圧縮コイルばねなどを含む機構が用いられてよい。切り離し機構35は、例えば、特許文献1に記載の技術が用いられてもよい。
【0044】
車両通信部36は、無線通信によって、各種の情報の送信及び受信を行う。車両通信部36は、無線通信を行うための通信インターフェース(I/F)を含む。車両通信部36は、充電器2と通信を行う。車両通信部36は、近距離無線通信、無線LAN、及び移動体通信網などのうち1以上によって無線通信を行う。
【0045】
次に図4を参照し、車両充電システム1において放電が検知される処理である放電検知処理の流れについて説明する。図4は、本実施形態に係る放電検知処理の流れの一例を示す図である。放電検知処理は、給電コネクタ21と受電コネクタ30とが接続され、充電制御部240によって充電が開始されると開始される。
【0046】
ステップS10:放電検知部27は、給電コネクタ21の端子間で発生する放電を検知する。その後、充電器2は、ステップS20の処理を実行する。
【0047】
ステップS20:放電検知部27は、放電を検知すると、放電検知信号を充電器制御部24に出力する。その後、充電器2は、ステップS30の処理を実行する。
【0048】
ステップS30:放電判定部241は、放電検知部27から出力された放電検知信号に基づいて放電が発生したか否かを判定する。放電判定部241は、当該放電検知信号に基づいて、給電コネクタ21の端子に流れる電流の大きさが所定の閾値より高い場合に放電が発生したと判定する。放電判定部241が、放電が発生したと判定した場合(ステップS30;YES)、充電器制御部24は、ステップS40の処理を実行する。一方、放電判定部241が、放電が発生していないと判定した場合(ステップS30;NO)、放電検知部27は、ステップS10の処理を再度実行する。
【0049】
ステップS40:放電発生信号出力部242は、放電発生信号を遮断部28に出力する。また、放電発生信号出力部242は、放電発生信号を報知制御部243に出力する。その後、充電器2は、ステップS50の処理を実行する。
【0050】
ステップS50:遮断部28は、放電発生信号出力部242から出力された放電発生信号を取得すると給電コネクタ21からの給電を遮断する。遮断部28は、放電発生信号を取得すると、まず、充電制御部240に充電を停止させる。次に、充電制御部240に充電を停止させた後、遮断部28は、遮断器によって交流電源4と給電コネクタ21とを接続する電路を遮断する。
【0051】
また、遮断部28は、受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続を解除する。遮断部28は、車両3に備えられる車両制御部33に、解除信号を送信する。
【0052】
車両制御部33に備えられる接続解除部331、及び切り離し部332はそれぞれ、解除信号を取得する。接続解除部331は、解除信号を取得すると、接続切替機構34を駆動して受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続を解除する。一方、切り離し部332は、解除信号を取得し、かつ接続解除部331によって受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続の解除が完了すると、切り離し機構35を駆動することによって給電コネクタ21を受電コネクタ30から切り離す。
その後、充電器2は、ステップS60の処理を実行する。
【0053】
なお、遮断部28は、遮断器によって電路を遮断する処理と、受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続を解除する処理とのうち一方のみを実行してもよい。その場合であっても、遮断部28は、放電発生信号を取得すると、まず、充電制御部240に充電を停止させる。
【0054】
なお、充電制御部240は、給電コネクタ21からの給電が遮断された状態において、交流電源4から報知部29への電力の供給を維持する。または、充電制御部240は、給電コネクタ21からの給電が遮断された時点において、交流電源4から報知部29への電力の供給を開始してもよい。
【0055】
ステップS60:報知制御部243は、放電発生信号出力部242から出力される放電発生信号を取得すると報知部29に報知を行わせる。報知部29は、給電コネクタ21の端子間に放電が発生したことを報知する。ここで報知部29は、交流電源4から供給された電力を用いて報知を行う。
【0056】
報知部29は、交流電源4から供給された電力を用いて、例えば、ランプを点灯させる。また別の例では、報知部29は、交流電源4から供給された電力を用いて、ブザーから報知音を鳴らしてもよい。また別の例では、報知部29は、操作部26にタッチパネルが含まれる場合には、当該タッチパネルに報知のための画像を表示させてもよい。
【0057】
また別の例では、報知部29は、ユーザに携帯されるスマートフォンなどの携帯端末装置に放電が発生したことを報知してもよい。その場合、報知部29は、充電器通信部210を介して携帯端末装置に報知を行う。また別の例では、報知部29は、専用の端子から外部装置に報知信号を出力してもよい。報知信号は、外部装置に放電発生の報知を行うための信号である。当該端子は、例えば、充電器通信部210に含まれる。なお、報知部29は、報知の方法として、上述した報知の方法のうち複数を組み合わせて行ってもよい。
以上で、車両充電システム1は、放電検知処理を終了する。
【0058】
なお、図4に示した放電検知処理において、ステップS60の処理は、ステップS50の処理と並行して実行されてもよい。また、ステップS60の処理は、ステップS50の処理より前に実行されてもよい。
【0059】
なお、図4に示した放電検知処理において、報知の処理(ステップS60)は省略されてもよい。その場合、充電器2の構成から報知制御部243、及び報知部29は省略されてもよい。
【0060】
以上に説明したように、本実施形態に係る車両充電制御システム(本実施形態において、充電器2)は、放電検知部27と、放電判定部241と、放電発生信号出力部242と、遮断部28と、を備える。
放電検知部27は、電源(本実施形態において、交流電源4)に電路を介して接続されかつ受電コネクタ30に接続される給電コネクタ21の端子間で発生する放電を検知する。
放電判定部241は、放電検知部27から出力される放電検知信号に基づいて放電の発生を判定する。
放電発生信号出力部242は、放電が発生したと放電判定部241が判定した場合、放電発生信号を出力する。
遮断部28は、放電発生信号に基づいて給電コネクタ21からの給電を遮断する。
【0061】
この構成により、本実施形態に係る車両充電制御システム(本実施形態において、充電器2)では、電気自動車の充電においてトラッキング現象の検出を行うことができるため、電気自動車の充電においてトラッキング現象が検出された場合に給電を遮断できる。
【0062】
また、本実施形態に係る車両充電制御システム(本実施形態において、充電器2)では、報知部29をさらに備える。
報知部29は、放電発生信号に基づいて放電が発生したことを、給電コネクタ21からの給電が遮断された状態において電源(本実施形態において、交流電源4)から供給された電力を用いて報知する。
【0063】
この構成により、本実施形態に係る車両充電制御システム(本実施形態において、充電器2)では、報知のための電源を別途設ける必要がないため、車両充電制御システム(本実施形態において、充電器2)の構成を簡便にできる。
【0064】
また、本実施形態に係る車両充電制御システム(本実施形態において、充電器2)では、遮断部28は、受電コネクタ30と給電コネクタ21との接続を解除することによって給電コネクタ21からの給電を遮断する。
【0065】
この構成により、本実施形態に係る車両充電制御システム(本実施形態において、充電器2)では、遮断器によって交流電源4と給電コネクタ21とを接続する電路を遮断することのみ給電の遮断を行う場合に比べてより確実に給電を遮断できるため、電気自動車の充電においてトラッキング現象が検出された場合に、より確実に給電を遮断できる。
【0066】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態では、放電が発生したことの報知が充電器によって行われる場合について説明をした。本実施形態では、放電が発生したことの報知が、車両によって行われる場合について説明をする。
なお、上述した第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、同一の構成及び動作についてはその説明を省略する場合がある。
【0067】
本実施形態に係る車両充電システムを車両充電システム1aという。図5は、本実施形態に係る車両充電システム1aの構成の一例を示す図である。車両充電システム1aは、充電器2aと、車両3aと、交流電源4とを備える。
【0068】
図6は、本実施形態に係る充電器2aの機能構成の一例を示す図である。充電器2aは、充電器制御部24aと、電力供給部25と、操作部26と、放電検知部27と、遮断部28と、充電器通信部210と、記憶部211とを備える。本実施形態に係る充電器2a(図6)と第1の実施形態に係る充電器2(図2)とを比較すると、充電器制御部24aの構成と、充電器2aには報知部29が備えられていない点とが異なる。
【0069】
充電器制御部24aは、充電制御部240と、放電判定部241と、放電発生信号出力部242aとを備える。充電器制御部24a(図6)と、第1の実施形態に係る充電器制御部24(図2)とを比較すると、報知制御部243が備えられていない点と、放電発生信号出力部242aが異なる。
放電発生信号出力部242aは、放電が発生したと放電判定部241が判定した場合、車両3aに放電発生信号を送信する。
【0070】
図7は、本実施形態に係る車両3aの機能構成の一例を示す図である。車両3aは、バッテリー31と、車両制御部33aと、接続切替機構34と、切り離し機構35と、車両通信部36と、車両報知部37aとを備える。本実施形態に係る車両3a(図7)と第1の実施形態に係る車両3(図3)とを比較すると、車両制御部33a、及び車両報知部37aが異なる。
【0071】
車両制御部33aは、車両充電制御部330と、接続解除部331と、切り離し部332と、車両報知制御部333aとを備える。
車両報知制御部333aは、充電器2から放電発生信号を取得すると、車両報知部37aに報知を行わせる。
【0072】
車両報知部37aは、充電器2に備えられる給電コネクタ21の端子間に放電が発生したことを報知する。車両報知部37aが報知を行う方法は、第1の実施形態に係る報知部29が報知を行う方法と同様である。車両報知部37aは、報知を行う方法に応じて、ランプ、及びブザーのうち1以上を含む。
【0073】
図8は、本実施形態に係る放電検知処理の流れの一例を示す図である。なお、ステップS110、ステップS120、ステップS130、及びステップS150の各処理は、図4におけるステップS10、ステップS20、ステップS30、及びステップS50の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
ステップS140:放電発生信号出力部242は、放電発生信号を遮断部28に出力する。その後、充電器2aは、ステップS150の処理を実行する。
【0075】
ステップS160の処理は、一例として、ステップS150の処理が実行された直後に実行される。
ステップS160:放電発生信号出力部242は、放電発生信号を車両3aに出力する。ここで放電発生信号出力部242は、一例として、無線通信によって放電発生信号を車両3aに送信する。その場合、当該無線通信は、充電器通信部210によって行われる。放電発生信号出力部242は、車両3aに備えられる車両報知制御部333aに、充電器通信部210を介して放電発生信号を送信する。
【0076】
別の一例として、放電発生信号出力部242は、信号線によって放電発生信号を車両3aに送信してもよい。その場合、充電器通信部210と車両通信部36とが信号線によって接続される。
その後、車両3aは、ステップS170の処理を実行する。
【0077】
ステップS170:車両報知制御部333aは、充電器2aから放電発生信号を取得すると車両報知部37aに報知を行わせる。車両報知部37aは、充電器2aに備えられる給電コネクタ21の端子間に放電が発生したことを報知する。ここで車両報知部37aは、一例として、バッテリー31から供給される電力を用いて報知を行う。
【0078】
なお、別の一例として、車両報知部37aは、充電器2aからの給電が遮断された後であっても、交流電源4から供給される電力を用いて報知を行ってもよい。その場合、充電器2aに備えられる電力供給部25と、車両報知部37aとが電力ケーブルによって接続されて、充電器2aからバッテリー31への電力の供給が遮断された後であっても、車両報知部37aには充電器2aから電力が供給される。
【0079】
車両報知制御部333aは、バッテリー31から供給される電力を用いて、例えば、ランプを点灯させる。また別の例では、車両報知制御部333aは、バッテリー31から供給される電力を用いて、ブザーから報知音を鳴らしてもよい。また別の例では、車両報知制御部333aは、車両3aに備えられる車載ディスプレイ(不図示)に報知のための画像を表示させてもよい。
以上で、車両充電システム1aは、放電検知処理を終了する。
【0080】
なお、図8に示した放電検知処理において、ステップS160の処理は、ステップS150の処理が実行された直後に実行される場合の一例について説明したが、これに限られない。ステップS160の処理は、ステップS150の処理の前に、ステップS140の処理が実行された直後に実行されてもよいし、ステップS140の処理と並行して実行されてもよい。また、ステップS160の処理、及びステップS170の処理が、ステップS150の処理の前に実行されてもよい。
【0081】
以上に説明したように、本実施形態に係る車両充電制御システム(本実施形態において、充電器2a)では、報知部(本実施形態において、車両報知部37a)は、車両3aに備えられる。
この構成により、本実施形態に係る車両充電制御システム(本実施形態において、充電器2a)では、車両充電制御システム(本実施形態において、充電器2a)による報知がユーザに認識されにくい状況であっても車両3aによって報知を行うことができるため、電気自動車の充電においてトラッキング現象が検出された場合に、より確実にユーザに報知を行うことができる。
【0082】
ここで、車両充電制御システム(本実施形態において、充電器2a)による報知がユーザに認識されにくい状況とは、例えば、キャンプ場などにおいて、充電中にユーザが電気自動車内におり、車外の様子(受電コネクタ30の付近の様子)を認識しにくい状況である。
【0083】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態、及び第2の実施形態では、車両に備えられるバッテリーが、交流電源から供給される電力によって充電器を介して充電され、放電が発生したことの判定が充電器によって行われる場合について説明をした。本実施形態では、外部給電器が、車両に備えられるバッテリーから供給される電力によって充電器を介して充電され、また、放電が発生したことの判定が車両によって行われる場合について説明をする。換言すれば、本実施形態では、車両に備えられるバッテリーから放電が行われる。
なお、上述した第1の実施形態、及び第2の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、同一の構成及び動作についてはその説明を省略する場合がある。
【0084】
本実施形態に係る車両充電システムを車両充電システム1bという。図9は、本実施形態に係る車両充電システム1bの構成の一例を示す図である。車両充電システム1bは、充電器2bと、車両3bと、外部給電器4bとを備える。
【0085】
外部給電器4bは、車両3bに備えられるバッテリー31から供給される電力によって充電が行われる電気機器である。外部給電器4bは、充電が完了すると、各種の電気機器が接続されて当該電気機器に電力を供給する。
外部給電器4bは、充電用コンセント5bを備える。充電用コンセント5bには、電源プラグ22が接続される。
【0086】
図10は、本実施形態に係る充電器2bの機能構成の一例を示す図である。充電器2bは、充電器制御部24bと、電力供給部25と、操作部26と、放電検知部27bと、遮断部28と、充電器通信部210と、記憶部211とを備える。本実施形態に係る充電器2b(図10)と第1の実施形態に係る充電器2(図2)とを比較すると、充電器制御部24b、及び放電検知部27bが異なる。
【0087】
充電器制御部24bは、充電制御部240と、放電発生信号出力部242bと、報知制御部243とを備える。
放電発生信号出力部242bは、車両3bから放電発生信号を取得する放電発生信号を遮断部28、及び報知制御部243にそれぞれ出力する。
【0088】
放電検知部27bは、給電コネクタ21の端子間で発生する放電を検知すると、放電検知信号を車両3bに送信する。
【0089】
図11は、本実施形態に係る車両3bの機能構成の一例を示す図である。車両3bは、バッテリー31と、車両制御部33bと、接続切替機構34と、切り離し機構35と、車両通信部36と、車両報知部37aと、記憶部211bとを備える。本実施形態に係る車両3b(図11)と第2の実施形態に係る車両3a(図7)とを比較すると、車両制御部33b、及び記憶部211bが異なる。
【0090】
車両制御部33bは、車両充電制御部330と、接続解除部331と、切り離し部332と、放電判定部334bと、放電発生信号出力部335bと、車両報知制御部333aとを備える。
【0091】
放電判定部334bは、充電器2から受信する放電検知信号に基づいて放電の発生を判定する。放電判定部334bは、充電器2に備えられる放電検知部27bから送信される放電検知信号に基づいて、給電コネクタ21の端子に流れる電流の大きさが所定の閾値より高い場合に放電が発生したと判定する。
【0092】
放電発生信号出力部335bは、放電が発生したと放電判定部334bが判定した場合、放電発生信号を出力する。放電発生信号出力部335bは、放電発生信号を充電器2に備えられる遮断部28に送信する。また、放電発生信号出力部335bは、放電発生信号を解除信号として接続解除部331、及び切り離し部332にそれぞれ出力する。また、放電発生信号出力部335bは、車両報知部37aに放電発生信号を出力する。
【0093】
記憶部211bは、各種の情報を記憶する。記憶部211bは、半導体記憶装置等の記憶装置を含む。記憶部211bが記憶する情報には、例えば、放電判定部334bが放電の発生を判定するために用いる電流値の閾値が含まれる。
【0094】
当該閾値を示す情報は、例えば、給電コネクタ21と受電コネクタ30とが接続されると、充電器2bから車両3bに送信されて、記憶部211bに記憶される。当該閾値を示す情報は、給電コネクタ21と受電コネクタ30とが接続される前から予め記憶部211bに記憶されてもよい。
【0095】
なお、放電判定部334b、放電発生信号出力部335b、及び車両報知制御部333aのうち1以上は、車両制御部33bとは別体の部材として車両3bに備えられてもよい。
【0096】
図12は、本実施形態に係る放電検知処理の流れの一例を示す図である。なお、ステップS210、及びステップS260の各処理は、図4におけるステップS10、及び図8におけるステップS50の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0097】
ステップS220:放電検知部27bは、給電コネクタ21の端子間で発生する放電を検知すると、放電検知信号を車両3bに送信する。放電検知部27bは、充電器通信部210を介して、放電検知信号を車両3bに送信する。その後、充電器2bは、ステップS230の処理を実行する。
【0098】
ステップS230:放電判定部334bは、放電検知部27bから出力された放電検知信号に基づいて放電が発生したか否かを判定する。放電判定部334bは、当該放電検知信号に基づいて、給電コネクタ21の端子に流れる電流の大きさが所定の閾値より高い場合に放電が発生したと判定する。放電判定部334bが、放電が発生したと判定した場合(ステップS230;YES)、放電判定部334bは、ステップS240の処理を実行する。一方、放電判定部334bが、放電が発生していないと判定した場合(ステップS230;NO)、放電検知部27は、ステップS210の処理を再度実行する。
【0099】
ステップS240:放電発生信号出力部335bは、放電発生信号を出力する。放電発生信号出力部335bは、放電発生信号を充電器2に備えられる遮断部28に送信する。また、放電発生信号出力部335bは、放電発生信号を解除信号として接続解除部331、及び切り離し部332にそれぞれ出力する。また、放電発生信号出力部335bは、車両報知部37aに放電発生信号を出力する。
その後、充電器2b、及び車両3bはそれぞれステップS250の処理を実行する。
【0100】
ステップS250:充電器2bに備えらえる遮断部28は、放電発生信号出力部335bから出力された放電発生信号を取得すると給電コネクタ21からの給電を遮断器によって遮断する。遮断部28が遮断器によって給電を遮断する処理は、上述したステップS50(図4)の処理と同様である。
【0101】
一方、車両3bに備えられる接続解除部331、及び切り離し部332はそれぞれ、放電発生信号出力部335bから出力された放電発生信号を解除信号として取得する。接続解除部331、及び切り離し部332が、解除信号を取得した後に行う処理はそれぞれ、上述したステップS50(図4)の処理と同様である。
その後、車両3bは、ステップS260の処理を実行する。
【0102】
ステップS260:車両報知制御部333aは、放電発生信号出力部335bから放電発生信号を取得すると車両報知部37aに報知を行わせる。車両報知部37aによる報知の処理は、上述したステップS170(図8)の処理と同様である。
【0103】
なお、ステップS260において、充電器2bに備えられる報知部29によって報知の処理が行われてもよい。その場合、報知部29による報知の処理は、上述したステップS60(図4)の処理と同様である。
ステップS260では、車両3bに備えらえる車両報知部37aによる報知の処理と、充電器2bに備えられる報知部29によって報知の処理との少なくとも一方が実行されればよい。
以上で、車両充電システム1bは、放電検知処理を終了する。
【0104】
なお、図12に示した放電検知処理において、報知の処理(ステップS260)は省略されてもよい。その場合、車両3bの構成から車両報知制御部333a、及び車両報知部37aは省略されてもよく、充電器2bの構成から報知制御部243、及び報知部29は省略されてもよい。
【0105】
以上に説明したように、本実施形態に係る車両充電制御システム(本実施形態において、車両充電システム1b)は、放電検知部27bと、放電判定部(本実施形態において、放電判定部334b)と、放電発生信号出力部(本実施形態において、放電発生信号出力部335b)と、遮断部(本実施形態において、遮断部28、並びに、接続解除部331及び切り離し部332)と、を備える。
放電検知部27bは、電源(本実施形態において、バッテリー31)に電路を介して接続されかつ受電コネクタ30に接続される給電コネクタ21の端子間で発生する放電を検知する。
放電判定部(本実施形態において、放電判定部334b)は、放電検知部27bから出力される放電検知信号に基づいて放電の発生を判定する。
放電発生信号出力部(本実施形態において、放電発生信号出力部335b)は、放電が発生したと放電判定部(本実施形態において、放電判定部334b)が判定した場合、放電発生信号を出力する。
遮断部(本実施形態において、遮断部28、並びに、接続解除部331及び切り離し部332)は、放電発生信号に基づいて給電コネクタ21からの給電を遮断する。
【0106】
この構成により、本実施形態に係る車両充電制御システム(本実施形態において、車両充電システム1b)では、電気自動車の充電においてトラッキング現象の検出を行うことができるため、電気自動車の充電においてトラッキング現象が検出された場合に給電を遮断できる。
【0107】
なお、上述した各実施形態において、放電が発生したか否かの判定に用いられる電流の大きさの閾値は、充電電圧に応じて変更されてもよい。その場合、放電判定部241は、充電電圧に応じて記憶部211に記憶される電流の大きさの閾値を変更する。例えば、放電判定部241は、当該閾値を、充電電圧が高いほど小さくする。例えば、充電電圧が普通充電時の200Vから急速充電時の400Vに変更された場合、放電判定部241は、当該閾値を200Vの場合の閾値の半分の値に変更する。
【0108】
以上に説明したように、各実施形態に係る車両充電制御システム(各実施形態において、充電器2、充電器2a、または充電器2b)では、前記放電判定部(各実施形態において、放電判定部241、または放電判定部334b)は、放電検知部27から出力される放電検知信号に基づいて、給電コネクタ21の端子に流れる電流の大きさが所定の閾値より高い場合に放電が発生したと判定し、当該閾値は、充電電圧に応じて変更される。
【0109】
この構成により、各実施形態に係る車両充電制御システム(各実施形態において、充電器2、充電器2a、または充電器2b)では、充電電圧が高いほど小さい電流値によって放電を検出することによって、車両充電システム1を電力を一定として充電させる場合に、放電(トラッキング現象)の検出において想定される電流値に適した精度で放電を検出できる。
【0110】
なお、上述した実施形態における充電器制御部24、24a、24b、車両制御部33、33a、33bの一部、例えば、放電判定部241、放電発生信号出力部242、242a、242b、報知制御部243、接続解除部331、切り離し部332、車両報知制御部333a、放電判定部334b、及び放電発生信号出力部335bをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、充電器制御部24、24a、24b又は車両制御部33、33a、33bに内蔵されたコンピュータシステムであって、オペレーティングシステム(Operating system:OS)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における充電器制御部24、24a、24b及び車両制御部33、33a、33bの一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。充電器制御部24、24a、24b及び車両制御部33、33a、33bの各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0111】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0112】
1、1a、1b…車両充電システム、2、2a、2b…充電器、 27、27b…放電検知部、241…放電判定部、242…放電発生信号出力部、28…遮断部、4…交流電源、21…給電コネクタ、30…受電コネクタ、31…バッテリー、334b…放電判定部、335b…放電発生信号出力部、331…接続解除部、332…切り離し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12