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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098673
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/04 20210101AFI20240717BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
F24C7/04 301Z
F24C7/02 301T
F24C7/02 315E
F24C7/02 320X
F24C7/02 345P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002301
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】河田 宏史
(72)【発明者】
【氏名】丹野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】竹中 香織
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 智美
【テーマコード(参考)】
3L086
3L087
【Fターム(参考)】
3L086AA01
3L086AA12
3L086AA13
3L086CA16
3L086CB04
3L086CB08
3L086DA24
3L087AA01
3L087AA04
3L087AA05
3L087BA03
3L087BB08
3L087BC02
3L087BC07
3L087CA11
3L087DA24
(57)【要約】
【課題】低温加熱ステップを含む加熱調理を行う場合に調理終了時間をユーザに好適に知らせる。
【解決手段】加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、被加熱物を加熱する加熱手段30と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41と、加熱手段を制御する制御部91と、操作入力を受け付け、各種の情報を表示する操作表示部(操作パネル16)と、を備える。制御部は、加熱調理の開始の前又は後に、接触式温度測定手段によって測定された被加熱物の測定内部温度Tfに基づいて調理終了時間Hseを推定し、調理終了時間に基づいて算出される調理終了時刻Pe及び残調理時間と調理終了時間とのいずれか1つ又は複数を操作表示部に表示し、測定内部温度が所定の温度に到達した後に、又は、測定内部温度が所定の温度に到達してから所定の時間加熱を継続した後に、加熱調理を終了するように制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する加熱室と、
前記被加熱物を加熱する加熱手段と、
前記被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段と、
前記加熱手段を制御する制御部と、
操作入力を受け付け、各種の情報を表示する操作表示部と、を備え、
前記制御部は、
加熱調理の開始の前又は後に、前記接触式温度測定手段によって測定された前記被加熱物の測定内部温度に基づいて調理終了時間を推定し、前記調理終了時間に基づいて算出される調理終了時刻及び残調理時間と前記調理終了時間とのいずれか1つ又は複数を前記操作表示部に表示し、
前記測定内部温度が所定の温度に到達した後に、又は、前記測定内部温度が前記所定の温度に到達してから所定の時間加熱を継続した後に、前記加熱調理を終了するように制御する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、前記測定内部温度と予め設定された目標内部温度との差と、前記測定内部温度の上昇速度と、前記目標内部温度と予め設定された加熱室内設定温度との差との中の任意の情報を用いて前記調理終了時間を推定する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、事前に登録された食品種目と、食品重量と、初期の表面温度と、前記測定内部温度とを用いて前記調理終了時間を推定する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、任意のタイミングで前記調理終了時間の推定を繰り返し行い、前記調理終了時間を減算することで得られる当初値と相違する値が新たに推定される場合に、当初値を新たに推定される値に変更することで、調理終了時間を更新する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、ユーザにより設定される調理終了時間又は調理終了時刻と、目標内部温度とに基づいて、加熱室内設定温度を設定する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項6】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、前記測定内部温度の上昇速度に基づいて、加熱室内設定温度を調整する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項7】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、前記測定内部温度及び予め設定された目標内部温度のいずれか一方又は双方を前記操作表示部に表示する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項8】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、前記調理終了時間の終了時刻よりも任意の時間前に調理終了予告時間を前記操作表示部に表示する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項9】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、ユーザによって設定された指定調理終了時間に基づいて、適切な調理開始時間を推定して前記操作表示部に表示する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項10】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、ユーザによって設定された加熱室内設定温度よりも適切な候補温度がある場合に、当該加熱室内設定温度の終了時間と前記候補温度とを前記操作表示部に表示する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項11】
請求項1に記載の加熱調理器において、
外部装置と通信するための通信部を備え、
前記制御部は、前記調理終了時刻と前記残調理時間と前記調理終了時間とのいずれか1つ又は複数を前記外部装置に通知する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項12】
請求項11に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、前記測定内部温度及び予め設定された目標内部温度のいずれか一方又は双方を前記外部装置に通知する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項13】
請求項11に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、前記調理終了時間の終了時刻よりも任意の時間前に調理終了予告時間を前記外部装置に通知する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項14】
請求項11に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、ユーザによって設定された指定調理終了時間に基づいて、適切な調理開始時間を推定して前記外部装置に通知する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項15】
請求項11に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、ユーザによって設定された加熱室内設定温度よりも適切な候補温度がある場合に、当該加熱室内設定温度の終了時間と前記候補温度とを前記外部装置に通知する、
ことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被加熱物の表面温度と内部温度を測定しながら被加熱物を加熱する加熱調理器がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-215977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、特に低温加熱ステップを含む加熱調理(低温調理)は、調理時間が長くなる傾向にあるとともに、被加熱物の測定内部温度に基づいて加熱温度を変えていく。そのため、調理終了時間をユーザに知らせ難いものである。特許文献1に開示された従来技術は、低温加熱ステップを含む加熱調理を行う場合に、調理終了時間をユーザに知らせることを考慮していないため、調理終了時間をユーザに知らせることが望まれている。
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、低温加熱調理を行う場合に調理終了時間をユーザに好適に知らせる加熱調理器を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、加熱調理器であって、被加熱物を収容する加熱室と、前記被加熱物を加熱する加熱手段と、前記被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段と、前記加熱手段を制御する制御部と、操作入力を受け付け、各種の情報を表示する操作表示部と、を備え、前記制御部は、加熱調理の開始の前又は後に、前記接触式温度測定手段によって測定された前記被加熱物の測定内部温度に基づいて調理終了時間を推定し、前記調理終了時間に基づいて算出される調理終了時刻及び残調理時間と前記調理終了時間とのいずれか1つ又は複数を前記操作表示部に表示し、前記測定内部温度が所定の温度に到達した後に、又は、前記測定内部温度が前記所定の温度に到達してから所定の時間加熱を継続した後に、前記加熱調理を終了するように制御する、構成とする。
その他の手段は、後記する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る加熱調理器の斜視図である。
図2】実施形態に係る加熱調理器の側断面図である。
図3】ドアを開けた状態の実施形態に係る加熱調理器の斜視図である。
図4】ドアを開けてテーブルプレートを取り外した状態の実施形態に係る加熱調理器の斜視図である。
図5】接触式温度測定手段の構成図である。
図6】接触式温度測定手段の内部の模式構成図である。
図7】接触式温度測定手段の第1変形例の模式構成図である。
図8】接触式温度測定手段の第2変形例の模式構成図である。
図9】接触式温度測定手段の第3変形例の模式構成図である。
図10A】接触式温度測定手段の接続部の説明図(1)である。
図10B】接触式温度測定手段の接続部の説明図(2)である。
図10C】接触式温度測定手段の接続部の説明図(3)である。
図11A】接触式温度測定手段の接続部の変形例の説明図(1)である。
図11B】接触式温度測定手段の接続部の変形例の説明図(2)である。
図12】実施形態に係る加熱調理器のブロック図である。
図13】制御部で推定された断面温度分布の画像の一例を示す説明図である。
図14】実施形態に係る加熱調理器の動作を示すフローチャートである。
図15】第1調理パターンでの温度制御の一例を示す説明図である。
図16】第2調理パターンでの温度制御の一例を示す説明図である。
図17】第3調理パターンでの温度制御の一例を示す説明図である。
図18】第4調理パターンでの温度制御の一例を示す説明図である。
図19】低温加熱調理における調理終了時間の説明図である。
図20】低温加熱調理を行う場合の動作を示すフローチャートである。
図21】低温加熱調理に関する情報の表示例の説明図である。
図22】低温加熱調理の第1変更例の動作を示すフローチャートである。
図23】低温加熱調理の第2変更例の動作説明図である。
図24】低温加熱調理の第3変更例の動作説明図である。
図25】低温加熱調理の第3変更例の動作を示すフローチャートである。
図26】低温加熱調理の第4変更例の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
前記した特許文献1に開示された従来技術は、高周波(マイクロ波)によるレンジ加熱ユニットを使用する場合に、被加熱物の内部温度を測定する際に使用される接触式温度測定手段の一部に金属が用いられていると、接触式温度測定手段の各部位でスパーク(短絡)が発生する。本発明は、接触式温度測定手段でのスパーク発生を防止する加熱調理器を提供することも意図している。また、特許文献1に開示された従来技術は、被加熱物の表面温度と内部温度の双方を用いて調理に適した加熱制御を行うことで、調理品位を向上させることについては考慮されていないため、調理品位を向上させる余地がある。本発明は、調理品位を向上させた加熱調理器を提供することも意図している。
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0009】
<加熱調理器の構成>
以下、図1から図4を参照して、本実施形態に係る加熱調理器100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る加熱調理器100の構成を示す図である。図2は、加熱調理器100の側断面図である。図3は、ドア13を開けた状態の加熱調理器100の斜視図である。図4は、ドア13を開けて後記するテーブルプレート24a,24bを取り外した状態の加熱調理器100の斜視図である。
【0010】
図1から図4に示すように、加熱調理器100は、本体11の内部に、上下左右と奥に壁を備える加熱室21が設けられている。加熱調理器100は、加熱室21の中に被加熱物(被調理物)を入れ、ヒータの熱や、水蒸気の熱、熱風の熱、高周波(マイクロ波)を用いて被加熱物を加熱調理する。
【0011】
図1に示すように、加熱調理器100の本体11は、外枠12(キャビネット)によって上面と左右側面が覆われている。
【0012】
加熱調理器100の本体11の前面側には、ドア13が設けられている。ドア13は、加熱室21の内部に被加熱物を出し入れするために開閉するもので、ドア13を閉めることで加熱室21を密閉状態にする。ドア13は、加熱室21を密閉状態にすることで、被加熱物を加熱する時に使用する高周波(マイクロ波)の漏洩を防止し、熱を封じ込め、効率良く加熱することを可能とする。
【0013】
ドア13の中央部には、透過性の高いガラス窓14が設けられている。ガラス窓14は、調理中の食品の状態が確認できるようにドア13に取り付けられている。ガラス窓14は、ヒータ等の発熱による高温に耐えるガラスを使用している。
【0014】
また、ドア13の上端部付近には、取っ手15が設けられている。取っ手15は、ドア13の開閉を容易にするもので、手で握りやすい形状になっている。
【0015】
また、ドア13の前面下側付近には、操作パネル16が設けられている。操作パネル16は、ユーザの操作を受け付けたり、各種の情報をユーザに提示するものである。操作パネル16は、操作部16bから入力されたユーザの操作内容や調理の進行状態を表示する表示部16aと、加熱手段を選択したり、加熱時間等の調理条件を選択したり、自動メニューを入力したりするための操作部16bと、各種の情報を音声でユーザに知らせる音声手段16cと、を有している。
【0016】
加熱調理器100は、本体11の内部に、温度を測定する温度測定手段40を備えている。本実施形態では、温度測定手段40は、接触式温度測定手段41と、非接触式温度測定手段42と、空気温度測定手段43と、を有しているものとして説明する。接触式温度測定手段41は、刺込部51(図3参照)を被加熱物の内部に刺し込み、刺込部51(図3参照)の内部に設けられた測定部50(図3参照)で被加熱物の内部温度を測定する温度測定手段である。接触式温度測定手段41は、加熱調理器100の本体11から取り外し可能な構成になっている。非接触式温度測定手段42は、被加熱物の表面温度を測定する温度測定手段である。空気温度測定手段43は、加熱室21内の空気温度を測定する温度測定手段である。
【0017】
加熱調理器100の本体11の下部には、本体11から取り外された接触式温度測定手段41(図5参照)を収納する収容部19が設けられている。また、加熱調理器100の本体11の右側下部には、接触式温度測定手段41が収容部19に収容されたことを検知する収容検知手段19aが設けられている。ただし、収容部19と収容検知手段19aの位置は、本体11の右側下部から別の場所に変更することができる。なお、接触式温度測定手段41は、一端側に測定部50と、他端側に挿入部61(図5参照)と、一端側と他端側をつなぐ導線部53を有するケーブル状の部材であり、ユーザが必要な時に収容部19から取り出して使用するものである。
【0018】
また、加熱調理器100の本体11の左側下部には、後記する水蒸気発生ユニット33で水蒸気を発生させる際に使用される水を貯留する水タンク33bが設けられている。ただし、水タンク33bの位置は、本体11の左側下部から別の場所に変更することができる。
【0019】
また、加熱調理器100の本体11の後面側上部には、内部の空気を排気する外部排気口18が設けられている。
【0020】
図2に示すように、加熱調理器100の内部には、被加熱物を加熱するための加熱手段30が設けられている。図2は、図1に示す線A1-A1に沿って加熱調理器100を切断して右側(白抜き矢印の方向)から見たときの断面図である。本実施形態では、加熱手段30は、グリル加熱ユニット31と、レンジ加熱ユニット32と、水蒸気発生ユニット33と、熱風ユニット34と、を有しているものとして説明する。グリル加熱ユニット31は、ヒータ31aを発熱させてヒータ31aで被加熱物を加熱する加熱手段である。レンジ加熱ユニット32は、マグネトロン32aより放射される高周波(マイクロ波)で被加熱物を加熱する加熱手段である。水蒸気発生ユニット33は、ボイラー加熱手段33aで水タンク33b(図1参照)に貯留された水を加熱して水蒸気を発生させ、水蒸気で被加熱物を加熱する加熱手段である。水蒸気発生ユニット33は、加熱室21の壁面22に設けられた複数のスチーム噴出口33cから水蒸気を被加熱物に噴射して被加熱物を加熱する。熱風ユニット34は、熱風ヒータ34aで空気を加熱して熱風を発生させ、熱風で被加熱物を加熱する加熱手段である。
【0021】
加熱室21の内部には、被加熱物を載置するための加熱皿であるテーブルプレート24a,24bが配置される。テーブルプレート24aは、加熱室21の底面23に配置される加熱皿であり、テーブルプレート24bは、加熱室21の内部に設けられた凸部の上に配置される加熱皿である。加熱室21の底面23の奥側には、テーブルプレート24aが加熱室21の底面23に載置されたことを検知するための載置検知手段25が設けられている。載置検知手段25は、重量センサで構成することができる。
【0022】
加熱調理器100の内部には、制御基板90と通信部99が設けられている。制御基板90には、加熱を制御する制御部91と、加熱制御に用いるプログラムPR(図12参照)が予め記憶された記憶部92とが実装されている。通信部99は、携帯端末200やサーバ300、パーソナルコンピュータ400等の外部装置と通信を行う。
【0023】
図2から図4に示すように、加熱室21において、左側の壁面22の上側付近には、接触式温度測定手段41の被挿入部62が設けられている。ただし、被挿入部62の位置は、左側の壁面22の上側付近から別の場所に変更することができる。
【0024】
なお、従来の接触式温度測定手段は、一部に金属が用いられていると、レンジ加熱ユニットを使用する際に、各部位でスパーク(短絡)が発生する。スパークは、高周波(マイクロ波)により金属部分の自由電子が励起され、比較的距離が近く、電位差のある部分で発生する。例えば、金属が用いられた接触式温度測定手段は、刺込部(プローブ)の先端の金属部と内部の導線(サーミスタ導線)との間、刺込部(プローブ)の先端の金属部と加熱室21の壁面との間、又は、導線(サーミスタ導線)の内部で、スパークが発生する。そのため、金属が用いられた接触式温度測定手段は、レンジ加熱ユニット以外の加熱手段(ヒータで被加熱物を加熱するグリル加熱ユニット、水蒸気の熱で被加熱物を加熱する水蒸気発生ユニット、熱風の熱で被加熱物を加熱する熱風ユニット)を使用する場合にしか利用できず、利便性が低い。また、接触式温度測定手段は、利便性を向上させるために、金属を排除した構成にすると、製造コストが高騰してしまう。そのため、接触式温度測定手段は、製造コストを高騰させずにスパーク発生を防止して、利便性を向上させることが望まれる。そこで、本実施形態では、各部位で電位差が発生しないように構成した接触式温度測定手段41を提供する。
【0025】
<接触式温度測定手段の構成>
以下、図5及び図6を参照して、接触式温度測定手段41の構成について説明する。図5は、接触式温度測定手段41の構成図である。図6は、接触式温度測定手段41の内部の模式構成図である。
【0026】
図5に示すように、接触式温度測定手段41は、刺込部51(プローブ)と、グリップ部52と、導線部53と、を有している。刺込部51は、接触式温度測定手段41の先端部であり、被加熱物の内部に刺し込まれる。刺込部51の素材には、導電性部材(金属)が用いられている。刺込部51の先端内部には、被加熱物の内部温度を測定するための測定部50が設けられている。グリップ部52は、ユーザによって把持される把持部である。グリップ部52の素材には、絶縁部材が用いられている。導線部53は、測定部50と加熱調理器100の本体11(本実施形態では、加熱室21の壁面22)とを接続する線である。導線部53の素材には、導電性部材(金属)が用いられている。
【0027】
導線部53の後端には、接続部60が設けられている。接続部60は、測定部50と加熱調理器100の本体11(本実施形態では、加熱室21の壁面22)とを電気的に接続する部位である。接続部60は、接触式温度測定手段41側の挿入部61と加熱調理器100の本体11側の被挿入部62とを有しており、挿入部61と被挿入部62とに分離することができる。つまり、接触式温度測定手段41は、挿入部61を被挿入部62の挿入口62aに挿入したり、被挿入部62の挿入口62aから挿入部61を抜いたりすることができる。挿入部61を被挿入部62の挿入口62aに挿入することで、測定部50(サーミスタ素子)と制御基板90(図12参照)とが電気的に接続され、制御基板90による温度測定が可能となる。また、挿入部61を被挿入部62を抜くことで、接触式温度測定手段41を収容部19に収容することが可能となる。
【0028】
図6に示すように、接触式温度測定手段41の測定部50は、保護管55に覆われ、かつ、測定部50に電圧を供給するサーミスタ導線54(導線)によって接続部60に接続されている。保護管55は、刺込部51(先端部)からグリップ部52(把持部)内部の途中まで設けられている。保護管55は金属製であり、金属材57によって加熱室21の壁面22と導通されている。金属材57は、グリップ部52(把持部)内部の途中から導線部53の全域に亘って設けられている。このような接触式温度測定手段41では、表面が導電性部材(保護管55と金属材57)により加熱室21の壁面22と導通(電気的に接続)される。そのため、加熱調理器100は、接触式温度測定手段41の各部位で加熱調理器100の本体11と同じ電位になるように構成すること(つまり、接触式温度測定手段41の各部位で電位差が発生しないように構成すること)ができる。これにより、加熱手段30のレンジ加熱ユニット32が作動したときにおける(マイクロ波が加熱室21内に導波されたときにおける)、接触式温度測定手段41でのスパーク発生を防止することができる。
【0029】
なお、金属材57は、好ましくは、金属メッシュ部材であるとよい。これにより、加熱調理器100は、接触式温度測定手段41でのスパーク発生を防止することができるとともに、金属材57に柔軟性を持たせて、使い易さを向上させることができる。
【0030】
<接触式温度測定手段の変形例の構成>
図6に示す接触式温度測定手段41は、例えば、図7から図9に示す接触式温度測定手段41A,41B,41Cのように変形することができる。図7から図9は、それぞれ、接触式温度測定手段41の第1、第2、第3変形例である接触式温度測定手段41A,41B,41Cの模式構成図である。
【0031】
図7に示す接触式温度測定手段41Aは、金属材57を、導電性部材であるシールドメッシュ57aとして構成し、さらに、シールドメッシュ57aの表面が絶縁部材である導線カバー58で覆われた構成になっている。このような接触式温度測定手段41Aでは、各部位が導電性部材(保護管55とシールドメッシュ57a)により加熱室21の壁面22と導通される。そのため、加熱調理器100は、接触式温度測定手段41Aの各部位で加熱調理器100の本体11と同じ電位になるように構成すること(つまり、接触式温度測定手段41Aの各部位で電位差が発生しないように構成すること)ができる。これにより、加熱手段30のレンジ加熱ユニット32が作動したときに、接触式温度測定手段41Aでのスパーク発生を防止することができる。また、接触式温度測定手段41Aは、シールドメッシュ57aにより導線部53に柔軟性を持たせることができ、導線部53の変形が容易になり、刺込部51(プローブ)の使用性を向上させることができる。また、接触式温度測定手段41Aは、絶縁部材である導線カバー58でシールドメッシュ57aを覆うことにより、シールドメッシュ57aへの汚れの付着や入り込みを防止しすることができ、絶縁部材である導線カバー58にフッ素やシリコン系などの耐汚染性能を有する素材とすることで清掃性を向上することができる。
【0032】
また、図8に示す接触式温度測定手段41Bでは、測定部50は、刺込部51(先端部)からグリップ部52(把持部)内部の途中まで設けられた保護管55で覆われ、かつ、測定部50に電圧を供給するサーミスタ導線54(導線)によって接続部60に接続されている。保護管55は、表面が絶縁被覆部材59Bで覆われた構成になっている。絶縁被覆部材59Bは、刺込部51(プローブ)の全域に設けられた絶縁部材である。
【0033】
また、図9に示す接触式温度測定手段41Cでは、図8に示す接触式温度測定手段41Bと比較すると、絶縁被覆部材59Bの代わりに、絶縁被覆部材59Cを有する点で相違する。絶縁被覆部材59Cは、刺込部51(プローブ)の先端に設けられた絶縁部材である。
【0034】
図8に示す接触式温度測定手段41B及び図9に示す接触式温度測定手段41Cは、保護管55の表面が全部又は部分的に絶縁されているため、保護管55と加熱室21の壁面またはドア13の加熱室側との間のスパーク(短絡)を防止することができ、スパーク(短絡)による加熱調理器100の本体11の損傷を防止することができる。
【0035】
さらに、絶縁被覆部材59Cの被覆範囲を保護管55の中の測定部50を含む、最低刺込量と同一またはそれ以上とすることで、使用者に必要な刺込量を示すことができる。最低刺込量とは、測定部50や保護管55の材質や構造、位置関係によって決まる正しく非加熱物の内部温度を測定するために最低限必要な刺込量である。
【0036】
接触式温度測定手段41,41A,41B,41Cの接続部60は、例えば、図10Aから図10Cに示す構成になっている。ここでは、接触式温度測定手段41を用いて、接続部60の構成について説明する。図10Aから図10Cは、それぞれ、接触式温度測定手段41の接続部60の説明図である。図10Aから図10Cは、被挿入部62から挿入部61を取り外す際の工程を示している。挿入部61を被挿入部62に取り付ける(接続する)際の工程は、図10Aから図10Cに示す工程とは逆になる。
【0037】
図10Aに示すように、接触式温度測定手段41の接続部60は、挿入部61と被挿入部62とを有し、挿入部61の挿入ピン61aが被挿入部62の挿入口62aに挿入される構成になっている。
【0038】
本実施形態では、被挿入部62の内部には、挿入部61によって動作するスイッチ部63が設けられている。加熱調理器100の制御部91は、接触式温度測定手段41の挿入部61が被挿入部62に挿入された場合に、スイッチ部63(図10B参照)が作動することで、接触式温度測定手段41が挿入されたことを検出する。
【0039】
また、被挿入部62の挿入口62aの周囲には、加熱室21の外側に向けて立壁68が設けられている。立壁68は、バーリング加工で構成される。加熱調理器100は、立壁68によって測定部50に対する電磁波遮蔽効果を向上させることができる。
【0040】
図10Bに示すように、被挿入部62から挿入部61が引き抜かれることで、接触式温度測定手段41は、加熱室21の壁面22(図2から図4参照)から取り外すことができる。取り外された接触式温度測定手段41は、収容部19(図1参照)に収容される。
【0041】
図10Cに示すように、接触式温度測定手段41は、被挿入部62の挿入口62aに蓋部66を取り付けることができる。これにより、加熱調理器100は、被挿入部62の内部に塵埃が侵入することや調理時に生じた水蒸気や油分が侵入することを蓋部66で防止できる。これにより、塵埃や油分で導通性が悪くなったり、水蒸気でさびたりして、接触不良を起こすことを防止できる。
【0042】
図10Aから図10Cに示す接続部60は、例えば、図11A及び図11Bに示す接続部60Aのように変形することができる。図11A及び図11Bは、それぞれ、接続部60の変形例である接続部60Aの説明図である。図11A及び図11Bは、被挿入部62から挿入部61を取り外す際の工程を示している。挿入部61を被挿入部62に取り付ける(接続する)際の工程は、図11A及び図11Bに示す工程とは逆になる。
【0043】
図11Aに示すように、変形例の接続部60Aは、接続部60(図10A参照)と比較すると、内部に蓋部66Aを有する点で相違する。蓋部66Aは、ヒンジ軸67によって回動自在に軸支され、挿入口62aに挿入部61が挿入されていない場合に、立壁68に突き当たる構成になっている。蓋部66Aは、ヒンジ軸67は、挿入口62aの上方に設けられている。図11Bに示すように、蓋部66Aは、挿入口62aに挿入部61が挿入されていない場合に、自重で下りて挿入口62aを閉じる構成になっている。蓋部66Aとヒンジ軸67は、蓋部66Aの自重で閉じない位置関係としてもよい。その場合には、フタ部が立壁68に突き当たるために、バネ力により蓋部66Aを保持する必要がある。
【0044】
このような接続部60Aが設けられた加熱調理器100は、挿入口62aに挿入部61が挿入されていない場合に、挿入口62aを自動的に閉じることができる。これにより、被挿入部62の内部に塵埃が侵入することや調理時に生じた水蒸気や油分が侵入することを蓋部66で防止できる。その結果、塵埃や油分で導通性が悪くなったり、水蒸気でさびたりして、接触不良を起こすことを防止できる。
【0045】
図12は、加熱調理器100のブロック図である。加熱調理器100は、操作パネル16と、加熱手段30と、温度測定手段40と、制御基板90と、を備えている。
【0046】
操作パネル16は、それぞれ前記した表示部16aと、操作部16bと、音声手段16cと、を有している。
【0047】
加熱手段30は、グリル加熱ユニット31と、レンジ加熱ユニット32と、水蒸気発生ユニット33と、熱風ユニット34と、を有している。グリル加熱ユニット31は、発熱して被加熱物を加熱するヒータ31aを有している。レンジ加熱ユニット32は、高周波(マイクロ波)を放射するマグネトロン32aを有している。水蒸気発生ユニット33は、水タンク33b(図1参照)に貯留された水を加熱して水蒸気を発生させるボイラー加熱手段33aを有している。熱風ユニット34と、空気を加熱して熱風を発生させる熱風ヒータ34aを有している。
【0048】
温度測定手段40は、それぞれ前記した接触式温度測定手段41と、非接触式温度測定手段42と、空気温度測定手段43と、を有している。
【0049】
制御基板90は、加熱調理器100の動作を制御する制御部91と、各種の情報を記憶する記憶部92と、を有している。記憶部92には、加熱制御に用いるプログラムPR(図12参照)が予め記憶されている。
【0050】
制御部91は、接触式温度測定手段41で測定される被加熱物の内部温度と、非接触式温度測定手段42で測定される被加熱物の表面温度とから、被加熱物の加熱中の断面温度分布(内部温度分布)を推定し、推定された断面温度分布の画像(図13参照)を表示部16aに表示させることができる。図13は、制御部91で推定された断面温度分布の画像の一例を示す説明図であり、鳥の脚部110の断面温度分布を示している。
【0051】
また、制御部91は、加熱調理器100と連携可能な携帯端末200やサーバ300、パーソナルコンピュータ400の表示部200a,300a,400aに、接触式温度測定手段41によって測定された温度や、推定された断面温度分布の画像(図13参照)を表示させるようにしてもよい。
【0052】
また、制御部91は、加熱調理器100と連携可能なパーソナルコンピュータ400のプリンタ400bに、接触式温度測定手段41によって測定された温度や、推定された断面温度分布の画像(図13参照)を印刷させるようにしてもよい。
【0053】
<加熱調理器の動作>
以下、図14を参照して、接触式温度測定手段41によって温度を測定しつつ加熱調理する場合の加熱調理器100の動作について説明する。図14は、加熱調理器100の動作を示すフローチャートである。
【0054】
加熱調理器100の制御部91は、操作部16bからユーザの操作を受け付ける(ステップS110)。次に、制御部91は、ユーザの操作内容に基づいて、調理パターンを決定する(ステップS120)。なお、ここでは、制御部91が接触式温度測定手段41によって温度を測定しつつ加熱調理する調理パターンを選択するものとして説明するが、ユーザが調理パターンを選択するようにしてもよい。
【0055】
調理パターンとしては、例えば、図15から図18に示す第1、第2、第3、第4調理パターンがある。加熱調理器100は、調理メニューや被加熱物の種類等に応じて、様々な調理パターンを使い分けることで、高度な調理を行うことができる。ただし、図15から図18に示す調理パターンは、一例に過ぎず、運用に応じて適宜パターンを変更したり、削除したり、異なるパターンを追加したりすることができる。調理パターンの詳細については、後記する。
【0056】
ステップS120の後、制御部91は、接触式温度測定手段41の取付の有無をチェックし(ステップS130)、取付がOKか否かを判定する(ステップS140)。
【0057】
ステップS140の判定で、取付がOKでないと判定された場合(“No”の場合)に、制御部91は、対応処理を実行する(ステップS150)。このとき実行される対応処理としては、ユーザに接触式温度測定手段41の取付を促したり、調理パターンの変更を要請したりする等の処理がある。この後、処理はステップS130に戻る。
【0058】
一方、ステップS140の判定で、取付がOKであると判定された場合(“Yes”の場合)に、制御部91は、温度測定と調理を実行する(ステップS160)。この後、制御部91は、エラーが検出された否かを判定する(ステップS170)。
【0059】
ステップS170の判定で、エラーが検出されたと判定された場合(“Yes”の場合)に、制御部91は、調理を中断して、エラー対応処理を実行し(ステップS180)、一連の処理を終了する。このとき実行されるエラー対応処理としては、接触式温度測定手段41によって被加熱物の温度が測定できていないことのユーザへの通知や、調理を中断した旨の通知等がある。
【0060】
一方、ステップS170の判定で、エラーが検出されていないと判定された場合(“No”の場合)に、制御部91は、調理が完了したか否かを判定する(ステップS190)。ステップS190の判定で、調理が完了していないと判定された場合(“No”の場合)に、処理はステップS170に戻る。一方、ステップS190の判定で、調理が完了したと判定された場合(“Yes”の場合)に、一連の処理を終了する。
【0061】
<調理パターンの一例>
以下、図15から図18を参照して、調理パターンの一例について説明する。図15は、第1調理パターンでの温度制御の一例を示す説明図である。図16は、第2調理パターンでの温度制御の一例を示す説明図である。図17は、第3調理パターンでの温度制御の一例を示す説明図である。図18は、第4調理パターンでの温度制御の一例を示す説明図である。
【0062】
図15に示す第1調理パターンは、基本的な制御を行うパターンである。第1調理パターンでは、制御部91は、加熱室21の設定温度を高温に設定して、被加熱物の表面を焼き固める初期加熱ステップを実行し、初期加熱ステップの後に、被加熱物の内部温度を維持する温度維持ステップを実行する。図15に示す例では、制御部91は、被加熱物の内部温度が調理パターンに応じて任意に定められた加熱停止温度T11に到達するまで被加熱物の昇温ステップを実行する。そして、被加熱物の内部温度が加熱停止温度T11に到達した場合に、制御部91は、加熱を停止する。この後、加熱室21内および被加熱物の表面付近の余熱で被加熱物の内部温度が上昇する。そして、被加熱物の内部温度が調理パターンに応じて任意に設定された食品目標温度T12(維持温度)に到達した場合に、制御部91は、温度維持ステップを実行する。温度維持ステップでは、ユーザによって設定されたメニュー又は時間に対応する温度維持時間H12の経過後に加熱を終了する。第1調理パターンは、ユーザの操作内容に適した基本的な調理を行うことができる。なお、食品目標温度T12は、「維持温度」と称する場合もあれば、「第1温度」と称する場合もある。「維持温度」は、ほぼ一定に維持するべき温度を意味している。「第1温度」は、目標とすべき温度を意味している。本実施形態では、維持温度と第1温度が同じ場合を想定して説明するが、維持温度と第1温度が異なる場合もあり得る。
【0063】
図16に示す第2調理パターンは、低温加熱ステップと温度維持ステップと仕上げ加熱ステップとを行うパターンである。第2調理パターンでは、制御部91は、加熱室21の設定温度を低温に設定する低温加熱ステップと温度維持ステップを実行し、低温加熱ステップの後に、加熱室21の設定温度を高温に設定する仕上げ加熱ステップを実行する。第2調理パターンは、仕上げ加熱ステップで被加熱物の内部から表面に染み出た肉汁を蒸発させて、被加熱物の表面を焼き固める調理を行うことができる。この調理パターンでは、低温加熱ステップと温度維持ステップのどちらか一方の後に仕上げ加熱ステップとを組み合わせてもよい。
【0064】
図17に示す第3調理パターンは、初期加熱ステップと低温加熱ステップと温度維持ステップとを行うパターンである。第3調理パターンでは、制御部91は、加熱室21の設定温度を高温に設定して、被加熱物の表面を焼き固める初期加熱ステップを実行し、被加熱物の表面温度が調理パターンに応じて任意に定められた食品目標温度T12に到達した場合に、初期加熱ステップを終了し、加熱室21の設定温度を低温に設定する低温加熱ステップと温度維持ステップを実行する。第3調理パターンは、被加熱物の表面を焼き固めてから被加熱物の内部をゆっくりと加熱することで、表面から肉汁が染み出ることを防止し、柔らかく水分保持率が高い調理を行うことができる。この調理パターンでは、低温加熱ステップと温度維持ステップのどちらか一方と初期加熱ステップとを組み合わせてもよい。
【0065】
図18に示す第4調理パターンは、初期加熱ステップと低温加熱ステップと温度維持ステップと仕上げ加熱ステップとを行うパターンである。第4調理パターンでは、制御部91は、加熱室21の設定温度を高温に設定して、被加熱物の表面を焼き固める初期加熱ステップを実行し、初期加熱ステップの後、加熱室21の設定温度を低温に設定する低温加熱ステップと温度維持ステップを実行する。そして、制御部91は、その後、加熱室21の設定温度を高温に設定する仕上げ加熱ステップを実行する。第4調理パターンは、被加熱物の表面を焼き固めてから被加熱物の内部をゆっくりと加熱し、さらに、仕上げ加熱ステップで被加熱物の内部から表面に染み出た肉汁を蒸発させて、被加熱物の表面を焼き固める調理を行うことができる。この調理パターンでは、低温加熱ステップと温度維持ステップのどちらか一方の後に仕上げ加熱ステップとを組み合わせてもよい。
【0066】
図15から図18の第1調理パターンから第4調理パターンのヒータON/OFFは、設定温度や加熱方式などによってあらかじめ定められたヒータ(加熱手段)の通率の大小関係でも良い。例えば、加熱室の設定温度を高温にする初期加熱ステップでのヒータONは通率が100%であり、ヒータOFFは通率が20%となるのに対し、加熱室の設定温度を低温にする低温加熱ステップや温度維持ステップでは、ヒータONは通率が50%であり、ヒータOFFは通率が0%となる。本実施形態における通率の調整は、所定の時間内における通電時間の割合を調整することで実行する。
【0067】
<加熱調理器における接触式温度測定手段の主な特徴>
(1)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、被加熱物を加熱する加熱手段30と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41(温度測定手段)と、を備える。図5に示すように、接触式温度測定手段41は、加熱室21の壁面22に設けられた接続部60と、被加熱物の内部温度を測定する測定部50と、を有している。図6に示す接触式温度測定手段41のように、測定部50は、金属製の保護管55に覆われ、かつ、測定部50に電圧を供給するサーミスタ導線54(導線)によって接続部60に接続されている。保護管55は、金属材57によって加熱室21の壁面22と導通されている。
【0068】
このような本実施形態に係る加熱調理器100では、接触式温度測定手段41の表面が金属製の保護管55及び金属材57により加熱室21の壁面22と導通(電気的に接続)される。そのため、加熱調理器100は、接触式温度測定手段41の各部位で加熱調理器100の本体11と同じ電位になるように構成すること(つまり、接触式温度測定手段41の各部位で電位差が発生しないように構成すること)ができる。これにより、加熱手段30のレンジ加熱ユニット32が作動したときに、接触式温度測定手段41でのスパーク発生を防止することができる。
【0069】
(2)図7に示す接触式温度測定手段41Aのように、金属材57は、好ましくは、金属メッシュ部材(シールドメッシュ57a)であるとよい。
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、接触式温度測定手段41のスパーク発生を防止することができるとともに、金属材57に柔軟性を持たせて、使い易さを向上させることができる。
【0070】
(3)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、被加熱物を加熱する加熱手段30と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41(温度測定手段)と、を備える。図5に示すように、接触式温度測定手段41は、加熱室21の壁面22に設けられた接続部60と、被加熱物の内部温度を測定する測定部50と、を有している。図8に示す接触式温度測定手段41Bのように、保護管55は、表面全域が絶縁被覆部材59Bで覆われた構成になっていてもよい。絶縁被覆部材59Bは、刺込部51(プローブ)の全域に設けられた絶縁部材である。又は、図9に示す接触式温度測定手段41Cのように、保護管55は、表面の一部が絶縁被覆部材59Cで覆われた構成になっていてもよい。絶縁被覆部材59Cは、刺込部51(プローブ)の先端に設けられた絶縁部材である。
【0071】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、保護管55の表面が絶縁されているため、保護管55と加熱室21の壁面またはドア13の加熱室側との間のスパーク(短絡)を防止することができ、スパーク(短絡)による加熱調理器100の本体11の損傷を防止することができる。
【0072】
(4)絶縁部材は、好ましくは、耐熱性、清掃性が高く、熱伝導性が低いフッ化樹脂であるとよい。
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、接触式温度測定手段41を加熱した場合に、接触式温度測定手段41の温度を手で触ることが可能な温度にすることができるため、加熱後の接触式温度測定手段41を手で触ることができ、ユーザにとって手入れしやすく、使い勝手性や安全性を向上することができる。
【0073】
(5)図9に示す接触式温度測定手段41Cのように、保護管55は、表面が絶縁部材である導線カバー58と絶縁被覆部材59Cで覆われた構成になっていてもよい。そして、絶縁部材である絶縁被覆部材59Cは、保護管55の表面の少なくとも先端部を覆う構成になっているとよい。
【0074】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、被覆箇所の削減による製造コストの削減を図ることができる。
【0075】
(6)絶縁部材は、保護管55の表面のうち、被加熱物に最低限挿入しなければならない部分を覆う構成になっているとよい。
【0076】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、被覆箇所の削減による製造コストの削減を図ることができるとともに、ユーザにどこまで挿せばよいかが伝わるため、使い易さを向上させることができる。
【0077】
<加熱調理器における第2加熱手段の制御についての主な特徴>
(1)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、発熱して被加熱物を加熱する第1加熱手段(グリル加熱ユニット31、水蒸気発生ユニット33、熱風ユニット34)と、被加熱物を高周波で加熱する第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41(温度測定手段)と、加熱を制御する制御部91と、加熱室21の底面23(図4参照)の所定位置に載置されるテーブルプレート24a(加熱皿)の載置の有無を検知する載置検知手段25と、を備える。図5に示すように、接触式温度測定手段41は、加熱室21の壁面22に設けられた接続部60と、被加熱物の内部温度を測定する測定部50と、を有している。図6に示すように、測定部50は、保護管55に覆われ、かつ、測定部50に電圧を供給するサーミスタ導線54(導線)によって接続部60に接続されている。制御部91は、載置検知手段25によってテーブルプレート24a(加熱皿)が所定位置に載置されていないことが検知される場合に、第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)を停止させる構成になっている。また、制御部91は、好ましくは、載置検知手段25によってテーブルプレート24a単体の重さよりも重い物(つまり、テーブルプレート24a単体の重さとテーブルプレート24aに載置された被加熱物の重さの合計の重さの物)が所定位置に載置されていないことが検知される場合に、第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)を停止させる、又は、第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)の出力を低下させる構成になっているとよい。
【0078】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、テーブルプレート24a(加熱皿)が所定位置に載置されていない状態で第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)が作動することを防止することができる。これにより、空炊き防止機能を実現することができる。
【0079】
(2)図6に示すように、接触式温度測定手段41(温度測定手段)は、保護管55を把持するグリップ部52(把持部)を有している。グリップ部52は、グリップ部52の幅または厚さが所定位置に載置されたテーブルプレート24a(加熱皿)と加熱室21の底面23(図4参照)との間隙よりも大きい構成になっているとよい。
【0080】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、グリップ部52の幅または厚さが所定位置に載置されたテーブルプレート24a(加熱皿)と加熱室21の底面23(図4参照)との間隙よりも大きいため、テーブルプレート24a(加熱皿)と加熱室21の底面23(図4参照)との間隙に接触式温度測定手段41の測定部50が入り込み、その状態で第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)が作動することで、接触式温度測定手段41に高周波(マイクロ波)が集中して電位差が発生してスパーク(短絡)が発生することを防止することができる。
【0081】
(3)グリップ部52(把持部)は絶縁部材で形成されているとよい。
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、接触式温度測定手段41でのスパーク発生を防止することができる。
【0082】
(4)グリップ部52(把持部)は絶縁被覆材で覆われているとよい。
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、接触式温度測定手段41でのスパーク発生を防止するとともに、グリップ部52の表面だけを絶縁被覆材で覆うことによって製造コストを低減することができる。
【0083】
(5)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、発熱して被加熱物を加熱する第1加熱手段(グリル加熱ユニット31、水蒸気発生ユニット33、熱風ユニット34)と、被加熱物を高周波で加熱する第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)と、加熱室21の壁面22から取り外し可能であるとともに、加熱室21の外側に設けられた収容箇所である収容部19(図1参照)に収容な構成であり、かつ、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41(温度測定手段)と、加熱を制御する制御部91と、接触式温度測定手段41が収容部19(収容箇所)に収容されたことを検知する収容検知手段19a(図1参照)と、を備える。図5に示すように、接触式温度測定手段41は、加熱室21の壁面22に設けられた接続部60と、被加熱物の内部温度を測定する測定部50と、を有している。図6に示すように、測定部50は、保護管55に覆われ、かつ、測定部50に電圧を供給するサーミスタ導線54(導線)によって接続部60に接続されている。制御部91は、収容検知手段19a(図1参照)によって接触式温度測定手段41が収容部19(図1参照)に収容されたことが検知されない場合に、第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)を作動させない構成になっているとよい。
【0084】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱室21の内部に接触式温度測定手段41を置き忘れた状態第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)が作動することで、接触式温度測定手段41に高周波(マイクロ波)が集中して電位差が発生してスパーク(短絡)が発生することを防止することができる。
【0085】
(6)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、発熱して被加熱物を加熱する第1加熱手段(グリル加熱ユニット31、水蒸気発生ユニット33、熱風ユニット34)と、被加熱物を高周波で加熱する第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)と、加熱室21の壁面22から取り外し可能な構成であり、かつ、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41(温度測定手段)と、加熱を制御する制御部91と、を備える。図5に示すように、接触式温度測定手段41は、加熱室21の壁面22に設けられた接続部60と、被加熱物の内部温度を測定する測定部50と、を有している。図6に示すように、測定部50は、保護管55に覆われ、かつ、測定部50に電圧を供給するサーミスタ導線54(導線)によって接続部60に接続されている。図10Bに示すように、接続部60は、挿入部61と被挿入部62とを有している。被挿入部62の挿入口62aの周囲には、加熱室21の外側に向けて立壁68が設けられているとよい。
【0086】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、立壁68によって挿入口62aからの高周波漏洩の減衰効果を向上させることができる。
【0087】
(7)図4に示すように、被挿入部62の挿入口62a(図5参照)は、加熱室21の壁面22から突出するように設けられているとよい。
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、測定部50の挿入の容易性を向上させることができる。
【0088】
(8)図4に示すように、被挿入部62の挿入口62a(図5参照)は、加熱室21の前面側に設けられた開口部17に向けて設けられているとよい。
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、挿入口62a(図5参照)が開口部17に向けて設けられているため、接触式温度測定手段41の挿入部61(図5参照)の挿入口62a(図5参照)への挿入の容易性を向上させることができる。
【0089】
(9)図4に示すように、被挿入部62は、略三角柱形状となっているとよい。
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱室21内の省スペース化を図ることができる。
【0090】
(10)図10Cに示す接続部60のように、被挿入部62の挿入口62aには蓋部66が設けられているとよい。
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、被挿入部62の内部に塵埃が侵入することや調理時に生じた水蒸気や油分が侵入することを蓋部66で防止できる。これにより、塵埃や油分で導通性が悪くなったり、水蒸気でさびたりして、接触不良を起こすことを防止できる。
【0091】
(11)蓋部66(図10C参照)は、挿入口62a(図10C参照)に対して着脱自在であるとよい。
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、接触式温度測定手段41を使用するときだけ蓋部66を取り外して、接触式温度測定手段41を本体11に接続することができる。
【0092】
(12)図11A及び図11Bに示す接続部60Aのように、蓋部66Aは、ヒンジ軸67によって回動自在に軸支され、挿入口62aに挿入部61が挿入されていない場合に、立壁68に突き当たる構成になっているとよい。
【0093】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、挿入口62aに挿入部61が挿入されていない場合に、蓋部66Aが立壁68に突き当たって挿入口62aを閉じることができる。これにより、被挿入部62の内部に塵埃が侵入することや調理時に生じた水蒸気や油分が侵入することを蓋部66で防止できる。その結果、塵埃や油分で導通性が悪くなったり、水蒸気でさびたりして、接触不良を起こすことを防止できる。
【0094】
(13)図11Bに示す接続部60Aのように、ヒンジ軸67は、挿入口62aの上方に設けられ、蓋部66Aは、挿入口62aに挿入部61が挿入されていない場合に、自重で下りて挿入口62aを閉じる構成になっているとよい。
【0095】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、挿入口62aに挿入部61が挿入されていない場合に、挿入口62aを自動的に閉じることができる。これにより、被挿入部62の内部に塵埃が侵入することや調理時に生じた水蒸気や油分が侵入することを蓋部66で防止できる。その結果、塵埃や油分で導通性が悪くなったり、水蒸気でさびたりして、接触不良を起こすことを防止できる。
【0096】
<加熱調理器における温度測定手段についての主な特徴>
(1)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、被加熱物を加熱する加熱手段30と、加熱を制御する制御部91と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41と、を備える。図5に示すように、接触式温度測定手段41は、加熱室21の内部に設けられた接続部60と、加熱室21の内部に着脱自在に設けられ、かつ、被加熱物の内部温度を測定する測定部50と、を有している。制御部91は、接触式温度測定手段41により測定された抵抗値(測定部50のサーミスタ素子の抵抗値)が所定の範囲内にある場合に、接触式温度測定手段41が加熱室21と接続されていると判定する(測定部50(サーミスタ素子)と制御基板90(図12参照)とが電気的に接続されていると判定する)構成になっている。
【0097】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、接触式温度測定手段41が加熱室21と接続されているか否かを判定することができる。これにより、接触式温度測定手段41が加熱室21と接続されていないときに、ユーザに接続を促すことができる。
【0098】
(2)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、被加熱物を加熱する加熱手段30と、加熱を制御する制御部91と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41と、を備える。図5に示すように、接触式温度測定手段41は、加熱室21の内部に着脱自在に設けられ、かつ、被加熱物の内部温度を測定する測定部50と、加熱室21の壁面22に設けられた被挿入部62に挿入される挿入部61と、挿入部61が被挿入部62に挿入されると、挿入部61によって動作するスイッチ部63(図10B参照)と、を有する。制御部91は、接触式温度測定手段41の挿入部61が被挿入部62に挿入された場合に、スイッチ部63(図10B参照)が作動することで、接触式温度測定手段41が挿入されたことを検出する構成になっているとよい。
【0099】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、スイッチ部63(図10B参照)が作動したか否かで、接触式温度測定手段41が加熱室21と接続されているか否かを判定することができる。これにより、接触式温度測定手段41が加熱室21と接続されていないときに、ユーザに接続を促すことができる。
【0100】
(3)図2に示すように、加熱手段30は、発熱して被加熱物を加熱する第1加熱手段(グリル加熱ユニット31、水蒸気発生ユニット33、熱風ユニット34)と被加熱物を高周波で加熱する第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)とを有している。制御部91は、接触式温度測定手段41の接続を検出した場合に、第2加熱手段(レンジ加熱ユニット32)を作動させない構成になっているとよい。
【0101】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、接触式温度測定手段41を第1加熱手段(グリル加熱ユニット31、水蒸気発生ユニット33、熱風ユニット34)で加熱する場合にのみ用いるようにして、接触式温度測定手段41でのスパークの発生を防止することができる。
【0102】
(4)制御部91は、接触式温度測定手段41の接続を検出して加熱した場合において、加熱終了後も接触式温度測定手段41による測定温度の表示部16a(図1及び図12参照)での表示を継続するとよい。
【0103】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱終了後も余熱で被加熱物の内部温度が変化するため、加熱終了後も被加熱物の測定温度の表示を継続することで、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0104】
(5)制御部91は、加熱調理器100と連携可能な携帯端末200(図12参照)の表示部に、接触式温度測定手段41によって測定された温度を表示させるとよい。
【0105】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱調理器100から離れた位置にいるユーザや他の作業(例えば、皿洗い等の作業)を行っているユーザに対して、被加熱物の測定温度を通知することができる。これにより、被加熱物の加熱の失敗を回避させることができ、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0106】
(6)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、被加熱物を加熱する加熱手段30と、加熱を制御する制御部91と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41と、加熱室21内の空気温度を測定する空気温度測定手段43と、を備える。制御部91は、接触式温度測定手段41による測定温度の上昇速度が空気温度測定手段43による測定温度の上昇速度に対して予め定められた閾値より大きい場合に、接触式温度測定手段41によって被加熱物の温度が測定できていないことのユーザへの通知と加熱手段30の停止とのいずれか一方又は双方を行う構成になっているとよい。閾値としては、好ましくは、例えば、空気温度測定手段43による測定温度の上昇速度の約1/3であるとよい。
【0107】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物の調理品位のばらつきを防止することができる。
【0108】
(7)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、被加熱物を加熱する加熱手段30と、加熱を制御する制御部91と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41と、被加熱物の表面温度を測定する非接触式温度測定手段42と、を備える。制御部91は、接触式温度測定手段41による測定温度の上昇速度が非接触式温度測定手段42の測定温度の上昇速度と同等もしくは速い場合に、接触式温度測定手段41によって被加熱物の温度が測定できていないことのユーザへの通知と加熱手段30の停止とのいずれか一方又は双方を行う構成になっているとよい。
【0109】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物の調理品位のばらつきを防止することができる。
【0110】
(8)ユーザへの通知は、加熱調理器100に設けられた音声手段16c(図1及び図12参照)により行うとよい。
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物の温度が測定できていないことを、加熱調理器100の近くにいるユーザに知らせることができる。
【0111】
(9)制御部91は、加熱調理器100と連携可能な携帯端末200(図12参照)へ通知して、携帯端末200(図12参照)に接触式温度測定手段41によって被加熱物の温度が測定できていないことと加熱が停止したことのいずれか一方又は双方をユーザに通知させるとよい。
【0112】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱調理器100から離れた位置にいるユーザや他の作業(例えば、皿洗い等の作業)を行っているユーザに対して、加熱が停止したことを通知することができる。
【0113】
(10)制御部91は、接触式温度測定手段41によって被加熱物の温度が測定できていない場合に、表示部16a(図1及び図12参照)に、接触式温度測定手段41の被加熱物への挿入を促す表示を行うとよい。
【0114】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物の内部温度が測定できていない場合に、接触式温度測定手段41の被加熱物への挿入をユーザに促すことができる。
【0115】
(11)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、被加熱物を加熱する加熱手段30と、加熱を制御する制御部91と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41と、被加熱物の表面温度を測定する非接触式温度測定手段42と、を備える。制御部91は、接触式温度測定手段41で測定される被加熱物の内部温度と、非接触式温度測定手段42で測定される被加熱物の表面温度とから、被加熱物の加熱中の断面温度分布を推定し、断面温度分布の画像を表示部に表示させる構成になっているとよい。
【0116】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物の加熱中の断面温度分布をユーザに知らせることができる。これにより、被加熱物の加熱の失敗を回避させることができ、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0117】
(12)制御部91は、加熱調理器100と連携可能な携帯端末200(図12参照)へ通知して、携帯端末200(図12参照)に断面温度分布の画像を表示させるとよい。
【0118】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱調理器100から離れた位置にいるユーザや他の作業(例えば、皿洗い等の作業)を行っているユーザに対して、被加熱物の加熱中の断面温度分布をユーザに知らせることができる。これにより、被加熱物の加熱の失敗を回避させることができ、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0119】
(13)本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱調理器100の記憶部92(図12参照)又は加熱調理器100と通信可能なサーバ300(図12参照)に、食品毎に定められた熱拡散率を記憶させておく。制御部91は、ユーザから食品の指定を受け付け、内部温度と表面温度と食品の熱拡散率とから食品の断面温度を推定するとよい。
【0120】
熱拡散率とは、被加熱物の熱伝導率をその比熱と密度で除算することで導出される物性値であり、熱拡散率が増加するほど被加熱物内の温度変化が速くなる。熱拡散率は食品毎に一定値を記憶させておいてもよいし、温度依存性を考慮して温度と熱拡散率の関係データテーブルを記憶させておいてもよい。また、熱拡散率はその値が近い食品ごとに複数のグループにまとめて代表値を定めることで、記憶部92のデータ使用量を少なくしてもよい。
【0121】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、食品の種別に応じた断面温度を推定することができる。これにより、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0122】
(14)本実施形態に係るプログラムPR(図12参照)は、コンピュータ(パーソナルコンピュータ400(図12参照))を作動させるプログラムであって、コンピュータに、加熱調理器100の制御部91によって推定された食品の断面温度を表示部(表示部200a,300a,400a(図12参照)))に表示させるためのプログラムであるとよい。
【0123】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、食品の断面温度を表示部(表示部200a,300a,400a(図12参照))に表示させることができる。なお、サーバ300(図12参照)やパーソナルコンピュータ400(図12参照)は、加熱調理器100の制御部91によって推定された食品の断面温度を表示部(表示部300a,400a(図12参照)))に表示させるための図示せぬプログラムを記憶し実行するものであってもよい。この場合に、サーバ300(図12参照)やパーソナルコンピュータ400(図12参照)は、食品の断面温度を自身に接続された表示部(表示部300a,400a(図12参照))で表示することができる。
【0124】
(15)本実施形態に係るプログラムPR(図12参照)は、コンピュータ(パーソナルコンピュータ400(図12参照))を作動させるプログラムであって、コンピュータに、加熱調理器100の制御部91によって推定された食品の断面温度を含む画像のプリンタ400b(図12参照))での印刷を指示させるためのプログラムであるとよい。
【0125】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、食品の断面温度をプリンタ400b(図12参照))で印刷させることができる。なお、パーソナルコンピュータ400(図12参照)は、加熱調理器100の制御部91によって推定された食品の断面温度を含む画像のプリンタ400b(図12参照))で印字させるための図示せぬプログラムを記憶し実行するものであってもよい。この場合に、パーソナルコンピュータ400(図12参照)は、食品の断面温度を含む画像を自身に接続されたプリンタ400b(図12参照))で印字することができる。
【0126】
<加熱調理器における温度制御についての主な特徴>
(1)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、被加熱物を加熱する加熱手段30と、加熱を制御する制御部91と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41と、被加熱物の表面温度を測定する非接触式温度測定手段42と、を備える。図15から図18に示すように、制御部91は、接触式温度測定手段41で測定される被加熱物の内部温度(食品温度)と、非接触式温度測定手段42で測定される被加熱物の表面温度と、を用いて、加熱手段30を制御する構成になっている。
【0127】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を好適に加熱して、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0128】
(2)制御部91は、発酵食材を加熱する場合に、食材が発酵温度になるように、加熱手段30を制御するとよい。
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、発酵食材を好適に加熱して、発酵食材の調理品位を向上させることができる。
【0129】
(3)図15図17図18に示すように、制御部91は、加熱室21の設定温度を高温に設定して、被加熱物の表面を焼き固める初期加熱ステップと、初期加熱ステップの後に、加熱室21の設定温度を低温に設定する低温加熱ステップと被加熱物の内部温度を維持する温度維持ステップの少なくとも一方を実行するとよい。
【0130】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を好適に加熱して、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0131】
(4)図17図18に示すように、制御部91は、被加熱物の表面温度が任意に定められた初期加熱温度か、内部温度が任意に定められた加熱停止温度T11のいずれか一方に到達するまで初期加熱ステップを実行し、初期加熱ステップの後に、低温加熱ステップを実行するとよい。
【0132】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を好適に加熱して、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0133】
(5)図16に示すように、制御部91は、被加熱物の内部温度が任意に定められた加熱停止温度T11に到達するまで加熱室21の設定温度を低温に設定する低温加熱ステップと、被加熱物の内部温度が任意に定められた第1温度(食品目標温度T12)に到達した場合又は第1温度(食品目標温度T12)に到達してから任意に定められた維持時間を経過した場合に、加熱室21の設定温度を高温に設定することで被加熱物の表面に焼き色を付ける仕上げ加熱ステップと、を実行するとよい。
【0134】
低温加熱ステップは、加熱室21の設定温度を低温に設定するため、被加熱物の第1温度(食品目標温度T12)との差が、加熱室21の設定温度を高温に設定するときよりも小さくなる。そのため、被加熱物の表面温度と内部温度の差も小さくなり被加熱物全体の加熱具合が均質になる。表面の焼き色が不要なメニューにおいては、図16の調理パターンの仕上げ加熱を実行しなくてもよい。
【0135】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、第1温度(食品目標温度T12)に基づいて仕上げ加熱ステップを行うため、さらに、被加熱物を好適に加熱して、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0136】
(6)図17に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物を収容する加熱室21と、被加熱物を加熱する加熱手段30と、加熱を制御する制御部91と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41と、を備える。制御部91は、被加熱物の内部温度がユーザによって設定されたメニュー又は温度に対応する維持温度(食品目標温度T12)に到達した場合に、維持温度(食品目標温度T12)を維持する温度維持ステップを実行し、温度維持ステップでは、ユーザによって設定されたメニュー又は時間に対応する温度維持時間H12の経過後に加熱を終了するとよい。ただし、ユーザによって設定されたメニューや時間によっては、温度維持時間H12は0秒という場合もあり、維持温度(食品目標温度T12)に到達後、すぐに加熱を終了することが好ましいメニューもある。
【0137】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、さらに、被加熱物を好適に加熱して、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0138】
(7)図17及び図18に示すように、制御部91は、維持温度(食品目標温度T12)よりも低い加熱停止温度T11に到達した場合に、加熱手段30を停止し、その後に、被加熱物の内部温度が維持温度(食品目標温度T12)に到達した時に、温度維持ステップを実行するとよい。
【0139】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、さらに、被加熱物を好適に加熱して、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0140】
(8)加熱停止温度T11は、接触式温度測定手段41による被加熱物の内部温度の上昇開始後の温度上昇速度に基づいて、維持温度(食品目標温度T12)との差が規定される温度であり、温度上昇速度が速いと維持温度(食品目標温度T12)との差が大きくなり、温度上昇速度が遅いと維持温度(食品目標温度T12)との差が小さくなるように設定される温度であるとよい。
【0141】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱停止温度T11に基づいて、加熱手段30を好適に停止することができるため、さらに、被加熱物を好適に加熱して、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0142】
(9)図18に示すように、制御部91は、被加熱物の内部温度が任意に定められた第1温度(食品目標温度T12)に到達するまで加熱室21の設定温度を低温に設定する低温加熱ステップと、被加熱物の内部温度が第1温度(食品目標温度T12)に到達した場合又は第1温度(食品目標温度T12)に到達してから任意に定められた維持時間を経過した場合に、加熱室21の設定温度を高温に設定する仕上げ加熱ステップと、を実行するとよい。
【0143】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、第1温度(食品目標温度T12)に基づいて仕上げ加熱ステップを行うため、さらに、被加熱物を好適に加熱して、被加熱物の調理品位を向上させることができる。
【0144】
<低温加熱ステップを含む加熱調理を行う場合の制御>
加熱調理器100は、低温加熱ステップを含む加熱調理(以下、「低温加熱調理」と称することがある)を行う場合に、好ましくは、以下のような表示制御と加熱制御を行うとよい。
【0145】
以下、図19から図21を参照して、低温加熱調理を行う場合の制御の一例について説明する。図19は、低温加熱調理における調理終了時間の説明図である。図20は、低温加熱調理を行う場合の動作を示すフローチャートである。図21は、低温加熱調理に関する情報の表示例の説明図である。ここでは、装置の構成については主に図12を参照し、温度、時間、時刻については主に図19を参照し、装置の動作については主に図20を参照し、表示部の表示例については主に図21を参照するものとする。
【0146】
図19に示す例では、庫内温度Ti(加熱室内温度)が目標庫内温度Ttiに向けて上昇するとともに、庫内温度Tiの上昇に伴って、測定内部温度Tf(食品温度)が目標内部温度Ttfに向けて上昇することを示している。なお、加熱調理器100は、測定内部温度Tfが予め設定された加熱停止温度T11に到達すると、第1加熱手段(グリル加熱ユニット31、水蒸気発生ユニット33、熱風ユニット34)を停止させる。しかしながら、測定内部温度Tfは、被加熱物(食品)の余熱により目標内部温度Ttf付近まで上昇する。
【0147】
ここで、庫内温度Ti(加熱室内温度)は、空気温度測定手段43によって測定される加熱室21の内部温度(測定値)である。
目標庫内温度Ttiは、目標値として設定される加熱室21の内部温度である。
測定内部温度Tf(食品温度)は、接触式温度測定手段41によって測定される被加熱物(食品)の内部温度(測定値)である。
目標内部温度Ttfは、目標値として設定される被加熱物(食品)の内部温度である。
【0148】
また、図19に示す例では、調理開始時刻Psに低温加熱調理を開始し、加熱停止温度到達時刻P11に第1加熱手段(グリル加熱ユニット31、水蒸気発生ユニット33、熱風ユニット34)を停止し、目標内部温度到達時刻Ptに測定内部温度Tfが目標内部温度Ttfに到達し、調理終了時刻Peに低温加熱調理を終了することを示している。なお、目標内部温度到達時刻Ptから調理終了時刻Peまでの間、加熱調理器100は、測定内部温度Tfが目標内部温度Ttfとほぼ同じ温度に維持されるように、庫内温度Tiを調整する。また、調理終了時刻Peで、加熱調理器100は、アラーム音を鳴らすとともに、調理が終了した旨を操作パネル16に表示することで、調理が終了したことをユーザに知らせる。なお、調理終了時刻Peで、加熱調理器100は、調理が終了した旨を、通信可能な携帯端末200に通知して、調理が終了したことをユーザに知らせるようにしてもよい。
【0149】
また、図19に示す例では、調理開始時刻Psから目標内部温度到達時刻Ptまでの時間を目標内部温度到達時間Hstとし、目標内部温度到達時刻Ptから調理終了時刻Peまでの時間を温度維持時間Hteとし、目標内部温度到達時間Hstと温度維持時間Hteとの合計時間(すなわち、調理開始時刻Psから調理終了時刻Peまでの時間)を調理終了時間Hseとして示している。
【0150】
加熱調理器100の制御部91は、図19に示すような低温加熱調理を実現するために、例えば図20に示す処理を実行する。なお、図20に示す処理は、一例に過ぎず、運用に応じて変更することができる。特に、ステップS210からステップS230までの処理は、運用に応じて順番や処理内容を変更することができる。
【0151】
低温加熱調理を行うにあたり、まず、ユーザは、被加熱物(食品)をテーブルプレート24a(図3)の上に載せ、ドア13(図3)を開放してテーブルプレート24aを加熱室21の内部に収納する。次に、ユーザは、接触式温度測定手段41の刺込部51(図5)を被加熱物に刺し込み、ドア13(図3)を閉鎖する。
【0152】
このとき、図20に示すように、まず、加熱調理器100の制御部91は、図示せぬセンサによりドア13(図4)の開放を検知し、載置検知手段25(図4)により被加熱物が載せられたテーブルプレート24a(図3)の加熱室21の内部への収納を検知する。次に、制御部91は、図示せぬセンサによりドア13(図4)の閉鎖を検知する(ステップS205)。
【0153】
次に、ユーザは、操作パネル16を操作して調理メニュー等を入力する。ここでは、ユーザが、調理メニューとしてハンバーグの低温加熱調理を選択入力するものとして説明する。
【0154】
このとき、制御部91は、操作パネル16でユーザによる各種の操作(例えば、調理メニュー)を受け付ける(ステップS210)。ここでは、一例として、例えばユーザが調理メニューとしてハンバーグの低温加熱調理を選択するものとして説明する。
【0155】
次に、制御部91は、ステップS210で受け付けられた操作に応じて各種の事項(例えば、暫定的な調理終了時間Hse、残調理時間(図21)、調理終了時刻Pe、目標内部温度Ttf、目標庫内温度Tti等)を決定する(ステップS215)。ここでは、ステップS215で決定される各種の事項として、記憶部92に記憶されたデフォルト値が用いられるものとして説明する。また、ここでは、残調理時間(図21)は、単位時間(例えば1秒)経過する度に調理終了時間Hse(図19)の値を-1ずつ減算した時間であるものとして説明する。目標庫内温度Ttiは、ステップS210で受け付けられる各種の調理メニューに対応するデフォルト値が記憶部92に記憶されており、そのデフォルト値が用いられる。ここでは、一例として、例えば目標庫内温度Ttiが65℃であるものとして説明する。
【0156】
次に、制御部91は、ステップS215で決定される各種の事項(例えば、調理終了時間Hse、残調理時間(図21)、調理終了時刻Pe、目標内部温度Ttf、目標庫内温度Tti等)の中の任意の情報を操作パネル16に表示する(ステップS220)。図21は、このとき操作パネル16に表示される情報の一例を示している。図21に示す情報については、後記する。
【0157】
この後、ユーザは、操作パネル16を操作して調理開始を指示する。
すると、制御部91は、加熱手段30を作動させて被加熱物の低温加熱調理を開始し(ステップS225)、被加熱物の重量(グラム)と被加熱物の内部温度(測定内部温度Tf)を測定する(ステップS230)。被加熱物の重量は、重量センサで構成された載置検知手段25(図4)によって計測される。被加熱物の内部温度(測定内部温度Tf)は、接触式温度測定手段41によって測定される。
【0158】
ステップS230の後、制御部91は、被加熱物の測定内部温度Tfの上昇速度を検出する(ステップS235)。ここで、被加熱物の測定内部温度Tfの上昇速度とは、例えば図19に示す目標内部温度到達時間Hstにおける測定内部温度Tfの上昇カーブの傾き率を表している。
【0159】
ステップS235の後、制御部91は、被加熱物の測定内部温度Tfの上昇速度に基づいて目標内部温度到達時間Hstを算出し、目標内部温度到達時間Hstと温度維持時間Hteとを加算して調理終了時間Hseを推定し、表示を更新する(ステップS240)。
【0160】
ステップS240の後、制御部91は、測定内部温度Tfが加熱停止温度T11に到達したか否かを判定する(ステップS245)。
【0161】
ステップS245の判定で、測定内部温度Tfが加熱停止温度T11に到達したと判定された場合(“Yes”の場合)に、制御部91は、加熱手段30を停止する(ステップS250)。そして、制御部91は、測定内部温度Tfが目標内部温度Ttfに到達するまで、測定内部温度Tfが目標内部温度Ttfに到達したか否かを繰り返し判定する(ステップS255)。
【0162】
ステップS255の判定で、測定内部温度Tfが目標内部温度Ttfに到達したと判定された場合(“Yes”の場合)に、制御部91は、測定内部温度Tfが目標内部温度Ttfとほぼ同じ温度に維持されるように、庫内温度Tiを調整する(ステップS260)。
【0163】
ステップS260の後、制御部91は、低温加熱調理を開始してから(つまり、調理開始時刻Psから)調理終了時間Hseが経過したか否かを(つまり、現在時刻が調理終了時刻Peに到達したか否かを)判定する(ステップS265)。
【0164】
ステップS265の判定で、調理終了時間Hseが経過したと判定された場合(“Yes”の場合)に、一連のルーチンの処理を終了する。このとき、制御部91は、音声手段16cでアラーム音を鳴らすとともに、調理が終了した旨を操作パネル16に表示することで、調理が終了したことをユーザに知らせる。
【0165】
また、前記したステップS245の判定で、測定内部温度Tfが加熱停止温度T11に到達していないと判定された場合(“No”の場合)に、制御部91は、今が調理終了時間Hseの推定タイミングであるか否かを判定する(ステップS270)。
【0166】
ステップS270の判定で、今が調理終了時間Hseの推定タイミングであると判定された場合(“Yes”の場合)に、処理はステップS235に戻る。一方、今が調理終了時間Hseの推定タイミングでないと判定された場合(“No”の場合)に、処理はステップS245に戻る。
【0167】
また、前記したステップS265の判定で、調理終了時間Hseが経過していないと判定された場合(“No”の場合)に、制御部91は、今が調理終了時間Hseの推定タイミングであるか否かを判定する(ステップS275)。
【0168】
ステップS275の判定で、今が調理終了時間Hseの推定タイミングであると判定された場合(“Yes”の場合)に、制御部91は、測定内部温度Tfと目標内部温度Ttfの差を検出する(ステップS280)。ここで、測定内部温度Tfと目標内部温度Ttfとの間に差があると、温度維持時間Hteが当初値からずれる。例えば、測定内部温度Tfが目標内部温度Ttfよりも高いと温度維持時間Hteは短くなり、測定内部温度Tfが目標内部温度Ttfよりも低いと温度維持時間Hteは長くなる。ステップS280の後、制御部91は、測定内部温度Tfと目標内部温度Ttfの差に基づいて調理終了時間Hseを推定し直して、表示を更新する(ステップS285)。この後、処理はステップS260に戻る。
【0169】
このような加熱調理器100は、任意のタイミングで、接触式温度測定手段41で被加熱物の内部温度を測定するとともに、載置検知手段25(重量センサ)で被加熱物の重量(グラム)を測定する。そして加熱調理器100は、測定された被加熱物の内部温度や重量の測定値を操作パネル16に表示する。ただし、被加熱物の重量は、操作パネル16からユーザに入力させて、入力値を表示部16aに表示するようにしてもよい。なお、被加熱物の重量は、調理の精度を向上させる上で有効な事項であるが、必ずしも必要な事項ではない。そのため、加熱調理器100は、被加熱物の重量の測定処理や入力処理を行わないようにすることができる。
【0170】
また、加熱調理器100は、低温加熱調理を行う場合に、例えば図21に示すような低温調理に関する任意の情報を操作パネル16(操作表示部)の表示部16aに表示する。図21に示す例では、加熱調理器100は、調理終了時間(調理終了時刻であってもよい)、残調理時間、目標内部温度、測定内部温度を表示部16aに表示している。なお、図21に示す情報は、一例に過ぎず、一部の情報を削除して表示したり、別の情報を付加して表示したりすることができる。また、図21に示す例では、測定内部温度が示されているが、測定内部温度の表示欄は、測定内部温度が測定されるまでは、ブランク状態になる。また、加熱調理器100は、低温調理に関する任意の情報を携帯端末200(外部装置)に通知して携帯端末200の表示部200aに表示させるようにしてもよい。図21に示す例では、携帯端末200は、調理終了時間(調理終了時刻であってもよい)、残調理時間、目標内部温度、測定内部温度を表示部200aに表示している。
【0171】
(低温加熱調理の第1変更例)
低温加熱調理では、様々な変更を行うことができる。以下、図22を参照して低温加熱調理の第1変更例について説明する。図22は、低温加熱調理の第1変更例の動作を示すフローチャートである。図22に示す第1変更例では、加熱調理器100の制御部91は、被加熱物の初期の表面温度と測定内部温度との差から被加熱物の蓄熱量を考慮して、調理終了時間の推定を行う構成になっている。
【0172】
図22に示す第1変更例は、図20に示す実施形態と比較すると、ステップS210,S215,S230の処理の代わりにステップS210a,S215a,S230aの処理を行う点で相違する。
【0173】
ステップS210aでは、制御部91は、操作パネル16でユーザによる各種の操作(例えば、調理メニュー、食品種別、目標内部温度Ttf等)を受け付ける。ステップS210aの処理は、ステップS210の処理(図20)と比較すると、調理メニューに加え、食品種別、目標内部温度Ttf等を受け付ける点で相違する。
【0174】
また、ステップS215aでは、制御部91は、ステップS210aで受け付けられた操作に応じて各種の事項(例えば、暫定的な調理終了時間Hse、残調理時間(図21)、調理終了時刻Pe、目標庫内温度Tti等)を決定する。ステップS215aの処理は、ステップS215の処理(図20)と比較すると、ステップS210aで目標内部温度Ttfが受け付けられているため、目標内部温度Ttfを決定しない点で相違する。
【0175】
また、ステップS230aでは、制御部91は、被加熱物の重量(グラム)と被加熱物の初期の表面温度と被加熱物の内部温度(測定内部温度Tf)を測定する。ステップS230aの処理は、ステップS230の処理(図20)と比較すると、被加熱物の重量(グラム)と被加熱物の内部温度(測定内部温度Tf)の測定に加え、被加熱物の初期の表面温度の測定を行う点で相違する。
【0176】
制御部91は、ステップS240で調理終了時間Hseの推定を行う際に、ステップS230aの処理で測定された被加熱物の初期の表面温度と測定内部温度Tfとの差から被加熱物の蓄熱量を考慮して、調理終了時間Hseの推定を行う。この点について、以下に説明する。
【0177】
例えば、被加熱物が冷蔵庫の内部に収納されて冷却されている場合に、被加熱物の温度を常温(例えば20℃)に戻すこと(つまり、冷蔵庫の内部から外部に取り出して、外気に曝して温度を上昇させること)が推奨されるときがある。このような被加熱物の初期の表面温度と内部温度(測定内部温度Tf(図19))を測定することで、被加熱物の蓄熱量を推定することができる。被加熱物の初期の表面温度と測定内部温度Tf(図19)との差が大きい場合に、被加熱物の蓄熱量が少ないため、加熱調理器100は、加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))を記憶部92に記憶されているデフォルト値に設定すると、目標内部温度到達時間Hst(図19)が長期化する可能性がある。そこで、被加熱物の初期の表面温度と測定内部温度Tf(図19)との差が大きい場合に、加熱調理器100は、加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))をデフォルト値よりも高めに設定することで、目標内部温度到達時間Hst(図19)を短縮することができる。また、被加熱物の初期の表面温度と測定内部温度Tf(図19)との差が小さい場合に、被加熱物の蓄熱量が多いため、加熱調理器100は、加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))をデフォルト値よりも低めに設定することで、消費エネルギーをセーブすることができる。
【0178】
(低温加熱調理の第2変更例)
以下、図23を参照して低温加熱調理の第2変更例について説明する。図23は、低温加熱調理の第2変更例の動作説明図である。図23に示す第2変更例では、加熱調理器100の制御部91は、調理終了時刻Peよりも任意の時間前に調理終了予告時間Haeを決定してユーザに知らせる構成になっている。
【0179】
調理終了予告時間Haeは、調理の終了(調理終了時刻Pe)が近いことをユーザに知らせる(予告する)ための時間である。制御部91は、調理終了時刻Peよりも調理終了予告時間Hae前の時刻である調理終了予告時刻Paeに、アラーム音を鳴らすとともに、調理の終了(調理終了時刻Pe)が近い旨を操作パネル16に表示することで、調理の終了が近いことをユーザに知らせる。なお、調理終了予告時刻Paeで、加熱調理器100は、調理の終了(調理終了時刻Pe)が近い旨を、通信可能な携帯端末200に通知して、調理の終了が近いことをユーザに知らせるようにしてもよい。
【0180】
(低温加熱調理の第3変更例)
以下、図24図25を参照して低温加熱調理の第3変更例について説明する。図24は、低温加熱調理の第3変更例の動作説明図である。図25は、低温加熱調理の第3変更例の動作を示すフローチャートである。図24図25に示す第3変更例では、加熱調理器100の制御部91は、ユーザによって設定される指定調理終了時間Hpeや調理終了時刻Peに基づいて、様々な時間を決定して調理を行う構成になっている。
【0181】
図24に示すように、加熱調理器100の制御部91は、何時何分に低温加熱調理を終了させることができるように、調理終了時刻Peや目標内部温度Ttfをユーザに設定させる。制御部91は、現在時刻Ppから調理終了時刻Peまでの時間を指定調理終了時間Hpeとして決定する。指定調理終了時間Hpeは、ユーザによって指定された調理の終了時間である。なお、制御部91は、現在時刻Ppから何時間後に低温加熱調理を終了させることができるように、指定調理終了時間Hpeをユーザに設定させるようにしてもよい。この場合に、制御部91は、指定調理終了時間Hpeに基づいて調理終了時刻Peを決定する。
【0182】
制御部91は、目標庫内温度Ttiに基づいて目標内部温度到達時間Hstを推定する。そして、制御部91は、指定調理終了時間Hpeと目標内部温度到達時間Hstに基づいて、温度維持時間Hte、調理開始時間Hps、調理開始予告時間Has、調理終了予告時刻Pae、調理開始時刻Ps、調理開始予告時刻Pasを決定する。
【0183】
図25に示すように、第3変更例は、図20に示す実施形態と比較すると、ステップS210,S215の処理の代わりにステップS210b,S215bの処理を行う点、ステップS235の後にステップS236の処理を行う点で相違する。
【0184】
ステップS210bでは、制御部91は、操作パネル16でユーザによる各種の操作(例えば、調理メニュー、食品種別、調理終了時刻Pe、目標内部温度Ttf等)を受け付ける。ステップS210bの処理は、ステップS210の処理(図20)と比較すると、調理メニューに加え、食品種別、調理終了時刻Pe、目標内部温度Ttf等を受け付ける点で相違する。なお、ここでは、目標内部温度Ttfは、ユーザが設定するものとして説明しているが、ユーザが設定しないようにすることができる。この場合、目標内部温度Ttfとして、記憶部92に記憶されているデフォルト値が用いられる。
【0185】
また、ステップS215bでは、制御部91は、ステップS210bで受け付けられた操作に応じて各種の事項(例えば、指定調理終了時間Hpe、残調理時間(図21)、目標庫内温度Tti等)を決定する。ステップS215bの処理は、ステップS215の処理(図20)と比較すると、調理終了時間Hse(図19)ではなく、指定調理終了時間Hpe(図24)を決定する点で相違する。指定調理終了時間Hpe(図24)は、現在時刻PpとステップS210bで受け付けられた調理終了時刻Peとに基づいて決定される。また、ステップS215bの処理は、ステップS215の処理(図20)と比較すると、ステップS210bで目標内部温度Ttfが受け付けられているので、目標庫内温度Ttiのみを決定する点で相違する。
【0186】
また、ステップS236では、制御部91は、ステップS235で検出された測定内部温度Tfの上昇速度に基づいて庫内温度Ti(加熱室内温度)の調整を行う。測定内部温度Tfの上昇速度が想定値よりも速い場合に、制御部91は、庫内温度Tiを下げる。また、測定内部温度Tfの上昇速度が想定値よりも遅い場合に、制御部91は、庫内温度Tiを上げる。
【0187】
(低温加熱調理の第4変更例)
以下、図26を参照して低温加熱調理の第4変更例について説明する。図26は、低温加熱調理の第4変更例の動作を示すフローチャートである。図26に示す第4変更例では、加熱調理器100の制御部91は、各種の情報を取得してから加熱調理を開始する構成になっている。また、加熱調理器100の制御部91は、ユーザによって設定された加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))よりも適切な候補温度がある場合に、候補温度を操作パネル16に表示する構成になっている。
【0188】
図26に示すように、第4変更例は、図20に示す実施形態と比較すると、ステップS230の処理の代わりにステップS205の後にステップS206の処理を行う点、ステップS210,S215の処理の代わりにステップS210c,S215c,S216,S217,S218,S219の処理を行う点を行う点で相違する。
【0189】
ステップS206では、制御部91は、被加熱物の重量(グラム)と被加熱物の内部温度(測定内部温度Tf)を測定する。
【0190】
また、ステップS210cでは、制御部91は、操作パネル16でユーザによる各種の操作(例えば、調理メニュー、食品種別、調理終了時刻Pe、目標庫内温度Tti等)を受け付ける。ステップS210cの処理は、ステップS210の処理(図20)と比較すると、調理メニューに加え、食品種別、調理終了時刻Pe、目標庫内温度Tti等を受け付ける点で相違する。なお、ここでは、目標庫内温度Ttiは、ユーザが設定するものとして説明しているが、ユーザが設定しないようにすることができる。この場合、目標庫内温度Ttiとして、記憶部92に記憶されているデフォルト値が用いられる。
【0191】
また、ステップS215cでは、制御部91は、ステップS210cで受け付けられた操作に応じて各種の事項(例えば、指定調理終了時間Hpe、残調理時間(図21)、目標内部温度Ttf等)を決定する。ステップS215cの処理は、ステップS215の処理(図20)と比較すると、調理終了時間Hse(図19)ではなく、指定調理終了時間Hpe(図24)を決定する点で相違する。また、ステップS215cの処理は、ステップS215の処理(図20)と比較すると、ステップS210cで目標庫内温度Ttiが受け付けられているので、目標内部温度Ttfのみを決定する点で相違する。
【0192】
また、ステップS216では、制御部91は、記憶部92に記憶された各種の調理メニューに対応する複数の目標庫内温度Ttiの中から候補温度(図示せず)を検索して、候補温度(図示せず)に対応する暫定的な調理終了時間を推定する。候補温度(図示せず)は、ユーザによって設定された加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))よりも適切な温度である。ここでは、候補温度(図示せず)が、ステップS210cで受け付けられた調理終了時刻Pe(図24)、又は、調理終了時刻Pe(図24)から算出される指定調理終了時間Hpe(図24)で、調理を終了させるのに適した温度であるものとして説明する。候補温度(図示せず)は、各種の調理メニューに対応して複数の値が記憶部92に予め記憶されており、その複数の値の中から選択される。
【0193】
また、ステップS217では、制御部91は、ステップS210cでユーザによって設定された庫内温度Ti(図24)よりも適切な候補温度があるか否かを判定する。ステップS217の判定で、適切な候補温度があると判定された場合(“Yes”の場合)に、処理はステップS218に進む。一方、ステップS217の判定で、適切な候補温度がないと判定された場合(“No”の場合)に、処理はステップS220に進む。
【0194】
また、ステップS218では、制御部91は、加熱室内設定温度(ユーザによって設定された庫内温度Ti(図24))とその終了時間、及び、候補温度とその終了時間を操作パネル16に表示する。
【0195】
また、ステップS219では、制御部91は、操作パネル16でユーザによる温度設定の操作を受け付ける。このとき、ユーザは、操作パネル16に表示された加熱室内設定温度(ユーザによって設定された庫内温度Ti(図24))と候補温度のいずれかを選択する操作を行う。
【0196】
<低温加熱ステップを含む加熱調理を行う場合の制御の主な特徴>
(1)図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、被加熱物(食品)を収容する加熱室21と、被加熱物を加熱する加熱手段30と、被加熱物の内部温度を測定する接触式温度測定手段41と、加熱手段30を制御する制御部91と、操作入力を受け付け、各種の情報を表示する操作表示部(操作パネル16)と、を備えている。図20に示すように、制御部91は、加熱調理の開始の前又は後に、接触式温度測定手段41によって測定された被加熱物の測定内部温度Tf(図19)に基づいて調理終了時間Hse(図19)を推定し、調理終了時間Hse(図19)に基づいて算出される調理終了時刻Pe(図19)及び残調理時間(図21)と調理終了時間Hse(図19)とのいずれか1つ又は複数を操作表示部(操作パネル16)に表示し、測定内部温度Tf(図19)が所定の温度(目標内部温度Ttf(図19))に到達した後に、又は、測定内部温度Tf(図19)が所定の温度(目標内部温度Ttf(図19))に到達してから所定の時間(温度維持時間Hte(図19))加熱を継続した後に、加熱調理を終了するように制御する。
【0197】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱調理(特に低温加熱ステップを含む加熱調理)を行う場合に、調理終了時間Hse(図19)を推定して、調理終了時間Hse(図19)をユーザに好適に知らせることができる。
【0198】
(2)図19に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、測定内部温度Tfと予め設定された目標内部温度Ttfとの差と、測定内部温度Tfの上昇速度と、目標内部温度Ttfと予め設定された加熱室内設定温度(庫内温度Ti)との差との中の任意の情報を用いて調理終了時間Hseを推定する構成であるとよい。
【0199】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱調理(特に低温加熱ステップを含む加熱調理)を行う場合に、調理終了時間Hseを推定して、調理終了時間Hseをユーザに好適に知らせることができる。
【0200】
なお、調理終了時間Hseは、以下の式(1)で表すことができる。

調理終了時間Hse
={目標内部温度到達時間Hst+温度維持時間Hte}
={(目標内部温度Ttfの仮想値-測定内部温度Tfの初期値)×被加熱物の重量/上昇速度の仮想値)+温度維持時間Hte} …(1)
【0201】
ここで、目標内部温度Ttfの仮想値は、記憶部92に予め記憶されている。
測定内部温度Tfの初期値は、接触式温度測定手段41によって計測される。
被加熱物の重量(食品重量)は、重量センサで構成された載置検知手段25(図4)によって計測される。
上昇速度の仮想値は、記憶部92に予め記憶されている。
温度維持時間Hteは、記憶部92に予め記憶されている。
【0202】
また、調理終了時間Hseは、以下の式(2)で表すことができる。

調理終了時間Hse
={目標内部温度到達時間Hst+温度維持時間Hte}
={(加熱室内設定温度の仮想値-測定内部温度Tfの初期値)×被加熱物の重量/比熱の仮想値+温度維持時間Hte} …(2)
【0203】
ここで、加熱室内設定温度の仮想値(目標庫内温度Tti)は、記憶部92に予め記憶されている。
測定内部温度Tfの初期値は、接触式温度測定手段41によって計測される。
被加熱物の重量(食品重量)は、重量センサで構成された載置検知手段25(図4)によって計測される。
比熱の仮想値は、1グラムの被加熱物の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量であり、記憶部92に予め記憶されている。
温度維持時間Hteは、記憶部92に予め記憶されている。
【0204】
(3)本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、事前に登録された食品種目と、食品重量と、初期の表面温度と、測定内部温度Tf(図19)とを用いて調理終了時間Hse(図19)を推定する構成であるとよい。
【0205】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、食品種目と、食品重量と、初期の表面温度と、測定内部温度Tf(図19)とを用いて調理終了時間Hse(図19)を推定することで、精度の高い調理終了時間Hse(図19)をユーザに知らせることができる。特に、加熱調理器100は、被加熱物の初期の表面温度と測定内部温度Tfとの差から被加熱物の蓄熱量を考慮して、調理終了時間Hseの推定を行うことができる。このような加熱調理器100は、被加熱物の初期の表面温度と測定内部温度Tf(図19)との差が大きい場合に、加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))をデフォルト値よりも高めに設定することで、目標内部温度到達時間Hst(図19)を短縮することができる。また、加熱調理器100は、被加熱物の初期の表面温度と測定内部温度Tf(図19)との差が小さい場合に、被加熱物の蓄熱量が多いため、加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))をデフォルト値よりも低めに設定することで、消費エネルギーをセーブすることができる。
【0206】
(4)図20に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、任意のタイミングで調理終了時間Hse(図19)の推定を繰り返し行い、調理終了時間Hse(図19)を減算することで得られる当初値と相違する値が新たに推定される場合に、当初値を新たに推定される値に変更することで、調理終了時間Hse(図19)を更新する構成であるとよい。
【0207】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱調理(特に低温加熱ステップを含む加熱調理)を行う場合に、調理終了時間Hse(図19)を繰り返し推定して更新することで、精度の高い調理終了時間Hse(図19)をユーザに知らせることができる。
【0208】
(5)図25に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、ユーザにより設定される調理終了時間Hse(図19)又は調理終了時刻Pe(図19)と、目標内部温度Ttf(図19)とに基づいて、加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))を設定する構成であるとよい。
【0209】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、ユーザにより設定される調理終了時間Hse(図19)又は調理終了時刻Pe(図19)と、目標内部温度Ttf(図19)とに基づいて、加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))を設定することができる。
【0210】
(6)図25に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、測定内部温度Tf(図19)の上昇速度に基づいて、加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))を調整する構成であるとよい。
【0211】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、測定内部温度Tf(図19)の上昇速度に基づいて、加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))を調整(設定)することができる。
【0212】
(7)図21に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、測定内部温度Tf(図19)及び予め設定された目標内部温度Ttf(図19)のいずれか一方又は双方を操作表示部(操作パネル16)に表示する構成であるとよい。
【0213】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、測定内部温度Tf(図19)及び目標内部温度Ttf(図19)のいずれか一方又は双方を操作表示部(操作パネル16)に表示することができる。
【0214】
(8)図23に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、調理終了時刻Peよりも任意の時間前に調理終了予告時間Haeを操作表示部(操作パネル16)に表示する構成であるとよい。
【0215】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、調理終了時刻Peよりも任意の時間前に調理終了予告時間Haeを操作表示部(操作パネル16)に表示することができる。なお、加熱調理器100は、調理終了予告時間Haeに加え、又は、調理終了予告時間Haeの代わりに、調理終了予告時刻Paeを操作表示部(操作パネル16)に表示する構成であってもよい。
【0216】
(9)図24に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、ユーザによって設定された指定調理終了時間Hpeに基づいて、適切な調理開始時間Hpsを推定して操作表示部(操作パネル16)に表示する構成であるとよい。
【0217】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、指定調理終了時間Hpeに基づいて、適切な調理開始時間Hpsを推定して操作表示部(操作パネル16)に表示することができる。なお、加熱調理器100は、適切な調理開始時間Hpsに加え、又は、適切な調理開始時間Hpsの代わりに、適切な調理開始時刻Psを操作表示部(操作パネル16)に表示する構成であってもよい。
【0218】
(10)図26に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、ユーザによって設定された加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図24))よりも適切な候補温度がある場合に、加熱室内設定温度(ユーザによって設定された庫内温度Ti(図24))の終了時間と候補温度とを操作表示部(操作パネル16)に表示する構成であるとよい。
【0219】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱室内設定温度(ユーザによって設定された庫内温度Ti(図24))よりも適切な候補温度がある場合に、ユーザに候補温度を提示することができる。
【0220】
(11)図12に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100は、外部装置(例えば、携帯端末200(図12))と通信するための通信部を備え、図21に示すように、制御部91は、調理終了時刻Pe(図19)と残調理時間と調理終了時間Hse(図19)とのいずれか1つ又は複数を外部装置に通知する構成であるとよい。
【0221】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、調理終了時刻Pe(図19)と残調理時間と調理終了時間Hse(図19)とのいずれか1つ又は複数を外部装置に通知することができる。
【0222】
(12)図21に示すように、本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、測定内部温度Tf(図19)及び予め設定された目標内部温度Ttf(図19)のいずれか一方又は双方を外部装置に通知する構成であるとよい。
【0223】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、測定内部温度Tf(図19)及び予め設定された目標内部温度Ttf(図19)のいずれか一方又は双方を外部装置に通知することができる。
【0224】
(13)本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、調理終了時刻Pe(図23)よりも任意の時間前に調理終了予告時間Hae(図23)を外部装置に通知する構成であるとよい。
【0225】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、調理終了予告時間Hae(図23)を外部装置に通知することができる。なお、加熱調理器100は、調理終了予告時間Hae(図23)に加え、又は、調理終了予告時間Hae(図23)の代わりに、調理終了予告時刻Pae(図23)を外部装置に通知する構成であってもよい。
【0226】
(14)本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、ユーザによって設定された指定調理終了時間Hpe(図24)に基づいて、適切な調理開始時間Hps(図24)を推定して外部装置に通知する構成であるとよい。
【0227】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、指定調理終了時間Hpe(図24)に基づいて、適切な調理開始時間Hps(図24)を推定して外部装置に通知することができる。なお、加熱調理器100は、適切な調理開始時間Hps(図24)に加え、又は、適切な調理開始時間Hps(図24)の代わりに、適切な調理開始時刻Ps(図24)を外部装置に通知する構成であってもよい。
【0228】
(15)本実施形態に係る加熱調理器100において、制御部91は、ユーザによって設定された加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))よりも適切な候補温度がある場合に、加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))の終了時間と候補温度とを外部装置に通知する構成であるとよい。
【0229】
このような本実施形態に係る加熱調理器100は、加熱室内設定温度(庫内温度Ti(図19))よりも適切な候補温度がある場合に、ユーザに候補温度を提示することができる。
【0230】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0231】
11 本体
16 操作パネル(操作表示部)
16a 表示部
16b 操作部
16c 音声手段
17 開口部
19 収容部(収容箇所)
19a 収容検知手段
21 加熱室
22 壁面
23 底面
24a,24b テーブルプレート(加熱皿)
25 載置検知手段(重量センサ)
30 加熱手段
31 グリル加熱ユニット(第1加熱手段)
31a ヒータ
32 レンジ加熱ユニット(第2加熱手段)
32a マグネトロン
33 水蒸気発生ユニット(第1加熱手段)
33a ボイラー加熱手段
34 熱風ユニット(第1加熱手段)
34a 熱風ヒータ
40 温度測定手段
41,41A,41B,41C 接触式温度測定手段(温度測定手段)
42 非接触式温度測定手段
43 空気温度測定手段
50 測定部
51 刺込部(先端部、プローブ)
52 グリップ部(把持部)
53 導線部
54 サーミスタ導線(導線)
55 保護管
57 金属材
57a シールドメッシュ(導電性部材)
58 導線カバー(絶縁部材)
59B,59C 絶縁被覆部材(絶縁部材)
60,60A 接続部
61 挿入部
61a 挿入ピン
62 被挿入部
62a 挿入口
63 スイッチ部
66,66A 蓋部
67 ヒンジ軸
68 立壁
100 加熱調理器
H12 温度維持時間
P11 加熱停止温度到達時刻
Hae 調理終了予告時間
Has 調理開始予告時間
Hps 調理開始時間
Hse 調理終了時間
Hst 目標内部温度到達時間
Hte 温度維持時間
Pae 調理終了予告時刻
Pas 調理開始予告時刻
Pe 調理終了時刻
Pp 現在時刻
Ps 調理開始時刻
Pt 目標内部温度到達時刻
T11 加熱停止温度
T12 食品目標温度(第1温度、維持温度)
Tf 測定内部温度(食品温度)
Ti 庫内温度(加熱室内温度)
Ttf 目標内部温度(目標食品温度)
Tti 目標庫内温度(目標加熱室内温度)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26