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特開2024-98674圧力センサ、圧力測定装置および圧力測定装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098674
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】圧力センサ、圧力測定装置および圧力測定装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
G01L19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002302
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】津嶋 鮎美
(72)【発明者】
【氏名】中園 茉友子
(72)【発明者】
【氏名】落合 耕一
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF38
2F055GG01
2F055GG12
2F055HH08
(57)【要約】
【課題】導圧パイプとワッシャとの接続部分が腐食することがない圧力センサを提供する。
【解決手段】圧力伝達媒体で満たされる第1および第2の導圧パイプ13,14と、第1および第2の導圧パイプ13,14の一端部が半田付けされたセンサケースと、センサケースに収容されたセンサチップとを有する。第1および第2の導圧パイプ13,14の他端部が挿入される貫通孔35を有し、貫通孔35に挿入された第1および第2の導圧パイプ13,14の先端が溶接された第1および第2のワッシャ15,16とを備える。第1および第2の導圧パイプ13,14に第1および第2のワッシャ15,16が溶接されてなる溶接体36には金めっきが施される。金めっきが施された貫通孔35における第1および第2の導圧パイプ13,14が挿入された挿入口75が封止材74によって封止されている。
【選択図】 図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力伝達媒体で満たされる導圧パイプと、
前記導圧パイプの一端部が貫通した状態で半田付けされたセンサケースと、
前記センサケースに収容され、前記圧力伝達媒体の圧力を検出するセンサチップと、
前記導圧パイプの他端部が挿入される貫通孔を有し、前記貫通孔に挿入された前記導圧パイプの先端が溶接されたワッシャとを備え、
前記導圧パイプに前記ワッシャが溶接されてなる溶接体には金めっきが施され、
前記金めっきが施された前記貫通孔における前記導圧パイプが挿入された挿入口が封止材によって封止されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力センサにおいて、
前記ワッシャの前記貫通孔は、前記導圧パイプの前記他端部の先端側が挿入される第1の孔と、
前記第1の孔より孔径が大きい第2の孔とによって形成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の圧力センサを備えた圧力測定装置であって、
被測定流体の圧力を受ける受圧室を有しかつ前記受圧室に導圧路を介して連通されたセンサ接続口を有するボディと、
前記ボディに取付けられた基板ホルダーと、
前記圧力センサの前記センサケースが実装され、前記センサ接続口と隣接する位置で前記基板ホルダーに立てて設けられた基板とを備え、
前記基板ホルダーは、前記センサ接続口と対応する位置に前記ワッシャを挿通可能に形成された穴と、前記穴から前記基板まで延びる溝とを有し、
前記圧力センサの前記導圧パイプが前記溝に挿入されるとともに、前記ワッシャが前記穴に挿入された状態で前記センサ接続口に溶接され、
前記封止材は、前記ワッシャから前記穴と前記溝とを経て前記基板に至る範囲に充填されていることを特徴とする圧力測定装置。
【請求項4】
被測定流体の圧力を受ける受圧室に連通されたセンサ接続口が開口するボディを形成するステップと、
前記センサ接続口に接続されるワッシャの貫通孔に導圧パイプを挿通させて溶接し、溶接体を形成するステップと、
前記溶接体に金めっきを施すステップと、
前記金めっきが施された前記導圧パイプの前記ワッシャとは反対側の端部をセンサケースに貫通させて半田付けするステップと、
前記センサケースの中に圧力検出用のセンサチップを収容して圧力センサを形成するステップと、
前記ワッシャを前記センサ接続口に溶接するステップと、
前記貫通孔の前記導圧パイプが挿入された挿入口を封止材によって封止するステップとを有することを特徴とする圧力測定装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金めっきされた導圧パイプを有する圧力センサ、圧力測定装置および圧力測定装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧力センサとしては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1には、図15に示す圧力センサ1が開示されている。この圧力センサ1は、センサチップ2に2本の導圧パイプ3が接続されている。これらの導圧パイプ3は、センサケース4の底部4aを貫通している。導圧パイプ3の中には、圧力伝達媒体としての封入液が充填される。また、センサチップ2は、センサケース4の底部4aに接着されている。この種の圧力センサ1において、センサチップ2はシリコンによって形成され、センサケース4は、セラミックスによって形成されることが多い。
【0003】
導圧パイプ3の先端部は、図示していない圧力測定装置のボディに接続され、ボディに設けられている導圧路から圧力伝達媒体を介して被測定流体の圧力が伝達される。導圧パイプ3を圧力測定装置のボディに接続するためには、例えば特許文献2に記載されているワッシャを用いることができる。ワッシャは、導圧パイプ3が挿通されて結合された状態で導圧路の開口部分に溶接される。ワッシャと導圧パイプ3とは、ワッシャに形成された貫通孔に導圧パイプを挿入し、導圧パイプ3の先端とワッシャの先端面とを溶接することによって結合されている。
【0004】
導圧パイプ3がセラミックス製のセンサケース4の底部4aを貫通する部分は、センサケース4内を封止するために半田付けすることが望ましい。導圧パイプ3は、耐圧性を高くするためにステンレス鋼によって形成されることが多い。従来、セラミックス材料にステンレス鋼からなる導圧パイプを半田付けするめには、半田の濡れ性を担保するために導圧パイプ3に金めっきを施し、セラミックス材料にはメタライズ処理を施している。すなわち、図15に示す圧力センサ1を形成するためには、導圧パイプ3にワッシャを溶接して形成された溶接体に金めっきを施し、その後、導圧パイプ3をセンサケース4に半田付けする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-92489号公報
【特許文献2】特開2021-171795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように導圧パイプとワッシャとからなる溶接体に金めっきを施すと、導圧パイプとワッシャとの接続部分が腐食するおそれがあった。この理由は、めっき工程においてめっき液がワッシャの貫通孔と導圧パイプとの間の微小隙間に付着し、めっき後に洗浄を行っても残渣として残ってしまうからである。残渣は、腐食を進行させる成分(塩化物)を含んでいるため、高湿度の雰囲気に晒されたときに導圧パイプを腐食させ易いものである。導圧パイプの腐食が進行すると、導圧パイプが溶かされて圧力伝達媒体がリークしたり、耐圧劣化に繋がる。
【0007】
本発明の目的は、導圧パイプとワッシャとの接続部分が腐食することがない圧力センサ、圧力測定装置および圧力測定装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明に係る圧力センサは、圧力伝達媒体で満たされる導圧パイプと、前記導圧パイプの一端部が貫通した状態で半田付けされたセンサケースと、前記センサケースに収容され、前記圧力伝達媒体の圧力を検出するセンサチップと、前記導圧パイプの他端部が挿入される貫通孔を有し、前記貫通孔に挿入された前記導圧パイプの先端が溶接されたワッシャとを備え、前記導圧パイプに前記ワッシャが溶接されてなる溶接体には金めっきが施され、前記金めっきが施された前記貫通孔における前記導圧パイプが挿入された挿入口が封止材によって封止されているものである。
【0009】
本発明は、前記圧力センサにおいて、前記ワッシャの前記貫通孔は、前記導圧パイプの前記他端部の先端側が挿入される第1の孔と、前記第1の孔より孔径が大きい第2の孔とによって形成されていてもよい。
【0010】
本発明に係る圧力測定装置は、前記圧力センサを備えた圧力測定装置であって、被測定流体の圧力を受ける受圧室を有しかつ前記受圧室に導圧路を介して連通されたセンサ接続口を有するボディと、前記ボディに取付けられた基板ホルダーと、前記圧力センサの前記センサケースが実装され、前記センサ接続口と隣接する位置で前記基板ホルダーに立てて設けられた基板とを備え、前記基板ホルダーは、前記センサ接続口と対応する位置に前記ワッシャを挿通可能に形成された穴と、前記穴から前記基板まで延びる溝とを有し、前記圧力センサの前記導圧パイプが前記溝に挿入されるとともに、前記ワッシャが前記穴に挿入された状態で前記センサ接続口に溶接され、前記封止材は、前記ワッシャから前記穴と前記溝とを経て前記基板に至る範囲に充填されているものである。
【0011】
本発明に係る圧力測定装置の製造方法は、被測定流体の圧力を受ける受圧室に連通されたセンサ接続口が開口するボディを形成するステップと、前記センサ接続口に接続されるワッシャの貫通孔に導圧パイプを挿通させて溶接し、溶接体を形成するステップと、前記溶接体に金めっきを施すステップと、前記金めっきが施された前記導圧パイプの前記ワッシャとは反対側の端部をセンサケースに貫通させて半田付けするステップと、前記センサケースの中に圧力検出用のセンサチップを収容して圧力センサを形成するステップと、前記ワッシャを前記センサ接続口に溶接するステップと、前記貫通孔の前記導圧パイプが挿入された挿入口を封止材によって封止するステップとを有する方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導圧パイプが挿入されたワッシャの貫通孔が封止材によって封止されるから、貫通孔内のめっき時の残渣が外気に晒されることがない。したがって、導圧パイプとワッシャとの接続部分が腐食することがない圧力センサおよび圧力測定装置を提供することができる。
【0013】
本発明に係る圧力測定装置の製造方法によれば、封止材が充填される以前にワッシャを圧力検出装置のボディに溶接できるから、ワッシャをボディに溶接するときに封止材が邪魔になることがない。したがって、従来と較べて封止材を充填するステップが増えるにもかかわらず、圧力測定装置の生産性を高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係る圧力センサのセンサケース部分を破断して示す斜視断面図である。
図2図2は、導圧パイプとワッシャの断面図である。
図3図3は、本発明に係る圧力測定装置の斜視断面図である。
図4図4は、圧力測定装置の分解斜視図である。
図5図5は、圧力測定装置の分解斜視図である。
図6図6は、圧力測定装置の製造方法を示すフローチャートである。
図7図7は、導圧パイプにワッシャを溶接するステップを説明するための断面図である。
図8図8は、溶接体に金めっきを施すステップを説明するための断面図である。
図9図9は、金めっき後に溶接体が洗浄されている状態を示す断面図である。
図10図10は、導圧パイプをセンサケース本体に半田付けするステップを説明するための断面図である。
図11図11は、圧力センサを形成するステップを説明するための断面図である。
図12図12は、ワッシャをボディに溶接するステップを説明するための斜視断面図である。
図13図13は、封止材を充填するステップを説明するための斜視断面図である。
図14図14は、要部を拡大して示す断面図である。
図15図15は、従来の圧力センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る圧力センサ、圧力測定装置および圧力測定装置の製造方法の一実施の形態を図1図13を参照して詳細に説明する。
図1に示す圧力センサ11は、図1において最も上に描かれているセンサケース12と、センサケース12に一端部が接続された第1、第2の導圧パイプ13,14と、第1、第2の導圧パイプ13,14の他端部に接続された第1、第2のワッシャ15,16とを備えている。
【0016】
センサケース12は、セラミックス材料によって形成された有底角筒状のセンサケース本体17と、センサケース本体17の開口部を塞ぐ蓋体18とによって形成されており、内部にセンサチップ19を収容している。
センサケース本体17の底面17aには、複数の半田付け用パッド20が設けられている。これらの半田付け用パッド20は、図示してはいないが、センサケース本体17の内部に形成された導体と、ボンディングワイヤなどを介してセンサチップ19の電極に電気的に接続されている。
【0017】
第1の導圧パイプ13と第2の導圧パイプ14は、それぞれステンレス鋼によって形成され、所定の形状に曲げられて第1、第2のワッシャ15,16が溶接された状態でセンサケース本体17に接続されている。第1および第2の導圧パイプ13,14は、センサケース本体17の底壁17bに形成された貫通孔21に通されてセンサケース12内に延びており、センサケース本体17の底壁17bに半田付けされている。第1および第2の導圧パイプ13,14とセンサケース本体17との半田付け部分の半田を図1中に符号22で示す。
【0018】
第1および第2の導圧パイプ13,14のセンサケース本体17側の先端部分は、センサチップ19に接着されている。第1および第2の導圧パイプ13,14の中には、圧力センサ11が完成した後に圧力伝達媒体23(図3参照)が注入される。センサチップ19は、第1の導圧パイプ13内の圧力伝達媒体23の圧力と、第2の導圧パイプ14内の圧力伝達媒体23の圧力との差圧を検出する。
第1および第2の導圧パイプ13,14の外面には、センサケース本体17との間に半田22が濡れ拡がるように、金めっきが施されている。なお、センサケース本体17の底面17aにおける貫通孔21の周辺部には、図示してはいないが、第1および第2の導圧パイプ13,14との間で半田が濡れ拡がるようにメタライズ処理が施されている。
【0019】
第1および第2のワッシャ15,16は、圧力センサ11を後述する圧力測定装置31(図3参照)のボディ32に取付けるためのもので、円板状に形成された円板部33{図2(A)参照}と、円板部33の軸心部に突設された円筒部34とによって形成されている。この第1および第2のワッシャ15,16の軸心部には、図2(A)に示すように、第1および第2の導圧パイプ13,14の他端部が挿入される貫通孔35が形成されている。この実施の形態による貫通孔35は、第1および第2の導圧パイプ13,14の他端部の先端側が挿入される第1の孔35aと、第1の孔35aより孔径が大きい第2の孔35bとによって形成されている。第1の孔35aと第2の孔35bは、それぞれ機械加工によって同一軸線上に位置するように形成されている。
【0020】
第1および第2のワッシャ15,16の円筒部34の先端部分は、図2(B)に示すように、貫通孔35に第1および第2の導圧パイプ13,14が挿入された状態で径方向の内側に向けてかしめられている。このかしめによって、円筒部34に縮径部34aが形成され、第1および第2の導圧パイプ13,14が第1および第2のワッシャ15,16に固定される。
この第1および第2の導圧パイプ13,14は、図2(C)に示すように、円筒部34に固定された状態で先端と円筒部34との境界部分にレーザー光Lが照射されてレーザー溶接によって円筒部34に溶接されている。上述した金めっきは、このように第1および第2の導圧パイプ13,14に第1および第2のワッシャ15,16が溶接されて形成された溶接体36に対して実施される。
【0021】
上述した圧力センサ11は、図3に示す圧力測定装置31に組み付けられて使用される。圧力測定装置31は、図3に示すように、第1のパイプ41と第2のパイプ42とに挟まれたボディ32に各種の機能部品を組み付けて構成されている。第1のパイプ41の内部は第1の被測定流体43で満たされ、第2のパイプ42の内部は第2の被測定流体44
で満たされている。
ボディ32は、第1、第2のパイプ41,42が接続された受圧部45と、図3において上側に描かれている有底円筒状の検出部46とを有している。検出部46の底部が受圧部45に接続されている。
【0022】
受圧部45には、第1の被測定流体43に接する第1の受圧ダイアフラム51と、第2の被測定流体44に接する第2の受圧ダイアフラム52とが設けられている。また、受圧部45には、第1の受圧ダイアフラム51が壁の一部となる第1の受圧室53と、第2の受圧ダイアフラム52が壁の一部となる第2の受圧室54とが形成されている。第1の受圧室53は、ボディ32内に形成された第1の導圧路55を介して検出部46の第1のセンサ接続口56に連通されている。
【0023】
第2の受圧室54は、ボディ32内に形成された第2の導圧路57を介して検出部46の第2のセンサ接続口58に連通されている。第1および第2の受圧室53,54から第1および第2のセンサ接続口56,58に至る圧力伝達経路は、圧力伝達媒体23で満たされている。
第1および第2のセンサ接続口56,58は、検出部46の内側底面46aに開口している。第1のセンサ接続口56には上述した圧力センサ11の第1のワッシャ15が溶接され、第2のセンサ接続口58には第2のワッシャ16が溶接されている。
【0024】
検出部46には、基板ホルダー61が取付用ボルト62によって取付けられている。
基板ホルダー61は、検出部46の内側底面46aに重ねられた板状の基部61aと、基部61aの両側部に突設された一対の腕部61bとを有している。基部61aの一端部には基板63が取付用ねじ64(図4および図5参照)によって取付けられている。基板63は、有底円筒状に形成された検出部46の軸線方向(図3においては上下方向)に延びる姿勢で基板ホルダー61に取付けられている。また、基板63は、その部品実装面63a(図5参照)が第1および第2のセンサ接続口56,58とは反対側に位置するように基板ホルダー61に取付けられている。この基板63は、基板ホルダー61に取付けられることにより、第1および第2のセンサ接続口56,58と隣接する位置に立てて設けられる。
【0025】
基板63の部品実装面63aには、圧力センサ11のセンサケース12が実装されている。圧力センサ11は、基板63の基板ホルダー側の端部に形成された切り欠き65(図4参照)に第1および第2の導圧パイプ13,14が通された状態で基板63に実装されている。
基板ホルダー61には、基板63の部品実装面63aを覆うカバー66が基板63とともに取付けられている。カバー66は、基板63の部品実装面63aを覆う箱状に形成されており、その一端部が基板ホルダー61に基板63と共通の取付用ねじ64によって取付けられている。カバー66の他端部は、複数の係止片67によって基板63に係止されている。
【0026】
基板ホルダー61の基部61aには、図12に示すように、第1および第2のセンサ接続口56,58と対応する位置に第1および第2のワッシャ15,16を挿通可能に形成された穴71,72と、これらの穴71,72から基板63まで延びる溝73とを有している。穴71,72には圧力センサ11の第1および第2のワッシャ15,16が挿入されている。これらの第1および第2のワッシャ15,16は、第1および第2のセンサ接続口56,58に抵抗溶接によって溶接されている。溝73には、圧力センサ11の第1および第2の導圧パイプ13,14が挿入されている。
【0027】
第1および第2のワッシャ15,16から穴71,72と溝73とを経て基板63に至る範囲には、第1および第2のワッシャ15,16がボディ32に溶接された状態で図13に示すように封止材74がポッティングにより充填されている。図3および図12は、封止材74を省略して描いてある。封止材74は、水分が透過することがない材料のものが用いられる。この封止材74としては、例えばシリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素樹脂、あるいは半田などを用いることができる。
この封止材74は、第1および第2のワッシャ15,16に形成されている貫通孔35の、第1および第2の導圧パイプ13,14が挿入された挿入口75{図2(C)参照}を封止する。
【0028】
次に、上述したように構成された圧力測定装置31を製造する方法を図6に示すフローチャートを用いて説明する。圧力測定装置31を製造するためには、先ず、ボディ32と付属部品とを形成する(ステップS1)。付属部品とは、圧力センサ11の第1、第2の導圧パイプ13,14、第1、第2のワッシャ15,16、センサケース本体17、蓋体18、センサチップ19、基板ホルダー61およびカバー66などである。そして、図7(A),(B)に示すように、第1および第2の導圧パイプ13,14に第1および第2のワッシャ15,16を溶接し、溶接体36を形成する(ステップS2)。
【0029】
次に、図8に示すように、溶接体36をめっき槽81に浸漬させて溶接体36に金めっきを施す(ステップS3)。金めっきが終了した後、図9に示すように、溶接体36を例えば洗浄液82によって洗浄する。その後、図10に示すように、第1および第2の導圧パイプ13,14をセンサケース本体17の貫通孔21に挿通し、センサケース本体17に半田付けする(ステップS4)。次に、図11に示すように、センサケース本体17内にセンサチップ19を挿入してセンサチップ19に第1および第2の導圧パイプ13,14を接着する。そして、センサケース本体17の導体とセンサチップ19とを例えばボンディングワイヤによって電気的に接続し、センサケース本体17に蓋体18を接合してセンサケース12内を封止する。
【0030】
このようにセンサケース12内が封止されることによって圧力センサ11が形成される(ステップS5)。なお、第1および第2の導圧パイプ13,14にセンサチップ19を接着するためには、例えば下記の2通り方法のいずれか一方の方法で行うことができる。第1の方法は、第1および第2の導圧パイプ13,14がセンサケース本体17に半田付けされる以前にセンサチップ19を第1および第2の導圧パイプ13,14に接着する方法である。第2の方法は、第1および第2の導圧パイプ13,14がセンサケース本体17に半田付けされた後にセンサチップ19を第1および第2の導圧パイプ13,14に接着する方法である。
【0031】
圧力センサ11が形成された後、センサケース12を基板63に実装し、基板63をカバー66とともに基板ホルダー61に取付ける。このとき、第1および第2の導圧パイプ13,14を基板ホルダー61の溝73に挿入し、第1および第2のワッシャ15,16を基板ホルダー61の穴71に挿入する。そして、図12に示すように、基板ホルダー61をボディ32に固定する。このとき、第1および第2のワッシャ15,16をボディ32の第1のセンサ接続口56と第2のセンサ接続口58に重ねる。そして、第1および第2のワッシャ15,16をボディ32の第1および第2のセンサ接続口56,58に溶接する(ステップS6)。この溶接は、図12中に二点鎖線で示す棒状の抵抗溶接用の電極83を第1および第2のワッシャ15,16に押し付けて抵抗溶接によって行う。この電極83は、基板ホルダーの穴71,72に通して第1および第2のワッシャ15,16に接触させる。
【0032】
その後、図13に示すように、基板ホルダー61の穴71,72と溝73とに封止材74をポッティングによって充填し、第1および第2の導圧パイプ13,14と、第1および第2のワッシャ15,16とを封止材74の中に埋め込む。このように封止材74をポッティングすることにより、図14に示すように、第1および第2のワッシャ15,16の貫通孔35の挿入口75が封止材74によって封止される(ステップS7)。
このように封止材74を充填した後、第1および第2の導圧路55,57に図示していない注入口から圧力伝達媒体23を注入し、第1および第2の受圧室53,54からセンサチップ19に至る圧力伝達経路を圧力伝達媒体23で満たすことにより、第1および第2の被測定流体の差圧を検出することが可能な圧力測定装置31が完成する。
【0033】
このように構成された圧力センサ11および圧力測定装置31によれば、第1および第2の導圧パイプ13,14が挿入された第1および第2のワッシャ15,16の貫通孔35が封止材74によって封止されるから、金めっき後に貫通孔35内に残存した残渣が外気に晒されることがない。したがって、この実施の形態によれば、導圧パイプとワッシャとの接続部分が腐食することがない圧力センサおよび圧力測定装置を提供することができる。
【0034】
この実施の形態による圧力センサ11において、第1および第2のワッシャ15,16の貫通孔35は、第1および第2の導圧パイプ13,14の他端部の先端側が挿入される第1の孔35aと、第1の孔35aより孔径が大きい第2の孔35bとによって形成されている。
このため、金めっき終了後の洗浄工程で洗浄液82が第2の孔35bに入り易くなるから、貫通孔35内を容易に洗浄することができ、金めっき後の残渣を減らすことができる。したがって、より一層腐食が発生し難い圧力センサを実現することができる。
【0035】
この実施の形態による圧力測定装置31は、第1および第2の被測定流体43,44の圧力を受ける第1および第2の受圧室53,54を有しかつ第1および第2の受圧室53,54に第1および第2の導圧路55,57を介して連通された第1および第2のセンサ接続口56,58を有するボディ32を備えている。また、この圧力測定装置31は、ボディ32に取付けられた基板ホルダー61と、圧力センサ11のセンサケース12が実装され、第1および第2のセンサ接続口56,58と隣接する位置で基板ホルダー61に立てて設けられた基板63とを備えている。
【0036】
基板ホルダー61は、第1および第2のセンサ接続口56,58と対応する位置に第1および第2のワッシャ15,16を挿通可能に形成された穴71,72と、穴71,72から基板63まで延びる溝73とを有している。圧力センサ11の第1および第2の導圧パイプ13,14が溝73に挿入されるとともに、第1および第2のワッシャ15,16が穴71,72に挿入された状態で第1および第2のセンサ接続口56,58に溶接されている。封止材74は、第1および第2のワッシャ15,16から穴71,72と溝73とを経て基板63に至る範囲に充填されている。
このため、第1および第2のワッシャ15,16の貫通孔35の挿入口75を封止するだけでなく、第1および第2の導圧パイプ13,14と第1および第2のワッシャ15,16とを封止材74の中に埋め込んでこれらを保護することができる。
【0037】
この実施の形態による圧力測定装置31の製造方法は、圧力測定装置31のボディ32を形成するステップS1と、溶接体36を形成するステップS2と、溶接体36に金めっきを施すステップS3と、第1および第2の導圧パイプ13,14をセンサケース本体17に半田付けするステップS4とを有している。また、この製造方法は、センサケース12の中に圧力検出用のセンサチップ19を収容して圧力センサ11を形成するステップS5と、第1および第2のワッシャ15,16を第1および第2のセンサ接続口56,58に溶接するステップS6と、第1および第2のワッシャ15,16の貫通孔35の挿入口75を封止材74によって封止するステップS7とを有している。
この圧力測定装置31の製造方法によれば、封止材74が充填される以前に第1および第2のワッシャ15,16を圧力測定装置31のボディ32に溶接できるから、第1および第2のワッシャ15,16をボディ32に溶接するときに封止材74が邪魔になることがない。したがって、従来と較べて封止材74を充填するステップが増えるにもかかわらず、圧力測定装置31の生産性を高く保つことができる。
【0038】
上述した実施の形態による第1および第2のワッシャ15,16の貫通孔35は、大きく開口する挿入口75を含む第2の孔35bを有している。しかし、貫通孔35は、一端から他端まで孔径が一定となるように形成することができる。
【符号の説明】
【0039】
11…圧力センサ、12…センサケース、13…第1の導圧パイプ、14…第2の導圧パイプ、19…センサチップ、15…第1のワッシャ、16…第2のワッシャ、23…圧力伝達媒体、31…圧力測定装置、32…ボディ、35…貫通孔、35a…第1の孔、35b…第2の孔、36…溶接体、43…第1の被測定流体、44…第2の被測定流体、53…第1の受圧室、54…第2の受圧室、55…第1の導圧路、56…第1のセンサ接続口、57…第2の導圧路、58…第2のセンサ接続口、61…基板ホルダー、63…基板、71,72…穴、73…溝、74…封止材、75…挿入口、S1…圧力測定装置ボディを形成するステップ、S2…溶接体を形成するステップ、S3…溶接体に金めっきを施すステップ、S4…導圧パイプをセンサケースに半田付けするステップ、S5…圧力センサを形成するステップ、S6…第1および第2のワッシャをセンサ接続口に溶接するステップ、S7…貫通孔の挿入口を封止材によって封止するステップ。
図1
図2
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