(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098678
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】低電力通信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/04 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
H04B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002309
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田 英明
【テーマコード(参考)】
5K060
【Fターム(参考)】
5K060BB04
5K060CC04
5K060MM06
5K060PP01
(57)【要約】
【課題】電源が喪失あるいは十分な電力が供給されないことを無線により通知する機能を持ったシステムにおいて、容量に関する電源能力が十分な能力を有する通常時において電力が消費されるという課題を解決すること。
【解決手段】電源、電源判定回路および電源制御部及び無線送信部で低電力通信装置を構成する。そして、電源判定回路で容量に関する電源能力が基準以下か否かを判定する。そして、容量に関する電源能力が基準以下と判定した場合は、無線送信部から外部に無線送信することにより、受信側でその旨を判別することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量に関する電源能力を判定して、外部に無線送信する通信装置であって、前記電源能力が基準以下であるとき、外部に無線送信することでその判定結果が通知されることを特徴とする低電力通信装置。
【請求項2】
電源能力が基準以下である旨判定したときに加えて、動作確認を目的とするとき又は外部からの電力供給があるとき、無線通信することを特徴とする請求項1に記載の低電力通信装置。
【請求項3】
電源能力が基準以下である旨判定したとき以外は、外部に無線送信することがないことを特徴とする請求項1に記載の低電力通信装置。
【請求項4】
電源能力が基準以下である旨判定したとき、又は動作確認を目的とするとき、又は外部からの電力供給があるとき以外は、外部に無線送信することがないことを特徴とする請求項2に記載の低電力通信装置。
【請求項5】
電源能力が基準以下である旨判定したとき以外は、電源能力判定機能と電源に関連する制御以外の動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の低電力通信装置。
【請求項6】
電力容量が有限な電源、外部から電力が供給される電源、又はそれらの組み合わせを容量に関する電源能力判定対象とし、前記電源の電力を使用して前記送信行うことを特徴とする請求項1に記載の低電力通信装置。
【請求項7】
容量に関する電源能力判定対象以外の電力を使用して前記送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の低電力通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低電力通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一次電池や二次電池等の電源を内蔵した機器は広く使用されている。これら電池等を電源とする機器は、外部からの電力供給がない場所で使用でき、また、持ち運んで使用することができる。
【0003】
しかし、これら電池等は、外部からの電力供給がない場合、機器の使用に伴って又は自然放電によりその残存する容量が低下し、やがて、機器を駆動できないようになる。
【0004】
そこで、これら機器に内蔵した電池等の電源が、充分な電源能力を維持しているか否かを通知することは重要である。この内蔵電池の電源能力の有無は、液晶表示装置等に表示される物や、機器の一部にランプを設けて表示される物もあるが、電池等の電源能力の有無はわからないことも多い。
【0005】
ところで、このような電源能力の有無を、他の機器に通知する場合がある。その機器の電源が喪失あるいは十分な電力が供給されない可能性がある時に、その旨を通知する場合、有線による通知伝達方法と無線による通知伝達方法がある。ただし、有線の場合には、伝達先のシステムと電源を共用している場合に、電力が喪失あるいは十分な電力が供給されなくなると、通知そのものが無効になる可能性があるため、通知先に独立した電源ないしは多重化が必要となる。無線の場合、電源は独立していることが一般的である。
【0006】
図4は一般的な無線送受信システムを示すブロック図である。無線通信システムは情報の伝達を無線によって行うものであり、送信側から受信側に対して何らかの情報の伝達を行うことを目的とする。この場合も無線送信機および無線受信機は電源からの電力供給を前提とする。
【0007】
特許文献1は、電池を内蔵した電気機器のもので、電池の残量が閾値以下となった場合、設定期間が経過するまでの間に、識別子通知信号の送信を停止するものである。これにより想定以上に電池を消耗した場合であっても無線通信を継続させることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に例示される技術では、想定以上に電池を消耗した場合に無線通信を継続させる工夫であって、通常動作においては、常時通信が行われている。
【0010】
しかしながら、容量に関する電源能力の不足を、無線送信により他の機器に通知することのみを目的とする場合、外部からの電力供給がない状態で無線通信を続けることにより、有限である電力が消費されてしまうため、不必要な電力が消費されてしまう。
【0011】
そこで、本発明は、電源が喪失あるいは十分な電力が供給されないことを、無線により
通知する機能を持ったシステムにおいて、外部からの電力供給がなく、容量に関する電源能力が基準以上となっている通常時、電力が消費されるという課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の一態様の発明は、容量に関する電源能力を判定して外部に無線送信する装置であって、前記容量に関する電源能力が基準以下であると判定したとき、無線送信することを特徴とする低電力通信装置である。
【0013】
なお、この低電力通信装置は、容量に関する電源能力が基準以下であると判定したときに加えて、動作確認を目的とするとき又は外部からの電力供給があるとき、無線通信するものであってもよいし、容量に関する電源能力が基準以下であると判定したとき以外に、無線通信することがないものであってもよい。
【0014】
また、この低電力通信装置は、容量に関する電源能力が基準以下であると判定したとき以外に、電源能力判定機能と電源に関連する制御以外の動作を停止するものであってもよい。
【0015】
また、この低電力通信装置は、電力容量が有限な電源を前記電源としているものであってもよいし、外部から電力が供給される電源を前記電源としているものであってもよい。外部から電力が供給される場合は、容量に関する電源能力は基準を超えていると判断される。
【0016】
また、この低電力通信装置は、判定対象の前記電源の電力を使用して前記送信を行うものであってもよいし、それ以外の電力を使用して前記送信を行うものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の低電力通信装置は、容量に関する電源能力が基準以下であると判定したとき、その判定結果を外部に無線送信するもので、電源が十分な能力を有する通常時においては送信する必要がないから、外部からの電力供給がないとき、その電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本発明の第1の実施の形態に係り、その低電力通信装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は本発明の第2の実施の形態に係り、その低電力通信装置を示すブロック図である。
【
図3】
図3は本発明の第3の実施の形態に係り、その低電力通信装置を示すブロック図である。
【
図4】
図4は従来の無線送受信システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本開示の具体例を説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係り、その低電力通信装置を示すブロック図である。
【0020】
この実施の形態では、判定対象の電源として電池を使用している。なお、電池としては、アルカリ電池等の一次電池、リチウムイオン電池等の二次電池、その他化学電池の他、コンデンサやキャパシタといった蓄電装置を使用できる。これらはいずれも電力容量が有限な電源である。
【0021】
なお、このほか、外部から電力が供給される電源を判定対象の前記電源とすることもできる。
【0022】
図に示すように、この電池は電源判定回路および電源制御部に接続されており、この電源判定回路において、電池の容量に関する電源能力を判定する。すなわち、容量に関する電源能力が基準以下か否かを判定する。すなわち、電池がこの基準を超えていれば容量に関する電源能力は十分と判定する。一方、電池がこの基準に満たない場合には、容量に関する電源能力が不足すると判定する。そして、電源判定回路および電源制御部は無線送信部に接続されており、容量に関する電源能力が不足すると判定した場合には、その旨を無線送信部から外部に無線送信する。ここで、その旨とは、例えば判定結果に関するものであってもよいし、単純に識別信号であってもよい。この無線送信部は、判定対象の前記電源の電力を使用して前記送信を行うこともできるし、図示しない別の電源を使用して前記送信を行うことも可能である。別の電源としては、上記送信用に特化した電池の他、コンデンサやキャパシタといった蓄電装置等が想定される。
【0023】
なお、図中、無線受信機は、こうして送信された信号を受信する機器であり、この無線受信機は別の電源によって駆動されている。なお、判定対象の電池の容量に関する電源能力が不足することは、この無線受信機を通じて表示あるいは通知される。
【0024】
このように、判定対象の電源の容量に関する電源能力が不足する旨判定したとき以外は、判定結果を外部に無線送信することがない。このとき、無線送信部の動作を停止させるか、無線送信部への電力の供給そのものを停止することで、電源能力判定機能と電源に関連する制御以外の動作を停止することが望ましい。このように無線送信する場合やその他の動作を最小限度とすることにより、判定対象の電源の電力消費を抑制することができる。
【0025】
なお、動作確認を目的とするとき又は外部からの電力供給があるとき、その例外として、容量に関する電源能力の判定結果を外部に送信することができる。
【0026】
次に、
図2は本発明の第2の実施の形態に係り、その低電力通信装置を示すブロック図である。
【0027】
この実施形態では、電源、電源判定回路および電源制御部及び無線送信部をパッケージ化したものである。こうしてパッケージ化された低電力通信装置は、後述する第3の実施の形態のようにそれ自体を電池として使用することができる。こうしてパッケージ化された低電力通信装置は、例えば、単1形、単2形、単3形、単4形、単5形といった円筒形の規格のある電池と同じ形状であってもよいし、006P形やコイン形、ボタン形、角形などの規格のある電池と同じであってもよい。また、同装置は独自の意匠を有していてもよい。
【0028】
なお、その他の点については第1の実施の形態と同様である。
【0029】
次に、
図3は本発明の第3の実施の形態に係り、その低電力通信装置を示すブロック図である。
【0030】
この実施の形態においては、低電力通信装置として、第2の実施の形態と同様に電源、電源判定回路および電源制御部及び無線送信部をパッケージ化した低電力通信装置を使用している。そして、このパッケージ化した低電力通信装置から、他のシステムに電力を供給して、当該他のシステムを駆動している。このように本発明の低電力通信装置から他のシステムに電力を供給することにより、当該他のシステムの駆動に使用される電源能力が
基準以下であるか否かについて、容易かつ明確に知ることができる。