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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098679
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】積層体及びスタンディングパウチ
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/088 20060101AFI20240717BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20240717BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B32B15/088
B65D30/16 C
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002310
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】清水 暢之
(72)【発明者】
【氏名】増田 勇作
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 操
(72)【発明者】
【氏名】今井 健一郎
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA17
3E064BA27
3E064BA29
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA54
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA07
3E064FA00
3E064GA04
3E064HF06
3E064HG07
3E064HM01
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA13
3E086BA15
3E086BB51
3E086BB62
3E086BB77
3E086CA29
4F100AB10C
4F100AB33C
4F100AK01E
4F100AK03E
4F100AK04D
4F100AK41B
4F100AK46A
4F100AK62E
4F100AL07D
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB00D
4F100EH17D
4F100GB15
4F100GB16
4F100JB16E
4F100JK06
4F100JK10
4F100YY00E
(57)【要約】
【課題】底テープが金属箔を含むスタンディングパウチであって、スタンディングパウチに衝撃が加えられた場合にも前記折り曲げ線にクラックが生じることがなく、このため、接着剤アタック性の内容物を収容していても、この内容物が金属箔を越えて浸透することがなく、デラミネーションを引き起こすことのないスタンディングパウチを提供すること。
【解決手段】基材層31、金属箔32、接着層33、熱可塑性樹脂層34がこの順に積層された積層体30で底テープを構成する。そして、基材層が少なくとも未延伸ポリアミドからなる樹脂層を含み、接着層を溶融押出層で構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層、金属箔、接着層、熱可塑性樹脂層がこの順に積層され、前記基材層が少なくとも未延伸ポリアミドからなる樹脂層を含み、前記接着層が溶融押出層であり、少なくとも1か所に基材層を谷側とした谷折り構造を有する包装袋向け積層体。
【請求項2】
前記接着層がグラフト酸変性ポリオレフィン層を含む溶融押出層であることを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂層が、主成分がポリオレフィンであり厚さが50μm以上180μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の積層体を少なくとも底テープに使用しているスタンディングパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表裏のフィルムと折り曲げ線で二つ折りされた底テープとで構成されるスタンディングパウチと、その底テープに適する積層体に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、その底テープが金属箔を含み、スタンディングパウチに衝撃が加えられた場合にも前記折り曲げ線にクラックが生じることがなく、このため、接着剤アタック性の内容物を収容していても、この内容物が金属箔を越えて浸透することがなく、デラミネーションを引き起こすことのないスタンディングパウチと、その底テープに適する積層体を提供する。
【背景技術】
【0003】
従来から、食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料として、種々のプラスチックフィルムを接着剤で貼り合せた積層体が用いられていることがある。
【0004】
この接着剤として一般的にウレタン2液硬化タイプのドライラミネート用接着剤が用いられる。しかし、包装材料により包装される内容物には、アルカリ性物質、香料、界面活性剤、高沸点有機溶媒などの接着剤アタック性の物質を含有するものが多くあり、これらの内容物を包装するとドライラミネート用接着剤層に悪影響を及ぼし、積層体のラミネート強度の低下を招き、剥離が生じることがあった。
【0005】
すなわち、耐内容物性を要する包材の場合、内容物による包装体のデラミネーション(剥離)を防ぐような内容物耐性が求められるが、一般的なドライラミネーションでは、アルミ箔とシーラント層間のラミネート強度が経時的に低下し、その結果デラミネーションが引き起こされるという問題があった。
【0006】
このような状況に対応するため、その層構成中に金属箔を配置し、この金属箔によって接着剤アタック性の内容物の浸透を防ぎ、一方、この金属箔の内側には、これら接着剤アタック性内容物に侵されることのないシーラント層を、やはり、接着剤アタック性内容物に侵されることのない無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンの溶融接着性樹脂を介して積層した積層体が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
ところで、一般にスタンディングパウチと呼ばれる包装袋Pは、図2(a)の分解斜視図に示すように、表側フィルム10、裏側フィルム20及び底テープ30で構成されるものである。底テープ30は折り曲げ線3xで二つ折りされ、この二つ折りされた底テープ30を、包装袋Pの底部側の位置で、折り曲げ線3xが包装袋Pの内側を向くように、表側フィルム10と裏側フィルム20との間に介在させ、これら表側フィルム10、裏側フィルム20及び底テープ30の周縁でヒートシールすることによって包装袋Pが形成されている。
【0008】
このスタンディングパウチPは、図2(b)に示すように、底テープ30の折り曲げ線3xを伸ばすことによって内容積を大きくすることができ、大量の内容物を収容することができる点で優れたものである。
【0009】
このスタンディングパウチPにおいても、接着剤アタック性内容物を収容してしかもデラミネーションを防ぐためには、表裏のフィルム10,20と底テープ30のすべてに金属箔を含む積層体を使用する必要がある。
【0010】
しかしながら、前述のように、底テープ30には折り曲げ線3xが設けられている。そこで、大量の内容物を収容したスタンディングパウチPに衝撃が加えられると、この折り曲げ線3xの位置で金属箔にクラックを生じることがあった。接着剤アタック性内容物はこのクラックを通して金属箔の反対側に浸透し、デラミネーションを引き起こすことがあるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2021-017046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、底テープが金属箔を含むスタンディングパウチであって、スタンディングパウチに衝撃が加えられた場合にも前記折り曲げ線にクラックが生じることがなく、このため、接着剤アタック性の内容物を収容していても、この内容物が金属箔を越えて浸透することがなく、デラミネーションを引き起こすことのないスタンディングパウチを提供することを目的とする。また、併せて、本発明は、このスタンディングパウチの底テープに適する積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明は、基材層、金属箔、接着層、熱可塑性樹脂層がこの順に積層され、前記基材層が少なくとも未延伸ポリアミドからなる樹脂層を含み、前記接着層が溶融押出層であり、少なくとも1か所に基材層を谷側とした谷折り構造を有する包装袋向け積層体である。
【0014】
なお、前記接着層はグラフト酸変性ポリオレフィン層を含む溶融押出層であることが望ましい。また、熱可塑性樹脂層は、主成分がポリオレフィンであり厚さが50μm以上180μm以下であることであることが望ましい。
【0015】
前述のように、この積層体を少なくとも底テープに使用して、スタンディングパウチとすることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
未延伸ポリアミドからなる樹脂層は耐衝撃性に優れている。このような耐衝撃性の未延伸ポリアミド樹脂層を基材層の少なくとも一部としており、この基材層が金属箔の外側に配置されているため、この積層体を底テープに使用したスタンディングパウチに衝撃が加えられた場合にも、この未延伸ポリアミド樹脂層が衝撃を吸収するから、衝撃が金属箔に加えられることを抑制することができる。このため、金属箔にはクラックが生じ難いのである。
【0017】
もちろん、クラックのない金属箔を越えて接着剤アタック性の内容物が浸透することはなく、デラミネーションを引き起こすこともない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明の実施の形態に関し、その積層体の説明用部分断面図である。
図2図2(a)はスタンディングパウチの説明用分解斜視図、図2(b)はその説明用斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の具体例を説明する。図1は本発明の実施の形態に
関し、その積層体の説明用部分断面図である。
【0020】
この図から分るように、この積層体30は、基材層31、金属箔32、接着層33、熱可塑性樹脂層34がこの順に積層されたものである。この積層体30は、前述のようなスタンディングパウチPの底テープ30に適するもので、このため、積層体30には、基材層31を谷側とした谷折り構造が設けられている。なお、図中、3xは、この谷折り構造によって形成された折り曲げ線を示している。
【0021】
次に、基材31は単層構造あるいは多層構造のフィルムであってよいが、いずれの場合でも、その層構成中に未延伸ポリアミドからなる樹脂層を含む必要がある。基材31が単層構造のフィルムの場合には、この基材31は未延伸ポリアミドのフィルムそのものである。また、基材31が多層構造のフィルムである場合には、その多層構造の一部として未延伸ポリアミドからなる樹脂層を含んでいればよい。
【0022】
未延伸ポリアミドからなる樹脂層は耐衝撃性に優れているから、基材31がこのような未延伸ポリアミドからなる樹脂層を含むことにより、スタンディングパウチPに加えられた衝撃を吸収して、金属箔32に加わる衝撃を緩和することができる。
【0023】
基材31が多層構造のフィルムである場合、未延伸ポリアミドからなる樹脂層と共に基材31の一部を構成するものとしては、例えば、ポリエステル樹脂層やポリオレフィン樹脂を例示できる。未延伸ポリアミドからなるフィルムとしては、例えば、三菱ケミカル(株)のダイアミロンC-Z等を使用できる。
【0024】
なお、未延伸ポリアミドからなる樹脂層に加えて、延伸したポリアミド樹脂フィルムを積層して基材31を構成してもよい。また、印刷インキ層を有するものであってもよい。
【0025】
次に、金属箔32は、スタンディングパウチPに酸素バリア性や水蒸気バリア性を付与して内容物の保存性を高める役割に加えて、接着剤アタック性の内容物をスタンディングパウチPに収容した場合、接着剤アタック性内容物の浸透を防止する役割を果すものである。この金属箔32としては、アルミニウム箔やアルミニウム合金の箔を例示できる。なお、その表面に腐食防止コート層を設けた金属箔を好ましく使用することができる。市販の金属箔としては、例えば、東洋アルミニウム(株)の1N30や8021等を挙げることができる。
【0026】
これら基材31と金属箔32とは、汎用のドライラミネート用接着剤によって接着積層することができる。
【0027】
次に、熱可塑性樹脂層34は、積層体30を使用してスタンディングパウチPを製袋する際、その内面シーラントとしての役割を果す層である。この熱可塑性樹脂層34を構成する樹脂としてはヒートシール性を有する樹脂が望ましく、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂(EP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、及びそれらの金属架橋物等が挙げられる。なかでも、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。これら熱可塑性樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
なお、これらヒートシール性樹脂を表面に配置した多層構造の樹脂を熱可塑性樹脂層34とすることも可能である。例えば、ポリアミド樹脂層をポリエチレン樹脂層で挟んだ3層構造の熱可塑性樹脂層34である。
【0029】
次に、金属箔32と熱可塑性樹脂層34とは、両者の間に配置した接着層33で接着積層することができる。スタンディングパウチPに接着剤アタック性内容物を収容した場合、接着層33はこの接着剤アタック性内容物に接触するから、その場合でも接着剤アタック性内容物に冒されることのないものである必要がある。このため、接着層33は、溶剤を使用することなく、熱により溶融した樹脂を押し出して設けた溶融押出層である必要がある。また、この接着層33と金属箔32との間に他の層が介在することなく、これら接着層33と金属箔32とが直接接着している必要がある。また、同様に、この接着層33と熱可塑性樹脂層34との間に他の層が介在することなく、これら接着層33と熱可塑性樹脂層34とが直接接着している必要がある。
【0030】
この接着層33は、単一の樹脂を溶融押出しして形成したものであってもよいが、複数の樹脂を共押出しして形成したものであってもよい。いずれの場合にも、金属箔32側には、グラフト酸変性ポリオレフィン層を配置することが望ましい。グラフト酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンを例示できる。例えば、三菱ケミカル(株)製M605等である。
【0031】
接着層33が単層構造である場合には、接着層33はグラフト酸変性ポリオレフィン層そのものであってもよいが、グラフト酸変性ポリオレフィンを含む予めブレンドした複数の樹脂を押出して形成したものであってもよい。接着層33が共押出しして形成したもので多層構造を有する場合には、金属箔32側にグラフト酸変性ポリオレフィン層を配置し、熱可塑性樹脂層34側に、この熱可塑性樹脂層34とグラフト酸変性ポリオレフィン層の両方に接着性のある樹脂層を配置することができる。この場合、熱可塑性樹脂層34側に配置する樹脂層としては、低密度ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂を使用することが望ましい。
【0032】
積層体30は、前述のとおり、スタンディングパウチPの底テープ30として使用することができる。すなわち、図2に示すように、折り曲げ線3xで二つ折りした底テープ30を、包装袋Pの底部側の位置で、折り曲げ線3xが包装袋Pの内側を向くように、表側フィルム10と裏側フィルム20との間に介在させ、これら表側フィルム10、裏側フィルム20及び底テープ30の周縁でヒートシールすることによってスタンディングパウチPを製袋することができる。
【0033】
そして、このスタンディングパウチPには、接着剤アタック性の内容物を収容することができる。
【実施例0034】
(実施例)
この例では、基材層31として、市販の2種類のフィルムを貼り合せた2層構造のフィルムを使用した。2種類のフィルムのうち、スタンディングパウチPの外層側に位置する第1基材は、厚さ12μmのポリエステルフィルム(フタムラ化学(株)製FE2001)である。また、金属箔32側に位置する第2基材は、厚さ25μmの未延伸ポリアミドフィルム(三菱ケミカル(株)製ダイアミロンC-Z)である。これら第1基材と第2基材とは、市販のドライラミネート接着剤によって接着積層した。ドライラミネート接着剤の主剤は三井化学(株)製A525、硬化剤は三井化学(株)製A52である。
【0035】
また、金属箔32として厚さ9μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム(株)製8021)を使用し、主剤を三井化学(株)製A525、硬化剤を三井化学(株)製A52とするドライラミネート接着剤によって、この金属箔32と基材層31の第2基材とを向かい合わせ、接着積層して中間体を製造した。
【0036】
また、熱可塑性樹脂層34として厚さ120μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製SE620Fを使用した。
【0037】
次に、接着層33としては、2層の樹脂層を共押出しして形成した。その金属箔32側の樹脂層は無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン(三菱ケミカル(株)製M605)から成り、熱可塑性樹脂層34側の樹脂層は低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製SE620F)である。
【0038】
そして、これら無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層と低密度ポリエチレンとがいずれも10μmの厚さになるように溶融状態で押出し、その両面に前記中間体の金属箔32側と熱可塑性樹脂層34とを重ね合わせ、ラミネートした後、140℃で15秒間、ヒートロールに抱かせるように加熱して、実施例に係る積層体を製造した。
【0039】
その層構成は、PET/ドライラミネート接着剤/CNy/ドライラミネート接着剤/Al/無水マレイン酸グラフト変性PE/LDPE/LLDPEである。なお、各略号は通例に従って用いている。すなわち、PETはポリエステル、CNyは未延伸ポリアミドフィルム、PEはポリエチレン、LDPEは低密度ポリエチレン、LLDPEは直鎖状低密度ポリエチレンの略号である。
【0040】
(比較例1)
この例は、第2基材を厚さ15μmの延伸ポリアミドフィルムとしたもので、その外は実施例と同様である。
【0041】
すなわち、比較例1に係る積層体の層構成は、PET/ドライラミネート接着剤/ONy/ドライラミネート接着剤/Al/無水マレイン酸グラフト変性PE/LDPE/LLDPEである。なお、ONyは延伸ポリアミドフィルムの略号である。
【0042】
(比較例2)
この例は、基材層31をポリエステルフィルムで構成し、金属箔32と熱可塑性樹脂層34との間に延伸ポリアミドフィルムを介在させたものである。
【0043】
すなわち、まず、厚さ12μmのポリエステルフィルムを基材層31、厚さ7μmのアルミニウム箔を金属箔32とし、これらをドライラミネート接着剤によって接着積層した。
【0044】
次に、その金属箔32側に、厚さ15μmの延伸ポリアミドフィルムを、ドライラミネート接着剤によって接着積層して中間フィルムとした。
【0045】
そして、低密度ポリエチレンを溶融状態で押出し、その一方の面に前記中間フィルムの延伸ポリアミドフィルム面を、他方の面に熱可塑性樹脂層34を重ねて、比較例2に係る積層体を製造した。なお、この例において、熱可塑性樹脂層34としては、厚さ80の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムである。
【0046】
(評価)
これら実施例及び比較例1,2に係る積層体を底テープとして使用して、スタンディングパウチを製袋した。そして、これらスタンディングパウチに、アルコール濃度60%の溶液を収容して密封した。
【0047】
このスタンディングパウチを使用して、各積層体のアルコールに対する耐性(内容物耐性)と衝撃が加えられたときの耐性(耐衝撃性)とを評価した。
【0048】
まず、内容物耐性については、次のように評価した。すなわち、アルコール濃度60%の溶液を収容したスタンディングパウチを40℃で6か月間保存した。なお、湿度は成り行きである。
【0049】
その後、JIS K7127に準拠して、引張速度300mm/minの条件で、金属箔32と接着層33との間の剥離強度を測定した。測定は、各積層体につきそれぞれ3回実施し、その平均値が3N/15mm以上の場合「A」と評価し、3N/15mm未満の場合「B」と評価した。
【0050】
また、耐衝撃性については、次のように評価した。すなわち、アルコール濃度60%の溶液を収容したスタンディングパウチを3袋ずつダンボール箱に納め、箱ごと100km輸送した後、肉眼観察で、底テープにクラックが観察できた場合を「B」と評価し、観察できるクラックがない場合を「A」と評価した。
【0051】
これらの結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
この結果から、金属箔32と熱可塑性樹脂層34との間に延伸ポリアミドフィルムを介在させた比較例2の積層体は、内容物耐性が低く、アルコールを含む内容物を収容した場合、経時的にデラミネーションを引き起こし易いことが理解できる。
【0054】
一方、金属箔32と熱可塑性樹脂層34とを溶融押出された接着層で接着積層した比較例1では、アルコールを含む内容物を収容した場合にも高い剥離強度を示し、経時的にデラミネーションを引き起こし難いが、耐衝撃性が低く、底テープにクラックが生じ易いことが分る。前述のように、底テープにクラックが生じた場合、ここからデラミネーションを引き起こし易いのである。
【0055】
それに対し、本発明に係る積層体では、アルコールを含む内容物を収容した場合にも高い剥離強度を示して、経時的にデラミネーションを引き起こし難く、加えて、耐衝撃性も高く、底テープにクラックが生じ難いから、衝撃が加えられた場合にも、デラミネーションを引き起こし難いのである。
【符号の説明】
【0056】
10:表側フィルム
20:裏側フィルム
30:底テープ 31:基材層 32:金属箔 33:接着層 34:熱可塑性樹脂層 3x:折り曲げ線
図1
図2