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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098681
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6473 20110101AFI20240717BHJP
   H01R 13/648 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01R13/6473
H01R13/648
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002312
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】東儀 俊紀
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 大介
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA14
5E021FB07
5E021FC21
5E021FC23
5E021LA09
5E021LA15
(57)【要約】
【課題】インピーダンスの整合化を図ることができ、伝送特性を向上させることができるシールドコネクタを提供する。
【解決手段】シールドコネクタは、電線11の芯線12bが接続される圧着部19と相手側端子67が接続される箱形の電気接続部18とを有した端子17と、後壁側が開口22され、少なくとも前壁23と天井壁24と底壁25と両側壁とで区画された端子収容室28を有する合成樹脂製の誘電体20と、この誘電体20を覆うように装着される筒状で金属製のシールド部材と、を備え、誘電体20は、端子17の箱形の電気接続部18の後端18bを押圧して箱形の電気接続部18の前端18aを前壁23に当接させる押圧凸部32を天井壁24側に有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の芯線が接続される圧着部と相手側端子が接続される箱形の電気接続部とを有した端子と、
後壁側が開口され、少なくとも前壁と天井壁と底壁と両側壁とで区画された端子収容室を有する合成樹脂製の誘電体と、
前記誘電体を覆うように装着される筒状で金属製のシールド部材と、
を備え、
前記誘電体は、前記端子の箱形の電気接続部の後端を押圧して前記箱形の電気接続部の前端を前記前壁に当接させる押圧凸部を前記天井壁側に有するシールドコネクタ。
【請求項2】
前記誘電体は、前記端子収容室を有する本体部と、前記天井壁側に設けられ、前記端子収容室に収容された前記端子の圧着部側を保護するカバー部と、を備え、
前記カバー部は、前記押圧凸部の前端側に設けられて前記カバー部を開閉させるヒンジと、前記カバー部の閉時に前記両側壁に設けられた係止部に係合する係止突起と、を有する、請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記端子の箱形の電気接続部の長さをL1とし、前記端子収容室の前記前壁から前記押圧凸部の前端までの長さをL2とすると、L1>L2の関係になっており、
前記カバー部の閉時に前記ヒンジが後方へ伸びるため、前記係止部と前記係止突起の隙間をL1-L2の差分開けている、請求項2に記載のシールドコネクタ。
【請求項4】
前記電線としてのシールド電線と、前記シールド電線の端末の芯線に前記圧着部を介して接続された前記端子と、前記誘電体としてのインナハウジングと、前記インナハウジングを覆うように装着される前記シールド部材と、を備えてインナモジュールが構成され、
前記インナモジュールは、合成樹脂製のアウタハウジングに収容されている、請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項5】
前記シールド電線は、撚られている複数の内部電線を有し、前記複数の内部電線は、金属箔を介して電磁的にシールドする編組線で覆われている、請求項4に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシールドコネクタとして、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載のシールドコネクタは、電線の芯線に接続された端子と、この端子を位置決め状態で収容可能な端子収容室を有する合成樹脂製で一対の半割体から成る誘導体と、この誘導体の外面を覆うように組付けられる金属製で一対のシェルと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6525221号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のシールドコネクタでは、相手側コネクタとの嵌合時に、誘導体の端子収容室に位置規制されて収容された端子の先端と端子収容室を形成する誘導体の前壁との間に隙間から成る空気層(相手側端子の先端のみの空間)が発生してしまう。この空気層は、誘電率が低いため、インピーダンスが高くなってしまう。つまり、空気層の有る部分のインピーダンスが空気層の無い部分と比べて大きく値が変わってしまうので、インピーダンスの不整合化が生じ、伝送特性が悪くなる。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、インピーダンスの整合化を図ることができ、伝送特性を向上させることができるシールドコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るシールドコネクタは、電線の芯線が接続される圧着部と相手側端子が接続される箱形の電気接続部とを有した端子と、後壁側が開口され、少なくとも前壁と天井壁と底壁と両側壁とで区画された端子収容室を有する合成樹脂製の誘電体と、前記誘電体を覆うように装着される筒状で金属製のシールド部材と、を備え、前記誘電体は、前記端子の箱形の電気接続部の後端を押圧して前記箱形の電気接続部の前端を前記前壁に当接させる押圧凸部を前記天井壁側に有するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、誘電体の端子収容室と端子の前後方向の隙間を無くすことで、空気層の発生を防ぐことができるため、インピーダンスの整合化を図ることができ、伝送特性を向上させることができるシールドコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るシールドコネクタの一例を示す斜視図である。
図2】上記シールドコネクタのインナモジュールを表側から見た斜視図である。
図3】上記インナモジュールを表側から見た断面図である。
図4】上記インナモジュールに組み込まれたインナハウジングを裏側から見た斜視図である。
図5】上記インナハウジングを前側から見た斜視図である。
図6】上記インナハウジングを後側から見た斜視図である。
図7】上記インナハウジングの端子収容室に端子を収容する前の状態を示す斜視図である。
図8】上記インナハウジングの端子収容室に端子を収容した状態を示す断面図である。
図9A】上記インナハウジングの端子収容室に端子を収容した状態を示す側面図である。
図9B】上記端子収容室に端子を収容する前の図9A中D部分の拡大側面図である。
図9C】上記端子収容室に端子を収容した後の図9A中D部分の拡大側面図である。
図10】上記シールドコネクタに嵌合される相手側コネクタの斜視図である。
図11A】上記相手側コネクタのインナモジュールを表側から見た斜視図である。
図11B】上記相手側コネクタのインナモジュールを裏側から見た斜視図である。
図12】上記相手側コネクタのインナモジュールの断面図である。
図13】上記相手側コネクタのインナモジュールに組み込まれたインナハウジングを裏側から見た斜視図である。
図14】上記シールドコネクタと相手側コネクタが嵌合した状態を示す斜視図である。
図15】上記シールドコネクタと相手側コネクタが嵌合した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るシールドコネクタについて詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係るシールドコネクタの一例を示す斜視図である。図2はシールドコネクタのインナモジュールを表側から見た斜視図である。図3はインナモジュールを表側から見た断面図である。図4はインナモジュールに組み込まれたインナハウジングを裏側から見た斜視図である。図5はインナハウジングを前側から見た斜視図である。図6はインナハウジングを後側から見た斜視図である。図7はインナハウジングの端子収容室に端子を収容する前の状態を示す斜視図である。図8はインナハウジングの端子収容室に端子を収容した状態を示す断面図である。図9Aはインナハウジングの端子収容室に端子を収容した状態を示す側面図である。図9Bは端子収容室に端子を収容する前の図9A中D部分の拡大側面図である。図9Cは端子収容室に端子を収容した後の図9A中D部分の拡大側面図である。図10はシールドコネクタに嵌合される相手側コネクタの斜視図である。図11Aは相手側コネクタのインナモジュールを表側から見た斜視図である。図11Bは相手側コネクタのインナモジュールを裏側から見た斜視図である。図12は相手側コネクタのインナモジュールの断面図である。図13は相手側コネクタのインナモジュールに組み込まれたインナハウジングを裏側から見た斜視図である。図14はシールドコネクタと相手側コネクタが嵌合した状態を示す斜視図である。図15はシールドコネクタと相手側コネクタが嵌合した状態を示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、シールドコネクタ1は、高速伝送用の雌コネクタであり、シールド電線(電線)11の端末に接続されるインナモジュール10と、このインナモジュール10が収容されるアウタハウジング2と、を備えている。
【0012】
アウタハウジング2は、合成樹脂により箱形に形成されていて、インナモジュール10が収容されるモジュール収容部3を有している。また、アウタハウジング2の上面2a側には、雄コネクタ(相手側コネクタ)5と嵌合した際に嵌合状態を維持するためのロック突起4aを有したロックアーム4が設けられている。
【0013】
図2図4に示すように、インナモジュール10は、シールド電線11の端末に接続された雌端子(端子)17と、誘電体としてのインナハウジング20と、このインナハウジング20を覆うように装着されるシールド部材40と、を備えている。
【0014】
図3に示すように、シールド電線11は、撚られている2本の内部電線12,12と、金属箔13を介して2本の内部電線12,12を電磁的にシールドするように覆う編組線14と、この編組線14を覆う合成樹脂製のシース15と、を備えている。各内部電線12は、芯線12bと、この芯線12bを覆う樹脂製の絶縁被覆12cと、を有している。そして、シールド電線11の端末側に露出した2本の内部電線12,12は撚りが解かれていて、その各端末12aの絶縁被覆12cより露出した芯線12bには、雌端子17の圧着部19が圧着接続されている。また、編組線14は、シールド電線11のシース15から露出して該シース15の前端縁15aから筒状のスリーブ16を介してシース15の外側に折り返されている。
【0015】
図3図7に示すように、雌端子17は、雄コネクタ5の雄端子(相手側端子)67のタブ部68が接続される箱形の電気接続部18と、内部電線12の端末12aに圧着接続される圧着部19と、を有している。この圧着部19は、内部電線12の芯線12bに加締め接続される芯線加締め片19aと、内部電線12の絶縁被覆12cに加締め接続される被覆加締め片19bと、を有している。これら加締め片19a,19bにより、雌端子17と内部電線12の保持力が確保されている。
【0016】
図5図7に示すように、インナハウジング20は、合成樹脂により箱形に形成されていて、端子収容室28を有する本体部21と、天井壁24側に設けられ、端子収容室28に収容された雌端子17の圧着部19側を保護するカバー部31と、を備えている。
【0017】
図5図7に示すように、本体部21は、後壁側が開口22され、前壁23と天井壁24と底壁25と両側壁26,26及び仕切壁27とで区画された一対の端子収容室28,28を有する。前壁23は、雄端子67のタブ部68が挿通される一対のタブ挿通孔23a,23aが形成されている。また、両側壁26,26の開口22側には、カバー部31の一対の係止突起34,34に係合される一対の係止部29,29が形成されている。各係止部29は、垂直面29aより前方(前壁23側)に突出した鉤部29bを有する。さらに、端子収容室28は、底壁25の中央より突出した仕切壁27を介して長手方向に延びるように左右一対形成されている。
【0018】
図5図7に示すように、カバー部31は、一対の押圧凸部32,32と、ヒンジ33と、一対の係止突起34,34と、を有する。一対の押圧凸部32,32は、直方体状に形成されていて、その各前端32aで雌端子17の箱形の電気接続部18の後端18bを押圧して該箱形の電気接続部18の前端18aを前壁23に当接させる。ヒンジ33は、薄肉状に形成されていて、一対の押圧凸部32,32の各前端32a側に設けられてカバー部31を開閉させる。一対の係止突起34,34は、起立部34aと、この起立部34aの先端より後方に突出した鉤部34bと、を有していて、カバー部31の閉時に、鉤部34bが側壁26に形成された係止部29の鉤部29bに係合するようになっている。
【0019】
図8に示すように、カバー部31の押圧凸部32は、雌端子17の箱形の電気接続部18の後端18bを押さえて、本体部21の端子収容室28を形成する前壁23と箱形の電気接続部18の前端18aとの間の隙間を無くす寸法に設定されている。すなわち、雌端子17の箱形の電気接続部18の長さをL1とし、インナハウジング20の本体部21の端子収容室28を形成する前壁23からカバー部31の押圧凸部32の前端32aまでの長さをL2とすると、L1>L2の関係になっている。そして、図9Bに示すように、カバー部31の閉時にヒンジ33が後方へ伸びることを考慮して、本体部21の係止部29の垂直面29aとカバー部31の係止突起34の起立部34a間の隙間を上記L1-L2の差分開けている。
【0020】
図2図4に示すように、シールド部材40は、板金材を用いた板金加工により形成された一方の半割体としての第1シールド部材41と、他方の半割体としての第2シールド部材51と、を備えている。そして、第1シールド部材41と第2シールド部材51とが組み合わされることにより、略四角筒状の1つのシールド部材40となって、インナハウジング20を覆うものである。
【0021】
図2に示すように、第1シールド部材41には、第1本体部42と、係止部45と、連結部46及び編組線接続部47が設けられている。また、第1シールド部材41は、第1本体部42の前方に両側面43a,43a及び上面43bの3平面から構成される雄ばね接地面43を有しており、傾斜連結部44において第1本体部42と連結している。
【0022】
図3に示すように、第1シールド部材41の編組線接続部47には、内部電線12の編組線14が接続される。詳述すると、シールド電線11の内部電線12の端末12aで、シース15の一部が切除されて編組線14が露出され、さらに編組線14がシース15の前端縁15aで折り返されている。そして、編組線14と折り返し編組線14Aとの間にスリーブ16が組付けられた状態で、第1シールド部材41の編組線加締め片48がシールド電線11の折り返し編組線14Aに加締められる。この折り返し編組線14Aの加締めにより第1シールド部材41の編組線接続部47にシールド電線11の編組線14が電気的に接続される。なお、編組線14が折り返され、露出した金属箔13は、露出箇所が切除されている。
【0023】
図2に示すように、第2シールド部材51には、第2本体部52と、連結部56及び編組線接続部57が設けられている。また、第2シールド部材51は、第2本体部52の前方に両側面53a,53a及び上面53bの3平面から構成される雄ばね接地面53を有しおり、傾斜連結部54において第2本体部52と連結している。そして、第2シールド部材51の編組線接続部57は、第1シールド部材41の編組線接続部47と接触している。なお、第1シールド部材41の外側に第2シールド部材51が組付けられ、この組付け状態は、第1シールド部材41に形成された位置決め突起49が第2シールド部材51に形成された位置決め係合孔59に係合されることで維持される。
【0024】
図10図15に示すように、雌コネクタであるシールドコネクタ1を嵌合・離脱させる雄コネクタ5は、シールド電線(電線)61の端末に接続されるインナモジュール60と、このインナモジュール60が収容されるアウタハウジング6と、を備えている。
【0025】
図10図15に示すように、雄コネクタ5のアウタハウジング6は、合成樹脂により箱形に形成されていて、インナモジュール60が収容されるモジュール収容部7を有している。また、アウタハウジング6の前側には、シールドコネクタ1のアウタハウジング2を収容するハウジング収容部8を有していて、その上面側には、シールドコネクタ1と嵌合した際にロックアーム4のロック突起4aと係合(ロック)するロック突起9が設けられている。
【0026】
図11A図11B図12に示すように、インナモジュール60は、シールド電線61の端末に接続された雄端子67と、誘電体としてのインナハウジング70と、このインナハウジング70を覆うように装着されるシールド部材80と、を備えている。
【0027】
図12に示すように、シールド電線61は、撚られている2本の内部電線62,62と、金属箔63を介して2本の内部電線62,62を電磁的にシールドするように覆う編組線64と、この編組線64を覆う合成樹脂製のシース65と、を備えている。各内部電線62は、芯線62bと、この芯線62bを覆う樹脂製の絶縁被覆62cと、を有している。そして、シールド電線61の端末側に露出した2本の内部電線62,62は撚りが解かれていて、その各端末62aの絶縁被覆62cより露出した芯線62bには、雄端子67の圧着部69が圧着接続されている。また、編組線64は、シールド電線61のシース65から露出して該シース65の前端縁65aから筒状のスリーブ66を介してシース65の外側に折り返されている。
【0028】
図12に示すように、雄端子67は、シールドコネクタ1の雌端子17の箱形の電気接続部18に接続される棒状のタブ部68と、内部電線62の端末62aに圧着接続される圧着部69と、を有している。この圧着部69は、内部電線62の芯線62bに加締め接続される芯線加締め片69aと、内部電線62の絶縁被覆62cに加締め接続される被覆加締め片69bと、を有している。これら加締め片69a,69bにより、雄端子67と内部電線62の保持力が確保されている。
【0029】
図12図13に示すように、インナハウジング70は、合成樹脂により箱形に形成されていて、一対の端子収容室71,71を有する。
【0030】
図11A図13に示すように、シールド部材80は、板金材を用いた板金加工により形成された一方の半割体としての第1シールド部材81と、他方の半割体としての第2シールド部材91と、を備えている。そして、第1シールド部材81と第2シールド部材91とが組み合わされることにより、略四角筒状の1つのシールド部材80となって、インナハウジング70を覆うものである。
【0031】
図11A図13に示すように、第1シールド部材81には、第1本体部82と、係止部85と、連結部86及び編組線接続部87が設けられている。また、第1シールド部材81は、第1本体部82の前方の両側面83a,83a及び上面83bの3平面にばね接地片83をそれぞれ有している。
【0032】
図12に示すように、第1シールド部材81の編組線接続部87には、内部電線62の編組線64が接続される。詳述すると、シールド電線61の内部電線62の端末62aで、シース65の一部が切除されて編組線64が露出され、さらに編組線64がシース65の前端縁65aで折り返されている。そして、編組線64と折り返し編組線64Aとの間にスリーブ66が組付けられた状態で、第1シールド部材81の編組線加締め片88がシールド電線61の折り返し編組線64Aに加締められる。この折り返し編組線64Aの加締めにより第1シールド部材81の編組線接続部87にシールド電線61の編組線64が電気的に接続される。なお、編組線64が折り返され、露出した金属箔63は、露出箇所が切除されている。
【0033】
図11B図12に示すように、第2シールド部材91には、第2本体部92と、連結部96及び編組線接続部97が設けられている。また、第2シールド部材91は、第2本体部92の前方の両側面93a,93a及び上面93bの3平面にばね接地片93をそれぞれ有している。そして、第2シールド部材91の編組線接続部97は、第1シールド部材81の編組線接続部87と接触している。なお、第1シールド部材81の外側に第2シールド部材91が組付けられ、この組付け状態は、第1シールド部材81に形成された位置決め突起89が第2シールド部材91に形成された位置決め係合孔99に係合されることで維持される。
【0034】
なお、図15に示すように、シールドコネクタ1のインナモジュール10をアウタハウジング2に収容すると、インナモジュール10の第1シールド部材41の係止部45がアウタハウジング2のモジュール収容部3内に突出したランス2Aに係合される。また、雄コネクタ5のインナモジュール60をアウタハウジング6に収容すると、インナモジュール60の第1シールド部材81の係止部85がアウタハウジング6のモジュール収容部7内に突出したランス6Aに係合される。さらに、図14図15に示すように、雄コネクタ5のハウジング収容部8にシールドコネクタ1のアウタハウジング2を収容して嵌合すると、雄コネクタ5のロック突起9にシールドコネクタ1のロックアーム4のロック突起4aが係合(ロック)される。
【0035】
次に、上述したシールドコネクタ1のインナモジュール10の組み立て手順を説明する。
【0036】
まず、図7に示すように、シールド電線11の2本の内部電線12,12の各端末12aに雌端子17を圧着接続する。
【0037】
次に、シールド電線11の端末に圧着接続された雌端子17をインナハウジング20の本体部21の後方から端子収容室28に挿入して収容する。次に、図7に矢印で示すように、ヒンジ33を中心にカバー部31を本体部21側へ回転させ、カバー部31の係止突起34を本体部21の係止部29と係合させてカバー部31を本体部21に保持させる。
【0038】
その後、第1シールド部材41の編組線加締め片48をシールド電線11の編組線14の折り返された折り返し編組線14Aに加締めて圧着し、第2シールド部材51の編組線接続部57を第1シールド部材41の編組線接続部47に加締めて圧着する。この圧着により、図2に示すように、第1シールド部材41と第2シールド部材51とが組付けられ、略四角筒状で1つになったシールド部材40によりインナハウジング20が覆われてインナモジュール10が完成する。
【0039】
上述のインナハウジング20では、図8に示すように、雌端子17の箱形の電気接続部18の長さL1を、本体部21の端子収容室28を形成する前壁23からカバー部31の押圧凸部32の前端32aまでの長さL2より少し大きく(L1>L2)している。このL1>L2の関係から、カバー部31をヒンジ33を中心に本体部21側へ回転させると、雌端子17は端子収容室28を形成する前壁23に押し付けられる。この押し付けにより前後方向において、端子収容室28の前壁23と雌端子17の箱形の電気接続部18の前端18aとの間に隙間が無いため、空気層の発生を抑えることができる。
【0040】
また、図9Bに示すように、カバー部31の閉時にヒンジ33が後方へ伸びることを考慮して、本体部21の係止部29の垂直面29bとカバー部31の係止突起34の起立部34a間の隙間をL1-L2の差分開けている。本体部21の係止部29とカバー部31の係止突起34との間の隙間を上記L1と上記L2の差(L1-L2)分開けたことにより、係止部29と係止突起34との間の干渉を抑えることができる。
【0041】
このように、インナハウジング20の端子収容室28と雌端子17の箱形の電気接続部18の前後方向の隙間を無くすことで、空気層の発生を防ぐことができるため、インピーダンスの高整合を図ることができる。つまり、電気接続部18の前後端18a,18bと端子収容室28の間に隙間が無いことで、電気接続部18の前端18aの外面とシールド部材40の内面の距離が、電気接続部18の後端18bの外面とシールド部材40の内面の距離、及び介在する素材が同等となる。このため、インピーダンス値が位置によって大きく変動することが無くなり、インピーダンスの整合化を図ることができる。よって、シールドコネクタ1の伝送特性を向上させることができる。
【0042】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0043】
すなわち、前記実施形態によれば、誘電体としてのインナハウジングを覆うシールド部材を半割り状の第1シールド部材と半割り状の第2シールド部材で構成したが、略四角筒状に形成された1つのシールド部材でインナハウジングを覆うようにしても良い。
【0044】
また、前記実施形態によれば、1つの仕切壁を設けて端子収容室を一対形成したが、仕切壁を設けないで端子収容室を1つだけ形成しても良く、さらに、複数の仕切壁を設けて端子収容室を複数形成しても良い。
【符号の説明】
【0045】
1 シールドコネクタ(雌コネクタ)
2 アウタハウジング
10 インナモジュール
11 シールド電線
12 内部電線
12a 端末
12b 芯線
13 金属箔
14 編組線
17 雌端子(端子)
18 箱形の電気接続部
18a 前端
18b 後端
19 圧着部
20 インナハウジング
21 本体部
22 開口
23 前壁
24 天井壁
25 底壁
26,26 両側壁
28 端子収容室
29 係止部
32 押圧凸部
32a 前端
33 ヒンジ
34 係止突起
40 シールド部材
67 雄端子(相手側端子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図12
図13
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図15