(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098703
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】防音パネル及び防音壁
(51)【国際特許分類】
E01F 8/00 20060101AFI20240717BHJP
E01B 19/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
E01F8/00
E01B19/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002334
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 洋介
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001AA01
2D001BA02
2D001BB01
2D001CA01
2D001CB02
2D001CC01
(57)【要約】
【課題】正面が騒音源に向くように配置された防音壁部と、防音壁部の背面側に配置された背壁部とを備えた防音パネルにおいて、防音壁部の正面側から背壁部の背面側の点検作業を行うことができる防音パネル及び防音壁を提供する。
【解決手段】防音パネルは、正面が騒音源に向くように配置された防音壁部と、防音壁部の背面側に、該防音壁部との間に間隔をあけて配置された背壁部と、を備えている。防音壁部には、点検用の第1開口部が形成され、背壁部には、第1開口部に対応する位置に点検用の第2開口部が形成されており、第1開口部と第2開口部を開閉可能に構成された扉部材が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音源に沿って配置される防音パネルであって、
正面が騒音源に向くように配置された防音壁部と、
前記防音壁部の背面側に、該防音壁部との間に間隔をあけて配置された背壁部と、を備え、
前記防音壁部には、点検用の第1開口部が形成され、
前記背壁部には、前記第1開口部に対応する位置に点検用の第2開口部が形成されており、
前記第1開口部と前記第2開口部を開閉可能に構成された扉部材が設けられている、防音パネル。
【請求項2】
前記防音壁部は、騒音源側から背面側に向かって凹むように形成された曲面状の反射面を有している、請求項1に記載の防音パネル。
【請求項3】
前記防音壁部は、平面状とされている、請求項1に記載の防音パネル。
【請求項4】
前記扉部材は、
前記防音壁部と前記背壁部との間に形成された内部空間に設けられており、
前記防音壁部に対向させて配置され、前記防音壁部の形状に沿った形状を有する第1扉部材と、
前記背壁部に対向させた配置され、前記背壁部の形状に沿った形状を有し、前記第1扉部材に連結された第2扉部材と、を備え、
前記第1扉部材と前記第2扉部材とを共通にスライドさせることで、前記第1開口部と前記第2開口部を開閉可能に構成されている、請求項2又は3に記載の防音パネル。
【請求項5】
前記扉部材は、
前記第1扉部材と前記第2扉部材との間に設けられ、前記第1扉部材と前記第2扉部材との間隔を調整する扉間隔調整部材を有する、請求項4に記載の防音パネル。
【請求項6】
前記扉部材は、
前記防音壁部に、着脱自在に取り付けられ又はヒンジ機構を介して取り付けられ、前記第1開口部を開閉可能に構成された第1扉部材と、
前記背壁部に、着脱自在に取り付けられ又はヒンジ機構を介して取り付けられ、前記第2開口部を開閉可能に構成された第2扉部材と、を有している、請求項1に記載の防音パネル。
【請求項7】
前記第1扉部材は、前記防音壁部の形状に沿った形状で構成されている、請求項6に記載の防音パネル。
【請求項8】
前記防音壁部と前記背壁部との間には、前記防音壁部と前記背壁部との間隔を調整する壁部間隔調整部材が設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の防音パネル。
【請求項9】
間隔をあけて配置された支柱と、
前記支柱の間において上下方向に積み重ねて設置された複数の防音パネルと、を備え、
上下方向に積み重ねた前記複数の防音パネルのうち、少なくとも最下段に位置する防音パネルが、請求項1~3のいずれか一項に記載の防音パネルである、防音壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音パネル及び防音壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の軌道や道路を走行する車両等の騒音源に対向させて設置される防音パネル及び防音壁が知られている。例えば特許文献1に開示された防音パネルは、音源側に向けられる一方の表面を構成する正面板と、音源側とは反対側の表面を構成する背面板と、を備えた構成である。正面板は、背面板に固定されている。防音壁は、間隔をあけて配置された2本の支柱間に、複数の前記防音パネルを上下方向に積み重ねて構築される。支柱は、例えば壁高欄等の上面にアンカーボルト等の固定具で固定された基盤に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防音壁を設置した道路では、数年(例えば5年)に一度の周期で点検が行われる。点検とは、例えば、壁高欄に固定している基盤の固定具の点検や、その他に道路及び防音壁等の点検である。上記特許文献1に開示された防音パネル及び防音壁では、防音壁の背面側の点検作業を行う場合、音源側から防音パネルの背面側に作業者が回り込んで点検作業を行わざるを得なかった。この場合、例えばオーバフェンス型の作業車を用意して、作業者を防音壁の背面側に搬送させる必要があり、作業負担及び作業コストが問題となる。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、正面が騒音源に向くように配置された防音壁部と、防音壁部の背面側に配置された背壁部とを備えた防音パネルにおいて、防音壁部の正面側から背壁部の背面側の点検作業を行うことができる、防音パネル及び防音壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る防音パネルは、騒音源に沿って配置される防音パネルであって、正面が騒音源に向くように配置された防音壁部と、前記防音壁部の背面側に、該防音壁部との間に間隔をあけて配置された背壁部と、を備え、前記防音壁部には、点検用の第1開口部が形成され、前記背壁部には、前記第1開口部に対応する位置に点検用の第2開口部が形成されており、前記第1開口部と前記第2開口部を開閉可能に構成された扉部材が設けられているものである。
【0007】
本発明に係る防音壁は、間隔をあけて配置された支柱と、前記支柱の間において上下方向に積み重ねて設置された複数の防音パネルと、を備え、上下方向に積み重ねた前記複数の防音パネルのうち、少なくとも最下段に位置する防音パネルが、上記防音パネルである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、防音壁部に形成された点検用の第1開口部と、背壁部に形成された点検用の第2開口部を開閉可能に構成された扉部材が設けられており、該扉部材を移動させて第1開口部と第2開口部を開状態とすることで、防音壁部の正面側から背壁部の背面側における点検作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る防音パネルを用いた防音壁の一例を背面側から示した斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る防音パネルを示した正面図である。
【
図3】実施の形態1に係る防音パネルであって、扉部材を除いた状態を示した正面図である。
【
図4】
図2に示したA-A線矢視拡大断面図である。
【
図5】
図3に示したB-B線矢視拡大断面図である。
【
図6】実施の形態1に係る防音パネルの長手方向の一端部を示した平面図である。
【
図7】
図2に示したC-C線矢視拡大断面図である。
【
図8】実施の形態1に係る防音パネルの扉部材を示した正面図である。
【
図9】
図8に示したD-D線矢視拡大断面図である。
【
図10】実施の形態1に係る防音パネルであって、扉部材を移動させて第1開口部及び第2開口部を開いた状態を示した説明図である。
【
図11】実施の形態1に係る防音パネルを用いた防音壁の一例を示した正面図である。
【
図13】実施の形態1に係る防音パネルの変形例であって、扉部材を設けていない部分を示した縦断面図である。
【
図14】実施の形態1に係る防音パネルの変形例であって、扉部材を設けた部分を示した縦断面図である。
【
図15】実施の形態2に係る防音パネルを示した正面図である。
【
図17】実施の形態2に係る防音パネルの変形例を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、上、下、左及び右等)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上の記載であり、装置、器具、あるいは部品等の配置、方向及び向きを限定するものではない。
【0011】
実施の形態1.
先ず、
図1~
図14を参照して、本実施の形態に係る防音パネル100及び防音壁300の構成を説明する。
図1は、実施の形態1に係る防音パネル100を用いた防音壁300の一例を背面側から示した斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る防音パネル100を示した正面図である。
図3は、実施の形態1に係る防音パネル100であって、扉部材3を除いた状態を示した正面図である。
図4は、
図2に示したA-A線矢視拡大断面図である。
図5は、
図3に示したB-B線矢視拡大断面図である。
図6は、実施の形態1に係る防音パネル100の長手方向Xの一端部を示した平面図である。
図7は、
図2に示したC-C線矢視拡大断面図である。
図8は、実施の形態1に係る防音パネル100の扉部材3を示した正面図である。
図9は、
図8に示したD-D線矢視拡大断面図である。
図10は、実施の形態1に係る防音パネル100であって、扉部材3を移動させて第1開口部13及び第2開口部26を開いた状態を示した説明図である。
【0012】
(防音パネル100)
防音パネル100は、
図1に示すように、例えば道路や線路上を走行する車両、又は工場等の騒音源400に沿って設置される防音壁300を構築するものであり、該騒音源400から発せられる騒音を拡散して、鏡像反射を抑制する。防音パネル100は、正面が騒音源400に向くように配置された防音壁部1と、防音壁部1の背面に配置された背壁部2と、を備えている。防音パネル100は、防音壁部1と背壁部2とにより囲まれた内部空間Sが空洞とされている。
【0013】
(防音壁部1)
防音壁部1は、一例として、厚さが0.6mm程度のめっき鋼板で形成されている。めっき鋼板である防音壁部1は、軽量であるため、例えば重量制限がある橋梁等にも設置可能である。なお、防音壁部1の厚さは、特に限定するものではないが、例えば0.25mm~3.2mmの間に設定するとよい。また、防音壁部1は、耐食性に優れためっき鋼板を適用するのが好ましいが、他の材質でもよい。防音壁部1は、
図2に示すように、正面から見て略長方形状とされている。防音壁部1は、一例として、
図2に示す正面から見た場合の長手方向Xの長さが1960mm程度又は3960mm程度、高さ(Y方向)が500mm程度である。
【0014】
防音壁部1は、
図2~
図4に示すように、正面が騒音源400に向くように配置された反射面10と、反射面10の上端縁に沿って設けられた上部取付部11と、反射面10の下端縁に沿って設けられた下部取付部12と、を有している。反射面10は、上下方向において騒音源400側から背面側に向かって凹むように形成された曲面状とされている。曲面状の反射面10は、騒音源400から発生した音波を、曲面の位置に応じて上下の各方向に分散して反射することで拡散し、鏡像反射を抑制する。防音パネル100の長手方向Xにおける反射面10両端部には、上下方向に沿って延びる縦枠14が設けられている。縦枠14は、防音パネル100の長手方向Xにおける防音壁部1の両端縁を形成するものである。縦枠14は、反射面10と同じく曲面状でもよいし、曲面を有さない平板状でもよい。なお、縦枠14には、防音壁300を構築する際に支柱と接触させるシール部材42が設けられている。
【0015】
また、
図1~
図3及び
図5に示すように、反射面10には、防音パネル100の背面側を点検する際に利用される点検用の第1開口部13が形成されている。第1開口部13は、防音壁部1における長手方向Xの一端側(図示例では左端部)を切り欠いて形成されている。第1開口部13の開口縁には、縦枠14が設けられている。第1開口部13は、作業者が該第1開口部13を通じて、防音パネル100の背面側の点検作業を行うことができる程度の形状及び大きさとされている。図示例の場合、一例として、第1開口部13は、長方形状であり、長手方向Xに沿った左右の長さが500mm程度、短手方向Yに沿った上下の長さが400mm程度である。なお、第1開口部13の形状及び大きさは、図示した構成に限定されず、作業者が該第1開口部13を通じて、防音パネル100の背面側の点検作業を行うことができれば、どのような形状及び大きさでもよい。また、第1開口部13は、防音壁部1における長手方向Xの他端側(図示例では右端部)に形成してもよいし、長手方向Xの一端側(図示例では左端部)と他端側(図示例では右端部)の両方に形成してもよい。
【0016】
上部取付部11及び下部取付部12は、防音壁部1と背壁部2とを接続するために設けられている。上部取付部11及び下部取付部12は、反射面10と一体的に形成されている。上部取付部11は、反射面10の上端部から上方に向かって延びる第1延長面部11aと、第1延長面部11aの上端から背壁部2に向かって突き出す第1接続面部11bと、を有している。下部取付部12は、反射面10の下端部から下方に向かってフック状に形成されている。
【0017】
(背壁部2)
背壁部2は、一例として厚さが1.6mm程度のめっき鋼板で形成されている。背壁部2の厚さは、特に限定するものではないが、例えば0.25mm~3.2mmの間に設定するとよい。また、背壁部2は、耐食性に優れためっき鋼板を適用するのが好ましいが、他の材質でもよい。背壁部2は、背面側から見て略長方形状にとされている。背壁部2も、一例として、長手方向Xの長さが1960mm程度又は3960mm程度、高さ(Y方向)が500mm程度である。
【0018】
背壁部2は、
図1及び
図4に示すように、防音壁部1の反射面10と対向する略長方形状の主面部20と、主面部20の上端縁に沿って設けられた上面部21と、主面部20の下端縁に沿って設けられた下面部22と、を有している。上面部21及び下面部22は、主面部20と一体的に形成されている。
【0019】
主面部20の上下方向における中間部には、防音壁部1に向かって突き出す突出部23が形成されている。突出部23は、主面部20から防音壁部1に向かって斜め下方に突き出す傾斜部23aと、斜め上方に突き出す傾斜部23bと、傾斜部23a及び23bを繋ぐ連結部23cと、を有しており、防音壁部1に向かって溝幅が狭くなるように形成されている。突出部23は、防音パネル100の長手方向Xに沿って主面部20の一端から他端まで連続して形成されており、防音パネル100の剛性を高めている。
【0020】
連結部23cは、主面部20に対して略平行に延在しており、ブラインドリベット等の接合部材24を通すための貫通孔が形成されている。連結部23cと反射面10との間には、防音壁部1と背壁部2との間隔を調整して、防音パネル100の内部空間Sの大きさを調整させる壁部間隔調整部材25が設けられている。壁部間隔調整部材25は、一例として厚さが3mm程度である。連結部23cは、壁部間隔調整部材25を間に挟んだ状態で、反射面10の中央部に接合部材24によって固定されている。接合部材24は、
図2及び
図3に示すように、防音パネル100の長手方向Xに沿って間隔をあけて複数(図示例の場合は3つ)設けられている。なお、突出部23は、主面部20の一端から他端まで連続して形成する必要はなく、主面部20の一端から他端までの範囲において、部分的に形成してもよい。また、連結部23cと反射面10とを固定する手段は、例えばボルト接合や溶接等でもよい。また、壁部間隔調整部材25の厚さは、図示した構成に限定されず、防音パネル100の内部空間Sの大きさに応じて適宜変更して設けるものとする。
【0021】
また、
図5に示すように、主面部20には、反射面10に形成された第1開口部13に対応する位置に、防音パネル100の背面側を点検する際に利用される点検用の第2開口部26が形成されている。つまり、第2開口部26は、背壁部2における長手方向Xの一端寄りに(図示例では左側寄り)に形成されている。第2開口部26は、例えば第1開口部13と略同形同大であり、作業者が該第2開口部26を通じて、防音パネル100の背面側の点検作業を行うことができる程度の形状及び大きさとされている。図示例の場合、一例として、第2開口部26は、長方形状であり、長手方向Xに沿った左右の長さが500mm程度、短手方向Yに沿った上下の長さが400mm程度である。なお、第2開口部26の形状及び大きさは、図示した構成に限定されず、作業者が第2開口部26を通じて、防音パネル100の背面側の点検作業を行うことができればよい。また、第2開口部26は、第1開口部13が防音壁部1における長手方向Xの他端側(図示例では右端部)に形成された場合、第1開口部13の位置に合わせて、背壁部2における長手方向Xの他端寄りに(図示例では右側寄り)に形成される。また、第2開口部26は、第1開口部13が長手方向Xの両端に形成された場合、背壁部2における長手方向Xの両端に形成される。
【0022】
上面部21は、主面部20の上端縁から防音壁部1に向かって斜め上方に延びる第1傾斜面部21aと、第1傾斜面部21aの先端部から下方に屈曲させた第1屈曲面部21bと、を有している。上面部21は、第1傾斜面部21aが第1接続面部11bに下方に重ね合わせて配置されて、第1屈曲面部21bが上部取付部11の第1延長面部11aに突き当たって位置決めされる。背壁部2の上部は、上面部21の第1傾斜面部21aと、上部取付部11の第1接続面部11bと、を例えばブラインドリベット等の固定部材27で接合することにより、防音壁部1の上部に取り付けられる。
【0023】
下面部22は、主面部20の下端縁から防音壁部1に向かって斜め上方に延びる第2傾斜面部22aと、第2傾斜面部22aの先端部から下方に屈曲させた第2屈曲面部22bと、を有している。背壁部2の下部は、下面部22の第2屈曲面部22bが下部取付部12のフック部内に挿入されることで、防音壁部1の下部に取り付けられる。このような構成により、防音パネル100は、上端部と下端部とで雨水等の浸入が抑制され、内部空間Sで防音壁部1及び背壁部2が腐蝕するリスクを減少させることができる。
【0024】
また、
図6に示すように、上面部21の第1傾斜面部21aには、防音パネル100の長手方向Xの両端部において、ワイヤーロープを通すための切り欠き部21cが形成されている。同様に、下面部22の第2傾斜面部22aには、防音パネル100の長手方向Xの両端部において、ワイヤーロープを通すための切り欠き部(図示省略)が形成されている。
【0025】
また、防音パネル100は、長手方向Xにおける防音壁部1と背壁部2の両端部に、内部空間Sを塞ぐ側壁部15が設けられている。側壁部15は、
図6に示すように、平面視がコ字状とされた板状部材である。側壁部15は、例えばめっき鋼板から形成されている。側壁部15は、一端部が背壁部2にリベットで連結されており、他端部が縦枠14にリベットで連結されている。側壁部15には、ワイヤーロープを支持するためのアイボルト28が設けられている。アイボルト28は、上面部21の切り欠き部21cと、下面部22の切り欠き部との間に設けられている。ワイヤーロープは、アイボルト28のリング部に通される。なお、ワイヤーロープを支持する部材は、アイボルト28に限定されず、例えばフック状の支持部材でもよいし、その他の支持部材でもよい。
【0026】
上記構成の防音パネル100は、内部空間Sに吸音材などの充填物を設置する必要がなく、簡易な構成で耐久性も高い。また、防音パネル100は、防音壁部1が立体的に成形された剛性の高い背壁部2と一体化されるため、風等の影響により防音壁部1の反射面10が振動する事態を抑制することができる。
【0027】
なお、背壁部2は、上記形状に限定されず、防音壁部1の背面に配置されて該防音壁部1を支持できる形状であれば、他の形状でもよい。また、防音壁部1に背壁部2を取り付ける構造は、上記の構造に限定されず、その他の構造でもよい。つまり、防音壁部1の上部取付部11及び下部取付部12の構造、並びに背壁部2の上面部21、下面部22及び突出部23の構造は、上記の構造に限定されない。また、防音壁部1の板厚が厚く剛性が高い場合には、必ずしも反射面10と突出部23とを固定する必要はない。
【0028】
(扉部材3)
更に、防音パネル100は、
図1、
図2及び
図7に示すように、第1開口部13と第2開口部26とを開閉可能に構成された扉部材3を有している。扉部材3は、防音壁部1と背壁部2との間に形成された内部空間Sに設けられている。扉部材3は、防音壁部1の反射面10に対向させて配置され、防音壁部1の形状に沿った形状を有する第1扉部材30と、背壁部2に対向させて配置され、背壁部2の形状に沿った形状を有する第2扉部材31と、を有している。第1扉部材30及び第2扉部材31は、第1開口部13及び第2開口部26を塞ぐ大きさで形成されている。扉部材3は、第1扉部材30と第2扉部材31とを共通にスライドさせることで、第1開口部13と第2開口部26を開閉可能に構成されている。
【0029】
第1扉部材30は、
図8及び
図9に示すように、防音壁部1の反射面10に沿って形成された曲面部30aと、曲面部30aの上端縁から第2扉部材31に向かって屈曲させた上部屈曲部30bと、曲面部30aの下端縁から第2扉部材31に向かって屈曲させた下部屈曲部30cと、を有している。なお、上部屈曲部30bと下部屈曲部30cは、形状維持の目的で設けているものであるが、省略してもよい。
【0030】
第2扉部材31は、
図9に示すように、背壁部2の主面部20に沿って形成された扉部主面部31aと、扉部主面部31aの下端縁から第1扉部材30に向かって屈曲され、背壁部2の第2傾斜面部22aに沿って形成された下部屈曲部31bと、を有している。第2扉部材31の中央部には、背壁部2の突出部23に沿って形成された扉部突出部31cが形成されている。扉部突出部31cは、
図8に示すように、ブラインドリベット等の接合部材32によって曲面部30aの中央部に固定されている。接合部材32は、防音パネル100の長手方向Xに沿って間隔をあけて複数(図示例の場合は3つ)設けられている。なお、下部屈曲部31bは、形状維持の目的で設けているものであるが、省略してもよい。
【0031】
また、扉部材3は、
図9に示すように、第1扉部材30と第2扉部材31との間に設けられ、第1扉部材30と第2扉部材31との間隔を調整する扉間隔調整部材33を有している。扉間隔調整部材33は、扉部材3の形状を保持するために設けられている。扉間隔調整部材33は、扉部突出部31cを中心として上部及び下部にそれぞれ設けられている。扉間隔調整部材33は、一例として断面が凹状に形成された鋼板から成り、防音パネル100の長手方向Xにおける扉部材3の一端から他端まで連続して設けられている。扉間隔調整部材33は、一方のフランジが第1扉部材30の曲面部30aにブラインドリベット等の接合部材34によって接合され、他方のフランジが第2扉部材31の扉部主面部31aにブラインドリベット等の接合部材35によって接合されている。接合部材34及び35は、
図8に示すように、防音パネル100の長手方向Xに沿って間隔をあけて複数(図示例の場合は4つ)設けられている。
【0032】
なお、扉間隔調整部材33は、図示した凹状に限定されず、例えば直方体形状など、第1扉部材30と第2扉部材31との間隔を調整することができれば他の形状でもよい。また、扉間隔調整部材33は、図示した位置及び個数に限定されない。また、扉間隔調整部材33は、第1扉部材30及び第2扉部材31に、例えばスポット溶接してもよいし、その他の手段で接合してもよい。更に、扉間隔調整部材33は、扉部材3の一端から他端まで連続して設ける必要はなく、扉部材3の一端から他端までの範囲において、部分的に設けてもよい。
【0033】
また、第1扉部材30には、
図8及び
図9に示すように、作業者が扉部材3をスライド移動させる際に手で掴むための取っ手36が取り付けられている。取っ手36は、一例としてU字状とされ、両端部にネジ山が形成されている。取っ手36は、曲面部30aの中央部であって、防音パネル100の長手方向Xの一端寄り(図示例では左側寄り)に取り付けられている。取っ手36は、U字の両端部が曲面部30aの中央部を貫通し、第1扉部材30の正面側及び第2扉部材31の背面側においてナット37a及び37bで締め付けられて取り付けられる。第2扉部材31の背面側のナット37bは、扉部突出部31cの凹んだ内部に収まるように設けられている。なお、取っ手36は、図示したU字状に限定されず、作業者が手で掴むことができればよく、例えば棒状やL字状等でもよい。また、取っ手36は、ナット37a及び37bで締結して固定させる構成に限定されず、例えば溶接等で固定させてもよい。また、作業者が扉部材3をスライド移動させる手段は、図示した取っ手36に限定されない。例えば作業者が手を掛けることができるように、曲面部30aに凹みを設けてもよいし、その他手段でもよい。要するに、取っ手36は、作業者が扉部材3をスライド移動させることができる構成であればよい。
【0034】
上記構成の防音パネル100は、
図10に示すように、扉部材3を防音パネル100の長手方向Xに沿ってスライド移動(図示例では右側に移動)させることで、第1開口部13と第2開口部26を開状態とすることができる。このとき、扉部材3は、防音パネル100の長手方向Xにおいて、扉部材3に最も近い接合部材24(図示例では最も左側に位置する接合部材24)まで移動させることができる。そして、防音パネル100は、開状態から扉部材3を防音パネル100の長手方向Xに沿ってスライド移動(図示例では左側に移動)させることで、
図2に示すように、第1開口部13と第2開口部26を閉状態とすることができる。なお、防音パネル100は、扉部材3が不用意に移動しないように、ストッパ部材を設けることが望ましい。つまり、ストッパ部材を解除することで、扉部材3をスライド移動させることができる構成である。
【0035】
(防音壁300)
次に、
図1~
図10を参照しつつ、
図11及び
図12に基づいて、上記防音パネル100を用いた防音壁300について説明する。
図11は、実施の形態1に係る防音パネル100を用いた防音壁300の一例を示した正面図である。
図12は、
図11に示したE-E線矢視拡大断面図である。防音壁300は、
図11に示すように、間隔をあけて配置された2つの支柱4及び4と、支柱4間において上下方向に積み重ねて設置された複数の防音パネル100及び200と、防音パネル100及び200を支持する支持構造5と、を有している。防音壁300は、複数の防音パネル100及び200のうち、最下段に上記構成の防音パネル100が配置され、防音パネル100の上方に異なる構成の防音パネル200が配置される。異なる構成の防音パネル200とは、防音壁部1の第1開口部13及び背壁部2の第2開口部26が形成されておらず、扉部材3が設けられていない構成である。防音パネル200のその他の構成については、防音パネル100と同じである。
【0036】
支柱4は、
図12に示すように、一例として断面がH型の鋼材であり、2つのフランジ部40a及び40bと、フランジ部40a及び40bの間に設けられたウェブ部41と、を有している。支柱4は、一方のフランジ部40aが騒音源400に向くように配置され、他方のフランジ部40bが防音パネル100の背面側となる位置に配置されている。防音パネル100及び200は、2つのフランジ部40a及び40bとウェブ部41とで形成された凹内部に、長手方向Xの各端部が挿入されて支柱4間に設置される。
【0037】
防音壁300を構築するには、先ず、防音パネル100を隣り合う支柱4の上端からフランジ部40a及び40bとウェブ部41とで形成された凹内部に挿入して、支柱4の下端までスライド移動させて設置する。
図12に示すように、防音パネル100の両端部は、2つのフランジ部40a及び40bとの間に設けられたシール部材42及び固定金具43によって支持されている。防音パネル100とフランジ部40aとの間に設けられたシール部材42は、一例としてゴム材である。シール部材42は、防音パネル100とフランジ部40aの内面との間の隙間を塞ぎ、音漏れを防止するために設けられている。防音パネル100とフランジ部40bとの間に設けられた固定金具43は、一例としてバネ材である。なお、図示したシール部材42及び固定金具43の材質は一例であって他の材質を用いてもよい。また、防音パネル100の両端部を支持する構造は、シール部材42及び固定金具43に限定されず、その他の構造でもよい。また、支柱4は、断面がH型の鋼材に限定されず、例えば断面形状がコ字状でもよいし、その他の形状でもよい。
【0038】
そして、異なる構成の防音パネル200を隣り合う支柱4の上端からフランジ部40a及び40bとウェブ部41とで形成された凹内部に挿入し、防音パネル100の上部に配置して、積み重ねていく。このとき、防音パネル100の傾斜する上面部21と、防音パネル200の傾斜する下面部22とが組み合わさり固定される。防音パネル200も防音パネル100と同じく、両端部が2つのフランジ部40a及び40bとの間に設けられたシール部材42及び固定金具43によって支持される。なお、上下に積み重ねた防音パネル100及び200の両端部には、支柱4の上下方向に沿ってワイヤーロープが設けられる。ワイヤーロープは、例えば衝撃等を受けた防音パネルが跨線等から落下しないように保持して事故を未然に防止するために設けられている。ワイヤーロープは、上面部21の第1傾斜面部21aの切り欠き部21c、及び下面部22の第2傾斜面部22aの切り欠き部に配置され、アイボルト28のリング部に通される。
【0039】
なお、防音パネル200は、一例として上下に2段設けた構成を示しているが、1段でもよいし、3段以上設けてもよい。また、防音パネル100は、最下段にのみ設けているが、その他の段に設けてもよい。
【0040】
支持構造5は、
図1及び
図11に示すように、防音パネル100の下方に設けられ、防音パネル100を支持するものである。支持構造5は、例えば壁高欄等に固定された基盤50と、防音パネル100を支持する支持部材51と、を有している。
【0041】
基盤50は、防音パネル100の長手方向Xの両端に設けられ、防音パネル100の両端部を支持すると共に、支柱4が設置されるものである。基盤50は、例えばアンカーボルト等の固定具52によって壁高欄に固定されている。固定具52は、防音パネル100の正面側と背面側とにそれぞれ設けられている。
【0042】
支持部材51は、防音パネル100の長手方向Xに沿って設けられている。図示した支持部材51は、
図1に示すように、断面形状が凹状の鋼材を、防音パネル100の正面側から背面側に向かって2つ並べて配置した構成である。支持部材51は、基盤50上に設置された両端支持部51aと、壁高欄に設置された中間支持部51bと、を有している。両端支持部51aは、基盤50に設置されているため、高さ方向の長さが中間支持部51bよりも短い。両端支持部51aと中間支持部51bとは、一体として形成してもよいし、別体として設けてもよい。なお、支持部材51は、図示した構成に限定されず、例えば直方体形状でもよいし、その他形状でもよい。また、両端支持部51aは、防音壁300の構造によって、基盤50に設置されない場合もある。
【0043】
上記構成の防音壁300において、防音壁部1の正面側から背壁部2の背面側における点検作業を行う場合には、防音壁部1の正面側から扉部材3を防音パネル100の長手方向Xに沿ってスライド移動させて第1開口部13と第2開口部26を開状態とする。これにより、作業者は、第1開口部13と第2開口部26を通じて、防音壁部1の正面側から背壁部2の背面側にアクセスすることができる。点検作業とは、一例として、壁高欄に固定している基盤50の固定具52の点検である。固定具52に緩みが生じていれば、適宜、工具を用いて固定具52を増し締めする。但し、点検作業は、固定具52の点検だけでなく、その他、壁高欄及び防音壁300等の点検も含まれる。
【0044】
点検終了後は、防音壁部1の正面側から扉部材3を防音パネル100の長手方向Xに沿ってスライド移動させて、再び第1開口部13と第2開口部26を閉状態とする。なお、扉部材3を固定させるストッパ部材がある場合には、ストッパ部材で扉部材3が動かないように固定する。
【0045】
本実施の形態に係る防音パネル100を用いた防音壁300では、扉部材3を移動させて第1開口部13と第2開口部26を開状態とし、防音壁部1の正面側から背壁部2の背面側の点検作業を行うことができる。これにより、例えばオーバフェンス型の作業車を用意して、作業者を防音壁300の道路等の反対側に搬送する必要がなく、作業負担及び作業コストを軽減することができる。また、防音壁300は、高さ方向で最下部に防音パネル100を設置しているので、基盤50を固定している固定具52の点検が容易である。
【0046】
なお、異なる構成の防音パネル200は、上記構成に限定されない。防音パネル200は、例えば防音壁部1の反射面10を平面状とした構成でもよいし、その他の構成でもよい。要するに、防音パネル200は、防音パネルとして機能することができれば、どのような形態でもよい。また、防音壁300は、本実施の形態に係る防音パネル100のみを設置して1段とした構成でもよい。また、防音壁300は、壁高欄に設置する場合に限定されず、騒音源400を有するその他の場所に設置してもよい。また、
図1及び
図11に示した支持構造5は、一例であって、その他の構造でもよい。また、防音壁300は、
図11及び
図12において点線で示したように、騒音源400に沿って連続して設けられるものである。この場合、隣り合う防音壁300は、支柱4を共通して使用する。
【0047】
図13は、実施の形態1に係る防音パネル100の変形例であって、扉部材3を設けていない部分を示した縦断面図である。
図14は、実施の形態1に係る防音パネル100の変形例であって、扉部材3を設けた部分を示した縦断面図である。
図13及び
図14に示した防音パネル100Aは、防音壁部1の反射面10を平板状とした構成である。この場合、扉部材3の第1扉部材30は、防音壁部1の反射面10に沿って形成された平板部30dを有している。その他の構成については、基本的には上記した防音パネル100及び扉部材3と同じである。なお、取っ手36は、第1扉部材30の正面側のナット37aを緩めて押し込むことで、第2扉部材31の背面側に一部を収容できる構成とすることが望ましい。騒音源400である道路側等に突出する取っ手36の長さを最小限とし、道路側等の安全性を高めるためである。また、第2扉部材31の背面側に一部分を収容した取っ手36のバタつきを抑えるために、バタつき防止の金具を取り付けることが望ましい。扉部材3をスライド移動させる際には、取っ手36を道路側に引っ張って突出させ、第1扉部材30の正面側のナット37aを締め付けて取っ手36を固定させる。
【0048】
上記した防音壁300は、防音パネル100に代えて、防音パネル100Aを使用してもよい。
【0049】
実施の形態2.
次に、
図15~
図17に基づいて、本実施の形態2に係る防音パネル101及び101Aを説明する。
図15は、実施の形態2に係る防音パネル101を示した正面図である。
図16は、
図15に示したF-F線矢視拡大断面図である。なお、実施の形態1で説明した防音パネル100及び100Aと同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0050】
実施の形態2に係る防音パネル101は、
図15及び
図16に示すように、扉部材3Aの構成が実施の形態1の防音パネル100の扉部材3と異なる。防音パネル101の扉部材3Aは、防音壁部1に着脱自在に取り付けられ、第1開口部13を開閉可能に構成された第1扉部材30Aと、背壁部2に着脱自在に取り付けられ、第2開口部26を開閉可能に構成された第2扉部材31Aと、を有している。第1扉部材30Aは、第1開口部13を塞ぐ大きさで形成されている。また、第2扉部材31Aは、第2開口部26を塞ぐ大きさで形成されている。
【0051】
第1扉部材30Aは、長方形状の板状部材であり、防音壁部1の反射面10の形状に沿った曲面状とされている。第1扉部材30Aは、防音壁部1の正面側から反射面10にボルト接合6aによって固定されて、第1開口部13を塞ぐ。この場合、反射面10の背面側に予めナットを溶接等で固定しておき、防音壁部1の正面側からボルトをナットにねじ込むことによりボルト接合6aすることができる。なお、第1扉部材30A及び反射面10には、ボルトの軸部を通すための貫通孔が形成されている。第1扉部材30Aは、ボルト接合6aを解除することで、反射面10から取り外すことができる。これにより、第1開口部13が開状態となる。また、取り外した第1扉部材30Aを、再び反射面10にボルト接合6aによって固定することで、第1開口部13を閉状態とすることができる。図示例の場合、ボルト接合6aは、第1扉部材30Aの四隅に設けられているが、これに限定されず、防音壁部1の形状等に応じて、個数及び配置を適宜変更して設けるものとする。また、第1扉部材30Aは、長方形状に限定されず、第1開口部13を開閉可能に構成することができれば、他の形状でもよい。
【0052】
なお、第1扉部材30Aは、防音壁部1の反射面10の形状に沿った曲面状とすることに限定されず、曲面を有さない平板状でもよい。この場合、第1扉部材30Aは、反射面10との間に生じる隙間を塞ぐ構造とすることが望ましい。また、第1扉部材30Aを反射面10に固定する手段は、ボルト接合6aに限定されず、第1扉部材30Aを反射面10に着脱自在に取り付けることができれば、他の接合手段でもよい。また、第1扉部材30Aは、防音パネル101の内部空間S側に配置し、該内部空間S側から主面部20にボルト接合6aする構成でもよい。また、本実施の形態2に係る防音パネル101の構成を、
図13及び
図14に示した防音パネル100Aに適用する場合には、曲面を有さない平板状の第1扉部材30Aとする。
【0053】
第2扉部材31Aは、
図16に示すように、長方形状の板状部材である。第2扉部材31Aは、防音パネル101の内部空間S側から主面部20にボルト接合6bによって固定されている。この場合、主面部20の背面側に予めナットを溶接等で固定しておき、防音パネル101の内部空間S側からボルトをナットにねじ込むことによりボルト接合6bすることができる。なお、第2扉部材31A及び主面部20には、ボルトの軸部を通すための貫通孔が形成されている。第2扉部材31Aは、ボルト接合6bを解除することで、主面部20から取り外すことができる。これにより、第2開口部26が開状態となる。また、取り外した第2扉部材31Aを、再び主面部20にボルト接合6bによって固定することで、第2開口部26を閉状態とすることができる。ボルト接合6bは、第2扉部材31Aの四隅に設けることに限定されず、背壁部2の大きさ及び形状等に応じて、個数及び配置を適宜変更して設けるものとする。また、第2扉部材31Aは、長方形状に限定されず、第2開口部26を開閉可能に構成することができれば、他の形状でもよい。
【0054】
なお、第2扉部材31Aを主面部20に固定する手段は、ボルト接合6bに限定されず、第2扉部材31Aを主面部20に着脱自在に取り付けることができれば、他の接合手段でもよい。また、第2扉部材31Aは、防音パネル101の内部空間S側から主面部20にボルト接合6bする構成に限定されず、防音パネル101の外部である背壁部2の背面側に取り付けてもよい。
【0055】
図17は、実施の形態2に係る防音パネル101の変形例を示した正面図である。
図17に示した防音パネル101Aの扉部材3Aは、第1扉部材30Aが防音壁部1にヒンジ機構7を介して取り付けられ、第2扉部材31Aが背壁部2にヒンジ機構7を介して取り付けられている。
【0056】
第1扉部材30Aは、第1扉部材30Aの右側縁にヒンジ機構7が設けられ、ヒンジ機構7を設けていないその他の箇所において、防音壁部1の正面側から反射面10にボルト接合6aによって固定されて第1開口部13を塞ぐ。第1扉部材30Aは、ボルト接合6aを解除し、ヒンジ機構7を介して回動させることで、第1開口部13を開状態とすることができる。また、第1扉部材30Aは、開状態からヒンジ機構7を介して回動させて第1開口部13を塞ぎ、反射面10に再びボルト接合6aによって固定することにより閉状態とすることができる。なお、ヒンジ機構7は、第1扉部材30Aの上端縁、下端縁又は左側縁に設けてもよい。
【0057】
第2扉部材31Aは、第1扉部材30Aと同様の構成に基づき、背壁部2にヒンジ機構7を介して取り付けられている。
【0058】
以上に、防音パネル100及び防音壁300を実施の形態に基づいて説明したが、上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。上記した防音パネル100及び防音壁300の構成は、一例であって、構成要素の一部を省略してもよいし、他の構成要素を含んでもよい。要するに、防音パネル100及び防音壁300は、技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。
【0059】
上記に説明した防音パネル100及び防音壁300は、以下の付記1~9に示す各特徴の組み合わせも含み得るものである。その組み合わせについて下記に示す。
【0060】
(付記1)
騒音源に沿って配置される防音パネルであって、
正面が騒音源に向くように配置された防音壁部と、
前記防音壁部の背面側に、該防音壁部との間に間隔をあけて配置された背壁部と、を備え、
前記防音壁部には、点検用の第1開口部が形成され、
前記背壁部には、前記第1開口部に対応する位置に点検用の第2開口部が形成されており、
前記第1開口部と前記第2開口部を開閉可能に構成された扉部材が設けられている、防音パネル。
【0061】
(付記2)
前記防音壁部は、騒音源側から背面側に向かって凹むように形成された曲面状の反射面を有している、付記1に記載の防音パネル。
【0062】
(付記3)
前記防音壁部は、平面状とされている、付記1に記載の防音パネル。
【0063】
(付記4)
前記扉部材は、
前記防音壁部と前記背壁部との間に形成された内部空間に設けられており、
前記防音壁部に対向させて配置され、前記防音壁部の形状に沿った形状を有する第1扉部材と、
前記背壁部に対向させた配置され、前記背壁部の形状に沿った形状を有し、前記第1扉部材に連結された第2扉部材と、を備え、
前記第1扉部材と前記第2扉部材とを共通にスライドさせることで、前記第1開口部と前記第2開口部を開閉可能に構成されている、付記2又は3に記載の防音パネル。
【0064】
(付記5)
前記扉部材は、
前記第1扉部材と前記第2扉部材との間に設けられ、前記第1扉部材と前記第2扉部材との間隔を調整する扉間隔調整部材を有する、付記4に記載の防音パネル。
【0065】
(付記6)
前記扉部材は、
前記防音壁部に、着脱自在に取り付けられ又はヒンジ機構を介して取り付けられ、前記第1開口部を開閉可能に構成された第1扉部材と、
前記背壁部に、着脱自在に取り付けられ又はヒンジ機構を介して取り付けられ、前記第2開口部を開閉可能に構成された第2扉部材と、を有している、付記1に記載の防音パネル。
【0066】
(付記7)
前記第1扉部材は、前記防音壁部の形状に沿った形状で構成されている、付記6に記載の防音パネル。
【0067】
(付記8)
前記防音壁部と前記背壁部との間には、前記防音壁部と前記背壁部との間隔を調整する壁部間隔調整部材が設けられている、付記1~7のいずれか一つに記載の防音パネル。
【0068】
(付記9)
間隔をあけて配置された支柱と、
前記支柱の間において上下方向に積み重ねて設置された複数の防音パネルと、を備え、
上下方向に積み重ねた前記複数の防音パネルのうち、少なくとも最下段に位置する防音パネルが、付記1~8のいずれか一つに記載の防音パネルである、防音壁。
【符号の説明】
【0069】
1 防音壁部、2 背壁部、3、3A 扉部材、4 支柱、5 支持構造、6a、6b ボルト接合、7 ヒンジ機構、10 反射面、11 上部取付部、11a 第1延長面部、11b 第1接続面部、12 下部取付部、13 第1開口部、14 縦枠、15 側壁部、20 主面部、21 上面部、21a 第1傾斜面部、21b 第1屈曲面部、21c 切り欠き部、22 下面部、22a 第2傾斜面部、22b 第2屈曲面部、23 突出部、23a、23b 傾斜部、23c 連結部、24 接合部材、25 壁部間隔調整部材、26 第2開口部、27 固定部材、28 アイボルト、30、30A 第1扉部材、30a 曲面部、30b 上部屈曲部、30c 下部屈曲部、30d 平板部、31、31A 第2扉部材、31a 扉部主面部、31b 下部屈曲部、31c 扉部突出部、32 接合部材、33 扉間隔調整部材、34、35 接合部材、36 取っ手、37a、37b ナット、40a、40b フランジ部、41 ウェブ部、42 シール部材、43 固定金具、50 基盤、51 支持部材、51a 両端支持部、51b 中間支持部、52 固定具、100、100A、101、101A、200 防音パネル、300 防音壁、400 騒音源、S 内部空間。