IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本金銭機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-搬送装置 図1
  • 特開-搬送装置 図2
  • 特開-搬送装置 図3
  • 特開-搬送装置 図4
  • 特開-搬送装置 図5
  • 特開-搬送装置 図6
  • 特開-搬送装置 図7
  • 特開-搬送装置 図8
  • 特開-搬送装置 図9
  • 特開-搬送装置 図10
  • 特開-搬送装置 図11
  • 特開-搬送装置 図12
  • 特開-搬送装置 図13
  • 特開-搬送装置 図14
  • 特開-搬送装置 図15
  • 特開-搬送装置 図16
  • 特開-搬送装置 図17
  • 特開-搬送装置 図18
  • 特開-搬送装置 図19
  • 特開-搬送装置 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098725
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240717BHJP
   G07D 11/16 20190101ALI20240717BHJP
【FI】
A63F7/02 352F
G07D11/16
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002379
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】新開 慶太
(72)【発明者】
【氏名】松下 茂徳
【テーマコード(参考)】
2C088
3E141
【Fターム(参考)】
2C088BC79
2C088EA28
2C088EA44
3E141AA01
3E141FG01
3E141FL06
(57)【要約】
【課題】搬送対象物を変形させずに搬送する湾曲した搬送経路を小型化することを目的とする。
【解決手段】搬送路401は、送風管100側に位置する底面411Bが、送風管側に凸状に膨出する第一の湾曲形状を有した第一湾曲搬送管体ユニット415Bを備え、第一湾曲搬送管体ユニットにおいては、搬送体500に保持された紙幣Pが底面と対向する天面413Bに接触しないように、底面と天面との距離Hが、搬送方向xの各端部から中間部に向けて増大するように構成されている。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の流路を形成する送風管と、
該送風管内を所定方向に流れる気流を受けて前記送風管内を走行する移動体と、
少なくとも一部が前記送風管に沿って該送風管に隣接配置された搬送体経路と、
搬送対象を所定の姿勢に保持可能に構成されて前記搬送体経路内を走行する搬送体と、を備え、
前記移動体は移動体側磁性体を備え、前記搬送体は搬送体側磁性体を備え、
前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発力により、前記移動体の移動に連動して前記搬送体を移動させる構成を備えた搬送装置であって、
前記搬送体経路は、前記送風管側に位置する底面が該送風管側に凸状に膨出する第一の湾曲形状を有した第一湾曲搬送体経路を備え、
前記第一湾曲搬送体経路においては、前記搬送体に保持された前記搬送対象が前記底面と対向する天面に接触しないように、前記底面と前記天面との距離が、搬送方向の各端部から中間部に向けて増大するように構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記搬送体は、走行方向に沿って順次直列に結合され、所定の範囲内で互いに角度変位可能となるように結合された複数の分割体を有する搬送ベースを備え、
前記搬送ベースは、前記搬送体経路の前記底面の湾曲形状に追従して変形する一方で、前記搬送ベースに保持される前記搬送対象は前記第一湾曲搬送体経路における前記搬送ベースの湾曲変形に追従して湾曲することが困難な物体であることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送対象は、概略長方形状の紙葉類であり、該紙葉類は、2つの長辺が前記搬送方向に沿って伸びると共に、前記長辺の一方が前記底面側に位置し、前記長辺の他方が前記天面側に位置するように、前記搬送ベースに保持されることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第一湾曲搬送体経路中、前記天面を前記搬送方向に直線的に構成することにより、前記底面と前記天面との距離を搬送方向の各端部から中間部に向けて増大させることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送体経路は、所定の搬送平面に沿って直線状に伸びる直線搬送体経路を形成する直線搬送管体ユニットと、前記第一湾曲搬送体経路を形成する第一湾曲搬送管体ユニットと、前記送風管側に位置する前記底面が前記送風管とは反対の側に凸状に膨出する第二の湾曲形状を有した第二湾曲搬送体経路を形成する第二湾曲搬送管体ユニットと、上面視で横方向へ凸状に膨出する湾曲形状を有し、所定の前記搬送平面に沿って湾曲して伸びる旋回搬送体経路を形成する旋回搬送管体ユニットと、から選択された一の搬送管体ユニットの後端部に、これと同一形状の又は異なる形状の他の搬送管体ユニットの始端部を順次連結した構成を有し、連結される複数の前記搬送管体ユニットには少なくとも前記第一湾曲搬送管体ユニットを含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣等の搬送対象を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ、パチスロ、スロットマシン等の各種遊技機を設置した遊技場においては、紙幣挿入口から投入された紙幣の金額に応じて遊技媒体であるパチンコ球やメダルを遊技客に貸し出すための遊技媒体払出装置が各遊技機に隣接して配置されている。遊技媒体払出装置が受け入れた紙幣を安全に且つ円滑に金庫へと搬送するため、様々な紙幣搬送装置が開発され、提案されている。このような紙幣搬送装置は、遊技場の島設備として設置される。
また、カジノのように大量の紙幣を扱う遊技施設においても利用される。
【0003】
特許文献1には、空気流を利用して移動体を送風管内で走行させると共に、移動体の移動に連動させて磁力を利用して紙幣の搬送体を走行させる紙葉の搬送装置が、遊技場の島設備に設置されるものとして開示されている。搬送体は各遊技媒体払出装置に沿った移動経路を移動する過程で、各遊技媒体払出装置が受け入れた紙幣を順次回収して保持しつつ金庫に搬送する。移動体及び搬送体を走行させるために、モータ、ギヤ、搬送ベルト等の機械的な駆動手段を必要としないため、搬送装置を構成する各部材の耐久性を向上させることができ、搬送装置のランニングコストを低減させることができる。
特許文献1の紙葉搬送装置では、搬送体を搬送体用の長尺な管体内で移動させる構成を採っており、搬送体の移動経路が平面視で直線状である場合には複数の直線状の短尺な管体ユニットの端部同士を直接直列に連結する。
特許文献2には、隣接する2つの直線状の管体ユニット間を非直線状に連結する連結管体が記載されている。連結管体は、複数個の薄肉環状片を積み重ねた構成を有し、その内部に搬送体の移動経路となる湾曲した内部空間を形成する。
特許文献1及び2においては、長方形状の紙幣の長手方向を搬送方向に一致させると共に、紙幣を起立させた状態で搬送体に載置して紙幣を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6796684号公報
【特許文献2】特開2022-60767公報(図33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、長方形状の紙幣においては、紙幣面(紙幣の表面自体)を平面形状から曲面形状に変形させることは容易であるが、紙幣の平面的形状を維持したまま紙幣の各辺(長辺と短辺)を湾曲変形させることは困難である。このため、紙幣を湾曲した搬送経路に沿って搬送する際には、特許文献2のように紙幣面自体を面方向へ湾曲させる搬送経路を設計することが一般的である。仮に、紙幣の平面的形状を維持した状態で、紙幣を湾曲した搬送経路内で移動させようとすると、搬送経路の曲率半径を大きくする必要があり、搬送経路が大型化する。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、搬送対象物を変形させずに搬送する湾曲した搬送経路を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の搬送装置は、気体の流路を形成する送風管と、該送風管内を所定方向に流れる気流を受けて前記送風管内を走行する移動体と、少なくとも一部が前記送風管に沿って該送風管に隣接配置された搬送体経路と、搬送対象を所定の姿勢に保持可能に構成されて前記搬送体経路内を走行する搬送体と、を備え、前記移動体は移動体側磁性体を備え、前記搬送体は搬送体側磁性体を備え、前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発力により、前記移動体の移動に連動して前記搬送体を移動させる構成を備えた搬送装置であって、前記搬送体経路は、前記送風管側に位置する底面が該送風管側に凸状に膨出する第一の湾曲形状を有した第一湾曲搬送体経路を備え、前記第一湾曲搬送体経路においては、前記搬送体に保持された前記搬送対象が前記底面と対向する天面に接触しないように、前記底面と前記天面との距離が、搬送方向の各端部から中間部に向けて増大するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送対象物を変形させずに搬送する湾曲した搬送経路を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す斜視図である。
図2】複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す平面図である。
図3】第1の本発明に係る紙幣搬送システムの概略構成を示す模式図である。
図4】移動体と搬送体が磁力により反発する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。
図5】(a)~(c)は、第1の本発明の一実施形態に係る送風管と送風制御ユニットとの関係を示す模式図である。
図6】搬送管と搬送体との関係を示した斜視図である。
図7】移動体と搬送体が磁力により吸着する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。
図8】移動体側磁石の各極を走行方向に向けて配置した場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図9】送風制御ユニットの第一の変形例を示す図である。
図10】送風制御ユニットの第二の変形例を示す図である。
図11】(a)(b)(c)及び(d)は回収部材(回収爪)が開放した状態にある搬送体500の外観斜視図、正面図、平面図、及び(a)のA-A断面図である。
図12】(a)及び(b)は回収部材(回収爪)が閉じた状態にある搬送体500の外観斜視図、及び平面図である。
図13】搬送管400と搬送体500との位置関係を示す一部断面図である。
図14】紙幣搬送装置Cにおける送風管及び搬送管の配置構造の一例を示す斜視図である。
図15】直線形状の管体ユニット対の斜視図である。
図16】(a)及び(b)は、図15に示す管体ユニット対の端部における分解斜視図である。
図17】下側に膨出した管体ユニット415B,150Bの対を示す斜視図である。
図18図17に示す管体ユニット対を含む搬送路及び気流路の内部状態を示す縦断面図である。
図19図18に示す搬送路及び気流路における各部材の位置関係を説明する模式図である。
図20図18中に図示した移動体200の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0010】
A.第1の本発明に係る紙葉搬送システム
以下に第1の本発明に係る紙葉搬送システムの基本的構成、及び動作について説明する。
紙葉搬送システムは、パチンコ、パチスロ等の各種遊技機を設置した遊技場における島設備に設置される。以下の実施形態では紙葉の一例として紙幣を中心に説明するが、金券、商品券等の有価証券、カード、その他、紙幣以外の紙葉(シート)にも本発明を適用することができる。
なお、特に図示説明しないが、本発明の紙葉搬送システムはカジノにおける紙幣搬送システム、紙幣搬送装置にも適用される。
【0011】
〔島設備の概略構成〕
図1は、複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す斜視図である。
各遊技機1は、島設備L(L1、L2…)に設置され、各島設備Lの対向する2つの側面に8台ずつ、合計16台の遊技機1が背中合わせに配置されている。なお、各島設備Lの間には、遊技者又は遊技場の店員が通行する通路が設けられ、各通路には遊技機1毎に椅子(図示省略)が設けられる。
各島設備Lには、遊技機1毎に台間機2が設置される。台間機2は、投入された紙幣を受け入れる紙幣挿入口(紙幣投入部)、及び、投入された紙幣の金額に応じた個数のパチンコ球を払い出す遊技媒体払出装置等を備える。図示する島設備Lには、台間機2から挿入された紙幣を島設備Lの一端部に配置された金庫ユニット700に搬送する紙幣搬送システム10が設置されている。
【0012】
図2は、複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す平面図である。
島設備Lに設置された紙幣搬送システム10は、台間機2の紙幣挿入口から挿入された紙幣を内部に受け入れる受入ユニット(紙幣受入れ装置)600、島設備Lの長手方向(遊技機1の配列方向)に延在し、受入ユニット600が受け入れた紙幣を搬送する搬送管400、及び、搬送管400の一方端に配置される金庫ユニット700等を備える。
【0013】
〔紙幣搬送システムの概略構成〕
<全体概要>
図3は、紙幣搬送システムの概略構成を示す模式図である。第1の本発明の一実施形態に係る紙幣搬送システム(紙葉の搬送機構)10は、空気流と磁力を利用して紙幣を搬送する点に特徴がある。
紙幣搬送システム10は、気体の流路(気流路101)を形成する送風管100と、送風管100内を所定方向に流れる気流を受けて送風管100内を走行する(移動する)移動体200と、送風管100内を流れる気流を制御する送風制御ユニット300と、少なくとも一部が送風管100に沿って送風管100に隣接配置された搬送管400(搬送路401)と、紙幣(紙葉)を保持可能に構成されて搬送管400内を走行する(移動する)搬送体500と、を備える。搬送管400は、紙幣の搬送路401(紙幣(紙葉)搬送経路、搬送空間)を形成する。
移動体200は移動体側磁性体(移動体側磁石213)を備え、搬送体500は搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)を備える。移動体側磁性体と搬送体側磁性体の少なくとも一方は磁石から構成される。
【0014】
また、紙幣搬送システム10は、外部から投入された紙幣を受け入れて搬送管400内の所定位置に待機させる受入ユニット600と、搬送体500により搬送されてきた紙幣を収容する紙幣収容部を備えた金庫ユニット700と、紙幣搬送システム10を構成する各部を制御する管理ユニット(制御手段)800と、を備える。
本例においては、管理ユニット800を収容した筐体801内に、送風制御ユニット300と金庫ユニット700とが収容されている。
紙幣搬送システム10は、送風管100内を流れる気流によって送風管100内に配置した移動体200を送風管100の長手方向に進退移動させると共に、移動体200との間に作用する磁力によって搬送管400内に配置した搬送体500を送風管100の長手方向に沿って移動させる点に特徴がある。即ち、紙幣搬送システム10は、移動体側磁石213と搬送体側磁石523との間に作用する磁力に基づく吸着、及び/又は、反発により、気流を受けた移動体200の移動に連動して搬送体500を移動させる点に特徴がある。
【0015】
<各部の概要>
送風管100は、長手方向の少なくとも一部に移動体200が送風管100の長手方向に沿って走行する移動経路部分111を含む。移動経路部分111は搬送管400と並列に、且つ隣接して配置されている。
移動体200は、送風管100内を所定方向に流れる気流を受けて送風管100内を移動する。移動体200に搭載された移動体側磁石213は、搬送体500に対して磁力による反発作用、及び/又は、吸着作用を与える。移動体200は磁力により、自身の移動に連動させて移動体200を移動させる。
送風制御ユニット300は、送風管100内に所定方向の気流を発生(生成)させると共に気流の流量、流速を変更可能なブロア(気流発生装置)310を備える。送風制御ユニット300は、送風管100内に第一方向(紙幣回収方向、矢印B方向)への気流と、第一方向とは逆方向である第二方向(搬送体戻し方向、矢印C方向)への気流を交互に発生させることで、送風管100内で移動体200を往復移動させる。
搬送管400は、紙幣及び搬送体500が移動する空間を形成する。
搬送体500は、搬送路401内の所定位置にて待機する紙幣を受け取って起立させた状態で保持し、搬送路401内を移動することによって紙幣を金庫ユニット700に向けて搬送する。搬送体500に搭載された搬送体側磁石523は、移動体200に備える移動体側磁石213から磁力による吸着作用、及び/又は、反発作用を受ける。搬送体500は、気流を受けた移動体200の移動に連動して搬送管400内を移動する。
【0016】
ここで、移動体200と搬送体500との間に吸着力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の双方を磁石としてもよいし、一方を磁石とし他方を鉄等の磁性体としてもよい。移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の双方を磁石から構成する。
受入ユニット(紙幣受入れ装置)600は、台間機2の紙幣挿入口(紙幣挿入部)から挿入された紙幣を内部に受け入れて、紙幣を搬送路401内の所定位置に待機させる。受入ユニット600は、台間機2毎に設けられる。受入ユニット600は、搬送管400の長手方向に所定間隔を空けて複数個設置される。
金庫ユニット700は、搬送体500により搬送されてきた紙幣を収容する紙幣収容部や、紙幣収容部への紙幣の収容に関わる各部材を駆動する駆動機構等を備えている。
【0017】
管理ユニット(制御手段)800は、紙幣搬送システム10を構成する各部の動作を制御する。管理ユニット800は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、これらがバスを介して接続された一般的なコンピュータ装置を含んで構成される。CPUは、紙幣搬送システム10の全体を制御する演算装置である。ROMは、CPUが実行する制御プログラムやデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。RAMはCPUのワークエリアとして使用される揮発性のメモリである。CPUがROMに記憶された制御プログラムを読み出してRAMに展開して実行することにより、各種の機能が実現される。
【0018】
〔紙幣搬送システムの詳細構成〕
第1の本発明の実施形態に係る紙幣搬送システムの各部の詳細構成について説明する。
<送風管>
送風管について、図3図4を参照しながら説明する。
図4は、移動体と搬送体が磁力により反発する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。
図3に示す送風管100は、移動経路部分111を含む第一送風管110と、後述する切替弁325(図5参照)を介して第一送風管110との間でエンドレス状の気流路101を形成する第二送風管120とを備える。
紙幣搬送システム10は磁力を利用して搬送体500を移動させるため、送風管100の移動経路部分111は移動体200の走行と磁力に基づく搬送体500の走行に影響を与えない構成を備える。移動経路部分111はその全体が非磁性体から構成されることが望ましいが、移動体200と搬送体500の走行に影響を与えない範囲で一部に磁性体を含んでもよい。
移動経路部分111は、移動経路部分111内に配置された移動体200と搬送管400内に配置された搬送体500との間に磁力を作用可能な構成(管の厚さ、管同士の離隔、或いは形状等)を備える。
【0019】
送風管100を搬送管400とは別個独立した構成とすることにより、送風管100内に気密的な流路を形成することができる。送風管100の外部への空気漏れによる移動体200の搬送力の低下を防止できる。また、空気流の発生に使用するブロアとして比較的安価且つ低出力のブロア310を採用でき、紙幣搬送システム10の低コスト化を実現する。仮に紙幣の搬送距離の増大に伴って送風管100が長尺化した場合であっても、送風管100内の空気流を確実に制御できる。また、移動体200を空気流により走行させるため、送風管100内にはギヤや搬送ベルト等の機械的な構成、配線や電気的な接点を配置する必要がなくなり、送風管100及び内部に配置される移動体200の耐久性が向上する。また、気密的に構成された気流路101には外部空気が流入しないため、外部空気中の塵埃等を巻き込むことがなく、気流路101内をクリーンに保つことができる。
【0020】
<移動体>
移動体200は空気圧を受けて送風管100内を移動可能な形状、構造であればよい。
図4に示すように、移動体200は複数の分割片210、210…がヒンジ部211によって移動体200の走行方向(送風管100の長手方向)に沿って順次結合された構成を有する。本例に示す各分割片210は同一の構成を有し、各分割片210は夫々移動体側磁石213を備える。
移動体200は、搬送体500に磁力を作用可能な位置・姿勢・及び形状にて配置された複数の移動体側磁石213を備える。本例において、移動体側磁石213は、移動体200の搬送管400寄りに配置されている。移動体200に備えられた複数の移動体側磁石213は移動体200の走行方向に互いに離間して配置されている。本例において各移動体側磁石213は、N極(一方の極)が搬送管400側(図中上側)に、S極(他方の極)が図中下側に向くように、分割片210に取り付けられている。
本例に示す移動体200は、3つの分割片210から構成されている。分割片210同士は、ヒンジ部211を中心として図中上下方向と紙面奥行き方向に所定の範囲内で角度変位可能に結合されている。このような構成とすることにより、移動体200は、送風管100が上下左右方向に湾曲した気流路101を形成する場合であっても、各分割片210が変位しながら送風管100内をスムーズに移動可能となる。
【0021】
<送風管と移動体との関係>
移動経路部分111の内面形状と移動体200の外面形状(構造)は、移動経路部分111の長手方向に沿って伸びる仮想軸を中心として、移動体200が移動経路部分111に対して相対回転しないように形成される。例えば、移動経路部分111の横断面形状(長手方向と直交する断面における形状)と、移動体200の分割片210の横断面形状は矩形状に構成される。上記構成を備えることによって、移動体側磁石213のN極(一方の極)が常に搬送管400側を向くように、移動経路部分111内における移動体200の姿勢を維持できる。
【0022】
<送風制御ユニット>
図5(a)~(c)は、第1の本発明の一実施形態に係る送風管と送風制御ユニットとの関係を示す模式図である。
本実施形態に係る送風制御ユニット300は、一定方向に流れる気流を発生させる単一のブロア310と、送風管100内の空気流の方向を制御する切替ユニット320(切替弁325)と、を備える。送風制御ユニット300は切替ユニット320によって、送風管100内の空気流の方向を第一の方向(紙幣回収方向、矢印B方向)又はその反対方向である第二の方向(移動体戻し方向、矢印C方向)に切り替える点に特徴がある。
送風制御ユニット(空気流制御装置)300は、気流の排出方向を制御する切替ユニット(空気流切替ユニット)320と、切替ユニット320を介してエンドレス状の気流路を形成する第一循環配管330と、第一循環配管330の適所に配置されて第一循環配管内を一定方向に流れる気流を発生させるブロア310とを備える。
【0023】
切替ユニット320は、夫々外部配管と接続する4つの流路323(第一流路323a~第四流路323d:ポート)が形成されたケーシング321と、4つの流路323の合流部(交差部)に配置されて各流路323間の連通状態、及び/又は、連通時の開度を切り替える切替弁325とを有している。各流路323は、夫々外部配管である排気管331、吸気管333、第一送風管110、第二送風管120と連通・接続される。本例において各流路323は十字状(放射状)に配置されている。本例に示す切替弁325は、ボールバルブ等のロータリー式のバルブであり、切替弁325がケーシング321内で所定の角度だけ回転することによって、各流路323間の連通状態及び各流路323の開度が切り替えられる。
切替弁325は電動弁であり、モータによって駆動されて回転角度を制御される。モータには例えばステッピングモータを用いることができる。切替弁325は、例えば、管理ユニット800が駆動パルスに基づきステッピングモータの回転角度を制御することによって所望の回転角度に制御される。もちろん、切替弁325を回転させる駆動手段及び切替弁325の回転角度の制御には他の方式を用いてもよい。例えば切替ユニット320に、切替弁325と連動して回転するロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダの回転角度を検知するセンサとを搭載し、管理ユニット800が切替弁325の回転角度をフィードバック制御する構成としてもよい。
【0024】
第一循環配管330は、一端部(第一循環配管330の一端部330a)を切替ユニット320の第一流路323aに連通接続され、他端部をブロア310の排気口に連通接続された排気管331と、一端部をブロア310の吸気口に連通接続され、他端部(第一循環配管330の他端部330b)を切替ユニット320の第二流路323bに連通接続された吸気管333と、を備える。
送風管(第二循環配管)100は、一端部100aを切替ユニット320の第三流路323cに連通接続され、他端部100bを切替ユニット320の第四流路323dに連通接続されており、切替ユニット320を介してエンドレス状の気流路を形成する。送風管100は内部に配置した移動体200を気流により図中矢印B方向とC方向とに往復移動させる。
本例に係る送風管100は、移動体200の移動経路部分111を形成する第一送風管110と、第一送風管110と連通接続された第二送風管120とを備えている。第一送風管110が第三流路323cに連通接続され、第二送風管120が第四流路323dに連通接続されている。
【0025】
<<切替ユニットの動作:ニュートラル状態>>
図5(a)は、ニュートラル状態を示している。
切替弁325は第一流路323aと第二流路323bとを連通させるが、第一及び第二流路323a、323bと、第三及び第四流路323c、323dとを連通させないニュートラル姿勢にある。
このため、空気流は第一循環配管330内において矢印A(A1、A2)方向に循環し、送風管100内に気流は発生しない。従って、移動体200は送風管100内において停止した状態となる。
【0026】
<<切替ユニットの動作:第一の連通状態>>
図5(b)は、送風管100内に第一の方向(矢印B1、B2方向)に流れる気流を発生させる第一の状態を示している。この状態は、例えば、搬送体500が回収した紙幣を金庫ユニット700に搬送する紙幣の回収動作状態である。
切替弁325は、第一流路323aと第四流路323dを連通させ、第二流路323bと第三流路323cとを連通させる第一連通姿勢にある。このとき、第一流路323a及び第四流路323dは、第二流路323b及び第三流路323cとは連通しない。
空気は第一循環配管330と送風管100との間でエンドレス状に循環する。即ち、排気管331から排出されて第一流路323aに流入した空気(矢印A1方向)は切替弁325により第四流路323dから第二送風管120に流入する(矢印B1方向)。第一送風管110を矢印B2方向に流れて第三流路323cに流入した空気は、切替弁325により第二流路323bから吸気管333に流入して(矢印A2方向)ブロア310に戻り、再び排気管331から排出される。
【0027】
<<切替ユニットの動作:第二の連通状態>>
図5(c)は、送風管100内に第二の方向(矢印C1、C2方向)に流れる気流を発生させる第二の状態を示している。この状態は、例えば、搬送体500を金庫ユニット700側(管理ユニット800側)から、搬送管400の遠位端側に戻すための戻し動作状態である。
切替弁325は、第一流路323aと第三流路323cとを連通させ、第二流路323bと第四流路323dを連通させる第二連通姿勢にある。このとき、第一流路323a及び第三流路323cは、第二流路323b及び第四流路323dとは連通しない。
空気は第一循環配管330と送風管100との間でエンドレス状に循環する。即ち、排気管331から排出されて第一流路323aに流入した空気(矢印A1方向)は切替弁325により第三流路323cから第一送風管110に流入する(矢印C1方向)。第二送風管を矢印C2方向に流れて第四流路323dに流入した空気は、切替弁325により第二流路323bから吸気管333に流入して(矢印A2方向)ブロア310に戻り、再び排気管331から排出される。
【0028】
<<切替ユニットの動作:まとめ>>
このように、切替ユニット320を介して2つのエンドレス状の配管(第一循環配管330と送風管100)を接続することにより、単一のブロア310により一定方向(矢印A方向)の気流を発生させつつ、切替弁325の姿勢を切り替えて、送風管100内に気流を発生させないニュートラル状態、送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる第一の連通状態、送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる第二の連通状態の3つの状態を切り替えることができる。
また、切替弁325が取る上記3姿勢の中間の姿勢では、上記3状態とは連通状態が変化する。即ち、本実施形態においてはケーシング321内における切替弁325の角度に応じて、各流路の連通関係と各流路の開度を調整することができるため、各流路の開度に応じた風量の気流を送風管100内に発生させることができる。即ち、送風管100内の風速に応じて移動体200の速度を可変させることができる。
ここで、移動体200の移動速度をブロア310の風量制御により調整することも可能である。例えばブロア310の風量は、ブロア310の羽根の回転速度をPWM(Pulse Width Modulation)制御によりを可変させることによって調整可能である。しかし、ブロア310の回転速度の可変応答性よりも切替弁325の回転応答性の方が高いため、移動体200の速度調整を迅速に行うためには、切替弁325の回転角度を調整する方が有利である。
【0029】
<搬送管>
搬送管(搬送経路)400について、図4及び図6を参照して説明する。
図6は、搬送管と搬送体との関係を示した斜視図である。図6においては、搬送管400の内部を、一部露出させた状態を示している。
紙幣搬送システム10において搬送体500は磁力を利用して搬送されるため、搬送管400は磁力に基づく搬送体500の走行に影響を与えない材料から構成される。搬送管400はその全体が非磁性体から構成されることが望ましいが、搬送体500の走行に影響を与えない範囲で一部に磁性体を含んでもよい。
搬送管400は、移動経路部分111内に配置された移動体200と搬送管400内に配置された搬送体500との間に磁力を作用可能な構成(管の厚さ、管同士の離隔、或いは形状等)を備える。
【0030】
本例において、搬送管400は送風管100の上方に配置されているが、送風管100と搬送管400との位置関係についてはこれに限らない。搬送管400は送風管100の下方に配置されてもよいし、搬送管400を送風管100の側方に配置されてもよい。
なお、本例において搬送路401を構成する手段として搬送管400を例示したが、搬送路401を構成する手段は管状である必要はなく、搬送路401の一部又は全部が外部に開放された構成としても、本発明を実施可能である。つまり、搬送管400はその内部に搬送路401としての長尺な空間を形成できればどのような形態であってもよい。
【0031】
<搬送体>
図4及び図6に示すように、搬送体500は、搬送路401内において送風管100寄りの位置に配置されて、移動体200からの磁力を受ける搬送ベース510と、搬送ベース510の送風管100とは反対側に設けられた紙幣回収保持部540とを備える。
【0032】
<<搬送ベース>>
搬送ベース510は、複数の分割片520、520…が、ヒンジ部521によって搬送体500の走行方向(搬送管400の長手方向)に沿って順次結合された構成を有する。本例に示す各分割片520は夫々搬送体側磁石523を備えている。
搬送ベース510は、移動体200から磁力の作用を受けることが可能な位置・姿勢・及び形状にて配置された複数の搬送体側磁石523を備える。本例において、搬送体側磁石523は、搬送ベース510の送風管100寄りに配置されている。搬送ベース510に備えられた、複数の搬送体側磁石523は搬送体500の走行方向に互いに離間して配置されている。本例において各搬送体側磁石523は、N極(一方の極)が送風管100側(図中下側)を向き、S極(他方の極)が図中上側に向くように、分割片520に取り付けられている。搬送ベース510は、移動体200から磁力による反発力を受けて搬送管400内で磁気浮上する。
本例に示す搬送ベース510は4つの分割片520から構成されている。分割片520同士は、ヒンジ部521を中心として図中上下方向と紙面奥行き方向に所定の範囲内で角度変位可能に結合されている。このような構成とすることにより、搬送体500は、搬送管400が上下左右方向に湾曲した搬送路401を形成する場合であっても、搬送管400内をスムーズに移動可能となる。
【0033】
<<紙幣回収保持部>>
紙幣回収保持部540は、搬送ベース510上に配置されている。紙幣回収保持部540は、搬送管400の長手方向の島端側(金庫ユニット700に対して遠位端側)の端部に、送風管100から離間する方向に起立した支柱部材541と、支柱部材541から幅方向に突出する回収部材(回収爪)544を備える。支柱部材541は、搬送ベース510の幅方向の中間部から上方に突出している。
紙幣回収保持部540は、紙幣(紙葉)Pを、紙幣Pの長手方向が搬送管400の長手方向に沿うように、且つ起立した姿勢で保持する。紙幣Pの一方の長辺(図6中、下側に位置する長辺)は搬送ベース510によって支持される。紙幣の後端縁(一方の短辺)は支柱部材541又は回収爪544によって支持される。
【0034】
<搬送管と搬送体の関係>
搬送管400は、その内部に、送風管100寄りに配置されたベース搬送路402と、送風管100とは反対の側に配置された紙幣搬送路403とを備える。ベース搬送路402は搬送体500の搬送ベース510が走行する横長の空間であり、紙幣搬送路403は搬送体500の紙幣回収保持部540、及び紙幣回収保持部540に保持された紙幣が走行する縦長の空間である。
本例に示す搬送体500は、移動体200から磁力による反発力を受けて走行するため、ベース搬送路402と搬送ベース510は、搬送ベース510のベース搬送路402からの離脱(紙幣搬送路403側への移動)を禁止し、搬送ベース510の位置を移動体200から磁力の作用を受けられる位置に維持するように構成されている。
ベース搬送路402の内面形状と搬送ベース510外面形状は、ベース搬送路402の長手方向に沿って伸びる仮想軸を中心として、搬送ベース510がベース搬送路402に対して相対回転しないように形成される。例えば、ベース搬送路402の横断面形状と、搬送ベース510の横断面形状は矩形状に構成される。上記構成を備えることによって、搬送体側磁石523のN極(一方の極)が常に送風管100側を向くように、ベース搬送路402内における移動体200の姿勢が維持される。
【0035】
<移動体と搬送体との関係>
移動体側磁性体と搬送体側磁性体との関係について説明する。
<<反発のみ>>
図4に示すように、移動体200と搬送体500の双方に互いに反発する向きに1個以上の磁石を配置して、移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させてもよい。移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500の少なくとも一方には、走行方向に所定の間隔を空けて複数個の磁石を配置することが望ましい。移動体200と搬送体500の少なくとも一方に、走行方向に複数個の磁石を配置することによって、搬送体500が移動体200から反発力を受けて走行する際に、移動体側磁石213と搬送体側磁石523とが互い違いに配列される。即ち、搬送体500が走行する際に、搬送体500は移動体200に対して相対的に位置決めされる。この場合、特に、移動体200と搬送体500に備える磁石の個数を1個違いにするのが好適である。言い換えれば、nを自然数とした場合、移動体200と搬送体500の一方にn個の磁石を配置し、他方にn+1個の磁石を配置するのが好適である。
搬送管400を送風管100の上方に配置して、搬送体500と移動体200との間に反発力を作用させる場合、搬送体500が搬送管400内で浮上するので、搬送体500が搬送管400に接触しにくくなる。従って、搬送管400との摩擦による搬送体500の搬送力の低下を防止し、搬送体500を円滑に移動させることが可能となる。また、搬送体500と搬送管400との接触が抑制されるため、各部材の接触による微細なダスト(粉塵)の発生を防止できる。
なお、移動体200と搬送体500との間に反発力を作用させる場合は、移動体200と搬送体500に備える磁石の個数を増大させることによって、搬送力を向上させることができる。
【0036】
<<吸着のみ>>
図7は、移動体と搬送体が磁力により吸着する場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図示する例では、移動体側磁石213と搬送体側磁石523が互いに吸着する姿勢で移動体200と搬送体500に取り付けられている。移動体側磁石213と搬送体側磁石523の長手方向位置は、送風管100と搬送管400の壁を介して整合するため、移動体200に対する搬送体500の位置決めが容易となる。
移動体200と搬送体500との間に磁力に基づく吸着力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の少なくとも一方が磁石であればよい。例えば、搬送体500と移動体200の一方に磁石を配置し、他方には磁石に吸着する磁石以外の磁性体(例:鉄板)を配置してもよい。
移動体200と搬送体500との間に磁力に基づく吸着力のみを作用させる場合は、搬送体500と移動体200に少なくとも1組の磁性体(例:磁石と磁石の組、又は磁石と鉄板の組)を配置すれば足りる。
【0037】
<<反発と吸着>>
移動体200と搬送体500との間には、反発力と吸着力の双方を作用させてもよい。即ち、移動体200と搬送体500には、互いに反発力を作用させる磁石の組と、互いに吸着力を作用させる磁石の組とが混在していてもよい。反発力と吸着力の双方を作用させる例については、図8に基づき後述する。
【0038】
<<磁石の向き>>
上記実施形態においては、磁石の各極を上下方向(送風管100と搬送管400の積層方向)に向けて配置しているが、磁石の各極を走行方向に向けて(例えば金庫ユニット側にN極、島端側/遠位端側にS極を向けて)配置してもよい。また、磁石の各極を走行方向に対して斜めに傾けて配置してもよい。磁石の向きに応じて磁力の作用を適宜調整可能となる。
【0039】
<<磁石の向き:縦型配置>>
図8は、移動体側磁石の各極を走行方向に向けて配置した場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図示する例では、移動体側磁石213は、N極(一方の極)が金庫ユニット側(図中左側)に、S極(他方の極)が遠位端側(図中右側)に向くように、分割片210に取り付けられている。また、搬送体側磁石523は、N極が送風管100側に、S極が図中上方を向くように分割片520に取り付けられている。
移動体側磁石213の金庫ユニット側の面(N極)は搬送体側磁石523(N極)と反発し、移動体側磁石213の遠位端側の面(S極)は搬送体側磁石523(N極)と吸着するため、移動体200と搬送体500との間に反発力と吸着力の双方を作用させることができる。
【0040】
〔送風制御に係る変形実施形態1〕
図9は、送風制御ユニットの第一の変形例を示す図である。
送風制御ユニット300Bは、送風管100の一端部100aに排気口を接続されたブロア310aと、送風管100の他端部100bに排気口を接続されたブロア310bと、両ブロア310a、310bの吸気口同士を接続する接続配管340とを備えた構成であってもよい。送風管100(第一送風管110、第二送風管120)は、2台のブロア310a、310bと接続配管340とを介してエンドレス状に構成される。
ブロア310a、310bのオンオフ及び風量は、管理ユニット800により制御される。
【0041】
送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる場合(第一の状態、紙幣の回収動作状態)は、一方のブロア310bをオンにして気流を発生させ、他方のブロア310aをオフにする。送風管100内を流れた空気は、ブロア310aの排気口に流入してブロア310aの吸気口から排出される。空気は更に接続配管340を通ってブロア310bの吸気口に戻り、ブロア310bの排気口から排出される。
送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる場合(第二の状態、搬送体戻し状態)は、一方のブロア310bをオフにし、他方のブロア310aをオンにして気流を発生させればよい。
【0042】
このように、2台のブロアを用いても、送風管100内に第一の方向の空気流と第二の方向の空気流とを発生させることができる。
本例においては、2台のブロア310a、310bの吸気口同士を接続配管340により接続しているため、気密的に構成された気流路101内で空気を効率的に循環させることができる。
【0043】
〔送風制御に係る変形実施形態2〕
図10は、送風制御ユニットの第二の変形例を示す図である。
送風制御ユニット300Cは、送風管100の一端部100aと他端部100bとに夫々ブロア310a、310bを備える構成であってもよい。ブロア310a、310bのオンオフ及び風量は、管理ユニット800により制御される。
送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる場合(第一の状態、紙幣の回収動作状態)は、一方のブロア310bをオンにして気流を発生させ、他方のブロア310aをオフにする。ブロア310bは吸気口から外部エアを内部に取り込んで送出することで、送風管100内に矢印B方向の気流を発生させる。また、この気流はブロア310aの排気口からブロア310a内に取り込まれて吸気口から排出される。
送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる場合(第二の状態、搬送体戻し状態)は、一方のブロア310bをオフにして、他方のブロア310aをオンにして気流を発生させればよい。
本例においては、気流路101を循環路とするための配管が不要となるため、構成が簡略化される。
【0044】
B.第2の本発明に係る紙葉搬送システム
<<搬送体(紙幣回収シャトル)>>
図11(a)(b)(c)及び(d)は回収部材(回収爪)が開放した状態にある搬送体500の外観斜視図、正面図、平面図、及び(a)のA-A断面図であり、図12(a)及び(b)は回収部材(回収爪)が閉じた状態にある搬送体500の外観斜視図、及び平面図である。図13は搬送管400と搬送体500との位置関係を示す一部断面図である。
【0045】
図11乃至図13に示した搬送体500は、搬送ベース510と回収部材544の構成が図6に示した搬送体とは若干異なる。
即ち、搬送ベース510は、複数の分割片520をヒンジ部521を介して上下左右方向へ(或いは、斜め方向へも)変位自在に連結すると共に、図11(d)中に示す各分割片内の内部空間520a内に搬送体側磁石(搬送体側磁性体)523を配置した構成を有する。また、各分割片520の両側面には、回転自在なローラ525を配置することにより搬送管400内の移動をスムーズにしている。また、支柱部材541の上部には搬送管内壁との間の抵抗を低減するためのローラ545が回転自在に配置されている。
紙幣回収保持部(移載手段)540は、紙幣Pを、紙幣Pの長手方向が搬送管400の長手方向と並行になるように、且つ起立した姿勢で保持する。横長、且つ起立状態にある紙幣Pの下側の長辺は搬送ベース510(各分割片520)の上面(平坦面)によって支持される。紙幣の後端縁(一方の短辺)は支柱部材541、及び回収部材544によって支持される。
【0046】
各分割片520には、その幅方向両端縁に紙幣の脱落を防ぐ突条520bが設けられているが、突条520bの内側に位置する領域520cは平坦面となっており、紙幣の下側長辺を安定して支持できるようになっている。また、各分割片520の内側の領域520cは長手方向に連通しているため、紙幣は複数の分割片の内側領域520cに跨がって載置されることができる。
搬送ベース510上に立設された紙幣回収保持部540は、搬送管400の長手方向の島端側(金庫ユニット700に対して遠位端側)の端部に、送風管100から離間する方向に起立した支柱部材541と、支柱部材541から幅方向に平面視で翼状(鋭角状、或いは鈍角状)に突出し(拡開し)、且つ支柱部材541側の軸支部541aによって横方向へ開閉自在に軸支された2つの回収爪544から成る回収部材544を備える。図示した軸支部541aは支柱部材541と並行、即ち垂直な姿勢であるため、軸支部回りに回動する回収爪544は水平方向へ開閉する。なお、回収爪の回動方向はこれ以外の方向であってもよい。
【0047】
回収部材544は、回収部材が上下二対ある図6の構成例とは異なり、支柱部材541の所定の高さ位置に一対配置されている。回収部材544を構成する2つの回収爪544は、図11中に示した拡開状態が最大開放角度にあり、これ以上は開放方向へ回動できない一方で、拡開状態から閉じる方向へは回動することができる。図12は2つの回収爪544が最小開放角度にある状態(閉止状態)を示している。また、各回収爪544はその軸支部541aに設けたバネ(弾性部材)541bにより開放する方向へ常時弾性付勢されている。搬送体500が搬送路401上を金庫ユニット700へ向かう前進方向Pへ移動する際には各回収爪544はバネ541bにより拡開した姿勢を維持するため、紙幣が待機する所定の待機部450(図13)内に起立状態で停止している紙幣の後端縁を回収爪により引っ掛けて待機部内を前進方向Pへ移動させつつ搬送ベース510上に移載することができる。搬送ベース510が搬送路401内を金庫ユニット700へ向けて前進方向Pへ移動する過程で回収爪544が拡開した姿勢を維持できるように、搬送管400の両内壁であって各回収爪が通過する箇所には、回収爪用通路としての凹所405(図13)が形成されている。各凹所405は、各待機部450内においては各回収爪が各待機部内の紙幣の後端縁に接触できるようにレイアウトされている。なお、各回収爪544は独立して開閉動作するように構成するのが好ましく、その場合には一つのコイルバネ(或いはトーションバネ)により各回収爪を個別に回動させるように構成しても良いし、バネ541bを回収爪毎に設けるようにしてもよい。
【0048】
図11に示した拡開状態にある各回収爪544は、軸支部541aにより回動自在に軸支された内側の基端片544aと、基端片544aから搬送体の幅方向外側に伸びる中間片544bと、中間片544bから斜め前進方向へ屈曲、或いは湾曲して突出した端部片544cと、を備えている。回収爪544が待機部450内を通過する際には、主として中間片544b、及び端部片544cが待機部450内に進入し、待機紙幣の後端縁に接触しながら紙幣全体を前進方向へ押し出す。端部片544cは中間片544bの端部から斜めに突出しているため、中間片544bと接した紙幣後端縁が中間片の面に沿って幅方向外側へ位置ズレしようとしても端部片544cがこれを確実に阻止することができる。待機紙幣が搬送ベース510上に移載した後は、端部片544cは積載した紙幣が幅方向に位置ズレしたり、落下することを防止する。
図11のように各回収爪544が拡開した姿勢において、中間片544bが搬送路401の幅方向と並行か、或いは前進方向Pへ向けて傾斜した姿勢となるように構成することにより、中間片が待機部内の紙幣後端縁と接触した際にこれを確実に係止して前進方向へ押圧することを可能にする。
【0049】
このように、回収部材544は、支柱部材により略水平方向へ開閉自在に軸支された一対の回収爪を備え、各回収爪は幅方向外側に突出した拡開姿勢と、幅方向内側に退避した退避姿勢との間を開閉し、且つ弾性部材により拡開姿勢に付勢されている。
各回収爪544は、以上のような構成を有しているため、搬送路401を間に挟んで交互に異なった長手方向位置にある各待機部内の紙幣を回収する際に、搬送体を直線移動させるだけで各回収爪により確実に回収し、搬送体の幅方向中央部に紙幣を集めることが可能となる。
なお、搬送体500が搬送路内を退避方向Rへ移動する場合には、回収爪が待機部内の紙幣と干渉するが、紙幣と接触して移動し続ける過程で弾性部材の付勢に抗して当該回収爪は閉じる方向へ姿勢変更する。このため、待機紙幣を損傷する等の影響を与えることなく、スムーズに戻り方向へ移動し続けることができる。
搬送ベース510上に既に紙幣が起立状態で積載されている状態で、回収してきた後続の紙幣を既積載紙幣の一面(一側面)に対して後続紙幣の一面を重ねて順次積載する方式を採るため、後続紙幣の先端縁が既積載紙幣の後端縁に突き当たって積載不能に陥ることがない。
【0050】
C.第3の本発明に係る紙葉(紙幣)搬送システムにおける配管の配置構造
<紙幣搬送システムの基本構造>
次に、第3の本発明に係る紙幣搬送システム10(紙幣搬送装置C)における搬送管400(搬送路401)の配置構造、及びこれを実現する各部の構造について説明する。
図14は、紙幣搬送装置Cにおける送風管及び搬送管の配置構造の一例を示す斜視図である。図14において、矢印x、x′は共に搬送体の移動方向(紙幣の搬送方向)を示しており、矢印xは金庫ユニットへ向かう往路であり、矢印x′は金庫ユニットから離間する復路である。
なお、以下においては、第1及び第2の本発明に係る紙幣搬送システムに係る各図面、及び説明を併せて参照し、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0051】
第3の本発明に係る紙幣搬送システム10(紙幣搬送装置C)は、図3図5等に示したブロア(気流発生装置)310、及びブロアが発生した気流の流路を内部に形成する送風管100(送風制御ユニット300)と、送風管内を流れる気流を受けて送風管内を走行する移動体200(図4,20)と、少なくとも一部が送風管に沿って送風管に隣接配置された搬送管(搬送体経路管)400と、紙幣(搬送対象)を所定の姿勢で保持可能に構成されて搬送管内を走行する搬送体500(図4,19)と、を備える。
【0052】
図4に示すように移動体200は移動体側磁石213を備え、搬送体500は搬送体側磁石523を備える。移動体側磁石(移動体側磁性体)213と搬送体側磁石(搬送体側磁性体)523が近接位置関係にあるときに移動体側磁石と搬送体側磁石との間に作用する磁力に基づく反発力により、移動体200の移動に連動して(同期して、或いは追従して)搬送体500を移動させる構成を備える。
【0053】
<<搬送管の構成>>
内部に搬送路(搬送体経路)401を形成する搬送管400は、複数の搬送管体ユニット415(415A~415D)を、それらの長手方向端部間を直列に直接連結することにより構成されている。
搬送管体ユニット(直線搬送管体ユニット)415Aは、所定の搬送平面に沿って直線状に伸びる直線(ストレート)形状の搬送路401(401A)を形成する。ここで搬送平面とは平坦な仮想面であり、図18、及び図19に示す平坦状の底面411(411A)と並行して伸びる平面である。なお、重力方向と直交する水平面に対する搬送平面の傾斜角度は、管体ユニットの傾斜角度に応じた値を取る。
搬送管体ユニット(第一湾曲搬送管体ユニット)415Bは、送風管100側(下側)に凸状に膨出した第一の湾曲形状の搬送路401(401B)を形成する。搬送管体ユニット415Bは、送風管体ユニット150Bに対してイン側(気流路101Bに対して内径側位置)に配置される。搬送管体ユニット415Bは、例えば水平な搬送路と、水平面に対して上方向へ傾斜した搬送路とを接続する場合に使用される。
搬送管体ユニット(第二湾曲搬送管体ユニット)415Cは、送風管100とは反対の側(上側)に凸状に膨出した第二の湾曲形状の搬送路401(401C)を形成する。搬送管体ユニット415Cは、送風管体ユニット150Cに対してアウト側(気流路101Cに対して外径側位置)に配置される。搬送管体ユニット415Cは、例えば水平な搬送路と、水平面に対して下方向へ傾斜した搬送路とを接続する場合に使用される。
搬送管体ユニット415D(旋回搬送管体ユニット)は、所定の搬送平面に沿って湾曲して伸びる湾曲形状の搬送路401(401D)を形成する。搬送管体ユニット415Dは、平面視(上面視)で横方向に(水平方向へ)湾曲した搬送路401Dを形成する。搬送管体ユニット415Dの両壁面は側方に、且つ同方向に湾曲(膨出)している。一つの搬送管体ユニット415Dは、搬送体500を搬送平面内で所定の角度分(例えば90度分)、旋回走行させる。
【0054】
紙幣搬送システム10においては、搬送管体ユニット415A~415Dから適宜選択された一の搬送管体ユニットの終端部に、これと同一形状の又は異なる形状の他の搬送管体ユニットの始端部を順次直列に連結することにより、様々な形状(レイアウト)の搬送経路を形成する。図示する例は、螺旋状に上昇する(又は下降する)搬送路を形成する搬送管400の例を示す。
【0055】
<<送風管の構成>>
内部に気流路101を形成する送風管100は、複数の送風管体ユニット150(150A~150D)を、それらの長手方向端部間を直列に直接連結することにより構成されている。
送風管体ユニット(直線送風管体ユニット)150Aは、所定の搬送平面に沿って直線状に伸びる直線(ストレート)形状の気流路101(101A)を形成する。
送風管体ユニット(第一湾曲送風管体ユニット)150Bは、搬送管400とは反対の側(下側)に凸状に膨出した第一の湾曲形状の気流路101(101B)を形成する。送風管体ユニット150Bは、搬送管体ユニット415Bの湾曲形状に沿って湾曲して、搬送管体ユニット415Bに対してアウト側(搬送路401Bに対して外径側位置)に配置される。送風管体ユニット150Bは、例えば水平な気流路と、水平面に対して上方向へ傾斜した気流路とを接続する場合に使用される。
送風管体ユニット(第二湾曲送風管体ユニット)150Cは、搬送管400側(上側)に凸状に膨出した第二の湾曲形状の気流路101(101C)を形成する。送風管体ユニット150Cは、搬送管体ユニット415Cの湾曲形状に沿って湾曲して、搬送管体ユニット415Cに対してイン側(搬送路401Cに対して内径側位置)に配置される。送風管体ユニット150Cは、例えば水平な気流路と、水平面に対して下方向へ傾斜した気流路とを接続する場合に使用される。
送風管体ユニット150D(旋回送風管体ユニット)は、所定の搬送平面に沿って湾曲して伸びる湾曲形状の気流路101(101D)を形成する。送風管体ユニット150Dは、平面視(上面視)で横方向に(水平方向へ)湾曲した気流路101Dを形成する。送風管100の両壁面は側方に、且つ同方向に湾曲している。一つの送風管体ユニット150Dは、移動体200を搬送平面内で所定の角度分(例えば90度分)、旋回走行させる。
【0056】
紙幣搬送システム10においては、送風管体ユニット150A~150Dから適宜選択された一の送風管体ユニットの終端部に、これと同一形状の又は異なる形状の他の送風管体ユニットの始端部を順次直列に連結することにより、様々な形状(レイアウト)の気流路を形成する。図示する例は、螺旋状に上昇する(又は下降する)気流路を形成した送風管100の例を示す。
【0057】
図3に示すように、移動経路部分111を形成する送風管100(第一送風管110)は、搬送管400(搬送路401)の下方に、搬送管400に対して平行且つ近接して配置される。このため、各送風管体ユニット150の長さは搬送管体ユニット415の長さと同等に設定されている。
また、搬送管体ユニット415A~415Dと、これに対応する送風管体ユニット150A~150Dとが互いに対向する側面(底面又は上面)の形状は、両者の間隔が一定となるように設定されている。以下では、対となる搬送管体ユニット415A~415Dと送風管体ユニット150A~150Dとの夫々の組を管体ユニット対と称する。
【0058】
<各管体ユニットの基本構成>
搬送管体ユニットと送風管体ユニットの基本的構成について、直線形状の各管体ユニット415A,150Aの例により説明する。
図15は、直線形状の管体ユニット対の斜視図である。図16(a)、(b)は、図15に示す管体ユニット対の端部における分解斜視図である。なお、図16(a)は各管体ユニットの始端部側を示し、図16(b)は各管体ユニットの終端部側を示す。図中、矢印xは金庫ユニットへ向かう往路であり、矢印x′は金庫ユニットから離間する復路である。
【0059】
<<搬送管体ユニットの基本構成>>
図15に示すように搬送管体ユニット415(415A)は、搬送方向の中間部に中間管体420(420A)を備え、搬送方向の両端部に、他の搬送管体ユニット415と連結する端部ユニット440A,440Bを備える。
【0060】
図16(a)に示すように、メス型の端部ユニット440Aは、中間管体420の内部空間ES1と連通する内部空間ES2を有する樹脂性の端部管体441Aと、端部管体441Aの両側部に配置されて他の搬送管体ユニット415の端部ユニット440Bと連結する連結金具443Aとを備える。
図16(b)に示すように、オス型の端部ユニット440Bは、中間管体420の内部空間ES1と連通する内部空間ES3を有する樹脂性の端部管体441Bと、端部管体441Bの両側部に配置されて他の搬送管体ユニット415の端部ユニット440Aと連結する連結金具443Bとを備える。
【0061】
搬送管体ユニット415Aの内部空間ES(図15)は、中間管体420の内部空間ES1と、端部管体441A,441Bの内部空間ES2,ES3とにより構成される。
中間管体420の内部空間ES1は、ベース搬送路402、紙幣搬送路403、凹所405を備える。端部管体441Aの内部空間ES2は、ベース搬送路402′、紙幣搬送路403′、凹所405′を備える。端部管体441Bの内部空間ES3は、ベース搬送路402″、紙幣搬送路403″、凹所405″を備える。
内部空間ES1~ES3は、搬送ベース510、支柱部材541(紙幣)、回収爪544、及び紙幣をスムーズに通過させるように寸法設定される(図13参照)。
【0062】
連結金具443Bの上下各端部(端部ユニット440Bの外周部の四隅)には、嵌合突起444Bがx方向に突設されている。連結金具443Aの上下各端部(端部ユニット440Aの外周部の四隅)には、嵌合突起444Bを受け容れる受孔444Aがx方向に貫通形成されている。
また、端部管体441Bの紙幣搬送路403″の両側部からは、薄板状の位置決め片442Bがx方向に突出している。位置決め片442Bは、先端方向に厚みが漸減する楔形状である。端部管体441Aの紙幣搬送路403′の両側部(両内壁面)には、位置決め片442Bを受け容れて嵌合させる凹所442Aが設けられている。
2つの搬送管体ユニット415,415を連結する際には、一方の搬送管体ユニットの連結金具443Bの嵌合突起444Bを、他方の搬送管体ユニットの連結金具443Aの受孔444A内に嵌合させ、端部管体441Bの位置決め片442Bを端部管体441Aの凹所442Aに嵌合させる。これにより、内部空間ES2,ES3を整合させるように2つの搬送管体ユニットが容易に位置決めされると共に、両者をネジ止め等により固定できる。
【0063】
各搬送管体ユニット415A~415Dが夫々備える端部ユニット440A,440Bの形状は同一である。従って、端部ユニット440A,440Bを利用して、搬送経路が同一形状又は異なる形状の搬送管体ユニット415,415を直接に、且つ直列に連結できる。
なお、搬送管体ユニット415同士を連結する各端部ユニット440A,440Bの構造は一例に過ぎず、どのような連結構造を採ってもよい。
【0064】
<<送風管体ユニットの基本構成>>
図15に示すように送風管体ユニット150(150A)は、送風方向の中間部に中間管体155(155A)を備え、搬送方向の両端部に、他の送風管体ユニット150と連結する連結金具160A,160Bを備える。
【0065】
図16(b)に示すように、オス型の連結金具160Bは、長手方向の一端部に配置されて中間管体155の長手方向の端部の外周面に嵌合する嵌合筒161Bと、嵌合筒161Bの他端部に固定されたフランジ162Bと、フランジ162Bの他端面から外方に突出した連結筒163Bとが一体的化された構成を備える。連結金具160Bは中間管体155の内部空間と連通する内部空間を有する。連結筒163Bの外周面には、シールリング164が配置される。本実施形態では、中間管体155の端部と連結金具160Bの嵌合筒161Bとが接続した接続部の全体を覆うように管状の気密部材165を配置する。
図16(a)に示すように、メス型の連結金具160Aは、長手方向の一端部に配置されて中間管体155の長手方向の端部の外周面に嵌合する嵌合筒161Aと、嵌合筒161Aの他端部に固定されたフランジ162Aとが一体的化された構成を備える。連結金具160Bは中間管体155の内部空間と連通する内部空間を有する。フランジ162Aの内周面は、連結筒163Bを受け容れて嵌合させる形状に設定されている。また、本実施形態では、中間管体155の端部と連結金具160Aの嵌合筒161Aとが接続した接続部の全体を覆うように管状の気密部材165を配置する。
【0066】
2つの送風管体ユニット150,150を連結する際には、一方の送風管体ユニットの連結金具160Bの連結筒163Bを、他方の送風管体ユニットの連結金具160Aのフランジ162A内に嵌合し、両フランジ162A,162Bをネジ止め固定する。これにより、2つの送風管体ユニット150,150の内部空間同士が整合状態で連通するように位置決めされた状態で両送風管体ユニットを接続できる。また、シールリング164が両フランジ162A,162Bの対向する端面に密着して気密性を確保する。
【0067】
各送風管体ユニット150A~150が夫々備える連結金具160A,160Bの形状は同一である。従って、連結金具160A,160Bを利用して、気流路が同一形状又は異なる形状の送風管体ユニット150,150を直接に、且つ直列に連結できる。
なお、送風管体ユニット150同士を連結する各連結金具160A,160Bの構造は一例に過ぎず、どのような連結構造を採ってもよい。
【0068】
<湾曲管体ユニット>
図17は、下側に膨出した管体ユニット415B,150Bの対を示す斜視図である。図18は、図17に示す管体ユニット対を含む搬送路及び気流路の内部状態を示す縦断面図である。図19は、図18に示す搬送路及び気流路における各部材の位置関係を説明する模式図である。図20は、図18中に図示した移動体200の外観斜視図である。なお、図18及び図19は、下側に膨出した搬送管体ユニット415Bの長手方向の両端部に直線形状の搬送管体ユニット415A,415Aを夫々連結し、下側に膨出した送風管体ユニット150Bの長手方向の両端部に直線形状の送風管体ユニット150A,150Aを夫々連結した状態を示す。また、図18は、搬送される紙幣面に沿った切断面における断面図である。
【0069】
図18及び図19に示すように、搬送管400は、搬送体500のローラ525(図11)が接触しつつ走行する底面411(411A,411B)と、底面411と対向する天面413(413A,413B)とを備える。なお、底面411は、送風管100側に位置する面である。本実施形態は、上下方向に湾曲した搬送管体ユニット415Bの底面411Bと天面413Bとの距離H(上下方向における間隔)が、搬送方向(x方向)の各端部から中間部に向けて増大するように構成されている点に特徴がある。
【0070】
搬送管体ユニット415Bの底面411Bは送風管体ユニット150Bと一定の距離を保持できるように所定の曲率で湾曲している。ここで図11乃至図13に示したように、搬送体500の搬送ベース510は、複数の分割片(分割体)520…が走行方向に沿って順次直列に結合された構成を有する。隣接する分割片520…は、ヒンジ部521を介して、所定の範囲内で互いに上下左右方向へ(或いは、斜め方向へも)角度変位自在に結合されている。このため、搬送ベース510の各分割片520…は、各搬送管体ユニット415内を走行する過程で底面411の形状に追従して互いの位置関係を変化させる。
なお、送風管100の長手方向と直交する横断面における空間形状は、長手方向の全域において概ね一定である。
【0071】
ここで、図18に示す移動体200は、図4図7図8等に示した移動体とは形状が異なる。以下、図18に示す移動体200について図20に基づいて説明する。
移動体200は、2つの分割片(分割体)210と、各分割片210間を連結するシャフト215とを備える。シャフト215の両端部に設けた図示しないヒンジ部により各分割片は所定の範囲内で上下左右方向へ(或いは、斜め方向へも)、互いに角度を自在に変位させる。各分割片210…は、送風管100(送風管体ユニット150B~150D)内を走行する過程で送風管の湾曲形状に追従して互いの位置関係を変化させる。
また、各分割片210の上面には移動体側磁石213が配置されている。各分割片の四隅には、送風管100の左右側面に接触して回転するローラ216a、及び、送風管100の上下面に接触して回転するローラ216bが配置されて送風管100内をスムーズに移動できるように構成されている。
【0072】
上述の通り、搬送路401の底面411と送風管100とは一定の距離を保持する。搬送体500の搬送ベース510は搬送管400内を走行する過程で底面411の形状に従って変形し、移動体200は送風管100内を走行する過程で送風管100の形状に従って変形する。なお、図13に示すように、紙幣搬送路403は搬送ベース510よりも小幅に設定され、搬送ベースがベース搬送路402から逸脱しないように構成されている。このため、搬送体500の走行に必要な磁力を、送風管体ユニット150内を移動する移動体側磁石213から搬送体側管体ユニット415内を移動する搬送体側磁石523(図4図19参照)に作用させることができる。
【0073】
図18図19に示すように、底面411が下方向(送風管100側)に膨出する搬送路401を有する搬送管体ユニット415Bにおいて天面413Bの形状は、搬送体500に保持された紙幣Pが天面413Bと接触(衝突又は干渉)しない形状に設定されている。即ち、底面411Bと天面413Bとの距離Hが、搬送方向の各端部から中間部に向けて増大するように構成されている。特に本例において天面413Bは、搬送方向に直線的に(平面的に)構成されており、これにより距離Hを搬送方向の各端部から中間部に向けて増大させている。
概略長方形状の紙幣Pは、2つの長辺(上端縁Pa、下端縁Pb)が搬送方向に沿って伸びるように搬送ベース510に載置される。
図19に示すように、搬送体500が搬送管体ユニット415Bを走行する際に、搬送ベース510は底面411Bの湾曲形状に追従して湾曲変形する。しかし、搬送ベース510に載置された概略長方形状の紙幣Pの各辺は湾曲できないため、搬送ベース510の上面と紙幣Pの下端縁Pbとの間には隙間Dが生ずる。即ち、紙幣Pにおいては、紙幣面(紙幣の表面自体)を平面形状から曲面形状に変形させることは容易であるが、紙幣の平面的形状を維持したまま紙幣の各辺(Pa,Pbとして示す長辺と、短辺)を湾曲変形させることは困難である。
仮に、破線で示す天面413B′のように、底面411Bと天面との距離Hが長手方向において一定となるように天面の形状を設定すると、搬送管体ユニット415Bの長手方向の中間部において天面413B′と搬送される紙幣Pの上端縁Pa(又は紙幣Pの上側の隅部)との間隔が狭くなり、紙幣が天面413B′に接触する虞がある。
本実施形態においては、実線で示す天面413Bのように、底面411Bと天面との距離が搬送方向の各端部から中間部に向けて増大するように構成して、紙幣の上端縁Paと天面413Bとの接触を防止している。特に本例では、端部ユニット440A,440Bと接続する中間管体420Bの両端部位を除く天面413Bの形状を、直線的に(平面的に)構成することにより、底面と天面との距離を搬送方向の各端部から中間部に向けて増大させている。天面413Bの形状を直線的に(平面的に)することで、天面413Bの形状を単純化している。
【0074】
なお、天面413Bが上方向に膨出する搬送管体ユニット415Cにおいても、搬送管体ユニット415Bと同様に、底面411と天面413との距離Hが搬送方向の各端部から中間部に向けて増大するように構成して、紙幣Pの上端縁Paと天面413との接触を防止するようにしてもよい。なお、図14に示す搬送管体ユニット415Cでは、底面と天面との距離Hは一定である。即ち、搬送管体ユニット415Cの内部空間の横断面形状は、長手方向に一定である。
直線状の搬送管体ユニット415Aと旋回する搬送管体ユニット415Dにおいては、底面411と天面413との距離は一定である。即ち、両搬送管体ユニットの内部空間の横断面形状は、長手方向に一定である。
【0075】
<効果>
紙幣搬送システム10においては、送風管100内を走行する移動体200の磁力により搬送体500を搬送管400内で移動体200に連動して走行させる。このため、搬送管400の底面411と送風管100との距離は、長手方向の全域において移動体側磁石213の磁力を搬送体側磁石523に及ぼしうる位置関係(例えば一定の間隔)に維持される必要がある。一方で、上下方向に湾曲した搬送管体ユニット415B,415Cにおいて、底面411と天面413との距離を長手方向に一定にすれば、搬送物が天面に接触する虞がある。本実施形態によれば、上下方向に湾曲した搬送管体ユニット415B,415Cにおいて、底面411と天面413との距離を長手方向の端部から中間部に向けて増大させることで、搬送物が天面に接触することを防止できる。特に、天面側の曲率半径がより小さくなる搬送管体ユニット415Bでは効果的である。
紙幣搬送システム10においては、直線状、下向きに凸形状、上向きに凸形状、及び搬送高さレベルを一定にしたままで所定角度旋回させる形状の各搬送路401を有する搬送管体ユニット415A~415Dの各終端部に、同一形状又は異なる形状の他の搬送管体ユニットの始端部を連結することで、様々な形状の搬送経路を形成することができる。
互いに形状が異なる搬送管体ユニット415A~415Dが夫々長手方向の端部に備える端部ユニット440A,440Bの形状を同一とすることで、一の搬送管体ユニットに対して任意の搬送管体ユニットを連結可能となる。
【0076】
〔本発明の構成、作用、効果のまとめ〕
<第一の実施態様>
本態様に係る搬送装置(紙幣搬送システム10)は、気体の流路を形成する送風管100と、送風管内を所定方向に流れる気流を受けて送風管内を走行する移動体200と、少なくとも一部が送風管に沿って送風管に隣接配置された搬送体経路(搬送路401)と、搬送対象(紙幣P)を所定の姿勢に保持可能に構成されて搬送体経路内を走行する搬送体500と、を備え、移動体は移動体側磁性体(移動体側磁石213)を備え、搬送体は搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)を備え、移動体側磁性体と搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発力により、移動体の移動に連動して搬送体を移動させる構成を備える。
本搬送装置において搬送体経路は、送風管側に位置する底面411Bが送風管側に凸状に膨出する第一の湾曲形状を有した第一湾曲搬送体経路(第一湾曲搬送管体ユニット415B)を備え、第一湾曲搬送体経路においては、搬送体に保持された搬送対象が底面と対向する天面413Bに接触しないように、底面と天面との距離Hが、搬送方向xの各端部から中間部に向けて増大するように構成されていることを特徴とする。
【0077】
ここで、搬送対象には特定の方向に湾曲変形させることが困難なものがある。そのような搬送対象として例えば紙幣は、紙幣面(紙幣の表面自体)を平面形状から曲面形状に変形させることは容易であるが、紙幣面の平面的形状を維持したまま長方形状の紙幣の各辺(長辺と短辺)を湾曲変形させることは困難である。このため、湾曲した搬送経路の中でも、特に紙幣面の平面的形状を維持することが前提とされる搬送経路は忌避される。仮に、紙幣面の平面的形状を維持した状態で紙幣を搬送する湾曲した搬送経路は、搬送経路の曲率半径を大きく取る必要があり、搬送経路を小型化することは困難である。
本態様によれば、第一湾曲搬送体経路中の底面と天面との距離Hを、搬送方向の各端部から中間部に向けて増大させて、搬送対象が天面に接触しないようにしたので、湾曲した経路を小型化できる。
【0078】
<第二の実施態様>
本態様に係る搬送装置(紙幣搬送システム10)において、搬送体500は、走行方向に沿って順次直列に結合され、所定の範囲内で互いに角度変位可能となるように結合された複数の分割体(分割片520)を有する搬送ベース510を備える。
搬送ベースは搬送体経路(搬送路401)の底面411の湾曲形状に追従して変形する一方で、搬送ベースに保持される搬送対象(紙幣P)は第一湾曲搬送体経路(第一湾曲搬送管体ユニット415B)における搬送ベースの湾曲変形に追従して湾曲することが困難な物体であることを特徴とする。
【0079】
本態様に係る搬送装置(紙幣搬送システム10)は、移動体側磁性体(移動体側磁石213)と搬送体側磁性体(搬送体側磁性体523)が近接位置関係にあるときに移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、移動体200の移動に連動して搬送体を移動させる構成を備える。このため、移動体側磁性体と搬送体側磁性体とは磁力を作用させうる一定の距離を保って走行する必要がある。本態様において搬送ベースは、搬送体経路の内面のうち送風管側に位置する底面の湾曲形状に追従して湾曲変形するように構成されている。
一方で、搬送体が保持する搬送対象は、必ずしも搬送ベースの変形形状(又は底面形状)に追従して湾曲変形可能なものである必要はない。
上述のように、搬送装置においては、第一湾曲搬送体経路中の底面と天面との距離Hを、搬送方向の各端部から中間部に向けて増大させて、変形困難な搬送対象が天面に接触することを防止している。本態様によれば、紙幣等のように、特定の方向に湾曲変形させることが困難な搬送対象を、湾曲変形可能な搬送ベースに乗せて搬送する場合であっても、第一湾曲搬送体経路を小型化できる。
【0080】
<第三の実施態様>
本態様に係る搬送装置(紙幣搬送システム10)において、搬送対象は概略長方形状の紙葉類(紙幣P)であり、該紙葉類は、2つの長辺が搬送方向xに沿って伸びると共に、長辺の一方が底面411側に位置し、長辺の他方(上端縁Pa)が天面413側に位置するように、搬送ベース510に保持されることを特徴とする。
【0081】
本態様における搬送対象は長方形状の紙葉類である。紙葉類は下端縁(長辺)が搬送ベースに接するように保持される。搬送体経路は、底面が送風管側に(下向きに)凸状に膨出した形状を有し、搬送ベースはこの形状に追従して湾曲変形するが、紙葉類は同方向には変形困難である。このため、搬送体が第一湾曲搬送体経路(第一湾曲搬送管体ユニット415B)を走行する際に、紙葉類の下端縁と搬送ベースの上面との間に隙間ができ、紙葉類の一部が搬送ベースから浮き上がった状態となる。仮に搬送体経路の底面と天面との距離を搬送方向に一定としたならば、紙葉類の上端縁が天面と接触する虞がある。
本態様によれば、第一湾曲搬送体経路中の底面と天面との距離Hを、搬送方向の各端部から中間部に向けて増大させて、搬送対象である紙葉類の上端縁が天面に接触しないようにしたので、湾曲した経路を小型化できる。
【0082】
<第四の実施態様>
本態様に係る搬送装置(紙幣搬送システム10)においては、第一湾曲搬送体経路中(第一湾曲搬送管体ユニット415B中)、天面413Bを搬送方向xに直線的に構成することにより、底面411Bと天面との距離Hを搬送方向の各端部から中間部に向けて増大させることを特徴とする。
本態様によれば、天面の形状が直線的(平面的)で単純化されているため、第一湾曲搬送体経路の形状設計が容易となる。
【0083】
<第五の実施態様>
本態様に係る搬送装置(紙幣搬送システム10)において、搬送体経路(搬送路401)は、所定の搬送平面に沿って直線状に伸びる直線搬送体経路を形成する直線搬送管体ユニット415Aと、第一湾曲搬送体経路を形成する第一湾曲搬送管体ユニット415Bと、送風管100側に位置する底面411が、送風管とは反対の側に凸状に膨出する第二の湾曲形状を有した第二湾曲搬送体経路を形成する第二湾曲搬送管体ユニット415Cと、
上面視で横方向へ凸状に膨出する湾曲形状を有し、所定の搬送平面に沿って湾曲して伸びる旋回搬送体経路を形成する旋回搬送管体ユニット415Dと、から選択された一の搬送管体ユニットの後端部に、これと同一形状の又は異なる形状の他の搬送管体ユニットの始端部を順次連結した構成を有し、連結される複数の搬送管体ユニットには少なくとも第一湾曲搬送管体ユニットを含むことを特徴とする。
【0084】
上記4種類の搬送管体ユニットを組み合わせることで、様々な形状(レイアウト)の搬送経路を形成することが可能となる。例えば、各搬送管体ユニットを、第一湾曲搬送管体ユニット、直線搬送管体ユニット、第二湾曲搬送体経路、旋回搬送管体ユニットの順で連結していけば、螺旋状の搬送体経路を形成することができ、搬送対象を昇降させる搬送経路を省スペースで作成可能となる。
【符号の説明】
【0085】
矢印A,A1,A2…(循環方向)、矢印B,B1,B2…(紙幣回収方向)、矢印C,C1,C2…(搬送体戻し方向)、C…紙幣搬送装置、ES,ES`,ES”、ES1~ES3…内部空間、L,L1,L2…島設備、P,P1,P2…紙幣(紙葉)、Pa…上端縁、Pb…下端縁矢印P…前進方向、矢印R…退避方向、x、x`…往路、復路、1…遊技機、2…台間機、10…紙幣搬送システム、100…送風管、100a…一端部、100b…他端部、101…気流路、110…第一送風管、111…移動経路部分、120…第二送風管、150…送風管体ユニット、150A…直線送風管体ユニット、150B…第一湾曲送風管体ユニット、150C…第二湾曲送風管体ユニット、150D…旋回搬送管体ユニット、155,155A,155B…中間管体、160A,160B…連結金具、161A,161B…嵌合筒、162A,162B…フランジ、163B…連結筒、164…シールリング、165…気密部材、200…移動体、210…分割片(分割体)、211…ヒンジ部、213…移動体側磁石(移動体側磁性体)215…シャフト、216a,216b…ローラ、300,300B,300C…送風制御ユニット、310,310a,310b…ブロア(気流発生装置)、320…切替ユニット、321…ケーシング、323…流路、323a~323d…第一~第四流路、325…切替弁、330…第一循環配管、330a…一端部、330b…他端部、331…排気管、333…吸気管、340…接続配管、400…搬送管(搬送体経路管)、401…搬送路(搬送体経路)、402…ベース搬送路、403…紙幣搬送路、405…凹所、411,411A,411B…底面、413,413A,413B…天面、415…搬送管体ユニット、415A…直線搬送管体ユニット、415B…第一湾曲搬送管体ユニット、415C…第二湾曲搬送管体ユニット、415D…旋回搬送管体ユニット、420,420B…中間管体、440A,440B…端部ユニット、441A,441B…端部管体、442A…凹所、442B…位置決め片、443A,443B…連結金具、444A…受孔、444B…嵌合突起、450…待機部、500…搬送体、510…搬送ベース、520…分割片(分割体)、520a…内部空間、520b…突条、520c…内側領域、521…ヒンジ部、523…搬送体側磁石、525…ローラ、540…紙幣回収保持部、541…支柱部材、541a…軸支部、541b…バネ、544…回収爪(回収部材)、544a…基端片、544b…中間片、544c…端部片、545…ローラ、600…受入ユニット、700…金庫ユニット、800…管理ユニット、801…筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20