(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098734
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20240717BHJP
A01C 11/02 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01C11/02 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002395
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠太
(72)【発明者】
【氏名】荒井 毅
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠治
【テーマコード(参考)】
2B043
2B062
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB19
2B043BA02
2B043BA07
2B043BA09
2B043BB06
2B043DA04
2B043DA17
2B043DC03
2B043EA32
2B043EA37
2B043EB05
2B043EB18
2B043EC12
2B043EC15
2B043ED03
2B043ED12
2B043EE01
2B043EE05
2B043EE06
2B062AA20
2B062AB01
2B062AB10
2B062BA51
2B062CB07
(57)【要約】
【課題】従来、機体の前部、後部及び側部に障害物センサを設けて自律走行して田植作業を行なう田植機がある。然しながら、機体の前部、後部及び側部に多数の障害物センサを設けた煩雑な構成で植付装置の状態監視もできないものであった。そこで、簡潔な構成で機体周辺の状況及び植付装置の状態監視が行なえる苗移植機を提供する。
【解決手段】操舵可能な車輪9,10を装備して前進及び後進で植付可能な植付装置8を装備し、機体の360度全周囲を撮影するカメラ13を設け、該カメラ13にて撮影した映像を遠隔監視デバイス2,3に送信する通信装置6を設けた苗移植機。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵可能な車輪(9,10)を装備して前進及び後進で植付可能な植付装置(8)を装備し、機体の360度全周囲を撮影するカメラ(13)を設け、該カメラ(13)にて撮影した映像を遠隔監視デバイス(2,3)に送信する通信装置(6)を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
操舵可能な左右駆動前輪(9,9)及び左右駆動後輪(10,10)を装備し、機体の前後に前後植付装置(8,8)を装備し、カメラ(13)を折畳み自在の支柱(18)に設けたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
支柱(18)が前方及び後方に折り畳んだ時にカメラ(13)が前後植付装置(8,8)の近くで撮影することを特徴とする請求項2に記載の苗移植機。
【請求項4】
支柱(18)を上下方向に伸ばした状態でも折り畳んだ状態でもカメラ(13)が機体中心または機体中心付近に位置して撮影することを特徴とする請求項2に記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に苗を植付ける苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体の前部、後部及び側部に障害物センサを設けて自律走行して田植作業を行なう田植機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機体の前部、後部及び側部に多数の障害物センサを設けた煩雑な構成で植付装置の状態監視もできないものであった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡潔な構成で機体周辺の状況及び植付装置の状態監視が行なえる苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、操舵可能な車輪9,10を装備して前進及び後進で植付可能な植付装置8を装備し、機体の360度全周囲を撮影するカメラ13を設け、該カメラ13にて撮影した映像を遠隔監視デバイス2,3に送信する通信装置6を設けた苗移植機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、操舵可能な車輪9,10を装備して前進及び後進で植付可能な植付装置8を装備し、機体の360度全周囲を撮影するカメラ13を設け、該カメラ13にて撮影した映像を遠隔監視デバイス2,3に送信する通信装置6を設けたので、前進及び後進で植付作業が行え、遠隔監視デバイス2,3を見ている管理者や作業者が周囲の障害物の状況や植付装置8の状態監視を簡潔な構成で適切に行える。
【0008】
請求項2記載の発明は、操舵可能な左右駆動前輪9,9及び左右駆動後輪10,10を装備し、機体の前後に前後植付装置8,8を装備し、カメラ13を折畳み自在の支柱18に設けた請求項1に記載の苗移植機である。
【0009】
請求項3記載の発明は、支柱18が前方及び後方に折り畳んだ時にカメラ13が前後植付装置8,8の近くで撮影する請求項2に記載の苗移植機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、支柱18を上下方向に伸ばした状態でも折り畳んだ状態でもカメラ13が機体中心または機体中心付近に位置して撮影する請求項2に記載の苗移植機である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態における苗移植機の苗移植管理システムの構成を示す模式図である
【
図2】同苗移植機の田植機の作用説明用側面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態を示す乗用型田植機の平面図である。
【
図9】(A)、(B)、(C)他の実施形態を示す要部の作用説明用斜視図である。
【
図10】他の実施形態を示す要部の作用説明用側断面図である。
【
図11】他の実施形態を示す除草機の作用説明用斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<苗移植管理システム>
図1は、苗移植機の実施形態である自律走行式の田植機1が圃場F内で苗植付作業を行なう苗移植管理システムの構成を示す模式図である。苗移植管理システムは、管理サーバ2の地図データベースにユーザが所有する圃場Fを登録し苗移植作業を管理するシステムである。
【0013】
苗移植管理システムは、地上基地Bに設置した地図データベースと植付け管理データベース等の各種データベースを含む制御部と無線通信装置を装備した管理サーバ2(圃場F近くの畦や道路Rに居る作業者が持っているタブレット等の携帯端末3を管理サーバとして用いても良い)と、GPS4と制御部5と無線通信装置6を搭載した自律走行式の6条植え田植機1(8条植え田植機等の如何なる自律走行式の田植機でも良い)からなる。
【0014】
管理サーバ2と6条植え田植機1と携帯端末3は、無線通信装置にて相互通信可能である。
【0015】
管理サーバ2は、地図データベースに登録されたユーザが所有する圃場Fを自律走行式の6条植え田植機1が田植作業をする経路を算出して、地図データベースに経路を付加し、自律走行式の6条植え田植機1に該経路を付加した地図データを送信する。
【0016】
自律走行式の6条植え田植機1は、該管理サーバ2から送信された経路が付加された地図データを制御部5に記憶し、圃場FにてGPS4により測位衛星7からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら該経路に沿って自律走行して自動的に田植作業をする。
【0017】
なお、圃場F内で田植機1が自律走行して田植作業をする経路は、圃場Fの一側の畦や道路Rから他側の畦や道路Rに向けて真っすぐ前進して苗植付け作業をし、他側の畦や道路R近くに到達すると次工程の植付け作業を行なう経路に横方向に移動して一側の畦や道路Rに向けて真っすぐに後進して苗植付け作業をする往復工程である。
【0018】
また、作業者または管理者は、管理サーバ2または携帯端末3にて無線通信装置にて田植機1の制御部5に指令を出して田植機1を手動操作できる。
【0019】
<田植機1>
図1~
図3に基づいて、自律走行式の6条植え田植機1について以下に説明する。
【0020】
自律走行式の田植機1は、機体の前部及び後部に各々設けた6条植え前後植付装置8,8と、機体前下側に設けられた左右駆動前輪9,9と機体後下側に設けられた左右駆動後輪10,10と、機体上部に設けたバッテリ11と、駆動源である電動モータ12と、無線通信装置6と、GPS4と撮像装置であるカメラ13より構成される。
【0021】
前後植付装置8,8は、各々、機体の前部及び後部に各々前後昇降装置14,14にて昇降自在に装着され、バッテリ11の電力で作動する植付用電動モータ17が駆動する左右移動機構にて機体に固定され苗取り出し口を設けた苗受け板上を機体左右方向にマット状苗を載置して左右往復移動する苗載台15と、該苗載台15に載置したマット状苗を苗受け板の苗取り出し口から1株分づつ掻き取って圃場Fに植付ける植付用電動モータ17が駆動する植付具16にて構成される。
【0022】
そして、前後植付装置8,8は、前後対象で同じ構成であり、機体が矢印(イ)方向に前進する際に後植付装置8が圃場面まで下降して田植作業を行ない、機体が矢印(ロ)方向に後進する際に前植付装置8が圃場面まで下降して田植作業を行なう。
【0023】
左右駆動前輪9,9及び左右駆動後輪10,10は、各々バッテリ11の電力で作動する電動モータ12で駆動され、電動モータ12を正転させて左右駆動前輪9,9及び左右駆動後輪10,10を正転して前進し、電動モータ12を逆転させて左右駆動前輪9,9及び左右駆動後輪10,10を逆転して後進する。
【0024】
また、左右駆動前輪9,9及び左右駆動後輪10,10は、バッテリ11の電力で作動する操舵用電動モータにて各々が操舵される4輪操舵構成となっている。
【0025】
従って、田植機1の制御部5は、田植機1を圃場FにてGPS4により測位衛星7からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら経路に沿って圃場Fの一側の畦や道路Rから他側の畦や道路Rに向けて前進させて前植付装置8を非作業位置に上昇させて後植付装置8にて苗植付け作業をし、他側の畦や道路R近くに到達すると4輪操舵して次工程の植付け作業を行なう経路に横方向に移動し、一側の畦や道路Rに向けて後進して後植付装置8を非作業位置に上昇させて前植付装置8にて苗植付け作業をする往復工程の自律走行での田植作業を行なわせる。
【0026】
カメラ13は、360度全周囲を撮影する360度カメラであり、機体中央の上部に基部が固定された折畳み自在に支柱18の上部に固定されている。
【0027】
支柱18は、管理者または作業者の操作による管理サーバ2及び携帯端末3からの指令により、制御部5が
図1に示すように上方に直立した状態と
図2に示すように折り畳んで収納した状態と
図3に示すように前方または後方に寝かせた状態に電動モータの作動で姿勢変更する。
【0028】
そして、カメラ13が撮影した映像は、無線通信装置6にて管理サーバ2及び携帯端末3に送信される。
【0029】
図1に示すように、支柱18を上方に直立した状態にすると、カメラ13は田植機1の高い上方位置となって前部から前方、後部から後方、左右側部から左右側方の機体の全周部及び全周囲を撮影する。
【0030】
従って、カメラ13が撮影した田植機1の周囲の障害物(人や動物や物体)の映像や田植機1の前後植付装置8,8の状態(苗載台15に載置されているマット状苗の残量や苗の状態や各部の不具合等)の映像を管理サーバ2または携帯端末3に無線通信装置にて送信し、管理サーバ2または携帯端末3を見ている管理者や作業者が周囲の障害物の状況や前後植付装置8,8の状態を監視でき、即座に苗補給指令や機体停止等の各種手動操作が適切に行える。
【0031】
図2に示すように、支柱18を前方または後方に寝かせた状態にすると、カメラ13が田植機1の前植付装置8または後植付装置8を近くで撮影でき、より高解像度の映像を管理サーバ2または携帯端末3に無線通信装置にて送信し、管理サーバ2または携帯端末3を見ている管理者や作業者が該前後植付装置8,8の状態をより的確に判断して各種手動操作が適切に行える。
【0032】
図3に示すように、支柱18を折り畳んで収納した状態にすると、カメラ13が田植機1から上方に突出しないので、機体をトラックに積載する時や納屋等に収納する際にコンパクトである。また、支柱18を折り畳んで収納した状態でもカメラ13は全周部及び全周囲を撮影する。
【0033】
なお、カメラ13は、支柱18を上下方向に伸ばした状態でも折り畳んで収納した状態でも機体中心または機体中心付近に位置して撮影する。
【0034】
<他の実施形態>
【0035】
(1)
図4に示すように、乗用型田植機は、走行車体100に昇降用リンク装置で苗植付装置103を装着すると共に、施肥装置104を設けている。走行車体100は、駆動輪である左右各一対の前輪106、106および後輪107、107を有する四輪駆動車両である。
【0036】
なお、乗用型田植機の前進方向に向かって左右をそれぞれ左側と右側といい、前進方向を前側、後進方向を後側という。
【0037】
図4に示すように、走行車体100は、メインフレームにミッションケース111とエンジン112が配設されており、該ミッションケース111の後部側面に油圧ポンプ113がミッションケース111と一体に組み付けられ、ミッションケース111の前部上方にフロントカバー114が突設されている。
【0038】
そして、フロントカバー114の上端部にステアリングハンドル116が設けられている。機体の上部には操縦用のフロアとなるステップフロア119が取り付けられ、エンジン112の上方部に操縦席120が設置されている。
【0039】
エンジン112は、ステップフロア119に対して上方に凸状に形成された後部カバー119aにて覆われており、後部カバー119a上に操縦席120が設置されている。なお、後部カバー119aは前部に設けた左右方向の枢支軸に枢支され、後部側が上方に回動してエンジン112のメンテナンス時に開放自在となっている。
【0040】
後部カバー119aの操縦席120右前側には、エンジン112を始動するリコイルスターターのリコイルロープ先端に設けたリコイルノブ112aが配置されている。
【0041】
ステアリングハンドル116の右側には変速レバー117が設けられ、操縦席120の右側には畦クラッチレバー118が設けられている。
【0042】
前輪106、106はミッションケース111の側方に向きを変更可能に設けた前輪支持ケースに軸支されている。また、左右後輪107、107は、左右フレームの左右両端部に取り付けた後輪伝動ケースの後輪駆動軸に設けられている。左右フレームはメインフレームの後端部に支持されている。
【0043】
エンジン112の回転動力は、駆動プーリ、伝動ベルト及び従動プーリを順次経由して静油圧式無段変速装置(以下、HSTという)131の入力軸に伝えられ、HST131の出力軸からミッションケース111内に伝えられる。
【0044】
リヤ出力軸111a、111bの後端部はミッションケース111の後方に突出し、この突出端部に前記後輪伝動ケースに伝動する左右後輪伝動軸135、135が接続されている。そして、この左右後輪伝動軸135、135により各々左右後輪107、107が駆動回転される構成となっている。
【0045】
そして、走行車体100後部に設けたPTO伝動ケースにミッションケース111から駆動軸を介して駆動力が伝達され、該PTO伝動ケースから施肥駆動機構を介して施肥装置104の各肥料繰出部に駆動力が伝達されると共に、PTO伝動軸を介して苗植付装置103に駆動力が伝達される。
【0046】
前記変速レバー117は、HST131のHSTトラニオンを作動させるHST操作レバーであり、前進位置、中立位置及び後進位置に操作される。
【0047】
変速レバー117を中立位置に操作すると、連携リンクにてHSTトラニオンを作動させてHST131の出力を中立にする(出力を停止する)。
【0048】
変速レバー117を中立位置から前進位置側に操作するほど、連携リンクにてHSTトラニオンを作動させてHST131の前進出力が増大して前進速度が速くなる。
【0049】
変速レバー117を中立位置から後進位置側に操作するほど、連携リンクにてHSTトラニオンを作動させてHST131の後進出力が増大して後進速度が速くなる。
【0050】
また、走行車体100前部に設けた車両停止操作装置としてのブレーキペダル186は、メインクラッチと左右後輪ブレーキ装置(図示せず)を共に操作することができ、ステアリングハンドル116の右下側に配置されており、このブレーキペダル186を踏み込むとメインクラッチが切れ、続いて左右後輪ブレーキがかかり、機体は停止する。
【0051】
なお、ブレーキペダル186には、踏み込み操作した状態を維持する一般的なペダルロック装置が設けられている。
【0052】
そして、ブレーキペダル186とリンク機構186bにて連繋された操作レバー186aが車体前端よりも前方に向けて延びるように設けられている。即ち、車体前方に位置する作業者が操作レバー186aを下方に向けて押し下げ操作すると、リンク機構186bにてブレーキペダル186が踏み込み操作された状態になり、メインクラッチが切れ、続いて左右後輪ブレーキがかかり、機体は停止する。
【0053】
そして、ブレーキペダル186が踏み込み操作されてブレーキが作動した状態でないと、リコイルノブ112aを引き操作してエンジン112を始動できない構成となっている。
【0054】
図5~
図9(A),(B)、(C)に示すように、リコイルノブ112aは、メインフレームに固定した強度を向上する為にL字状とした支持プレート200に基部を溶接固定したノブ受け222に受け止められて、リコイルロープがエンジン112を始動するリコイルスターターに向けて延びている。
【0055】
そして、
図5に示すように、リコイルノブ112aは、ノブ受け222に受け止められてステップフロア119及び閉じた状態の後部カバー119aに対して水平(平行)になるように保持されている。
【0056】
また、支持プレート200には、リコイルノブ112aを引くことを規制する金属製の杆体にて構成されるガード体228を回動自在に設けている。
【0057】
即ち、支持プレート200には、ノブ受け222の後方位置にU字状のガード体支持部材227の基部を溶接固定し、該ガード体支持部材227上部に回動自在に設けた枢支軸227aにガード体228基部を溶接固定している。
【0058】
ガード体228は、一端をガード体支持部材227に係合させた巻バネ229の他端が係合されており、下方に向けて回動する方向に付勢され、平面視でコ字状の先端側をL字状に折り曲げた保持部228aがリコイルノブ112aを係止する。
【0059】
なお、
図5に示すように、ガード体228の保持部228a先端は、保持部228aがリコイルノブ112aを係止した状態でステップフロア119に接当しており、作業者が誤ってガード体228を踏みつけてもガード体228が破損することが防止される。
【0060】
また、
図5及び
図6に示すように、ガード体228は、後部カバー119aを開閉しても干渉しない形状及び配置としている。
【0061】
そして、ガード体228の他端は、枢支軸227aよりも後方に向けて延設され、一端230aがブレーキペダル186の踏み込み操作で操作ワイヤ231を介して上動する搖動アーム230先端のフック部230bに係合する係合片228bとなっている。
【0062】
搖動アーム230は、ガード体支持部材227の後方位置で基部が支持プレート200に溶接固定された搖動アーム支持部材232の上部に設けた枢支ピン232aに回動自在に枢支され、一端を搖動アーム支持部材232に係合させた巻バネ233の他端が係合されており、フック部230bが下方に向けて回動する方向に付勢されている。
【0063】
なお、搖動アーム支持部材232には、搖動アーム230のフック部230bが下方に向けて回動する下方回動限界規制部材232bとフック部230bが上方に向けて回動する上方回動限界規制部材232cが設けられている。
【0064】
従って、ブレーキペダル186を踏み込んでいない場合は、巻バネ233の付勢力にて搖動アーム230のフック部230bが下方に回動してガード体228の係合片228bを係合しており、ガード体228の保持部228aがリコイルノブ112aを係止して、リコイルノブ112aを把持して引くことができず、リコイルスターターを作動させてエンジン112を始動することができない。
【0065】
そして、ブレーキペダル186を踏み込んだ場合は、ブレーキペダル186の踏み込み操作で操作ワイヤ231が引かれて巻バネ233の付勢力に抗して搖動アーム230のフック部230bが上方に回動してガード体228の係合片228bを解放し、ガード体228の保持部228aが巻バネ229の付勢力にて上方に回動してリコイルノブ112aから上方に離れた位置になってリコイルノブ112aの規制が解除され、リコイルノブ112aを把持して引くことができ、リコイルスターターを作動させてエンジン112を始動することができる。
【0066】
よって、ブレーキペダル186を踏み込み操作してブレーキが作動した状態でないと、リコイルノブ112aを引き操作してエンジン112を始動できないので、リコイルノブ112aを引き操作してエンジン112が始動しても車体はブレーキが利いた状態であるので急に車体が進行することを防止できて安全である。
【0067】
例えば、変速レバー117が前進位置または後進位置に操作されている時に(運転者の身体が誤って変速レバー117に触れてしまって、前進位置または後進位置に操作されている場合も含む)、リコイルノブ112aを引き操作してエンジン112を始動しても、リコイルノブ112aを引き操作できるのがブレーキペダル186を踏み込み操作してブレーキが作動している状態のみであるから、エンジン112が始動してもブレーキが作動しているので車体が不意に前進または後進することが防止できて安全である。
【0068】
上記の実施形態では、車両停止操作としてブレーキペダル186をブレーキ作動状態及びメインクラッチ切状態に操作した時にガード体228の規制を解除する構成を示したが、ブレーキ作動状態への操作、メインクラッチの切状態への操作または変速レバー117を中立位置にする操作にてガード体228の規制を解除する構成としても良い。
【0069】
即ち、車両停止操作としては、ブレーキ操作装置、クラッチ操作装置または変速操作装置等の車両を停止させる操作装置であれば如何なる操作装置であっても良い。
【0070】
なお、搖動アーム230のフック部230bの下辺は、円弧状の曲面となっており、
図9に示すように、ガード体228の係合片228bがフック部230bに係合していな状態で搖動アーム230のフック部230bが下動しても、ガード体228の保持部228aを押し下げると係合片228bがフック部230bの下辺の曲面に沿って移動して係合片228bがフック部230bに係合する状態(ガード体228の保持部228aがリコイルノブ112aを係止する状態)に容易にすることができる。
【0071】
また、機体の前端部にはフロントアーム188を突設し、フロントアーム88の後方にセンターマスコット189を設けている。
【0072】
フロントアーム88は、乗用型田植機を畦越えさせる際に用いられる。
【0073】
操縦席120に着座していた運転者は、走行車体100から降りて走行車体100の前方に位置して、フロントアーム188を把持して自分の体重をかけて畦越え時に走行車体100前部が浮き上がらないようにして、フロントアーム188に装備されている微速前進レバーを握り操作して乗用型田植機を微速前進させて畦越えさせる。
【0074】
畦越え時に乗用型田植機の姿勢が不安定になったり前後傾斜が大きくなって危険になりそうな場合には、微速前進レバーの握り操作を止めて車体を停止する(HST131を中立にするとブレーキがかかったように車体の前後進は停止する)。また、操作レバー186aを操作して、メインクラッチを切って左右後輪ブレーキをかけて機体を停止しても良い。なお、操作レバー186aを操作して、ブレーキペダル186をブレーキ作動位置でペダルロック装置にてロックしても良い。
【0075】
なお、走行車体1前部左右両側には、予備苗載台199が設けられている。
【0076】
苗植付装置103は、走行車体100に昇降用リンク装置で昇降自在に装着されている。
【0077】
走行車体100に基部が回動自在に設けられた一般的なリフトシリンダーのピストン上端部を昇降用リンク装置に連結し、走行車体100に設けた油圧ポンプ113にて昇降バルブ(図示せず)を介してリフトシリンダーに圧油を供給・排出して、リフトシリンダーのピストンを伸進・縮退させて昇降用リンク装置に連結した苗植付装置103が上下動されるように構成されている。
【0078】
苗植付装置103は、昇降用リンク装置の後部にローリング自在に装着されたフレームを兼ねる植付伝動ケース138と、該植付伝動ケース138に設けられた支持部材に支持されて機体左右方向に往復動する苗載台139と、植付伝動ケース138の後端部に装着され、苗載台139の下端より1株づつ苗を圃場に植え付ける苗植付具141と、植付伝動ケース138の下部にその後部が枢支されてその前部が上下揺動自在に装着された整地体であるセンター(センサー)フロート142とサイドフロート143等にて構成されている。センターフロート142とサイドフロート143は、苗植付具141にて苗が植付けられる圃場の前方を整地すべく設けられている。
【0079】
PTO伝動軸は、両端にユニバーサルジョイントを有し、ミッションケース111からの動力を苗植付装置103の植付伝動ケース138に伝達すべく設けている。
【0080】
そして、センターフロート142の前部に設けられた迎い角センサ(図示せず)は、苗植付装置103の対地高さを検出するものであり、該迎い角センサの検出値に基づいて、制御装置により昇降バルブを制御してリフトシリンダーにて苗植付装置103の上下位置を制御するように構成されている。
【0081】
即ち、センターフロート142の前部が外力にて適正範囲以上に持ち上げられたことを迎い角センサにより検出した時には油圧ポンプ113にてミッションケース111内から汲み出された圧油をリフトシリンダーに送り込んでピストンを突出させて昇降用リンク装置を上動させて苗植付装置103を所定位置まで上昇させ、また、センターフロート142の前部が適正範囲以下に下がったことを迎い角センサにより検出した時にはリフトシリンダー内の圧油をミッションケース111内に戻して昇降用リンク装置を下動させて苗植付装置103を所定位置まで下降させる。
【0082】
そして、センターフロート142の前部が適正範囲にあるとき(迎い角センサの検出値が適正範囲にあり、苗植付装置103が適正な対地高さである時)には、リフトシリンダー内の圧油の出入りを止めて苗植付装置103を一定位置に保持させている。
【0083】
このように、センターフロート142を苗植付装置103の自動高さ制御のための接地センサーとして用いている。
【0084】
苗植付装置103は4条植の構成で、フレームを兼ねる植付伝動ケース138、苗を載せて左右往復動し苗を一株づつ各条の苗取出口139aに供給する苗載台139、苗取出口139aに供給された苗を圃場に植付ける苗植付具141等を備えている。
【0085】
図10は、苗載台139の各条の苗載せ部139b毎に載置したマット状苗Nが下方に向けて搬送されることを検出する苗移送検出装置400の作用を説明する側断面図である。
【0086】
図10(A)に示すように、苗移送検出装置400は、苗載台139の各条の苗載せ部139bの下方位置(苗取出口139aの少し上方の位置)に設けられ、マット状苗Nが下方に向けて搬送されると回転して、その回転数(回転角度)にてマット状苗Nが下方に向けて搬送される搬送量を検出する。
【0087】
図10(B)に示すように、苗載せ部139bに載置されたマット状苗Nが残り少なくなって苗移送検出装置400を過ぎると、苗移送検出装置400が回転しないので、搬送量0を検出する。
【0088】
端数条植えの際に畦クラッチを切った場合は、畦クラッチを切った条に対応する苗載せ部139bに載置されたマット状苗Nは搬送が停止されるので、苗移送検出装置400は搬送量0を検出する。
【0089】
一方、苗載台139には、各条の苗載せ部139bに載置されたマット状苗N毎に除草剤や殺虫剤等の薬剤を散布する施薬装置が設けられている。
【0090】
なお、施薬装置は、苗移送検出装置400よりも上方位置に配置されている。
【0091】
乗用型田植機に装備された制御装置は、各苗移送検出装置400が検出するマット状苗Nの搬送量に応じて各条の苗載せ部139bに載置されたマット状苗Nに薬剤を散布する。
【0092】
従って、施薬装置は、マット状苗Nに適正な施薬量で薬剤散布を行なうことができる。
【0093】
また、畦クラッチを切った条に対応する苗載せ部139bに載置されたマット状苗Nは搬送が停止されるので、苗移送検出装置400は搬送量0を検出するので、自動的に施薬装置は薬剤散布を停止する。
【0094】
また、苗載せ部139bに載置されたマット状苗Nが残り少なくなって苗移送検出装置400が回転しなくなると搬送量0を検出するので、施薬装置はマット状苗Nの無い苗載せ部139bへの薬剤散布を自動的に停止する。
【0095】
施肥装置104は、肥料タンク167内の肥料を各肥料繰出部によって一定量づつ下方に繰り出し、その繰り出された肥料を送風機169により各施肥ホースを通して各フロート142,143に装着した施肥ガイドまで移送し、該各施肥ガイドの前側に設けた作溝体によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込んで圃場中に粒状肥料を施肥する。
【0096】
(2)
図11は、圃場で生育する稲Nの条間の除草を行なう除草機500を示す斜視図である。
【0097】
除草機500は、機体501の左右両側から下方に向けて設けた左右アーム502,502の下端に稲Nの条間を進行する双胴式フロート503,503を左右回動自在に装備し、機体501の後部に進行用の電動モータにて駆動されるプロペラ504を操行用電動モータにて左右回動自在に装備する。
【0098】
そして、双胴式フロート503,503の後部には、各々圃場面を攪拌して除草作業を行なう攪拌用ラグタイヤ505,505を枢支軸505a,505aにて遊転自在に装備している。
【0099】
機体501には、制御部とバッテリと稲Nを検出する障害物センサを設けている。
【0100】
制御部は、障害物センサにて検出する稲Nの条間を双胴式フロート503,503が進行するようにプロペラ504を操向する。
【0101】
従って、除草機500は、双胴式フロート503,503が稲Nの条間を進行し攪拌用ラグタイヤ505,505が条間の圃場面を攪拌して除草作業を行なう。
【符号の説明】
【0102】
2 遠隔監視デバイス(管理サーバ)
3 遠隔監視デバイス(携帯端末)
6 通信装置(無線通信装置)
8 植付装置(前植付装置、後植付装置)
9 車輪(左右駆動前輪)
10 車輪(左右駆動後輪)
13 カメラ
18 支柱