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  • 特開-自動ロック装置および建具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098764
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】自動ロック装置および建具
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/08 20060101AFI20240717BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20240717BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20240717BHJP
   E05B 17/20 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
E05B65/08 R
E05B49/00 S
E05B47/00 J
E05B17/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002443
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】海野 征生
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA02
2E250DD09
(57)【要約】
【課題】操作体の操作に連動して当該操作体を自動的にロックする自動ロック装置および建具を提供すること。
【解決手段】自動ロック装置10は、操作レバー532に隣り合って配置されるベース体と、係合位置および非係合位置に進退可能にベース体に取り付けられると共に係合位置に前進付勢される係合部材15と、操作を認証する認証部と、認証部での認証に基づいて係合部材15を駆動する駆動部17とを備え、駆動部17は、係合部材15を前進付勢に抗して非係合位置に後退させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具に用いられる操作体の操作レバーを自動的にロックする自動ロック装置であって、
前記操作レバーに隣り合って配置されるベース体と、前記操作レバーに対して係合状態となる係合位置および前記操作レバーに対して非係合状態となる非係合位置に進退可能に前記ベース体に取り付けられると共に前記係合位置に前進付勢される係合部材と、前記自動ロック装置に対する操作を認証する認証部と、前記認証部での認証に基づいて前記係合部材を駆動する駆動部とを備え、
前記駆動部は、前記係合部材を前記前進付勢に抗して前記非係合位置に後退させる
ことを特徴とする自動ロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動ロック装置において、
前記係合部材には、第一磁石または第一磁性体が設けられ、
前記駆動部は、前記認証部の認証に基づいて作動するモーターと、前記モーターの作動によって前記第一磁石または前記第一磁性体に対して接近または離間する第二磁石または第二磁性体とを備え、
前記係合部材は、前記第一磁石または前記第一磁性体に対する前記第二磁石または前記第二磁性体の接近によって前記非係合位置に後退する一方、前記第一磁石または前記第一磁性体に対する前記第二磁石または前記第二磁性体の離間によって前記係合位置に前進復帰する構成とされる
ことを特徴とする自動ロック装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動ロック装置において、
前記認証部は、登録した特定の被認証部を認証する構成とされる
ことを特徴とする自動ロック装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自動ロック装置において、
前記操作体は、前記操作レバーが操作可能に取り付けられる台座を有し、
前記ベース体は、前記台座とは別体であって当該台座に対して装着可能に構成される
ことを特徴とする自動ロック装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動ロック装置において、
前記ベース体は、前記台座と共締めされる
ことを特徴とする自動ロック装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自動ロック装置において、
前記係合部材は、前記係合状態で前記ベース体から前進側に突出し、
前記係合部材のうち少なくとも一部は、前記係合状態で前記操作レバーに覆われて配置される
ことを特徴とする自動ロック装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の操作体および自動ロック装置を備えることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に用いられるクレセント錠やハンドルなどの操作体を自動的にロックする自動ロック装置および建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、阻止部材を進退移動させることで、施錠状態のクレセント(操作体)の回転を阻止や解除を行う回転阻止装置が知られている(特許文献1参照)。この回転阻止装置では、リモコンなどの無線送信機からの指示信号に基づいて阻止部材を進出駆動させることで、クレセントの回転を阻止し、阻止部材を後退移動させることで、クレセントの回転阻止が解除されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-241476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の回転阻止装置では、リモコンなどからの指示信号に基づいて、阻止部材を進出駆動させてクレセントの回転を阻止するので、クレセントを施錠状態にする操作とは別に、リモコンなどから指示信号を発する必要があり、クレセントの施錠操作と連動して回転阻止装置によるクレセントの回転を阻止することができず、回転阻止装置によるクレセントの回転を阻止するために手間を要する。また、リモコン操作を失念した場合には、施錠状態におけるクレセントの回転が阻止されない状態のままとなるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、操作体の操作に連動して当該操作体を自動的にロックする自動ロック装置および建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動ロック装置は、建具に用いられる操作体の操作レバーを自動的にロックする自動ロック装置であって、前記操作レバーに隣り合って配置されるベース体と、前記操作レバーに対して係合状態となる係合位置および前記操作レバーに対して非係合状態となる非係合位置に進退可能に前記ベース体に取り付けられると共に前記係合位置に前進付勢される係合部材と、前記自動ロック装置に対する操作を認証する認証部と、前記認証部での認証に基づいて前記係合部材を駆動する駆動部とを備え、前記駆動部は、前記係合部材を前記前進付勢に抗して前記非係合位置に後退させることを特徴とする。
本発明の建具は、前述した本発明の操作体および自動ロック装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作体の操作に連動して当該操作体を自動的にロックする自動ロック装置および建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る建具を示す内観姿図。
図2】前記実施形態に係る建具の自動ロック装置を示す斜視図。
図3】前記実施形態に係る建具の自動ロック装置を一部省略して示す斜視図。
図4】前記実施形態に係る建具の自動ロック装置の動作を示す説明図。
図5】前記実施形態に係る建具のクレセント錠の操作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本実施形態に係る建具としての引き違い窓1は、建物の開口に設置されるものであり、枠体としての窓枠2と、窓枠2内に左右方向に開閉可能に配置される外障子3および内障子4と、外障子3および内障子4を施錠操作する操作体としてのクレセント錠5(錠装置)と、クレセント錠5自体を自動的にロックする自動ロック装置10とを備えている。
以下の説明において、引き違い窓1の左右方向をX軸方向とし、引き違い窓1の上下方向をY軸方向とし、引き違い窓1の見込み方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
窓枠2は、上枠21、下枠22、左右の縦枠23を備えており、引き違い窓1における開口を画している。外障子3は、上框31、下框32および左右の縦框33を有する框体30と、框体30内に配置されるガラスパネルなどの面材35とを備えている。内障子4は、上框41、下框42および左右の縦框43を有す框体40と、框体40内に配置されるガラスパネルなどの面材45とを備えている。図1に示す外障子3において右側の縦框33が外召合せ框として構成されており、図1に示す内障子4において左側に示す縦框43が内召合せ框として構成されている。
【0011】
クレセント錠5は、図2に示すように、内召合せ框43に取り付けられた錠本体51と、外召合せ框33に取り付けられた錠受け58とを有しており、錠本体51は、内召合せ框43の外周側の側壁部431に設置された台座52と、台座52に回転操作可能に取り付けられた錠掛け53と、図2に示すように施錠位置にある錠掛け53の回転を阻止する手動ロック54とを有している。
台座52は、図2および図3に示すように、Y軸方向に延びて長方矩形状に形成されており、側壁部431にねじ止めされる孔部が形成されている。
錠掛け53は、回転において錠受け58に掛かる円弧状の掛片部531と、掛片部531の回転軸心Cから径方向に延出して形成された操作レバー532とを備えている。操作レバー532は、外障子3および内障子4を施錠する施錠位置では図2に示すように上向きに延出した配置とされ、当該施錠を解除する解除位置では下向きに延出した配置とされる。操作レバー532は施錠位置および解除位置の間を回転操作され、掛片部531は、操作レバー532が施錠位置にある際に錠受け58に掛けられた状態とされており、操作レバー532が解除位置にある際に錠受け58から外れた状態とされている。
また、操作レバー532には、図4の(A)に示すように、係合部材15が挿抜される溝部533が形成されており、係合部材15が溝部533に配置された状態で操作レバー532が係合部材15と係合することで、当該操作レバー532の回転操作が規制される。
手動ロック54は、台座52に設けられており、手動操作によって施錠位置にある操作レバー532の回転操作を阻止する一方、逆側への手動操作によって操作レバー532の回転操作を解除する構成とされている。
【0012】
自動ロック装置10は、図2から図4に示すように、前述した台座52に装着されるベース体11と、操作レバー532に対して進退可能にベース体11に取り付けられると共に付勢部材としての圧縮コイルばね18によってX軸方向に前進付勢される係合部材15と、自動ロック装置10に対する操作を認証する認証部16と、認証部16での認証に基づいて係合部材15を駆動する駆動部17とを備えている。
【0013】
ベース体11は、Y軸方向に延びた長方矩形状のケース12と、ケース12がねじ止めされるY軸方向に延びた長方矩形状の裏板13と、裏板13に取り付けられる基板14とを有しており、ケース12は操作レバー532の台座52とは別体であって当該台座52にねじ7で共締めされて内召合せ框43の外周側の側壁部431に取り付けられている。このベース体11は、台座52に対する装着状態で、操作レバー532に対してX軸方向に隣り合って配置されている。基板14には、認証部16からの認証信号を受けて駆動部17を駆動させるCPUなどを有する制御部141が構成されており、当該制御部141は認証部16および駆動部17に電気的に接続される。ケース12には、認証部16、制御部141や駆動部17を作動させるためのバッテリーなどの電源8が着脱可能に装着されている。ケース12は、そのX軸方向における後面に裏板13が配置されるケース本体121と、ケース本体121の前面に形成された開口を塞ぐように当該ケース本体121に係合した前壁部122とを備えている。ケース本体121の前面下部には、台座52の上部を囲み且つねじ7が挿通される装着部123が構成されている。ベース体11は、装着部123が台座52の上部(一部)を囲んだ状態でねじ7によって台座52と共締めされるので、台座52に対する揺動が抑えられた状態で台座52に装着される。また、ケース本体121の前面下部には、係合部材15の後述するラッチ152が配置される孔部が形成されている。前壁部122には、認証部16がケース12の外部から操作可能に配置されている。なお、裏板13を内召合せ框43の側壁部431に両面テープなどで補助的に貼り付けることで取付強度を向上させてもよい。
【0014】
係合部材15は、裏板13にX軸方向に延びて立設されたガイドピン131によってX軸方向に進退案内される本体151と、本体151の前面側から操作レバー532に向かってX軸方向に突出して形成されたラッチ152と、本体151の背面側に設けられたリング状の磁石153(第一磁石)とを有しており、ラッチ152はケース本体121の前述した孔部においてX軸方向に移動可能に配置されている。磁石153は、本実施形態では永久磁石である。
【0015】
認証部16は、ユーザーの指紋を認別する指紋センサーで構成されており、ユーザーの指紋を認証して認証信号を生成し、制御部141に送信するようになっている。認証部16は、予め登録したユーザーの指紋情報を特定の被認証部としており、当該指紋情報とは異なる情報を識別した場合は前述した認証信号は生成しないようになっている。ここで、制御部141は、認証信号から送信される認証信号を受けると所定プログラムに従って後述するように駆動部17を駆動させる。
【0016】
駆動部17は、認証部16の認証に基づいて作動する駆動源としてのモーター171と、モーター171の作動によって係合部材15に設けられた磁石153に対して接近または離間する強磁性体(第二磁性体)としての金属可動体172と、モーター171の作動を金属可動体172にY軸方向における上下移動力として伝達する伝達機構173と、金属可動体172の上限位置および下限位置を定めるリミットスイッチ174,175とを備えている。伝達機構173は、本実施形態ではラックピニオン機構によって構成されている。
【0017】
以上の引き違い窓1において自動ロック装置10は次のように動作する。
まず、平常時には、係合部材15は圧縮コイルばね18の付勢によってX軸方向における前進側の位置(係合位置P1)に配置された状態であり、ラッチ152はX軸方向においてベース体11から前進側に突出して配置されている。また、金属可動体172は上限位置に配置されており、係合部材15の磁石153に対して上方に離間して配置された状態である。この状態で、クレセント錠5の操作レバー532が図5の(A)に示す矢印の方向に回転操作されると、操作レバー532はラッチ152に当接し、更に回転操作されると、ラッチ152を圧縮コイルばね18の付勢に抗してX軸方向において操作レバー532に対する係合位置P1から操作レバー532に対する非係合位置P2に向かって一旦後退させつつ、操作レバー532を図2図5の(B)に示す施錠位置に配置する。操作レバー532が施錠位置に配置されると、係合部材15は、圧縮コイルばね18の付勢によってX軸方向に前進し、図4の(A)に示すようにラッチ152が操作レバー532の溝部533に挿入された係合位置P1に配置される。これにより、操作レバー532の回転操作は自動ロック装置10によって自動的にロックされ、クレセント錠5の施錠状態を保持できる。また、この状態では、ラッチ152のうち溝部533に挿入された部分(一部)は、操作レバー532によって少なくとも室内側から覆われて配置される。
また、図5の(B)に示すように、自動ロック装置10の認証部16がユーザーの指で操作されると、認証部16がユーザーの指紋を識別し、予め登録した特定の被認証部と一致している場合には、認証信号を生成して制御部141に送信する。認証信号を受けた制御部141は、駆動部17を動作させる。具体的には駆動部17の動作は次の通りである。まず、モーター171を作動させ、伝達機構173を介して金属可動体172を下方に移動させて、当該金属可動体172を係合部材15の磁石153に接近させる。これにより、磁石153は金属可動体172に引き寄せられ、係合部材15は圧縮コイルばね18の付勢に抗して係合位置P1からX軸方向に後退し、図4の(B)に示すように、ラッチ152が操作レバー532の溝部533から抜き出されて非係合位置P2に配置される。これにより、操作レバー532による施錠状態の保持は解除され、図5の(B)に示す矢印に沿って操作レバー532を回転操作できる状態となる。なおこのとき、金属可動体172は、上側のリミットスイッチ174に当接した上限位置から下方に移動し、下側のリミットスイッチ175に当接した下限位置で移動を停止する。次に、図5の(B)に示すロックの解除状態で、制御部141が所定時間をカウントすると、モーター171を逆方向に作動させ、伝達機構173を介して金属可動体172を上方に移動させて、当該金属可動体172を係合部材の磁石153から離間させる。これにより、磁石153の金属可動体172への引き寄せ力は弱まり、係合部材15は圧縮コイルばね18の付勢によって非係合位置P2から係合位置P1まで前進する。そして、金属可動体172が上側のリミットスイッチ174に当接することで、モーター171の逆方向の作動は停止し、駆動部17の駆動は終了する。
前述したように係合部材15は、磁石153に対する金属可動体172の接近によって非係合位置P2に後退する一方、磁石153に対する金属可動体172の離間によって係合位置P1に前進復帰する。
【0018】
[変形例]
前記実施形態では、係合部材15に磁石153を設け且つ駆動部17が磁性体としての金属可動体172を備える構成としたが、これに限らず、例えば、磁性体(第一磁性体)を係合部材15に設け且つ駆動部17が磁石153(第二磁石)を有する構成としてもよく、また、磁石153(第一磁石)を係合部材15に設け且つ駆動部17も磁石153(第二磁石)を有する構成としてもよい。加えて、電力消費量が許容範囲内であれば、磁石153(永久磁石)や金属可動体172の代わりに電磁石を用いてもよい。この場合には、モーター171や伝達機構173、リミットスイッチ174,175などの構成を省略し、電磁石などを不動のものとして設置してもよい。
前記実施形態では、認証部16はユーザーの指紋を認証する指紋センサーで構成されているが、これに限らず、例えば、ユーザーの静脈、顔、網膜やキーワード等の音声などを特定の被認証部として予め登録してもよい。
前記実施形態では、自動ロック装置10のベース体11は、クレセント錠5の台座52とは別体とされ且つ当該台座52に装着されており、既設のクレセント錠5に後付け可能に構成されているが、これに限らず、例えば台座52およびベース体11は一体に形成されていてもよい。
前記実施形態では、ねじ7によってベース体11および台座52は共締めされて内召合せ框43の側壁部431に取り付けられているが、これに限らず、ベース体11は、台座52と共締めされずに、当該台座52がねじ7によって側壁部431に取り付けられる箇所とは異なる箇所で側壁部431に取り付けられてもよい。
前記実施形態では、クレセント錠5による施錠状態で、係合部材15の少なくとも一部(ラッチ152が溝部533に挿入された部分)は、係合状態で操作レバー532に覆われて配置されているが、覆われない配置とされてもよい。
前記実施形態では、建具として引き違い窓1を説明したが、このほか、片引き窓などの建具であってもよく、また、縦すべり出し窓や横すべり出し窓であってもよく、この場合、操作体はクレセント錠5などの錠装置に限らず、障子を開閉操作するハンドルなどの操作体であってもよい。
【0019】
[発明のまとめ]
本発明の自動ロック装置は、建具に用いられる操作体の操作レバーを自動的にロックする自動ロック装置であって、前記操作レバーに隣り合って配置されるベース体と、前記操作レバーに対して係合状態となる係合位置および前記操作レバーに対して非係合状態となる非係合位置に進退可能に前記ベース体に取り付けられると共に前記係合位置に前進付勢される係合部材と、前記自動ロック装置に対する操作を認証する認証部と、前記認証部での認証に基づいて前記係合部材を駆動する駆動部とを備え、前記駆動部は、前記係合部材を前記前進付勢に抗して前記非係合位置に後退させることを特徴とする。
本発明の自動ロック装置では、前進付勢される係合部材は係合位置に配置され、操作される操作レバーが係合部材に当たると、係合部は前進付勢に抗して後退し、一旦、非係合位置に配置される。そして操作レバーが自動ロック装置に対して所定位置に配置されると、係合部材は非係合位置から係合位置に自動復帰し、操作レバーと係合する。このように自動ロック装置によれば、前述したように作動して操作レバーを自動的に所定位置にロックすることができる。
【0020】
本発明の自動ロック装置では、記係合部材には、第一磁石または第一磁性体が設けられ、前記駆動部は、前記認証部の認証に基づいて作動するモーターと、前記モーターの作動によって前記第一磁石または前記第一磁性体に対して接近または離間する第二磁石または第二磁性体とを備え、前記係合部材は、前記第一磁石または前記第一磁性体に対する前記第二磁石または前記第二磁性体の接近によって前記非係合位置に後退する一方、前記第一磁石または前記第一磁性体に対する前記第二磁石または前記第二磁性体の離間によって前記係合位置に前進復帰する構成とされてもよい。
このような構成によれば、認証部の認証に基づいて作動するモーターにより、第一磁石または第一磁性体に対して第二磁石または第二磁性体を接近させることで、磁力を利用して係合部材を速やかに後退させることができる。
また、モーターの作動により第一磁石または第一磁性体に対して第二磁石または第二磁性体を離間させることで、前進付勢される係合部材を速やかに前進復帰させることができる。
【0021】
本発明の自動ロック装置では、前記認証部は、登録した特定の被認証部を認証する構成とされてもよい。
このような構成によれば、例えばユーザーの指紋などの被認証部を登録しておくことで、ユーザー以外の指紋などの非登録のものでは解除できない自動ロック装置を構成でき、ユーザー以外の者による操作によりロックが解除されてしまうおそれを低減できる。
【0022】
本発明の自動ロック装置では、前記操作体は、前記操作レバーが操作可能に取り付けられる台座を有し、前記ベース体は、前記台座とは別体であって当該台座に対して装着可能に構成されてもよい。
このような構成によれば、既に操作体が建具に設置されていても、ベース体を台座に装着することで自動ロック装置を後付けすることができ、既設の操作体に自動ロック機構を付加することができる。
【0023】
本発明の自動ロック装置では、前記ベース体は、前記台座と共締めされてもよい。
このような構成によれば、操作体と共に自動ロック装置も建具に取り付けることができ、自動ロック装置を建具に取り付けるために孔加工などを当該建具に新たに施す手間をなくし得る。
【0024】
本発明の自動ロック装置では、前記係合部材は、前記係合状態で前記ベース体から前進側に突出し、前記係合部材のうち少なくとも一部は、前記係合状態で前記操作レバーに覆われて配置されてもよい。
このような構成によれば、係合部材の少なくとも一部を操作レバーとの係合状態で覆うことで、係合部材の露出を抑えることができ、意匠性を向上し得る。
【0025】
本発明の建具は、前述した本発明の操作体および自動ロック装置を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、前述した本発明の自動ロック装置の作用効果と同様の作用効果を奏する建具を構成できる。
【符号の説明】
【0026】
1…引き違い窓(建具)、10…自動ロック装置、11…ベース体、12…ケース、121…ケース本体、122…前壁部、123…装着部、13…裏板、131…ガイドピン、14…基板、141…制御部、15…係合部材、151…本体、152…ラッチ、153…磁石、16…認証部、17…駆動部、171…モーター、172…金属可動体(磁性体)、173…伝達機構、174,175…リミットスイッチ、18…圧縮コイルばね(付勢部材)、2…窓枠(枠体)、21…上枠、22…下枠、23…縦枠、3…外障子、30,40…框体、31,41…上框、32,42…下框、33,43…縦框、35,45…面材、4…内障子、431…側壁部、45…面材、5…クレセント錠、51…錠本体、52…台座、53…錠掛け、531…掛片部、532…操作レバー、533…溝部、54…手動ロック、58…錠受け、7…ねじ、8…電源、C…回転軸心、P1…係合位置、P2…非係合位置。
図1
図2
図3
図4
図5