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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098765
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】炊飯器および炊飯方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
A47J27/00 109S
A47J27/00 109P
A47J27/00 109R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002444
(22)【出願日】2023-01-11
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萱森 雅之
(72)【発明者】
【氏名】木村 智志
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 紀子
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一也
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA09
4B055BA10
4B055CA64
4B055CA65
4B055CD01
4B055CD16
4B055GA01
4B055GB15
4B055GB31
4B055GD05
4B055GD06
(57)【要約】
【課題】蒸気口が閉塞されているときに遠隔操作で炊飯開始の指示を受信しても炊飯を開始しない炊飯器を提供する。
【解決手段】本発明の炊飯器100は、情報端末81と通信可能な送受信手段74と、被炊飯物の炊飯を制御する炊飯制御手段75と、蒸気を機外へ放出する蒸気口51と、蒸気口51の上に物があるかを監視する蒸気口監視手段63および蒸気口51の閉塞の有無を判定する制御部21と、を備え、制御部21が蒸気口51の閉塞を判定した場合には、情報端末81から炊飯開始の指示を受信しても、炊飯制御手段75は被炊飯物の炊飯を開始しない構成としている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信可能な通信手段と、
被炊飯物の炊飯を制御する制御手段と、
蒸気を機外へ放出する蒸気口と、
前記蒸気口の閉塞の有無を判定する閉塞判定手段と、を備え、
前記閉塞判定手段が前記蒸気口の閉塞を判定した場合には、前記外部装置から炊飯開始の指示を受信しても前記被炊飯物の炊飯を開始しないことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記閉塞判定手段は、画像情報に基づいて前記蒸気口の閉塞の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
被炊飯物を収容する内釜に形成された水位線及び水位の画像情報に基づいて水加減を判定するステップと、
判定した前記水加減に基づく炊飯制御を選択するステップと、
選択した前記炊飯制御により前記被炊飯物を炊飯するステップと、を含むことを特徴とする炊飯器による炊飯方法。
【請求項4】
前記水加減を記憶するステップと、
判定した前記水加減と記憶した前記水加減とを比較するステップと、
比較した前記水加減の差異が所定値以上である場合にその旨を報知するステップと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の炊飯器による炊飯方法。
【請求項5】
前記水位線は上下に並べて複数設けられ、上に行くに従い当該水位線の上下の幅が広くなるように構成することを特徴とする請求項3または4に記載の炊飯器の制御方法。
【請求項6】
前記炊飯制御は、前記被炊飯物に含まれる水が蒸発する高温加熱工程を含み、
前記高温加熱工程の時間が何れの炊飯量でも一定であることを特徴とする請求項3または4に記載の炊飯器による炊飯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末など他の外部機器と通信可能な炊飯器および当該炊飯器の炊飯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような炊飯器として、例えば特許文献1には、炊飯器に対して炊飯情報を送信でき、情報検索が可能な外部機器端末と、通信機能を有し、当該外部機器端末で設定された炊飯情報に基づいて炊飯を行なう炊飯器本体とを備えたものが開示されている。しかしながら、例えば布巾やタオル、雑誌などが何らかの原因で炊飯器の蓋体の上に落下して蒸気口が覆われ、閉塞された場合、炊飯器本体のスイッチで炊飯開始する場合は当該炊飯器本体が安全な環境にあることを目視で確認してから炊飯開始の操作ができる一方で、遠隔操作で炊飯を行なう場合は、炊飯器本体が安全な環境にあることを確認できなかった。このような課題に対して、例えば特許文献2では、蓋温度検知手段を蓋の天面を構成する樹脂製の外蓋の内面に設置し、当該蓋温度検知手段の出力により蒸気の噴出量を制御するものが開示されている。また特許文献3では、蓋体の上面から上方に延びる凸部を設け、凸部の最上部は操作表示部の最上部の位置より高い位置としたものが開示されており、布巾やタオルが蓋体の上に落下しても、布巾やタオルと蓋体の間に空間を形成して蓋体に付属する操作表示部の温度が異常に上昇するのを防止している。
【0003】
また他の外部機器と通信可能な炊飯器として、例えば特許文献4には、ユーザが米容器内にお米を、水容器内に水を予め収容しておき、外部機器から通信インタフェース25を介して受け付けた炊飯指示の入力に応じて、当該炊飯指示に基づいて決定された指定量のお米や水を鍋に移動させて炊飯を行う自動投入式の炊飯器が開示されている。ここで米容器内のお米や水容器内の水が指定量に満たない場合は、ユーザの端末に対してお米や水が不足している旨の報知を行なう構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-123569号公報
【特許文献2】特開2004-129942号公報
【特許文献3】特開2003-339526号公報
【特許文献4】特開2021-115171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の炊飯器では、タオルや布巾が蓋に落ちて蒸気口を閉塞していた場合でも炊飯を継続し、外蓋の温度が所定温度以上に高くなったときに、それ以上蓋の表面温度が上昇するのを抑制する構成としている。そのため炊飯の途中で、蒸気の噴出量を制御し、炊飯を中止し、または異常時の加熱制御に切替えて加熱量を抑制することになり、被炊飯物としてのお米への加熱不足により糊化不足で芯が残る虞、または生煮えのご飯になる虞があった。
【0006】
また特許文献3の炊飯器では、布巾やタオルと蓋体の間に空間を形成しても、当該空間内に放出された蒸気が結露し、蓋体上面に結露した水が付着する虞があった。そして当該結露した水の量が多い場合は蓋体上面から蓋体側面を伝って炊飯器の下に水が流れ落ちてしまい、また蓋体を開けたときに蓋体の上面に溜まった水が炊飯器の下に流れ落ちてしまい、炊飯器を設置した場所が水で汚れてしまう虞があった。
【0007】
そして特許文献4の全自動炊飯器では、自動的にお米や水を鍋内に移動させるための機構が必要であり、構造が複雑化していた。そして特許文献4の全自動炊飯器では、指定量のお米や水を鍋に移動させて炊飯を行う自動投入式の炊飯器であるため、ユーザが炊飯前の鍋内の被炊飯物を確認することができないため被炊飯物の水加減が適切であるかを確認することができず、被炊飯物の水加減が変更されたときの場合も記載されていないため、ユーザに安心感を付加する機能が求められていた。
【0008】
そこで本発明は、蒸気口が閉塞されているときに遠隔操作で炊飯開始の指示を受信しても炊飯を開始しない炊飯器を提供することを第1の目的とする。
【0009】
また本発明は、遠隔操作で炊飯を開始する場合でも、被炊飯物の水加減に合わせて適切に炊飯可能な炊飯器の制御方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の炊飯器は、外部装置と通信可能な通信手段と、被炊飯物の炊飯を制御する制御手段と、蒸気を機外へ放出する蒸気口と、前記蒸気口の閉塞の有無を判定する閉塞判定手段と、を備え、前記閉塞判定手段が前記蒸気口の閉塞を判定した場合には、前記外部装置から炊飯開始の指示を受信しても前記被炊飯物の炊飯を開始しないことを特徴とする。
【0011】
また本発明の炊飯器の炊飯方法は、被炊飯物を収容する鍋に形成された水位線及び水位の画像情報に基づいて水加減を判定するステップと、判定した前記水加減に基づく炊飯制御を選択するステップと、選択した前記炊飯制御により前記被炊飯物を炊飯するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の炊飯器によれば、蒸気口が閉塞されているときには炊飯を外部装置から炊飯開始の指示を受信しても開始しないため、蒸気口が閉塞されたときの炊飯のリスクを未然に防止し、安全性を向上させることができる。
【0013】
また本発明の炊飯器の炊飯方法によれば、当該画像情報に基づいて水加減を判定して炊飯制御を選択し、適切に被炊飯物を炊飯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態における炊飯器システムの炊飯器の縦断面図である。
図2】同上、炊飯器の上面図である。
図3】同上、(A)透過型の蒸気口監視手段とその周辺の要部上面図、(B)回帰反射型の蒸気口監視手段とその周辺の要部上面図、(C)拡散反射型の蒸気口監視手段とその周辺の要部上面図である。
図4】同上、図3(C)の蒸気口監視手段とその周辺の要部縦断面図である。
図5】同上、内釜の部分拡大図である。
図6】同上、炊飯前の、含水率15%のお米100g、炊飯時の水の蒸発量60ml、炊上げ重量比が2.3である場合の、炊飯後の、含水率63%のご飯の成り立ちを示すイメージ図である。
図7】同上、標準的なお米および良質なお米における、炊上り重量比に対する食味を示した表である。
図8】同上、炊飯器の電気的構成を示すブロック図である。
図9】同上、炊飯器システムの全体構成の概略図である。
図10】同上、情報端末の電気的構成を示すブロック図である。
図11】同上、サーバの電気的構成を示すブロック図である。
図12】同上、(A)情報端末81で情報処理プログラムを立ち上げたときの情報端末の上面図、(B)(A)で炊飯開始、予約開始または予約変更の操作をした際に、蒸気口監視手段で異物を検知したときの情報端末の上面図である。
図13】同上、炊飯工程における、内釜温度センサの検知温度と、蓋温度センサの検知温度と、加熱コイルの出力と、蓋加熱手段の出力との経時的な推移を示したグラフである。
図14】本発明の一実施形態の変形例における炊飯器の蒸気口監視手段とその周辺の要部縦断面図である。
図15】本発明の一実施形態の変形例における炊飯器システムの、炊飯器が設置された屋内に設けられた屋内カメラで当該屋内を撮影した映像データのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明における炊飯器の各実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【0016】
図1図13は、本発明における炊飯器100の一実施形態を示している。先ず、図1に基づき、例えばキッチン台や床面などに載置される炊飯器100の構成を説明すると、1は米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の内釜である。この内釜1は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体2が外面の側面下部から底部にかけて接合してある。炊飯器100の外郭をなす胴体3は、その上部と上側面部を構成する上枠4と、側底面部を構成する外枠5とを主な構成要素とする。その際、上枠4や外枠5は、PPやABSポリカなどの合成樹脂で形成されている。
【0017】
胴体3の中央部には、凹状の内釜収容部6が形成される。この内釜収容部6の上端にはコードヒータ7が設けられており、コードヒータ7は熱伝導がよいアルミ板などの金属板部8で覆われている。これらのコードヒータ7と金属板部8は、発熱手段としてのフランジヒータ9を構成している。
【0018】
フランジヒータ9には、内釜1の略中央部から外周方向全周に延出させた内釜リング部11の下面が載置し、内釜1が吊られた状態で内釜収容部6に収容される。フランジヒータ9は、炊飯時と保温時に内釜リング部11および内釜1の側面を加熱すると共に、蓋体12と胴体3との隙間及び内釜1と内釜収容部6との隙間に金属板部8から熱放射して、内釜1の冷えを抑制し、加熱により発生する水分が、内釜1の上部内面へ結露するのを防止する構成となっている。
【0019】
内釜収容部6の底部外面の、発熱体2に対向する内釜収容部6の側面下部と底部には、内釜1を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル14が配置される。また、内釜1の底部外面にはサーミスタ式の内釜温度センサ15が当接し、これが内釜1の底部温度を検知して、加熱コイル14による内釜1の底部の加熱温度を主に温度管理するようになっている。
【0020】
そして炊飯時と保温時には、内釜1を加熱手段で加熱するが、保温時は、内釜1の外底面に接触させた内釜温度センサ15の検出温度に応じて、加熱手段となる加熱コイル14を加熱調節し、内釜1を一定温度に保持する。また炊飯後、内釜1内のご飯の温度が保温温度に低下するまで(約100℃→約73℃)、及び保温安定時(約73℃)に、発熱手段となるコードヒータ7を発熱させ、蓋体12と胴体3との隙間に金属板部8から熱放射して、その隙間からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、内釜1を加熱する。さらに保温時に、内釜1内のご飯を再加熱するあつあつ再加熱を実行している期間にも内釜1を加熱し、加熱により発生する水分が、内釜1の上部内面へ結露するのを防止する構成になっている。
【0021】
12は、胴体3の上部に回動可能に設けられ、胴体3と共に炊飯器100の外郭をなす蓋体である。内釜1の上方開口部を覆う蓋体12には、蓋体12の内蓋36の温度を検知するサーミスタ式の蓋温度センサ16と、コードヒータなどの蓋加熱手段17が備えてあり、主に蓋加熱手段17による内蓋36の温度管理を行なうようになっている。また、内釜リング部11の上方にあって、内釜1の外側面に対向する蓋体12の内側面部には、蓋加熱手段17とは別のコードヒータ18が備えられている。コードヒータ18は、ステンレスやアルミニウムなどの金属板からなる内蓋リング19にアルミ箔テープなどにより固定され、これらのコードヒータ18と内蓋リング19とにより、蓋側面加熱手段としての内蓋リングヒータ20を構成している。
【0022】
蓋体12は、外観部品となる外蓋33と、外蓋33の下方を形成する外蓋カバー34とにより主に構成される。外蓋カバー34にはステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の放熱板35が設けられており、この放熱板35には蓋加熱手段17が設けられている。蓋加熱手段17はコードヒータなどの電熱式ヒータでも、電磁誘導加熱式コイルでもよい。放熱板35の外側には、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の内蓋36が配設されている。蓋体12の下面を形成する内蓋36の外側には、内釜1と内蓋36の隙間を塞ぐシリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなりシール部材となる蓋パッキン37が設けられ、蓋体12が閉められたときに蓋パッキン37が内釜1の上面に当接するように構成される。内蓋36および蓋パッキン37はパッキンベース38により一体化されて内蓋組立ユニット39を構成し、この内蓋組立ユニット39が外蓋カバー34の内面に着脱可能に備えられる。
【0023】
上枠4の後方には、蓋体12と連結するヒンジ部31が設けられる。このヒンジ部31は、ねじりコイルバネ等で形成したヒンジバネ(図示せず)や、ヒンジ羽根同士を連結しているヒンジ軸41を有している。蓋体12の前方上面には、蓋開ボタン32が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン32を押すと、蓋体12と胴体3との係合が解除され、ヒンジ軸41を回動中心として蓋体12が自動的に開く構成となっている。
【0024】
ヒンジ軸41は胴体3と蓋体12とを開閉自在に軸支しており、前述のヒンジバネは外蓋カバー34に引掛けられ、蓋体12を常時開方向へ付勢している。蓋体12の回動中心となるヒンジ軸41の略反対側には、蓋開ボタン32に連動するクランプ42が配置される。クランプ42はクランプ軸43により外蓋カバー34に軸支され、上枠4のヒンジ部31と略反対側には、クランプ42と係合するクランプ受け(図示せず)が設けられる。
【0025】
蓋体12に設けたクランプ42は、クランプ軸43を中心軸として回転し、胴体3に設けたクランプ受けと係合する。このクランプ42とクランプ受けとの係合により、胴体3と蓋体12は閉状態を保持している。その一方で蓋体12を開く場合には、蓋開ボタン32を押動操作してクランプ42を逆方向に回転させ、クランプ42とクランプ受けとの係合を解除する。
【0026】
内蓋組立ユニット39には、炊飯器100の内部に形成された内部空間44の圧力を調整する調圧部45が配設される。調圧部45は、調圧弁46と調圧弁ホルダ47と調圧弁カバー48とにより主に構成される。調圧弁46は、耐食性に優れた材料である程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレス球で構成される。ここでいう内部空間44とは、胴体3に対して蓋体12を閉じたときに、内釜1の内面と内蓋組立ユニット39の下面とにより囲まれた、被炊飯物を収容するための空間である。
【0027】
調圧弁46は、調圧弁ホルダ47で保持される。調圧弁ホルダ47には、調圧弁46の下方に位置して、炊飯器100の内部空間44と蓋体12の外部とを連通する調圧孔49を設けてある。そのため内釜1内の内部空間44で被炊飯物から発生する蒸気は、この調圧孔49を通過して外気へと放出されることになる。調圧弁46は調圧孔49を閉塞するように保持されており、調圧孔49の開口面積と調圧弁46の重量により、内部空間44の圧力を調整することができる。
【0028】
調圧弁ホルダ47で調圧弁46を保持し、それらの上方から調圧弁カバー48を被せる。調圧弁ホルダ47を内蓋36に差込み、内蓋36の下側に突出した調圧弁ホルダ47の取付け部を、調圧弁ホルダ支持部材50で保持することにより、内蓋36に装着された調圧部45を構成する。調圧弁カバー48は、調圧弁46の移動範囲を規制するためのもので、調圧孔49から放出する蒸気を、蓋体12の上部に設けた蒸気口51に導く複数の孔が設けられている。
【0029】
外蓋カバー34には、ソレノイド54を駆動源として可動するフレーム55と調圧パッキン56がそれぞれ配設される。フレーム55は常時、調圧弁46を押して調圧孔49を開放する位置にあり、内釜1内の内部空間44を非加圧状態としている。この時のフレーム55の位置を、第1のフレーム位置とする。こうすることで、蓋体12の開閉時は、内部空間44の負圧の影響を受けることなくスムーズな動作を得られる。なお、フレーム55の調圧弁46を操作する突出した部分を、調圧弁操作部57とし、フレーム55の調圧弁操作部57の略反対側には、クランプ動作規制部58を設けておく。第1のフレーム位置では、クランプ42の回動を規制しない位置にクランプ動作規制部58が移動する。
【0030】
被炊飯物への炊飯を開始すると、フレーム55は第1のフレーム位置から第2のフレーム位置へ移動する。この時、フレーム55の調圧弁操作部57は調圧弁46から離れて、調圧弁46への押しを解除し、それにより調圧弁46は調圧孔49を閉塞する。また、フレーム55のクランプ動作規制部58はクランプ42の下方に潜り込む。フレーム55は下方に潜り込まなくても、クランプ42の動作を規制する位置や形状であれば構わない。こうすることで、第2のフレーム位置ではクランプ42の回動が規制され、蓋開ボタン32を押動操作しようとしても、クランプ42とクランプ受けとの係合がロックされるので、蓋体12が開かないようになる。
【0031】
蓋体12の上面後方部には、炊飯時に内釜1内で発生した蒸気を機外へ排出する蒸気口51が設けられる。炊飯時に内釜1内の内部空間44で被炊飯物から発生する蒸気は、調圧孔49が開放された状態で内蓋36の調圧部45から排出され、蓋体12の内部で外蓋カバー34に設けられた蒸気通路59を通って、蒸気口51から機外へ排出する構成となっている。なお本実施形態では、蒸気口51が蓋体12から着脱可能に構成されている。
【0032】
67は、蓋体12を胴体3に閉じた状態で、内釜1の内部を通常の大気圧よりも低くするための減圧手段である。減圧手段67は、内釜1を鍋収容体3に収容し、蓋体12を閉じた後にソレノイド54を通電させて調圧弁46が調圧孔49を塞いだ状態で、密閉した内釜1の内部圧力を低下させる。また、内釜1内部の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧手段67の動作源となる減圧ポンプ68の動作を停止し、内釜1内部を減圧状態に保っている。さらに、内釜1内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す場合には、減圧ポンプ68の動作を停止し、減圧ポンプ68と内釜1の内部との間を連通する図示しない経路を開放する。つまり減圧手段67は、内釜1内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す圧力戻し手段としての構成を兼用している。
【0033】
その他、胴体3の内部には制御部21が配設される。制御部21は、表示・操作ユニット23と組み合わせて炊飯器の各部を電気的に制御するために、マイクロコンピュータ(マイコン)などを含んで構成される。制御部21は後程詳しく説明する。
【0034】
図2は、炊飯器100の上面図を示している。同図を参照して説明すると、23は表示操作ユニットであり、蓋体12の上面部前方に設けられている。表示操作ユニット23は、時間や選択した炊飯コ-スを表示するLCD24や、現在の行程を表示するLED25の他に、炊飯開始や炊飯コ-スの選択を操作する押動式のスイッチ26を、蓋体12の内部に装備した基板27の上部に配置して構成される。表示操作ユニット23の上方には、スイッチ26の名称などが表示される操作パネル29が配置される。この操作パネル29は、電子部品であるLCD24や、LED25や、スイッチ26や、基板27に、ほこりや水・蒸気などが付着することも防止している。また基板27上に配置される押動式のスイッチ26とは別に、操作パネル29にも、LCD24の表面となる上面に非押動式のスイッチとしてタッチセンサ30が設けられており、LCD24に表示された表示体に合わせて、タッチセンサ30を直接タッチ操作することが可能となっている。そのためタッチセンサ30は、LCD24などの電子部品を実装する基板27に接続されることでタッチキーとして機能している。
【0035】
外蓋33に設けられた表示操作ユニット23は、LCD24やLED25からなる表示部61と、スイッチ26やタッチセンサ30からなる操作部62とを備えている。表示部61となるLCD24は外蓋33の略中央に配置されており、タッチセンサ30は、LCD24に表示される表示体を選択することで、炊飯コースや時刻設定などを指先やペン先のタッチ操作で行なうことができるように構成される。
【0036】
本実施形態では、表示部61上のタッチセンサ30で行なう操作内容は、各種炊飯コースの選択、設定や、時刻及び予約時間の設定などとしている。その一方で、切状態から炊飯の開始を指示するのに操作されるスタートキー26Aや、保温や予約を取り消して切状態にするのに操作される切キー26BなどはLCD24の表示体で表示せず、表示部61以外の箇所に、タッチでは操作することができないタクトスイッチによる押動型の操作部62として設置している。
【0037】
また、炊飯や保温、予約などの工程を表示するためにスイッチ26に設けられたLED25を点灯させる押動型の操作部62として、スタートキー26A以外に、切状態から保温を開始したり、保温時に被炊飯物を再加熱したりするのに操作される保温キー26Cや、予約時刻に被炊飯物を炊き上げるのに操作される予約キー26Dなどが、表示部61以外の箇所に設置される。その他、短時間で被炊飯物を炊き上げる早い炊き上がりの炊飯コースを選択する場合に操作されるそくうまキー26Eも、表示部61以外の箇所に設置される。押動型の操作部62は、点灯したLED25で照明されるスタートキー26Aや、保温キー26Cや、予約キー26Dの他に、LED25で照明されない切キー26Bや、そくうまキー26Eにより構成され、前述した非押動型の操作部62と併せて、表示操作ユニット23のスイッチ26が構成される。
【0038】
操作パネル29は意匠やエンボス加工され、操作部62が蓋体12の上面前側に配置されている。また操作パネル29には、各スイッチ26に対応してスイッチ26の名称などを印刷すると共に、LCD24が配置される表示部61上には意匠の印刷が無い透明窓部68を形成している。この透明窓部68の下方にタッチセンサ30を配置し、LCD24に表示された炊飯コースなどの表示体の上で、非押動型の操作部62となるタッチセンサ30に触れることで、タッチキーとしての操作を可能にしている。なお、上述の表示部61や操作部62を含む表示操作ユニット23は、蓋体12の上面にではなく、胴体3の前面に設ける構成としてもよい。
【0039】
63は、蒸気口51の真横に配置されるように設けられ、当該蒸気口51の上に物があるかを監視する蒸気口監視手段である。本実施形態の蒸気口監視手段63は光電センサを採用しており、蒸気口51上の、例えばタオルや布巾などの異物を検知するように設けられている。
【0040】
蒸気口監視手段63の種類は、図3(A)に示されるように透過型でもよく、図3(B)に示されるように回帰反射型でもよく、図3(C)に示されるように拡散反射型でもよく、特に限定されない。蒸気口監視手段63が(A)透過型の場合は、通常、投光器からの赤外線などの光Lを受光器で検出しており、これらの蒸気口監視手段63の間に異物があると、光Lを異物が遮ってしまい受光器で光Lを検出できなくなるため、蒸気口51上に異物があることを検出できる構成になっている。蒸気口監視手段63が(B)回帰反射型の場合は、通常、投受光器からの光Lが反射体で反射され、戻ってくる光Lを投受光器で検出しており、これらの蒸気口監視手段63の間に異物があると、光Lを異物が遮ってしまい投受光器で光Lを検出できなくなるため、蒸気口51上に異物があることを検出できる構成になっている。
【0041】
図4は、蒸気口監視手段63が(C)拡散反射型の場合における異物の検出について示している。蒸気口監視手段63が(C)拡散反射型の場合は、(A)透過型や(B)回帰反射型と異なり、通常、近接センサから照射される光Lが近接センサで検出されない。その一方で、図4に示されるようにタオルや布巾などの異物が、近接センサ近傍で光Lが当たる場所に存在すると、異物により光Lが反射し、この反射光を近接センサで検出することにより、蒸気口51上に異物があることを検出できる構成になっている。
【0042】
図5は、内釜1の部分拡大図、図6は炊飯前の、含水率15%のお米100g、炊飯時の水の蒸発量60ml、炊上げ重量比が2.3(2.2~2.4)である場合の、炊飯後の、含水率63%のご飯の成り立ちを示すイメージ図、図9は炊上り重量比と食味性との関係を示す表である。
【0043】
被調理物が接する内釜1の内面には、内釜6内に投入した液体である水Wの量の目安となる液位表示部として、好ましくは数字や文字が併記される水位線1Aが印刷形成されている。水位線1Aは、刻印により内釜1の内側の側面1D(図7参照)に凹凸が形成されたもの、および/または内釜6の内表面とは異なる色で印刷されたものなどからなる。
【0044】
ユーザは水加減の決定に関し、米Rが入れられた内釜1に対して、水位線1Aをガイドにして水Wを投入することにより被炊飯物の水位を合わせているが、ユーザの好みにより、水位線1Aの中心、水位線1Aの下側、または水位線1Aの上側を目安にして水位を合わせることにより、好みの水加減を行なうことが一般的である。そのため本実施形態では、水位線1Aの上下幅を、例えば0.4mm~1.0mmの間など、所定の幅を持たせて設定している。
【0045】
ここで本実施形態では、例えば1カップ以下などの少ない炊飯量で使用する水位線1Aの上下幅W1を、例えば0.4mm~0.6mmのような、所定の幅において小さい値を採用している。また、例えば3カップ前後などの中間の炊飯量で使用する水位線1Aの上下幅W2を、例えば0.6mm~0.8mmのような、所定の幅において中間近傍の値を採用しており、同様に、例えば4カップ以上などの多い炊飯量で使用する水位線1Aの上下幅W3を、例えば0.8mm~1.0mmのような、所定の幅において大きい値を採用している。そのため水位線1Aの幅は、W1<W2<W3となり、内釜1の底面1C側から上に行くに従い水位線1Aの幅が広くなり、内釜1の上端1Bに最も近い位置にある水位線1Aの幅W3が最も広くなる構成としている。
【0046】
図6を参照して炊上げ重量比について説明すると、炊上げ重量比は「炊飯後のご飯の重量/炊飯前の生米(お米R)の重量」で計算されるものである。なお炊飯時の蒸発量(図6の実施例では60ml)は、主に被炊飯物を沸騰させている時間に左右されるものであるが、ここでは被炊飯物の量の多少に関わらず同程度であることを前提にし、また水位線1Aの上下幅がすべて1.0mmであることを前提にして説明する。
【0047】
図6の実施例において、炊飯時に必要な被炊飯物としてのお米R+水Wの重量は、(お米R100g×炊上げ重量比2.3)+(水の蒸発量60g)=お米R+水Wで290gと計算される。なお、お米Rが500gの場合における炊飯時に必要なお米R+水Wの重量は、(お米R500g×炊上げ重量比2.3)+(水の蒸発量60g)=お米R+水Wで1210gと計算される。
【0048】
ここで、水位線1Aの上側および下側を目安にして水位を合わせたときの水量の差について着目すると、水Wの水位1mm当りの水量の変動は、内釜1の内径が、例えば略200mmのときには略31mlと計算される。そのため水位線1Aの上下幅が1mmの場合、水位線1Aの上側に合わせた場合と水位線1Aの下側に合わせた場合とで、水Wの量が略31ml違うことになる。
【0049】
ここで、上述したお米Rが500gの場合に水位線1Aの下側に合わせて水Wの水位が合わせられていたと仮定すると、お米Rが500gで水位線1Aの上側に水位を合わせた場合における炊飯後のご飯の重量は、お米R+水Wで1210g+上述の水Wの量の差31g(31ml)=1241gと計算される。そのため、炊飯時の蒸発量が60mlのまま不変であるとすると、このときの炊飯後のご飯の重量は、お米R+水W1241g-炊飯時の蒸発量60g(60ml)=1181gと計算され、このときの炊上り重量比は、1181g/500g=2.362と算出される。したがって、水位線1Aの下側に水Wの水位を合わせた場合の炊上り重量比が2.3であるのに対し、水位線の上側に水Wの水位を合わせた場合の炊上り重量比が2.362であり、お米Rが500gの場合、水位線1Aの上側に合わせたときのご飯は、水位線1Aの下側に合わせたときのご飯と比較して、(2.362-2.3)/2.3の略2.7%含水量が増加している。
【0050】
同様に、上述したお米Rが100gの場合に水位線1Aの下側に合わせて水Wの水位が合わせられていたと仮定すると、お米Rが100gで水位線1Aの上側に水位を合わせた場合における炊飯後のご飯の重量は、お米R+水Wで290g+上述の水Wの量の差31g=321gと計算され、このときの炊飯後のご飯の重量は、お米R+水W321g-炊飯時の蒸発量60g=261gと計算され、このときの炊上り重量比は、261g/100g=2.61と算出される。したがって、水位線1Aの下側に水Wの水位を合わせた場合の炊上り重量比が2.3であるのに対し、水位線の上側に水Wの水位を合わせた場合の炊上り重量比が2.61であり、お米Rが100gの場合、水位線1Aの上側に合わせたときのご飯は、水位線1Aの下側に合わせたときのご飯と比較して、(2.61-2.3)/2.3の略13.5%含水量が増加している。
【0051】
本願出願人は、標準的なお米および良質なお米を使用して、それぞれの炊上り重量比におけるご飯の食味について食味実験で調査した。その結果、図7に示されるような結果が得られた。ここで、図7の表に使用している記号について説明すると、食味について「×」が最も悪く、「×」→「▲」→「△」→「〇」の順に食味が良くなり、「〇」が最も食味が良いことを示している。
【0052】
図7の表に、お米Rが500gの場合および100gの場合で計算されたご飯の含水量を当てはめると、お米Rが500gの場合における炊上り重量比2.362は、お米Rが標準的なお米のときには「〇」~「△」、お米Rが良質なお米のときには「△」であり、可食範囲内と言える。その一方で、お米Rが100gの場合における炊上り重量比2.61は、お米Rが標準的なお米のときには「▲」、お米Rが良質なお米のときには「▲」であり、ご飯が柔らかすぎておかゆ状になってしまい、食味が悪くなってしまうと言える。このように、水位線1Aをガイドにして水Wを投入して被炊飯物の水位を合わせたときに生じる水Wの量のバラツキに対する、炊飯後のご飯への影響は、炊飯量が少ないほどご飯の含水率にバラツキが生じるため、影響が大きいという結果になった。
【0053】
本実施形態では、水位線1Aを上下に並べて複数設け、上に行くに従い当該水位線1Aの上下の幅が大きくなるように構成し、炊飯量が少ない方で使用する水位線1Aが、炊飯量が多い方で使用する水位線1Aと比較して、水位線1Aの上下幅を小さく構成している。そのため下側の水位線1Aに行くほど上下幅が小さくなり、水位線1Aの上側および下側を目安にして水位を合わせたときの水Wの量の変動が小さくなり、被炊飯物の炊飯量が少ないほど水位のバラツキを抑制することができる。したがって、ご飯の炊上り状態(含水量)の影響の度合いに応じた水位線1Aの上下幅にすることにより、被炊飯物の炊飯量が少ないほど炊飯後のご飯の含水率にバラツキが生じるということを抑制することができ、水位線1Aをガイドにして水Wを投入するときに、被炊飯物の炊飯量を変更した場合でも安定的に食味の良い炊飯を行なうことができる。
【0054】
なお、例えば1カップ(1合)に対応する水位線1Aおよび0.5カップ(0.5合)に対応する水位線1Aを、上下幅を0.5mmなどの狭い幅にし、1.5カップ(1.5合)以上に対応する水位線1Aは、すべて上下幅を0.8mmなどの広い幅にするように構成してもよい。また例えば、水位線1Aが、例えば六芒星形状などの見易い形状の記号化したアイコン表示部である場合は、複数設けられたアイコン表示部で、上に行くに従いアイコン表示部の上下寸法が小さくなるように構成してもよい。
【0055】
次に、上述の炊飯器100を含む炊飯器ユニットの電気的構成について、図8を参照して説明する。
【0056】
先ず、実質的な炊飯器となる炊飯器100の電気的構成から説明すると、制御部21は、マイクロコンピュータや、各種の情報やデータを記憶する読み出しおよび書き込みが可能なメモリなどの記憶手段71や、時刻や炊飯に関する計時を行なう計時手段72や、各部の駆動素子などを含んで構成される。制御部21の入力ポートには、スイッチ26やタッチセンサ30を含む操作部62と、内釜温度検知手段としての内釜温度センサ15と、蓋温度検知手段としての蓋温度センサ16と、蒸気口監視手段63と、蓋体12の開閉を検知する蓋開閉検知手段69と、送受信手段74と、撮影手段65とがそれぞれ電気的に接続される。また、制御部21の出力ポートには、LCD24やLED25を含む表示部61と、加熱手段としての加熱コイル14、コードヒータ7,18および蓋加熱手段17と、ソレノイド54と、送受信手段74と、減圧手段67と、がそれぞれ電気的に接続される。
【0057】
蓋開閉検知手段69は蓋体12の開閉を検知するものであり、蓋体12内のヒンジ部31近傍に設けられる。ここで蓋開閉検知手段63は、光学式、機械式、磁石式など、どのような検知方式のものでもよく、蓋体12の開閉に応じた検知信号を出力できればよい。また送受信手段74は、有線や無線のネットワーク網などの通信手段73を介して、ユーザが保有する情報端末81との情報の送受信を可能にするものである。
【0058】
遠隔操作体となる外部端末としての情報端末81は、炊飯器100とは別体の、例えばスマートフォンやタブレット端末などにより構成され、炊飯器100の表示操作ユニット23と同様に、LCDなどの画面表示を可能にする表示部82や、表示部82の表面に設けられたタッチセンサによる操作部83などを主に備えている。そして情報端末81の記憶媒体に、例えばアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムを記憶させ、当該情報処理プログラムを立ち上げることで機能させることにより、通信手段73を介して送受信手段74との情報の送受信を行なっている。なお情報端末81と炊飯器100は、通信手段73により直接送受信できる構成としてもよく、情報端末81と炊飯器100の送受信手段74を何れも通信手段73となるネットワークに接続し、そのネットワークに同じく接続する管理サーバ(図示せず)を介して、お互いが送受信できる構成としてもよい。また情報端末81の代わりに、例えばパソコンなどの、屋内などに設置されてネットワークに接続可能なものを外部端末として使用してもよい。
【0059】
制御部21は、内釜温度センサ15や蓋温度センサ16からの各温度検知信号と、蒸気口監視手段63からの信号と、操作部62からの操作信号を受けた表示・操作ユニット23からの信号と、情報端末81やサーバ101から送信されて送受信手段74で受信した情報と、を受けて、計時手段72からの計時に基づく所定のタイミングで、表示部61と、加熱コイル14と、コードヒータ7,18と、蓋加熱手段17と、ソレノイド54と、減圧手段67と、に制御信号を各々出力し、送受信手段74から情報を送信する機能を有する。こうした機能は、記憶媒体としての記憶手段71に記憶されたプログラムを制御部21が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、炊飯時に内釜1内の被炊飯物である米や水を炊飯加熱してご飯に炊き上げる炊飯制御手段75と、保温時に内釜1内の被炊飯物であるご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段76と、操作部62からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め設定された予約時刻に内釜1内の被炊飯物をご飯に炊き上げるように、炊飯制御手段75を制御する予約炊飯制御手段77として、制御部21を機能させるプログラムを備えている。特に本実施形態では、制御部21は、蒸気口監視手段63からの信号から異物を検知したと判定すると、スタートキー26Aや保温キー26Cからの操作信号を受けた表示・操作ユニット23からの信号を受信しても、炊飯制御手段75や保温制御手段76として機能せず、炊飯加熱や保温加熱をしないように構成される。
【0060】
炊飯制御手段75は、炊飯開始指示手段となるスタートキー26Aからの炊飯開始の指示を受けて、内釜1に投入した被炊飯物の中で米の吸水を促進させるひたし工程と、被炊飯物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる沸騰加熱工程と、被炊飯物の沸騰状態を継続させて、水の無いドライアップ状態にする沸騰継続工程と、ドライアップ状態になった被炊飯物を焦がさない程度の高温に維持して、ご飯に炊き上げるむらし工程の各工程を順に実行して、内部空間44に収容される被炊飯物を所望の圧力で炊飯加熱する炊飯工程を行なうものである。特に本実施形態では、炊飯器100で炊飯加熱が可能な全ての炊飯コースについて、表示部61や、加熱コイル14や、コードヒータ7,18や、蓋加熱手段17や、ソレノイド54を、各々どのように動作させるのかという制御パターンが記憶手段71に予め記憶保持されており、そくうまキー26Eやタッチパネル30への操作により、複数の炊飯コースの中からユーザが所望する任意の炊飯コースが設定、選択された後に、スタートキー26Aへの操作により炊飯開始が指示されると、その設定、選択された炊飯コースの設定を記憶手段71に記憶させると共に、当該炊飯コースの制御パターンを、炊飯制御手段75が記憶手段71から読み出して、表示部61や、加熱コイル14や、コードヒータ7,18や、蓋加熱手段17や、ソレノイド54や、ブザー75を適切に制御することにより、内釜1に入れられた被炊飯物への炊飯動作を行ないながら、表示部61からの表示やブザー75からの報知を行なう構成となっている。
【0061】
保温制御手段76は、内釜1内のご飯を所定の保温温度に保つように制御するもので、選択した炊飯コースに拘わらず、炊飯制御手段75による被炊飯物への炊飯加熱が終了すると、自動的に保温制御手段76による保温が行われる構成となっている。また保温制御手段76は、保温中に保温キー26Cが操作されると、内釜1内のご飯が保温温度よりも一時的に高くなるように、加熱コイル14の動作を制御する再加熱の機能を有する。さらに、炊飯器100に電源を投入した直後の切状態で、保温キー26Cが操作された場合にも、保温制御手段76により内釜1に入れられた被炊飯物を保温できるようになっている。
【0062】
予約炊飯制御手段77はタイマー機能を備え、操作部62への操作により、炊飯終了時刻に相当する予約時刻や炊飯コースなどの予約炊飯の設定を行なって炊飯開始を指示すると、予約炊飯制御手段77は、設定された予約炊飯の設定を記憶手段71に記憶すると共に、タイマー機能により設定された予約時刻にご飯が炊き上がるように、予約時刻の所定時間前になると、炊飯制御手段75により炊飯を自動的に開始させ、予約時刻には被炊飯物がご飯に炊き上がって、炊飯が終了して保温工程に移行するように制御する予約炊飯工程を行なうものである。本実施形態では、制御部21に内蔵する計時手段72が現在時刻をカウントして、現在時刻が設定された予約時刻に達したときに炊飯が終了するように、予約炊飯制御手段77が炊飯制御手段75による炊飯加熱の動作を制御するが、操作部62への操作により炊飯開始を指示したときに、現在時刻から設定された予約時刻までの間の予約時間が、予め選択された炊飯コースに応じた予約可能時間(例えば60分~65分)よりも短い場合には、炊飯制御手段75が設定された予約時刻を受け付けずに、直ちに炊飯加熱の動作を開始する。つまり予約炊飯制御手段77は、現在時刻から設定された予約時刻までの間の予約時間が、炊飯コースに応じて予め設定された予約可能時間以上である場合にのみ、炊飯制御手段75により予約時間後(すなわち予約時刻)に、被炊飯物をご飯に炊き上げる構成となっている。
【0063】
図9は、本発明の一実施形態における炊飯器システムの全体構成を概略的に示したものである。同図において、家屋H(同図には記載せず)内に設置された炊飯器100が、インターネットなどの通信手段73へのアクセス手段となるアクセスポイント(図示せず)を経由して、通信手段73に接続するクラウド上のサーバ91との間で、相互に各種データのやり取りを行なう構成となっている。
【0064】
情報端末81は通信手段73へのアクセス手段としての機能を有し、アクセスポイントを経由して、情報端末81とサーバ91との間で、相互に各種データのやり取りを行なう構成となっている。また情報端末81は、例えばBluetoothなどの通信方式で、通信手段73を介さずに、炊飯器100との間で相互に各種データのやり取りを直接行なうこともできるように構成されている。
【0065】
図10は、情報端末81の主な電気的構成を示している。同図において、84はマイクロコンピュータにより構成される端末制御手段であり、この端末制御手段84は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、メモリなどの記憶手段88や、計時手段としてのタイマーや、入出力デバイスなどを備えている。端末制御手段84の入力ポートには、操作部83と、通信モジュール85と、撮影手段89とがそれぞれ電気的に接続され、端末制御手段84の出力ポートには、表示部82と、通信モジュール85と、撮影手段89とがそれぞれ電気的に接続される。撮影手段89は、被撮影物の形状や色を認識できる撮像素子のカメラなどから構成され、先端部にレンズ(図示せず)を備えているものである。
【0066】
端末制御手段84は、操作部83からの操作信号を受けて、通信モジュール85から取り込んだ情報に基づき、計時手段からの計時に基づく所定のタイミングで、表示部82に表示用の制御信号を出力し、撮影手段89に撮影用の制御信号を出力して撮影手段65から情報を取得し、またサーバ91に情報を送信する機能を有する。こうした機能は、記憶媒体としての記憶手段88に記録したプログラムを、端末制御手段84が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、端末制御手段84を通信制御部86と、表示制御部87と、映像処理部90として主に機能させるプログラムを備えている。
【0067】
通信制御部86は、主に通信モジュール85に関わる動作を制御するもので、必要に応じて通信モジュール85を動作させることにより、端末制御手段84から通信手段73を介して、炊飯器100やサーバ91に各種情報やデータを送り出したり、逆に炊飯器100やサーバ91から通信手段73を介して、端末制御手段84にレシピ情報を含む各種情報やデータを取り込んだりする機能を有する。また通信手段73を介さずに炊飯器100との間で相互に各種データのやり取りを直接行なう場合も同様に、必要に応じて通信モジュール85を動作させることにより、端末制御手段84から炊飯器100に各種情報や指示を送り出したり、炊飯器100から各種情報や指示を取り込んだりする機能を有する。
【0068】
表示制御部87は、主に表示部82の表示に関わる動作を制御するもので、表示部82に様々な画面を切換えて表示させる機能を備えている。特に本実施形態では、炊飯器100からの内釜1内の映像データを受信すると、表示制御部87がその映像データを表示部82に表示させる構成となっている。
【0069】
映像処理部90は、撮影手段65との間でデータのやり取りを行なうことで、撮影手段65から取り込んだ内釜1内部の静止画や動画による映像データを適宜処理するものである。特に本実施形態の映像処理部90は、撮影手段89から取り込んだ映像を記憶手段88に記憶させ、その後で情報端末81の操作部83を操作することにより、記憶手段88に記憶された映像を読み出して、サーバ91に転送する構成となっている。
【0070】
図11は、情報処理装置の一例となるサーバ91の主な電気的構成を示している。同図において、92はマイクロコンピュータにより構成されるサーバ制御手段であり、このサーバ制御手段92は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、計時手段としてのタイマーや、入出力デバイスなどを備えている。サーバ制御手段92の入力ポートには、炊飯器システムの管理者からの操作を可能にする操作部93と、通信手段73への接続を可能にする通信モジュール94がそれぞれ電気的に接続され、サーバ制御手段92の出力ポートには、通信モジュール94と、画面表示が可能な表示部95がそれぞれ電気的に接続される。サーバ通信手段となる通信モジュール94は、通信手段73を介して炊飯器100や情報端末81との通信を可能にする送受信部として、サーバ91に搭載される。
【0071】
サーバ制御手段92は、記憶媒体としての前記メモリに記憶したプログラムを読み取ることにより、炊飯メニュー情報提供部96や、映像処理部97として主に機能する構成を有する。またサーバ制御手段92に内蔵するメモリには、こうしたプログラムとは別に、サーバ92に接続可能な炊飯器100に関する炊飯メニューの情報を記憶保存する全メニュー情報記憶部98と、情報端末81から送信された映像データを当該情報端末81と関連付けて記憶する映像データ記憶部99がそれぞれ設けられる。なお、ここでいう炊飯メニューの情報とは、その炊飯メニューで被炊飯物を炊飯加熱でき、炊飯されたご飯を保温加熱できる炊飯器100に対して、被炊飯物の炊飯加熱や保温加熱に必要な加熱の種類や加熱条件などの調理用情報を含んでいる。
【0072】
炊飯メニュー情報提供部96は、通信手段73を介してサーバ91にアクセスが可能な炊飯器100に対して、全メニュー情報記憶部98に記憶する全ての炊飯メニュー情報の中から、一乃至複数の炊飯メニュー情報を抽出して送信するものである。制御部21が当該炊飯メニュー情報を送受信手段74により受け取ると、炊飯制御手段75が、この炊飯メニュー情報を基にして、内釜1内の被炊飯物である米や水を炊飯加熱する構成としている。
【0073】
映像処理部97は、情報端末81から送信された映像データを、当該情報端末81と関連付けて映像データ記憶部99に記憶させ、この映像データを映像データ記憶部99に記憶している過去の映像データと比較することにより、内釜1内の水位、すなわち水Wの量を判定するものである。炊飯メニュー情報提供部96は、当該判定に基づいて炊飯器100に対して適切な炊飯メニュー情報を全メニュー情報記憶部98から抽出して炊飯器100に送信している。
【0074】
なお、サーバ制御手段92は、ユーザが保有する情報端末81と炊飯器100とを関連付けて記憶する機器情報登録部や、管理者による操作部93からの操作入力により、全メニュー情報記憶部98には記憶登録されていない新たなメニュー情報を、全メニュー情報記憶部98に追加で記憶登録させたり、全メニュー情報記憶部98に記憶登録されているメニュー情報を、一部変更して全メニュー情報記憶部98に上書き更新させたりするメニュー情報登録部として機能する構成を有してもよい。また本実施形態のサーバ91は、管理者が操作部93からの操作により、全メニュー情報記憶部98に記憶登録されたメニュー情報を管理する管理装置を兼用するが、操作部93や表示部95を含む管理装置をサーバ91とは別体に設け、これを通信手段73に通信可能に接続して、管理装置とサーバ91との間で各種情報やデータのやり取りを行なう構成としてもよい。
【0075】
次に図12および図13を参照しつつ、上記構成の炊飯器システムについて、特に遠隔操作で炊飯を行なう際の作用を詳しく説明する。なお、ここからは説明の都合上、遠隔操作による炊飯に関する説明についてのみ言及する。ここで図12は、(A)情報端末81で情報処理プログラムを立ち上げたときの情報端末81の上面図、(B)(A)で炊飯開始、予約開始または予約変更の操作をした際に、蒸気口監視手段63で異物を検知したときの情報端末81の上面図であり、図13は、本実施形態の炊飯器100の炊飯工程における、内釜温度センサ15の検知温度tと、蓋温度センサ16の検知温度tと、加熱コイル14の出力Wと、蓋加熱手段17の出力Wとの経時的な推移を示したグラフである。
【0076】
先ず遠隔操作による炊飯開始までの炊飯器100および情報端末81の動作を説明すると、先ず蓋体12を開けた後に、胴体3の内釜収容部6から内釜1を取り出して洗い場に持っていき、内釜1内に被炊飯物、例えば白米を炊飯する場合はお米Rと水Wを投入する。次に洗い場で洗米を行ない、水位線1Aを参考にしてお米Rの投入量に見合う量の水Wを内釜1に入れて水加減を行ない、洗い場から胴体3の内釜収容部6にお米Rと水Wを入れた内釜1を再びセットする。
【0077】
ここでユーザが、情報端末81の操作部83を操作して、撮影手段89により内釜1内の水位線1Aやお米Rと水Wを含む映像を撮影すると、映像処理部90は、撮影手段65から取り込んだ映像データを記憶手段88に記憶させる。なお、情報端末81で情報処理プログラムを立ち上げたときに撮影手段89が使用可能になるように構成してもよく、映像の撮影後、撮影した映像データを自動的にサーバ91に送信されるように映像処理部90や情報処理プログラムを構成してもよい。
【0078】
その後、蓋体12を閉じ、それと前後して炊飯器100の電源プラグをコンセントに差し込んで通電すると、炊飯器100は炊飯工程や保温工程が行われていない初期の切(待機)状態となる。そして、このときに操作部62により炊飯コースの選択、設定を行なうと、これらの炊飯コースの設定が記憶手段71に記憶される。
【0079】
ここでユーザが情報端末81の操作部83を操作して情報処理プログラムを立ち上げると、情報端末81から通信手段73を介して炊飯器100に遠隔操作信号が送出される。そして制御部21が、送受信手段74を介してこの遠隔操作信号を受信すると、制御部21は、炊飯器100が、炊飯工程や保温工程が行われておらず、蓋体12が閉められた切状態であるか否かを判定する。制御部21は、炊飯器100が切状態ではないと判定すると、通信手段73を介して情報端末81に遠隔操作炊飯拒否の信号を送出し、この遠隔操作炊飯拒否の信号を受けた情報端末81は、ユーザに遠隔操作で炊飯を開始することができない旨の報知を、例えば表示部82や図示しないスピーカなどで行なう。その一方で制御部21は、炊飯器100が切状態であると判定すると、通信手段73を介して情報端末81に、遠隔操作炊飯許可の信号を送出する。
【0080】
情報端末81がこの遠隔操作炊飯許可の信号を受信すると、例えば図13(A)に示されるように、表示制御部87は、例えば記憶手段71に記憶された予約時刻を表示する炊上り予約時刻の表示体D1や、記憶手段71に記憶された予約時刻の設定を変更する際に操作される「予約時刻変更」のボタン表示体D2や、遠隔操作でタイマー予約による予約炊飯を開始する際に操作される「予約開始」のボタン表示体D3や、遠隔操作での炊飯を開始する際に操作される「炊飯開始」のボタン表示体D4を表示する遠隔操作画面G1を表示するように表示部82を制御して、ユーザに遠隔操作で炊飯を開始することができる旨の報知を行なう。また、例えば図示しないボタン表示体をタッチ操作するなどで、表示部82の画面を、受信した映像データの画面に切替えることができ、蓋体1を閉じる直前の内釜1内の被炊飯物を確認することができる。なお、これらの構成や表示部82の表示は一例であり、本発明はこれらに限定されない。
【0081】
表示部82の画面が遠隔操作画面G1のときに、ボタン表示体D2~D4、例えば「炊飯開始」のボタン表示体D4をタッチ操作すると、情報端末81から通信手段73を介して炊飯器100に遠隔操作信号、例えば遠隔操作での炊飯開始の信号が送出される。そして制御部21が、送受信手段74を介してこの遠隔操作信号を受信すると、制御部21は、蒸気口監視手段63からの検知信号により蒸気口51上の異物を検知しているか否かを判定する。制御部21は、蒸気口監視手段63が異物を検知していると判定すると、通信手段73を介して情報端末81に異物検知の信号を送出し、この異物検知の信号を受けた表示制御部87は、例えば図13(B)に示されるように、情報端末81の表示部82に、「炊飯できません」のテキスト表示要素D5や、「蒸気口が塞がっています」のテキスト表示要素D6や、タオルや布巾が原因で遠隔操作不可であることを連想させるタオルや布巾および禁止マークの表示体D7を表示する異物検知画面G2を表示するように表示部82を制御して、ユーザに異物検知が原因で遠隔操作を開始することができない旨の報知を行なう。なお、これらの表示部82の表示は一例であり、本発明はこれらに限定されない。
【0082】
その一方で制御部21は、蒸気口監視手段63が異物を検知していないと判定すると、通信手段73を介して情報端末81に遠隔操作炊飯開始の信号を送出する。情報端末81がこの遠隔操作炊飯開始の信号を受信すると、記憶手段88に記憶された映像データを、通信手段73を介してサーバ91に送出する。サーバ制御手段92が、通信モジュール94によりこの映像データを受信すると、映像処理部97は、当該映像データを、情報端末81と関連付けて映像データ記憶部99に記憶させる。そして映像処理部97は、受信した映像データから内釜1のお米Rの量や炊飯量や水Wの水加減状態を推定する。
【0083】
具体的には、映像処理部97は、映像データの画像を画像認識データとして処理し、水位線1Aに併設された炊飯量を示す数値によりお米Rの量や炊飯量を推定し、水位線1Aに対する水Wの水位の位置により水加減を推定している。映像処理部97は、サーバ91に備えた専用アプリケーションに格納されたプログラムを機能させることで、このような処理を可能としている。
【0084】
また映像処理部97は、サーバ91のAI(Artificial Intelligence:人工知能)機能を用いて、映像データ記憶部99に記憶された過去の映像データから炊飯器100のユーザの日常的な水加減の傾向を推定し、当該日常的な水加減の傾向と、今回受信した映像データの水加減とを比較して差異、すなわち水位差を検出する。そして映像処理部97は、当該水位差が所定の値を超えたと判定した場合、情報端末81に、被炊飯物の水の量が過去の水の量と相違している旨、すなわち内釜1内の水加減が過去の水加減と相違している旨の情報を送信する。当該情報を受けた表示制御部87は、情報端末81の表示部82に、内釜1内の水加減が過去の水加減と相違している旨を表示するように表示部82を制御して、ユーザに報知を行なう構成としている。そのため、今回の水加減が日常的な水加減と差異があることをユーザが把握することができ、普段と異なる水加減で炊飯してしまう虞を抑制することができる。
【0085】
炊飯メニュー情報提供部96は、映像処理部97により推定されたお米Rの量や炊飯量や水Wの水加減状態に基づいて、当該お米Rの量や炊飯量や水Wの水加減状態における加熱コイル14などの適切な加熱量および加熱パターンが設定された炊飯メニュー情報を全メニュー情報記憶部98から抽出する。例えば、映像処理部97が水位線1Aに対して水Wが少ないと推定した場合、炊飯メニュー情報提供部96は、例えば加熱コイル14において、沸騰加熱工程で通常1000Wで加熱しているところを800Wで加熱するなど沸騰までの加熱量を少なくし、また沸騰継続工程や高温維持工程で通常500Wで加熱しているところを400Wで加熱するなど沸騰後の加熱量を通常より少なくする加熱量および加熱パターンが設定された炊飯メニュー情報を全メニュー情報記憶部98から抽出する。その逆に、映像処理部97が水位線1Aに対して水Wが多いと推定した場合、炊飯メニュー情報提供部96は、例えば加熱コイル14において、沸騰加熱工程で通常1000Wで加熱しているところを1200Wで加熱するなど沸騰までの加熱量を多くし、また沸騰継続工程や高温維持工程で通常500Wで加熱しているところを600Wで加熱するなど沸騰後の加熱量を通常より多くする加熱量および加熱パターンが設定された炊飯メニュー情報を全メニュー情報記憶部98から抽出する。
【0086】
炊飯メニュー情報提供部96は、全メニュー情報記憶部98から炊飯メニュー情報が抽出されると、通信手段73を介して炊飯器100に当該炊飯メニュー情報を送出する。制御部21が送受信手段74によりこの炊飯メニュー情報を受信すると、受信した炊飯メニュー情報を今回の炊飯メニューの設定として記憶手段71に記憶し、炊飯制御手段75は、設定した炊飯メニューの加熱パターンに沿って、内釜1内の被炊飯物に対するひたし工程、沸騰加熱工程、沸騰継続工程、高温維持工程の各工程を順に実施する炊飯工程を開始する。
【0087】
炊飯工程が開始されるとひたし工程に移行し、ひたし工程中では内釜1内の圧力が大気圧よりも低い減圧状態となるように、炊飯制御手段75が、ソレノイド54や減圧手段67の動作を各々制御する。具体的には、ひたし炊き工程が開始されると、炊飯制御手段75はソレノイド54を非通電状態から通電状態に切替えて、調圧弁46で調圧孔49を閉塞することにより蒸気通路59を閉塞する。そしてこの状態で、炊飯制御手段75は、減圧手段67の経路を開放すると共に、減圧ポンプ68を連続動作させ、密閉した内釜1の内部の空気を減圧ポンプ68で抜き取る真空引きを行なう。その後、炊飯制御手段75は、内釜1内部の圧力が一定値以下になる減圧状態で維持されるように減圧ポンプ68を制御する。こうして、ひたし工程の全期間に亘って、内釜1内部を減圧状態に保っている。
【0088】
またひたし工程中では、炊飯制御手段75は、内釜温度センサ15による内釜1の底部の温度検知に基づき加熱コイル14を通断電制御して内釜1を加熱する制御を行なう。ここで炊飯制御手段75は、米の吸水を促進させると同時に所定の温度になるまでの時間や加熱量から内釜1内の被炊飯物の炊飯量を算出するように構成してもよい。その後、炊飯制御手段75は、内釜温度センサ15による内釜1の底部の温度検知に基づき所定の出力で内釜1を加熱し、例えば45~55℃など所定の温度に維持するように加熱コイル14を制御してお米Rの吸水を促進させる。ここで炊飯制御手段75は、炊飯工程全般に亘って、被炊飯物の炊飯量が多い場合は加熱量を増加させ、被炊飯物の炊飯量が少ない場合は加熱量を減少させる構成としているが、ひたし工程の加熱時における内釜温度センサ15による内釜1の底部の温度検知に基づき内釜1内の被炊飯物の炊飯量を推定するように構成してもよい。ひたし工程に移行してから所定の時間が経過するとひたし工程が終了し、次の沸騰加熱工程に移行する。
【0089】
沸騰加熱工程に移行すると、被炊飯物の沸騰検知を行なうまでの加熱で、炊飯制御手段75は、加熱コイル14や蓋加熱手段17を連続通電する制御を行なうことにより、ひたし工程よりも内釜1内の被炊飯物を強く加熱し、被炊飯物の温度を短時間で沸騰温度まで上昇させる。また炊飯制御手段75は減圧ポンプ68の動作を停止させ、減圧手段67の経路を閉塞させて、ソレノイド54を一時的に非通電状態にして調圧弁46を退避させるように制御する。これにより蒸気通路59は、内釜1の内外を密閉せずに連通させた開放状態となり、内釜1内部は直ちに外気と同じ常圧に戻る。その後、炊飯制御手段75がソレノイド54を短時間で通電状態に切替え、内釜1の内部を再び密閉した状態にすると、引き続き、内釜1内部で被炊飯物を強く加熱しているため内釜1内部で加圧される。
【0090】
その後、炊飯制御手段75は、内釜温度t1が所定温度以上、例えば90℃以上になったことを内釜温度センサ15からの温度検知信号により検出し、それに加えて蓋温度tが所定温度以上、例えば90℃以上になったことを蓋温度センサ16からの温度検知信号により検出すると、被炊飯物の加圧状態での沸騰を検知する沸騰検知の制御を開始する。炊飯制御手段75が、引き続き、加熱コイル14や蓋加熱手段17を連続通電する制御を行なって内釜1内部で被炊飯物を強く加熱する一方で、内釜温度センサ15の検知温度や蓋温度センサ16の検知温度が所定の時間にどの程度上昇するのかという検知温度の傾きを算出する。
【0091】
具体的には、炊飯制御手段75が、内釜温度センサ15の検知温度から内釜1の底部の温度である内釜温度tの上昇が、例えば120秒で3℃以下など所定の温度上昇率以下になったと算出したら、図12のaに示されるように内釜温度t1の温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判定する。また炊飯制御手段75が、蓋温度センサ16の検知温度から内蓋36の温度である蓋温度tの上昇が、例えば60秒で1℃以下など所定の温度上昇率以下になったと算出したら、図12のbに示されるように蓋温度tの温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判定する。なお、これらの沸騰を検知するための内釜温度tや蓋温度tの所定の温度上昇率は、被炊飯物の炊飯量に応じてそれぞれ調節され、設定されてもよく、被炊飯物の炊飯量をひたし工程で推定するように構成してもよい。
【0092】
炊飯制御手段75が内釜温度tの温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判定し、かつ、蓋温度tの温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判定した時点で、炊飯制御手段75は、被炊飯物の沸騰を検知したとして記憶手段71に沸騰検知した内釜温度tの温度STおよび沸騰検知した時間を記憶する。被炊飯物の沸騰を検知すると、次の沸騰継続工程に移行する。なお炊飯制御手段75が内釜温度tの温度上昇率の変化による沸騰または蓋温度tの温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判定した時点で、被炊飯物の沸騰を検知したと判定するように構成してもよい。
【0093】
沸騰継続工程に移行すると、炊飯制御手段75は、内釜温度センサ15の検知温度から内釜温度tが、例えば98℃以上など所定の温度を維持するように加熱コイル14や内蓋リングヒータ20の通断電制御を行なうと共に、蓋温度センサ16からの検知温度から蓋温度tが、例えば98℃以上など所定の温度を維持するように蓋加熱手段17を連続通電する制御を行ない、被炊飯物の沸騰状態を継続させる。なお、沸騰加熱工程から沸騰継続工程に移行しても、必ずしも加熱コイル14や蓋加熱手段17の加熱量を減少させる必要はなく、炊飯量や炊飯コースに応じて加熱量が設定されるように構成してもよい。
【0094】
また炊飯制御手段75は内釜1内を常圧と大気圧よりも高い圧力Pとの間に繰り返し変化させるために、ソレノイド54を周期的に通断電制御して、調圧弁46で蒸気通路59を周期的に開閉している。そして炊飯制御手段75は蓋加熱手段17を通断電制御して温度管理を行ない、内蓋36への露付きを防止する。
【0095】
炊飯制御手段75は、沸騰継続工程で内釜1内部の水が無くなり、内釜温度センサ15の検知温度の上昇が、例えば10秒で0.5℃以上など所定の温度上昇率以上になったと算出したら、図12のcに示されるように、ドライアップを検知して内釜1内部の被炊飯物の炊き上がりを検知したと判定する。被炊飯物の炊き上がりを検知すると沸騰継続工程が終了し、次の高温維持工程に移行する。
【0096】
高温維持工程中は、炊飯制御手段75が蓋温度センサ16の検知温度により、蓋加熱手段17を通断電制御して温度管理を行ない、内蓋36への露付きを防止すると共に、内釜1内部のご飯が焦げない程度に高温が保持されるように、加熱コイル14を通断電制御して内釜1の底部の温度を管理する。ここで炊飯制御手段75は、沸騰検知した時間である[A]蒸気発生から、被炊飯物の炊き上がりを検知した時間までを算出し、当該時間に基づいて被炊飯物の米の吸水性を判定し、沸騰継続工程で判断した被炊飯物の米の吸水性と比較して相違していた場合は今回判断した米の吸水性の設定に変更して以降の炊飯工程の動作を行なう。例えば、当該時間が4分など所定時間以下の場合、炊飯制御手段75は、加熱過多または米の吸水特性が良いと判定し、その一方で、当該時間が6分など所定時間以上の場合、炊飯制御手段75は、加熱不足または米の吸水特性が悪いと判定する。
【0097】
そして[A]蒸気発生から[B]炊上りまでの時間、すなわち沸騰継続工程+高温維持工程の時間である[C]蒸発期間が、高温維持工程で判断した被炊飯物の米の吸水性に基づいて設定される。この[C]蒸発期間は、何れの炊飯量でも、例えば20分など一定の時間に設定され、また被炊飯物の米の吸水性が悪くなるに従って長くなるように設定されている。このように構成することにより、炊飯工程における[C]蒸発期間でご飯に吸収されない水分が蒸発し、炊飯量の多少に関わらず、ご飯に吸収されない水分量を略同程度の状態にすることができ、また米が糊化するための温度である98℃以上の時間を、例えば20分など一定時間確保して、お米Rを完全に糊化させることができる。なお制御部21は、[C]蒸発期間が設定されたときに炊飯完了までの残時間をLCD24に表示して、炊飯完了までカウントダウン表示するように構成してもよく、また炊飯完了の所定時間前に点滅表示させるようにLED25を制御する構成にしてもよい。
【0098】
高温維持工程中は、炊飯制御手段75は、沸騰加熱工程や沸騰継続工程よりも加熱コイル14や内蓋リングヒータ20の加熱量を減少させ、記憶手段71に記憶した内釜温度t1の沸騰検知したときの温度STを基準にして、内釜温度センサ15による温度検知に基づき加熱コイル14の通断電制御を行ない、例えば内釜温度tが温度ST未満であることを検知したときに内釜1を加熱し、内釜温度tが温度ST以上であることを検知したときに内釜1の加熱を停止、または加熱量を減少させるように加熱コイル14の制御を行なう。このように構成することにより、沸騰状態と略同一温度に維持して、ご飯の米粒間、内釜1の鍋肌、内蓋36などに付着した水分を蒸発させることができる。なお加熱コイル14の出力や加熱コイル14の通断電制御時の内釜温度tは、選択された食感の設定など炊飯メニューや炊飯量に基づいて設定されるように構成してもよい。例えば「ふっくら」などの食感の炊飯メニューが選択されたときに、加熱コイル14の出力を所定の割合だけ小さくし、内釜温度tが温度ST-2℃未満など温度STから所定の温度だけ低いことを検知したときに内釜1を加熱し、内釜温度t1が当該温度以上であることを検知したときに内釜1の加熱を停止するように加熱コイル14の通断電制御し、その逆に、例えば「しゃっきり」の食感の炊飯メニューが選択されたときに、加熱コイル14の出力を所定の割合だけ大きくし、内釜温度tが温度ST+2℃未満など温度STから所定の温度だけ高いことを検知したときに内釜1を加熱し、内釜温度t1が当該温度以上であることを検知したときに内釜1の加熱を停止するように加熱コイル14の通断電制御するように構成してもよい。
【0099】
炊飯制御手段75は、高温維持工程で蓋加熱手段17を通断電制御して温度管理を行なっているが、内釜1内の水が蒸発して蒸発水分量は減少するため、内蓋36への結露水は減少し、従って蓋加熱手段17の加熱により内蓋36の蓋温度tが上昇する。そして炊飯制御手段75は、図12のdに示されるように蓋温度センサ16の検知温度が所定のドライアップ温度に達すると、出力を小さくして加熱量を減じるように蓋加熱手段17を制御し、内釜1内のご飯の焦げ付きを防止する。なお炊飯制御手段75は、内釜温度センサ15の検知温度がドライアップ温度cに達した時間から蓋温度センサ16の検知温度がドライアップ温度dに達した時間までの時間を算出し、当該時間が、例えば3分など所定時間より大きく、所定時間以内に蓋温度センサ16の検知温度が所定のドライアップ温度dに達したことを検知できない場合は、加熱コイル14の出力を大きくして内釜1への加熱を強くするように加熱コイル14を制御してもよく、被炊飯物のご飯の米粒周囲の水分の蒸発を促進させて、水っぽいご飯の炊上がりを抑制することができる。炊飯制御手段75が[C]蒸発期間を経過したと判定すると、高温維持工程が終了して炊飯工程が完了し、被炊飯物が炊き立てになって次の保温工程に移行する。
【0100】
以上のように、本実施形態の炊飯器100は、外部装置としての情報端末81と通信可能な通信手段としての送受信手段74と、被炊飯物の炊飯を制御する制御手段としての炊飯制御手段75と、蒸気を機外へ放出する蒸気口51と、閉塞判定手段としての、蒸気口51の上に物があるかを監視する蒸気口監視手段63および蒸気口51の閉塞の有無を判定する制御部21と、を備え、制御部21が蒸気口51の閉塞を判定した場合には、情報端末81から炊飯開始の指示を受信しても、炊飯制御手段75は被炊飯物の炊飯を開始しない構成としている。
【0101】
このように構成することにより、蒸気口51が閉塞されたまま炊飯されることによる、蓋体12の異常な温度上昇や、被炊飯物としてのお米への加熱不足や、蓋体12上面に結露した水により炊飯器を設置した場所が汚れてしまうことなどのリスクを未然に防止し、安全性を向上させることができる。
【0102】
また本実施形態の炊飯器100の炊飯方法は、サーバ91の映像処理部97により、被炊飯物を収容する鍋としての内釜1に形成された水位線1Aおよび被炊飯物の水Wの水位の画像情報としての映像データに基づいて、被炊飯物の水加減を推定することにより判定するステップと、炊飯メニュー情報提供部96により、当該判定した水加減に基づく炊飯制御としての炊飯メニューを選択するステップと、炊飯制御手段75により、選択した炊飯メニューで被炊飯物を炊飯するステップと、を含む構成としている。
【0103】
このように構成することにより、映像データに基づいて映像処理部97が水加減を判定して炊飯メニュー情報提供部96が炊飯制御を選択するため、被炊飯物の水加減に合わせて適切に被炊飯物を炊飯することができる。また映像データがあるため、水加減についてユーザが映像データを確認することができ、遠隔操作で炊飯を開始する場合でも被炊飯物の水加減が適切であるかを確認することができる。
【0104】
また本実施形態の炊飯器100の炊飯方法は、映像処理部97により映像データ記憶部99に記憶させることで水加減を記憶するステップと、映像データ記憶部99に記憶された過去の映像データと、今回受信した映像データの水加減とを比較することにより、判定した水加減と映像データ記憶部99に記憶した過去の水加減とを比較するステップと、比較した水加減の差異が所定の値以上である場合にその旨の情報を情報端末81に送信して、当該情報端末81によりユーザに報知するステップと、を含む構成としている。
【0105】
このように構成することにより、今回の水加減が日常的な水加減と差異があることをユーザが把握することができ、普段と異なる水加減で炊飯してしまう虞を抑制することができる。
【0106】
また本実施形態の炊飯器100の炊飯方法は、水位線1Aが上下に並べて複数設けられ、上に行くに従い当該水位線1Aの上下の幅が広くなるように構成しており、水位線1Aをガイドにして水Wを投入するときに、被炊飯物の炊飯量を変更した場合でも安定的に食味の良い炊飯を行なうことができる。
【0107】
また本実施形態の炊飯器100の炊飯方法では、炊飯メニューの情報では、炊飯工程において被炊飯物に含まれる水が蒸発する高温加熱工程としての沸騰継続工程+高温維持工程の時間である[C]蒸発期間を含み、[C]蒸発期間が何れの炊飯量でも一定である構成としている。そのため沸騰状態と略同一温度である温度STに維持して、ご飯の米粒間、内釜1の鍋肌、内蓋36などに付着した水分を蒸発させることができ、また米が糊化するための温度である98℃以上の時間を所定時間確保することができ、米を完全に糊化させることができる。
【0108】
図14は、本実施形態の変形例を示している。本変形例では、蒸気口監視手段63をカメラで構成し、制御部21は、このカメラの画像情報に基づいて蒸気口51の閉塞の有無を判定するようにしている。
【0109】
同図を参照して説明すると、本変形例の蒸気口監視手段63は、本実施形態と同様に蒸気口51の真横に配置されるように設けられているが、これは一例であり、蒸気口51が蒸気口監視手段63で撮影できる場所であり、当該映像データから蒸気口51近傍に異物があるかどうかや蒸気口51が閉塞されているかどうかを判定可能であれば蒸気口51の近傍に設置場所は限られない。また本変形例の蒸気口監視手段63は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)カメラを採用しているが、これは一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0110】
制御部21は、この蒸気口監視手段63が撮影した画像から蒸気口51近傍にタオルや布巾などの異物があるかどうかを監視し、また蒸気口51が閉塞されていないかを監視している。なお制御部21は、蒸気口監視手段63が撮影した映像データを画像処理し、画像の中からピクセル単位で特徴やパターンを抽出して蒸気口51近傍に異物があるかどうかや蒸気口51が閉塞されているかどうかを判定する画像認識の方法を採用してもよく、当該判定にAIなどを利用してもよい。また蒸気口監視手段63が撮影した映像データを、通信手段73を介して情報端末81に送出する構成にしてもよく、遠隔操作で映像データを見ることができ、炊飯器100の異常の有無を確認することができる。
【0111】
以上のように、本変形例の炊飯器100では、制御部21は、蒸気口監視手段63が撮影した画像情報としての映像データに基づいて蒸気口51の閉塞の有無を判定する構成としており、蒸気口51が閉塞されたまま炊飯されることによる上述したリスクを未然に防止し、安全性を向上させることができる。また当該映像データを情報端末81に送出する構成にしている場合は、遠隔操作で映像データを見ることができ、炊飯器100の異常の有無を確認することができる。
【0112】
図15は、本実施形態のさらなる変形例を示している。本変形例では、制御部21は、炊飯器100とは別に屋内Rに設けられたカメラの画像情報に基づいて蒸気口51の閉塞の有無を判定するようにしている。
【0113】
図14は、炊飯器100が設置された屋内Rに設けられた屋内カメラで屋内Rを撮影した映像データのイメージ図を示している。この屋内カメラは、例えば室内監視用IPカメラ、ネットワークカメラ、AIカメラなどで構成されるが、これは一例である。制御部21は、この屋内カメラの映像データを、送受信手段74を介して受信し、この映像データから蒸気口51近傍にタオルや布巾などの異物があるかどうかを監視し、また蒸気口51が閉塞されていないかを監視している。本変形例の炊飯器100は、蓋体12上面の最上部に蒸気口51が設けられているため、屋内カメラにより蒸気口51の監視をすることができる。また屋内カメラの映像データは通信手段73を介して情報端末81で受信することができるため、遠隔操作で映像データを見ることができ、炊飯器100の異常の有無を確認することができる。
【0114】
以上のように、本変形例の炊飯器100では、制御部21は、屋内カメラで撮影した画像情報としての映像データに基づいて蒸気口51の閉塞の有無を判定する構成としており、蒸気口51が閉塞されたまま炊飯されることによる上述したリスクを未然に防止し、安全性を向上させることができる。また当該映像データを情報端末81に送出する構成にすることもできるため、遠隔操作で映像データを直に見ることができ、炊飯器100の異常の有無を確認することができる。
【0115】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば本実施形態および変形例を組み合わせて構成してもよい。また実施形態中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、炊飯器の仕様などに応じて適宜変更してかまわない。
【符号の説明】
【0116】
1 内釜
1A 水位線
21 制御部(閉塞判定手段)
51 蒸気口
63 蒸気口監視手段(閉塞判定手段)
74 送受信手段(通信手段)
75 炊飯制御手段(制御手段)
81 情報端末(外部装置)
W 水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15