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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098773
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
E06B9/17 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002467
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 展行
(57)【要約】
【課題】既設または新設の開閉装置において、巻取軸の脱落を確実に防止することができる開閉装置を提供することを課題とする。
【解決手段】躯体に設置される開閉装置であって、巻取軸2と、前記巻取軸2に巻装されるシャッターカーテン3と、前記巻取軸2を回転自在に支持する左右一対のブラケット4と、前記巻取軸2を正逆回転させる開閉機20と、前記巻取軸2を覆うカバー部材15と、を備え、前記カバー部材は、前記左右一対のブラケットが所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限するように、前記躯体及び前記ブラケットのそれぞれに固定される。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に設置される開閉装置であって、
巻取軸と、
前記巻取軸に巻装されるシャッターカーテンと、
前記巻取軸を回転自在に支持する左右一対のブラケットと、
前記巻取軸を正逆回転させる開閉機と、
前記巻取軸を覆うカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、前記左右一対のブラケットが所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限するように、前記躯体及び前記ブラケットのそれぞれに固定される
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記左右一対のブラケットに隣接して配置される左右の第1カバー部材と、当該左右の第1カバー部材の間に配置される第2カバー部材とを含み、
前記第1カバー部材における上端縁部は、第1固定具により前記躯体に固定され、
前記第1カバー部材における前記ブラケット側に位置する側部の側端縁部は、第2固定具により前記ブラケットに固定されることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記第2固定具は、前記巻取軸の軸芯よりも前記躯体から遠ざかる位置に配置されていることを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記第2固定具は、前記巻取軸の軸芯よりも上側の位置と下側の位置のそれぞれの位置に配置されていることを特徴とする請求項3記載の開閉装置。
【請求項5】
前記左右のブラケット間には、前記躯体に固定される複数の補強部材が設けられるとともに、これら複数の補強部材には、前記左右のブラケット間において左右方向に延びる第1横架材が設けられ、
前記第1カバー部材における下側の下端縁部は、第3固定具により前記第1横架材に固定されることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項6】
前記左右のブラケット間に左右方向に延びる第2横架材が設けられ、
前記第1固定具は、前記躯体に当接する第1面部と、前記第2横架材に当接する第2面部と、前記第1カバー部材に当接する第3面部と、を有することを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、天井部材で仕切られている天井裏空間に、左右のブラケットが配置され、これらのブラケットに巻取軸の軸方向の両端部が回転自在に支持されているシャッター装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-189913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のシャッター装置は、シャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸を備え、この巻取軸の軸方向の両端部に設けられた軸部は、軸受け部材を介して左右のブラケットに回転自在に支持されている。
ところで、このような構造を有するシャッター装置においては、例えば、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合、シャッター装置が振動し、ブラケットと巻取軸とが相対変位(相対移動)することで、巻取軸の軸部がブラケット側の軸受け部材から脱落することも考えられ、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、既設または新設の開閉装置(例えば、シャッター装置)において、巻取軸の脱落を確実に防止することができる開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
躯体に設置される開閉装置であって、巻取軸と、前記巻取軸に巻装されるシャッターカーテンと、前記巻取軸を回転自在に支持する左右一対のブラケットと、前記巻取軸を正逆回転させる開閉機と、前記巻取軸を覆うカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前記左右一対のブラケットが所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限するように、前記躯体及び前記ブラケットのそれぞれに固定されることを特徴とする開閉装置。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係るシャッター装置の全体を示す概略正面図である。
図2】同シャッター装置におけるカバー部材(脱落防止部)の配置の例を示す概略側面図である。
図3】同シャッター装置におけるカバー部材(脱落防止部)の配置の例を示す概略斜視図である。
図4】同シャッター装置におけるカバー部材(脱落防止部)の配置の例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本明細書中、「左右方向」とは、開閉装置(シャッター装置)の横幅方向(図1の左右方向)を意味し、「前後方向」とは、「左右方向」に略直交する水平方向(図2の左右方向:右側が「前方」、左側が「後方」)を意味し、「上下方向」とは、開閉装置(シャッター装置)における上下方向(図1及び図2の上下方向)を意味する。
また、巻取軸の「軸方向」とは、上記「左右方向」と同方向を意味する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係るシャッター装置の全体を示す概略正面図であり、図2は、同シャッター装置におけるカバー部材(脱落防止部)の配置の例を示す概略側面図であり、図3及び図4は、同シャッター装置におけるカバー部材(脱落防止部)の配置の例を示す概略斜視図である。本発明の実施形態は、例えば、開閉装置の一例である防災用のシャッター装置1として構成される。
【0010】
(シャッター装置の全体構成)
シャッター装置1は、巻取軸2、巻取軸2に巻装されるシャッターカーテン3、巻取軸2を回転自在に支持する左右一対のブラケット4、巻取軸2を正逆回転させる開閉機20を含み構成されている。
巻取軸2は、図1に示すように、天井材Aで形成される天井によって仕切られる天井裏空間T1に配置されている。この巻取軸2には、通常時、シャッターカーテン3が巻き取られており、火災等の非常事態発生時にシャッターカーテン3が巻取軸2から繰り出されて閉じ移動することにより、室内空間T2に防災区画が形成される。
【0011】
巻取軸2の軸方向の両端部は、左右一対のブラケット4により回転自在に支持される。これらのブラケット4は、防災用のシャッター装置1が設置される建物等の構造物(躯体B)を構成する柱や間柱等の柱材6(6a)にアンカー部材等の固定手段により取り付けられる。構造物(躯体B)を構成する柱材6(6a,6b,6c・・・)は、例えば金属あるいは非金属(木材など)の素材からなる柱材で構成され、所定間毎に複数設けられている。
【0012】
複数の柱材6(6a,6b,6c・・・)には、図2図4に示すように、第1下地層7a及び第2下地層7bを含む下地材7が取り付けられている。
下地材7を構成する第1下地層7a及び第2下地層7bは、例えば、不燃材として、無機材料からなる、石膏ボード、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)、ALC板、フレキシブルボード等が用いられる。これらの材料は、高い断熱性と吸熱性とを有するので好適である。
第1下地層7a及び第2下地層7bは略同一の厚みに形成されており、これら第1下地層7a及び第2下地層7bを2層構造として所定の厚さに形成することで、熱伝導を抑制する効果を向上させている。第1下地層7aと第2下地層7bとは、同じ無機材料を使用してもよく、あるいは、それぞれ異なる無機材料を使用してもよい。
【0013】
なお、下地材7は、第1下地層7a及び第2下地層7bの2層構造に限定されるものではなく、第1下地層7a及び第2下地層7bに加え、さらに他の下地層を加えた多層構造として構成してもよく、あるいは、第1下地層7aあるいは第2下地層7bのみの単層構造として構成してもよい。
また、第1下地層7aと第2下地層7bは、それらの厚みをそれぞれ異なる厚みに構成してもよい。
また、第1下地層7aと第2下地層7bを設けることなく、複数の柱材6(6a,6b,6c・・・)で構造物(躯体B)を構成してもよい。
【0014】
シャッターカーテン3は、多数のスラットを上下に連設することによって形成されたカーテン本体部3aと、このカーテン本体部3aの下端部に取り付けられた座板3bを含み構成されている。シャッターカーテン3は、室内空間T2に配置される壁等の躯体Cに取り付けられた左右一対のガイドレール8に案内されて上下方向に移動する。
【0015】
左右一対のブラケット4は、図3に示すように、平板状の本体部4aと、本体部4aの上縁部から左右方向外方に向けて折曲された上側フランジ部4bと、本体部4aの下縁部から左右方向外方に向けて折曲された下側フランジ部4cとを備えて構成されている。
また、ブラケット4には、巻取軸2の軸部2aを挿入するための孔部(不図示)が形成されている。この孔部に、例えばビス等の止着具でブラケット4に止着されている軸受け部材5を介して巻取軸2の軸部2aがブラケット4に回転自在に支持される。また、この軸部2aの先端部には軸部2aと一体回転する従動回転体2b(例えば、従動スプロケット)が外嵌されている。
なお、ブラケット4における軸部2aを挿入する孔部は、ブラケット4の前方に向かって開口するスリット(凹部)として形成してもよい。
【0016】
左右一対のブラケット4の間には、複数の補強部材9がシャッター装置1の左右方向(図1の左右方向)に間隔をあけて配置されている。これら補強部材9の上部は、躯体B(下地材7、柱材6b)に固定されている。なお、図1及び図2には、シャッター装置1の左右方向に2つの補強部材9を配置した例が示されているが、配置する補強部材9の設置数、設置位置は任意に設定可能である。
【0017】
補強部材9は、巻取軸2の上側において、その一端側が躯体B(下地材7、柱材6b)に固定されるとともに、その他端側がシャッター装置1の前方(図2の右方向)へ略水平に延びる第1部材9aと、この第1部材9aの先端部から下方へ略鉛直に延びる第2部材9bと、この第2部材9bの下端部から第1部材9aの延び方向とは逆方向である後方(図2の左方向)へ略水平に延びる第3部材9cと、を含んで構成されている。
これら第1~3部材9a,9b,9cは、例えば、金属製のアングル材や角筒材で形成されており、それら部材の各端部が溶接又はビス等の結合具で結合されることで側面視略コ字状に形成されている。
【0018】
また、左右一対のブラケット4同士の下端部における対向間には、図2に示すように躯体B側に位置してまぐさ部10が左右方向長尺状に設けられている。このまぐさ部10は、前後方向(図2の左右方向)に対向する前後一対の前まぐさ10a及び後まぐさ10bを備えて構成され、これらの前まぐさ10a及び後まぐさ10bによって、シャッターカーテン3が出入りする出入口スリットが形成されるとともに、天井材Aの端縁が覆われる。
【0019】
前まぐさ10aは、略鉛直に延びる第1前方鉛直部10a1と、この第1前方鉛直部10a1の下端縁から後方へ略水平に延びる第2前方水平部10a2と、この第2前方水平部10a2の後端縁から下方へ略鉛直に延びる第3前方鉛直部10a3とを含み構成されている。
【0020】
第1前方鉛直部10a1は、例えば、断面コの字型のチャンネル材等で形成される長尺材としての前方取付け部材11(第1横架材)に溶接又はビス等の結合具で固定されている。この前方取付け部材11は、躯体Bに取り付け固定された補強部材9の第3部材9cに支持、固定されており、左右のブラケット間において巻取軸2の軸方向に沿って左右方向に延びるように配置されている。
【0021】
前まぐさ10aの第3前方鉛直部10a3の下端縁には、天井材Aの端縁を載置する略断面L字状の第4前方載置部10a4が形成されている。
【0022】
後まぐさ10bは、略水平に延びる第1後方水平部10b1と、この第1後方水平部10b1の前端縁から下方へ略鉛直に延びる第2後方鉛直部10b2とを含み構成されている。
第1後方水平部10b1の後端部は、躯体Bに固定された、例えば、角筒材やアングル材で形成される後方取付け部材12に溶接又はビス等の結合具で固定される。また、第2後方鉛直部10b2の下端縁には、天井材Aの端縁を載置する略断面L字状の第3後方載置部10b3が形成されている。
【0023】
なお、前まぐさ10a、後まぐさ10b、前方取付け部材11、及び後方取付け部材12は、左右一対のブラケット4の間隔方向である左右方向に連続して延びる長寸部材となっている。
【0024】
また、左右一対のブラケット4の間には、図1図4に示すように、複数のカバー部材15(図示の例では左右の第1カバー部材15a、左右の第1カバー部材15a間に配置された中央側の2つの第2カバー部材15b)が、それぞれの端部同士が重ね合わせられて左右方向に並べられて配置されている。これらのカバー部材15のうち、左右に配置された第1カバー部材15aのブラケット4側の端部は、それぞれ左右のブラケット4に接触している。
なお、本実施形態において、左右の第1カバー部材15a間に2つの第2カバー部材15bが配置されているが、これら第1カバー部材15a間に配置される第2カバー部材15bの設置数は、シャッター装置1の左右方向の寸法(横幅)に応じて任意に設定可能である。
【0025】
これら複数のカバー部材15(15a,15b)は、板金を湾曲させて形成されており、図2に示すように、巻取軸2の全周のうち、躯体Bとは反対側の巻取軸2の略半周程度を覆うものとなっている。カバー部材15(15a,15b)の上側の端部である上端縁部には、上部係止部151が折り曲げ加工で形成されており、この上部係止部151は、左右のブラケット4間に左右方向に延びて配置された長尺材からなる取付け部材16(第2横架材)に挿入されている。この取付け部材16(第2横架材)は、シャッター装置1における躯体B側の上部後方側であって、左右のブラケット4に固定されている。また、カバー部材15(15a,15b)の下側の端部である下端縁部は、補強部材9に支持、固定された長尺材からなる前方取付け部材11(第1横架材)に挿入されている。
【0026】
これら複数のカバー部材15(15a,15b)は、巻取軸2を覆って保護するカバー部として機能するとともに、室内空間T2で火災が発生したときに、前後一対の前まぐさ10a及び後まぐさ10bにより形成された出入口スリットを通過した煙が天井裏空間T1の全体に充満することを防止することができる。
また、これら複数のカバー部材15(15a,15b)の内、左右のブラケット4に隣接して配置される左右の第1カバー部材15aは、後述するように、左右のブラケット4から巻取軸2の脱落を防止する脱落防止部としても機能する。
【0027】
開閉機20は、巻取軸2を回転駆動するためのものであり、図3に示すように、左右一対のブラケット4のうち、一方のブラケット4に取り付けられる。例えば、ブラケット4の前端縁に、ネジやビス等の一体化手段により連結した支持板21に開閉機20を設置することができる。
【0028】
開閉機20は、例えば電動モータ等からなる開閉機本体20a、出力軸20b及び駆動回転体20c(例えば、駆動スプロケット)を含み構成されており、支持板21の内面に開閉機本体20aが固定支持される。この開閉機本体20aの出力軸20bは、支持板21に形成された貫通孔(不図示)から外方に突出し、その先端部に出力軸20bと一体回転する駆動回転体20cが外嵌されている。
【0029】
開閉機20の駆動回転体20c(例えば、駆動スプロケット)と、巻取軸2の軸部2aに外嵌された従動回転体2b(例えば、従動スプロケット)との間には、例えば、伝動チェーンや伝動ベルト等からなる伝動連結体22が懸回され、開閉機20の正逆回転に伴い巻取軸2が正逆回転されるように構成されている。
この開閉機20の回転駆動は、不図示の自動閉鎖装置、手動閉鎖装置、操作部、検知器(煙感知器、熱感知器またはヒューズ装置)、リミットスイッチ等に接続される制御装置によって制御される。
【0030】
通常時のシャッターカーテン3は、このシャッターカーテン3の略全体が巻取軸2に巻き取られていることにより、シャッターカーテン3の下端部の座板3bがまぐさ部10の出入口スリットの高さ位置に達する全開状態となっている。
火災が発生すると、煙等を検知した検知器からの信号により、制御装置が開閉機20を作動させてシャッターカーテン3を下方へ閉じ移動させる。シャッターカーテン3は、図1に示すように、室内空間T2に配置される壁等の躯体Cに取り付けられた左右一対のガイドレール8に案内されながら下方へ閉じ移動し、これにより、室内空間T2に防災区画が形成される。
なお、上述した実施形態は、開閉装置の一例である防災用のシャッター装置の例として説明したが、本発明の実施形態に係るシャッター装置は、出入口等の開口部をシャッターカーテンが開閉する各種シャッター装置にも適用可能である。
【0031】
(巻取軸の脱落防止部)
次に、シャッター装置1における巻取軸2の脱落を防止する脱落防止部の構成について説明する。上述したとおり、シャッター装置1に設けられた複数のカバー部材15(15a,15b)は、巻取軸2を覆って保護するカバー部として機能するとともに、室内空間T2で火災が発生したときに、前後一対の前まぐさ10a及び後まぐさ10bにより形成された出入口スリットを通過した煙が天井裏空間T1の全体に充満することを防止することができるが、これら複数のカバー部材15(15a,15b)の内、左右のブラケット4に隣接して配置される左右の第1カバー部材15aは、左右のブラケット4から巻取軸2の脱落を防止する脱落防止部としても機能する。
以下、その脱落防止部の構成の例を具体的に説明する。
【0032】
シャッター装置1における脱落防止部は、左右のブラケット4に隣接して配置される左右の第1カバー部材15aと、左右の第1カバー部材15aを躯体Bの下地材7及び柱材6(6a,6b)に固定する第1固定具30と、左右の第1カバー部材15aを左右のブラケット4に固定する第2固定具40と、左右の第1カバー部材15aを前方取付け部材11に固定する第3固定具50と、を含み構成される。
【0033】
この脱落防止部は、第1カバー部材15aを、躯体B(下地材7、柱材6)及びブラケット4に固定すること、あるいは、第1カバー部材15aを、躯体B(下地材7、柱材6)、ブラケット4及び前方取付け部材11に固定することで、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、シャッター装置1の左右のブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(図1の左右方向)に相対変位(相対移動)すること防ぎ(左右一対のブラケット4が所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限)、巻取軸2の軸部2aがブラケット4から脱落(抜出)するのを防止するように構成したものである。
【0034】
<第1固定具:第1カバー部材と躯体の固定>
左右の第1カバー部材15aの上側に位置する上端縁部(後方側)は、図2図4に示されるように、第1固定具30を用いて躯体Bの下地材7及び柱材6(6a,6b)に固定される。
第1固定具30は、例えば、図2及び図4に示されるように、躯体Bの下地材7に当接する略鉛直に延びる第1平面部30a(第1面部)と、この第1平面部30aの下端縁から前方に略水平に延びる第2平面部30b(第2面部)と、この第2平面部30bの前端縁から略鉛直に延びる第3平面部30cと、この第3平面部30cの下端縁から前方に略水平に延びる第4平面部30d(第3面部)と、を有する。この第1固定具30は、例えば、金属製の板材を曲げ加工することによって形成することができる。
【0035】
第1平面部30a(第1面部)は、ネジ孔30a1を有し、躯体Bの下地材7に当接する部位をなす。この第1平面部30aは、ネジ孔30a1に挿通される取付けネジ33によって躯体Bの下地材7及び柱材6(6a,6b)に固定される。
本実施形態において、柱材6は、下地材7の裏面側に配置されているので、柱材6の特定には、例えば、柱材6の材質が金属の場合には金属検出用の検出器を用い、また、柱材6の材質が非金属の場合には非金属検出用の検出器を用いる。このような検出器を下地材7の表面に接触させながら移動させ、下地材7の裏面における柱材6の位置を検出することができる。
第1固定具30は、第1カバー部材15aの長手方向(左右方向)の幅内で、裏面側に柱材6(6a,6b)が存在する下地材7の前面に位置決めされて、第1カバー部材15aを躯体B(下地材7及び柱材6)に固定される。
【0036】
第2平面部30b(第2面部)は、第1平面部30aの下端縁から前方に略水平に延び、シャッター装置1の取付け部材16(第2横架材)上に当接して載置される。第2平面部30bは、シャッター装置1の取付け部材16(第2横架材)上に載置されることから、第1固定具30を下地材7の所定の前面位置に位置決めする場合、第1固定具30をシャッター装置1の取付け部材16上に載置した状態で、容易に左右方向に移動させて位置合わせすることができる。
【0037】
第3平面部30cは、第2平面部30bの前端縁から略鉛直に延び、この第3平面部30cの上下方向の高さ寸法によって、第1カバー部材15aの上側の取付高さ位置が規定される。
第4平面部30d(第3面部)は、ネジ孔30d1を有し、第1カバー部材15aの上側に当接する。第4平面部30dは、ネジ孔30d1に挿通される取付けネジ34によって第1カバー部材15aに固定される。
【0038】
なお、第1固定具30は、第1カバー部材15aの後方側を躯体Bの下地材7及び柱材6(6a,6b)に固定可能なものであればよく、その形状は特に限定されない。また、第1固定具30に形成されたネジ孔の位置や、ネジ孔の数も特に限定されない。
また、この実施形態の躯体Bは、複数の柱材6(6a,6b,6c・・・)及び下地材7により構成されているが、躯体Bが複数の柱材6のみから構成されている場合(下地材7が存在しない場合)には、第1固定具30の第1平面部30aを柱材6に当接させて固定すればよい。この場合、複数の柱材6が金属製であれば、第1固定具30と躯体Bとの固定は、取付けネジ以外の固定手段(溶接、接着剤による接着等)により固定するものとしてもよい。
また、第1固定具30と第1カバー部材15aとの固定についても、取付けネジ以外の固定手段(溶接、接着剤による接着等)により固定するものとしてもよい。
【0039】
なお、シャッター装置1に設けられた複数のカバー部材15(15a,15b)の内、左右の第1カバー部材15a間に配置された中央側の2つの第2カバー部材15bは、脱落防止部として機能するものではないが、第1固定具30と同様に構成された固定具31により躯体B(下地材7及び柱材6c)に固定される。
【0040】
<第2固定具:第1カバー部材とブラケットの固定>
第1カバー部材15aのブラケット4側の側部は、図4に示されるように、第2固定具40を用いてブラケット4に固定される。なお、図3には、第2固定具40が示されていないが、この図3に示すシャッター装置1の右側に位置する第1カバー部材15aについても、図4に示される第2固定具40と同様の第2固定具40が配置さており、第1カバー部材15aのブラケット4側の側部が第2固定具40を用いてブラケット4に固定される。
【0041】
第2固定具40は、例えば、図4に示されるように、ブラケット4の本体部4aに当接する第1平面部40aと、この第1平面部40aの端縁から第1カバー部材15a側に延びる第2平面部40bと、を有する。この第2固定具40は、例えば、金属製の板材を曲げ加工することによって形成することができる。
【0042】
第1平面部40aは、ネジ孔40a1を有し、ブラケット4に当接する部位をなす。この第1平面部40aは、ネジ孔40a1に挿通される取付けネジ(不図示)によってブラケット4の本体部4aに固定される。
第2平面部40bは、ネジ孔40b1を有し、第1カバー部材15aのブラケット4側に位置する側部の側端縁部に当接する。第2平面部40bは、ネジ孔40b1を通じて取付けネジ(不図示)を第1カバー部材15aにねじ込むことによりブラケット4に固定される。
【0043】
この第2固定具40の設置位置及び設置数は特に限定されないが、図2に示すように、巻取軸2の軸芯よりも前記躯体から遠ざかる位置である、軸芯よりも前方側の位置(図2の左右方向の右側)に配置するのが好ましい。また、第2固定具40は、巻取軸2の軸芯よりも前方側の位置であって、巻取軸2の軸芯よりも上側の位置と下側の位置のそれぞれの位置に(例えば2か所)に配置するのがさらに好ましい。
【0044】
このような位置に第2固定具40を配置することで、ブラケット4を第1カバー部材15aに対してより安定的に支持固定することができるため、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、シャッター装置1の左右のブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(図1の左右方向)に相対変位(相対移動)することをより効果的に防ぐことができる。
【0045】
なお、第2固定具40は、第1カバー部材15aをブラケット4に固定可能なものであればよく、その形状は特に限定されない。
また、第2固定具40と、第1カバー部材15a及びブラケット4との固定は、取付けネジ以外の固定手段(溶接、接着剤による接着等)により固定するものとしてもよい。
【0046】
このように、上述した第1固定具30及び第2固定具40を用いて、第1カバー部材15aを躯体B及びブラケット4に固定することで、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、シャッター装置1の左右のブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(図1の左右方向)に相対変位(相対移動)すること防ぎ、巻取軸2の軸部2aがブラケット4から脱落(抜出)するのを防止することができる。
【0047】
<第3固定具:第1カバー部材と前方取付け部材の固定>
第1カバー部材15aの下端側は、図2に示されるように、第3固定具50を用いて補強部材9(第3部材9c)に取り付け固定された長尺の前方取付け部材11(第1横架材)に固定される。
【0048】
第3固定具50は、例えば、図2に示されるように、第1カバー部材15aに当接する第1平面部50aと、この第1平面部50aの下端縁から前方取付け部材11側に延びる第2平面部50bと、を有する。この第3固定具50は、例えば、金属製の板材を曲げ加工することによって形成することができる。
【0049】
第1平面部50aは、ネジ孔(不図示)を有し、第1カバー部材15aの下端側に当接する部位をなす。この第1平面部50aは、ネジ孔に挿通される取付けネジ51によって第1カバー部材15aに固定される。
第2平面部50bは、ネジ孔(不図示)を有し、補強部材9の第3部材9cに固定された前方取付け部材11(第1横架材)の前端壁11aに当接する部位をなす。この第2平面部50bは、ネジ孔に挿通される取付けネジ52によって前方取付け部材11に固定される。
【0050】
なお、第3固定具50の設置位置及び設置数は特に限定されない。
また、第3固定具50は、第1カバー部材15aを前方取付け部材11(第1横架材)に固定可能なものであればよく、その形状は特に限定されない。
また、第3固定具50と、第1カバー部材15a及び前方取付け部材11との固定は、取付けネジ以外の固定手段(溶接、接着剤による接着等)により固定するものとしてもよい。
【0051】
このように、上述した第1固定具30及び第2固定具40に加え、第1カバー部材15aの下端側を、第3固定具50を用いて補強部材9に取り付け固定された長尺の前方取付け部材11(第1横架材)に固定することで、第1カバー部材15aがより安定して設置されることになるため、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、シャッター装置1の左右のブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(図1の左右方向)に相対変位(相対移動)することをさらに効果的に抑制することができる。
【0052】
以上のとおり、第1カバー部材15aを、躯体B(下地材7、柱材6)及びブラケット4に固定すること、あるいは、第1カバー部材15aを、躯体B(下地材7、柱材6)、ブラケット4及び前方取付け部材11(第1横架材)に固定することで、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、シャッター装置1の左右のブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(図1の左右方向)に相対変位(相対移動)すること防ぎ、巻取軸2の軸部2aがブラケット4から脱落(抜出)するのを防止することができる。
【0053】
本発明の脱落防止部は、既設または新設の開閉装置(例えば、シャッター装置)に適用できる。
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0054】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
躯体に設置される開閉装置であって、巻取軸と、前記巻取軸に巻装されるシャッターカーテンと、前記巻取軸を回転自在に支持する左右一対のブラケットと、前記巻取軸を正逆回転させる開閉機と、前記巻取軸を覆うカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前記左右一対のブラケットが所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限するように、前記躯体及び前記ブラケットのそれぞれに固定されることを特徴とする開閉装置(図1図4参照)。
(2)
前記カバー部材は、前記左右一対のブラケットに隣接して配置される左右の第1カバー部材と、当該左右の第1カバー部材の間に配置される第2カバー部材とを含み、前記第1カバー部材における上端縁部は、第1固定具により前記躯体に固定され、前記第1カバー部材における前記ブラケット側に位置する側部の側端縁部は、第2固定具により前記ブラケットに固定されることを特徴とする上記(1)記載の開閉装置(図2図4参照)。
(3)
前記第2固定具は、前記巻取軸の軸芯よりも前記躯体から遠ざかる位置に配置されていることを特徴とする上記(2)記載の開閉装置。(図2図4参照)。
(4)
前記第2固定具は、前記巻取軸の軸芯よりも上側の位置と下側の位置のそれぞれの位置に配置されていることを特徴とする上記(3)記載の開閉装置。(図2図4参照)。
(5)
前記左右のブラケット間には、前記躯体に固定される複数の補強部材が設けられるとともに、これら複数の補強部材には、前記左右のブラケット間において左右方向に延びる第1横架材が設けられ、前記第1カバー部材における下側の下端縁部は、第3固定具により前記第1横架材に固定されることを特徴とする請求項(2)~(4)のいずれかに記載の開閉装置(図2図4参照)。
(6)
前記左右のブラケット間に左右方向に延びる第2横架材が設けられ、前記第1固定具は、前記躯体に当接する第1面部と、前記第2横架材に当接する第2面部と、前記第1カバー部材に当接する第3面部と、を有することを特徴とする上記(2)~(5)のいずれかに記載の開閉装置(図1図4参照)。
【符号の説明】
【0055】
2:巻取軸
3:シャッターカーテン
4:ブラケット
6(6a,6b,6c・・・):柱材
7:下地材
9:補強部材
11:前方取付け部材(第1横架材)
15:カバー部材
15a:第1カバー部材
15b:第2カバー部材
16:取付け部材(第2横架材)
20:開閉機
30:第1固定具
30a:第1平面部(第1面部)
30b:第2平面部(第2面部)
30c:第3平面部
30d:第4平面部(第3面部)
40:第2固定具
50:第3固定具
B:躯体
C:躯体
図1
図2
図3
図4