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  • 特開-水没防止作業具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098780
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】水没防止作業具
(51)【国際特許分類】
   B65B 67/00 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B65B67/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002484
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】596141402
【氏名又は名称】有限会社ちふりや工業
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】岩下 芳人
【テーマコード(参考)】
3E057
【Fターム(参考)】
3E057AA01
3E057AB10
3E057AC10
3E057CB06
(57)【要約】
【課題】津波又は洪水等の発生前に、保護対象物をパック詰めする際に、少ない人数と時間で効率的に作業を行うために用いられる水没防止作業具を提供する。
【解決手段】(a)保護対象物15の幅方向一側の側面と離間して配置される縦ガイド部23と、保護対象物15の上面と離間して配置される横ガイド部24と、円弧状に湾曲して縦ガイド部23と横ガイド部24を連結する湾曲ガイド部25とを有するガイド部材18と、(b)ガイド部材18の長さ方向に沿って摺動可能に保持された摺動部27と、摺動部27に連結された環状部28とを有する複数のスライド部材19と、(c)隣り合うスライド部材19同士を所定間隔で連結する連結部材20と、(d)一端側が各スライド部材19の環状部28に順次挿通され縦ガイド部23の下端側でカバー部13に連結される牽引部材21とを一組とする牽引手段17を複数備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口を有する収納体と前記上面開口を覆うカバー部とを有する水没防止用パックで保護対象物をパック詰めする際に用いられる水没防止作業具であって、
(a)前記保護対象物の幅方向一側の側面と離間して配置される縦ガイド部と、前記保護対象物の上面と離間して配置される横ガイド部と、円弧状に湾曲して前記縦ガイド部と前記横ガイド部を連結する湾曲ガイド部とを有するガイド部材と、(b)前記ガイド部材の長さ方向に沿って摺動可能に保持された摺動部と、該摺動部に連結された環状部とをそれぞれ有する複数のスライド部材と、(c)隣り合う前記スライド部材同士を所定間隔で連結する連結部材と、(d)一端側が前記各スライド部材の前記環状部に順次挿通され前記縦ガイド部の下端側で前記カバー部に連結される牽引部材とを一組とする牽引手段が、前記保護対象物の長手方向に間隔を空けて複数設置されていることを特徴とする水没防止作業具。
【請求項2】
請求項1記載の水没防止作業具において、前記保護対象物の幅方向両側面及び上面を囲うように枠状に形成され複数の前記牽引手段を保持する支持フレームと、該支持フレームに取付けられた複数の移動用車輪とを有することを特徴とする水没防止作業具。
【請求項3】
請求項2記載の水没防止作業具において、前記支持フレームに折り畳み可能又は着脱可能に保持され前記保護対象物の幅方向他側で該保護対象物の長手方向に沿って配置される踏み板を有することを特徴とする水没防止作業具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波又は洪水等の発生前に、保護対象物をパック詰めして浸水、水没及び流出等の水害から保護するために使用される水没防止作業具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台風、集中豪雨、又は地震等に伴って津波又は洪水等が発生し、屋内(床上)に浸水したり、家屋が倒壊したりした際に、家財道具の水没又は屋外への流出等によって、家財道具が、汚損若しくは損傷して使用不能になることや、行方不明になることがある。そこで、例えば特許文献1には、防水性素材で中空箱型に形成され、上面に開口部を有し、保護対象物が収納される収納部と、防水性素材で形成され開口部を覆う蓋部と、開口部の周縁と蓋部の外周との間を開閉可能に密封する開閉手段とを備え、収納部の内周面に沿って緩衝部材が着脱可能に装着される水没(浸水)防止用パックが開示されている。この水没防止用パックは、水密性及び気密性を有し、保護対象物を水害から保護するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/141113号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の水没防止用パックは、収納部の上面に開口部を有しており、開口部の周縁と、開口部を覆う蓋部の外周との間を開閉手段で密封する構造であるため、バス、トラック又はその他の特殊車両等の大型の保護対象物に対し、収納部の周壁部を保護対象物の上方まで引き上げ、保護対象物の上面を蓋部で覆って開閉手段を閉じるには、多くの作業者に加え、脚立又は足場等も必要とし、作業に手間と時間がかかり、作業性に欠けるという課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、津波又は洪水等の発生前に、保護対象物をパック詰めする際に、少ない人数と時間で効率的に作業を行うために用いられる水没防止作業具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る水没防止作業具は、上面開口を有する収納体と前記上面開口を覆うカバー部とを有する水没防止用パックで保護対象物をパック詰めする際に用いられる水没防止作業具であって、
(a)前記保護対象物の幅方向一側の側面と離間して配置される縦ガイド部と、前記保護対象物の上面と離間して配置される横ガイド部と、円弧状に湾曲して前記縦ガイド部と前記横ガイド部を連結する湾曲ガイド部とを有するガイド部材と、(b)前記ガイド部材の長さ方向に沿って摺動可能に保持された摺動部と、該摺動部に連結された環状部とをそれぞれ有する複数のスライド部材と、(c)隣り合う前記スライド部材同士を所定間隔で連結する連結部材と、(d)一端側が前記各スライド部材の前記環状部に順次挿通され前記縦ガイド部の下端側で前記カバー部に連結される牽引部材とを一組とする牽引手段が、前記保護対象物の長手方向に間隔を空けて複数設置されている。
【0006】
ここで、保護対象物がパック詰めされる(収納される)水没防止用パックとしては、上面開口を有する中空箱型(直方体状)に形成された収納体と、上面開口を覆うカバー部とを有するものが好適に用いられる。収納体は底部と底部の周囲を囲む周壁部とを有し、上面開口の周縁(周壁部の上端外周)とカバー部の外周との間は開閉手段により開閉可能に密封される。収納体及びカバー部は防水性及び非透水性を有する素材で形成される。なお、カバー部の少なくとも一部が、周壁部の上縁に延設されて収納体と一体(連続的)に形成されていることが好ましい。開閉手段としては、防水ファスナー若しくは止水ファスナーが好適に用いられるが、浸水時に、保護対象物が水没防止用パックにパック詰めされた状態で水に浮き、水位が上面開口の高さ(開閉手段の位置)よりも低く保たれる場合には、開閉手段は通常の(一般的な)ファスナーでもよい。
【0007】
本発明に係る水没防止作業具において、前記保護対象物の幅方向両側面及び上面を囲うように枠状に形成され複数の前記牽引手段を保持する支持フレームと、該支持フレームに取付けられた複数の移動用車輪とを有することが好ましい。
【0008】
本発明に係る水没防止作業具において、前記支持フレームに折り畳み可能又は着脱可能に保持され前記保護対象物の幅方向他側で該保護対象物の長手方向に沿って配置される踏み板を有することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る水没防止作業具によれば、一端側が予め水没防止用パックのカバー部に連結された牽引部材の他端側を作業者が引っ張ることにより、カバー部と共に収納体が保護対象物の上方に引き上げられ、さらにカバー部が保護対象物の幅方向一側から他側に引っ張られて保護対象物の上面がカバー部で覆われるので、バス、トラック又はその他の特殊車両等の大型の保護対象物であっても、カバー部で収納体の上面開口を閉塞して簡単にパック詰めすることができる。
【0010】
本発明に係る水没防止作業具において、保護対象物の幅方向両側面及び上面を囲うように枠状に形成され複数の牽引手段を保持する支持フレームと、支持フレームに取付けられた複数の移動用車輪とを有する場合、複数の牽引手段を支持フレームで所定の位置に保持することができると共に、保護対象物が配置されている位置まで簡単に移動させてパック詰め作業を行うことができる。
【0011】
本発明に係る水没防止作業具において、支持フレームに折り畳み可能又は着脱可能に保持され保護対象物の幅方向他側で保護対象物の長手方向に沿って配置される踏み板を有する場合、保護対象物の高さ(上面開口の位置)が高くても作業者は踏み板を利用してカバー部で簡単かつ確実に上面開口を閉塞することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る水没防止作業具を示す斜視図である。
図2】同水没防止作業具を用いた保護対象物のパック詰めに使用される水没防止用パックを示す斜視図である
図3】同水没防止作業具の使用開始時の状態を示す背面図である
図4】同水没防止作業具を用いたパック詰め作業を示す第1の背面図である。
図5】同水没防止作業具を用いたパック詰め作業を示す第2の背面図である。
図6】同水没防止作業具を用いたパック詰め作業が完了した状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示す本発明の一実施の形態に係る水没防止作業具10は、図2図3に示すように、上面開口11を有する収納体12と上面開口11を覆うカバー部13とを有する水没防止用パック14で保護対象物15をパック詰めする際に用いられる。
水没防止作業具10は、保護対象物15の長手方向に間隔を空けて設置された複数(ここでは3つ)の牽引手段17を有している。この牽引手段17は、ガイド部材18と、複数のスライド部材19と、連結部材20と、牽引部材21とを一組としたものである。
【0014】
ガイド部材18は、保護対象物15の幅方向一側の側面と離間して保護対象物15の高さ方向に沿って配置される縦ガイド部23と、保護対象物15の上面と離間して保護対象物15の幅方向に沿って配置される横ガイド部24と、円弧状に湾曲して縦ガイド部23の上端と横ガイド部24の一端を連結する湾曲ガイド部25とを有する。なお、縦ガイド部23及び横ガイド部24の長さはそれぞれ、水没防止用パック14の高さ及び横幅に応じて、適宜、選択される。
【0015】
各スライド部材19は、ガイド部材18の長さ方向に沿って摺動可能に保持された摺動部27と、摺動部27に連結された環状部28とを有する。ガイド部材がカーテンレールのようなリップ溝形に形成され、摺動部がガイド部材の内側に遊嵌されたものが好適に用いられるが、摺動部がガイド部材の長さ方向に沿って摺動可能に保持されていればよく、ガイド部材及び摺動部の構造(形状)は、適宜、選択される。先に説明したように、縦ガイド部23と横ガイド部24が湾曲ガイド部25で連結されていることにより、スライド部材19は途中で引っ掛かることなく、ガイド部材18に沿ってスムーズに移動することができる。なお、スライド部材の数及び配置間隔は、ガイド部材の全長に応じて、適宜、選択される。
【0016】
連結部材20は、隣り合うスライド部材19同士を所定間隔で連結するものである。このとき、縦ガイド部23の下端側から最も遠い位置(横ガイド部24の他端)にあるスライド部材19がガイド部材18(横ガイド部24)に固定されることにより、使用開始時に、複数のスライド部材19が所定間隔で整列され、縦ガイド部23側に落下することが防止される。連結部材としては、紐、ピアノ線又は鎖等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
また、各牽引部材21は、一端側が各スライド部材19の環状部28に順次挿通され、図3に示すように、縦ガイド部23の下端側でカバー部13に連結される。牽引部材としては、紐、ロープ、ワイヤー、ピアノ線又は鎖等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
水没防止作業具10は、保護対象物15の幅方向両側面及び上面を囲うように枠状に形成され前述の複数(ここでは3つ)の牽引手段17を保持する支持フレーム30と、支持フレーム30に取付けられた複数(ここでは6つ)の移動用車輪31とを有している。なお、牽引手段は、少なくとも2つあればよいが、保護対象物(水没防止用パック)の全長(長手方向の寸法)に応じて、その数及び配置間隔は、適宜、選択される。
また、本実施の形態では、支持フレーム30が、牽引手段17の数及び配置に対応した左右3本ずつ(計6本)の支柱部32を有しており、各支柱部32の下端部に移動用車輪31が取付けられているが、支柱部の数及び配置は、適宜、選択され、それに応じて移動用車輪の数も、適宜、選択される。なお、支持フレームは牽引手段を保持することができればよく、その構造は、適宜、選択されるものであり、必要に応じて、支持フレームの要所に縦材及び横材或いは筋交い等の補強材が追加されてもよい。
【0018】
ここで、保護対象物15のパック詰めに使用される水没防止用パック14の収納体12は、図2に示すように、底部33と底部33の周囲を囲む周壁部34とを有し、カバー部13は、収納体12の幅方向一側で周壁部34の上縁に延設されて収納体12と一体(連続的)に形成されている。そして、上面開口11の周縁(周壁部34の上端外周)とカバー部13の外周との間は開閉手段35により開閉可能に密封される。開閉手段35としては、防水ファスナー若しくは止水ファスナーが好適に用いられる。開閉手段35が、平面視して略U字状若しくは略コ字状に配置されるように、収納体12の上面開口11の周縁及びカバー部13の外周に沿って連続的に取付けられることにより、上面開口11はスムーズに開閉される。
【0019】
収納体12及びカバー部13は防水性及び非透水性を有する素材で形成される。例えばゴムボート、災害用エアーテント、又は耐火防護服等と同様の堅牢性及び耐久性を有する生地が好適に用いられる。具体的には、ポリアミド又はポリエステル等の合成繊維の基布に、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、又は天然ゴム等のゴムを複数層貼り合わせたゴム引布が好適に用いられる。基布としてポリアミドを用いた場合は、軽量で柔軟性及び伸縮性に優れ、ポリエステルを用いた場合は、硬く、高剛性で伸縮性が少なく、耐久性に優れる。なお、基布に貼り合わせるゴムの組合せ及び層数は、適宜、選択することができる。また、ゴムの代わりに、塩化ビニル樹脂を基布に貼り合わせた生地が用いられてもよく、その場合、加工が簡単で低コストで製造でき、耐摩耗性にも優れる。
【0020】
先に説明したように、カバー部13は、周壁部34と一体(連続的)に形成されることが好ましいが、収納体12の各部及びカバー部13を形成する素材(生地)は全て同一でもよいし、各部で異なっていてもよい。例えば、保護対象物15の重量が加わる底部33の生地を最も厚く(丈夫に)し、カバー部13の生地を最も薄く(軽量に)してもよい。カバー部13と周壁部34が異なる素材で形成される場合、継ぎ目が溶着又は接着により貼り合わされ一体化されることにより、気密性及び水密性が確保される。また、底部33と周壁部34との継ぎ目及び周壁部34同士の継ぎ目が発生する場合も、それぞれの継ぎ目が溶着又は接着により貼り合わされることにより、気密性及び水密性が確保される。なお、継ぎ目の数及び位置は、適宜、選択される。
【0021】
水没防止用パック14で保護対象物15をパック詰めするためには、まず、図3に示すように、カバー部13を収納体12の幅方向一側に折返し、上面開口11が開放された状態で収納体12(周壁部34)を扁平状に押し潰す。そして、保護対象物15を底部33の上に移動させ、保護対象物15の下端側外周が周壁部34で囲まれるようにする。次に、水没防止作業具10を移動させて保護対象物15の幅方向両側面及び上面が支持フレーム30で囲まれるように配置する。カバー部13の幅方向他側には、図2に示すように、各牽引手段17の位置に対応して予め環状の連結具36が取付けられており、図3に示すように、各牽引部材21の一端側に取付けられたフック37が連結具36に引っ掛けられることにより、各牽引部材21がカバー部13に簡単に連結される。なお、各牽引部材の一端側が連結具に直接、結束されてもよいし、連結具とフックが入れ替えられて使用されてもよい。
【0022】
次に、作業者が各牽引部材21の他端側を保護対象物15の幅方向他側に引っ張ることにより、図4に示すように、カバー部13の幅方向他側がガイド部材18に沿って移動し、収納体12(周壁部34)が保護対象物15の上方に引き上げられる。
さらに、作業者が各牽引部材21の他端側を保護対象物15の幅方向他側に引っ張ると、図5に示すように、カバー部13が保護対象物15の幅方向一側から他側に引っ張られて保護対象物15の上面がカバー部13で覆われる。その後、作業者が開閉手段35を上面開口11の周縁(周壁部34の上端外周)に沿って移動させることにより、図6に示すように、上面開口11がカバー部13で閉じられ、保護対象物15が水没防止用パック14で密閉される(パック詰めされる)。
【0023】
ここで、水没防止用パック14は、図3図6に示すように、支持フレーム30に折り畳み可能に保持され保護対象物15の幅方向他側で保護対象物15の長手方向に沿って配置される踏み板38を有することができる。従って、作業者は必要に応じて踏み板38を利用し、カバー部13及び収納体12(周壁部34)の形状を整えながら開閉手段35を移動させて上面開口11を閉塞することができる。なお、踏み板は、支持フレームに着脱可能に保持される構造とし、必要時に支持フレームに取付けられるようにしてもよい。
【0024】
パック詰め終了後、水没防止用パックの要所がワイヤー、鎖、紐又はロープ等の結束部材で周囲の固定構造物(例えば柱)に繋ぎ止められることにより、水没防止用パック14の漂流、移動及び傾倒(回転)等が防止される。このとき、水没防止用パックの要所に予めハトメ等の環状部材(図示せず)が取付けられていれば、水没防止用パックに対して結束部材が容易に連結される。なお、水没防止用パックに取付けられる環状部材の数及び配置は、適宜、選択される。
【0025】
以上のように構成された水没防止作業具10によれば、津波又は洪水等の発生前に、水没防止用パック14で保護対象物15を短時間でパック詰めして、浸水、水没及び流出等の水害から保護することができる。特に、バス、トラック、タクシー又はその他の特殊車両(救急車、消防車及び工事用車両)等を数多く所有する事業者、自治体又はその他の団体等では有用である。
水没防止用パック14の内部には必要に応じて、緩衝部材を詰めることができる。保護対象物15の外周に緩衝部材が配置されることにより、漂流物等が水没防止用パック14に衝突しても、保護対象物15を保護して破損を防止することができる。緩衝部材として、シート状のポリウレタン(スポンジ)等のクッション材がそのまま使用されてもよいし、布製又は合成樹脂製の袋体の中に詰められて使用されてもよい。また、緩衝部材として、気泡緩衝材が使用されてもよいし、中空袋状に形成され、内部に気体(空気、窒素、二酸化炭素等)が充填されたもの(例えばエアーマット)が使用されてもよい。
【0026】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
ガイド部材、スライド部材及び支持フレームの材質は、ステンレス等の金属でも合成樹脂でもよい。
上記実施の形態では、1つ(1台)の保護対象物に対して、1台の水没防止作業具を用いて水没防止用パックでパック詰めする方法を説明したが、保護対象物の全長(長手方向寸法)に対応させて、全長の異なる水没防止作業具を準備する代わりに、保護対象物よりも全長の短い水没防止作業具を保護対象物の長手方向に沿って複数配置して使用することもできる。
また、移動時以外に水没防止作業具が動かないように、移動用車輪にストッパーが取付けられることが好ましい。
【符号の説明】
【0027】
10:水没防止作業具、11:上面開口、12:収納体、13:カバー部、14:水没防止用パック、15:保護対象物、17:牽引手段、18:ガイド部材、19:スライド部材、20:連結部材、21:牽引部材、23:縦ガイド部、24:横ガイド部、25:湾曲ガイド部、27:摺動部、28:環状部、30:支持フレーム、31:移動用車輪、32:支柱部、33:底部、34:周壁部、35:開閉手段、36:連結具、37:フック、38:踏み板
図1
図2
図3
図4
図5
図6