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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098782
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】三次元情報取得装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/894 20200101AFI20240717BHJP
   G01S 7/487 20060101ALI20240717BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240717BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240717BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G01S17/894
G01S7/487
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
G01B11/00 B
G01B11/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002486
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】吉川 浩
【テーマコード(参考)】
2F065
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA53
2F065BB05
2F065DD11
2F065FF11
2F065FF32
2F065FF41
2F065GG08
2F065GG21
2F065HH14
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL20
2F065LL49
2F065MM11
2F065MM15
2F065PP22
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065UU01
2F065UU05
2F112AD01
2F112BA20
2F112CA08
2F112DA04
2F112DA08
2F112DA15
2F112DA21
2F112DA25
2F112DA28
2F112EA05
2F112EA11
2F112FA35
2F112FA45
2F112GA01
2F112GA03
5J084AA05
5J084AA13
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA05
5J084BA11
5J084BA18
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA40
5J084BA47
5J084BA48
5J084BB02
5J084BB05
5J084CA03
5J084CA31
5J084CA65
5J084CA67
5J084DA01
5J084DA07
5J084EA40
(57)【要約】
【課題】マルチパスによる影響を低減し、対象物までの距離を測距する。
【解決手段】三次元情報取得装置は、光を照射してから対象物に反射した光を受光するまでの時間に応じて得られた複数の距離値を含む距離画像である第1距離画像を取得する第1距離画像取得部と、前記第1距離画像と同一の前記対象物の一部に対して光を照射することにより得られる前記距離画像であって、前記第1距離画像とは異なる照射角の光を照射することにより得られる前記距離画像であって、前記第1距離画像と同一の前記対象物の一部を光学部材により拡大することにより得られる前記距離画像である第2距離画像を取得する第2距離画像取得部と、前記第1距離画像と前記第2距離画像とに基づいて、光の反射に伴うマルチパスの影響を判定し、判定した結果に基づいて前記第1距離画像と前記第2距離画像とを合成した前記対象物の三次元情報を生成する生成部とを備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射してから対象物に反射した光を受光するまでの時間に応じて得られた複数の距離値を含む距離画像である第1距離画像を取得する第1距離画像取得部と、
前記第1距離画像と同一の前記対象物の一部に対して光を照射することにより得られる前記距離画像であって、前記第1距離画像とは異なる照射角の光を照射することにより得られる前記距離画像であって、前記第1距離画像と同一の前記対象物の一部を光学部材により拡大することにより得られる前記距離画像である第2距離画像を取得する第2距離画像取得部と、
前記第1距離画像と前記第2距離画像とに基づいて、光の反射に伴うマルチパスの影響を判定し、判定した結果に基づいて前記第1距離画像と前記第2距離画像とを合成した前記対象物の三次元情報を生成する生成部と
を備える三次元情報取得装置。
【請求項2】
前記第1距離画像及び前記第2距離画像は、光軸を固定したまま取得される
請求項1に記載の三次元情報取得装置。
【請求項3】
前記対象物を撮像した可視光画像を取得する可視光画像取得部を更に備え、
前記光学部材による拡大倍率は、前記可視光画像取得部により取得された可視光画像に基づく
請求項1又は請求項2に記載の三次元情報取得装置。
【請求項4】
前記可視光画像取得部は、前記第1距離画像と略同一の画角を有する可視光画像である第1可視光画像と、前記第2距離画像と略同一の画角を有する可視光画像である第2可視光画像とを取得し、
前記距離画像を取得するために照射される光の照射角は、可視光画像の画角に応じて決定される
請求項3に記載の三次元情報取得装置。
【請求項5】
取得した前記第1可視光画像と、前記第2可視光画像とに基づき前記対象物の三次元情報に付与する画素情報を生成する可視光画像生成部を更に備え、
前記可視光画像生成部は、前記第1可視光画像のうち、前記第2可視光画像より解像度が低い座標における画素値を所定の方法により補完する
請求項4に記載の三次元情報取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元的な形状の測定をする方法として、近赤外光を対象物に照射し、対象物から反射した光の飛行時間に基づいて対象物までの距離を測定する方法が知られている。このような測定方法を用いた装置として、ToF(Time of Flight)カメラが知られている。このToFカメラを用いた場合、センサにより受光する光には、対象物に直接反射した直接光と、対象物とは異なる物体(例えば対象物の背後に位置する壁等)に反射した間接光とが混在する。対象物の近傍に近赤外光反射率の高い物体が存在する場合、外乱反射(いわゆるマルチパス)の影響により、対象物までの距離に誤差が生じ、測定結果に基づき対象物の三次元的な形状を再現しようとした場合に歪みが発生する問題があった。このようなマルチパスによる影響を低減するため、鏡面反射体を用いた計測技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-15706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような技術を用いる場合、対象物と背景の両方を測定したいような場合であっても、対象物の周囲に鏡面反射体を配置することを要する。鏡面反射体を配置することにより背景が隠れてしまうため、対象物と背景の両方の三次元的な形状の測定をする場合、上述したような技術を用いることはできなかった。更に、ToFカメラと、RGBカメラとを組み合わせて、対象物の色情報も含んだ点群データを取得するような場合には、背景画像が取得できないことは問題であった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、マルチパスによる影響を低減可能な測距技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の一態様は、光を照射してから対象物に反射した光を受光するまでの時間に応じて得られた複数の距離値を含む距離画像である第1距離画像を取得する第1距離画像取得部と、前記第1距離画像と同一の前記対象物の一部に対して光を照射することにより得られる前記距離画像であって、前記第1距離画像とは異なる照射角の光を照射することにより得られる前記距離画像であって、前記第1距離画像と同一の前記対象物の一部を光学部材により拡大することにより得られる前記距離画像である第2距離画像を取得する第2距離画像取得部と、前記第1距離画像と前記第2距離画像とに基づいて、光の反射に伴うマルチパスの影響を判定し、判定した結果に基づいて前記第1距離画像と前記第2距離画像とを合成した前記対象物の三次元情報を生成する生成部とを備える三次元情報取得装置である。
【0007】
[2]また、一態様は、上記[1]に記載の三次元情報取得装置において、前記第1距離画像及び前記第2距離画像は、光軸を固定したまま取得されるものである。
【0008】
[3]また、一態様は、上記[1]又は[2]に記載の三次元情報取得装置において、前記対象物を撮像した可視光画像を取得する可視光画像取得部を更に備え、前記光学部材による拡大倍率は、前記可視光画像取得部により取得された可視光画像に基づくものである。
【0009】
[4]また、一態様は、上記[3]に記載の三次元情報取得装置において、前記可視光画像取得部は、前記第1距離画像と略同一の画角を有する可視光画像である第1可視光画像と、前記第2距離画像と略同一の画角を有する可視光画像である第2可視光画像とを取得し、前記距離画像を取得するために照射される光の照射角は、可視光画像の画角に応じて決定されるものである。
【0010】
[5]また、一態様は、上記[4]に記載の三次元情報取得装置において、取得した前記第1可視光画像と、前記第2可視光画像とに基づき前記対象物の三次元情報に付与する画素情報を生成する可視光画像生成部を更に備え、前記可視光画像生成部は、前記第1可視光画像のうち、前記第2可視光画像より解像度が低い座標における画素値を所定の方法により補完するものである。
【0011】
また、参考態様は、次の通りである。
【0012】
[A1]本発明の一つの参考態様は、光を照射してから対象物に反射した光を受光するまでの時間に応じて得られた複数の距離値を含む距離画像である第1距離画像を取得する第1距離画像取得部と、前記第1距離画像と同一の前記対象物に対して光を照射することにより得られる前記距離画像であって、前記第1距離画像とは異なる照射角の光を照射することにより得られる前記距離画像である第2距離画像を取得する第2距離画像取得部と、前記第1距離画像と前記第2距離画像とに基づいて、光の反射に伴うマルチパスの影響を判定し、判定した結果に基づいて前記第1距離画像と前記第2距離画像とを合成した前記対象物の三次元情報を生成する生成部とを備える三次元情報取得装置である。
【0013】
[A2]また、本発明の一態様は、上記[A1]に記載の三次元情報取得装置において、前記距離画像は、二次元座標系の各座標に応じた距離値を有し、前記生成部は、同一座標における前記第1距離画像に含まれる距離値と前記第2距離画像に含まれる距離値とを比較し、比較した結果に基づいて光の反射に伴うマルチパスの影響を判定するものである。
【0014】
[A3]また、本発明の一態様は、上記[A1]又は[A2]に記載の三次元情報取得装置は、前記距離画像を取得するための光を照射する照射部を更に備え、前記照射部は、前記対象物の位置に応じて光を照射する方向を変えられるものである。
【0015】
[A4]また、本発明の一態様は、上記[A3]に記載の三次元情報取得装置は、前記対象物を撮像した可視光画像を取得する可視光画像取得部を更に備え、前記照射部は、前記可視光画像を解析したことにより得られた前記対象物の位置に応じて光を照射する方向を可変させられるものである。
【0016】
[A5]また、本発明の一態様は、上記[A1]から[A4]のいずれかに記載の三次元情報取得装置は、前記距離画像を取得するための光を照射する照射部を更に備え、前記照射部は、光を発光する発光部と、前記発光部により発光された光を拡散する拡散部とを更に備え、前記発光部と前記拡散部との距離を可変することにより異なる照射角の光を照射するものである。
【0017】
[B1]本発明の一つの参考態様は、光を照射してから対象物及び背景に反射した光を受光するまでの時間に応じて得られた複数の距離値を含む距離画像である第1距離画像を取得する第1距離画像取得部と、前記第1距離画像と同一の前記対象物に対して光を照射することにより得られる前記距離画像であって、前記第1距離画像における背景より近赤外線の反射率が低い背景を用いて得られる前記距離画像である第2距離画像を取得する第2距離画像取得部と、前記第1距離画像と前記第2距離画像とに基づいて、光の反射に伴うマルチパスの影響を判定し、判定した結果に基づいて前記第1距離画像と前記第2距離画像とを合成した前記対象物の三次元情報を生成する生成部とを備える三次元情報取得装置である。
【0018】
[B2]また、一態様は、上記[B1]に記載の三次元情報取得装置において、前記距離画像は、二次元座標系の各座標に応じた距離値を有し、前記生成部は、同一座標における前記第1距離画像に含まれる距離値と前記第2距離画像に含まれる距離値とを比較し、比較した結果に基づいて光の反射に伴うマルチパスの影響を判定するものである。
【0019】
[B3]また、一態様は、上記[B1]又は[B2]に記載の三次元情報取得装置において、前記第1距離画像に対応する前記対象物及び背景を撮像した可視光画像である第1可視光画像を取得する第1可視光画像取得部と、前記第2距離画像に対応する前記対象物及び背景を撮像した可視光画像である第2可視光画像を取得する第2可視光画像取得部とを更に備え、前記第1可視光画像と、前記第2可視光画像とは、可視光画像の明るさを決定するための撮像条件が異なるものである。
【0020】
[B4]また、一態様は、上記[B1]又は[B2]に記載の三次元情報取得装置において、前記第1距離画像に対応する前記対象物及び背景を撮像した可視光画像である第1可視光画像を取得する第1可視光画像取得部と、前記第2距離画像に対応する前記対象物及び背景を撮像した可視光画像である第2可視光画像を取得する第2可視光画像取得部と、取得した前記第1可視光画像と、前記第2可視光画像とに基づき前記対象物の三次元情報に付与する画素情報を生成する可視光画像生成部とを更に備え、前記可視光画像生成部は、取得した前記第1可視光画像の画素値と、前記第2可視光画像の画素値とを比較した結果に応じて、前記画素情報を生成するものである。
【0021】
[B5]また、一態様は、上記[B1]から[B5]のいずれかに記載の三次元情報取得装置と、前記第2距離画像を取得する際に用いられ、近赤外線の反射率が低い背景である赤外線吸収シートとを備える三次元情報取得システムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、マルチパスによる影響を低減し、対象物までの距離を測距することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態1に係る三次元情報取得装置の概略について説明するための図である。
図2】実施形態1に係る三次元情報取得装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
図3】実施形態1に係る三次元情報取得装置による第1の照射について説明するための図である。
図4】実施形態1に係る三次元情報取得装置による第2の照射について説明するための図である。
図5】実施形態1に係る三次元情報取得装置による第1の照射について説明するための第2の図である。
図6】実施形態1に係る三次元情報取得装置による第2の照射について説明するための第2の図である。
図7】実施形態1に係る三次元情報取得装置において、照射角の変更方法について説明するための図である。
図8】実施形態2に係る三次元情報取得装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
図9】実施形態2に係る三次元情報取得装置による第1の照射と第2の照射について説明するための図である。
図10】実施形態2に係る三次元情報取得装置による第1の背景を用いた場合の可視光画像と第2の背景を用いた場合の可視光画像の一例を示す図である。
図11】実施形態2に係る三次元情報取得装置による第1距離画像を用いた場合の点群データと第2距離画像を用いた場合の点群データの一例を示す図である。
図12】実施形態3に係る三次元情報取得装置の断面の一例を示す模式図である。
図13】実施形態3に係る三次元情報取得装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
図14】実施形態3に係る三次元情報取得装置によるワイド端における距離画像と可視光画像とが合成された点群データの一例を示す図である。
図15】実施形態3に係る三次元情報取得装置によるテレ端における距離画像と可視光画像とが合成された点群データの一例を示す図である。
図16】実施形態3に係る三次元情報取得装置によりワイド端における距離画像及び可視光画像と、テレ端における距離画像及び可視光画像とが合成された点群データの一例を示す図である。
図17】実施形態3に係る三次元情報取得装置による画素値の補完について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0025】
[実施形態1]
まず、図1から図7を参照しながら、実施形態1について説明する。
【0026】
図1は、実施形態1に係る三次元情報取得装置の概略について説明するための図である。同図を参照しながら、三次元情報取得装置10の概略について説明する。三次元情報取得装置10は、三次元空間上に存在する対象物Tの三次元的な情報を取得する。三次元情報取得装置10により取得される三次元的な情報には、対象物Tの三次元的な形状についての情報が少なくとも含まれる。三次元情報取得装置10は、三次元情報取得装置10から対象物Tまでの距離L1を計測する。三次元情報取得装置10は、二次元座標系の各座標において、対象物Tまでの距離L1をそれぞれ計測することにより、対象物Tの三次元的な形状を取得する。三次元情報取得装置10が対象とする対象物Tには、動物や物体等の三次元的な情報の取得の対象となるあらゆるものが含まれる。対象物Tの背後には、背景BGが存在する。背景BGとは、例えば撮影用に用いられるグリーンバック等のスクリーンであってもよいし、単なる壁や床、建造物、自然物等、その他通常の撮像時に映り込む背景等であってもよい。三次元情報取得装置10は、例えば屋内における撮影スタジオでプロのカメラマンにより使用されてもよいし、屋内外における通常の写真撮影と同様の状況において一般ユーザにより使用されてもよい。
【0027】
三次元情報取得装置10は、受光部110と、照射部120と、制御部130とを備える。受光部110は、例えば、対物レンズ等の光学系レンズを含んで構成されてもよい。照射部120は、照射光を対象物Tに照射する。照射部120は、例えばレーザーダイオード等の光源であってもよい。より詳細には、照射部120は、垂直方向にレーザービームを放射可能なVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、垂直共振器型面発光レーザー)等であってもよい。照射部120により照射された光(第1照射光BM1)は、対象物Tにより反射し、対象物Tにより反射した光(第2照射光BM2)は、受光部110に入射する。制御部130は、光を照射してから受光するまでの時間(飛行時間)に応じて、三次元情報取得装置10から対象物Tまでの距離L1を測距する。受光部110は、二次元アレイ状に配置された複数の受光素子(不図示)を備える。制御部130は、複数の受光素子それぞれにおける測距情報に応じて、対象物Tの三次元的な形状を測定する。なお、図示する一例では、一対の受光部110及び照射部120が示されているが、1つの受光部110に対して複数の照射部120が備えられるような構成であってもよい。この場合、複数の照射部120は、受光部110を中心として、その近傍に備えられることが好適である。
【0028】
三次元情報取得装置10は、不図示のイメージセンサを備えていてもよい。イメージセンサは、二次元アレイ状に配置された複数の画素を備え、イメージセンサが備える複数の画素は、受光部110が備える光学系レンズにより結像された可視光を受光し、受光した情報に基づき、可視光画像(RGB画像)を生成する。可視光画像の方式としては、RGB方式に限らず、YCbCr方式やグレースケール(モノクロ)方式でもよい。照射部120により照射され対象物Tに反射した光(例えば近赤外光)と、可視光画像を生成するための可視光とは、同一光軸上を通り受光部110に入射してもよい。この場合、三次元情報取得装置10は、不図示の可視光反射ダイクロイック膜等を備えることにより、可視光反射ダイクロイック膜を透過する近赤外光と、可視光反射ダイクロイック膜に反射する可視光の2つに分光してもよい。この場合、測距のための受光素子は可視光反射ダイクロイック膜を透過する光の光軸上に設けられ、可視光画像を生成するためのイメージセンサは可視光反射ダイクロイック膜に反射した光の光軸上に設けられる。
【0029】
図2は、実施形態1に係る三次元情報取得装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、三次元情報取得装置10の機能構成の一例について説明する。三次元情報取得装置10は、受光部110と、照射部120と、制御部130とを含んで構成される。
【0030】
照射部120は、第1照射部121と、第2照射部122とを備える。第1照射部121と、第2照射部122とは、互いに異なる照射角の照射光を照射する。受光部110は、第1照射部121又は第2照射部122のいずれかにより照射された照射光が対象物T又は背景BGに反射した反射光を受光する。ここで、第1照射部121の照射角と第2照射部122の照射角とは異なる。具体的には、第1照射部121の照射角は、第2照射部122の照射角より広角である。第1照射部121の照射角と、第2照射部122の照射角について、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、以降の説明において「照射角」と記載した場合、「視野角(FoV;Field Of View)」と同義で用いる場合がある。
【0031】
図3は、実施形態1に係る三次元情報取得装置による第1の照射について説明するための図である。同図を参照しながら、第1照射部121により行われる第1の照射について説明する。同図は、図1における配置を真上から見た図である。同図に示す一例では、三次元情報取得装置10が背景BGの手前に存在する対象物Tの三次元的形状を測定する。三次元情報取得装置10は、受光部110と、第1照射部121と、第2照射部122とを備える。三次元情報取得装置10は、第1照射部121として、第1照射部121-1及び第1照射部121-2を備える。第1照射部121による照射角を角度αとして示す。例えば、第1照射部121により照射され対象物Tに反射した光(当該光の経路を照射光BM1-1と記載する。)は、マルチパスの影響を受けない。しかしながら、第1照射部121により照射され背景BGに反射した光(当該光の経路を照射光BM1-2と記載する。)によっては、背景BGからの反射光が対象物T等によって更に反射している場合があり、このような光はマルチパスの影響を与える。マルチパスの影響により、対象物Tの形状は、本来点線で示すような形状であるものの、実線で示すような形状として計測されてしまう。これは、マルチパスの影響を受けた場合、Depth値(三次元情報取得装置10から対象物Tまでの距離を示す値)は、本来の値より大きく(遠く)測定されるためである。
【0032】
なお、本実施形態においては、便宜上、第1照射部121を第1照射部121-1と、第1照射部121-2とに分けて記載しているが、1つの第1照射部121により、角度αの照射角を有する光を照射してもよい。図示するように第1照射部121が2つ備えられる場合、2つの第1照射部121は、受光部110を中心として互いに対称な位置に備えられることが好適である。
【0033】
図4は、実施形態1に係る三次元情報取得装置による第2の照射について説明するための図である。同図を参照しながら、第2照射部122により行われる第2の照射について説明する。同図は、図1における配置を真上から見た図である。同図に示す一例では、三次元情報取得装置10が背景BGの手前に存在する対象物Tの三次元的形状を測定する。三次元情報取得装置10は、受光部110と、第1照射部121と、第2照射部122とを備える。第2照射部122による照射角を角度βとして示す。角度βは、角度αより狭く、対象物Tがちょうど画角内に収まる程度の角度である。第2照射部122により照射され対象物Tに反射した光の経路を照射光BM1-3と記載する。角度βは角度αより狭く、対象物Tがちょうど画角内に収まる程度の角度であるため、背景BGまで届く光が少なく、マルチパスを通って受光部110まで届く光が少ない。したがって、第2の照射によれば、マルチパスの影響を受けることを低減することができる。第2照射部122により照射される光に基づく対象物Tの形状測定では、マルチパスによる影響が低減されているため、本来対象物Tの形状は点線で示されるような形状であるところ、計測結果としても実線で示すような形状となる。このように、第2の照射によれば、対象物Tの形状を正確に測定することができる。なお、図示する一例では、真上から見た図であるため、1つの第2照射部122しか見えないが、受光部110を挟んで第2照射部122と対向する位置(受光部110の下側ということもできる)に、不図示の第2照射部122を備えていてもよい。換言すれば、第1照射部121は受光部110を挟んで左右方向に配置され、第2照射部122は受光部110を挟んで上下方向に配置されているということができる。
【0034】
なお、本実施形態においては、便宜上、異なる照射角の照射光を照射する照射部を、第1照射部121及び第2照射部122に分けて記載しているが、1つの照射部により異なる照射角の照射光を照射してもよい。すなわち、第1照射部121及び第2照射部122は、同一のものであってもよい。
【0035】
図2に戻り、制御部130の機能構成について説明する。制御部130は、照射部120による光の照射及び受光部110の露光を制御し、受光部110により受光した情報を取得する。制御部130は、光の照射と受光に関する情報に基づき、二次元座標系の各座標において対象物Tまでの距離を計測し、対象物Tの三次元的形状を取得する。
【0036】
制御部130は、ToFセンサ制御部131と、第1距離画像取得部132と、第2距離画像取得部133と、三次元情報生成部134とを含んで構成される。これらの各機能部は、例えば、電子回路を用いて実現される。また、各機能部は、必要に応じて、半導体メモリや磁気ハードディスク装置などといった記憶手段を内部に備えてよい。また、各機能を、コンピュータおよびソフトウェアによって実現するようにしてもよい。
【0037】
ToFセンサ制御部131は、照射部120による光の照射を制御する。具体的には、ToFセンサ制御部131は、第1制御情報CI1を出力することにより第1照射部121による光の照射タイミングを制御し、第2制御情報CI2を出力することにより第2照射部122による光の照射タイミングを制御する。また、ToFセンサ制御部131は、第3制御情報CI3を出力することにより、照射部120が照射したときの反射光を受光部110が受光する際の露光を制御する。その結果、ToFセンサ制御部131は受光部110から受光情報RIを取得することにより反射光についての情報を取得する。受光情報RIには、二次元座標の各座標に応じて、反射光を取得した対象物Tまでの距離に関する情報が含まれていてもよい。受光情報RIには、受光部110が露光して取得したそれぞれの情報が含まれていてもよいし、受光部110が複数回露光して取得した反射光に基づいて信号処理することによって取得した座標ごとの赤外光情報及び距離情報が含まれていてもよい。赤外光情報や距離情報は、ToFセンサ制御部131が受光部110から取得した反射光についての情報に基づいて信号処理することにより取得してもよい。
【0038】
ToFセンサ制御部131は、取得した受光情報RIに基づき、距離画像を生成する。距離画像とは、光を照射してから対象物に反射した光を受光するまでの時間に応じて得られた複数の距離値を含むものである。複数の距離値は、二次元座標系に応じたものである。距離画像は、ToFセンサにより得られるDepth画像ということもできる。具体的には、ToFセンサ制御部131は、第1制御情報CI1を出力することにより第1照射部121による照射を行った結果として得られた反射光に基づき、第1距離画像DI1を生成する。また、ToFセンサ制御部131は、第2制御情報CI2を出力することにより第2照射部122による照射を行った結果として得られた反射光に基づき、第2距離画像DI2を生成する。ここで、第1照射部121による照射と、第2照射部122による照射とは、同一の対象物Tに対して行われる。また、第1照射部121による照射の照射角と、第2照射部122による照射の照射角とは異なる。すなわち、第2距離画像DI2とは、第1距離画像DI1と同一の対象物Tに対して光を照射することにより得られる距離画像であって、第1距離画像DI1とは異なる照射角の光を照射することにより得られる距離画像であるということもできる。
【0039】
第1距離画像取得部132は、ToFセンサ制御部131により生成された第1距離画像DI1を取得する。第1距離画像取得部132は、取得した第1距離画像DI1を三次元情報生成部134に出力する。
【0040】
第2距離画像取得部133は、ToFセンサ制御部131により生成された第2距離画像DI2を取得する。第2距離画像取得部133は、取得した第2距離画像DI2を三次元情報生成部134に出力する。
【0041】
三次元情報生成部134は、第1距離画像取得部132から第1距離画像DI1を取得し、第2距離画像取得部133から第2距離画像DI2を取得する。三次元情報生成部134は、取得した第1距離画像DI1と第2距離画像DI2とに基づいて、対象物Tの三次元情報を生成する。ここで、第1距離画像DI1を得るために照射された光の照射角と、第2距離画像DI2を得るために照射された光の照射角とは異なり、具体的には、第1距離画像DI1を得るために照射された光の照射角はより広角である。第1距離画像DI1を得るために照射された光の照射角は広角のため、第1距離画像DI1はマルチパスの影響を受けたものであるということができる。一方、第2距離画像DI2を得るために照射された光の照射角は第1距離画像DI1の照射角より狭いため(理想的には、対象物Tの大きさ又は範囲にのみ照射される角度のため)、第2距離画像DI2はマルチパスの影響が軽減されたものである。しかしながら第2距離画像DI2によれば、対象物Tの外側の領域は、距離値(Depth値)がとれない(値が0である)。したがって第2距離画像DI2によって距離値が得られない領域が存在する。三次元情報生成部134は、第2距離画像DI2によって距離値が得られない領域については、第1距離画像DI1の距離値を用いて対象物Tの三次元情報を生成する。三次元情報生成部134により生成される対象物Tの三次元情報は、第1距離画像DI1と比べて、光の反射に伴うマルチパスの影響が軽減されたものである。また、三次元情報生成部134により生成される対象物Tの三次元情報には、第2距離画像DI2と比べて、対象物Tの周辺(例えば背景BG)についての情報も含まれる。なお、以下の説明において、三次元情報生成部134を単に生成部と記載する場合がある。
【0042】
三次元情報生成部134は、第1距離画像DI1及び第2距離画像DI2の両方から距離値を取得可能な場合、第1距離画像DI1の距離値と第2距離画像DI2の距離値とを比較した結果に応じて、いずれの距離値を採用するかを決定してもよい。つまり、第1距離画像DI1の距離値と第2距離画像DI2の距離値とを比較した結果に基づいて対象物Tの三次元情報に対するマルチパスの影響を判定し、判定した結果に応じていずれの距離値を採用するかを決定する。ここで、第1距離画像DI1及び第2距離画像DI2は、それぞれ二次元座標系の各座標に応じた距離値を有している。そこで、三次元情報生成部134は、同一座標における第1距離画像DI1に含まれる距離値と第2距離画像DI2に含まれる距離値とを比較し、比較した結果に応じて対象物Tの三次元情報を生成してもよい。
【0043】
「比較した結果に応じて」とは、距離値の差分が、センサのノイズ特性、Depth精度、個体差ばらつき、温度特性等で変動する量をある一定量以上超えた場合に、マルチパスの影響を受けていると判定することであってもよい。例えば、三次元情報生成部134は、Depth精度が±2%である場合、比較した結果が±5%又は±10%であることを条件として、マルチパスの影響を受けていると判定してもよい。マルチパスの影響を受けていると判定された座標については、第2距離画像DI2の距離値を採用してもよい。
【0044】
三次元情報生成部134は、マルチパスによる物体の歪みが目に見えて不自然となるような場合に、マルチパスが発生していると判定して補正を行ってもよい。マルチパスによる物体の歪みが目に見えて不自然となるか否かの判定は、対象物Tの大きさに基づくものであってもよい。例えば対象物Tの大きさが直径100[mm(ミリメートル)]の円形である場合、閾値が5%なら5[mm]、閾値が10%なら10[mm]、の歪みを許容することとなる。このように、許容可能な歪みに基づいて閾値が設定されてもよい。
【0045】
なお、上述したように、可視光反射ダイクロイック膜等を用いて更に可視光画像を取得可能とした構成の場合、更に可視光画像取得部(不図示)を備えることにより対象物Tの可視光画像を取得し、三次元情報生成部134は、取得した可視光画像に基づいて、第1距離画像DI1又は第2距離画像DI2のいずれの距離値を用いるかを決定してもよい。可視光画像を用いれば、画素値の微分や周波数解析等の画像解析を行うことにより対象物Tのエッジ(輪郭)を検出することが可能である。また、距離画像によれば、距離値に一定量の差が存在する位置を対象物Tのエッジとして検出することができる。したがって、可視光画像に基づくエッジと、距離画像に基づくエッジが異なる場合、マルチパスによる影響を受けていると判定することができる。このような場合、三次元情報生成部134は可視光画像による対象物Tのエッジに基づき、対象物Tのエッジより外側は第1距離画像DI1の距離値を用い、対象物Tのエッジより内側は第2距離画像DI2の距離値を用いることができる。
【0046】
上述した一例によれば、対象物Tが画角の中央に存在することが前提となっている。しかしながら、本実施形態は、対象物Tが画角の中央に存在しない場合についても適用可能である。次に、図5及び図6を参照しながら、対象物Tが画角の中央に存在しない場合の一例について説明する。
【0047】
図5は、実施形態1に係る三次元情報取得装置による第1の照射について説明するための第2の図である。同図を参照しながら、対象物Tが画角の中央に存在しない場合における三次元情報取得装置10による第1の照射について説明する。同図は、図3における配置と比較して、対象物Tの位置が画角中央から左側に移動した状態における図である。この状態においても、対象物Tは、角度αの範囲内に存在している。図示する一例では、図3の状況と同様に、第1照射部121により照射され対象物Tに反射した光(当該光の経路を照射光BM1-1と記載する。)は、マルチパスの影響を受けない。しかしながら、第1照射部121により照射され背景BGに反射した光(当該光の経路を照射光BM1-2と記載する。)によっては、背景BGからの反射光が対象物T等によって更に反射している場合があり、このような光はマルチパスの影響を与える。
【0048】
図6は、実施形態1に係る三次元情報取得装置による第2の照射について説明するための第2の図である。同図を参照しながら、対象物Tが画角の中央に存在しない場合における三次元情報取得装置10による第2の照射について説明する。同図は、図4における配置と比較して、対象物Tの位置が画角中央から左側に移動した状態における図である。この状態において、図4のように画角の中央に照射角の狭い光を照射すると、対象物Tが角度βの範囲内に収まらない。本実施形態によれば、照射部120が光を照射する角度を対象物Tに合わせて変更することにより、対象物Tを狭い画角内に収める。具体的には、第2照射部122が向く方向を可変にすることにより、照射部120は対象物Tの位置に応じて光を照射する方向を変えられる。
【0049】
なお、上述したように、可視光反射ダイクロイック膜等を用いて更に可視光画像を取得可能とした構成の場合、照射部120は、可視光画像に基づいて第2照射部122が向く方向を変えるようにしてもよい。この場合、三次元情報取得装置10は、対象物Tを撮像した可視光画像を取得する可視光画像取得部を更に備え、照射部120は、取得した可視光画像を解析したことにより得られた対象物Tの位置に応じて光を照射する方向を変えられる。なお、照射部120により光の照射が行われる方向は、例えば取得した可視光画像につき物体検出処理を行い、物体が存在すると判定された範囲の中心点に基づき、照射方向角及び照射範囲角を制御することであってもよい。また、対象物Tが人物である場合、例えば可視光画像を画像処理することにより顔認識を行い、顔であると認識された範囲の中心点に基づき、照射方向角及び照射範囲角を制御してもよい。これにより、人物の顔についてマルチパスの影響が軽減された三次元情報を生成することができる。
【0050】
上述した一例によれば、照射部120は、予め照射角の広い第1照射部121と、照射角の狭い第2照射部122とを予め備え、いずれか一方から光を照射することにより、第1の照射と第2の照射とを切り替えていた。通常市販されているVCSELによれば、アイセーフの観点からディフューザの位置が固定されており、照射角を変えることは困難である。したがって、照射角を変更するためには予め異なる照射角のVCSELを用意する必要が生じ、上述したような実施形態をとることが考えられる。しかしながらディフューザとVCSELとの距離を可変にすることにより照射角を容易に変更することが可能となれば、1個のVCSELにより上述した実施形態と同様の構成を実現することが可能である。以下、図7を参照しながら、1個のVCSELにより上述した実施形態と同様の構成を実現する場合の一例について説明する。
【0051】
図7は、実施形態1に係る三次元情報取得装置において、照射角の変更方法について説明するための図である。同図を参照しながら、照射角の変更方法について説明する。図示する照射部140は、照射部120の変形例である。同図には、照射部140の内部構成の一例を示す。照射部140は、距離画像を取得するための光を照射するための部材である。照射部140は、発光部141と拡散部142とを含んで構成される。発光部141は、光を発光する部材であり、例えばVCSELであってもよい。拡散部142は、発光部141により発光された光を拡散する部材であり、例えばディフューザであってもよい。照射部140は、発光部141と拡散部142との距離を可変にすることにより異なる照射角の光を照射する。
【0052】
図7(A)から図7(C)は、それぞれ発光部141と拡散部142との距離が異なっている。図7(A)から図7(C)によれば、照射部140は、それぞれ異なる照射角の光を照射する。例えば固定された発光部141に対して、拡散部142が前後方向(図中に両向き矢印で示した上下方向)にシフトすることにより、発光部141と拡散部142との距離を可変にするよう構成されていてもよい。この場合、ToFセンサ制御部131による距離値の算出には、拡散部142のシフト量が用いられ、補正が行われてもよい。なお、当該補正は、光の速度で無視できる範囲であれば無視してもよい。拡散部142の前後位置シフト機構は、アイセーフの観点から、容易に外れないような構成とされることが好適である。図7(A)に示す一例では、発光部141と拡散部142との距離が距離L41であり、図示する中で最も短い。この場合の照射角は角度γ1であり、図示する中で最も広角に光を照射することができる。図7(C)に示す一例では、発光部141と拡散部142との距離が距離L43であり、図示する中で最も長い。この場合の照射角は角度γ3であり、図示する中で最も狭角に光を照射することができる。図7(B)に示す一例では、発光部141と拡散部142との距離が距離L42であり、図7(A)に示す一例と図7(C)に示す一例との間の距離である。この場合の照射角は角度γ2であり、図7(A)に示す一例と図7(C)に示す一例との間の照射角の光を照射することができる。
【0053】
[実施形態1のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、三次元情報取得装置10は、第1距離画像取得部132を備えることにより第1距離画像DI1を取得し、第2距離画像取得部133を備えることにより第2距離画像DI2を取得する。第1距離画像DI1及び第2距離画像DI2は、いずれも光を照射してから対象物に反射した光を受光するまでの時間に応じて得られた複数の距離値を含む距離画像(Depth画像)である。第1距離画像DI1及び第2距離画像DI2は、同一の対象物Tに対して光を照射することにより得られる距離画像であって、互いに異なる照射角の光を照射することにより得られる距離画像である。第1距離画像DI1は、広い照射角の光により対象物Tまでの距離を測距しているため、広い範囲について距離情報を有している。第2距離画像DI2は、狭い照射角の光により対象物Tまでの距離を測距しているため、マルチパスの影響が少ない。三次元情報取得装置10は三次元情報生成部134を備えることにより、第1距離画像DI1と第2距離画像DI2とに基づいて、光の反射に伴うマルチパスの影響を軽減した対象物Tの三次元情報を生成する。したがって、本実施形態によれば、マルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる。また、従来であればマルチパスの影響を受けやすい環境(例えば近赤外光反射率の高い背景等の周囲物)は除外しなければ、マルチパスの影響を低減することはできなかった。しかしながら本実施形態によれば、マルチパスの影響を受けやすい環境を除外することなくマルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる。
【0054】
また、以上説明した実施形態によれば、第1距離画像DI1及び第2距離画像DI2は、いずれも二次元座標系の各座標に応じた距離値を有する。また、三次元情報生成部134は、同一座標における第1距離画像DI1に含まれる距離値と第2距離画像DI2に含まれる距離値とを比較し、比較した結果に応じて対象物の三次元情報を生成する。すなわち、三次元情報取得装置10は、距離値の差に応じてどちらの距離値を採用するかを決定する。距離値の差が大きい座標は、照射角が広角である第1距離画像DI1においてマルチパスの影響を受けている可能性が高い。このような座標については、第2距離画像DI2の距離値を用いることにより、マルチパスによる影響を低減した三次元情報を生成することができる。したがって、本実施形態によれば、容易にマルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる。
【0055】
また、以上説明した実施形態によれば、照射部120を備えることにより距離画像を取得するための光を照射する。照射部120は、対象物Tの位置に応じて光を照射する方向を変えられる。すなわち、三次元情報取得装置10は、被写体の位置に応じて照射角を変えることができる。したがって本実施形態によれば、対象物Tが画角の中心に存在しない場合であっても、対象物Tのみに光を照射する第2の照射を行うことができる。したがって本実施形態によれば、対象物Tが画角の中心にない場合であっても、マルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる。
【0056】
また、以上説明した実施形態によれば、三次元情報取得装置10は可視光画像取得部を更に備えることにより、対象物Tを撮像した可視光画像を取得する。また、照射部120は、可視光画像を解析したことにより得られた対象物Tの位置や大きさに応じて光を照射する方向や照射角を変えられる。すなわち、照射部120は、可視光画像に基づいて対象物Tの位置や大きさを特定し、照射する方向や照射角を変えることができる。したがって、本実施形態によれば、対象物Tが画角の中心にない場合であっても、第2の照射を行う方向を自動的に判定し、第2の照射を行うことができる。したがって本実施形態によれば、対象物Tが画角の中心にない場合であっても、マルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる。
【0057】
また、以上説明した実施形態によれば、三次元情報取得装置10は照射部140を備えることにより距離画像を取得するための光を照射し、照射部140は、光を発光する発光部141と、発光部141により発光された光を拡散する拡散部142とを備える。また、照射部140は、発光部141と拡散部142との距離を可変にすることにより異なる照射角の光を照射する。すなわち、本実施形態によれば、複数の異なる照射角を有する照射部120を予め備えることを要せず、対象物Tの位置や大きさに応じて照射角を変えることができる。したがって本実施形態によれば、対象物Tの位置や大きさ位に応じて好適な照射角の光を照射することができ、精度よくマルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる。
【0058】
上述した一例によれば、対象物Tが画角の中に1つだけ存在することが前提となっている。しかしながら、本実施形態はこの一例に限定されず、対象物Tが画角の中に複数存在する場合についても適用可能である。対象物Tが画角の中に複数存在する場合、例えば複数の対象物Tのうちメインの対象物Tに対して第2の照射を行い、複数の対象物Tのうちその他の対象物Tについては第2の照射を行わなくてもよい。また、他の実施形態としては、第1の照射に対応する第2の照射を対象物Tの数だけ行うことにより、マルチパスの影響が少ない第2距離画像DI2を複数取得してもよい。この場合、三次元情報生成部134は、1枚の第1距離画像DI1と、複数の第2距離画像DI2とにもとづいて、複数の対象物Tの三次元情報を生成してもよい。
【0059】
なお、上述した一例によれば、第2の照射では対象物Tの位置や大きさに合わせて照射角を狭めるが、照射角の調整に限度がある場合(すなわち、照射角を最も狭くした場合であっても、対象物Tの外側に光が照射されてしまう場合)には、対象物Tの位置がより光軸近くへ配置されるようにすることにより、(マルチパスの影響を完全になくすことはできないかもしれないが)マルチパスの影響を低減させることが可能である。第2照射部122により照射される光の光軸が対象物Tの中心を通るように第2照射部122が向く方向を調節することにより、マルチパスの影響を低減させるようにしてもよい。
【0060】
また、マルチパスの影響の大小は、対象物Tの形状や背景BGによって決定される。対象物Tの形状や背景BGによっては、マルチパスの影響が水平方向に多い場合もあるし、垂直方向に多い場合もある。そこで、三次元情報取得装置10は、マルチパスの影響が水平方向に多いか、垂直方向に多いかに応じて、異なる制御を行ってもよい。マルチパスの影響が水平方向に多いか、垂直方向に多いかは、例えば可視光画像により判定されてもよい。水平方向からのマルチパスの影響が多い場合、第2照射部122は、受光部110を挟んで垂直方向上下に配置されていてもよい(すなわち図3に示した配置と同様である。)。また、垂直方向からのマルチパスの影響が多い場合、第2照射部122は、受光部110を挟んで水平方向上下に配置されていてもよい(すなわち図3に示した配置を90度回転させた配置である。)。
【0061】
[実施形態2]
次に、図8から図11を参照しながら、実施形態2について説明する。実施形態1では、照射角の異なる光(具体的には照射角の狭い光)を照射することにより第2距離画像DI2を取得する場合の一例について説明した。実施形態2は、照射角を固定したまま背景を異ならせることによりマルチパスを低減した第2距離画像DI2を取得する点において、実施形態1とは異なる。
【0062】
図8は、実施形態2に係る三次元情報取得装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、実施形態2に係る三次元情報取得装置10Aの機能構成の一例について説明する。三次元情報取得装置10Aの照射部120Aは、互いに異なる照射角の光を照射する複数の照射部を備えない点において三次元情報取得装置10とは異なる。具体的には、三次元情報取得装置10Aは、照射部120に代えて照射部120Aを備える点において三次元情報取得装置10とは異なる。また、三次元情報取得装置10Aは、更に背景情報取得部150を備える点において三次元情報取得装置10とは異なる。また、三次元情報取得装置10Aは、制御部130に代えて制御部130Aを備える点において三次元情報取得装置10とは異なる。三次元情報取得装置10Aの説明において三次元情報取得装置10と同様の構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
【0063】
照射部120Aは、ToFセンサ制御部131Aからの制御情報CIに基づき、距離画像を取得するための光を照射する。
【0064】
背景情報取得部150は、対象物Tの背景についての情報を取得する。背景情報取得部150は、取得した情報を背景情報BGIとしてToFセンサ制御部131Aに出力する。背景情報取得部150は、例えばユーザからの操作により対象物Tの背景BGについての情報を取得してもよい。また、他の一例として背景情報取得部150は、可視光画像を撮像し、撮像した可視光画像を画像解析することにより対象物Tの背景BGについての情報を取得してもよい。背景情報BGIには、近赤外線の反射率が高い背景であるか、近赤外線の反射率が低い背景であるかについての情報が含まれていてもよい。背景情報取得部150が可視光画像を画像解析することにより対象物Tの背景BGについての情報を取得する場合、例えば対象物Tのエッジを検出し、対象物Tの外側が白に近い場合には近赤外線の反射率が高い背景であるとし、対象物Tの外側が黒に近い場合には近赤外線の反射率が低い背景であるとしてもよい。
【0065】
制御部130Aは、ToFセンサ制御部131に代えてToFセンサ制御部131Aを、第1距離画像取得部132に代えて第1距離画像取得部132Aを、第2距離画像取得部133に代えて第2距離画像取得部133Aを、三次元情報生成部134に代えて三次元情報生成部134Aを備える。制御部130Aは、制御部130の変形例である。
【0066】
ToFセンサ制御部131Aは、照射部120Aによる光の照射を制御する。具体的には、ToFセンサ制御部131Aは、制御情報CIを出力することにより照射部120Aによる光の照射タイミングを制御する。また、ToFセンサ制御部131Aは、照射部120Aによる照射の結果として受光した反射光についての情報を取得する。具体的には、ToFセンサ制御部131Aは、受光部110から受光情報RIを取得することにより、反射光についての情報を取得する。受光情報RIには、二次元座標の各座標に応じて、反射光を取得したタイミングに関する情報が含まれていてもよい。ToFセンサ制御部131Aは、取得した受光情報RIに基づき、距離画像を生成する。ToFセンサ制御部131Aは、対象物Tの背景が近赤外線の反射率が高い背景である第1背景BG1である場合に光が照射され(以下、第1の照射と記載する)、結果として得られた反射光に基づいて、第1距離画像DI1Aを生成する。また、ToFセンサ制御部131Aは、対象物Tの背景が近赤外線の反射率が第1背景BG1より低い背景である第2背景BG2である場合に光が照射され(以下、第2の照射と記載する)、結果として得られた反射光に基づいて、第2距離画像DI2Aを生成する。ここで、第1の照射と、第2の照射とは、同一の対象物Tに対して行われるものである。
【0067】
第1距離画像取得部132Aは、ToFセンサ制御部131Aにより生成された第1距離画像DI1Aを取得する。第1距離画像取得部132Aは、取得した第1距離画像DI1Aを三次元情報生成部134Aに出力する。
【0068】
第2距離画像取得部133Aは、ToFセンサ制御部131Aにより生成された第2距離画像DI2Aを取得する。第2距離画像取得部133Aは、取得した第2距離画像DI2Aを三次元情報生成部134Aに出力する。
【0069】
三次元情報生成部134Aは、第1距離画像取得部132Aから第1距離画像DI1Aを取得し、第2距離画像取得部133Aから第2距離画像DI2Aを取得する。三次元情報生成部134Aは、取得した第1距離画像DI1Aと第2距離画像DI2Aとに基づいて、対象物Tの三次元情報を生成する。ここで、第2背景BG2を用いた場合は、第1背景BG1より近赤外線の反射率が低いため、第1背景BG1を用いた場合と比較して光の反射に伴うマルチパスによる影響を受けにくいということができる。したがって、第2距離画像DI2Aは、第1距離画像DI1Aと比較して、光の反射に伴うマルチパスによる影響を受けていないものということができる。したがって、三次元情報生成部134Aは、第1距離画像DI1Aと第2距離画像DI2Aとに基づいて、光の反射に伴うマルチパスの影響を軽減した対象物Tの三次元情報を生成することができる。なお、以下の説明において三次元情報生成部134Aを単に生成部と記載する場合がある。
【0070】
なお、三次元情報生成部134Aは、第1距離画像DI1A及び第2距離画像DI2Aの両方から距離値を取得可能な場合、第1距離画像DI1Aの距離値と第2距離画像DI2Aの距離値とを比較した結果に応じて、いずれの距離値を採用するかを決定してもよい。ここで、第1距離画像DI1A及び第2距離画像DI2Aは、それぞれ二次元座標系の各座標に応じた距離値を有している。そこで、三次元情報生成部134Aは、同一座標における第1距離画像DI1Aに含まれる距離値と第2距離画像DI2Aに含まれる距離値とを比較し、比較した結果に応じて対象物Tの三次元情報を生成してもよい。
【0071】
図9は、実施形態2に係る三次元情報取得装置による第1の照射と第2の照射について説明するための図である。同図を参照しながら、実施形態2に係る三次元情報取得装置10Aによる照射であって、第1背景BG1を用いた第1の照射と第2背景BG2を用いた第2の照射について説明する。同図に示す一例では、三次元情報取得装置10Aが背景の手前に存在する対象物Tの三次元的形状を測定する。三次元情報取得装置10Aは、受光部110と、照射部120Aとを備える。三次元情報取得装置10Aは、照射部120Aとして、照射部120A-1及び照射部120A-2を備える。図9(A)は、第1の照射の一例を示したものであり、図9(B)は、第2の照射の一例を示したものである。図示する一例では、対象物Tとして円柱形のガムケースが用いられている。また、第1背景BG1として近赤外線の反射率が高い白い壁が用いられ、第2背景BG2として近赤外線の反射率が低い黒い壁が用いられている。
【0072】
図9(A)に示すように、照射部120Aにより照射され対象物Tに反射した光(当該光の経路を照射光BM2-1と記載する。)は、マルチパスの影響を受けない。しかしながら、照射部120Aにより照射され第1背景BG1に反射した光(当該光の経路を照射光BM2-2と記載する。)によっては、第1背景BG1からの反射光が対象物T等によって更に反射している場合があり、このような光はマルチパスの影響を与える。マルチパスの影響により、対象物Tの形状は、本来点線で示すような形状であるものの、実線で示すような形状として計測されてしまう。これは、マルチパスの影響を受けた場合、Depth値(三次元情報取得装置10Aから対象物Tまでの距離を示す値)は、本来の値より大きく(遠く)測定されるためである。
【0073】
図9(B)に示すように、照射部120Aにより照射され対象物Tに反射した光(当該光の経路を照射光BM2-1と記載する。)は、マルチパスの影響を受けない。また、照射部120Aにより照射され第2背景BG2に反射した光(当該光の経路を照射光BM2-3と記載する。)によっては、第2背景BG2からの反射光が対象物T等によって更に反射している場合がある。しかしながら第2背景BG2は、近赤外線の反射率が低いため、反射光は減衰しており、このような光はマルチパスの影響を与えない(与えたとしてもその影響は軽微である)。したがって、第2背景BG2を用いた場合は、マルチパスの影響を受けない(または影響が軽微である)ため、本来対象物Tの形状は点線で示されるような形状であるところ、計測結果としても実線で示すような形状となる。このように、第2背景BG2を用いた第2の照射によれば、対象物Tの形状を正確に測定することができる。以下の説明において、三次元情報取得装置10Aと、第2背景BG2とを含む構成を三次元情報取得システムと記載する場合がある。
【0074】
なお、第2背景BG2は、第1背景BG1である白い壁等に黒い布(近赤外線の反射率が低い布)等を被せたものであってもよい。好適には、第2背景BG2としては、近赤外線の反射率が低い背景である赤外線吸収シート等が用いられてもよい。
【0075】
三次元情報生成部134Aは、実施形態1において説明した方法と同様の方法により、第1距離画像DI1Aと、第2距離画像DI2Aとに基づき、光の反射に伴うマルチパスの影響を軽減した対象物Tの三次元情報を生成する。
【0076】
なお、上述したように、可視光反射ダイクロイック膜等を用いて更に可視光画像を取得可能とした構成の場合、背景の輝度に依存して、対象物Tを撮像した可視光画像の輝度が適正レベルから外れる場合が考えられる。したがって、このような場合、第1背景BG1を用いた場合の撮像条件(露出、電子増幅、シャッタースピード等)と、第2背景BG2を用いた場合の撮像条件とを異ならせて、レベル補正を行ってもよい。具体的には、三次元情報取得装置10Aは、第1可視光画像取得部(不図示)と、第2可視光画像取得部(不図示)とを備えることにより、このような機能を実現させてもよい。第1可視光画像取得部は、第1距離画像DI1Aに対応する対象物T及び第1背景BG1を撮像した可視光画像である第1可視光画像を取得する。第2可視光画像取得部は、第2距離画像DI2Aに対応する対象物T及び第2背景BG2を撮像した可視光画像である第2可視光画像を取得する。第1可視光画像と、第2可視光画像とは、可視光画像の明るさを決定するための撮像条件を互いに異ならせて撮像されたものである。
【0077】
また、上述したようなレベル補正は、撮像後に行われてもよい。この場合、三次元情報取得装置10Aは、可視光画像生成部(不図示)を更に備えることにより、撮像後にレベル補正を行ってもよい。可視光画像生成部は、取得した第1可視光画像と、第2可視光画像とに基づき対象物Tの三次元情報に付与する画素情報を生成する。また、可視光画像生成部は、取得した第1可視光画像の画素値と、第2可視光画像の画素値とを比較した結果に応じて、画素情報を生成する。可視光画像生成部は、近赤外線反射率が低い第2背景BG2の可視光画像レベルを基準とし、近赤外線反射率が高い第1背景BG1の可視光画像レベルとの差分が一定以上あると検出した場合に、適正レベルから外れたと判断し、露出、電子増幅、シャッタースピード等を変えてレベル補正を行ってもよい。
【0078】
次に、図10及び図11を参照しながら、第1背景BG1を用いた場合と、第2背景BG2を用いた場合のそれぞれについて、可視光画像と距離画像の一例を説明する。
【0079】
図10は、実施形態2に係る三次元情報取得装置による第1の背景を用いた場合の可視光画像と第2の背景を用いた場合の可視光画像の一例を示す図である。同図を参照しながら、第1背景BG1を用いた場合と、第2背景BG2を用いた場合のそれぞれについて、可視光画像の一例を説明する。図10(A)は、一般的な壁を背景としてガムのボトル、及びその周囲に存在するブロック等を撮像したものである。この状態において、一般的な壁は、近赤外線の反射率が高い第1背景BG1であるということができる。したがって、この状態において距離画像を取得しようとした場合、マルチパスの影響を受けやすい。図10(B)は、図10(A)と同一の被写体を撮像したものであるが、壁と対象物Tとの間に、黒色の布等が挿入されている。当該黒色の布等は、赤外線吸収シートが望ましい。当該黒色の布等は、近赤外線の反射率が低い第2背景BG2であるということができる。したがって、この状態において距離画像を取得しようとした場合、マルチパスの影響を受けにくい。
【0080】
図11は、実施形態2に係る三次元情報取得装置による第1距離画像を用いた場合の点群データと第2距離画像を用いた場合の点群データの一例を示す図である。同図を参照しながら、第1背景BG1を用いた場合と、第2背景BG2を用いた場合のそれぞれについて、距離画像の一例を説明する。なお、図示する一例では、歪みが分かりやすいように斜め方向に回転させている。図11(A)は、図10(A)を撮像した条件において取得された距離画像である第1距離画像DI1Aの一例である。図から分かるように、円柱形のガムのボトルが奥行き方向に長く歪んでいる。これは、マルチパスの影響により本来の距離値より奥行き方向に大きくなってしまったためである。図11(B)は、図10(B)を撮像した条件において取得された距離画像である第2距離画像DI2Aの一例である。図から分かるように、奥行き方向の歪みは、図11(A)と比較して、少ない。これは、近赤外線の反射率が低い背景を用いたために、マルチパスの影響が低減されたためである。
【0081】
[実施形態2のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、三次元情報取得装置10Aは、第1距離画像取得部132Aを備えることにより第1距離画像DI1Aを取得し、第2距離画像取得部133Aを備えることにより第2距離画像DI2Aを取得する。第1距離画像DI1A及び第2距離画像DI2Aは、いずれも光を照射してから対象物に反射した光を受光するまでの時間に応じて得られた複数の距離値を含む距離画像(Depth画像)である。第1距離画像DI1A及び第2距離画像DI2Aは、同一の対象物Tに対して光を照射することにより得られる距離画像であって、互いに異なる背景BGを用いて得られる距離画像である。具体的には、第1距離画像DI1Aは第1背景BG1を用いて得られる距離画像であって、第2距離画像DI2Aは第2背景BG2を用いて得られる距離画像である。第2背景BG2は、第1背景BG1より近赤外線の反射率が低い。また、三次元情報取得装置10Aは、三次元情報生成部134Aを備えることにより、第1距離画像DI1Aと第2距離画像DI2Aとに基づいて、光の反射に伴うマルチパスの影響を軽減した対象物Tの三次元情報を生成する。したがって、本実施形態によれば、マルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる。また、従来であればマルチパスの影響を受けやすい環境(例えば近赤外光反射率の高い背景等の周囲物)は除外しなければ、マルチパスの影響を低減することはできなかった。しかしながら本実施形態によれば、マルチパスの影響を受けやすい環境を除外することなくマルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる(すなわち対象物Tの背景についての情報を含む三次元情報を生成することができる。)。
【0082】
また、以上説明した実施形態によれば、第1距離画像DI1A及び第2距離画像DI2Aは、いずれも二次元座標系の各座標に応じた距離値を有する。また、三次元情報生成部134Aは、同一座標における第1距離画像DI1Aに含まれる距離値と第2距離画像DI2Aに含まれる距離値とを比較し、比較した結果に応じて対象物の三次元情報を生成する。すなわち、三次元情報取得装置10Aは、距離値の差に応じてどちらの距離値を採用するかを決定する。距離値の差が大きい座標は、近赤外線の反射率が高い背景である第1背景BG1を用いた第1距離画像DI1Aにおいてマルチパスの影響を受けている可能性が高い。このような座標については、第2距離画像DI2Aの距離値を用いることにより、マルチパスによる影響を低減することができる。したがって、本実施形態によれば、容易にマルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる。
【0083】
また、以上説明した実施形態によれば、三次元情報取得装置10Aは、第1可視光画像取得部と、第2可視光画像取得部とを更に備える。第1可視光画像取得部は、第1距離画像DI1Aに対応する対象物T及び第1背景BG1を撮像した可視光画像である第1可視光画像を取得する。第2可視光画像取得部は、第2距離画像DI2Aに対応する対象物T及び第2背景BG2を撮像した可視光画像である第2可視光画像を取得する。第1可視光画像と第2可視光画像とは、可視光画像の明るさを決定するための撮像条件が異なる。すなわち、三次元情報取得装置10Aによれば、第1背景BG1を用いた可視光画像の撮像と、第2背景BG2を用いた可視光画像の撮像とを、互いに異なる撮像条件(露出、電子増幅、シャッタースピード等)で撮像する。したがって、本実施形態によれば、画像の輝度レベルが好適となるような撮像条件で可視光画像を撮像することができる。
【0084】
また、以上説明した実施形態によれば、三次元情報取得装置10Aは、第1可視光画像取得部と、第2可視光画像取得部と、可視光画像生成部とを更に備える。第1可視光画像取得部は、第1距離画像DI1Aに対応する対象物T及び第1背景BG1を撮像した可視光画像である第1可視光画像を取得する。第2可視光画像取得部は、第2距離画像DI2Aに対応する対象物T及び第2背景BG2を撮像した可視光画像である第2可視光画像を取得する。可視光画像生成部は、取得した第1可視光画像と第2可視光画像とに基づき対象物Tの三次元情報に付与する画素情報を生成する。また、可視光画像生成部は、取得した第1可視光画像の画素値と、第2可視光画像の画素値とを比較した結果に応じて、対象物Tの三次元情報に付与する画素情報を生成する。すなわち、三次元情報取得装置10Aは、可視光画像の撮像後に補正を行ってもよい。したがって、本実施形態によれば、画像の輝度レベルが好適となるように可視光画像を補正することができる。
【0085】
また、以上説明した実施形態によれば、三次元情報取得システムは、上述したような三次元情報取得装置10Aと、第2背景BG2とを備える。第2背景BG2は、第2距離画像DI2Aを取得する際に用いられ、近赤外線の反射率が低い背景である赤外線吸収シートである。したがって、本実施形態によれば、通常の壁や床、建造物、自然物等、その他通常の撮像時に映り込む背景を第1背景BG1とし、赤外線吸収シートを第2背景BG2とすることにより、第1距離画像DI1Aと、第2距離画像DI2Aとを取得することができる。第2距離画像DI2Aは、マルチパスによる影響を低減した距離画像である。よって、本実施形態によれば、マルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる。なお、第1背景BG1は通常の壁や床等の背景を用いる場合に限定されず、ホワイトチャート等の反射率が高い背景を第1背景BG1として用いてもよい。
【0086】
[実施形態3]
次に、図12から図17を参照しながら、実施形態3について説明する。実施形態3は、ズームレンズを用いて異なる画角の距離画像及び可視光画像を撮像する点において、実施形態1及び実施形態2とは異なる。
【0087】
図12は、実施形態3に係る三次元情報取得装置の断面の一例を示す模式図である。同図を参照しながら、三次元情報取得装置10Bの断面の一例について説明する。三次元情報取得装置10Bは、レンズ111と、可視光反射ダイクロイック膜112と、イメージセンサ113と、センサ114とを備える。三次元情報取得装置10Bは、ズームレンズとして機能するレンズ111を更に備える点において三次元情報取得装置10や三次元情報取得装置10Aとは異なる。なお、三次元情報取得装置10及び三次元情報取得装置10Aについても、レンズ111を除く構成については、三次元情報取得装置10Bと同様であってもよい。
【0088】
三次元情報取得装置10Bは、受光部110を挟んで互いに対称な位置に照射部120を複数備える。図示する一例では、三次元情報取得装置10Bは、照射部120として照射部120B-1と、照射部120B-2とを受光部110の近傍に備える。照射部120B-1及び照射部120B-2は、受光部110を挟んで互いに対称な位置に配置される。照射部120B-1及び照射部120B-2は、対象物Tに光を照射する。対象物Tにより反射した光は、受光部110に入射する。同図には、入射した光の光軸を、光軸OAとして記載する。受光部110に入射した光は、レンズ111を通り、可視光反射ダイクロイック膜112に入射する。
【0089】
レンズ111は、具体的にはズームレンズである。ズームレンズは複数のレンズ群の間隔を互いに変更することにより拡大倍率(ズーム倍率)を変更することができる。三次元情報取得装置10Bは、複数のレンズ(不図示)を備えていてもよい。レンズ111は、光軸方向(図中左右方向)にスライドすることにより拡大倍率を変える。拡大倍率は、制御部(不図示)により制御される。
【0090】
可視光反射ダイクロイック膜112は、受光部110とセンサ114との間の光路上に設けられる。可視光反射ダイクロイック膜112は、入射する一部の光(具体的には近赤外光)を透過させ、その他の光(具体的には可視光)を反射する。可視光反射ダイクロイック膜112は、照射部120により照射された光が対象物Tに反射した光の一部を透過させることにより、光をセンサ114に導く。可視光反射ダイクロイック膜112が透過させる光を赤外光ILと記載する。また、可視光反射ダイクロイック膜112が反射する光を可視光VLとして記載する。可視光反射ダイクロイック膜112を通る前の赤外光IL及び可視光VLは、受光部110と可視光反射ダイクロイック膜112との間で、略同一の光軸を通る。略同一の範囲とは、例えば共通のレンズにより、光路が形成される範囲であってもよい。
【0091】
可視光反射ダイクロイック膜112により二つの光路に分光された光は、それぞれの光路に配置されたセンサにより受光される。具体的には、可視光反射ダイクロイック膜112を透過した赤外光ILはセンサ114により受光され、可視光反射ダイクロイック膜112により反射した光はイメージセンサ113により受光される。
【0092】
イメージセンサ113は、二次元配列された複数の画素を備える。イメージセンサ113は、ベイヤー配列により配置されたRGB各色の画素を備えていてもよい。
【0093】
センサ114は、二次元配列された複数の画素を備える。当該複数の画素は、それぞれ複数回ずつ赤外光ILを受光し、距離換算に必要な情報を取得する。
【0094】
図13は、実施形態3に係る三次元情報取得装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、実施形態3に係る三次元情報取得装置10Bの機能構成の一例について説明する。三次元情報取得装置10Bは、照射部120に代えて照射部120Bを、制御部130Aに代えて制御部130Bを、背景情報取得部150に代えて拡大倍率情報取得部160を備える点において三次元情報取得装置10又は三次元情報取得装置10Aとは異なる。三次元情報取得装置10Bの説明において、三次元情報取得装置10又は三次元情報取得装置10Aと同様の構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
【0095】
拡大倍率情報取得部160は、拡大倍率に関する情報を取得する。拡大倍率に関する情報とは、例えばレンズ111が前後方向に動作することにより拡大倍率を変更したことに伴う情報であってもよい。拡大倍率情報取得部160は、取得した拡大倍率に関する情報を拡大倍率情報ZIとして制御部130Bに出力する。
【0096】
照射部120Bは、拡大倍率に応じた画角に応じた照射角の光を照射する。具体的には、照射部120Bは、拡大倍率情報取得部160から拡大倍率に関する情報を取得し、取得した拡大倍率に関する情報に基づいて、拡大倍率に応じた画角と略同様の照射角の光を照射する。
【0097】
制御部130Bは、ToFセンサ制御部131に代えてToFセンサ制御部131Bを、第1距離画像取得部132に代えて第1距離画像取得部132Bを、第2距離画像取得部133に代えて第2距離画像取得部133Bを、三次元情報生成部134に代えて三次元情報生成部134Bを備える。また、制御部130Bは、可視光画像取得部135を更に備える。制御部130Bは、制御部130の変形例である。
【0098】
ToFセンサ制御部131Bは、照射部120Bによる光の照射を制御する。具体的には、ToFセンサ制御部131は、第1制御情報CI1を出力することにより第1照射部121Bによる光の照射タイミングを制御し、第2制御情報CI2を出力することにより第2照射部122Bによる光の照射タイミングを制御する。また、ToFセンサ制御部131Bは、照射部120Bによる照射の結果として受光した反射光についての情報を取得する。具体的には、ToFセンサ制御部131Bは、受光部110から受光情報RIを取得することにより、反射光についての情報を取得する。受光情報RIには、二次元座標の各座標に応じて、反射光を取得したタイミングに関する情報が含まれていてもよい。ToFセンサ制御部131Bは、取得した受光情報RIに基づき、距離画像を生成する。具体的には、ToFセンサ制御部131Bは、第1制御情報CI1を出力することにより第1照射部121Bによる照射(以下、第1の照射と記載する)を行った結果として得られた反射光に基づき、第1距離画像DI1Bを生成する。また、ToFセンサ制御部131Bは、第2制御情報CI2を出力することにより第2照射部122Bによる照射(以下、第1の照射と記載する)を行った結果として得られた反射光に基づき、第2距離画像DI2Bを生成する。ここで、第1の照射と、第2の照射とは、同一の対象物Tに対して行われる。また、第1の照射と、第2の照射とは、レンズ111の拡大倍率を異ならせて取得されたものである。第2の照射は、第1の照射に比べて拡大されたものである。換言すれば、第2距離画像DI2Bは、第1距離画像DI1Bと同一の対象物Tの一部を光学部材により拡大することにより得られる距離画像である。
【0099】
第1距離画像取得部132Bは、ToFセンサ制御部131Bにより生成された第1距離画像DI1Bを取得する。第1距離画像取得部132Bは、取得した第1距離画像DI1Bを三次元情報生成部134Bに出力する。
【0100】
第2距離画像取得部133Bは、ToFセンサ制御部131Bにより生成された第2距離画像DI2Bを取得する。第2距離画像取得部133Bは、取得した第2距離画像DI2Bを三次元情報生成部134Bに出力する。
【0101】
三次元情報生成部134Bは、第1距離画像取得部132Bから第1距離画像DI1Bを取得し、第2距離画像取得部133Bから第2距離画像DI2Bを取得する。三次元情報生成部134Bは、取得した第1距離画像DI1Bと第2距離画像DI2Bとに基づいて、対象物Tの三次元情報を生成する。ここで、拡大倍率が高い第2距離画像DI2Bは、背景への照射が第1距離画像DI1Bと比較して少ないため、光の反射に伴うマルチパスによる影響を受けにくいということができる。したがって、三次元情報生成部134Bは、第1距離画像DI1Bと第2距離画像DI2Bとに基づいて、光の反射に伴うマルチパスの影響を軽減した対象物Tの三次元情報を生成することができる。なお、以下の説明において三次元情報生成部134Bを単に生成部と記載する場合がある。
【0102】
ここで、第1距離画像DI1B及び第2距離画像DI2Bに基づき、マルチパスの影響が少ない三次元情報を生成しようとする場合、光軸がずれていると(不可能ではないものの)合成が困難である。したがって、第1距離画像DI1Bと第2距離画像DI2Bとは、光軸を固定したまま取得されることが好適である。なお、本実施形態はこの一例に限定されるものではなく、互いに光軸をずらして第1距離画像DI1B及び第2距離画像DI2Bを取得してもよい。この場合、マルチパスの影響が少ない三次元情報を生成しようとする場合に所定の演算を要する。
【0103】
可視光画像取得部135は、対象物Tを撮像した可視光画像をイメージセンサ113から取得する。可視光画像取得部135は、距離画像が取得される際の拡大倍率と同様の拡大倍率とする可視光画像を取得する。具体的には、可視光画像取得部135は、第1距離画像DI1Bと略同一の画角を有する可視光画像である第1可視光画像と、第2距離画像DI2Bと略同一の画角を有する可視光画像である第2可視光画像とを取得する。
【0104】
なお、第2可視光画像及び第2距離画像DI2Bが取得される際の拡大倍率は、第1可視光画像を解析した結果に基づいて決定されてもよい。例えば、第1可視光画像を解析することにより対象物Tのエッジ(輪郭)を検出し、当該エッジがちょうど収まる程度の拡大倍率としたうえで第2可視光画像及び第2距離画像DI2Bを取得してもよい。第1可視光画像の解析とは、画素値の微分や周波数解析等による物であってもよいし、顔認識等の機械学習アルゴリズム等が用いられてもよい。この場合、光学部材による拡大倍率は、可視光画像取得部135により取得された可視光画像に基づくということもできる。
【0105】
なお、本実施形態において距離画像と可視光画像は、いずれが先に取得されてもよい。例えば、可視光画像が先に取得され、その後に距離画像が取得される場合、照射部120Bは、拡大倍率情報取得部160により取得された拡大倍率に応じて照射角を決定してもよい。すなわち距離画像を取得するために照射される光の照射角は、可視光画像の画角に応じて決定されてもよい。
【0106】
次に、図14から図16を参照しながら、三次元情報取得装置10Bにより生成される点群データの一例について説明する。
【0107】
図14は、実施形態3に係る三次元情報取得装置によるワイド端における距離画像と可視光画像とが合成された点群データの一例を示す図である。同図を参照しながら、第1距離画像DI1Bと第1可視光画像とに基づき生成された点群データの一例について説明する。図示する一例において、第1距離画像DI1B及び第1可視光画像は、例えば焦点距離が4[mm(ミリメートル)]の場合に取得されたものである。ワイド端においては、広角な情報が得られる反面、点群の密度としては粗い。また、ワイド端においては、背景に反射した光によるマルチパスの影響を受けている状態でもある。また、ワイド端におけるある領域の可視光画像の画素密度は、テレ端において対応する領域の画素密度よりも低いということもできる。
【0108】
図15は、実施形態3に係る三次元情報取得装置によるテレ端における距離画像と可視光画像とが合成された点群データの一例を示す図である。同図を参照しながら、第2距離画像DI2Bと第2可視光画像とに基づき生成された点群データの一例について説明する。図示する一例において、第2距離画像DI2B及び第2可視光画像は、例えば焦点距離が13[mm]の場合に取得されたものである。テレ端においては、狭角な情報しか得られない反面、点群の密度としては密である。また、テレ端においては、対象物Tのみに光が照射しているため、背景には光が照射されず、反射光によるマルチパスの影響が低減された状態でもある。また、テレ端におけるある領域の可視光画像の画素密度は、ワイド端において対応する領域の画素密度よりも高いということもできる。
【0109】
図16は、実施形態3に係る三次元情報取得装置によりワイド端における距離画像及び可視光画像と、テレ端における距離画像及び可視光画像とが合成された点群データの一例を示す図である。同図を参照しながら、ワイド端における距離画像及び可視光画像と、テレ端における距離画像及び可視光画像とを合成した場合の三次元情報の一例について説明する。同図に示す一例は、図14に示したワイド端における点群データの一部について、図15に示したテレ端における点群データを載せ替えたものである。当該一部は、レンズ111により拡大された領域である。この一例では、テレ端における点群データが存在する領域と、その他の領域において、点群データの密度と、可視光画像の解像度が異なる。図示するように、テレ端における点群データが存在する領域において、点群データの密度と、可視光画像の解像度が上がっている。しかしながら本実施形態はこの一例に限定されず、テレ端における点群データが存在しない領域については、点群データの密度及び可視光画像の解像度を補完することによりデータを補ってもよい。
【0110】
図17は、実施形態3に係る三次元情報取得装置による画素値の補完について説明するための図である。同図を参照しながら、点群データの密度及び可視光画像の解像度の補完の一例について説明する。図17(A)は、ワイド端における三次元情報に、テレ端における三次元情報を単純に載せ替えた場合のイメージを示す。図中に示す1つの矩形を1つの画素に応じた情報とする。図示するように、図17(A)の中央部分では、画素密度が4倍になっている。図17(B)は、補完のイメージについて示す図である。図示するように、図17(B)においては、画素密度が同一である。換言すれば、中央部分の密度に合わせて、周縁部分の密度が補完されている。補完方法は既存技術を用いることができ、例えば線形補間等が用いられてもよい。
【0111】
具体的には、画素の補完は、可視光画像生成部により行われてもよい。可視光画像生成部は、可視光画像取得部135により取得された第1可視光画像及び第2可視光画像とに基づき、対象物Tの三次元情報に付与する画素情報を生成する。また、可視光画像生成部は、第1可視光画像のうち、第2可視光画像より解像度が低い座標(例えば図17(A)の周縁部分)における画素値を所定の方法により補完する。所定の方法とは、線形補間等であってもよい。
【0112】
[実施形態3のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、三次元情報取得装置10Bは、第1距離画像取得部132Bを備えることにより第1距離画像DI1Bを取得し、第2距離画像取得部133Bを備えることにより第2距離画像DI2Bを取得する。第1距離画像DI1B及び第2距離画像DI2Bは、いずれも光を照射してから対象物に反射した光を受光するまでの時間に応じて得られた複数の距離値を含む距離画像(Depth画像)である。第1距離画像DI1B及び第2距離画像DI2Bは、同一の対象物Tに対して光を照射することにより得られる距離画像であって、互いに異なる照射角の光を照射することにより得られる距離画像である。また、第2距離画像DI2Bは、第1距離画像DI1Bと同一の対象物Tの一部を光学部材により拡大することにより得られる距離画像である。第2距離画像DI2Bは、第1距離画像DI1Bの一部が拡大されているため、背景に反射する光が少なく、マルチパスの影響が低減されているということができる。また、三次元情報取得装置10Bは、三次元情報生成部134Bを備えることにより、第1距離画像DI1Bと第2距離画像DI2Bとに基づいて、光の反射に伴うマルチパスの影響を軽減した対象物Tの三次元情報を生成する。したがって、本実施形態によれば、マルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる。また、従来であればマルチパスの影響を受けやすい環境(例えば近赤外光反射率の高い背景等の周囲物)は除外しなければ、マルチパスの影響を低減することはできなかった。しかしながら本実施形態によれば、マルチパスの影響を受けやすい環境を除外することなくマルチパスによる影響を低減可能な測距技術を提供することができる。
【0113】
また、以上説明した実施形態によれば、第1距離画像DI1B及び第2距離画像DI2Bは、光軸を固定したまま取得される。したがって、三次元情報取得装置10Bは、第1距離画像DI1Bの一部を第2距離画像DI2Bに置き換えることにより容易に合成することができる。したがって、本実施形態によれば、マルチパスによる影響が低減された三次元情報を容易に生成することができる。
【0114】
また、以上説明した実施形態によれば、三次元情報取得装置10Bは、可視光画像取得部135を更に備えることにより対象物Tを撮像した可視光画像を取得する。また、光学部材による拡大倍率は、可視光画像取得部135により取得された可視光画像に基づく。例えば、三次元情報取得装置10Bは、可視光画像に基づき、対象物Tが存在する位置とその大きさを検出し、対象物Tがちょうど収まる程度に拡大する。したがって、本実施形態によれば、対象物Tの外側に光を照射することがないため、マルチパスの影響を軽減することができ、対象物Tを拡大して距離画像を所得することにより、解像度の高い三次元情報を生成することができる。
【0115】
また、以上説明した実施形態によれば、可視光画像取得部135は、第1距離画像DI1Bと略同一の画角を有する可視光画像である第1可視光画像と、第2距離画像DI2Bと略同一の画角を有する可視光画像である第2可視光画像とを取得する。すなわち、距離画像の画角と、可視光画像の画角は略同一である。したがって、本実施形態によれば、三次元情報取得装置10Bは、距離画像と、可視光画像とを容易に合成することができる。また、以上説明した実施形態によれば、第1距離画像DI1B及び第2距離画像DI2Bを取得するために照射される光の照射角は、可視光画像の画角に応じて決定される。すなわち、本実施形態によれば、可視光画像を撮像した画角において、当該画角に対応する照射角の光を照射する。したがって、本実施形態によれば、画角の外側に光を照射することなく、マルチパスの影響を軽減することができる。
【0116】
また、以上説明した実施形態によれば、三次元情報取得装置10Bは、可視光画像生成部を更に備えることにより、取得した第1可視光画像と第2可視光画像とに基づき対象物Tの三次元情報に付与する画素情報を生成する。また、可視光画像生成部は、第1可視光画像のうち、第2可視光画像より解像度が低い座標における画素値を所定の方法により補完する。所定の方法とは、例えば線形補間等であってもよい。したがって、本実施形態によれば、容易に高解像度の三次元情報を生成することができる。
【0117】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、また、上述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0118】
10…三次元情報取得装置、10A…三次元情報取得装置、110…受光部、111…レンズ、112…可視光反射ダイクロイック膜、113…イメージセンサ、114…センサ、120…照射部、121…第1照射部、122…第2照射部、130…制御部、131…ToFセンサ制御部、132…第1距離画像取得部、133…第2距離画像取得部、134…三次元情報生成部、140…照射部、141…発光部、142…拡散部、150…背景情報取得部、160…拡大倍率情報取得部、T…対象物、BG…背景、BM…照射光、DI1…第1距離画像、DI2…第2距離画像、BGI…波形情報、ZI…拡大倍率情報、VL…可視光、IL…赤外光、OA…光軸
図1
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