(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009879
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】パワーエレクトロニックシステム用のメタキャパシタ及びパワーエレクトロニック変換器
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20240116BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20240116BHJP
H01G 11/16 20130101ALI20240116BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20240116BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20240116BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20240116BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G11/12
H01G11/16
H02M3/28 H
H02M7/12 A
H01G13/00 391Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023173537
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2022530904の分割
【原出願日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】62/914,237
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519339998
【氏名又は名称】10644137 カナダ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パーレバニネザッド,マジッド
(72)【発明者】
【氏名】パーレヴァニネザド,ハミド
(72)【発明者】
【氏名】ザレイエ,ミラード
(72)【発明者】
【氏名】プーラリ,ベザド
(72)【発明者】
【氏名】エレン,スーザン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エネルギーストレージを提供するスーパーキャパシタを使用した高密度エネルギーストレージ装置並びに電力をある形態から別の形態に変換する直接電力伝送を使用したパワーエレクトロニック装置及び方法を提供する。
【解決手段】スーパーキャパシタ100は、導電性又は半導電性の第1、第2のメタ表面層と、メタ表面層に結合された電極102A、102Bと、第2のメタ表面層から第1のメタ表面層を電気的に絶縁するために、メタ表面層の間に挟まれた誘電層104と、を有する。電力変換装置は、電源から受け取った電力の第1の部分を変換し、かつ、出力を介して変換された電力を出力するための第1の電力変換回路構成と、第1の電力変換回路構成をバイパスし、かつ、電源から受け取った電力の第2の部分を出力に直接伝送するために、第1の電力変換回路構成と並列に電気的に結合した1つ又は複数の直接電力伝送(DPT)チャネルと、を有する。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性又は半導電性の第1のメタ表面層と、
導電性又は半導電性の第2のメタ表面層と、
前記第2のメタ表面層から前記第1のメタ表面層を電気的に絶縁するために前記第1のメタ表面層と前記第2のメタ表面層との間に挟まれた誘電層と、
を含む、電気エネルギーストレージデバイス。
【請求項2】
前記第1のメタ表面層が、複数のナノスケール又はマイクロスケールの第1の構造を含み、
前記第2のメタ表面層が、複数のナノスケール又はマイクロスケールの第2の構造を含み、並びに
前記第1の構造及び前記第2の構造が、互いに対して電気接触なしに延在する、請求項1に記載の電気エネルギーストレージデバイス。
【請求項3】
前記第1の構造が、それらの遠位端で複数の凹部を含み、及び
前記第2の構造の少なくとも第2のセットが、前記第1の構造の前記凹部内に前記凹部と電気接触することなく収容される、請求項2に記載の電気エネルギーストレージデバイス。
【請求項4】
前記第1の構造が、遠位端において凹部を有する複数の第1のロッドを含み、及び
前記第2の構造の少なくとも一部が、前記第1のロッドの前記凹部内に前記凹部と電気接触することなく収容される、請求項2に記載の電気エネルギーストレージデバイス。
【請求項5】
前記第1の構造が、複数の第1のロッドを含み、及び
前記第2の構造が、前記第1のロッドと交互配置される複数の第2のロッドを含む、請求項2に記載の電気エネルギーストレージデバイス。
【請求項6】
前記第1の構造及び前記第2の構造の少なくとも第1のセットが、円形、楕円形、又は矩形断面を有する、請求項1~5の何れか一項に記載の電気エネルギーストレージデバイス。
【請求項7】
前記第1の構造及び前記第2の構造のそれぞれの1つ又は複数の寸法が、ナノメートル範囲内又はマイクロメートル範囲内である、請求項1~6の何れか一項に記載の電気エネルギーストレージデバイス。
【請求項8】
前記第1の構造及び前記第2の構造の厚さが、前記ナノメートル範囲内又は前記マイクロメートル範囲内である、請求項7に記載の電気エネルギーストレージデバイス。
【請求項9】
前記第1のメタ表面層に結合された第1の電極、及び
前記第2のメタ表面層に結合された第2の電極
の少なくとも一方をさらに含む、請求項1~8の何れか一項に記載の電気エネルギーストレージデバイス。
【請求項10】
前記第1のメタ表面層及び前記第2のメタ表面層の少なくとも一方が、電極を形成する導電性ベースを含む、請求項1~8の何れか一項に記載の電気エネルギーストレージデバイス。
【請求項11】
電気エネルギーストレージデバイスの製造方法であって、
(i)第1の導電層を基板上に堆積させることと、
(ii)前記導電層上にフォトレジスト層をスピンコーティングすることと、
(iii)マスクを前記フォトレジスト層に付与し、及び光の下で前記マスクされたフォトレジスト層を露光させることであって、前記マスクが、予め定義されたパターンを有する、付与し、及び露光させることと、
(iv)現像により、前記フォトレジスト層の非露光部分を除去することと、
(v)第1の導電性材料が前記フォトレジスト層の前記除去された部分を埋めることを可能にするために、前記導電性材料を前記フォトレジスト層に堆積させることと、
(vi)第1の導電性構造セットを形成するために前記フォトレジスト層を溶解させることと、
(vii)前記堆積された第1の導電性材料の上に誘電層を形成するために、前記堆積された第1の導電性材料に誘電材料の層を堆積させることと、
(viii)第2の構造セットを形成する前記誘電層に第2の導電性材料を堆積させることと、
(ix)前記第2の構造セットに対して第3の導電性材料を電気めっきすることと、
を含む方法。
【請求項12】
前記基板がシリコン(Si)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の導電層が銀(Ag)を含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の導電層がチタン(Ti)をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フォトレジスト層がSU-8を含む、請求項11~14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記光が紫外線(UV)光を含む、請求項11~15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の導電性材料がAgを含む、請求項11~16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記誘電材料が、溶融石英(SiO2)を含む、請求項11~17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の導電性材料がAgを含む、請求項11~18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第3の導電性材料がAgを含む、請求項11~19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
電源から入力電流を受け取り、前記入力電流の電力の第1の部分を変換し、及び少なくとも1つの出力を介して前記変換された電力を出力するための第1の電力変換回路構成であって、前記第1の電力変換回路構成が、前記電源に結合するための一次側と、前記少なくとも1つの出力に結合するための二次側とを有する第1の変圧器を含む、第1の電力変換回路構成と、
前記第1の電力変換回路構成をバイパスし、及び前記少なくとも1つの出力を介した電力出力のために前記電源から受け取った前記電力の第2の部分を前記第1の変圧器の前記二次側へと直接伝送するために、前記第1の電力変換回路構成と並列に電気的に結合した少なくとも1つの直接電力伝送(DPT)チャネルと、
を含む、電力変換装置。
【請求項22】
前記第1の電力変換回路構成が、
電流をスイッチングするために前記第1の変圧器の前記一次側に結合した電流スイッチング構造を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つのDPTチャネルが、第2の変圧器により前記第1の変圧器の前記一次側に結合される、請求項21又は22に記載の装置。
【請求項24】
前記第1の変圧器及び前記第2の変圧器が共通コアを共有する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の電力変換回路構成が、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)条件下での動作に適した、少なくとも一対のパワー半導体S1及びS2を含む、請求項21~24の何れか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも第1及び第2のパワー半導体が、少なくとも一対の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
ゼロ電流スイッチング(ZCS)条件下での動作に適した複数の出力ダイオードをさらに含む、請求項21~26の何れか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記電源を前記第1の電力変換回路構成及び前記少なくとも1つのDPTチャネルに結合させるための入力スイッチをさらに含み、
前記複数の出力ダイオードが、4つのダイオードD1、D2、D3、及びD4を含み、
D1の第1の端部が、第1の入力端を形成するD2の第1の端部に結合され、D3の第1の端部が、第2の入力端を形成するD4の第1の端部に結合され、前記第1の入力端及び前記第2の入力端が、前記第1の変圧器の前記二次側、及び前記少なくとも1つのDPTチャネルの出力側に結合され、
D1の第2の端部が、第1の出力端を形成するD3の第2の端部に結合され、D2の第2のが、第2の出力端を形成するD4の第2の端部に結合され、前記第1の出力端及び前記第2の出力端が、前記少なくとも1つの出力に結合され、
前記装置が、
(i)D1及びD4がオンであり、並びにS1が前記ZVS条件下でオンからオフへ切り換えられる第1のモードと、
(ii)D1及びD4がオンであり、並びにS2が前記ZVS条件下でオンにされる第2のモードと、
(iii)D1及びD4がオフになり、D2及びD3が前記ZCS条件下でオンになり、並びにS2がオンである第3のモードと、
(iv)S2がZVS条件下でオフにされる第4のモードと、
(v)S1がZVS条件下でオンにされ、並びにD2及びD3がオンである第5のモードと、
(vi)D2及びD3がZCS条件下でオフになり、D1及びD4がZCS条件下でオンになる第6のモードと、
(vii)前記入力電流をゼロにするために前記入力スイッチがオフになる第7のモードと、
を含む複数のモードで動作するのに適している、請求項25又は26に従属した請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記入力スイッチがダイオードである、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記装置が、前記入力電流のピーク値及び/又は二乗平均平方根(RMS)値を減少させるための疑似連続伝導モード(疑似CCM)で前記入力電流を動作させるのに適した、請求項21~29の何れか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記第1の電力変換回路構成が、第1の共振タンクを含む、請求項21~30の何れか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記少なくとも1つのDPTチャネルが、少なくとも1つの第2の共振タンクを含む、請求項21~31の何れか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記入力電流が、交流(AC)又は直流(DC)である、請求項21~32の何れか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つの出力が、AC出力又はDC出力を含む、請求項21~33の何れか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つの出力が、複数の出力を含み、
前記少なくとも1つのDPTチャネルが、複数のDPTチャネルを含み、及び
前記複数のDPTチャネルの少なくとも2つが、前記複数の出力の異なる出力に結合される、請求項21~34の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容が全体として参照により本明細書に援用される、2019年10月11日に出願された米国仮特許出願第62/914,237号の便益を主張するものである。
【0002】
開示の分野
本開示は、一般に、パワーエレクトロニックシステム及びそれらのコンポーネントに関し、特に、エネルギーストレージを提供するためのスーパーキャパシタを使用した高密度エネルギーストレージ装置、並びに電力をある形態から別の形態に変換するための直接電力伝送(direct power transfer)を使用したパワーエレクトロニック装置及び方法に関
する。
【背景技術】
【0003】
背景
パワーエレクトロニック装置及びシステムは、電子デバイスなどの様々な電力消費負荷に電力を供給し、必要であれば、負荷に電力を供給するために電力をある形態から別の形態に変換するための解決策を提供する。電気の使用を伴うほとんど全てのデバイスは、何らかのパワーエレクトロニクス技術を利用する。パワーエレクトロニック装置及びシステムは、通常、電力変換器などのパワーエレクトロニック回路構成を含む。
【0004】
電力源は、通常、発電機、エネルギーストレージ装置及びシステム、並びに関連の回路構成を含む。発電機は、化石燃料(例えば、石炭、天然ガス、及び/又は石油)を使用した電気の発生を用いる従来の火力発電所、及び/又は風力及び/又は太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーを用いた発電機の場合がある。
【0005】
再生可能エネルギーは、電力をエンドユーザに提供するためのクリーンで実用的な発電方法である。例えば、住宅エネルギー需要を満たすために、ルーフトップソーラーパネルが多くの注目を集めてきた。風力エネルギーは、風力を獲得して電気を発生させるために使用されてきた。太陽及び風は、それらの顕著な利点により、最も急速に成長している再生可能エネルギーシステムの1つである。
【0006】
再生可能エネルギーは、未来における主流のエネルギー生成技術の1つとなり得るが、再生可能エネルギー技術の幅広い採用を妨げる多くの課題がまだ存在している。これらの課題の幾つかは、以下を含む:
・エネルギー生成は、太陽及び風の間欠性により、信頼できない場合があり、
・太陽/風の環境発電システムの動作点には広範なバリエーションが存在し、これは、システムの効率全体を大きく低下させる可能性があり、並びに
・環境発電システムは、回復力を提供するために、通常、電力系統を必要とする。
【0007】
上述の課題により、既存の太陽/風の環境発電システムは、多くの新たな用途に対して最適の解決策を提供しない場合がある。太陽/風エネルギーシステムの指数関数的成長、及び環境発電システムの景観に対するそれらの影響を考慮すれば、準最適動作は、これらのシステムに対して不利益に大きな影響を及ぼす。
【0008】
エネルギーストレージシステムは、間欠的な再生可能エネルギーソースの上述の課題を
克服するための解決策を提供し、及び信頼性のある再生可能エネルギー発電システムを容易にし得る。
【0009】
エネルギーストレージシステムは、エネルギーを蓄積するための1つ又は複数の電池を含むことが多い。例えば、多くの用途(例えば、電気車両、住宅用エネルギーストレージ、ラップトップ、スマートフォン、タブレットなど)において、リチウムイオン電池が使用されてきた。一部の用途(例えば、グリッドスケールエネルギーストレージ)では、レドックスフロー電池などの他のタイプの電池技術も使用されてきた。
【0010】
大抵は、電池は、ある種のレドックス反応に基づく。したがって、それらは通常、充電及び放電サイクル中に、(通常、過剰なレドックス反応による)活物質の体積変化及び膨張を受ける。一般に、電気化学反応があるときは、ライフサイクルの劣化及び数の減少がある。寿命の延長をもたらすために劣化を軽減させることに関するかなりの研究が行われてきたが、既存の電池の寿命は、まだ限られている。加えて、高性能電池は、通常、可燃性の場合があり、幾つかの安全性リスクを持つ、高価で且つ危険な材料を必要とする。
【0011】
電池の他の欠点は、通常、電池が嵩高いこと、及び通常、電池が低電力密度を有することを含む。
【0012】
スーパーキャパシタは、エネルギーストレージ市場の別の候補として提示されてきた。当業者が理解するように、スーパーキャパシタは、かなりのエネルギーストレージ容量を提供し、電池技術と比較して、特に寿命及びダイナミクスの観点から性能の向上を提供し得る。例えば、電気二重層キャパシタ(EDLC)は、事実上化学反応なしに、ただ単に、電界の生成に基づくものである。したがって、EDLCは、非常に長い寿命(例えば、最大、数百万回の充電/放電サイクル)及び非常に高い電力密度を提供し得る。
【0013】
スーパーキャパシタの電力密度は、通常、電池の電力密度よりも数百倍(例えば、100~1000倍)高いが、スーパーキャパシタのエネルギー密度(Wh/リットル単位で測定される体積エネルギー密度)又はWh/Kg単位で測定される重量エネルギー密度)は、比較的限られている。例えば、電池のエネルギー密度は、通常、スーパーキャパシタのエネルギー密度の数十倍(例えば、3~30倍)である。実際、スーパーキャパシタの低エネルギー密度は、スーパーキャパシタによって提供される多大な利点にもかかわらず、主流のエネルギーストレージにおいて電池がはるかにより普及している主な理由であるかもしれない。
【0014】
したがって、既存のエネルギーストレージシステムは、通常、(例えば、それらの低エネルギー密度により)嵩高く、通常、寿命が短く、低容量であり、及び値段が高い。したがって、低コストで、高密度エネルギーストレージシステムに対するニーズが存在する。このような高密度エネルギーストレージシステムは、エネルギーシステムの未来に大変革をもたらし得るだけでなく、生物医学(例えば、ウェアラブルデバイス、及び/又はインプラントなど)、ロボット工学、IoT(Internet-of-Things)デバイスなどの多くの他の用途においても使用され得る。
【0015】
パワーエレクトロニック装置及びシステムのパワーエレクトロニック回路構成に関して、パワーエレクトロニクス技術及びパワーエレクトロニック変換器が、再生可能エネルギーシステム、エネルギーストレージシステム、電気車両、電子デバイス(例えば、スマートフォン、タブレットなど)、及びLED照明などの多くの用途に使用されてきた。したがって、パワーエレクトロニック変換器は、エネルギーシステム及び電子デバイスにおいて重要な役割を果たす。パワーエレクトロニック変換器及びそれらの用途は、指数関数的成長を示してきた。
【0016】
パワーエレクトロニック変換器の効率、電力密度、及び信頼性は、様々な用途にとって非常に重要である。しかしながら、
・パワー半導体のハードスイッチングによる大きなスイッチング損失、
・電力回路構成において使用される様々なコンポーネントの大きな伝導損、及び
・パワーエレクトロニック変換器の信頼性のある動作を確実にしながら、パワーエレクトロニック変換器の動作中に生成された熱を除去するための熱管理の難しさ
などの先行技術の電力変換技術に関連する様々な課題及び困難がある。
【0017】
これらの課題により、先行技術のパワーエレクトロニック変換器は、十分に高い効率、或いは最適な効率を提供しないかもしれない。パワーエレクトロニック変換器及びそれらの用途の普及及び指数関数的成長により、それらの準最適性能又は非効率性が、大きなエネルギーの無駄を生じさせ、結果的に、地球環境に大きな悪影響を生じさせるかもしれない。
【0018】
したがって、上記の問題及び課題を解決するための高効率パワーエレクトロニック変換器に対するニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
概要
本開示のある態様によれば、高寿命(例えば、何十万のサイクル範囲内)及び非常に高いエネルギー/電力密度を有する超高密度エネルギーストレージ装置及びシステムが提供される。
【0020】
本開示のある態様によれば、導電性又は半導電性の第1のメタ表面層と、導電性又は半導電性の第2のメタ表面層と、第2のメタ表面層から第1のメタ表面層を電気的に絶縁するために第1のメタ表面層と第2のメタ表面層との間に挟まれた誘電層と、を含む電気エネルギーストレージデバイスが提供される。
【0021】
幾つかの実施形態では、第1のメタ表面層は、複数のナノスケール又はマイクロスケールの第1の構造を含み、第2のメタ表面層は、複数のナノスケール又はマイクロスケールの第2の構造を含み、並びに第1の構造及び第2の構造は、互いに対して電気接触なしに延在する。
【0022】
幾つかの実施形態では、第1の構造は、それらの遠位端で複数の凹部を含み、及び第2の構造の少なくとも第2のセットが、第1の構造の凹部内に凹部と電気接触することなく収容される。
【0023】
幾つかの実施形態では、第1の構造は、遠位端において凹部を有する複数の第1のロッドを含み、及び第2の構造の少なくとも一部が、第1のロッドの凹部内に凹部と電気接触することなく収容される。
【0024】
幾つかの実施形態では、第1の構造は、複数の第1のロッドを含み、及び第2の構造は、第1のロッドと交互配置される複数の第2のロッドを含む。
【0025】
幾つかの実施形態では、第1の構造及び第2の構造の少なくとも第1のセットが、円形、楕円形、又は矩形断面を有する。
【0026】
幾つかの実施形態では、第1の構造及び第2の構造のそれぞれの1つ又は複数の寸法が
、ナノメートル範囲内又はマイクロメートル範囲内である。
【0027】
幾つかの実施形態では、第1の構造及び第2の構造の厚さが、ナノメートル範囲内又はマイクロメートル範囲内である。
【0028】
幾つかの実施形態では、第1のメタ表面層に結合された第1の電極、及び第2のメタ表面層に結合された第2の電極の少なくとも一方をさらに含む電気エネルギーストレージデバイス。
【0029】
幾つかの実施形態では、第1のメタ表面層及び第2のメタ表面層の少なくとも一方は、電極を形成する導電性ベースを含む。
【0030】
ある態様によれば、及び幾つかの実施形態において、電気エネルギーストレージデバイスの製造方法が提供され、この方法は、(i)第1の導電層を基板上に堆積させることと、(ii)導電層上にフォトレジスト層をスピンコーティングすることと、(iii)マスクをフォトレジスト層に付与し、及び光の下でマスクされたフォトレジスト層を露光させることであって、マスクが、予め定義されたパターンを有する、付与し、及び露光させることと、(iv)現像により、フォトレジスト層の非露光部分を除去することと、(v)第1の導電性材料がフォトレジスト層の除去された部分を埋めることを可能にするために、導電性材料をフォトレジスト層に堆積させることと、(vi)第1の導電性構造セットを形成するためにフォトレジスト層を溶解させることと、(vii)堆積された第1の導電性材料の上に誘電層を形成するために、堆積された第1の導電性材料に誘電材料の層を堆積させることと、(viii)第2の構造セットを形成する誘電層に第2の導電性材料を堆積させることと、(ix)第2の構造セットに対して第3の導電性材料を電気めっきすることと、を含む。
【0031】
幾つかの実施形態では、基板は、シリコン(Si)である。
【0032】
幾つかの実施形態では、第1の導電層は、銀(Ag)を含む。
【0033】
幾つかの実施形態では、第1の導電層は、チタン(Ti)をさらに含む。
【0034】
幾つかの実施形態では、フォトレジスト層は、SU-8を含む。
【0035】
幾つかの実施形態では、光は、紫外線(UV)光を含む。
【0036】
幾つかの実施形態では、第1の導電性材料は、Agを含む。
【0037】
幾つかの実施形態では、誘電材料は、溶融石英(SiO2)を含む。
【0038】
幾つかの実施形態では、第2の導電性材料は、Agを含む。
【0039】
幾つかの実施形態では、第3の導電性材料は、Agを含む。
【0040】
ある態様によれば、及び幾つかの実施形態において、直接電力伝送(DPT)を使用するパワーエレクトロニック変換システム及びパワーエレクトロニック変換器が提供される。本明細書に開示されるパワーエレクトロニック変換器は、様々な用途に関して、非常に効率的で、且つ信頼性のある解決策を提供することができる。
【0041】
ある態様によれば、及び幾つかの実施形態において、電源から入力電流を受け取り、入
力電流の電力の第1の部分を変換し、及び少なくとも1つの出力を介して変換された電力を出力するための第1の電力変換回路構成であって、第1の電力変換回路構成が、電源に結合するための一次側と、少なくとも1つの出力に結合するための二次側とを有する第1の変圧器を含む、第1の電力変換回路構成と、第1の電力変換回路構成をバイパスし、及び少なくとも1つの出力を介した電力出力のために電源から受け取った電力の第2の部分を第1の変圧器の二次側へと直接伝送するために、第1の電力変換回路構成と並列に電気的に結合した少なくとも1つの直接電力伝送(DPT)チャネルと、を含む電力変換装置が提供される。
【0042】
幾つかの実施形態では、第1の電力変換回路構成は、電流をスイッチングするために第1の変圧器の一次側に結合した電流スイッチング構造を含む。
【0043】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのDPTチャネルは、第2の変圧器により第1の変圧器の一次側に結合される。
【0044】
幾つかの実施形態では、第1の変圧器及び第2の変圧器は、共通コアを共有する。
【0045】
幾つかの実施形態では、第1の電力変換回路構成は、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)条件下での動作に適した、少なくとも一対のパワー半導体S1及びS2を含む。
【0046】
幾つかの実施形態では、少なくとも第1及び第2のパワー半導体は、少なくとも一対の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含む。
【0047】
幾つかの実施形態では、装置は、ゼロ電流スイッチング(ZCS)条件下での動作に適した複数の出力ダイオードをさらに含む。
【0048】
幾つかの実施形態では、装置は、電源を第1の電力変換回路構成及び少なくとも1つのDPTチャネルに結合させるための入力スイッチをさらに含み、複数の出力ダイオードは、4つのダイオードD1、D2、D3、及びD4を含み、D1の第1の端部が、第1の入力端を形成するD2の第1の端部に結合され、D3の第1の端部が、第2の入力端を形成するD4の第1の端部に結合され、第1の入力端及び第2の入力端は、第1の変圧器の二次側、及び少なくとも1つのDPTチャネルの出力側に結合され、D1の第2の端部が、第1の出力端を形成するD3の第2の端部に結合され、D2の第2のが、第2の出力端を形成するD4の第2の端部に結合され、第1の出力端及び第2の出力端は、少なくとも1つの出力に結合され、装置は、(i)D1及びD4がオンであり、並びにS1がZVS条件下でオンからオフへ切り換えられる第1のモードと、(ii)D1及びD4がオンであり、並びにS2がZVS条件下でオンにされる第2のモードと、(iii)D1及びD4がオフになり、D2及びD3がZCS条件下でオンになり、並びにS2がオンである第3のモードと、(iv)S2がZVS条件下でオフにされる第4のモードと、(v)S1がZVS条件下でオンにされ、並びにD2及びD3がオンである第5のモードと、(vi)D2及びD3がZCS条件下でオフになり、D1及びD4がZCS条件下でオンになる第6のモードと、(vii)入力電流をゼロにするために入力スイッチがオフになる第7のモードと、を含む複数のモードで動作するのに適している。
【0049】
幾つかの実施形態では、入力スイッチは、ダイオードである。
【0050】
幾つかの実施形態では、装置は、入力電流のピーク値及び/又は二乗平均平方根(RMS)値を減少させるための疑似連続伝導モード(疑似CCM)で入力電流を動作させるのに適する。
【0051】
幾つかの実施形態では、第1の電力変換回路構成は、第1の共振タンクを含む。
【0052】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのDPTチャネルは、少なくとも1つの第2の共振タンクを含む。
【0053】
幾つかの実施形態では、入力電流は、交流(AC)又は直流(DC)である。
【0054】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの出力は、AC出力又はDC出力を含む。
【0055】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの出力は、複数の出力を含み、少なくとも1つのDPTチャネルは、複数のDPTチャネルを含み、及び複数のDPTチャネルの少なくとも2つが、複数の出力の異なる出力に結合される。
【0056】
図面の簡単な説明
異なる図面の同一の参照番号が同一の要素を示す以下の図面を参照して、本開示の実施形態をこれより説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】従来のキャパシタの基本動作を示す模式図である。
【
図2】電気二重層キャパシタ(EDLC)の基本構造を示す模式図である。
【
図3A】カーボンナノチューブ(CNT)ベースのEDLCを示す模式図である。
【
図3B】グラフェンベースのEDLCを示す模式図である。
【
図4】本開示の幾つかの実施形態によるスーパーキャパシタの模式図である。
【
図5A】本開示のさらに幾つかの実施形態によるスーパーキャパシタの模式図である。
【
図5B】
図5Aに示されるスーパーキャパシタの円筒ナノ/マイクロ構造を示す模式図である。
【
図5C】
図5Aに示されるスーパーキャパシタの立方体ナノ/マイクロ構造を示す模式図である。
【
図6A】本開示のさらに幾つかの実施形態によるスーパーキャパシタの模式図である。
【
図6B】本開示の幾つかの実施形態によるスーパーキャパシタの模式図である。
【
図7A-7C】
図7Aは本開示のさらに幾つかの実施形態によるスーパーキャパシタの斜視図であり、
図7Bは断面A-Aに沿った、
図7Aに示されるスーパーキャパシタの斜視断面図であり、
図7Cは
図7Aに示されるスーパーキャパシタの分解斜視図である。
【
図8A-8F】
図8A~
図8Fは、本開示の幾つかの実施形態による、
図7Aに示されるスーパーキャパシタの製造プロセスを示す。
【
図9】DCマイクログリッドの例示的配置を示す模式図である。
【
図10A】本開示の幾つかの実施形態による、パワーエレクトロニック変換システムの模式図であり、交流(AC)電源、直流(DC)負荷、及びそれらの間のAC-DC(AC/DC)電力変換器を有するパワーエレクトロニック変換システムを示す。
【
図10B】本開示の幾つかの実施形態による、パワーエレクトロニック変換システムの模式図であり、DC電源、DC負荷、及びそれらの間のDC-DC(DC/DC)電力変換器を有するパワーエレクトロニック変換システムを示す。
【
図10C】本開示の幾つかの実施形態による、パワーエレクトロニック変換システムの模式図であり、DC電源、AC負荷、及びそれらの間のDC-AC(DC/AC)電力変換器を有するパワーエレクトロニック変換システムを示す。
【
図10D】本開示の幾つかの実施形態による、パワーエレクトロニック変換システムの模式図であり、AC電源、AC負荷、及びそれらの間のAC-AC(AC/AC)電力変換器を有するパワーエレクトロニック変換システムを示す。
【
図11】
図10Bに示されるパワーエレクトロニック変換システムで使用するための先行技術の共振DC/DC変換器の回路構成の模式図である。
【
図12】
図10Bに示されるパワーエレクトロニック変換システムで使用するための先行技術の非共振DC/DC変換器の回路構成の模式図である。
【
図13】
図10Aに示されるパワーエレクトロニック変換システムで使用するためのAC/DC変換器の回路構成の模式図である。
【
図14】パワー半導体が全ての入力電力を処理することを示すための電力フローをブロック矢印が示す、
図12に示された先行技術の非共振DC/DC変換器の回路構成の模式図である。
【
図15】本開示の幾つかの実施形態による、直接電力伝送(DPT)を使用したパワーエレクトロニック変換システムの模式図であり、パワーエレクトロニック変換システムは、電力変換回路構成と、共に並列に電気結合されたDPTチャネルとを有するパワーエレクトロニック変換器を含む。
【
図16A】本開示の幾つかの実施形態による、
図15に示されるDC/DC変換器の回路構成の模式図である。
【
図18】
図16Aに示されるDC/DC変換器の簡略化回路を示す模式図である。
【
図19】
図16Aに示されるDC/DC変換器のn
φ及びn
fの異なる値の観点から、
図16Aに示されるDC/DC変換器のパラメータP
DPT,nのプロットを示す。
【
図20】結合係数kの観点から、
図16Aに示されるDC/DC変換器のインダクタンスL
1、L
2、及びMのプロットを示す。
【
図21A】公称負荷での
図16Aに示されるDC/DC変換器のシミュレーション結果を示し、スイッチS
1の波形を示す。
【
図21B】公称負荷での
図16Aに示されるDC/DC変換器のシミュレーション結果を示し、スイッチS
2の波形を示す。
【
図21C】公称負荷での
図16Aに示されるDC/DC変換器のシミュレーション結果を示し、結合インダクタの電流波形を示す。
【
図21D】公称負荷での
図16Aに示されるDC/DC変換器のシミュレーション結果を示し、v
inv、v
prim、及びi
Lsの波形を示す。
【
図21E】公称負荷での
図16Aに示されるDC/DC変換器のシミュレーション結果を示し、v
sec及びi
tの波形を示す。
【
図21F】公称負荷での
図16Aに示されるDC/DC変換器のシミュレーション結果を示し、出力ダイオードD
1及びD
2の電流及び電圧波形を示す。
【
図22】
図16Aに示されるDC/DC変換器のプロトタイプの写真である。
【
図23A】全負荷条件下で
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図23B】全負荷条件下で
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図23C】全負荷条件下で
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図23D】全負荷条件下で
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図23E】全負荷条件下で
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図23F】全負荷条件下で
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図24A】公称電力の50%での
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図24B】公称電力の50%での
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図24C】公称電力の50%での
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図24D】公称電力の50%での
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図24E】公称電力の50%での
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図24F】公称電力の50%での
図22に示されるプロトタイプから得られた実験波形を示す。
【
図25】定格電力の20%~100%の
図22に示されるプロトタイプから測定された効率を示す。
【
図26】本開示の幾つかの実施形態による、
図15に示されるAC/DCパワーエレクトロニック変換器の回路構成の模式図である。
【
図27】本開示の幾つかの実施形態による、
図15に示されるDC/DCパワーエレクトロニック変換器の回路構成の模式図であり、それの電力変換回路構成が、共振タンクを含む。
【
図28】本開示の幾つかの実施形態による、
図15に示されるDC/DCパワーエレクトロニック変換器の回路構成の模式図であり、それのDPTチャネルが、共振タンクを含む。
【
図29】本開示の幾つかの実施形態による、
図15に示されるDC/DCパワーエレクトロニック変換器の回路構成の模式図であり、それの電力変換回路構成及びDPTチャネルのそれぞれが、共振タンクを含む。
【
図30】本開示の幾つかの実施形態による、
図15に示されるAC/DCパワーエレクトロニック変換器の回路構成の模式図であり、それの電力変換回路構成が、共振タンクを含む。
【
図31】本開示の幾つかの実施形態による、
図15に示されるAC/DCパワーエレクトロニック変換器の回路構成の模式図であり、それのDPTチャネルが、共振タンクを含む。
【
図32】本開示の幾つかの実施形態による、
図15に示されるAC/DCパワーエレクトロニック変換器の回路構成の模式図であり、それの電力変換回路構成及びDPTチャネルのそれぞれが、共振タンクを含む。
【
図33】本開示の幾つかの実施形態による、
図15に示されるDC/DCパワーエレクトロニック変換器の回路構成の模式図であり、それの電力変換回路構成及びDPTチャネルが、コイルが別々に共通コアに巻き付けられた共通磁気素子構造を共有した変圧器を含む。
【
図34】本開示の幾つかの実施形態による、
図15に示されるDC/DCパワーエレクトロニック変換器の回路構成の模式図であり、それの電力変換回路構成及びDPTチャネルが、中心タップ変圧器として実装された共通磁気素子構造を共有した変圧器を含む。
【
図35】本開示の幾つかの実施形態による、DPTを使用するパワーエレクトロニック変換システムの模式図であり、パワーエレクトロニック変換システムは、電力変換回路構成と、共に並列に電気結合された複数のDPTチャネルとを有するパワーエレクトロニック変換器を含む。
【
図36】本開示の幾つかの実施形態による、
図35に示される例示的DC/DC変換器の回路構成の模式図であり、パワーエレクトロニック変換システムは、電力変換回路構成と、共に並列に電気結合された2つのDPTチャネルとを有するパワーエレクトロニック変換器を含む。
【
図37】本開示の幾つかの実施形態による、DPTを使用するパワーエレクトロニック変換システムの模式図であり、パワーエレクトロニック変換システムは、電力変換回路構成と、共に並列に電気結合された複数のDPTチャネルとを有する多出力パワーエレクトロニック変換器を含む。
【
図38】本開示の幾つかの実施形態による、
図37に示される例示的多出力DC/DC変換器の回路構成の模式図であり、パワーエレクトロニック変換システムは、電力変換回路構成と、共に並列に電気結合された2つのDPTチャネルとを有するパワーエレクトロニック変換器を含む。
【発明を実施するための形態】
【0058】
詳細な説明
本明細書の実施形態は、パワーエレクトロニックシステム、並びにスーパーキャパシタの形態のエネルギーストレージ装置/サブシステム及びパワーエレクトロニック装置/サブシステムなどのパワーエレクトロニックシステムのコンポーネントに関する。
【0059】
スーパーキャパシタ
ある態様によれば、及び幾つかの実施形態において、電池のエネルギー密度を上回ることができる、大きく増加したエネルギー密度を有するスーパーキャパシタが提供される。本明細書に開示されるスーパーキャパシタの構造は、スーパーキャパシタ技術をエネルギーストレージ市場の最前線に導き得る。
【0060】
図1は、誘電材料14の層が間に挟まれる一対の電極12を含む従来のキャパシタ10の基本動作を示す。電力は、負荷18に電力を供給するための導体16によって、電極12から出力される。
【0061】
図1によれば、キャパシタ10のキャパシタンスは、
【数1】
によって得られ、式中、Cは、キャパシタンス(ファラド単位)であり、εは、誘電材料14の電気ファイルされた誘電率(定数)であり、Aは、2つの電極12間の重なりの面積(m
2単位)であり、dは、電極12間の距離(メートル単位)である。幾つかの実施形態では、距離dに関して、メートルの代わりにセンチメートル(cm)を使用することもできる。
【0062】
キャパシタ10に蓄積されたエネルギーは、
【数2】
によって得られ、式中、Vは、電極12に印加される電圧(ボルト単位)である(上述の単位を使用、エネルギーWは、ジュール単位である)。
【0063】
エネルギーの式(2)は、キャパシタ10のエネルギー密度に影響を与えるパラメータを示す。これらのパラメータは、
・2つの電極12間のオーバーラップ面積A、
・電極12間の距離d、
・誘電材料14の電界誘電率、及び
・キャパシタ10の動作電圧V
である。
【0064】
図1に示される構造に類似した単純な構造を用いた場合、キャパシタンスC及び蓄積されたエネルギーWは、キャパシタ10をエネルギー蓄積目的で実行可能な選択肢とするには、あまりにも小さ過ぎることが多い。先行技術では、上述のパラメータを最適化し、キャパシタのエネルギー密度を増加させる(この場合、「スーパーキャパシタ」と表記され得る)ために、多くの努力が行われてきた。
【0065】
図2は、電気二重層キャパシタ(EDLC)20の基本構造を示す。この構造では、電極(すなわち、アノード22及びカソード24)が、セパレータ26(膜など)によって離隔され、電解質28が、電極22、24とセパレータ26との間に挟まれている。EDLC20は、電荷分離(
図1に示される従来のキャパシタ10と同じ機構)によりエネルギーを蓄積する。見て分かるように、EDLC20の構造は、対称的であり、別の極性を提供し得る。主なエネルギーは、2つの電極22及び24間の電極に蓄積される。電界が強くなるほど、より多くのエネルギーがEDLC20に蓄積される。
【0066】
図2に示されるように、EDLC20は、電解質28と正/負電極22及び24との間の界面で2つの分離した電荷層30を含む(これが、電気二重層キャパシタの名前の由来である)。これは、単一層電荷分離のみを含む従来の構造とは異なる。EDLC20では、電気二重層30間の距離は、従来の構造10のものよりもはるかに小さい。したがって、キャパシタンス、ひいては蓄積エネルギーが、従来の構造10のものと比較して、数桁増加し得る。
【0067】
面積及び距離は、EDLC20の高容量及び高エネルギー密度を達成するために制御され得る主なパラメータである。EDLCにおいて、高比表面積が一般に望ましいため、高容量及び高エネルギー密度が、ナノ構造などの高比表面積及び良好な導電率を有する材料を使用することによって達成され得る。このようなナノ構造の例は、カーボンナノチューブ(CNT)及びグラフェンを含み、CNTは、1次元(1D)構造であり、グラフェンは、2次元(2D)構造である。グラフェンは、CNTと比較して、さらにより大きな比表面積を有し、したがって、多くのEDLC構造において使用されてきた。
図3A及び3Bは、CNT30を備えたEDLC、及びグラフェン40を備えたEDLCの構造をそれぞれ示す。図示されるように、CNT30を備えたEDLC、及びグラフェン40を備えたEDLCの構造は、EDLC30及び40が、電極22、24とセパレータ26との間に挟まれたCNT30及びグラフェン40をそれぞれ含むことを除き、
図2に示されるEDLC20の構造と類似する。
【0068】
カーボンナノ構造は、高比表面積を提供し、及び大きな数の充電/放電サイクルを提供し得るが、それらをEDLCに使用するためには幾つかの課題がある。これらの課題は、主に、EDLC用のカーボンナノ構造の合成及び製造、並びにデバイスの一貫性に関連する。また、カーボンナノ構造がEDLCの性能を大幅に向上させたという事実にもかかわらず、それらのエネルギー密度は、まだ、電池のエネルギー密度よりも低い場合がある。
【0069】
CNT及びグラフェン構造は、比表面積、及びその結果として容量を効果的に増加させ
るが、このような増加は、多少ランダムであり、比表面積の理論上のフルサイズを達成することはできない。例えば、理論上は、グラフェンは、数千m2/g(2630m2/g)の比表面積を達成すべきである。しかしながら、グラフェンの実際的に達成される比表面積は、数十、又は多くても数百m2/gほどである。主な問題は、これらのナノ構造の原子及び分子構造に由来する。
【0070】
ここで
図4を参照すると、本開示の幾つかの実施形態によるスーパーキャパシタが示され、一般に、参照番号100を使用して識別される。図示されるように、スーパーキャパシタ100は、一対の電極層102A及び102B(まとめて参照番号102を使用して識別される)と、電極層102間に挟まれる誘電層104とを含む。これらの実施形態では、各電極層102は、比表面積を増加させるためにそれぞれの電極層102に結合された導電性又は半導電性メタ表面と、メタ表面を互いに電気的に絶縁するためにメタ表面間に挟まれた適切な誘電材料とを含む。
【0071】
その内容が全体として参照により本明細書に援用される、Nanfang Yu,Patrice Genevet,Mikhail A.Kats,Francesco Aieta,Jean-Philippe Tetienne,Federico Capasso及びZeno Gaburroによる、「LIGHT PROPAGATION WITH PHASE DISCONTINUITIES:GENERALIZED LAWS OF REFLECTION AND REFRACTION」というタイトルの学術論文(Science volume 334,issue 6054,pages 333-337(2011))は、光学分野での使用の観点からメタ表面を記載している。
【0072】
本明細書に開示するスーパーキャパシタ100に使用される導電性又は半導電性メタ表面は、上述の学術論文に記載されたものと類似する場合があるが、必ずしも本明細書に記載される光学特徴を示す必要はない。
【0073】
具体的には、スーパーキャパシタ100に使用される導電性又は半導電性メタ表面は、ナノスケール間隔を有して配置された重畳ナノスケール構造(「ナノ構造」とも表記される)を有する2次元(2D)表面を持つ構造であり、ナノスケール構造は、1つ又は複数の適切な導電性又は半導電性材料から成る。
【0074】
幾つかの実施形態では、ナノスケール構造は、それの1つ又は複数の寸法がナノメートル(nm)範囲内(例えば、1マイクロメートル(μm)未満)である構造でもよく、「ナノスケール間隔」は、ナノスケール構造間の間隔がナノメートル範囲内であることを意味する。幾つかの実施形態では、ナノスケール構造は、複数のナノロッド(「アンテナ」とも表記される)を含み得る。幾つかの実施形態では、ナノスケール構造124は、複数のV字形ナノロッドを含み得る。ナノスケール構造は、周期又は反復パターンを形成してもよく、各パターンは、異なる形状及び寸法の複数のナノスケール構造を含み得る。
【0075】
幾つかの実施形態では、各電極層102のメタ表面は、複数のマイクロスケール構造を含んでもよい(すなわち、それの1つ又は複数の寸法が、マイクロメートル範囲内(例えば、1ミリメートル(mm)未満)であり、及び/又はそれらの間にマイクロスケール間隔を有する。
【0076】
本明細書に開示するスーパーキャパシタ100は、「メタスーパーキャパシタ」又は「メタキャパシタ」と表記されることがある。メタ表面を使用することによって、有効面積が、ナノ/マイクロ構造によって、これらの円柱/円筒のサイズがナノメートル又はマイクロメートル範囲内となり得るため、大いに増加する。
【0077】
幾つかの実施形態では、電極層102のメタ表面のナノ/マイクロ構造は、互いに対して電気接触なしに延在し、それらの間に挟まれる誘電層104によって電気的に絶縁される。メタ表面のナノ/マイクロ構造は、ナノスケール又はマイクロスケール間隔を有する
ため、結果として、メタ表面間の距離は大幅に減少する。その結果、本明細書に開示するスーパーキャパシタ100は、超高エネルギー密度を提供することができ、及び安定したデバイス性能を提供することができる。
【0078】
例えば、
図5Aは、ある実施形態におけるスーパーキャパシタ100の構造を示す。図示されるように、スーパーキャパシタ100は、一対の電極層102A及び102Bと、それらの間に挟まれた誘電層104とを含む。
【0079】
各電極層102A、102Bは、メタ表面106A、106B(まとめて参照番号106を使用して識別される)を含み、ナノ構造が、比表面積を増加させ、及びそれらの間の間隔を減少させるために、インターロック円柱に配置される。具体的には、電極層102Aは、第1の電極層102Aの2D表面から延在し、及び開口遠位端を有する(すなわち、それらの遠位端で凹部を有する)中空ロッドの形態の複数の第1のナノ構造(参照番号106Aを使用することによっても識別される)を含む第1のメタ表面106Aを含む。
【0080】
電極層102Bは、第2の電極層102Bの2D表面から延在する中実又は中空ロッドの形態の複数の第2のナノ構造(参照番号106Bを使用することによっても識別される)を含む第2のメタ表面106Bを含む。第2のナノ構造が中空ロッドである実施形態において、このような中空ロッドは、比表面積をさらに増加させるための開口遠位端も含み得る。
【0081】
これらの実施形態では、第2のナノ構造106Bの少なくとも一部は、電気接触なしに、それぞれの第1のナノ構造106Aの凹部内に収容され、それによって、インターロック円柱が形成される。第1及び第2のナノ構造106A及び106Bは、電荷を分離する誘電層104の適切な誘電材料によって分離される。
【0082】
幾つかの実施形態では、インターロック円柱106は、第2のマイクロ構造106Bの少なくとも一部がそれぞれの第1のマイクロ構造106A内に収容された状態で、第1及び第2のマイクロ構造106A及び106Bを含み得る。
【0083】
様々な実施形態において、第1及び第2のナノ/マイクロ構造106A及び106Bは、任意の適切な形状でよい。例えば、
図5Bに示されるような幾つかの実施形態では、第1及び第2のナノ/マイクロ構造106A及び106Bは、円形又は楕円形の断面を有する円筒形状でもよい。
図5Cに示されるような幾つかの実施形態では、第1及び第2のナノ/マイクロ構造106A及び106Bは、矩形断面を有する立方体形状でもよい。
【0084】
本明細書に開示するスーパーキャパシタ100は、比表面積(すなわち、有効オーバーラップ面積)を実質的に増加させ、及び電極層102間の距離を大幅に減少させることによって、蓄積エネルギーを大いに増加させることができる。既存のEDLCと比較して、スーパーキャパシタ100は、それのキャパシタンス、ひいてはその中に蓄積されるエネルギーが、何桁も増加し得るように、表面積を十分に利用することができる。
【0085】
上記の実施形態では、第2の構造106Bの少なくとも一部を対応する第1の構造106Aの凹部内に収容することによって、電気接触なしに互いに対して延在する第1及び第2のナノスケール又はマイクロスケール構造106A及び106B。
【0086】
図6Aに示されるような幾つかの実施形態では、第1のメタ表面106Aは、ナノスケール又はマイクロスケールロッドを全く含まない。より正確に言えば、第1のメタ表面106Aは、電気接触なしに、ナノ/マイクロ構造106Bを内部に収容するための複数のナノスケール又はマイクロスケール凹部を含む。
【0087】
図6Bに示されるような幾つかの実施形態では、第1及び第2のメタ表面106A及び106Bのナノスケール又はマイクロスケール構造は、電気接触なしに交互配置される(すなわち、お互い隣接して)。
【0088】
上記の実施形態では、各メタ表面は、導電性ベース上にナノ/マイクロ構造を堆積させることによって形成され、この導電性ベースは、電極層としても機能する。したがって、これらの実施形態では、さらなる又は別個の電極層は必要ない場合がある。さらに幾つかの実施形態では、各メタ表面は、別の電極層に結合されてもよく、上記別の電極層と導電性がある。
【0089】
上記の通り、スーパーキャパシタ100の有効表面積は、ナノロッド又はナノピラーを電極102の設計に組み込むことによって大きく増加する。ナノピラーは、円形、楕円形、正方形、又は製造に適したその他の形状を有してもよい。電極102間の小さなギャップを維持するために、一方の電極のナノピラーは、他方の電極のものに対して相補形状を有し得る。誘電層は、電極102のナノスケール構造間のギャップ内を埋め、及びそれらを互いに電気的に絶縁させるために、SiO2、Al2O3、又は高破壊電圧を有する他の誘電材料などの適切な誘電材料を含む。
【0090】
スーパーキャパシタ100は、比表面積を実質的に増加させ、及び電極間の距離を大幅に減少させることによって、蓄積エネルギーを大いに増加させることができる。したがって、本明細書に開示するスーパーキャパシタ100の構造の影響は、3つの部分から成る:
・有効オーバーラップ面積を増加させること、
・電極間の距離を減少させること、及び
・極薄小フォームファクタ構造で高エネルギーストレージを作ること。
【0091】
既存のEDLCと比べて、本明細書に開示するスーパーキャパシタ100は、キャパシタンスを最大化するために表面積を十分に利用することができ、その結果として、蓄積エネルギーが、何桁も増加され得る。
【0092】
基本的に非常に薄い表面であるため、本明細書に開示されるスーパーキャパシタ100は、簡単に光起電性パネルと一体化させることができる。また、代替的に、スーパーキャパシタ100は、パネルによって生成された電荷を直接蓄積するためのシリコンベースの光起電性パネルの片面上に直接製造されてもよく、それによって、光起電性セルからの電荷を離れたストレージ内に伝送することに関連する損失が排除される。二次的利点として、単一のシリコン基板の両面上に光起電性パネル及びストレージデバイスの両方を有することは、デバイス全体のサイズを大幅に減少させることができ、そうでなければ電荷生成場所とストレージ場所とをつなぐために必要とされる電子回路を無くすことができる。
【0093】
図7Aは、幾つかの実施形態におけるスーパーキャパシタ100を示し、
図7Bは、断面A-Aに沿った、
図7Aに示されるスーパーキャパシタ100の斜視断面図であり、
図7Cは、それの分解斜視図である。
【0094】
図8A~8Kは、本開示の幾つかの実施形態による、
図7Aに示されるスーパーキャパシタ100の製造プロセスを示す。
図8Lは、
図8A~8Kの凡例を示す。
【0095】
図8Aに示されるように、シリコン(Si)基板などのベース材料202が準備される(準備ステップ)。
図8Bに示されるように、例えば、チタン(Ti)及び銀(Ag)の導電層204が、電子ビーム又は熱蒸発器を使用してシリコン基板上に堆積される(Ag
堆積ステップ)。これらの実施形態において、Ti層は、接着層として使用される。
図8Cに示されるように、SU-8の層などのフォトレジスト層206が、導電層204上にスピンコーティングされる(SU-8スピンコーティングステップ)。
【0096】
図8Dに示されるように、紫外線(UV)光208が、ナノピラーパターンを定義するために、適切なマスク層210を用いてフォトレジスト層206に向けて放射される(UV露光ステップ)。
図8Eに示されるように、フォトレジスト層の露光部分が、架橋結合される。
図8Fに示されるように、フォトレジスト層の非露光部分は、現像により除去される(現像ステップ)。
【0097】
図8Gに示されるように、Ag層212が、フォトレジスト層の除去された部分によって形成されたパターン内に堆積される。堆積されたAg層212は、導電層204と一体化される。
図8Hに示されるように、(Ag層212によって形成される)Agナノピラーを生じさせるために、SU-8を溶解させる。したがって、一体化されたAg層212及び導電層204が、電極102Bのメタ表面を形成する。
【0098】
図8Iに示されるように、Agナノピラー212を覆い、及びAgナノピラー212を絶縁する薄い誘電層104を形成するために、溶融石英(SiO
2)などの誘電材料の層214が、Agナノピラー212に堆積される。
【0099】
図8Jに示されるように、Ag層216が、誘電層104上に堆積され、Agナノピラー212間のギャップを埋める。誘電層104は、Agナノピラー212からAg層216を電気的に絶縁する。
図8Kに示されるように、別のAg層218が、エリア全体を覆うように、電気めっきプロセスにより付与される。Agナノピラー212は、Ag層218と一体化され、電極102Aを形成する。
【0100】
直接電力伝送(DPT)を使用したパワーエレクトロニック変換システム及びパワーエレクトロニック変換器
ある態様によれば、及び幾つかの実施形態において、直接電力伝送(DPT)を使用したパワーエレクトロニック変換システム及びパワーエレクトロニック変換器が提供される。本明細書に開示するパワーエレクトロニック変換器は、様々な用途に関して、非常に効率的で、且つ信頼性のある解決策を提供することができる。
【0101】
ある態様によれば、及び幾つかの実施形態において、広範な動作条件に関して高性能を提供することができる絶縁直流-直流(DC/DC)変換器回路トポロジーが提供される。DC/DC変換器回路の主な特徴は、それのDPT能力、疑似連続伝導モード(疑似CCM)動作、及び広範な動作条件に関するソフトスイッチング性能を含む。DPT動作を用いた場合、電源スイッチ及び変圧器によって処理される必要がある電力量が減少する。加えて、疑似CCM動作は、入力電流のピーク値及び二乗平均平方根値を減少させ、このことは、巻線及び半導体に関連する伝導損の減少をもたらす。
【0102】
DC/DC変換器回路構造において、電源スイッチは、それの出力ダイオードがゼロ電流スイッチング条件下で動作する間に、ゼロ電圧スイッチング特性から恩恵を受ける。その結果、出力ダイオードの逆回復問題が排除される。これらの特徴は全て、低伝導損及び低スイッチング損失をもたらし、それによって全体的な効率が向上する。提案される変換器の動作原理及びそれの理論的解析は、後で詳細に説明する。提案されるDC/DC変換器の実行可能性を検証し、それの優れた性能を実証するために、450ワット(W)(190V/48V)の実験用プロトタイプのシミュレーション及び実験結果が提供される。
【0103】
当業者が理解するように、気候変動に対する懸念と共に、増大するエネルギー需要は、
再生可能エネルギーソースへの大幅なパラダイムシフトを必要とする。再生可能ソースからエネルギーを獲得し、負荷に供給するために、信頼性のある、且つ効率的なアーキテクチャが必要とされる。マイクログリッドは、再生可能エネルギーソースを効率的に電力システムに組み込むための、かなり新しく、魅力的な概念である。
【0104】
具体的には、DCマイクログリッドは、近年、それらの効率的な動作により、多くの関心を得ている([1]~[3])。太陽及び風などの多くの再生可能エネルギーソースは、DC電力を発生させる(発電機と共に風力タービンは、交流(AC)電力を生じさせるが、AC電力は、可変周波数及び可変振幅を有し、DCへの変換が必要とされる)。また、多くのエネルギーストレージシステムは、必然的にDCである電池に基づく。加えて、負荷の状況も、現在では、電子デバイス(スマートフォン、タブレットなど)及びLED照明などの多くのDC負荷が存在するため、近年変化している([4])。したがって、DCシステムは、多くのDC源、DC負荷、及びDCエネルギーストレージを用いる未来のグリッドに自然に適合するように思われる。DCシステムは、より良い効率を有し、無効電力を必要とせず、高調波に反応しない。したがって、それらは、一般に、それらのAC対応物と比較して優れている([5])。DC電源方式住宅の紹介は、DCマイクログリッドの非常に大きな可能性の証しである([6]、[7])。
【0105】
図9は、DC電源方式の住宅に使用することができるDCマイクログリッドの例示的配置を示す。図示されるように、DCマイクログリッドは、高電圧バス(HV BUS、例えば、±190V)及び低電圧バス(LV BUS、例えば、48V)を含む。メインエネルギーストレージシステム、再生可能エネルギーソース、及び高電力負荷などのより高い電力コンポーネントは、高電圧バスに接続され、LED照明や電子機器などの多くの低電力負荷は、低電圧バスに接続される([8]~[10])。DC/DC変換器は、低電圧DCバスの電圧を望ましい範囲内に維持するために、高電圧バスと低電圧バスとの間で使用される。このDC/DC変換器にとって、高効率、高電力密度、ガルバニック絶縁、及び低出力電流/電圧リップルが望ましい属性である。この変換器は、一部の用途に関して双方向電力フロー能力を必要とするが、本用途に関しては、低電圧バスが単に負荷(LED照明、電子機器など)に給電することを担っているに過ぎないという事実により、一方向電力フローで十分である。
【0106】
DC/DC変換器は、文献[11]~[24]において広範囲にわたり解析されている。従来、多くの製品は、周知の位相シフトフルブリッジ電力回路トポロジーに基づくものであった。しかしながら、このトポロジーは、出力ダイオードの電圧スパイク、気ままな間隔、軽負荷に対するハードスイッチングなどの幾つかの性能問題を有する。上述の問題を軽減するために、共振型DC/DC変換器が紹介されている([25]~[27])。具体的には、LLC共振変換器は、それの魅力的な特徴により、多くの注目を得てきた。実際、多くの現在の工業製品は、それらが優れた性能を有するため、この電力回路トポロジーに基づいている。LLC共振変換器は、多くの魅力的な特徴を有するが、それらは、広範な動作条件に関する性能劣化、複雑な磁気設計、複雑な制御、及び嵩高い共振タンクなどの幾つかのデメリットを抱えている([28]~[31])。
【0107】
性能をさらに向上させるために、高次共振変換器も紹介されている。例えば、CLLC型共振変換器は、広い動作範囲にわたり、それらの一次側及び二次側において、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)及びゼロ電流スイッチング(ZCS)を実現することができる([27])。加えて、[32]において、LLC型、SRC型、及びCLLC型を組み合わせることによって、CLTC型共振変換器が紹介されている。このトポロジーでは、広い動作範囲にわたりZVSを提供するために、補助変圧器及び追加の共振コンデンサが使用される。しかしながら、これらの共振変換器の利得曲線は、複数のピークを有する。したがって、制御及び設計がかなり複雑になり得る。
【0108】
[33]では、複雑さを少なくして、LLC共振変換器に類似した高性能を提供することができる電流駆動非共振変換器が紹介されている。この構造は、[18]において、ソフトスイッチング範囲を拡大するために、さらに改善されている。寄生コンポーネントの影響を減少させるために、[34]において、非共振ハイブリッド電流駆動トポロジーが開示されている。このトポロジーは、変圧器巻線キャパシタンスの悪影響を減らすことができ、及びより高い電圧利得を有する変換器を提供することができる。しかしながら、受動コンポーネントが変換器の構造に加えられ、このことが、無効電流、及びその結果として伝導損を増加させる。[35]では、非共振電流駆動トポロジーが、交流-直流(AC/DC)変換器に拡張されている。この変換器の電力回路トポロジーは、
図13に示される(後でさらに説明される)。この変換器は、単純な構造を提供し、単純な制御システムを用いて広い動作範囲にわたりZVSを提供する。この電力回路トポロジーは、多くの利点を提供するが、幾つかの欠点を抱えている。不連続伝導モード(DCM)での入力インダクタの動作は、高ピーク電流値をもたらす。結果として、電流の二乗平均平方根(RMS)値が高く、高伝導損につながる。このトポロジーの他の欠点は、全電力がパワー半導体によって処理される必要がある点である。これにより、伝導損が増加し、より効果的な熱管理が必要となる。
【0109】
したがって、スイッチング損失を軽減するために、通常、既存の電力回路類型学がソフトスイッチングを提供する。しかしながら、それらは、伝導損を改善しない。
【0110】
図10A~10Dは、本開示の幾つかの実施形態による、パワーエレクトロニック変換システム110を示す。パワーエレクトロニック変換システム110は、電力をある形態から別の形態に変換するために使用することができ、パワーエレクトロニック変換器122を介して負荷124に電力を供給する電源120を含む。
【0111】
電源120は、交流(AC)電源120A(
図10A及び
図10Dを参照)、又は直流(DC)電源120D(
図10B及び
図10Cを参照)でもよい。負荷124は、DC負荷124D(
図10A及び
図10Bを参照)、又はAC負荷124A(
図10C及び
図10Dを参照)でもよい。それに対応して、パワーエレクトロニック変換器122は、AC/DC変換器122AD(
図10Aを参照)、DC/DC変換器122DD(
図10Bを参照)、DC-AC(DC/AC)変換器122DA(
図10Cを参照)、又はAC-AC(AC/AC)変換器122AA(
図10Dを参照)でもよい。
【0112】
先行技術のパワーエレクトロニック変換システムにおいて、及び本明細書に開示するパワーエレクトロニック変換システム110の幾つかの実施形態では、パワーエレクトロニック変換器122の電力回路構成は、パワー半導体(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)及び/又はダイオードなど)、キャパシタ、並びに磁気素子(インダクタ及び/又は変圧器など)を含み得る。これらのシステムにおいて、パワー半導体は、高周波スイッチング(したがって、時に「スイッチング変換器」と表記される)のために使用される。
【0113】
通常、より高いスイッチング周波数を用いたパワー半導体の使用は、より小型の受動コンポーネント(キャパシタ及び/又は磁気素子など)、並びにより高い電力密度の必要性を生じさせる。しかしながら、パワー半導体のスイッチング周波数の増加は、スイッチング損失を増加させ、それによって、スイッチング損失がスイッチング遷移中のスイッチング電流波形とスイッチング電圧波形との間のオーバーラップの結果であるため、電力変換効率が低下する。ソフトスイッチング法は、スイッチング損失を軽減しながら、より高いスイッチング周波数に達するために使用されてきた。
【0114】
電力変換効率に影響を与える別の重要な因子は、通常、理想的に導電性(すなわち、ゼロ抵抗)であると考えられるが、実際には非ゼロ抵抗値を有するコンポーネントを流れる電流によって引き起こされる損失である伝導損(抵抗損とも呼ばれる)である。例えば、MOSFETがオンである場合、それは、理論上、理想的に導電性であると考えられるが、実際には、非ゼロ抵抗値(すなわち、RDS(ON)>0)を有する抵抗(RDS(ON)と表記される)として機能する。したがって、オン状態MOSFETの伝導損は、I2
rms・RDS(ON)>0であり、Irmsは、MOSFETを流れる電流の二乗平均平方根(rms)である。
【0115】
DPTを使用するパワーエレクトロニック変換システム及びパワーエレクトロニック変換器を説明する前に、以下では、まず、パワーエレクトロニック変換器のスイッチング損失及び伝導損を減少させるための幾つかの先行技術の電力回路構成を説明する。
【0116】
先行技術のパワーエレクトロニック変換器において広く使用されている電力回路構成の1つは、共振変換器である。
図11は、例示的共振DC/DC変換器122DD’の回路構成の模式図である。
【0117】
図示されるように、共振DC/DC変換器122DD’は、DC電源(不図示)からDC入力Vinを受け取り、並びに、一次側126で電流をスイッチングするための電流スイッチング構造を形成する一対のMOSFETS1及びS2と、一次側126を二次側130に電気的に結合させるための変圧器128と、DC出力Voを生成するための二次側130の4つのダイオードD1~D4のセットとを使用する。キャパシタCoは、DC出力VoからAC成分をフィルタ処理するために、二次側で使用される。
【0118】
この例では、共振DC/DC変換器122DD’は、正弦波に近い波形を提供し、及び変圧器128にソフトスイッチングを提供するために、一次側126で一対のMOSFETS1及びS2と変圧器128との間に高周波フィルタ又は共振タンク132を含む。
【0119】
非共振電力回路構成も知られている。
図12は、例示的非共振DC/DC変換器122DD’’の回路構成の模式図である。
図11に示される共振DC/DC変換器122DD’に類似して、
図12に示される非共振DC/DC変換器122DD’’は、一次側の一対のMOSFETS
1及びS
2と、一次側126を二次側130に電気的に結合させるための変圧器128と、DC出力V
oを生成するための二次側130の4つのダイオードD
1~D
4のセット及びキャパシタC
oとを含む。非共振DC/DC変換器122DD’’は、ソフトスイッチングを提供するための適切なコンポーネントも含む。
【0120】
共振及び非共振DC/DC変換器に関する
図11及び
図12に示される電力回路構成は、AC/DC変換器で使用するために変更することができる。
図13は、例示的非共振AC/DC変換器122AD’の回路構成を示す。非共振AC/DC変換器122AD’は、
図12に示される非共振DC/DC変換器122DD’’の電力回路構成と類似した電力回路構成を含み、並びに、一次側126で、下流にある電力回路構成に入力するべくAC電力をDC電力に変換するためにAC電源120Aに結合された一対のダイオードD
5及びD
6をさらに含む。
【0121】
従来技術の電力回路構成では、全ての入力電力が、パワー半導体及び受動コンポーネント(例えば、変圧器)によって処理される。
図14は、ブロック矢印134が電力フローを示す、
図12に示された非共振DC/DC変換器122DD’’の回路構成の模式図である。全ての入力電力が、パワー半導体S
1及びS
2、並びに変圧器128によって処理されるため、パワー半導体S
1及びS
2、並びに変圧器128によって生じる大きな伝導損が存在し得る。したがって、先行技術の電力変換器は、十分に高い電力変換効率を提供
しないかもしれない。
【0122】
DPTを使用したパワーエレクトロニック変換システム及びパワーエレクトロニック変換器をこれより説明する。
【0123】
幾つかの実施形態では、パワーエレクトロニック変換器は、伝導損及びスイッチング損失の両方を最小限に抑え得るDC/DC変換器でもよい。本明細書に開示する電力回路トポロジーは、[35]で提案された基礎構造に基づく。この構造の主な特徴は、パワー半導体によって処理される電力を効果的に減少させる、それのDPT能力である。したがって、伝導損を減少させることができる。つまり、電力の一部が直接出力に伝送される。結果的に、コンポーネントの電力定格及びそれらのコストを減少させることができる。提案される構造の他の主な利点は、入力電流が疑似連続伝導モード(疑似CCM)で動作する点である。提案される変換器の入力電流は、[35]のものと比較して、はるかに低いピーク値及びRMS値を有する。したがって、提案される構造は、伝導損を大幅に減少させることができる。この変換器は、入力側でパワー半導体に関するZVS条件、及び出力側でダイオードに関するZCS条件も提供する。
【0124】
図15は、本開示の幾つかの実施形態による、電力をある形態から別の形態に変換するためのパワーエレクトロニック変換システム110の模式図である。図示されるように、パワーエレクトロニック変換システム110は、パワーエレクトロニック変換器122を介して負荷124に電力を供給する電源120を含む。
図10A~10Cに示されるシステムに類似して、これらの実施形態における電源120は、AC電源(
図10Aに示されるAC電源120Aに対応する)、又はDC電源(
図10B及び
図10Cに示されるDC電源120Dに対応する)でもよい。負荷124は、DC負荷(
図10A及び
図10Bに示されるDC負荷124Dに対応する)、又はAC負荷(
図10Cに示されるAC負荷124Aに対応する)でもよい。
【0125】
それに対応して、パワーエレクトロニック変換器122は、AC/DC変換器(
図10Aに示されるAC/DC変換器122ADに類似)、DC/DC変換器(
図10Bに示されるDC/DC変換器122DDに類似)、又はDC/AC変換器(
図10Cに示されるDC/AC変換器122DAに類似)でもよい。
【0126】
これらの実施形態におけるパワーエレクトロニック変換器122は、パワー半導体及び変圧器などの受動コンポーネントを有する「一般的な」先行技術の電力回路構成などの電力変換回路構成142を含む(これは、
図11~13に示される先行技術のパワーエレクトロニック変換器に類似し得る)。しかしながら、これらの実施形態におけるパワーエレクトロニック変換器122は、パワーエレクトロニック変換器122の性能を向上させるために並列に電力変換回路構成142に電気的に結合されたDPTチャネル144をさらに含む。
【0127】
動作時に、パワーエレクトロニック変換器122は、電源120から受け取った電力の第1の部分を変換するために電力変換回路構成142を使用し、並びに、電力変換回路構成142においてパワー半導体及び受動コンポーネントによって処理されることなく、電源120から受け取った電力の第2の部分を直接出力(例えば、負荷124)に伝送するためにDPTチャネル144を使用する。
【0128】
図16Aは、ある実施形態における、DC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDの回路構成を示す。図示されるように、パワーエレクトロニック変換器122DDは、一対のMOSFETS
1及びS
2、並びにDC電源120Dから受け取ったDC電力の第1の部分(矢印152によって示される)を変換するための第1の変圧器128を使用
する、
図12に示されるものに類似した一般的な電力変換回路構成142(
図12のインダクタL
gは、
図16Aでは、L
1と表記される)を含む。パワーエレクトロニック変換器122は、結合インダクタL
2によって、一次側126の一般的な電力変換回路構成142のインダクタL
1に結合し、それによって、受け取ったDC電力の第2の部分(矢印156によって示される)を一次側126から二次側130へと直接伝送し、それによって、MOSFETS
1及びS
2、並びに第1の変圧器128をバイパスするための第2の変圧器154を形成するDPTチャネル144もさらに含む。
【0129】
入力電力は、2つの異なる経路を通って出力に伝送される。電力の一部152は、パワー半導体によって処理され、他の部分156は、結合インダクタ(すなわち、DPT)によって変圧器二次側へと直接伝送される。この電力回路では、パワー半導体及び変圧器によって処理される必要がある電力量が減少する。したがって、この構成は、非常に効率的な電力伝送を提供することができる。変換器122DDの他の主な特徴は、入力電流のピーク値及びRMS値を効果的に減少させる疑似CCMで入力電流が動作し、それによって、伝導損の低下及び効率の向上がもたらされる点である。変換器122DDは、入力と出力との間のガルバニック絶縁、及び広範な動作条件にわたるソフトスイッチングも提供する。
【0130】
変換器122DDは、1つのスイッチングサイクル内に7つの動作間隔(モード)を有する。
図16B~16Hは、異なる動作モードにおける回路トポロジー122DDの等価回路を示す。回路トポロジー122DDの主要波形が
図17に示される。各モード中に結合インダクタ巻線を流れる電流を得るために、結合インダクタの電流と電圧との間の関係を記述する以下の1組の方程式が用いられる。
【数3】
方程式(3)から、電流微分は、電圧の観点から、以下のように書くことができる:
【数4】
式中、
【数5】
である。
【0131】
動作モードは、以下の通り説明される。モード1より前に、入力電流は、ゼロでもよく、電源スイッチS1は、オンであり、出力ダイオードD1及びD4は、導電している(すなわち、オンである)。
【0132】
モード1[t0;t1]:t0では、スイッチS1は、スナバキャパシタCs1及びSs2の存在により、ZVS条件下でオフにされる。電流iLsは、キャパシタCs1を充電し、キャパシタCs2を放電する。その結果、S1の電圧が線形に増加し、S2の電圧は、ゼロへと線形に減少する。
【0133】
モード2[t
1、t
2]:S
2の電圧がゼロになるとき、それのボディダイオードが導電し始める。その後、ZVS条件下でS
2がオンになる。その結果、v
inv=-V
dc/2及びv
L1=V
inである。出力側で、出力ブリッジダイオードを流れる総電流i
t(ni
Ls及びi
L2の合計)が正であるため、D
1及びD
4は、まだ導電している。その結果、v
sec=V
o及びv
L2=-V
oである。一方、インダクタンスL
sの電圧は、以下のように得られる。
vL
s=v
inv-nv
sec (6)
方程式(6)から、このモード中の電流i
Lsの傾きは、
【数6】
に等しい。
【0134】
L
1及びL
2に印加される電圧によれば、i
L1がゼロから線形に増加し、i
L2は、減少し始める。したがって、入力ダイオードD
inは、ZCS条件下でオンになる。i
L1及びi
L2の傾きは、方程式(4)を使用して、以下のように得られる。
【数7】
電流i
Ls及びi
L2が共に減少しているため、電流i
tも減少する。i
tがゼロに達すると、D
1及びD
4は、ZCS条件下でオフになり、このモードが終了する。
【0135】
モード3[t
2、t
3]:電流i
tの方向が反転し、i
tが負になると、出力ダイオードD
2及びD
3は、ZCS条件下でオンになる。したがって、変圧器二次巻線及び結合インダクタ二次巻線の電圧の極性が反転し、すなわち、v
sec=-V
o及びv
L2=V
oである。スイッチS
2がまだオンであるため、インバータ出力電圧及びL
1の電圧は、前のモードと同じままである(v
inv=-V
dc/2及びv
L1=V
in)。方程式(6)を使用して、このモード中のi
Lsの傾きは、以下のように表現される。
【数8】
方程式(4)から、i
L1及びi
L2の傾きも得られる。
【数9】
【0136】
モード4[t3;t4]:t3では、スイッチS2が、ZVS条件下でオフにされる。電流iL1及びiLsの大きさの合計が、キャパシタCs2を充電し、キャパシタCs1
を放電する。その結果、S2の電圧が線形に増加し、S1の電圧は、ゼロへと線形に減少する。
【0137】
モード5[t
4;t
5]:S
1の電圧がゼロになるとき、それのボディダイオードが導電し始める。その後、S
1がZVS条件下でオンになる。その結果、v
inv=V
dc/2及びv
L1=V
in-V
dcである。出力側で、電流itが負であるため、ダイオードD
2及びD
3は、まだ導電している。したがって、v
sec及びv
L2は、前のモードと同じである。同様に、このモード中の電流i
Ls、i
L1、及びi
L2の傾きは、以下のように得ることができる。
【数10】
【0138】
一方、電流itの大きさは、ゼロへと線形に減少する。電流がゼロになると、D2及びD3は、ZCS条件下でオフになり、このモードは終了する。
【0139】
モード6[t
5;t
6]:電流itの方向が反転し、それが正になると、D
1及びD4は、ZCS条件下でオンになる。その結果、v
sec=V
o及びv
L2=-V
oである。一方、S
1がまだオンであり、よって、v
inv=V
dc/2及びv
L1=V
in-V
dcである。このモード中の電流i
Ls、i
L1、及びi
L2の傾きは、以下のように得ることができる。
【数11】
電流i
L1がゼロになり、D
inがZCS条件下でオフになると、このモードは終了する。
【0140】
モード7[t6;t7]:このモード中、入力電流iL1は、ゼロである。電圧vinv、vsec、及びvL2は、前のモードと同じである。また、電流iLsは、方程式(16)で得られた傾きを有して増加し続ける。入力電流がゼロであるため、方程式(4)は、L1の電圧がvL2によって決定されることを示唆する(すなわち、vL1=(M/L2)vL2)。iL2の傾きは、以下のように得られる。
m25=-Vo/L2 (19)
このモードは、次のサイクルの初めに、スイッチS1が再びオフにされるまで継続する。
【0141】
変換器122DDは、数学的に詳細に解析される。DC/DC変換ステージは、
図18
に描かれるように簡略化することができる。この図では、電圧源v
invは、スイッチがオン及びオフになるときに(デューティサイクルが50%に等しいと仮定する)、V
dc/2と-V
dc/2が交互に起こる方形波形を表す。変圧器二次巻線に印加される電圧の極性は、出力ダイオード整流器を流れる総高周波電流i
t(ni
Ls及びi
L2の合計)の方向に依存する。i
tが正のとき、D
1及びD
4は導電し、v
sec=V
oである。或いは、それが負であるときは、v
sec=-V
oである。したがって、出力部分は、電流制御電圧源によって表される。
【0142】
先述の通り、提案される電力回路トポロジーにおける入力電力は、2つの経路を通って:1)電源スイッチ及び高周波変圧器を通って、並びに2)結合インダクタ(DPT)を通って出力に伝送される。まず、変圧器を通って伝送される電力量が取得される。このために、電流iLsが公式化される必要がある。
【0143】
モード1及びモード4の持続時間は、他のモードと比較して十分に短いため、それらは、解析において無視される。
図17によれば、及びt
0=0であると仮定して、i
Lsは、各スイッチングサイクル内で以下のように4つの一次方程式によって表現することができ、
【数12】
式中、m
1~m
4は、それぞれ方程式(7)、(10)、(13)、及び(16)において得られる。定数I
0、I
1、及びI
2は、それぞれ、t
φ、T
s/2、及びT
s/2+t
φで方程式(20)、(21)、及び(22)を評価することによって得られる。
【数13】
方程式(7)、(10)、(13)、(16)、及び(24)~(26)を(20)~(23)に代入することにより、i
Lsの4つの線形要素が得られる。
【数14】
【0144】
高周波変圧器の二次側に伝送される平均電力P
tranを計算するために、1つのスイッチング周期にわたり、瞬時電力v
inv(t)・i
Ls(t)が積分される。
【数15】
方程式(27)~(30)を方程式(31)に代入し、積分を計算することにより、以下のように伝送平均電力が得られる。
【数16】
新しいパラメータn
φ=t
φ/T
s(スイッチング周期に正規化されたt
φ)を定義することにより、方程式(32)は以下にまで簡略化される。
【数17】
【0145】
方程式(33)は、Ptranが、nφ=0.25において、その最大値に達することを示す。また、それは、スイッチング周波数に反比例する。つまり、変圧器を通って伝送される電力量は、スイッチング周波数と共に減少する。
【0146】
電源スイッチ及び変圧器を通って伝送される電力に加えて、電力の一部は、結合インダクタを通って出力に伝送される。この電力を計算するために、結合インダクタの二次巻線を流れる電流iL2を取得する必要がある。
【0147】
図17によれば、i
L2は、1つのスイッチングサイクル内で5つの線形要素によって表現することができる。
【数18】
式中、電流の傾きm
21~m
25は、方程式(9)、(12)、(15)、(18)、及び(19)によって得られる。また、t
fは、
図17に示されるように、電流i
L1がゼロにまで減少するモード6の持続時間である。それぞれt
φ、T
s/2、T
s/2+t
φ、及びT
s/2+t
φ+t
fで方程式(34)~(37)を評価することによって、定数I
21~I
24が得られる。
【数19】
方程式(9)、(12)、(15)、(18)、(19)、及び(39)~(42)を方程式(34)~(38)に代入することにより、i
L2の線形要素が得られる。
【数20】
結合インダクタを通って出力に直接伝送される平均電力P
DPTは、1つのスイッチングサイクル上で瞬時電力-v
L2・i
L2を積分することによって導出される。
【数21】
方程式(43)~(47)を(48)に代入し、積分を計算することにより、以下のように直接平均電力が得られる。
【数22】
新しいパラメータn
f=t
f/T
s(スイッチング周期に正規化されたt
f)を定義することにより、方程式(49)は、以下にまで簡略化される。
【数23】
【0148】
方程式(50)は、Ptranと同様に、PDPTが、スイッチング周波数に反比例することを示す。その結果、スイッチング周波数が増加するにつれて、両経路を通って(変圧器を通って、及び結合インダクタを通って)出力に伝送される電力量は、減少する。Ptran及びPDPTが共に決定されると、総出力電力は、
Po=Ptran+PDPT (51)
と表現することができ、式中、Ptran及びPDPTは、それぞれ方程式(33)及び(50)において得られる。
【0149】
計算が必要な別の重要なパラメータは、平均入力電流I
inである。このために、i
L1がまず公式化される。
図17によれば、i
L1は、1つのスイッチングサイクル内で5つの線形要素によって表現することができる。
【数24】
式中、m
11~m
14は、方程式(8)、(11)、(14)、及び(17)において得られる。定数I
11、I
12、及びI
13は、それぞれt
φ、T
s/2、及びT
s/2+t
φで方程式(52)、(53)、及び(54)を評価することによって計算することができる。
【数25】
方程式(8)、(11)、(14)、(17)、及び(57)~(59)を方程式(52)~(55)に代入することにより、i
L1の4つの線形要素が導出される。
【数26】
【0150】
その定義によれば、平均入力電流I
inは、以下のように得られる。
【数27】
方程式(60)~(63)を方程式(64)に代入し、積分を計算することにより、以下のように平均入力電流が得られる。
【数28】
n
φ及びn
fの観点から方程式(65)を書き換えると、以下の簡略化された方程式が得られる。
【数29】
【0151】
方程式(66)は、平均入力電流(すなわち、入力電力)がスイッチング周波数に反比例することを示す。これは、方程式(33)及び(50)において示されるように、出力
電力がスイッチング周波数と共に線形に減少するという事実に従うものである。
【0152】
変換器122DDでは、電圧レベルV
dcは、平均入力電力P
inが出力電力P
oに等しい(変換器損失は無視する)ように決定される。つまり、以下の方程式が満たされなければならない。
V
inI
in=P
tran+P
DPT (67)
方程式(33)、(50)、及び(66)を方程式(67)に代入することにより、以下のように電圧V
dcが得られる。
【数30】
【0153】
図17によれば、t
φは、方形電圧v
invとv
secとの間の位相差を表す。電圧v
invは、スイッチング状態に依存する。しかしながら、電圧v
secは、
図18に示されるようなV
osgn(ni
Ls+i
L2)に等しい。
図17によれば、t=t
2及びt=t
5において、i
t=0である。よって、以下の方程式が有効である。
【数31】
方程式(24)、(26)、(39)、及び(41)を方程式(69)に代入することにより、
【数32】
が得られる。
(70)における方程式の左辺の項が同じであるので、右辺の項も等しくなければならない。幾つかの数学的操作後に、n
φが、以下のように導出される。
【数33】
【0154】
図17によれば、t
fは、i
L1が線形にゼロに達するモード6の持続時間である。それは、t=T
s/2+t
φ+t
fで方程式(63)を評価することによって計算することができる。つまり、t
fは、以下の方程式から得られる。
【数34】
【0155】
方程式(72)から、n
fが、以下のように得られる。
【数35】
式中、n
φは、方程式(71)で得られる。
【0156】
変換器122DDの設計手順をこれより詳細に説明する。この手順は、上記の理論的解析に基づく。
図17に示されるi
L1の波形によれば、(i
L1=0である)モード7の持続時間がゼロに近づくにつれて、すなわち、n
φ+n
fが0.5に近づくにつれて、所与の平均電流に関する入力電流のピーク値は、さらに低下し、これは、より低いRMS値をもたらす。加えて、直接結合インダクタを通して最大可能電力を伝送することは、電源スイッチによって処理される電力量を最小にする。したがって、n
φ+n
fが0.5に近い状態で最大可能直接電力伝送を達成するように、提案される変換器を設計することが望ましい。
【0157】
解析を簡略化するために、新しいパラメータが以下のように定義される。
x=M/L
2 (74)
この定義を用いて、方程式(50)、(73)、及び(66)は、以下のように書き換えることができる。
【数36】
【0158】
方程式(76)から、パラメータxは、以下のように導出される。
【数37】
【0159】
xは、2つのインダクタンスの比率(M/L
2)であるため、それは、正でなければならない。(78)によれば、分母が正であることが分かる。したがって、その分子も正でなければならない。これにより、以下の方程式が得られる。
【数38】
【0160】
この方程式は、DCバス電圧の選択に上限を課す。一方、方程式(75)及び(77)によれば、結合インダクタを通って伝送される正規化直接電力P
DPT,nは、以下のように導出される。
【数39】
【0161】
パラメータnφ及びnfの変動区間は、条件nφ+nf<0.5の下では、0<nφ、nf<0.5に限定されるため、方程式(78)及び(80)を使用して、nφ及びnfの異なる値の観点から、伝送される正規化直接電力を得てもよい。nφ、nf及びPDPT,nの全ての異なる組み合わせの中で、nφ+nfが0.5に近いと同時に、最大直接電力伝送を達成するものを望ましい動作点として選択することができる。
【0162】
【数40】
の比率は、以下のように方程式(77)を使用して計算することができる。
【数41】
結合インダクタに関して、相互インダクタンスは、以下のように定義される。
【数42】
L1=L2の比率は、(74)及び(82)を使用して以下のように得られる。
L
1/L
2=(x/k)
2 (83)
(5)及び(74)を使用して、L
2は、以下のように導出することができる。
【数43】
方程式(81)及び(83)を方程式(84)に代入することにより、以下の方程式が得られる。
【数44】
【0163】
パラメータnφ、nf、及びxが決定されると、方程式(85)を使用して、インダクタンスL2が設計される。その後、インダクタンスM及びL1が、それぞれM/L2及びL1/L2の値に従って決定される。
【0164】
方程式(33)から、L
s/nの比率は、以下のように書くことができる。
【数45】
式中、P
tran=P
o-P
DPTであり、P
DPTは、方程式(80)によって得られる。幾つかの数学的操作後に、方程式(71)は、以下のように書き換えられる。
【数46】
方程式(86)で得られたL
s/nを方程式(87)に代入することによって、変圧器の望ましい巻線比が設計される。その後、インダクタンスL
sが、L
s/n及びnの値に基づいて得られる。
【0165】
本セクションでは、変換器122DDが、まず、450Wの公称電力を有する190VのDCグリッドから48Vの電池を充電する特定の用途に関して、上記のガイドラインを使用して設計される。次に、理論的解析を検証するために、米国カリフォルニア州のSan JoseのCadence Design Systemsによって提供されるOrCAD PSPICE環境で、それのシミュレーションを行う。上述の通り、変換器122DDの出力電力は、スイッチング周波数に反比例する。よって、それは、(公称電力における)最小周波数が140kHzであるように設計される。
【0166】
この変換器の設計の第1のステップは、方程式(79)を使用して、適切なDCバス電圧を選ぶことである。上述の通り、0.5に近いnφ+nfを達成することが望ましい。一方、提案される変換器のDCM動作を確実にするためには、nφ+nfは、0.5よりも十分に小さくあるべきである。0.4に等しいnφ+nfを考えると、方程式(79)は、Vdcが427.5Vよりも小さくあるべきであることを示唆する。したがって、Vdcは、400Vであることが選択される。
【0167】
次のステップは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、及び0.35に等しいn
φの幾つかの値に関して、0<n
f<0.5-n
φの範囲内の異なるn
fの観点からP
DPT,nのプロットを示す
図19にプロットされるように、方程式(78)及び(80)を使用して、n
φ及びn
fの異なる値の観点から、伝送される正規化直接電力P
DPT,nを計算することである。また、破線は、n
φ+n
f=0.4を満たす異なるn
φ及びn
fの観点からP
DPT,nの曲線を示す。
図19によれば、P
DPT,nは、n
φ=0.15及びn
f=0.25において、36%の最大値に達する。しか
しながら、n
φ=0.1及びn
f=0.3の場合、P
DPT,nは、最大値に近い34%である。これは、P
DPT=153W及びP
tran=297Wという結果になる。つまり、約150Wが直接結合インダクタを通って出力に伝送され、及び約300Wが変圧器を通って出力に伝送される。n
φ及びn
fが決定されると、方程式(78)を使用して、2.29に等しいxが得られる。
【0168】
方程式(82)~(85)によれば、インダクタンスL
1、L
2、及びMの設計は、結合係数kの値に依存する。
図20は、このパラメータが、これらのインダクタンスの設計にどのように影響を与えるかを実証する。観察されるように、kが1に近づくにつれて、インダクタンスL
1、L
2、及びMの全ては、大きな値に向かう。したがって、結合係数が十分に小さい場合、小さなインダクタンスを使用することが可能である。
図20によれば、0.9<k<0.95の範囲内の結合係数を有することにより、上記インダクタンスに関する適正値が得られる。また、結合係数に関するこの範囲を達成することは、結合インダクタの実装を複雑にしない。k=0.93を考えると、方程式(85)は、L
2=107μHをもたらす。その結果、M及びL
1は、方程式(74)及び(83)で得られたM/L
2及びL
1/L
2の値に基づいて、それぞれ244μH及び647μHと決定される。(86)及び(87)を使用して、直列インダクタンス及び変圧器巻線比が、L
s=43μH及びn=2.4として得られる。
【0169】
変換器122DDは、以下の表Iにリストされたパラメータを用いてシミュレーションされる。
【0170】
【0171】
変換器122DDの波形が
図21A~21Fに示される。
図21A及び21Bは、それぞれ電源スイッチS
1及びS
2の波形を示す。観察されるように、スイッチの一方がオフにされると、他方のスイッチのボディダイオードがオンになり、それによって、ZVSターンオン条件が提供される。加えて、両スイッチ共に、ターンオフ瞬間の電流電圧オーバーラップが十分に小さい。DCバス電圧が400V付近であることも観察される。
図21Cは、結合インダクタの一次巻線及び二次巻線を流れる電流i
L1及びi
L2を示す。入力電流の疑似CCM動作を観察することができる。また、t
fは、スイッチングサイクルの34%である2.4μsに等しい。つまり、パラメータn
fは、0.3の望ましい値よりも僅かに大きい。インバータ出力及び変圧器一次巻線の電圧波形、並びに直列インダクタの電流波形が
図21Dに示される。観察されるように、方形電圧は、スイッチングサイクルのほぼ10%である0.7μsの遅延を有する。つまり、パラメータn
φは、望ましい値(0.1)にほぼ等しい。
図21Eは、変圧器二次巻線の電圧波形v
sec及び出力
ブリッジダイオードを流れる電流波形i
tを示す。上記で説明した通り、この電流の方向は、変圧器二次巻線に印加される電圧の極性を決定する。D1及びD2の電流波形及び電圧波形を示す
図21Fによれば、出力ダイオードは、ZCS条件下でオン及びオフになる。
【0172】
実際に変換器122DDの性能を調べるために、上記所与の用途のために450Wの実験用プロトタイプが実装され、その実験結果が提示される。プロトタイプに使用されるコンポーネントは、以下の表IIにリストされ、その写真が
図22に示される。
【0173】
【0174】
図23A~23Fは、全負荷条件下で実装プロトタイプから得られた実験波形を示す。これらの実験波形は、それぞれ
図17及び
図21A~21Fに示される理論的波形及びシミュレーション波形によく合致している。異なる負荷条件下における変換器122DDの性能を調べるために、公称電力の50%での実装プロトタイプから得られた波形も
図24A~24Fに示される。出力に届けられる電力を定格電力の半分に減らすために、スイッチング周波数を280kHzに増加させた。
【0175】
S
1及びS
2の電圧波形を示す
図24A及び24Bによれば、電源スイッチは、ZVS特性で動作する。加えて、DCバス電圧が定格電力とまだ同じであることが観察される。つまり、提案される変換器は、疑似CCM動作により、異なる負荷条件下で、ほぼ一定のDCバス電圧から恩恵を受ける。
図24C及び24Dから、t
fが、全負荷でのそれの値よりも僅かに大きい1.5μs(n
f=0.4)であり、t
φが、望ましい値に等しい0.3μs(n
φ=0.1)であることが観察される。この場合、n
φ+n
fは、0.5に近く、又は同等に、モード7の持続時間が十分に短い。これにより、入力電流に関して低ピーク値及び低RMS値がもたらされる。つまり、提案される変換器は、異なる負荷条件下で、疑似CCM入力電流波形を維持する。
【0176】
図25は、定格電力の20%~100%の実装プロトタイプから測定された効率を示す。観察されるように、全負荷から軽負荷へと電力が減少するにつれて、効率は、まず、(公称電力で)95.4%から(公称電力の70%で)96.7%のピーク値にまで増加し、その後、減少し始める。先述の通り、出力電力は、提案される変換器において、スイッチング周波数と共に減少する。その結果、出力電力の減少は、伝導損の低下をもたらすが、スイッチング損失の増加をもたらす。提案される変換器のZVS性能により、低周波数において、伝導損と比べてスイッチング損失が無視できることに言及する価値がある。しかしながら、定格電力の70%未満に出力電力が減少すると、スイッチング損失はかなり
のものになり、その結果、効率が低下し始める。
【0177】
本明細書に開示される絶縁DC/DC回路トポロジー122DDは、広範な動作条件に関して高性能を実証することができる。この絶縁DC/DC変換器122DDは、変換器122DDが低電圧バスのDC電圧レベルを望ましい範囲内に維持し得るDCマイクログリッド用途によく適している。変換器122DDは、伝導損及びスイッチング損失の両方を最小にし得る。変換器122DDの一次側のパワー半導体は、ZVS特性で動作し、出力ダイオードは、ZCS特性で動作する。変換器122DDの主な特徴の1つは、パワー半導体によって処理される電力を減少させ、及び伝導損を最小にするDPTである。電力の一部は、出力に直接伝送することができ、それによって、コンポーネントの電力定格及びコストが減少する。この構造の別の利点は、入力電流に関する疑似CCM動作である。この特徴は、入力電流のピーク値及びRMS値を減少させる。その結果、この構造における伝導損は大幅に減少し得る。450Wプロトタイプのシミュレーション及び実験結果は、提案される構造の優れた性能を裏付ける。
【0178】
図26は、他の幾つかの実施形態におけるAC/DCパワーエレクトロニック変換器122ADの回路構成を示す。図示されるように、パワーエレクトロニック変換器122ADは、一対のMOSFETS
1及びS
2と、AC電源120Aから受け取ったDC電力の第1の部分を変換するための第1の変圧器128とを含む、
図13に示されるものに類似した一般的な電力変換回路構成142(
図13のインダクタL
gは、
図26では、L
1と表記される)を含む。パワーエレクトロニック変換器122ADは、結合インダクタL
2によって、一次側126の一般的な電力変換回路構成142のインダクタL
1に結合し、それによって、DC電力の第2の部分を一次側126から二次側130へと直接伝送し、それによって、MOSFETS
1及びS
2、並びに第1の変圧器128をバイパスするための第2の変圧器154を形成するDPTチャネル144も含む。
【0179】
図27は、さらに他の幾つかの実施形態におけるDC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDの回路構成を示す。図示されるように、パワーエレクトロニック変換器122DDは、一対のMOSFETS
1及びS
2と、DC電源120Dから受け取ったDC電力の第1の部分を変換するための第1の変圧器128と、一次側で一対のMOSFETS
1及びS
2と変圧器128との間に、正弦波に近い波形を提供し、及び変圧器128にソフトスイッチングを提供するための
図11に示されるものに類似した共振タンク132とを含む一般的な電力変換回路構成142を含む。パワーエレクトロニック変換器122DDは、結合インダクタL
aによって、一次側126の一般的な電力変換回路構成142のインダクタL
gに結合し、それによって、DC電力の第2の部分を一次側126から二次側130へと直接伝送し、それによって、MOSFETS
1及びS
2、並びに第1の変圧器128をバイパスするための第2の変圧器154を形成するDPTチャネル144も含む。
【0180】
図28は、さらに別の実施形態におけるDC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDの回路構成を示す。この実施形態におけるDC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDは、この実施形態では、一般的な電力変換回路構成142が共振タンクを含まない一方で、DPTチャネル144が共振タンク132を含むことを除き、
図27に示されるものに類似する。
【0181】
図29は、別の例におけるDC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDの回路構成を示す。この実施形態におけるDC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDは、この実施形態では、DPTチャネル144及び一般的な電力変換回路構成142のそれぞれが共振タンク132を含むことを除き、
図27に示されるものに類似する。
【0182】
共振タンク132は、DPTを用いる他のタイプの変換器にも同様に使用され得る。
【0183】
例えば、
図30は、ある実施形態におけるAC/DCパワーエレクトロニック変換器122ADの回路構成を示す。AC/DCパワーエレクトロニック変換器122ADは、この実施形態では、DPTチャネル144が共振タンクを含まない一方で、一般的な電力変換回路構成142が共振タンク132を含む点を除き、
図26に示されるものに類似する。
【0184】
図31は、別の実施形態におけるAC/DCパワーエレクトロニック変換器122ADの回路構成を示す。AC/DCパワーエレクトロニック変換器122ADは、この実施形態では、一般的な電力変換回路構成142が共振タンクを含まない一方で、DPTチャネル144が共振タンク132を含む点を除き、
図26に示されるものに類似する。
【0185】
図32は、さらに別の実施形態におけるAC/DCパワーエレクトロニック変換器122ADの回路構成を示す。AC/DCパワーエレクトロニック変換器122ADは、この実施形態では、一般的な電力変換回路構成142及びDPTチャネル144のそれぞれが共振タンク132を含むことを除き、
図26に示されるものに類似する。
【0186】
DPTチャネルは、任意の適切なやり方で実装され得る。例えば、
図33は、本開示の幾つかの実施形態による、DPTチャネル144を有するDC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDを示す。これらの実施形態では、一般的な電力変換回路構成142の変圧器128及びDPTチャネル144の変圧器154が、共通及び/又は統合磁気素子構造162を共有する。具体的には、変圧器128及び154のコイルが共通の磁気コア又は強磁性コアに別々に巻き付けられ、それによって、高電力密度が生じる。
【0187】
図34は、本開示の幾つかの実施形態による、DPTチャネル144を有するDC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDを示す。これらの実施形態では、一般的な電力変換回路構成142の変圧器128及びDPTチャネル144の変圧器154は、共通及び/又は統合磁気素子構造164を共有する。具体的には、DC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDは、変圧器128及び154が、磁気コア又は強磁性コアに巻き付けられた同じコイルを共有し、これらのコイルが、コイルの両端において2つの端部接点と、コイルの両端の中間にあるコイルの適切な場所において中間接点とを含む3つの接点を含むように、変圧器128及び154を実装するための中心タップ変圧器164を使用する。
図34に示す例では、端部接点172及び174は、電力出力に使用され、中間接点176は、アースに接続される。
【0188】
上記の実施形態では、パワーエレクトロニック変換器122は、一般的な電力変換回路構成142に並列に電気的に結合された1つのDPTチャネル144を含む。
図35に示されるような幾つかの代替実施形態では、パワーエレクトロニック変換器122は、一般的な電力変換回路構成142に並列に電気的に結合された複数のDPTチャネル144を含んでもよい。幾つかの実施形態では、複数のDPTチャネル144は、同じ構造、トポロジー、コンポーネント、及び/又はパラメータを有してもよい。幾つかの他の実施形態では、複数のDPTチャネル144が、異なる構造、トポロジー、コンポーネント、及び/又はパラメータを有してもよい。
【0189】
例えば、
図36は、ある実施形態におけるDC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDの回路構成を示す。図示されるように、パワーエレクトロニック変換器122DDは、一対のMOSFETS
1及びS
2、並びにDC電源120Dから受け取ったDC電力の第1の部分を変換するための第1の変圧器128を使用する、
図12に示されるものに類似した一般的な電力変換回路構成142を含む。DC/DCパワーエレクトロニック
変換器122DDは、直接一次側126から二次側130へと受け取ったDC電力の第2の部分及び第3の部分をそれぞれ伝送し、それによって、MOSFETS
1及びS
2、並びに第1の変圧器128をバイパスするための第2の変圧器154-1及び154-2によって一次側126の一般的な電力変換回路構成142にそれぞれ結合された2つのDPTチャネル144-1及び144-2も含む。
【0190】
幾つかの実施形態では、一般的な電力変換回路構成142の第1の変圧器128、及びDPTチャネル144の1つ又は複数の第2の変圧器154(例えば、
図36に示される第2の変圧器154-1、154-2)は、共通コアを共有するなど、共通及び/又は統合磁気素子構造を共有してもよく、各第2の変圧器154は、共通コアに巻き付けられた別個のコイルセットを含む(例えば、共通コアに巻き付けられた別個のワイヤがコイルセットを形成する)。
【0191】
幾つかの実施形態では、一般的な電力変換回路構成142の第1の変圧器128、及びDPTチャネル144の1つ又は複数の第2の変圧器154(例えば、
図36に示される第2の変圧器154-1、154-2)は、単一のコイルセット(例えば、コアに巻き付けられた1つのワイヤが単一のコイルセットを形成する)を有する中心タップ変圧器を使用して実装されてもよく、各第2の変圧器154は、単一のコイルセットのそれぞれの部分(例えば、コアに巻き付けられたワイヤのそれぞれの部分)に対応するコイルセットを含む。
【0192】
上記の実施形態では、パワーエレクトロニック変換器122は、1つの出力のみを有する。
図37に示されるような幾つかの代替実施形態では、パワーエレクトロニック変換器122は、複数の負荷124に電力を供給するための複数の出力160を含む多出力パワーエレクトロニック変換器でもよい。
【0193】
多出力パワーエレクトロニック変換器122は、複数の出力162を有する一般的な電力回路構成142と、一般的な電力変換回路構成142に並列に電気的に結合された複数のDPTチャネル144とを含んでもよい。具体的には、一般的な電力回路構成142の出力162の少なくとも1つ又は複数が、それぞれ複数のDPTチャネル144の1つ又は複数に電気的に結合され、それによって、各負荷124に電力を供給するための多出力パワーエレクトロニック変換器122の各出力が形成される。
【0194】
幾つかの実施形態では、一般的な電力回路構成142の少なくとも1つの出力162は、何れのDPTチャネル144とも電気的に結合されず、多出力パワーエレクトロニック変換器122の出力160を直接形成する。
【0195】
幾つかの実施形態では、一般的な電力回路構成142の全ての出力162が、多出力パワーエレクトロニック変換器122の出力160を形成するためにDPTチャネル144に電気的に結合される。
【0196】
幾つかの実施形態では、複数のDPTチャネル144は、同じ構造、トポロジー、コンポーネント、及び/又はパラメータを有してもよい。幾つかの他の実施形態では、複数のDPTチャネル144は、異なる構造、トポロジー、コンポーネント、及び/又はパラメータを有してもよい。
【0197】
例えば、
図38は、ある実施形態における多出力DC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDの回路構成を示す。図示されるように、パワーエレクトロニック変換器122DDは、一対のMOSFETS
1及びS
2と、DC電源120Dから受け取ったDC電力の第1の部分を変換するための第1の変圧器128とを使用する一般的な電力変換回
路構成142を含む。第1の変圧器128は、入力コイルセット164と、共通コア168に巻き付けられた2つの出力コイルセット166とを含む。出力コイルセット166のそれぞれは、一般的な電力回路構成142の出力162を形成する。
【0198】
多出力DC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDは、直接一次側126から二次側130へと受け取ったDC電力の第2の部分及び第3の部分をそれぞれ伝送し、それによって、MOSFETS1及びS2、並びに第1の変圧器128をバイパスするための2つの第2の変圧器154によって一次側126の一般的な電力変換回路構成142に結合された2つのDPTチャネル144も含む。
【0199】
具体的には、多出力DC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDは、一般的な電力回路構成142の一次側126に電気的に接続された入力コイルセット172と、共通コア176に全て巻き付けられた2つの出力コイルセット174とを有する結合変圧器170を含む。各出力コイルセット174は、DPTチャネル144に電気的に結合される。したがって、各出力コイルセット174、共通コア176、及び入力コイルセット172は、各第2の変圧器154を形成する。
【0200】
二次側で、各DPTチャネル144は、多出力DC/DCパワーエレクトロニック変換器122DDの各出力160を形成するために一般的な電力回路構成142の出力162と並列に電気的に結合される。
【0201】
幾つかの実施形態では、結合変圧器170及び第1の変圧器128の何れか一方又は両方が、中心タップ変圧器でもよい。
【0202】
添付の図面を参照して実施形態を上記で説明したが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような範囲から逸脱することなく、変形及び変更を行い得ることを理解するだろう。
【0203】
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【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーストレージデバイスの製造方法であって、
(i)第1の導電層を基板上に堆積させることと、
(ii)前記導電層上にフォトレジスト層をスピンコーティングすることと、
(iii)マスクを前記フォトレジスト層に付与し、及び光の下で前記マスクされたフォトレジスト層を露光させることであって、前記マスクが、予め定義されたパターンを有する、付与し、及び露光させることと、
(iv)現像により、前記フォトレジスト層の非露光部分を除去することと、
(v)第1の導電性材料が前記フォトレジスト層の前記除去された部分を埋めることを可能にするために、前記導電性材料を前記フォトレジスト層に堆積させることと、
(vi)第1の導電性構造セットを形成するために前記フォトレジスト層を溶解させることと、
(vii)前記堆積された第1の導電性材料の上に誘電層を形成するために、前記堆積された第1の導電性材料に誘電材料の層を堆積させることと、
(viii)第2の構造セットを形成する前記誘電層に第2の導電性材料を堆積させることと、
(ix)前記第2の構造セットに対して第3の導電性材料を電気めっきすることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記基板がシリコン(Si)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の導電層が銀(Ag)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の導電層がチタン(Ti)をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記フォトレジスト層がSU-8を含む、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記光が紫外線(UV)光を含む、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の導電性材料がAgを含む、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記誘電材料が、溶融石英(SiO2)を含む、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の導電性材料がAgを含む、請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第3の導電性材料がAgを含む、請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月11日に出願された米国仮特許出願第62/914,237号の便益を主張するものである。
【外国語明細書】