(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098818
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】プールコンベア及び果菜自動選別装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20240717BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B07C5/36
B65G47/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002556
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【テーマコード(参考)】
3F070
3F079
【Fターム(参考)】
3F070AA11
3F070BA04
3F070BB02
3F070BC03
3F070BD01
3F070EA24
3F070EA31
3F079AC23
3F079BA11
3F079CA18
3F079CA21
3F079CA23
3F079CB29
3F079DA12
3F079DA21
3F079DA29
3F079DA30
3F079EA09
(57)【要約】
【課題】 果菜を傷つけることなく、取り出すことのできるプールコンベアと、当該プールコンベアを備えた果菜自動選別装置を提供することにある。
【解決手段】 本発明のプールコンベアは、果菜をプールするコンベアであって、果菜の下方に指を入れるための差入れ部を備えたものである。本発明のプールコンベアは、たとえば、間隔をあけて配置された二以上の搬送体を備えたものとし、果菜は隣接する搬送体に跨るように載置され、差入れ部が隣接する搬送体の間に設けられた構成とすることができる。本発明の果菜自動選別装置は、果菜をプールするプールコンベアを備えた装置であって、プールコンベアとして、本発明のプールコンベアを備えたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果菜をプールするプールコンベアにおいて、
果菜の下方に指を入れるための差入れ部を備えた、
ことを特徴とするプールコンベア。
【請求項2】
請求項1記載のプールコンベアにおいて、
間隔をあけて配置された二以上の搬送体を備え、
果菜は隣接する搬送体に跨るように載置され、
差入れ部が隣接する搬送体の間に設けられた、
ことを特徴とするプールコンベア。
【請求項3】
請求項2記載のプールコンベアにおいて、
隣接する搬送体が平行に配置された、
ことを特徴とするプールコンベア。
【請求項4】
請求項2記載のプールコンベアにおいて、
隣接する搬送体が同期回転する、
ことを特徴とするプールコンベア。
【請求項5】
請求項2記載のプールコンベアにおいて、
隣接する搬送体の幅が異なる、
ことを特徴とするプールコンベア。
【請求項6】
請求項2記載のプールコンベアにおいて、
搬送体はベルトコンベアである、
ことを特徴とするプールコンベア。
【請求項7】
果菜をプールするプールコンベアを備えた果菜自動選別装置において、
前記プールコンベアとして、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプールコンベアを備えた、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果菜をプールするプールコンベアと、当該プールコンベアを備えた果菜自動選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キュウリ、茄子、ゴーヤ、人参、ズッキーニのような長物果菜を等階級別に選別する装置として、本件発明者が先に開発した果菜自動選別装置(特許文献1及び2)がある。
【0003】
図15に示すように、この果菜自動選別装置は、果菜を載せて搬送するバケットWと、搬送中の果菜のサイズや形状等を計測する計測装置Xと、計測装置Xでの計測結果に基づいて等階級が判別された果菜をバケットWから取り出す果菜取出しコンベアYと、果菜取出しコンベアY上の果菜を引き継いで搬送する引継ぎ搬送体Zを備えている。
【0004】
この果菜自動選別装置では、バケットWに載せて搬送中の果菜のサイズや形状等が計測装置Xで計測され、その計測結果に基づいて等階級が判別された果菜が果菜取出しコンベアYで取り出され、その果菜取出しコンベアY上の果菜が引継ぎ搬送体Zで引き継がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-153119号公報
【特許文献2】特開2020-186132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の果菜自動選別装置は果菜を等階級ごとに選別するところまでを行う装置であり、その後の箱詰め作業は手作業で行う必要があった。箱詰めを行う際には、作業者がプールコンベア(
図15の例では、引継ぎ搬送体Z)上の果菜を複数本ずつ手作業で取り出す必要がある。
【0007】
ところが、プールコンベアの平ベルトと果菜の間には指を入れる隙間がないことが多く、果菜を両手で取り出すときに、果菜同士が重なり合って擦れたり果菜が平ベルトに擦れたりして果菜に傷がつくことがあった。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、果菜を傷つけることなく取り出すことのできるプールコンベアと、当該プールコンベアを備えた果菜自動選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[プールコンベア]
本発明のプールコンベアは、果菜をプールするコンベアであって、果菜の下方に指を入れるための差入れ部を備えたものである。
【0010】
[果菜自動選別装置]
本発明の果菜自動選別装置は、果菜をプールするプールコンベアを備えた装置であって、プールコンベアとして、本発明のプールコンベアを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプールコンベア及び果菜自動選別装置によれば、果菜の下に指を入れて果菜を取り出すことができるため、果菜が平ベルトに擦れて傷がつくというリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のプールコンベアの一例を示す斜視図。
【
図3】本発明のプールコンベアの一例を示す平面説明図。
【
図4】(a)は
図3のIVa-IVa断面図、(b)は(a)のIVb部の拡大図。
【
図5】本発明の果菜自動選別装置の一例を示す斜視図。
【
図6】本発明の果菜自動選別装置の一例を示す側面図。
【
図7】本発明の果菜自動選別装置の一例を示す平面図。
【
図8】(a)は果菜受体の一例を示す斜視図、(b)は(a)の果菜受体が支持バーに取り付けられた状態の斜視図。
【
図10】主レールと分岐レールの切り替え片の動作説明図。
【
図11】姿勢保持ガイドで水平又は略水平な姿勢が保持された果菜受体の説明図。
【
図13】(a)は支持ガイドの一例を示す正面図、(b)は押しガイドの一例を示す正面図、(c)は支持ガイドと押しガイドを用いて下り傾斜部を構成した場合の一例を示す説明図。
【
図14】(a)は果菜受体の他例を示す斜視図、(b)は(a)の果菜受体が支持バーに取り付けられた状態の斜視図。
【
図15】従来の果菜自動選別装置の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(プールコンベアの実施形態)
本発明のプールコンベア20の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明のプールコンベア20は各種果菜Aをプールする際に利用することができるが、ここでは、果菜Aがキュウリの場合を一例として説明する。
【0014】
本発明のプールコンベア20は果菜Aをプールするコンベアである。一例として
図1及び
図2に示すプールコンベア20は二本の搬送体20a、20bを備えている。両搬送体20a、20bは上面の高さが同じ高さとなるようにしてあり、果菜Aは二本の搬送体20a、20bに跨るように載置される。
【0015】
この実施形態では、各搬送体20a、20bとしてベルトコンベアを用いている。各搬送体20a、20bはベルトコンベア以外のコンベアで構成することもできる。また、搬送体20a、20bの本数は二本より多くてもよい。
【0016】
二本の搬送体20a、20bは間隔をあけて平行に設けられている。
図3に示すように、両搬送体20a、20bには共通の駆動軸22が設けられ、駆動軸22に連結されたモータMによって同期回転するようにしてある。
【0017】
この実施形態では、一方の搬送体(以下「第一搬送体」という)20aとして幅100mmの平ベルト21aを備えたベルトコンベアを、他方の搬送体(以下「第二搬送体」という)20bとして幅150mmの平ベルト21bを備えたベルトコンベアを用いている。
【0018】
両搬送体20a、20bの平ベルト21a、21bの幅は一例であり、両搬送体20a、20bの平ベルト21a、21bの幅はこれ以外であってもよい。また、両搬送体20a、20bには、同一幅の平ベルト21a、21bを備えたものを用いることもできる。
【0019】
二本の搬送体20a、20bの間には、果菜Aの下方に指を入れるための凹陥状(溝状)の差入れ部23が設けられている。この実施形態では、差入れ部23がプールコンベア20の両プーリの内側の全長に亘って設けられているが、差入れ部23はプールコンベア20の一部(たとえば、作業者が箱詰め作業をする位置)のみに設けることもできる。
【0020】
この実施形態では、指が2~3本程度入るように差入れ部23の幅を40mm程度としてある。この寸法は一例であり、差入れ部23の幅はこれより広くても狭くても良い。
【0021】
図3に示す例では、作業者側に位置する搬送体(第一搬送体)20aの幅が100mm、差入れ部23の幅が40mm、作業者から離れた側に位置する搬送体(第二搬送体)20bの幅が150mmとなり、プールコンベア20全体の幅で考えた場合、差入れ部23がプールコンベア20の幅の半分よりも作業者に近い場所に位置するようにしてある。
【0022】
このように、作業者側に位置する第一搬送体20aの幅を第二搬送体20bよりも狭くすることで差入れ部23と作業者の距離が近くなり、差入れ部23が作業者から離れた位置にある場合に比べて、果菜Aを取り出しやすいというメリットがある。
【0023】
図1~
図4(a)(b)に示すように、差入れ部23には、両搬送体20a、20bから外れた果菜Aが落下するのを防止するための落下防止具24を設けることもできる。落下防止具24はプラスチックやゴム等の各種材質で構成することができる。
【0024】
この実施形態の落下防止具24は、幅40mm、深さ40mm程度の上向きコ字状(樋状)の部材である。この寸法は一例であり、落下防止具24の寸法は差入れ部23の寸法に合わせて決定することができる。
【0025】
ただし、いずれの場合も、少なくとも指の第二関節くらいまでが入る深さを確保するのが好ましい。また、落下防止具24の形状は上向きコ字状に限らず、半割パイプ状のような形状等、上向きコ字状以外の形状とすることもできる。
【0026】
図3に示す例では、落下防止具24は差入れ部23の全長に亘って設けられている。ただし、落下防止具24は差入れ部23が設けられた位置に設ければよく、差入れ部23をプールコンベア20の一部(たとえば、作業者が箱詰め作業をする位置)のみに設ける場合、当該部分にのみ設ければよい。落下防止具24は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することもできる。
【0027】
なお、差入れ部23に落下防止具24を設けた場合、落下防止具24の上端が果菜Aと接触すると果菜Aが傷つくおそれがある。このため、落下防止具24は、
図4(b)に示すように、その上端24aが両搬送体20a、20bの平ベルト21a、21bの上面よりも低い位置となるように、換言すれば、平ベルト21a、21bよりも上側に突出しないように設置するのが好ましい。
【0028】
このように構成されたプールコンベア20から果菜Aを取り出す場合、作業者は自身の指を差入れ部23から果菜Aの下方に入れ、そのまま果菜Aを取り出せばよい。このようにすることで、果菜Aが平ベルト21a、21bに擦れて傷がつくというリスクを低減することができる。
【0029】
なお、この実施形態では、プールコンベア20が二本の搬送体20a、20bを備えたものである場合を一例としているが、搬送体は少なくとも二本あればよく、三本以上あってもよい。搬送体を三本以上とする場合、相互に隣接する搬送体の間に差入れ部23を設ければよい。
【0030】
本実施形態では、果菜Aがキュウリの場合を一例としているが、本発明のプールコンベアは、キュウリのほか、茄子やゴーヤ、人参、ズッキーニ等の長物果菜Aをプールする際に好適に用いることができる。
【0031】
本実施形態のプールコンベア20の構成は一例であり、本発明のプールコンベア20は本実施形態の構成に限定されるものではない。本発明のプールコンベア20は、所期の目的を達成できる範囲で、適宜構成の省略、追加、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0032】
(果菜自動選別装置の実施形態)
次に、本発明の果菜自動選別装置の実施形態の一例について説明する。本発明の果菜自動選別装置は、等階級別に選別された果菜Aをプールするプールコンベア20を備えた装置であって、プールコンベア20として本発明のプールコンベア20を備えたものである。
【0033】
果菜自動選別装置は、果菜Aを等階級別に選別して等階級別にプールできるものであれば特に限定はされないが、ここでは、本件出願人が開発した果菜自動選別装置を一例とする。
【0034】
図5~
図7に示すように、この実施形態の果菜自動選別装置は、果菜Aを搬送する果菜搬送体1と、果菜搬送体1で搬送中の果菜Aの等階級を判別する計測判別手段2と、果菜搬送体1で搬送された果菜Aを取り出す果菜取出し手段3と、果菜取出し手段3で取り出された果菜Aを引き継いでプールするプールコンベア20を備えている。
【0035】
この実施形態の果菜搬送体1は、間隔をあけて対向配置された二本の無端搬送体(ドライブチェーン)5と、それらドライブチェーン5の間に架設された細長の支持バー6と、支持バー6に横スライド可能に取り付けられた果菜受体7と、果菜受体7をガイドするガイドレール8を備えている。
【0036】
前記二本のドライブチェーン5は駆動回転体(たとえば、駆動スプロケットギア)9(
図6参照)及び従動回転体(たとえば、従動スプロケット)10の外周に巻回して無端状にしてある。
図6に示すように、両ドライブチェーン5は、駆動回転体9の回転により駆動回転体9の外周を下から上に縦回転し、従動回転体10の外周を上から下に縦回転して周回するようにしてある。
【0037】
この実施形態の果菜搬送体1は、上段搬送部1aと、上段搬送部1aの先方に設けられた下り傾斜部1bと、下り傾斜部1bの先方であって上段搬送部1aよりも低い位置に設けられた下段搬送部1cを備えている。
【0038】
前記上段搬送部1aは、果菜載せ領域と、計測領域と、振分け領域を備えている。果菜載せ領域は作業者が手作業で果菜受体7に果菜Aを載せる領域、計測領域は搬送中の果菜Aの形状や大きさ等を計測してその計測データに基づいて果菜Aの等階級を判別する領域、振り分け領域は計測判別手段2から送信される制御信号に基づいて、搬送される果菜受体7上の果菜Aを等階級別に振り分ける領域である。
【0039】
前記果菜載せ領域の側方には等階級判別前の果菜Aを載せておく果菜載せ台11が、前記計測領域には、搬送中の果菜Aの形状や大きさ等を計測し、その計測データに基づいて果菜Aの等階級を判別する計測判別手段2が、前記振り分け領域には、果菜受体7上の果菜Aを各等階級に振り分ける分岐レール82(後述する)が配設されている。
【0040】
前記ドライブチェーン5の間に架設された支持バー6はパイプ状又は棒状の細長材である。
図5に示すように、支持バー6はドライブチェーン5の走行方向に間隔をあけて複数本設けられている。各支持バー6の長手方向両端部は、ドライブチェーン5のコマ同士を連結する連結ピンと同軸でドライブチェーン5に取り付けられている(
図11)。支持バー6はドライブチェーン5の走行に伴ってドライブチェーン5と同方向に移動するようにしてある。
【0041】
図示は省略しているが、支持バー6の近傍(たとえば、支持バー6の下方)には、支持バー6の撓みを防止するための支持具が設けられている。両ドライブチェーン5の間隔が広い場合、支持バー6が長くなって撓みが生じ易くなるが、支持具を設けることで支持バー6の撓みを防止することができる。この結果、果菜受体7の支持バー6の軸方向へのスライドがスムーズになる。支持具は必要に応じて設ければよく、不要な場合は省略することができる。
【0042】
前記果菜受体7は果菜Aを載せて搬送する部材である。この実施形態の果菜受体7は樹脂製である。一例として
図8(a)(b)に示す果菜受体7は、支持バー6に取り付けられる取付け部71と、果菜Aを載置するための果菜載置部72と、後述する姿勢保持ガイド12(
図11)に当接するガイド当接部73を備えている。
図8(a)(b)に示す例では、取付け部71の上側に果菜載置部72が、取付け部71の下側にガイド当接部73が設けられている。
【0043】
前記取付け部71には、支持バー6が挿通する二本の貫通孔74(以下、果菜受体7の搬送方向先方側の貫通孔を「前貫通孔74a」と、後方側の貫通孔を「後貫通孔74b」という)が形成されている。二本の貫通孔74a、74bは、取付け部71の長手方向に沿って形成されている。二本の貫通孔74a、74bは果菜受体7の搬送方向に間隔をあけて平行に設けられている。
【0044】
前貫通孔74aは断面視縦長の長孔であり、後貫通孔74bは断面視真円状の丸孔である。両貫通孔74a、74bとも、果菜受体7が支持バー6に沿って横スライドできるように一定のクリアランスを確保してある。取付け部71の底面にはガイドピン75が下方に向けて突設されている。
【0045】
前記果菜載置部72の上面には、長物果菜Aを載置する長物果菜用凹部76と、丸物果菜Aを載置する丸物果菜用凹部77が設けられている。この実施形態の長物果菜用凹部76は細長楕円形状であり、丸物果菜用凹部77は真円状である。
【0046】
長物果菜用凹部76は果菜載置部72の長手方向の略全長に亘って設けられ、丸物果菜用凹部77は果菜載置部72の中央に設けられている。長物果菜用凹部76と丸物果菜用凹部77は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することもできる。
【0047】
果菜載置部72の上面には、果菜受体7が果菜取出し手段3の下側を通過する際に、取出しコンベア31(
図12)が収まるコンベア通路78が設けられている。この実施形態では、八本のコンベア通路78a~78hが設けられている。コンベア通路78は八本より多くても少なくてもよい。
【0048】
各コンベア通路78は果菜受体7の搬送方向先方側の開口を広くして、コンベア通路78を構成する各立設壁が、取出しコンベア31に衝突しないようにしてある。この実施形態では、果菜受体7を平面側から見たときに各立設壁78xの取出しコンベア31側の端部78yが先鋭の山形となる(テーパー状となる)ようにすることで、果菜受体7の搬送方向先方側の開口を広くしてある。
【0049】
前記取付け部71の底面には二つのガイド当接部73が設けられている。二つのガイド当接部73は、取付け部71の長手方向に間隔をあけて設けられている。この実施形態のガイド当接部73は側面視略台形状のブロックであり、底面側には姿勢保持ガイド12に当接する当接傾斜面79が設けられている。
【0050】
ガイド当接部73は搬送方向先方側の面が、搬送方向後方側の面の高さよりも高くなるようにしてある。換言すれば、当接傾斜面79が、搬送方向後方側から先方側に向けて低くなるような形状にしてある。
【0051】
前記ガイド当接部73の構成は一例であり、これ以外の構成とすることもできる。たとえば、角棒状あるいは丸棒状のガイド当接部73を、取付け部71や果菜載置部72に外向きに突設させ、そのガイド当接部73が姿勢保持ガイド12に当接することによって、果菜受体7の姿勢が水平又は略水平に維持されるようにすることもできる。
【0052】
前記ガイドレール8は、果菜受体7を案内するためのレールである。
図9及び
図10に示すように、この実施形態のガイドレール8は、主レール81と、主レール81から分岐する複数本の分岐レール82を備えている。各分岐レール82の先方には果菜取出し手段3が設けられ、各果菜取出し手段3の先方にはプールコンベア20が設けられている。
【0053】
この実施形態の主レール81は、上段搬送部1a、下り傾斜部1b及び下段搬送部1cに亘って設けられている。主レール81は上方が開口した樋状の部材である。主レール81は、上段搬送部1aに位置する部分は水平又は略水平であり、下り傾斜部1bに位置する部分は下り傾斜であり、下段搬送部1cに位置する部分は水平又は略水平である。
【0054】
この実施形態の各分岐レール82は、上段搬送部1aと下段搬送部1cの夫々に設けられている。各分岐レール82は、上段搬送部1aと下段搬送部1cの振り分け領域に設けられている。
図9及び
図10に示すように、この実施形態では、一つのプールコンベア20につき三本ずつ分岐レール82が設けられている。
【0055】
各分岐レール82は終端側が各果菜取出し手段3に重なる位置までの長さとしてある。主レール81と同様、この実施形態の各分岐レール82も上方開口の樋状部材である。各分岐レール82は分岐開始位置から終端までが水平又は略水平になるように設置されている。
【0056】
図9及び
図10に示すように、主レール81と各分岐レール82の分岐部には切り替え片83が配置されている。切り替え片83は、計測判別手段2の判別データに基づいて首振りして、主レール81と分岐レール82を切り替えるものである。
【0057】
図10に示すように、各切り替え片83はピン84により首振り自在に設けられている。切り替え片83は電磁石(図示しない)によって横方向に首振りさせて、主レール81と分岐レール82とに切り替えられるようにしてある。電磁石は果菜搬送体1の下方に設置されている。電磁石への電流供給は、計測判別手段2から出力される制御信号により行われるようにしてある。
【0058】
この実施形態では、切り替え片83は通常は
図10のA部の二点鎖線で示す方向に待機していて分岐レール82の入口を閉じ、主レール81の入口を開いている。この状態では、搬送される果菜受体7のガイドピン75が主レール81に案内されて果菜受体7が直進する。一方、振り分ける果菜受体7が到来したときは、切り替え片83が
図10のA部の実線で示す方向に回転して、ガイドピン75が分岐レール82に案内されるようにしてある。
【0059】
前記計測判別手段2は、果菜受体7で搬送中の果菜Aの等階級を判別するものである。この実施形態では、計測判別手段2として、光源と電子カメラ(CCDカメラ)と処理回路がケース内に収容されたものを用いている。
【0060】
光源は果菜受体7に載せた果菜Aに計測光を投射する手段、電子カメラは果菜Aを撮影する手段、処理回路は電子カメラの画像データを電算処理して果菜Aの形状や長さ、太さ等から果菜AをAM、AL、2S、B、C、・・・等のいくつかの等階級に判別して得られた等階級データ(制御信号)を出力する手段である。計測判別手段2には必要に応じて、果菜Aの重量を計測する重量計、糖度を計測する糖度計等を付加することができる。
【0061】
計測判別手段2は、果菜受体7上の果菜Aを、真上から撮影できるように設置することも、真下から撮影できるように設置することもできる。計測精度を高めるためには果菜Aの真上から撮影できるように設置するのが好ましい。
【0062】
この実施形態の計測判別手段2は、果菜受体7に果菜Aが載っていない場合には、載っていないことを検出できるようにしてある。電子カメラは二台以上設けて二以上の角度から撮影して、精度の高い等級判別ができるようにすることもできる。
【0063】
前記下り傾斜部1bは、上段搬送部1aで割り振られなかった果菜受体7を、果菜Aを載せたまま斜め下方に搬送する部分である。下り傾斜部1bは、ドライブチェーン5を下り傾斜させることにより下り傾斜にしてある。
【0064】
具体的には、
図5及び
図6に示すように、ドライブチェーン5の内側に支持ギヤ13を配置してドライブチェーン5を下から支持するとともに、ドライブチェーン5の上に配置した押しギヤ14でドライブチェーン5を押し下げて下り傾斜部1bとしてある。
【0065】
下り傾斜部1bの段数は所望数とすることができる。下り傾斜部1bの段数を多くすれば振り分け数を多くすることができるので、細かな等階級を振り分けることができる。しかも、段数が下方に増加するため、果菜搬送体1の奥行幅が格別広くなることもない。必要であれば、いずれの下段搬送部1cにも、計測判別手段2を設けて、それら計測判別手段2からの判別データに基づいて、果菜受体7を振り分けることもできる。
【0066】
前記下り傾斜部1bの主レール81の幅方向両外側には、下り傾斜部1bを移動する果菜受体7の姿勢を水平又は略水平に保持する姿勢保持ガイド12が設けられている。この実施形態の姿勢保持ガイド12は、間隔をあけて平行に配置された二本の棒状部材である。姿勢保持ガイド12は、ドライブチェーン5よりも低い位置に設けてある。
【0067】
図11に示すように、姿勢保持ガイド12は、姿勢保持ガイド12に果菜受体7のガイド当接部73が当接したときに、当該果菜受体7の姿勢が水平又は略水平に維持される角度で設けられている。二本の姿勢保持ガイド12の間隔は、果菜受体7のガイド当接部73の間隔に合わせて適宜設計することができる。前記姿勢保持ガイド12は一例であり、これ以外の構造とすることもできる。
【0068】
前記下段搬送部1cは、下り傾斜部1bによって搬送された果菜受体7を先方に搬送し、その搬送中の果菜受体7を前記計測判別手段2の判別データに基づいて、等階級別に振り分ける部分である。
【0069】
下段搬送部1cには、主レール81から分岐する複数の分岐レール82が設けられている。分岐レール82は等階級の数に応じて適宜の本数設置することができる。上段搬送部1aに設けられた主レール81及び分岐レール82と同様、下段搬送部1cに設けられた主レール81及び分岐レール82も切り替え片83によって切り替えられるようにしてある。
【0070】
前記上段搬送部1aの分岐レール82と同様、下段搬送部1cの各分岐レール82の先方にも果菜取出し手段3が設けられ、各果菜取出し手段3の先方にはプールコンベア20が設けられている。下段搬送部1cの果菜取出し手段3及びプールコンベア20の構成は、上段搬送部1aの果菜取出し手段3及びプールコンベア20の構成と同様とすることができる。
【0071】
前記上段搬送部1a及び下段搬送部1cに設けられた果菜取出し手段3は、各分岐レール82に沿って移動する果菜受体7上の果菜Aを一本ずつ取り出すものである。上段搬送部1aに設けられた果菜取出し手段3は上段搬送部1aと同じ高さで水平又は略水平に設けられている。同様に、下段搬送部1cに設けられた果菜取出し手段3は下段搬送部1bと同じ高さで水平又は略水平に設けられている。
【0072】
一例として
図12に示す果菜取出し手段3は、果菜受体7のコンベア通路78に収まる幅の取出しコンベア31を備えている。この実施形態では、八本の取出しコンベア31a~31hが設けられている。取出しコンベア31は八本より多くすることも少なくすることもできる。果菜取出し手段3には、いわゆるフリーフローの搬送機構を用いることもできる。
【0073】
この実施形態では、四本の取出しコンベア31a~31dが後述する第二搬送体20bの手前に設けられ、他の四本の取出しコンベア31e~31hが後述する第一搬送体20aの手前に設けられている。各取出しコンベア31a~31hは、すべて或いは一部が同期して回転するように設定することも、それぞれが個別に回転するように設定することもできる。
【0074】
この実施形態では、八本の取出しコンベア31a~31hの全てが同期回転するようにしてある。この場合、果菜受体7上の長物果菜Aは、八本の取出しコンベア31a~31hに跨るようにして取り出される。
【0075】
前記上段搬送部1aの果菜取出し手段3の先方及び下段搬送部1cの果菜取出し手段3の先方に設けられたプールコンベア20は、果菜取出し手段3から果菜Aを引き継いでプールするものである。プールコンベア20の構成については、前記プールコンベアの実施形態で説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0076】
各プールコンベア20は、それぞれの手前側に位置する果菜取出し手段3と同じ高さで水平又は略水平に設けられている。プールコンベア20は果菜取出し手段3よりも低い位置に設けることもできる。また、プールコンベア20は果菜取出し手段3と一部が重なるように設けることもできる。
【0077】
プールコンベア20は、その回転速度を果菜取出し手段3の回転速度よりも遅くして、果菜取出し手段3で間隔をあけて取り出された果菜Aがプールコンベア20の上に間隔を詰めて送り込まれるようにすることもできる。これにより、プールコンベア20に無駄な間隔が発生しにくくなり、プールコンベア20を効率よく使用することができる。プールコンベア20の回転速度は、果菜取出し手段3の回転速度と同じ或いはそれよりも早くすることもできる。
【0078】
プールコンベア20は常時回転するようにすることも、果菜Aが果菜取出し手段3から送り出されるたびに間欠回転するようにすることもできる。プールコンベア20を間欠回転させる場合、果菜取出し手段3から送り出される果菜Aを引き込めるように、果菜Aが果菜取出し手段3から送り出される少し前から間欠回転を始めるようにすることができる。果菜取出し手段3での送り出しとプールコンベア20での引き込みによって、果菜Aをプールコンベア20の上に確実に引き継ぐことができる。
【0079】
プールコンベア20で搬送される果菜Aは、作業者が取り出して作業台15の上の包装箱に箱詰めしたり、図示しない包装袋に袋詰めしたりすることができる。プールコンベア20で搬送される果菜Aは、図示しない自動包装機により自動包装させるようにしてもよい。
【0080】
なお、図示は省略しているが、下段搬送部1cの先方には、下段搬送部1cを通過した果菜受体7を主レール81に復帰させる復帰用レールが配設されている。下段搬送部1cを通過した果菜受体7は復帰用レールに案内され、再び上段搬送部1aに戻るまでの間に主レール81に復帰するようにしてある。
【0081】
(果菜自動選別装置のその他の実施形態)
前記実施形態では、上段搬送部1aと下り傾斜部1bと下段搬送部1cを備えた果菜搬送体1を一例としているが、果菜搬送体1は、下り傾斜部1bや下段搬送部1cのないものであってもよい。この場合、下側に回り込む果菜受体7から果菜Aを取り出せる位置に果菜取出し手段3を設置し、その先方にプールコンベア20を設置すればよい。
【0082】
前記実施形態では、下り傾斜部1bを移動する果菜受体7が水平又は略水平な状態を維持できるように、下り傾斜部1bの主レール81の幅方向両外側に姿勢保持ガイド12が設けられ、果菜受体7にガイド当接部73が設けられた場合を一例としているが、これらは省略することもできる。この場合、果菜載置部72上の果菜Aが転がりを防止する転がり防止突起(図示しない)を、果菜載置部72の上方に突設することができる。
【0083】
姿勢保持ガイド12やガイド当接部73を省略する場合、下り傾斜部1bの上方には、図示しない脱落防止具(押さえ具)を配置することもできる。押さえ具には布を用いることができる。
【0084】
押さえ具として布を用いる場合、中央部が垂れ下がるような状態で両端を固定し、当該垂れ下がった部分を果菜Aに接触させて果菜Aが落下しないようにすることができる。押さえ具は果菜Aの転がりを防止できるものであれば布以外の材質であってもよく、薄板やベルトコンベア等で押し当ててもよい。
【0085】
前記実施形態では、上段搬送部1aに設けられた果菜取出し手段3が上段搬送部1aと同じ高さで水平又は略水平に設けられ、下段搬送部1cに設けられた果菜取出し手段3が下段搬送部1cと同じ高さで水平又は略水平に設けられた場合を一例としているが、果菜取出し手段3は、果菜Aの移動方向先方側が高くなるように上り傾斜とすることもできる。
【0086】
前記実施形態では、ドライブチェーン5の内側に支持ギヤ13を配置するとともに、ドライブチェーン5の上に押しギヤ14を配置して下り傾斜部1bとしているが、支持ギヤ13や押しギヤ14に代えて、
図13(a)~(c)に示すような支持ガイド16や押しガイド17を用いることもできる。
【0087】
図13(a)(c)に示す支持ガイド16は、ドライブチェーン5を下から支持する平板状の部材である。この支持ガイド16は、ドライブチェーン5が接触する上面側に水平支持部16aと下り支持部16bを備えている。水平支持部16aと下り支持部16bは連続した平滑面である。
【0088】
ドライブチェーン5が接触する上面側を平滑面とすることで、凹凸のある支持ギヤ13を用いる場合に比べて振動が小さくなり、振動による果菜Aの落下リスクを低減することができる。また、上面側を平滑面とすることで、支持ギヤ13を用いる場合に比べて、機械の衝突音も低減することができる。
【0089】
図13(b)(c)に示す押しガイド17は、ドライブチェーン5を上から押し下げる平板状の部材である。この押しガイド17は、ドライブチェーン5が接触する下面側に下り押し部17aと水平押し部17bを備えている。下り押し部17aと水平押し部17bは連続した平滑面である。
【0090】
ドライブチェーン5が接触する下面側を平滑面とすることで、凹凸のある押しギヤ14を用いる場合に比べて振動が小さくなり、振動による果菜Aの落下リスクを低減することができる。また、下面側を平滑面とすることで、押しギヤ14を用いる場合に比べて、機械の衝突音も低減することができる。
【0091】
図13(a)~(c)に示す例では、支持ガイド16と押しガイド17の双方を用いる場合を一例としているが、支持ガイド16と押しガイド17はいずれか一方のみを用いることもできる。この場合、支持ガイド16と押しガイド17を用いない方には、支持ギヤ13や押しギヤ14を用いることができる。
【0092】
前記実施形態では、主レール81から分岐した三本の分岐レール82が一つのプールコンベア20に向けて設けられているが、主レール81から分岐する分岐レール82を一本とし、プールコンベア20の直前で三分岐するようにしてもよい。これにより、分岐レール82や切り替え片83などの数量を抑えて製造コストを削減することができる。
【0093】
前記実施形態の果菜受体7の形状は一例であり、果菜受体7の形状はこれ以外であってもよい。他例として
図14(a)(b)に示すものは、十本の立設壁78xと九本のコンベア通路78a~78iを備えたものである。両外側の立設壁78xの外側には、突出し部78jが設けられている。
【0094】
前記実施形態の構成は一例であり、本発明の果菜自動選別装置の構成は、果菜をプールするためのコンベアを備えたものであれば、これ以外であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明のプールコンベア及び果菜自動選別装置は、各種果菜のプール及び自動選別に用いることができ、特に、キュウリや茄子、ゴーヤ、人参、ズッキーニのような長物果菜のプール及び自動選別に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 果菜搬送体
1a 上段搬送部
1b 下り傾斜部
1c 下段搬送部
2 計測判別手段
3 果菜取出し手段
5 無端搬送体(ドライブチェーン)
6 支持バー
7 果菜受体
8 ガイドレール
9 駆動回転体
10 従動回転体
11 果菜載せ台
12 姿勢保持ガイド
13 支持ギヤ
14 押しギヤ
15 作業台
16 支持ガイド
16a 水平支持部
16b 下り支持部
17 押しガイド
17a 下り押し部
17b 水平押し部
20 プールコンベア
20a 第一搬送体
20b 第二搬送体
21a (第一搬送体の)平ベルト
21b (第二搬送体の)平ベルト
22 駆動軸
23 差入れ部
24 落下防止具
31、31a~31h 取出しコンベア
71 取付け部
72 果菜載置部
73 ガイド当接部
74 貫通孔
74a 貫通孔(前貫通孔)
74b 貫通孔(後貫通孔)
75 ガイドピン
76 長物果菜用凹部
77 丸物果菜用凹部
78、78a~78i コンベア通路
78j 突出し部
78x 立設壁
78y (立設壁の取出しコンベア側の)端部
79 当接傾斜面
81 主レール
82、82a~82c 分岐レール
83 切り替え片
84 ピン
A 果菜(丸物果菜、長物果菜)
M モータ
W バケット
X 計測装置
Y 果菜取出しコンベア
Z 引継ぎ搬送体