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  • 特開-プロテクタ、及び、回路体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098823
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】プロテクタ、及び、回路体
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
H02G3/04 062
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002561
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】大塚 祐一郎
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357DA06
5G357DD02
5G357DD06
5G357DD11
5G357DG05
(57)【要約】
【課題】複数の要求仕様に対応しながら汎用化・共通化を図ることが可能なプロテクタを提供すること。
【解決手段】通電部品3を内部に挿通可能な筒状のプロテクタ2は、通電部品3の一部3cを内部の第1挿通路11に挿通可能な第1筒状部10と、通電部品3の他の一部3dを内部の第2挿通路21に挿通可能な第2筒状部20と、を備える。第2筒状部20は、第1筒状部10の筒端部10aを第2挿通路21に収容して第1挿通路11と第2挿通路21とが連通した状態にて、通電部品3が延びる方向に移動可能に構成される。第1筒状部10は、通電部品3が延びる方向に交差する向きに凸となるように屈曲した屈曲路11aを、第1挿通路11の一部として有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電部品を内部に挿通可能な筒状のプロテクタであって、
前記通電部品の一部を内部の第1挿通路に挿通可能な第1筒状部と、
前記通電部品の他の一部を内部の第2挿通路に挿通可能な第2筒状部と、を備え、
前記第2筒状部は、
前記第1筒状部の筒端部を前記第2挿通路に収容して前記第1挿通路と前記第2挿通路とが連通した状態にて、前記通電部品が延びる方向に移動可能に構成される、
プロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロテクタにおいて、
前記第1筒状部は、
前記通電部品が延びる方向に交差する向きに凸となるように屈曲した屈曲路を、前記第1挿通路の一部として有する、
プロテクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプロテクタであって、
前記通電部品の更に他の一部を内部に挿通可能であり、前記第1筒状部との間に前記第2筒状部を挟むように配置されて、前記通電部品が延びる方向における前記第2筒状部の移動を規制するように構成される第3筒状部を、更に備える、
プロテクタ。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載のプロテクタと、
前記プロテクタの内部に挿通される前記通電部品と、を備える、
回路体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通電部品を内部に挿通可能な筒状のプロテクタ、及び、プロテクタと通電部品とを備える回路体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バスバや電線等の通電部品を案内する経路(即ち、空洞及び空間等)を内部に有するプロテクタが提案されている。この種のプロテクタにバスバ等が収容された回路体は、一般に、回路体の用途に応じた各種の機器等に組み付けられる。例えば、従来のプロテクタの一つは、断面U字状の溝(みぞ)構造を有し、電線をこの溝の中に収容して保持するようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3625056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回路体の仕様等に応じて、バスバ等の通電部品の形状(例えば、長さ)が異なる場合がある。プロテクタは一般に硬質の樹脂から構成されており、バスバ等の長さに応じてプロテクタの形状を変形することやプロテクタの一部を伸縮させることは困難である。そこで、複数の要求仕様に対応するために、回路体の仕様等に基づいて形状や構造などが異なる複数の種類(品番)のプロテクタを、あらかじめ準備することが考えられる。しかし、プロテクタの製造管理の複雑さ等の観点からは、プロテクタの汎用化・共通化を出来る限り図ることが望ましい。
【0005】
本発明の目的の一つは、複数の要求仕様に対応しながら汎用化・共通化を図ることが可能なプロテクタ、及び、そのプロテクタを用いた回路体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るプロテクタ及び回路体は、以下を特徴としている。
【0007】
通電部品を内部に挿通可能な筒状のプロテクタであって、
前記通電部品の一部を内部の第1挿通路に挿通可能な第1筒状部と、
前記通電部品の他の一部を内部の第2挿通路に挿通可能な第2筒状部と、を備え、
前記第2筒状部は、
前記第1筒状部の筒端部を前記第2挿通路に収容して前記第1挿通路と前記第2挿通路とが連通した状態にて、前記通電部品が延びる方向に移動可能に構成される、
プロテクタであること。
【0008】
上述したプロテクタと、
前記プロテクタの内部に挿通される通電部品と、を備える、
回路体であること。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプロテクタ及び回路体によれば、プロテクタが、通電部品(例えば、バスバ)の一部を内部の第1挿通路に挿通可能な第1筒状部と、通電部品の他の一部を内部の第2挿通路に挿通可能な第2筒状部と、を備える。更に、第2筒状部は、第1筒状部の筒端部を第2挿通路に収容して、第1挿通路と第2挿通路とが連通した状態にて、通電部品が延びる方向に移動可能に構成される。換言すると、第1筒状部と第2筒状部とが一部重複した状態を維持しながら、第1筒状部と第2筒状部とが相対的にスライドしながら移動可能になっている。これにより、例えば、通電部品の長さに応じて第1筒状部と第2筒状部との重複幅を調整すれば、通電部品の長短によらず、プロテクタの内部に通電部品を適正に収容することができる。したがって、本発明のプロテクタは、複数の要求仕様に対応しながら汎用化・共通化を図ることができる。更に、本発明の回路体は、回路体への複数の要求仕様に対応しながら、プロテクタの汎用化・共通化を図ることができる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る回路体を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す回路体の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す回路体の上面図である。
図4図4は、第1筒状部と第2筒状部との重複部分を示す図3のA-A断面図である。
図5図5は、変形例に係る回路体の上面図である。
図6図6は、第1筒状部と第2筒状部との重複部分を示す図5のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る回路体1について説明する。回路体1は、図1等に示すように、プロテクタ2と、プロテクタ2の内部に挿通されるバスバ3と、を有する。図2に示すように、バスバ3の外周を覆うようにバスバ3にプロテクタ2を組み付けることで、回路体1が得られる。回路体1は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両の駆動用電池パック内において、導電回路の一部として用いられ得る。
【0013】
以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、プロテクタ2及びバスバ3の延在方向と一致している。なお、これらの方向は、あくまで説明の便宜のために定めているに過ぎず、例えば、回路体1が用いられた駆動用電池パックが車両に搭載されるときの車両の前後方向、左右方向及び上下方向に必ずしも対応する必要はない。以下、回路体1を構成する各部品について順に説明する。
【0014】
まず、バスバ3について説明する。バスバ3は、本例では、図2に示すように、前後方向に長尺状に延びる矩形平板状の金属板である。バスバ3の前後方向中央より前寄りの箇所には、下向きに凸となるように屈曲した(突出した)屈曲部4が形成されている。
【0015】
次いで、プロテクタ2について説明する。プロテクタ2は、図2に示すように、第1筒状部10と、第2筒状部20とを備える。第1筒状部10は、バスバ3の前方領域3c(図2参照)の外周を覆うようにバスバ3に組み付けられる部材であり、第2筒状部20は、バスバ3の前方領域3cより後側の後方領域3d(図2参照)の外周を覆うようにバスバ3に組み付けられる部材である。
【0016】
第1筒状部10は、図2に示すように、前後方向に延びる上板部10Aと、前後方向に延びる下板部10Bとで構成される。上板部10A及び下板部10Bの各々は、樹脂成形品である。上板部10A及び下板部10Bが上下方向に互いに組み付けられることで、バスバ3の前方領域3cが挿通される第1挿通路11(図4等参照)が画成される。
【0017】
上板部10Aは、前後方向に延びる平板状の天板部と、天板部の左右方向両側縁から下方に向けて突出し且つ前後方向に延びる左右一対の側板部と、で構成される。上板部10Aの一対の側板部の前後方向の複数個所(本例では、2箇所)には、被係合部12(本例では、係止孔)がそれぞれ設けられている。被係合部12は、下板部10Bの後述する係合部14と係合する。上板部10Aの前後方向の一か所には、バスバ3の屈曲部4に対応して、下向きに凸となるように屈曲した(突出した)屈曲部13が形成されている。屈曲部13の天板部及び一対の側板部はそれぞれ、上板部10Aの屈曲部13以外の箇所の天板部及び一対の側板部に対して下向きに凸となるように屈曲している。
【0018】
下板部10Bは、前後方向に延びる平板状の底板部と、底板部の左右方向両側縁から上方に向けて突出し且つ前後方向に延びる左右一対の側板部と、で構成される。下板部10Bの一対の側板部の前後方向の複数個所(本例では、2箇所)には、上板部10Aの複数の被係合部12に対応して、係合部14(本例では、係止突起)がそれぞれ設けられている。下板部10Bの前後方向の一か所には、バスバ3の屈曲部4及び上板部10Aの屈曲部13に対応して、下向きに凸となるように屈曲した(突出した)屈曲部15が形成されている。屈曲部15の天板部及び一対の側板部はそれぞれ、下板部10Bの屈曲部15以外の箇所の天板部及び一対の側板部に対して下向きに凸となるように屈曲している。
【0019】
第1筒状部10は、以下のようにバスバ3に組み付けられる。即ち、図2に示すように、バスバ3の前方領域3cが上板部10A及び下板部10Bで上下方向に挟まれるように、バスバ3の屈曲部4が上板部10Aの屈曲部13及び下板部10Bの屈曲部15で上下方向に挟まれるように、且つ、上板部10Aの一対の側板部が下板部10Bの一対の側板部の左右方向外側に位置して上板部10Aの複数の被係合部12と下板部10Bの複数の係合部14とが係合するように、上板部10A及び下板部10Bが上下方向に互いに組み付けられる。これにより、第1筒状部10のバスバ3への組み付けが完了する(図1及び図3参照)。
【0020】
第1筒状部10のバスバ3への組付完了状態では、第1筒状部10の内部にて、前後方向に貫通する第1挿通路11が画成されて(図4等参照)、バスバ3の前方領域3cが第1挿通路11に挿通されている。バスバ3の前端部3aは、第1筒状部10の前端開口から前方に突出し且つ外部に露出している(図1及び図3参照)。第1挿通路11の前後方向の一か所には、屈曲部13及び屈曲部15で画成された屈曲路11a(図1及び図3参照)が形成されている。バスバ3の屈曲部4が屈曲部13及び屈曲部15で挟まれるように屈曲路11aに収容されている。この結果、屈曲路11aの内壁面とバスバ3の屈曲部4との係合により、バスバ3に対して第1筒状部10が前後方向に相対移動することが規制される。即ち、第1筒状部10が、バスバ3の前方領域3cに、前後方向に位置ズレしないように取り付けられている。
【0021】
第2筒状部20は、図2に示すように、前後方向に延びる上板部20Aと、前後方向に延びる下板部20Bとで構成される。上板部20A及び下板部20Bの各々は、樹脂成形品である。上板部20A及び下板部20Bが上下方向に互いに組み付けられることで、バスバ3の後方領域3dが挿通される第2挿通路21(図4等参照)が画成される。
【0022】
上板部20Aは、前後方向に延びる平板状の天板部と、天板部の左右方向両側縁から下方に向けて突出し且つ前後方向に延びる左右一対の側板部と、で構成される。上板部20Aの一対の側板部の前後方向の複数個所(本例では、2箇所)には、被係合部22(本例では、係止孔)がそれぞれ設けられている。被係合部22は、下板部20Bの後述する係合部24と係合する。上板部20Aの前端部には、上方向且つ左右方向に広がる拡大部23が形成されている。拡大部23の天板部は、上板部20Aの拡大部23以外の箇所の天板部より上側に位置し、拡大部23の一対の側板部は、上板部20Aの拡大部23以外の箇所の一対の側板部より左右方向外側に位置している。
【0023】
下板部20Bは、前後方向に延びる平板状の底板部と、底板部の左右方向両側縁から上方に向けて突出し且つ前後方向に延びる左右一対の側板部と、で構成される。下板部20Bの一対の側板部の前後方向の複数個所(本例では、2箇所)には、上板部20Aの複数の被係合部22に対応して、係合部24(本例では、係止突起)がそれぞれ設けられている。下板部20Bの前端部には、上板部20Aの拡大部23に対応して、下方向且つ左右方向に広がる拡大部25が形成されている。拡大部25の底板部は、下板部20Bの拡大部25以外の箇所の底板部より下側に位置し、拡大部25の一対の側板部は、下板部20Bの拡大部25以外の箇所の一対の側板部より左右方向外側に位置している。
【0024】
第2筒状部20は、第1筒状部10がバスバ3に組み付けられた状態にて、以下のようにバスバ3に組み付けられる。即ち、図2に示すように、バスバ3の後方領域3dが上板部20A及び下板部20Bで上下方向に挟まれるように、バスバ3に組み付けられた第1筒状部10の後端部10a(図4参照)が上板部20Aの拡大部23及び下板部20Bの拡大部25で上下方向に挟まれるように、且つ、上板部20Aの一対の側板部が下板部20Bの一対の側板部の左右方向外側に位置して上板部20Aの複数の被係合部22と下板部20Bの複数の係合部24とが係合するように、上板部20A及び下板部20Bが上下方向に互いに組み付けられる。これにより、第2筒状部20のバスバ3への組み付けが完了する(図1及び図3参照)。
【0025】
第2筒状部20のバスバ3への組付完了状態では、第2筒状部20の内部にて、前後方向に貫通する第2挿通路21が画成されて(図4等参照)、バスバ3の後方領域3dが第2挿通路21に挿通されている。バスバ3の後端部3bは、第2筒状部20の後端開口から後方に突出し且つ外部に露出している(図1及び図3参照)。第2挿通路21の前端部には、拡大部23及び拡大部25で画成された拡大路21a(図1図3及び図4参照)が形成されている。バスバ3に組み付けられた第1筒状部10の後端部10aが拡大部23及び拡大部25で挟まれるように拡大路21aに収容されている(図4参照)。この結果、第2筒状部20は、第1挿通路11と第2挿通路21とが連通した状態にて、バスバ3(及び、バスバ3に対する前後方向への相対移動が規制されている第1筒状部10)に対して、前後方向に相対移動可能となっている。換言すると、第1筒状部10と第2筒状部20とが前後方向に一部重複した状態を維持しながら、第1筒状部10と第2筒状部20とが相対的にスライドしながら移動可能になっている。これにより、例えば、バスバ3の前後方向の長さに応じて第1筒状部10と第2筒状部20との重複幅を調整すれば、バスバ3の長短によらず、プロテクタ2の内部にバスバ3を適正に収容することができる。
【0026】
具体的には、本実施形態(図1図4参照)では、バスバ3の長さに対応して、第1筒状部10と第2筒状部20との重複幅がL1となっている(図4参照)。これに対し、変形例(図5及び図6参照)では、本実施形態のバスバ3より短いバスバ3Aが使用される。このため、変形例では、本実施形態と比べて、バスバ3Aがバスバ3より短い分だけ第1筒状部10に対して第2筒状部20を前方へ相対移動させて(図5の白矢印を参照)、重複幅がL1より大きいL2に調整される(図6参照)。これにより、バスバ3より短いバスバ3Aが使用される変形例においても、バスバ3の後端部3bが第2筒状部20の後端開口から後方に突出し且つ外部に露出した状態を確保しながら、プロテクタ2の内部にバスバ3Aを適正に収容することができる。
【0027】
本実施形態(図1及び図3参照)、及び、変形例(図5参照)の何れにおいても、第2筒状部20の後端開口から後方に突出するバスバ3(変形例では、バスバ3A)の後端部3bに、第3筒状部30が組み付けられてもよい。樹脂成形品である第3筒状部30は、バスバ3(3A)の後端部3bを内部に挿通するように(後端部3bの外周を覆うように)、且つ、後端部3bに対して前後方向に位置ズレしないように、後端部3bに組み付けられる。これにより、第3筒状部30は、第1筒状部10との間に第2筒状部20を前後方向に挟むように配置されて、前後方向における第2筒状部20の移動を規制するようになっている。これにより、バスバ3(3A)に対して前後方向に位置ズレしないようにバスバ3(3A)に取り付けられた第1筒状部10と第3筒状部30との間に、第2筒状部20を保持して、第2筒状部20の前後方向の位置ズレを抑制することができる。
【0028】
<作用・効果>
本実施形態に係る回路体1及びプロテクタ2によれば、プロテクタ2が、バスバ3の前方領域3cを内部の第1挿通路11に挿通可能な第1筒状部10と、バスバ3の後方領域3dを内部の第2挿通路21に挿通可能な第2筒状部20と、を備える。更に、第2筒状部20は、第1筒状部10の後端部10aを第2挿通路21(の拡大路21a)に収容して、第1挿通路11と第2挿通路21とが連通した状態にて、前後方向に移動可能に構成される。換言すると、第1筒状部10と第2筒状部20とが一部重複した状態を維持しながら、第1筒状部10と第2筒状部20とが相対移動可能になっている。これにより、例えば、バスバの前後方向の長さに応じて第1筒状部10と第2筒状部20との重複幅を調整すれば、バスバ3の長短によらず、プロテクタ2の内部にバスバ3を適正に収容することができる。したがって、本実施形態に係るプロテクタ2は、複数の要求仕様に対応しながら汎用化・共通化を図ることができる。
【0029】
更に、プロテクタ2の第1筒状部10が、下向きに凸となるように屈曲した屈曲路11aを、第1挿通路11の一部として有する。これにより、第1筒状部10にバスバ3を収容すると、屈曲路11aの内壁面とバスバ3との係合により、前後方向に第1筒状部10が移動することが規制される。即ち、プロテクタ2の第1筒状部10を、バスバ3の所定箇所に位置ズレしないように取り付けることができる。
【0030】
更に、プロテクタ2が、バスバ3の後端部3bを内部に挿通可能な第3筒状部30を備える場合、第3筒状部30は、第1筒状部10との間に第2筒状部20を挟むように配置されて、前後方向における第2筒状部20の移動を規制するようになっている。これにより、上述したように位置ズレしないようにバスバ3に取り付けられた第1筒状部10と、第3筒状部30と、の間に、第2筒状部20を保持して、第2筒状部20の位置ズレを抑制することができる。よって、第1筒状部10と第2筒状部20とが適正に重複した状態を維持することができる。
【0031】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0032】
ここで、上述した本発明に係るプロテクタ2及び回路体1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
【0033】
[1]
通電部品(3)を内部に挿通可能な筒状のプロテクタ(2)であって、
前記通電部品(3)の一部(3c)を内部の第1挿通路(11)に挿通可能な第1筒状部(10)と、
前記通電部品(3)の他の一部(3d)を内部の第2挿通路(21)に挿通可能な第2筒状部(20)と、を備え、
前記第2筒状部(20)は、
前記第1筒状部(10)の筒端部(10a)を前記第2挿通路(21)に収容して前記第1挿通路(11)と前記第2挿通路(21)とが連通した状態にて、前記通電部品(3)が延びる方向に移動可能に構成される、
プロテクタ(2)。
【0034】
上記[1]の構成のプロテクタによれば、プロテクタが、通電部品(例えば、バスバ)の一部を内部の第1挿通路に挿通可能な第1筒状部と、通電部品の他の一部を内部の第2挿通路に挿通可能な第2筒状部と、を備える。更に、第2筒状部は、第1筒状部の筒端部を第2挿通路に収容して、第1挿通路と第2挿通路とが連通した状態にて、通電部品が延びる方向に移動可能に構成される。換言すると、第1筒状部と第2筒状部とが一部重複した状態を維持しながら、第1筒状部と第2筒状部とが相対的にスライドしながら移動可能になっている。これにより、例えば、通電部品の長さに応じて第1筒状部と第2筒状部との重複幅を調整すれば、通電部品の長短によらず、プロテクタの内部に通電部品を適正に収容することができる。したがって、本構成のプロテクタは、複数の要求仕様に対応しながら汎用化・共通化を図ることができる。
【0035】
[2]
上記[1]に記載のプロテクタ(2)において、
前記第1筒状部(10)は、
前記通電部品(3)が延びる方向に交差する向きに凸となるように屈曲した屈曲路(11a)を、前記第1挿通路(11)の一部として有する、
プロテクタ(2)。
【0036】
上記[2]の構成のプロテクタによれば、プロテクタの第1筒状部が、通電部品(例えば、バスバ)が延びる方向に交差する向きに凸となるように屈曲した屈曲路を、第1挿通路の一部として有する。これにより、第1筒状部に通電部品を収容すると、屈曲路の内壁面と通電部品との係合により、通電部品が延びる方向に第1筒状部が移動することが規制される。即ち、プロテクタの第1筒状部を、通電部品の所定箇所に位置ズレしないように取り付けることができる。
【0037】
[3]
上記[2]に記載のプロテクタ(2)であって、
前記通電部品(3)の更に他の一部(3b)を内部に挿通可能であり、前記第1筒状部(10)との間に前記第2筒状部(20)を挟むように配置されて、前記通電部品(3)が延びる方向における前記第2筒状部(20)の移動を規制するように構成される第3筒状部(30)を、更に備える、
プロテクタ(2)。
【0038】
上記[3]の構成のプロテクタによれば、プロテクタが、通電部品の更に他の一部を内部に挿通可能な第3筒状部を備える。第3筒状部は、第1筒状部との間に第2筒状部を挟むように配置されて、通電部品が延びる方向における第2筒状部の移動を規制するようになっている。これにより、上述したように位置ズレしないように通電部品に取り付けられた第1筒状部と、第3筒状部と、の間に、第2筒状部を保持して、第2筒状部の位置ズレを抑制することができる。よって、第1筒状部と第2筒状部とが適正に重複した状態を維持することができる。
【0039】
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載のプロテクタ(2)と、
前記プロテクタ(2)の内部に挿通される前記通電部品(3)と、を備える、
回路体(1)。
【0040】
上記[4]の構成の回路体によれば、プロテクタが、通電部品(例えば、バスバ)の一部を内部の第1挿通路に挿通可能な第1筒状部と、通電部品の他の一部を内部の第2挿通路に挿通可能な第2筒状部と、を備える。更に、第2筒状部は、第1筒状部の筒端部を第2挿通路に収容して、第1挿通路と第2挿通路とが連通した状態にて、通電部品が延びる方向に移動可能に構成される。換言すると、第1筒状部と第2筒状部とが一部重複した状態を維持しながら、第1筒状部と第2筒状部とが相対的にスライドしながら移動可能になっている。これにより、例えば、通電部品の長さに応じて第1筒状部と第2筒状部との重複幅を調整すれば、通電部品の長短によらず、プロテクタの内部に通電部品を適正に収容することができる。したがって、本構成の回路体は、回路体への複数の要求仕様に対応しながら、プロテクタの汎用化・共通化を図ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 回路体
2 プロテクタ
3 バスバ(通電部品)
3b 後端部(更に他の一部)
3c 前方領域(一部)
3d 後方領域(他の一部)
10 第1筒状部
10a 後端部(筒端部)
11 第1挿通路
11a 屈曲路
20 第2筒状部
21 第2挿通路
30 第3筒状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6