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特開2024-98826端末装置のためのコンピュータプログラム、端末装置を制御するための方法、及び、端末装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098826
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】端末装置のためのコンピュータプログラム、端末装置を制御するための方法、及び、端末装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240717BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240717BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240717BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G06F3/12 361
G06F3/12 303
G06F3/12 339
G06F3/12 373
B41J29/00 Z
B41J29/38 204
B41J2/175 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002568
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛恭
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EB49
2C056EB56
2C056EB59
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB10
2C061HJ08
2C061HK23
(57)【要約】
【課題】適切な印刷装置に印刷を実行させ得る端末装置を実現するための技術を開示すること。
【解決手段】端末装置のためのコンピュータプログラムは、端末装置のコンピュータを、以下の各部、即ち、印刷に関する所定サービスの登録が完了していない第1の印刷装置に印刷を実行させるための印刷指示をユーザから受け付ける受付部と、印刷指示が受け付けられ、かつ、所定条件が満たされる場合に、印刷指示に従った印刷を第2の印刷装置に実行させる第1の印刷制御部であって、第2の印刷装置は、所定サービスの登録が完了している印刷装置である、第1の印刷制御部と、印刷指示が受け付けられ、かつ、所定条件が満たされない場合に、印刷指示に従った印刷を前記第1の印刷装置に実行させる第2の印刷制御部と、として機能させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記端末装置のコンピュータを、以下の各部、即ち、
印刷に関する所定サービスの登録が完了していない第1の印刷装置に印刷を実行させるための印刷指示をユーザから受け付ける受付部と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、所定条件が満たされる場合に、前記印刷指示に従った印刷を第2の印刷装置に実行させる第1の印刷制御部であって、前記第2の印刷装置は、前記所定サービスの登録が完了している印刷装置である、前記第1の印刷制御部と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、前記所定条件が満たされない場合に、前記印刷指示に従った印刷を前記第1の印刷装置に実行させる第2の印刷制御部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。
【請求項2】
前記所定サービスは、所定量以下の消耗品を使用した印刷を所定額で許容するサービスである、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記第2の印刷装置における前記消耗品の現在の使用量と前記所定量との差分が第1の閾値以上である場合に、前記所定条件が満たされ、
前記差分が前記第1の閾値未満である場合に、前記所定条件が満たされない、請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記消耗品は、印刷媒体である、請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記印刷指示に従った印刷で使用される印刷媒体の単位印刷領域に対する色材の消費量に対応するカバレッジが第2の閾値以上である場合に、前記所定条件が満たされ、
前記カバレッジが前記第2の閾値未満である場合に、前記所定条件が満たされない、請求項4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記消耗品は、色材である、請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記第2の印刷装置と前記所定サービスに関するサーバとの間で通信可能である場合に、前記所定条件が満たされ、
前記第2の印刷装置と前記サーバとの間で通信不可能である場合に、前記所定条件が満たされない、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、さらに、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、前記所定条件が満たされる場合に、問合画面を前記端末装置の表示部に表示させる表示制御部であって、前記問合画面は、前記印刷指示に従った印刷を前記第2の印刷装置に実行させるのかを前記ユーザに問い合わせるための画面である、前記表示制御部として機能させ、
前記第1の印刷制御部は、
前記問合画面において、前記印刷指示に従った印刷を前記第2の印刷装置に実行させることが前記ユーザによって選択される場合に、前記印刷指示に従った印刷を前記第2の印刷装置に実行させ、
前記問合画面において、前記印刷指示に従った印刷を前記第2の印刷装置に実行させないことが前記ユーザによって選択される場合に、前記印刷指示に従った印刷を前記第2の印刷装置に実行させない、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
端末装置を制御するための方法であって、
印刷に関する所定サービスの登録が完了していない第1の印刷装置に印刷を実行させるための印刷指示をユーザから受け付ける受付工程と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、所定条件が満たされる場合に、前記印刷指示に従った印刷を第2の印刷装置に実行させる第1の印刷制御工程であって、前記第2の印刷装置は、前記所定サービスの登録が完了している印刷装置である、前記第1の印刷制御工程と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、前記所定条件が満たされない場合に、前記印刷指示に従った印刷を前記第1の印刷装置に実行させる第2の印刷制御工程と、
を備える、方法。
【請求項10】
端末装置であって、
印刷に関する所定サービスの登録が完了していない第1の印刷装置に印刷を実行させるための印刷指示をユーザから受け付ける受付部と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、所定条件が満たされる場合に、前記印刷指示に従った印刷を第2の印刷装置に実行させる第1の印刷制御部であって、前記第2の印刷装置は、前記所定サービスの登録が完了している印刷装置である、前記第1の印刷制御部と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、前記所定条件が満たされない場合に、前記印刷指示に従った印刷を前記第1の印刷装置に実行させる第2の印刷制御部と、
を備える、端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、印刷装置に印刷を実行させる端末装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、固定料金という料金プランで運用されるプリントシステムが開示されている。この技術では、固定料金を超過したプリンタに印刷させる場合に、固定料金を超過していない代替プリンタをユーザに推奨し、代替プリンタに印刷させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-109159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、適切な印刷装置に印刷を実行させ得る端末装置を実現するための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、端末装置のためのコンピュータプログラムを開示する。コンピュータプログラムは、前記端末装置のコンピュータを、以下の各部、即ち、印刷に関する所定サービスの登録が完了していない第1の印刷装置に印刷を実行させるための印刷指示をユーザから受け付ける受付部と、前記印刷指示が受け付けられ、かつ、所定条件が満たされる場合に、前記印刷指示に従った印刷を第2の印刷装置に実行させる第1の印刷制御部であって、前記第2の印刷装置は、前記所定サービスの登録が完了している印刷装置である、前記第1の印刷制御部と、前記印刷指示が受け付けられ、かつ、前記所定条件が満たされない場合に、前記印刷指示に従った印刷を前記第1の印刷装置に実行させる第2の印刷制御部と、として機能させてもよい。
【0006】
上記の構成によると、端末装置は、印刷に関する所定サービスの登録が完了していない第1の印刷装置に印刷を実行させるための印刷指示を受け付け、かつ、所定条件が満たされる場合に、印刷指示に従った印刷を所定サービスの登録が完了している第2の印刷装置に実行させる。一方、端末装置は、印刷指示を受け付け、かつ、所定条件が満たされない場合に、印刷指示に従った印刷を第1の印刷装置に実行させる。このように、端末装置は、所定条件が満たされるのか否かに応じて、適切な印刷装置に印刷を実行させ得る。
【0007】
上記のコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記録媒体、上記の端末装置を制御するための方法、及び、上記のコンピュータプログラムによって実現される端末装置そのものも、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】通信システムの構成を示す図である。
図2】第1実施例のアプリによって実行される処理のフローチャートである。
図3】ケースAのシーケンス図である。
図4】ケースBのシーケンス図である。
図5】ケースCのシーケンス図である。
図6】ケースDのシーケンス図である。
図7】ケースEのシーケンス図である。
図8】第2実施例のアプリによって実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
(通信システム2の構成;図1
図1に示されるように、通信システム2は、端末10と複数個のプリンタ100A,100Bとサーバ200とを備える。端末10及び各プリンタ100A,100Bは、Local Area Network(LAN)4に接続されている。端末10及び各プリンタ100A,100Bは、LAN4を介して相互に通信可能である。LAN4は、有線LANであってもよいし無線LANであってもよい。
【0010】
サーバ200は、インターネット6を介してLAN4に接続されている。端末10及び各プリンタ100A,100Bは、LAN4及びインターネット6を介して、サーバ200と通信可能である。なお、サーバ200は、単一のサーバによって実現されていてもよいし、複数のサーバが協働することによって実現されていてもよい。また、サーバ200は、物理サーバであってもよいし、仮想サーバであってもよい。また、サーバ200はインターネット6上に設置されていなくてもよく、例えば、LAN4内に設置されていてもよい。
【0011】
(サーバ200の構成)
サーバ200は、定額制の印刷サービスを提供する。定額制の印刷サービスは、所定の期間(例えば1か月)毎に、予め設定された所定枚数(例えば200枚)以下の印刷媒体に対する印刷を定額で許容する。また、ユーザは、所定枚数を超過して印刷媒体に対する印刷を実行する場合には、超過分に単価(例えば10円)を乗じた値を追加料金として支払う。
【0012】
定額制の印刷サービスを利用した印刷では、当該印刷サービスのための専用の色材カートリッジが利用される。以下では、当該カートリッジのことを「専用カートリッジ」と記載する。サーバ200は、定額制の印刷サービスの登録が完了しているプリンタに装着された専用カートリッジ内の色材(例えばインク、トナー)の残量を管理する。サーバ200は、プリンタに装着された専用カートリッジ内の色材が少なくなると、新品の専用カートリッジを当該プリンタのユーザ宛てに発送するための処理を実行する。このように、定額制の印刷サービスでは、利用される印刷媒体の枚数が所定枚数以下であれば、どれだけ色材が利用されても定額で済む。
【0013】
サーバ200は、通信インターフェース216と制御部230とを備える。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。各部216,230は、バス線に接続されている。通信I/F216は、インターネット6に接続されている。
【0014】
制御部230は、CPU232とメモリ234とを備える。CPU232は、メモリ234に記憶されているプログラム236に従って、様々な処理を実行する。メモリ234は、例えばROM、RAMである。メモリ234は、さらに、サービステーブル238を記憶する。
【0015】
サービステーブル238は、定額制の印刷サービスに関する様々な情報を記憶する。サービステーブル238は、定額制の印刷サービスの登録が完了しているプリンタ(以下「登録済みプリンタ」と記載する)のプリンタIDと、当該登録済みプリンタが所定の期間内に定額で印刷可能な印刷媒体の残り枚数(以下「残枚数」と記載する)を示す情報と、を関連付けて記憶する。サーバ200は、登録済みプリンタにおいて印刷が実行される毎に、登録済みプリンタから印刷枚数を示す情報を受信し、現在の残枚数から当該印刷枚数を除算して新たな残枚数を記憶する。なお、サービステーブル238は、残枚数に代えて、登録済みプリンタが所定の期間内において定額制の印刷サービスを利用して印刷を実行した印刷媒体の総枚数を示す情報を記憶してもよい。また、サービステーブル238に記憶される他の様々な情報は、例えば、登録済みプリンタの識別情報(例えばプリンタID)、登録済みプリンタのユーザ情報(例えば氏名、住所、クレジットカード情報)等を含む。
【0016】
(端末10の構成)
端末10は、携帯電話、スマートフォン、PDA、タブレットPC等の可搬型の端末装置である。変形例では、端末10は、据置型のPC、ラップトップPC等であってもよい。端末10は、操作部12と表示部14と通信I/F16と制御部30とを備える。各部12~30は、バス線に接続されている。
【0017】
操作部12は、ユーザが様々な情報を端末10に対して入力することを可能とするI/Fであり、例えばタッチスクリーン、ボタンを備える。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。通信I/F16は、LANI/Fと、BluetoothI/Fと、を備える。LANI/Fは、LAN(例えばLAN4)に接続するためのI/Fであり、BluetoothI/FはBluetooth規格に従った信号を送受信するためのI/Fである。なお、Bluetoothは、Bluetooth SIGの登録商標である。
【0018】
制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。メモリ34は、OSプログラム36とアプリケーションプログラム38とを記憶する。CPU32は、メモリ34に記憶されているOSプログラム36及びアプリケーションプログラム38に従って様々な処理を実行する。メモリ34は、例えばROM、RAMである。以下では、OSプログラムのことを「OS」と記載する。また、アプリケーションプログラムのことを「アプリ」と記載する。
【0019】
OS36は、端末10の基本的な動作を制御する。アプリ38は、各プリンタ100A,100Bに印刷を実行させる。アプリ38は、例えば、プリンタ100A,100Bのベンダによって提供されるインターネット6上のサーバからダウンロードされ、端末10にインストールされるいわゆるネイティブアプリである。なお、変形例では、アプリ38はネイティブアプリでなくてもよく、例えばウェブアプリであってもよいし、クラウドアプリであってもよいし、ネイティブアプリとウェブアプリとクラウドアプリとのうちの少なくとも2個の組合せによって実現されるアプリであってもよい。ここで、「少なくとも2個の組合せ」とは、ネイティブアプリとウェブアプリとの組合せ(いわゆるハイブリッドアプリ)、ネイティブアプリとクラウドアプリとの組合せ、ウェブアプリとクラウドアプリとの組合せ、又は、ネイティブアプリとウェブアプリとクラウドアプリとの組合せを意味する。
【0020】
(プリンタ100Aの構成)
プリンタ100Aは、印刷機能を実行可能な周辺装置、例えば端末10の周辺装置、である。変形例では、プリンタ100Aは、印刷機能に加えて、スキャン機能、ファクシミリ機能等を実行可能な多機能機であってもよい。プリンタ100Aは、プリンタID「AAA」を有する。また、プリンタ100Aは未登録プリンタである。「未登録プリンタ」とは、定額制の印刷サービスの登録が完了していないプリンタを意味する。即ち、定額制の印刷サービスを受けるために必要な情報(即ちプリンタの識別情報、プリンタのユーザ情報等)がサーバ200に登録済みでない。
【0021】
プリンタ100Aは、操作部112Aと表示部114Aと通信I/F116Aと印刷実行部120Aと制御部130Aとを備える。各部112A~130Aは、バス線に接続されている。
【0022】
操作部112Aは、ユーザが様々な情報をプリンタ100Aに対して入力することを可能とするI/Fであり、例えばタッチスクリーン、ボタンを備える。表示部114Aは、様々な情報を表示するためのディスプレイである。通信I/F116Aは、LANI/Fと、BluetoothI/Fと、を備える。印刷実行部120Aは、インクジェット方式の印刷機構を備える。なお、変形例では、印刷実行部120Aは、インクジェット方式とは異なる印刷機構、例えばレーザ方式、サーマル方式の印刷機構を備えてもよい。
【0023】
制御部130Aは、CPU132Aとメモリ134Aとを備える。CPU132Aは、メモリ134Aに記憶されているプログラム136Aに従って、様々な処理を実行する。メモリ134Aは、例えば、ROM、RAMである。メモリ134Aは、さらに、プリンタID「AAA」と、未登録プリンタであることを示す情報と、ステータス情報と、を記憶する。ステータス情報は、例えば、プリンタ100Aに装着されているインクカートリッジ内のインク残量を示す情報を含む。
【0024】
(プリンタ100Bの構成)
プリンタ100Bは、プリンタID「BBB」を記憶している点、及び、登録済みプリンタである点を除いて、プリンタ100Aの構成と同様である。即ち、プリンタ100Bのメモリは、登録済みプリンタであることを示す情報を記憶している。特に、プリンタ100Bが登録済みプリンタであるので、プリンタ100Bが記憶するステータス情報は、さらに、サーバ200との通信状況を示す情報を含む。当該情報は、サーバ200と通信可能であることを意味する「オンライン」及びサーバ200と通信不可能であることを意味する「オフライン」のいずれか一方を示す。「オフライン」は、例えば、サーバ200がダウンしている場合、インターネット6に通信障害が発生している場合、LAN4とインターネット6との間に通信障害が発生している場合等に生じる。プリンタ100Aは、サーバ200との通信状況を示す情報が「オンライン」を示す状況において、所定時間に亘ってサーバ200と通信不可能である場合に、当該情報を「オンライン」から「オフライン」へ更新する。上記の「所定時間に亘って通信不可能である場合」は、例えば、所定時間に亘ってサーバ200から信号を受信しない場合、信号をサーバ200に送信してから所定時間が経過しても応答を受信しない場合等を含む。ステータス情報は、さらに、プリンタ100Bの残枚数を示す情報を含む。なお、ステータス情報は、残枚数に代えて、プリンタ100Bが所定の期間内において定額制の印刷サービスを利用して印刷を実行した印刷媒体の総枚数を示す情報を含んでいてもよい。
【0025】
(アプリ38の処理;図2
続いて、図2を参照して、CPU32がアプリ38を実行することによって実現される処理を説明する。ユーザから、印刷対象の画像の選択と、LAN4に接続されている各プリンタ100A,100Bの中から印刷を実行すべき1個のプリンタの選択と、が受け付けられる場合に、図2の処理が開始される。ここで、本実施例では、ユーザによって未登録プリンタ(例えば100A)が選択される例を説明する。以下では、ユーザによって選択された未登録プリンタのことを「対象プリンタ」と記載する。
【0026】
なお、図2の処理が開始される初期段階では、アプリ38は、LAN4内の各プリンタ100A,100Bのステータス情報を記憶している。各プリンタ100A,100Bのステータス情報は、アプリ38が各プリンタ100A,100Bから過去に受信した情報であってもよいし、最新の情報であってもよい。当該最新の情報は、例えば、アプリ38の起動時に、アプリ38がLAN4を利用してステータス情報の送信を要求する信号を各プリンタ100A,100Bに送信することによって、各プリンタ100A,100Bから受信される。なお、別の変形例では、アプリ38は、LAN4を利用することに代えて、例えば、BluetoothI/Fを介して、Bluetooth規格に従った信号を利用して、各プリンタ100A,100Bからステータス情報を受信してもよい。
【0027】
CPU32は、S10において、LAN4内に登録済みプリンタが存在するのか否かを判断する。具体的には、CPU32は、記憶済みの各ステータス情報の中から1個のステータス情報を特定し、特定済みのステータス情報がサーバ200との通信状況を示す情報を含む場合に、S10でYESと判断してS12に進む。以下では、S10でYESと破断されたプリンタのことを「特定プリンタ」と記載する。一方、CPU32は、特定済みのステータス情報がサーバ200との通信状況を示す情報を含まない場合に、記憶済みの他のステータス情報について同様の処理を実行する。CPU32は、いずれのステータス情報もサーバ200との通信状況を示す情報を含まない場合に、S10でNOと判断してS32に進む。
【0028】
CPU32は、S12において、特定プリンタがオンラインであるのか否かを判断する。具体的には、CPU32は、特定プリンタのステータス情報から、サーバ200との通信状況を示す情報を特定する。CPU32は、当該情報が「オンライン」を示す場合に、S12でYESと判断してS14に進む。一方、CPU32は、当該情報が「オフライン」を示す場合に、S12でNOと判断してS32に進む。
【0029】
CPU32は、S14において、特定プリンタの残枚数が印刷枚数以上であるのか否かを判断する。CPU32は、特定プリンタのステータス情報から残枚数を特定する。次いで、CPU32は、今回の印刷対象の画像の印刷に利用される印刷媒体の総数(以下では「総印刷枚数」と記載する)を算出する。具体的には、CPU32は、印刷対象の画像の総ページ数(即ち1部当たりのページ数)に印刷部数を乗じることによって、総印刷枚数を算出する。CPU32は、残枚数が総印刷枚数以上である場合、即ち、定額の範囲内で今回の印刷が完了する場合に、S14でYESと判断してS16に進む。CPU32は、残枚数が総印刷枚数未満である場合、即ち、定額の範囲内で今回の印刷が完了しない場合に、S14でNOと判断してS32に進む。こなお、変形例では、アプリ38は、S14において、残枚数が予め決められた閾値(例えば5枚)以上であるのか否かを判断してもよい。また、別の変形例では、アプリ38は、S14において、現在の残枚数から総印刷枚数を減じた値が閾値以上であるのか否かを判断してもよい。
【0030】
CPU32は、S16において、印刷カバレッジが閾値以上であるのか否かを判断する。CPU32は、印刷媒体1枚の面積に対する印刷対象の画像の印字ドット数の割合を印刷カバレッジとして算出する。仮に、複数枚の印刷媒体に対する印刷が実行されるべき場合には、CPU32は、複数枚の印刷媒体のそれぞれについて、当該印刷媒体に対する印字ドット数を算出し、それらの平均値を印刷カバレッジとして算出してもよい。そして、CPU32は、算出済みの印刷カバレッジが予め決められている閾値以上であるのか否かを判断する。CPU32は、印刷カバレッジが閾値以上である場合に、S16でYESと判断してS18に進み、印刷カバレッジが閾値未満である場合に、S16でNOと判断してS32に進む。
【0031】
CPU32は、S18において、通知画面SC1を表示部14に表示させる。通知画面SC1は、登録済みプリンタである特定プリンタに印刷を実行させるのか否かをユーザに問い合わせるメッセージと、YESボタンと、NOボタンと、を含む。ユーザは、通知画面SC1を介して、対象プリンタとは異なる登録済みプリンタに印刷を実行させるのか否かを選択することができる。
【0032】
CPU32は、S20において、通知画面SC1内のYESボタンが選択されたのかNOボタンが選択されたのかを判断する。CPU32は、YESボタンが選択される場合(S20でYES)にS22に進み、NOボタンが選択される場合(S20でNO)にS32に進む。
【0033】
CPU32は、S22において、通信I/F16を介して、印刷対象の画像を表わす印刷データを登録済みプリンタである特定プリンタに送信する。具体的には、CPU32は、印刷対象の画像を変換して特定プリンタが解釈可能なデータ形式を有する印刷データを生成し、当該印刷データを特定プリンタに送信する。この結果、特定プリンタによって印刷対象の画像が印刷される。S22が終了すると、図2の処理が終了する。
【0034】
CPU32は、S32において、通信I/F16を介して、印刷データを未登録プリンタである対象プリンタに送信する。この結果、対象プリンタによって印刷対象の画像が印刷される。S32が終了すると、図2の処理が終了する。
【0035】
(ケースA;図3
続いて、図2の処理によって実現される具体的なケースを説明する。まず、図3を参照して、ケースAを説明する。ケースAの初期状態では、端末10は、プリンタ100A,100Bのそれぞれのステータス情報を記憶している。
【0036】
なお、以下では、各デバイス(例えば端末10、プリンタ100A)のCPU(例えば32,132A)が実行する処理について、理解の容易化の観点から、CPUを主体として記載せずに、各デバイスを処理の主体として記載する。また、端末10のCPU32によって実行される処理のうち、CPU32がアプリ38を実行することによって実現される処理を説明する際に、端末10を処理の主体として記載せずに、アプリ38を処理の主体として記載する。また、アプリ38は、OS36を介して、CPU32、メモリ34、表示部14、通信I/F16等へアクセスして各種処理を実行するが、これらの各種処理を説明する際には、OS36を介していることは省略して説明する。また、各デバイス間の通信は、通信I/F(例えば16,116A)を介して実行される。従って、以下の説明では、通信に関する説明をする際に、「通信I/Fを介して」という記載を省略する。
【0037】
端末10は、T10において、ユーザから、アプリ38を起動するためのアプリ起動操作を受け付ける。アプリ起動操作は、例えば、アプリ38のアイコンをタップする操作である。この場合、アプリ38は、T12において、トップ画面SC0を表示する。トップ画面SC0は、デフォルトのプリンタ100AのプリンタID「AAA」と、当該プリンタ100Aのステータス情報(即ちインク残量RA)と、印刷ボタンと、設定ボタンと、を含む。ここで、デフォルトのプリンタは、印刷を実行すべきプリンタとしてユーザによって予め指定されているプリンタである。
【0038】
アプリ38は、T14において、トップ画面SC0内の印刷ボタンの選択を受け付ける。即ち、アプリ38は、プリンタ100Aに印刷を実行させるための指示を受け付ける。この場合、図示省略しているが、アプリ38は、印刷対象の画像を選択させるための画面を表示し、ユーザから、印刷対象の画像の選択を受け付ける。アプリ38は、ユーザから印刷対象の画像の選択を受け付けると、T16において、印刷プレビュー画面SC10を表示する。印刷プレビュー画面SC10は、印刷対象の画像を示すプレビュー画像と、印刷部数を選択するための部数選択欄と、印刷ボタンと、を含む。本ケースでは、印刷対象の画像は、2ページ分の画像である。印刷対象の画像は、文字列「XXX」及び写真画像を含む1ページ目の画像と、文字列「YYY」及び写真画像を含む2ページ目の画像と、を含む。
【0039】
アプリ38は、T20において、ユーザから、部数「1」が指定されている状態において、印刷プレビュー画面SC10内の印刷ボタンの選択を受け付ける(図2のトリガ)。ケースAでは、LAN4内に登録済みプリンタ100Bが存在し(S10でYES)、プリンタ100Bがオンラインであり(S12でYES)、プリンタ100Bの残枚数「100」が総印刷枚数「2=2(ページ)×1(部)」以上である(S14でYES)。また、ケースAでは、印刷対象の画像が多数の印字ドット数を要する写真画像を含むので、印刷カバレッジが閾値以上であると判断される(S16でYES)。この場合、アプリ38は、T22において、通知画面SC1を表示する(S18)。
【0040】
アプリ38は、T24において、通知画面SC1内のYESボタンの選択を受け付ける(S20でYES)と、T26において、印刷データを登録済みプリンタであるプリンタ100Bに送信する(S22)。
【0041】
プリンタ100Bは、T26において、端末10から印刷データを受信すると、T28において、受信済みの印刷データに従って印刷を実行する。
【0042】
上述したように、本ケースでは、アプリ38は、LAN4内に登録済みプリンタ100Bが存在する状況において、プリンタ100Aに印刷を実行させるための指示をユーザから受け付ける場合に、未登録プリンタであるプリンタ100Aではなく、登録済みプリンタであるプリンタ100Bに印刷を実行させる。例えば、ユーザが定額制の印刷サービスに加入しているプリンタ100Bの存在を忘れていたとしても、ユーザは、定額制の印刷サービスを利用して、プリンタ100Bに印刷を実行させることができる。特に、定額制の印刷サービスに加入しているプリンタ100Bのための色材は無料で提供される。このため、ユーザは、プリンタ100Aの色材を利用せずに済むので、色材のためのコストを節約することができる。
【0043】
特に、アプリ38は、プリンタ100Bがオンラインである場合(S12でYES)、即ち、プリンタ100Bがサーバ200と通信して定額制の印刷サービスを受けることができる場合に、プリンタ100Bに印刷を実行させることができる。
【0044】
また、アプリ38は、プリンタ100Bにおいて定額の範囲内で印刷対象の画像の印刷が完了する場合(S14でYES)に、プリンタ100Bに印刷を実行させる。従って、ユーザは、定額の範囲を超えて追加料金を支払うことなく、プリンタ100Bに印刷を実行させることができる。
【0045】
また、アプリ38は、印刷カバレッジが閾値以上である場合(S16でYES)に、プリンタ100Bに印刷を実行させる。印刷カバレッジが閾値以上であるということは、1枚の印刷媒体に対する印刷に消費される色材の量が多いこと、即ち、印刷媒体のコストに対する色材のコストが高いことを意味する。このような場合には、登録済みプリンタ(即ちプリンタ100B)における印刷媒体の消費量が増えたとしても、未登録済みプリンタ(即ちプリンタ100A)における色材の消費量を抑えた方が好ましい。印刷に必要なトータルのコストを抑え得るからである。従って、本ケースでは、ユーザは、印刷に必要なトータルのコストを抑え得る。
【0046】
(ケースB;図4
続いて、図4を参照して、ケースBを説明する。図5の初期状態では、例えば、プリンタ100BがLAN4に接続されていないことに起因して、プリンタ100Bのステータス情報が記憶されていない。T110~T116の処理は、それぞれ、図3のT10~T16の処理と同様である。
【0047】
アプリ38は、T120において、ユーザから、部数「1」が指定されている状況において、印刷プレビュー画面SC10内の印刷ボタンの選択を受け付ける(図2のトリガ)。ケースBでは、LAN4内に登録済みプリンタが存在しないので(S10でNO)、アプリ38は、T126において、印刷データをプリンタ100Aに送信する(S32)。
【0048】
プリンタ100Aは、T126において、端末10から印刷データを受信すると、T128において、印刷対象の画像を印刷する。このように、アプリ38は、LAN4内に登録済みプリンタが存在しない場合には、未登録プリンタ100Aに印刷を実行させることができる。
【0049】
(ケースC;図5
続いて、図5を参照して、ケースCを説明する。図5の初期状態では、プリンタ100Bとサーバ200との通信状況を示す情報が「オフライン」である。T210~T220の処理は、それぞれ、図3のT10~T20の処理と同様である。
【0050】
ケースCでは、LAN4内に登録済みプリンタであるプリンタ100Bが存在するが(図2のS10でYES)、プリンタ100Bがオフラインであるので(S12でNO)、アプリ38は、T226において、印刷データを未登録プリンタであるプリンタ100Aに送信する(S32)。このように、アプリ38は、登録済みプリンタがオフラインである場合に、未登録プリンタに印刷を実行させる。登録済みプリンタがオフラインである状況では、定額制の印刷サービスの提供を受けることができない可能性がある。例えば、登録済みプリンタがオフラインである状況では、登録済みプリンタにおける印刷が制限されたり(例えば少ない印刷枚数の印刷のみが許容される)、印刷が禁止されたりする可能性がある。本ケースでは、アプリ38は、登録済みプリンタがオフラインである状況では、未登録プリンタに印刷を実行させるので、印刷が適切に実行されないという事象を抑制することができる。
【0051】
(ケースD;図6
続いて、図6を参照して、ケースDを説明する。図6の初期状態では、プリンタ100Bのステータス情報に含まれる残枚数が「10」である。T310~T316の処理は、それぞれ、図3のT10~T16の処理と同様である。
【0052】
アプリ38は、T320において、ユーザから、部数「10」の選択を受け付けた後に、印刷プレビュー画面SC10内の印刷ボタンの選択を受け付ける(図2のトリガ)。ケースDでは、登録済みプリンタであるプリンタ100Bが存在し(S10でYES)、プリンタ100Bがオンラインであり(S12でYES)、残枚数「10」が総印刷枚数「20(=2(ページ)×10(部))」未満である(S14でNO)。この場合、アプリ38は、T326において、印刷データを未登録プリンタであるプリンタ100Aに送信する(S32)。
【0053】
プリンタ100Aは、T326において、端末10から印刷データを受信すると、T328において、印刷対象の画像を印刷する。このように、アプリ38は、登録済みプリンタ100Bにおいて定額の範囲内で印刷対象の画像の印刷が完了しない場合に、未登録プリンタであるプリンタ100Aに印刷を実行させる。このために、ユーザは、追加料金を支払う必要がない。
【0054】
(ケースE;図7
続いて、図7を参照して、ケースEを説明する。図7の初期状態は、図3の初期状態と同様である。また、T410及びT412の処理は、それぞれ、図3のT10及びT12の処理と同様である。T414の処理は、選択される印刷対象の画像が異なる点を除いて、図3のT14の処理と同様である。
【0055】
アプリ38は、T416において、印刷プレビュー画面SC11を表示する。印刷プレビュー画面SC11は、プレビュー画像が異なる点を除いて、印刷プレビュー画面SC10(図3参照)と同様である。本ケースでは、印刷対象の画像は、2ページ分の画像である。印刷対象の画像は、文字「X」を含む1ページ目の画像と、文字「Y」を含む2ページ目の画像と、を含む。印刷対象の画像は、写真画像を含まない。
【0056】
アプリ38は、T420において、ユーザから、部数「1」が指定されている状況において、印刷プレビュー画面SC11内の印刷ボタンの選択を受け付ける(図2のトリガ)。ケースEでは、LAN4内に登録済みプリンタであるプリンタ100Bが存在し(S10でYES)、プリンタ100Bがオンラインであり(S12でYES)、プリンタ100Bの残枚数「100」が総印刷枚数「2=2(ページ)×1(部)」以上である(S14でYES)。また、本ケースでは、印刷対象の画像が写真画像を含まないので、印刷カバレッジが閾値未満であると判断される(S16でNO)。この場合、アプリ38は、T426において、印刷データを未登録プリンタであるプリンタ100Aに送信する(S32)。
【0057】
プリンタ100Aは、T426において、端末10から印刷データを受信すると、T428において、印刷対象の画像を印刷する。このように、アプリ38は、印刷カバレッジが閾値未満である場合には、LAN4内に登録済みプリンタが存在している状況であっても、未登録プリンタ100Aに印刷を実行させることができる。印刷カバレッジが閾値未満であるということは、1枚の印刷媒体に対する印刷に消費される色材の量が少ないこと、即ち、印刷媒体のコストに対する色材のコストが低いことを意味する。このような場合には、未登録プリンタ(即ちプリンタ100A)における色材の消費量が少なくて済むので、登録済みプリンタ(即ちプリンタ100B)における印刷媒体の消費量を抑えた方が好ましい。印刷に必要なトータルのコストを抑え得るからである。従って、本ケースでは、ユーザは、印刷に必要なトータルのコストを抑え得る。
【0058】
(対応関係)
端末10が、「端末装置」の一例である。プリンタ100A、プリンタ100Bが、それぞれ、「第1の印刷装置」、「第2の印刷装置」の一例である。サーバ200が、「サーバ」の一例である。通知画面SC1が、「問合画面」の一例である。定額制の印刷サービスが、「所定サービス」の一例である。印刷媒体が、「消耗品」の一例である。対象プリンタの残枚数が総印刷枚数以下であること、印刷カバレッジが閾値以上であること、又は、登録済みプリンタ100Bがオンラインであることが、「所定条件を満たす」ことの一例である。残枚数、総印刷枚数が、それぞれ、「差分」、「第1の閾値」の一例である。図2のS16で利用される閾値が、「第2の閾値」の一例である。1ページの印刷媒体が、「単位印刷領域」の一例である。
【0059】
図3のT20の処理が、「受付部」によって実行される処理の一例である。図2のS22の処理、S32の処理が、それぞれ、「第1の印刷制御部」、「第2の印刷制御部」によって実行される処理の一例である。図2のS30の処理(及びS40の処理)が、「第1の表示制御部」によって実行される処理の一例である。図2のS18の処理が、「表示制御部」によって実行される処理の一例である。
【0060】
(第2実施例)
続いて、第2実施例を説明する。第2実施例では、定額制の印刷サービスの内容が、第1実施例とは異なる。具体的には、第2実施例の定額制の印刷サービスは、所定の期間(例えば1か月)毎に、予め設定された所定量(例えば1リットル)以下のインクを利用した印刷を定額で許容する。また、ユーザは、所定量を超過して印刷を実行する場合には、超過分(即ち所定量を超過した色材の使用量)に単価(例えば1ミリリットルあたり10円)を乗じた値を追加料金として支払う。このような定額制の印刷サービスでも、専用カートリッジが利用される。
【0061】
また、図1に示されるように、第2実施例のサービステーブル238は、残枚数に代えて、登録済みプリンタが所定の期間内に定額で印刷可能なインクの残りの量(以下「残インク量」と記載する)を示す情報を記憶する。サーバ200は、登録済みプリンタにおいて印刷が実行される毎に、登録済みプリンタから今回の印刷で利用されるインク量(以下では「印刷インク量」と記載する)を示す情報を受信し、現在の残インク量から当該印刷インク量を除算して新たな残インク量を記憶する。なお、サービステーブル238は、残インク量に代えて、登録済みプリンタが所定の期間内において定額制の印刷サービスで利用されたインクの総量を示す情報を記憶してもよい。
【0062】
(アプリ38の処理;図8
続いて、図8を参照して、CPU32が第2実施例のアプリ38を実行することによって実現される処理を説明する。なお、図8では、図2と同様の処理には同じ参照符号を付しており、その詳細な説明を省略する。
【0063】
CPU32は、S114において、特定プリンタの残インク量が印刷インク量以上であるのかを判断する。具体的には、CPU32は、特定プリンタのステータス情報から残インク量を特定する。次いで、CPU32は、今回の印刷対象の画像の印刷に利用されるインク量の総量(以下では「総印刷インク量」と記載する)を算出する。例えば、CPU32は、印刷対象の画像のドット数と印刷部数とに基づいて、総印刷インク量を算出する。CPU32は、残インク量が総印刷インク量以上である場合、即ち、定額の範囲内で印刷が完了する場合に、S114でYESと判断してS18に進む。CPU32は、残インク量が総印刷インク量未満である場合、即ち、定額の範囲内で印刷が完了しない場合に、S114でNOと判断してS32に進む。なお、変形例では、アプリ38は、S114において、残インク量が予め決められた閾値以上であるのかを判断してもよい。また、別の変形例では、アプリ38は、S114において、現在の残インク量から総印刷インク量を減じた値が閾値以上であるのかを判断してもよい。
【0064】
本実施例では、CPU32は、図2のS16に相当する処理を実行しない。印刷カバレッジに応じてプリンタが選択されても、印刷に必要なコストを抑えることができないからである。本実施例でも、アプリ38は、適切なプリンタに印刷を実行させることができる。インクが、「消耗品」の一例である。残インク量、総印刷インク量が、それぞれ、「差分」、「第1の閾値」の一例である。
【0065】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0066】
(変形例1)上記で説明した技術は、定額制の印刷サービスとは異なるサービスに対しても適用可能である。例えば、定額制の印刷サービスに代えて、プリペイド型の印刷サービスが採用されてもよい。プリペイド型のサービスでは、ユーザは、プリンタの使用前に、所定料金を予め支払う。ユーザは、プリンタを利用して、支払い済みの所定料金に応じた所定枚数の印刷媒体への印刷(又は支払い済みの所定料金に応じた所定量のインクを使用した印刷)を実行することができる。印刷枚数が所定枚数を超過すると(又は使用インク量が所定量を超過すると)、超過分の枚数(又はインク量)に応じた追加料金が課金される。本変形例では、プリペイド型のサービスが、「所定サービス」の一例である。また、別の変形例では、「所定サービス」は、ユーザに料金を課金するサービスでなくてもよく、例えば、サーバ200においてプリンタ(例えばプリンタ100B)での印刷の履歴等を管理する印刷管理サービスであってもよい。一般的に言うと、「所定サービス」は、印刷に関連するサービスであればよい。
【0067】
(変形例2)CPU32は、図2のS14の処理を省略可能である。具体的には、CPU32は、登録済みプリンタの残枚数が総印刷枚数以上であるのか否かに関わらず、登録済みプリンタに印刷を実行させてもよい。
【0068】
(変形例3)CPU32は、図2のS16の処理を省略可能である。具体的には、CPU32は、印刷カバレッジが閾値以上であるのか否かに関わらず、登録済みプリンタに印刷を実行させてもよい。
【0069】
(変形例4)CPU32は、図2のS12の処理を省略可能である。具体的には、CPU32は、登録済みプリンタがオンラインであるのか否かに関わらず、登録済みプリンタに印刷を実行させてもよい。
【0070】
(変形例5)CPU32は、図2のS18の処理を省略可能である。即ち、CPU32は、S16でYESと判断される場合に、通知画面SC1を表示することなく、未登録プリンタに代えて登録済みプリンタに印刷を実行させてもよい。一般的に言うと、「表示制御部」を省略可能である。
【0071】
(変形例6)CPU32は、通知画面SC1内のNOボタンが選択される場合(図2のS20でNO)に、印刷をキャンセルしてもよい。本変形では、印刷をキャンセルすることが、「印刷を第2の印刷装置に実行させない」ことの一例である。
【0072】
(変形例7)上記の実施例では、図2図8の各ステップの処理がソフトウェア(例えば、OS36、アプリ38、プログラム136A)によって実現されるが、これらの各処理の少なくとも一つが、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0073】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0074】
本特許出願時の特許請求の範囲において、各請求項が一部の請求項のみに従属している場合であっても、各請求項が当該一部の請求項のみに従属可能であることに限定されない。技術的に矛盾しない範囲において、各請求項は、出願時に従属していない他の請求項にも従属可能である。即ち、各請求項の技術は以下のように様々に組み合わせることができる。
(項目1)
端末装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記端末装置のコンピュータを、以下の各部、即ち、
印刷に関する所定サービスの登録が完了していない第1の印刷装置に印刷を実行させるための印刷指示をユーザから受け付ける受付部と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、所定条件が満たされる場合に、前記印刷指示に従った印刷を第2の印刷装置に実行させる第1の印刷制御部であって、前記第2の印刷装置は、前記所定サービスの登録が完了している印刷装置である、前記第1の印刷制御部と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、前記所定条件が満たされない場合に、前記印刷指示に従った印刷を前記第1の印刷装置に実行させる第2の印刷制御部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。
(項目2)
前記所定サービスは、所定量以下の消耗品を使用した印刷を所定額で許容するサービスである、項目1に記載のコンピュータプログラム。
(項目3)
前記第2の印刷装置における前記消耗品の現在の使用量と前記所定量との差分が第1の閾値以上である場合に、前記所定条件が満たされ、
前記差分が前記第1の閾値未満である場合に、前記所定条件が満たされない、項目2に記載のコンピュータプログラム。
(項目4)
前記消耗品は、印刷媒体である、項目2又は3に記載のコンピュータプログラム。
(項目5)
前記印刷指示に従った印刷で使用される印刷媒体の単位印刷領域に対する色材の消費量に対応するカバレッジが第2の閾値以上である場合に、前記所定条件が満たされ、
前記カバレッジが前記第2の閾値未満である場合に、前記所定条件が満たされない、項目4に記載のコンピュータプログラム。
(項目6)
前記消耗品は、色材である、項目2又は3に記載のコンピュータプログラム。
(項目7)
前記第2の印刷装置と前記所定サービスに関するサーバとの間で通信可能である場合に、前記所定条件が満たされ、
前記第2の印刷装置と前記サーバとの間で通信不可能である場合に、前記所定条件が満たされない、項目1から6のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
(項目8)
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、さらに、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、前記所定条件が満たされる場合に、問合画面を前記端末装置の表示部に表示させる表示制御部であって、前記問合画面は、前記印刷指示に従った印刷を前記第2の印刷装置に実行させるのかを前記ユーザに問い合わせるための画面である、前記表示制御部として機能させ、
前記第1の印刷制御部は、
前記問合画面において、前記印刷指示に従った印刷を前記第2の印刷装置に実行させることが前記ユーザによって選択される場合に、前記印刷指示に従った印刷を前記第2の印刷装置に実行させ、
前記問合画面において、前記印刷指示に従った印刷を前記第2の印刷装置に実行させないことが前記ユーザによって選択される場合に、前記印刷指示に従った印刷を前記第2の印刷装置に実行させない、項目1から8のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
(項目9)
端末装置を制御するための方法であって、
印刷に関する所定サービスの登録が完了していない第1の印刷装置に印刷を実行させるための印刷指示をユーザから受け付ける受付工程と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、所定条件が満たされる場合に、前記印刷指示に従った印刷を第2の印刷装置に実行させる第1の印刷制御工程であって、前記第2の印刷装置は、前記所定サービスの登録が完了している印刷装置である、前記第1の印刷制御工程と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、前記所定条件が満たされない場合に、前記印刷指示に従った印刷を前記第1の印刷装置に実行させる第2の印刷制御工程と、
を備える、方法。
(項目10)
端末装置であって、
印刷に関する所定サービスの登録が完了していない第1の印刷装置に印刷を実行させるための印刷指示をユーザから受け付ける受付部と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、所定条件が満たされる場合に、前記印刷指示に従った印刷を第2の印刷装置に実行させる第1の印刷制御部であって、前記第2の印刷装置は、前記所定サービスの登録が完了している印刷装置である、前記第1の印刷制御部と、
前記印刷指示が受け付けられ、かつ、前記所定条件が満たされない場合に、前記印刷指示に従った印刷を前記第1の印刷装置に実行させる第2の印刷制御部と、
を備える、端末装置。
【符号の説明】
【0075】
2:通信システム、6:AP、10:端末、12,112A:操作部、14,114A:表示部、16,116A,216:通信I/F、30,130A,230:制御部、32、132A,232:CPU、34,134A,234:メモリ、36:OSプログラム、38:アプリケーションプログラム、100A,100B:プリンタ、120A:印刷実行部、136,236:プログラム、200:サーバ、238:サービステーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8