(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098837
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】長さ調節ベルト
(51)【国際特許分類】
A45C 13/30 20060101AFI20240717BHJP
A45F 3/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A45C13/30 G
A45F3/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002585
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000184687
【氏名又は名称】小松マテーレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 陽子
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA55
3B045CE07
3B045DA44
3B045FC08
3B045GA04
3B045GB02
3B045GC02
(57)【要約】
【課題】より使いやすい長さ調節ベルトを提供する。
【解決手段】長さ調節ベルト10は、ベルト20と、調節環22と、ベルト通し環24と、を備える。ベルト20は、固定端側部26と、自由端側部28と、を一体に有する。調節環22は、ベルト20が挿入され、固定端側部26と自由端側部28との間に配置されており、ベルト通し環24は、自由端側部28の端部に固定され、固定端側部26がベルト20の長手方向に沿って移動可能に挿入されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトと、調節環と、ベルト通し環と、を備える長さ調節ベルトであって、
前記ベルトは、固定端側部と、自由端側部と、を一体に有し、
前記調節環は、前記ベルトが挿入され、前記固定端側部と前記自由端側部との間に配置されており、
前記ベルト通し環は、前記自由端側部の端部に固定され、前記固定端側部が前記ベルトの長手方向に沿って移動可能に挿入されている、長さ調節ベルト。
【請求項2】
前記ベルト通し環は、前記ベルトの短手方向の一端側で前記ベルトの長手方向に沿って前記自由端側部に接合されている、請求項1に記載の長さ調節ベルト。
【請求項3】
前記自由端側部の先端が、前記ベルト通し環から突出している、請求項1又は2に記載の長さ調節ベルト。
【請求項4】
前記ベルト通し環は、前記ベルトの長手方向に沿う方向の長さが、前記ベルトの短手方向に沿う方向の長さより長い、請求項1又は2に記載の長さ調節ベルト。
【請求項5】
前記調節環は、前記ベルトを長手方向に固定する固定機構を有する、請求項1又は2に記載の長さ調節ベルト。
【請求項6】
前記調節環は、他の連結具と着脱可能な連結具を有する、請求項1又は2に記載の長さ調節ベルト。
【請求項7】
前記固定端側部は、前記ベルト通し環において、前記自由端側部に対し前記ベルトの短手方向の他端側にずれている、請求項1又は2に記載の長さ調節ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長さ調節ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
長さ調節が可能なベルトとして、例えば特許文献1は、ベルトの所定部分に1箇所又は2箇所以上の伸縮性を有する伸縮部材を設け、ベルトを引っ張ることで伸縮部材が伸び縮みする伸縮ベルトが開示されている。さらに上記伸縮ベルトは、左右ベルトの外側端部にそれぞれ凸状バックルと凹状バックルとが設けられ、当該バックルにベルトを通した後ベルトを折り畳み、ベルト端部固定リングにベルト端部を通すことでベルトが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の場合、ベルト端部固定リングは、ベルトに対しスライド可能であるのでベルト端部に対する位置が変わりやすく、ベルト端部固定リングから引き出されたベルト端部の余剰部分が長い場合、余剰部分が使用者の動作を妨げる可能性がある。一方、ベルト端部固定リングは、余剰部分が短すぎる場合ベルトから脱落する可能性がある。結果として従来のベルトは、必ずしも使いやすいとはいえない、という問題があった。
【0005】
本発明は、より使いやすい長さ調節ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の長さ調節ベルトは以下の通りである。
ベルトと、調節環と、ベルト通し環と、を備える長さ調節ベルトであって、前記ベルトは、固定端側部と、自由端側部と、を一体に有し、前記調節環は、前記ベルトが挿入され、前記固定端側部と前記自由端側部との間に配置されており、前記ベルト通し環は、前記自由端側部の端部に固定され、前記固定端側部が前記ベルトの長手方向に沿って移動可能に挿入されている、長さ調節ベルト。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より使いやすい長さ調節ベルトを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る長さ調節ベルトを備えたウエストバッグを示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る長さ調節ベルトの連結具を示す正面図である。
【
図3】
図2におけるIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】一実施形態に係る長さ調節ベルトの部分拡大斜視図である。
【
図5】
図4におけるV-V線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、以下の態様に関する。
[1]
ベルトと、調節環と、ベルト通し環と、を備える長さ調節ベルトであって、
前記ベルトは、固定端側部と、自由端側部と、を一体に有し、
前記調節環は、前記ベルトが挿入され、前記固定端側部と前記自由端側部との間に配置されており、
前記ベルト通し環は、前記自由端側部の端部に固定され、前記固定端側部が前記ベルトの長手方向に沿って移動可能に挿入されている、長さ調節ベルト。
【0010】
ベルトは、調節環に挿入され、当該調節環において折り返して重ねられる。重ねられたベルトの一側が固定端側部である。ベルトの他側は自由端側部であり、先端の端部にベルト通し環が固定される。ベルト通し環に固定端側部が挿入され、当該固定端側部の端部が対象物などに固定される。ベルト通し環及びベルト通し環に固定された自由端側部は、固定端側部に対しベルトの長手方向に沿って移動可能である。
使用者は、調節環に対する自由端側部の長さを調節することにより、固定端側部の長さを調節することができる。自由端側部の端部がベルト通し環によって固定端側部に固定されていることにより、調節環から引き出された自由端側部が長い場合であっても、自由端側部は固定側端部に沿って保持される。したがってベルトは、自由端側部が使用者の動作を妨げることを抑制できる。ベルトは、調節環から引き出された自由端側部が短い場合であっても、ベルト通し環が自由端側部に固定されているのでベルトから脱落することが防止される。
結果としてベルトは、自由端側部に対しベルト通し環が適切な位置に固定されていることにより、調節環から自由端側部を引出す長さに応じてベルト通し環の位置を変える必要がないので、より使いやすい。
【0011】
[2]
前記ベルト通し環は、前記ベルトの短手方向の一端側で前記ベルトの長手方向に沿って前記自由端側部に接合されている、[1]に記載の長さ調節ベルト。
ベルト通し環は、ベルトの短手方向の一端側でベルトの長手方向に沿って自由端側部に接合されているので、ベルト通し環の内面と自由端側部の一側表面、及びベルト通し環の内面と自由端側部の他側表面の間のそれぞれが、短手方向において塞がれていない。したがってベルトは、自由端側部の一側表面及び他側表面のいずれの面側においても固定端側部をベルト通し環に挿入することができるので、より使いやすい。
【0012】
[3]
前記自由端側部の先端が、前記ベルト通し環から突出している、[1]又は[2]に記載の長さ調節ベルト。
使用者は、ベルト通し環から突出している自由端側部を把持して自由端側部を調節環から引出すことができる。したがってベルトは、自由端側部の先端がベルト通し環から突出していない場合に比べ、自由端側部を引出しやすいので、より使いやすい。
【0013】
[4]
前記ベルト通し環は、前記ベルトの長手方向の長さが、前記ベルトの短手方向の長さより長い、[1]~[3]のいずれか1つに記載の長さ調節ベルト。
ベルト通し環は、ベルトの長手方向に沿う方向の長さが、ベルトの短手方向に沿う方向の長さより長いので、自由端側部を固定端側部に沿って移動させやすい。したがってベルトは、よりスムーズに長さを調節できるのでより使いやすい。
【0014】
[5]
前記調節環は、前記ベルトを長手方向に固定する固定機構を有する、[1]~[3]のいずれか1つに記載の長さ調節ベルト。
ベルトは、調節環においてベルトを長手方向に固定することによって、調節環から引き出された自由端側部が戻って固定端側部がゆるむことを抑制することができる。
【0015】
[6]
前記調節環は、他の連結具と着脱可能な連結具を有する、[1]~[5]のいずれか1つに記載の長さ調節ベルト。
バックルや面ファスナーなどの連結具を有することにより、長さ調節ベルトは当該連結具と連結可能な他の連結具と連結することができる。したがって長さ調節ベルトは、他の連結具と連結することにより、固定端側部の端部と他の連結具との距離を調節することができる。
【0016】
[7]
前記固定端側部は、前記ベルト通し環において、前記自由端側部に対し前記ベルトの短手方向の他端側に突出している、[1]~[6]のいずれか1つに記載の長さ調節ベルト。
固定端側部が自由端側部に対しベルトの短手方向の他端側に突出している分だけ、固定端側部と自由端側部はベルト通し環において短手方向にずれており、互いの表面の一部が接していない。したがって短手方向の全部が接している場合に比べ、固定端側部と自由端側部の間に生じる摩擦力が小さいので、ベルトはより小さい力で自由端側部を固定端側部に対し移動させることができる。
【0017】
(実施形態)
本発明のベルトは、対象物として、例えばバッグ、衣服、その他の物品に対し適用される。以下、本発明の一実施形態に係る長さ調節ベルトについて図面を参照して説明する。
図1は一実施形態に係る長さ調節ベルトを備えたウエストバッグを示す斜視図、
図2は一実施形態に係る長さ調節ベルトの連結具を示す正面図、
図3は
図2におけるIII-III線に沿った断面図、
図4は一実施形態に係る長さ調節ベルトの部分拡大斜視図、
図5は
図4におけるV-V線に沿った断面図である。
【0018】
本明細書において接合とは、縫合である場合に限らず、接着剤を用いる場合、及び熱融着による場合を含み、生地の材料に合わせて適宜選択される。また、ある基準に「沿う」とは、ある基準に対して±45°未満の範囲の方向に沿うことを含むものとする。ある部材等のある方向の端部とは、その部材のその方向の端縁から、その部材等のその方向での全体の長さの1/5(好ましくは1/10)以下の長さの範囲をいう。ベルトの長手方向を単に「長手方向」、ベルトの短手方向を単に「短手方向」と呼ぶ場合がある。
【0019】
図1に示す一実施形態は、長さ調節ベルト10を、対象物としてのウエストバッグ12に適用した例である。ウエストバッグ12は、バッグ本体14と、一対の長さ調節ベルト10を備える。ウエストバッグ12は、袋状であり、図示しないが、開口部と、当該開口部を開閉自在とするファスナーとを有する。ウエストバッグ12は、左右両側に外側へ突出したベース部16がそれぞれ設けられている。
【0020】
長さ調節ベルト10は、それぞれ、長手方向の基端側の端部がベース部16に固定され、先端側に連結具18が設けられている。長さ調節ベルト10は、ベルト20と、調節環22と、ベルト通し環24とを備える。ベルト20は、固定端側部26と自由端側部28とを一体に有する帯状の部材である。ベルト20は、アクリルテープ、革、コットン、ナイロン、ポリエステルなどの素材を用いることができる。
【0021】
固定端側部26はベルト20の長手方向の基端30を含み、自由端側部28はベルト20の長手方向の先端32を含む。調節環22は、固定端側部26と自由端側部28の間に設けられている。調節環22は環状の部材である。ベルト20は、調節環22に挿入され、挿入されたベルト20は調節環22において折り返されている。調節環22は、挿入されたベルト20が接している側と反対側に連結具18が設けられている。連結具18は、例えばバックルが適用される。連結具18は雄型19と雌型21を有する。長さ調節ベルト10の一方の連結具18に雄型19、他方に雌型21が設けられている。ベルト20は、ベース部16に固定された基端30から調節環22で折り返される部分までの範囲が固定端側部26である。自由端側部28は、調節環22で折り返された部分から先端32までの範囲であり、先端32はバッグ本体14に接合されていない。
【0022】
いくつかの実施形態に係る調節環22は、共通して枠部と、軸部と、固定機構とを有する。
図2に示す調節環22は、枠部34と、軸部36と、固定機構としての突出部38とを有する。枠部34は、正面視において矩形状である。軸部36は、ベルト20の短手方向に延び、枠部34のベルト20の長手方向の中央に架け渡されている。
図3に示すように、軸部36の断面形状は、逆台形状である。突出部38は、枠部34の軸部36に対するベルト20の基端30側に設けられており、軸部36に向かって突出している。突出部38は、軸部36の断面形状と相補的な台形状を有している。調節環22は、軸部36に対し突出部38と反対側に連結具18が一体に設けられている。
【0023】
ベルト20の固定端側部26は、軸部36と連結具18の間に挿入され軸部36に掛け回され、さらに軸部36と突出部38の間に挿入される。軸部36と突出部38の間に挿入された自由端側部28は、断面視においてSを描くように、突出部38によって連結具18側へ一旦曲げられた後、基端30側へ折り返される。調節環22の基端30側において、自由端側部28は固定端側部26と厚み方向に重なっている。
【0024】
図4に示すように、ベルト通し環24は、ベルト20の先端32側の端部、すなわち自由端側部28の端部に固定されている。ベルト通し環24は、環状の部材であり、自由端側部28と固定端側部26とが厚み方向に重なった状態で挿入されている。ベルト通し環24において、自由端側部28と固定端側部26とは互いに接しており、さらにベルト通し環24の内面と自由端側部28及び固定端側部26のそれぞれの表面とは互いに接している。
【0025】
ベルト通し環24は、ベルト20の長手方向に沿う方向の長さが、ベルト20の短手方向に沿う方向の長さより長いことが好ましい。
【0026】
ベルト通し環24は、短手方向の一端23側で長手方向に沿って自由端側部28に接合されていることが好ましい。ベルト通し環24は、短手方向の一端23の端部において長手方向に沿って自由端側部28に縫合されている。ベルト20の先端32側の端部、すなわち自由端側部28の端部は、ベルト通し環24から突出している。自由端側部28の端部は、連結具18側へ折り返され厚み方向に互いに接合されている。
【0027】
図5に示すように、ベルト通し環24において、自由端側部28と固定端側部26とは、短手方向にずれた状態で厚み方向に重なっていることが好ましい。すなわち、ベルト通し環24の短手方向の一端23側が自由端側部28の一側表面27及び他側表面29にそれぞれ接合されていることにより、固定端側部26の一端26Aが自由端側部28の一端28Aまで到達せず、自由端側部28の一端28Aが固定端側部26の一端26Aより短手方向へ突出している。固定端側部26と自由端側部28は、短手方向の一端26A,28Aがずれている分だけ、ベルト通し環24の短手方向の他端25において固定端側部26の他端26Bが自由端側部28の他端28Bより短手方向へ突出している。したがってベルト通し環24において、自由端側部28と固定端側部26は、短手方向の一部が互いに接していない。
【0028】
ベルト通し環24は、例えば生地で形成してもよい。生地を構成する繊維は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド繊維のような合成繊維、アセテート繊維のような半合成繊維、綿、麻及び羊毛のような天然繊維を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。本実施形態における生地の形態としては特に限定されず、織物、編物、不織布等、目的に応じていずれの形態でも使用できる。また、ベルト通し環24は、弾性を有する生地で形成してもよい。
【0029】
ベルト20は、先端32を調節環22に通し、当該先端32の端部にベルト通し環24を接合しておき、当該ベルト通し環24に基端30を挿入して、固定端側部26と自由端側部28を重ねた状態とする。ベルト通し環24は、ベルト20の短手方向の一端23側でベルト20の長手方向に沿って自由端側部に接合されていることによって、ベルト通し環24の内面と自由端側部28の一側表面27、及びベルト通し環24の内面と自由端側部28の他側表面29の間のそれぞれが、短手方向において塞がれていない。したがってベルト20は、自由端側部28の一側表面27及び他側表面29のいずれの面側においても固定端側部26をベルト通し環24に挿入することができるので、より製造しやすい。固定端側部26は、ベルト通し環24内を長手方向に移動可能である。固定端側部26と重なった状態の自由端側部28における先端32を含む端部をベルト通し環24から引き出し、ベース部16に固定することによって、ウエストバッグ12を得ることができる。
【0030】
使用者は、バッグ本体14を腰にあて、連結具18を連結することによってウエストバッグ12を装着することができる。長さ調節ベルト10の長さが短い場合、自由端側部28を調節環22へ戻す。自由端側部28を調節環22へ戻した分だけ、固定端側部26が調節環22から繰り出されるので、結果として固定端側部26の長さを長くできる。この際、ベルト通し環24は自由端側部28の端部と共に固定端側部26に沿って連結具18側へ移動する。一方、長さ調節ベルト10の長さが長い場合、自由端側部28を調節環22から引き出す。自由端側部28を調節環22から引出した分だけ、固定端側部26が調節環22へ戻されるので、結果として固定端側部26の長さを短くできる。この際、ベルト通し環24は自由端側部28の端部と共に固定端側部26に沿って連結具18から離れる方向へ移動する。
【0031】
このように使用者は、調節環22に対する自由端側部28の長さを調節することにより、固定端側部26の長さを調節することができる。自由端側部28の先端32側の端部は、ベルト通し環24によって固定端側部26に沿って移動する。したがってベルト20を短くするように調節した結果、調節環22から引き出された自由端側部28が長い場合であっても、自由端側部28が固定端側部26に沿って保持されるので、ベルト20は、自由端側部28が使用者の動作を妨げることを抑制できる。またベルト20を長くするように調節した結果、調節環22から引き出された自由端側部28が短い場合であっても、ベルト通し環24が自由端側部28に接合されているので、ベルト通し環24がベルト20の先端から脱落することが防止される。
【0032】
使用者は、ベルト通し環24から突出している自由端側部28を把持して自由端側部28を調節環22から引出すことができる。したがってベルト20は、自由端側部28の先端32がベルト通し環24から突出していない場合に比べ、自由端側部28を把持して引出しやすいので、より使いやすい。
【0033】
ベルト通し環24は、ベルト20の長手方向に沿う方向の長さが、ベルト20の短手方向に沿う方向の長さより長いことによって、自由端側部28の移動方向が固定端側部26の長手方向に対しずれにくいため自由端側部28を固定端側部26に沿って移動させやすい。したがってベルト20は、よりスムーズに長さを調節できる。
【0034】
調節環22は突出部38によってベルト20を先端32側へ一旦折り曲げた後、連結具18側へ折り返している。これによりベルト20は、突出部38に接することによって長手方向への移動が抑制される。さらに、ベース部16側へ引っ張られた固定端側部26が自由端側部28を突出部38に押し付けることによって自由端側部28を長手方向へ固定し得る。したがってベルト20は、調節環22から引き出された自由端側部28が意図せず戻って固定端側部26がゆるむことを抑制することができる。
【0035】
固定端側部26は自由端側部28に対しベルト20の短手方向の他端側にずれており、固定端側部26と自由端側部28はベルト通し環24において短手方向の一部が互いに接していない。すなわち、ベルト20は、ベルト通し環24において固定端側部26と自由端側部28の接触面積を減らすことができる。したがって短手方向の全部が接している場合に比べ、固定端側部26と自由端側部28の間に生じる摩擦力が小さいので、ベルト20はより小さい力で自由端側部28を固定端側部26に対し移動させることができる。
【0036】
(変形例)
本発明は、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内で適宜変更することができる。
【0037】
一実施形態の場合、対象物がウエストバッグ12である場合、すなわちウエストバッグ12に長さ調節ベルト10を適用した例を説明したが本発明はこれに限らない。長さ調節ベルト10は、ウエストバッグに限らず、ショルダーバッグ、バックパック、衣服やその他物品に適用できる。
【0038】
長さ調節ベルト10は1つの対象物に対し2つ設ける場合に限らない。すなわち長さ調節ベルト10は、1つの対象物に対し1つ設けることとし、対になる他方のベルトは長さが一定であってもよい。
【0039】
固定機構は上記一実施形態に例示した構成に限らない。例えば、固定機構は、突出部38に加え、軸部36が突出部38に向かって移動可能に設けられていてもよい。
【0040】
ベルト通し環24は、ベルト20の短手方向の一端23側でベルト20の長手方向に沿って自由端側部28に接合されている場合に限らない。例えばベルト20の長手方向に交差する方向に沿って自由端側部28に接合されていてもよい。またベルト通し環24は、自由端側部28に縫合されている場合に限らない。例えば、ベルト通し環24は、ベルト通し環24の内面が自由端側部28の一側表面27のみ又は他側表面29のみに接着されていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 調節ベルト
12 ウエストバッグ
14 バッグ本体
16 ベース部
18 連結具
19 雄型
20 ベルト
21 雌型
22 調節環
23 一端
24 ベルト通し環
25 他端
26 固定端側部
26A 一端
26B 他端
27 一側表面
28 自由端側部
28A 一端
28B 他端
29 他側表面
30 基端
32 先端
34 枠部
36 軸部
38 突出部