(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098846
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】容器、カトラリ、及び包装食品
(51)【国際特許分類】
B65D 77/30 20060101AFI20240717BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20240717BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B65D77/30 B
B65D85/50 100
B65D25/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002601
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】大野 行雄
【テーマコード(参考)】
3E035
3E062
3E067
【Fターム(参考)】
3E035BA02
3E035BC01
3E035BC02
3E035BD04
3E062AA03
3E062AB14
3E062AC02
3E062AC05
3E062BA03
3E062BA20
3E062BB02
3E062BB10
3E062JA07
3E062JB04
3E062JB07
3E062JC02
3E062JD02
3E067AB01
3E067BA06A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BC02A
3E067CA07
3E067EE23
(57)【要約】
【課題】ユーザが樹脂フィルムを直接的に手指で摘んで容器から剥がす必要のない容器、カトラリ、及び包装食品を提供する。
【解決手段】紙製又は紙を主体とする材料製の容器本体2の規定された面に樹脂フィルム3が接合された容器1において、カトラリ5と係合可能な係合部4を容器本体2から突出するように樹脂フィルム3に一体的に形成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製又は紙を主体とする材料製の容器本体の規定された面に樹脂フィルムが接合された容器において、
前記樹脂フィルムには、カトラリと係合可能な係合部が前記容器本体から突出するように一体的に形成された、容器。
【請求項2】
前記係合部は、前記樹脂フィルムの一部である、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記係合部には、前記容器本体に接合される部分の前記樹脂フィルムより厚さの大きい厚手部が設けられた、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記厚手部は、前記係合部の突出先方に向けて次第に厚さが小さく設定された、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記係合部には、前記カトラリを差し込み可能な凹陥部又は筒状部が形成された、請求項2に記載の容器。
【請求項6】
請求項2に記載の係合部を差し込み可能な係合受け部が形成された、カトラリ。
【請求項7】
前記係合部を挟着可能な挟着構造及び係止可能な係止構造の少なくとも一方が前記係合受け部に形成された、請求項6に記載のカトラリ。
【請求項8】
請求項1~5の何れかに記載された容器と、請求項6又は請求項7に記載のカトラリとを備え、前記容器内に食品を収容した上で前記カトラリと共に包材で包装された包装食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、カトラリ、及び包装食品、特に紙製又は紙を主体とする材料製の容器の規定された面に樹脂フィルムが接合されているものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、お弁当の食品を収容する容器として、紙製又は紙を主体とする材料製の容器本体の内側面に樹脂フィルムが接合されたものがある。すなわち、容器の内側面は樹脂フィルムで覆われている。このような容器では、使用後、容器の内側に接合されている樹脂フィルムを剥がし、紙製又は紙を主体とする材料製の容器本体をリサイクルすることができる。下記特許文献1では、容器から樹脂フィルムを剥離するのに適した樹脂フィルムと容器本体の接合強度を規定している。また、下記特許文献2では、ユーザが容器から樹脂フィルムを剥がす際の摘み部として樹脂フィルムの一部にフィンが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-113439号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第4053029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、ユーザが摘み易い摘み部を樹脂フィルムに設け、容器から樹脂フィルムを剥がし易い容器本体との接合強度を設定すれば、或る程度、樹脂フィルムを手指で剥がし易くすることは可能である。しかしながら、商品性の面から摘み部の大きさ(面積、厚さ)が規制される場合もある(すなわち摘みにくい)。また、食材の油脂分などが摘み部に付着すると、滑って樹脂フィルムが剥がしにくくなることもある。また、樹脂フィルムの剥離中に食材などの内容物が手指に付着してしまうおそれもある。すなわち、ユーザが樹脂フィルム(の一部)を直接的に手指で摘んで容器から剥がす諸問題を回避可能な容器が望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが樹脂フィルムを直接的に手指で摘んで容器から剥がす必要のない容器、カトラリ、及び包装食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る容器は、紙製又は紙を主体とする材料製の容器本体の規定された面に樹脂フィルムが接合された容器において、前記樹脂フィルムには、カトラリと係合可能な係合部が前記容器本体から突出するように一体的に形成されたことを要旨とする。
また、本発明の一態様に係るカトラリは、前記係合部を挟着可能な挟着構造及び係止可能な係止構造の少なくとも一方が前記係合受け部に形成されたことを要旨とする。
【0007】
また、本発明の一態様に係る包装食品は、前記容器と前記カトラリとを備え、前記容器内に食品を収容した上で前記カトラリと共に包材で包装されたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、係合部をカトラリに係合せしめた後、カトラリを回転させることで樹脂フィルムをカトラリに巻き付けながら容器本体から剥がすことができるので、ユーザが樹脂フィルムを直接的に手指で摘んで容器から剥がす際の諸問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の容器、カトラリ、及び包装食品の一実施形態を示す使用後の容器及びカトラリの斜視図である。
【
図2】
図1の容器から樹脂フィルムを剥がす手順の説明図である。
【
図3】
図1の容器から樹脂フィルムを剥がす手順の説明図である。
【
図4】
図1の容器から樹脂フィルムを剥がす手順の説明図である。
【
図5】
図1の容器から樹脂フィルムを剥がす手順の説明図である。
【
図6】
図1の容器から樹脂フィルムを剥がす手順の説明図である。
【
図7】
図1の容器における係合部の第1変形例を示す斜視図である。
【
図8】
図1の容器における係合部の第2変形例を示す説明図である。
【
図9】
図1の容器における係合部の第3変形例を示す斜視図である。
【
図11】
図1の容器における係合部の第4変形例を示す斜視図である。
【
図13】
図1のカトラリの第1変形例を示す斜視図である。
【
図14】
図1のカトラリの第2変形例を示す斜視図である。
【
図15】
図1のカトラリの第3変形例を示す斜視図である。
【
図16】
図1の係合受け部の第1変形例を示す斜視図である。
【
図17】
図1の係合受け部の第2変形例を示す斜視図である。
【
図18】
図1の係合受け部の第3変形例を示す斜視図である。
【
図19】
図1のカトラリの他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の容器、カトラリ、及び包装食品の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚さと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0011】
図1は、容器1、カトラリ5、及び包装食品の一実施形態を示す使用後の容器1及びカトラリ5の斜視図である。この容器1は、例えば、お弁当の食品を内側に収容した状態で、図示するカトラリ5、ここではスプーン5aと一緒に、図示しない包材で包装された包装食品に用いられていたものであり、包材や蓋などが破棄された状態を示している。容器1は、平面視長方形の底部1aと、底部1aの四辺から外側斜め上方に立ち上げられた壁部1bを備え、全体が下向きの四角錘台形状とされ、上部が開放されている。したがって、容器1の窪んだ内側部分が収容部となり、この収容部にお弁当の食品を収容し、上部が蓋で覆われる。この容器1は、容器1の外側部分を構成する容器本体2の内側面全面に樹脂フィルム3が接合されている(図の網掛けが樹脂フィルム3を表す)。容器本体2は、紙製又は紙を主体とする材料製である。樹脂フィルム3は、内容物の液体分(液体の蒸気なども含む)の通過を遮断することができるので、紙製又は紙を主体とする材料製の容器本体2を液体分から保護することができる。スプーン5aは、例えば樹脂製であり、食品を掬うつぼ5151と手指で握る柄52を備えており、後述するように、柄52の部分に、容器1の樹脂フィルム3を絡ませるための係合受け部6がスリット状に形成されている。
【0012】
容器本体2は、上記特許文献1にも記載されるように、紙製又は紙を主体とする材料製のブランクを折り曲げ、必要箇所を接合して組み立てられる。樹脂フィルム3は、上記特許文献1にも記載されるように、容器本体2の組み立て後に内側面にあてがわれ、容器本体2の外側から真空引きして容器本体2の内側面に密着され、その際に、例えば、熱溶着によって容器本体2の内側面に接合される。この実施形態では、容器1の使用後、容器本体2の紙又は紙を主体とする材料の部分だけを残して樹脂フィルム3を剥離し、残りの部分(=容器本体2)をリサイクルすることを目的としている。樹脂フィルム3が予め接合されたシート材からなるブランクを折り曲げ、必要箇所を接合して容器1を組み立てると、例えばのりしろとして重ね合わせられる部分に樹脂フィルム3が入り込むことがある。そして、そのようになると樹脂フィルム3を完全に除去して紙又は紙を主体とする材料の部分だけにすることができない。したがって、紙製又は紙を主体とする材料製の容器本体2を組み立てた後、その内側面に樹脂フィルム3を接合することが好ましい。
【0013】
この実施形態では、樹脂フィルム3と一体的に係合部4が形成されている。この係合部4は、カトラリ5であるスプーン5aと係合可能とされる部分であり、樹脂フィルム3の一部を容器本体2からはみ出させて係合部4が形成されている。すなわち、係合部4は樹脂フィルム3の一部で構成されている。この実施形態では、平面視長方形の容器本体2の一方の短辺部分の壁部1bの中央部から容器1の外側に舌状に突出するように係合部4が設けられている。この舌状の係合部4は、例えば、スプーン5aの柄52に巻き付け可能な寸法以上の寸度で容器1から突出され、その幅は、スプーン5aの柄52に設けられたスリット状の係合受け部6の長さより少し小さく設定されている。したがって、この係合部4はスプーン5aの柄52に設けられているスリット状の係合受け部6内に差し込むことができる。スリット状の係合受け部6は、スプーン5aの柄52の長手方向に伸長するように柄52の幅の中央部に設けられている。なお、この実施形態の樹脂フィルム3は十分に薄い。また、後述するように、この係合部4は、樹脂フィルム3をスプーン5a(カトラリ5)に巻き付けて容器1から剥がすためにスプーン5aと樹脂フィルム3を結合するためのものであるので、樹脂フィルム3と一体的に設けられていれば、樹脂フィルム3そのものでなくともよい。
【0014】
次に、スプーン5aで容器1の樹脂フィルム3を剥がす要領について、
図2~
図6を用いて説明する。まず、
図2に示すように、容器本体2から舌状に突出している係合部4の先端部を、スプーン5aの柄52に設けられているスリット状の係合受け部6内に差し込む。係合部4が係合受け部6内に十分差し込まれたら、例えば差し込まれた係合部4が係合受け部6から突出している部分をスプーン5aの柄52に手指で押さえ付けるようにしながら、スプーン5aの柄52の長手方向を回転軸とするようにしてスプーン5aの柄52を持っている手指でスプーン5aを回転させる。これにより、
図3に示すように、係合部4側の樹脂フィルム3がスプーン5aの柄52の部分に巻き付き、巻き取られるようにして樹脂フィルム3が容器1から剥がされる。このスプーン5aの回転を連続すると、
図4に示すように、樹脂フィルム3がスプーン5aの周りに巻き取られ、
図5に示すように、樹脂フィルム3が容器1から次々と引き剥がされる。これを、係合部4が設けられていた容器1の一方の短辺と反対側の短辺まで続けることで、
図6に示すように、全ての樹脂フィルム3がスプーン5aの周りに巻き取られて容器1から樹脂フィルム3が完全に剥がされる。この実施形態では、樹脂フィルム3が剥がされた後には、紙製又は紙を主体とする材料製の容器本体2のみが残る。したがって、残った紙製又は紙を主体とする材料製の容器本体2をリサイクルに回す。
【0015】
このように、この実施形態の樹脂フィルム3の容器1からの剥離方法では、樹脂フィルム3(の一部)を直接的に手指で摘んで容器1から剥がす必要がないので、それに伴う諸問題を回避することができる。なお、この実施形態では、このようにスプーン5aの周りに樹脂フィルム3を巻き付けて次々と巻き取ってゆくので、樹脂フィルム3は、巻き取りに際してやや伸びながら巻き取られ且つ巻き戻りにくい特性のものが好ましい。また、係合部4の形成箇所は、上記に限定されないが、例えば、平面視長方形の容器1の短辺の中央部に設けることによって、樹脂フィルム3の巻き取り幅(カトラリ5=スプーン5aに巻き付けられる長さ)を小さくすることができる。このカトラリ5への樹脂フィルム3の巻き取り幅が大きくなると、巻き取っている樹脂フィルム3がカトラリ5を把持している手指側に接近したり或いは手指に接触したりする可能性がある。この実施形態の樹脂フィルム3は、お弁当の食品に当接されていたので、樹脂フィルム3が手指に接触すると、残った食品の内容物、例えば汁などが手指に付着するなど、手指を汚損するおそれがある。カトラリ5への樹脂フィルム3の巻き取り幅を小さくすることにより、こうした問題を回避することができる。
【0016】
このように、この実施形態の容器1では、スプーン5a(カトラリ5)と係合可能な係合部4を容器本体2から突出するように樹脂フィルム3に一体的に形成したことにより、この係合部4をスプーン5a(の係合受け部6)と係合させて樹脂フィルム3を容器1から巻き取って剥がすことができるので、樹脂フィルム3を直接的に手指で摘んで容器1から剥がす必要がなく、それに伴う諸問題を回避することができる。
【0017】
また、係合部4を樹脂フィルム3の一部で構成することにより、個別の係合部4を樹脂フィルム3に固着する必要がなく、係合部4の作成が容易であると共に、係合部4は樹脂フィルム3から容易には外れないことから樹脂フィルム3を確実に容器1から剥がすことができる。
また、樹脂フィルム3の係合部4を差し込み可能な係合受け部6をスプーン5aに形成したことにより、係合部4を係合受け部6内に差し込んでスプーン5aを回転させるだけで、樹脂フィルム3を容器1から剥がすことが可能となる。
【0018】
次に、
図1の係合部4の第1変形例について
図7を用いて説明する。以下の図面では、容器1や容器本体2は図示せず、樹脂フィルム3のみを図示する。この第1変形例では、係合部4の厚さを、樹脂フィルム3の容器本体2に接合される部分の厚さよりも大きくして厚手部7を形成した。この例では、係合部4の突出先端部のみを図の下方のみに厚くして厚手部7とし、基部は樹脂フィルム3と同等の厚さにしている。前述のように、容器本体2に接合される樹脂フィルム3そのものは薄い。係合部4の厚さが、容器本体2に接合される樹脂フィルム3と同等であると、係合部4の剛性が小さくて、いわゆる腰がなく、スリット状の係合受け部6に差し込みにくい。そこで、係合部4に厚さの大きい厚手部7を設けることにより係合部4の剛性を大きくし、スリット状の係合受け部6に差し込み易くなる。また、係合部4の突出先端部のみに厚手部7を形成することにより、樹脂フィルム3と厚さが同等の部分と段差ができる。したがって、厚手部7をスリット状の係合受け部6に貫通させてしまうと、この段差がスリット状の係合受け部6の周囲に引っ掛かって抜けにくくなるというメリットもある。
【0019】
このように、この実施形態の容器1では、容器本体2に接合される部分の樹脂フィルム3より厚さの大きい厚手部7を係合部4に形成したことにより、スリット状の係合受け部6に係合部4を差し込み易くなると共に、差し込んだ後に係合部4が係合受け部6から抜けるのを抑止することができる。
次に、
図1の係合部4の第2変形例について
図8を用いて説明する。この第2変形例では、上記第1変形例と同様に、係合部4の突出先端部の厚さを、樹脂フィルム3の容器本体2に接合される部分の厚さよりも図の下方に大きくして厚手部7を形成するのであるが、この例では、
図8aに示すように、係合部4の突出先方に向けて次第に厚手部7の厚さを小さくしている。前述のように、厚手部7は、係合部4の腰のなさを補ってスリット状の係合受け部6に差し込み易くするものであるが、突出先端部の厚さが大きい(大き過ぎる)と、狭いスリット状の係合受け部6に差し込みにくいというトレードオフが生じる。そこで、この例では、厚手部7の先端部の厚さを小さくすることにより、
図8bに示すように、スリット状の係合受け部6に差し込み易くすると共に、厚手部7全体としての剛性は維持して厚手部7を取り扱い易くした。また、係合部4の基部側の厚手部7の厚さを十分に大きくすることにより、
図8bに示すように、係合部4の厚さの小さい部分との段差を大きくすることができ、これにより差し込まれた係合部4がスリット状の係合受け部6から抜けるのを確実に抑止することができる。
【0020】
このように、この実施形態の容器1では、係合部4の突出先方に向けて次第に厚手部7の厚さを小さくしたことにより、スリット状の係合受け部6に係合部4を差し込み易さと、係合受け部6への差し込み時の係合部4の取り扱い易さを両立することができる。
次に、
図1の係合部4の第3変形例について
図9を用いて説明する。この第3変形例では、係合部4の突出先端部に凹陥部として貫通穴8を形成した。この例の貫通穴8は、円形であり、スプーン5a(カトラリ5)の柄52を差し込むことができる大きさとしている。また、この例では、係合部4の容器1からの突出寸度を
図1のものよりやや大きくしている。この係合部4を用いた樹脂フィルム3の剥離時の巻取り開始時の手順の一例について
図10を用いて説明する。この例では、
図10aに示すように、まずスプーン5aの柄52を係合部4の貫通穴8に挿通する。貫通穴8にはスプーン5aの柄52を十分に挿通させることが望ましい。このように係合部4の貫通穴8にスプーン5aの柄52を差し込んだら、次いで
図10bに示すように、係合部4の突出方向を回転軸とするようにしてスプーン5aを回転させると、樹脂フィルム3からなる係合部4が捩じれてスプーン5aの柄52に摩擦力で係止する。このように係合部4がスプーン5aの柄52に係止されたら、
図3と同様に、今度はスプーン5aの柄52の長手方向を回転軸とするようにしてスプーン5aを回転させると、
図10cに示すように、係合部4の樹脂フィルム3がスプーン5aの柄52に巻き付き、樹脂フィルム3の巻き取りが開始される。
【0021】
次に、
図1の係合部4の第4変形例について
図11を用いて説明する。この第4変形例では、係合部4の突出先端部に筒状部9を形成した。この筒状部9は、樹脂フィルム3からなる係合部4の突出先端部を基部側に巻き返すようにして所定内径の円筒状に巻回し、重合部分を互いに接合して形成されている。この係合部4を用いた樹脂フィルム3の剥離時の巻取り開始時の手順の一例について
図12を用いて説明する。この例では、
図11aに示すように、カトラリ5としてフォーク5bを用いた。そしてまず、同図に示すように、係合部4の突出先端部に形成された筒状部9内にフォーク5bの複数の枝(爪)53を挿入する。このように筒状部9内にフォーク5bの複数の枝53を挿入したら、
図3と同様に、フォーク5bの柄52の長手方向を回転軸とするようにしてフォーク5bを回転させると、
図11bに示すように、係合部4の樹脂フィルム3がフォーク5bの柄52に巻き付き、樹脂フィルム3の巻き取りが開始される。
【0022】
このように、これらの実施形態では、カトラリ5を差し込み可能な貫通穴(凹陥部)8又は筒状部9を係合部4に形成したことにより、これらの貫通穴8や筒状部9にカトラリ5(の一部)を差し込んだ後、カトラリ5を回転させることで樹脂フィルム3を容器1から容易に剥がし始めることができる。
次に、
図1のカトラリ5(スプーン5a)の第1変形例について
図13を用いて説明する。このスプーン5aのつぼ51、柄52、係合受け部6の構成は、
図1のものと同様である。この第1変形例のスプーン5aでも、柄52にスリット状の係合受け部6が設けられているが、この例では、この係合受け部6が設けられている近傍において柄52の幅を小さく設定して幅狭部21が形成されている。スリット状の係合受け部6内に樹脂フィルム3の係合部4を差し込み、スプーン5aを回転させて樹脂フィルム3を柄52に巻き付ける際、樹脂フィルム3が滑って巻き付かせにくいことがある。
図1の実施形態のように、スプーン5aの柄52に樹脂フィルム3を巻き付ける場合には、係合部4を含めて樹脂フィルム3が柄52に1回巻き付けられれば、樹脂フィルム3の滑りが抑止され、その後は容易に樹脂フィルム3を巻き取ることができる。そこで、この例では、スリット状の係合受け部6の近傍の柄52の幅を小さくして幅狭部21とすることによって、係合部4を含めた樹脂フィルム3をより短い寸法で柄52に1回巻き付けられるようにし、これにより樹脂フィルム3の滑りをより早く抑止して巻き取りできるようにした。
【0023】
次に、
図1のカトラリ5(スプーン5a)の第2変形例について
図14を用いて説明する。このスプーン5aのつぼ51、柄52、係合受け部6の構成は、
図1のものと同様である。この第2変形例のスプーン5aでは、柄52のつぼ51と反対側の端部寄りに、柄52の幅方向両側に突出する鍔状の規制部22を柄52と一体に形成している。
図1の実施形態のように、スプーン5aの柄52に樹脂フィルム3を巻き付ける場合には、凡そ柄52のつぼ51と反対側の端部を手指で把持してスプーン5aを回すが、樹脂フィルム3の巻き取り幅が大きくなり、柄52を把持している手指側に巻き取られた樹脂フィルム3が接近し、場合によっては手指に接触するおそれがある。お弁当の容器1の内側に接合されている樹脂フィルム3には、汁などの内容物が付着していることもあり、それが手指に付着して手指を汚損するおそれがある。そこで、鍔状の規制部22を柄52に設けることで、この規制部22を乗り越えて巻き取られた樹脂フィルム3が手指側に接近するのを防止し、もって手指の汚損を回避することができる。
【0024】
次に、
図1のカトラリ5(スプーン5a)の第3変形例について
図15を用いて説明する。このスプーン5aのつぼ51、柄52、係合受け部6の構成は、
図1のものと同様である。この第3変形例のスプーン5aでは、柄52のつぼ51と反対側の端部を平面視略円形状に幅広にして、この幅広の回転用把持部23を柄52と一体に形成している。
図1の実施形態のように、スプーン5aの柄52に樹脂フィルム3を巻き付ける場合には、前述のように、凡そ柄52のつぼ51と反対側の端部を手指で把持してスプーン5aを回す。そこで、この柄52のつぼ51と反対側の端部を幅広の回転用把持部23とすることで、スプーン5aを回転させる力(トルク)をかけやすくすることができ、もって樹脂フィルム3を容易に柄52に巻き付けて巻き取ることができる。
【0025】
次に、
図1のカトラリ5(スプーン5a)の係合受け部6の第1変形例について
図16を用いて説明する。このスプーン5aのつぼ51、柄52の構成は、
図1のものと同様である。この第1変形例の係合受け部6は、スプーン5aの柄52の伸長方向に沿って長手な貫通穴で構成されるが、例えば、つぼ51と反対側(右側)は幅広で且つつぼ51側(左側)に向けて次第に先細りとし、平面視で高さの大きい細長の二等辺三角形の三角貫通穴10とされている。この係合受け部6では、例えば、樹脂フィルム3からなる係合部4を三角貫通穴10の右側の幅広の部分に差し込み、その後、係合部4を左側にスライドさせると、係合部4が三角貫通穴10の左側の狭い尖端部、すなわち二等辺三角形の頂角部に挟着される。前述のように、スプーン5aを回転させて樹脂フィルム3を柄52に巻き付ける際、係合部4(樹脂フィルム3)が滑って巻き取りにくいことがある。これに対し、係合部4を係合受け部6で挟着すれば、係合部4(樹脂フィルム3)の滑りが抑止され、その後は容易に樹脂フィルム3を巻き取ることができる。すなわち、この実施形態では、三角貫通穴10からなる係合受け部6の尖端部が挟着構造を構成している。
【0026】
次に、
図1のカトラリ5(スプーン5a)の係合受け部6の第2変形例について
図17を用いて説明する。このスプーン5aのつぼ51、柄52の構成は、
図1のものと同様である。この第2変形例の係合受け部6は、スプーン5aの柄52の伸長方向に沿って長手なやや幅広の長方形の方形貫通穴11で構成されるが、図の下方の長辺から複数(図では4つ)の係止爪12が反対側の長辺に向けて等間隔で突設されている。各係止爪12は、平面視直角三角形で、突出先端は鋭利に形成されている。また、係止爪12の先端と方形貫通穴11の反対側の長辺との間には、所定の幅の空間部(隙間)11aが設けられている。この係合受け部6では、係止爪12の先端と方形貫通穴11の隙間11aに樹脂フィルム3の係合部4を差し込んだ後、係合部4に係止爪12を突き刺すと、係合部4(樹脂フィルム3)が係止爪12に係止される。係合部4に係止爪12を突き刺さなくとも、係合部4を係止爪12に引っ掛けるようにすれば、同様に係合部4(樹脂フィルム3)が係止爪12に係止される。このように係合部4(樹脂フィルム3)が係止爪12に係止されたら、スプーン5aを回転させて樹脂フィルム3を柄52に巻き付け、樹脂フィルム3を容易に巻き取ることができる。すなわち、この実施形態では、係止爪12が係止構造を構成している。
【0027】
次に、
図1のカトラリ5(スプーン5a)の係合受け部6の第3変形例について
図18を用いて説明する。このスプーン5aのつぼ51、柄52の構成は、
図1のものと同様である。この第3変形例の係合受け部6は、スプーン5aの柄52の伸長方向に沿って長手なやや幅広の長方形の方形貫通穴11と、この方形貫通穴11に隣設された円形の円形貫通穴13を備えて構成され、方形貫通穴11と円形貫通穴13の連接部には方形貫通穴11の長方形の両長辺から円形貫通穴13の円の中心に向かうテーパ面が形成され、長方形の断面が絞られて狭小部14が形成されている。また、円形貫通穴13の周縁からは円の中心に向けて複数の係止爪12が等間隔で突設されており、各係止爪12は平面視二等辺三角形で先端は鋭利に形成されている。この係合受け部6では、先に方形貫通穴11の部分に係合部4を差し込んだ後、反対側に突出している係合部4を手指で摘んで円形貫通穴13の方向に移動すると、係合部4が狭小部14で絞られながら円形貫通穴13内に押し込まれる。この円形貫通穴13の周縁からは複数の鋭利な係止爪12が突設されているので、円形貫通穴13内に押し込まれた係合部4に係止爪12が突き刺さるか、又は、引っかかって係合部4が係止爪12に係止される。このように係合部4(樹脂フィルム3)が係止爪12に係止されたら、スプーン5aを回転させて樹脂フィルム3を柄52に巻き付け、樹脂フィルム3を容易に巻き取ることができる。すなわち、この実施形態では、円形貫通穴13及び係止爪12が挟着構造及び係止構造を構成している。
【0028】
次に、
図1のカトラリ5(スプーン5a)の他の実施形態について
図19、20を用いて説明する。
図19は、この実施形態のスプーン5aを示す斜視図であり、
図20は、
図19のカトラリ5の係合受け部6の三面図であって
図20aは平面図、
図20bは正面図である。この実施形態では、係合受け部6として、スプーン5aの柄52の幅方向中央部に挟着係止アーム15が設けられている。この実施形態のスプーン5aは、弾性を有する樹脂などで構成され、挟着係止アーム15は、柄52の幅方向中央部をコ字状(逆コ字状)の狭いコ字状スリット16で分断して形成されており、
図19の右端を支点として図の上下方向に回転可能に構成されている。また、この挟着係止アーム15の上面左端部には引張突子17が上向きに突設されると共に上面右寄り部分には押圧突部18が上向きに突設されている。したがって、
図20bに示すように、挟着係止アーム15の押圧突部18を手指で下方に押圧すると、
図21に示すように挟着アーム15が右端を支点として下向きに回転し、挟着係止アーム15の上側と柄52の間に隙間ができる。そこで、この隙間に係合部4(樹脂フィルム3)を差し込んで手指を離すと、挟着係止アーム15の弾性によって
図20bの位置に復元する。その結果、係合部4(樹脂フィルム3)が挟着係止アーム15の引張突子17によって上方に引っ張られると共にコ字状スリット16に挟まれる。これにより、係合部4(樹脂フィルム3)はコ字状スリット16内で挟着されつつ引張突子17による引張力で係止される。このように係合部4(樹脂フィルム3)が挟着係止アーム15とコ字状スリット16に挟着及び係止されたら、スプーン5aを回転させて樹脂フィルム3を柄52に巻き付け、樹脂フィルム3を容易に巻き取ることができる。すなわち、この実施形態では、挟着係止アーム15とコ字状スリット16が挟着構造及び係止構造を構成している。
【0029】
このように、これらの実施形態では、係合部4を挟着可能な挟着構造及び係止可能な係止構造の少なくとも一方が係合受け部6に形成されているので、スプーン5a(カトラリ5)を回転させて樹脂フィルム3を巻き付けるのが容易になり、結果的に樹脂フィルム3を容易に巻き取って容器1から剥がすことができる。
以上、実施形態に係る容器1、カトラリ5、及び包装食品について説明したが、本件発明は、上記実施形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明の容器1をお弁当の包装食品に使用された例についてのみ説明したが、容器1に収容されるものは如何様なものであってもよい。本発明は、カトラリ5を用いて容器1の樹脂フィルム3を剥がすことを前提としているので、上記実施形態では、カトラリ5と一緒に包装可能な容器1として成立し易いお弁当を例として説明した。
【0030】
同様に、容器1の形状も上記実施形態のものに限定されるものではなく、容器1として機能するものであれば、如何様な形状のものであってもよい。また、カトラリ5も、上記スプーン5aやフォーク5bに限定されるものではなく、箸やトングなど、如何様なものであってもよい。カトラリは、洋食では食卓で使われる「ナイフ、フォーク、スプーン」などの主に刃物を中心とした道具を指すが、ここでは、広く、木製のサーバーやトング、箸なども含めた食事に用いる道具類を意図する。
【符号の説明】
【0031】
1 容器
2 容器本体
3 樹脂フィルム
4 係合部
5 カトラリ
5a スプーン(カトラリ)
5b フォーク(カトラリ)
6 係合受け部
7 厚手部
8 貫通穴(凹陥部)
9 筒状部
10 三角貫通穴(挟着構造)
12 係止爪(係止構造)
13 円形貫通穴(挟着構造)
15 挟着係止アーム(挟着構造、係止構造)
16 コ字状スリット(挟着構造、係止構造)