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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098854
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】ハンダ付け装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/06 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B23K3/06 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002616
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】390014834
【氏名又は名称】株式会社ジャパンユニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】酒川 友一
(72)【発明者】
【氏名】山口 真哉
(57)【要約】
【課題】ハンダノズルを変位させることによってハンダ供給部位に対する線状ハンダの供給位置を自動的に調整することが可能なハンダ付け装置を提供する。
【解決手段】ハンダ付け装置50が、ハンダ供給部位57に線状ハンダ59を供給するためのハンダノズル7を電動アクチュエータ5a,5bで変位させることによりハンダ供給位置を自動調整可能なるように構成されたハンダノズルユニット1A,1Bと、前記電動アクチュエータ5a,5bを操作するための制御装置52とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンダ供給部位に線状ハンダを供給するためのハンダノズルを電動アクチュエータで変位させることによりハンダ供給位置を自動調整可能なるように構成されたハンダノズルユニットと、前記電動アクチュエータを操作するための制御装置とを有することを特徴とするハンダ付け装置。
【請求項2】
前記ハンダ付け装置は、前記ハンダ供給部位の画像を撮像するためのCCDカメラを有し、
前記制御装置は、前記CCDカメラの画像から、前記ハンダ供給部位とハンダノズルとの位置関係が初期登録時の状態からずれている場合は、前記電動アクチュエータを操作して前記ハンダノズルを変位させることにより、該ハンダノズルと前記ハンダ供給部位との位置関係を初期登録時の状態に補正するように設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のハンダ付け装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記ハンダ供給部位に線状ハンダを供給する際に、前記電動アクチュエータを操作することにより前記ハンダノズルを前記ハンダ供給部位に沿って変位させながら前記線状ハンダを供給するように設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のハンダ付け装置。
【請求項4】
前記ハンダノズルユニットは、
相互間に間隔を保った状態に配設され、互いに接近又は離隔する方向及び互いに傾斜する方向に相対的に変位自在の2つのベース、
前記2つのベースを、中心より側端部寄りの位置で、両ベースに互いに引き寄せ合う方向の引張力が作用するように連結する複数の連結要素、
モータと該モータの回転により伸縮するシャフトとを有し、前記2つのベースの一方に搭載されて前記シャフトが他方のベースに当接し、該シャフトの伸縮により前記2つのベースを相対的に変位させる少なくとも1つの前記電動アクチュエータ、
前記2つのベースが相対的に変位する際の支点を形成する支点要素、
前記2つのベースの一方に取り付けられて該ベースと一体に変位する前記ハンダノズル、
を有することを特徴とする請求項1に記載のハンダ付け装置。
【請求項5】
前記2つのベースの一方は、前記ハンダ付けヘッドに取り付けるための固定ベース、他方は該固定ベースに対して変位可能な可変ベースであり、
前記可変ベースに、前記電動アクチュエータが搭載されると共に前記ハンダノズルが取り付けられ、
前記固定ベースに、前記ハンダノズルが変位可能なるように挿通する逃げ穴が形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のハンダ付け装置。
【請求項6】
2つの電動アクチュエータと1つの支点要素と複数の連結要素とを有し、
前記2つの電動アクチュエータは、前記可変ベースの中心を曲率中心とする半円周の両端位置に搭載され、
前記支点要素は、前記半円周の中間位置に配設され、
前記連結要素は、前記支点要素と前記半円周の一端に位置する第1電動アクチュエータとの間、及び、前記支点要素と前記半円周の他端に位置する第2電動アクチュエータとの間に、それぞれ一つ以上且つ違いに同数配設されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のハンダ付け装置。
【請求項7】
3つの電動アクチュエータと、複数の連結要素とを有し、
前記3つの電動アクチュエータは、前記可変ベースの中心を曲率中心とする半円周の両端位置と中間位置とに搭載され、
前記連結要素は、前記半円周の中間に位置する第3電動アクチュエータと前記半円周の一端に位置する第1電動アクチュエータとの間、及び、前記第3電動アクチュエータと前記半円周の他端に位置する第2電動アクチュエータとの間に、それぞれ一つ以上且つ違いに同数配設されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のハンダ付け装置。
【請求項8】
前記連結要素はコイル状の引っ張りばねからなり、該引っ張りばねは、一端及び他端のフックを前記固定ベースと可変ベースとにそれぞれ係止させることにより、両ベースを相互に連結していることを特徴とする請求項4から7の何れかに記載のハンダ付け装置。
【請求項9】
前記固定ベース及び可変ベースに、前記引っ張りばねが嵌合する複数のばね収容孔がそれぞれ形成されると共に、該複数のばね収容孔に跨がるように延在するばね係止ピンがそれぞれ取り付けられ、該ばね係止ピンに前記引っ張りばねのフックが係止していることを特徴とする請求項8に記載のハンダ付け装置。
【請求項10】
前記支点要素はプランジャーからなり、該プランジャーは、外周に螺子が設けられた筒状のボディと該ボディの先端に設けられたボールとを有するボールプランジャーであり、該プランジャーは、前記ボディが一方のベースに回転により位置調整可能なるように螺着され、先端のボールが他方のベースに該ベースに設けられた凹部の位置で当接していることを特徴とする請求項4から7の何れかに記載のハンダ付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハンダ付け装置に関するものであり、更に詳しくは、ハンダ供給位置を自動調整可能なハンダ付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
線状ハンダ(糸ハンダ)を用いて基板と電子部品とをハンダ付けするハンダ付け装置には、例えば特許文献1に記載されているようにハンダ鏝を使用するものと、特許文献2に記載されているようにレーザー光を使用するものとがある。どちらのハンダ付け装置においても、前記線状ハンダをハンダ鏝の鏝先又はハンダ付け部位等の供給対象に供給するため、前記ハンダ鏝又はレーザー光照射口を有するハンダ付けヘッドにハンダノズルが取り付けられ、このハンダノズルを通じて線状ハンダを前記供給対象に向けて供給するように構成されている。
【0003】
ところが、前記特許文献1,2に記載のものを含む従来のハンダ付け装置においては、前記ハンダノズルがハンダ付けヘッドに、螺子で連結された複数の部品からなる支持アームを介して取り付けられているため、ハンダ付けを行う前のティーチング時や定期的に行うメンテナンス時等に、ハンダノズルの向きや位置等を調整する必要がある場合に、前記複数の部品を連結する複数の螺子を工具で緩め、各部品の向きや角度及び位置等を調整して前記ハンダノズルを正しい方向に向けたあと、各螺子を締め付けて前記ハンダノズルをその向き及び位置に固定する必要があり、その際、それらの作業を全て手作業で行わなければならないため、作業が非常に煩雑であると共に、前記螺子を締め付ける際に、摩擦力等で部品が位置ずれを生じてハンダノズルの向きが狂い易く、調整精度を維持するのが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-238308号公報
【特許文献2】特開2005-254299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、ハンダノズルを変位させることによってハンダ供給部位に対する線状ハンダの供給位置を自動的に調整することが可能なハンダ付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明によれば、ハンダ供給部位に線状ハンダを供給するためのハンダノズルを電動アクチュエータで変位させることによりハンダ供給位置を自動調整可能なるように構成されたハンダノズルユニットと、前記電動アクチュエータを操作するための制御装置とを有することを特徴とするハンダ付け装置が提供される。
【0007】
本発明の一つの実施態様によれば、前記ハンダ付け装置は、前記ハンダ供給部位の画像を撮像するためのCCDカメラを有し、前記制御装置は、前記CCDカメラの画像から、前記ハンダ供給部位とハンダノズルとの位置関係が初期登録時の状態からずれている場合は、前記電動アクチュエータを操作して前記ハンダノズルを変位させることにより、該ハンダノズルと前記ハンダ供給部位との位置関係を初期登録時の状態に補正するように設定されている。
【0008】
本発明の他の実施態様によれば、前記ハンダ付け装置は、前記ハンダ供給部位に線状ハンダを供給する際に、前記電動アクチュエータを操作することにより前記ハンダノズルを前記ハンダ供給部位に沿って変位させながら前記線状ハンダを供給するように設定されている。
【0009】
本発明において、前記ハンダノズルユニットは、相互間に間隔を保った状態に配設され、互いに接近又は離隔する方向及び互いに傾斜する方向に相対的に変位自在の2つのベース、前記2つのベースを、中心より側端部寄りの位置で、両ベースに互いに引き寄せ合う方向の引張力が作用するように連結する複数の連結要素、モータと該モータの回転により伸縮するシャフトとを有し、前記2つのベースの一方に搭載されて前記シャフトが他方のベースに当接し、該シャフトの伸縮により前記2つのベースを相対的に変位させる少なくとも1つの前記電動アクチュエータ、前記2つのベースが相対的に変位する際の支点を形成する支点要素、前記2つのベースの一方に取り付けられて該ベースと一体に変位する前記ハンダノズルを有する。
【0010】
本発明において、前記ハンダノズルユニットにおける前記2つのベースの一方は、前記ハンダ付けヘッドに取り付けるための固定ベース、他方は該固定ベースに対して変位可能な可変ベースであり、前記可変ベースに、前記電動アクチュエータが搭載されると共に前記ハンダノズルが取り付けられ、前記固定ベースに、前記ハンダノズルが変位可能なるように挿通する逃げ穴が形成されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明においては、2つの電動アクチュエータと1つの支点要素と複数の連結要素とを有し、前記2つの電動アクチュエータは、前記可変ベースの中心を曲率中心とする半円周の両端位置に搭載され、前記支点要素は、前記半円周の中間位置に配設され、前記連結要素は、前記支点要素と前記半円周の一端に位置する第1電動アクチュエータとの間、及び、前記支点要素と前記半円周の他端に位置する第2電動アクチュエータとの間に、それぞれ一つ以上且つ違いに同数配設されていることが好ましい。
【0012】
本発明においては、3つの電動アクチュエータと、複数の連結要素とを有し、前記3つの電動アクチュエータは、前記可変ベースの中心を曲率中心とする半円周の両端位置と中間位置とに搭載され、前記連結要素は、前記半円周の中間に位置する第3電動アクチュエータと前記半円周の一端に位置する第1電動アクチュエータとの間、及び、前記第3電動アクチュエータと前記半円周の他端に位置する第2電動アクチュエータとの間に、それぞれ一つ以上且つ違いに同数配設されていても良い。
【0013】
本発明において、前記連結要素はコイル状の引っ張りばねからなり、該引っ張りばねは、一端及び他端のフックを前記固定ベースと可変ベースとにそれぞれ係止させることにより、両ベースを相互に連結していることが望ましい。
この場合、前記固定ベース及び可変ベースに、前記引っ張りばねが嵌合する複数のばね収容孔がそれぞれ形成されると共に、該複数のばね収容孔に跨がるように延在するばね係止ピンがそれぞれ取り付けられ、該ばね係止ピンに前記引っ張りばねのフックが係止していることが好ましい。
【0014】
また、本発明において、前記支点要素はプランジャーからなり、該プランジャーは、外周に螺子が設けられた筒状のボディと該ボディの先端に設けられたボールとを有するボールプランジャーであり、該プランジャーは、前記ボディが一方のベースに回転により位置調整可能なるように螺着され、先端のボールが他方のベースに該ベースに設けられた凹部の位置で当接していることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、制御装置で電動アクチュエータを操作してハンダノズルを変位させることにより、ハンダ付け部位に対する線状ハンダの供給位置を自動的に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るハンダ付け装置の正面図である。
図2】ハンダ付け部位に対するハンダノズルの位置調整の一例を示す斜視図である。
図3】ハンダ付け部位に対するハンダノズルの位置調整の他例を示す斜視図である。
図4】ハンダノズルユニットの第1実施形態を示す斜視図であり、図5を右斜め上方から見た斜視図である。
図5図4のハンダノズルユニットの平面図である。
図6図5の正面図である。
図7図5の左側面図である。
図8図5のVIIIーVIII線に沿った断面図である。
図9図5のIXーIX線に沿った断面図である。
図10】ハンダノズルユニットの一つの動作状態を示す正面図である。
図11図10の左側面図である。
図12】ハンダノズルユニットの他の動作状態を示す正面図である。
図13図12の左側面図である。
図14】ハンダノズルユニットの更に他の動作状態を示す正面図である。
図15図14の左側面図である。
図16】ハンダノズルユニットの更に他の動作状態を示す正面図である。
図17図16の左側面図である。
図18】本発明に係るハンダノズルユニットの第2実施形態の平面図である。
図19図18の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るハンダ付け装置について、図を参照しながら詳細に説明する。図1
に示すハンダ付け装置50は、ハンダ付け部位にレーザー光を照射してハンダ付けを行うレーザー式のハンダ付け装置である。このハンダ付け装置50は、ガントリータイプのハンダ付け装置であって、機体53に設けられたガイドに沿ってX方向(図の前後方向)、Y方向(図の左右方向)、Z方向(図の上下方向)及びθ方向(回転方向)の4方向に変位可能なハンダ付けヘッド51を有している。
【0018】
前記ハンダ付けヘッド51は、光ファイバー54を介してレーザー発振器55に接続され、該ハンダ付けヘッド51の内部に、前記レーザー発振器55から送られるレーザー光を照射用のレーザー光に変更又は調整するためのレンズや半透鏡等の光学要素(不図示)が収容され、前記ハンダ付けヘッド51の先端部には、光径や方向等を調整されたレーザー光をハンダ付け部位57に照射するための照射口56が設けられている。
前記ハンダ付け部位57は、図2に示すように、基板62に設けられた環状のランド63と、該ランド63内に挿入された電子部品のピン状端子64とからなっている。
【0019】
前記ハンダ付けヘッド51の側面には、後で詳細に説明するハンダノズルユニット1A又は1B(図示の例はハンダノズルユニット1Aである。)の固定ベース2が螺子により固定的に取り付けられると共に、ハンダ供給装置58が取り付けられ、該ハンダ供給装置58から線状ハンダ59が、ハンダ送りチューブ60を通じて前記ハンダノズル7に送られ、該ハンダノズル7から、前記ハンダ付け部位57の前記ランド63又はピン状端子64に向けて供給されるようになっている。従って、前記ハンダ付け部位57は、線状ハンダ59を供給するためのハンダ供給部位57であるということもできる。
【0020】
前記ハンダノズルユニット1Aには、前記ハンダノズル7を変位させてその位置及び向き等を調整するための複数の電動アクチュエータ5a,5bが設けられ、該電動アクチュエータ5a,5bは、前記レーザー発振器55と共に制御装置52に接続され、この制御装置52で操作されることにより、前記ハンダノズル7の位置及び向き等が調整されるように構成されている。
【0021】
前記ハンダ付けヘッド51にはCCDカメラ65が設けられ、該CCDカメラ65により、図2に示すように、ハンダ付け時に前記照射口56を通じてハンダ付け部位57及び前記ハンダノズル7の先端部の画像を撮像することができるようになっている。
また、前記制御装置52には、図2又は図3に示すような制御を行うためのプログラムが組み込まれている。
すなわち、図2に示す制御は、前記ハンダ付け部位57をハンダ付けする際に、前記CCDカメラ65の画像から、ランド63とハンダノズル7との位置関係が、ハンダ付けに先立って行われる初期登録時の状態からずれていると認識された場合に、前記制御装置52で前記電動アクチュエータ5a,5bを操作して前記ハンダノズル7をUX方向、UY方向、UZ方向に変位させることにより該ハンダノズル7と前記ランド63との位置関係を初期登録時の状態に補正し、補正後の前記ハンダノズル7から前記ハンダ付け部位57に線状ハンダ59を供給してハンダ付けを行う制御であり、また、図3に示す制御は、ランド63aの形状又は大きさが通常の前記ハンダ付け部位57のランド63の形状又は大きさと異なる異形のハンダ付け部位57aをハンダ付けする場合に、前記電動アクチュエータ5a,5bを操作することにより前記ハンダノズル7を前記ハンダ付け部位57a(ランド63a)に沿って例えばUY方向に変位させながら該ハンダ付け部位57aに線状ハンダ59を供給することで、溶融したハンダが前記異形のハンダ付け部位57a全体に濡れ広がり易くする制御である。なお、図3の制御を行う場合には、必ずしも前記CCDカメラ65の画像を使用する必要がないため、該CCDカメラ65を設けなくても良い。
【0022】
なお、前記ハンダ付けヘッド51の変位方向である前記X方向、Y方向及びZ方向と、前記ハンダノズル7の変位方向であるUX方向、UY方向、UZ方向とは、互いに同じ方向であるとは限らない。
【0023】
次に、前記ハンダノズルユニット1A,1Bの構成について詳細に説明する。図4図17には第1実施形態のハンダノズルユニット1Aが示され、図18図19には第2実施形態のハンダノズルユニット1Bが示されている。
【0024】
前記第1実施形態のハンダノズルユニット1Aは、図4図9に示すように、相互間に間隔を保った状態に配置されて互いに接近又は離隔する方向及び互いに傾斜する方向に相対的に変位自在である上下2つのベース2,3と、前記2つのベース2,3を、それらの中心より側端部寄りの位置で、両ベース2,3間に互いに引き寄せ合う方向の引張力が作用するように連結する複数の連結要素4a,4bと、ハウジングの内部にモータ(不図示)及び該モータの回転により伸縮するシャフト12を有していて、前記2つのベース2,3のうちの一方のベース3に搭載されて前記シャフト12の先端が他方のベース2に当接し、該シャフト12の伸縮により前記2つのベース2,3を相対的に変位させる前記2つの電動アクチュエータ5a,5bと、前記2つのベース2,3が相対的に傾斜する方向に変位する際の支点を形成する支点要素6と、前記一方のベース3に取り付けられて該ベース3と一体に変位する、線状ハンダ(糸ハンダ)を供給するための前記ハンダノズル7とを有している。
【0025】
なお、以下の説明においては、図5に示すように、前記ハンダノズルユニット1Aの前後方向をUX方向とすると共に、左右方向をUY方向とし、更に、前記UX方向のうち、前記ハンダノズルユニット1Aの後面b側に向かう方向をUX+方向、前面a側に向かう方向をUX-方向とすると共に、前記UY方向のうち、前記ハンダノズルユニット1Aの右側面d側に向かう方向をUY+方向、左側面c側に向かう方向をUY-方向とするものとする。
【0026】
前記2つのベース2,3のうち、下方に位置する一方のベースは、図1に示すように、ハンダ付け装置50のハンダ付けヘッド51に固定的に取り付けるための固定ベース2であり、上方に位置する他方のベースは、前記固定ベース2に対して変位可能な可変ベース3である。前記2つのベース2,3の平面視形状は、図示した実施形態においては正方形状をしているが、その他の多角形であっても、円形あるいは楕円形等であっても良く、その形状は任意である。
【0027】
前記可変ベース3には、前記2つの電動アクチュエータ5a,5bが、2つの対角線D1,D2のうちの一方である第1対角線D1上における、可変ベース3の中心Oを挟んで対称をなす位置に180度間隔で搭載されると共に、前記ハンダノズル7の上端部が、該可変ベース3の中心部に形成された取付孔8内に挿入されて螺子9で固定され、前記固定ベース2の中心部には、下向きに延びる前記ハンダノズル7が変位可能なるように挿通する逃げ穴10が形成されている。
しかし、前記ハンダノズル7を配置する位置は、前記可変ベース3の中心である必要はなく、該可変ベース3の側端部寄りの任意の位置に配置することもできる。
【0028】
なお、以下の説明においては、前記2つの電動アクチュエータ5a,5bのうち、前記可変ベース3の前面a側に搭載された電動アクチュエータを第1電動アクチュエータ5aとし、後面b側に搭載された電動アクチュエータを第2電動アクチュエータ5bとする。
前記2つの電動アクチュエータ5a,5bは、前記制御装置52で前記モーターが正逆方向に回転操作されることにより、前記シャフト12が伸縮するものである。
【0029】
前記支点要素6はプランジャーからなり、該支点要素即ちプランジャー6は、外周に螺子が設けられた筒状のボディ6aと、該ボディ6aの先端に取り付けられたボール6bとを有するボールプランジャーであり、該プランジャー6は、前記ボディ6aが前記可変ベース3に形成された螺子孔内に螺着されて該可変ベース3から下向きに延出し、先端のボール6bが前記固定ベース2の上面の凹部13内で該固定ベース2に位置ずれしないように当接しており、これにより、前記ボール6bを支点として前記可変ベース3が前記固定ベース2に対して傾斜方向に変位可能とされている。
【0030】
前記プランジャー6は、頭部に六角穴14を有していて、六角棒レンチで回転操作することにより上下方向に位置調整可能であり、その位置調整により、該プランジャー(支点要素)6が配置されている位置において2つのベース2,3間の間隔を調整することができる。
【0031】
前記支点要素6が配設されている位置は、前記可変ベース3における第2対角線D2上の、前記第1電動アクチュエータ5a及び第2電動アクチュエータ5bに対する角度がそれぞれ90度となる位置である。換言すれば、前記2つの電動アクチュエータ5a,5bと前記支点要素6とは、前記可変ベース3の中心Oを曲率中心とする半円周15の両端位置と中間位置とに、互いに90度間隔で配設されているということができる。
【0032】
しかし、前記支点要素6が配設されている位置(中間位置)は、前記半円周15の丁度真ん中である必要はなく、該半円周15の中程の位置であれば、真ん中よりも前記第1電動アクチュエータ5a側又は前記第2電動アクチュエータ5b側に近寄った位置であっても構わない。その場合、前記支点要素6と前記第1電動アクチュエータ5a及び前記第2電動アクチュエータ5bとの間の角度は、それぞれ90度ではない。
【0033】
また、前記連結要素4a,4bは、コイル状の引っ張りばねからなっていて、該連結要素即ち引っ張りばね4a,4bは、その一端及び他端のフック4cを前記2つのベース2,3の一方及び他方にそれぞれ係止させることにより、該2つのベース2,3を、互いに引き寄せる方向の引張力が両ベース2,3に作用するように連結している。前記引張りばね4a,4bを取り付けるため、前記固定ベース2及び可変ベース3には、前記引張りばね4a,4bの端部を収容するための複数のばね収容孔20が、該固定ベース2及び可変ベース3を厚さ方向に貫通するように形成されると共に、前記固定ベース2の下面及び可変ベース3の上面に、ピン収容溝21が、前記支点要素6の中心と前記第1電動アクチュエータ5a及び第2電動アクチュエータ5bの中心とを結ぶ直線22に沿って前記複数のばね収容孔20に跨がるように形成され、該ピン収容溝21内にそれぞれ係止ピン23が収容され、該係止ピン23に形成されたフックに前記引張りばね4a,4bのフック4cが係止している。しかし、前記係止ピン23に前記フックを形成せずに、該係止ピン23に前記引張りばね4a,4bのフック4cを直接係止させることもできる。
【0034】
図示の例では、前記支点要素6と第1電動アクチュエータ5aとの間の第1連結域25に2つの引張りばね4a,4aが配設され、前記支点要素6と第2電動アクチュエータ5bとの間の第2連結域26に2つの引張りばね4b,4bが配設されているが、前記第1連結域25及び第2連結域26にそれぞれ1つ又は3つ以上の引っ張りばね4a及び4bを配設することもできる。その場合、前記第1連結域25及び第2連結域26における前記引っ張りばね4a,4bの引張力が等しくなるように、前記第1連結域25に設ける引っ張りばね4aの数と前記第2連結域26に設ける引っ張りばね4bとの数は互いに同数とすることが望ましい。あるいは、前記引っ張りばね4a,4bは、前記第1連結域25及び第2連結域26の二箇所だけでなく、図4に鎖線で示すように、前記中心Oに対して前記第1連結域25と対称をなす連結域25a及び前記第2連結域26と対称をなす連結域26aにも、互いに同数設けることができる。
【0035】
次に前記ハンダノズルユニット1Aの作用について説明する。
図4図9は、前記ハンダノズルユニット1Aの初期状態を示し、このとき、前記2つの電動アクチュエータ5a,5bは非操作状態にあるため、前記固定ベース2と可変ベース3とは互いに平行をなし、前記ハンダノズル7は、前記固定ベース2の中心軸線L上に位置している。
【0036】
前記初期状態から、図10及び図11に示すように、第1電動アクチュエータ5aを非操作状態にしたまま、前記第2電動アクチュエータ5bを操作してそのシャフト12を短縮させると、前記第2連結域26(図4参照)に配設された連結要素(引張りばね)4bの引張力の作用により、前記可変ベース3が、前記支点要素6及び第1電動アクチュエータ5aのシャフト12を支点として、該可変ベース3の後面b側が前記固定ベース2に近づく方向に傾斜する。このため、前記可変ベース3に取り付けられたハンダノズル7も前記中心軸線Lに対して傾斜し、該ハンダノズル7の先端はUX-側に向けて変位する。
【0037】
これに対し、前記初期状態から、図12及び図13に示すように、前記第1電動アクチュエータ5aを非操作状態にしたまま、前記第2電動アクチュエータ5bのシャフト12を伸長させると、前記第2連結域26(図5参照)に配設された連結要素(引張りばね)4bが伸長することにより、前記可変ベース3が、前記支点要素6及び第1電動アクチュエータ5aのシャフト12を支点として、該可変ベース3の後面b側が前記固定ベース2から離隔する方向に傾斜する。このため、前記可変ベース3に取り付けられたハンダノズル7も傾斜し、該ハンダノズル7の先端はUX+側に向けて変位する。
【0038】
また、前記初期状態から、図14及び図15に示すように、前記第2電動アクチュエータ5bを非操作状態にしたまま、前記第1電動アクチュエータ5aを操作してそのシャフト12を短縮させると、前記第1連結域25(図4参照)に配設された引張りばね4aの引張力の作用により、前記可変ベース3が、前記支点要素6及び第2電動アクチュエータ5bのシャフト12を支点として、該可変ベース3の左側面c側が前記固定ベース2に近づく方向に傾斜する。このため、前記可変ベース3に取り付けられたハンダノズル7も傾斜し、該ハンダノズル7の先端はUY+側に向けて変位する。
【0039】
これに対し、前記初期状態から、図16及び図17に示すように、前記第2電動アクチュエータ5bを非操作状態にしたまま、前記第1電動アクチュエータ5aを操作してそのシャフト12を伸長させると、前記第1連結域25(図4参照)に配設された連結要素(引張りばね)4aが伸長することにより、前記可変ベース3が、前記支点要素6及び第2電動アクチュエータ5bのシャフト12を支点として、該可変ベース3の左側面c側が前記固定ベース2から離隔する方向に傾斜する。このため、前記可変ベース3に取り付けられたハンダノズル7も傾斜し、該ハンダノズル7の先端はUY-側に向けて変位する。
【0040】
なお、前記シャフト12の伸縮量を調整することにより、前記ハンダノズル7の変位量を調整することができる。
【0041】
また、前記第1電動アクチュエータ5a及び第2電動アクチュエータ5bのシャフト12,12の各先端12aは、支点としての機能を発揮できるように球面状に形成され、この球面状をした先端12aが、前記固定ベース2の上面に形成された凹部内において該固定ベース2に位置ずれしないように当接している。
【0042】
さらに、前記第1電動アクチュエータ5a及び第2電動アクチュエータ5bを同時に操作してそれらのシャフト12,12を互いに同じ長さ伸縮させると、前記可変ベース3は、前記支点要素6を支点として前記UX方向とUY方向との中間の方向に向けて変位するため、前記ハンダノズル7をその方向に向けて変位させることができる。
このとき、前記第1電動アクチュエータ5a及び第2電動アクチュエータ5bのシャフト12,12の伸縮量に差を持たせることにより、前記可変ベース3及びハンダノズル7を、前記UX方向とUY方向との間の任意の方向に向けて変位させることができる。
【0043】
図18及び図19には本発明に係るハンダノズルユニットの第2実施形態が示されている。この第2実施形態のハンダノズルユニット1Bが前記第1実施形態のハンダノズルユニット1Aと相違する点は、前記ハンダノズルユニット1Aにおける支点要素6の代りに、その位置に第3電動アクチュエータ5cが設けられている点である。
【0044】
従って、前記ハンダノズルユニット1Bは、3つの電動アクチュエータ5a,5b,5cと、4つの連結要素4a,4bとを有するものであり、前記3つの電動アクチュエータ5a,5b,5cは、可変ベース3の中心Oを曲率中心とする半円周35の両端位置と中間位置とに90度間隔で搭載され、前記連結要素4a,4bは、前記可変ベース3と固定ベース2とを前記半円周35側で連結している。具体的には、前記第3電動アクチュエータ5cと第1電動アクチュエータ5aとの間の第1連結域25に2つの連結要素4a,4aが配設されると共に、前記第3電動アクチュエータ5cと第2電動アクチュエータ5bとの間の第2連結域26に2つの連結要素4b,4bが配設されている。
【0045】
前記連結要素4a,4bの構造及び該連結要素4a,4bで前記固定ベース2と可変ベース3とを連結する構造は、前記第1実施形態のハンダノズルユニット1Aの場合と同様であり、前記第1連結域25及び第2連結域26に、1つ又は3つ以上で互いに同数の連結要素4a,4bを設けることができることも前記第1実施形態の場合と同様である。
【0046】
前記第2実施形態のハンダノズルユニット1Bは、第3電動アクチュエータ5cを、そのシャフト12を伸縮させることなく支点要素として使用し、他の第1電動アクチュエータ5a及び第2電動アクチュエータ5bを操作してそれらのシャフト12を伸縮させるか又は初期状態に保持させることにより、前記第1実施形態のハンダノズルユニット1Aと同様の使い方をすることができ、また、前記3つの電動アクチュエータ5a,5b,5cの各シャフト12を同時に等量伸縮させることにより、前記ノズルを前記固定ベース2の中心軸線Lに沿う方向(UZ方向)に変位せることができる。
【0047】
前記第1実施形態では2つのの電動アクチュエータ5a,5bが設けられ、前記第2実施形態では3つの電動アクチュエータ5a,5b,5cが設けられているが、各実施形態における前記電動アクチュエータは1つであっても良い。
【0048】
例えば、前記第1実施形態(図5参照)において、前記第1電動アクチュエータ5aを残し、前記第2電動アクチュエータ5bを支点要素6に置き換えた場合には、前記第1電動アクチュエータ5aのシャフト12を伸縮させることにより、2つの支点要素6を支点として、前記可変ベース3従ってハンダノズル7をUY方向に変位させることができ、また、前記第2電動アクチュエータ5bを残し、前記第1電動アクチュエータ5aを支点要素6に置き換えた場合には、前記第2電動アクチュエータ5bのシャフト12を伸縮させることにより、2つの支点要素6を支点として、前記可変ベース3従って前記ハンダノズル7をUX方向に変位させることができる。
【0049】
また、前記第2実施形態(図18参照)において、前記第1電動アクチュエータ5aを残し、前記第2電動アクチュエータ5b及び第3電動アクチュエータ5cをそれぞれ支点要素6に置き換えた場合には、前記第1電動アクチュエータ5aのシャフト12を伸縮させることにより、置き換えた2つの支点要素を支点として、前記可変ベース3従って前記ハンダノズル7をUY方向に変位させることができ、前記第2電動アクチュエータ5bを残し、前記第1電動アクチュエータ5a及び第3電動アクチュエータ5cをそれぞれ支点要素6に置き換えた場合には、前記第2電動アクチュエータ5bのシャフト12を伸縮させることにより、置き換えた2つの支点要素を支点として、前記可変ベース3従ってハンダノズル7をUX方向に変位させることができ、更に、前記第3電動アクチュエータ5cを残し、前記第1電動アクチュエータ5a及び第2電動アクチュエータ5bをそれぞれ支点要素6に置き換えた場合には、前記第3電動アクチュエータ5cのシャフト12を伸縮させることにより、置き換えた2つの支点要素を支点として、前記可変ベース3従ってハンダノズル7を、UX方向とUY方向との中間の方向に変位させることができる。
【0050】
なお、前記ハンダ付け装置50はレーザー式のハンダ付け装置であるが、本発明のハンダ付け装置は、ハンダ鏝でハンダ付けを行うハンダ鏝使用タイプのハンダ付け装置であっても良い。この場合、前記ハンダ鏝を有するハンダ付けヘッドに、前記ハンダノズルユニット1A又は1Bが、ハンダノズル7を前記ハンダ鏝の鏝先に向けた状態に取り付けられ、該鏝先の最適位置に線状ハンダが供給されるように前記ハンダノズル7の向き及び位置が自動調整される。
【符号の説明】
【0051】
1A,1B ハンダノズルユニット
2 固定ベース
3 可変ベース
4a,4b 連結要素(引張りばね)
4c フック
5a,5b,5c 電動アクチュエータ
6 支点要素(プランジャ)
6a ボディ
6b ボール
7 ハンダノズル
10 逃げ穴
12 シャフト
13 凹部
15,35 半円周
20 ばね収容孔
23 ばね係止ピン
50 ハンダ付け装置
51 ハンダ付けヘッド
52 制御装置
57 ハンダ供給部位
59 線状ハンダ
63 ランド
64 ピン状端子
65 CCDカメラ
O 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19