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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098855
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】マニピュレータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20240717BHJP
   A61B 1/01 20060101ALI20240717BHJP
   A61B 1/313 20060101ALI20240717BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20240717BHJP
   B25J 17/02 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B1/01 511
A61B1/313
B25J11/00 Z
B25J17/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002617
(22)【出願日】2023-01-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年1月12日 第32回バイオフロンティア講演会にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中林 正隆
【テーマコード(参考)】
3C707
4C161
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707HT04
3C707HT19
4C161AA24
4C161GG24
(57)【要約】
【課題】動作の遅れの発生を抑制できるマニピュレータを提供する。
【解決手段】マニピュレータは、前記第一連結部材に対して屈曲又は伸縮の動作が可能に連結された第二連結部材と、前記第一連結部材の内部に回転可能に取り付けられ且つ前記第二連結部材に連結されたスライドスクリューと、前記スライドスクリューに連結され、前記第一連結部材に対する前記第二連結部材側とは反対側へ引き出されたワイヤと、前記ワイヤを回転駆動して前記スライドスクリューを回転させることで、前記スライドスクリューをその回転軸方向へ移動させ、前記第二連結部材に前記動作を実行させる駆動部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一連結部材と、
前記第一連結部材に対して屈曲又は伸縮の動作が可能に連結された第二連結部材と、
前記第一連結部材の内部に回転可能に取り付けられ且つ前記第二連結部材に連結されたスライドスクリューと、
前記スライドスクリューに連結され、前記第一連結部材に対する前記第二連結部材側とは反対側へ引き出されたワイヤと、
前記ワイヤを回転駆動して前記スライドスクリューを回転させることで、前記スライドスクリューをその回転軸方向へ移動させ、前記第二連結部材に前記動作を実行させる駆動部と、
を備えるマニピュレータ。
【請求項2】
前記第二連結部材は、
記第一連結部材に対して伸縮可能に連結され、
前記駆動部は、
前記ワイヤを回転駆動して、前記スライドスクリューを正転させながら前記スライドスクリューを前記回転軸方向の一方へ移動させることで、前記第二連結部材を前記一方へ押して、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して伸長させ、
前記ワイヤを回転駆動して、前記スライドスクリューを逆転させながら前記スライドスクリューを前記回転軸方向の他方へ移動させることで、前記第二連結部材を前記他方へ引張り、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して短縮させる
請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項3】
前記第二連結部材は、
前記第一連結部材に対して屈曲可能に連結され、
前記駆動部は、
前記ワイヤを回転駆動して、前記スライドスクリューを正転させながら前記スライドスクリューを前記回転軸方向の一方へ移動させることで、前記第二連結部材を前記一方へ押して、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して屈曲及び伸展の一方の動作を実行させ、
前記ワイヤを回転駆動して、前記スライドスクリューを逆転させながら前記スライドスクリューを前記回転軸方向の他方へ移動させることで、前記第二連結部材を前記他方へ引張り、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して屈曲及び伸展の他方の動作を実行させる
請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項4】
前記第二連結部材の内部に回転可能に取り付けられ、前記スライドスクリューとしての第一スライドスクリューの一端部にワイヤを介して連結され、前記第一スライドスクリューとは逆巻きの第二スライドスクリュー
を備え、
前記駆動部は、
前記ワイヤを回転駆動して、前記第一スライドスクリュー及び前記第二スライドスクリューを正転させながら前記第一スライドスクリュー及び前記第二スライドスクリューを互いに接近する方向へ移動させることで、前記第二連結部材を前記一方へ押して、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して屈曲及び伸展の一方の動作を実行させ、
前記ワイヤを回転駆動して、前記第一スライドスクリュー及び前記第二スライドスクリューを逆転させながら前記第一スライドスクリュー及び前記第二スライドスクリューを互いに離隔する方向へ移動させることで、前記第二連結部材を前記他方へ引張り、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して屈曲及び伸展の他方の動作を実行させる
請求項3に記載のマニピュレータ。
【請求項5】
前記スライドスクリューは、
前記第一連結部材における前記第二連結部材との連結部分側に配置されている
請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項6】
前記第一連結部材は、筒状に形成され、
前記スライドスクリューは、前記第一連結部材の内部に配置され、前記駆動部によって回転されることにより前記第一連結部材の軸方向に沿って前記回転軸方向へ移動する
請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項7】
前記スライドスクリューの移動方向に沿って前記第一連結部材の内部に配置されたデバイス
を備える
請求項6に記載のマニピュレータ。
【請求項8】
前記第二連結部材が、体腔と連通する孔を通じて前記体腔に挿入される
医療用の、請求項6に記載のマニピュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外科治療において、侵襲性が低く、整容性が高いことから、腹腔鏡及び内視鏡を用いた鏡視下手術が用いられている。特に、単孔式は、整容性に優れるが、術具が一か所に集中するため、術具同士が干渉しやすく、手術難度が高くなるという問題がある。
【0003】
この問題に対して、術具同士の干渉を抑制しつつ、最適な視野を確保するため、屈曲及び伸縮構造を有するマニピュレータが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6711969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係るマニピュレータでは、動作部分から動力源まで引き回されたワイヤを当該動力源により牽引することで屈曲動作及び伸縮動作を行う。このため、ワイヤの弛緩により、動作の遅れ等が発生する場合がある。
【0006】
本開示は、動作の遅れの発生を抑制できるマニピュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様は、第一連結部材と、前記第一連結部材に対して屈曲又は伸縮の動作が可能に連結された第二連結部材と、前記第一連結部材の内部に回転可能に取り付けられ且つ前記第二連結部材に連結されたスライドスクリューと、前記スライドスクリューに連結され、前記第一連結部材に対する前記第二連結部材側とは反対側へ引き出されたワイヤと、前記ワイヤを回転駆動して前記スライドスクリューを回転させることで、前記スライドスクリューをその回転軸方向へ移動させ、前記第二連結部材に前記動作を実行させる駆動部と、を備える。
【0008】
ここで、ワイヤは、例えば、単独もしくは複数のワイヤが同軸方向に束ねられて動力伝達機能を発現し、個々のワイヤが、例えば、可撓性の樹脂等によるチューブで被覆され、さらに、多芯体全体が同様にチューブで被覆された筒体構造を有するものを用いることが可能である。
【0009】
第1態様によれば、駆動部が、ワイヤを回転駆動してスライドスクリューを回転させることで、スライドスクリューをその回転軸方向へ移動させ、第二連結部材に、屈曲又は伸縮の動作を実行させる。
【0010】
このため、第二連結部材から駆動部まで引き回されたワイヤを当該駆動部により牽引することで屈曲又は伸縮の動作を実行させる構成に比べ、ワイヤの弛緩が発生しにくく、動作の遅れの発生を抑制できる。
【0011】
第2態様では、第1態様において、前記第二連結部材は、記第一連結部材に対して伸縮可能に連結され、前記駆動部は、前記ワイヤを回転駆動して、前記スライドスクリューを正転させながら前記スライドスクリューを前記回転軸方向の一方へ移動させることで、前記第二連結部材を前記一方へ押して、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して伸長させ、前記ワイヤを回転駆動して、前記スライドスクリューを逆転させながら前記スライドスクリューを前記回転軸方向の他方へ移動させることで、前記第二連結部材を前記他方へ引張り、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して短縮させる。
【0012】
第2態様によれば、スライドスクリューの回転軸方向の一方及び他方への移動により、第二連結部材における伸長及び短縮の両方の動作を実行する。このため、伸長及び短縮の動作の一方について、第二連結部材から駆動部まで引き回されたワイヤを当該駆動部により牽引することで実行させる構成に比べ、伸長及び短縮の両方の動作について、動作の遅れの発生を抑制できる。
【0013】
第3態様では、第1態様又は第2態様において、前記第二連結部材は、前記第一連結部材に対して屈曲可能に連結され、前記駆動部は、前記ワイヤを回転駆動して、前記スライドスクリューを正転させながら前記スライドスクリューを前記回転軸方向の一方へ移動させることで、前記第二連結部材を前記一方へ押して、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して屈曲及び伸展の一方の動作を実行させ、前記ワイヤを回転駆動して、前記スライドスクリューを逆転させながら前記スライドスクリューを前記回転軸方向の他方へ移動させることで、前記第二連結部材を前記他方へ引張り、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して屈曲及び伸展の他方の動作を実行させる。
【0014】
第3態様によれば、スライドスクリューの回転軸方向の一方及び他方への移動により、第二連結部材における屈曲及び伸展の両方の動作を実行する。このため、屈曲及び伸展の動作の一方について、第二連結部材から駆動部まで引き回されたワイヤを当該駆動部により牽引することで実行させる構成に比べ、屈曲及び伸展の両方の動作について、動作の遅れの発生を抑制できる。
【0015】
第4態様では、第3態様において、前記第二連結部材の内部に回転可能に取り付けられ、前記スライドスクリューとしての第一スライドスクリューの一端部にワイヤを介して連結され、前記第一スライドスクリューとは逆巻きの第二スライドスクリューを備え、前記駆動部は、前記ワイヤを回転駆動して、前記第一スライドスクリュー及び前記第二スライドスクリューを正転させながら前記第一スライドスクリュー及び前記第二スライドスクリューを互いに接近する方向へ移動させることで、前記第二連結部材を前記一方へ押して、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して屈曲及び伸展の一方の動作を実行させ、前記ワイヤを回転駆動して、前記第一スライドスクリュー及び前記第二スライドスクリューを逆転させながら前記第一スライドスクリュー及び前記第二スライドスクリューを互いに離隔する方向へ移動させることで、前記第二連結部材を前記他方へ引張り、前記第二連結部材を前記第一連結部材に対して屈曲及び伸展の他方の動作を実行させる。
【0016】
第4態様によれば、第一スライドスクリューのみが備えられた構成に比べ、駆動モータによるワイヤの回転数に対する第二連結部材の屈曲量を増加させることができる。
【0017】
第5態様では、第1態様から第4態様のいずれか1つの態様において、前記スライドスクリューは、前記第一連結部材における前記第二連結部材との連結部分側に配置されている。
【0018】
第5態様によれば、スライドスクリューが、第一連結部材における第二連結部材との連結部分とは反対側に配置されている場合に比べ、スライドスクリューが第二連結部材と接近し、スライドスクリューと第二連結部材とをワイヤで連結した場合でも、ワイヤの弛緩が発生しにくく、動作の遅れの発生を抑制できる。
【0019】
第6態様では、第1態様から第4態様のいずれか1つの態様において、前記第一連結部材は、筒状に形成され、前記スライドスクリューは、前記第一連結部材の内部に配置され、前記駆動部によって回転されることにより前記第一連結部材の軸方向に沿って前記回転軸方向へ移動する。
【0020】
第6態様によれば、第一連結部材の内部に配置されたスライドスクリューが第一連結部材の軸方向に沿って移動するので、前記第一連結部材の径方向に沿って移動する構成に比べ、第一連結部材の径を小さくできる。
【0021】
第7態様では、第6態様において、前記スライドスクリューの移動方向に沿って前記第一連結部材の内部に配置されたデバイスを備える。
【0022】
第7態様によれば、スライドスクリューが第一連結部材の軸方向に沿って回転軸方向へ移動した際に、デバイスと干渉することを抑制できる。
【0023】
第8態様は、第1態様から第7態様のいずれか1つの態様において、前記第二連結部材が、体腔と連通する孔を通じて前記体腔に挿入される医療用のマニピュレータである。
【0024】
第8態様によれば、医療行為を行う際に、第二連結部材における屈曲又は伸縮の動作の遅れが抑制できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、上記構成としたので、マニピュレータにおいて、動作の遅れの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態に係るマニピュレータにおける駆動部分の基本構造を示す概略図である。
図2】本実施形態に係るマニピュレータにおける動作部分(屈曲)の基本構造を示す概略図である。
図3図2に示される形態の変形例を示す概略図である。
図4】本実施形態に係るマニピュレータにおける動作部分(屈曲)の基本構造を示す概略図である。
図5図4に示される形態の変形例を示す概略図である。
図6】本実施形態に係るマニピュレータにおける動作部分(伸縮)の基本構造を示す概略図である。
図7】医療用のマニピュレータに適用した場合の構成例を示す概略図である。
図8図7に示されるマニピュレータにおける筒体及び外筒を示す概略図である。
図9図8における9-9線断面図である。
図10図7に示されるマニピュレータにおける外筒及び内筒とその内部構造と示す概略図である。
図11図10における11-11線断面図である。
図12図7に示されるマニピュレータにおける内筒及び先端部材を示す概略斜視図である。
図13図12における二点鎖線で示す部分を切断した断面図である。
図14図7に示されるマニピュレータにおける先端部材を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0028】
<マニピュレータ100>
本実施形態に係るマニピュレータ100を説明する。図1は、本実施形態に係るマニピュレータ100における駆動部分の基本構造を示す概略図である。
【0029】
マニピュレータ100は、図1に示されるように、第一連結部材101と、第二連結部材102と、スライドスクリュー103と、ワイヤ104と、駆動モータ105と、ワイヤ106と、を備えている。
【0030】
第一連結部材101は、本体101Aと、スライドスクリュー103が取り付けられる取付部101Bと、を有している。第二連結部材102は、第一連結部材101に対して屈曲又は伸縮の動作が可能に連結された部材である。この第二連結部材102は、本体102Aと、スライドスクリュー103と連結される連結部102Bと、を有している。この第二連結部材102は、例えば、第一連結部材101の先端部(一端部)に対して連結されている。
【0031】
なお、屈曲とは、第二連結部材102の第一連結部材101に対する向き(相対角)が変位することによって、第一連結部材101及び第二連結部材102が曲がった状態を形成することを意味する。
【0032】
スライドスクリュー103は、第一連結部材101の内部に回転可能に取り付けられ、且つ第二連結部材102に連結されている。具体的には、スライドスクリュー103は、第一連結部材101の取付部101Bに対してねじ込まれている。なお、スライドスクリュー103の回転軸方向を、以下、スクリュー軸方向という場合がある。
【0033】
本実施形態では、スライドスクリュー103は、例えば、第一連結部材101における第二連結部材102との連結部分側(第二連結部材102に接近した側)に配置される。
【0034】
また、本実施形態では、スライドスクリュー103は、例えば、ワイヤ106にて第二連結部材102と連結されている。このワイヤ106は、先端部が第二連結部材102の連結部102Bに取り付けられ、後端部がスライドスクリュー103の先端部(すなわち回転軸方向の一端部)に取り付けられている。
【0035】
このスライドスクリュー103は、回転によりスクリュー軸方向へ移動して、第二連結部材102に、屈曲又は伸縮の動作を実行させる。なお、スライドスクリュー103は、第二連結部材102に対して、直接、連結されていてもよく、ワイヤ106以外の部材を介して連結されていてもよい。
【0036】
ワイヤ104は、スライドスクリュー103に連結され、第一連結部材101の後端部側(すなわち、第一連結部材101に対する第二連結部材102とは反対側)へ引き出されている。具体的には、ワイヤ104は、先端部がスライドスクリュー103の後端部(すなわち回転軸方向の他端部)に取り付けられ、後端部がカップリング108を介して駆動モータ105の駆動軸105Aに取り付けられている。ワイヤ104は、チューブ107に挿入されている。駆動モータ105は、駆動部の一例であり、ワイヤ104を回転駆動する。
【0037】
本実施形態では、駆動モータ105が、ワイヤ104を正転(A1方向)させることにより、スライドスクリュー103を正転(A2方向)させてスクリュー軸方向の一方(以下、先端方向(A3方向)という)へ移動させ、ワイヤ104を逆転(B1方向)させることにより、スライドスクリュー103を逆転(B2方向)させてスクリュー軸方向の他方(以下、後端方向(B3方向)という)へ移動させる。これにより、第二連結部材102に、第一連結部材101に対する屈曲又は伸縮の動作を実行させる。
【0038】
なお、本明細書において「正転」は、一方への回転を意味し、モータによって定まるCW(出力軸側から見て時計方向の回転)に限定されるものではなく、CCW(出力軸側から見て反時計方向)であってもよい。「逆転」は、正転に対する逆方向の回転を意味する。したがって、正転がCWであれば、逆転はCCWであり、正転がCCWであれば、逆転はCWである。
【0039】
<マニピュレータ100における動作部分の基本構造>
図2~6は、本実施形態に係るマニピュレータ100における動作部分の基本構造を示す概略図である。図2~5には、第二連結部材102が第一連結部材101に対して屈曲可能に連結された形態が示され、図6には、第二連結部材102が第一連結部材101に対して伸縮可能に連結された形態が示されている。
【0040】
図2に示される形態では、第二連結部材102が、第一連結部材101に対して屈曲可能に連結されている。具体的には、第二連結部材102は、スクリュー軸方向に直交する直交方向の一方(C方向)側で、ヒンジ120によって第一連結部材101に連結され、第二連結部材102が第一連結部材101に対して直交方向の一方(C方向)側へ屈曲可能(具体的には回転可能)とされている。換言すれば、第一連結部材101と第二連結部材102とは、第二連結部材102が第一連結部材101に対して屈曲する屈曲方向(回転方向(A4方向))の内周側でヒンジ120によって連結されている。
【0041】
スライドスクリュー103は、ヒンジ120に対して、直交方向の他方(D方向)側(すなわち外周側)で第一連結部材101に取り付けられている。
【0042】
図2に示される形態では、駆動モータ105が、ワイヤ104を正転させることにより、スライドスクリュー103を正転(A2方向)させながら先端方向(A3方向)へ移動させる。これにより、ワイヤ106を介して第二連結部材102が先端方向(A3方向)へ押され、第二連結部材102が第一連結部材101に対して屈曲動作(A4方向)を実行する。
【0043】
一方、駆動モータ105が、ワイヤ104を逆転させることにより、スライドスクリュー103を逆転(B2方向)させながら後端方向(B3方向)へ移動させる。これにより、ワイヤ106を介して第二連結部材102が後端方向(B3方向)へ引っ張られ、第二連結部材102が第一連結部材101に対して伸展動作(B4方向)を実行する。
【0044】
なお、図2に示される形態では、図3に示されるように、第二連結部材102に取り付けられるスライドスクリュー113を有する変形例を用いてもよい。本変形例では、スライドスクリュー113は、スライドスクリュー103とは逆巻きのスクリューとされており、第二連結部材102の連結部102Bに対してねじ込まれている。ワイヤ106は、先端部がスライドスクリュー113の後端部に取り付けられ、後端部がスライドスクリュー103の先端部に取り付けられている。
【0045】
本変形例では、駆動モータ105が、ワイヤ104を正転させることにより、スライドスクリュー103が正転(A2方向)しながら先端方向(A3方向)へ移動すると共に、スライドスクリュー113が正転(E2方向)しながら後端方向(E3方向)へ移動する。すなわち、駆動モータ105は、スライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を正転させながらスライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を互いに接近する方向へ移動させる。
【0046】
これにより、ワイヤ106を介して第二連結部材102が先端方向(A3方向)へ押され、第二連結部材102が第一連結部材101に対して屈曲動作(A4方向)を実行する。本変形例では、スライドスクリュー113が後端方向(E3方向)へ移動するため、駆動モータ105による回転数に対する第二連結部材102の屈曲量を増加させることができる。
【0047】
一方、駆動モータ105が、ワイヤ104を逆転させることにより、スライドスクリュー103が逆転(B2方向)しながら後端方向(B3方向)へ移動すると共に、スライドスクリュー113が逆転(F2方向)しながら先端方向(F3方向)へ移動する。すなわち、駆動モータ105は、スライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を逆転させながらスライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を互いに離隔する方向へ移動させる。
【0048】
これにより、ワイヤ106を介して第二連結部材102が後端方向(B3方向)へ引っ張られ、第二連結部材102が第一連結部材101に対して伸展動作(B4方向)を実行する。
【0049】
なお、スライドスクリュー103は、第一スライドスクリューの一例であり、スライドスクリュー113は、第二スライドスクリューの一例である。
【0050】
図4に示される形態では、第二連結部材102が、第一連結部材101に対して屈曲可能に連結されている。具体的には、第二連結部材102は、スクリュー軸方向に直交する直交方向の一方(D方向)側で、ヒンジ130によって第一連結部材101に連結され、第二連結部材102が第一連結部材101に対して直交方向の他方(C方向)側へ屈曲可能(具体的には回転可能)とされている。換言すれば、第一連結部材101と第二連結部材102とは、第二連結部材102が第一連結部材101に対して屈曲する屈曲方向(回転方向(B5方向))の外周側でヒンジ130によって連結されている。
【0051】
スライドスクリュー103は、ヒンジ130に対して、直交方向の一方(D方向)側(すなわち外周側)で第一連結部材101に取り付けられている。なお、第二連結部材102は、例えば、柔軟性を有する部材(例えばチューブ)等を介して第一連結部材101に連結されることによって、第一連結部材101に対して屈曲可能に連結されていてもよい。
【0052】
図4に示される形態では、駆動モータ105が、ワイヤ104を正転させることにより、スライドスクリュー103が正転(A2方向)しながら先端方向(A3方向)へ移動する。これにより、ワイヤ106を介して第二連結部材102が先端方向(A3方向)へ押され、第二連結部材102が第一連結部材101に対して伸展動作(A5方向)を実行する。
【0053】
一方、駆動モータ105が、ワイヤ104を逆転させることにより、スライドスクリュー103が逆転(B2方向)しながら後端方向(B3方向)へ移動する。これにより、ワイヤ106を介して第二連結部材102が後端方向(B3方向)へ引っ張られ、第二連結部材102が第一連結部材101に対して屈曲動作(B5方向)を実行する。
【0054】
なお、図4に示される形態では、図5に示されるように、第二連結部材102に取り付けられるスライドスクリュー113を有する変形例を用いてもよい。本変形例では、スライドスクリュー113は、スライドスクリュー103とは逆巻きのスクリューとされており、第二連結部材102の連結部102Bに対してねじ込まれている。ワイヤ106は、先端部がスライドスクリュー113の後端部に取り付けられ、後端部がスライドスクリュー103の先端部に取り付けられている。
【0055】
本変形例では、駆動モータ105が、ワイヤ104を正転させることにより、スライドスクリュー103が正転(A2方向)しながら先端方向(A3方向)へ移動すると共に、スライドスクリュー113が正転(E2方向)しながら後端方向(E3方向)へ移動する。すなわち、駆動モータ105は、スライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を正転させながらスライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を互いに接近する方向へ移動させる。
【0056】
これにより、ワイヤ106を介して第二連結部材102が先端方向(A3方向)へ押され、第二連結部材102が第一連結部材101に対して伸展動作(A5方向)を実行する。
【0057】
一方、駆動モータ105が、ワイヤ104を逆転させることにより、スライドスクリュー103が逆転(B2方向)しながら後端方向(B3方向)へ移動すると共に、スライドスクリュー113が逆転(F2方向)しながら先端方向(F3方向)へ移動する。すなわち、駆動モータ105は、スライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を逆転させながらスライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を互いに離隔する方向へ移動させる。
【0058】
これにより、ワイヤ106を介して第二連結部材102が後端方向(B3方向)へ引っ張られ、第二連結部材102が第一連結部材101に対して屈曲動作(B5方向)を実行する。本変形例では、駆動モータ105におけるワイヤ104の回転数に対する第二連結部材102の屈曲量を増加させることができる。
【0059】
図6に示される形態では、第二連結部材102が、第一連結部材101に対して伸縮可能に連結されている。
【0060】
第一連結部材101は、本体101A及び取付部101Bに加えて、一対のガイド部101Cを有している。一対のガイド部101Cは、スライドスクリュー103及び本体101Aの両側に配置されており、本体101Aの外側面に取り付けられている。さらに、ガイド部101Cは、本体101Aから先端方向(A3方向)へ向かって延設されている。
【0061】
第二連結部材102は、一対のガイド部101Cの間に配置され、一対のガイド部101Cに案内されることで、先端方向(A3方向)及び後端方向(B3方向)へ移動可能とされている。
【0062】
スライドスクリュー103は、先端部が、第二連結部材102の連結部102Bに対して取り付けられている。
【0063】
図6に示される形態では、駆動モータ105が、ワイヤ104を正転させることにより、スライドスクリュー103が正転(A2方向)しながら先端方向(A3方向)へ移動する。これにより、第二連結部材102が先端方向(A3方向)へ押され、第二連結部材102が第一連結部材101に対して伸長動作(A3方向)を実行する。
【0064】
一方、駆動モータ105が、ワイヤ104を逆転させることにより、スライドスクリュー103が逆転(B2方向)しながら後端方向(B3方向)へ移動する。これにより、第二連結部材102が後端方向(B3方向)へ引っ張られ、第二連結部材102が第一連結部材101に対して短縮動作(B3方向)を実行する。
【0065】
<マニピュレータ100の構成例>
図1~6に示される前述の基本構造を有するマニピュレータ100としては、例えば、腹腔鏡及び内視鏡などを用いた鏡視下手術にて用いられる医療用のマニピュレータとして構成することが可能である。以下、医療用のマニピュレータとして用いた場合の構成例を説明する。
【0066】
なお、図中に示す矢印UPは、装置の上方を示し、矢印DOは、装置の下方を示す。また、図中に示す矢印LHは、装置の左方を示し、矢印RHは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印FRは、装置の先端側(前方)を示し、矢印RRは、装置の後端側(後方)を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。
【0067】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。また、各図に示す各部分同士の上下方向、左右方向、前後方向の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。
【0068】
マニピュレータ100は、図7に示されるように、筒体30と、外筒40と、内筒50と、先端部材60と、を備えている。筒体30、外筒40、及び内筒50は、具体的には、例えば、円筒状に形成されている。
【0069】
筒体30は、体腔202と連通する連通孔204に対して通される部分であり、先端部32が体腔202に配置され、後端部34が体腔202の外部206に配置される。
【0070】
外筒40は、図8(A)(B)に示されるように、筒体30に対して屈曲可能に連結されている。具体的には、外筒40は、後端部46が筒体30の先端部32に対して、左右方向を回転軸とするヒンジ39によって回転可能に連結されている。ヒンジ39により構成される、筒体30と外筒40との屈曲部分は、例えば、チューブ等の被覆部材37(図7参照)により被覆されている。
【0071】
マニピュレータ100は、さらに、図8(A)(B)及び図9に示されるように、ワイヤ36と、ワイヤ56と、ワイヤ71、72、73と、デバイス80と、を備えている。なお、ワイヤ71、73は、図8(A)(B)において、左右方向に重なって配置されている。
【0072】
ワイヤ36は、図9に示されるように、筒体30の内部において上方側(ヒンジ39に対する内周側)に配置されており、図8(A)(B)に示されるように、筒体30の軸方向に沿って後端側(後方側)へ引き出されている。このワイヤ36の先端部36Aは、外筒40の後端部46における上部に対して取り付けられている。ワイヤ36の後端部は、駆動部(図示省略)に接続されており、当該駆動部(図示省略)がワイヤ36を引っ張ることにより、図8(A)(B)に示されるように、外筒40が筒体30に対して屈曲する。
【0073】
ワイヤ56は、内筒50に対して駆動力を伝達するための部材であり、図9に示されるように、筒体30の内部においてワイヤ36に対する下方側に配置されている。
【0074】
ワイヤ71、73は、先端部材60に対して駆動力を伝達するための部材であり、筒体30の内部において、ワイヤ36、56に対する左右側にそれぞれ配置されている。
【0075】
デバイス80は、例えば、内視鏡、生検鉗子、及び把持鉗子等、手術などの医療行為に用いられるデバイスである。このデバイス80は、筒体30の内部においてワイヤ56に対する下方側に配置されている。なお、デバイス80が通過する内腔89は、例えば、直径3mmとされる。
【0076】
ワイヤ72は、先端部材60に対して駆動力を伝達するための部材であり、筒体30の内部において、デバイス80に対する下方側に配置されている。
【0077】
内筒50は、図10(A)(B)に示されるように、外筒40に対して伸縮可能に連結されている。内筒50は、後端部54側が、外筒40の先端部42の内周側に進退可能に挿入されている。
【0078】
なお、外筒40と内筒50との関係において、外筒40は、第一連結部材の一例であり、内筒50は、第二連結部材の一例である。
【0079】
スライドスクリュー58は、外筒40の取付部44に回転可能に取り付けられ、且つ内筒50に連結されている。具体的には、スライドスクリュー58は、外筒40の取付部44に対して、外筒40の軸方向(前後方向)に沿ってねじ込まれている。また、スライドスクリュー58は、先端部が、内筒50の後端部54(連結部)に取り付けられている。
【0080】
ワイヤ56は、先端部がスライドスクリュー58の後端部に取り付けられている。ワイヤ56の後端部は、筒体30の後端側から引き出されており、駆動モータ(図示省略)に接続されている。本実施形態では、当該駆動モータ(図示省略)が、ワイヤ56を正転させることにより、スライドスクリュー58が正転(A2方向)しながら先端方向(A3方向)へ移動する。これにより、内筒50が先端方向(A3方向)へ押され、内筒50が外筒40に対して伸長動作(A3方向)を実行する。
【0081】
一方、当該駆動モータ(図示省略)が、ワイヤ56を逆転させることにより、スライドスクリュー58が逆転(B2方向)しながら後端方向(B3方向)へ移動する。これにより、内筒50が後端方向(B3方向)へ引っ張られ、内筒50が外筒40に対して短縮動作(B3方向)を実行する。このように、内筒50は、前述の図6に示される形態によって、外筒40に対して伸縮動作を実行する。
【0082】
なお、スライドスクリュー58は、外筒40における内筒50との連結部分側(先端側)に配置されている。すなわち、スライドスクリュー58は、内筒50に接近する側に配置されている。
【0083】
また、ワイヤ56及びスライドスクリュー58は、図11に示されるように、外筒40において、上方側に配置されており、外筒40の軸方向に沿って延設されている。さらに、スライドスクリュー58は、外筒40の内部において、回転により外筒40の軸方向に沿って移動する。
【0084】
また、ワイヤ71、73は、外筒40の内部において、ワイヤ56及びスライドスクリュー58の下方側であって、ワイヤ56及びスライドスクリュー58に対する左右側にそれぞれ配置されている。
【0085】
デバイス80は、スライドスクリュー58の移動方向(外筒40の軸方向)に沿って外筒40の内部に配置されている。さらに、デバイス80は、外筒40の内部においてワイヤ71に対する下方側に配置されている。ワイヤ72は、外筒40の内部において、ワイヤ73に対する下方側に配置されている。
【0086】
先端部材60は、図12に示されるように、内筒50に対して屈曲可能に連結されている。具体的には、先端部材60は、柔軟性を有するチューブ69を介して内筒50の先端部に取り付けられている。このチューブ69の内部には、デバイス80が配置されている。本実施形態では、先端部材60は、チューブ69が曲がることにより、少なくとも、内筒50に対して左方側、右方側及び下方側へ屈曲可能とされている。
【0087】
なお、内筒50と先端部材60との関係において、内筒50は、第一連結部材の一例であり、先端部材60は、第二連結部材の一例である。
【0088】
スライドスクリュー81、82、83の各々は、図13に示されるように、内筒50の取付部51、52、53の各々に回転可能に取り付けられ、且つ先端部材60に連結されている。具体的には、スライドスクリュー81、82、83の各々は、内筒50の軸方向(前後方向)に沿って内筒50の取付部51、52、53の各々に対してねじ込まれている。
【0089】
また、スライドスクリュー81、82、83の各々は、図14に示されるように、先端部がワイヤ91、92、93の各々を介して、先端部材60の連結部61、62、63の各々に連結されている。連結部61は、先端部材60の左方側に配置されており、ワイヤ91は、先端部材60の左方側部分に連結されている。連結部62は、先端部材60の下方側に配置されており、ワイヤ92は、先端部材60の下方側部分に連結されている。連結部63は、先端部材60の右方側に配置されており、ワイヤ93は、先端部材60の右方側部分に連結されている。
【0090】
なお、図13において、スライドスクリュー81、取付部51、ワイヤ71、及びワイヤ91の各々と、スライドスクリュー83、取付部53、ワイヤ73、ワイヤ93の各々とは、左右方向に重なって配置されている。
【0091】
ワイヤ71、72、73の各々は、先端部がスライドスクリュー81、82、83の各々の後端部に取り付けられている。ワイヤ71、72、73の各々の後端部は、筒体30の後端側から引き出されており、複数の駆動モータ(図示省略)の各々に接続されている。本実施形態では、当該複数の駆動モータ(図示省略)が、ワイヤ71、72、73を選択的に回転させることにより、先端部材60の屈曲動作及び伸長動作を実行させる。
【0092】
具体的には、駆動モータ(図示省略)が、例えば、ワイヤ71を正転させることにより、スライドスクリュー81が正転(A2方向)しながら先端方向(A3方向)へ移動する。また、駆動モータ(図示省略)が、例えば、ワイヤ73を逆転させることにより、スライドスクリュー83が逆転(B2方向)しながら後端方向(B3方向)へ移動する。
【0093】
これにより、先端部材60の左側部分が先端方向(A3方向)へ押され、先端部材60の右側部分が後端方向(B3方向)へ引っ張られ、先端部材60が右方側へ屈曲する。この状態から、駆動モータ(図示省略)が、例えば、ワイヤ71を逆転させることにより、スライドスクリュー81が逆転(B2方向)しながら後端方向(B3方向)へ移動する。また、駆動モータ(図示省略)が、例えば、ワイヤ73を正転させることにより、スライドスクリュー83が正転(A2方向)しながら先端方向(A3方向)へ移動する。これにより、先端部材60の右側部分が先端方向(A3方向)へ押され、先端部材60の左側部分が先端方向(A3方向)へ引っ張られ、先端部材60が内筒50に対して伸長する。さらに、ワイヤ71を逆転させると共に、ワイヤ73を正転させると、先端部材60の右側部分が先端方向(A3方向)へ押され、先端部材60の左側部分が先端方向(A3方向)へ引っ張られ、先端部材60が左方側へ屈曲する。
【0094】
また、駆動モータ(図示省略)が、例えば、ワイヤ72を正転させることにより、スライドスクリュー82が正転(A2方向)しながら先端方向(A3方向)へ移動する。これにより、先端部材60が内筒50に対して伸長する。また、駆動モータ(図示省略)が、例えば、ワイヤ72を逆転させることにより、スライドスクリュー82が逆転(B2方向)しながら後端方向(B3方向)へ移動する。これにより、先端部材60の下側部分が後端方向(B3方向)へ引っ張られ、先端部材60が下方側へ屈曲する。このように、先端部材60は、前述の図4に示される形態によって、内筒50に対して屈曲動作を実行する。
【0095】
なお、チューブ69により構成される、筒体30と先端部材60との屈曲部分は、例えば、チューブ等の被覆部材67(図7参照)により被覆されている。
【0096】
このように、筒体30、外筒40、内筒50及び先端部材60を備えるマニピュレータ100では、複数(具体的には2か所)の屈曲部分と、伸縮部分と有している。このため、図7に示されるように、マニピュレータ100を、鉗子190の軸とずらすことが可能となり、マニピュレータ100と鉗子190との干渉を抑制できる。
【0097】
なお、外筒40が筒体30に対して屈曲部分に対して、前述の図2~5に示される形態のいずれかを適用してもよい。
【0098】
<本実施形態の作用効果>
本実施形態に係るマニピュレータ100(図1参照)では、駆動モータ105が、ワイヤ104を回転駆動してスライドスクリュー103を回転させることで、スライドスクリュー103を回転軸方向へ移動させ、第二連結部材102に、屈曲又は伸縮の動作を実行させる。
【0099】
このため、第二連結部材102から駆動モータ105まで引き回されたワイヤを当該駆動モータ105により牽引することで屈曲又は伸縮の動作を実行させる構成に比べ、ワイヤ104の弛緩が発生しにくく、動作の遅れの発生、及び出力の低下を抑制できる。
【0100】
また、前述の図6に示される形態では、スライドスクリュー103の回転軸方向の一方及び他方への移動により、第二連結部材102における伸長及び短縮の両方の動作を実行する。このため、伸長及び短縮の動作の一方について、第二連結部材102から駆動モータ105まで引き回されたワイヤを駆動モータ105により牽引することで実行させる構成に比べ、伸長及び短縮の両方の動作について、動作の遅れの発生、及び出力の低下を抑制できる。
【0101】
また、前述の図2~5に示される形態では、スライドスクリュー103の回転軸方向の一方及び他方への移動により、第二連結部材102における屈曲及び伸展の両方の動作を実行する。このため、屈曲及び伸展の動作の一方について、第二連結部材102から駆動モータ105まで引き回されたワイヤを駆動モータ105により牽引することで実行させる構成に比べ、屈曲及び伸展の両方の動作について、動作の遅れの発生、及び出力の低下を抑制できる。
【0102】
また、図3に示される変形例では、駆動モータ105が、ワイヤ104を正転させることにより、スライドスクリュー103が正転(A2方向)しながら先端方向(A3方向)へ移動すると共に、スライドスクリュー113が正転(E2方向)しながら後端方向(E3方向)へ移動する。すなわち、駆動モータ105は、スライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を正転させながらスライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を互いに接近する方向へ移動させる。
【0103】
これにより、ワイヤ106を介して第二連結部材102が先端方向(A3方向)へ押され、第二連結部材102が第一連結部材101に対して屈曲動作(A4方向)を実行する。
【0104】
本変形例では、スライドスクリュー103のみが備えられた構成に比べ、駆動モータ105によるワイヤの回転数に対する第二連結部材102の屈曲量を増加させることができる。
【0105】
また、図5に示される変形例では、駆動モータ105が、ワイヤ104を逆転させることにより、スライドスクリュー103が逆転(B2方向)しながら後端方向(B3方向)へ移動すると共に、スライドスクリュー113が逆転(F2方向)しながら先端方向(F3方向)へ移動する。すなわち、駆動モータ105は、スライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を逆転させながらスライドスクリュー103及びスライドスクリュー113を互いに離隔する方向へ移動させる。
【0106】
これにより、ワイヤ106を介して第二連結部材102が後端方向(B3方向)へ引っ張られ、第二連結部材102が第一連結部材101に対して屈曲動作(B5方向)を実行する。
【0107】
本変形例では、スライドスクリュー103のみが備えられた構成に比べ、駆動モータ105によるワイヤの回転数に対する第二連結部材102の屈曲量を増加させることができる。
【0108】
また、本実施形態では、スライドスクリュー103は、第一連結部材101における第二連結部材102との連結部分側に配置されている。
【0109】
このため、スライドスクリュー103が、第一連結部材101における第二連結部材102との連結部分とは反対側に配置されている場合に比べ、スライドスクリュー103が第二連結部材102と接近し、ワイヤ106の弛緩が発生しにくく、動作の遅れの発生、及び出力の低下を抑制できる。
【0110】
また、本実施形態では、第一連結部材としての外筒40の内部に配置されたスライドスクリュー103が外筒40の軸方向に沿って移動するので、スライドスクリュー103が外筒40の径方向に沿って移動する構成に比べ、外筒40の径を小さくできる。
【0111】
また、本実施形態では、デバイス80が、スライドスクリュー103の移動方向に沿って外筒40の内部に配置されている。このため、スライドスクリュー103が外筒40の軸方向に沿って回転軸方向へ移動した際に、デバイス80と干渉することを抑制できる。
【0112】
また、本実施形態では、マニピュレータ100は、第二連結部材の一例としての先端部材60及び内筒50が、体腔202と連通する孔204を通じて体腔202に挿入される医療用のマニピュレータとして用いられる。この場合では、医療行為を行う際に、先端部材60及び内筒50における屈曲又は伸縮の動作の遅れが抑制できる。
【0113】
<マニピュレータ100の変形例>
前述の実施形態では、マニピュレータ100を医療用のマニピュレータとして用いた場合の構成例を説明したが、これに限られない。
【0114】
マニピュレータの一例としては、医療用のマニピュレータに限られず、産業ロボットなどに用いられるマニピュレータであってもよく、マニピュレータが用いられる分野は医療分野に限られず、広く種々の産業に適用することが可能である。
【0115】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0116】
30 筒体
36 ワイヤ
40 外筒
50 内筒
56 ワイヤ
58 スライドスクリュー
60 先端部材
71、72、73 ワイヤ
80 デバイス
81、82、83 スライドスクリュー
91、92、93 ワイヤ
100 マニピュレータ
101 第一連結部材
102 第二連結部材
103 スライドスクリュー
104 ワイヤ
105 駆動モータ
106 ワイヤ
113 スライドスクリュー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14