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特開2024-98866内容物充填システム及び内容物充填方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098866
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】内容物充填システム及び内容物充填方法
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/10 20060101AFI20240717BHJP
   B67C 3/00 20060101ALI20240717BHJP
   B65B 31/04 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B67C3/10
B67C3/00 B
B65B31/04 E
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002643
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】片山 崇夫
(72)【発明者】
【氏名】古谷 文明
(72)【発明者】
【氏名】早川 睦
【テーマコード(参考)】
3E053
3E079
【Fターム(参考)】
3E053AA02
3E053AA03
3E053AA04
3E053AA06
3E053BA02
3E053DA03
3E053FA06
3E053GA19
3E053JA03
3E079AA02
3E079AB01
3E079AB02
3E079AB09
3E079BB05
3E079CC05
3E079DD43
3E079DE02
3E079DE12
3E079FF03
3E079GG01
(57)【要約】
【課題】不活性ガスによるガス置換率を向上させることが可能な、内容物充填システム及び内容物充填方法を提供する。
【解決手段】内容物充填システム10は、容器90を殺菌する容器殺菌装置11と、容器殺菌装置11によって殺菌された容器90に内容物を充填するフィラー20と、を備える。フィラー20において、容器90内に不活性ガスが充填される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物充填システムであって、
容器を殺菌する容器殺菌装置と、
前記容器殺菌装置によって殺菌された前記容器に内容物を充填するフィラーと、を備え、
前記フィラーにおいて、前記容器内に不活性ガスが充填される、内容物充填システム。
【請求項2】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填する前に、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項3】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填している間、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項4】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填した後、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項5】
前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルと、前記充填ノズルに連結された内容物充填タンクと、を有し、
前記内容物充填タンクには、前記不活性ガスと前記内容物とが充填され、
前記不活性ガスは、前記内容物充填タンクから前記充填ノズルを介して、前記容器に充填される、請求項1に記載の内容物充填システム。
【請求項6】
前記フィラーは、前記充填ノズルに連結されたスニフトラインを有し、前記不活性ガスの一部は、前記スニフトラインから排出される、請求項5記載の内容物充填システム。
【請求項7】
前記フィラーは、前記充填ノズルを収容する無菌チャンバを有し、前記不活性ガスの一部は、前記無菌チャンバ内に排出される、請求項5記載の内容物充填システム。
【請求項8】
前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルを有し、前記充填ノズルに不活性ガス供給配管が連結され、
前記不活性ガスは、前記不活性ガス供給配管から前記充填ノズルを介して、前記容器に充填される、請求項1に記載の内容物充填システム。
【請求項9】
前記フィラーによって前記内容物が充填される前の前記容器に対して不活性ガスを供給することにより、前記容器をリンスするリンス装置を更に備えた、請求項1に記載の内容物充填システム。
【請求項10】
内容物充填方法であって、
容器を殺菌する工程と、
フィラーにより、殺菌された前記容器に内容物を充填する工程と、を備え、
前記フィラーにおいて、前記容器内に不活性ガスが充填される、内容物充填方法。
【請求項11】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填する前に、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。
【請求項12】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填している間、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。
【請求項13】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填した後、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内容物充填システム及び内容物充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を充填する前に、プラスチックボトル内に液化した不活性ガスを滴下することにより、プラスチックボトル内の酸素を不活性ガスに置換する技術が存在する(例えば特許文献1参照)。プラスチックボトル内の酸素を不活性ガスに置換することにより、プラスチックボトル内の酸素を除去し、内容物の初期酸化を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-282789号公報
【特許文献2】特開2010-70238号公報
【特許文献3】特開2010-70239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、内容物を充填する前に、プラスチックボトル内に液化した不活性ガスを滴下する場合、不活性ガスによるガス置換率に限界が存在する。これは、プラスチックボトル内に滴下する不活性ガスの量が多いと、気化した不活性ガスによりプラスチックボトルの内圧が上昇し、プラスチックボトルが変形するおそれがあるためである。このため、プラスチックボトル内に滴下する不活性ガスの量を抑える必要があり、不活性ガスによるガス置換率を向上させることは難しい。
【0005】
また、内容物を充填する前に、プラスチックボトル内に気体状態の不活性ガスを注入することも考えられる。しかしながら、プラスチックボトルの搬送速度を速くすると、不活性ガスによるガス置換に要する時間やスペースを十分に確保することが困難になる。このため、この場合においても、不活性ガスによるガス置換率を向上させることは難しい。
【0006】
本開示は、不活性ガスによるガス置換率を向上させることが可能な、内容物充填システム及び内容物充填方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施の形態は、以下の[1]~[13]に関する。
【0008】
[1]内容物充填システムであって、容器を殺菌する容器殺菌装置と、前記容器殺菌装置によって殺菌された前記容器に内容物を充填するフィラーと、を備え、前記フィラーにおいて、前記容器内に不活性ガスが充填される、内容物充填システム。
【0009】
[2]前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填する前に、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、[1]に記載の内容物充填システム。
【0010】
[3]前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填している間、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、[1]又は[2]に記載の内容物充填システム。
【0011】
[4]前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填した後、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の内容物充填システム。
【0012】
[5]前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルと、前記充填ノズルに連結された内容物充填タンクと、を有し、前記内容物充填タンクには、前記不活性ガスと前記内容物とが充填され、前記不活性ガスは、前記内容物充填タンクから前記充填ノズルを介して、前記容器に充填される、[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の内容物充填システム。
【0013】
[6]前記フィラーは、前記充填ノズルに連結されたスニフトラインを有し、前記不活性ガスの一部は、前記スニフトラインから排出される、[5]に記載の内容物充填システム。
【0014】
[7]前記フィラーは、前記充填ノズルを収容する無菌チャンバを有し、前記不活性ガスの一部は、前記無菌チャンバ内に排出される、[5]又は[6]に記載の内容物充填システム。
【0015】
[8]前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルを有し、前記充填ノズルに不活性ガス供給配管が連結され、前記不活性ガスは、前記不活性ガス供給配管から前記充填ノズルを介して、前記容器に充填される、[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の内容物充填システム。
【0016】
[9]前記フィラーによって前記内容物が充填される前の前記容器に対して不活性ガスを供給することにより、前記容器をリンスするリンス装置を更に備えた、[1]乃至[8]のいずれか一つに記載の内容物充填システム。
【0017】
[10]内容物充填方法であって、容器を殺菌する工程と、フィラーにより、殺菌された前記容器に内容物を充填する工程と、を備え、前記フィラーにおいて、前記容器内に不活性ガスが充填される、内容物充填方法。
【0018】
[11]前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填する前に、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、[10]に記載の内容物充填方法。
【0019】
[12]前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填している間、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、[10]又は[11]に記載の処理方法。
【0020】
[13]前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填した後、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、[10]乃至[12]のいずれか1つに記載の処理方法。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、不活性ガスによるガス置換率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、一実施の形態による内容物充填システムを示す概略平面図。
図2図2は、一実施の形態による内容物充填システムのフィラー及びその周囲における流体の流れを示す概略図。
図3図3は、一実施の形態による内容物充填システムのフィラーの充填ノズルを示す概略断面図。
図4図4は、変形例による内容物充填システムのフィラーの充填ノズルを示す概略断面図。
図5図5は、変形例による内容物充填システムのフィラーの充填ノズルを示す概略断面図。
図6図6(a)-(e)は、一実施の形態による内容物充填方法を示す概略フロー図。
図7図7(a)-(e)は、一実施の形態による内容物充填方法(密着充填)を示す断面図。
図8図8(a)-(c)は、変形例による内容物充填方法(口上充填)を示す断面図。
図9図9(a)-(i)は、変形例による内容物充填方法を示す概略フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、一実施の形態について、図1乃至図9を参照して説明する。図1乃至図9は一実施の形態を示す図である。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
【0024】
(内容物充填システム)
まず図1及び図2により本実施の形態による内容物充填システム(無菌充填システム)の全体の構成について説明する。
【0025】
図1に示す内容物充填システム10は、ボトル(容器)90に飲料等の内容物を充填するシステムである。ボトル90は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム91を二軸延伸ブロー成形することにより作製できる。なお、ボトル90は、ダイレクトブロー成形により作製されても良い。ボトル90の材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、又はPEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましい。このほか、容器としては、ガラス、缶、紙、パウチ、カップ又はこれらの複合容器であっても良い。本実施の形態においては、容器としてプラスチックボトルを用いる場合を例にとって説明する。プラスチックボトルは、炭酸飲料用の耐圧ボトルであっても良く、非炭酸飲料用の非耐圧ボトルであっても良い。
【0026】
図1に示すように、内容物充填システム10は、容器殺菌装置11と、フィラー(充填装置)20と、を備える。容器殺菌装置11は、内容物が充填される前のボトル90を予め殺菌する装置である。フィラー20は、容器殺菌装置11によって殺菌されたボトル90に内容物を充填する装置である。
【0027】
内容物充填システム10は、ボトル成形部30と、上述した容器殺菌装置11と、エアリンス装置14と、上述したフィラー20と、キャップ装着装置(キャッパー、巻締及び打栓機)16と、製品ボトル搬出部19とを備える。ボトル成形部30、容器殺菌装置11、エアリンス装置14、フィラー20、キャップ装着装置16及び製品ボトル搬出部19は、ボトル90の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。また、エアリンス装置14、フィラー20及びキャップ装着装置16等の間には、これらの装置間でボトル90を搬送する複数の搬送ホイール12が設けられている。ここでは、ボトル成形部30、容器殺菌装置11、エアリンス装置14、フィラー20、キャップ装着装置16及び製品ボトル搬出部19について説明する。
【0028】
ボトル成形部30は、外部からプリフォーム91を受け入れるとともにボトル90の成形を行う。ボトル成形部30は、成形されたボトル90を容器殺菌装置11へ向けて搬送する。これにより、内容物充填システム10において、プリフォーム91の供給からボトル90の成形を経て、ボトル90への内容物の充填及び閉栓に至る工程を連続して行える。この場合、容積の大きいボトル90ではなく、容積の小さいプリフォーム91が、外部から内容物充填システム10に運搬される。このため、運送費を低減できる。また、図示しない射出成形機とボトル成形部30とを連結させ、プリフォーム91を樹脂ペレットから製造しても良い。この場合、プリフォーム91を外部から運搬するよりも、運送費を更に低減できる。
【0029】
ボトル成形部30は、プリフォーム搬送部31と、ブロー成形部(容器成形装置)32と、ボトル搬送部33と、を有している。プリフォーム搬送部31は、プリフォーム91を搬送する。ブロー成形部32は、プリフォーム搬送部31から送られたプリフォーム91に対してブロー成形を施すことにより、ボトル90を成形する。ボトル搬送部33は、ブロー成形部32において成形されたボトル90を搬送する。
【0030】
プリフォーム搬送部31は、プリフォーム受取部34と、プリフォーム加熱部35と、プリフォーム受渡部36とを含む。このうちプリフォーム受取部34は、プリフォーム供給装置37から供給されるプリフォーム91を受け取る。プリフォーム受取部34には、プリフォーム91を殺菌するためのプリフォーム殺菌装置34aと、プリフォーム91をエアリンスするプリフォームエアリンス装置34bとが設けられている。
【0031】
プリフォーム受取部34において、プリフォーム殺菌装置34aにより、過酸化水素水溶液のガス又はミストがプリフォーム91に吹き付けられ、プリフォーム91が殺菌される(予備殺菌)。プリフォーム91を殺菌するための殺菌剤としては、微生物を不活性化させる性質を有していれば良い。殺菌剤としては、例えば過酸化水素のほか、過酢酸、酢酸、過硝酸、硝酸、塩素系薬剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、二酸化塩素、オゾン水、酸性水、界面活性剤を単体で用いても良く、これらのうち2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0032】
このように、プリフォーム殺菌装置34aが予めプリフォーム91を殺菌(予備殺菌)することにより、プリフォーム91から作製されるボトル90に付着する菌を少なくできる。このため、ボトル90を殺菌する容器殺菌装置11で使用する過酸化水素の使用量を低減できるとともに、殺菌時間を短縮できる。ここで、一般に、容積の小さいプリフォーム91を殺菌するために使用する殺菌剤の量は、ボトル90を殺菌するために使用する殺菌剤の量よりも少なくて良い。このため、プリフォーム91を予備殺菌することにより、殺菌剤の全体の使用量を低減できる。
【0033】
また、容器殺菌装置11で使用する過酸化水素の使用量を低減できるとともに、殺菌時間を短縮できるため、容器殺菌装置11を小型化できる。また、ボトル90を殺菌する殺菌時間を短縮できるため、ボトル90への熱負荷を低減できる。このため、軽量化されたボトル90又はリサイクルによる再生PETを使用したボトル90であっても、殺菌剤の熱によるボトル90の変形を抑制できる。
【0034】
なお、このような殺菌処理は、プリフォーム受取部34だけでなく、プリフォーム加熱部35又はプリフォーム受渡部36で行われても良い。また、殺菌処理は、ボトル90の成形後に、ボトル搬送部33からフィラー20までの間に行われても良い。さらに、殺菌処理は、複数の箇所で行われても良い。なお、殺菌処理において、殺菌剤を使用することなく、紫外線照射又は電子線照射等によって、菌を不活性化しても良い。
【0035】
プリフォーム殺菌装置34aの下流側には、上述したプリフォームエアリンス装置34bが設けられる。殺菌剤が吹き付けられたプリフォーム91は、プリフォームエアリンス装置34bにおいて、ホットエアで乾燥される。この際、プリフォーム91の口部を下に向けた状態で、プリフォーム91に対してホットエアが供給されることが好ましい。これにより、プリフォーム91内から異物を効果的に除去できる。このため、無菌水によってプリフォーム91を洗浄する工程を省略でき、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。なお、プリフォーム受取部34において、プリフォームエアリンス装置34bは設けられていなくても良い。また、プリフォーム受取部34において、プリフォーム殺菌装置34aの上流側に、プリフォーム91に付着した異物を除去するための異物除去装置(図示せず)が設けられていても良い。
【0036】
プリフォーム加熱部35は、プリフォーム受取部34からプリフォーム91を受け取り、プリフォーム91を搬送しながら加熱する。このプリフォーム加熱部35には、プリフォーム91を加熱するヒーター35aが設けられている。このヒーター35aは、例えば赤外線ヒーターであっても良い。このヒーター35aにより、プリフォーム91は、例えば90℃以上130℃以下程度に加熱される。なお、プリフォーム91の口部の温度は、変形等を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。
【0037】
プリフォーム受渡部36は、プリフォーム加熱部35により加熱されたプリフォーム91を受け取り、ブロー成形部32に受け渡す。
【0038】
ブロー成形部32は、図示しない金型を含む。この金型を用いてプリフォーム91に対してブロー成形を施すことにより、ボトル90が成形される。そして、成形されたボトル90は、ボトル搬送部33によって、下流側に搬送される。
【0039】
ここで、ボトル成形部30と容器殺菌装置11との間に、ボトル搬送部33からボトル90を受け取り、容器殺菌装置11へボトル90を受け渡す調整搬送部38が設けられている。調整搬送部38の少なくとも一部は、殺菌剤噴霧チャンバ70d(後述)の上流側に設けられた雰囲気遮断チャンバ70c(後述)の内部に収容されている。図示された例においては、調整搬送部38は、ボトル成形部30を収容する成形部チャンバ70b(後述)と、雰囲気遮断チャンバ70cとに跨がるように配置されている。このように、調整搬送部38の少なくとも一部が、雰囲気遮断チャンバ70cの内部に収容されていることにより、殺菌剤噴霧チャンバ70d内で発生する殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が、成形部チャンバ70bに流入することを抑制できる。
【0040】
容器殺菌装置11は、殺菌剤をボトル90に噴射することにより、ボトル90を殺菌する装置である。容器殺菌装置11により、内容物の充填前に殺菌剤によってボトル90が殺菌される。殺菌剤としては、例えば過酸化水素水溶液が用いられる。容器殺菌装置11においては、過酸化水素水溶液のガス又はミストが生成され、ガス又はミストがボトル90の内面及び外面に噴霧される。このようにボトル90が過酸化水素水溶液のガス又はミストで殺菌されるので、ボトル90の内面及び外面がムラなく殺菌される。
【0041】
エアリンス装置14は、容器殺菌装置11によって殺菌されたボトル90に対してノズルから無菌の加熱エア又は無菌の常温エアを供給する装置である。加熱エア又は常温エアの温度は、30℃以上180℃以下であっても良く、好ましくは50℃以上140℃以下である。加熱エア又は常温エアの風量は、ノズル1本あたり50L/min以上500L/min以下であっても良く、好ましく100L/min以上400L/min以下である。ノズルの内径はφ2mm以上φ10mm以下であっても良く、好ましくはφ4mm以上φ8mm以下である。エアリンス装置14により、過酸化水素の活性化を行いつつ、ボトル90内から異物及び過酸化水素等を除去できる。この際、ボトル90の口部を下に向けた状態で、ボトル90に対して無菌エアが供給されることが好ましい。これにより、ボトル90内から異物を効果的に除去できる。このため、無菌水によってボトル90を洗浄する工程を省略でき、節水ができる。また内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量も低減できる。なお、必要に応じて、無菌の常温エアに、低濃度の過酸化水素の凝結ミストを混ぜて過酸化水素をガス化させて、ボトル90に供給しても良い。
【0042】
フィラー20は、飲料等の内容物をボトル90に充填する装置である。すなわち、フィラー20は、ボトル90の口部からボトル90内へ内容物を充填する。これにより、フィラー20において、内容物が空の状態のボトル90に充填される。このフィラー20では、複数のボトル90が回転搬送されながら、ボトル90の内部へ内容物が充填される。フィラー20は、後述する無菌チャンバ70fの内部に配置されている。フィラー20は、回転可能な複数の充填ノズル72を有するいわゆるロータリーフィラーであっても良く、直線式にボトル90を搬送するフィラーであっても良い。本実施の形態においては、後述するように、フィラー20において、ボトル90内に内容物とともに不活性ガスが充填される。なお、フィラー20の詳細は後述する。
【0043】
キャップ装着装置16は、ボトル90にキャップ92を装着することにより、ボトル90を閉栓する装置である。キャップ装着装置16において、内容物が充填されたボトル90はキャップ92により閉じられる。これにより、ボトル90内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル90を把持した状態でキャップ92を回転(公転)しながら、その口部にキャップ92が装着される。このようにして、ボトル90にキャップ92を装着することにより、製品ボトル95が得られる。
【0044】
キャップ92は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される。キャップ殺菌装置18は、例えば無菌チャンバ70fの外側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置18において、内容物充填システム10の外部から搬入されたキャップ92は、予め多数集められ、キャップ装着装置16に向かって列になって搬送される。キャップ92がキャップ装着装置16に向かう途中で、過酸化水素のガス又はミストがキャップ92の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される。
【0045】
製品ボトル搬出部19は、キャップ装着装置16でキャップ92を装着された製品ボトル95を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出する。
【0046】
なお、内容物充填システム10は、プリフォーム殺菌チャンバ70aと、成形部チャンバ70bと、雰囲気遮断チャンバ70cと、殺菌剤噴霧チャンバ70dと、エアリンスチャンバ70eと、無菌チャンバ70fと、出口チャンバ70gとを有する。プリフォーム殺菌チャンバ70a、成形部チャンバ70b、雰囲気遮断チャンバ70c、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、無菌チャンバ70f、及び出口チャンバ70gは、プリフォーム91及びボトル90の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。
【0047】
各チャンバ70a乃至70gは、それぞれ隔壁によって分離される。隔壁は、各チャンバ70a乃至70g間で、殺菌剤等が意図しない方向へ流通することを防ぎ、各チャンバ70a乃至70g内の圧力を安定させる役割を果たす。なお、隔壁には、それぞれプリフォーム91又はボトル90が通過できる程度の隙間が形成されている。この隙間は、各チャンバ70a乃至70g内の圧力が変化しないように、最小限、例えば1個分のプリフォーム91又はボトル90程度の大きさ形成されている。また、隔壁には、上述した隙間を閉鎖するシャッターが設けられていても良い。このシャッターは、例えば制御部60からの信号により、自動で開閉するように構成されていても良い。
【0048】
各チャンバ70a乃至70gのうち、プリフォーム殺菌チャンバ70aの内部には、プリフォーム殺菌装置34a等が収容される。成形部チャンバ70bの内部には、ボトル成形部30のブロー成形部32等が収容される。雰囲気遮断チャンバ70cの内部には、調整搬送部38の少なくとも一部が収容される。殺菌剤噴霧チャンバ70dの内部には、容器殺菌装置11が収容される。また、エアリンスチャンバ70eの内部には、エアリンス装置14が収容される。無菌チャンバ70fの内部には、フィラー20と、搬送ホイール12と、キャップ装着装置16とが収容される。さらに、出口チャンバ70gの内部には、製品ボトル搬出部19が収容される。
【0049】
内容物充填システム10は、内容物充填システム10を制御する制御部60を更に備えている。この制御部60は、ボトル成形部30、容器殺菌装置11、エアリンス装置14、フィラー20、キャップ装着装置16、製品ボトル搬出部19及びキャップ殺菌装置18に電気的に接続されており、これらの装置の一部又は全部を制御しても良い。
【0050】
このような内容物充填システム10は、例えば無菌充填システムからなっていても良い。この場合、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、無菌チャンバ70f、及び出口チャンバ70gの内部は無菌状態に保持される。なお、出口チャンバ70gの下流側に、無菌状態の無菌ゾーンと、非無菌状態の非無菌ゾーンとを連結するチャンバ(図示せず)が設けられていてもよい。あるいは、内容物充填システム10は、非無菌充填システムからなっていても良い。
【0051】
次に、図2を用いて、内容物充填システム10のフィラー20及びその周囲の構成について説明する。
【0052】
図2に示すように、フィラー20は、無菌チャンバ70f内に設けられている。無菌チャンバ70fの外部であって、フィラー20の上方には、内容物充填タンク75が配置されている。内容物充填タンク75は、充填ヘッドタンク又はバッファータンクと称しても良い。内容物充填タンク75の内部には飲料等の内容物が充填されている。飲料は、炭酸飲料であっても良く、非炭酸飲料であっても良い。内容物充填タンク75は、炭酸ガス供給ライン61を介して無菌炭酸供給部63に連結されている。炭酸ガス供給ライン61には、第1バルブ62が設けられている。第1バルブ62を開放することにより、無菌炭酸供給部63から内容物充填タンク75に無菌状態の炭酸ガスが供給される。内容物充填タンク75内に炭酸飲料が充填されている場合、無菌炭酸ガスによって内容物充填タンク75内の炭酸飲料を加圧する。これにより、炭酸飲料に溶解した炭酸ガスが気相中に放出されることを抑制できる。内容物充填タンク75では、好ましくは製造基準の炭酸ガス圧より高い圧力で炭酸飲料を加圧すると良い。これにより、内容物充填タンク75内の炭酸飲料中の炭酸ガスの濃度が一定に保たれる。なお、内容物充填タンク75内の炭酸ガスの圧力P1は、内容物充填タンク75に設けられた第1圧力計64によって測定される。なお、内容物充填システム10が炭酸飲料を充填しない場合、炭酸ガス供給ライン61及び無菌炭酸供給部63は設けられていなくても良い。
【0053】
内容物充填タンク75は、不活性ガス供給ライン67を介して不活性ガス供給部69に連結されている。不活性ガス供給ライン67には、第2バルブ68が設けられている。第2バルブ68を開放することにより、不活性ガス供給部69から内容物充填タンク75に不活性ガスが供給される。炭酸ガス供給ライン61の無菌炭酸供給部63側の部分と、不活性ガス供給ライン67の不活性ガス供給部69側の部分とを接続し、第1バルブ62と第2バルブ68とを兼用するバルブを設けても良い。内容物充填タンク75中の不活性ガスは、後述するようにガス供給ライン74及び充填ノズル72を順次介して、ボトル90に供給される。内容物充填タンク75内の不活性ガスの圧力P1は、内容物充填タンク75に設けられた第1圧力計64によって測定される。不活性ガスとしては、窒素又はアルゴン等を用いても良い。不活性ガスは、無菌の不活性ガスであっても良く、非無菌の不活性ガスであっても良い。充填する内容物が無菌である場合は無菌の不活性ガスを用い、充填する内容物が非無菌である場合は非無菌の不活性ガスを用いても良い。内容物充填タンク75のうち内容物より上方に位置する空間に占める不活性ガスの体積分率は、90%以上であっても良く、95%以上であっても良く、99%以上であっても良く、99.9%以上であっても良い。
【0054】
内容物充填タンク75には、内容物導入ライン65が連結されている。この内容物導入ライン65は、図示しない内容物製造装置に連結されている。また内容物導入ライン65には、第3バルブ66が設けられている。この第3バルブ66を開放することにより、内容物製造装置からの製品液等の内容物が、内容物導入ライン65を通過して、内容物充填タンク75に充填される。また内容物導入ライン65には、後述するCIP循環ライン81が連結されている。
【0055】
内容物充填タンク75には、ガス放出ライン86が連結されている。このガス放出ライン86は、後述する排出タンク85に連結されている。さらにガス放出ライン86には、第4バルブ87が設けられている。第4バルブ87を開放した場合、内容物充填タンク75内の不活性ガス又は炭酸ガスを排出タンク85に向けて放出できる。また、ガス放出ライン86内の圧力P2は、ガス放出ライン86に設けられた第2圧力計88によって測定されている。この圧力P2は、排出タンク85内の圧力に等しい。
【0056】
この場合、第1バルブ62と第4バルブ87とは、制御部60によって制御され、これにより内容物充填タンク75内の圧力が制御されている。具体的には、第1圧力計64によって測定された内容物充填タンク75内の圧力P1と、第2圧力計88によって測定されたガス放出ライン86内の圧力P2との間で、P1>P2という関係が成り立つようになっている。なお、内容物充填タンク75内の圧力P1は、例えば0.01MPa以上1.0MPa以下となるように制御されても良い。また、ガス放出ライン86内の圧力P2は、0MPaをわずかに上回る圧力、例えば0.0001MPa以上0.01MPa以下となるように制御されても良い。これにより、内容物充填タンク75に対して無菌チャンバ70fの外部から非無菌状態のガスが侵入することを抑制できる。このため、排出タンク85として、無菌状態に制御されていない非無菌タンクを用いることができる。
【0057】
また、内容物充填タンク75には、内容物供給ライン73が連結されている。内容物供給ライン73は、内容物充填タンク75に充填された飲料等の内容物を、後述する充填ノズル72に向けて供給するラインである。内容物充填タンク75は、内容物供給ライン73を介して充填ノズル72に連結されている。
【0058】
内容物充填タンク75には、ガス供給ライン74が連結されている。ガス供給ライン74は、内容物充填タンク75に充填された不活性ガスを、後述する充填ノズル72に向けて供給するラインである。内容物充填タンク75は、ガス供給ライン74を介して充填ノズル72に連結されている。なお、内容物充填システム10が炭酸飲料と非炭酸飲料との両方を充填可能な装置である場合、ガス供給ライン74は、内容物充填タンク75に充填された炭酸ガスを充填ノズル72に供給できる。すなわち、ガス供給ライン74は、炭酸ガス及び不活性ガスのいずれかを選択的に供給するものであっても良い。
【0059】
フィラー20においては、内容物充填タンク75に充填された内容物が、空の状態のボトル90に対して充填される。フィラー20は、鉛直方向に平行な軸周りに回転する搬送ホイール71を有する。この搬送ホイール71によって複数のボトル90が回転(公転)されながら、ボトル90内部へ内容物が充填される。また搬送ホイール71の外周に沿って、複数の充填ノズル72が配置されている。各充填ノズル72には、それぞれ1本のボトル90が装着され、充填ノズル72からボトル90の内部に内容物が注入される。なお、充填ノズル72の構成は後述する。
【0060】
搬送ホイール71と、充填ノズル72と、内容物供給ライン73の少なくとも一部と、ガス供給ライン74の少なくとも一部とは、無菌チャンバ70fの一部を構成するカバー76内に収容されている。カバー76の上部にはロータリージョイント77が取り付けられている。内容物供給ライン73及びガス供給ライン74は、ロータリージョイント77によって無菌チャンバ70fのカバー76に取り付けられている。このロータリージョイント77は、回転体と非回転体とを、無菌状態でシールする。回転体は、例えば搬送ホイール71、充填ノズル72、ならびに、内容物供給ライン73及びガス供給ライン74の回転配管等である。非回転体は、カバー76、ならびに、内容物供給ライン73及びガス供給ライン74の固定配管等である。
【0061】
各充填ノズル72には、内容物供給ライン73及びガス供給ライン74が連結されている。このうち内容物供給ライン73は、その一端が内容物を充填した内容物充填タンク75に連結される。内容物供給ライン73の他端は、ボトル90の内部に連通している。そして内容物充填タンク75から供給された内容物は、内容物供給ライン73を通過して、ボトル90の内部に注入される。
【0062】
ガス供給ライン74は、その一端が内容物充填タンク75に連結される。ガス供給ライン74の他端は、ボトル90の内部に連通している。内容物充填タンク75から供給される不活性ガスは、ガス供給ライン74を通過して、ボトル90の内部に充填される。ガス供給ライン74の途中にはガス分岐部53が設けられている。内容物充填タンク75からのガス供給ライン74は、ガス分岐部53において複数に分岐されて、それぞれの充填ノズル72まで延在する。
【0063】
各充填ノズル72には、スニフトライン78が連結されている。スニフトライン78は、その一端がガス供給ライン74に連結されている。スニフトライン78の他端は、無菌チャンバ70fの外方へ延在している。このスニフトライン78を介してボトル90の内部のガスを排出可能となっている。スニフトライン78の途中にはスニフトライン分岐部56が設けられており、スニフトライン78からの不活性ガスは、スニフトライン分岐部56においてまとめられて、無菌チャンバ70f内に排出される。無菌チャンバ70f内のスニフトライン78には、排出弁79が設けられている。この排出弁79によって、スニフトライン78からの不活性ガスが無菌チャンバ70f内に排出される。なお、スニフトライン分岐部56とガス分岐部53とは、第1バイパスライン54によって連結されている。第1バイパスライン54には、第5バルブ55が設けられており、通常、この第5バルブ55は閉鎖されている。
【0064】
スニフトライン78は、内側スニフトライン78aと、外側スニフトライン78bとを有している。内側スニフトライン78aは、その一端が充填ノズル72に連結されるとともに、他端において排出弁79に連結されている。内側スニフトライン78aは、その全体が無菌チャンバ70f内に位置しており、上述したスニフトライン分岐部56は、内側スニフトライン78aの途中に位置している。また内側スニフトライン78aは、充填ノズル72とともに回転する回転式となっている。
【0065】
外側スニフトライン78bは、その一端が排出弁79に連結されるとともに、他端において無菌チャンバ70fの外部に開放されている。外側スニフトライン78bは、その一部が無菌チャンバ70fの内部に位置しており、残りの一部が無菌チャンバ70fの外部に位置している。また外側スニフトライン78bは、充填ノズル72とともに回転することがない非回転式となっている。
【0066】
排出弁79は、内側スニフトライン78aと外側スニフトライン78bとの間に位置している。内側スニフトライン78aと外側スニフトライン78bとは、排出弁79において着脱可能となっている。また排出弁79は、開閉可能であり、通常時は開放されている。排出弁79が開放された状態では、内側スニフトライン78aは外側スニフトライン78bから物理的に分離されており、内側スニフトライン78aは排出弁79において無菌チャンバ70f内と連通する。排出弁79が閉鎖された場合、内側スニフトライン78aは外側スニフトライン78bに連結され、内側スニフトライン78aは外側スニフトライン78bに連通する。このとき、内側スニフトライン78aは無菌チャンバ70f内とは連通しない。
【0067】
また、外側スニフトライン78bは、蛇腹部78cにおいて伸縮自在となっている。そして排出弁79が開放されている場合、外側スニフトライン78bの蛇腹部78cが縮まり、外側スニフトライン78bが内側スニフトライン78aから離脱する。この際、内側スニフトライン78aは、回転可能となるとともに、排出弁79において無菌チャンバ70f内に連通する。一方、排出弁79を閉鎖する場合、内側スニフトライン78aの回転を停止するとともに、内側スニフトライン78aと外側スニフトライン78bとを回転方向に位置決めする。この状態で、外側スニフトライン78bの蛇腹部78cを伸長させ、排出弁79において外側スニフトライン78bが内側スニフトライン78aに連結される。このとき、内側スニフトライン78aは、外側スニフトライン78bと一体化されて外側スニフトライン78bと連通する。
【0068】
このように、排出弁79を用いてスニフトライン78からの不活性ガスを無菌チャンバ70f内に排出することにより、ボトル90内の不活性ガスを無菌空間である無菌チャンバ70f内に、菌のコンタミなく排出できる。また、回転するスニフトライン78を無菌チャンバ70fの外部へ連結するためのロータリージョイントを設ける必要がない。このようなロータリージョイントは、一般に複雑な機構を有しているとともに、高価である。このため、スニフトライン78用のロータリージョイントを省略することにより、内容物充填システム10の機構を簡素化し、製造コストを低減できる。
【0069】
ところで、内容物充填システム10のうち、飲料等の内容物が通過する流路については、CIP(Cleaning in Place)処理をし、さらに、SIP(Sterilizing in Place)処理をすることが好ましい。CIP処理及びSIP処理は、定期的にあるいは内容物の種類を切り替える際に行っても良い。CIP処理は、原料を供給する経路の管路内からフィラー20の充填ノズル72に至るまでの流路に、例えば水に苛性ソーダ等のアルカリ性薬剤を添加した洗浄液を流した後に、水に酸性薬剤を添加した洗浄液を流すことにより行われる。これにより、内容物が通過する流路内に付着した前回の内容物の残留物等が除去される。またSIP処理は、内容物の充填作業に入る前に、予め内容物が通過する流路内を殺菌するための処理である。SIP処理は、例えば、上記CIPで洗浄した流路内に加熱蒸気又は熱水を流すことによって行われる。これにより、内容物が通過する流路内が殺菌処理され無菌状態とされる。
【0070】
上述したCIP処理を行うために、充填ノズル72の近傍には、充填ノズル72からの洗浄液を受けるCIPカップ82が設けられる。このCIPカップ82には、CIPライン83が連結されている。CIPライン83は、その一端がCIPカップ82に連結されている。CIPライン83の他端は、無菌チャンバ70fの外方に配置された排出タンク85に連結されている。このCIPライン83を介して充填ノズル72からの洗浄液を排出タンク85に排出可能となっている。CIPライン83の途中にはCIPライン分岐部59が設けられている。CIPライン83からの洗浄液は、CIPライン分岐部59でまとめて回収されて、排出タンク85に排出される。なお、CIPライン分岐部59とスニフトライン分岐部56とは、第2バイパスライン57によって連結されている。第2バイパスライン57には、第6バルブ58が設けられている。通常、この第6バルブ58は閉鎖されている。
【0071】
この場合、CIPライン83は、内側CIPライン83aと、外側CIPライン83bとを有している。内側CIPライン83aは、その一端がCIPカップ82に連結されている。内側CIPライン83aの他端は、接続弁84に連結されている。内側CIPライン83aは、その全体が無菌チャンバ70f内に位置しており、上述したCIPライン分岐部59は、内側CIPライン83aの途中に位置している。また内側CIPライン83aは、充填ノズル72とともに回転する回転式となっている。
【0072】
外側CIPライン83bは、その一端が接続弁84に連結されている。外側CIPライン83bの他端は、排出タンク85に連結されている。外側CIPライン83bは、その一部が無菌チャンバ70fの内部に位置しており、残りの一部が無菌チャンバ70fの外部に位置している。また外側CIPライン83bは、充填ノズル72とともに回転することがない、非回転式となっている。
【0073】
接続弁84は、内側CIPライン83aと外側CIPライン83bとの間に位置している。内側CIPライン83aと外側CIPライン83bとは、接続弁84において着脱可能となっている。また接続弁84は、開閉可能であり、通常時は開放されている。接続弁84が開放された状態では、内側CIPライン83aは外側CIPライン83bから物理的に分離されている。このとき内側CIPライン83aは接続弁84において無菌チャンバ70f内と連通する。接続弁84が閉鎖された場合、内側CIPライン83aは外側CIPライン83bに連結される。このとき内側CIPライン83aは外側CIPライン83bを介して排出タンク85に連通する。接続弁84の構成は、上述した排出弁79の構成と略同様であっても良い。なお、第6バルブ58を開放することにより、スニフトライン78から送られてきた不活性ガスを、接続弁84から無菌チャンバ70f内に排出しても良い。
【0074】
外側CIPライン83bは、蛇腹部83cにおいて伸縮自在となっている。そして接続弁84が開放されている場合、外側CIPライン83bの蛇腹部83cが縮まり、接続弁84において外側CIPライン83bが内側CIPライン83aから離脱する。この際、内側CIPライン83aは、回転可能となるとともに、無菌チャンバ70f内と連通する。一方、接続弁84を閉鎖する場合、内側CIPライン83aと外側CIPライン83bとを回転方向に位置決めする。この状態で、外側CIPライン83bの蛇腹部83cを伸長させ、接続弁84において外側CIPライン83bが内側CIPライン83aに接続される。このとき、内側CIPライン83aは、外側CIPライン83bと一体化され、外側CIPライン83bと連通する。
【0075】
排出タンク85の上部には、排出タンク85の内部のガスを排出する排気ライン89が設けられている。排気ライン89には、ガスを処理する図示しないスクラバーが連結されている。また、排出タンク85の下部には、上述したCIP循環ライン81が連結されている。このCIP循環ライン81は、排出タンク85に貯留された洗浄液を内容物充填タンク75側に向けて送液し、循環させるラインである。CIP循環ライン81は、排出タンク85と、内容物導入ライン65の途中とを連結している。CIP循環ライン81には、排出タンク85側から順に、洗浄液供給部94と、ポンプ98と、第7バルブ99と、ヒーター93と、第8バルブ101とが設けられている。また、ポンプ98と第7バルブ99との間には、排液ライン96が連結されている。排液ライン96には第9バルブ97が設けられている。排液ライン96は、ヒーター93と第8バルブ101との間に設けても良く、また各配管内の残水を速やかに除去できる場所であれば、排液ライン96を適宜追加しても良い。
【0076】
無菌チャンバ70fのカバー76には、無菌チャンバ70f内に大容量の無菌エアを送り込む無菌エア供給装置80が設けられている。この無菌エア供給装置80が、無菌チャンバ70f内に無菌エアを導入することにより、無菌チャンバ70f内が陽圧に保持され、無菌チャンバ70f内に外気が侵入することを抑止する。また、無菌エア供給装置80によって大容量の無菌エアが無菌チャンバ70f内に送られる。このため、上述したように排出弁79から無菌チャンバ70f内に不活性ガスが排出された場合でも、無菌チャンバ70f内の不活性ガスの濃度が過度に上昇するおそれがない。
【0077】
(充填ノズル)
次に、図3を用いて、上述したフィラー20の充填ノズル72の構成について説明する。
【0078】
図3に示すように、充填ノズル72は、本体部72aを有している。本体部72aには、内容物供給ライン73及びガス供給ライン74がそれぞれ連結されている。内容物供給ライン73の上端は、内容物充填タンク75に連結されている。内容物供給ライン73の下端は、ボトル90の内部に連通している。本体部72aには、充填バルブ41が設けられている。充填バルブ41がオンになった場合、内容物充填タンク75から供給された内容物は、内容物供給ライン73を通過して、ボトル90の内部に注入される。充填バルブ41がオフになった場合、内容物供給ライン73からボトル90への内容物の注入が停止する。充填バルブ41のうち、内容物が追加する部分の内径は、6mm以上、20mm以下としても良く、8mm以上、15mm以下としても良い。
【0079】
充填ノズル72は、ボトル90に対して昇降可能となっている。充填ノズル72が下降したとき、充填ノズル72は、ボトル90の口部に密着する。この場合、充填ノズル72がボトル90に密着した状態で、ボトル90に内容物が充填される(密着充填、図7(a)-(e))。充填ノズル72が上昇したとき、充填ノズル72は、ボトル90の口部から離間する。なお、充填ノズル72がボトル90から離間した状態で、ボトル90に内容物を充填しても良い(口上充填、図8(a)-(c))。充填ノズル72は、図示しないベントチューブを有するものであっても良い。
【0080】
ガス供給ライン74の上端は、内容物充填タンク75に連結されている。ガス供給ライン74の下端は、ボトル90の内部に連通している。内容物充填タンク75から供給された不活性ガスは、ガス供給ライン74を通過して、ボトル90の内部に充填される。ガス供給ライン74の途中には、スニフトライン78が連結されている。スニフトライン78を介してボトル90の内部の不活性ガスを排出可能となっている。内容物充填システム10が炭酸飲料を充填可能な装置である場合、ガス供給ライン74は、内容物充填タンク75に充填された炭酸ガスを充填ノズル72に供給する。
【0081】
ガス供給ライン74には、ガスバルブ42が設けられている。ガスバルブ42がオンになった場合、内容物充填タンク75から供給された不活性ガスは、ガス供給ライン74及び充填ノズル72を通過して、ボトル90の内部に注入される。ガスバルブ42がオフになった場合、ガス供給ライン74及び充填ノズル72からボトル90への不活性ガスの注入が停止する。ガスバルブ42のうち、不活性ガスが追加する部分の内径は、2mm以上、10mm以下としても良く、3mm以上、8mm以下としても良い。充填ノズル72からボトル90へ供給されるガスには、不活性ガス以外のガスが微量に含まれていても良い。なお、充填ノズル72からボトル90へ供給されるガスに占める不活性ガスの体積分率は、90%以上であっても良く、95%以上であっても良く、99%以上であっても良く、99.9%以上であっても良い。
【0082】
スニフトライン78には、スニフトバルブ43が設けられている。スニフトバルブ43がオンになった場合、ボトル90からの不活性ガスがスニフトライン78を通過して、フィラー20の外部に排出される。スニフトバルブ43がオフになった場合、ボトル90からの不活性ガスの排出が中断される。スニフトバルブ43のうち、不活性ガスが追加する部分の内径は、2mm以上、10mm以下としても良く、3mm以上、8mm以下としても良い。
【0083】
内容物供給ライン73及びガス供給ライン74は、カバー76に設けられたロータリージョイント77を通過している。一方、スニフトライン78は、上述したようにロータリージョイントを介在させることなく、スニフトライン78からの不活性ガスを無菌チャンバ70f内に排出させる。
【0084】
図4に示すように、スニフトライン78はガス供給ライン74の途中に接続されていなくても良い。スニフトライン78の先端は、ガス供給ライン74の先端と同様に、充填ノズル72の先端に位置しても良い。この場合、充填ノズル72の中心軸に対してガス供給ライン74の対角となる位置にスニフトライン78の先端を設けることが好ましい。これにより、ボトル90内の不活性ガスの置換効率を向上させることができる。
【0085】
図5に示すように、不活性ガスは、ガス供給ライン74に代えて、不活性ガス供給配管46からボトル90に供給されても良い。不活性ガス供給配管46の先端は、充填ノズル72に連結されている。不活性ガス供給配管46は、フィラー20の外部からフィラー20内に不活性ガスを送り込む。不活性ガス供給配管46の基端(充填ノズル72の反対側の端部)は、例えば不活性ガス供給部69に連結されても良い。なお、不活性ガス供給配管46は、内容物充填タンク75には連結されていない。不活性ガスは、不活性ガス供給配管46から充填ノズル72を介して、ボトル90内に充填される。この場合、ガス供給ライン74は、専らボトル90に炭酸ガスを充填するために用いられる。不活性ガス供給配管46は、フィラー20の上部又は下部に設けられた、ロータリージョイント77とは異なるロータリージョイントを介して配置されても良い。図5に示す例によれば、ボトル90に不活性ガスを充填するときに、ボトル90内の空気が内容物充填タンク75側へ逆流することが抑えられる。この結果、内容物充填タンク75内の不活性ガスの濃度が低下することがなく、不活性ガスの置換率が低下することが抑えられる。
【0086】
(内容物充填方法)
次に、上述した内容物充填システム10(図1)を用いた内容物充填方法について説明する。なお、以下において、通常時における充填方法、すなわち内容物をボトル90に充填して製品ボトル95を製造する内容物充填方法について説明する。
【0087】
まず、プリフォーム供給装置37により、複数のプリフォーム91が、プリフォーム搬送部31のプリフォーム受取部34に順次供給される。この際、プリフォーム91は、プリフォーム殺菌装置34aにおいて、過酸化水素のガス又はミストを吹き付けることによって殺菌処理された後、ホットエアで乾燥される。
【0088】
次に、プリフォーム91は、プリフォーム加熱部35に送られ、ヒーター35aにより、例えば90℃以上130℃以下程度に加熱される。プリフォーム加熱部35により加熱されたプリフォーム91は、プリフォーム受渡部36に送られる。そして、プリフォーム91は、プリフォーム受渡部36からブロー成形部32に送られる。
【0089】
次いで、ブロー成形部32に送られたプリフォーム91に対して、図示しない金型を用いてブロー成形を施すことにより、ボトル90がブロー成形される。そして、ブロー成形されたボトル90は、ボトル搬送部33に送られる。
【0090】
次に、容器殺菌装置11において、ボトル90に対して殺菌剤である過酸化水素水溶液を用いて殺菌処理が行われる(図6(a)参照)。このとき、殺菌剤は、過酸化水素水溶液を一旦沸点以上で気化させたガス又はミストであっても良い。過酸化水素水溶液のガス又はミストは、ボトル90の内面及び外面に付着し、ボトル90の内面及び外面を殺菌する。過酸化水素水溶液は、1重量%以上、好ましくは35重量%の濃度の過酸化水素水溶液を一旦気化させた後に凝縮したガス又はミストであっても良い。
【0091】
続いて、ボトル90は、エアリンス装置14に送られ、エアリンスされる(図6(b)参照)。具体的には、エアリンス装置14において、ボトル90に対して無菌の加熱エア又は無菌の常温エアが供給される。これにより、過酸化水素の活性化が行われ、かつ、ボトル90から異物及び過酸化水素等が除去される。なお、エアリンス装置14において、必要に応じて、無菌の加熱エア又は無菌の常温エアに、低濃度の過酸化水素の凝結ミストを混ぜても良い。この場合、過酸化水素は、無菌エアによってガス化される。そして、エアリンス装置14において、ガス化された過酸化水素をボトル90に供給しても良い。またエアリンス装置14においてエアリンス用のエアを窒素ガス等の不活性ガスに変更しても良い。
【0092】
続いて、エアリンス装置14でエアリンスされたボトル90は、搬送ホイール12によってフィラー20に搬送される。このフィラー20において、ボトル90は回転(公転)されながら、その口部からボトル90内へ内容物が充填される。フィラー20においては、殺菌されたボトル90に、内容物充填タンク75から送られた内容物が1℃以上40℃以下、好ましくは5℃以上30℃以下の充填温度で充填される。
【0093】
次に、図6(c)-(e)及び図7(a)-(e)を参照して、フィラー20においてボトル90に内容物を充填する際の作用について説明する。具体的には、充填ノズル72がボトル90の口部に密着した状態で充填を行う密着充填時の作用について説明する。図7(a)-(e)において、内容物の流れを実線矢印で示し、不活性ガスの流れを点線矢印で示す。
【0094】
まず図7(a)に示すように、ボトル90がフィラー20に供給され、ボトル90は、対応する充填ノズル72の下方に位置する。このとき、充填ノズル72はボトル90の上方に位置し、充填ノズル72はボトル90の口部から離間している。また、充填バルブ41はオフとなるとともに、ガスバルブ42がオンとなっている。これにより、ガス供給ライン74とボトル90とが互いに連通する。またスニフトバルブ43はオフとなっている。このとき、内容物充填タンク75からガス供給ライン74を介して不活性ガスが供給され、不活性ガスはボトル90内に送り込まれる。これにより、予め空気が充填されていたボトル90の内部が不活性ガスで置換される。このように、ボトル90内に内容物を充填する前に、ボトル90内に不活性ガスが充填される。
【0095】
次に、図7(b)に示すように、充填ノズル72が下降し、充填ノズル72がボトル90の口部に密着する。充填ノズル72が下降する時間は、0.2秒以上、1.0秒以下としても良い。また、充填バルブ41がオフとなるとともに、ガスバルブ42がオンとなる。スニフトバルブ43はオンとなっている。このとき、内容物充填タンク75からガス供給ライン74及び充填ノズル72を介して不活性ガスが供給され、不活性ガスはボトル90内に送り込まれる(図6(c)参照)。これにより、ボトル90の内部が外気と遮断された状態で、ボトル90の内部を不活性ガスで確実に置換できる。内容物充填タンク75からの不活性ガスのうち、ボトル90に充填しきれない余剰の不活性ガスは、スニフトライン78から外部へ排出される。ボトル90からの不活性ガスは、スニフトライン78を通過した後、排出弁79から無菌チャンバ70f内へ排出される。
【0096】
図7(b)に示す工程は、0.2秒以上、2.0秒以下行われても良く、0.3秒以上、1.0秒以下行われることが好ましい。充填ノズル72からの不活性ガスの供給量は、50L/min/本以上、800L/min/本以下としても良い。
【0097】
次に、図7(c)に示すように、充填ノズル72からボトル90の内部に内容物が充填される。この場合、内容物は、内容物充填タンク75から内容物供給ライン73及び充填ノズル72を通過して、ボトル90の内部に注入される。このとき、充填バルブ41がオンとなるとともに、ガスバルブ42がオフとなる。またスニフトバルブ43はオンとなっている。ガスバルブ42がオフとなることにより、内容物充填タンク75からボトル90への不活性ガスの供給が停止する。また、充填ノズル72からボトル90に内容物が充填されることにより、ボトル90の内部に存在する不活性ガスが内容物と置換される(図6(d)参照)。ボトル90の内部で内容物と置換された不活性ガスは、スニフトライン78から外部へ排出される。充填ノズル72からボトル90に内容物を充填する間、1回以上の小投充填と1回以上の大投充填とを行っても良い。例えば、まず小投充填を行い、続いて大投充填を行い、その後、小投充填を行っても良い。あるいは、小投充填及び大投充填のうちいずれか一方のみを行っても良い。なお、小投充填とは単位時間あたりの投入量の少ない充填をいい、大投充填とは単位時間あたりの投入量の大きい充填をいう。
【0098】
図7(c)に示す工程は、2秒以上、20秒以下行われても良い。このときの内容物の充填流量は、30ml/sec以上、300ml/sec以下としても良く、60ml/sec以上、200ml/sec以下とすることが好ましい。
【0099】
続いて、図7(d)に示すように、充填ノズル72からボトル90への内容物の供給を停止する。次いで、ボトル90を一定時間静置する。これにより、充填ノズル72から供給された勢いで内容物に発生した気泡を低減できる。このとき、充填バルブ41がオフとなるとともに、ガスバルブ42がオンとなる。またスニフトバルブ43はオンとなっている。ガスバルブ42がオンとなることにより、内容物充填タンク75からボトル90へ不活性ガスが供給される(図6(e)参照)。これにより、ボトル90のヘッドスペース中に残存する空気を不活性ガスによって確実に置換できる。ボトル90に充填しきれない余剰の不活性ガスは、スニフトライン78から外部へ排出される。このように、ボトル90内に内容物を充填した後、ボトル90内に不活性ガスが充填される。
【0100】
図7(d)に示す工程は、0.2秒以上、2.0秒以下行われても良く、0.3秒以上、1.0秒以下行われることが好ましい。充填ノズル72からの不活性ガスの供給量は、50L/min/本以上、800L/min/本以下としても良い。
【0101】
次いで、図7(e)に示すように、充填ノズル72が上昇し、充填ノズル72がボトル90の口部から離間する。充填ノズル72が上昇する時間は、0.2秒以上、1.0秒以下としても良い。このとき、充填バルブ41はオフであるとともに、ガスバルブ42がオンとなっている。またスニフトバルブ43はオフとなっている。このとき、内容物充填タンク75からガス供給ライン74を介して不活性ガスが供給され、不活性ガスはボトル90内に送り込まれる。これにより、充填ノズル72がボトル90の口部から離間し、ボトル90の内部が外気と連通した場合でも、ボトル90の内部に空気が進入することを抑えられる。その後、内容物が充填されたボトル90はフィラー20から排出される。
【0102】
図7(a)-(e)に示す例において、ボトル90内に内容物を充填する前、及び、ボトル90内に内容物を充填した後、ボトル90内に不活性ガスを充填する。なお、これに限らず、ボトル90内に内容物を充填する前、及び、ボトル90内に内容物を充填した後のうち、いずれか一方のタイミングのみでボトル90内に不活性ガスを充填しても良い。また図7(b)、(e)において、充填ノズル72が下降及び上昇する場合を例にとって説明したが、これに限らない。充填ノズル72を固定し、容器90を上昇及び下降させることで充填ノズル72の先端と容器90とを密着又は離間させても良い。あるいは、充填ノズル72及び容器90の両方を移動させても良い。
【0103】
再度図1を参照すると、フィラー20で内容物が充填されたボトル90は、搬送ホイール12によってキャップ装着装置16に搬送される。
【0104】
キャップ92は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌処理される。キャップ殺菌装置18で殺菌されたキャップ92は、キャップ装着装置16において、フィラー20から搬送されてきたボトル90の口部に装着される。これにより、ボトル90とキャップ92とを有する製品ボトル95が得られる。
【0105】
その後、製品ボトル95は、キャップ装着装置16から製品ボトル搬出部19へ搬送され、内容物充填システム10の外部へ向けて搬出される。
【0106】
なお、上記ボトル90の殺菌からキャップ92の装着に至る各工程は、無菌チャンバ70fで囲まれた無菌の雰囲気内すなわち無菌の環境下で行われる。無菌エアが常時無菌チャンバ70fの外に向かって吹き出るように、無菌エア供給装置80から無菌チャンバ70f内に陽圧の無菌エアが供給されても良い。
【0107】
なお、内容物充填システム10におけるボトル90の生産(搬送)速度は、100bpm以上かつ1500bpm以下とすることが好ましい。ここでbpm(bottle per minute)とは、1分間当たりのボトル90の搬送速度をいう。
【0108】
以上のように本実施の形態によれば、フィラー20において、ボトル90内に不活性ガスが充填される。これにより、ボトル90内の初期酸素量を減らすことができ、内容物の酸化劣化を抑制できる。また、フィラー20に到達する前のボトル90に対して気体の不活性ガス又は液化した不活性ガスを充填する場合と比較して、ボトル90に不活性ガスを充填してから内容物を充填するまでの時間を短縮できる。これにより、ボトル90に不活性ガスを充填してから内容物を充填するまでにボトル90内の不活性ガスが外部に漏出することを最小限に抑えられる。この結果、ボトル90内の不活性ガスの置換率を向上でき、ボトル90内に残存する酸素を低減できる。
【0109】
また、本実施の形態によれば、フィラー20において、ボトル90内に内容物を充填する前にボトル90内に不活性ガスが充填される。これにより、ボトル90内に内容物を充填する前に、予め空気で満たされたボトル90の内部を不活性ガスで置換できる。この結果、ボトル90内の不活性ガスの置換率を向上でき、ボトル90内に残存する酸素を低減できる。
【0110】
また、本実施の形態によれば、フィラー20において、ボトル90内に内容物を充填した後、ボトル90内に不活性ガスが充填される。これにより、内容物を充填した後、内容物上のヘッドスペース中に残存する空気を不活性ガスで置換できる。このため、キャップ装着装置16でキャップ92を装着されるまでの間に、ボトル90のヘッドスペースに空気が流入することを最低限に抑えられる。この結果、ボトル90内の不活性ガスの置換率を向上でき、ボトル90内に残存する酸素を低減できる。
【0111】
また、本実施の形態によれば、内容物充填タンク75には、不活性ガスと内容物とが充填されている。この場合、不活性ガスは、内容物充填タンク75から充填ノズル72を介して、ボトル90に充填される。これにより、既存の内容物充填タンク75を利用して不活性ガスをボトル90内に供給できる。このため、不活性ガス充填用のタンクを別途準備する必要がないので、内容物充填システム10の製造コストを低減できる。また、内容物充填タンク75に不活性ガスが充填されていることにより、内容物充填タンク75内で内容物中に酸素が溶解することを抑えられる。
【0112】
また、本実施の形態によれば、フィラー20は、充填ノズル72に連結されたスニフトライン78を有する。不活性ガスの一部は、スニフトライン78から排出される。これにより、不活性ガスの圧力によってボトル90内が大きく加圧されることがない。このため、ボトル90として非耐圧ボトルを用いることができる。また、内容物充填システム10が炭酸飲料と非炭酸飲料とを選択的に充填可能な装置である場合、既存のスニフトライン78を利用して不活性ガスをボトル90内から排出できる。このため、不活性ガス排出用の排出路を別途準備する必要がないので、内容物充填システム10の製造コストを低減できる。
【0113】
本実施の形態によれば、フィラー20は、充填ノズル72を収容する無菌チャンバ70fを有し、不活性ガスの一部(ボトル90に充填しきれない余剰の不活性ガス)は、無菌チャンバ70f内に排出される。これにより、スニフトライン78を回転体(例えば充填ノズル72)と非回転体(例えば無菌チャンバ70fの外部)との間で連結するためのロータリージョイントを別途設ける必要がない。この結果、スニフトライン78用のロータリージョイントを省略することができ、内容物充填システム10の全体構成を簡単なものとすることができる。また、内容物充填システム10の製造コストを低減することができる。
【0114】
(フィラーでの内容物充填方法の変形例)
次に、図8(a)-(c)を参照して、フィラー20においてボトル90に内容物を充填する工程の変形例について説明する。具体的には、充填ノズル72がボトル90の口部に密着することなく充填を行う口上充填時の作用について説明する。図8(a)-(c)において、内容物の流れを実線矢印で示し、不活性ガスの流れを点線矢印で示す。
【0115】
まず図8(a)に示すように、ボトル90がフィラー20に供給され、ボトル90は、対応する充填ノズル72の下方に位置する。このとき、充填ノズル72はボトル90の口部から離間している。また、充填バルブ41はオフとなるとともに、ガスバルブ42がオンとなっている。これにより、ガス供給ライン74とボトル90とが互いに連通する。またスニフトバルブ43はオフとなっている。このとき、内容物充填タンク75からガス供給ライン74及び充填ノズル72を介して不活性ガスが供給され、不活性ガスはボトル90内に送り込まれる。これにより、予め空気が充填されていたボトル90の内部が不活性ガスで置換される。このように、ボトル90内に内容物を充填する前に、ボトル90内に不活性ガスが充填される。
【0116】
図8(a)に示す工程は、0.2秒以上、2.0秒以下行われても良く、0.3秒以上、1.0秒以下行われることが好ましい。このときの不活性ガスの供給量は、50L/min/本以上、800L/min/本以下としても良い。
【0117】
次に、図8(b)に示すように、充填ノズル72からボトル90の内部に内容物が充填される。この間、充填ノズル72はボトル90の口部から離間した状態を維持する。この場合、内容物は、内容物充填タンク75から内容物供給ライン73及び充填ノズル72を通過して、ボトル90の内部に注入される。このとき、充填バルブ41がオンとなるとともに、ガスバルブ42がオフとなる。またスニフトバルブ43はオフとなっている。ガスバルブ42がオフとなることにより、内容物充填タンク75からボトル90への不活性ガスの供給が停止する。一方、ボトル90の内部に存在する不活性ガスが内容物と置換される。ボトル90の内部で内容物と置換された不活性ガスは、ボトル90の口部から外部へ排出される。充填ノズル72からボトル90に内容物を充填する間、1回以上の小投充填と1回以上の大投充填とを行っても良い。例えば、まず小投充填を行い、続いて大投充填を行い、その後、小投充填を行っても良い。
【0118】
図8(b)に示す工程は、2秒以上、20秒以下行われても良い。このときの内容物の充填流量は、30ml/sec以上、300ml/sec以下としても良く、60ml/sec以上、200ml/sec以下とすることが好ましい。
【0119】
続いて、図8(c)に示すように、充填ノズル72からボトル90への内容物の供給を停止する。このとき、充填バルブ41がオフとなるとともに、ガスバルブ42がオンとなる。またスニフトバルブ43はオフとなっている。この間、内容物充填タンク75からボトル90へ不活性ガスが供給される。これにより、ボトル90のヘッドスペース中に残存する空気を不活性ガスによって確実に置換できる。一方、ボトル90に充填しきれない余剰の不活性ガスは、ボトル90の口部から外部へ排出される。このように、ボトル90内に内容物を充填した後に、ボトル90内に不活性ガスが充填される。その後、内容物が充填されたボトル90はフィラー20から排出される。
【0120】
図8(c)に示す工程は、0.2秒以上、2.0秒以下行われても良く、0.3秒以上、1.0秒以下行われることが好ましい。このときの不活性ガスの供給量は、50L/min/本以上、800L/min/本以下としても良い。
【0121】
図8(a)-(c)に示す例において、ボトル90内に内容物を充填する前、及び、ボトル90内に内容物を充填した後、ボトル90内に不活性ガスを充填する。なお、これに限らず、ボトル90内に内容物を充填する前、及び、ボトル90内に内容物を充填した後のうち、いずれか一方のタイミングのみでボトル90内に不活性ガスを充填しても良い。
【0122】
図8(a)-(c)に示す例において、フィラー20において、ボトル90内に内容物を充填している間、ボトル90内に内容物とともに不活性ガスを充填しても良い。この場合、内容物は、その中に不活性ガスを巻き込みながら充填される。これにより、製品ボトル95となった後、内容物からヘッドスペース中に不活性ガスが放出されるので、ヘッドスペース中の不活性ガスの濃度低下を抑制できる。
【0123】
また、図8(a)-(c)に示す例において、スニフトライン78は設けられていなくても良い。この場合、内容物充填システム10は、非炭酸飲料専用の充填システムであっても良い。
【0124】
(変形例)
次に、本実施の形態の各種変形例について説明する。
【0125】
図9(a)-(i)は、変形例による内容物充填方法を示す概略フロー図である。図9(a)-(i)に示す例は、フィラー20に加えて、フィラー20以外の装置によってもボトル90に不活性ガスが充填されるものである。図9(a)-(i)において、図1乃至図8に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0126】
まず、容器殺菌装置11において、ボトル90に対して殺菌処理が行われる(図9(a)参照)。次に、エアリンス装置14において、フィラー20によって内容物が充填される前のボトル90がエアリンスされる(図9(b)参照)。なお、エアリンス装置14において、エアリンス用のエアを窒素ガス等の不活性ガスに変更しても良い。この場合、エアリンス装置14は、リンス装置又は不活性ガスリンス装置と称しても良い。エアリンス装置14により、不活性ガスを用いて過酸化水素の活性化を行いつつ、ボトル90内から異物及び過酸化水素等を除去できる。このときの不活性ガスの温度は、30℃以上180℃以下であっても良く、好ましくは50℃以上140℃以下である。不活性ガスの風量は、ノズル1本あたり50L/min以上500L/min以下であっても良く、好ましく100L/min以上400L/min以下である。ノズルの内径はφ2mm以上φ10mm以下であっても良く、好ましくはφ4mm以上φ8mm以下である。続いて、エアリンス装置14でエアリンスされたボトル90が無菌水リンス装置15に搬送される。この無菌水リンス装置15において、ボトル90に対して無菌の15℃以上85℃以下の水による洗浄が施されても良い(図9(c)参照)。また無菌水リンス装置15において、無菌水リンスされた後のボトル90に対して不活性ガスを供給し、ボトル90内を不活性ガスで置換しても良い(図9(d)参照)。その後、無菌水リンス装置15で無菌水リンスされたボトル90がフィラー20に搬送される。フィラー20において、ボトル90内に不活性ガスが充填される(図9(e)-(g)参照)。
【0127】
続いて、キャップ装着装置16でボトル90にキャップ92を装着する前又はキャップ92を装着する際、キャップ92の内側又はボトル90の内部に対して不活性ガスを供給することにより、ボトル90内を不活性ガスで置換しても良い(図9(h)参照)。さらに、キャップ装着装置16において、ボトル90の口部とキャップ92とを、両方ともフード23で覆っても良い(例えば、特開2010-70238号公報、特開2010-70239号公報参照)。この場合、フード23内に不活性ガスを供給することにより、ボトル90のヘッドスペース内及びキャップ92内を不活性ガスで置換しても良い(図9(i)参照)。
【0128】
上記において、内容物充填タンク75から供給された不活性ガスが、ガス供給ライン74及び充填ノズル72を通過して、ボトル90の内部に注入される場合を例にとって説明した。なお、これに限られることなく、不活性ガスは、不活性ガス専用の供給タンクから、充填ノズル72に供給されても良い。この場合、不活性ガスは、供給タンクからガス供給ライン74を通過して充填ノズル72に供給されても良く、ガス供給ライン74以外のガス供給ラインを通過して充填ノズル72に供給されても良い。また、ガス供給ライン74以外のガス供給ラインを用いる場合、当該ガス供給ラインは、フィラー20の上部又は下部に設けられた、ロータリージョイント77とは異なるロータリージョイントを介して配置されても良い。またロータリージョイントに限らず、ロータリージョイントと同様に、回転する部分と回転しない部分とを接続する他の接続手段を用いても良い。
【0129】
上記において、ボトル90、プリフォーム91、キャップ92等の殺菌は、過酸化水素からなる殺菌剤を用いて行う場合を例にとって説明した。これに限らず、過酢酸等の殺菌剤や電子線を用いて殺菌しても良い。
【0130】
上記実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。例えば、フィラー20としては、ロータリー式充填機に限らず、直線式の充填機を用いても良い。容器としてはボトル90以外に、缶、瓶、紙容器、又はカップ等を用いても良い。ボトル90に内容物を充填した後の密封手段としては、キャップ92による密封に代えて、打栓機、超音波シール、シーマー等を用いても良い。あるいは、上記実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0131】
10 内容物充填システム
11 容器殺菌装置
12 搬送ホイール
14 エアリンス装置
16 キャップ装着装置
20 フィラー
30 ボトル成形部
71 搬送ホイール
72 充填ノズル
73 内容物供給ライン
74 ガス供給ライン
75 内容物充填タンク
78 スニフトライン
90 ボトル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物充填システムであって、
容器を殺菌する容器殺菌装置と、
前記容器殺菌装置によって殺菌された前記容器に内容物を充填するフィラーと、を備え、
前記フィラーにおいて、前記容器内に不活性ガスが充填され
前記不活性ガスは、窒素又はアルゴンである、内容物充填システム。
【請求項2】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填する前に、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項3】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填している間、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項4】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填した後、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項5】
前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルと、前記充填ノズルに連結された内容物充填タンクと、を有し、
前記内容物充填タンクには、前記不活性ガスと前記内容物とが充填され、
前記不活性ガスは、前記内容物充填タンクから前記充填ノズルを介して、前記容器に充填される、請求項1に記載の内容物充填システム。
【請求項6】
前記フィラーは、前記充填ノズルに連結されたスニフトラインを有し、前記不活性ガスの一部は、前記スニフトラインから排出される、請求項5記載の内容物充填システム。
【請求項7】
前記フィラーは、前記充填ノズルを収容する無菌チャンバを有し、前記不活性ガスの一部は、前記無菌チャンバ内に排出される、請求項5記載の内容物充填システム。
【請求項8】
前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルを有し、前記充填ノズルに不活性ガス供給配管が連結され、
前記不活性ガスは、前記不活性ガス供給配管から前記充填ノズルを介して、前記容器に充填される、請求項1に記載の内容物充填システム。
【請求項9】
前記フィラーによって前記内容物が充填される前の前記容器に対して不活性ガスを供給することにより、前記容器をリンスするリンス装置を更に備えた、請求項1に記載の内容物充填システム。
【請求項10】
内容物充填方法であって、
容器を殺菌する工程と、
フィラーにより、殺菌された前記容器に内容物を充填する工程と、を備え、
前記フィラーにおいて、前記容器内に不活性ガスが充填され
前記不活性ガスは、窒素又はアルゴンである、内容物充填方法。
【請求項11】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填する前に、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。
【請求項12】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填している間、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。
【請求項13】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填した後、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物充填システムであって、
容器を殺菌する容器殺菌装置と、
前記容器殺菌装置によって殺菌された前記容器に内容物を充填するフィラーと、を備え、
前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルと、前記充填ノズルに連結された内容物充填タンクと、を有し、
前記内容物充填タンクには、不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、炭酸ガスを供給する炭酸供給部とが連結され、
前記フィラーにおいて、前記容器内に炭酸ガス及び不活性ガスのいずれか選択的に充填され、
前記不活性ガスは、窒素又はアルゴンである、内容物充填システム。
【請求項2】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填する前に、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項3】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填している間、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項4】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填した後、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項5】
記内容物充填タンクには、前記不活性ガスと前記内容物とが充填され、
前記不活性ガスは、前記内容物充填タンクから前記充填ノズルを介して、前記容器に充填される、請求項1に記載の内容物充填システム。
【請求項6】
前記フィラーは、前記充填ノズルに連結されたスニフトラインを有し、前記不活性ガスの一部は、前記スニフトラインから排出される、請求項5記載の内容物充填システム。
【請求項7】
前記フィラーは、前記充填ノズルを収容する無菌チャンバを有し、前記不活性ガスの一部は、前記無菌チャンバ内に排出される、請求項5記載の内容物充填システム。
【請求項8】
内容物充填システムであって、
容器を殺菌する容器殺菌装置と、
前記容器殺菌装置によって殺菌された前記容器に内容物を充填するフィラーと、を備え、
前記フィラーにおいて、前記容器内に不活性ガスが充填され、
前記不活性ガスは、窒素又はアルゴンであり、
前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルを有し、前記充填ノズルに不活性ガス供給配管が連結され、
前記不活性ガスは、前記不活性ガス供給配管から前記充填ノズルを介して、前記容器に充填され
前記不活性ガス供給配管は、前記内容物が充填される内容物充填タンクには連結されていない、内容物充填システム。
【請求項9】
前記フィラーによって前記内容物が充填される前の前記容器に対して不活性ガスを供給することにより、前記容器をリンスするリンス装置を更に備えた、請求項1に記載の内容物充填システム。
【請求項10】
炭酸飲料と非炭酸飲料との両方を充填可能な内容物充填システムを用いて内容物を充填する内容物充填方法であって、
容器を殺菌する工程と、
フィラーにより、殺菌された前記容器に内容物を充填する工程と、を備え、
前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルと、前記充填ノズルに連結された内容物充填タンクと、を有し、
前記内容物充填タンクには、不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、炭酸ガスを供給する炭酸供給部とが連結され、
前記フィラーにおいて、前記容器内に炭酸ガス及び不活性ガスのいずれか選択的に充填され、
前記不活性ガスは、窒素又はアルゴンである、内容物充填方法。
【請求項11】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填する前に、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。
【請求項12】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填している間、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。
【請求項13】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填した後、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物充填システムであって、
容器を殺菌する容器殺菌装置と、
前記容器殺菌装置によって殺菌された前記容器に内容物を充填するフィラーと、を備え、
前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルと、前記充填ノズルに連結された内容物充填タンクと、を有し、
前記内容物充填タンクには、不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、炭酸ガスを供給する炭酸供給部とが連結され、
前記フィラーにおいて、前記容器内に炭酸ガス及び不活性ガスのいずれかが選択的に直接充填され、
前記不活性ガスは、窒素又はアルゴンである、内容物充填システム。
【請求項2】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填する前に、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項3】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填している間、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項4】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填した後、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項1記載の内容物充填システム。
【請求項5】
前記内容物充填タンクには、前記不活性ガスと前記内容物とが充填され、
前記不活性ガスは、前記内容物充填タンクから前記充填ノズルを介して、前記容器に充填される、請求項1に記載の内容物充填システム。
【請求項6】
前記フィラーは、前記充填ノズルに連結されたスニフトラインを有し、前記不活性ガスの一部は、前記スニフトラインから排出される、請求項5記載の内容物充填システム。
【請求項7】
前記フィラーは、前記充填ノズルを収容する無菌チャンバを有し、前記不活性ガスの一部は、前記無菌チャンバ内に排出される、請求項5記載の内容物充填システム。
【請求項8】
内容物充填システムであって、
容器を殺菌する容器殺菌装置と、
前記容器殺菌装置によって殺菌された前記容器に内容物を充填するフィラーと、を備え、
前記フィラーにおいて、前記容器内に不活性ガスが充填され、
前記不活性ガスは、窒素又はアルゴンであり、
前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルを有し、前記充填ノズルに不活性ガス供給配管が連結され、
前記不活性ガスは、前記不活性ガス供給配管から前記充填ノズルを介して、前記容器に直接充填され、
前記不活性ガス供給配管は、前記内容物が充填される内容物充填タンクには連結されていない、内容物充填システム。
【請求項9】
前記フィラーによって前記内容物が充填される前の前記容器に対して不活性ガスを供給することにより、前記容器をリンスするリンス装置を更に備えた、請求項1に記載の内容物充填システム。
【請求項10】
炭酸飲料と非炭酸飲料との両方を充填可能な内容物充填システムを用いて内容物を充填する内容物充填方法であって、
容器を殺菌する工程と、
フィラーにより、殺菌された前記容器に内容物を充填する工程と、を備え、
前記フィラーは、前記内容物を充填する充填ノズルと、前記充填ノズルに連結された内容物充填タンクと、を有し、
前記内容物充填タンクには、不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、炭酸ガスを供給する炭酸供給部とが連結され、
前記フィラーにおいて、前記容器内に炭酸ガス及び不活性ガスのいずれかが選択的に直接充填され、
前記不活性ガスは、窒素又はアルゴンである、内容物充填方法。
【請求項11】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填する前に、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。
【請求項12】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填している間、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。
【請求項13】
前記フィラーにおいて、前記容器内に前記内容物を充填した後、前記容器内に前記不活性ガスが充填される、請求項10記載の内容物充填方法。