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特開2024-9888ゲムシタビンを使用した膀胱癌の治療及び維持療法の方法
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  • 特開-ゲムシタビンを使用した膀胱癌の治療及び維持療法の方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009888
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ゲムシタビンを使用した膀胱癌の治療及び維持療法の方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7068 20060101AFI20240116BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61K31/7068
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023173773
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2020524573の分割
【原出願日】2018-11-07
(31)【優先権主張番号】62/583,394
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514274409
【氏名又は名称】タリス バイオメディカル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【弁理士】
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】ギーシング,デニス
(72)【発明者】
【氏名】キューティー,クリストファー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法を提供する。
【解決手段】導入療法及び/又は維持療法において、ゲムシタビンを連続的かつ/又は局所的に個体の膀胱に投与することを含む、方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体に維持療法を提供する方法であって、前記維持療法は、少なくとも1回の以前の療
法の後に行われ、前記維持療法は、
2回以上の送達期間中に、前記個体にゲムシタビンを2回以上連続的に投与することを
含み、
前記ゲムシタビンは前記個体の膀胱に局所的に送達され、
各送達期間は少なくとも1週間であり、
各送達期間の間に少なくとも1か月の休止期間が存在し、
前記個体は、下部尿管の尿路上皮癌を有する、前記方法。
【請求項2】
前記ゲムシタビンは、膀胱腔内デバイスによって膀胱内に送達される、請求項1に記載
の方法。
【請求項3】
前記膀胱腔内デバイスは約225mgのゲムシタビンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記送達期間はそれぞれ3週間である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記休止期間は約3か月である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲムシタビンは、送達期間中に約1mg/日~約300mg/日の用量で送達され
る、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
尿中の前記ゲムシタビンの濃度が、第1及び第2の送達期間中に約1μg/mL~約1
0μg/mLである、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
尿中の前記ゲムシタビンの濃度が、前記送達期間中に約10μg/mLである、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適格であるか、又はこれを拒絶した、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記個体は、根治的膀胱切除術に適していない、不適格である、又はこれを拒絶した、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記個体は筋層浸潤膀胱癌を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記個体は筋層非浸潤膀胱癌を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記送達期間の間の前記休止期間は約3か月である、請求項1~12のいずれか一項に
記載の方法。
【請求項14】
4回の送達期間を含み、各送達期間の間の前記休止期間は約3か月である、請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
各送達期間の間の前記休止期間は約3か月であり、前記ゲムシタビンは、前記個体の寿
命にわたって約3か月毎に送達される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法であって、
a)導入期中に有効量のゲムシタビンを前記個体に連続的に投与することと、
b)維持期中に有効量のゲムシタビンを前記個体に連続的に投与することとを含み、
前記ゲムシタビンは前記個体の膀胱に局所的に送達され、
前記導入期及び前記維持期は休止期間によって分断され、
前記導入期は約12週間である、前記方法。
【請求項17】
個体における膀胱保存の方法であって、
a)導入期中に有効量のゲムシタビンを前記個体に連続的に投与することと、
b)維持期中に有効量のゲムシタビンを前記個体に連続的に投与することとを含み、
前記ゲムシタビンは前記個体の膀胱に局所的に送達され、
前記導入期及び前記維持期は休止期間によって分断され、
前記導入期は約12週間であり、
前記個体は、下部尿管の尿路上皮癌を有する、前記方法。
【請求項18】
前記ゲムシタビンは、膀胱腔内デバイスによって送達される、請求項16~17のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記膀胱腔内デバイスは約225mgのゲムシタビンを含む、請求項18に記載の方法
【請求項20】
前記導入期と前記維持期との間の前記休止期間は約3か月である、請求項16~19の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記維持期は、2回以上のゲムシタビン送達期間を含む、請求項15~19のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項22】
前記維持期ゲムシタビン送達期間は、約3か月の休止期間でそれぞれ分断される、請求
項21に記載の方法。
【請求項23】
前記維持期ゲムシタビン送達期間は、それぞれ3週間である、請求項16~22のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ゲムシタビンは、前記導入期又は前記維持期送達期間中に約1mg/日~約300
mg/日の用量で送達される、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
尿中の前記ゲムシタビンの濃度が、前記導入期又は前記維持期送達期間中に約1μg/
mL~約10μg/mLである、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適格であるか、又はこれを拒絶した、
請求項16~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記個体は、根治的膀胱切除術に適していない、不適格である、又はこれを拒絶した、
請求項16~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記個体は筋層浸潤膀胱癌を有する、請求項16~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記個体は筋層非浸潤膀胱癌を有する、請求項16~27のいずれか一項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年11月8日出願の米国特許仮出願第62/583,394号に対
する利益を主張するものであり、その全体が全ての目的のために参照により組み込まれる
【背景技術】
【0002】
膀胱癌は、重大な医学的問題であり、現在利用可能な治療選択肢は、多くの理由から不
十分である。概して膀胱癌は、筋層浸潤膀胱癌(MIBC)又は筋層非浸潤膀胱癌(NM
IBC)として分類される。膀胱癌の病理学的分類及び病期分類は、以下のとおり、つま
り、pTa(尿路上皮侵襲)、pTis(高リスク尿路上皮限局)、pT1(粘膜固有層
浸潤)、pT2(筋層浸潤)、pT3(膀胱周囲脂肪浸潤)、及びpT4(骨盤臓器進展
)である。膀胱癌はまた、グレード1/3(高分化)、グレード2/3(中分化)、グレ
ード3/3(低分化)とグレードによって分類することもできる。加えて、膀胱癌は、ス
テージ0~IVとしてステージによって分類することができる(これらのステージは、癌
が膀胱壁に浸潤する程度を指定する。ステージ0は尿路上皮に限定され、ステージIVは
、隣接する臓器又は組織に浸潤する、膀胱壁の全厚を貫通した癌を示す)。ほとんどの膀
胱癌は、上皮起源の移行上皮癌であり、膀胱の内層に限局される筋層非浸潤癌(NMIB
C)として分類される。初発症状において、ほとんどの膀胱癌は、表在性NMIBCであ
り、ステージpTa、pTis、及びpT1の疾患などである。MIBCは、ステージp
T2、pT3、及びpT4などである。
【0003】
局所的に進行した筋層浸潤膀胱癌(MIBC)を有する患者の場合、根治的膀胱切除術
が標準治療であり、術前又は術後のいずれかに化学療法が行われる(American
Cancer Society、2016b)。National Comprehen
sive Cancer Network(NCCN)及びEuropean Asso
ciation of Urology(EAU)はまた、MIBCを有する患者に対し
て治癒の可能性のある初期治療として、放射線療法及び化学療法(可能な場合)と共にR
Cを推奨している(NCCN,2017;Gakis,2013)。治癒の可能性のある
治療の候補ではない患者の場合、姑息的放射線療法のみ、又は経尿道的膀胱腫瘍切除術(
TURBT)のみが推奨される。
【0004】
治癒目的の決定的治療に適さない患者は、反復的な又は減量術の姑息的TURBTを受
けて、未治療の、処置が不十分な疾患の局所的進行を制限しようと試みる。これらの非治
癒戦略はまた、多くの場合、出血、閉塞、及び疼痛を伴い、応急処置を繰り返すことの多
い、侵襲性腫瘍に起因する病的症状の悪化の緩和を試みるために用いられる。
【0005】
米国特許出願公開第2012/0203203号、同第2013/0158675号、
同第2015/0360012号、同第2015/0165177号、同第2015/0
165178号、同第2016/0199544号、国際公開第2014/145638
号、同第2015/200752号、同第2011/031855号は、参照によりその
全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で開示される他の全ての参照文献は、それらの
全体が参考として組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、本明細書において、個体に維持療法を提供する方法が提供さ
れ、維持療法は、少なくとも1回の以前の療法の後に行われ、維持療法は、ゲムシタビン
が個体の膀胱に局所的に送達される、1回、又は2回以上の送達期間中に、個体にゲムシ
タビンを1回、又は2回以上連続的に投与することを含み、各送達期間は少なくとも1週
間であり、各送達期間の間に少なくとも1週間(例えば、少なくとも1か月)の休止期間
が存在し、個体は、下部尿管の尿路上皮癌を有する。
【0007】
本明細書において、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法が提供され、こ
の方法は、a)導入期中に有効量のゲムシタビンを個体に連続的に投与することと、b)
維持期中に有効量のゲムシタビンを個体に連続的に投与することとを含み、ゲムシタビン
は個体の膀胱に局所的に送達され、導入期及び維持期は休止期間によって分断され、導入
期は約12週間である。
【0008】
本明細書において、個体における膀胱保存の方法も提供され、この方法は、a)導入期
中に有効量のゲムシタビンを個体に連続的に投与することと、b)維持期中に有効量のゲ
ムシタビンを個体に連続的に投与することとを含み、ゲムシタビンは個体の膀胱に局所的
に送達され、導入期及び維持期は休止期間によって分断され、導入期は約12週間であり
、個体は下部尿管の尿路上皮癌を有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、ゲムシタビンは、膀胱腔内デバイスによって膀胱内に送達さ
れる。いくつかの実施形態では、膀胱腔内デバイスは、約225mgのゲムシタビンを含
む。
【0010】
いくつかの実施形態では、送達期間はそれぞれ3週間である。いくつかの実施形態では
、休止期間は、約0~3か月(例えば、3か月)である。
【0011】
いくつかの実施形態では、ゲムシタビンは、送達期間中に約1mg/日~約300mg
/日の用量で送達される。いくつかの実施形態では、尿中のゲムシタビンの濃度は、送達
期間中に約1μg/mL~約90μg/mLである。いくつかの実施形態では、尿中のゲ
ムシタビンの平均濃度は、送達期間中に約5~20μg/mLである。
【0012】
いくつかの実施形態では、個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適格であるか、
又はこれを拒絶した。
【0013】
いくつかの実施形態では、個体は、根治的膀胱切除術に適していない、不適格である、
又はこれを拒絶した。
【0014】
いくつかの実施形態では、個体は、筋層浸潤膀胱癌を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、個体は、筋層非浸潤膀胱癌を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、導入期と維持期との間の休止期間は、約1~3か月である。
【0017】
いくつかの実施形態では、維持期は、2回以上のゲムシタビン送達期間を含む。いくつ
かの実施形態では、維持期中のゲムシタビン送達期間(「維持期ゲムシタビン送達期間」
とも称される)は、約1~3か月の休止期間でそれぞれ分断される。
【0018】
いくつかの実施形態では、維持期ゲムシタビン送達期間は、それぞれ1~3週間である
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1に記載の研究プロトコルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において、ゲムシタビンを膀胱に局所的に投与することを含む、下部尿管の尿
路上皮癌を治療する方法が維持療法として(a maintenance therapy)提供される。また
、本明細書において、導入期中に有効量のゲムシタビンを、及び/又は維持期中に有効量
のゲムシタビンを膀胱に局所投与することを含む、下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法
も提供される。いくつかの実施形態では、導入期は、約2回、3回、4回、又は5回以上
の送達期間など、2回以上の送達期間を含む。いくつかの実施形態では、導入期中の送達
期間は連続的である。いくつかの実施形態では、導入期中の連続した送達期間の間には、
休止期間又は最小休止期間(1週間未満の休止期間など)が存在しない。いくつかの実施
形態では、導入期は、約4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含み、各
送達期間は約3週間(18~24日など)である。いくつかの実施形態では、維持期は、
1回以上の送達期間を含む。いくつかの実施形態では、維持期中の各送達期間は、約3週
間(約18~24日など)である。いくつかの実施形態では、維持期中の送達期間間の間
にある休止期間は、約2か月(例えば、約65~75日)である。いくつかの実施形態で
は、尿路上皮癌は膀胱癌である。いくつかの実施形態では、膀胱癌は筋層浸潤膀胱癌であ
る。いくつかの実施形態では、膀胱癌は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIB
C(すなわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N0 MIBC)である。いくつか
の実施形態では、膀胱癌は、T2又はT3膀胱癌である。いくつかの実施形態では、膀胱
癌は、ほぼT2又はT3 M0膀胱癌(T2又はT3M0 N0 MIBCなど)である
【0021】
根治的膀胱切除術(RC)は、引き続きMIBC(臓器限局性(OC)MIBCなど)
に対する標準的な治療であるが、治癒意図療法(CIT)を受けることができない患者の
自然史は、十分に理解されていない。CITを受けることができない原因は、典型的には
、患者の基礎的な併存疾患、虚弱性、及び/又は年齢である。これらの患者のかなりの割
合は、臨床病期T2~T3 M0(OC)の疾患と診断されるが、これらの患者はCIT
を受けず、最終的にはこれらの疾病が原因で死亡する。スウェーデンで1997年~20
14年にT2~T4 MIBCと診断され、治癒意図療法(例えば、根治的膀胱切除術な
ど)を受けなかった患者の分析では、この患者集団が、実質的な疾患特異的死亡率を経験
し、最後の1年間に頻繁に入院し、膀胱癌の進行を主因として死亡したことが見出された
。本出願は、患者、特に、根治的膀胱切除術など治癒意図療法を受けることに適していな
い、不適合である、又はこれを受けようとしない患者集団に有利な効果を示した、下部尿
管の尿路上皮癌(例えば、MIBC(臓器限局性MIBCなど)など膀胱癌など)を治療
する方法を提供する。例えば、本出願は、根治的膀胱切除術を受けることに適していない
、不適合である、又はこれを受けようとしない高齢患者など虚弱な患者が、ゲムシタビン
の4回の連続した送達期間を含み、各送達期間が約3週間(18~24日など)である導
入療法に十分に耐えることができることを実証する。本出願は、これらの患者が、パープ
ロトコルベースで50%の完全奏効及び80%の奏効率を達成したことを示す。提供され
る方法は、血尿頻度の低減、疼痛の緩和など膀胱癌、及び/又は膀胱癌の以前の治療若し
くは現在の治療に関連する症状を効果的に改善することができることも実証する。特筆す
るべきことに、提供される方法は、導入療法後の少なくとも約100日にわたって持続的
効果を示し、したがって、本明細書に記載の有効な維持療法の基盤を提供することが示さ
れている。
【0022】
I.本発明の方法
本明細書において、数か月の期間にわたってゲムシタビンを膀胱に局所的に複数回投与
することによって下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法が提供される。かかる方法は、例
えば、再発を防止するために維持療法として、また、膀胱温存プロトコルにおいて有用で
ある。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「連続的」又は「連続的に」は、ある期間にわたっての
ゲムシタビンの持続的投与を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「個体」は、ヒトなど哺乳類を指す。個体としては、ヒ
ト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、齧歯類、又は霊長類が挙げられるが、これらに限定されな
い。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
【0025】
本明細書において「約」値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体に関
する実施形態を含む(及び記載する)。例えば、「約21日」は、21日を含む。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「約X~Y」は、「約Xから約Y」と同じ意味を有する
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「有効量」は、特定の障害、状態、又は疾患を治療する
、例えば、その症状のうちの1つ以上を改善する、緩和する、低減する、及び/又は遅延
させるなどに十分な化合物又は組成物の量を指す。癌又は他の望ましくない細胞増殖に関
して、有効量は、腫瘍を収縮させ、かつ/又は腫瘍の成長速度を低下させる(例えば、腫
瘍成長を抑制するため)、又は他の望ましくない細胞増殖を予防する、若しくは遅延させ
るのに十分な量を含む。いくつかの実施形態では、有効量は、進行を遅延させるのに十分
な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、出現及び/又は再発を防止又は遅延さ
せるのに十分な量である。有効量は、癌の場合には、1回以上投与され得、有効量の薬剤
又は組成物は、(i)癌細胞の数を低減させ得る、(ii)腫瘍サイズを低減させ得る、
(iii)末梢臓器への癌細胞浸潤を、ある程度まで阻害し得る、遅延させ得る、減速さ
せ得る、好ましくは停止させ得る、(iv)腫瘍転移を阻害し得る(すなわち、ある程度
まで減速させ得る、好ましくは停止させ得る)、(v)腫瘍成長を阻害し得る、(vi)
腫瘍の出現及び/若しくは再発を予防し得る、若しくは遅延させ得る、並びに/又は(v
ii)癌に関連する症状のうちの1つ以上をある程度まで緩和させ得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、患者の生活の質を改善するの
に有用である。例えば、本明細書で提供される方法は、膀胱切除術を受けることができな
い患者に慢性治療を提供するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で
提供される方法は、緩和ケアとして使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で
は、癌を有する個体において疼痛を低減する方法が提供される。
【0029】
投薬レジメン
以下のセクションは、投与及び治療領域の様々な態様(実施形態)を記載し、その全て
がもれなく、本明細書に記載の方法に適用される。
【0030】
いくつかの実施形態では、本明細書において、少なくとも1回の以前の療法の後に行わ
れる、個体に対する維持療法の方法が提供され、この方法は、送達期間中に個体の膀胱に
連続的かつ局所的にゲムシタビンを投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明
細書において、個体に維持療法を提供する方法が提供され、維持療法は、少なくとも1回
の以前の療法の後に行われ、維持療法は、2回以上の送達期間中に、個体にゲムシタビン
を2回以上連続的に投与することを含み、各送達期間は、約又は少なくとも約1か月の休
止期間によって分断される。いくつかの実施形態では、休止期間は、約又は少なくとも約
1~12か月、例えば、少なくとも約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月
、約6か月、又は約1年である。いくつかの実施形態では、休止時間は約3か月である。
いくつかの実施形態では、休止期間は、約65~75日、例えば、68~72日である。
いくつかの実施形態では、本明細書において、少なくとも1回の以前の療法の後に行われ
る、個体に対する維持療法の方法が提供され、この方法は、2回以上の連続した送達期間
中に、個体の膀胱に連続的かつ局所的にゲムシタビンを2回以上投与することを含む。い
くつかの実施形態では、2回以上の連続した送達期間後に約0~12か月の休止期間が存
在する。いくつかの実施形態では、2回以上の連続した送達期間後に約0~12か月の休
止期間が存在する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3膀胱癌(cT2
又はcT3 MIBCなど)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、臓器限局性の
筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N
0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3 M0
MIBC(例えば、cT2又はcT3 N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実
施形態では、個体は、少なくとも1回の以前の療法に対して応答し(完全奏効、部分奏効
、及び/又は安定疾患を有するなど)、少なくとも1回の以前の療法は、ゲムシタビンを
連続的かつ/又は局所的に個体に(例えば、個体の膀胱に)投与することを含む。いくつ
かの実施形態では、以前の療法と維持療法との間に休止期間が存在する。いくつかの実施
形態では、以前の療法と維持療法との間の休止期間は、約又は少なくとも約1~12か月
、例えば、少なくとも約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、
又は約1年である。いくつかの実施形態では、以前の療法と維持療法との間の休止期間は
、約又は少なくとも約3か月である。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも1回
の以前の療法に対して応答する(例えば、完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有
する)。いくつかの実施形態では、個体は、個体が少なくとも1回の以前の療法に対して
完全奏効を有する場合、維持療法に選択される。いくつかの実施形態では、以前の応答は
、少なくとも1週間(例えば、12週間)にわたってゲムシタビンを個体の膀胱に連続的
かつ局所的に投与することを含む、少なくとも1回の導入期療法を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、本明細書において、個体に維持療法を提供する方法が提供さ
れ、維持療法は、少なくとも1回の以前の療法の後に行われ、維持療法は、2回以上の送
達期間中に、個体にゲムシタビンを2回以上連続的に投与することを含み、各送達期間は
、少なくとも1か月の休止期間によって分断され、各送達期間は少なくとも約1週間であ
る。いくつかの実施形態では、各送達期間は、約1週間、2週間、又は3週間である。い
くつかの実施形態では、各送達期間は、約3週間(18~24日など)である。いくつか
の実施形態では、個体は、cT2又はcT3膀胱癌(cT2又はcT3 MIBCなど)
を有する。いくつかの実施形態では、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性M
IBC(すなわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。い
くつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3 M0 MIBC(例えば、cT2又
はcT3 N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、少なく
とも1回の以前の療法に対して応答し(完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有す
るなど)、少なくとも1回の以前の療法は、ゲムシタビンを連続的かつ/又は局所的に個
体に(例えば、個体の膀胱に)投与することを含む。いくつかの実施形態では、個体は、
少なくとも1回の以前の療法に対して応答する(例えば、完全奏効、部分奏効、及び/又
は安定疾患を有する)。いくつかの実施形態では、個体は、個体が少なくとも1回の以前
の療法に対して完全奏効を有する場合、維持療法に選択される。いくつかの実施形態では
、以前の応答は、少なくとも1週間(例えば、12週間)にわたってゲムシタビンを個体
の膀胱に連続的かつ局所的に投与することを含む、少なくとも1回の導入期療法を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書において、個体に維持療法を提供する方法が提供さ
れ、維持療法は、少なくとも1回の以前の療法の後に行われ、維持療法は、2回以上の送
達期間中に、個体にゲムシタビンを2回以上連続的に投与することを含み、各送達期間は
、少なくとも1か月の休止期間によって分断され、各送達期間は少なくとも約1週間であ
り、ゲムシタビンは、膀胱腔内デバイスによって膀胱に局所的に送達される。いくつかの
実施形態では、デバイスは、約225mgのゲムシタビンを含む。いくつかの実施形態で
は、送達期間は、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、又は約6か月の休止期間に
よって分断される。いくつかの実施形態では、休止時間は約3か月である。いくつかの実
施形態では、個体は、cT2又はcT3膀胱癌(cT2又はcT3 MIBCなど)を有
する。いくつかの実施形態では、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIB
C(すなわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。いくつ
かの実施形態では、個体は、cT2又はcT3 M0 MIBC(例えば、cT2又はc
T3 N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも
1回の以前の療法に対して応答し(完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有するな
ど)、少なくとも1回の以前の療法は、ゲムシタビンを連続的かつ/又は局所的に個体に
(例えば、個体の膀胱に)投与することを含む。いくつかの実施形態では、個体は、少な
くとも1回の以前の療法に対して応答する(例えば、完全奏効、部分奏効、及び/又は安
定疾患を有する)。いくつかの実施形態では、個体は、個体が少なくとも1回の以前の療
法に対して完全奏効を有する場合、維持療法に選択される。いくつかの実施形態では、以
前の応答は、少なくとも1週間(例えば、12週間)にわたってゲムシタビンを個体の膀
胱に連続的かつ局所的に投与することを含む、少なくとも1回の導入期療法を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、維持療法は、約3か月毎に約225mgのゲムシタビンを2
回投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、約225mgのゲムシタビ
ンを、約3か月毎に3回、4回、5回、6回、7回、又は個体の生涯にわたって投与する
ことを含む。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3膀胱癌(cT2又はc
T3 MIBCなど)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、臓器限局性の筋層浸
潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N0 M
IBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3 M0 MIB
C(例えば、cT2又はcT3 N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態
では、個体は、以前の療法に対して応答し(完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を
有するなど)、以前の療法は、ゲムシタビンを連続的かつ/又は局所的に個体に(例えば
、個体の膀胱に)投与することを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、維持療法は、約1年間にわたって約2か月毎に、約225m
gのゲムシタビンを個体に投与することを含み、ゲムシタビンは、膀胱に局所的に送達さ
れる。いくつかの実施形態では、約225mgのゲムシタビンは、約1年間にわたって約
3か月毎に個体に投与される。いくつかの実施形態では、約225mgのゲムシタビンは
、約1年間にわたって約4か月毎に個体に投与される。いくつかの実施形態では、約22
5mgのゲムシタビンは、約1年間にわたって約5か月毎に個体に投与される。いくつか
の実施形態では、約225mgのゲムシタビンは、6か月毎に個体に投与される。いくつ
かの実施形態では、個体は、筋層浸潤膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は
、筋層非浸潤膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は、シスプラチンベースの
化学療法に不適格であるか、又はこれを拒絶した。いくつかの実施形態では、個体は、根
治的膀胱切除術に適していない、不適格である、又はこれを拒絶した。いくつかの実施形
態では、個体は、cT2又はcT3膀胱癌(cT2又はcT3 MIBCなど)を有する
。いくつかの実施形態では、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(
すなわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。いくつかの
実施形態では、個体は、cT2又はcT3 M0 MIBC(例えば、cT2又はcT3
N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、以前の療法に対
して応答し(完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有するなど)、以前の療法は、
ゲムシタビンを連続的かつ/又は局所的に個体に(例えば、個体の膀胱に)投与すること
を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、約225mgのゲムシタビンを含むゲムシタビン放出デバイ
スは、約1年間にわたって約3か月毎に、個体の膀胱内に少なくとも1週間配置される。
いくつかの実施形態では、約225mgのゲムシタビンを含むゲムシタビン放出デバイス
は、約1年間にわたって約3か月毎に、個体の膀胱内に2週間配置される。いくつかの実
施形態では、約225mgのゲムシタビンを含むゲムシタビン放出デバイスは、約1年間
にわたって約3か月毎に、個体の膀胱内に3週間配置される。いくつかの実施形態では、
約225mgのゲムシタビンを含むゲムシタビン放出デバイスは、個体の生涯にわたって
約3か月毎に、個体の膀胱内に3週間配置される。いくつかの実施形態では、個体は、c
T2又はcT3膀胱癌(cT2又はcT3 MIBCなど)を有する。いくつかの実施形
態では、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 M
IBC)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体
は、cT2又はcT3 M0 MIBC(例えば、cT2又はcT3 N0 M0 MI
BC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、以前の療法に対して応答し(完全奏
効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有するなど)、以前の療法は、ゲムシタビンを連続
的かつ/又は局所的に個体に(例えば、個体の膀胱に)投与することを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、本方法は、(i)個体の膀胱内に第1のゲムシタビン放出膀
胱腔内(膀胱内)デバイスを配置することであって、第1のゲムシタビン放出膀胱腔内(
膀胱内)デバイスは膀胱内に留まり、第1のゲムシタビン放出膀胱腔内(膀胱内)デバイ
スは約225mgのゲムシタビンを含む、ことと、(ii)約3週間(18~24日など
)後に、第1のゲムシタビン放出膀胱腔内(膀胱内)デバイスを除去することと、(ii
i)第1のゲムシタビン放出膀胱腔内(膀胱内)デバイスを膀胱内に配置した約3か月後
に、個体の膀胱内に第2のゲムシタビン放出膀胱腔内(膀胱内)デバイスを配置すること
であって、第2のゲムシタビン放出膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、膀胱内に3週間留ま
り、第2のゲムシタビン放出膀胱腔内(膀胱内)デバイスは約225mgのゲムシタビン
を含む、ことと、(iv)第2のゲムシタビン放出デバイスを除去することとを含む。い
くつかの実施形態では、工程i~ivは、約1年間、2年間、3年間、又は個体の生涯に
わたって、約3か月毎に繰り返される。いくつかの実施形態では、個体は、筋層浸潤膀胱
癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は、筋層非浸潤膀胱癌を有する。いくつかの
実施形態では、個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適格であるか、又はこれを拒
絶した。いくつかの実施形態では、個体は、根治的膀胱切除術に適していない、不適格で
ある、又はこれを拒絶した。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3膀胱癌
(cT2又はcT3 MIBCなど)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、臓器
限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MIBC)など、例えば
M0 N0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3
M0 MIBC(例えば、cT2又はcT3 N0 M0 MIBC)を有する。いく
つかの実施形態では、個体は、以前の療法に対して応答し(完全奏効、部分奏効、及び/
又は安定疾患を有するなど)、以前の療法は、ゲムシタビンを連続的かつ/又は局所的に
個体に(例えば、個体の膀胱に)投与することを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書において、個体に維持療法を提供する方法が提供さ
れ、維持療法は、少なくとも1回の以前の療法の後に行われ、維持療法は、2回以上の送
達期間中に、個体にゲムシタビンを2回以上連続的に投与することを含み、ゲムシタビン
は個体の膀胱に局所的に送達され、各送達期間は少なくとも約1週間であり、ゲムシタビ
ンは、送達期間中に、約15mg/日~100mg/日の用量で送達される。いくつかの
実施形態では、ゲムシタビンは、約5mg/日~約250mg/日、約10mg/日~約
200mg/日、約15mg/日~約100mg/日、又は約15mg/日~約50mg
/日の用量で送達される。いくつかの実施形態では、ゲムシタビンは、約1mg/日、約
5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約23mg/日、約2
5mg/日、約30mg/日、約35mg/日、約40mg/日、約45mg/日、約5
0mg/日、約55mg/日、約60mg/日、約75mg/日、約100mg/日、約
125mg/日、約150mg/日、約200mg/日、約250mg/日、又は約30
0mg/日の用量で送達される。いくつかの実施形態では、休止時間は約3か月である。
いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも1回の以前の療法に対して応答し(完全奏
効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有するなど)、少なくとも1回の以前の療法は、ゲ
ムシタビンを連続的かつ/又は局所的に個体に(例えば、個体の膀胱に)投与することを
含む。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも1回の以前の療法に対して応答する
(例えば、完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有する)。いくつかの実施形態で
は、個体は、個体が少なくとも1回の以前の療法に対して完全奏効を有する場合、維持療
法に選択される。いくつかの実施形態では、以前の応答は、少なくとも1週間(例えば、
12週間)にわたってゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に投与することを含
む、少なくとも1回の導入期療法を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書において、個体に維持療法を提供する方法が提供さ
れ、維持療法は、少なくとも1回の以前の療法の後に行われ、維持療法は、ゲムシタビン
が個体の膀胱に局所的に送達される2回以上の送達期間中に、個体にゲムシタビンを2回
以上連続的に投与することを含み、各送達期間は少なくとも約1週間であり、個体の尿中
のゲムシタビンの濃度は、送達期間中に約1μg/mL~約10μg/mLである。いく
つかの実施形態では、送達期間中の尿中のゲムシタビンの濃度は、約1.0μg/mL~
約100μg/mL、約5.0μg/mL~約90μg/mL、約10μg/mL~約8
0μg/mL、約20μg/mL~約70μg/mL、又は約30μg/mL~約50μ
g/mLである。いくつかの実施形態では、尿中のゲムシタビンの濃度は、約1.0μg
/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約15μg/mL、約20μg/mL、約
25μg/mL、約30μg/mL、約40μg/mL、約50μg/mL、約60μg
/mL、約70μg/mL、約80μg/mL、約90μg/mL、又は約100μg/
mLである。いくつかの実施形態では、休止時間は約3か月である。いくつかの実施形態
では、個体は、cT2又はcT3膀胱癌(cT2又はcT3 MIBCなど)を有する。
いくつかの実施形態では、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(す
なわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。いくつかの実
施形態では、個体は、cT2又はcT3 M0 MIBC(例えば、cT2又はcT3
N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、休止時間は約3か月である
。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも1回の以前の療法に対して応答し(完全
奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有するなど)、少なくとも1回の以前の療法は、
ゲムシタビンを連続的かつ/又は局所的に個体に(例えば、個体の膀胱に)投与すること
を含む。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも1回の以前の療法に対して応答す
る(例えば、完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有する)。いくつかの実施形態
では、個体は、個体が少なくとも1回の以前の療法に対して完全奏効を有する場合、維持
療法に選択される。いくつかの実施形態では、以前の応答は、少なくとも1週間(例えば
、12週間)にわたってゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に投与することを
含む、少なくとも1回の導入期療法を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、以前の療法は、本明細書に記載するように、約12週間にわ
たってゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に送達することを含む導入期療法を
含む。いくつかの実施形態では、送達は、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達
期間)を含み、各送達期間は約3週間(18~24日など)である。いくつかの実施形態
では、送達期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲ
ムシタビンの濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約
90μg/mL)である。いくつかの実施形態では、3週間のうちの少なくとも約1~2
週間にわたって、尿中のゲムシタビンの平均濃度は約5~20μg/mLである。いくつ
かの実施形態では、各送達期間中に約225mgのゲムシタビンが投与される。いくつか
の実施形態では、以前の療法は、2回以上の導入期療法を含む。いくつかの実施形態では
、2回以上の導入期療法は連続している(すなわち、2回以上の導入期療法の間に休止期
間が存在しない)。いくつかの実施形態では、2回以上の導入期療法の間に休止期間が存
在する。いくつかの実施形態では、休止期間は約1か月~1年である。いくつかの実施形
態では、休止期間は、約又は少なくとも約1か月、約2か月、又は約3か月である。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書において、約12週間にわたってゲムシタビンを個
体の膀胱に連続的かつ局所的に送達することを含む、膀胱切除術(根治的膀胱切除術など
)に適していない又は不適格である個体において筋層浸潤膀胱癌を治療する方法が提供さ
れる。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも約70歳(少なくとも約70歳、約
75歳、約80歳、約85歳、又は90歳など)である。いくつかの実施形態では、個体
は、欠陥がある免疫系を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3臓
器限局性MIBC(例えば、N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では
、送達は、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含み、各送達期間は約
3週間(18~24日など)である。いくつかの実施形態では、送達期間中、3週間のう
ちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくと
も約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。いく
つかの実施形態では、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、尿中のゲムシ
タビンの平均濃度は約5~20μg/mLである。いくつかの実施形態では、各送達期間
中に約225mgのゲムシタビンが投与される。いくつかの実施形態では、本方法は、約
12週間の、ゲムシタビン送達後に行われる維持療法を更に含む。いくつかの実施形態で
は、ゲムシタビンの送達と維持療法との間には、約12週間の休止期間が存在する。いく
つかの実施形態では、休止期間は、少なくとも約1か月、約2か月、又は約3か月である
。いくつかの実施形態では、維持療法は、1回、2回、又はそれ以上の送達期間中に、ゲ
ムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に約又は少なくとも約1回、約2回以上投与
することを含む。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間は、約又は少なくとも約
1週間、約2週間、又は約3週間である。いくつかの実施形態では、維持期の送達期間は
約3週間であり、送達期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体
の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg
/mL~約90μg/mL)である。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間中に
、約225mgのゲムシタビンが投与される。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書において、少なくとも2回以上の導入期療法を含む
、膀胱切除術(根治的膀胱切除術など)に適していない又は不適格である個体において筋
層浸潤膀胱癌を治療する方法が提供され、各導入期療法は、約12週間にわたってゲムシ
タビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に送達することを含む。いくつかの実施形態では
、個体は、完全奏効、部分奏効、及び/又は安定した疾患を有するなど第1の導入期療法
に対して応答する。いくつかの実施形態では、個体は、第1の、又は以前の導入期療法中
、又はその後に、部分奏効又は安定疾患を有する。いくつかの実施形態では、個体が、第
1の、又は以前の導入期療法に対して部分奏効又は安定疾患を有するとき、個体は第2の
導入期療法に選択される。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも約70歳(少な
くとも約70歳、約75歳、約80歳、約85歳、又は90歳など)である。いくつかの
実施形態では、個体は、欠陥がある免疫系を有する。いくつかの実施形態では、個体は、
cT2又はcT3臓器限局性MIBC(例えば、N0 M0 MIBC)を有する。いく
つかの実施形態では、送達は、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含
み、各送達期間は約3週間(18~24日など)である。いくつかの実施形態では、送達
期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビン
の濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/
mL)である。いくつかの実施形態では、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわた
って、尿中のゲムシタビンの平均濃度は約5~20μg/mLである。いくつかの実施形
態では、各送達期間中に約225mgのゲムシタビンが投与される。いくつかの実施形態
では、本方法は、約12週間の、ゲムシタビン送達後に行われる維持療法を更に含む。い
くつかの実施形態では、ゲムシタビンの送達と維持療法との間には、約12週間の休止期
間が存在する。いくつかの実施形態では、休止期間は、少なくとも約1か月、約2か月、
又は約3か月である。いくつかの実施形態では、維持療法は、1回、2回、又はそれ以上
の送達期間中に、ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に約又は少なくとも約1
回、約2回以上投与することを含む。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間は、
約又は少なくとも約1週間、約2週間、又は約3週間である。いくつかの実施形態では、
維持期の送達期間は約3週間であり、送達期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週
間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例
えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。いくつかの実施形態では、維持
期の各送達期間中に、約225mgのゲムシタビンが投与される。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書において、少なくとも2回以上の導入期療法と、少
なくとも1回の維持療法と、を含む、個体(膀胱切除術(根治的膀胱切除術など)に適し
ていない又は不適格である個体など)において筋層浸潤膀胱癌を治療する方法が提供され
、各導入期療法は、約12週間にわたってゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的
に送達することを含む。いくつかの実施形態では、2回以上の導入期療法は、維持療法に
よって分断される。いくつかの実施形態では、本明細書において、約12週間にわたって
ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に送達することを含む(例えば、送達は、
4回の連続した送達期間を含み、各送達期間は約3週間である)、個体(例えば、膀胱切
除術(根治的膀胱切除術など)に適していない又は不適格である個体)において筋層浸潤
膀胱癌を治療する方法が提供され、個体は、導入期療法及び維持療法(本明細書に記載の
維持療法のいずれかなど)を以前に受けている。いくつかの実施形態では、導入期療法は
、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含み、各送達期間は約3週間(
18~24日など)である。いくつかの実施形態では、送達期間中、3週間のうちの少な
くとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも約0.
1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。いくつかの実
施形態では、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、尿中のゲムシタビンの
平均濃度は約5~20μg/mLである。いくつかの実施形態では、各送達期間中に約2
25mgのゲムシタビンが投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも1回の維持
療法は、1回、2回、又はそれ以上の送達期間中に、ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的
かつ局所的に約又は少なくとも約1回、約2回以上投与することを含む。いくつかの実施
形態では、維持期の各送達期間は、約又は少なくとも約1週間、約2週間、又は約3週間
である。いくつかの実施形態では、2回以上の送達期間の間に休止期間(少なくとも約1
か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、9か月、又は12か月)が存在する。
いくつかの実施形態では、少なくとも1回の維持期の送達期間は約3週間であり、送達期
間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの
濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/m
L)である。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間中に、約225mgのゲムシ
タビンが投与される。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書において、約12週間にわたってゲムシタビンを個
体の膀胱に連続的かつ局所的に送達することを含む、個体における膀胱保存の方法が提供
される。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも約70歳(少なくとも約70歳、
約75歳、約80歳、約85歳、又は90歳など)である。いくつかの実施形態では、個
体は、欠陥がある免疫系を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3
臓器限局性MIBC(例えば、N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態で
は、送達は、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含み、各送達期間は
約3週間(18~24日など)である。いくつかの実施形態では、送達期間中、3週間の
うちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なく
とも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。い
くつかの実施形態では、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、尿中のゲム
シタビンの平均濃度は約5~20μg/mLである。いくつかの実施形態では、各送達期
間中に約225mgのゲムシタビンが投与される。いくつかの実施形態では、本方法は、
約12週間の、ゲムシタビン送達後に行われる維持療法を更に含む。いくつかの実施形態
では、ゲムシタビンの送達と維持療法との間には、約12週間の休止期間が存在する。い
くつかの実施形態では、休止期間は、少なくとも約1か月、約2か月、又は約3か月であ
る。いくつかの実施形態では、維持療法は、1回、2回、又はそれ以上の送達期間中に、
ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に約又は少なくとも約1回、約2回以上投
与することを含む。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間は、約又は少なくとも
約1週間、約2週間、又は約3週間である。いくつかの実施形態では、維持期の送達期間
は約3週間であり、送達期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個
体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μ
g/mL~約90μg/mL)である。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間中
に、約225mgのゲムシタビンが投与される。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書において、約12週間にわたってゲムシタビンを個
体の膀胱に連続的かつ局所的に送達することを含む、個体において膀胱癌の症状を緩和す
る方法が提供される。いくつかの実施形態では、症状を緩和することは、閉塞の発生を低
減することを含む。いくつかの実施形態では、症状を緩和することは、尿中の血尿、つま
り出血の頻度及び/又は程度を低減することを含む。いくつかの実施形態では、症状を緩
和することは、疼痛の頻度又は程度を低減することを含む。いくつかの実施形態では、症
状は、ゲムシタビン送達の開始後の約又は少なくとも約3週間、約6週間、約9週間、約
12週間、約100日間、約120日間、約150日間、約180日間、又は約200日
間にわたって緩和される。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも約70歳(少な
くとも約70歳、約75歳、約80歳、約85歳、又は90歳など)である。いくつかの
実施形態では、個体は、欠陥がある免疫系を有する。いくつかの実施形態では、個体は、
cT2又はcT3臓器限局性MIBC(例えば、N0 M0 MIBC)を有する。いく
つかの実施形態では、送達は、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含
み、各送達期間は約3週間(18~24日など)である。いくつかの実施形態では、送達
期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビン
の濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/
mL)である。いくつかの実施形態では、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわた
って、尿中のゲムシタビンの平均濃度は約5~20μg/mLである。いくつかの実施形
態では、各送達期間中に約225mgのゲムシタビンが投与される。いくつかの実施形態
では、本方法は、約12週間の、ゲムシタビン送達後に行われる維持療法を更に含む。い
くつかの実施形態では、ゲムシタビンの送達と維持療法との間には、約12週間の休止期
間が存在する。いくつかの実施形態では、休止期間は、少なくとも約1か月、約2か月、
又は約3か月である。いくつかの実施形態では、維持療法は、1回、2回、又はそれ以上
の送達期間中に、ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に約又は少なくとも約1
回、約2回以上投与することを含む。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間は、
約又は少なくとも約1週間、約2週間、又は約3週間である。いくつかの実施形態では、
維持期の送達期間は約3週間であり、送達期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週
間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例
えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。いくつかの実施形態では、維持
期の各送達期間中に、約225mgのゲムシタビンが投与される。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書において、約12週間にわたってゲムシタビンを個
体の膀胱に連続的かつ局所的に送達することを含む、膀胱癌を有する個体の生活の質を改
善する方法が提供される。いくつかの実施形態では、生活の質を改善することは、膀胱癌
に関連する症状を緩和すること、例えば、閉塞の発生を低減すること、血尿の頻度及び若
しくは程度を低減すること、疼痛の頻度若しくは程度を低減すること、並びに/又は緊急
処置を低減することなどを含む。いくつかの実施形態では、症状は、ゲムシタビン送達の
開始後の約又は少なくとも約3週間、約6週間、約9週間、約12週間、約100日間、
約120日間、約150日間、約180日間、又は約200日間にわたって緩和される。
いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも約70歳(少なくとも約70歳、約75歳
、約80歳、約85歳、又は90歳など)である。いくつかの実施形態では、個体は、欠
陥がある免疫系を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3臓器限局
性MIBC(例えば、N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、送達
は、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含み、各送達期間は約3週間
(18~24日など)である。いくつかの実施形態では、送達期間中、3週間のうちの少
なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも約0
.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。いくつかの
実施形態では、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、尿中のゲムシタビン
の平均濃度は約5~20μg/mLである。いくつかの実施形態では、各送達期間中に約
225mgのゲムシタビンが投与される。いくつかの実施形態では、本方法は、約12週
間の、ゲムシタビン送達後に行われる維持療法を更に含む。いくつかの実施形態では、ゲ
ムシタビンの送達と維持療法との間には、約12週間の休止期間が存在する。いくつかの
実施形態では、休止期間は、少なくとも約1か月、約2か月、又は約3か月である。いく
つかの実施形態では、維持療法は、1回、2回、又はそれ以上の送達期間中に、ゲムシタ
ビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に約又は少なくとも約1回、約2回以上投与するこ
とを含む。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間は、約又は少なくとも約1週間
、約2週間、又は約3週間である。いくつかの実施形態では、維持期の送達期間は約3週
間であり、送達期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中
のゲムシタビンの濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL
~約90μg/mL)である。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間中に、約2
25mgのゲムシタビンが投与される。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書において、約12週間にわたってゲムシタビンを個
体の膀胱に連続的かつ局所的に送達することを含む、血尿の病歴を有する個体において下
部尿管の尿路上皮癌を治療する方法が提供される。いくつかの実施形態では、血尿は、慢
性血尿、肉眼的血尿、偶発性血尿、及び/又は再発性肉眼的血尿を含む。いくつかの実施
形態では、個体は、ゲムシタビンの送達後に低減した血尿症状(低減した血尿の頻度及び
/又は程度など)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、ゲムシタビン送達後の少
なくとも約3週間、約6週間、約9週間、約12週間、約120日、約150日、約18
0日、又は約200日間にわたって低減した血尿症状(低減した血尿の頻度及び/又は程
度など)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも約70歳(少なくとも
約70歳、約75歳、約80歳、約85歳、又は90歳など)である。いくつかの実施形
態では、個体は、欠陥がある免疫系を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2
又はcT3臓器限局性MIBC(例えば、N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの
実施形態では、送達は、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含み、各
送達期間は約3週間(18~24日など)である。いくつかの実施形態では、送達期間中
、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度
は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)
である。いくつかの実施形態では、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、
尿中のゲムシタビンの平均濃度は約5~20μg/mLである。いくつかの実施形態では
、各送達期間中に約225mgのゲムシタビンが投与される。いくつかの実施形態では、
本方法は、約12週間の、ゲムシタビン送達後に行われる維持療法を更に含む。いくつか
の実施形態では、ゲムシタビンの送達と維持療法との間には、約12週間の休止期間が存
在する。いくつかの実施形態では、休止期間は、少なくとも約1か月、約2か月、又は約
3か月である。いくつかの実施形態では、維持療法は、1回、2回、又はそれ以上の送達
期間中に、ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に約又は少なくとも約1回、約
2回以上投与することを含む。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間は、約又は
少なくとも約1週間、約2週間、又は約3週間である。いくつかの実施形態では、維持期
の送達期間は約3週間であり、送達期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわ
たって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、
約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。いくつかの実施形態では、維持期の各
送達期間中に、約225mgのゲムシタビンが投与される。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書において、約12週間にわたってゲムシタビンを個
体の膀胱に連続的かつ局所的に送達することを含む、個体において膀胱癌の進行を予防す
る方法が提供される。いくつかの実施形態では、進行の予防は、約又は少なくとも約1か
月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、又は約6か月継続する。いくつかの実施
形態では、個体は、少なくとも約70歳(少なくとも約70歳、約75歳、約80歳、約
85歳、又は90歳など)である。いくつかの実施形態では、個体は、欠陥がある免疫系
を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3臓器限局性MIBC(例
えば、N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、送達は、4回の送達
期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含み、各送達期間は約3週間(18~24日
など)である。いくつかの実施形態では、送達期間中、3週間のうちの少なくとも約1~
2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも約0.1μg/mL
(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。いくつかの実施形態では、
3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、尿中のゲムシタビンの平均濃度は約
5~20μg/mLである。いくつかの実施形態では、各送達期間中に約225mgのゲ
ムシタビンが投与される。いくつかの実施形態では、本方法は、約12週間の、ゲムシタ
ビン送達後に行われる維持療法を更に含む。いくつかの実施形態では、ゲムシタビンの送
達と維持療法との間には、約12週間の休止期間が存在する。いくつかの実施形態では、
休止期間は、少なくとも約1か月、約2か月、又は約3か月である。いくつかの実施形態
では、維持療法は、1回、2回、又はそれ以上の送達期間中に、ゲムシタビンを個体の膀
胱に連続的かつ局所的に約又は少なくとも約1回、約2回以上投与することを含む。いく
つかの実施形態では、維持期の各送達期間は、約又は少なくとも約1週間、約2週間、又
は約3週間である。いくつかの実施形態では、維持期の送達期間は約3週間であり、送達
期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビン
の濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/
mL)である。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間中に、約225mgのゲム
シタビンが投与される。
【0048】
いくつかの実施形態では、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法は、約1
2週間にわたってゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に送達することを含む。
いくつかの実施形態では、進行の予防は、約又は少なくとも約1か月、約2か月、約3か
月、約4か月、約5か月、又は約6か月継続する。いくつかの実施形態では、個体は、少
なくとも約70歳(少なくとも約70歳、約75歳、約80歳、約85歳、又は90歳な
ど)である。いくつかの実施形態では、個体は、欠陥がある免疫系を有する。いくつかの
実施形態では、個体は、cT2又はcT3臓器限局性MIBC(例えば、N0 M0 M
IBC)を有する。いくつかの実施形態では、送達は、4回の送達期間(例えば、4回の
連続した送達期間)を含み、各送達期間は約3週間(18~24日など)である。いくつ
かの実施形態では、送達期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個
体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μ
g/mL~約90μg/mL)である。いくつかの実施形態では、3週間のうちの少なく
とも約1~2週間にわたって、尿中のゲムシタビンの平均濃度は約5~20μg/mLで
ある。いくつかの実施形態では、各送達期間中に約225mgのゲムシタビンが投与され
る。いくつかの実施形態では、本方法は、約12週間の、ゲムシタビン送達後に行われる
維持療法を更に含む。いくつかの実施形態では、ゲムシタビンの送達と維持療法との間に
は、約12週間の休止期間が存在する。いくつかの実施形態では、休止期間は、少なくと
も約1か月、約2か月、又は約3か月である。いくつかの実施形態では、維持療法は、1
回、2回、又はそれ以上の送達期間中に、ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的
に約又は少なくとも約1回、約2回以上投与することを含む。いくつかの実施形態では、
維持期の各送達期間は、約又は少なくとも約1週間、約2週間、又は約3週間である。い
くつかの実施形態では、維持期の送達期間は約3週間であり、送達期間中、3週間のうち
の少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも
約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。いくつ
かの実施形態では、維持期の各送達期間中に、約225mgのゲムシタビンが投与される
【0049】
いくつかの実施形態では、下部尿管の尿路上皮癌を有する個体に対する、少なくとも1
回の以前の療法の後に行われる維持療法の方法が提供され、この方法は、1回、又は2回
以上(例えば、2回以上)の送達期間中に、ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所
的に1回、2回、又はそれ以上(例えば、2回以上)投与することを含み、各送達期間は
少なくとも1週間であり、各送達期間の間には、少なくとも1か月の休止期間が存在する
。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも約70歳(少なくとも約70歳、約75
歳、約80歳、約85歳、又は90歳など)である。いくつかの実施形態では、個体は、
欠陥がある免疫系を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3臓器限
局性MIBC(例えば、N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、少
なくとも1回の以前の療法は、ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に投与する
ことを含み、この療法は、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含み、
各送達期間は約3週間(18~24日など)である。いくつかの実施形態では、以前の療
法の送達期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲム
シタビンの濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約9
0μg/mL)である。いくつかの実施形態では、3週間のうちの少なくとも約1~2週
間にわたって、尿中のゲムシタビンの平均濃度は約5~20μg/mLである。いくつか
の実施形態では、各送達期間中に約225mgのゲムシタビンが投与される。いくつかの
実施形態では、以前の療法と維持療法との間には、約12週間の休止期間が存在する。い
くつかの実施形態では、休止期間は、少なくとも約1か月、約2か月、又は約3か月であ
る。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間は、約又は少なくとも約1週間、約2
週間、又は約3週間である。いくつかの実施形態では、維持期の送達期間は約3週間であ
り、送達期間中、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲム
シタビンの濃度は、少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約9
0μg/mL)である。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間中に、約225m
gのゲムシタビンが投与される。
【0050】
いくつかの実施形態では、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法が提供さ
れ、この方法は、a)約12週間の導入期中に有効量のゲムシタビンを個体の膀胱に連続
的かつ局所的に個体に投与することと、b)維持期中に有効量のゲムシタビンを個体の膀
胱に連続的かつ局所的に個体に投与することとを含み、導入期及び維持期は休止期間によ
って分断される。いくつかの実施形態では、休止期間は、少なくとも約1か月、約2か月
、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、又は約12か月である。いくつ
かの実施形態では、個体は、少なくとも約70歳(少なくとも約70歳、約75歳、約8
0歳、約85歳、又は90歳など)である。いくつかの実施形態では、個体は、欠陥があ
る免疫系を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3臓器限局性MI
BC(例えば、N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、導入期は、
ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に投与することを含み、導入期は、4回の
送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含み、各送達期間は約3週間(18~2
4日など)である。いくつかの実施形態では、導入期の送達期間中、3週間のうちの少な
くとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも約0.
1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。いくつかの実
施形態では、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、尿中のゲムシタビンの
平均濃度は約5~20μg/mLである。いくつかの実施形態では、各送達期間中に約2
25mgのゲムシタビンが投与される。いくつかの実施形態では、休止期間は、少なくと
も約1か月、約2か月、又は約3か月である。いくつかの実施形態では、維持療法は、1
回、2回、又はそれ以上の送達期間中に、ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的
に約又は少なくとも約1回、約2回以上投与することを含む。いくつかの実施形態では、
維持期の各送達期間は、約又は少なくとも約1週間、約2週間、又は約3週間である。い
くつかの実施形態では、維持期の送達期間は約3週間であり、送達期間中、3週間のうち
の少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくとも
約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。いくつ
かの実施形態では、維持期の各送達期間中に、約225mgのゲムシタビンが投与される
【0051】
いくつかの実施形態では、下部尿管の尿路上皮癌を有する個体における膀胱保存の方法
が提供され、この方法は、a)約12週間の導入期中に有効量のゲムシタビンを個体の膀
胱に連続的かつ局所的に個体に投与することと、b)維持期中に有効量のゲムシタビンを
個体の膀胱に連続的かつ局所的に個体に投与することとを含み、導入期及び維持期は休止
期間によって分断される。いくつかの実施形態では、休止期間は、少なくとも約1か月、
約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、又は約12か月である
。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも約70歳(少なくとも約70歳、約75
歳、約80歳、約85歳、又は90歳など)である。いくつかの実施形態では、個体は、
欠陥がある免疫系を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3臓器限
局性MIBC(例えば、N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、導
入期は、ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に投与することを含み、導入期は
、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含み、各送達期間は約3週間(
18~24日など)である。いくつかの実施形態では、導入期の送達期間中、3週間のう
ちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少なくと
も約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である。いく
つかの実施形態では、3週間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、尿中のゲムシ
タビンの平均濃度は約5~20μg/mLである。いくつかの実施形態では、各送達期間
中に約225mgのゲムシタビンが投与される。いくつかの実施形態では、休止期間は、
少なくとも約1か月、約2か月、又は約3か月である。いくつかの実施形態では、維持療
法は、1回、2回、又はそれ以上の送達期間中に、ゲムシタビンを個体の膀胱に連続的か
つ局所的に約又は少なくとも約1回、約2回以上投与することを含む。いくつかの実施形
態では、維持期の各送達期間は、約又は少なくとも約1週間、約2週間、又は約3週間で
ある。いくつかの実施形態では、維持期の送達期間は約3週間であり、送達期間中、3週
間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、少
なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)である
。いくつかの実施形態では、維持期の各送達期間中に、約225mgのゲムシタビンが投
与される。
【0052】
いくつかの実施形態では、個体において下部尿管の尿路上皮癌(膀胱癌など、例えば、
MIBC)を治療する方法が提供され、この方法は、a)4回の連続した送達期間を含む
導入期中に有効量のゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に個体に投与すること
であって、各送達期間は約3週間であることと、b)少なくとも2回以上の送達期間を含
む維持期中に有効量のゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に個体に投与するこ
とであって、各送達期間は約3週間であり、維持期の2回以上の送達期間の間には少なく
とも約2か月の休止期間が存在することとを含み、導入期及び維持期は、少なくとも約3
か月の休止期間によって分断される。いくつかの実施形態では、個体において下部尿管の
尿路上皮癌(膀胱癌など、例えば、MIBC)を治療する方法が提供され、この方法は、
a)4回の連続した送達期間を含む導入期中に有効量のゲムシタビンを個体の膀胱に連続
的かつ局所的に個体に投与することであって、各送達期間は約3週間であることと、b)
2回以上の送達期間を含む維持期中に有効量のゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局
所的に個体に投与することであって、各送達期間は約3週間であり、維持期の2回以上の
送達期間の間には約2か月の休止期間が存在することとを含み、導入期及び維持期は、約
3か月の休止期間によって分断される。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも約
70歳(少なくとも約70歳、約75歳、約80歳、約85歳、又は90歳など)である
。いくつかの実施形態では、個体は、欠陥がある免疫系を有する。いくつかの実施形態で
は、個体は、cT2又はcT3臓器限局性MIBC(例えば、N0 M0 MIBC)を
有する。いくつかの実施形態では、導入期及び/又は維持期の送達期間中、3週間の送達
期間のうちの少なくとも約1~2週間にわたって、個体の尿中のゲムシタビンの濃度は、
少なくとも約0.1μg/mL(例えば、約0.1μg/mL~約90μg/mL)であ
る。いくつかの実施形態では、導入期及び/又は維持期の3週間の送達期間のうちの少な
くとも約1~2週間にわたって、尿中のゲムシタビンの平均濃度は約5~20μg/mL
である。いくつかの実施形態では、導入期及び/又は維持期の各送達期間中、約225m
gのゲムシタビンが投与される。
【0053】
いくつかの実施形態では、個体における膀胱保存の方法は、有効量のゲムシタビンを個
体に投与することを含み、ゲムシタビンは、約12週間にわたって個体の膀胱に局所的に
送達され、個体はcT2膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体における膀胱保
存の方法は、有効量のゲムシタビンを個体に投与することを含み、ゲムシタビンは、4回
の送達期間(4回の連続した送達期間など)中に局所的に膀胱に送達され、各送達期間は
約3週間(18~24日など)であり、個体はcT2膀胱癌を有する。いくつかの実施形
態では、個体における膀胱保存の方法は、有効量のゲムシタビンを個体に投与することを
含み、ゲムシタビンは、4回の送達期間(4回の連続した送達期間など)中に局所的に膀
胱に送達され、各送達期間は約3週間(18~24日など)であり、各送達期間中に約2
25mgのゲムシタビンが投与され、個体はcT2膀胱癌を有する。いくつかの実施形態
では、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MI
BC)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は
、cT2又はcT3 M0 MIBC(例えば、cT2又はcT3 N0 M0 MIB
C)を有する。いくつかの実施形態では、2回の隣接する送達期間は休止期間によって分
断される。いくつかの実施形態では、休止期間は、約7日、約6日、約5日、約4日、約
3日、約2日、又は1日未満又はそれら以下である。
【0054】
いくつかの実施形態では、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法は、有効
量のゲムシタビンを個体に投与することを含み、ゲムシタビンは、約12週間にわたって
個体の膀胱に局所的に送達され、個体はcT2膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では
、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法は、有効量のゲムシタビンを個体に
投与することを含み、ゲムシタビンは、4回の送達期間(4回の連続した送達期間など)
中に局所的に膀胱に送達され、各送達期間は約3週間(18~24日など)であり、個体
はcT2膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体において下部尿管の尿路上皮癌
を治療する方法は、有効量のゲムシタビンを個体に投与することを含み、ゲムシタビンは
、4回の送達期間(4回の連続した送達期間など)中に局所的に膀胱に送達され、各送達
期間は約3週間(18~24日など)であり、各送達期間中に約225mgのゲムシタビ
ンが投与され、個体はcT2膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は、臓器限
局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MIBC)など、例えばM
0 N0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3
M0 MIBC(例えば、cT2又はcT3 N0 M0 MIBC)を有する。いくつ
かの実施形態では、2回の隣接する送達期間は休止期間によって分断される。いくつかの
実施形態では、休止期間は、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、又は1
日未満又はそれら以下である。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体における膀胱保存の方法
として使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書において、個体における膀胱保
存の方法は、導入期中に有効量のゲムシタビンを個体に投与することと、維持期中に有効
量のゲムシタビンを個体に投与することとを含み、ゲムシタビンは膀胱に局所的に送達さ
れ、導入期及び維持期は休止期間によって分断され、導入期は約12週間である。いくつ
かの実施形態では、個体は、根治的膀胱切除術を受けない。いくつかの実施形態では、休
止期は、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、又は約6か月である。い
くつかの実施形態では、導入期は、約900mgのゲムシタビンを個体に投与することを
含む。いくつかの実施形態では、個体は、筋層非浸潤膀胱癌を有する。いくつかの実施形
態では、個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適格であるか、又はこれを拒絶した
。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3膀胱癌(cT2又はcT3 MI
BCなど)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(
非転移性MIBC(すなわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N0 MIBC)を
有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3 M0 MIBC(例えば
、cT2又はcT3 N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、導入
期は、合計12週間にわたって3週間毎にゲムシタビン放出デバイスを設置することを含
み、各デバイスは、225mgのゲムシタビンを放出する。いくつかの実施形態では、休
止期間は、約2~3か月、例えば、約65~75日、例えば、68~27日である。維持
期は、1年間にわたって3か月毎に、225mgのゲムシタビンを含むゲムシタビン放出
デバイスを個体の膀胱に配置することを含む。いくつかの実施形態では、休止時間は約3
か月である。いくつかの実施形態では、個体は、導入期療法に対して応答する(完全奏効
、部分奏効、及び/又は安定疾患を有するなど)。
【0056】
本明細書において、個体における膀胱保存の方法は、導入期中に有効量のゲムシタビン
を個体に投与することと、維持期中に有効量のゲムシタビンを個体に投与することとを含
み、ゲムシタビンは膀胱に局所的に送達され、導入期及び維持期は休止期間によって分断
され、導入期は約12週間であり、個体はcT2膀胱癌を有する。本明細書において、個
体における膀胱保存の方法は、導入期中に有効量のゲムシタビンを個体に投与することと
、維持期中に有効量のゲムシタビンを個体に投与することとを含み、ゲムシタビンは膀胱
に局所的に送達され、導入期は、4回の送達期間(4回の連続した送達期間など)を含み
、各送達期間は約3週間(18~24日など)であり、維持期は、約3か月毎にゲムシタ
ビンを個体に投与することを含み、導入期及び維持期は休止期間によって分断され、個体
はcT2膀胱癌を有する。本明細書において、個体における膀胱保存の方法は、導入期中
に有効量のゲムシタビンを個体に投与することと、維持期中に有効量のゲムシタビンを個
体に投与することとを含み、ゲムシタビンは膀胱に局所的に送達され、導入期は、4回の
送達期間(4回の連続した送達期間など)を含み、各送達期間は約3週間(18~24日
など)であり、各送達期間中に約225mgのゲムシタビンが投与され、維持期は、3か
月毎に3週間の送達期間(すなわち、維持期送達期間)を有し、各維持期送達期間中、約
225mgのゲムシタビンが投与され、導入期及び維持期は休止期間によって分断され、
個体はcT2膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、維持期は、約1年間、2年間、
3年間、5年間、10年間、個体の生涯にわたって、又は疾患進行若しくは毒性までであ
る。いくつかの実施形態では、休止期間は、約2~3か月、例えば、約65~75日、例
えば、68~72日である。いくつかの実施形態では、休止時間は約3か月である。いく
つかの実施形態では、個体は、導入期療法に対して応答する(完全奏効、部分奏効、及び
/又は安定疾患を有するなど)。いくつかの実施形態では、個体は、臓器限局性の筋層浸
潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N0 M
IBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3 M0 MIB
C(例えば、cT2又はcT3 N0 M0 MIBC)を有する。
【0057】
本明細書において、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法も提供され、こ
の方法は、導入期中に有効量のゲムシタビンを個体に投与することと、維持期中に有効量
のゲムシタビンを個体に投与することとを含み、ゲムシタビンは膀胱に局所的に送達され
、導入期及び維持期は休止期間によって分断され、導入期は約12週間である。いくつか
の実施形態では、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法は、導入期中に有効
量のゲムシタビンを個体に投与することと、維持期中に有効量のゲムシタビンを個体に投
与することとを含み、ゲムシタビンは膀胱に局所的に送達され、導入期及び維持期は休止
期間によって分断され、導入期は約84日である。いくつかの実施形態では、休止期間は
、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、又は6か月である。いくつかの実施形態で
は、個体は、筋層浸潤膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は、筋層非浸潤膀
胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適
格であるか、又はこれを拒絶した。いくつかの実施形態では、個体は、根治的膀胱切除術
に適していない、不適格である、又はこれを拒絶した。いくつかの実施形態では、個体は
、cT2又はcT3膀胱癌(cT2又はcT3 MIBCなど)を有する。いくつかの実
施形態では、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0
MIBC)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、
個体は、cT2又はcT3 M0 MIBC(例えば、cT2又はcT3 N0 M0
MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、休止時間は約3か月である。いくつかの
実施形態では、個体は、導入期療法に対して応答する(完全奏効、部分奏効、及び/又は
安定疾患を有するなど)。
【0058】
本明細書において、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法も提供され、こ
の方法は、導入期中に有効量のゲムシタビンを個体に投与することと、維持期中に有効量
のゲムシタビンを個体に投与することとを含み、ゲムシタビンは膀胱に局所的に送達され
、導入期及び維持期は休止期間によって分断され、導入期は約12週間であり、個体はc
T2膀胱癌を有する。本明細書において、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する
方法も提供され、この方法は、導入期中に有効量のゲムシタビンを個体に投与することと
、維持期中に有効量のゲムシタビンを個体に投与することとを含み、ゲムシタビンは膀胱
に局所的に送達され、導入期は、4回の送達期間(4回の連続した送達期間など)を含み
、各送達期間は約3週間(18~24日など)であり、維持期は、約3か月毎にゲムシタ
ビンを個体に投与することを含み、導入期及び維持期は休止期間によって分断され、導入
期は約12週間であり、個体はcT2膀胱癌を有する。本明細書において、個体において
下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法も提供され、この方法は、導入期中に有効量のゲム
シタビンを個体に投与することと、維持期中に有効量のゲムシタビンを個体に投与するこ
ととを含み、ゲムシタビンは膀胱に局所的に送達され、導入期は、4回の送達期間(4回
の連続した送達期間など)を含み、各送達期間は約3週間(18~24日など)であり、
維持期は、約3か月毎にゲムシタビンを個体に投与することを含み、導入期及び維持期は
休止期間によって分断され、導入期は約12週間であり、個体はcT2膀胱癌を有する。
本明細書において、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法も提供され、この
方法は、導入期中に有効量のゲムシタビンを個体に投与することと、維持期中に有効量の
ゲムシタビンを個体に投与することとを含み、ゲムシタビンは膀胱に局所的に送達され、
導入期は、4回の送達期間(4回の連続した送達期間など)を含み、各送達期間は約3週
間(18~24日など)であり、維持期は、約3か月毎にゲムシタビンを個体に投与する
ことを含み、導入期は、4回の送達期間(4回の連続した送達期間など)を含み、各送達
期間は約3週間(18~24日など)であり、各送達期間中に約225mgのゲムシタビ
ンが投与され、維持期は、3か月毎に3週間の送達期間(すなわち、維持期送達期間)を
有し、各維持期送達期間中に約225mgのゲムシタビンが投与され、導入期及び維持期
は休止期間によって分断され、個体はcT2膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、
維持期は、約1年間、2年間、3年間、5年間、10年間、個体の生涯にわたって、又は
疾患進行若しくは毒性までである。いくつかの実施形態では、休止期間は、約2~3か月
、例えば、約65~75日、例えば、68~72日である。いくつかの実施形態では、休
止時間は約3か月である。いくつかの実施形態では、個体は、導入期療法に対して応答す
る(完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有するなど)。いくつかの実施形態では
、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MIBC
)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、c
T2又はcT3 M0 MIBC(例えば、cT2又はcT3 N0 M0 MIBC)
を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法は、導入
期中に有効量のゲムシタビンを個体に投与することと、維持期中に有効量のゲムシタビン
を個体に投与することとを含み、ゲムシタビンは膀胱に局所的に送達され、導入期及び維
持期は休止期間によって分断され、導入期は12週間であり、休止期間は約3か月である
。いくつかの実施形態では、導入期は、12週間にわたって約900mgのゲムシタビン
を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、個体は、筋層浸潤膀胱癌を有す
る。いくつかの実施形態では、個体は、筋層非浸潤膀胱癌を有する。いくつかの実施形態
では、個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適格であるか、又はこれを拒絶した。
いくつかの実施形態では、個体は、根治的膀胱切除術に適していない、不適格である、又
はこれを拒絶した。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3膀胱癌(cT2
又はcT3 MIBCなど)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、臓器限局性の
筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N
0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3 M0
MIBC(例えば、cT2又はcT3 N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実
施形態では、休止時間は約3か月である。いくつかの実施形態では、個体は、導入期療法
に対して応答する(完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有するなど)。
【0060】
いくつかの実施形態では、本方法は、12週間にわたってゲムシタビンを個体に投与す
ることを含み、その後に約2~3か月間の休止期間、維持期が続き、維持期は、少なくと
も1年間にわたって3か月毎にゲムシタビンを個体に投与することを含み、ゲムシタビン
は、膀胱に局所的に送達される。いくつかの実施形態では、本方法は、12週間にわたっ
てゲムシタビンを個体に投与することを含み、その後に約2~3か月間の休止期間、維持
期間が続き、ゲムシタビンは、膀胱に局所的に送達され、維持期は、約1年間にわたって
3か月毎に約225mgのゲムシタビンを個体に投与することを含む。いくつかの実施形
態では、維持期は、約1年間、約2年間、約3年間、約5年間、約10年間であり、又は
個体の生涯にわたる。いくつかの実施形態では、維持期は、約3か月毎に2回、3回、4
回、5回、6回、又は個体の生涯にわたってゲムシタビンを送達することを含む。いくつ
かの実施形態では、維持期送達期間は、それぞれ約3週間(18~24日など)である。
いくつかの実施形態では、維持期送達期間は、約1週間、約2週間、又は約3週間である
。いくつかの実施形態では、個体は、筋層浸潤膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では
、個体は、筋層非浸潤膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は、シスプラチン
ベースの化学療法に不適格であるか、又はこれを拒絶した。いくつかの実施形態では、個
体は、根治的膀胱切除術に適していない、不適格である、又はこれを拒絶した。いくつか
の実施形態では、個体は、cT2又はcT3膀胱癌(cT2又はcT3 MIBCなど)
を有する。いくつかの実施形態では、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性M
IBC(すなわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。い
くつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3 M0 MIBC(例えば、cT2又
はcT3 N0 M0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、休止時間は約3
か月である。いくつかの実施形態では、個体は、ゲムシタビンの12週投与に対して応答
する(完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有するなど)。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書において、導入期と、維持期と、を含む、個体にお
いて下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法が提供され、導入期は、12週間にわたって約
900mgのゲムシタビンを個体に投与することを含み、維持期は、少なくとも1年間に
わたって約3か月毎に、約225mgのゲムシタビンを個体に投与することを含み、ゲム
シタビンは、膀胱に局所的に送達され、導入期及び維持期は、約2~3か月の休止期間に
よって分断される。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又はcT3膀胱癌(cT2
又はcT3 MIBCなど)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、臓器限局性の
筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MIBC)など、例えばM0 N
0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態において、個体は、cT2 M0 MIB
Cを有する。いくつかの実施形態では、休止時間は約3か月である。いくつかの実施形態
では、個体は、導入期療法に対して応答する(完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患
を有するなど)。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書において、導入期と、維持期と、を含む、個体にお
いて下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法が提供され、導入期は、12週間にわたって約
900mgのゲムシタビンを個体に投与することを含み、維持期は、少なくとも1年間に
わたって約3か月毎に、約225mgのゲムシタビンを個体に投与することを含み、ゲム
シタビンは、膀胱に局所的に送達され、導入期及び維持期は、約2~3か月の休止期間に
よって分断され、個体はcT2膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は、臓器
限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MIBC)など、例えば
M0 N0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態において、個体は、cT2 M0
MIBCを有する。いくつかの実施形態では、本明細書において、導入期と、維持期と
、を含む、個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法が提供され、導入期は、1
2週間にわたって約900mgのゲムシタビンを個体に投与することを含み、維持期は、
少なくとも1年間にわたって約3か月毎に、約225mgのゲムシタビンを個体に投与す
ることを含み、ゲムシタビンは、膀胱に局所的に送達され、導入期及び維持期は、約2~
3か月の休止期間によって分断され、個体はcT3膀胱癌を有する。いくつかの実施形態
では、休止時間は約3か月である。いくつかの実施形態では、個体は、導入期療法に対し
て応答する(完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有するなど)。
【0063】
いくつかの実施形態では、導入期は、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期
間)を含み、各送達期間は約3週間(18~24日など)である。いくつかの実施形態で
は、導入期は、4回の送達期間(例えば、4回の連続した送達期間)を含み、各送達期間
は約3週間(18~24日など)であり、各送達期間中に約225mgのゲムシタビンが
投与される。いくつかの実施形態では、約225mgのゲムシタビンを含む膀胱腔内デバ
イスは、導入期中の12週間にわたって3週間毎に膀胱に挿入される。いくつかの実施形
態では、個体は、筋層浸潤膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は、筋層非浸
潤膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は、シスプラチンベースの化学療法に
不適格であるか、又はこれを拒絶した。いくつかの実施形態では、個体は、根治的膀胱切
除術に適していない、不適格である、又はこれを拒絶した。いくつかの実施形態では、個
体は、cT2又はcT3膀胱癌(cT2又はcT3 MIBCなど)を有する。いくつか
の実施形態では、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、
M0 MIBC)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態で
は、個体は、cT2又はcT3 M0 MIBC(例えば、cT2又はcT3 N0 M
0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、休止時間は約3か月である。いくつ
かの実施形態では、個体は、導入期療法に対して応答する(完全奏効、部分奏効、及び/
又は安定疾患を有するなど)。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書において、4回の送達期間(4回の連続した送達期
間など)を含み、各送達期間は約3週間(18~24日など)である導入期と、休止期間
と、約3か月分断される、2回以上のゲムシタビン送達期間を含む維持期間と、を含む、
個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法が提供され、各送達期間中にそれぞれ
約225mgのゲムシタビンが投与される。いくつかの実施形態では、個体は、cT2又
はcT3膀胱癌(cT2又はcT3 MIBCなど)を有する。いくつかの実施形態では
、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MIBC
)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、c
T2又はcT3 M0 MIBC(例えば、cT2又はcT3 N0 M0 MIBC)
を有する。いくつかの実施形態では、休止時間は約3か月である。いくつかの実施形態で
は、個体は、導入期療法に対して応答する(完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を
有するなど)。
【0065】
いくつかの実施形態では、維持期は、少なくとも1回の一次療法の後に続く治療段階で
ある。いくつかの実施形態では、一次療法は、ゲムシタビンを投与することを含む導入療
法である。いくつかの実施形態では、維持療法は、少なくとも1か月の期間によって分断
される、2回以上のゲムシタビン送達期間を含み、送達期間は、約225mgのゲムシタ
ビンを投与することを含み、ゲムシタビンは、膀胱に局所的に送達される。いくつかの実
施形態では、維持期の送達期間は、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、又は約6
か月分断される。いくつかの実施形態では、維持期は、約3か月の期間によって分断され
る、2回以上の送達期間を含み、各送達期間は、約225mgのゲムシタビンを個体に投
与することを含み、ゲムシタビンは、個体の膀胱に局所的に送達される。いくつかの実施
形態では、維持期は、約1年間にわたって約3か月毎に、約225mgのゲムシタビンを
含むゲムシタビン放出デバイスを個体の膀胱に配置することを含む。いくつかの実施形態
では、維持期送達期間は、それぞれ約1週間、約2週間、又は約3週間である。いくつか
の実施形態では、維持期送達期間は、それぞれ約3週間(18~24日など)である。い
くつかの実施形態では、個体は、筋層浸潤膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個
体は、筋層非浸潤膀胱癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は、シスプラチンベー
スの化学療法に不適格であるか、又はこれを拒絶した。いくつかの実施形態では、個体は
、根治的膀胱切除術に適していない、不適格である、又はこれを拒絶した。いくつかの実
施形態では、休止時間は約3か月である。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも
1回の一次療法に対して応答する(完全奏効、部分奏効、及び/又は安定疾患を有するな
ど)。
【0066】
患者集団
本明細書において提供される方法は、尿路上皮癌を有する個体の範囲の治療に有用であ
る。例えば、いくつかの実施形態では、尿路上皮癌は膀胱癌である。いくつかの実施形態
では、膀胱癌は、局所的に進行した膀胱癌である。いくつかの実施形態では、癌は転移性
膀胱癌である。いくつかの実施形態では、膀胱癌は筋層浸潤膀胱癌である。いくつかの実
施形態では、膀胱癌は筋層非浸潤膀胱癌である。いくつかの実施形態では、膀胱癌は上皮
内癌である。いくつかの実施形態では、膀胱癌は、BCG(カルメット-ゲラン桿菌)難
治性癌である。いくつかの実施形態では、膀胱癌は乳頭状膀胱癌である。いくつかの実施
形態では、膀胱癌はグレード1/3、2/3、又は3/3である。いくつかの実施形態で
は、膀胱癌は、ステージI、ステージII、ステージIII、又はステージIVの膀胱癌
である。いくつかの実施形態では、膀胱癌は、高悪性度の浸潤性乳頭状尿路上皮癌である
。いくつかの実施形態では、膀胱癌は、高悪性度の非浸潤性尿路上皮癌である。いくつか
の実施形態では、膀胱癌は、高悪性度の多病巣性侵襲性尿路上皮癌である。いくつかの実
施形態では、膀胱癌は、cT2又はcT3である。いくつかの実施形態では、膀胱は、上
皮内癌を有するcT2である。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書において、シスプラチンベースのネオアジュバント
療法に不適格である個体において膀胱癌(例えば、MIBC)を治療する方法が提供され
、この方法は、ゲムシタビンを局所的に膀胱に投与することを含む。いくつかの実施形態
では、本明細書において、シスプラチンベースのネオアジュバント療法を拒絶する個体に
おいて膀胱癌(例えば、MIBC)を治療する方法が提供され、この方法は、ゲムシタビ
ンを局所的に膀胱に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書において、
cT2疾患を有し、リンパ管浸潤(LVI)、水腎症、随伴性上皮内癌(CIS)など高
リスク特徴を有さない個体において膀胱癌(例えば、MIBC)を治療する方法が提供さ
れ、この方法は、ゲムシタビンを膀胱に局所的に投与することを含む。いくつかの実施形
態では、本明細書では、根治的膀胱切除術を受ける予定であるが、シスプラチンベースの
ネオアジュバント療法には不適格である個体において膀胱癌(例えば、MIBC)を治療
する方法が提供され、この方法は、ゲムシタビンを膀胱に局所的に投与することを含む。
これらの実施形態のうちのいくつかでは、個体はcT2癌を有する。いくつかの実施形態
では、個体は、臓器限局性の筋層浸潤膀胱癌(非転移性MIBC(すなわち、M0 MI
BC)など、例えばM0 N0 MIBC)を有する。いくつかの実施形態において、個
体は、cT2 M0 N0 MIBCを有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、個体は、不良な性能状態、不良な腎機能、難聴、末梢神経障
害、及び心疾患など併存疾患に基づいて、シスプラチンベースの療法に不適格である。い
くつかの実施形態では、個体は、リンパ管浸潤(LVI)、水腎症、及び随伴性上皮内癌
(CIS)など1つ以上の高リスク特徴を有さないため、シスプラチンベースの療法に不
適格である。
【0069】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書において、シスプラチンベースの療法
に不適格である個体を治療する方法が提供され、この方法は、約3か月毎にゲムシタビン
を個体に投与することを含み、ゲムシタビンは、少なくとも1週間にわたって個体の膀胱
に局所的に送達される。いくつかの実施形態では、約225mgのゲムシタビンは、約1
年間、約2年間、約4年間、又は患者の生涯にわたって約3か月毎に投与される。いくつ
かの実施形態では、ゲムシタビンは、送達期間中の約1週間、約2週間、又は約3週間に
わたって連続的に送達される。
【0070】
これらの実施形態のうちのいくつかでは、本方法は、約2年間にわたって約3か月毎に
、約225mgのゲムシタビンを個体に3週間投与することを含む。これらの実施形態の
うちのいくつかでは、本方法は、約3年間にわたって約3か月毎に、約225mgのゲム
シタビンを個体に3週間投与することを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、
本方法は、個体の生涯にわたって約3か月毎に、約225mgのゲムシタビンを個体に3
週間投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、12週間の導入期を含み
、その後に維持期が続く。
【0071】
今までは、ネオアジュバント療法、その後の根治的膀胱切除術、又は膀胱の除去が、筋
層浸潤膀胱癌の治療の標準治療であった。根治的膀胱切除術に適していない個体は、姑息
的な経尿道的膀胱癌切除術(TURBT)を受けて、未処置の疾患及び処置が不十分な疾
患の局所的な進行の制限を試みる。かかる治療は、血尿、疼痛、及び緊急性の局所症状に
一時的に対処することができるが、治癒目的では使用されない。したがって、一態様では
、本発明は、膀胱にゲムシタビンを局所的に投与することによって、膀胱切除術に適して
いない、又は不適格である個体において膀胱癌(例えば、MIBC)を治療する方法を提
供する。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書において、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達する
ことを含む、膀胱切除術に不適格である個体において膀胱癌(例えば、MIBC)を治療
する方法が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書において、ゲムシタビンを局
所的に膀胱に送達することを含む、膀胱切除術に不適格である個体において膀胱癌(例え
ば、MIBC)を治療する方法が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書におい
て、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達することを含む、虚弱である個体において膀胱癌
(例えば、MIBC)を治療する方法が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書
において、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達することを含む、根治的膀胱切除術に耐え
ることができない個体において膀胱癌(例えば、MIBC)を治療する方法が提供される
。いくつかの実施形態では、本明細書において、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達する
ことを含む、個体の膀胱を除去することなく、個体において膀胱癌(例えば、MIBC)
を治療する方法が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書において、膀胱切除術
に適していない、又は不適格である個体において膀胱癌(例えば、MIBC)を治療する
方法が提供され、この方法は、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達することを含む。いく
つかの実施形態では、本明細書において、個体において膀胱癌(例えば、MIBC)を治
療する方法が提供され、膀胱癌は転移性膀胱癌である。いくつかの実施形態では、本明細
書において、cT2-cT3疾患(cT2-cT3 M0疾患など)を有する個体におい
て膀胱癌(例えば、MIBC)を治療する方法が提供され、この方法は、ゲムシタビンを
局所的に膀胱に送達することを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書において、膀胱切除術に適していない又は不適格で
ある個体において筋層浸潤膀胱癌を治療する方法が提供され、この方法は、3か月毎に少
なくとも約1週間にわたってゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に送達するこ
とを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、ゲムシタビンは、慢性的に、又は個
体の生涯にわたって連続的に膀胱に送達されてよく、個体の生活の質を改善する。いくつ
かの実施形態では、約225mgのゲムシタビンは、約1年間、約2年間、約4年間、又
は患者の生涯にわたって約3か月毎に投与される。いくつかの実施形態では、ゲムシタビ
ンは、送達期間中の約1週間、約2週間、又は約3週間にわたって連続的に送達される。
【0074】
いくつかの実施形態では、個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適格であるか、
又はこれを拒絶した。いくつかの実施形態では、個体は、根治的膀胱切除術に適していな
い、不適格である、又はこれを拒絶した。
【0075】
いくつかの実施形態では、個体は、National Comprehensive
Cancer Network(NCCN)ガイドライン下で、根治的膀胱切除術に適し
ていない。例えば、個体は、虚弱であるために根治療法に適していないことがある。本方
法の前に、かかる個体は、典型的には、化学療法を受けずに、姑息的放射線治療(3.5
Gy/分画-10回の治療;又は7Gy/分画-7回の治療;TURBT;又は治療なし
)を受けた。いくつかの実施形態では、個体は、白金ベースの化学療法に適していない。
いくつかの実施形態では、放射線治療前の化学療法は、個体に推奨されない。いくつかの
実施形態では、個体は、根治療法又は全身化学療法を受けない。いくつかの実施形態では
、個体は、cT2~cT3疾患(cT2~cT3 M0疾患など)を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、個体は、American Society of Ane
sthesiology(ASA)ガイドラインに基づいて、根治的膀胱切除術に耐える
ことができない。例えば、根治的膀胱切除術に耐えることができない個体は、全身麻酔又
は硬膜外麻酔を必要とする手術に対して医学的に適さないと判断され得る。
【0077】
他の実施形態では、個体は、American Society of Anesth
esiologistsにより提供されたComprehensive Geriatr
ic Assessmentによって決定される手術の術後処置インラストラクチャ又は
人員を欠いていてよい。これらのガイドラインの下で、日常生活の異常な自立活動度、重
度の栄養異常、認知障害、又は併存疾患のcumulative illness ra
ting scale for geriatrics(CISR-G)グレード3~4
を示す場合、個体は虚弱とみなされる。
【0078】
本発明の方法はまた、膀胱の除去を求める標準治療レジメンと比較して、重要かつ有意
な治療効果を提供する。本発明はまた、膀胱切除術に適格であるが、膀胱切除術を受けな
いことを選択する人のための膀胱温存プロトコルとして有用であるという利点を有する。
本方法は、現在利用可能な治療と比較して、膀胱癌を有した後に膀胱を保持可能であり得
る個体の生活の質の大幅な向上をもたらす。したがって、いくつかの実施形態では、本明
細書において、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達することを含む、個体において膀胱癌
(例えば、MIBC)を治療する膀胱温存法が提供される。いくつかの実施形態では、本
明細書において、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達する)ことを含む、個体の膀胱を除
去することなく、膀胱癌(例えば、MIBC)を治療する方法が提供される。また本明細
書において、さもなければ膀胱切除術を受けることになる個体において膀胱癌(例えば、
MIBC)を治療する方法が提供され、この方法は、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達
することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書において、膀胱切除術に適格である
が、それを受けないことを選択する個体において膀胱癌(例えば、MIBC)を治療する
方法が提供され、この方法は、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達することを含む。いく
つかの実施形態では、本明細書において、根治的膀胱切除術に代わるものとして、膀胱保
存の方法が提供され、この方法は、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達することを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書において、膀胱切除術を受けないことを選択する個体
において膀胱癌(例えば、MIBC)を治療する方法が提供され、この方法は、ゲムシタ
ビンを局所的に膀胱に送達することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書において
、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達することを含む、個体の膀胱を保存する方法が提供
される。いくつかの実施形態では、本明細書において、個体の膀胱を除去することなく、
個体において膀胱癌(例えば、MIBC)を治療する方法が提供され、この方法は、ゲム
シタビンを局所的に膀胱に送達することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書にお
いて、さもなければ膀胱切除術を受けることになる個体においてCT2尿路上皮癌を治療
する方法が提供され、この方法は、ゲムシタビンを局所的に膀胱に送達することを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、本方法は、典型的には根治的膀胱切除術を受け、その後にネ
オアジュバント療法を受けるであろうCT2患者である個体の治療に特に適している。本
方法は、結節など疾患の局所的/局部的(局所領域)制御をもたらし、したがって、この
膀胱温存集団における長期治療に使用することができる。本方法はまた、浸潤性再発から
の解放、良好な長期膀胱機能、及び低率のサルベージ膀胱切除術をもたらし、これらの全
ては、平均年齢70歳の膀胱癌を有する、高齢の比較的虚弱な個体集団において重要であ
る。
【0080】
いくつかの実施形態では、本方法は、血尿(慢性血尿、肉眼的血尿、再発性肉眼的血尿
、又は再発性血尿など)の病歴を有する被験者に適用可能である。本方法は、約200日
もの期間にわたって、血尿の症状を低減及び/又は制御する。
【0081】
いくつかの実施形態では、個体は、筋層浸潤膀胱癌(MIBC)を有する。いくつかの
実施形態では、個体は、筋層非浸潤膀胱癌(NMIBC)を有する。
【0082】
いくつかの実施形態では、個体は、非転移性(M0)膀胱癌(例えば、MIBC)を有
する。いくつかの実施形態では、個体は、N0膀胱癌(例えば、MIBC)を有する。い
くつかの実施形態では、個体は、N1、N2、又はN3膀胱癌(例えば、MIBC)を有
する。いくつかの実施形態では、個体は、cT2膀胱腫瘍又はcT3膀胱腫瘍(例えば、
MIBC)を有する。いくつかの実施形態では、個体は、Ta、Tis、T1、T2(例
えば、T2a及び/又はT2b)、T3(例えば、T3a及び/又はT3b)、T4(例
えば、T4a及び/又はT4b)膀胱癌(例えば、MIBC)を有する。いくつかの実施
形態では、個体は、N0及びM0膀胱癌(例えば、MIBC)を有する。いくつかの実施
形態では、個体は、cT2、N0、M0 MIBCを有する。いくつかの実施形態では、
個体は、cT3、N0、M0 MIBCを有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも約60歳、約65歳、約70歳、約75
歳、約80歳、約85歳、又は約90歳である。いくつかの実施形態では、個体は、欠陥
がある免疫系を有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
【0085】
II.膀胱腔内(膀胱内)デバイス
デバイスの形状
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、膀胱腔内(膀胱内)デ
バイスを使用してゲムシタビンを投与することを含む。いくつかの実施形態では、膀胱腔
内(膀胱内)デバイスは、配置形状及び保持形状を含む。例えば、デバイスは、管腔(例
えば、尿道)を通って個体の膀胱に挿入するのに適した比較的真っ直ぐな形状又は非コイ
ル状(配置形状)と、デバイスを膀胱内に保持するのに適した保持形状との間で弾性的に
変形可能であってよい。本開示の目的のために、「比較的拡張した形状」、「比較的大き
い外形形状」又は「保持形状」などの用語は、一般に、意図される埋め込み位置にデバイ
スを保持するのに適した任意の形状を意味し、デバイスを膀胱内で保持するのに適した、
プレツェル形状又は他のコイル状(例えば、双楕円形又は重複コイル)が挙げられるが、
これらに限定されない。保持形状は、個体の排尿時にデバイスが尿中に取り込まれ、排泄
されないようにする。同様に、「比較的小さい外形形状」又は「配置形状」などの用語は
、一般に、薬剤送達デバイスを身体内に配置するのに適した任意の形状を意味し、例えば
、カテーテル、膀胱鏡、又は尿道内に位置付けられる他の配置器具の作業チャネルを通っ
てデバイスを配置するのに適した直線形状又は細長い形状が挙げられるが、これらに限定
されない。いくつかの実施形態では、薬剤送達デバイスは、比較的拡張した形状が自然に
想定されてよく、身体内に挿入するために、手動で又は外部装置の助けを得て比較的小さ
い外形形状に変形され得る。例えば、外部装置は、経尿道挿入用に構成されている挿入器
であってよい。配置されると、膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、当初の比較的拡張した形
状に自発的に、つまり自然に戻り得、身体内に保持される。いくつかの実施形態では、デ
バイスは、ばねのように挙動し、圧縮荷重に応答して変形する(例えば、デバイスを配置
形状に変形させる)が、負荷が除去されると、自発的に保持形状に戻る。
【0086】
いくつかの実施形態では、先の段落に記載した膀胱腔内(膀胱内)デバイスの変形機能
は、参照により本明細書に組み込まれる、上記の特許出願公開に開示されているものなど
形状保持フレーム(すなわち、「保持フレーム」)をデバイスに含めることによって提供
されてよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、保持フレーム管腔を含んでよく、こ
の中に、弾性ワイヤ、例えばニチノールなど超弾性合金であり得る保持フレームが固定さ
れる。保持フレームは、例えば、以前組み込んだ特許出願に開示されているものなど「プ
レッツェル」形状又は別のコイル状などの保持形状に自発的に戻るように構成されてよい
。具体的には、保持フレームは、例えば膀胱内など身体内にデバイスを保持してよい。保
持形状は、個体の排尿時にデバイスが尿中に取り込まれ、排泄されないようにする。例え
ば、保持フレームは、デバイスが比較的小さい外形形状で身体に導入されることを可能に
し、デバイスが身体内に入ると比較的拡張した形状に戻ることができるようにし、排尿筋
の収縮及び排尿に関連する流体力など予期される力に応答して、デバイスが身体内で比較
的小さい外形形状をとることを妨げる弾性限界及び弾性率を有してよい。したがって、デ
バイスは、展開されると個体の膀胱内に保持され得、偶発的な排出を制限する、つまり防
止する。
【0087】
いくつかの他の実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)デバイスの変形機能は、少なくとも
部分的に熱的に形状設定された弾性ポリマーでデバイスハウジングを形成することによっ
てもたらされ得る。
【0088】
デバイス本体(すなわち、ハウジング)の形成に使用される材料は、配置形状と保持形
状との間でデバイスを移動できるように、少なくとも部分的に弾性又は可撓性であってよ
い。デバイスが保持形状にあるとき、保持フレーム部分は、図示のように薬剤リザーバ部
分の内側に位置する傾向があり得るが、他の場合では、保持フレーム部分は薬剤リザーバ
部分の内側、外側、上方、又は下に位置付けられ得る。デバイス本体の形成に使用される
材料は透水性であってよく、したがって、デバイスが膀胱内に配置されると、可溶化液(
例えば、尿)が薬剤リザーバ部分に入って、薬剤リザーバ内に収容されている、非液体形
態のゲムシタビン、免疫調節剤、追加の治療薬、機能剤、又はこれらの組み合わせを可溶
化することができる。例えば、シリコーン又は別の生体適合性エラストマー材料が使用さ
れてよい。他の実施形態では、デバイス本体は、少なくとも部分的に、非透水性材料で形
成されてよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、デバイス本体は、弾性の生体適合性ポリマー材料で作製され
る。この材料は、非吸収性又は吸収性であってよい。非吸収性材料の例としては、ポリ(
エーテル)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(ビニルピロリドン
)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ウレタン)、セルロース、酢酸セルロース、ポリ(シロ
キサン)、ポリ(エチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、及び他のフッ素化ポリ
マー、並びにポリ(シロキサン)から選択される合成ポリマーが挙げられる。例示的な吸
収性材料、具体的には生分解性又は生体内分解性ポリマーとしては、ポリ(アミド)、ポ
リ(エステル)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、
ポリホスファゼン、疑似ポリ(アミノ酸)、ポリ(グリセロール-セバケート)、ポリ(
乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラク
トン)、ポリ(カプロラクトン)(PC)導入体、アミノアルコール系ポリ(エステルア
ミド)(PEA)及びポリ(オクタンジオールシトレート)(POC)、並びに他の硬化
性生体吸収性エラストマーから選択される合成ポリマーが挙げられる。PC系ポリマーは
、ゴム状弾性を得るために、リジンジイソシアネート又は2,2-ビス(e-カプロラク
トン-4-イル)プロパンなど追加の架橋剤を必要とし得る。コポリマー、混合物、及び
上記材料の組み合わせも使用され得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、デバイス本体は、シリコーン、熱可塑性ポリウレタン、エチ
ルビニルアセテート(EVA)、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態で
は、デバイス本体は、2種の異なる熱可塑性材料を含み、その一方は親水性熱可塑性ポリ
ウレタンであって、薬剤透過性であり、他方は薬剤不透過性である。薬剤不透過性材料は
、親水性ポリウレタン、親水性ポリエステル、及び親水性ポリアミドからなる群から選択
されてよい。デバイス本体は、米国特許公開第2016/0310715号に記載されて
いるように、これらの材料のうちの1つ以上を使用して、押出プロセス又は共押出プロセ
スによって形成された環状管を備えてよい。
【0091】
薬剤コア
代謝拮抗物質が膀胱内(膀胱腔内)薬剤送達デバイスから送達される実施形態では、薬
剤は、デバイスが膀胱内の流体(例えば、尿)へと薬剤を制御可能に放出する特定の機構
に応じ得る様々な形態でデバイス内に収容されてよい。いくつかの実施形態では、薬剤は
固体、半固体、又は他の非液体形態で提供され、このため、有利には、デバイスの使用前
の薬剤の安定保存が容易になり得、有利には、薬剤が液体溶液の形態で収容された場合に
起こり得る体積よりも小さい体積の保存されるデバイスの薬剤充填物を可能にし得る。一
実施形態では、非液体形態は、錠剤、粒剤、粉剤、半固体(例えば、軟膏、クリーム、ペ
ースト、又はゲル)、カプセル、及びこれらの組み合わせから選択される。一実施形態で
は、薬剤は、米国特許第8,343,516号に記載されているミニ錠剤など複数の錠剤
の形態である。
【0092】
例えば、代謝拮抗物質は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液又はエマルションなどの
形態をとってよく、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤など処方剤を含有してよい。あるい
は、活性成分は、使用前の好適な媒体、例えば滅菌、発熱物質不含有水を用いた構成のた
めに、滅菌固体の無菌単離によって、又は溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形態
であってよい。
【0093】
一実施形態では、ゲムシタビンは、デバイスハウジング内の放出開口部から可溶化ゲム
シタビンの放出を制御するための粘度増強剤を含む1種以上の賦形剤を用いて製剤化され
る。別の実施形態では、デバイスリザーバは、ゲムシタビン及び粘度増強剤の両方を含む
が、これらは共製剤化されず、代わりに、例えば別個の錠剤としてリザーバ内の別個の領
域に提供される。ポリエチレンオキシド(PEO)が挙げられるが、これに限定されない
好適な粘度増強剤は、医薬品分野において既知である。実施形態のいくつかの変形例では
、粘度増強剤は、例えば、尿素又は別の浸透剤を用いて提供されて、例えば製剤化されて
よい。
【0094】
一実施形態では、ゲムシタビンは、溶解度増強剤と共に個体に投与される。一実施形態
では、溶解性増強剤は尿素である。一実施形態では、尿素は錠剤又は他の個体形態で提供
され、膀胱腔内(膀胱内)薬剤送達デバイスの薬剤リザーバにゲムシタビンと共に充填さ
れる。尿素はまた、デバイスに応じて、薬剤リザーバ内での浸透圧の生成を促進する浸透
剤として機能し得る。特定の実施形態では、ゲムシタビン及び浸透剤は、参照により本明
細書に組み込まれる国際公開第2015/026813号(Leeら)に記載されるよう
に、薬剤リザーバの異なる領域内に位置付けられた別個の錠剤(又は他の個体形態)とし
て構成されている。
【0095】
いくつかの実施形態では、デバイスは、薬剤リザーバ管腔を備えてよい。これらの実施
形態のうちのいくつかでは、各薬剤リザーバ管腔は、1つ又は複数の薬剤錠剤又は他の固
形薬剤ユニットを保持し得る。一実施形態では、デバイスは、多数の別個の薬剤リザーバ
管腔の中で、約10~100個の円柱状薬剤錠剤(ミニ錠剤など)を保持する。特定の実
施形態では、ミニ錠剤はそれぞれ、例えば、約1.5~約3.1mmなど約1.0~約3
.3mmの直径、及び例えば約2.0~約4.5mmなど約1.5~約4.7mmの長さ
を有してよい。
【0096】
薬剤ハウジング
本明細書に記載の膀胱腔内(膀胱内)デバイスからのゲムシタビンの放出は、異なる作
用機構によって駆動され、制御され得る。様々な実施形態では、薬剤は、薬剤ハウジング
の壁を通じた拡散によって、薬剤ハウジングの壁内の1つ以上の画定された開口部を通じ
た拡散によって、薬剤ハウジング内の開口部を通じた浸透圧によって、1つ以上の一時的
に形成されたマイクロチャネルを通じた浸透圧によって、膀胱内の尿と接触した製剤の浸
食によって、又はこれらの組み合わせによって、膀胱腔内(膀胱内)薬剤送達デバイスか
ら放出されてよい。いくつかの実施形態では、薬剤放出は、デバイスハウジングの一部を
画定する薬剤透過性ポリマー又はマトリックス成分を通じた薬剤拡散によって制御される
。一実施形態では、デバイスは、薬剤透過性ポリマー成分を含む。
【0097】
壁の厚さなどハウジングのサイズは、特に、収容される薬剤(及び、存在する場合は機
能剤)製剤の体積、デバイス本体/ハウジングからの薬剤の所望の送達速度、身体内での
デバイスの意図される埋め込み部位、デバイスに対する所望の機械的一体性、水及び尿に
対する所望の放出速度又は透過性、初回放出の開始前の所望の導入時間、及び身体への挿
入の所望の方法又は経路に基づいて選択されてよい。ハウジングが管である実施形態では
、管壁厚は、管材料の機械的特性及び透水性に基づいて決定されてよい。これは、薄すぎ
る管壁が、十分な機械的一体性を有さない場合があり、その一方、厚すぎる管壁は、デバ
イスからの初回薬剤放出に望ましくなく長い導入時間を経ることがあり、かつ/又は尿道
若しくは他の狭い身体管腔を通じた送達を可能にするのに十分な可撓性を有さないことが
あるためである。
【0098】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、約2mm~約5mmの内径を有する細長い環
状管であってよい。薬剤及び機能剤(存在する場合)は、細長い環状管の内径と実質的に
同じ直径を有する固形錠剤であってよい。いくつかの実施形態では、ハウジングは、ある
薬剤を含む、1つ以上の第1の薬剤ユニットと、この薬剤の放出を促す1つ以上の第2の
薬剤ユニットとを保持する。第1のユニットの錠剤のうちの1つ以上は、管の管腔の約1
cm~約3cmの長さを充填してよく、第2のユニットの錠剤のうちの1つ以上は、管の
管腔の約10cm~約15cmの長さを充填してよい。一実施形態では、第1のユニット
の体積対第2のユニットの体積の比は、約0.05~約0.5である。錠剤充填物の他の
長さ及び比率が想定される。
【0099】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、0.2mmの壁厚など約0.1mm~約0.
4mmの壁厚を有する細長い環状管であってよい。ハウジング材料は、1種以上の生体適
合性エラストマーを含んでよい。ハウジング材料は、ハウジングが、25A~80A、例
えば25A、50A、65A、70A、又は80Aのデュロメータを有するように選択さ
れてよい。
【0100】
様々な実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、連続的又は断続的に薬剤を放出
して、本明細書で提供される方法に記載されるように膀胱内の尿中の薬剤の持続的な治療
有効濃度を生成する膀胱内の薬剤の濃度を達成してよい。例えば、1時間~1か月の期間
、例えば、2時間~2週間、6時間~1週間、24時間~72時間などの期間にわたって
放出してよい。特定の実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、1mg/日~10
00mg/日、例えば20mg/日~300mg/日、又は25mg/日~300mg/
日の量でゲムシタビンを放出してよい。特定の実施形態では、これらの放出速度は、本明
細書に記載される治療期間にわたって提供される。特定の実施形態では、これらの放出速
度は、14日~21日の治療期間にわたって提供される。
【0101】
浸透及び拡散システム
in vivo配置に続いて、デバイスは薬剤を放出する。上記のように、放出は、デ
バイスの内部と外部との浸透圧勾配、浸透圧力下でデバイス内の1つ以上のオリフィス又
は通過孔を通過する薬剤に起因して生じ得る。放出はまた、拡散によって生じ得、それに
よって、薬剤は、デバイスの内部と外部との薬剤濃度勾配に起因して、デバイス内の1つ
以上のオリフィス若しくは通過孔、及び/又はデバイスの薬剤透過壁を通過する。単一デ
バイス内でのこれらの放出モードの組み合わせが可能であり、いくつかの実施形態では、
個々のいずれかのモードでは容易に達成することができない全体的な薬物放出プロファイ
ルを達成するために好ましい。
【0102】
デバイスが個体形態の薬剤を含むいくつかの実施形態では、デバイスからの薬剤の溶出
は、デバイス内の薬剤の溶解後に生じる。体液がデバイスに入り、薬剤に接触し、薬剤を
可溶化し、その後、溶解した薬剤はデバイスから拡散するか、又は浸透圧下若しくは拡散
を介してデバイスから流れる。例えば、デバイスが膀胱内に配置される場合、薬剤は、尿
と接触すると可溶化されてよい。特定の実施形態では、ハウジングの透水壁部分は水溶液
中の薬剤に対して透過性であり、可溶化された薬剤は壁部分を介して放出され、本明細書
で「経壁拡散」とも称される。デバイスが埋め込まれた後、水又は尿が壁を通じて浸透し
、リザーバに入り、機能剤及び/又は薬剤を可溶化する。次いで、薬剤は、デバイスの内
部と外部との薬剤濃度勾配のために、制御された速度で壁を通じて直接拡散する。例えば
、ハウジング及び/又は任意の水若しくは薬剤透過性壁部分は、シリコーン、熱可塑性ポ
リウレタン、エチレン-co-ビニルアセテート(EVA)、又はこれらの組み合わせで
あってよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、約225mgのゲムシタビ
ンのユニット濃度を含んでよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、デバイスは、
3週間にわたって約100~約225mgのゲムシタビン(例えば、約140mg、約1
60mg、約180mg、約200mg、又は約220mg)mgのゲムシタビンを個体
に送達するように構成されてよい。
【0104】
特定の実施形態では、薬剤送達デバイスは、いずれもその全体が参照により本明細書に
組み込まれる国際公開第2014/145638号及び米国特許出願公開第2016/0
310715号に記載されているような透過システムを含んでよい。いくつかの実施形態
では、薬剤送達デバイスは、第1の壁構造及び親水性の第2の壁構造によって境界づけら
れた閉鎖薬剤リザーバ管腔と、薬剤リザーバ管腔内に収容されたゲムシタビンを含む製剤
と、を有するハウジングを含み、第1の壁構造は、水に対して透過性又は不透過性であり
、かつ薬剤に対して不透過性であり、第2の壁構造は、ゲムシタビンに対して透過性であ
る。
【0105】
いくつかの実施形態では、デバイスハウジングは、第1の壁構造として機能する第1の
材料、及び第2の壁構造として機能する第2の材料で作製された、デバイスの薬剤リザー
バを境界づけ、画定する壁を有し、したがって、薬剤放出は本質的に第2の材料のみを介
して生じる。一実施形態では、デバイスは、開口部を含まず、薬剤放出は、第2の壁構造
を通じた拡散のみによって行われる。本明細書で使用するとき、用語「薬剤に対して不透
過性」及び「水に対して不透過性」は、壁構造が薬剤又は水に対して実質的に不透過性で
あることを指し、したがって、薬剤又は水は、治療放出期間にわたって、本質的に壁構造
を介して放出されない。膀胱内で使用するために、デバイスは、排尿筋の収縮中に柔軟(
すなわち、容易に屈曲し、柔らかな感触)であることが望ましい。これは、患者に対する
不快感及び刺激を回避又は軽減するためである。したがって、構造の第1及び第2の材料
のデュロメータは設計上の考慮事項であり、高デュロメータ材料の割合は、膀胱内で好適
に適合するようにしつつも、所与のサイズのデバイスハウジングを構築することにおいて
制限され得る。例えば、Tecophilic(商標)熱可塑性ポリウレタン(Lubr
izol Corp.)は、80A~65Dなど70A超のショア硬度を有し得る一方で
、シリコーン管は、50A~70Aのショア硬度を有し得る。したがって、水膨潤親水性
、薬剤透過性の第2の材料でデバイス全体を作製するのではなく、これらの2つの異なる
ポリマー材料の組み合わせを利用することが有利であり得る。
【0106】
第1及び第2の壁構造の配置は、様々な形態をとることができる。特定の実施形態では
、第1の壁構造は円筒管であり、第2の壁構造は、円筒管の少なくとも一方の端部に配設
された端壁である、又は第1の壁構造及び第2の壁構造は互いに隣接し、共に円筒管を形
成する。すなわち、薬剤放出は、閉鎖デバイスハウジングの一部を画定する薬剤透過性構
成要素を通じた薬剤拡散によって制御される。薬剤透過性壁構造は、デバイスから所望の
速度の制御された薬剤拡散を提供するように位置し、寸法付けられ、材料特性を有してよ
い。一実施形態では、薬剤透過性壁は、管の端部又はその付近において管の管腔内に、任
意選択的に内側ワッシャと外側ワッシャとの間に挟まれて安定化されたディスクを含んで
よい。別の実施形態では、薬剤透過性壁は、管状ハウジングの側壁の一部、又は管状ハウ
ジングの端部に位置する端部プラグの一部である。
【0107】
長さ及び幅、例えば、透水性材料で形成された壁部分は、デバイスハウジングによって
画定されたリザーバへの所望の速度の水流をもたらすように選択される。一実施形態では
、透水性壁部分の幅は、管腔軸に対して垂直な断面で見たときに壁を画定する弧角によっ
て定量化されてよい。デバイスハウジングの透水性領域は、浸透水吸収の選択された面積
、したがって速度をもたらすように、更に好適な生体適合性エラストマーで形成されたデ
バイスの好適な全体的寸法及び弾性を有利に維持するように制御されてよい。有利には、
共押出プロセスによってデバイスハウジングを形成することによって、透水性領域の構造
的変化は、処理パラメータを選択することによって従来の共押出デバイスで作製すること
ができ、それにより、複数の構造デバイス構成を費用効果的に製造する能力を有益に提供
する。いくつかの実施形態では、透水性領域の長さは、デバイスの全長の一部のみに沿っ
て延びる。したがってかかる実施形態では、透水性領域のより大きい弧角を使用すること
ができ、その一方で、薬剤放出速度を、長期間にわたって望ましいレベルに維持すること
ができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、壁は、壁の周囲にわたって様々な厚さを有してよく、例えば
、薬剤透過性部分は、薬剤不透過性部分の厚さよりも薄い厚さを有してよい。更に、より
薄い薬剤透過性壁構造は、隣接するより厚い薬剤不透過性壁構造体に対して様々な位置に
配置されてよい。いくつかの実施形態では、薬剤放出は、閉鎖デバイスハウジングの一部
を画定する薬剤透過性構成要素を通じた薬剤拡散によって制御される。薬剤透過性壁構造
は、デバイスから所望の速度の制御された薬剤拡散を提供するように位置し、寸法付けら
れ、材料特性を有してよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、薬剤送達デバイスは、互いに隣接し、薬剤リザーバ管腔を画
定する管を共に形成する第1の壁構造及び第2の壁構造と、薬剤リザーバ管腔内に収容さ
れた薬剤と、を備えるハウジングを備え、(i)第2の壁構造体、又は第1の壁構造及び
第2の壁構造の両方は水に対して透過性であり、(ii)第1の壁構造は薬剤に対して不
透過性であり、第2の壁構造は薬剤に対して透過性であり、その結果、薬剤は、第2の壁
構造を通って拡散することによってin vivoで放出可能であり、(iii)第2の
壁構造は、管の長手方向軸に垂直な断面において、管の断面積の90パーセント未満を含
み、(iv)第1の壁構造は、第1ポリウレタン組成物を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、デバイスは、第1の閉鎖端と第2の閉鎖端との間に延在する
薬剤リザーバ管腔と、薬剤リザーバ管腔内に収容された薬剤と、を有する細長い弾性ハウ
ジングを備え、(i)ハウジングは、薬剤に対して不透過性である第1の材料で全体が形
成された第1の環状セグメントと、薬剤に対して透過性である第2の材料で少なくとも部
分的に形成されており、第2の環状セグメント内の第2の材料を通って拡散することによ
って薬剤をin vivoで放出するように構成されている第2の環状セグメントと、を
備え、(ii)第1の環状セグメントは、第2の環状セグメントの第1の端部と一体的に
形成され、接続されている第1の端部を有する。
【0111】
いくつかの実施形態では、薬剤リザーバ管腔を画定する壁は、様々な厚さを有してよい
。異なる厚さの壁を有するハウジングは、ハウジングの可撓性、圧縮性、又はその両方を
改善し得る。異なる壁厚はまた、薬剤リザーバ管腔内での固形薬剤ユニットの固定に役立
つことがあり得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)デバイス本体又はハウジングは、組み立
てプロセス中の薬剤リザーバへの薬剤充填物の充填後に封止を必要とする開口部(例えば
、環状管の対向端部にある)を含んでよい。モノリシックハウジング及びモジュール式ハ
ウジングユニットなどハウジングのこれらの画定された開口部又は端部のいずれかは、開
口部の遮断が望ましい場合に封止されてよい。この封止は、封止物質又は構造によって達
成されてよい。封止構造は、特に、ステンレス鋼など金属、シリコーンなどポリマー、セ
ラミック、若しくはサファイア、若しくは接着剤、又はこれらの組み合わせなど生体適合
性材料で形成されてよい。封止物質又は構造は、生分解性又は生体分解性であってよい。
一実施形態では、医療グレードのシリコーン接着剤又は他の接着剤が、流体又は有効な形
態で開口部に充填され、次いでハウジング開口部内で硬化して、開口部を封止する。いく
つかの実施形態では、ハウジングは、デバイスから薬剤を放出するための1つ以上の所定
の開口部を含む。これらの薬剤放出開口部は、封止される、規定の開口部ではない。他の
実施形態では、ハウジングは、所定の薬剤放出開口部を含まない。
【0113】
いくつかの実施形態では、デバイスは、所定の薬剤放出開口部(すなわち、オリフィス
)を有さずに薬剤を放出する。所定の薬剤放出開口部を有さないデバイスからの薬剤の放
出は、拡散又は浸透圧によって駆動され得る。かかる好適な「オリフィスを有さない」放
出システムの例は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/14406
6号(TB130)及び米国特許出願公開第2014/0276636号(TB134)
に記載されている。
【0114】
特定の実施形態では、薬剤送達デバイスは、参照により本明細書に組み込まれる米国特
許出願公開第2016/0199544号、米国特許第8,679,094号、及び米国
特許公開第2016/0008271号に記載されているような浸透システムを含んでよ
い。
【0115】
いくつかの実施形態では、デバイスは、リザーバを画定するハウジングと、リザーバ内
に収容された第1のユニットであって、薬剤を含む第1のユニットと、第1のユニットと
は異なる位置でリザーバ内に収容された第2のユニットであって、ハウジングからの薬剤
のin vivo放出を容易にする機能剤を含む、第2のユニットと、を備える。いくつ
かの実施形態では、第1のユニットは、少なくとも1種の薬剤(ゲムシタビンなど)を備
える1つ以上の固形錠剤を備え、第2のユニットは、1つ以上の固形錠剤(例えば、尿素
など浸透剤を含む)を備える。いくつかの実施形態では、ハウジングは、第1及び第2の
ユニットの固形錠剤の全てが整列されて収容されている管腔(すなわち、リザーバ)を有
する、細長いエラストマー管の形態である。固形錠剤の直径は、管腔の直径と実質的に同
じであってよい。
【0116】
浸透放出が所望の薬剤放出モードである場合、第2のユニット内の機能剤は、薬剤の浸
透放出を促進する浸透剤を含んでよい。例えば、浸透剤は、浸透剤が可溶化及び/又はそ
の後の薬剤放出を促進するように、薬剤よりも高い溶解度を有し得る。このことは、有利
には、典型的には拡散のみによって送達される、浸透送達ベースのデバイスからの低溶解
度又は他の薬剤の送達を可能にする。デバイスは、十分な量の機能剤及び/又は薬剤が可
溶化されて浸透圧勾配を達成する導入期間を呈し得る。
【0117】
続いて、デバイスは、長期間にわたってゼロ次放出速度を呈し、続いて減衰期間にわた
って低減した、非ゼロ次放出速度を呈し得る。所望の送達速度は、デバイスの様々なパラ
メータを制御/選択することによって達成され得、これらのパラメータとしては、透水性
壁の表面積及び厚さ、壁の形成に使用される材料の水に対する透過性、開口部の形状、サ
イズ、数、及び配置、並びに薬剤及び機能剤の溶解プロファイルが挙げられるが、これら
に限定されない。
【0118】
本明細書に記載のデバイスはまた、拡散のみによって、又は浸透圧放出との組み合わせ
で薬剤を放出するように構成されてよい。デバイスはまた、可溶化された薬剤が、ハウジ
ングの一部又はその内部の1つ以上の開口部を通過できるように構成されてよい。
【0119】
あるいは、又は透水性壁部分と組み合わせて、ハウジングは、流体がin vivoで
リザーバに入ることができるように構成されている、少なくとも1つの開口部を含んでよ
い。ハウジングはまた、可溶化された薬剤が通過できるように構成されている、1つ以上
の開口部又は通過孔を含んでよい。
【0120】
浸透システムのいくつかの実施形態では、デバイスハウジングは、透水性である第1の
エラストマー材料と、非透水性である第2のエラストマー材料とを含み、両材料は、ハウ
ジング内に収容された薬剤に対して不透過性であるように選択される。
【0121】
浸食ベースシステム
低溶解度薬剤を含む錠剤と共に使用され得るいくつかの実施形態では、薬剤は、錠剤面
を露出してデバイスに固定された錠剤形態で提供され、その結果、米国特許第9,107
,816号に記載されているように、デバイスからの薬剤の放出が、制御された浸食/溶
解によって生じる。いくつかの実施形態では、デバイスは、モジュール式ハウジングを備
えてよい。モジュール式ハウジングは、典型的には、少なくとも2つの別個のハウジング
ユニットで形成され、各ユニットは少なくとも1つの固形薬剤ユニットを収容する。各ハ
ウジングユニットが形成される材料は、固形薬剤ユニットを収容することができる少なく
とも1つの薬剤リザーバ管腔を画定する。薬剤リザーバ管腔は、1つ以上の画定された開
口部を有してよい。例えば、薬剤リザーバ管腔は、その内部に収容された少なくとも1つ
の固形薬剤ユニットの対応する、対向する端面を露出させる2つの対向する開口部を有し
てよい。特定の実施形態では、モジュール式ハウジング内の少なくとも2つの別個のハウ
ジングユニットは、直接的又は間接的に、保持フレームによって接続される。いくつかの
実施形態では、モジュール式ハウジングユニットは保持フレーム上に配置されて、「ブレ
スレット」デザインを形成してよい。デバイスは、1つのハウジングユニット又は複数の
ハウジングユニットを有してよい。ハウジングユニットの数は、接続される保持フレーム
のサイズによってのみ制限され得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、別個のハウジングユニットのうちの1つ以上は、共有保持フ
レームが通って延在する保持フレーム管腔を含む。特定の実施形態では、各ハウジングユ
ニットの保持フレーム管腔及び薬剤リザーバ管腔は、互いに平行に配置される。特定の実
施形態では、各ハウジングユニットの保持フレーム管腔及び薬剤リザーバ管腔は、互いに
垂直に配置される。更なる実施形態では、各ハウジングユニットの保持フレーム管腔及び
薬剤リザーバ管腔は、0°(平行)及び90°(垂直)以外の角度、例えば5°、10°
,30°、45°、60°、又は85°で配置される。更なる実施形態では、本明細書に
記載のデバイスは、以下の構成、つまり、(1)保持フレーム管腔及び薬剤リザーバ管腔
は、互いに実質的に平行に配置される、(2)保持フレーム管腔及び薬剤リザーバ管腔は
、互いに実質的に垂直に配置される、(3)保持フレーム管腔及び薬剤リザーバ管腔は、
0°(平行)及び90°(垂直)以外の角度で配置される、のうちの少なくとも2つを有
する2つ以上のハウジングユニットを含む。
【0123】
一体型シリコーン薬剤送達システム
いくつかの実施形態では、デバイスは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる
国際公開第2015/200752号に記載されるように弾性ポリマー薬剤マトリックス
を含んでよい。
【0124】
複数の放出部分を有するデバイス
特定の実施形態では、デバイスは、少なくとも2つの薬剤放出部分を含み、少なくとも
1つの放出部分は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/
031855号に記載されるように、別の放出部分とは異なる速度で薬剤を放出する。放
出部分は、特に、異なる構成を有することによって、異なる製剤を収容することによって
、若しくは異なる放出機構を使用することによって、異なる構成を有することによって、
又はこれらの組み合わせによって、異なる放出速度を達成してよい。放出部分は、所望の
放出プロファイルを達成するように組み合わされてよい。例えば、デバイスは、特に、初
回放出の開始前に異なる導入時間若しくは遅延時間を呈する、放出開始後に異なる速度で
、若しくは異なる放出曲線に従って薬剤を放出する、又は薬剤充填量が実質的に使い果た
される前に異なる期間にわたって薬剤を放出する、又はこれらの組み合わせである放出部
分を含んでよい。異種の放出部分は、比較的短い初回遅延時間を示し、その後、長期間に
わたって比較的一定の速度で持続的な放出を示すなど、全体として、薬物送達デバイスか
らの所望の放出プロファイルを達成するように組み合わされてよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、デバイスには、従来の薬剤錠剤よりも小さいサイズであり得
る、多数の固形薬剤錠剤の形態の薬剤が充填される。デバイスは薬剤の身体内への放出を
制御するため、薬剤自体は、薬剤放出を制御する賦形剤をほとんど又は全く含まなくてよ
い。その代わりに、薬剤錠剤中に存在する賦形剤は、主として又は完全に錠剤化プロセス
又はin vivoでの可溶化を促進するために存在してよい。したがって、デバイスは
、体積基準又は重量基準で高い薬剤充填物を提供し得るが、デバイスは、最小限に侵襲的
な方法でのin vivo配置のために十分に小さくてもよい。
【0126】
薬剤ハウジングはまた、埋め込み時又はin vivo可溶化後の液体又は半個体形態
のいずれかでの薬剤の放出を可能にする。壁は、薬剤ハウジングを通ってその全長に沿っ
ての薬剤流出を可能にする、薬剤透過性材料で形成されてよい。壁はまた、少なくとも部
分的に薬剤形態に応じて薬剤に対して半透過性である材料で形成されてよい。例えば、壁
は、荷電形態などある形態では薬剤に対して透過性であってよいが、非荷電形態(例えば
、塩基形態対塩形態)など別の形態ではそうでなくてよい。壁はまた、薬剤が薬剤ハウジ
ングを出ることを可能にする、完全に貫通して形成された1つ以上の開口部又は通路を含
んでよい。
【0127】
薬剤ハウジングは、直列配置で薬剤ハウジング内に整列され、薬剤ハウジングの両端の
入口開口部を閉鎖する、プラグなど封止構造を用いて薬剤ハウジング内に封入される、多
数の固形薬剤錠剤の形態で薬剤を収容する。隣接する薬剤錠剤の間に形成された隙間又は
割れ目は、薬剤錠剤が、互いを基準として移動できるようにし、そのためデバイスは、固
体形態の薬剤が充填されているにもかかわらず可撓性である。
【0128】
薬剤部分は、本明細書に記載の特徴又は構成の任意の組み合わせを有することができる
。つまり、開口部が設けられても、省略されても、通過孔で代用されても、又は追加の開
口部若しくは通過孔で増強されてもよく、ハウジングは、連続気泡構造又は独立気泡構造
を有する多孔質壁を有してよく、1つ以上の分解性タイミング構造又は解放調節構造は、
ハウジング、又はこれらの任意の組み合わせに関連し得る。
【0129】
薬剤錠剤は、薬剤ハウジングの構成に応じて、直列配置以外の任意の配置で整列されて
よい。薬剤錠剤は、説明したように薬剤ハウジング全体以外の薬剤ハウジングの任意の部
分を充填してよい。薬剤錠剤を充填していない薬剤ハウジングの任意の部分を充填するた
めに、シリコーン接着剤などの充填材料が使用され得る、又は空気が使用されて、デバイ
スの浮力を増大させ得る。薬剤錠剤の組成は、同じであってよい、又はデバイスに沿って
異なってよい。薬剤はまた、他の液体、半個体、又は個体形態(例えば、顆粒)など薬剤
錠剤以外の形態であってよい。
【0130】
特定の実施形態では、薬剤送達デバイスは、単一の保持部分に関連する、少なくとも2
つの別個の又は分離した薬剤部分を含む。薬剤部分は、それぞれ保持部分に関連する別個
の薬剤ハウジングであってよい、又は薬剤部分は、保持部分に関連する単一の薬剤ハウジ
ング内の別個の領域であってよい。
【0131】
各薬剤部分は、薬剤ハウジングの壁の一部、及び薬剤部分を第2の薬剤部分から分離す
る少なくとも1つの仕切構造によって画定され得る。仕切構造は、特に円筒、球体、又は
ディスクなどハウジング内に挿入されるプラグであってよく、そのサイズにより、又は接
着剤を使用して、定位置に固定される。仕切構造はまたハウジングの一部であって、鋳造
などによって、その内部に直接形成されてよい。
【0132】
少なくとも2つの別個の部分を有するデバイスは、対応する数の薬剤リザーバから少な
くとも2つの薬剤充填物の制御された放出に適していてよい。2つの別個の部分は、本明
細書に記載のものと同じ構成又は異なる構成を有してよい。2つの薬剤充填物は、特に、
活性成分含有量若しくは賦形剤含有量など含有量、塩形態若しくは塩基形態など形態、液
体、半固体、若しくは固体状態など状態、又はこれらの組み合わせを基準として互いに同
じであってよい、又は互いに異なっていてよい。したがって、2つの別個の部分は、同じ
放出機構若しくは異なる放出機構介して、同じ速度で若しくは異なる速度で、2つの薬剤
充填物を同時に若しくは異なる時間に、又はこれらの組み合わせで放出してよい。
【0133】
例えば、ある薬剤部分は、埋め込み後に薬剤充填物を比較的迅速に放出するように構成
されてよく、別の薬剤部分は、放出開始前の導入時間を経験するように構成されてよく、
又はこれらの組み合わせであってよい。異なる薬剤部分における2つの充填物の放出の開
始は、段階的であり得る。急速放出薬剤部分の例としては、比較的薄い壁を有するシリコ
ーンチューブなど比較的即効性の浸透ポンプとして作動する薬剤部分、液体形態若しくは
特別に製剤化された固体形態など急速放出形態で薬剤が充填される薬剤部分、比較的即効
性の分解性タイミング構造に関連する薬剤部分、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
したがって、デバイスは、初期急性期中、及び維持期中に薬剤を放出してよい。
【0134】
別の例として、ある薬剤部分は、他の薬剤充填物よりも比較的速い速度でその薬剤充填
物を放出するように構成されてよい。例えば、ある薬剤部分は、埋め込み後に比較的速や
かに開始される拡散放出のために低水溶性を有する薬剤充填物を収容してよく、別の薬剤
部分は、導入期間後の浸透放出のために高水溶性である薬剤充填物を収容してよい。別の
例として、ある薬剤部分は、即効分解性タイミング膜を有する開口部を介した急速放出の
ために液体状態の薬剤充填物を収容してよく、別の薬剤部分は、in vivoでの可溶
化後の遅延放出のために固形錠剤の別の薬剤充填物を収容してよい。更に別の例として、
ある薬剤部分は比較的固い壁を有してよく、別の薬剤部分は、拡散により放出速度を増加
させ得る、その壁を通って形成された多数の開口部若しくは孔、又は壁を通じた水若しく
は薬剤の浸透の増加により放出速度を増加させ得る独立気泡多孔壁を有してよい。
【0135】
放出部分は、所望の放出プロファイルを達成するように組み合わされてよい。例えば、
デバイスは、特に、初回放出の開始前に異なる導入時間若しくは遅延時間を呈する、放出
開始後に異なる速度で、若しくは異なる放出曲線に従って薬剤を放出する、又は薬剤充填
量が実質的に使い果たされる前に異なる期間にわたって薬剤を放出する、又はこれらの組
み合わせである放出部分を含んでよい。異種の放出部分は、比較的短い初回遅延時間を示
し、その後、長期間にわたって比較的一定の速度で持続的な放出を示すなど、全体として
、薬物送達デバイスからの所望の放出プロファイルを達成するように組み合わされてよい
【0136】
単一デバイス内で複数の別個の薬剤部分を組み合わせることにより、デバイスは、代謝
拮抗物質の所望の放出プロファイルを示し得る。デバイスからの放出プロファイルは、全
体として、別個の部分の放出プロファイルの合計であってよい。例えば、第1の部分は、
放出開始前に最小遅延時間を呈し、第2の部分は、浸透圧勾配が発達するために短い導入
期間を呈し、第3の部分は、分解性構造が溶解又は分解するために、開始前により長い遅
延を呈する。任意のある1つの部分から放出が開始すると、放出速度は、長期間にわたっ
て比較的ゼロ次であり、減衰期間が続いてよい。3つの別個の部分は例であり、所望の放
出プロファイルを達成するために、任意の数又は別個の部分の組み合わせが使用され得る
ことに留意されたい。
【0137】
異なる薬剤部分は、単一の管状ハウジング内の単に分離された領域であるため、デバイ
スは有利には、構築し、配置するのに比較的単純であり得、更に異なる薬剤部分は、異な
る薬剤充填物、開口部の配置、及び分解性タイミング構造のために異なる放出プロファイ
ルを呈する。薬剤部分が、例えば、異なる材料、厚さ、又は多孔質セル構造の壁を使用す
る他の実施形態では、ハウジングはその長さに沿って異なってよく、又は別個の薬剤ハウ
ジングが使用されてよい。したがって、制御された放出は、様々な方法で達成され得る。
【0138】
ゲル
別の実施形態では、コーティング物質が、膀胱腔内で膀胱壁に(例えば、膀胱内の尿路
の領域に)適用されてよく、コーティング物質は、ゲムシタビン又は他の薬剤と、コーテ
ィング物質の膀胱壁への付着を促進し、治療期間にわたって持続的で制御された薬剤の放
出をもたらす1種以上の賦形剤材料と、を含む。コーティング物質は、ゲル、軟膏、クリ
ーム、ペースト、フィルム、エマルションゲル、錠剤、ポリマー、又はこれらの組み合わ
せなど粘膜付着性製剤であってよい。粘膜付着性製剤ポリマーとしては、ハイドロゲル又
は親水性ポリマー、ポリカルボフィル(すなわちカーボポールなど)、キトサン、ポリビ
ニルピロリドン(PVP)、レクチン、ポリエチレングリコール化ポリマー、セルロース
、又はこれらの組み合わせが挙げられてよい。好適なセルロースとしては、メチルセルロ
ース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース
(HPC)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。コーティング物質は、浸透促進剤を
含んでよい。浸透促進剤の非限定的な例としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、
カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)、脂質、界面活性剤、又はこれら
の組み合わせが挙げられる。コーティング物質は、コーティング物質が膀胱壁に係合する
ように、膀胱内に配置されてよい。
【0139】
コーティング物質は、配置器具を使用して膀胱内に配置されてよい。配置器具は、身体
の天然管腔を進んで、意図された埋め込み部位に到達するように設計された任意のデバイ
スであってよい。膀胱内での配置のために、配置器具は、患者の尿道を通って膀胱に達す
るサイズ及び形状である。配置器具は、カテーテル若しくは膀胱鏡、又は特別に設計され
たデバイスなど既知のデバイスであってよい。配置器具は、コーティング物質を身体内に
配置するために使用され、その後に身体から除去され、コーティング物質の全体的が身体
内に埋め込まれたままにする。一旦このように埋め込まれると、コーティング物質は、長
期間にわたって薬剤を身体内に放出し得る。同等の処置を使用して、本明細書に記載のデ
バイス又は薬剤のいずれかを、他の天然管腔を通して身体の他の部分に配置することがで
きる。例えば、配置器具を使用して、配置器具に尿道を通らせることによって、液体薬剤
又は製剤を膀胱内に配置することができる。
【0140】
III.代表的実施形態
実施形態1.個体に維持療法を提供する方法であって、維持療法は、少なくとも1回の
以前の療法の後に行われ、維持療法は、2回以上の送達期間中に、個体にゲムシタビンを
2回以上連続的に投与することを含み、ゲムシタビンは個体の膀胱に局所的に送達され、
各送達期間は少なくとも1週間であり、各送達期間の間に少なくとも1か月の休止期間が
存在し、個体は、下部尿管の尿路上皮癌を有する、方法。
【0141】
実施形態2.下部尿管の尿路上皮癌を有する個体に対する少なくとも1回の以前の療法
の後に行われる維持療法の方法であって、2回以上の送達期間中に、ゲムシタビンを個体
の膀胱に連続的かつ局所的に2回以上投与することを含み、各送達期間は少なくとも1週
間であり、各送達期間の間に少なくとも1か月の休止期間が存在する、方法。
【0142】
実施形態3.ゲムシタビンは、膀胱腔内デバイスによって膀胱内に送達される、実施形
態1又は2に記載の実施形態。
【0143】
実施形態4.膀胱腔内デバイスは225mgのゲムシタビンを含む、実施形態3に記載
の方法。
【0144】
実施形態5.送達期間はそれぞれ3週間である、実施形態1~4のいずれかに記載の方
法。
【0145】
実施形態6.休止期間は約3か月である、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
【0146】
実施形態7.ゲムシタビンは、送達期間中に約1mg/日~約300mg/日の用量で
送達される、実施形態1~6のいずれかに記載の方法。
【0147】
実施形態8.尿中のゲムシタビンの濃度が、第1及び第2の送達期間中に約1μg/m
L~約10μg/mLである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0148】
実施形態9.尿中のゲムシタビンの濃度が、送達期間中に約10μg/mLである、実
施形態8に記載の方法。
【0149】
実施形態10.個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適格であるか、又はこれを
拒絶した、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
実施形態11.個体は、根治的膀胱切除術に適していない、不適格である、又はこれを
拒絶した、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態12.個体は筋層浸潤膀胱癌を有する、実施形態1~11のいずれか1つに記
載の方法。
【0152】
実施形態13.個体は筋層非浸潤膀胱癌を有する、実施形態1~11のいずれか1つに
記載の方法。
【0153】
実施形態14.送達期間の間の休止期間は約3か月である、実施形態1~13のいずれ
か1つに記載の方法。
【0154】
実施形態15.4回の送達期間を含み、各送達期間の間の休止期間は約3か月である、
実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
実施形態16.各送達期間の間の休止期間は約3か月であり、ゲムシタビンは、個体の
寿命にわたって3か月毎に送達される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
実施形態17.個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法であって、a)導入
期中に有効量のゲムシタビンを個体に連続的に投与することと、b)維持期中に有効量の
ゲムシタビンを個体に連続的に投与することとを含み、ゲムシタビンは個体の膀胱に局所
的に送達され、導入期及び維持期は休止期間によって分断され、導入期は約12週間であ
る、方法。
【0157】
実施形態18.個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法であって、a)約1
2週間の導入期中に有効量のゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に個体に投与
することと、b)維持期中に有効量のゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に個
体に投与することとを含み、導入期及び維持期は休止期間によって分断される、方法。
【0158】
実施形態19.個体における膀胱保存の方法であって、a)導入期中に有効量のゲムシ
タビンを個体に連続的に投与することと、b)維持期中に有効量のゲムシタビンを個体に
連続的に投与することとを含み、ゲムシタビンは個体の膀胱に局所的に送達され、導入期
及び維持期は休止期間によって分断され、導入期は約12週間であり、個体は下部尿管の
尿路上皮癌を有する、方法。
【0159】
実施形態20.下部尿管の尿路上皮癌を有する個体における膀胱保存の方法であって、
a)約12週間の導入期中に有効量のゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局所的に個
体に投与することと、b)維持期中に有効量のゲムシタビンを個体の膀胱に連続的かつ局
所的に個体に投与することとを含み、導入期及び維持期は休止期間によって分断される、
方法。
【0160】
実施形態21.ゲムシタビンは、膀胱腔内デバイスによって送達される、実施形態17
~20のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
実施形態22.膀胱腔内デバイスは225mgのゲムシタビンを含む、実施形態21に
記載の方法。
【0162】
実施形態23.導入期と維持期との間の休止期間は約3か月である、実施形態17~2
2のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
実施形態24.維持期は、2回以上のゲムシタビン送達期間を含む、実施形態17~2
3のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
実施形態25.維持期ゲムシタビン送達期間は、約3か月の休止期間でそれぞれ分断さ
れる、実施形態24に記載の方法。
【0165】
実施形態26.維持期ゲムシタビン送達期間は、それぞれ3週間である、実施形態17
~25のいずれかに記載の方法。
【0166】
実施形態27.ゲムシタビンは、導入期又は維持期送達期間中に約1mg/日~約30
0mg/日の用量で送達される、実施形態24~26のいずれかに記載の方法。
【0167】
実施形態28.尿中のゲムシタビンの濃度が、導入期又は維持期送達期間中に約1μg
/mL~約10μg/mLである、実施形態24~27のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
実施形態29.個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適格であるか、又はこれを
拒絶した、実施形態17~28のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
実施形態30.個体は、根治的膀胱切除術に適していない、不適格である、又はこれを
拒絶した、実施形態17~29のいずれか1つに記載の方法。
【0170】
実施形態31.個体は筋層浸潤膀胱癌を有する、実施形態17~30のいずれか1つに
記載の方法。
【0171】
実施形態32.個体は筋層非浸潤膀胱癌を有する、実施形態17~30のいずれか1つ
に記載の方法。
【0172】
実施形態33.個体はヒトである、請求項1~32のいずれか1つに記載の方法。
【実施例0173】
(実施例1)
被験者は、研究0日目にTARIS Inserterを介して経尿道に第1のTAR
-200を受け入れた。研究21日目(±3日)に、この第1のTAR-200を可撓性
又は剛性の膀胱鏡検査を介して除去し、次いで第2のTAR-200を配置する。TAR
-200は、225mgのゲムシタビンを含む膀胱腔内デバイスである。この除去/交換
手順は、研究42日目(±3日)及び63日目(±3日)に、導入期中の第3及び第4の
投与サイクルに対してそれぞれ繰り返す。第4のTAR-200は、研究84日目(±3
日)に除去し、3か月応答評価を行う。図1を参照されたい。
【0174】
維持期間中、21日の投与サイクルが4半期(3か月)毎に生じる(約6か目に開始す
る)。被験者は、3回の投与サイクルにわたって4半期の投与サイクルを引き続き受け得
る。
【0175】
3か月毎に膀胱鏡検査法、骨盤コンピュータ断層撮影(CT)/磁気共鳴撮像(MRI
)/陽電子放出コンピュータ断層撮影(PET)、及び生検(臨床的に指示されない限り
、12週目のみ)によって臨床応答について全被験者を評価する。また、3週目、6週目
、9週目及び12週目、並びに維持期間中のほぼ毎月、症状制御について被験者を評価す
る。
【0176】
主要エンドポイントは、4回の連続した21日間のTAR-200投与サイクルの安全
性及び忍容性の評価である。
【0177】
副次エンドポイントは、臨床的完全奏効(cCR)、臨床的部分奏効(cPR)、安定
疾患(SD)を有する被験者の割合、並びに膀胱鏡検査、骨盤CT/MRI/PET、及
び生検での視覚的病変に基づいた進行である。この研究の目的では、cCRは、膀胱又は
ノートに疾患の兆候が認められないことを意味する。cPRは、これまでN0であった被
検者では、膀胱腫瘍負荷の<pT2疾患へのダウンステージ、かつ結節性疾患の兆候が認
められないことを意味し、N1~N3被検者では、膀胱腫瘍負荷の<pT2疾患へのダウ
ンステージ、かつ結節性疾患負荷のサイズの増加の兆候が認められないこと、又は膀胱腫
瘍負荷のダウンステージ及び結節性疾患負荷のサイズの減少の兆候が認められないことを
意味する。安定疾患とは、転移の兆候が認められない、持続的MIBCを意味する。進行
とは、M1疾患、又は膀胱鏡検査及びCt/MRI/PETに基づいた膀胱における疾患
の負荷の有意な増加を意味する。症状制御は、プロトコル指定の膀胱症状及び毒性評価シ
ステムによる膀胱関連症状の変化として定義される。他の副次エンドポイントは、第1の
TAR-200の挿入日から症状緩和のための介入日までの時間として定義される、症状
制御のために介入するまでの時間、第1のTAR-200の挿入日から第1の進行の発生
日までの時間として定義される、進行するまでの時間、3か月、6か月、9か月及び12
か月の局所症状管理のために治療後介入を受けている被検者の割合、並びに12か月時点
で生存している被検者の割合である。
【0178】
この研究に参加する資格を得るために、被検者は、登録時に以下の試験対象患者基準を
全て満たす必要がある。
1.膀胱の筋層浸潤性尿路上皮癌(T2~T4a)の組織学的証拠。混合組織構造を有
する被験者は、優勢な移行細胞パターンを有することが必要である。大動脈分岐部の下方
の節疾患の証拠を有する被験体も含まれてよい(cN0~cN3、M0)。
2.被験者は、医師の判断に従って可能な限り完全に切除されている必要がある。
3.被験者は、膀胱切除術の医師診療行為用語コード51595又は51596を使用
したAmerican College of Surgeonsリスク計算機(htt
p://riskcalculator.facs.org/RiskCalculat
or/PatientInfo.jsp)による推測でRC≧5%であるため、死亡リス
クを有する併発状態であるために、RCに適さないとみなされる必要がある。
4.被験者は、シスプラチンベースの化学療法を拒否する(かつ、そうすることによる
リスク及び利点も理解している)必要がある、又は以下の基準、つまり≧2のWorld
Health Organization(WHO)若しくはEastern Coo
perative Oncology Group(ECOG)の一般状態、又は60~
70%のKarnofsky一般状態、≦60mL/分のクレアチニンクリアランス(計
算値又は測定値)、≧2のCommon Terminology Criteria
for Adverse Events(CTCAE)v4 Grade、聴力損失、C
TCAE v4 Grade≧2の末梢神経障害、New York Heart As
sociation ≧Class IIIの心不全、のうちの少なくとも1つを満たす
ことによってシスプラチンベースの化学療法に不適格であるとみなされる必要がある。
5.少なくとも4か月の寿命。
6.投与前21日以内に実施される以下の要件、つまり、ヘモグロビン≧7.0g/d
L、絶対好中球数(ANC)≧1,500/mm3、血小板数≧75,000/mm3、
全ビリルビン≦2x正常上限(ULN)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)
及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦3xULN、糸球体濾過量≧
30%(≧30mL/分/1.73m2)によって評価される、十分な骨髄、肝臓、及び
腎機能。
7.被験者は、治験薬の配置及び除去のために膀胱鏡検査を自ら進んで受ける。
【0179】
(実施例2)
23人の患者を、実施例1に記載の研究に登録した。登録患者の年齢範囲は、50~9
8である。平均年齢は82.6であり、年齢中央値は84である。本明細書に記載の方法
に従って患者を治療し、評価した。導入期後に完全奏功、部分奏効、安定疾患を達成した
患者が、維持期治療を受けた。
【0180】
結果
7人の患者は、様々な理由により、導入中のいくつかの時点で研究を中止した。残りの
16人の患者のうち10人の患者が、導入期間中の全4サイクルの治療を完了した。5人
の患者は、180日目の評価を完了した。16人の患者の年齢範囲は、50~98である
。平均年齢は81.75であり、年齢中央値は84である。
【0181】
導入期間の終了時(研究の84日目)の評価によると、パープロトコルベースで50%
の完全奏効率及び80%の奏効率(ORR)が達成された。表1を参照されたい。治療意
図(ITT)ベース(登録した全23人の患者を含む)では、30%の完全奏効率及び4
7%の奏効率が達成された。4回の連続投与は10人の患者全員において良好に忍容され
、この証拠は、180日目時点での症状の制御及び持続的効果を示唆している。8人の患
者が維持投与へと進んだ。
【0182】
【表1】
NED:疾患の兆候なし。
【0183】
13人の患者について、治療中の血尿の症状を評価した。4人の患者は、血尿(慢性血
尿、肉眼的血尿、偶発性血尿、又は再発性肉眼的血尿など)の病歴を有さなかった、又は
0日目から稀にしか血尿を有さなかった。患者番号1(以前に慢性血尿を有した)、5(
以前に偶発性血尿を有した)及び9(以前に再発性肉眼的血尿を有した)は、0日目から
血尿値を有さなかった。特に、患者番号1は、200日間にわたって血尿を有さなかった
【0184】
【表2】
TBD:未定;DC:中止;ND:未測定。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体に維持療法を提供する方法であって、前記維持療法は、少なくとも1回の以前の療法の後に行われ、前記維持療法は、
2回以上の送達期間中に、前記個体にゲムシタビンを2回以上連続的に投与することを含み、
前記ゲムシタビンは前記個体の膀胱に局所的に送達され、
各送達期間は少なくとも1週間であり、
各送達期間の間に少なくとも1か月の休止期間が存在し、
前記個体は、下部尿管の尿路上皮癌を有する、前記方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0184
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0184】
【表2】
TBD:未定;DC:中止;ND:未測定。
本発明は以下の態様を包含する。
[1]
個体に維持療法を提供する方法であって、前記維持療法は、少なくとも1回の以前の療法の後に行われ、前記維持療法は、
2回以上の送達期間中に、前記個体にゲムシタビンを2回以上連続的に投与することを含み、
前記ゲムシタビンは前記個体の膀胱に局所的に送達され、
各送達期間は少なくとも1週間であり、
各送達期間の間に少なくとも1か月の休止期間が存在し、
前記個体は、下部尿管の尿路上皮癌を有する、前記方法。
[2]
前記ゲムシタビンは、膀胱腔内デバイスによって膀胱内に送達される、[1]に記載の方法。
[3]
前記膀胱腔内デバイスは約225mgのゲムシタビンを含む、[2]に記載の方法。
[4]
前記送達期間はそれぞれ3週間である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記休止期間は約3か月である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記ゲムシタビンは、送達期間中に約1mg/日~約300mg/日の用量で送達される、[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]
尿中の前記ゲムシタビンの濃度が、第1及び第2の送達期間中に約1μg/mL~約10μg/mLである、[1]~[6]のいずれか1つに記載の方法。
[8]
尿中の前記ゲムシタビンの濃度が、前記送達期間中に約10μg/mLである、[7]に記載の方法。
[9]
前記個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適格であるか、又はこれを拒絶した、[1]~[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10]
前記個体は、根治的膀胱切除術に適していない、不適格である、又はこれを拒絶した、[1]~[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記個体は筋層浸潤膀胱癌を有する、[1]~[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記個体は筋層非浸潤膀胱癌を有する、[1]~[10]のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記送達期間の間の前記休止期間は約3か月である、[1]~[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14]
4回の送達期間を含み、各送達期間の間の前記休止期間は約3か月である、[1]~[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]
各送達期間の間の前記休止期間は約3か月であり、前記ゲムシタビンは、前記個体の寿命にわたって約3か月毎に送達される、[1]~[13]のいずれか一項に記載の方法。
[16]
個体において下部尿管の尿路上皮癌を治療する方法であって、
a)導入期中に有効量のゲムシタビンを前記個体に連続的に投与することと、
b)維持期中に有効量のゲムシタビンを前記個体に連続的に投与することとを含み、
前記ゲムシタビンは前記個体の膀胱に局所的に送達され、
前記導入期及び前記維持期は休止期間によって分断され、
前記導入期は約12週間である、前記方法。
[17]
個体における膀胱保存の方法であって、
a)導入期中に有効量のゲムシタビンを前記個体に連続的に投与することと、
b)維持期中に有効量のゲムシタビンを前記個体に連続的に投与することとを含み、
前記ゲムシタビンは前記個体の膀胱に局所的に送達され、
前記導入期及び前記維持期は休止期間によって分断され、
前記導入期は約12週間であり、
前記個体は、下部尿管の尿路上皮癌を有する、前記方法。
[18]
前記ゲムシタビンは、膀胱腔内デバイスによって送達される、[16]~[17]のいずれか一項に記載の方法。
[19]
前記膀胱腔内デバイスは約225mgのゲムシタビンを含む、[18]に記載の方法。
[20]
前記導入期と前記維持期との間の前記休止期間は約3か月である、[16]~[19]のいずれか一項に記載の方法。
[21]
前記維持期は、2回以上のゲムシタビン送達期間を含む、[15]~[19]のいずれか一項に記載の方法。
[22]
前記維持期ゲムシタビン送達期間は、約3か月の休止期間でそれぞれ分断される、[21]に記載の方法。
[23]
前記維持期ゲムシタビン送達期間は、それぞれ3週間である、[16]~[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24]
前記ゲムシタビンは、前記導入期又は前記維持期送達期間中に約1mg/日~約300mg/日の用量で送達される、[21]~[23]のいずれか一項に記載の方法。
[25]
尿中の前記ゲムシタビンの濃度が、前記導入期又は前記維持期送達期間中に約1μg/mL~約10μg/mLである、[21]~[24]のいずれか一項に記載の方法。
[26]
前記個体は、シスプラチンベースの化学療法に不適格であるか、又はこれを拒絶した、[16]~[25]のいずれか一項に記載の方法。
[27]
前記個体は、根治的膀胱切除術に適していない、不適格である、又はこれを拒絶した、[16]~[26]のいずれか一項に記載の方法。
[28]
前記個体は筋層浸潤膀胱癌を有する、[16]~[27]のいずれか一項に記載の方法。
[29]
前記個体は筋層非浸潤膀胱癌を有する、[16]~[27]のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】