(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098893
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 59/18 20060101AFI20240717BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20240717BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240717BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20240717BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
C08G59/18
C08J5/24 CFC
H05K1/03 610L
H01L23/30 R
H01L23/14 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002690
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 亮
(72)【発明者】
【氏名】山田 文美
(72)【発明者】
【氏名】田中 永吉
【テーマコード(参考)】
4F072
4J036
4M109
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA07
4F072AB09
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4M109EA03
4M109EA08
4M109EB03
4M109EB04
4M109EB13
(57)【要約】
【課題】ガラス転移温度が高く、誘電率が低い硬化物を得ることが可能な溶融粘度が低い樹脂組成物等の提供。
【解決手段】(A)液状エポキシ樹脂、(B)エポキシ当量が200g/eq.以上である固形状エポキシ樹脂、(C)マレイミド化合物、及び(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂、を含む樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)液状エポキシ樹脂、
(B)エポキシ当量が200g/eq.以上である固形状エポキシ樹脂、
(C)マレイミド化合物、及び
(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂、を含む樹脂組成物。
【請求項2】
(A)成分が、2官能以上の液状エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
(B)成分が、3官能の固形状エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(B)成分が、下記式(B-1)で表される樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【化1】
式(B-1)中、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基、酸素原子、又は置換基を有していてもよいオキシアルキレン基を表し、R
4は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は水素原子を表し、R
5は、置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。
【請求項5】
(A)成分の含有量が、(A)~(D)成分の合計量を100質量%とした場合、2質量%以上12質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
(B)成分の含有量が、(A)~(D)成分の合計量を100質量%とした場合、15質量%以上55質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
(C)成分の含有量が、(A)~(D)成分の合計量を100質量%とした場合、3質量%以上20質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
(D)成分の含有量が、(A)~(D)成分の合計量を100質量%とした場合、15質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
(D)成分の含有量が、(C)成分の含有量よりも多い、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
さらに、(E)無機充填材を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
(E)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、40質量%以上80質量%以下である、請求項10に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
さらに、(F)硬化促進剤を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
(F)成分が、イミダゾール系硬化促進剤を含む、請求項12に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
樹脂組成物が、樹脂組成物の全成分100質量%に対して、0.5質量%以上3質量%以下の溶剤を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
シート状繊維基材、及び該シート状繊維基材に含浸された、請求項1~14のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含むプリプレグ。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された硬化物層を含む、回路基板。
【請求項17】
請求項16に記載の回路基板と、該回路基板上に搭載された半導体チップとを含む、半導体チップパッケージ。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体チップパッケージを含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関する。さらには、本発明は、当該樹脂組成物を用いて得られるプリプレグ、プリント配線板、半導体チップパッケージ、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップパッケージの絶縁層として用いられ得る絶縁材料は、例えば、樹脂組成物をガラスクロス等の基材に含浸させたプリプレグが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年より高機能化の観点から、半導体チップパッケージの大型化が求められている。半導体チップパッケージが大型化されると、樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層に係る応力が増大するので半導体チップパッケージに反りが発生することがある。また、半導体チップパッケージの大型化に伴い、絶縁層の機械的強度を向上させるためにガラス転移温度(Tg)を高くすることが求められる。
【0005】
反りの発生を抑制するために液状エポキシ樹脂を用い、さらにガラス転移温度が高い硬化物を得るためにマレイミド化合物を用いる方法が考えられるが、硬化物の誘電率が高くなることがあった。
【0006】
このように、反りの発生を抑制するために溶融粘度が低く、且つガラス転移温度が高く、誘電率が低い硬化物が得られる樹脂組成物が求められている。
【0007】
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、ガラス転移温度が高く、誘電率が低い硬化物を得ることが可能な溶融粘度が低い樹脂組成物;当該樹脂組成物を用いたプリプレグ;半導体チップパッケージ;及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、(A)液状エポキシ樹脂、(B)エポキシ当量が200g/eq.以上である固形状エポキシ樹脂、(C)マレイミド化合物、及び(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂を組み合わせて含有させた樹脂組成物を絶縁材料として用いることで、溶融粘度が低く、ガラス転移温度が高く、誘電率が低い硬化物を得ることが可能になることを見出すことで本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のものを含む。
[1] (A)液状エポキシ樹脂、
(B)エポキシ当量が200g/eq.以上である固形状エポキシ樹脂、
(C)マレイミド化合物、及び
(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂、を含む樹脂組成物。
[2] (A)成分が、2官能以上の液状エポキシ樹脂を含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (B)成分が、3官能の固形状エポキシ樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (B)成分が、下記式(B-1)で表される樹脂を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【化1】
式(B-1)中、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基、酸素原子、又は置換基を有していてもよいオキシアルキレン基を表し、R
4は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は水素原子を表し、R
5は、置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。
[5] (A)成分の含有量が、(A)~(D)成分の合計量を100質量%とした場合、2質量%以上12質量%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] (B)成分の含有量が、(A)~(D)成分の合計量を100質量%とした場合、15質量%以上55質量%以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] (C)成分の含有量が、(A)~(D)成分の合計量を100質量%とした場合、3質量%以上20質量%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] (D)成分の含有量が、(A)~(D)成分の合計量を100質量%とした場合、15質量%以上50質量%以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] (D)成分の含有量が、(C)成分の含有量よりも多い、[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10] さらに、(E)無機充填材を含有する、[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11] (E)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、40質量%以上80質量%以下である、[10]に記載の樹脂組成物。
[12] さらに、(F)硬化促進剤を含有する、[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[13] (F)成分が、イミダゾール系硬化促進剤を含む、[12]に記載の樹脂組成物。
[14] 樹脂組成物が、樹脂組成物の全成分100質量%に対して、0.5質量%以上3質量%以下の溶剤を含む、[1]~[13]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[15] シート状繊維基材、及び該シート状繊維基材に含浸された、[1]~[14]のいずれかに記載の樹脂組成物を含むプリプレグ。
[16] [1]~[14]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物により形成された硬化物層を含む、回路基板。
[17] [16]に記載の回路基板と、該回路基板上に搭載された半導体チップとを含む、半導体チップパッケージ。
[18] [17]に記載の半導体チップパッケージを含む、半導体装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガラス転移温度が高く、誘電率が低い硬化物を得ることが可能な溶融粘度が低い樹脂組成物;当該樹脂組成物を用いたプリプレグ;プリント配線板;半導体チップパッケージ;及び半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、エポキシ樹脂の液状、半固形状、及び固形状の判定に用いた2本の試験管の一例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して説明する。ただし、本発明は、下記に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施されうる。
【0013】
液状エポキシ樹脂、固形状エポキシ樹脂、及び半固形状エポキシ樹脂における、液状、固形状、及び半固形状の判定は、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)の別紙第2の「液状の確認方法」に準じて行う。具体的な判定方法は、下記のとおりである。
【0014】
(1)装置
恒温水槽:
攪拌機、ヒーター、温度計、自動温度調節器(±0.1℃で温度制御が可能なもの)を備えたもので深さ150mm以上のものを用いる。
なお、後述する実施例で用いたエポキシ樹脂の判定では、いずれもヤマト科学社製の低温恒温水槽(型式BU300)と投入式恒温装置サーモメイト(型式BF500)の組み合わせを用い、水道水約22リットルを低温恒温水槽(型式BU300)に入れ、これに組み付けられたサーモメイト(型式BF500)の電源を入れて設定温度(20℃又は60℃)に設定し、水温を設定温度±0.1℃にサーモメイト(型式BF500)で微調整したが、同様の調整が可能な装置であればいずれも使用できる。
【0015】
試験管:
試験管としては、
図1に示すように、内径30mm、高さ120mmの平底円筒型透明ガラス製のもので、管底から55mmおよび85mmの高さのところにそれぞれ標線11A、12Bが付され、試験管の口をゴム栓13aで密閉した液状判定用試験管10aと、同じサイズで同様に標線が付され、中央に温度計を挿入・支持するための孔があけられたゴム栓13bで試験管の口を密閉し、ゴム栓13bに温度計14を挿入した温度測定用試験管10bを用いる。以下、管底から55mmの高さの標線を「A線」、管底から85mmの高さの標線を「B線」という。
【0016】
温度計14としては、JIS B7410(1982)「石油類試験用ガラス製温度計」に規定する凝固点測定用のもの(SOP-58目盛範囲0~100℃)を用いるが、0~100℃の温度範囲が測定できるものであればよい。
【0017】
(2)試験の実施手順
温度60±5℃の大気圧下で24時間以上放置した試料を、
図1(a)に示す液状判定用試験管10aと
図1(b)に示す温度測定用試験管10bにそれぞれ11A線まで入れる。2本の試験管10a、10bを低温恒温水槽に12B線が水面下になるように直立させて静置する。温度計は、その下端が11A線よりも30mm下となるようにする。
【0018】
試料温度が設定温度±0.1℃に達してから10分間そのままの状態を保持する。10分後、液状判断用試験管10aを低温恒温水槽から取り出し、直ちに水平な試験台の上に水平に倒し、試験管内の液面の先端が11A線から12B線まで移動した時間をストップウォッチで測定し、記録する。
【0019】
同様に、温度20±5℃の大気圧下で24時間以上放置した試料についても、温度60±5℃の大気圧下で24時間以上放置した場合と同様に試験を実施し、試験管内の液面の先端が11A線から12B線まで移動した時間をストップウォッチで測定し、記録する。
【0020】
20℃において、測定された時間が90秒以内のものを液状エポキシ樹脂と判定する。
20℃において、測定された時間が90秒を超え、60℃において、測定された時間が90秒以内のものを半固形状エポキシ樹脂と判定する。
60℃において、測定された時間が90秒を超えるものを固体状エポキシ樹脂と判定する。
【0021】
以下の説明において「誘電率」とは、別途断らない限り「比誘電率」を表す。
【0022】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)液状エポキシ樹脂、(B)エポキシ当量が200g/eq.以上である固形状エポキシ樹脂、(C)マレイミド化合物、及び(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂を含有する。このような樹脂組成物を用いることによって、反りの発生が抑制され、ガラス転移温度が高く、誘電率が低い硬化物を得ることが可能にある。また、通常は、線熱膨張係数が低い硬化物を得ることも可能になる。
【0023】
樹脂組成物は、更に必要に応じて、(E)無機充填材、(F)硬化促進剤、(G)半固形状エポキシ樹脂、(H)エポキシ当量が200g/eq.未満である固形状エポキシ樹脂、(I)有機充填材、(J)その他の添加剤、及び(K)溶剤などの任意の成分を含んでいてもよい。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
【0024】
<(A)液状エポキシ樹脂>
樹脂組成物は、(A)成分として、(A)液状エポキシ樹脂を含有する。(A)成分を樹脂組成物に含有させることで、溶融粘度を下げることが可能になり、その結果、硬化物の反りの発生を抑制することが可能になる。(A)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
(A)液状エポキシ樹脂は、本発明の効果を顕著に得る観点から、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する、2官能以上の液状エポキシ樹脂を含むことが好ましい。また、(A)液状エポキシ樹脂は、芳香族構造を有することが好ましく、2種以上の(A)液状エポキシ樹脂を用いる場合は少なくとも1種が芳香族構造を有することがより好ましい。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。1分子中に2個以上のエポキシ基を有する(A)液状エポキシ樹脂の割合は、(A)液状エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0026】
(A)液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0027】
液状エポキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂(アデカグリシロール))、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン)、住友化学社製の「ELM-100」等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
液状エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2000g/eq.、さらにより好ましくは110g/eq.~1000g/eq.である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
【0029】
液状エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0030】
(A)液状エポキシ樹脂の25℃における粘度としては、溶融粘度が低い樹脂組成物を得る観点から、好ましくは300mPa・s以上、より好ましくは500mPa・s以上、さらに好ましくは1000mPa・s以上であり、好ましくは5000mPa・s以下、より好ましくは4000mPa・s以下、さらに好ましくは3000mPa・s以下である。粘度は、例えば、E型粘度計を用いて測定することができる。
【0031】
(A)液状エポキシ樹脂の含有量は、溶融粘度が低い樹脂組成物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
【0032】
本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値であり、不揮発成分とは、樹脂組成物中の溶剤を除く不揮発成分全体を意味する。
【0033】
(A)液状エポキシ樹脂の含有量は、溶融粘度が低い樹脂組成物を得る観点から、(A)~(D)成分の合計含有量を100質量%としたとき、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。(A)液状エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは9質量%以下である。
【0034】
<(B)エポキシ当量が200g/eq.以上である固形状エポキシ樹脂>
樹脂組成物は、(B)成分として、(B)エポキシ当量が200g/eq.以上である固形状エポキシ樹脂を含有する。この(B)成分としての(B)エポキシ当量が200g/eq.以上である固形状エポキシ樹脂には、上述した(A)成分に該当するものは含めない。(B)固形状エポキシ樹脂を樹脂組成物に含有させることで、樹脂組成物の最低溶融粘度を下げることが可能になると共に、樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度を高くすることも可能になる。(B)エポキシ当量が200g/eq.以上である固形状エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
(B)成分としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する、3官能以上の固体状エポキシ樹脂を含むことが好ましく、3官能の固体状のエポキシ樹脂を含むことがより好ましい。また、(B)成分は、芳香族構造を有することが好ましく、2種以上の(B)成分を用いる場合は少なくとも1種が芳香族構造を有することがより好ましい。1分子中に3個以上のエポキシ基を有する(B)成分の割合は、(B)成分の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。(B)成分の一実施形態として、(B)成分は、3官能以上の芳香族構造を有する固形状エポキシ樹脂が好ましく、3官能の芳香族構造を有する固形状エポキシ樹脂がより好ましい。
【0036】
(B)成分としては、式(B-1)で表される樹脂を含むことが好ましい。
【化2】
式中、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基、酸素原子、又は置換基を有していてもよいオキシアルキレン基を表し、R
4は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は水素原子を表し、R
5は、置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。
【0037】
R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基、酸素原子、又は置換基を有していてもよいオキシアルキレン基を表す。
【0038】
置換基を有していてもよいアルキレン基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状、分枝状の炭化水素基が好ましく、直鎖状がより好ましい。該アルキレン基としては、炭素原子数1~10のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1~6のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1~3のアルキレン基がさらに好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,1-ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、n-ブチレン基、s-ブチレン基、t-ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられ、中でもメチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0039】
置換基を有していてもよいオキシアルキレン基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状、分枝状の炭化水素基が好ましく、直鎖状がより好ましい。該オキシアルキレン基としては、炭素原子数1~10のオキシアルキレン基が好ましく、炭素原子数1~6のオキシアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1~3のオキシアルキレン基がさらに好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。オキシアルキレン基としては、例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシn-ブチレン基、オキシs-ブチレン基、オキシt-ブチレン基、オキシペンチレン基、オキシへキシレン基、オキシヘプチレン基、オキシオクチレン基、オキシノニレン基、オキシデシレン基等が挙げられ、中でもオキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましく、オキシメチレン基がより好ましい。
【0040】
R1、R2、及びR3としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、それぞれ独立に置換基を有していてもよいオキシアルキレン基を表すことが好ましく、オキシメチレン基を表すことがより好ましい。
【0041】
R4は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は水素原子を表す。置換基を有していてもよいアルキル基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。該アルキル基は、炭素原子数1~6のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基がさらに好ましく、炭素原子数1~3のアルキル基が好ましく、炭素原子数1又は2のアルキルが特に好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0042】
R4としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、置換基を有していてもよいアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。
【0043】
R5は、置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、R1が表す置換基を有していてもよいアルキレン基と同じである。R5としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、メチレン基、1,1-ジメチルメチレン基を表すことが好ましく、1,1-ジメチルメチレン基を表すことがより好ましい。
【0044】
R1、R2、及びR3が表す、アルキレン基、オキシアルキレン基、R4が表すアルキル基、並びにR5が表すアルキレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールアルキル基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、オキソ基等が挙げられる。
【0045】
式(B-1)で表される樹脂としては、以下の例示する樹脂が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【化3】
【0046】
(B)成分は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、エア・ウォーター社製の「VG3101L」、三菱ケミカル社製「1031S」、新日鉄化学社製「ZX―1542」、ナガセケムテックス社製「EX-321」、日本化薬社製の「NC7000L」、「YL7890」、三菱ケミカル社製の「YL7800」、「jER1010」等が挙げられる。
【0047】
(B)成分のエポキシ当量は、ガラス転移温度が高い硬化物が得られる、最低溶融粘度が低い樹脂組成物を得る観点から、200g/eq.以上であり、好ましくは205g/eq.以上、より好ましくは208g/eq.以上である。上限は特に制限はないが、好ましくは5000g/eq.以下、より好ましくは3000g/eq.以下、さらに好ましくは2000g/eq.以下、1000g/eq.以下、500g/eq.以下である。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
【0048】
(B)成分の重量平均分子量は、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0049】
(B)成分の含有量は、ガラス転移温度が高い硬化物が得られる、溶融粘度が低い樹脂組成物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下である。
【0050】
(B)成分の含有量は、ガラス転移温度が高い硬化物が得られる、溶融粘度が低い樹脂組成物を得る観点から、(A)~(D)成分の合計含有量を100質量%としたとき、好ましくは15質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、40質量%以上であり、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、特に好ましくは45質量%以下である。
【0051】
樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの(B)成分の含有量をbとし、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの(A)成分の含有量をaとしたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、a/bが、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.15以上であり、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.2以下である。
【0052】
<(C)マレイミド化合物>
樹脂組成物は、(C)成分として、(C)マレイミド化合物を含有する。この(C)成分としての(C)マレイミド化合物には、上述した(A)成分及び(B)成分に該当するものは含めない。(C)マレイミド化合物を樹脂組成物に含有させることで、樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度を高くすることが可能になる。上記したように、液状エポキシ樹脂とマレイミド化合物とを組み合わせて含有させたのみでは、樹脂組成物の硬化物の誘電率が高くなる傾向にある。本発明では、液状エポキシ樹脂及びマレイミド化合物に加えて、(B)成分及び(D)成分をさらに組み合わせて含有させることで、ガラス転移温度が高く、誘電率が低い硬化物を得ることが可能になる、溶融粘度が低い樹脂組成物を提供することが可能になる。(C)マレイミド化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
(C)マレイミド化合物としては、2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基(いわゆるマレイミド基)を有する化合物を用いることができる。(C)マレイミド化合物は、液状、半固形状、及び固形状のいずれであってもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点から、固形状であることが好ましい。液状、半固形状、及び固形状については上記したとおりである。
【0054】
(C)マレイミド化合物の1分子当たりのマレイミド基の数は、ガラス転移温度が高い硬化物を得る観点から、1個以上、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上であり、上限は限定されるものではないが、好ましくは10個以下、より好ましくは6個以下、さらに好ましくは4個以下である。中でも、(C)マレイミド化合物としては、マレイミド基を3個以上有する3官能以上のマレイミド化合物が好ましい。
【0055】
(C)マレイミド化合物は、脂肪族アミン骨格を含む脂肪族マレイミド化合物であってもよく、芳香族アミン骨格を含む芳香族マレイミド化合物であってもよい。中でも、(C)成分としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、芳香族アミン骨格を含む芳香族マレイミド化合物が好ましい。
【0056】
(C)マレイミド化合物としては、下記式(C-1)で表される化合物が好ましい。
【化4】
式中、X
1及びX
2は、それぞれ独立に、単結合、或いは炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1~100個(好ましくは1~50個、より好ましくは1~20個)の骨格原子を有する2価の連結基を示し、sは、1以上の整数を示し、ベンゼン環C
1、C
2及びC
3は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアリール基から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよい。
【0057】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0058】
置換基を有していてもよいアルキル基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。置換基を有していてもよいアルキル基は、炭素原子数1~6のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~3のアルキル基がより好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0059】
置換基を有していてもよいアルコキシ基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。該アルコキシ基は、炭素原子数1~6のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1~3のアルコキシ基がより好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。
【0060】
置換基を有していてもよいアルケニル基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。該アルケニル基は、炭素原子数2~6のアルケニル基が好ましく、炭素原子数2又は3のアルケニル基がより好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、2-シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0061】
置換基を有していてもよいアリール基は、炭素原子数6~14のアリール基が好ましく、炭素原子数6~10のアリール基がより好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基である。
【0062】
C1、C2及びC3が有していてもよい、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、及びアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールアルキル基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、オキソ基等が挙げられる。置換基数としては、それぞれ1~3個であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
【0063】
式(C-1)において、ベンゼン環C1、C2及びC3は、さらに置換されていないことが好ましい。
【0064】
式(C-1)において、X1及びX2は、それぞれ独立して、好ましくは、炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1~100個(好ましくは1~50個、より好ましくは1~20個)の骨格原子を有する2価の連結基であり、より好ましくは、炭素原子数1~20の2価の炭化水素基である。
【0065】
X1及びX2における2価の連結基は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1~100個(好ましくは1~50個、より好ましくは1~20個)の骨格原子を有する。「2価の連結基」は、好ましくは、-[A’-Ph]a’-A’-[Ph-A’]b’-〔式中、A’は、それぞれ独立して、単結合、-(置換又は無置換のアルキレン基)-、-O-、-S-、-CO-、-SO2-、-CONH-、-NHCO-、-COO-、又は-OCO-(好ましくは、単結合又は-(アルキレン基)-)を示し、a’及びb’は、それぞれ独立して、0~2の整数を示す。〕で表される二価の基である。本明細書中、「Ph」は、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基または1,2-フェニレン基を示す。
【0066】
2価の連結基におけるアルキレン基は、式(B-1)中のR1が表すアルキレン基と同じである。アルキレン基は置換基を有していてもよい。アルキレン基が有していてもよい置換基は上記したとおりであり、置換基数としては、1~3個であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
【0067】
X1及びX2における2価の連結基は、具体的に、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-Ph-、-Ph-Ph-、-CH2-Ph-CH2-、-CH2-Ph-Ph-CH2-、-O-、-CO-、-SO2-、-NHCO-、-CONH-、-OCO-、-COO-、-O-Ph-O-、-O-Ph-Ph-O-、-O-Ph-SO2-Ph-O-、-O-Ph-C(CH3)2-Ph-O-等が挙げられる。
【0068】
X1及びX2における炭素原子数1~20の2価の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1~6(好ましくは1~3)のアルキレン基、炭素原子数6~14(好ましくは6~10)のアリーレン基、又はそれらの2以上の組み合わせであって炭素原子数が1~20のものが挙げられる。本明細書中、「アリーレン基」とは、2価の芳香族炭化水素基をいう。アリーレン基としては、例えば、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、1,8-ナフチレン基、4,4’-ビフェニレン基等が挙げられる。
【0069】
X1及びX2における炭素原子数1~20の2価の炭化水素基としては、具体的に、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-Ph-、-Ph-Ph-、-CH2-Ph-CH2-、-CH2-Ph-Ph-CH2-等が挙げられる。
【0070】
式(C-1)において、sは、好ましくは、1~5の整数であり、より好ましくは、1~3の整数であり、さらに好ましくは、1又は2である。
【0071】
式(C-1)で表される化合物としては、以下の例示する化合物(C1)~(C2)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【化5】
(式中、s1は、1又は2を示し、s2は、1又は2を示す。)
【0072】
(C)マレイミド化合物は市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、信越化学工業社製の「SLK-2600」、デザイナーモレキュールズ社製の「BMI-1500」、「BMI-1700」、「BMI-3000J」、「BMI-689」、「BMI-2500」(ダイマージアミン構造含有マレイミド化合物)、デザイナーモレキュールズ社製の「BMI-6100」(芳香族マレイミド化合物)、日本化薬社製の「MIR-5000-60T」、「MIR-3000-70MT」(ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物)、ケイ・アイ化成社製の「BMI-70」、「BMI-80」、大和化成工業社製「BMI-2300」、「BMI-TMH」等が挙げられる。また、(マレイミド系ラジカル重合性化合物として、発明協会公開技報公技番号2020-500211号に開示されているマレイミド樹脂(インダン環骨格含有マレイミド化合物)を用いてもよい。
【0073】
(C)成分のマレイミド基当量は、本発明の所期の効果を顕著に得る観点から、好ましくは50g/eq.~2000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは150g/eq.~500g/eq.である。マレイミド基当量は、1当量のマレイミド基を含むマレイミド化合物の質量である。
【0074】
(C)成分の含有量は、ガラス転移温度が高い硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、10質量%以下、5質量%以下である。
【0075】
(C)成分の含有量としては、ガラス転移温度が高い硬化物を得る観点から、(A)~(D)成分の合計含有量を100質量%とした場合、好ましくは3質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
【0076】
樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの(C)成分の含有量をcとし、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの(A)成分の含有量をaとしたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、a/cは、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.8以下である。
【0077】
樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの(B)成分の含有量をbとしたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、b/cは、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは3以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下である。
【0078】
また、(a+b)/cは、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは3以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下である。
【0079】
<(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂>
樹脂組成物は、(D)成分として、(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂を含有する。この(D)成分としての(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂には、上述した(A)~(C)成分に該当するものは含めない。(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂は、(A)成分及び(B)成分と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する。また、(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂を、(C)マレイミド化合物と組み合わせて樹脂組成物に含有させることで、樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度を高くできるとともに、誘電率が低い硬化物を得ることが可能になる。(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0080】
(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂の1分子当たりのフェノール性水酸基の数は、ガラス転移温度が高く、誘電率が低い硬化物を得る観点から、1個以上、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上であり、上限は限定されるものではないが、好ましくは10個以下、より好ましくは6個以下、さらに好ましくは4個以下とし得る。
【0081】
(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂は、本発明の効果を顕著に得る観点から、トリアジン骨格を有する、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
【0082】
(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、DIC社製の「LA3018-50P」、「KA-1160」、「KA-1163」、「KA-1165」等が挙げられる。
【0083】
(D)クレゾールノボラック型フェノール樹脂のフェノール性水酸基当量は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。フェノール性水酸基当量は、フェノール性水酸基1当量あたりの化合物の質量である。
【0084】
(A)成分及び(B)成分とすべての(D)成分との量比は、[(A)成分及び(B)成分のエポキシ基の合計数]:[(D)成分の活性基の合計数]の比率で、1:0.01~1:5の範囲が好ましく、1:0.05~1:3がより好ましく、1:0.1~1:2がさらに好ましい。ここで、ここで、「(A)成分及び(B)成分のエポキシ基の合計数」とは、樹脂組成物中に存在する(A)成分及び(B)成分の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。「(D)成分の活性基の合計数」とは、樹脂組成物中に存在する(D)成分の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。(A)成分及び(B)成分と(D)成分との量比をかかる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることができる。
【0085】
(A)成分とすべての(D)成分との量比は、[(A)成分のエポキシ基の合計数]:[(D)成分の活性基の合計数]の比率で、1:0.01~1:1の範囲が好ましく、1:0.03~1:0.5がより好ましく、1:0.05~1:0.3がさらに好ましい。ここで、「(A)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基の合計数」とは、樹脂組成物中に存在する(A)成分の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。(A)成分と(D)成分との量比をかかる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることができる。
【0086】
(B)成分とすべての(D)成分との量比は、[(B)成分のエポキシ基の合計数]:[(D)成分の活性基の合計数]の比率で、1:0.01~1:1の範囲が好ましく、1:0.03~1:0.5がより好ましく、1:0.05~1:0.3がさらに好ましい。ここで、「(B)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基の合計数」とは、樹脂組成物中に存在する(B)成分の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。(B)成分と(D)成分との量比をかかる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることができる。
【0087】
(D)成分の含有量としては、ガラス転移温度が高く、誘電率が低い硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下である。
【0088】
(D)成分の含有量としては、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(A)~(D)成分の合計含有量を100質量%とした場合、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0089】
(D)成分の含有量は、誘電率が低い硬化物を得る観点から、(C)成分の含有量よりも多いことが好ましい。具体的には、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの(D)成分の含有量をdとし、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの(C)成分の含有量をcとしたとき、c/dは、好ましくは1未満、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.5以下、0.4以下であり、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.08以上、さらに好ましくは0.1以上である。
【0090】
<(E)無機充填材>
樹脂組成物は、上述した(A)~(D)成分に組み合わせて、任意の成分としてさらに(E)無機充填材を含んでいてもよい。(E)無機充填材を樹脂組成物に含有させることで、線熱膨張係数の低い硬化物を得ることが可能になる。
【0091】
(E)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(E)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(E)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0092】
(E)無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;太平洋セメント社製の「セルフィアーズ」「MGH-005」;日揮触媒化成社製の「エスフェリーク」「BA-1」などが挙げられる。
【0093】
(E)無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、さらにより好ましくは2μm以下、特に好ましくは1.5μm以下である。(E)無機充填材の平均粒径の下限は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.2μm以上である。(E)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出した。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
【0094】
(E)無機充填材の比表面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.5m2/g以上、さらに好ましくは1m2/g以上、特に好ましくは3m2/g以上である。(E)無機充填材の比表面積の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは100m2/g以下、より好ましくは70m2/g以下、さらに好ましくは50m2/g以下、さらにより好ましくは30m2/g以下、特に好ましくは10m2/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
【0095】
(E)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0096】
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
【0097】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%で表面処理されていることがさらに好ましい。
【0098】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.1mg/m2以上がより好ましく、0.2mg/m2以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1.0mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下がさらに好ましい。
【0099】
(E)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
【0100】
(E)無機充填材の含有量は、線熱膨張係数の低い硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、40質量%以上、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは78質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。
【0101】
<(F)硬化促進剤>
樹脂組成物は、上述した(A)~(D)成分に組み合わせて、任意の成分としてさらに(F)硬化促進剤を含んでいてもよい。この(F)成分としての(F)硬化促進剤には、上述した(A)~(E)成分に該当するものは含めない。(F)硬化促進剤は、(A)成分、(B)成分、及び後述する(G)成分の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。
【0102】
(F)硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の硬化を促進させる化合物を用いることができる。このような(F)硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。(F)硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0103】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2E4MZ」、「2MZA-PW」、「2MZ-OK」、「2MA-OK」、「2MA-OK-PW」、「2PHZ」、「2PHZ-PW」、「Cl1Z」、「Cl1Z-CN」、「Cl1Z-CNS」、「C11Z-A」;三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
【0104】
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルジメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
【0105】
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
【0106】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
【0107】
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0108】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
【0109】
(F)硬化促進剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.015質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
【0110】
<(G)半固形状エポキシ樹脂>
樹脂組成物は、上述した(A)~(D)成分に組み合わせて、任意の成分としてさらに(G)半固形状エポキシ樹脂を含んでいてもよい。この(G)成分としての(G)半固形状エポキシ樹脂には、上述した(A)~(F)成分に該当するものは含めない。(G)半固形状エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0111】
(G)半固形状エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂等が挙げられ、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0112】
(G)半固形状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する半固形状エポキシ樹脂を含むことが好ましい。半固形状エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する半固形状エポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0113】
(G)半固形状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する半固形状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する芳香族系の半固形状エポキシ樹脂がより好ましい。
【0114】
(G)半固形状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0115】
(G)半固形状エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~3,000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2,000g/eq.、特に好ましくは110g/eq.~1,000g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量を表す。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
【0116】
(G)半固形状エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0117】
(G)半固形状エポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、特に好ましくは3.5質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下である。
【0118】
<(H)エポキシ当量が200g/eq.未満である固形状エポキシ樹脂>
樹脂組成物は、上述した(A)~(D)成分に組み合わせて、任意の成分としてさらに(H)エポキシ当量が200g/eq.未満である固形状エポキシ樹脂を含んでいてもよい。この(H)成分としての(H)エポキシ当量が200g/eq.未満である固形状エポキシ樹脂には、上述した(A)~(G)成分に該当するものは含めない。(H)エポキシ当量が200g/eq.未満である固形状エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0119】
(H)成分としては、例えば、テトラメチルビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、、、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、トリスフェニルメタンエポキシ樹脂等が挙げられ、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0120】
(H)成分としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する、エポキシ当量が200g/eq.未満である固形状エポキシ樹脂を含むことが好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する、エポキシ当量が200g/eq.未満である固形状エポキシ樹脂を含むことがより好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する、エポキシ当量が200g/eq.未満である芳香族系の固形状エポキシ樹脂がさらに好ましい。エポキシ当量が200g/eq.未満である固形状エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する、エポキシ当量が200g/eq.未満である固形状エポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0121】
(H)成分の具体例としては、DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);;;;日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂);;日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレンノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);;;等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0122】
(H)成分のエポキシ当量は、200g/eq.未満であり、好ましくは195g/eq.以下、より好ましく190g/eq.以下である。下限は特に制限はないが、好ましくは80g/eq.以上、より好ましくは100g/eq.以上、さらに好ましくは120g/eq.以上である。
【0123】
(H)成分の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。
【0124】
(H)成分の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、特に好ましくは3.5質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下である。
【0125】
<(I)有機充填材>
樹脂組成物は、上述した(A)~(D)成分に組み合わせて、任意成分としてさらに(I)有機充填材を含んでいてもよい。この(I)成分としての(I)有機充填材には、上述した(A)~(H)成分に該当するものは含めない。有機充填材としては、プリント配線板の絶縁層を形成するに際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等が挙げられる。
【0126】
ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダウ・ケミカル日本社製の「EXL2655」、アイカ工業社製の「AC3401N」、「AC3816N」等が挙げられる。
【0127】
(I)有機充填材の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0128】
<(J)その他の添加剤>
樹脂組成物層は、任意の不揮発成分として、(J)その他の添加剤を含んでいてもよい。(J)その他の添加剤としては、例えば、ラジカル重合性化合物((C)成分に該当するものは除く);硬化剤((D)成分に該当するものは除く、);熱可塑性樹脂;エラストマー;重合開始剤;有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤;第三級アミン類等の光重合開始助剤;ピラリゾン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、チオキサントン類等の光増感剤;が挙げられる。(J)その他の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0129】
<(K)溶剤>
樹脂組成物は、上述した不揮発成分以外に、揮発性成分として、さらに任意の溶剤を含有していてもよい。(K)溶剤としては、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されるものではなく、有機溶剤であることが好ましい。(K)溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。(K)溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0130】
樹脂組成物は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物の全成分100質量%に対して、0.5質量%以上3質量%以下の(K)溶剤を含むことが好ましい。具体的には、(K)溶剤は、樹脂組成物の全成分100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上含むことが好ましい。
【0131】
樹脂組成物は、例えば、上述した成分を、任意の順で混合することによって、製造することができる。また、各成分を混合する過程で、温度を適切に調整することにより、加熱及び/又は冷却を行ってもよい。また、各成分の混合中又は混合後に、ミキサー等の撹拌装置を用いて撹拌を行って、各成分を均一に分散させてもよい。さらに、必要に応じて、樹脂組成物に脱泡処理を行ってもよい。
【0132】
<樹脂組成物の物性、用途>
樹脂組成物は(A)~(D)成分を組み合わせて含むので、ガラス転移温度(Tg)が高く、誘電率が低い硬化物を得ることが可能な溶融粘度が低い樹脂組成物となる。また、樹脂組成物は、通常、線熱膨張係数(CTE)が低い硬化物を得ることも可能である。
【0133】
樹脂組成物は、(A)~(D)成分を組み合わせて含むので溶融粘度が低いという特性を示す。よって、この樹脂組成物で硬化物を形成した場合、反りの発生が抑制された硬化物を得ることが可能になる。樹脂組成物の溶融粘度は、好ましくは5000ポイズ未満、より好ましくは5000ポイズ以下、さらに好ましくは4900ポイズ以下、4000ポイズ以下、3000ポイズ以下、2000ポイズ以下である。下限は特に制限はないが、好ましくは1ポイズ以上、より好ましくは100ポイズ以上、さらに好ましくは200ポイズ以上等とし得る。溶融粘度は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0134】
樹脂組成物を200℃で90分間硬化させた硬化物は、ガラス転移温度(Tg)が高いという特性を示す。よって、この硬化物で絶縁層を形成した場合に、ガラス転移温度が高い絶縁層を得ることができる。硬化物のガラス転移温度は、好ましくは235℃以上、より好ましくは240℃以上、さらに好ましくは245℃以上、又は250℃以上である。上限は、特に限定されないが、例えば、500℃以下等とし得る。ガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0135】
樹脂組成物を200℃で90分間硬化させて得られた硬化物は、誘電率が低いという特性を示す。よって、この硬化物で絶縁層を形成した場合に、誘電率の低い絶縁層を得ることができる。硬化物の誘電率は、好ましくは3.7未満、より好ましくは3.7以下、さらに好ましくは3.6以下である。下限値は、特に限定されないが、例えば、0.0001以上等とし得る。誘電率は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0136】
樹脂組成物を200℃で90分間硬化させて得られた硬化物は、通常、線熱膨張係数が低いという特性を示す。よって、この硬化物で絶縁層を形成した場合に、線熱膨張係数の低い絶縁層を得ることができる。硬化物の線熱膨張係数は、好ましくは22ppm/℃未満、より好ましくは22ppm/℃以下、さらに好ましくは20ppm/℃以下、15ppm/℃以下である。下限値は、特に限定されないが、例えば、0.01ppm/℃以上等とし得る。線熱膨張係数は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0137】
本発明の樹脂組成物は、絶縁用途の樹脂組成物として好適であり、中でも、絶縁層形成用の樹脂組成物として特に好適である。よって、例えば、樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。樹脂組成物は、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の層間絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。また、樹脂組成物は、絶縁層上に形成される導体層(再配線層を含む)を形成するための当該絶縁層を形成するための樹脂組成物(導体層を形成するための絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。さらに、樹脂組成物は、リジッド基板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(リジッド基板の絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。樹脂組成物は、また、樹脂シート、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂、マルチチップパッケージ、パッケージオンパッケージ、ウェハレベルパッケージ、パネルレベルパッケージ、システムインパッケージ等、樹脂組成物が使用されうる用途で広範囲に使用できる。
【0138】
[シート状積層材料]
本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で塗布して使用することもできるが、工業的には一般に、該樹脂組成物を含有するシート状積層材料の形態で用いることが好適である。シート状積層材料としては、以下に示すプリプレグ、樹脂シートが好ましく、プリプレグがより好ましい。
【0139】
<プリプレグ>
本発明のプリプレグは、シート状繊維基材、及び該シート状繊維基材に含浸された本発明の樹脂組成物を含む。
【0140】
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。
【0141】
シート状繊維基材の径糸密度及び緯糸密度は、それぞれ独立に、好ましくは60本/25mm以上、より好ましくは70本/25mm以上、更に好ましくは80本/25mm以上、特に好ましくは90本/25mm以上であり、好ましくは120本/25mm以下、より好ましくは110本/25mm以下、更に好ましくは100本/25mm以下である。このような範囲の径糸密度及び緯糸密度を有するシート状繊維基材を用いた場合に、トレンチを円滑に製造することが可能である。
【0142】
シート状繊維基材として用いられ得るガラスクロスの具体例としては、日東紡績社製スタイルWEA1027(経糸密度74本/25mm、緯糸密度74本/25mm、布質量19g/m2、厚さ20μm)旭シュエーベル社製の「スタイル1027MS」(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量20g/m2、厚さ19μm)、旭シュエーベル社製の「スタイル1037MS」(経糸密度70本/25mm、緯糸密度73本/25mm、布重量24g/m2、厚さ28μm)、有沢製作所社製の「1078」(経糸密度54本/25mm、緯糸密度54本/25mm、布重量48g/m2、厚さ43μm)、有沢製作所社製の「1037NS」(経糸密度72本/25mm、緯糸密度69本/25mm、布重量23g/m2、厚さ21μm)、有沢製作所社製の「1027NS」(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量19.5g/m2、厚さ16μm)、有沢製作所社製の「1015NS」(経糸密度95本/25mm、緯糸密度95本/25mm、布重量17.5g/m2、厚さ15μm)、有沢製作所社製の「1000NS」(経糸密度85本/25mm、緯糸密度85本/25mm、布重量11g/m2、厚さ10μm)等が挙げられる。また液晶ポリマー不織布の具体例としては、クラレ社製の、芳香族ポリエステル不織布のメルトブロー法による「ベクルス」(目付け量6g/m2~15g/m2)や「ベクトラン」等が挙げられる。
【0143】
プリプレグの厚さは、プリント配線板の薄型化の観点から、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは55μm以下、さらにより好ましくは50μm以下であり、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。
【0144】
本発明のプリプレグは、必要に応じて金属箔が積層されていてもよい。金属箔としては、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。金属箔は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケルクロム合金、銅ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、金属箔の形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケルクロム合金、銅ニッケル合金、銅チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケルクロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。また、金属箔は複数の金属箔が積層したものを用いてもよい。
【0145】
また、プリプレグと金属箔との間には、必要に応じて、セミアディティブ法によりプリプレグ上に配線を形成する観点から、プライマー層を有していてもよい。プライマー層に用いられる樹脂組成物としては、従来よりプライマー層として用いられている樹脂組成物を用いることができる。
【0146】
本発明のプリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。ホットメルト法では、樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、樹脂組成物と剥離性の良い離型紙に一旦コーティングし、それをシート状繊維基材にラミネートするか、あるいはダイコーターによりシート状繊維基材に直接塗工するなどして、プリプレグを製造する。またソルベント法では、樹脂組成物を有機溶剤に溶解したワニスにシート状繊維基材を浸漬することにより、樹脂組成物をシート状繊維基材に含浸させ、その後乾燥させて、プリプレグを製造する。さらにプリプレグは、樹脂組成物からなる2枚の樹脂シートでシート状繊維基材をその両面側から挟み込んで加熱、加圧条件下、連続的に熱ラミネートすることで製造することもできる。なお、有機溶剤については上記したとおりである。
【0147】
プリプレグの製造方法としては、長尺のシート状繊維基材を用いて、ロールツーロール方式で行ってもよいし、バッチ方式で行ってもよい。
【0148】
<樹脂シート>
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含む。
【0149】
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上等とし得る。
【0150】
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0151】
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0152】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0153】
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
【0154】
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
【0155】
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0156】
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、その他の層を含んでいてもよい。斯かるその他の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
【0157】
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。有機溶剤については上記したとおりである。
【0158】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
【0159】
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
【0160】
[回路基板及びその製造方法]
本発明の回路基板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された硬化物層を含む。硬化物層は絶縁層又は封止層になり得る。プリント配線板は回路基板の一種であり、プリント配線板は、リジッド基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。本発明の樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移温度が高く、反りの発生が抑制されるので、回路基板がリジッド基板である場合に好適である。
【0161】
本発明の回路基板は、例えば、上述のプリプレグを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)基材上に、プリプレグが基材と接合するように積層する工程
(II)プリプレグを熱硬化して絶縁層を形成する工程
【0162】
工程(I)では、基材を用意する。基材はプリント配線板に用いる内層基板であってもよい。基材としては、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板(ステンレスや冷間圧延鋼板(SPCC)など)、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板が挙げられる。また、基材は、当該基材の一部として表面に銅箔等の金属層を有していてもよい。例えば、両方の表面に剥離可能な第一金属層及び第二金属層を有する基材を用いてもよい。このような基材を用いる場合、通常、回路配線として機能できる配線層としての導体層が、第二金属層の第一金属層とは反対側の面に形成される。金属層の材料としては、銅箔、キャリア付き銅箔、後述する導体層の材料等が挙げられ、銅箔が好ましい。また、このような金属層を有する基材としては市販品を用いることができ、例えば、三井金属鉱業社製のキャリア銅箔付極薄銅箔「Micro Thin」等が挙げられる。
【0163】
また、基材の一方又は両方の表面には、導体層が形成されていてもよい。以下の説明では、基材と、この基材表面に形成された導体層とを含む部材を、適宜「配線層付基材」ということがある。導体層に含まれる導体材料としては、例えば、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む材料が挙げられる。導体材料としては、単金属を用いてもよく、合金を用いてもよい。合金としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性の観点から、単金属としてのクロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅;及び、合金としてのニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金;が好ましい。その中でも、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属;及び、ニッケル・クロム合金;がより好ましく、銅の単金属が特に好ましい。
【0164】
導体層は、例えば配線層として機能させるために、パターン加工されていてもよい。この際、導体層のライン(回路幅)/スペース(回路間の幅)比は、特に制限されないが、好ましくは20/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは10/10μm以下、さらに好ましくは5/5μm以下、よりさらに好ましくは1/1μm以下、特に好ましくは0.5/0.5μm以下である。ピッチは、導体層の全体にわたって同一である必要はない。導体層の最小ピッチは、例えば、40μm以下、36μm以下、又は30μm以下であってもよい。
【0165】
導体層の厚さは、回路基板のデザインによるが、好ましくは3μm~35μm、より好ましくは5μm~30μm、さらに好ましくは10μm~20μm、特に好ましくは15μm~20μmである。
【0166】
導体層は、例えば、基材上にドライフィルム(感光性レジストフィルム)を積層する工程、フォトマスクを用いてドライフィルムに対して所定の条件で露光及び現像を行ってパターンを形成してパターンドライフィルムを得る工程、現像したパターンドライフィルムをめっきマスクとして電解めっき法等のメッキ法によって導体層を形成する工程、及び、パターンドライフィルムを剥離する工程を含む方法によって、形成できる。ドライフィルムとしては、フォトレジスト組成物からなる感光性のドライフィルムを用いることができ、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等の樹脂で形成されたドライフィルムを用いることができる。基材とドライフィルムとの積層条件は、後述する基材とプリプレグとの積層の条件と同様でありうる。ドライフィルムの剥離は、例えば、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ性の剥離液を使用して実施することができる。
【0167】
基材とプリプレグとの積層は、例えば、プリプレグを基材に加熱圧着することにより行うことができる。プリプレグを基材に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材をプリプレグに直接プレスするのではなく、基材の表面凹凸にプリプレグが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
【0168】
基材とプリプレグとの積層は、真空ラミネート法により実施することが好ましい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
【0169】
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
【0170】
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材をプリプレグ側からプレスすることにより、積層されたプリプレグの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0171】
工程(II)において、プリプレグを熱硬化して絶縁層を形成する。プリプレグの熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。プリプレグは、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって硬化させてもよいが、通常は、加熱により熱硬化させる。
【0172】
例えば、プリプレグの熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120℃~240℃の範囲(好ましくは150℃~220℃の範囲、より好ましくは170℃~200℃の範囲)、硬化時間は5分間~120分間の範囲(好ましくは10分間~100分間、より好ましくは15分間~90分間)とすることができる。
【0173】
プリプレグを熱硬化させる前に、プリプレグを硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、プリプレグを熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、プリプレグを5分間以上(好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間)予備加熱してもよい。
【0174】
プリント配線板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。また、必要に応じて、工程(I)~工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
【0175】
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
【0176】
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(IV)において、スミアの除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されない。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。
【0177】
粗化処理に用いる膨潤液としては、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
【0178】
粗化処理に用いる酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
【0179】
粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
【0180】
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さRaは、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm未満、さらに好ましくは100nm以下、さらにより好ましくは100nm未満であり得る。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等でありうる。また、粗化処理後の絶縁層表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等とし得る。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)及び二乗平均平方根粗さ(Rq)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
【0181】
工程(V)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
【0182】
導体層は、単層構造であってもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
【0183】
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
【0184】
導体層は、メッキによって形成することが好ましい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の方法により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
【0185】
絶縁層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0186】
他の実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述の樹脂シートを用いて製造することもできる。プリント配線板の製造方法は、プリプレグを用いる場合と同様である。
【0187】
[半導体チップパッケージ及びその製造方法]
本発明の半導体チップパッケージは、上述した回路基板と、この回路基板に搭載された半導体チップとを含む。この半導体チップパッケージは、回路基板に半導体チップを接合することにより、製造することができる。
【0188】
回路基板とシリコンチップ等の半導体チップとの接合条件は、半導体チップの端子電極と回路基板の回路配線とが導体接続できる任意の条件を採用できる。例えば、半導体チップのフリップチップ実装において使用される条件を採用できる。また、例えば、半導体チップと回路基板との間に、絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
【0189】
接合方法の例としては、半導体チップを回路基板に圧着する方法が挙げられる。圧着条件としては、圧着温度は通常120℃~240℃の範囲(好ましくは130℃~200℃の範囲、より好ましくは140℃~180℃の範囲)、圧着時間は通常1秒間~60秒間の範囲(好ましくは5秒間~30秒間)である。
【0190】
また、接合方法の他の例としては、半導体チップを回路基板にリフローして接合する方法が挙げられる。リフロー条件は、120℃~300℃の範囲としてもよい。
【0191】
半導体チップを回路基板に接合した後、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填してもよい。このモールドアンダーフィル材として、上述した樹脂組成物を用いてもよく、また、上述した樹脂シートの樹脂組成物層を用いてもよい。
【0192】
[半導体装置]
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、上述した回路基板又は半導体チップパッケージを含む。この半導体装置は、上述した回路基板又は半導体チップパッケージを用いて製造することができる。
【0193】
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【実施例0194】
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものでは無い。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示の無い限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧の環境で行った。
【0195】
[実施例1]
1)樹脂組成物の調製
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4032SS」、エポキシ当量約145g/eq.)15部、3官能エポキシ樹脂(エア・ウォーター社製「VG3101L」エポキシ当量210g/eq.)30部、ビスフェノール型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル社製「ZX1059」、エポキシ当量約165g/eq.)5部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP4710」、エポキシ当量約170g/eq.)16部、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業社製「BMI2300」)9部、有機フィラー(アイカ工業社製「AC3816N」)3部、トリアジン骨格及びクレゾールノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、フェノール当量約151g/eq.、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)50部、イミダゾール系反応促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、固形分5質量%のMEK溶液)2部、メチルエチルケトン(MEK)30部、及びアミノ系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)で表面処理された無機充填材(表面処理量:無機充填材100質量%に対しアミノ系シランカップリング剤0.6質量%)200部を、ミキサーを用いて均一に分散して、樹脂組成物のワニスを調製した。
【0196】
2)プリプレグの調製
得られた樹脂組成物のワニスを、日東紡績社製スタイルWEA1027(経糸密度74本/25mm、緯糸密度74本/25mm、布質量19g/m2、厚さ20μm、表面処理量0.3質量%)に含浸し、縦型乾燥炉にて105℃で5分間乾燥させプリプレグを作製した。プリプレグ中の樹脂組成物含有量は75質量%、プリプレグの厚みは50μmであった。また、プリプレグの縦方向の長さが30cm、横方向の長さが20cmであった。
【0197】
[実施例2]
実施例1において、有機フィラー(アイカ工業社製「AC3816N」)3部を用いなかった。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0198】
[実施例3]
実施例2において、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4710」、エポキシ当量約170g/eq.)16部を、特殊多官能エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「1031S」、エポキシ当量約224g/eq.)16部に変えた。以上の事項以外は実施例2と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0199】
[実施例4]
実施例2において、
1)ビスフェノール型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル社製「ZX1059」、エポキシ当量約165g/eq.)の量を5部から20部に変え、
2)ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP4032SS」、エポキシ当量約145g/eq.)15部を、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4710」、エポキシ当量約170g/eq.)16部に変えた。以上の事項以外は実施例2と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0200】
[実施例5]
実施例1において、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)で表面処理された無機充填材(表面処理量:無機充填材100質量%に対しアミノ系シランカップリング剤0.6質量%)200部を用いなかった。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0201】
[実施例6]
実施例1において、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)で表面処理された無機充填材(表面処理量:無機充填材100質量%に対しアミノ系シランカップリング剤0.6質量%)の量を、200部から270部に変えた。以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0202】
[比較例1]
実施例1において、3官能エポキシ樹脂(エア・ウォーター社製「VG3101L」エポキシ当量210g/eq.)30部を、トリスフェニルエタン型エポキシ樹脂(日本化薬社製「EPPN-502H」エポキシ当量170g/eq.)30部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0203】
[比較例2]
実施例1において、
1)3官能エポキシ樹脂(エア・ウォーター社製「VG3101L」エポキシ当量210g/eq.)30部を用いず、
2)ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP4032SS」、エポキシ当量約145g/eq.)の量を15部から45部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0204】
[比較例3]
実施例1において、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業社製「BMI2300」)9部を用いなかった。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0205】
[比較例4]
実施例1において、
1)トリアジン骨格及びクレゾールノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、フェノール当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)50部を、トリアジン骨格及びフェノールノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA-7054-60M」、フェノール当量約125g/eq.、固形分60%のメチルエチルケトン溶液)45部に変え、
2)N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)で表面処理された無機充填材(表面処理量:無機充填材100質量%に対しアミノ系シランカップリング剤0.6質量%)の量を200部から190部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0206】
[比較例5]
実施例1において、ビスフェノール型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル社製「ZX1059」、エポキシ当量約165g/eq.)5部を、トリスフェニルエタン型エポキシ樹脂(日本化薬社製「EPPN-502H」エポキシ当量170g/eq.)5部、に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0207】
[比較例6]
実施例5において、3官能エポキシ樹脂(エア・ウォーター社製「VG3101L」エポキシ当量210g/eq.)30部を、トリスフェニルエタン型エポキシ樹脂(日本化薬社製「EPPN-502H」エポキシ当量170g/eq.)30部に変えた。以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0208】
[比較例7]
実施例5において、3官能エポキシ樹脂(エア・ウォーター社製「VG3101L」エポキシ当量210g/eq.)30部を、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP4032SS」、エポキシ当量約145g/eq.)45部に変えた。以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0209】
[比較例8]
実施例5において、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業社製「BMI2300」)9部を用いなかった。以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0210】
[比較例9]
実施例5において、
1)トリアジン骨格及びクレゾールノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、フェノール当量約151g/eq.、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)50部を、トリアジン骨格及びフェノールノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA-7054-60M」、フェノール当量約125g/eq.、固形分60%のメチルエチルケトン溶液)45部に変え、
2)ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP4710」、エポキシ当量約170g/eq.)の量を、16部から8部に変えた。
以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0211】
[比較例10]
実施例6において、3官能エポキシ樹脂(エア・ウォーター社製「VG3101L」エポキシ当量210g/eq.)30部を、トリスフェニルエタン型エポキシ樹脂(日本化薬社製「EPPN-502H」エポキシ当量170g/eq.)30部に変えた。以上の事項以外は実施例6と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0212】
[比較例11]
実施例6において、3官能エポキシ樹脂(エア・ウォーター社製「VG3101L」エポキシ当量210g/eq.)30部を、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP4032SS」、エポキシ当量約145g/eq.)45部に変えた。以上の事項以外は実施例6と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0213】
[比較例12]
実施例6において、フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業社製「BMI2300」)9部を用いなかった。以上の事項以外は実施例6と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0214】
[比較例13]
実施例6において、
1)トリアジン骨格及びクレゾールノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、フェノール当量約151g/eq.、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)50部を、トリアジン骨格及びフェノールノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA-7054-60M」、フェノール当量約125g/eq.、固形分60%のメチルエチルケトン溶液)45部に変え、
2)ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP4710」、エポキシ当量約170g/eq.)の量を、16部から8部に変えた。
以上の事項以外は実施例6と同様にして樹脂組成物のワニス及びプリプレグを得た。
【0215】
<溶融粘度の測定>
実施例及び比較例で作製したプリプレグを直径18mmに切り出し、これを20枚重ね合わせて測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルの最低溶融粘度を動的粘弾性測定装置(ユー・ビー・エム社製「Rheosol-G3000」)にて行った。具体的には開始温度60℃から200℃までの温度範囲で昇温して動的粘弾性率を測定し、最低溶融粘度(poise)を算出した。測定条件は、昇温速度5℃/分、測定温度間隔2.5℃、振動数1Hz、ひずみ1degとした。そして下記評価基準に基づき、溶融粘度を評価した。
〇:溶融粘度が5000poise未満
×:溶融粘度が5000poise以上
【0216】
<プリプレグの硬化物の作製>
実施例及び比較例で作製したプリプレグを、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトンH」、厚さ50μm)上に、真空加圧ラミネーター(名機製作所社製「MVLP-500」)を用い、100℃にて30秒間真空吸引後、100℃、圧力0.7MPaの条件で、プリプレグ上から、耐熱ゴムを介して30秒間圧着することにより積層し、200℃で90分間熱硬化させ、プリプレグの硬化物を得た。
【0217】
<ガラス転移温度の評価>
得られた硬化物を、熱機械分析装置((DMA)、セイコーインスツルメンツ社製、DMS-6100)を用い、「引っ張りモード」にて測定した。測定は、5℃/分の昇温にて、25℃~240℃の範囲で行った。そして下記評価基準に基づき、ガラス転移温度(Tg)を評価した。
〇:ガラス転移温度が235℃以上
×:ガラス転移温度が235℃未満
【0218】
<誘電率の評価>
得られた硬化物を、幅2mm、長さ80mmの試験片に切断した。該試験片について、アジレントテクノロジーズ社製「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電率を測定した。2本の試験片について測定を行い、平均値を算出した。そして下記評価基準に基づき、誘電率を評価した。
〇:誘電率が3.7未満
×:誘電率が3.7以上
【0219】
<線熱膨張係数(CTE)の評価>
得られた硬化物を、熱機械分析装置((TMA)、日立ハイテクサイエンス製、TMA/SS7100)を用い、荷重1Nの「引っ張りモード」にて測定した。測定は、2回行い、1回目は5℃/分の昇温にて、25℃~200℃の範囲で行い、2回目は25~260℃の範囲で行い、2回目の測定結果のうち30~150℃の線熱膨張係数(ppm/℃)を算出した。そして下記評価基準に基づき線熱膨張係数を評価した。
〇:線熱膨張係数が22ppm/℃未満
×:線熱膨張係数が22ppm/℃以上
【0220】
【0221】
【0222】