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  • 特開-オンディレータイマー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098900
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】オンディレータイマー
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/28 20060101AFI20240717BHJP
   H01H 47/18 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H03K17/28 F
H01H47/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002703
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 誠也
(72)【発明者】
【氏名】古谷 登
(72)【発明者】
【氏名】杉原 崇彦
【テーマコード(参考)】
5G057
5J055
【Fターム(参考)】
5G057AA13
5G057BC04
5G057BD03
5G057BD06
5G057RS01
5G057XX03
5G057YY02
5J055AX37
5J055AX55
5J055BX24
5J055CX00
5J055CX21
5J055EY01
5J055EY10
5J055EZ42
5J055FX27
5J055GX01
(57)【要約】
【課題】製鉄所のような過酷な環境下においても使用可能なオンディレータイマーを提供する。
【解決手段】本発明のオンディレータイマー1は、電源Vccとグランド間に第一のリレーRy1と抵抗R1とが直列に設けられ、電源Vccとグランド間に第二のリレーRy2とノーマルオープンスイッチ3とが直列に設けられ、第一のリレーRy1と並列に設けられ、且つコンデンサCと抵抗R2とからなるCR並列回路2を備え、第一のリレーRy1とCR並列回路2とはノーマルクローズスイッチ4を介して接続されており、条件ONにより、第一のリレーRy1がコンデンサCと抵抗R1とで決定される時定数で遅延してONとなった際に、前記ノーマルクローズスイッチ4がONとなって第一のリレーRy1から前記CR並列回路2が分離され、且つ前記ノーマルオープンスイッチ3がONとなって第二のリレーRy2がONとなるように構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源(Vcc)とグランド間に第一のリレー(Ry1)と抵抗(R1)とが直列に設けられ、
電源(Vcc)とグランド間に第二のリレー(Ry2)とノーマルオープンスイッチとが直列に設けられ、
第一のリレー(Ry1)と並列に設けられ、且つコンデンサ(C)と抵抗(R2)とからなるCR並列回路を備え、第一のリレー(Ry1)と前記CR並列回路とはノーマルクローズスイッチを介して接続されており、
条件ONにより、第一のリレー(Ry1)がコンデンサ(C)と抵抗(R1)とで決定される時定数で遅延してONとなった際に、前記ノーマルクローズスイッチがONとなって第一のリレー(Ry1)から前記CR並列回路が分離され、且つ前記ノーマルオープンスイッチがONとなって第二のリレー(Ry2)がONとなるように構成されている
ことを特徴とするオンディレータイマー。
【請求項2】
第一のリレー(Ry1)から前記CR並列回路が分離された後、抵抗(R2)がコンデンサ(C)の電荷を消費するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のオンディレータイマー。
【請求項3】
第二のリレー(Ry2)をパワーリレーで構成していることを特徴とする請求項1に記載のオンディレータイマー。
【請求項4】
第一のリレー(Ry1)、第二のリレー(Ry2)、抵抗(R1)、及びコンデンサ(C)と抵抗(R2)からなるCR並列回路が密閉容器内に収納されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のオンディレータイマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鉄所のような過酷な環境下においても使用可能なオンディレータイマーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製鉄所内において使用される機器、特にクレーン(起重機)を制御する制御装置には数多くのタイマーが使用されている。制御用のタイマーとしては様々なものが開発されており、例えば、特許文献1に開示されたタイマーがある。
【0003】
特許文献1には、第1電位点と第2電位点との間に直列に接続された抵抗及びコンデンサからなる積分回路において、コンデンサに並列に接続され、導通のときコンデンサに蓄積された電荷を放電するとともに、非導通のときコンデンサに電荷を蓄積させる放電トランジスタが備えられ、この放電トランジスタのベースに接続され、放電トランジスタが非導通にされるとき放電トランジスタのベースに蓄積された電荷を吸込む電流吸込入手段を備えた構成を有するCRタイマー回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-237718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製鉄所の鉄鋼プロセスでは「振動が激しい」「粉塵が多い」などの過酷な環境が多数存在し、このような環境下で使用可能なタイマーがなかなか入手できないのが実情である。この点に関し、詳細を述べる。
【0006】
まず、電気回路の理論をもとに、ある時定数(時限)後にONさせる回路を構築することは可能である。同様に瞬時にOFFさせる回路も構築可能である。しかしながら、鉄鋼プロセスにおける過酷な状況下に耐えうる電子回路(オンディレータイマーのような電子回路)を構築することは困難であった。
【0007】
市販品のタイマーを入手することも考えられるが、入手可能なタイマー(電子タイマー、CR式タイマー、消磁式タイマーなど)のそれぞれにおいて、鉄鋼プロセスにおける過酷な環境で使用するに際しての問題点が存在する。
【0008】
(1)電子タイマーの場合:電子タイマーは多機能なものが多く、クレーンで使用するタイマーとしては不要な機能が多数で、使い勝手が悪いといった難点がある。また、電子タイマーは、構成する電子部品が多く、振動による断線や破損が多発する虞がある。クレーン上では、走行レール繋ぎ目等の衝撃により振動が発生しているため、タイマーを構成する電子部品が折損し故障に至ることが多い。また、クレーンはDC200Vで制御され、制御で流れる電流も1A程度と大きなものとなり、構成部品であるリレーの接点が溶着し、動作不良を起こすなどの不具合が発生する虞も否めない。
【0009】
(2)CR式タイマーの場合:オフディレーのタイマーは多数市販されているが、クレーンの制御で求められるオンディレータイマーはほとんど市販されていない。CR式タイマーの場合、コンデンサCの放電時間を利用している為、オフディレータイマーを構築しやすいといった理由からである。また、CR回路に用いられているコンデンサ(電解コンデンサ)の寿命が短いといった問題もある。
【0010】
(3)消磁式タイマーの場合:接触器の可動コイルの鉄片に存在する残留磁力を利用しているタイマーのため、ディレー時間の変更は、可変抵抗器の調整にて行うことになるが、その際の温度環境や電圧によりディレー時間が変動しその調整が難しく、ディレー時間の設定や変更に手間を要するといった問題がある。また、消磁式タイマーは機械的摩耗が大きく、消磁式タイマーの可動鉄板とコイルで機械的に摩耗が発生して動作不良に繋がるといった問題もある。
【0011】
本発明は、上述の課題を鑑みてなされたものであり、製鉄所のような過酷な環境下においても使用可能なオンディレータイマー、特にクレーンの制御に好適なオンディレータイ
マーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
【0013】
即ち、本発明にかかるオンディレータイマーは、電源Vccとグランド間に第一のリレーRy1と抵抗R1とが直列に設けられ、電源Vccとグランド間に第二のリレーRy2とノーマルオープンスイッチとが直列に設けられ、第一のリレーRy1と並列に設けられ、且つコンデンサCと抵抗R2とからなるCR並列回路を備え、第一のリレーRy1とCR並列回路とはノーマルクローズスイッチを介して接続されており、条件ONにより、第一のリレーRy1がコンデンサCと抵抗R1とで決定される時定数で遅延してONとなった際に、前記ノーマルクローズスイッチがONとなって第一のリレーRy1から前記CR並列回路が分離され、且つ前記ノーマルオープンスイッチがONとなって第二のリレーRy2がONとなるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、第一のリレーRy1から前記CR並列回路が分離された後、抵抗R2がコンデンサCの電荷を消費するように構成されているとよい。
【0015】
好ましくは、第二のリレーRy2をパワーリレーで構成しているとよい。
【0016】
好ましくは、第一のリレーRy1、第二のリレーRy2、抵抗R1、及びコンデンサCと抵抗R2からなるCR並列回路が密閉容器内に収納されているとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のオンディレータイマーは、製鉄所のような過酷な環境下においても使用可能なオンディレータイマー、特にクレーンの制御に好適なオンディレータイマーとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来のオンディレータイマーの回路図を示したものである。
図2】従来のオフディレータイマーの回路図を示したものである。
図3】本発明にかかるオンディレータイマーの回路図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかるオンディレータイマー1の実施形態を、図を参照して説明する。
【0020】
まず、本発明のオンディレータイマー1を理解するために、前提として2つのディレータイマー100,200について説明を行う。
【0021】
図1には、従来からあるオンディレータイマー100の回路図が示されている。このオンディレータイマー100はCR式のオンディレータイマーである。
【0022】
まず、図1に示されるように、オンディレータイマー100の電源側とグランド側との間には、抵抗RとコンデンサCが直列に繋がれたCR直列回路が設けられており、電源側と抵抗Rとの間には、条件をONにする(電源投入する)ためのスイッチが設けられている。CR直列回路を構成するコンデンサCには、並列にリレーRyが接続されている。
【0023】
このオンディレータイマー100の動作であるが、まず条件がON(電源投入)されると、CR回路の時限(一次遅れ系の時定数)に従いつつ、リレーRyに印加される電圧が徐々に上昇し、一定時間後にリレーRyがONの状態となる。例えば、条件がONされた後、3秒後にリレーRyを作動させるには、CR回路の理論に従うと、R×C=4.292を満たすものとするとよい。条件がONしている間は、常にコンデンサCに電圧が印加されているので、コンデンサCはフル充電状態を維持する。
【0024】
その後、条件がOFFした際には、コンデンサCに充電されている電荷をリレーRyの内部抵抗で消費することになるが、これも時間遅れの挙動を呈し、時限に従ったオフディレータイマーとして作動する。
【0025】
図2には、従来からあるオフディレータイマー200の回路図が示されている。このオフディレータイマー200は市場に多く出回っているものである。
【0026】
まず、図2に示されるように、オフディレータイマー200の電源側とグランド側との間には、コンデンサCが繋がれた回路となっており、このコンデンサCに並列にリレーRyが接続されている。
【0027】
このオフディレータイマー200の動作であるが、まず条件がONになると、リレーR
yに印加される電圧は瞬時にVccまで上昇する。これにより、リレーRyは瞬時にONすることになる。その後、条件をOFFにすると、コンデンサCに蓄積された電荷をリレーRyの内部抵抗で消費してゆき徐々に0Vに近づいてゆく。そして、リレーRyがOFFする電圧を下回った段階でリレーRyがOFFするが、それに至るまではある時限を持った挙動をとることになり、オフディレータイマーとして動作する。
【0028】
以上述べた従来のディレータイマーを念頭に置きつつ、本発明にかかるオンディレータイマー1の説明を行う。
【0029】
図3には、本発明にかかるオンディレータイマー1の回路図が示されている。
【0030】
図3に示されるように、電源Vccとグランド間に抵抗R1と第一のリレーRy1とが直列に設けられている。また、電源Vccとグランド間に第二のリレーRy2とノーマルオープンスイッチ3とが直列に設けられている。第一のリレーRy1と第二のリレーRy2とは並列に接続された構成となっている。
【0031】
第一のリレーRy1には、CR並列回路2が並列に設けられており、このCR並列回路2は、コンデンサCと抵抗R2とが並列接続された回路で、第一のリレーRy1とはノーマルクローズスイッチ4を介して接続されている。
【0032】
ノーマルオープンスイッチ3及びノーマルクローズスイッチ4は、第一のリレーRy1の出力側(Ry1out)として動作する。それ故、条件ON(電源ON)により、第一のリレーRy1がコンデンサCと抵抗R1とで決定される時定数で遅延してONとなった際に、ノーマルクローズスイッチ4がONとなって第一のリレーRy1からCR並列回路2が分離され、あわせてノーマルオープンスイッチ3がONとなって、第二のリレーRy2がONとなるようになる。
【0033】
なお、電源VccにはDC24Vが供給されており、第一のリレーRy1及び第二のリレーRy2の入力側は、DC24Vで駆動される。ところが、第二のリレーRy2の出力側はクレーンを制御するためのスイッチであり、DC200Vが流れる場合がほとんどである。このことを鑑み、第二のリレーRy2をパワーリレーで構成している。
【0034】
さて、本発明のオンディレータイマー1は、鉄鋼プロセスで用いられるため、過酷な環境下(高温度、高湿度、高振動、粉塵が多い)で用いられることになる。そのため、本発明のオンディレータイマー1では、第一のリレーRy1、第二のリレーRy2、抵抗R1、CR並列回路2(コンデンサCと抵抗R2)を密閉容器の内部に収納するようにしている。これにより防粉塵対策を強固なものとしている。
【0035】
加えて、本発明のオンディレータイマー1を構成する電子基板自体を振動ダンパーで支持するようにしている。オンディレータイマー1の少なくとも第一のリレーRy1及び第二のリレーRy2を振動ダンパーで支持するようにしても所定の防振効果を得ることができる。この振動ダンパー(防振手段)により、オンディレータイマー1の防振性を確実なものとしている。
【0036】
以上述べたオンディレータイマー1の動作であるが、条件がONすると以下の動きとなる。動きの詳細を述べる。
【0037】
(1)抵抗R1とコンデンサCの値により決定される時定数(時限)で第一のリレーRy1の両端電圧が徐々に上昇する。
【0038】
(2)第一のリレーRy1のON電圧まで上昇すると、第一のリレーRy1がON状態となり、第一のリレーRy1の出力であるノーマルクローズスイッチ4を動作させ、第一のリレーRy1からCR並列回路2(コンデンサCと抵抗R2とで構成された回路)を切り離す。すなわち、条件がONしてから時限後にRy1がONし、CR並列回路2が切り離される。
【0039】
(3)加えて、第一のリレーRy1がON状態となると、第一のリレーRy1の出力側(Ry1out)であるノーマルオープンスイッチ3を動作させ、第二のリレーRy2をONとし、第二のリレーRy2の出力側に接続されるクレーンの制御を行う。
【0040】
(4)一方、第一のリレーRy1からCR並列回路2が切り離されたことにより、コンデンサCの電荷が抵抗R2により消費されて消滅する。しかしながら、このCR並列回路2は第一のリレーRy1から切り離されているため、第一のリレーRy1はOFF状態に
はならない。第一のリレーRy1から切り離されたCR並列回路2において、コンデンサCの放電が確実に行われるため、このコンデンサCの高寿命化などに資することができる。
【0041】
(5)本発明のオンディレータイマー1の条件をOFFにすると、第一のリレーRy1、第二のリレーRy2は瞬時にOFF状態となる。
【0042】
以上述べたように、本発明のオンディレータイマー1は、コンデンサCに蓄積された電荷を第一のリレーRy1や第二のリレーRy2の動作に影響を与えない部分で確実に消費して、条件OFFで瞬時にリレーをOFFする回路となっている。
【0043】
また、古くから用いられている電子部品(抵抗、電解コンデンサ)などを最小限の部品点数にて使用することで、オンディレータイマー1を構成しているため、製鉄所のような過酷な環境(高粉塵、高振動)下においても使用可能なオンディレータイマー1となっている。なお、ソリッドステート電子部品は、製鉄所のような過酷な環境(高粉塵、高振動)に弱いことが実績として認識されているため、この観点からも、古くから用いられている電子部品(抵抗、電解コンデンサ)などを最小限の部品点数にて使用しオンディレータイマー1を構成することに大きなメリットがある。
【0044】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【符号の説明】
【0045】
1 オンディレータイマー
2 CR並列回路
3 ノーマルオープンスイッチ
4 ノーマルクローズスイッチ
C コンデンサ
R1 抵抗
R2 抵抗
Ry1 第一のリレー
Ry2 第二のリレー
Vcc 電源
100 オンディレータイマー(従来例)
200 オフディレータイマー(従来例)
図1
図2
図3