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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098902
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】乗降者確認システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20240717BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20240717BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240717BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20240717BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20240717BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240717BHJP
【FI】
H01Q13/08
G06K19/077 280
G06K7/10 264
G06K17/00 022
H01Q1/22 Z
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002707
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】514174213
【氏名又は名称】株式会社フェニックスソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】杉村 詩朗
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雅和
【テーマコード(参考)】
5J045
5J047
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5J045DA08
5J045EA07
5J047EF00
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】 車両利用者の乗降を確実に確認できる乗降者確認システムを提供する。
【解決手段】 本発明の乗降者確認システム1は、RFタグ10と、RFタグを覆うカバー部材20と、車両110内に設置されてRFタグと交信するリーダ・ライタ30を少なくとも備える。RFタグのアンテナ11が、主導波素子13と、主導波素子と電気的に接続される地板14と、絶縁基材15とを備える。主導波素子は絶縁基材の表面に設けられ、地板は絶縁基材の裏面に設けられ、RFタグが備えるICチップ12の一方の端部が主導波素子に接合され、他方の端部が地板に接合される。主導波素子及び/又は地板が導体と電気的に接続した場合でもRFタグはリーダ・ライタと交信可能である。カバー部材が備える懸架部21を介してRFタグが車両利用者Pの衣服又は持ち物に取り付けられる。したがって、車両利用者が車両中に存在するか否か、つまり車両利用者の乗降を確実に確認できる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFタグと、前記RFタグを覆うカバー部材と、車両内に設置されて前記RFタグと交信するリーダ・ライタとを少なくとも備える乗降者確認システムであり、
前記RFタグのアンテナが、主導波素子と、前記主導波素子と電気的に接続される地板と、絶縁基材とを備えており、前記主導波素子は前記絶縁基材の表面に設けられ、前記地板は前記絶縁基材の裏面に設けられ、
前記RFタグが備えるICチップの一方の端部が前記主導波素子に接合され、他方の端部が前記地板に接合され、
前記主導波素子及び/又は前記地板が導体と電気的に接続した場合でも前記RFタグは前記リーダ・ライタと交信可能であり、
前記カバー部材が備える懸架部を介して前記RFタグが車両利用者の衣服又は持ち物に取り付けられることを特徴とする乗降者確認システム。
【請求項2】
前記アンテナがF型、L型、折り返しダイポールアンテナのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の乗降者確認システム。
【請求項3】
前記アンテナが線状又は板状のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の乗降者確認システム。
【請求項4】
更に情報処理サーバと情報処理端末とを備えており、
前記RFタグと前記リーダ・ライタとの交信内容は前記情報処理サーバに送信され、前記情報処理端末は前記情報処理サーバを介して前記交信内容を受信することができることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の乗降者確認システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両利用者の乗降を確実に確認できる乗降者確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特にバス通園の児童が幼稚園等に到着した後に降車せず、そのまま車内に置き去りになる事故が頻発している。
例えば特許文献1には車内に向けてミリ波の電波を出力して、その反射波を検出し、反射波の検出レベルと閾値との比較判断により車内に存在する物体が大人、子供又は荷物のいずれかを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-182341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなミリ波の電波を出力する方法では、児童が座席の影に入ったり、座席から降りて床に居たりした場合には電波が児童に届かず、反射波が発生しない結果、児童の存在を見落としてしまう可能性がある。
【0005】
本発明はこのような問題を考慮して、車両利用者の乗降を確実に確認できる乗降者確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乗降者確認システムは、RFタグと、前記RFタグを覆うカバー部材と、車両内に設置されて前記RFタグと交信するリーダ・ライタとを少なくとも備える乗降者確認システムであり、前記RFタグのアンテナが、主導波素子と、前記主導波素子と電気的に接続される地板と、絶縁基材とを備えており、前記主導波素子は前記絶縁基材の表面に設けられ、前記地板は前記絶縁基材の裏面に設けられ、前記RFタグが備えるICチップの一方の端部が前記主導波素子に接合され、他方の端部が前記地板に接合され、前記主導波素子及び/又は前記地板が導体と電気的に接続した場合でも前記RFタグは前記リーダ・ライタと交信可能であり、前記カバー部材が備える懸架部を介して前記RFタグが車両利用者の衣服又は持ち物に取り付けられることを特徴とする。
また、前記アンテナがF型、L型、折り返しダイポールアンテナのいずれかであることを特徴とする。
また、前記アンテナが線状又は板状のいずれかであることを特徴とする。
また、更に情報処理サーバと情報処理端末とを備えており、前記RFタグと前記リーダ・ライタとの交信内容は前記情報処理サーバに送信され、前記情報処理端末は前記情報処理サーバを介して前記交信内容を受信することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では人体等の導体に接触していてもリーダ・ライタと交信できるRFタグを使用する。このRFタグはカバー部材で覆われており、RFタグを懸架部を介して車両利用者の衣服や持ち物に取り付けることができる。したがって、車両利用者が車両中に存在するか否か、つまり車両利用者の乗降を確実に確認できる。
乗降者確認システムが更に情報処理サーバと情報処理端末を備えている場合、車両の内部に取り付けたリーダ・ライタは車両利用者のRFタグと適宜交信しており、交信内容は随時情報処理サーバに送信される。スマートフォン、パソコン、タブレット端末等の情報処理端末を介して情報処理サーバにアクセスして交信内容を受信することで、車両利用者の乗降をリアルタイムで確実に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】被膜層の表面に主導波素子及び地板を形成した状態を示す背面図(a)、平面図(b)、正面図(c)、底面図(d)、左側面図(e)、主導波素子及び地板を絶縁基材に貼り付けた状態を示す平面図(f)、左側面図(g)、正面図(h)及び底面図(i)
図2】安全ピンを備える名札状のカバー部材の正面図(a)及び貫通穴を備えるカバー部材の斜視図(b)
図3】RFタグの等価回路図
図4】RFタグを導体としての金属板に接触させた状態を示す図(a)及び導体として人体に接触させた状態を示す図(b)
図5】RFタグの変形例を示す図(a)~(c)
図6】RFタグの変形例を示す図(a)~(c)
図7】情報処理サーバと情報処理端末を備えた乗降者確認システムを示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
本発明の乗降者確認システム1の第1の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1,図2及び図7に示すように乗降者確認システム1はRFタグ10、カバー部材20及びリーダ・ライタ30を少なくとも備える。
【0010】
RFタグ10はアンテナ11とICチップ12を備える。
アンテナ11は主導波素子13、地板14及び絶縁基材15を備える。
主導波素子13及び地板14は絶縁材からなる被膜層16の表面に形成される。
絶縁基材15は表面、裏面及び側面を有する。絶縁基材15の形状は例えば略直方体であるが、これに限らず例えば円盤状や円弧状に湾曲したものであってもよい。絶縁基材15はRFタグ10が取り付けられる被取付物の表面形状に応じた形状を有するのが好ましい。例えば被取付物が円筒形状であってその湾曲面にRFタグ10を取り付ける場合にはRFタグ10の形状を湾曲面の曲率に合わせるのが好ましい。絶縁基材15としては発泡スチロール、ポリエチレン、ポリイミド等を用いればよい。また、絶縁基材15としてセラミック、紙、樹脂等の誘電体を用いてもよい。
【0011】
主導波素子13は絶縁基材15の表面に設けられる。本実施の形態の主導波素子13はほぼ長方形状であり、その側辺に周波数を調整するための切欠部13aを複数備えることで櫛歯状になっている。主導波素子13はその側辺の長さの合計Lがλ/4、λ/2、3λ/4、5λ/8のいずれかになるように設計するのが好ましい。λは読取装置から送信される電波の波長である。主導波素子13が切り込み13aを備えない構成でも良い。
主導波素子13はアルミ等の金属薄膜のエッチングやパターン印刷等の周知の手法によって形成される。主導波素子13の形状は適宜変更可能である。
地板14は主導波素子13と電気的に接続されており、絶縁基材15の裏面に設けられる。本実施の形態の地板14は正方形状であり、主導波素子13と同様にアルミ等の金属薄膜のエッチングやパターン印刷等の周知の手法によって被膜層16の表面に形成される。地板14の形状は適宜変更可能である。
図1(a)~(e)に示した状態から主導波素子13及び地板14の端部を折り曲げて図1(f)~(i)に示すように絶縁基材15の表面、裏面及び側面に貼り付ける。なお、図1(f)~(i)では被膜層16の図示を省略している。
【0012】
ICチップ12は絶縁基材15の表面において主導波素子13及び地板14と接続している。具体的には主導波素子13の一部に凸部13bを設け、地板14の一部にも凸部14aを設けてある。ICチップ12の一方の端子を主導波素子13の凸部13bに接続し、他方の端子を地板14の凸部14aに接続することで主導波素子13と地板14とはICチップ12を介して接続される。なお、凸部13b,14aを設けずにICチップ12の両端子を直接主導波素子13及び地板14に接続してもよい。また、後述するようにICチップ12が絶縁基材15の側面で主導波素子13及び地板14と接続する構成でもよい。
ICチップ12はアンテナ11が受信した電波に基づいて動作する。具体的にはICチップ12はリーダ・ライタ30から送信される搬送波の一部を整流し、動作に必要な電源電圧を生成する。そしてICチップ12は生成した電源電圧によって、ICチップ12内の制御用の論理回路や商品の固有情報等が格納された不揮発性メモリを動作させ、読取装置との間でデータの送受信を行うための通信回路等を動作させる。
被膜層16の材料としては可撓性及び絶縁性を備えていれば特に限定されないが、例えばPET、ポリイミド、ビニールなどを用いればよい。被膜層16の厚さは特に限定されるものではないが一般的には数十μm程度である。
【0013】
アンテナ11は受信する電波の周波数帯域で共振するように共振回路を構成する。この共振回路は図3の等価回路図に示すようにインダクタパターンL、コンデンサC及びICチップ12により構成される。インダクタパターンLは主導波素子13及び地板14で構成される。コンデンサCは主導波素子13、絶縁基材15及び地板14により構成される。
ICチップ12には内部にコンデンサを含むものがあり、また、ICチップ12は浮遊容量を有する。このため、共振回路の共振周波数を設定する際、ICチップ12内部の等価容量を考慮することが好ましい。換言すれば、共振回路はインダクタパターンLのインダクタンス、コンデンサCの静電容量及びICチップ12内部の等価容量を考慮して設定された共振周波数を有することとし、共振周波数の値は、リーダ・ライタから送信される複数の電波の周波数帯域幅のほぼ中心値になるように設定するのが好ましい。
【0014】
図2に示すようにカバー部材20はRFタグ10を覆うための部材であり、その一部に懸架部21を備える。カバー部材20の素材としては塩化ビニール等の樹脂が挙げられる。懸架部21とはRFタグ10を車両利用者Pの衣服や持ち物に取り付けるための部材であり、例えば安全ピン、貫通穴、クリップ等が挙げられる。図2(a)のカバー部材20はRFタグ10を内包にしているのでRFタグ10を外部から視認できない。図2(b)のカバー部材20は透明シート22でRFタグ10を覆っているのでRFタグ10を外部から視認できる。
【0015】
図4(a)及び(b)を参照してRFタグ10が導体100に接触した場合について説明する。
本発明のRFタグ10は導体100に接触しない状態で使用できるし、主導波素子13及び/又は地板14を導体100に接触させて電気的に接続した場合でも使用できる。
本願において「導体」とは、一般的な辞書的意味と同様に「電気の伝導率が比較的大きな物質の総称」であり、金属が典型的な例である。ただし、「導体」は金属に限定されるものではなく、例えば人体、草、木、水、地面などであってもよい。
また、本願において「主導波素子13及び/又は地板14が導体100に接触する」とは、主導波素子13及び/又は地板14が導体100に直接接触する場合のみならず、導体100に電気的に接続していると見做せる状態であれば、何らかの物質が主導波素子13及び/又は地板14と導体100の間に挟まれている状態も含むものとする。
【0016】
例えば、図4(b)に示すようにカバー部材20で覆った状態のRFタグ10を懸架部21を利用して車両利用者Pの衣服に取り付けた場合であって、RFタグ10の裏面側が車両利用者Pの衣服に接触した場合、地板14、カバー部材20、導体100(人体)からなる結合容量を持ったコンデンサが形成されるので、静電容量結合効果により導体100を導波器として利用してリーダ・ライタ30と交信できる。他には例えばカバー部材20で覆った状態のRFタグ10をランドセル・カバン等の中に入れた場合でもリーダ・ライタ30と交信できる。
【0017】
[第2の実施の形態]
図5及び図6に本発明のRFタグ10の変形例を網羅的に示すが、上記第1の実施の形態と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図5(a)はRFタグのアンテナが線状のF型、図5(b)は線状のL型、図5(c)は線状の折り返しダイポールアンテナを示している。
図6(a)はRFタグのアンテナが板状のF型、図6(b)は板状のL型、図6(c)は板状の折り返しダイポールアンテナを示している。
図5及び図6のいずれの構成のアンテナでも、RFタグ10をカバー部材20で覆った状態でリーダ・ライタ30と交信でき、更に主導波素子13及び/又は地板14が導体100と電気的に接続した場合でもRFタグ10はリーダ・ライタ30と交信可能である。
【0018】
[第3の実施の形態]
図7に示すように本発明の乗降者確認システムが更に情報処理サーバ40と情報処理端末50を備えてもよい。
この場合、車両利用者P一人に対して一つのRFタグ10が紐づけられており、車両110の内部に取り付けたリーダ・ライタ30と特定のRFタグ10とが交信できた場合にはその旨が情報処理サーバ40に送信される。この場合、当該RFタグ10と紐づけられている車両利用者Pが車両内に居る、つまり乗車中であると判定できる。一方、リーダ・ライタ30と特定のRFタグ10とが交信できない場合にはその旨が情報処理サーバ40に送信される。この場合、当該RFタグ10と紐づけられている車両利用者Pが車両内に居ない、つまり降車済みであると判定できる。このようにリーダ・ライタ30と複数のRFタグ10とは随時交信しており、交信内容は随時情報処理サーバ40に送信される。例えば車両利用者Pが幼稚園児の場合、その親は自身が所有するスマートフォン、パソコン、タブレット端末等の情報処理端末50を介して情報処理サーバ40にアクセスして交信内容を受信することで、子供の乗降をリアルタイムで確実に確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、車両利用者の乗降を確実に確認できる乗降者確認システムであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0020】
C コンデンサ
L インダクタパターン
P 車両利用者
1 乗降者確認システム
10 RFタグ
11 アンテナ
12 ICチップ
13 主導波素子
13a 切欠部
13b 凸部
14 地板
14a 凸部
15 絶縁基材
16 被膜層
20 カバー部材
21 懸架部
30 リーダ・ライタ
40 情報処理サーバ
50 情報処理端末
100 導体
110 車両


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7