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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098906
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】受光素子および光検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
H01L31/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002714
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】夏目 和俊
【テーマコード(参考)】
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
5F149AA04
5F149AB07
5F149AB17
5F149BA04
5F149BA17
5F149BB03
5F149CB04
5F149CB10
5F149CB14
5F149DA02
5F149DA05
5F149DA27
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5F149DA36
5F149EA04
5F149EA07
5F149EA13
5F149FA05
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5F149LA01
5F149XB37
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5F849AB07
5F849AB17
5F849BA04
5F849BA17
5F849BB03
5F849CB04
5F849CB10
5F849CB14
5F849DA02
5F849DA05
5F849DA27
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5F849FA05
5F849FA13
5F849GA06
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5F849HA09
5F849HA12
5F849JA01
5F849JA10
5F849KA20
5F849LA01
5F849XB37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検出精度を向上できる受光素子および光検出装置を提供する。
【解決手段】第1主面10aを有する基板10と、第1主面10aの上に、第1導電型の第1コンタクト層21、受光層31、画素分離調整層33及び第2導電型の第2コンタクト層22を順に積層し、第1主面10aに平行な第1方向で第2コンタクト層22及び画素分離調整層33を複数の画素に分離する複数の第1溝71と、前記第1方向での複数の第1溝71の外側において、第2コンタクト層22、画素分離調整層33及び受光層31に形成され、第1コンタクト層21に達する第2溝72と、第2溝72の底において、第1コンタクト層21に接する第1電極55と、第2コンタクト層22の上に設けられた第2電極52と、を有し、受光層31は、第1電気抵抗を備えた第1領域を有し、隣り合う前記第1領域の間に設けられ、前記第1電気抵抗よりも高い第2電気抵抗を備えた第2領域を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有する基板と、
前記第1主面の上に設けられた第1導電型の第1コンタクト層と、
前記第1コンタクト層の上に設けられた受光層と、
前記受光層の上に設けられた画素分離調整層と、
前記画素分離調整層の上に設けられた第2導電型の第2コンタクト層と、
前記第1主面に平行な第1方向で前記第2コンタクト層および前記画素分離調整層を複数の画素に分離する複数の第1溝と、
前記第1方向での前記複数の第1溝の外側において、前記第2コンタクト層、前記画素分離調整層および前記受光層に形成され、前記第1コンタクト層に達する第2溝と、
前記第2溝の底において、前記第1コンタクト層に接する第1電極と、
前記第2コンタクト層の上に設けられた第2電極と、
を有し、
前記受光層は、前記画素毎に設けられ、第1電気抵抗を備えた第1領域を有し、
隣り合う前記第1領域の間に設けられ、前記第1電気抵抗よりも高い第2電気抵抗を備えた第2領域を有する、受光素子。
【請求項2】
前記第2領域の幅は、1μm以上5μm以下である、請求項1に記載の受光素子。
【請求項3】
前記第2領域は、前記第1溝の底面に連なり、前記受光層に入り込む第3溝を含む、請求項1または請求項2に記載の受光素子。
【請求項4】
前記第3溝内に設けられ、前記第2領域を透過してきた光を前記第1領域に向けて反射する反射膜を有する、請求項3に記載の受光素子。
【請求項5】
前記第3溝内に設けられ、前記第2領域を透過してきた光を吸収する吸収膜を有する、請求項3に記載の受光素子。
【請求項6】
前記第3溝は、前記第1コンタクト層に達する、請求項3に記載の受光素子。
【請求項7】
前記第2領域は、前記第1領域よりも高濃度で不純物を含む不純物領域を含む、請求項1に記載の受光素子。
【請求項8】
前記第1溝の底面に連なり、前記不純物領域に達する第4溝を含む、請求項7に記載の受光素子。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の受光素子と、
前記受光素子に接続された回路基板と、
を有する、光検出装置。
【請求項10】
前記受光素子と前記回路基板との間に設けられた樹脂層を有する、請求項9に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受光素子および光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線を検知する受光素子として、受光層の上に設けられた半導体層に画素分離用の溝が形成された受光素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-034644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受光素子に対して、検出精度の向上が望まれている。
【0005】
本開示は、検出精度を向上できる受光素子および光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の受光素子は、第1主面を有する基板と、前記第1主面の上に設けられた第1導電型の第1コンタクト層と、前記第1コンタクト層の上に設けられた受光層と、前記受光層の上に設けられた画素分離調整層と、前記画素分離調整層の上に設けられた第2導電型の第2コンタクト層と、前記第1主面に平行な第1方向で前記第2コンタクト層および前記画素分離調整層を複数の画素に分離する複数の第1溝と、前記第1方向での前記複数の第1溝の外側において、前記第2コンタクト層、前記画素分離調整層および前記受光層に形成され、前記第1コンタクト層に達する第2溝と、前記第2溝の底において、前記第1コンタクト層に接する第1電極と、前記第2コンタクト層の上に設けられた第2電極と、を有し、前記受光層は、前記画素毎に設けられ、第1電気抵抗を備えた第1領域を有し、隣り合う前記第1領域の間に設けられ、前記第1電気抵抗よりも高い第2電気抵抗を備えた第2領域を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、検出精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る受光素子を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る受光素子を示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その1)である。
図4図4は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その2)である。
図5図5は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その3)である。
図6図6は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その4)である。
図7図7は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その5)である。
図8図8は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その6)である。
図9図9は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その7)である。
図10図10は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その8)である。
図11図11は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その9)である。
図12図12は、参考例に係る受光素子を示す断面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る受光素子を示す断面図である。
図14図14は、第3実施形態に係る光検出装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る受光素子は、第1主面を有する基板と、前記第1主面の上に設けられた第1導電型の第1コンタクト層と、前記第1コンタクト層の上に設けられた受光層と、前記受光層の上に設けられた画素分離調整層と、前記画素分離調整層の上に設けられた第2導電型の第2コンタクト層と、前記第1主面に平行な第1方向で前記第2コンタクト層および前記画素分離調整層を複数の画素に分離する複数の第1溝と、前記第1方向での前記複数の第1溝の外側において、前記第2コンタクト層、前記画素分離調整層および前記受光層に形成され、前記第1コンタクト層に達する第2溝と、前記第2溝の底において、前記第1コンタクト層に接する第1電極と、前記第2コンタクト層の上に設けられた第2電極と、を有し、前記受光層は、前記画素毎に設けられ、第1電気抵抗を備えた第1領域を有し、隣り合う前記第1領域の間に設けられ、前記第1電気抵抗よりも高い第2電気抵抗を備えた第2領域を有する。
【0011】
受光層に光が入射すると、受光層において電荷が生じ、各画素において第1コンタクト層と第2コンタクト層との間の電位差に応じて電荷が第1コンタクト層または第2コンタクト層に向かって流れる。このとき、第2電気抵抗が第1電気抵抗よりも高いため、電荷は第2領域を通過しにくく、電荷は第1領域の内側で第1コンタクト層または第2コンタクト層に向かって流れる。また、第2領域では電荷が生じにくいため、第2領域から第1領域への電荷の移動に伴う光信号に対する電気的応答の遅延の発生を抑制できる。従って、画素毎に入射した光の量に応じた電荷が得やすく、高い検出精度が得られる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第2領域の幅は、1μm以上5μm以下であってもよい。この場合、第2領域を形成しやすく、また、第1領域を十分な大きさで確保しやすい。
【0013】
〔3〕 〔1〕または〔2〕において、前記第2領域は、前記第1溝の底面に連なり、前記受光層に入り込む第3溝を含んでもよい。この場合、第3溝では光の吸収が行われず、隣り合う画素の境界の近傍での電荷の発生に付随する検出精度の低下を抑制できる。
【0014】
〔4〕 〔3〕において、前記第3溝内に設けられ、前記第2領域を透過してきた光を前記第1領域に向けて反射する反射膜を有してもよい。第2領域を透過してきた光が受光素子の外部で反射され、受光層に戻ってきた場合、入射する画素を特定できず、検出精度が低下するおそれがあるが、反射膜によって反射することで、入射する画素を特定して検出精度の低下を抑制できる。
【0015】
〔5〕 〔3〕において、前記第3溝内に設けられ、前記第2領域を透過してきた光を吸収する吸収膜を有してもよい。第2領域を透過してきた光が受光素子の外部で反射され、受光層に戻ってきた場合、入射する画素を特定できず、検出精度が低下するおそれがあるが、吸収膜によって吸収することで、反射光に伴う検出精度の低下を抑制できる。
【0016】
〔6〕 〔3〕から〔5〕のいずれかにおいて、前記第3溝は、前記第1コンタクト層に達してもよい。この場合、特に検出精度を向上しやすい。
【0017】
〔7〕 〔1〕において、前記第2領域は、前記第1領域よりも高濃度で不純物を含む不純物領域を含んでもよい。この場合、不純物領域により光が吸収されるが、不純物領域から第1領域への電荷の移動が抑制され、隣り合う画素の境界の近傍での電荷の発生に付随する検出精度の低下を抑制できる。
【0018】
〔8〕 〔7〕において、前記第1溝の底面に連なり、前記不純物領域に達する第4溝を含んでもよい。この場合、第4溝では光の吸収が行われず、隣り合う画素の境界の近傍での電荷の発生に付随する検出精度の低下を更に抑制しやすい。
【0019】
〔9〕 本開示の他の一態様に係る光検出装置は、〔1〕から〔8〕のいずれかの受光素子と、前記受光素子に接続された回路基板と、を有する。光検出装置が上記の受光素子を有することで、検出精度を向上できる。
【0020】
〔10〕 〔9〕において、前記受光素子と前記回路基板との間に設けられた樹脂層を有してもよい。この場合、第2領域を透過してきた光が受光素子の外部で反射され、受光層に戻ってきた場合、入射する画素を特定できず、検出精度が低下するおそれがあるが、第2領域を透過してきた光が樹脂層によって吸収されるため、反射光に伴う検出精度の低下を抑制できる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いるが、当該座標系は、説明のために定めるものであって、受光素子または光検出装置の姿勢について限定するものではない。また、任意の点からみて、+Z側を上方、上側または上ということがあり、-Z側を下方、下側または下ということがある。
【0022】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は受光素子に関する。図1は、第1実施形態に係る受光素子を示す模式図である。図2は、第1実施形態に係る受光素子を示す断面図である。図1は、メサ、バンプおよび溝の配置を平面視で示す。図2は、図1中のII-II線に沿った断面図に相当する。
【0023】
第1実施形態に係る受光素子100には、2次元アレイを構成する複数の画素1が形成されている。例えば、画素1のピッチは25μm以上85μm以下である。また、「X軸方向での数」×「Y軸方向での数」で、32×128の画素1が形成されていてもよく、256×320の画素1が形成されていてもよく、512×640の画素1が形成されていてもよい。
【0024】
図1に示されるように、受光素子100は、基板10と、n型コンタクト層21と、受光層31と、中間層32と、画素分離調整層33と、p型コンタクト層22とを有する。受光素子100は、更に、パッシベーション膜41と、反射防止膜36と、p電極52と、第1n電極51と、第2n電極53と、配線54と、金属膜55と、インジウム(In)バンプ61と、Inバンプ62とを有する。
【0025】
基板10は、例えばn型のリン化インジウム(InP)基板である。基板10は、例えば鉄(Fe)を含有する。基板10は、第1主面10aと、第1主面10aとは反対の第2主面10bとを有する。基板10の厚さは、例えば600μm程度である。
【0026】
n型コンタクト層21は第1主面10aの上に設けられている。n型コンタクト層21は、例えば、n型のInP層である。n型コンタクト層21の厚さは、例えば2.0μm程度である。n型コンタクト層21は、例えばシリコン(Si)を1×1018cm-3以上の濃度で含有する。n型コンタクト層21は第1コンタクト層の一例である。
【0027】
受光層31はn型コンタクト層21の上に設けられている。受光層31は、例えば砒化インジウムガリウム(InGaAs)層である。受光層31の厚さは、例えば2.0μm程度である。受光層31の厚さが1.0μm以上4.0μm以下であってもよい。受光層31には、不純物元素はドープされてはおらず、受光層31に含まれる不純物元素の濃度は、1×1015cm-3以下である。
【0028】
中間層32は受光層31の上に設けられている。中間層32は、例えば砒化リン化インジウムガリウム(InGaAsP)層を含む。中間層32の厚さは、例えば0.05μm程度である。中間層32には、不純物元素はドープされてはおらず、中間層32に含まれる不純物元素の濃度は、2×1015cm-3以下である。中間層32のバンドギャップは、受光層31のバンドギャップよりも広く、画素分離調整層33のバンドギャップよりも狭い。中間層32が、組成が異なる複数のInGaAsP層を含んでもよい。この場合、複数のInGaAsP層の間では、中間層32に近いInGaAsP層ほどバンドギャップが狭い。すなわち、複数のInGaAsP層の間では、中間層32から離れるに連れて、段階的にバンドギャップが広くなる。
【0029】
画素分離調整層33は中間層32の上に設けられている。画素分離調整層33は、n型ワイドギャップ層34と、p型ワイドギャップ層35とを有する。n型ワイドギャップ層34は中間層32の上に設けられており、p型ワイドギャップ層35はn型ワイドギャップ層34の上に設けられている。n型ワイドギャップ層34は、例えばn型のInP層である。n型ワイドギャップ層34の厚さは、例えば0.5μm程度である。n型ワイドギャップ層34の厚さが0.2μm以上1.0μm以下であってもよい。n型ワイドギャップ層34は、例えばSiを2×1015cm-3以下の濃度で含有する。p型ワイドギャップ層35は、例えばp型のInP層である。p型ワイドギャップ層35の厚さは、例えば0.2μm程度である。p型ワイドギャップ層35の厚さが0.1μm以上0.5μm以下であってもよい。p型ワイドギャップ層35は、例えば亜鉛(Zn)を1×1018cm-3以上の濃度で含有する。n型ワイドギャップ層34とp型ワイドギャップ層35との界面にpn接合39がある。n型ワイドギャップ層34のバンドギャップおよびp型ワイドギャップ層35のバンドギャップは、中間層32のバンドギャップおよび受光層31のバンドギャップよりも広い。
【0030】
p型コンタクト層22はp型ワイドギャップ層35の上に設けられている。p型コンタクト層22は、例えばp型のInGaAs層である。p型コンタクト層22は、例えばZnを2×1019cm-3以上6×1019cm-3の濃度で含有する。p型コンタクト層22の厚さは、例えば0.2μm程度である。p型コンタクト層22の厚さが0.1μm以上0.5μm以下であってもよい。p型コンタクト層22は第2コンタクト層の一例である。
【0031】
p型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34の一部とに複数の第1溝71が形成されている。第1溝71はn型ワイドギャップ層34に達している。第1溝71の底面にn型ワイドギャップ層34が露出している。第1溝71はpn接合39を貫通している。第1溝71により、画素1ごとにメサ81が形成され、画素分離されている。第1溝71の一部は、X軸方向に一定のピッチで形成されており、Y軸方向に延びる。第1溝71の他の一部は、Y軸方向に一定のピッチで形成されており、X軸方向に延びる。第1溝71は、第1主面10aに平行なX軸方向またはY軸方向でp型コンタクト層22および画素分離調整層33を複数の画素1に分離する。例えば、第1溝71の深さは0.6μm以上0.8μm以下であり、幅は5μm以上10μm以下である。メサ81の平面形状は、例えば一辺の長さが20μm以上75μm以下の正方形状である。
【0032】
X軸方向またはY軸方向での複数の第1溝71の外側において、p型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34と、中間層32と、受光層31と、n型コンタクト層21の一部とに第2溝72が形成されている。第2溝72はn型コンタクト層21に達する。第2溝72の底面にn型コンタクト層21が露出している。第2溝72は、第1主面10aに垂直な平面視で、環状に形成され、すべての第1溝71を取り囲む。第2溝72により、画素領域11と電極接続領域12とが互いから分離されている。メサ81は画素領域11に形成されている。電極接続領域12にメサ82が形成されている。第2溝72の幅は、例えば450μm程度である。
【0033】
隣り合うメサ81の間に、第1溝71の底面に連なる第3溝73が形成されている。第3溝73は、n型ワイドギャップ層34と、中間層32と、受光層31とに形成されている。第3溝73は受光層31に入り込む。例えば、第3溝73はn型コンタクト層21に達する。例えば、第3溝73の断面形状は、V字状である。第3溝73の一部は、X軸方向に一定のピッチで形成されており、Y軸方向に延びる。第3溝73の他の一部は、Y軸方向に一定のピッチで形成されており、X軸方向に延びる。第3溝73は、隣り合う画素1の境界にある。第3溝73の受光層31の上面での幅は、例えば1μm以上5μm以下である。第3溝73の受光層31の上面での幅は、例えば電子顕微鏡を用いて測定できる。
【0034】
受光層31の第3溝73により画定された領域は、受光層31の材料に応じた第1電気抵抗を備える。受光層31の第3溝73により画定された領域は第1領域の一例である。また、第3溝73には実質的に電流が流れず、第3溝73は第1電気抵抗よりも高い第2電気抵抗を備える。第3溝73は第2領域の一例である。
【0035】
パッシベーション膜41は、p型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34と、中間層32と、受光層31と、n型コンタクト層21と、基板10とを覆う。パッシベーション膜41は、例えば窒化シリコン(SiN)膜である。パッシベーション膜41の厚さは、例えば180nm以上220nm以下である。パッシベーション膜41に、メサ81のp型コンタクト層22を露出する開口部41aと、画素領域11と電極接続領域12との間でn型コンタクト層21を露出する開口部41bとが形成されている。pn接合39の側面がパッシベーション膜41に接触している。
【0036】
メサ81の各々においてp型コンタクト層22の上にp電極52が形成されている。p電極52は開口部41aを通じてp型コンタクト層22に接する。p電極52は、例えばチタン(Ti)層および白金(Pt)層を順に積層した金属積層膜により構成されている。例えば、Ti層の厚さは50nm程度であり、Pt層の厚さは80nm程度である。p電極52は第2電極の一例である。
【0037】
画素領域11と電極接続領域12との間でn型コンタクト層21の上に第1n電極51が形成されている。第1n電極51は開口部41bを通じてn型コンタクト層21に接する。メサ82の上においてパッシベーション膜41の上に第2n電極53が形成されている。第1n電極51および第2n電極53は、例えばTi層およびPt層を順に積層した金属積層膜により構成されている。例えば、Ti層の厚さは50nm程度であり、Pt層の厚さは80nm程度である。第1n電極51は第1電極の一例である。
【0038】
配線54は、第1n電極51と第2n電極53とを接続する。配線54はパッシベーション膜41の上に形成されている。配線54は、例えばTi層および金(Au)層を順に積層した金属積層膜により構成されている。例えば、Ti層の厚さは50nm程度であり、Au層の厚さは600nm程度である。
【0039】
金属膜55は、第1主面10aに垂直な平面視で第3溝73と重なり、パッシベーション膜41の上に形成されている。金属膜55は第3溝73の内側に形成されていてもよい。金属膜55は、例えば、p電極52と同じ材料から構成されている。金属膜55は反射膜の一例である。
【0040】
p電極52の上にInバンプ62が設けられている。画素領域11における画素1の各々において、メサ81の上面に平面形状が円形状のp電極52が形成されており、p電極52の上に平面形状が円形状のInバンプ62が形成されている。
【0041】
電極接続領域12においては、第2n電極53の上にInバンプ61が設けられている。第2n電極53の上に平面形状が円形状のInバンプ61が形成されている。
【0042】
第2n電極53およびp電極52は、それぞれInバンプ61および62を介して、読み出し回路基板400(図14参照)に設けられた電極に接続される。Inバンプ61および62の高さは、例えば10μm程度である。
【0043】
反射防止膜36は第2主面10bに設けられている。反射防止膜36は、例えばSiN膜である。
【0044】
次に、第1実施形態に係る受光素子100の製造方法について説明する。図3から図11は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図である。
【0045】
まず、図3に示されるように、基板10の第1主面10aに、エピタキシャル成長により、n型コンタクト層21、受光層31、中間層32、n型ワイドギャップ層34、p型ワイドギャップ層35およびp型コンタクト層22を順に形成する。上記の化合物半導体層のエピタキシャル成長には、有機金属気相エピタキシャル成長(metal organic vapor phase epitaxy:MOVPE)法が用いられる。基板10の厚さは、例えば400μm以上500μm以下である。
【0046】
次に、図4に示されるように、p型コンタクト層22の上に、プラズマ化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法により、厚さが0.4μm程度のSiN膜191を形成する。次いで、SiN膜191の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、不図示のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、第1溝71が形成される領域と、第2溝72が形成される領域とに開口部を有する。レジストパターンの開口部におけるSiN膜191を、バッファードフッ酸を用いたウェットエッチングにより除去することにより、SiN膜191からマスクを形成する。その後、レジストパターンを有機溶剤等により除去する。
【0047】
次に、図5に示されるように、SiN膜191の開口部に露出するp型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34の一部とを反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)等のドライエッチングにより除去する。このRIEでは、例えば四塩化ケイ素(SiCl)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスの混合ガスを用いる。このようにして、画素分離するための第1溝71が形成される。また、第2溝72が形成される領域に仮溝72Xが形成される。第1溝71の形成に伴ってメサ81が形成され、各々の画素1(図1参照)が分離される。
【0048】
次に、ドライエッチングで生成した不図示の堆積物を除去する。堆積物は、バッファードフッ酸を用いて除去できる。また、p型コンタクト層22、p型ワイドギャップ層35およびn型ワイドギャップ層34の第1溝71の近傍には、ドライエッチングの際にダメージが生じ得る。このため、堆積物の除去の後、ウェットエッチングを行って、ドライエッチングの際にダメージが生じた部分を除去する。例えば、p型コンタクト層22、p型ワイドギャップ層35およびn型ワイドギャップ層34の各々の第1溝71に露出する部分を0.1μmの厚さで除去する。その後、SiN膜191をバッファードフッ酸により除去する。
【0049】
次に、図6に示されるように、プラズマCVD法により、p型コンタクト層22、p型ワイドギャップ層35およびn型ワイドギャップ層34を覆う、厚さが0.8μm程度のSiN膜192を形成する。次いで、SiN膜192の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、不図示のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、第2溝72が形成される領域と、第3溝73が形成される領域とに開口部を有する。レジストパターンの開口部におけるSiN膜192を、バッファードフッ酸を用いたウェットエッチングにより除去することにより、SiN膜192からマスクを形成する。その後、レジストパターンを有機溶剤等により除去する。
【0050】
次に、図7に示されるように、SiN膜192の開口部に露出するn型ワイドギャップ層34と、中間層32と、受光層31と、n型コンタクト層21の一部とをRIE等のドライエッチングにより除去する。このRIEでは、例えばSiClガスおよびArガスの混合ガスを用いる。このようにして、第2溝72および第3溝73が形成され、メサ81からみて、第2溝72の外側にメサ82が形成される。また、第1溝71の底面に連なる第3溝73が形成される。
【0051】
次に、ドライエッチングで生成した不図示の堆積物を除去する。堆積物は、バッファードフッ酸を用いて除去できる。また、n型ワイドギャップ層34、中間層32、受光層31およびn型コンタクト層21の第2溝72または第3溝73の近傍には、ドライエッチングの際にダメージが生じ得る。このため、堆積物の除去の後、ウェットエッチングを行って、ドライエッチングの際にダメージが生じた部分を除去する。例えば、n型ワイドギャップ層34、中間層32、受光層31およびn型コンタクト層21の各々の第2溝72または第3溝73に露出する部分を0.1μmの厚さで除去する。その後、SiN膜192をバッファードフッ酸により除去する。
【0052】
次に、図8に示されるように、パッシベーション膜41を形成する。具体的には、全面に、プラズマCVD法により不図示のSiN膜を成膜し、成膜されたSiN膜の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、不図示のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、p電極52が形成される領域と、第1n電極51が形成される領域とに開口部を有しており、レジストパターンの開口部におけるSiN膜をRIE等のドライエッチングにより除去する。この結果、メサ81のp型コンタクト層22の表面を露出する開口部41aと、n型コンタクト層21の表面を露出する開口部41bとを備えたパッシベーション膜41が形成される。
【0053】
次に、図9に示されるように、p型コンタクト層22の上にp電極52を形成し、n型コンタクト層21の上に第1n電極51を形成し、メサ82の上でパッシベーション膜41の上に第2n電極53を形成する。また、第1主面10aに垂直な平面視で第3溝73と重なるように、パッシベーション膜41の上に金属膜55を形成する。金属膜55は、例えば第3溝73の内側に形成される。p電極52、第1n電極51、第2n電極53および金属膜55は、リフトオフ法により形成する。具体的には、p電極52が形成される領域と、第1n電極51が形成される領域と、第2n電極53が形成される領域と、金属膜55が形成される領域とに開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。次いで、電子線(electron beam:EB)蒸着によりTi層およびPt層が順に積層された金属積層膜を成膜し、その後に有機溶剤等に浸漬させる。この結果、レジストパターンとともにレジストパターンの上の金属積層膜が除去され、残存している金属積層膜からp電極52、第1n電極51、第2n電極53および金属膜55が形成される。
【0054】
更に、第1n電極51と第2n電極53とを接続する配線54をリフトオフ法により形成する。具体的には、配線54が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成し、EB蒸着によりTi層およびAu層が順に積層された金属積層膜を成膜し、その後に有機溶剤等に浸漬させる。この結果、レジストパターンとともにレジストパターンの上の金属積層膜が除去され、残存している金属積層膜から配線54が形成される。配線54を形成するためのEB蒸着は、例えば第1主面10aに垂直な方向から傾斜した方向からの斜め蒸着である。
【0055】
次に、図10に示されるように、基板10の第2主面10bを研磨により鏡面にする。次に、第2主面10bに反射防止膜36を形成する。反射防止膜36はプラズマCVD法により形成する。
【0056】
次に、図11に示されるように、第2n電極53の上にInバンプ61を形成し、p電極52の上にInバンプ62を形成する。Inバンプ61および62はリフトオフ法により形成する。この後、チップに分割する。
【0057】
このようにして、第1実施形態に係る受光素子100を製造することができる。
【0058】
受光素子100は、p電極52と第2n電極53との間に、例えば-8Vの逆バイアス電圧が印加されて使用される。逆バイアス電圧が印加されることで、画素1毎に空乏層が広がる。画素1毎に空乏層が広がった状態で、近赤外光が基板10の第2主面10bから受光層31に入射すると、受光層31において電荷(ホールおよび電子)が生じ、電子はn型コンタクト層21に向かって流れ、ホールはp型コンタクト層22に向かって流れる。この時、電荷は第3溝73を通過できず、ホールは、受光層31の第3溝73により画定された領域(第1領域)の内側でp型コンタクト層22に向かって流れる。
【0059】
また、受光層31内の空乏層の外側で生じた電荷は、空乏層内で生じた電荷よりも移動しにくく、光信号に対する電気的応答の遅延を招くおそれがあるが、第3溝73では電荷が生じないため、遅延の発生を抑制できる。第3溝73に入射した光は、金属膜55により、第3溝73に隣接する受光層31に向けて反射される。従って、金属膜55が設けられていない場合には、読み出し回路基板400(図14参照)により不特定な方向に反射されるおそれがあるが、金属膜55が設けられていることで反射の方向が定められる。従って、入射光が過大であっても、多重反射が抑制される。
【0060】
更に、上述のように、p電極52は、Inバンプ62を介して読み出し回路基板400(図14参照)に設けられた電極に接続されるが、ある一つのInバンプ62に接続不良が生じる場合もある。このような場合であっても、接続不良が生じた画素1内で発生した電荷は、当該画素1に隣接する画素1には移動しないため、これら隣接する画素1には影響が及ばない。
【0061】
従って、受光素子100によれば、画素1毎に入射した光の量に応じた電荷が得やすく、高い検出精度が得られる。
【0062】
ここで、第1実施形態との比較のために、参考例について説明する。図12は、参考例に係る受光素子を示す断面図である。図12は、図1中のII-II線に沿った断面図に相当する。
【0063】
参考例に係る受光素子100Xでは、第3溝73が形成されていない。従って、受光素子100Xでは、隣り合う画素1の境界で生じた電荷が、光信号に対する電気的応答の遅延を招くおそれがある。また、隣り合う画素1の境界で生じた電荷はどちらの画素1にも移動し得る。更に、ある一つのInバンプ62に接続不良が生じた場合、接続不良が生じた画素1内で発生した電荷が、当該画素1に隣接する画素1に移動し得る。この場合、電気的応答の大きな遅延が生じる得る。
【0064】
従って、受光素子100Xでは、受光素子100と比べて、画素1毎に入射した光の量に応じた電荷が得にくい。逆の見方をすると、受光素子100によれば、受光素子100Xよりも画素1毎に入射した光の量に応じた電荷が得やすく、高い検出精度が得られる。
【0065】
第3溝73の受光層31の上面での幅が1μm以上5μm以下であることで、第3溝73を形成しやすく、また、受光層31の光吸収が可能な領域(第1領域)を十分な大きさで確保しやすい。第3溝73の受光層31の上面での幅が1μm以上3μm以下であってもよく、1μm以上2μm以下であってもよい。
【0066】
金属膜55に代えて、第3溝73を透過してきた光を吸収する吸収膜が設けられていてもよい。吸収膜が光を吸収することで、読み出し回路基板400(図14参照)による不特定な方向への反射を抑制できる。吸収膜は、例えば樹脂膜である。
【0067】
第3溝73はn型コンタクト層21に達している必要はないが、第3溝73がn型コンタクト層21に達していることで、隣り合う画素1間での電荷の移動を抑制しやすく、また、移動先の画素1が不確定の電荷の発生を抑制しやすい。
【0068】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第2領域の構成の点で第1実施形態と相違する。図13は、第2実施形態に係る受光素子を示す断面図である。図13は、図1中のII-II線に沿った断面図に相当する。
【0069】
受光素子200では、隣り合うメサ81の間で、受光層31に不純物領域37が形成されている。不純物領域37は、受光層31の他の領域よりも高濃度で不純物、例えば鉄(Fe)を含有する。また、隣り合うメサ81の間に、第1溝71の底面に連なる第4溝74が形成されている。第4溝74は、n型ワイドギャップ層34と、中間層32と、不純物領域37とに形成されている。第4溝74は不純物領域37に達する。第4溝74の深さは、不純物領域37が光を十分に吸収できる程度であり、例えば1μm以上2μm以下である。例えば、第4溝74の断面形状は、V字状である。不純物領域37および第4溝74の一部は、X軸方向に一定のピッチで形成されており、Y軸方向に延びる。不純物領域37および第4溝74の他の一部は、Y軸方向に一定のピッチで形成されており、X軸方向に延びる。不純物領域37および第4溝74は、隣り合う画素1の境界にある。不純物領域37の幅は、例えば1μm以上5μm以下である。不純物領域37の幅は、例えば電子顕微鏡を用いて測定できる。
【0070】
受光層31の不純物領域37および第4溝74により画定された領域は、受光層31の材料に応じた第1電気抵抗を備える。受光層31の不純物領域37および第4溝74により画定された領域は第1領域の一例である。また、不純物領域37および第4溝74には実質的に電流が流れず、不純物領域37および第4溝74は第1電気抵抗よりも高い第2電気抵抗を備える。不純物領域37および第4溝74は第2領域の一例である。
【0071】
受光素子200には、金属膜55が設けられていなくてもよい。
【0072】
第2実施形態の他の構成は第1実施形態と同一である。
【0073】
次に、第2実施形態に係る受光素子200の製造方法について説明する。
【0074】
まず、第1実施形態と同じく、第1溝71および仮溝72Xの形成と、堆積物の除去とまでの処理を行う(図5参照)。次に、Feのイオン注入を行い、不純物領域37を形成する。例えば、Feのドーズ量は、1×1016原子/cm程度とする。次に、第1実施形態と同じく、SiN膜192を形成する。次に、ドライエッチングにより第2溝72および第4溝74を形成する。
【0075】
次に、第1実施形態と同じく、ドライエッチングで生成した不図示の堆積物の除去以降の処理を行う。
【0076】
このようにして、第2実施形態に係る受光素子200を製造することができる。
【0077】
なお、第4溝74を形成した後に不純物領域37を形成してもよい。
【0078】
受光素子200では、不純物領域37が光を吸収するが、不純物領域37から画素1への電荷の移動が抑制される。従って、第1実施形態と同じく、画素1毎に入射した光の量に応じた電荷が得やすく、高い検出精度が得られる。
【0079】
第4溝74が形成されていることで、第4溝74では光の吸収が行われず、隣り合う画素1の境界の近傍での電荷の発生に付随する検出精度の低下を更に抑制しやすい。
【0080】
不純物領域37の幅が1μm以上5μm以下であることで、不純物領域37を形成しやすく、また、受光層31の光吸収が可能な領域(第1領域)を十分な大きさで確保しやすい。不純物領域37の幅が1μm以上3μm以下であってもよく、1μm以上2μm以下であってもよい。
【0081】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態に係る受光素子100を含む光検出装置に関する。図14は、第3実施形態に係る光検出装置を示す断面図である。
【0082】
第3実施形態に係る光検出装置300は、受光素子100と、読み出し回路基板(read out integrated circuit:ROIC)400とを有する。読み出し回路基板400は、配線基板410と、画素電極452と、共通電極451と、アンダーフィル樹脂層301とを有する。画素電極452および共通電極451は、配線基板410の一方の面に配列している。読み出し回路基板400は、受光素子100から出力された信号を読み出す回路、例えばマルチプレクサを含む。読み出し回路基板400は回路基板の一例である。
【0083】
光検出装置300は、更に、p電極52と画素電極452とを接続する接続部材352と、第2n電極53と共通電極451とを接続する接続部材351とを有する。接続部材351は、Inバンプ61と、接合前に読み出し回路基板400の共通電極451上に設けられていたInバンプとを含んで構成されている。接続部材352は、Inバンプ62と、接合前に読み出し回路基板400の画素電極452上に設けられていたInバンプとを含んで構成されている。
【0084】
アンダーフィル樹脂層301は、受光素子100と読み出し回路基板400との間に設けられている。アンダーフィル樹脂層301は樹脂層の一例である。
【0085】
第3実施形態によれば、受光素子100を含むため、高い検出精度が得られる。
【0086】
なお、受光素子100に代えて受光素子200が用いられてもよい。
【0087】
第3実施形態において、受光素子100に金属膜55が設けられておらず、アンダーフィル樹脂層301が第3溝73を埋めていてもよい。この場合、第3溝73に入射した光は、アンダーフィル樹脂層301により吸収される。つまり、アンダーフィル樹脂層301が反射膜の一例として機能する。アンダーフィル樹脂層301が光を吸収することで、読み出し回路基板400による不特定な方向への反射を抑制できる。
【0088】
以上、実施形態について詳述したが、本開示は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1:画素
10:基板
10a:第1主面
10b:第2主面
11:画素領域
12:電極接続領域
21:n型コンタクト層
22:p型コンタクト層
31:受光層
32:中間層
33:画素分離調整層
34:n型ワイドギャップ層
35:p型ワイドギャップ層
36:反射防止膜
37:不純物領域
39:pn接合
41:パッシベーション膜
41a、41b:開口部
51:第1n電極
52:p電極
53:第2n電極
54:配線
55:金属膜
61、62:Inバンプ
71:第1溝
72:第2溝
72X:仮溝
73:第3溝
74:第4溝
81、82:メサ
100、100X、200:受光素子
191、192:SiN膜
300:光検出装置
301:アンダーフィル樹脂層
351、352:接続部材
400:読み出し回路基板
410:配線基板
451:共通電極
452:画素電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14