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  • 特開-オーク抽出物及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098935
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】オーク抽出物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/10 20160101AFI20240717BHJP
   A23L 2/56 20060101ALI20240717BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20240717BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240717BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20240717BHJP
   A24B 15/24 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A23L27/10 C
A23L2/56
A23L29/00
A23L5/00 H
A23L27/00 C
A24B15/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023011369
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000210067
【氏名又は名称】池田食研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 直樹
【テーマコード(参考)】
4B035
4B043
4B047
4B117
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LG04
4B035LG06
4B035LG31
4B035LK02
4B035LP01
4B035LP22
4B043BB01
4B043BB22
4B043BB25
4B043BC02
4B043BC24
4B047LB03
4B047LB08
4B047LB09
4B047LG05
4B047LG09
4B047LG37
4B047LP01
4B047LP05
4B117LC03
4B117LG02
4B117LG05
4B117LK04
4B117LK06
4B117LL02
4B117LP01
(57)【要約】
【課題】 本発明は、オークの酸性溶媒抽出物、その製造方法及び該抽出物を含む飲食品、並びに該抽出物を有効成分とする風味改善剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 オークを酸性溶媒で抽出することで、シリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有するオーク抽出物が得られることを見出し、本発明を完成した。また、該オーク抽出物を有効成分とする風味改善剤として提供できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オークの酸性溶媒抽出物であって、シリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有するオーク抽出物。
【請求項2】
140℃以下で抽出したオークの酸性溶媒抽出物である、請求項1記載のオーク抽出物。
【請求項3】
シリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有するオーク抽出物の製造方法であって、オークを酸性溶媒で抽出することを特徴とする、オーク抽出物の製造方法。
【請求項4】
オークを140℃以下で抽出する、請求項3記載のオーク抽出物の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載のオーク抽出物を含む、飲食品又はタバコ製品。
【請求項6】
シリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有するオークの酸性溶媒抽出物を有効成分とする、風味改善剤。
【請求項7】
飲食品又はタバコ製品に、請求項1又は2記載のオーク抽出物を含有させることで飲食品又はタバコ製品の風味を改善する、風味改善方法。
【請求項8】
ノンアルコール飲料のコク又は味の厚みを増強する、請求項7記載の風味改善方法。
【請求項9】
請求項6記載の風味改善剤を含む、風味が改善された飲食品又はタバコ製品。
【請求項10】
請求項6記載の風味改善剤を含む、コク又は味の厚みが増強されたノンアルコール飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオーク抽出物及びその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
オークは、ブナ科コナラ属の植物の総称であり、その木部が樽やチップ等に加工されて、ワイン、ウイスキー等の製造に用いられる。オークには、ラクトン類、フェノール類、芳香族アルデヒド類、芳香族アルコール類等が含まれており、抽出物も利用されている。
【0003】
特許文献1には、ブナ科コナラ属植物のエタノール抽出物を、水やソーダ水にわずかに添加するだけで、それをアルコール飲料の割り材(ウイスキー用の水又はソーダ水)として用いたときに、そのアルコールの呈味が格段と向上することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-48692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、広く飲食品に利用できる、オークの酸性溶媒抽出物、その製造方法及び該抽出物を含む飲食品、並びに該抽出物を有効成分とする風味改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は、オークを酸性溶媒で抽出することで、シリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有するオーク抽出物が得られることを見出し、本発明を完成した。また、該オーク抽出物を有効成分とする風味改善剤として提供できる。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[10]の態様に関する。
[1]オークの酸性溶媒抽出物であって、シリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有するオーク抽出物。
[2]140℃以下で抽出したオークの酸性溶媒抽出物である、[1]記載のオーク抽出物。
[3]シリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有するオーク抽出物の製造方法であって、オークを酸性溶媒で抽出することを特徴とする、オーク抽出物の製造方法。
[4]オークを140℃以下で抽出する、[3]記載のオーク抽出物の製造方法。
[5][1]又は[2]記載のオーク抽出物を含む、飲食品又はタバコ製品。
[6]シリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有するオークの酸性溶媒抽出物を有効成分とする、風味改善剤。
[7]飲食品又はタバコ製品に、[1]又は[2]記載のオーク抽出物を含有させることで飲食品又はタバコ製品の風味を改善する、風味改善方法。
[8]ノンアルコール飲料のコク又は味の厚みを増強する、[7]記載の風味改善方法。
[9][6]記載の風味改善剤を含む、風味が改善された飲食品又はタバコ製品。
[10][6]記載の風味改善剤を含む、コク又は味の厚みが増強されたノンアルコール飲料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、シリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有するオーク抽出物が得られ、該抽出物を使用することで、飲食品の風味を改善でき、広く飲食品に利用できる有用な抽出物を提供できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施品1-1~1-7及び比較品1の各オーク抽出物における、シリンガアルデヒド及びバニリン濃度を示す。
図2】実施品2-1~2-5及び比較品2-1~2-3の各オーク抽出物における、シリンガアルデヒド及びバニリン濃度を示す。
図3】実施品3及び比較品3の各オーク抽出物を各ノンアルコール飲料に添加した際の官能評価結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のオーク抽出物は、シリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有するオーク抽出物であって、オークを酸性溶媒で抽出することで得られる。
【0011】
本発明に記載のオークは、ブナ科コナラ属に属する植物であって、例えばホワイトオーク、スパニッシュオーク、フレンチオーク、コモンオーク、ミズナラ、コナラ等が例示でき、単独又は二種類以上を組み合わせて使用してもよく、オークの木部を、チップ状、おが屑状、粉末状等に粉砕した粉砕物を使用するのが好ましい。また、焙煎、焙焼、燻す等の加熱処理を施し、香気成分を増強したものを使用してもよい。
【0012】
本発明の抽出物はオークの酸性溶媒抽出物であって、該抽出物は、シリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有する。該抽出物中のシリンガアルデヒド濃度は特に限定されないが、20~1,000ppmが好ましく、30~900ppmがより好ましく、40~800ppmがさらに好ましく、45~700ppmが特に好ましく、該抽出物はさらにバニリンを含むのが好ましく、該抽出物中のバニリン濃度は、8~500ppmが好ましく、10~400ppmがより好ましく、15~300ppmがさらに好ましく、20~200ppmが特に好ましい。尚、バニラ様風味を有するとは、バニラビーンズを乾燥・発酵させるキュアリング工程後に抽出されたバニラ香料の様な風味を有することを意味する。
【0013】
本発明の抽出物は、オークを酸性溶媒で抽出した抽出物であればよく、抽出条件は特に限定されないが、例えば抽出温度は30~150℃が例示でき、140℃以下が好ましく、40℃以上が好ましく、50~130℃がより好ましい。抽出時間は、抽出温度等により適宜調整できるが、例えば1分間~24時間が例示でき、2分間~12時間が好ましく、5分間~6時間がより好ましい。また、常圧条件下、加圧条件下の何れで抽出してもよく、還流抽出でもよい。
【0014】
本発明で使用する酸性溶媒は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、リン酸等の酸性物質を含む水溶液が例示できるが、有機酸水溶液が好ましく、酸性物質を含有する果汁、発酵液等を使用してもよく、単独又は二種類以上の酸性物質を組み合わせて使用してもよい。酸性溶媒中の酸性物質の濃度は特に限定されないが、1~90重量%が例示でき、2~85重量%が好ましく、5~80重量%がより好ましく、8重量%以上がさらに好ましい。酸性溶媒の量は、本発明の抽出物が得られれば特に限定されないが、前記オークを1重量部とした場合に、好ましくは0.5~100重量部、より好ましくは1~50重量部、さらに好ましくは2~20重量部である。
【0015】
本発明の抽出物は、抽出後に、不織布、メッシュ等を用いたろ過、遠心分離等により、固液分離することで得られる液体として利用するのが好ましく、さらに濃縮及び/又は乾燥し、濃縮品や乾燥品として利用してもよい。乾燥は、ドラムドライ、エアードライ、スプレードライ、真空乾燥及び/又は凍結乾燥等により行うことができる。
【0016】
また、本発明のオーク抽出物は、風味改善剤として利用でき、該風味改善剤はシリンガアルデヒドを含み、バニラ様風味を有するオークの酸性溶媒抽出物を有効成分とする。
【0017】
本発明のオーク抽出物又は風味改善剤は、飲食品、タバコ製品等に含有させることで、風味が改善された飲食品、タバコ等が得られる。特に、果汁飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、コーヒー、ココア、紅茶、お茶、ノンアルコール飲料等の非アルコール飲料、チューハイ、カクテルドリンク、ワイン、ビール系飲料、ウイスキー等のアルコール飲料等の飲料類、アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー等の冷菓類、プリン、クッキー、チューインガム、キャンディー等の和洋菓子類、ジャム類、パン類、スープ・ソース類、調味料等の食品、タバコ等に、本発明のオーク抽出物又は風味改善剤を添加することにより、良質な風味が付与・増強された飲食品、タバコ製品等を提供することができる。特に、ノンアルコール飲料のコク又は味の厚みを増強し、甘味料の後引きを改善し、柑橘風味を増強する等の効果を有する。
【0018】
本発明のオーク抽出物又は風味改善剤の各飲食品、タバコ製品等への添加量は特に限定されないが、好ましくは0.001~10重量%、より好ましくは0.01~5重量%、さらに好ましくは0.05~2重量%であって、該飲食品、タバコ製品等に対して、シリンガアルデヒドとして、0.001ppm以上の添加が好ましく、0.002ppm以上の添加がより好ましく、0.005ppm以上の添加がさらに好ましく、また、10ppm以下の添加が好ましく、8ppm以下の添加がより好ましく、5ppm以下の添加がさらに好ましい。また、バニリンとして、0.0005ppm以上の添加が好ましく、0.001ppm以上の添加がより好ましく、0.002ppm以上の添加がさらに好ましく、また、5ppm以下の添加が好ましく、2ppm以下の添加がより好ましく、1ppm以下の添加がさらに好ましい。
【実施例0019】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。尚、本発明において、%は別記がない限り全て重量%である。
【実施例0020】
オーク原料としてオークチップP.L20(DEMPTOS社製)1gに、10%クエン酸水溶液(実施例1-1)、20%クエン酸水溶液(実施例1-2)、30%クエン酸水溶液(実施例1-3)、40%クエン酸水溶液(実施例1-4)、25%乳酸水溶液(実施例1-5)、80%乳酸水溶液(実施例1-6)又は27%リン酸水溶液(実施例1-7)をそれぞれ9g加えて混合し、121℃で30分間抽出した後、遠心分離することにより各オーク抽出物(実施品1-1~1-7)を得た。
【0021】
[比較例1]
オーク原料としてオークチップP.L20 1gに、水を9g加えて混合し、121℃で30分間抽出した後、遠心分離することによりオーク抽出物(比較品1)を得た。
【0022】
[評価試験1]
実施品1-1~1-7及び比較品1の各オーク抽出物について、下記HPLC条件でバニリン及びシリンガアルデヒド濃度を測定し、結果を図1に示した。
【0023】
<HPLC測定条件>
検出器:UV検出器(282nm)
カラム:Develosil XG-C30M-5(内径4.6mm、長さ250mm、野村化学株式会社製)
移動相A:16容量%アセトニトリル水溶液(0.1容量%リン酸含有)
移動相B:28容量%アセトニトリル水溶液(0.1容量%リン酸含有)
グラジエント:移動相Aから移動相Bへのグラジエント(20分間)
流速:0.8ml/分
カラム温度:40℃
標品:バニリン(>98%、東京化成工業株式会社製)、シリンガアルデヒド(>98%、東京化成工業株式会社製)をそれぞれ50容量%アセトニトリル水溶液で適宜希釈し、それぞれの検量線を作成した。
【0024】
[評価試験2]
実施品1-1~1-7及び比較品1の各オーク抽出物について、それぞれ水道水に1%添加して、バニラ様風味の強さについて官能評価し、結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
図1及び表1より、実施品1-1~1-7の方が比較品1よりもバニリン濃度及びシリンガアルデヒド濃度が高く、実施品、比較品いずれもバニラ様の風味はあるが、実施品1-1~1-6でバニラ様の風味が強いことが分かった。よって、オークを酸性溶媒で抽出することで、水で抽出するより、バニリン及びシリンガアルデヒドが多く抽出され、バニラ様の風味を有する抽出物が得られることが分かった。
【実施例0027】
オーク原料としてオークチップP.L20 1gに、濃縮透明レモン果汁(クエン酸濃度:30%)9gを加えて混合し、50℃で240分間(実施例2-1)、100℃で30分間(実施例2-2)、100℃で120分間(実施例2-3)、121℃で30分間(実施例2-4)又は130℃で30分間(実施例2-5)抽出した後、遠心分離することにより各オーク抽出物(実施品2-1~2-5)を得た。
【0028】
[比較例2]
オーク原料としてオークチップP.L20 1gに、水(比較例2-1)、50容量%エタノール水溶液(比較例2-2)又は95容量%エタノール(比較例2-3)をそれぞれ9g加えて混合し、50℃で240分間抽出した後、遠心分離することにより各オーク抽出物(比較品2-1~2-3)を得た。
【0029】
[評価試験3]
実施品2-1~2-5及び比較品2-1~2-3の各オーク抽出物について、評価試験1と同様にしてバニリン及びシリンガアルデヒド濃度を測定し、結果を図2に示した。
【0030】
[評価試験4]
実施品2-1~2-5及び比較品2-1~2-3の各オーク抽出物について、それぞれ水道水に1%添加して、バニラ様風味の強さ及びアルコール臭の有無について官能評価し、結果を表2に示した。
【0031】
【表2】
【0032】
図2及び表2より、実施品2-1~2-5は、比較品2-1より、バニリン濃度及びシリンガアルデヒド濃度が高く、かつバニラ様の風味がやや強い又は強い抽出液であることが分かった。よって、オークを、クエン酸を含むレモン果汁で抽出することで、水で抽出するよりもバニリン及びシリンガアルデヒドが多く抽出され、バニラ様の風味が強い抽出液が得られることが分かり、また、抽出温度が高い方が、抽出量が増加傾向であることが分かった。尚、エタノール溶液で抽出した比較品2-2及び2-3は何れもバニリン濃度及びシリンガアルデヒド濃度が高く、かつバニラ様の風味が強い一方で、アルコール臭があり、オークを、エタノールを含む溶液で抽出するとバニリン及びシリンガアルデヒドは効率よく抽出されるが、アルコールを含み、アルコール臭がある抽出物となり、例えば20歳未満向けの飲食品には添加できない等、添加する飲食品が制限されてしまう。
【0033】
以上より、オークを酸性溶媒で抽出することで、バニリン及びシリンガアルデヒドを効率的に抽出でき、バニラ様の風味を有し、かつアルコール臭の無い抽出物が得られ、広く飲食品等に利用できる抽出物として有用であることが分かった。
【実施例0034】
オーク原料としてオークチップP.L20 2.5gに、濃縮透明レモン果汁(クエン酸濃度:30%)23.75gを加えて混合し、121℃で60分間抽出し、冷却後に水23.75gを加えて混合した後、遠心分離することによりオーク抽出物(実施品3)を得た。
【0035】
[比較例3]
オーク原料としてオークチップP.L20 2.5gに、水23.75gを加えて混合し、121℃で60分間抽出し、冷却後に濃縮透明レモン果汁(クエン酸濃度:30%)23.75gを加えて混合した後、遠心分離することによりオーク抽出物(比較品3)を得た。
【0036】
[評価試験5]
実施品3及び比較品3の各オーク抽出物について、評価試験1と同様にしてバニリン及びシリンガアルデヒド濃度を測定し、結果を表3に示した。また、標品に、p-クマル酸(>98%、東京化成工業株式会社製)及びフェルラ酸(>98%、東京化成工業株式会社製)を用いて同様に測定したが、p-クマル酸及びフェルラ酸は検出されなかった。
【0037】
【表3】
【0038】
[評価試験6]
実施品3及び比較品3の各オーク抽出物について、下記の各ノンアルコール飲料に0.2%添加して、官能評価し、結果を図3に示した。評価項目は、アルコール感、炭酸感、味のコク/厚み、味のキレ、柑橘風味、甘味料の後引きとし、「柑橘風味」は柑橘風味を有する飲料について、また、「甘味料」は甘味料を含有する飲料についてのみ評価した。官能評価は、添加前の飲料をブランクとし、ブランクを3として5段階評価(1:悪い、2:少し悪い、3:変化なし、4:少し改善、5:改善)で評価した。
・市販のウイスキー風味ノンアルコールハイボール(甘味料無し)
・市販のノンアルコール梅酒サワー(アセスルファムK及びスクラロース含有)
・市販のノンアルコールスパークリングワインロゼ(甘味料無し)
・市販のノンアルコールレモンチューハイ(アセスルファムK及びスクラロース含有)
【0039】
図3より、本発明のオーク抽出物を添加することで、全てのノンアルコール飲料で、味のコク/厚みの改善がみられ、さらに、甘味料含有飲料については、甘味料の後引きが改善され、また、柑橘風味を有する飲料については柑橘風味が改善されることが確認できた。さらに、アルコール感はウイスキー風味ノンアルコールハイボール、ノンアルコール梅酒サワー及びノンアルコールスパークリングワインで改善がみられ、味のキレは、ノンアルコール梅酒サワー及びノンアルコールスパークリングワインで改善がみられた。尚、炭酸感の改善は見られなかった。
【0040】
以上から、本発明のオーク抽出物は、ノンアルコール飲料にコク又は厚みを増強し、甘味料の後引きを改善し、柑橘風味を増強する等の効果を有し、ノンアルコール飲料の風味を改善できることが分かった。
図1
図2
図3