(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098952
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】集中市場の市況の分類表示システム及び分類表示方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20240717BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193029
(22)【出願日】2023-11-13
(31)【優先権主張番号】112101247
(32)【優先日】2023-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】508237708
【氏名又は名称】邱志宏
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】邱 志宏
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB52
5L055BB52
(57)【要約】
【課題】
今の集中市場にとって、取引データを有意義に分析・分類し、且つより直観的な方式で表示してユーザーによる参考と見積に供するための新しい表示システム及び表示方法が必要である。
【解決手段】
集中市場の市況の分類表示方法であって、取引データを取得し、現在の売買価格状態を確認し、売買価格状態に基づいて取引属性をマーキングし、取引属性に基づいて表示位置を決定し、出来高に基づいて取引者の身分を識別し、取引者の身分に基づいて表示スタイルを決定し、実際の市況アクティビティグラフにおける表示データを更新し、さらに、実際の市況アクティビティグラフにおける表示図形を更新する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分類表示システムに適用され、
a)前記分類表示システムにより取引システムから一つの取引データを取得するステップと、
b)現在の売買価格状態を確認するステップと、
c)前記売買価格状態に基づいて前記取引データの取引属性をマーキングするステップと、
d)前記取引属性に基づいて実際の市況アクティビティグラフにおける前記取引データの表示位置を決定するステップと、
e)前記取引データの出来高に基づいて取引者の身分を識別するステップと、
f)前記取引者の身分に基づいて前記実際の市況アクティビティグラフにおける前記取引データの表示スタイルを決定するステップと、
g)前記ステップf)の後に、前記実際の市況アクティビティグラフにおける表示データを更新するステップと、
h)前記ステップf)の後に、前記実際の市況アクティビティグラフにおける表示図形を更新するステップと、
を含む集中市場の市況の分類表示方法。
【請求項2】
i)前記実際の市況アクティビティグラフに対応する時間枠が経過する前に前記ステップa)~前記ステップh)を繰り返し実行するステップと、
j)前記実際の市況アクティビティグラフに対応する前記時間枠が経過した後に次の時間枠の前記実際の市況アクティビティグラフを作成するステップと、
h)前記ステップj)の後に、次の時間枠の前記実際の市況アクティビティグラフに基づいて前記ステップa)~前記ステップi)を再度実行するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の分類表示方法。
【請求項3】
前記売買価格状態が買い値、買い数量、売り値及び売り数量を含む、請求項2に記載の分類表示方法。
【請求項4】
前記取引属性が買い手主導及び売り手主導を含み、且つ前記ステップc)が、前記取引データの約定価格が前記買い値である場合に前記取引データに売り手主導の前記取引属性マークを付けるステップと、前記取引データの約定価格が前記売り値である場合に前記取引データに買い手主導の前記取引属性マークを付けるステップとを含む、請求項3に記載の分類表示方法。
【請求項5】
前記表示位置が前記実際の市況アクティビティグラフの片側にある買い手主導領域及び前記実際の市況アクティビティグラフの他側にある売り手主導領域を含み、且つ前記ステップd)が、買い手主導の前記取引属性を有する前記取引データを前記買い手主導領域に表示するステップと、売り手主導の前記取引属性を有する前記取引データを前記売り手主導領域に表示するステップとを含む、請求項4に記載の分類表示方法。
【請求項6】
前記ステップe)が、前記出来高が第一数値以上である場合に前記取引者の身分を主要株主又は大口投資家として識別するステップと、前記出来高が第二数値より低い場合に前記取引者の身分を個人投資家として識別するステップと、前記出来高が前記第一数値と前記第二数値の間にある場合に前記取引者の身分を準大口投資家として識別するステップとを含む、請求項5に記載の分類表示方法。
【請求項7】
前記ステップf)が、主要株主又は大口投資家が取引に参加し且つ買い手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第一表示スタイルに設定するステップと、主要株主又は大口投資家が取引に参加し且つ売り手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第二表示スタイルに設定するステップと、準大口投資家が取引に参加し且つ買い手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第三表示スタイルに設定するステップと、準大口投資家が取引に参加し且つ売り手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第四表示スタイルに設定するステップと、個人投資家が取引に参加し且つ買い手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第五表示スタイルに設定するステップと、個人投資家が取引に参加し且つ売り手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第六表示スタイルに設定するステップとを含む、請求項6に記載の分類表示方法。
【請求項8】
前記第一表示スタイル、前記第二表示スタイル、前記第三表示スタイル、前記第四表示スタイル、前記第五表示スタイル及び前記第六表示スタイルが異なる色で表示される、請求項7に記載の分類表示方法。
【請求項9】
前記ステップg)が前記取引データの前記取引属性及び前記出来高に基づいて前記表示データを更新するステップを含み、前記表示データが少なくとも前記時間枠における総出来高と、買い手主導型の取引の出来高と売り手主導型の取引の出来高の比と、買い手主導型の取引の出来高と売り手主導型の取引の出来高の差とを含む、請求項7に記載の分類表示方法。
【請求項10】
前記表示図形が価格順に並べられた複数の横棒を含み、前記ステップh)が前記取引データの前記表示位置及び前記表示スタイルに基づいて前記実際の市況アクティビティグラフにおける前記複数の横棒のうちの一つの長さを調整するステップを含む、請求項7に記載の分類表示方法。
【請求項11】
インターネットを介して取引システムに接続され、
前記取引システムに接続され、且つ前記取引システムから取引データをリアルタイムに取得するように構成される無線伝送ユニットと、
前記取引データを一時的に記憶するように構成される記憶ユニットと、
時間枠を設定するように構成されるヒューマンマシンインタフェースと、
前記時間枠に対応する実際の市況アクティビティグラフを表示するように構成される表示ユニットと、
前記無線伝送ユニット、前記記憶ユニット、前記ヒューマンマシンインタフェース及び前記表示ユニットに電気的に接続され、前記時間枠に基づいて前記実際の市況アクティビティグラフを作成し、且つ前記取引データに基づいて前記実際の市況アクティビティグラフにおける表示データを計算し、前記実際の市況アクティビティグラフに表示図形を描画するように構成され、且つ、
前記取引データが生成される時の売買価格状態を確認するように構成される価格監視モジュールと、
前記売買価格状態に基づいて前記取引データの取引属性をマーキングし、且つ前記取引属性に基づいて前記実際の市況アクティビティグラフにおける前記取引データの表示位置を決定するように構成される取引属性マーキングモジュールと、
前記取引データの出来高に基づいて取引者の身分を識別し、且つ前記取引者の身分に基づいて前記実際の市況アクティビティグラフにおける前記取引データの表示スタイルを決定するように構成される取引者身分識別モジュールと、
前記取引データに基づいて前記表示データを更新するように構成されるデータ計算モジュールと、
前記取引データに基づいて前記表示図形を更新するように構成される描画モジュールとを含むプロセッサと、
を含む集中市場の市況の分類表示システム。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記時間枠が経過する前に前記取引システムから前記取引データを持続的に取得し、前記実際の市況アクティビティグラフにおける前記表示データ及び前記表示図形を持続的に更新し、且つ前記時間枠が経過した後に次の時間枠の前記実際の市況アクティビティグラフを作成するように構成される、請求項11に記載の分類表示システム。
【請求項13】
前記売買価格状態が買い値、買い数量、売り値及び売り数量を含む、請求項12に記載の分類表示システム。
【請求項14】
前記取引属性が買い手主導及び売り手主導を含み、且つ前記取引属性マーキングモジュールが、前記取引データの約定価格が前記買い値である場合に前記取引データに売り手主導の前記取引属性マークを付け、前記取引データの約定価格が前記売り値である場合に前記取引データに買い手主導の前記取引属性マークを付けるように構成される、請求項13に記載の分類表示システム。
【請求項15】
前記表示位置が前記実際の市況アクティビティグラフの片側にある買い手主導領域及び前記実際の市況アクティビティグラフの他側にある売り手主導領域を含み、且つ前記プロセッサが、買い手主導の前記取引属性を有する前記取引データを前記買い手主導領域に表示し、売り手主導の前記取引属性を有する前記取引データを前記売り手主導領域に表示するように構成される、請求項14に記載の分類表示システム。
【請求項16】
前記取引者身分識別モジュールが、前記取引データの前記出来高が第一数値以上である場合に前記取引者の身分を主要株主又は大口投資家として識別し、前記出来高が第二数値より低い場合に前記取引者の身分を個人投資家として識別し、前記出来高が前記第一数値と前記第二数値の間にある場合に前記取引者の身分を準大口投資家として識別するように構成される、請求項15に記載の分類表示システム。
【請求項17】
前記プロセッサが、主要株主又は大口投資家が取引に参加し且つ買い手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第一表示スタイルに設定し、主要株主又は大口投資家が取引に参加し且つ売り手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第二表示スタイルに設定し、準大口投資家が取引に参加し且つ買い手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第三表示スタイルに設定し、準大口投資家が取引に参加し且つ売り手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第四表示スタイルに設定し、個人投資家が取引に参加し且つ買い手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第五表示スタイルに設定し、個人投資家が取引に参加し且つ売り手主導の前記取引属性を有する前記取引データの表示スタイルを第六表示スタイルに設定するように構成される、請求項16に記載の分類表示システム。
【請求項18】
前記第一表示スタイル、前記第二表示スタイル、前記第三表示スタイル、前記第四表示スタイル、前記第五表示スタイル及び前記第六表示スタイルが異なる色で表示される、請求項17に記載の分類表示システム。
【請求項19】
前記データ計算モジュールが、前記取引データの前記取引属性及び前記出来高に基づいて前記表示データを更新するように構成され、前記表示データが少なくとも前記時間枠における総出来高と、買い手主導型の取引の出来高と売り手主導型の取引の出来高の比と、買い手主導型の取引の出来高と売り手主導型の取引の出来高の差とを含む、請求項17に記載の分類表示システム。
【請求項20】
前記表示図形が価格順に並べられた複数の横棒を含み、前記描画モジュールが、前記取引データの前記表示位置及び前記表示スタイルに基づいて前記実際の市況アクティビティグラフにおける前記複数の横棒のうちの一つの長さを調整するように構成される、請求項17に記載の分類表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集中市場に関し、特に集中市場の市況を分類して表示するための分類表示システム及び分類表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集中市場(Centralized Market)に対する既存の取引システム及び取引ソフトウェアは、何れもバーチャート(Bar Chart)によりデータを表示している。
【0003】
図1を参照し、
図1には従来技術におけるバーチャートが示されている。バーチャート1は通常、一つの時間枠(例:1分間、5分間、10分間又は1時間など)内の全ての取引価格が統計された後に、それを縦棒で表示するためのものである。
図1に示すように、前記バーチャート1には前記時間枠内の始値11(即ち最初の取引の価格)、終値12(即ち最後の取引の価格)、安値13及び高値14が表示されている。
図1の実施例において、バーチャート1の左側にマークを付けることにより始値11を表示しており、且つ右側にマークを付けることにより終値12を表示している。なお、バーチャート1の下方には前記時間枠内に発生した総出来高10が別の縦棒で表示されている。
【0004】
さらに
図2を参照し、
図2には従来技術におけるローソク足チャートが示されている。一部の国(例:台湾)の集中市場では、取引システム及び取引ソフトウェアは主にローソク足チャート(Candlestick Chart)を用いて時間枠内の取引情報を表示している。前記バーチャート1と同様に、ローソク足チャート2には前記時間枠内の始値21、終値22、安値23及び高値24が表示されている。始値21が終値22より高い場合、図における太い枠の部分は第一色(例:緑色)で表示される。始値21が終値22より低い場合、図における太い枠の部分は第二色(例:赤色)で表示される。第一色及び第二色を通じて、ユーザーは前記時間枠内の市況動向を把握することができる。
【0005】
図2に示すように、
図1におけるバーチャート1と同様に、ローソク足チャート2の下方には前記時間枠内に発生した総出来高20が別の縦棒で表示されている。なお、前記縦棒の色はローソク足チャート2における太い枠の部分の色と同じである。
【0006】
但し、従来の取引システム及び取引ソフトウェアで使用されているバーチャート1及びローソク足チャート2は、時間枠内に発生した取引の価格及び出来高を表示することができるが、時間枠内に各価格で発生した実際の取引の数量を明確に表示することができない。例えば、前記バーチャート1及びローソク足チャート2は、1分間の時間枠内に1710~1725という価格帯で合計925の取引が発生したことを表示することができるが、1710の価格で発生した取引の数量を表示することができず、1711の価格で発生した取引の数量などを表示することもできず、これらの取引に秘められた深い意味を示すこともできない。
【0007】
そのため、今の集中市場にとって、取引データを有意義に分析・分類し、且つより直観的な方式で表示してユーザーによる参考と見積に供するための新しい表示システム及び表示方法が必要である。
【発明の概要】
【0008】
本発明の主要な目的は、時間枠内に発生した複数の取引の取引属性、取引者の身分、価格及び買い手と売り手の力関係などの具体的な情報を明確に示すことができる、集中市場の市況の分類表示システム及び分類表示方法を提供することである。
【0009】
前記目的を達成するために、本発明における集中市場の市況の分類表示方法は、以下のステップを含む。
a)分類表示システムにより取引システムから一つの取引データを取得する。
b)現在の売買価格状態を確認する。
c)前記売買価格状態に基づいて前記取引データの取引属性をマーキングする。
d)前記取引属性に基づいて実際の市況アクティビティグラフにおける前記取引データの表示位置を決定する。
e)前記取引データの出来高に基づいて取引者の身分を識別する。
f)前記取引者の身分に基づいて前記実際の市況アクティビティグラフにおける前記取引データの表示スタイルを決定する。
g)ステップf)の後に、前記実際の市況アクティビティグラフにおける表示データを更新する。
h)ステップf)の後に、前記実際の市況アクティビティグラフにおける表示図形を更新する。
前記目的を達成するために、本発明における集中市場の市況の分類表示システムは以下を含む。
無線伝送ユニットであって、前記取引システムに接続され、且つ前記取引システムから取引データをリアルタイムに取得するように構成される。
記憶ユニットであって、前記取引データを一時的に記憶するように構成される。
ヒューマンマシンインタフェースであって、時間枠を設定するように構成される。
表示ユニットであって、前記時間枠に対応する実際の市況アクティビティグラフを表示するように構成される。
プロセッサであって、前記無線伝送ユニット、前記記憶ユニット、前記ヒューマンマシンインタフェース及び前記表示ユニットに電気的に接続され、前記時間枠に基づいて前記実際の市況アクティビティグラフを作成し、且つ前記取引データに基づいて前記実際の市況アクティビティグラフにおける表示データを計算し、前記実際の市況アクティビティグラフに表示図形を描画するように構成され、且つ、
前記取引データが生成される時の売買価格状態を確認するように構成される価格監視モジュールと、
前記売買価格状態に基づいて前記取引データの取引属性をマーキングし、且つ前記取引属性に基づいて前記実際の市況アクティビティグラフにおける前記取引データの表示位置を決定するように構成される取引属性マーキングモジュールと、
前記取引データの出来高に基づいて取引者の身分を識別し、且つ前記取引者の身分に基づいて前記実際の市況アクティビティグラフにおける前記取引データの表示スタイルを決定するように構成される取引者身分識別モジュールと、
前記取引データに基づいて前記表示データを更新するように構成されるデータ計算モジュールと、
前記取引データに基づいて前記表示図形を更新するように構成される描画モジュールとを含む。
従来技術に比べ、本発明は深い意味を持つより多くの取引情報を単一の図形で表示し、それによりユーザーの市況動向に対する研究と判断のために役立つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】従来技術におけるローソク足チャートである。
【
図3】本発明における実際の市況アクティビティグラフの具体的な実施例1を示す図である。
【
図4】本発明における分類表示システムの具体的な実施例1を示すブロック図である。
【
図5】本発明における分類表示方法の具体的な実施例1を示すフロー図である。
【
図6】本発明における実際の市況アクティビティグラフの具体的な実施例2を示す図である。
【
図7B】本発明における実際の市況アクティビティグラフの動向を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい実施例について、図を参照して、以下のとおり詳しく説明する。
まず、
図3を参照されたい。
図3は本発明における実際の市況アクティビティグラフの具体的な実施例1を示す図である。本発明は集中市場の市況の分類表示システム及び分類表示方法(明細書において「分類表示システム」及び「分類表示方法」と略す)を開示しており、本発明では、分類表示システム及び分類表示方法によりリアルタイムの取引データを分析し且つ分類した後に、
図3に示される実際の市況アクティビティグラフ3(即ちActual Activity Graph、AAG)を作成する。
【0012】
本発明では、一枚のAAG3はユーザーにより設定された一つの時間枠、例えば1分間、5分間、10分間又は1時間などに対応している。分類表示システムは一つの時間枠内の複数の取引データに対して分析と分類を行い、且つ前記時間枠に対応する一枚のAAG3を作成する。言い換えれば、本発明はある完全な取引時間のために複数のAAG3を作成することができ、且つユーザーにより設定された時間枠は即ちAAG3の作成頻度になる。集中市場の完全な取引時間が4時間半であり、且つユーザーにより設定された時間枠が1分間であるとすれば、分類表示システムは完全な取引時間のために270枚のAAG3を作成することができる。
【0013】
図3に示すように、AAG3のY軸には約定価格41が表示されており(
図3では1710元~1725元の価格帯を例とする)、X軸には出来高42が表示されている。なお、AAG3には時間を基準(
図3では09:30)とする垂直基準線があり、且つ垂直基準線の両側にて買い手主導領域31及び売り手主導領域32が仕切られる。本発明の一つの技術的特徴は以下のとおりである。取引データは、分類表示システムにより買い手主導型の取引に分類される場合、AAG3の買い手主導領域31内に表示される。取引データは、分類表示システムにより売り手主導型の取引に分類される場合、AAG3の売り手主導領域32内に表示される。
【0014】
なお、本発明では、分類表示システムはさらに各取引データの出来高に基づいて前記取引データの取引者の身分を識別し、且つ取引者の身分に基づいてAAG3における前記取引データの表示スタイルを決定する(例:
図3において異なる取引者身分の取引データが異なるパターンの横方向バーチャートで表示されている)。
【0015】
図3の実施例において、前記表示スタイルは、主要株主又は大口投資家による買い手主導型の取引のデータを表示するための第一表示スタイル51と、主要株主又は大口投資家による売り手主導型の取引のデータを表示するための第二表示スタイル52と、準大口投資家による買い手主導型の取引のデータを表示するための第三表示スタイル53と、準大口投資家による売り手主導型の取引のデータを表示するための第四表示スタイル54と、個人投資家による買い手主導型の取引のデータを表示するための第五表示スタイル55と、個人投資家による売り手主導型の取引のデータを表示するための第六表示スタイル56を含む。
【0016】
図3の実施例において、前記第一表示スタイル51、第二表示スタイル52、第三表示スタイル53、第四表示スタイル54、第五表示スタイル55及び第六表示スタイル56はそれぞれ異なるパターンで表示され、例えば空白パターン、塗りつぶしパターン、横線パターン、縦線パターン、斜線パターン、及び点線パターンで表示される。
【0017】
もう一つの実施例において、前記第一表示スタイル51、第二表示スタイル52、第三表示スタイル53、第四表示スタイル54、第五表示スタイル55及び第六表示スタイル56はそれぞれ異なる色で表示される。例えば、第一表示スタイル51は赤色であってよく、第二表示スタイル52は青色であってよく、第三表示スタイル53はピンク色であってよく、第四表示スタイル54は緑色であってよく、第五表示スタイル55は浅い青色であってよく、第六表示スタイル56は浅い灰色であってよい。但し、前記実施例は本発明における一つの具体的な実施例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
図3及び
図4を併せて参照されたく、そのうち、
図4は本発明における分類表示システムの具体的な実施例1を示すブロック図である。本発明における分類表示システム6は、インターネットを介して集中市場(例:株式市場)の取引システム7に接続され、取引システム7から電子的にマッチングされた各取引データをリアルタイムに取得し、且つこれらの取引データに基づいて
図3に示されるAAG3を生成する。
【0019】
図4に示すように、分類表示システム6は主にプロセッサ61、無線伝送ユニット62、ヒューマンマシンインタフェース63、記憶ユニット64及び表示ユニット65を含み、ここでプロセッサ61は無線伝送ユニット62、ヒューマンマシンインタフェース63、記憶ユニット64及び表示ユニット65に電気的に接続される。
【0020】
一つの実施例において、分類表示システム6はサーバー、産業用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ又はスマートフォンなどの電子デバイス、周辺機器及びアプリケーションを組み合わせることで実現できる。前記アプリケーションにはコンピュータ上で実行可能なプログラムコードが含まれており、分類表示システム6はアプリケーションを実行することで、コンピュータ上で実行可能なプログラムコードにより本発明における分類表示方法を実行できる。
【0021】
無線伝送ユニット62は例えばWi-Fiモジュール、4Gモジュール、5Gモジュール又はブルートゥースモジュールなどであってよく、且つこれらに限定されない。分類表示システム6は無線伝送ユニット62を介して取引システム7に接続され、それにより取引時間内に約定した各取引のデータを取引システム7から持続的且つリアルタイムに取得する。一つの実施例において、各取引データは少なくとも約定時間、約定価格及び約定数量を含み、但しこれらに限定されない。
【0022】
記憶ユニット64は例えばメモリ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ又はキャッシュなどであってよく、且つこれらに限定されない。分類表示システム6は取引システム7から受信した取引データを記憶ユニット64に一時的に記憶する。
【0023】
一つの実施例において、分類表示システム6は前記アプリケーション(図示せず)を記憶ユニット64内に記憶している。分類表示システム6は、電源が入るとアプリケーションを実行し、それによりアプリケーションを通じて本発明における分類表示方法を実現させる。
【0024】
もう一つの実施例において、分類表示システム6はさらに記憶ユニット64内にクローラプログラム(図示せず)を記憶してもよい。分類表示システム6はクローラプログラムを実行することによってリアルタイム情報源(例:取引システム7)を監視し、ライブデータストリーム(Live data stream)の方式でリアルタイム情報源から現在のリアルタイム市況情報を取得し、且つ分類表示システム6に返す。このように、分類表示システム6は持続的に受信した情報に基づいて本発明におけるAAG3を順に構築することができる。即ち、分類表示システム6はクローラプログラムを、リアルタイムデータを取得するためのエントリープログラムとすることができる。
【0025】
ヒューマンマシンインタフェース63は例えばキーボード、マウス又は音声入力デバイスなどであってよく、且つこれらに限定されない。ユーザーはヒューマンマシンインタフェース63を介して分類表示システム6を操作し、必要な時間枠(例:1分間、5分間又は10分間など)を設定することができ、それにより分類表示システム6は設定された時間枠に基づいて対応するAAG3を作成する。
【0026】
一枚又は複数枚のAAG3が作成された後に、分類表示システム6は表示ユニット65によりそれらを表示することができる。一つの実施例において、分類表示システム6は複数枚のAAG3を横並びに順に表示している(
図6を参照)。このように、ユーザーは分類表示システム6により連続的に作成された複数枚のAAG3を通じて集中市場の現状を把握し、さらに現在の市況における強気筋/弱気筋の実際の状態を徹底的に把握することができる。
【0027】
プロセッサ61は例えば中央処理ユニット(Central Process Unit、CPU)、マイクロコントロールユニット(Micro Control Unit、MCU)、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller、PLC)又はシステムオンチップ(System on Chip、SoC)などであってよく、但しこれらに限定されない。本発明では、プロセッサ61はユーザーにより設定された時間枠に基づいて対応するAAG3を作成することができ、且つ取引システム7から取得した複数の取引データに基づいてAAG3における表示データを計算し、AAG3に表示図形を描画することができる(詳細は後述)。
【0028】
図3に示すように、プロセッサ61は価格監視モジュール611、取引属性マーキングモジュール612、取引者身分識別モジュール613、データ計算モジュール614及び描画モジュール615を含む。一つの実施例において、前記モジュール611-615はプロセッサ61内でハードウェアにより構成されたハードウェアモジュールである。もう一つの実施例において、プロセッサ61は前記アプリケーションを実行した後に、アプリケーションが実現させようとする機能に基づいて、内部において前記モジュール611-615を仮想的に構築し、即ち前記モジュール611-615はソフトウェアモジュールであってもよい。但し、前記実施例は本発明における具体的な実施例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
分類表示システム6が一つの取引データを取得すると、価格監視モジュール611は前記取引が成立する時の売買価格状態を確認する。取引属性マーキングモジュール612は現在の売買価格状態に基づいて前記取引データの取引属性をマーキングし、且つ取引属性に基づいてAAG3における前記取引データの表示位置を決定する。
【0030】
具体的には、取引を電子的にマッチングする現在の全ての集中市場は各取引の約定価格及び出来高をリアルタイムに提供するだけでなく、さらに買い値と買い数量(Bid price & Bid volume)、及び売り値と売り数量(Ask price & Ask volume)をリアルタイムに公表する。例えば、一つの取引の約定価格が1715元であり、現在の買い値が1715元であり、売り値が1716元である場合、これは買い手が1715元の価格で買おうとしており且つ売り手が1716元の価格で売ろうとしていることを意味しており、これは一部の国の集中市場では「セル、バイ」とも呼ばれる。本発明では、価格監視モジュール611により監視される売買価格状態は、一つの取引データが生成される時の買い値、買い数量、売り値及び売り数量を含む。
【0031】
前記説明に続き、次の取引の約定価格が1715元である場合、これは、1715元の価格で買えるようになるのを待っている買い手に、売り値よりも低い1715元の価格で主導的に売ろうとする売り手が現れたことを意味している。本発明では、取引属性マーキングモジュール612は前記取引が売り手主導型の取引に属すると判断し、さらに前記取引データに売り手主導の取引属性マークを付ける。逆に、次の取引の約定価格が1716元である場合、これは、1716元の価格で売れるようになるのを待っている売り手から、買い値よりも高い1716元の価格で主導的に買おうとする買い手が現れたことを意味している。本発明では、取引属性マーキングモジュール612は前記取引が買い手主導型の取引に属すると判断し、さらに前記取引データに買い手主導の取引属性マークを付ける。
【0032】
上記のように、本発明における取引属性マーキングモジュール612によりマーキングされる取引属性は買い手主導及び売り手主導を含み、且つ取引属性マーキングモジュール612は取引データの約定価格が買い値である場合、前記取引データに売り手主導の取引属性マークを付け、取引データの約定価格が売り値である場合、前記取引データに買い手主導の取引属性マークを付ける。
【0033】
時間枠内の各取引データにそれぞれ対応する取引属性マークを付けることにより、ユーザーは買い手が主導した取引の約定価格及び主導された買いの数量を容易に把握することができる(
図3に示される買い手主導領域31を参照)。同様に、ユーザーは売り手が主導した取引の約定価格及び主導された売りの数量を容易に把握することもできる(
図3に示される売り手主導領域32を参照)。
【0034】
本発明では、取引属性マーキングモジュール612は現在の売買価格状態に基づいて前記取引データの取引属性を動的に決定しているわけである。例えば、買い値が1716元になり且つ売り値が1717元になり、次の取引の約定価格が1716元である場合、取引属性マーキングモジュール612は前記取引が売り手主導型の取引に属すると判断し、取引データに売り手主導の取引属性マークを付ける。言い換えれば、同じ約定価格が繰り返し現れたとしても、市況が全く変化していないことを意味しているわけではない。本発明におけるAAG3を通じて、ユーザーは買い手の購入意思の強さ及び売り手の売却意思の強さの変化を容易に観察し、それにより強気筋/弱気筋の態度の変化を把握することができる。
【0035】
なお、集中市場の参加者(買い手と売り手を含む)は何れも異なる背景を有し(即ち、異なる素性を有する)、一般的には主要株主(major player)、大口投資家(big player)、準大口投資家(middle player)及び個人投資家(individual player)などに分けられる。主要株主及び大口投資家の出来高は一番高く、準大口投資家の出来高はこれに次ぎ、個人投資家の出来高は一番低い。取引者の身分が異なれば、市場に対する各取引の意義も異なる。
【0036】
本発明では、取引者身分識別モジュール613は取引データに記載された出来高に基づいて前記取引データの取引者の身分を識別し、例えば第一類取引者(主要株主又は大口投資家)であり、又は第二類取引者(準大口投資家)であり、又は第三類取引者(個人投資家)である。一つの取引データの取引者の身分を識別した後に、取引者身分識別モジュール613はさらに取引者の身分に基づいてAAG3における前記取引データの表示スタイルを決定する。
【0037】
一つの実施例において、取引者身分識別モジュール613は、一つの取引データの出来高が第一数値(例:20単位)より高い場合、前記取引データの取引者の身分を主要株主又は大口投資家として識別し、且つ一つの取引データの出来高が第二数値(例:10単位)より低い場合、前記取引データの取引者の身分を個人投資家として識別し、且つ一つの取引データの出来高が第一数値と第二数値の間にある場合、前記取引データの取引者の身分を準大口投資家として識別する。
【0038】
但し、前記実施例は本発明における一つの具体的な実施例に過ぎず、本発明における分類表示システム6はさらに出来高の数値に基づいて取引者の身分を四種類、五種類又は五種類以上に分けることができ、即ち前記三種類に限定されない。
【0039】
取引属性マーキングモジュール612によるマーキングを通じて、分類表示システム6は取引データの取引属性(買い手主導型の取引であるか、それとも売り手主導型の取引であるか)を得ることができる。取引者身分識別モジュール613による識別を通じて、分類表示システム6は前記取引を主導した取引者の種類(主要株主/大口投資家であるか、それとも準大口投資家であるか、それとも個人投資家であるか)を得ることができる。
【0040】
例えば、買い値が1716元であり且つ売り値が1717である時に、約定価格が1717元であり且つ出来高が20単位である取引データが生成された場合、分類表示システム6は前記取引が主要株主又は大口投資家による買い手主導型の取引であると認定できる。このような買い手主導型の取引は買い手の強い購入意思を反映することができる。このように、分類表示システム6は取得した各取引データを効果的に分類することができる。
【0041】
さらに例えば、買い値が1716元であり且つ売り値が1717である時に、約定価格が1716元であり且つ出来高が2単位である取引データが生成された場合、分類表示システム6は前記取引が個人投資家による売り手主導型の取引であると認定できる。このような売り手主導型の取引は売り手の売却意思を反映することができる。
【0042】
図4をさらに参照し、データ計算モジュール614は分類表示システム6により取得された取引データに基づいてAAG3における表示データを持続的に更新する。具体的には、本発明におけるデータ計算モジュール614は主に各取引データの取引属性及び出来高に基づいて現在のAAG3における表示データを更新している。
図3の実施例において、前記表示データは少なくとも前記時間枠内の総出来高、買い手主導型の取引の出来高と売り手主導型の取引の出来高の比、買い手主導型の取引の出来高と売り手主導型の取引の出来高の差を含む。但し、前記実施例は本発明における一つの具体的な実施例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
図3に示すように、各AAG3における垂直基準線の下方には現在の時間枠と(
図3において09:30を例とする)、前記時間枠内で取得した複数の取引データに基づいて算出されたデータとが表示されている。
図3の実施例において、買い手主導型の取引と売り手主導型の取引の総出来高は924単位であり、そのうち、買い手主導型の取引の出来高は売り手主導型の取引の出来高の1.45倍に相当し、且つ主導された買いの数量は主導された売りの数量よりも170単位多い(即ち、両者が相殺して残った買い数量は170単位になる)。
【0044】
図3の実施例において、主導された買いの出来高は主導された売りの出来高より高く、そのため前記表示データ(1.45及び170を含む)は正数で表される。その他の実施例において、主導された売りの出来高が主導された買いの出来高より高い場合、前記表示データにマイナス記号、下線又はその他の識別可能な文字や符号を付けることで表すことができる(
図7Bを参照)。
【0045】
図4をさらに参照し、描画モジュール615は分類表示システム6により取得された取引データに基づいてAAG3における表示図形を持続的に更新する。
【0046】
前述したように、本発明におけるAAG3は垂直基準線の片側(例:右側)にある買い手主導領域31及び垂直基準線の他側(例:左側)にある売り手主導領域32を含み、また、描画モジュール615は買い手主導の取引属性を有する複数の取引データに基づいて買い手主導領域31内に表示図形を描画し且つ更新を行い、同様に、売り手主導の取引属性を有する複数の取引データに基づいて売り手主導領域32内に表示図形を描画し且つ更新を行う。
【0047】
図3に示すように、AAG3における表示図形は価格順に並べられた複数の横棒を含み、各横棒はそれぞれ特定の種類の取引者(棒のスタイル)による特定の価格(棒の高さ)での出来高(棒の長さ)を表す。本発明では、分類表示システム6が一つの取引データを取得した後に、描画モジュール615は主にプロセッサ61により決定された前記取引データの表示位置及び表示スタイルに基づいて複数の横棒のうちの一本の長さを調整する。
【0048】
従って、
図3の実施例において、ユーザーはAAG3を通じて一つの時間枠(例:09:30~09:31)における市況が安値1710元と高値1725元の間で変動し且つ総出来高が924張であるということを把握できるだけでなく、第一類取引者(例:主要株主又は大口投資家)により主導された買いの価格と数量及び主導された売りの価格と数量、第二類取引者(例:準大口投資家)により主導された買いの価格と数量及び主導された売りの価格と数量、第三類取引者(例:個人投資家)により主導された買いの価格と数量及び主導された売りの価格と数量、及び主導された買いの出来高と主導された売りの出来高の比、並びに出来高の差などの詳しい情報をさらに把握することもできる。それにより、ユーザーは今後の市況を判断し把握する際に非常に有利な立場に立つことができる。
【0049】
さらに
図3、
図4及び
図5を併せて参照されたく、そのうち、
図5は本発明における分類表示方法の具体的な実施例1を示すフロー図である。
図5は本発明における分類表示方法の具体的な実施ステップを示しており、且つ分類表示方法は主に
図4に示される分類表示システム6に適用され、但しこれに限定されない。
【0050】
分類表示システム6が起動し且つ取引システム7に接続された後に、分類表示システム6は取引システム7から一つの取引データをリアルタイム取得し(即ちステップS51)、且つ分類表示システム6は取引データを取得する時の集中市場の売買価格状態を確認する(即ちステップS52)。続いて、分類表示システム6は現在の売買価格状態に基づいて前記取引データの取引属性をマーキングする(即ちステップS53)。具体的には、分類表示システム6は約定価格が買い値である場合に前記取引データに売り手主導の取引属性マークを付け、且つ約定価格が売り値である場合に前記取引データに買い手主導の取引属性マークを付ける。
【0051】
続いて、分類表示システム6はステップS53においてマーキングされた取引属性に基づいてAAG3における前記取引データの表示位置を決定する(即ちステップS54)。具体的には、前記取引データが買い手主導の取引属性を有する場合、分類表示システム6は前記取引データをAAG3の買い手主導領域31内に表示し、且つ前記取引データが売り手主導の取引属性を有する場合、分類表示システム6は前記取引データをAAG3の売り手主導領域32内に表示する。
【0052】
ステップS54の後、分類表示システム6はさらに前記取引データの出来高に基づいて取引者の身分を識別し(即ちステップS55)、且つさらに取引者の身分に基づいてAAG3における前記取引データの表示スタイルを決定する(即ちステップS56)。
【0053】
一つの実施例において、分類表示システム6は取引データの出来高が第一数値以上である場合に取引者の身分を主要株主又は大口投資家として識別し、さらに主要株主又は大口投資家が取引に参加し且つ買い手主導の取引属性を有する取引データの表示スタイルを第一表示スタイルに設定し、さらに主要株主又は大口投資家が取引に参加し且つ売り手主導の取引属性を有する取引データの表示スタイルを第二表示スタイルに設定する。
【0054】
一つの実施例において、分類表示システム6は取引データの出来高が第一数値より低く且つ第二数値以上である場合に取引者の身分を準大口投資家として識別し、さらに準大口投資家が取引に参加し且つ買い手主導の取引属性を有する取引データの表示スタイルを第三表示スタイルに設定し、さらに準大口投資家が取引に参加し且つ売り手主導の取引属性を有する取引データの表示スタイルを第四表示スタイルに設定する。
【0055】
一つの実施例において、分類表示システム6は取引データの出来高が第二数値より低い場合に取引者の身分を個人投資家として識別し、さらに個人投資家が取引に参加し且つ買い手主導の取引属性を有する取引データの表示スタイルを第五表示スタイルに設定し、さらに個人投資家が取引に参加し且つ売り手主導の取引属性を有する取引データの表示スタイルを第六表示スタイルに設定する。ここで、前記第一表示スタイルから第六表示スタイルはそれぞれ異なる表示スタイルであり、例えば異なる色、デザイン又は符号であってよい。
【0056】
続いて、分類表示システム6は前記取引データに基づいてAAG3における表示データを更新し(即ちステップS57)、それと同時に前記取引データに基づいてAAG3における表示図形を更新する(即ちS58)。
【0057】
さらに具体的に言えば、ステップS57において分類表示システム6は主に前記取引データの取引属性及び出来高に基づいてAAG3における表示データを更新し、ここで表示データは少なくとも前記時間枠内の総出来高、買い手主導型の取引の出来高と売り手主導型の取引の出来高の比、買い手主導型の取引の出来高と売り手主導型の取引の出来高の差を含む。なお、ステップS58において分類表示システム6は主に前記取引データの表示位置及び表示スタイルに基づいてAAG3における複数の横棒のうちの一つの長さを調整する。
【0058】
本発明では、分類表示システム6は起動した後にステップS51~ステップS58を持続的に実行し、且つ現在の時間枠が経過したか否かを持続的に判断し(即ちS59)、即ち、取得した取引データに基づいて現在のAAG3を更新するか、それとも次の時間枠のAAG3を作成するかを判断する。
【0059】
前述したように、本発明における分類表示システム6はユーザーにより設定された必要な時間枠をヒューマンマシンインタフェース63で取得し、且つ各時間枠に対応するAAG3をそれぞれ作成することができる。そのため、現在の時間枠(例:1分間又は5分間など)がまだ経過していないと判断する場合、分類表示システム6は同じAAG3に基づいてステップS51~ステップS58を繰り返し実行し、且つAAG3における表示データ及び表示図形を持続的に更新する。
【0060】
現在の時間枠が既に経過したと判断する場合、分類表示システム6はまず新たな取引データの取得を停止するか否かを判断する(即ちステップS60)。例えば、取引時間が終了した場合又は取引システム7との接続が無効になった場合、分類表示システム6は新たな取引データの取得を停止する。この時、分類表示システム6はAAG3の更新を続行せず、且つ本発明における分類表示方法を終わらせる。
【0061】
分類表示システム6が新たな取引データの取得を続行する場合、次の時間枠に対応する新たなAAG3を引き続き作成することができ(即ちステップS61)、且つ次の時間枠のAAG3に基づいてステップS51~ステップS58を繰り返し実行し、それによりこれから取得する取引データに基づいて次のAAG3の表示データ及び表示図形を持続的に更新することができる。
【0062】
上記のように、本発明における分類表示システム6及び分類表示方法により作成されたAAG3は時間枠内の安値、高値、総出来高及び各種類の取引者により主導された各価格での買い/売りの状況を直接的且つ明確に提供することができる。但し、ユーザーにとって一枚のAAG3だけでは市況動向を効果的に研究して判断するのに十分でない場合がある。
【0063】
併せて
図6を参照されたく、
図6は本発明における実際の市況アクティビティグラフの具体的な実施例2を示す図である。
図6に示すように、市場が一定の時間(例:半時間又は1時間)経過すると、分類表示システム6はユーザーの設定に基づいて複数枚のAAG3を作成することができ、それによりユーザーは複数枚のAAG3の情報を利用して市況動向を観察することができる。
図6では3分間以内の三枚のAAG3を例とするが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
例えば、市況が半時間前の状態に近づいている場合、ユーザーは前後の複数枚のAAG3を比較し、それにより同じ又は近い価格での各種類の取引者の動き及び市場センチメントの変化について判断を行うことができる。これに基づき、ユーザーは買い手としての取引者の購入意思の変化を容易に把握でき、さらに今後の市況動向をうまく見極めることができる。
【0065】
図7A及び
図7Bを併せて参照されたく、そのうち、
図7Aはバーチャートの動向を示す概略図であり、
図7Bは本発明における実際の市況アクティビティグラフの動向を示す概略図である。次に、従来のバーチャートと本発明におけるAAGを比較しながら、AAGのもたらす技術的効果について説明する。
【0066】
図7Aに示すように、従来のバーチャートで連続した下落を観察する場合、三本の縦棒の表す出来高は何れも非常に高く、且つ各時間枠の終値は何れも安値に極めて近い価格となっている。前記情報に基づき、ユーザーは下落トレンドが依然として強力であると大まかに判断することしかできない。これに対して、本発明で作成されたAAGにより、ユーザーは現在の実際の市況をより徹底的に把握することができる。
【0067】
図7Bの実施例から見れば、10:00~10:01の時間枠において買い手と売り手の間に激しい戦いが繰り広げられ、結果として売り手が優勢となり(即ち売り手主導型の取引の出来高は買い手主導型の取引の出来高より高い)、買い手が力及ばず、買い値を守り切れなかったことがわかる。
【0068】
続いて、10:02の時間枠において、約定価格が持続的に下落し且つ出来高が増加し続けていたことを把握できるだけでなく、AAGを見ればわかるように、買い手主導型の取引がほとんど発生しておらず(AAGの右側にある棒により示される)、これに対して売り手主導型の取引が大量発生していた。これに基づき、ユーザーは、売り手により持続的に主導されていた売り注文と、受動的に待機していた指値買い注文(waiting buy order)とが相殺して約定されていたと判断できる。ユーザーはさらにこれを、価格が安いにもかかわらず株が盛んに売却されていく兆候として捉えることができ、従って市場における売り注文は新規の売り注文(new sell)ではなく、古い売り注文(old sell)であり、受動的に約定する買い手による買い注文のうち、積極的な新規の買い注文(new buy)が大半を占めていたということがわかる。
【0069】
その後、10:05の時間枠において、総出来高は437で、買い手は優勢となって売り手の1.38倍に相当し、且つ買い手による出来高は売り手による出来高よりも70単位高く、且つ相場がほぼ元の価格に戻ったということがわかる。この時、ユーザーは、この下落-上昇の過程において売り手により主導された売り注文の出来高は買い注文より746単位(即ち124+100+592-70)高く、つまり受動的に待機している746単位の買い注文が、売り手により主導された売り注文と相殺して約定されたと判断できる。
【0070】
前記AAGにより提供された情報に基づき、ユーザーは、出来高が売り注文より70単位高い買い注文さえあれば相場を元の価格に戻せるということを把握することができ、なお、売り手は相場が下落する中で積極的に行動しようとせず、相場が下落する時の売り注文のほとんどは確かに古い売り注文であり、即ち、売り手は損失が拡大するのを回避するために株を売却していたわけである。また、今後の市場の中で相場を既知の安値よりも安くするためには、買い手が積極的に購入しようとし且つ746単位の買い注文が待ち受けているこの価格帯において、(1)買い手の取引参加の意欲が明らかに低下し又はなくなる、(2)より積極的に売却しようとする売り手が現れるという二つの条件のうちの少なくとも一つを満たす必要がある。
【0071】
上記を要約すると、本発明におけるAAGはWHO(例:大口投資家、主要株主、準大口投資家又は個人投資家)、WHAT(購入又は売却)、WHEN(時間枠)、WHERE(約定価格)及びHOW(主要株主と大口投資家の間の約定状況、又は主要株主/大口投資家と準大口投資家/個人投資家の間の約定状況)を明確に表示することができ、それによりユーザーがWHY(現在取引に参加している各種類の取引者の動機、目的、目論見ひいてはセンチメント)を推測するために必要な視点を提供し、推測を可能にする。
【0072】
以上の実施例は本発明の具体的な好ましい実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するためのものではなく、従って、本発明の内容を適用して行われた等価の変更は、何れも本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1:バーチャート
10、20:総出来高
11、21:始値
12、22:終値
13、23:安値
14、24:高値
2:ローソク足チャート
3:実際の市況アクティビティグラフ
31:買い手主導領域
32:売り手主導領域
41:約定価格
42:出来高
51:第一表示スタイル
52:第二表示スタイル
53:第三表示スタイル
54:第四表示スタイル
55:第五表示スタイル
56:第六表示スタイル
6:分類表示システム
61:プロセッサ
611:価格監視モジュール
612:取引属性マーキングモジュール
613:取引者身分識別モジュール
614:データ計算モジュール
615:描画モジュール
62:無線伝送ユニット
63:ヒューマンマシンインタフェース
64:記憶ユニット
65:表示ユニット
7:取引システム
S51~S61:表示ステップ