(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098957
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】局所的しきい値画像分析を使用する回路基板処理システム
(51)【国際特許分類】
G06V 30/162 20220101AFI20240717BHJP
H05K 3/00 20060101ALN20240717BHJP
【FI】
G06V30/162 A
H05K3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】33
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211123
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】63/438276
(32)【優先日】2023-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/438278
(32)【優先日】2023-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ナバ デュエリアス、 カルロス ファビアン
【テーマコード(参考)】
5B029
【Fターム(参考)】
5B029DD01
5B029DD05
5B029EE08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】文字認識の多く又はすべてを成功裏に分類することができる回路基板処理システムを提供する。
【解決手段】パッケージ処理システムは、パネルを処理する回路基板処理システムであって、パネルの表面に刻印された文字のデジタル画像を取得するべく構成される文字認識システムを含む。一例において、このシステムは、文字の画像に対して画像解析を行うことと、画像解析に基づいて文字を分類することと、を行う。画像解析は、文字の2値化画像を与えるべく画像の一以上の局所域に局所しきい値を適用することを含み、一以上の局所域の各局所域に適用される局所しきい値が、各対応局所域まわりの画素情報に基づく。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを処理する回路基板処理システムであって、
前記パネルの表面に刻印された文字のデジタル画像を取得するべく構成される文字認識システムを含み、
前記文字認識システムはさらに、
前記文字のデジタル画像に対して画像解析を行うことと、
前記画像解析に基づいて前記文字を分類することと
を行うように構成され、
前記画像解析は、前記文字の2値化画像を与えるべく前記デジタル画像の一以上の局所域に局所しきい値を適用することを含み、
前記一以上の局所域の各局所域に適用される局所しきい値が、各対応局所域まわりの画素情報に基づく、回路基板処理システム。
【請求項2】
前記画像解析はさらに、前記局所しきい値を適用した後に前記文字のデジタル画像にコントラスト平坦化を適用することを含む、請求項1の回路基板処理システム。
【請求項3】
前記文字認識システムはさらに、文字の全体未満を取得するべく前記デジタル画像に断片化サーチ領域を適用して前記文字の全体未満に前記画像解析を適用するように構成される、請求項2の回路基板処理システム。
【請求項4】
前記文字認識システムはさらに、前記断片化サーチ領域を、前記文字への損傷の解析に基づいて決定するように構成される、請求項3の回路基板処理システム。
【請求項5】
前記画像解析に基づいて前記文字を成功裏に分類できない場合、前記文字認識システムはさらに、全体しきい値を前記2値化デジタル画像に適用して前記文字の第2の2値化デジタル画像を与えるように構成される、請求項1の回路基板処理システム。
【請求項6】
前記文字認識システムはさらに、前記文字が成功裏に分類されるまで、前記文字の一連の2値化デジタル画像を与えるべく全体しきい値を反復的に適用するように構成され、各反復は異なる全体しきい値を有する、請求項5の回路基板処理システム。
【請求項7】
前記画素情報は、各対応局所域の画素に隣接する隣接画素の、一以上の画素強度値を含む、請求項1の回路基板処理システム。
【請求項8】
前記画像解析はさらに、前記文字全体の2値化画像を与えるべく前記デジタル画像の複数の局所域に局所しきい値を適用することを含む、請求項1の回路基板処理システム。
【請求項9】
前記パネルは、一緒になるように接合される一アレイのユニットを含み、各ユニットは表面を有し、前記パネルは前記一アレイのユニットの外側に表面を含み、前記文字は各ユニットの表面に刻印される、請求項1の回路基板処理システム。
【請求項10】
パッケージモジュールを製作する方法であって、
一緒になるように接合される一アレイのユニットを有するパネルを形成又は提供することであって、各ユニットは表面を有し、前記パネルは前記一アレイのユニットの外側に表面を含むことと、
前記一アレイのユニットから一定数のパッケージモジュールを生産することであって、各パッケージモジュールは表面を含むことと、
前記パネルの表面の一部又はすべて、各ユニットの表面、及び各パッケージモジュールの表面のそれぞれに刻印された文字のデジタル画像を取得するべく文字認識プロセスを行うことと
を含み、
前記文字認識プロセスは、
前記文字の2値化画像を与えるべくデジタル画像の、一以上の局所域に局所しきい値を適用することを含む画像解析を行うことと、
前記画像解析に基づいて前記文字を分類することと
を含み、
前記一以上の局所域の各局所域に適用される局所しきい値は、各対応局所域まわりの画素情報に基づく、パッケージモジュールを製作する方法。
【請求項11】
前記画像解析を行うことはさらに、前記局所しきい値を適用した後に前記文字のデジタル画像にコントラスト平坦化を適用することを含む、請求項10のパッケージモジュールを製作する方法。
【請求項12】
前記文字認識プロセスを行うことはさらに、文字の全体未満を取得するべく断片化サーチ領域を前記デジタル画像に適用することと、前記文字の全体未満に対して前記画像解析を適用することとを含む、請求項11のパッケージモジュールを製作する方法。
【請求項13】
前記文字認識プロセスを行うことはさらに、前記文字への損傷の解析に基づいて前記断片化サーチ領域を決定することを含む、請求項12のパッケージモジュールを製作する方法。
【請求項14】
前記画像解析に基づいて前記文字を成功裏に分類できない場合、前記文字認識プロセスはさらに、全体しきい値を前記デジタル画像に適用して前記文字の第2の2値化デジタル画像を与えることを含む、請求項10のパッケージモジュールを製作する方法。
【請求項15】
前記文字認識プロセスはさらに、前記文字が成功裏に分類されるまで、前記文字の一連の2値化デジタル画像を与えるべく全体しきい値を反復的に適用することを含み、各反復は異なる全体しきい値を有する、請求項14のパッケージモジュールを製作する方法。
【請求項16】
前記画素情報は、各対応局所域の画素に隣接する隣接画素の、一以上の画素強度値を含む、請求項10のパッケージモジュールを製作する方法。
【請求項17】
前記文字認識プロセスはさらに、前記文字全体の2値化画像を与えるべく前記デジタル画像の複数の局所域に局所しきい値を適用することを含む、請求項10パッケージモジュールを製作する方法。
【請求項18】
パネルを処理する回路基板処理システムであって、
前記パネルの表面に刻印された文字のデジタル画像を取得するべく構成される文字認識システムを含み、
前記文字認識システムはさらに、
前記文字の全体未満を取得するべく断片化サーチ領域を前記デジタル画像に適用することと、
前記文字の全体未満に画像解析を適用することと、
前記画像解析に基づいて前記文字を分類することと
を行うように構成される、回路基板処理システム。
【請求項19】
前記文字認識システムはさらに、前記文字への損傷の解析に基づいて前記断片化サーチ領域を決定するように構成される、請求項18の回路基板処理システム。
【請求項20】
前記文字認識システムはさらに、前記文字への損傷の解析に基づいて前記文字への少なくとも一部の損傷を除外するように前記断片化サーチ領域を決定するように構成される、請求項19の回路基板処理システム。
【請求項21】
前記画像解析は、前記文字の2値化画像を与えるべく前記デジタル画像の、一以上の局所域に局所しきい値を適用することを含み、前記一以上の局所域の各局所域に適用される局所しきい値は、各対応局所域まわりの画素情報に基づく、請求項18の回路基板処理システム。
【請求項22】
前記画素情報は、各対応局所域の画素に隣接する隣接画素の、一以上の画素強度値を含む、請求項21の回路基板処理システム。
【請求項23】
前記画像解析はさらに、前記局所しきい値を適用した後に前記文字のデジタル画像にコントラスト平坦化を適用することを含む、請求項18の回路基板処理システム。
【請求項24】
前記画像解析に基づいて前記文字を成功裏に分類できない場合、前記文字認識システムはさらに、全体しきい値を前記2値化デジタル画像に適用して前記文字の2値化デジタル画像を与えるように構成される、請求項18の回路基板処理システム。
【請求項25】
前記文字認識システムはさらに、前記文字が成功裏に分類されるまで、前記文字の一連の2値化デジタル画像を与えるべく全体しきい値を反復的に適用するように構成され、各反復は異なる全体しきい値を有する、請求項24の回路基板処理システム。
【請求項26】
前記画像解析はさらに、前記文字全体の2値化画像を与えるべく前記デジタル画像の複数の局所域に局所しきい値を適用することを含む、請求項18の回路基板処理システム。
【請求項27】
パッケージモジュールを製作する方法であって、
一緒になるように接合される一アレイのユニットを有するパネルを形成又は提供することであって、各ユニットは表面を有し、前記パネルは前記一アレイのユニットの外側に表面を含むことと、
前記一アレイのユニットから一定数のパッケージモジュールを生産することであって、各パッケージモジュールは表面を含むことと、
前記パネルの表面の一部又はすべて、各ユニットの表面、及び各パッケージモジュールの表面のそれぞれに刻印された文字のデジタル画像を取得するべく文字認識プロセスを行うことと
を含み、
前記文字認識プロセスは、
前記文字の全体未満を取得するべく断片化サーチ領域を前記デジタル画像に適用することと、
前記文字の全体未満に画像解析を適用することと、
前記画像解析に基づいて前記文字を分類することと
を含む、パッケージモジュールを製作する方法。
【請求項28】
前記文字認識プロセスを行うことは、前記文字への損傷の解析に基づいて前記断片化サーチ領域を決定することを含む、請求項27のパッケージモジュールを製作する方法。
【請求項29】
前記文字認識プロセスを行うことは、前記文字への損傷の解析に基づいて前記文字への損傷の少なくとも一部を除外するように前記断片化サーチ領域を決定することを含む、請求項28のパッケージモジュールを製作する方法。
【請求項30】
前記画像解析は、前記文字の2値化画像を与えるべく前記デジタル画像の、一以上の局所域に局所しきい値を適用することを含み、前記一以上の局所域の各局所域に適用される局所しきい値は、各対応局所域まわりの画素情報に基づき、前記画素情報は、各対応局所域の画素に隣接する隣接画素の、一以上の画素強度値を含む、請求項27のパッケージモジュールを製作する方法。
【請求項31】
前記画像解析はさらに、前記局所しきい値を適用した後に前記文字のデジタル画像にコントラスト平坦化を適用することを含む、請求項27のパッケージモジュールを製作する方法。
【請求項32】
前記画像解析に基づいて前記文字を成功裏に分類できない場合、前記文字認識システムはさらに、全体しきい値を前記2値化デジタル画像に適用して前記文字の2値化デジタル画像を与えるように構成される、請求項27のパッケージモジュールを製作する方法。
【請求項33】
前記文字認識システムはさらに、前記文字が成功裏に分類されるまで、前記文字の一連の2値化デジタル画像を与えるべく全体しきい値を反復的に適用するように構成され、各反復は異なる全体しきい値を有する、請求項32の回路基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は回路基板処理システムに関する。詳しくは、本開示の実施形態は、パネルを処理するべく構成される回路基板処理システム、並びに対応するパッケージモジュール処理システム、及びパッケージモジュールを製作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクスアプリケーションにおいて、パッケージモジュールは、一定数の製作プロセスステップにおいて製造される。かかるプロセスステップは、プロセスステップの様々な段階の間にパッケージモジュールの、例えば、識別を与える文字の刻印を含み得る。
【0003】
電力増幅器のようなパッケージモジュールを製作することは困難となり得る。多くの不確定要素が、欠陥モジュールの生産をもたらし得る。例えば、不純物が意図せずに導入され得るのは、生産の異なる段階の間に、例えば、製作環境によってであり、又は製作及び/若しくはパッケージングの機械のオペレータによってである。さらに、モジュールの製作及び/又はパッケージング中に、落下、衝突、振動等から、傷又は他の損傷が生じ得る。
【0004】
欠陥モジュールによる収益損失により引き起こされる金銭的損失に加え、製造業者は、欠陥モジュールを識別して生産ラインから除去するための金銭的及び人的双方のリソースを費やす。さらに、欠陥モジュールを識別して除去するために生産を中断すると、製造業者の歩留まりが低下し、さらなる損失につながり得る。
【0005】
成形バリは、射出成形部品の表面に形成される余剰プラスチックであるが、これは、特定のモジュールの識別を妨げるパネル又は回路基板上の識別子又は文字に損傷を与え得る。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態によれば、パネルを処理するべく構成される回路基板処理システムが与えられる。このシステムは、パネルの表面に刻印された文字のデジタル画像を取得するべく構成される文字認識システムを含み、この文字認識システムはさらに、画像解析を行うことと、画像解析に基づいて文字を分類することとを行うように構成され、画像解析は、文字の2値化画像を与えるべくデジタル画像の、一以上の局所域に対して局所しきい値を適用することを含み、一以上の局所域の各局所域に適用される局所しきい値は、それぞれの対応局所域まわりの画素情報に基づく。
【0007】
一例において、画像解析はさらに、局所しきい値を適用した後に、文字のデジタル画像にコントラスト平坦化を適用することを含む。
【0008】
一例において、文字認識システムはさらに、文字の全体未満を取得するべく断片化サーチ領域をデジタル画像に適用することと、文字の全体未満に対して画像解析を適用することとを行うように構成される。
【0009】
一例において、文字認識システムはさらに、文字への損傷の解析に基づいて断片化サーチ領域を決定するように構成される。
【0010】
一例において、画像解析に基づいて文字を成功裏に分類できない場合、文字認識システムはさらに、全体しきい値を2値化デジタル画像に適用して文字の第2の2値化デジタル画像を与えるように構成される。
【0011】
一例において、文字認識システムはさらに、文字が成功裏に分類されるまで、文字の一連の2値化デジタル画像を与えるべく全体しきい値を反復的に適用するように構成される。各反復は異なる全体しきい値を有する。
【0012】
一例において、画素情報は、各対応局所域の画素に隣接する隣接画素の、一以上の画素強度値を含む。
【0013】
一例において、画像解析は、文字全体の2値化画像を与えるべくデジタル画像の複数の局所域に局所しきい値を適用することを含む。
【0014】
一例において、パネルは、一緒になるように接合される一アレイのユニットを含む。各ユニットは表面を有し、パネルは、一アレイのユニットの外側に表面を含む。
【0015】
一例において、文字は、各ユニットの表面に刻印される。
【0016】
他実施形態によれば、一緒になるように接合される一アレイのユニットを有するパネルを処理するべく構成される回路基板処理システムと、一アレイのユニットから一定数のパッケージモジュールを生成するべく構成されるモジュール処理システムと、パネルの表面に刻印された文字のデジタル画像を取得するべく構成される文字認識システムとを含むパッケージモジュール処理システムが与えられる。各ユニットは表面を有し、パネルは、一アレイのユニットの外側に表面を含み、各パッケージモジュールは表面を含み、文字認識システムはさらに、文字のデジタル画像に対して画像解析を行うことであって、画像解析は、文字の2値化画像を与えるべくデジタル画像の、一以上の局所域に局所しきい値を適用することを含むことと、画像解析に基づいて文字を分類することとを行うように構成され、一以上の局所域の各局所域に適用される局所しきい値は、各対応局所域まわりの画素情報に基づく。
【0017】
他実施形態によれば、パッケージモジュールを製作する方法が与えられる。この方法は、一緒になるように接合される一アレイのユニットを有するパネルを形成又は提供することであって、各ユニットは表面を含み、パネルは一アレイのユニットの外側に表面を含むことと、一アレイのユニットから一定数のパッケージモジュールを生成することであって、各パッケージモジュールは表面を有することと、パネルの表面の一部又はすべて、各ユニットの表面、及び各パッケージモジュールの表面のそれぞれに刻印された文字のデジタル画像を取得するべく文字認識プロセスを行うこととを含み、文字認識プロセスは、文字の2値化画像を与えるべくデジタル画像の、一以上の局所域に局所しきい値を適用することを含む画像解析を行うことと、画像解析に基づいて文字を分類することとを含み、一以上の局所域の各局所域に適用される局所しきい値は、各対応局所域まわりの画素情報に基づく。
【0018】
一例において、画像解析を行うことはさらに、局所しきい値を適用した後に、文字のデジタル画像にコントラスト平坦化を適用することを含む。
【0019】
一例において、文字認識プロセスを行うことはさらに、文字の全体未満を取得するべく断片化サーチ領域をデジタル画像に適用することと、文字の全体未満に対して画像解析を適用することとを含む。
【0020】
一例において、文字認識プロセスを行うことはさらに、文字への損傷の解析に基づいて断片化サーチ領域を決定することを含む。
【0021】
一例において、画像解析に基づいて文字を成功裏に分類できない場合、文字認識プロセスはさらに、全体しきい値をデジタル画像に適用して文字の第2の2値化デジタル画像を与えることを含む。
【0022】
一例において、文字認識プロセスはさらに、文字が成功裏に分類されるまで、文字の一連の2値化デジタル画像を与えるべく全体しきい値を反復的に適用することを含む。各反復は異なる全体しきい値を有する。
【0023】
一例において、画素情報は、各対応局所域の画素に隣接する隣接画素の、一以上の画素強度値を含む。
【0024】
一例において、文字認識プロセスはさらに、文字全体の2値化画像を与えるべくデジタル画像の複数の局所域に局所しきい値を適用することを含む。
【0025】
一例において、文字は、各ユニットの表面に刻印される。
【0026】
他実施形態によれば、パネルを処理するように構成される回路基板処理システムが与えられる。このシステムは、パネルの表面に刻印された文字のデジタル画像を取得するべく構成される文字認識システムを含み、この文字認識システムはさらに、文字の全体未満を取得するべく断片化サーチ領域をデジタル画像に適用して当該文字の全体未満に画像解析を適用することと、画像解析に基づいて文字を分類することとを行うように構成される。
【0027】
一例において、文字認識システムはさらに、文字への損傷の解析に基づいて断片化サーチ領域を決定するように構成される。
【0028】
一例において、文字認識システムは、文字への損傷の解析に基づいて文字への少なくとも一部の損傷を除外するように断片化サーチ領域を決定するように構成される。
【0029】
一例において、画像解析は、文字の2値化画像を与えるべくデジタル画像の、一以上の局所域に局所しきい値を適用することを含む。一以上の局所域の各局所域に適用される局所しきい値は、各対応局所域まわりの画素情報に基づく。
【0030】
一例において、画素情報は、各対応局所域の画素に隣接する隣接画素の、一以上の画素強度値を含む。
【0031】
一例において、画像解析はさらに、局所しきい値を適用した後に、文字のデジタル画像にコントラスト平坦化を適用することを含む。
【0032】
一例において、画像解析に基づいて文字を成功裏に分類できない場合、文字認識システムはさらに、全体しきい値を2値化デジタル画像に適用して文字の2値化デジタル画像を与えるように構成される。
【0033】
一例において、文字認識システムはさらに、文字が成功裏に分類されるまで、文字の一連の2値化デジタル画像を与えるべく全体しきい値を反復的に適用するように構成される。各反復は異なる全体しきい値を有する。
【0034】
一例において、画像解析は、文字全体の2値化画像を与えるべくデジタル画像の複数の局所域に局所しきい値を適用することを含む。
【0035】
一例において、パネルは、一緒になるように接合される一アレイのユニットを含む。各ユニットは表面を有し、パネルは、一アレイのユニットの外側に表面を含む。
【0036】
一例において、文字は、各ユニットの表面に刻印される。
【0037】
他実施形態によれば、パッケージモジュール処理システムが与えられる。このパッケージモジュール処理システムは、一緒になるように接合される一アレイのユニットを有するパネルを処理するべく構成される回路基板処理システムと、一アレイのユニットから一定数のパッケージモジュールを生成するべく構成されるモジュール処理システムと、パネルの表面に刻印された文字のデジタル画像を取得するべく構成される文字認識システムとを含み、各ユニットは表面を含み、パネルは一アレイのユニットの外側に表面を含み、各パッケージモジュールは表面を含み、文字認識システムはさらに、文字の全体未満を取得するべく断片化サーチ領域をデジタル画像に適用して当該文字の全体未満に画像解析を適用することと、画像解析に基づいて文字を分類することとを行うように構成される。
【0038】
他実施形態によれば、パッケージモジュールを製作する方法が与えられる。この方法は、一緒になるように接合される一アレイのユニットを有するパネルを形成又は提供することであって、各ユニットは表面を含み、パネルは一アレイのユニットの外側に表面を含むことと、一アレイのユニットから一定数のパッケージモジュールを生産することであって、各パッケージモジュールは表面を有することと、パネルの表面の一部又はすべて、各ユニットの表面、及び各パッケージモジュールの表面のそれぞれに刻印された文字のデジタル画像を取得するべく文字認識プロセスを行うこととを含み、文字認識プロセスは、文字の全体未満を取得するべく断片化サーチ領域をデジタル画像に適用して当該文字の全体未満に画像解析を適用することと、画像解析に基づいて文字を分類することとを含む。
【0039】
一例において、文字認識プロセスを行うことは、文字への損傷の解析に基づいて断片化サーチ領域を決定することを含む。
【0040】
一例において、文字認識プロセスを行うことは、文字への損傷の解析に基づいて文字への少なくとも一部の損傷を除外するように断片化サーチ領域を決定することを含む。
【0041】
一例において、画像解析は、文字の2値化画像を与えるべくデジタル画像の、一以上の局所域に局所しきい値を適用することを含む。一以上の局所域の各局所域に適用される局所しきい値は、各対応局所域まわりの画素情報に基づく。
【0042】
一例において、画素情報は、各対応局所域の画素に隣接する隣接画素の、一以上の画素強度値を含む。
【0043】
一例において、画像解析はさらに、局所しきい値を適用した後に、文字のデジタル画像にコントラスト平坦化を適用することを含む。
【0044】
一例において、画像解析に基づいて文字を成功裏に分類できない場合、文字認識システムはさらに、全体しきい値を2値化デジタル画像に適用して文字の2値化デジタル画像を与えるように構成される。
【0045】
一例において、文字認識システムはさらに、文字が成功裏に分類されるまで、文字の一連の2値化デジタル画像を与えるべく全体しきい値を反復的に適用するように構成される。各反復は異なる全体しきい値を有する。
【0046】
これらの典型的な側面及び実施形態の、さらなる他の側面、実施形態及び利点が以下に詳述される。ここに開示される実施形態は、ここに開示される原理の少なくとも一つに整合する任意の態様で他の実施形態と組み合わせてよく、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一代替実施形態」、「さまざまな実施形態」、「一つの実施形態」等への参照は、必ずしも相互に排他的ではなく、記載される特定の特徴、構造又は特性が少なくとも一つの実施形態に含まれ得ることを示す意図である。ここでのかかる用語が現れても、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照するわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
少なくとも一つの実施形態の様々な側面が、縮尺どおりに描かれることを意図いない添付図面を参照して以下に説明される。図面は、様々な側面及び実施形態の例示及びさらなる理解を与えるべく含まれており、本明細書に組み入れられて本明細書の一部を構成するが、本発明の限界を画定するように意図されるわけではない。図面において、様々な図面に示される同一又はほぼ同一のコンポーネントはそれぞれが同じ番号によって表される。明確性を目的として、すべての図面にすべてのコンポーネントが標識されるわけではない。
【0048】
【
図1】本発明の複数の側面に係る文字認識システムの模式図である。
【
図2】本発明の複数の側面に係る
図1の文字認識システムを含むパッケージモジュール処理システムの模式図である。
【
図3】本開示の複数の側面に従って複数のパッケージモジュールを製造する製作プロセスを受けるパネルフォーマットにある一アレイのユニットの模式図である。
【
図4】本開示の複数の側面に係る個別のパッケージモジュールの模式図である。
【
図5】文字が損傷を受けていない回路基板上の文字のデジタル画像の一例である。
【
図6】いくつかの文字が損傷を受けている回路基板上の文字のデジタル画像の一例である。
【
図7】いくつかの文字が損傷を受けている回路基板上の文字のデジタル画像の一例である。
【
図8】いくつかの文字が損傷を受けている回路基板上の文字のデジタル画像の一例である。
【
図9A】本開示の複数の側面に係る回路基板処理システムによって処理される回路基板上の文字のデジタル画像の一例である。
【
図9B】本開示の複数の側面に係る回路基板処理システムによる局所しきい値を使用した処理が完了した2値化デジタル画像である。
【
図9C】本開示の複数の側面に係る回路基板処理システムによる局所しきい値を使用した処理が完了した2値化デジタル画像である。
【
図10A】本開示の複数の側面に係る回路基板処理システムによる処理が完了した2値化デジタル画像である。
【
図10B】本開示の複数の側面に係る回路基板処理システムによる断片化サーチ領域を使用した処理が完了した2値化デジタル画像である。
【
図10C】本開示の複数の側面に係る回路基板処理システムによる処理が完了した2値化デジタル画像である。
【
図10D】本開示の複数の側面に係る回路基板処理システムによる断片化サーチ領域を使用した処理が完了した2値化デジタル画像である。
【
図11A】本開示の複数の側面に係る回路基板処理システムによる処理が完了した2値化デジタル画像である。
【
図11B】本開示の複数の側面に係る回路基板処理システムによる断片化サーチ領域を使用した処理が完了した2値化デジタル画像である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
ここに記載されるのは、回路基板の処理に関する、詳しくは、回路基板に印刷された識別子又は文字の読み取りと、無線周波数(RF)回路及びワイヤボンドベースの電磁(EM)アイソレーション構造を含み得るパッケージモジュールの製作とに関する、システム、装置、デバイス構造、材料、及び/又は方法の様々な例である。RF回路の文脈で記載されるにもかかわらず、ここに記載される一以上の特徴は、非RFコンポーネントに関与するパッケージアプリケーションに利用することもできる。同様に、ここに記載される一以上の特徴は、EMアイソレーション機能を有しないパッケージアプリケーションに利用することもできる。
【0050】
図1は、ここに記載される一以上の特徴を与えるべく構成され得る文字認識システム100を描く。いくつかの実施形態において、かかるシステムは、処理対象(例えばプリント回路基板(PCB)及び/又はパッケージモジュール)の画像を取得する撮像コンポーネント102又はカメラシステムを含み得る。かかる撮像コンポーネントは、例えば、画像センサと、画像センサ上にオブジェクトの画像を形成する光学機器を含み得る。撮像コンポーネント102は、文字認識システム100に与えられるPCBの画像を取得又はキャプチャするべく使用され得る任意タイプの及び任意数の撮像デバイスを含み得る。例えば、撮像コンポーネント102は、デジタルカメラ、光学カメラ、温度カメラ、赤外線カメラ等を含んでよい。さらに、撮像コンポーネント102は、一つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上のカメラを含んでよい。いくつかの場合、カメラの数は、PCBのタイプ、又はPCB上の個別のモジュール基板の編成、に依存し得る。
【0051】
図1に示されるように、文字認識システム100はさらに、画像センサから取得した画像を処理するべく構成されるプロセッサ104を含み得る。プロセッサ104はまた、ここに記載される一以上の特徴に関連付けられる機能を与えるように構成され得る。
【0052】
図1に示されるように、文字認識システム100はさらに、ストレージ機能を与えるべく構成されるストレージコンポーネント106を含み得る。いくつかの実施形態において、かかるストレージコンポーネントは、例えば、画像、及び画像の処理に関連付けられた情報、の不揮発性ストレージを与え得る。ストレージコンポーネント106はまた、拡張された文字認識システム100の動作を容易にするべく利用することができるアルゴリズム、データ、ルックアップテーブル等の不揮発性ストレージを与えるように構成され得る。
【0053】
図2は、いくつかの実施形態において、
図1の文字認識システム100が、パッケージモジュール処理システム110のような製造システムにおいて利用できることを示す。かかるパッケージモジュール処理システムは、例えば、一緒になるように接合されている部分的に又は完全に完成された複数のモジュールの一アレイを各パネルが有する複数のパネルを、製作及び/又は処理するべく構成されるPCB処理/生産システム112を含み得る。かかるパネルは、一定数の個別のパッケージモジュールを生産するべく個片化され得る。いくつかの実施形態において、かかる個片化パッケージモジュールは実質的に完成であってもよく、又はさらに処理されてもよい。パッケージモジュールの取り扱い及び/又はさらなる処理は、モジュール処理/生産システム114によって達成することができる。とりわけ、かかるパッケージモジュールの生産に関連する例は、その全体が参照によって明示的に組み込まれる「潜在的に欠陥があるとして識別されたパッケージ無線周波数モジュールを処理するシステム及び方法」との名称の米国特許第9,355,444号に記載されており、その開示は、本出願の明細書の一部とみなされる。
【0054】
いくつかの実施形態において、
図2の文字認識システム100は、PCBプロセス/生産システム112において及び/又はモジュール処理/生産システム114において、文字認識を行うべく利用することができる。
【0055】
例えば、
図3は、個片化されるときに個別のユニットとなる一アレイのユニット122を有するパネル120を示す。いくつかの実施形態において、かかるユニット(122)はそれぞれが、例えば、その対応パッケージ基板の表面、そこに取り付けられたコンポーネントの表面、及び/又はオーバーモールド構造物の表面(例えば、オーバーモールドが個別化に先立って形成される場合)、に刻印された一セットの文字124を含み得る。いくつかの実施形態において、
図2の文字認識システム100は、かかる一セットの文字(124)に対する文字認識を行うように構成され得る。理解されることだが、いくつかの実施形態において、
図2の文字認識システム100は、付加的に又は代替的に、パネル120の表面に刻印されてはいるが各ユニット(122)には刻印されていない一セットの文字に対する文字認識を行うように構成されてよい。
【0056】
他例において、
図4は、例えば、パネルの一アレイのユニットの個別化から得られた個別のユニット130を示す。いくつかの実施形態において、かかる個別のユニット(130)は、一セットの文字134が刻印された表面132を含み得る。個別のユニット130の、かかる表面(132)は例えば、オーバーモールド構造物の上面、パッケージ基板の下側、又は遮蔽層(例えば、個別のユニット130のオーバーモールド構造物の上面に形成されるコンフォーマル遮蔽コーティング)の表面としてよい。いくつかの実施形態において、
図2の文字認識100は、かかる一セットの文字(134)に対する文字認識を行うように構成され得る。理解されることだが、個別のユニット130は、パッケージモジュールの最終形態又はさらなる処理予定のパッケージモジュールとしてよい。かかるパッケージモジュールは、無線アプリケーションに関連付けられるモジュールを含む任意の電子モジュールとしてよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、
図1及び
図2の文字認識システム100は、
図5から
図11bを参照してここに記載される様々な例を含む光学式文字認識を与えるように構成されてよい。
【0058】
コンピュータビジョン技術及び画像処理技術は、半導体産業のような多くの技術分野における手動プロセスの改善及び自動化において重要である。プリント基板回路(PCB)のようなオブジェクト上の画像から、損傷した又は読めない数字のような文字の主要な特性及び特徴を抽出する主成分分析法の使用による光学式文字認識(OCR)を有するように実装された画像処理方法に関する例が開示される。
【0059】
光学式文字認識は、デジタル画像からデジタルテキストへの文字変換に使用される重要な技術である。OCRアルゴリズムには、基本的に2つのタイプがある。第1の技法は、行列画像のマッチングに関連する。格納された文字画像のアルファベットが、入力画像との比較に使用される。このパターンマッチングは、新しいフォントに遭遇し又は入力文字画像が読めない場合にはうまく機能しない。第2の技法は、入力画像を分解して主要な特徴を抽出する。次に、入力画像の特徴をいくつかの格納された画像の特徴と比較して最適な一致を選択するように分類器が使用される。
【0060】
説明を目的として、パターンマッチングを伴う伝統的なOCR技法を使用するシステムを、従来型システム又は現行システムと称する。かかるシステムにおいて、ビジョンシステムは、ロット整合性及び機械制御のためにプリント回路基板(PCB)上の識別文字を読み取る。いくつかのアプリケーションにおいては、この一般的に使用される技術は、十分に堅牢とはいえない。PCBの画像の多くが、例えば、汚れによる又は従前の悪いプロセスの結果による文字の損傷を含むからである。かかるシステムにとって、実際のOCR検出率はせいぜい97%程度である。
【0061】
上記システムの例において、GigE(登録商標)ポートを使用した60fpsの最大データ転送による640×480画素のフル解像度でNI-1752スマートカメラを使用して、PCBの左上セクションのモノクロVGA画像を取得することから始めることができる。選択される解像度及びデータ転送速度のパラメータは、検査済みPCBの工場生産スケジュールに合わせて選択してよい。カメラは、
図5に示されるように、PCB文字位置全体をカバーする最大文字解像度を有するグレースケール出力画像タイプを備える。文字は、数字503と、ここではQRコード(登録商標)505である識別子とを含む。
【0062】
上述したように、生産ラインにおける従前のプロセスの問題に起因して、例えば、文字の上の成形バリ又は残留汚れゆえに損傷部分又は悪影響を受けた部分を現すPCBが存在するので、損傷部分601が強調表示されている
図6に示されるように、パターンマッチング技法にとって読めない文字が存在する。したがって、実際の認識アルゴリズムが失敗したときに、オペレータが検査し、画面から情報を手動で書き取らなければならないことにより、例えば、スループットの低下、プロセス時間の増加、人的エラーの可能性、及び高い生産コストがもたらされる。
【0063】
ここに記載される側面及び実施形態は、高速でパネル上の損傷文字又は読めない文字の光学式文字認識を与える回路基板処理システム及び方法に向けられる。既存のシステムにおいて、過剰な成形バリ及び輝度分布の悪化が存在する場合、パターンマッチングを使用する画像処理は、OCRを使用して回路基板上の文字を読み取るのに著しい時間を要する。これは、例えば、反復全体しきい値ループを使用することによるからである。ここでは、デジタル画像を2値化して究極的にデジタル画像内の文字を成功裏に分類するべく、反復において異なる全体しきい値が使用される。
【0064】
ここに記載されるいくつかの実施形態によれば、デジタル画像における文字に局所しきい値が、当該文字における一画素を取り囲む全画素のような一以上の画素のバックグラウンド解析を目的として、適用される。文字を(例えばOCRにより)分類する又は読み取ることができれば、プロセスは成功であり、停止することができる。OCRを使用して文字を読み取るためにかかる時間は、局所しきい値の適用後に分類する又は読み取る場合、既存の配列と比較して有意に短縮される。例えば、OCRのために反復全体しきい値ループを適用する典型的なプロセスでは、すべての文字を認識するのに近似的に7秒かかり得る。しかしながら、ここに記載される実施形態によれば、この時間を、200ミリ秒のような数百ミリ秒のオーダーにまで有意に短縮し、処理時間を約97%短縮することができる。
【0065】
しかしながら、例えば成形バリによる著しい損傷ゆえに、文字を分類する又は読み取ることができない場合、一以上の全体しきい値を適用されてよい。これらの値は反復プロセスにおいて適用され、反復ごとに異なる全体しきい値がデジタル画像に適用される。全体しきい値の反復は、文字を成功裏に分類する又は読み取ることができるまで適用されてよい。
【0066】
2値化とは、入力画像の画素値を分離して、バックグラウンド(白色)及びフォアグラウンド(黒色)のような2つの画素値にするプロセスである。入力画像は、例えばカラー又はグレースケール画像の形態の多価画像は、広い範囲を、例えば256個の可能な値を、異なる画素値がカバーし得る一セットの画素値によって表現することができる。しきい値2値化は、画素ひいては画像を2値化するべく所与のしきい値を上回る画素強度値と下回る画素強度値とに分離する。
【0067】
全体しきい値処理は、入力画像全体に単一のしきい値を適用することを含み、全体しきい値に基づいて各画素がバックグラウンド又はフォアグラウンドに割り当てられる。しかしながら、輝度分布が画像全体で一貫していない場合、全体しきい値処理の効果が低くなってノイズが導入され得る。以下に詳述されるように、その代わりに局所しきい値処理が使用され得る。局所しきい値処理は、隣接画素の画素情報に基づいて画像内の異なる画素に対して異なるしきい値を適用する。
【0068】
図7及び
図8は、回路基板のパネル上の文字のデジタル画像を示す。文字は、個別の数字、及びQRコード又はバーコードのような識別子を含む。
図7及び
図8は双方とも、画像内の文字に対する物理的損傷703、803を示す。
図8は、この例において、成形バリ(説明を明確にするべく、損傷のすべての例に参照番号を付するわけではない)から生じるより広範な損傷803を示す。重要なことに、双方の図示例において、OCRの適用は、文字を分類することに失敗しているので、特定の回路基板又はモジュールを正しく識別することができない。
【0069】
図9Aから
図11Bを参照して説明されるように、ここに記載される本開示の複数の実施形態は、パネルの表面に印刷された文字を成功裏に分類することができるように利用され得る。
【0070】
図9Aから
図9Cは、回路基板のパネル上の文字のデジタル画像を示す。
図9B及び
図9Cは、ここに記載される複数の実施形態に係る様々な程度の画像処理を受けている。
【0071】
詳細には、
図9Aは、画像処理を受けていない回路基板のパネル上の文字のデジタル画像を示す。
図7及び
図8と同様に、パネルの表面に印刷された文字が、この例においては成形バリによって損傷903しており、画像の現在の状態ではOCRを使用して読み取ることができない。したがって、ここに記載される一以上の実施形態に係る画像処理は、文字を成功裏に分類するべく適用される。
【0072】
図9Bは、ここに記載されるいくつかの実施形態に係る画像処理を受けた同じ文字のデジタル画像を示す。この例において、文字認識システムは、パネルの表面上に刻印された文字のデジタル画像を取得する。次に、文字認識システムは、一つの又は複数の文字のデジタル画像の画像解析を行う。画像解析は、文字の2値化画像902を与えるべく、デジタル画像の一以上の局所域に局所しきい値を適用することを含む。これにより、文字認識システムは、特定の回路基板を識別するべく、OCRを使用して各文字を分類し、ひいてはすべての文字を読み取ることができる。
【0073】
各局所域に適用される局所しきい値は、各対応局所域まわりの画素情報に基づく。すなわち、文字認識システムは、文字の特定画素を識別し、当該画素及びその周囲の画素にしきい値を適用する。適用されるしきい値は、画素強度値に基づいて、画素及び隣接画素のそれぞれがバックグラウンド905又はフォアグラウンド907の画素とみなされるか否かを決定し、それに従って画素を2値化する。例えば、特定のしきい値を上回る強度値を有する画素をフォアグラウンド画素と決定してよく、当該しきい値を下回る強度値を有する画素をバックグラウンド画素と決定してよく、又はその逆としてもよい。画像内の複数の箇所にも同様に局所しきい値を適用することにより、デジタル画像全体を、又は少なくとも、文字を包含する画像の領域を、2値化することができる。ひとたび画像が成功裏に2値化されると、OCRを2値化画像に適用して文字を分類することができる。分類は、パターンマッチングを使用して行うことができる。
【0074】
デジタル画像の複数の局所域に局所しきい値が適用されて2値化画像が与えられても、文字が成功裏に分類できない場合、文字認識システムは、2値化デジタル画像に全体しきい値を適用して当該文字の第2の又はさらなる2値化デジタル画像を与えてよい。文字認識システムはさらに、全体しきい値を反復的に適用して一連の2値化デジタル画像を与えるように構成されてよい。各反復は従前の反復によって与えられた画像に対して行われ、各反復では異なる全体しきい値が適用される。この反復プロセスは、文字が成功裏に分類されるまで継続してよい。すなわち、文字が成功裏に分類できるまで、各反復の後にOCRを試みてよい。成功した分類は、一回の反復又は複数回の反復の後になされ得る。
【0075】
文字認識システムによって適用される画像解析は、付加的に、デジタル画像に対し、又は2値化デジタル画像若しくは文字に対し、コントラスト平坦化を適用することも含み得る。
図9Cは、コントラスト平坦化を有する2値化デジタル画像904を与えるべく、
図9Bの2値化デジタル画像902がコントラスト平坦化の適用を受けたことを示す。コントラスト平坦化又はヒストグラム平坦化は、全範囲の強度を均等に利用することによって画像のヒストグラム上の強度を良好に分配し、低い局所コントラストのエリアが高いコントラストを得ることを許容する。これによりさらに、文字とバックグラウンドとが区別され、OCRは文字を良好に分類することができる。
【0076】
ここに記載されるいくつかの実施形態において、文字認識システムは、文字の全体未満を取得するべく断片化サーチ領域又は断片化サーチボックスをデジタル画像に適用して当該文字の全体未満に画像解析を適用するように構成される。この断片化サーチ領域は、パネルの表面に刻印された文字を分類するべく、局所しきい値の適用を含む上記画像処理に加えて又はその代替として適用してよい。
図10Aから
図10Dは、断片化サーチボックスの適用を示す。
【0077】
図10Aは、文字認識システムにより画像解析が適用され得るサーチ領域又はサーチボックス1003を含むデジタル画像を示す。特に、この領域は、ここに記載の方法に従って2値化されている。サーチボックス1003は、OCRを使用した読み取り対象の数値文字の全体を包含するが、OCRは、すべての文字を成功裏に分類することができない。したがって、サーチボックス1003は、成功裏に分類された文字1005、及び成功裏に分類されなかった文字1007を含む。
【0078】
文字の多く又はすべてを成功裏に分類するべく、文字認識システムは、
図10Bに示される断片化サーチ領域1009を決定して適用する。
【0079】
断片化サーチ領域1009は、文字のデジタル画像の画像解析を、成形バリ及び/又は輝度悪化の影響が少ない又は当該影響がない一部分に絞り込むために使用される。すなわち、OCRを使用して文字を読み取るべく、文字のデジタル画像のサブ部分が解析され得る。文字が成形バリ及び/又は輝度悪化の影響を受ける場合、文字の全体未満を包括する断片化部分又は断片化サーチ領域1009が解析され得る。このようにして、文字の損傷部分又は悪影響を受けた部分を解析から除去することができ、それでもなお文字を、断片化サーチボックスを使用して読み取ることができる。
【0080】
断片化サーチ領域1009又は部分的サーチ領域は、一つ又は複数の文字への損傷の解析に基づいて決定され得る。例えば、文字認識システムは、複数の文字の各文字への損傷の箇所及び重篤度を決定するように構成される。次に、断片化サーチボックスが、文字の損傷領域のうち少なくともいくつかが断片化サーチボックスから除外されるように、解析に基づいて決定され得る。いくつかの実施態様において、断片化サーチボックスは、当該断片化サーチボックスが文字の非損傷部分のみを含むように決定され得る。すなわち、いくつかの実施態様において、文字のすべての損傷部分が、断片化サーチボックスから除外され得る。
【0081】
断片化サーチ領域1009の決定及び必要な画像解析を適用が完了した後、文字認識システムは、OCRを使用して文字の分類を試みる。分類は、断片化サーチ領域1009内の情報のみに基づいて行われる。
【0082】
いくつかの実施形態において、画像解析は、断片化サーチ領域に加えて適用され得るデジタル画像を2値化するべく局所しきい値及び/又は全体しきい値を適用することを含む。
図10C及び
図10Dは、上述した実施形態に従って局所しきい値を適用することによって2値化されたデジタル画像を示す。
【0083】
図10Cは、文字の全体を包括するサーチボックス1011を含むそのようなデジタル画像を示す。次に、
図10Dは、同じデジタル画像を示すが、文字の非損傷領域のみを含むように適用される断片化サーチ領域1013を有する。そして、文字認識システムは、2値化された断片化サーチ領域1013に基づいて、文字の多く又はすべてを成功裏に分類することができる。
【0084】
いくつかの実施形態において、分類が成功した場合、文字認識システムは、断片化サーチボックスを適用することに加え、かつ、局所しきい値を適用することに加えて又はその代替として、上述した態様で全体しきい値を、文字が成功裏に分類できるまで反復的に適用し得る。
図11Aは、全体しきい値を使用して2値化されたデジタル画像を示す。これは、文字全体を包括するサーチボックス1101を含む。次に、
図11Bは、同じデジタル画像を示すが、文字の非損傷領域のみを含むように断片化サーチ領域1103が適用されている。
【0085】
そして、文字認識システムは、ここに記載される実施形態に係る反復全体しきい値2値化を使用して追加の2値化された断片化サーチ領域1103に基づいて、文字の多く又はすべてを成功裏に分類することができる。
【0086】
本開示は、様々な特徴を記載しており、そのうちの一つのみがここに記載される利点に単独で責任を負うことはない。理解されることだが、ここに記載される様々な特徴は、当業者に明らかなように結合、修正又は省略されてよい。ここに具体的に記載されたもの以外の他のコンビネーション及びサブコンビネーションは、当業者にとって明らかであり、本開示の一部を形成することが意図される。様々なフローチャートのステップ及び/又はフェーズに関連して、様々な方法がここに記載される。理解されることだが、多くの場合、所定のステップ及び/又はフェーズが一緒に組み合わされてよく、その結果、フローチャートに示された複数のステップ及び/又はフェーズが単数のステップ及び/又はフェーズとして実行され得る。また、所定のステップ及び/又はフェーズは、別個に行われる追加のサブコンポーネントに分割することができる。いくつかの例において、ステップ及び/又はフェーズの順序を再配列してよく、所定のステップ及び/又はフェーズを完全に省略してもよい。また、ここに記載される方法は、ここに図示及び記載されたものへの追加のステップ及び/又はフェーズもまた行われ得るように、オープンエンドであると理解すべきである。
【0087】
ここに記載されるシステム及び方法のいくつかの側面は、例えば、コンピュータソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はコンピュータソフトウェア、ハードウェア及びファームウェアの任意の組み合わせ、を使用して有利に実装することができる。コンピュータソフトウェアは、実行されるとここに記載される機能を行う、コンピュータ可読媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)に格納されたコンピュータ実行可能コードを含み得る。いくつかの実施形態において、コンピュータ実行可能コードは、一以上の汎用コンピュータプロセッサによって実行される。本開示に照らして、当業者は、汎用コンピュータ上で実行されるソフトウェアを使用して実装され得る任意の特徴又は機能が、ハードウェア、ソフトウェア又はファームウェアの異なる組み合わせを使用して実装され得ることも理解するであろう。例えば、かかるモジュールは、複数の集積回路の組み合わせを使用して完全にハードウェアで実装され得る。代替的又は付加的に、かかる特徴又は機能は、汎用コンピュータによってではなく、ここに記載される特定の機能を行うように設計された特別なコンピュータを使用して完全に又は部分的に実装され得る。
【0088】
複数の分散コンピューティングデバイスが、ここに記載されるいずれか一つのコンピューティングデバイスを置換してよい。かかる分散の実施形態において、一つのコンピューティングデバイスの複数の機能が、(例えばネットワークを経由して)分散れることにより、いくつかの機能が分散コンピューティングデバイスのそれぞれにおいて行われる。
【0089】
いくつかの実施形態が、式、アルゴリズム及び/又はフローチャートの説明を参照して記載され得る。これらの方法が、一以上のコンピュータ上で実行可能なコンピュータプログラム命令を使用して実装され得る。これらの方法はまた、別個に、又は装置若しくはシステムのコンポーネントとして、コンピュータプログラム製品として実装され得る。この点で、式、アルゴリズム、ブロック、又はフローチャートのステップ、及びこれらの組み合わせのそれぞれが、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はコンピュータ可読プログラムコードロジックにおいて具体化される一以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアによって、実装され得る。わかることだが、かかるコンピュータプログラム命令はいずれも、コンピュータ上で実行されるコンピュータプログラム命令又は他のプログラマブルプロセスデバイスが、式、アルゴリズム及び/又はフローチャートに特定される機能を実装するように、汎用コンピュータ若しくは専用コンピュータ、又は機械を生産する他のプログラマブルプロセス装置を含むがこれらに限られない一以上のコンピュータ、にロードされてよい。またも理解されることだが、式、アルゴリズム及び/又はフローチャートにおけるブロックの説明、並びにこれらの組み合わせのそれぞれが、特定される機能若しくはステップを行う専用ハードウェアベースのコンピュータシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ可読プログラムコードロジック手段との組み合わせによって実装されてよい。
【0090】
さらに、一以上のコンピュータ又は他のプログラマブル処理デバイスに特定の態様において機能するように指示し得る例えばコンピュータ可読プログラムコードロジックに具体化されるコンピュータプログラム命令もまた、コンピュータ可読メモリに格納された命令がフローチャートのブロックにおいて特定される機能を実装するように、コンピュータ可読メモリ(例えば非一時的コンピュータ可読媒体)に格納されてよい。コンピュータプログラム命令はまた、一以上のコンピュータ又は他のプログラマブルコンピューティングデバイスにロードされ、当該一以上のコンピュータ又は他のプログラマブルコンピューティングデバイス上で行われる一連の動作ステップのコンピュータ実装プロセスの生産を引き起こしてよい。これにより、コンピュータ又は他のプログラマブルプロセス装置上で実行される命令が、式、アルゴリズム、及び/又はフローチャートのブロックに特定される機能を実装するステップを与える。
【0091】
ここに記載される方法及びタスクの一部又はすべてが、コンピュータシステムによって行われて完全に自動化されてよい。コンピュータシステムは、いくつかの場合において、ネットワークを経由して通信及び相互動作して上記機能を行う複数の別個のコンピュータ又はコンピューティングデバイス(例えば、物理サーバ、ワークステーション、ストレージアレイ等)を含んでよい。かかるコンピューティングデバイスはそれぞれが典型的に、プログラム命令を実行するプロセッサ(若しくは複数のプロセッサ)、又はメモリ若しくは他の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体若しくはデバイスに格納されたモジュールを含む。ここに記載される様々な機能が、かかるプログラム命令に具体化されてよい。ただし、開示の機能の一部又はすべてが代替的に、コンピュータシステムの特定用途向け回路(例えばASIC又はFPGA)に実装されてもよい。コンピュータシステムが複数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは同一箇所に配置されてよいがその必要があるわけではない。開示の方法及びタスクの結果は、固体メモリチップ及び/又は磁気ディスクのような物理ストレージデバイスを異なる状態に変換することによって永続的に格納され得る。
【0092】
文脈が明確にそうでないことを要求しない限り、明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「含む」、「備える」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは逆の、包括的な意味で、すなわち「~を含むがこれに限られない」意味で解釈されるべきである。ここで一般に使用される用語「結合」は、2つ以上の要素が、直接に接続されるか、又は一以上の中間要素を経由して接続されるかのいずれかとなり得ることを言及する。付加的に、本願において使用される場合、用語「ここで」、「上」、「下」、及び同様の意味の用語は、本願全体を言及するものとし、本願のいずれか特定の部分を言及するわけではない。文脈上許容される場合、単数又は複数の数を使用する上記の詳細な説明における用語は、それぞれ複数又は単数の数も含み得る。2以上の項目のリストを参照する「又は」及び「若しくは」という用語は、その用語の以下の解釈、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目のすべて、及びリスト内の項目の任意の組み合わせ、のすべてをカバーする。「例示的」という用語は、ここでは、もっぱら「例、実例、又は例示として役立つ」ことの意味で使用される。「例示的」としてここに説明されるいずれの実装例も、他の実装例に対して必ずしも好ましい又は有利なものとして解釈されるわけではない。
【0093】
本開示は、ここに示される実装例に限定されることを意図しない。本開示に記載される実装例に対する様々な修正例は、当業者に容易に明らかであってよく、ここに定義される一般的な原理は、本開示の要旨又は範囲から逸脱することなく、他の実装例に適用してよい。ここに与えられる本発明の教示は、他の方法及びシステムに適用してよく、上述の方法及びシステムに限定されない。上述の様々な実施形態の要素及び作用を組み合わせて、さらなる実施形態を与えることもできる。したがって、ここに記載の方法及びシステムは、様々な他の形態で具体化してよい。さらに、ここに記載の方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更が、本開示の範囲から逸脱することなくなし得る。添付の特許請求の範囲及びその均等物が、本開示の範囲内に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。
【0094】
わかることだが、ここに記載される方法及び装置の実施形態は、その適用において、以下の説明に記載され又は添付図面に示される構成及び配列の詳細に限定されない。これらの方法及び装置は、他の実施形態で実装することができ、様々な態様で実施し又は実行することができる。特定の実装例が単なる例示目的でここに与えられ、限定を意図しない。また、本明細書中で使用する表現及び用語は、説明のためのものであって、限定するものとみなすべきではない。
【外国語明細書】