IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アマダの特許一覧

特開2024-98958曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法
<>
  • 特開-曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法 図1
  • 特開-曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法 図2
  • 特開-曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法 図3
  • 特開-曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法 図4
  • 特開-曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法 図5
  • 特開-曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法 図6
  • 特開-曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法 図7
  • 特開-曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法 図8
  • 特開-曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098958
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20240717BHJP
【FI】
G06F30/10 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211476
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】202341002350
(32)【優先日】2023-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山田 修朗
(72)【発明者】
【氏名】ディバカラン ラジ プラシャント
(72)【発明者】
【氏名】トーラス ジャクソン
(72)【発明者】
【氏名】マリアッパ モハンドス ラズナクマール
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA06
5B146DA02
5B146EA15
(57)【要約】
【課題】曲げ加工品の立体データを自動で作成し、曲げ加工機の作業者等の作業効率や曲げ加工品の成形効率を向上させる。
【解決手段】板金に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得部と、取得部が取得した寸法情報を格納する記憶部と、記憶部に格納された寸法情報に基づいて、曲げ加工品の立体データを生成する生成部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した寸法情報を格納する記憶部と、
前記記憶部に格納された寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の立体データを生成する生成部と
を備える曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項2】
前記寸法情報は、前記板金の一端部から前記板金の折り曲げ線までの寸法と、前記折り曲げ線から次の折り曲げ線までの寸法と、前記板金の最終折り曲げ線から前記板金の他端部までの寸法と、各折り曲げ線における折り曲げ方向とに関する情報を含む
請求項1に記載の曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項3】
前記生成部は、
XYZ空間における前記曲げ加工品のXZ断面の寸法情報を含む第1の寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の第1の立体データを生成する第1生成部と、
前記XYZ空間における前記曲げ加工品のYZ断面の寸法情報を含む第2の寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の第2の立体データを生成する第2生成部と、
前記第1の立体データ及び前記第2の立体データを合成して、前記曲げ加工品の合成立体データを生成する合成データ生成部と
を含む請求項1又は2に記載の曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項4】
前記第1の寸法情報は、前記曲げ加工品のY方向の寸法情報を含み、
前記第2の寸法情報は、前記曲げ加工品のX方向の寸法情報を含む
請求項3に記載の曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項5】
前記合成データ生成部は、前記第1の立体データ及び前記第2の立体データが重ね合わさる部分を分割し、前記第1の立体データ及び前記第2の立体データの重ね合わせを解消するように構成されている
請求項3又は4に記載の曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項6】
前記合成データ生成部は、前記第1の立体データ及び前記第2の立体データが重ね合わさる部分を、前記第1の立体データに割り当てられる領域と前記第2の立体データに割り当てられる領域とに分割し、前記第1の立体データ及び前記第2の立体データの重ね合わせを解消するように構成されている
請求項5に記載の曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項7】
板金に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得処理と、
前記取得処理により取得した寸法情報を格納する記憶処理と、
前記記憶処理により格納された寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の立体データを生成する生成処理と
を曲げ加工品の立体データ生成装置に実行させる
曲げ加工品の立体データ生成プログラム。
【請求項8】
板金に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得した寸法情報を格納する記憶工程と、
前記記憶工程により格納された寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の立体データを生成する生成工程と
を含む曲げ加工品の立体データ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、曲げ加工機で曲げ加工品を成形する際に、曲げ加工品の寸法情報又は曲げ加工品の立体データを用いている。曲げ加工品の寸法情報は、曲げ加工機の作業者等が手動で入力を行い、各工程の加工内容として設定している。また、曲げ加工品の立体データは、曲げ加工機の作業者等がCAD(Computer Aided Design)を用いて手動で作成を行っている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3643064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のとおり、曲げ加工品の寸法情報は、曲げ加工機の作業者等が手動で設定を行っている。また、曲げ加工品の立体データは、曲げ加工機の作業者等が手動で作成を行っている。そのため、曲げ加工機の作業者等は、曲げ加工品の寸法情報を設定している間や曲げ加工品の立体データを作成している間は、曲げ加工機の作業等の他の作業を行うことができず、曲げ加工機の作業者等の作業効率や曲げ加工品の成形効率の低下の原因となっている。
【0005】
本発明の一態様は、曲げ加工品の立体データを自動で作成し、曲げ加工機の作業者等の作業効率や曲げ加工品の成形効率を向上させることが可能な曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る曲げ加工品の立体データ生成装置は、板金に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した寸法情報を格納する記憶部と、前記記憶部に格納された寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の立体データを生成する生成部とを備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る曲げ加工品の立体データ生成プログラムは、板金に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得処理と、前記取得処理により取得した寸法情報を格納する記憶処理と、前記記憶処理により格納された寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の立体データを生成する生成処理とを曲げ加工品の立体データ生成装置に実行させる。
【0008】
さらに、本発明の一態様に係る曲げ加工品の立体データ生成方法は、板金に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得工程と、前記取得工程により取得した寸法情報を格納する記憶工程と、前記記憶工程により格納された寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の立体データを生成する生成工程とを含む。
【0009】
本発明の一態様に係る曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法によれば、取得した寸法情報に基づいて、曲げ加工品の立体データを生成することができるため、曲げ加工品の立体データを自動で作成し、曲げ加工機の作業者等の作業効率や曲げ加工品の成形効率を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る曲げ加工品の立体データ生成装置、曲げ加工品の立体データ生成プログラム及び曲げ加工品の立体データ生成方法によれば、曲げ加工品の立体データを自動で作成し、曲げ加工機の作業者等の作業効率や曲げ加工品の成形効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置の構成を示すブロック図である。
図2】曲げ加工品の一例を示す図であり、図2(a)は、曲げ加工品の展開図を示しており、図2(b)は、曲げ加工品の斜視図を示している。
図3】曲げ加工品の寸法情報の一例を示す図である。
図4】XYZ空間における曲げ加工品のXZ断面を示す図である。
図5】XYZ空間における曲げ加工品のYZ断面を示す図である。
図6】曲げ加工品の第1の立体データを示す図である。
図7】曲げ加工品の第2の立体データを示す図である。
図8】曲げ加工品の合成立体データを示す図である。
図9】曲げ加工品の第1の立体データ及び第2の立体データの重ね合わせを解消した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0013】
[曲げ加工品の立体データ生成装置の構成]
図1は、本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置1は、後述する板金2に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品3の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得部10と、取得部10が取得した寸法情報を格納する記憶部20と、記憶部20に格納された寸法情報に基づいて、後述する曲げ加工品3の立体データを生成する生成部30とを備えている。
【0015】
また、曲げ加工品の立体データ生成装置1は、曲げ加工品3の寸法情報や立体データ等を表示する表示部40と、ユーザによる操作入力を受け付ける操作部50と、板金2に対して曲げ加工を行う曲げ加工機(不図示)に対する情報の送信が可能な送信部60とを備えている。
【0016】
本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ及びストレージ等を含むパーソナルコンピュータ等である。
【0017】
[曲げ加工品の構成]
図2は、曲げ加工品の一例を示す図であり、図2(a)は、曲げ加工品の展開図を示しており、図2(b)は、曲げ加工品の斜視図を示している。
【0018】
図2に示すように、曲げ加工品3は、板金2の折り曲げ線2a~折り曲げ線2iで折り曲げられて形成された面3a~面3jにより構成されている。
【0019】
[取得部の構成]
取得部10は、不図示のCAD(Computer Aided Design)から曲げ加工品3の寸法情報を取得するように構成されている。なお、曲げ加工品3の寸法情報を取得する構成はこれに限定されず、例えば、曲げ加工機の作業者等が操作部50を介して曲げ加工品3の寸法情報を入力することにより、曲げ加工品3の寸法情報を取得する構成としても良い。
【0020】
[記憶部の構成]
記憶部20は、曲げ加工品の立体データ生成プログラムを格納するプログラム格納部21と、曲げ加工品3の寸法情報を格納する情報格納部22とを有している。情報格納部22は、曲げ加工品3の寸法情報を格納するテーブル70を格納している(図3参照)。
【0021】
曲げ加工品の立体データ生成プログラムは、板金2に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品3の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得処理と、取得処理により取得した寸法情報を格納する記憶処理と、記憶処理により格納された寸法情報に基づいて、曲げ加工品3の立体データを生成する生成処理とを曲げ加工品の立体データ生成装置1に実行させるプログラムである。そのため、本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置1は、曲げ加工品の立体データ生成プログラムを実行することにより、取得部10、記憶部20及び生成部30における各機能を実現するように構成されている。
【0022】
図3は、曲げ加工品の寸法情報の一例を示す図である。図4は、XYZ空間における曲げ加工品のXZ断面を示す図である。図5は、XYZ空間における曲げ加工品のYZ断面を示す図である。
【0023】
図3に示すように、テーブル70は、部品名70a、材料名70b及び板厚70cの項目を含んでいる。部品名70aには、曲げ加工品3に係る部品に関する情報が格納される。本実施形態では、部品名70aには、曲げ加工品3に係る部品の識別情報(部品ID)が入力されている。材料名70bには、曲げ加工品3の材料に関する情報が格納される。本実施形態では、材料名70bには、曲げ加工品3の材料名が入力されている。板厚70cには、曲げ加工品3に用いられる板金の板厚に関する情報が格納される。本実施形態では、板厚70cには、曲げ加工品3に用いられる板金の板厚の数値が入力されている。
【0024】
本実施形態において、部品名70a、材料名70b及び板厚70cの各項目に格納された情報が曲げ加工品3の基本情報を構成する。
【0025】
また、テーブル70は、XZ断面の面番号70d、XZ断面の寸法70e、XZ断面の折り曲げ方向70f及びY方向の寸法情報70gの項目を含んでいる。XZ断面の面番号70dには、XYZ空間における曲げ加工品3のXZ断面に現れた曲げ加工品3の各面に割り当てられた番号に関する情報が格納される。本実施形態では、図4に示すように、曲げ加工品3のXZ断面において、面3a~面3fの6つの面が現れているため、面3a~面3fのそれぞれに1~6の数字が割り当てられている。
【0026】
XZ断面の寸法70eには、曲げ加工品3のXZ断面における板金2の一端部から板金2の折り曲げ線までの寸法と、折り曲げ線から次の折り曲げ線までの寸法と、板金2の最終折り曲げ線から板金2の他端部までの寸法とに関する情報が格納される。
【0027】
本実施形態では、XZ断面の面番号70dに格納された番号が「1」の行には、曲げ加工品3のXZ断面における板金2の一端部から板金2の折り曲げ線2aまでの寸法に関する情報が格納される。XZ断面の面番号70dに格納された番号が「2」の行には、板金2の折り曲げ線2aから次の折り曲げ線2bまでの寸法に関する情報が格納される。XZ断面の面番号70dに格納された番号が「3」の行には、板金2の折り曲げ線2bから次の折り曲げ線2cまでの寸法に関する情報が格納される。XZ断面の面番号70dに格納された番号が「4」の行には、板金2の折り曲げ線2cから次の折り曲げ線2dまでの寸法に関する情報が格納される。XZ断面の面番号70dに格納された番号が「5」の行には、板金2の折り曲げ線2dから次の折り曲げ線2eまでの寸法に関する情報が格納される。XZ断面の面番号70dに格納された番号が「6」の行には、板金2の折り曲げ線2e(板金2の最終折り曲げ線)から曲げ加工品3のXZ断面における板金2の他端部までの寸法に関する情報が格納される。なお、寸法70eに格納される値は、各面3a~面3fの外面の寸法であっても良いし、内面の寸法であっても良い。
【0028】
XZ断面の折り曲げ方向70fには、各折り曲げ線2a~折り曲げ線2eにおける折り曲げ方向に関する情報が格納される。また、XZ断面の折り曲げ方向70fには、各折り曲げ線2a~2eにおける折り曲げ角度に関する情報が格納される。本実施形態では、次の面を、現在の面の内面に対して上側に向けて折り曲げる場合には、折り曲げ角度が正の値で格納される。一方、次の面を、現在の面の内面に対して下側に向けて折り曲げる場合には、折り曲げ角度が負の値で格納される。なお、折り曲げ方向70fに格納される角度は、本実施形態では各面3a~面3fの内面に対する角度であるが、これに限定されず、各面3a~面3fの外面に対する角度であっても良い。
【0029】
Y方向の寸法情報70gには、曲げ加工品3のY方向の寸法情報が格納される。
【0030】
本実施形態において、XZ断面の面番号70d、XZ断面の寸法70e、XZ断面の折り曲げ方向70f及びY方向の寸法情報70gの各項目に格納された情報が、曲げ加工品3の第1の寸法情報を構成する。
【0031】
さらに、テーブル70は、YZ断面の面番号70h、YZ断面の寸法70i、YZ断面の折り曲げ方向70j、X方向の寸法情報70kの項目を含んでいる。YZ断面の面番号70hには、XYZ空間における曲げ加工品3のYZ断面に現れた曲げ加工品3の各面に割り当てられた番号に関する情報が格納される。本実施形態では、図5に示すように、曲げ加工品3のYZ断面において、面3g、面3h、面3d、面3i及び面3jの5つの面が現れているため、面3g、面3h、面3d、面3i及び面3jのそれぞれに1~5の数字が割り当てられている。
【0032】
YZ断面の寸法70iには、曲げ加工品3のYZ断面における板金2の一端部から板金2の折り曲げ線までの寸法と、折り曲げ線から次の折り曲げ線までの寸法と、板金2の最終折り曲げ線から板金2の他端部までの寸法とに関する情報が格納される。
【0033】
本実施形態では、YZ断面の面番号70hに格納された番号が「1」の行には、曲げ加工品3のYZ断面における板金2の一端部から板金2の折り曲げ線2fまでの寸法に関する情報が格納される。YZ断面の面番号70hに格納された番号が「2」の行には、板金2の折り曲げ線2fから次の折り曲げ線2gまでの寸法に関する情報が格納される。YZ断面の面番号70hに格納された番号が「3」の行には、板金2の折り曲げ線2gから次の折り曲げ線2hまでの寸法に関する情報が格納される。YZ断面の面番号70hに格納された番号が「4」の行には、板金2の折り曲げ線2hから次の折り曲げ線2iまでの寸法に関する情報が格納される。YZ断面の面番号70hに格納された番号が「5」の行には、板金2の折り曲げ線2i(板金2の最終折り曲げ線)から曲げ加工品3のYZ断面における板金2の他端部までの寸法に関する情報が格納される。なお、寸法70iに格納される値は、面3g、面3h、面3d、面3i及び面3jの外面の寸法であっても良いし、内面の寸法であっても良い。
【0034】
YZ断面の折り曲げ方向70jには、各折り曲げ線2f~折り曲げ線2iにおける折り曲げ方向に関する情報が格納される。また、YZ断面の折り曲げ方向70jには、各折り曲げ線2f~折り曲げ線2iにおける折り曲げ角度に関する情報が格納される。本実施形態では、次の面を、現在の面の内面に対して上側に向けて折り曲げる場合には、折り曲げ角度が正の値で格納される。一方、次の面を、現在の面の内面に対して下側に向けて折り曲げる場合には、折り曲げ角度が負の値で格納される。なお、折り曲げ方向70jに格納される角度は、本実施形態では面3g、面3h、面3d、面3i及び面3jの内面に対する角度であるが、これに限定されず、面3g、面3h、面3d、面3i及び面3jの外面に対する角度であっても良い。
【0035】
X方向の寸法情報70kには、曲げ加工品3のX方向の寸法情報が格納される。
【0036】
本実施形態において、YZ断面の面番号70h、YZ断面の寸法70i、YZ断面の折り曲げ方向70j、X方向の寸法情報70kの各項目に格納された情報が、曲げ加工品3の第2の寸法情報を構成する。すなわち、本実施形態において、曲げ加工品3の寸法情報は、曲げ加工品3の基本情報と、曲げ加工品3の第1の寸法情報と、曲げ加工品3の第2の寸法情報とを含んでいる。
【0037】
また、情報格納部22は、曲げ加工品3の材料情報を格納するように構成されている。曲げ加工品3の材料情報には、曲げ加工品3の材料及び板厚に応じて、曲げ加工品3の折り曲げ部分がどのような曲率や形状になるかを示す情報が含まれている。曲げ加工品3の材料情報は、予め情報格納部22に格納されている。
【0038】
[生成部の構成]
図6は、曲げ加工品の第1の立体データを示す図である。図7は、曲げ加工品の第2の立体データを示す図である。図8は、曲げ加工品の合成立体データを示す図である。
【0039】
生成部30は、第1の寸法情報に基づいて、曲げ加工品3の第1の立体データ110(図6参照)を生成する第1生成部31と、第2の寸法情報に基づいて、曲げ加工品3の第2の立体データ120(図7参照)を生成する第2生成部32と、第1の立体データ110及び第2の立体データ120を合成して、曲げ加工品3の合成立体データ130(図8及び図9参照)を生成する合成データ生成部33とを有している。
【0040】
第1生成部31は、曲げ加工品3の基本情報及び曲げ加工品3の材料情報に基づいて、曲げ加工品3の折り曲げ部分の曲率や形状を加味した第1の立体データ110を生成するように構成されている。また、第2生成部32は、曲げ加工品3の基本情報及び曲げ加工品3の材料情報に基づいて、曲げ加工品3の折り曲げ部分の曲率や形状を加味した第2の立体データ120を生成するように構成されている。具体的には、第1生成部31及び第2生成部32は、曲げ加工品3の基本情報に含まれる曲げ加工品3の材料に関する情報及び曲げ加工品3の板厚に関する情報と、曲げ加工品3の材料情報とに基づいて、曲げ加工品3の折り曲げ部分の曲率や形状を加味した第1の立体データ110及び第2の立体データ120を生成するように構成されている。
【0041】
図9は、曲げ加工品の第1の立体データ及び第2の立体データの重ね合わせを解消した状態を示す図である。
【0042】
図8及び図9に示すように、合成データ生成部33は、第1の立体データ110及び第2の立体データ120が重ね合わさる部分Aを分割し、第1の立体データ110及び第2の立体データ120の重ね合わせを解消するように構成されている。具体的には、合成データ生成部33は、第1の立体データ110及び第2の立体データ120が重ね合わさる部分Aを、第1の立体データ110に割り当てられる領域Bと第2の立体データ120に割り当てられる領域Cとに分割し、第1の立体データ110及び第2の立体データ120の重ね合わせを解消するように構成されている。
【0043】
生成部30で生成された合成立体データ130は、曲げ加工品3の立体データ100として情報格納部22に格納される。なお、テーブル70に曲げ加工品3の第2の寸法情報が存在しない場合には、生成部30で生成された第1の立体データ110が、曲げ加工品3の立体データ100として情報格納部22に格納されても良い。一方、テーブル70に曲げ加工品3の第1の寸法情報が存在しない場合には、生成部30で生成された第2の立体データ120が、曲げ加工品3の立体データ100として情報格納部22に格納されても良い。
【0044】
また、生成部30は、曲げ加工品3の立体データ100に基づいて、曲げ加工品の加工プログラムを生成する加工プログラム生成部34を有している。曲げ加工品の加工プログラムは、板金2を曲げる手順や曲げる方向を規定するプログラムである。曲げ加工品の加工プログラムは、記憶部20のプログラム格納部21に格納される。
【0045】
[表示部、操作部及び送信部の構成]
表示部40は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro-Luminescence)等である。操作部50は、例えば、マウスやキーボードである。送信部60は、生成部30で生成された曲げ加工品3の立体データ100及び曲げ加工品の加工プログラムを曲げ加工機に送信するように構成されている。
【0046】
[曲げ加工品の立体データ生成方法]
次に、本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置1を用いた曲げ加工品の立体データ生成方法について説明する。本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成方法は、板金2に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品3の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得工程と、取得工程により取得した寸法情報を格納する記憶工程と、記憶工程により格納された寸法情報に基づいて、曲げ加工品3の立体データ100を生成する生成工程と、生成工程により生成された曲げ加工品3の立体データ100を曲げ加工機に送信する送信工程とを含んでいる。以下、各工程について説明する。
【0047】
[取得工程及び記憶工程]
まず、取得工程において、取得部10が不図示のCAD(Computer Aided Design)から曲げ加工品3の寸法情報を取得する。取得した曲げ加工品3の寸法情報は、記憶部20の情報格納部22のテーブル70に格納される。
【0048】
[生成工程]
次に、生成工程において、テーブル70に格納された曲げ加工品3の第1の寸法情報に基づいて、第1生成部31が曲げ加工品3の第1の立体データ110を生成する(第1生成工程)。このとき、第1生成部31は、テーブル70に格納された曲げ加工品3の基本情報と、情報格納部22に予め格納された曲げ加工品3の材料情報とに基づいて、曲げ加工品3の折り曲げ部分の曲率や形状を加味した第1の立体データ110を生成する。
【0049】
第1生成工程の後、テーブル70に格納された曲げ加工品3の第2の寸法情報に基づいて、第2生成部32が曲げ加工品3の第2の立体データ120を生成する(第2生成工程)。このとき、第2生成部32は、テーブル70に格納された曲げ加工品3の基本情報と、情報格納部22に予め格納された曲げ加工品3の材料情報とに基づいて、曲げ加工品3の折り曲げ部分の曲率や形状を加味した第2の立体データ120を生成する。
【0050】
第2生成工程の後、合成データ生成部33が曲げ加工品3の第1の立体データ110及び第2の立体データ120を合成して、曲げ加工品3の合成立体データ130を生成する(合成データ生成工程)。合成データ生成工程が終了すると、合成データ生成部33が第1の立体データ110及び第2の立体データ120が重ね合わさる部分Aを、第1の立体データ110に割り当てられる領域Bと第2の立体データ120に割り当てられる領域Cとに分割し、第1の立体データ110及び第2の立体データ120の重ね合わせを解消する処理を行う(重ね合わせ解消工程)。
【0051】
合成データ生成部33で生成された合成立体データ130は、曲げ加工品3の立体データ100として情報格納部22に格納される。なお、テーブル70に曲げ加工品3の第2の寸法情報が存在しない場合には、第1生成部31で生成された第1の立体データ110が曲げ加工品3の立体データ100として情報格納部22に格納される。
【0052】
重ね合わせ解消工程の後、加工プログラム生成部34が曲げ加工品3の立体データ100に基づいて、曲げ加工品の加工プログラムを生成する(加工プログラム生成工程)。加工プログラム生成部34で生成された曲げ加工品の加工プログラムは、プログラム格納部21に格納される。
【0053】
[送信工程]
送信工程において、生成工程で生成された曲げ加工品3の立体データ100及び曲げ加工品の加工プログラムを曲げ加工機に送信する。
【0054】
[本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置の利点]
このように、本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置1は、板金2に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品3の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得部10と、取得部10が取得した寸法情報を格納する記憶部20と、記憶部20に格納された寸法情報に基づいて、曲げ加工品3の立体データ100を生成する生成部30とを備える。
【0055】
このような構成を備える曲げ加工品の立体データ生成装置1によれば、曲げ加工品3の立体データ100を自動で作成し、曲げ加工機の作業者等の作業効率や曲げ加工品の成形効率を向上させることが可能になるという利点がある。また、曲げ加工機で曲げ加工品3を成形する際に、自動で作成した曲げ加工品3の立体データ100を用いるため、曲げ加工機の作業者等が曲げ加工品3の寸法情報を手動で入力するときに生じる入力ミスを防止することができ、不良品の発生を防止することができるという利点もある。
【0056】
また、本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置1において、寸法情報は、板金2の一端部から板金2の折り曲げ線までの寸法と、折り曲げ線から次の折り曲げ線までの寸法と、板金2の最終折り曲げ線から板金2の他端部までの寸法と、各折り曲げ線における折り曲げ方向とに関する情報を含む。
【0057】
さらに、本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置1において、生成部30は、XYZ空間における曲げ加工品3のXZ断面の寸法情報を含む第1の寸法情報に基づいて、曲げ加工品3の第1の立体データ110を生成する第1生成部31と、XYZ空間における曲げ加工品3のYZ断面の寸法情報を含む第2の寸法情報に基づいて、曲げ加工品3の第2の立体データ120を生成する第2生成部32と、第1の立体データ110及び第2の立体データ120を合成して、曲げ加工品3の合成立体データ130を生成する合成データ生成部33とを含む。
【0058】
また、本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置1において、第1の寸法情報は、曲げ加工品3のY方向の寸法情報を含み、第2の寸法情報は、曲げ加工品3のX方向の寸法情報を含む。
【0059】
さらに、本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置1において、合成データ生成部33は、第1の立体データ110及び第2の立体データ120が重ね合わさる部分Aを分割し、第1の立体データ110及び第2の立体データ120の重ね合わせを解消するように構成されている。また、本実施形態に係る曲げ加工品の立体データ生成装置1において、合成データ生成部33は、第1の立体データ110及び第2の立体データ120が重ね合わさる部分Aを、第1の立体データ110に割り当てられる領域Bと第2の立体データ120に割り当てられる領域Cとに分割し、第1の立体データ110及び第2の立体データ120の重ね合わせを解消するように構成されている。このような構成を備える曲げ加工品の立体データ生成装置1によれば、第1の立体データ110及び第2の立体データ120の重ね合わせの解消を自動で行うことができるという利点がある。
【0060】
[変形例]
本発明の一態様に係る曲げ加工品の立体データ生成装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改変を行なうことができる。
【0061】
例えば、上述した実施形態では、曲げ加工品3の寸法情報は、板金2の一端部から板金2の折り曲げ線までの寸法と、折り曲げ線から次の折り曲げ線までの寸法と、板金2の最終折り曲げ線から板金2の他端部までの寸法と、各折り曲げ線における折り曲げ方向とに関する情報を含むものとして説明したが、これに限定されず、板金2の一端部から板金2の折り曲げ線までの寸法と、折り曲げ線から次の折り曲げ線までの寸法と、板金2の最終折り曲げ線から板金2の他端部までの寸法と、各折り曲げ線の座標情報とに関する情報を含んでいても良い。
【0062】
また、上述した実施形態では、合成データ生成部33が第1の立体データ110及び第2の立体データ120が重ね合わさる部分Aを分割し、第1の立体データ110及び第2の立体データ120の重ね合わせを解消するように構成されているものとして説明したが、これに限定されず、合成データ生成部33が第1の立体データ110及び第2の立体データ120の重ね合わせを解消しない構成としても良い。
【0063】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0064】
1 :立体データ生成装置
2 :板金
3 :曲げ加工品
10 :取得部
20 :記憶部
21 :プログラム格納部
22 :情報格納部
30 :生成部
31 :第1生成部
32 :第2生成部
33 :合成データ生成部
34 :加工プログラム生成部
40 :表示部
50 :操作部
60 :送信部
70 :テーブル
100 :立体データ
110 :第1の立体データ
120 :第2の立体データ
130 :合成立体データ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した寸法情報を格納する記憶部と、
前記記憶部に格納された寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の立体データを生成する生成部と
を備える曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項2】
前記寸法情報は、前記板金の一端部から前記板金の折り曲げ線までの寸法と、前記折り曲げ線から次の折り曲げ線までの寸法と、前記板金の最終折り曲げ線から前記板金の他端部までの寸法と、各折り曲げ線における折り曲げ方向とに関する情報を含む
請求項1に記載の曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項3】
前記生成部は、
XYZ空間における前記曲げ加工品のXZ断面の寸法情報を含む第1の寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の第1の立体データを生成する第1生成部と、
前記XYZ空間における前記曲げ加工品のYZ断面の寸法情報を含む第2の寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の第2の立体データを生成する第2生成部と、
前記第1の立体データ及び前記第2の立体データを合成して、前記曲げ加工品の合成立体データを生成する合成データ生成部と
を含む請求項1又は2に記載の曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項4】
前記第1の寸法情報は、前記曲げ加工品のY方向の寸法情報を含み、
前記第2の寸法情報は、前記曲げ加工品のX方向の寸法情報を含む
請求項3に記載の曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項5】
前記合成データ生成部は、前記第1の立体データ及び前記第2の立体データが重ね合わさる部分を分割し、前記第1の立体データ及び前記第2の立体データの重ね合わせを解消するように構成されている
請求項に記載の曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項6】
前記合成データ生成部は、前記第1の立体データ及び前記第2の立体データが重ね合わさる部分を、前記第1の立体データに割り当てられる領域と前記第2の立体データに割り当てられる領域とに分割し、前記第1の立体データ及び前記第2の立体データの重ね合わせを解消するように構成されている
請求項5に記載の曲げ加工品の立体データ生成装置。
【請求項7】
板金に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得処理と、
前記取得処理により取得した寸法情報を格納する記憶処理と、
前記記憶処理により格納された寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の立体データを生成する生成処理と
を曲げ加工品の立体データ生成装置に実行させる
曲げ加工品の立体データ生成プログラム。
【請求項8】
板金に曲げ加工を施して成形される曲げ加工品の各面の寸法を含む寸法情報を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得した寸法情報を格納する記憶工程と、
前記記憶工程により格納された寸法情報に基づいて、前記曲げ加工品の立体データを生成する生成工程と
を含む曲げ加工品の立体データ生成方法。
【外国語明細書】