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特開2024-98964透明部材の位置関係判定方法および透明部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098964
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】透明部材の位置関係判定方法および透明部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/245 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
G01B11/245 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220120
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2023002701
(32)【優先日】2023-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡西 裕太
(72)【発明者】
【氏名】木下 真秀
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA20
2F065AA53
2F065BB05
2F065BB22
2F065CC21
2F065DD03
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF05
2F065FF09
2F065GG07
2F065GG18
2F065GG24
2F065HH17
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065JJ26
2F065MM06
2F065QQ21
2F065QQ31
(57)【要約】
【課題】不規則に重ねられた状態で置かれた複数の透明部材に対してステレオ計測を実行し、各々の透明部材の相対的な上下方向の位置関係を把握することができる透明部材の位置関係判定方法、および当該位置関係判定方法を用いた透明部材の製造方法を提供する。
【解決手段】重なる状態で置かれた複数の透明部材Gaに対して、下方側から光Laを照射し、撮像手段4によって2方向から当該複数の透明部材Gaを撮像することにより、2つの異なる画像データを取得するステレオ画像データ取得工程S21と、取得した複数の画像データ上において、各々の透明部材Gaの像に基づき、当該透明材料Gaの頂点座標Pを検出する頂点座標検出工程S22と、各々の透明部材Gaの頂点座標Pに基づき、当該透明部材Gaの高さを算出することにより、複数の透明部材Gaにおける、相対的な上下方向の位置関係を判定する判定工程S23とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重なる状態で置かれた複数の透明部材に対して、上方側、下方側、または側方側から光を照射し、撮像手段によって複数の異なる方向から当該複数の透明部材を撮像することにより、複数の異なる画像データを取得するステレオ画像データ取得工程と、
取得した前記複数の画像データ上において、各々の前記透明部材の像に基づき、当該透明材料の頂点座標を検出する頂点座標検出工程と、
各々の前記透明部材の頂点座標に基づき、当該透明部材の高さを算出することにより、前記複数の透明部材における、相対的な上下方向の位置関係を判定する判定工程とを備える、
ことを特徴とする透明部材の位置関係判定方法。
【請求項2】
前記透明部材は、円柱形状または管形状の部材からなる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の透明部材の位置関係判定方法。
【請求項3】
前記透明部材は、半円柱形状またはハーフパイプ形状の部材からなる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の透明部材の位置関係判定方法。
【請求項4】
前記透明部材における、凸面の頂部から、前記凸面の頂部における法線から切断または研磨面と交わる点までの距離からなる高さ情報を取得する高さ情報取得工程をさらに備え、
前記判定工程において、
取得した前記高さ情報、および各々の前記透明部材の頂点座標に基づき、当該透明部材の高さを算出する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の透明部材の位置関係判定方法。
【請求項5】
前記撮像手段は、
前記複数の透明部材の上方に配置された複数の撮像装置からなる、
ことを特徴とする、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の透明部材の位置関係判定方法。
【請求項6】
重なる状態、または重ならない状態で置かれた前記複数の透明部材において、
請求項1~請求項4の何れか一項に記載の透明部材の位置関係判定方法を用いて、対象とする前記透明部材を選択しながら、当該透明部材を所定の搬送手段に移載する移載工程を備える、
ことを特徴とする透明部材の製造方法。
【請求項7】
前記移載工程においては、
前記透明部材の位置関係判定方法によって判定された、前記複数の透明部材のうちの重ならない状態で置かれた透明部材を、前記搬送手段に順次移載し、
続いて、前記複数の透明部材のうちの重なる状態で置かれた透明部材において、前記透明部材の位置関係判定方法によって判定された、最も高い位置に置かれた透明材料から順に、前記搬送手段に繰り返し移載することにより、前記複数の透明部材を前記搬送手段に移載する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の透明部材の製造方法。
【請求項8】
前記ステレオ画像データ取得工程において、
前記透明部材の表状態または裏状態の選別を実行し、
前記ステレオ画像データ取得工程によって、裏状態であると判断された前記透明部材を、表状態に反転させる反転工程をさらに有する、
ことを特徴とする、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の透明部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明部材の位置関係判定方法、および当該位置関係判定方法を用いた透明部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、光通信分野や半導体分野等に用いられる、比較的小サイズのガラス部材(透明部材)の製造工程においては、成形後に洗浄された複数の透明部材が、不規則に重ねられた状態で一旦纏められ、その後、搬送装置に備えられるセッター(焼成治具)に移載され、当該焼成治具上の所定位置に各々配置される。そして、複数の透明部材は、焼成治具上に配置された状態で、搬送装置によって次工程へと送られて焼成され、その後、品質検査を経て梱包された後、所定の出荷先へと出荷される。
【0003】
近年、上述した、焼成治具上の所定位置に複数の透明部材を各々配置する作業については、作業者の負担や透明部材の品質向上を図るべく、自動化が進められている。ここで、上記自動化を実現するためには、透明部材同士の接触による破損等を避けるべく、不規則に重ねられた複数の透明部材の中から、最も高い位置に置かれた透明部材を適宜判断して選択し、選択された透明部材から順に、焼成治具上の所定位置に移載することが重要である。
【0004】
最も高い位置に置かれた透明部材を判断するためには、各々の透明部材の高さ(上下方向の位置)を正確に測定して、相対的な上下方向の位置関係を把握する必要があるところ、このような対象物の高さを測定する技術として、ステレオ計測を用いた技術が従来より知られている(例えば、「特許文献1」を参照)。なお、ステレオ計測とは、対象物を異なる方向から撮像し、撮像時の視差を利用して、三角測量の原理で測定対象物の高さを計測する手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-230718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の技術においては、プロジェクタ等によって、所定の認識パターンを対象物に照射して投影させた状態で、当該対象物を異なる方向から撮像し、当該認識パターンに基づき、得られた複数の画像データを解析して、対象物上の対応点を取得した後、ステレオ計測を実行する場合が多い。
【0007】
しかしながら、対象物が透明部材である場合、照射された認識パターンは略透過してしまい、当該透明部材に投影させることが困難であるため、不規則に重ねられた複数の透明部材に対して、各々の透明部材の高さをステレオ計測によって測定して把握することが困難である。
【0008】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、不規則に重ねられた状態で置かれた複数の透明部材に対してステレオ計測を実行し、各々の透明部材の相対的な上下方向の位置関係を把握することができる透明部材の位置関係判定方法、および当該位置関係判定方法を用いた透明部材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、本発明の第1形態に係る透明部材の位置関係判定方法は、重なる状態で置かれた複数の透明部材に対して、上方側、下方側、または側方側から光を照射し、撮像手段によって複数の異なる方向から当該複数の透明部材を撮像することにより、複数の異なる画像データを取得するステレオ画像データ取得工程と、取得した前記複数の画像データ上において、各々の前記透明部材の像に基づき、当該透明材料の頂点座標を検出する頂点座標検出工程と、各々の前記透明部材の頂点座標に基づき、当該透明部材の高さを算出することにより、前記複数の透明部材における、相対的な上下方向の位置関係を判定する判定工程とを備えることを特徴とする。このように、本発明に係る透明部材の位置関係判定方法においては、複数の異なる画像データ上にて検出された頂点座標に基づき、各々の透明部材の高さをステレオ計測によって算出し、複数の透明部材における相対的な上下方向の位置関係を判定することから、従来のように、対象物(透明部材)に対して所定の認識パターンを投影し、当該認識パターンに基づき、対象物(透明部材)の対応点を取得したうえで、ステレオ計測を実行する必要が無い。従って、照射された認識パターンが透過してしまう透明部材であっても、確実にステレオ計測を実行し、各々の透明部材の相対的な上下方向の位置関係を、確実に把握することができる。
【0011】
また、本発明の第2形態に係る透明部材の位置関係判定方法は、前記第1形態に係る透明部材の位置関係判定方法において、前記透明部材が、円柱形状または管形状の部材からなることを特徴とする。このような形状からなる透明部材であっても、本発明に係る透明部材の位置関係判定方法によれば、確実にステレオ計測を実行し、複数の透明部材における相対的な上下方向の位置関係を判定することができる。
【0012】
また、本発明の第3形態に係る透明部材の位置関係判定方法は、前記第1形態に係る透明部材の位置関係判定方法において、前記透明部材が、半円柱形状またはハーフパイプ形状の部材からなることを特徴とする。ここで、半円柱形状の部材とは、円柱形状の部材を長尺方向に切断または研磨した部材であり、ハーフパイプ形状の部材とは、管形状の部材を長尺方向に切断または研磨した部材である。このような形状からなる透明部材であっても、本発明に係る透明部材の位置関係判定方法によれば、確実にステレオ計測を実行し、複数の透明部材における相対的な上下方向の位置関係を判定することができる。
【0013】
また、本発明の第4形態に係る透明部材の位置関係判定方法は、前記第3形態に係る透明部材の位置関係判定方法において、前記透明部材における、凸面の頂部から、前記凸面の頂部における法線が切断または研磨面と交わる点までの距離からなる高さ情報を取得する高さ情報取得工程をさらに備え、前記判定工程において、取得した前記高さ情報、および各々の前記透明部材の頂点座標に基づき、当該透明部材の高さを算出することを特徴とする。ここで、「凸面の頂部」とは、長尺方向に見た透明部材の断面形状において、円弧状の外周面の先端部に位置する頂点を意味する。半円柱形状の部材において、「切断または研磨面」とは、長尺方向に見た断面視において、円弧状の外周面の両端部が同一の面上にある平面を意味する。また、ハーフパイプ形状の部材において、「切断または研磨面」とは、長尺方向に見た断面視において、円弧状の外周面の両端部同士を結んでなる仮想平面を意味する。透明部材が半円柱形状またはハーフパイプ形状の部材からなる場合、切断または研磨面を下側に向けて置かれた状態(以下、適宜「表状態」と記載する)と、切断または研磨面を上側に向けて置かれた状態(以下、適宜「裏状態」と記載する)とでは、当該透明部材における頂点座標の上下方向の位置が異なるものの、平面視においては、その差異を判別することが困難である。従って、例えば上方から、複数の透明部材を撮像手段によって撮像する場合、表状態の透明部材と、裏状態の透明部材との間で、ステレオ計測によって算出された高さに誤差が生じることとなる。本発明に係る透明部材の位置関係判定方法においては、予め取得している高さ情報に基づき、透明部材の置かれた状態(表状態または裏状態)に応じて、算出された高さを補整することができ、より確実にステレオ計測を実行し、複数の透明部材における相対的な上下方向の位置関係を判定することができる。
【0014】
また、本発明の第5形態に係る透明部材の位置関係判定方法は、前記第1形態から第4形態の何れかに係る透明部材の位置関係判定方法において、前記撮像手段が、前記複数の透明部材の上方に配置された複数の撮像装置からなることを特徴とする。このような構成を有することにより、不規則に重ねられた複数の透明部材を、上方からの広い視野で撮像し、当該複数の透明部材の全体像を確実に捉えることができる。従って、撮像手段によって取得された画像データに基づき、ステレオ計測を実行することで、複数の透明部材における相対的な上下方向の位置関係を、より正確に判定することができる。
【0015】
さらに、本発明の第6形態に係る透明部材の製造方法は、重なる状態、または重ならない状態で置かれた前記複数の透明部材において、前記第1形態から前記第4形態の何れかに係る透明部材の位置関係判定方法を用いて、対象とする前記透明部材を選択しながら、当該透明部材を所定の搬送手段に移載する移載工程を備えることを特徴とする。このような構成を有することにより、逐次最適な透明部材を選択して所定の搬送手段に移載することができ、当該搬送手段によって次工程へと搬送し、透明部材を製造することができる。
【0016】
また、本発明の第7形態に係る透明部材の製造方法は、前記第6形態に係る透明部材の製造方法において、前記移載工程においては、前記透明部材の位置関係判定方法によって判定された、前記複数の透明部材のうちの重ならない状態で置かれた透明部材を、前記搬送手段に順次移載し、続いて、前記複数の透明部材のうちの重なる状態で置かれた透明部材において、前記透明部材の位置関係判定方法によって判定された、最も高い位置に置かれた透明材料から順に、前記搬送手段に繰り返し移載することにより、前記複数の透明部材を前記搬送手段に移載することを特徴とする。このような構成を有することにより、例えば、相対的に下方に位置する透明部材を引き上げることによって生じる、透明部材同士の接触による破損等を避けつつ、複数の透明部材を順に所定の搬送手段に移載して次工程へと搬送し、より高品質な透明部材を製造することができる。
【0017】
また、本発明の第8形態に係る透明部材の製造方法は、前記第1形態から第4形態の何れかに係る透明部材の製造方法において、前記ステレオ画像データ取得工程においては、前記透明部材の表状態または裏状態の選別を実行し、前記ステレオ画像データ取得工程によって、裏状態であると判断された前記透明部材を、表状態に反転させる反転工程をさらに有することを特徴とする。このような構成を有することにより、搬送手段に移載された複数の透明部材において、裏状態の透明部材が混在するのを、より確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。即ち、本発明に係る透明部材の位置関係判定方法によれば、不規則に重ねられた状態で置かれた複数の透明部材に対してステレオ計測を実行し、各々の透明部材の相対的な上下方向の位置関係を把握することができる。また、本発明に係る透明部材の製造方法によれば、逐次最適な透明部材を選択して所定の搬送手段に移載することができ、当該搬送手段によって次工程へと搬送し、透明部材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る透明部材の位置関係判定方法を実施する、判定装置の全体的な構成を示した正面図である。
図2】本発明に係る透明部材の位置関係判定方法において、各工程を経時的に順に示した工程図である。
図3】ステレオ画像データ取得工程を説明するための図であって、(a)は2基の撮像装置によって各々取得された画像データを示した概略図であり、(b)は各画像データ上における透明部材の占める領域が検出された状態を示した概略図である。
図4】頂点座標検出工程を説明するための図であって、(a)は第1の画像データ上における重なる状態で置かれた一対の透明部材が検出された状態を示した概略図であり、(b)は、第1の画像データ上にて検出された当該一対の透明部材と対応する、第2の画像データ上における一対の透明部材が検出された状態を示した概略図である。
図5】判定工程を説明するための図であって、各画像データ上において、各々の透明部材の頂点座標に基づき当該透明部材の高さが算出され、一対の透明部材における相対的な上下方向の位置が明らかになった状態を示した概略図である。
図6】相対的な上下方向の位置関係の判定対象とした、一対の透明部材の実際の状態を示した図であって、(a)はその平面図であり、(b)は図6(a)中の矢視Aの方向に見た側面図である。
図7】本発明に係る透明部材の製造方法において、位置関係判定工程と移載工程との実行する順序を経時的に順に示した工程図である。
図8】透明部材の形態例を示した図であって、(a)は円柱形状からなる透明部材の形態を示した正面図及び側面図であり、(b)は管形状からなる透明部材の形態を示した正面図及び側面図であり、(c)は半円形状からなる透明部材の形態を示した正面図及び側面図であり、(d)はハーフパイプ形状からなる透明部材の形態を示した正面図及び側面図である。
図9図1における判定装置を備えた透明部材の供給システムの、全体的な構成を示した平面図である。
図10】均し装置の構成を示した図であって、図9中の矢視B1の方向に見た正面図である。
図11】スペーサ供給装置の構成を示した図であって、図9中の矢視B2の方向に見た正面図である。
図12】反転装置の構成を示した図であって、(a)は図9中の矢視B3の方向に見た側面図であり、(b)は図12(a)中の矢視B3aの方向に見た正面図である。
図13】整列装置の構成を示した図であって、図9中の矢視B4の方向に見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の一実施形態について、図1乃至図13を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図9乃至図13中に示す矢印の方向によって、透明部材Gaの供給システム101(均し装置104、スペーサ供給装置105、反転装置106、または整列装置107)の前後方向、左右方向、及び上下方向を規定して記述する。また、図9及び図12(b)において、矢視C1はセッター搬送装置102の搬送方向を示し、矢視C2は搬送コンベア162の搬送方向を示す。
【0021】
[位置関係判定装置1の全体構成]
先ず、本発明に係る透明部材の位置関係判定方法を実施する、位置関係判定装置1(以下、単に「判定装置1」と記載する)の全体的な構成について、図1を用いて説明する。
【0022】
本実施形態における判定装置1は、不規則に重ねられた状態で置かれた複数の透明部材Ga・Ga・・・(以下、適宜「透明部材群G」と記載する)において、各々の透明部材Gaの相対的な上下方向の位置関係を把握する装置である。なお、本実施形態において、判定の対象とする透明部材Gaの、具体的な形状については後述する。
【0023】
判定装置1は、主に、載置台2、照明手段3、撮像手段4、及び判定装置1全体の動作を制御するとともに、ステレオ計測を実行して各々の透明部材Gaの相対的な上下方向の位置関係を把握する制御手段5などを備える。
【0024】
載置台2は、判断の対象とする透明部材群Gを、所定位置にて支持するものである。載置台2は、水平状の上面2aを有し、当該上面2a上にて複数の透明部材Ga・Ga・・・を、不規則に重ねられた状態で載置することにより、透明部材群Gを支持する。
【0025】
なお、本実施形態における載置台2は、例えばガラス板やアクリル樹脂板等のような、光を透過可能な部材からなり、後述する照明手段3によって、下方側から光を照射することにより、上面2a上に載置された透明部材Gaを照明可能に構成されている。
【0026】
照明手段3は、載置台2によって支持された透明部材群Gを照明するものである。照明手段3は、例えば、面発光型の白色LED照明からなるバックライトであり、発光面3aを上方に向けた状態で、載置台2の直下に配置されている。
【0027】
そして、照明手段3は、載置台2の上面2a上に重なる状態で不規則に置かれた、複数の透明部材Ga・Ga・・・に対して、下方側から光Laを照射することで、これらの透明部材Ga・Ga・・・を照明する。
【0028】
なお、照明手段3の配置については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、載置台2によって支持された透明部材群Gを、上方側から照明するように配置されていてもよいし、側方側から照明するように配置されていてもよい。
【0029】
撮像手段4は、載置台2の上面2a上に載置された透明部材群Gを撮像して、画像データを取得するものである。撮像手段4は、複数(本実施形態においては、2基)の第1撮像装置4A及び第2撮像装置4Bにより構成される。なお、第1撮像装置4A及び第2撮像装置4Bは、本発明に係る撮像装置の一例である。
【0030】
第1撮像装置4A及び第2撮像装置4Bは、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子による、いわゆるデジタルカメラなどによって、それぞれ構成することができる。また、第1撮像装置4A及び第2撮像装置4Bによって取得される画像データについては、カラーまたはモノクロの何れであってもよい。
【0031】
そして、これらの第1撮像装置4A及び第2撮像装置4Bは、載置台2の直上において、水平方向に所定間隔d(例えば、本実施形態においてはd=約150mm)を有して離間し、且つ上面2a上に載置された透明部材群Gに撮像方向を向けた状態で、各々配置される。また、これらの第1撮像装置4A及び第2撮像装置4Bは、載置台2の上面2aから各撮像装置4A・4Bのレンズ41A・41Bの先端までの高さが、所定高さh(例えば、本実施形態においてはh=約600mm)となるように設定されている。
【0032】
このように、本実施形態においては、載置台2の上面2aに載置された複数の透明部材Ga・Ga・・・に対して、上方に配置された2基の第1撮像装置4A及び第2撮像装置4Bによって、撮像手段4が構成されている。
【0033】
このような構成を有することにより、不規則に重ねられた複数の透明部材Ga・Ga・・・を、上方からの広い視野で撮像し、当該複数の透明部材Ga・Ga・・・の全体像を確実に捉えることができる。従って、後述するように、撮像手段4によって取得された画像データに基づき、ステレオ計測を実行することで、複数の透明部材Ga・Ga・・・における相対的な上下方向の位置関係を、より正確に判定することができる。
【0034】
そして、これら2基の第1撮像装置4A及び第2撮像装置4Bによって、複数の異なる方向(本実施形態においては、2方向)から、載置台2の上面2aに載置された複数の透明部材Ga・Ga・・・を同時に撮像することにより、互いに見え方が異なる、即ち視差を有する複数(本実施形態においては、2つ)の画像データ(後述する第1画像データ100及び第2画像データ200。図3を参照)が、ステレオ画像データとして取得される。
【0035】
制御手段5は、前述したように、判定装置1全体の動作を制御するとともに、撮像手段4によって取得された画像データに基づきステレオ計測を実行し、各々の透明部材Gaの相対的な上下方向の位置関係を把握するものである。
【0036】
制御手段5は、CPU(Central Processing Unit)によって構成される演算処理部や、ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)・HDD(Hard Disk Drive)等によって構成される記憶部などを備え、当該記憶部には、判定装置1全体の動作を制御するプログラム、及び後述する透明部材の位置関係判定方法に基づき、各々の透明部材Gaの相対的な上下方向の位置関係を把握するプログラムなどが、予め格納されている。また、制御手段5には、撮像手段4と接続するインターフェース等が設けられている。
【0037】
なお、制御手段5には、例えばタッチパネルなどにより構成される入力手段が備えられるとともに、モニターなどにより構成される出力手段が備えられていてもよい。
【0038】
[透明部材の位置関係判定方法]
次に、本実施形態によって具現化される透明部材の位置関係判定方法について、図2乃至図6、及び図8を用いて説明する。
【0039】
本実施形態における透明部材の位置関係判定方法は、不規則に重ねられた状態で置かれた複数の透明部材Ga・Ga・・・において、各々の透明部材Gaの相対的な上下方向の位置関係を把握する方法であって、前述した判定装置1(図1を参照)によって実施される。
【0040】
ここで、本実施形態における判定の対象とする、透明部材Gaの一例として、例えば、光通信分野や半導体分野等に用いられる、比較的小サイズのガラス部材からなる透明部材が挙げられる。このような透明部材Gaとしては、例えば、図8(a)に示すような円柱形状の部材からなるもの、図8(b)に示すような管形状の部材からなるもの、図8(c)に示すような半円柱形状の部材からなるもの、及び図8(d)に示すようなハーフパイプ形状の部材からなるものなど、様々な形状があり、何れの形状からなる透明部材Gaであっても、本実施形態における判断の対象とすることができる。なお、本発明において、半円柱形状またはハーフパイプ形状の部材からなる透明部材Gaにおける、凸面の頂部から、凸面の頂部における法線が切断または研磨面と交わる点までの距離Lは、必ずしも透明部材Gaの半径Rと等しくなる必要はなく、距離Lは半径Rの0.3~1.2倍の範囲であっても構わない(0.3×R≦L≦1.2×R)。また、透明部材Gaの長尺方向の切断は、スクライブによる折り割りや切断機による切断、レーザを用いた切断などを用いることができる。
【0041】
円柱形状の部材からなる透明部材Ga(以下、適宜「円柱型透明部材Ga10」と記載する)、または管形状の部材からなる透明部材Ga(以下、適宜「管型透明部材Ga20」と記載する)を判断の対象とする場合と異なり、半円柱形状の部材からなる透明部材Ga(以下、適宜「半円柱型透明部材Ga30」と記載する)、またはハーフパイプ形状の部材からなる透明部材Ga(以下、適宜「ハーフパイプ型透明部材Ga40」と記載する)を判断の対象とする場合には、各透明部材Gaの上下方向の位置(高さ)を把握する際に誤差を生じることがある。
【0042】
即ち、円柱型透明部材Ga10及び管型透明部材Ga20においては、略水平に倒された状態が如何なる状態であっても、上方より撮像された画像データ上にて確認される、後述する頂点座標P(画像データ上において、透明部材Gaの像における4つの角部)の上下方向の位置が、実質的に変化することはない。
【0043】
一方、半円柱型透明部材Ga30及びハーフパイプ型透明部材Ga40においては、略水平に倒された状態が表状態(切断または研磨面Sを下側に向けた状態)、または裏状態(切断または研磨面Sを上側に向けた状態)の何れの場合であるかによって、上方より撮像された画像データ上にて確認される、頂点座標Pの上下方向の位置が、実質的に相違するものの、このような頂点座標Pの上下方向の位置の違いを、当該画像データ上にて正確に検出することは困難である。つまり、略水平に倒された状態が、表状態である場合と裏状態である場合とで、透明部材Gaにおける頂点座標Pの上下方向の位置は、当該透明部材Gaの半径Rだけ、実質的に異なるものの、当該頂点座標Pの上下方向の位置の違いを、上方より撮像された画像データ上にて正確に検出することは困難である。
【0044】
各透明部材Gaの上下方向の位置は、後述するように、各透明部材Gaの頂点座標Pの高さに基づき把握される。従って、半円柱型透明部材Ga30またはハーフパイプ型透明部材Ga40を判断対象とする場合、表状態である透明部材Gaと、裏状態である透明部材Gaとの間で、各透明部材Gaの上下方向の位置に誤差が生じることとなる。
【0045】
このようなことから、本実施形態においては、半円柱型透明部材Ga30またはハーフパイプ型透明部材Ga40を判断の対象とする場合、高さ情報取得工程S10によって取得された高さ情報に基づき、各透明部材Gaの上下方向の位置を適宜補整する構成となっている。
【0046】
即ち、透明部材の位置関係判定方法は、図2に示すように、高さ情報取得工程S10と、位置関係判定工程S20とを備える。なお、以下の説明においては、主に、半円柱型透明部材Ga30(図8(c)を参照)を判定の対象とした場合について記載する。
【0047】
高さ情報取得工程S10は、上述したように、半円柱型透明部材Ga30やハーフパイプ型透明部材Ga40などのような、上下方向の位置(高さ)を把握する際に誤差が生じ得る透明部材Gaに対して、切断または研磨面Sから凸面の頂部までの距離Lからなる高さ情報を、補正値として取得する工程である。本実施形態においては、半円柱型透明部材Ga30やハーフパイプ型透明部材Ga40における距離Lを、高さ情報として制御手段5に入力する。
【0048】
そして、本工程によって取得された高さ情報は、後述する判定工程S23において、各透明部材Gaの高さを算出する際に用いられる。
【0049】
なお、本工程については、例えば、円柱型透明部材Ga10や管型透明部材Ga20などのように、上下方向の位置(高さ)を把握する際に誤差が生じない透明部材Gaを、判定の対象とする場合、省略することが可能である。
【0050】
位置関係判定工程S20は、主に経時的に行われるステレオ画像データ取得工程S21と、頂点座標検出工程S22と、判定工程S23とを備える。
【0051】
ステレオ画像データ取得工程S21は、第1撮像装置4A(図1を参照)及び第2撮像装置4Bによって、載置台2の上面2aに載置された透明部材群Gを2方向から同時に撮像し、2種類の異なる画像データをステレオ画像データとして取得する工程である。
【0052】
具体的には、図3(a)に示すように、第1撮像装置4Aによって撮像された第1画像データ100、及び第2撮像装置4Bによって撮像された第2画像データ200は、視差による影響を含むステレオ画像データとして取得され、電気信号に変換された後、制御手段5へと送信される。
【0053】
これらの第1画像データ100及び第2画像データ200を受信した制御手段5は、直ちに所定の画像処理を実行し、各画像データ(第1画像データ100または第2画像データ200)上におけるガラス領域(透明部材Gaの輪郭によって囲まれた領域、つまり透明部材Gaの存在)を検出する。
【0054】
例えば、図3(b)に示すように、第1画像データ100上において、制御手段5は、4個所のガラス領域を検出して、4本の透明部材Ga・Ga・・・を把握する。
【0055】
また、第2画像データ200上においても同様に、制御手段5は、4個所のガラス領域を検出して、4本の透明部材Ga・Ga・・・を把握する。
【0056】
なお、本実施形態においては、半円柱型透明部材Ga30を判定の対象としていることから、制御手段5は、各画像データ(第1画像データ100または第2画像データ200)上における透明部材Gaを把握するのと同時に(或いは、把握した後に)、当該透明部材Gaの状態における、表状態または裏状態の選別を実行する。
【0057】
表状態または裏状態の選別手法としては、例えば、照明手段3(図1を参照)の照明による、透明部材Gaの輪郭の濃淡に基づく手法を採用することができる。
【0058】
具体的には、半円柱型透明部材Ga30においては、裏状態の場合、表状態の場合に比べて、長手方向に延びる端部L1の輪郭が濃く表れるため、当該端部の輪郭の濃淡を比較することにより、容易に選別することができる。
【0059】
その結果、各画像データ(第1画像データ100または第2画像データ200)上において、制御手段5は、上記端部L1が薄く表れた2本の透明部材Ga・Ga(図3(b)上の透明部材Ga1)を表状態として判断し、また、上記端部L1が濃く表れた2本の透明部材Ga・Ga(図3(b)上の透明部材Ga2)を裏状態として判断する。
【0060】
頂点座標検出工程S22は、取得した2種類の画像データ(第1画像データ100及び第2画像データ200)上において、各々の透明部材Gaの像に基づき、当該透明材料Gaの頂点座標Pを検出する工程である。
【0061】
具体的には、図4(a)に示すように、制御手段5は、先ず始めに第1画像データ100上において、把握した4本の透明部材Ga・Ga・・・の中から、上述したガラス領域が互いに重なり合う、2本の透明部材Ga・Ga(図4(a)中の第1透明部材X1・Y1)を検出する。
【0062】
次に、図4(b)に示すように、制御手段5は、第2画像データ200上において、第1画像データ100上の第1透明部材X1・Y2と対応する(同一の被写体である)、2本の透明部材Ga・Ga(図4(b)中の第2透明部材X2・Y2)を検出する。
【0063】
第2画像データ200上の第2透明部材X2・Y2は、以下の手法によって検出される。即ち、第1画像データ100及び第2画像データ200には、基準となる原点位置Zが、予め同一の位置に設けられており、当該原点位置Zを0点とする二次元の座標軸(X軸及びY軸)を用いて算出された、各透明部材Gaにおけるガラス領域の位置及び傾き等を各々比較演算することによって、第1透明部材X1・Y1と対応する第2透明部材X2・Y2が検出される。
【0064】
そして、制御手段5は、検出された各々の透明部材Gaに対して、ガラス領域における4角の頂点を頂点座標Pとして取得する。具体的には、図5に示すように、制御手段5は、第1画像データ100上において、第1透明部材X1における頂点座標P(より具体的には、4つの頂点座標P1・P1・・・)、及び第1透明部材Y1における頂点座標P(より具体的には、4つの頂点座標P1・P1・・・)を各々取得する。また、制御手段5は、第2画像データ200上において、第2透明部材X2における頂点座標P(より具体的には頂点座標P2・P2・・・)、及び第2透明部材Y2における頂点座標P(より具体的には頂点座標P2・P2・・・)を各々取得する。
【0065】
判定工程S23は、各々の透明部材Ga(第1透明部材X1・Y1または第2透明部材X2・Y2)の頂点座標Pに基づき、当該透明部材Gaの高さを算出することにより、複数の透明部材Ga・Ga・・・における、相対的な上下方向の位置関係を判定する工程である。
【0066】
具体的には、制御手段5は、上記頂点座標検出工程S22によって取得された複数の頂点座標P・P・・・(頂点座標P1・P1・・・、P1・P1・・・、及び頂点座標P2・P2・・・、P2・P2・・・)に対して、ステレオ計測を実行することにより、それぞれの高さを算出し、算出された結果に基づき、各透明部材Gaにおける高さ及び姿勢を3次元的に把握する。
【0067】
そして、互いに重なり合う第1透明部材X1及び第2透明部材Y1(または、第1透明部材X2及び第2透明部材Y2)において、ガラス領域が交差する領域Qに着目し、当該領域Q内における、各透明部材Gaの上下方向の位置を比較することにより、第1透明部材X1と第2透明部材Y1との間(または、第1透明部材X2と第2透明部材Y2との間)における、相対的な上下方向の位置関係を判定する。
【0068】
その結果、例えば本実施形態においては、領域Q内の下側に第1透明部材X1(または、第1透明部材X2)が位置し、且つ上側に第2透明部材Y1(または、第2透明部材Y2)が位置すると判定され、図6(a)(b)に示すように、第1透明部材X1の中途部の上側に、第2透明部材Y1が交差して重なるように置かれている状態が把握される。
【0069】
なお、本実施形態においては、半円柱型透明部材Ga30を判断の対象としており、複数の頂点座標P・P・・・(頂点座標P1・P1・・・、P1・P1・・・、及び頂点座標P2・P2・・・、P2・P2・・・)に対してステレオ計測を実行する際、上述した、高さ情報取得工程S10によって得られた高さ情報を用いて、算出された各頂点座標Pの高さを補整することとしている。
【0070】
即ち、本実施形態においては、透明部材Ga(より具体的には、半円柱型透明部材Ga30)における、切断または研磨面Sから凸面の頂部までの距離Lからなる高さ情報を取得する高さ情報取得工程S10を備え、判定工程S23において、取得した当該高さ情報、および各々の透明部材Gaの頂点座標P・P・・・(頂点座標P1・P1・・・、P1・P1・・・、及び頂点座標P2・P2・・・、P2・P2・・・)に基づき、各透明部材Gaの相対的な上下方向の位置関係(高さ)を算出する構成となっている。
【0071】
このような構成を有することにより、本実施形態における透明部材の位置関係判定方法によれば、予め取得している高さ情報に基づき、透明部材の置かれた状態(表状態または裏状態)に応じて、算出された高さを補整することができ、より確実にステレオ計測を実行し、複数の透明部材Ga・Ga・・・における相対的な上下方向の位置関係を判定することができる。
【0072】
以上のように、本実施形態における透明部材の位置関係判定方法は、経時的に順に行われるステレオ画像データ取得工程S21と、頂点座標検出工程S22と、判定工程S23とを備える構成となっている。
【0073】
そして、ステレオ画像データ取得工程S21においては、重なる状態で置かれた複数の透明部材Ga・Ga・・・に対して、上方側、下方側、または側方側(本実施形態においては、下方側)から光Laを照射し、撮像手段4によって複数の異なる方向(本実施形態においては、2方向)から当該複数の透明部材Ga・Ga・・・を撮像することにより、複数(本実施形態においては、2つ)の異なる画像データ(第1画像データ100及び第2画像データ200)を取得する。
【0074】
また、頂点座標検出工程S22においては、取得した上記複数の画像データ上において、各々の透明部材Gaの像に基づき、当該透明材料Gaの頂点座標P・P・・・(頂点座標P1・P1・・・、P1・P1・・・、及び頂点座標P2・P2・・・、P2・P2・・・)を検出する。
【0075】
さらに、判定工程S23においては、各々の透明部材Gaの上記頂点座標P・P・・・に基づき、当該透明部材Gaの高さを算出することにより、複数の透明部材Ga・Ga・・・における、相対的な上下方向の位置関係を判定する。
【0076】
このように、本実施形態における透明部材の位置関係判定方法においては、複数の異なる画像データ(第1画像データ100及び第2画像データ200)上にて検出された頂点座標P・P・・・(頂点座標P1・P1・・・、P1・P1・・・、及び頂点座標P2・P2・・・、P2・P2・・・)に基づき、各々の透明部材Gaの高さをステレオ計測によって算出し、複数の透明部材Ga・Ga・・・における相対的な上下方向の位置関係を判定することから、従来のように、対象物(透明部材)に対して所定の認識パターンを投影し、当該認識パターンに基づき、対象物(透明部材)の対応点を取得したうえで、ステレオ計測を実行する必要が無い。
【0077】
従って、照射された認識パターンが透過してしまう透明部材Gaであっても、確実にステレオ計測を実行し、各々の透明部材Gaの相対的な上下方向の位置関係を、確実に把握することができる。
【0078】
[透明部材の製造方法]
次に、本実施形態によって具現化される透明部材の製造方法について、図1及び図7を用いて説明する。
【0079】
本実施形態における透明部材の製造方法は、重なる状態、または重ならない状態で不規則に置かれた、複数の透明部材Ga・Ga・・・において、前述した透明部材の位置関係判定方法を用いて、対象とする透明部材Gaを選択しながら、当該透明部材Gaを所定の搬送手段に移載する移載工程S30を備える方法である。
【0080】
図1において、透明部材の製造工程においては、一般的に、成形後に洗浄された複数の透明部材Ga・Ga・・・が、不規則に重ねられた状態で一旦纏められ、判定装置1における載置台2の上面2aに載置される。載置台2の上面2aに載置された複数の透明部材Ga・Ga・・・(透明部材群G)は、判定装置1によって適宜判定され、その結果、対象となる好適な透明部材Gaが順次選択される(位置関係判定工程S20)。
【0081】
その後、選択された透明部材Gaは、移載装置等によって、図示せぬ搬送手段(搬送装置)に備えられるセッター(焼成治具)に順次移載され、当該焼成治具上の所定位置に各々配置される(移載工程S30)。
【0082】
そして、複数の透明部材Ga・Ga・・・は、上記焼成治具上に配置された状態で、搬送装置によって次工程へと送られて焼成され、その後、品質検査を経て梱包された後、所定の出荷先へと出荷される。
【0083】
ここで、図7に示すように、本実施形態においては、載置台2の上面2a上の全ての透明部材Ga・Ga・・・が、上記焼成治具上の所定位置に配置されるまで、位置関係判定工程S20及び移載工程S30が、交互に順に繰り返される。
【0084】
具体的には、移載工程S30においては、位置関係判定工程S20によって判定された、複数の透明部材Ga・Ga・・・のうちの重ならない状態で置かれた透明部材Gaを、上記搬送手段(図示せず)に備えられる焼成治具に順次移載し、続いて、複数の透明部材Ga・Ga・・・のうちの重なる状態で置かれた透明部材Gaにおいて、位置関係判定工程S20によって判定された、最も高い位置に置かれた透明材料Gaから順に、上記搬送手段(図示せず)の焼成治具に繰り返し移載することにより、これら複数の透明部材Ga・Ga・・・を上記搬送手段の焼成治具に移載する構成となっている。
【0085】
このような構成を有することにより、例えば、相対的に下方に位置する透明部材Gaを引き上げることによって生じる、透明部材Ga・Ga同士の接触による破損等を避けつつ、複数の透明部材Ga・Ga・・・を順に所定の搬送手段(本実施形態においては、搬送手段に備えられる焼成治具)に移載して次工程へと搬送し、より高品質な透明部材を製造することができる。
【0086】
なお、本実施形態における透明部材の製造方法においては、前述したように、ステレオ画像データ取得工程S21において、取得した第1画像データ100及び第2画像データ200に基づき、透明部材Gaの表状態または裏状態の選別を実行し、当該ステレオ画像データ取得工程S21によって、裏状態であると判断された透明部材Gaを、表状態に反転させる反転工程をさらに有する構成としてもよい。上記反転工程は、例えば、後述する透明部材の供給システム101における反転装置106によって実行される。
【0087】
このような構成を有することにより、焼成治具に移載された複数の透明部材Ga・Ga・・・において、裏状態の透明部材Gaが混在するのを、より確実に防止することができる。
【0088】
[透明部材の供給システム101の構成]
次に、前述した判定装置1を備える透明部材の供給システムの一例として、透明部材の供給システム101(以下、単に「供給システム101」と記載する)の構成について、図9乃至図13を用いて説明する。
【0089】
供給システム101は、成形後に洗浄された複数の透明部材Ga・Ga・・・を、移載装置103によってセッターT上の所定位置に順に並べて載置し、当該セッターTに供給するシステムである。なお、セッターTは、前述した本実施形態における焼成治具の一例である。
【0090】
ここで、本実施形態において供給対象とする透明部材Gaは、前述した半円柱型透明部材Ga30(図8(c)を参照)である。また、各透明部材Gaは、前述した表状態(切断面S(図8(c)を参照)を下側に向けた状態。)の姿勢によって、セッターT上の所定箇所(後述する第1溝部Tc1)に載置される。
【0091】
図9において、供給システム101は、主に、所定の移載エリアE1にセッターTを供給するセッター搬送装置102と、セッターTに透明部材Ga及びスペーサGbを移載する移載装置103と、当該移載エリアE1の周囲に各々配置される均し装置104、スペーサ供給装置105、及び反転装置106と、当該移載エリアE1に配置される整列装置107とを備える。
【0092】
なお、上記スペーサGbは、複数の透明部材Ga・Ga・・・が載置されたセッターT(即ち、後述する実セッターTb)を段積みする際、各透明部材Gaが上段側のセッターTの底面と接触するのを回避するために設けられる部材であって、例えば本実施形態においては、当該透明部材Gaに比べてやや外形サイズが大きい角柱形状の部材からなる。
【0093】
セッター搬送装置102は、例えば2連のベルトコンベア102a・102aからなり、載置されたセッターTを一方向(矢印C1の方向。本実施形態においては、前方向)に向かって搬送する。
【0094】
セッター搬送装置102の搬送方向の中途部には、移載装置103による透明部材Ga及び及びスペーサGbの移載作業を行うための、移載エリアE1が設けられている。
【0095】
そして、セッター搬送装置102は、搬送するセッターT(より具体的には、透明部材Ga及びスペーサGbが未載置である空セッターTa)が移載エリアE1に到達すると一旦停止し、その後、移載装置103による移載作業が終了すると再び動作を開始し、当該セッターT(より具体的には、複数の透明部材Ga・Ga・・・及びスペーサGb・Gb・・・が所定位置に載置された実セッターTb)を移載エリアE1から搬出する。
【0096】
移載装置103は、移載エリアE1に供給された空セッターTa上の所定位置に、透明部材Ga及びスペーサGbを各々移載する装置である。移載装置103は、図10に示すように、主に移載ロボット131及び判定装置132を備える。
【0097】
移載ロボット131は、例えば本実施形態においては、三次元の任意の方向に向かって透明部材Ga及びスペーサGbを移動可能な、パラレルメカニズムを用いたロボットによって構成される。即ち、移載ロボット131は、駆動源や制御系等を内装するロボット本体131a、及び当該ロボット本体131aに回動可能に支持される複数(本実施形態においては3本)のロボットアーム131b・131b・131bなどを有する。
【0098】
各ロボットアーム131bは、延出方向の中途部に設けられる回動節部131b1を介して、屈曲可能に構成されている。また、3本のロボットアーム131b・131b・131bは、延出方向の一端において、ロボット本体131aとそれぞれ回動可能に連結されるとともに、延出方向の他端において互いに集約され、可動ヘッド131cを介して連結されている。
【0099】
そして、上記可動ヘッド131cの下端には、透明部材Ga及びスペーサGbを各々個別に保持可能な第1吸着パッド131dが設けられている。
【0100】
判定装置132は、前述した本実施形態における判定装置1と同等の構成からなる。
判定装置132によって実行される、透明部材の位置関係判定方法の結果に基づき、移載ロボット131は、空セッターTaに対する透明部材Ga及びスペーサGbの移載作業を実行する。
【0101】
ここで、図9に示すように、セッターTの上面には、透明部材Gaの外形形状に沿った複数の第1溝部Tc1・Tc1・・・、及びスペーサGbの外形形状に沿った複数(例えば、本実施形態においては4つ)の第2溝部Tc2・Tc2・・・が、予め設けられている。
【0102】
複数の第1溝部Tc1・Tc1・・・は、例えば、行方向(図9中においては左右方向)、及び列方向(図9中においては前後方向)に沿って、各々等間隔で配置されている。また、4つの第2溝部Tc2・Tc2・・・は、例えば、セッターTの上面の角部に各々配置されている。
【0103】
そして、判定装置132(図10を参照)による上記判定方法の結果に基づき、移載ロボット131は、後述する均し装置104の可動トレイ142より各透明部材Gaを個別に保持して順に取出し、空セッターTa上の各第1溝部Tc1に当該透明部材Gaを移載する。また、移載ロボット131は、後述する反転装置106の搬送コンベア162より各透明部材Gaを個別に保持して順に取出し、空セッターTa上の各第1溝部Tc1に当該透明部材Gaを移載する。さらに、移載ロボット131は、後述するスペーサ供給装置105の受け台153より各スペーサGbを個別に保持して順に取出し、空セッターTa上の各第2溝部Tc2に当該スペーサGbを移載する。
【0104】
均し装置104は、供給システム101に供給される、数百本単位の透明部材Ga・Ga・・・からなる透明部材群Gを小分けにし、小分けにされた透明部材群G(以下、適宜「分割透明部材群G1」と記載)を略水平な状態に均すための装置である。均し装置104によって均された分割透明部材群G1において、各透明部材Gaは、その後、移載装置103(より具体的には、判定装置132)によって姿勢を判断され、表状態である場合には空セッターTaに載置され、また、裏状態(切断面S(図8(c)を参照)を上側に向けた状態。)である場合には、後述する反転装置106の反転板161aに移載される。
【0105】
均し装置104は、図10に示すように、主に、洗浄治具Vに載置された透明部材群Gを小分けにする小分け手段141と、小分けにされた分割透明部材群G1を均す可動トレイ142とを備える。なお、可動トレイ142は、前述した本実施形態における載置台2(図1を参照)の一例である。
【0106】
ここで、洗浄治具Vは、金属メッシュによって底面が形成されたトレイ状の治具であって、前工程である洗浄工程によって洗浄された透明部材群Gは、当該洗浄治具Vに嵩高く載置された状態で、供給システム101に供給される。よって、例えば、洗浄治具Vに載置された透明部材群Gより、移載装置103によって直接的に各透明部材Gaを空セッターTaに移載しようとした場合、判定装置132の照明手段(図視せず。前述した本実施形態における照明手段3を参照)による下方からの照明は、上記金属メッシュによって殆ど妨げられることなく当該透明部材群Gを略ダイレクトに照らし出すこととなる。その結果、判定装置132の撮像手段(図視せず。前述した本実施形態における撮像手段4を参照)による画像データに基づき、各透明部材Gaの位置関係を正確に判定することが困難となり、判定装置132による判定不良を誘発する要因となる虞がある。
【0107】
そこで、本実施形態の供給システム101においては、洗浄治具Vに載置された透明部材群Gを可動トレイ142に一旦小分けにすることにより、上述のような判定装置132による判定不良を防止し、透明部材の位置関係判定方法をより正確に実行可能な構成となっている。
【0108】
小分け手段141は、洗浄治具Vと可動トレイ142との間で往復移動可能な第2吸着パッド141aと、洗浄治具Vに載置された透明部材群Gの状態(例えば、複数の透明部材Ga・Ga・・・の分量や位置等)を監視する監視カメラ141bとを有する。上記監視カメラ141bは、例えば、前述した本実施形態における撮像手段4(図1を参照)と同等の、デジタルカメラによって構成することができる。
【0109】
そして、小分け手段141は、監視カメラ141bによる監視の結果、洗浄治具Vに載置された複数の透明部材Ga・Ga・・・の分量が所定量に比べて多く、嵩高の状態であると判断した場合、第2吸着パッド141aの吸引力を弱めて、透明部材群Gから所定量の分割透明部材群G1を保持し、当該分割透明部材群G1を可動トレイ142に移載する。また、小分け手段141は、監視カメラ141bによる監視の結果、洗浄治具Vに載置された複数の透明部材Ga・Ga・・・の分量が所定量に比べて少なく、嵩低の状態であると判断した場合、第2吸着パッド141aの吸引力を強めて、透明部材群Gから所定量の分割透明部材群G1を保持し、当該分割透明部材群G1を可動トレイ142に移載する。
【0110】
可動トレイ142は、図示せぬ駆動機構によって、水平方向、且つ一方向に沿って小刻みに往復移動可能に構成されている。そして、第2吸着パッド141aによって、分割透明部材群G1が可動トレイ142に載置されると、当該可動トレイ142は、直ちに往復移動動作を開始する。これにより、透明部材群Gより小分けにされた分割透明部材群G1は、略水平な状態に均される。
【0111】
スペーサ供給装置105は、移載エリアE1(図9を参照)に停止した空セッターTaの近傍に、スペーサGbを供給する装置である。スペーサ供給装置105は、図11に示すように、主に、複数のスペーサGb・Gb・・・を収納する収納ケース151と、収納ケース151からスペーサGbを押し出す押出し手段152と、押出し手段152によって押し出されたスペーサGbを保持する受け台153とを備える。
【0112】
なお、受け台153は、移載エリアE1に停止した空セッターTaと、収納ケース151との間に配置される。また、押出し手段152は、収納ケース151に対して、受け台153側との反対側(図11中においては、左側)に配置される。
【0113】
収納ケース151は、例えば矩形箱形状に構成されており、その内部には、複数のスペーサGb・Gb・・・が複数行、且つ複数列に配列された状態で、予め収納されている。また、上記複数のスペーサGb・Gb・・・は、長手方向の一端側を受け台153側(図11中においては右側)に向け、且つ長手方向の他端側を押出し手段152側(図11中においては左側)に向けた状態で、収納ケース151に収納されている。
【0114】
そして、収納ケース151において、受け台153と対向する側に位置する第1側面151aの下部には、最下段に位置する複数のスペーサGb・Gb・・・を纏めて挿通可能とする、複数の第1貫通孔151a1・151a1・・・が設けられている。また、押出し手段152と対向する側に位置する第2側面151bの下部には、後述する複数の押出しピン152a・152a・・・を挿通可能とする、複数の第2貫通孔151b1・151b1・・・が設けられている。なお、上記複数の第2貫通孔151b1・151b1・・・は、最下段に位置する複数のスペーサGb・GB・・・に対して、各々同軸上に配置されている。
【0115】
押出し手段152は、互いに平行に配置され、且つ軸方向の一端部(図11中においては左端部)にて連結された複数の押出しピン152a・152a・・・と、これら複数の押出しピン152a・152a・・・を一体的に動作させる駆動手段152bとを有する。
【0116】
複数の押出しピン152a・152a・・・は、収納ケース151内の各段に収納された複数のスペーサGb・Gb・・・と、同等数設けられている(例えば、本実施形態においては15本)。また、複数の押出しピン152a・152a・・・は、これら複数のスペーサGb・Gb・・・に対して、各々同軸上に配置されている。
【0117】
一方、駆動手段152bは、例えば空圧式のアクチュエータによって構成されており、複数の押出しピン152a・152a・・・に対して、収納ケース151側との反対側(図11中においては左側)に配置されるとともに、これら複数の押出しピン152a・152a・・・を、軸方向に沿って一体的に往復移動可能に構成されている。
【0118】
そして、駆動手段152bによって、複数の押出しピン152a・152b・・・が収納ケース151側(図11中においては右側)に向かって一体的に移動され、これら複数の押出しピン152a・152b・・・が、複数の第2貫通孔151b1・151b・・・を介して収納ケース151内に挿入されると、当該収納ケース151内の最下段に位置する複数のスペーサGb・Gb・・・は、複数の第1貫通孔151a1・151a1・・・を介して、収納ケース151より纏めて押し出される。
【0119】
また、駆動手段152bによって、複数の押出しピン152a・152b・・・が収納ケース151側との反対側(左側)に向かって一体的に移動され、これら複数の押出しピン152a・152b・・・が、複数の第2貫通孔151b1・151b・・・を介して収納ケース151内より離脱すると、当該収納ケース151内に残存する複数のスペーサGb・Gb・・・は、配列姿勢を保持した状態で自重により落下する。これにより、収納ケース151内において、最下段に位置する複数のスペーサGb・Gb・・・が、再び補填される。
【0120】
受け台153は、収納ケース151と隣接して配置されており、その上面153aの高さは、収納ケース151の下面の高さと略同等に設定されている。そして、収納ケース151より纏めて押し出された複数のスペーサGb・Gb・・・は、上面153aを介して受け台153によって保持される。
【0121】
反転装置106は、前述した均し装置104によって略水平な状態に均された分割透明部材群G1(図10を参照)において、裏状態の姿勢である透明部材Gaを表状態の姿勢に反転させる装置である。反転装置106は、図12(a)(b)に示すように、主に、透明部材Gaの姿勢を反転させる反転手段161と、反転手段161によって姿勢を反転させた透明部材Gaを、移載エリアE1(図9を参照)に停止した空セッターTaの近傍に搬送する搬送コンベア162とを備える。
【0122】
反転手段161は、透明部材Gaを保持する反転板161aと、支持部材161bを介して反転板161aを支持する回動軸161cと、反転板161aに吸引力を付加する吸引機構161dとを有する。
【0123】
反転板161aは、例えば矩形板形状の部材からなり、一方の平面161a1には、複数の保持溝161a2・161a2・・・が設けられている。
【0124】
各保持溝161a2は、略V字状の断面形状を有した溝部であって、一方向(図12(a)中においては、前後方向)に延出するように形成されている。また、複数の保持溝161a2・161a2・・・は、上記平面161a1において、互いに等間隔、且つ平行に配置されている。
【0125】
そして、各保持溝161a2の底部には、複数(例えば、本実施形態においては3個)の吸引口161a3・161a3・161a3が設けられており、これら複数の吸引口161a3・161a3・161aは、吸引機構161dと接続される接続口161a4と、吸引経路161a5を介して連通されている。
【0126】
なお、上記吸引口163a3の穴径及び個数については、保持溝161a2を介して透明部材Gaを吸引して保持する際の吸引力や、反転板161aによって保持される透明部材Gaの最少本数などを考慮して、適宜設定される。
【0127】
回動軸161cは、反転板161aの厚み方向との直交方向(例えば、本実施形態においては左右方向)を軸方向として配置される。また、回動軸161cには、図示せぬ駆動機構が連結されており、当該駆動機構によって、回動軸161cは、軸心を中心にして180°の領域内で旋回可能に構成されている。
【0128】
そして、回動軸161cが軸心を中心にして一方側(図12(a)中における矢視D1の方向側)に回動することにより、反転板161aは、平面161a1を上方に向けた状態(以下、適宜「受取状態N1」と記載)から、平面161a1を下方に向けた状態(以下、適宜「脱落状態N2」と記載)に変位される。また、回動軸161cが軸心を中心にして他方側(図12(a)中における矢視D2の方向側)に回動することにより、反転板161aは、脱落状態N2から受取状態N1に変位される。
【0129】
吸引機構161dは、真空ポンプ161d1及び配管部材161d2等によって構成されており、当該配管部材161d2を介して、反転板161aの接続口161a4と接続されている。
【0130】
そして、真空ポンプ161d1が作動することにより、各保持溝161a2の吸引口163a3を介して周囲の空気が吸引され、反転板161aに吸引力が付加される。
【0131】
このような構成からなる反転手段161において、裏状態の姿勢である透明部材Gaは、受取状態N1にある反転板161aに対して、当該姿勢の状態で、移載装置103によって各保持溝161a2内に配置される。また、各保持溝161a2内に配置された透明部材Gaは、吸引機構161dによる吸引力によって当該保持溝161a2に吸着され、反転板161aに保持される。
【0132】
そして、各保持溝161a2を介して透明部材Gaを保持した状態で、回動軸161cによって反転板161aが受取状態N1から脱落状態N2に変位されることにより、当該透明部材Gaの姿勢は、裏状態から表状態に反転される。
【0133】
搬送コンベア162は、例えば1連のベルトコンベアからなり、搬送方向(矢印C2の方向。本実施形態においては、右方向)の上流側端部(本実施形態においては、左端部)において、反転手段161と隣接し、且つ下流側端部(本実施形態においては、右端部)において、移載エリアE1に停止した空セッターTaと隣接した状態で配置される。
【0134】
ここで、搬送コンベア162の上流側端部において、反転手段161は、脱落状態N2となった反転板161aが、当該上流側端部の直上側に僅かな隙間を有して離間するように配置されている。従って、複数の保持溝161a2・161a2・・・を介して反転板161aに保持された、複数の透明部材Ga・Ga・・・は、当該反転板161aが脱落状態N2となった後に、吸引機構161dによる吸引力が遮断されることにより、裏状態の姿勢を維持しつつ、反転板161aから纏めて脱落し、搬送コンベア162の上流側端部に供給される。
【0135】
そして、複数の透明部材Ga・Ga・・・が供給されると、搬送コンベア162は動作を開始し、これら複数の透明部材Ga・Ga・・・を搬送する。その後、移載エリアE1に停止した空セッターTaの近傍に位置する所定位置に、これら複数の透明部材Ga・Ga・・・が到達すると、搬送コンベア162は動作を停止する。
【0136】
整列装置107は、移載装置103によって複数の透明部材Ga・Ga・・・及びスペーサGb・Gb・・・が一旦移載された、実セッターTb(図9を参照)を小刻みに振動させて、各透明部材Ga及び各スペーサGbを、所定の第1溝部Tc1及び第2溝部Tc2に各々配置する装置である。整列装置107は、図13に示すように、主に、移載エリアE1(図9を参照)に停止したセッターT(実セッターTb)を挟持する挟持手段171と、挟持手段171を振動させる振動子172とを備える。
【0137】
挟持手段171は、水平方向に対向し、且つ互いに近接方向及び離間方向にスライド移動可能な一対の爪部材171a・171aを有し、移載エリアE1において、上下移動可能に配置されている。また、挟持手段171は、これら一対の爪部材171a・171aの対向方向が、実セッターTb上の各透明部材Gaの軸方向との直交方向(図13中においては、前後方向)となるように配置されている。
【0138】
そして、挟持手段171は、所定の上限位置H1において、一対の爪部材171a・171aを近接方向にスライド移動させることにより、実セッターTbを把持する。また、把持手段171は、セッター搬送装置102による移載エリアE1への空セッターTaの進入時、及び、セッター搬送装置102による移載エリアE1からの実セッターTbの搬出時において、所定の下限位置H2にて待機し、これら空セッターTa及び実セッターTbとの干渉を回避する。
【0139】
振動子172は、挟持手段171に微細な振動を付加することが可能なものであれば、何れのような構成のものであってもよく、例えば、小型モータの出力軸に偏心させた重りを取付けた構造からなる機械式のものや、油圧機構を利用した構成のものや、電磁コイルを利用した構成のものなど、既存の振動発生装置を採用することができる。
【0140】
そして、振動子172は、挟持手段171によって実セッターTbが把持されると、予め設定された所定時間作動し、当該挟持手段171を介して、各透明部材Gaの軸方向との直交方向に実セッターTbを振動させる。これにより、第1溝部Tc1(または、第2溝部Tc2)に多少ズレて載置された透明部材Ga(または、スペーサGb)は、振動子172による振動によって、当該第1溝部Tc1(または、第2溝部Tc2)に落ち込み、所定の位置にて正確に配置される。
【0141】
以上のような構成からなる供給システム101おいて、成形後に洗浄された複数の透明部材Ga・Ga・・・は、均し装置104によって一旦小分けにされて均された後、移載装置103によって、表状態であることを判別しつつ、空セッターTaの所定の位置(第1溝部Tc1)に順に移載される。また、裏状態であると判別された複数の透明部材Ga・Ga・・・は、空セッターTaに移載されることなく、移載装置103によって、反転装置106の反転板161aに一旦順に移載され、当該反転装置106によって表状態に反転された後、再び移載装置103によって、空セッターTaの所定の位置(第1溝部Tc1)に順に移載される。
【0142】
一方、スペーサ供給装置105によって一度に纏めて供給される複数のスペーサGb・Gb・・・も、移載装置103によって、空セッターTaの所定の位置(第2溝部Tc2)に順に移載される。
【0143】
そして、移載装置103による移載作業が終了した実セッターTbは、整列装置107によって各透明部材Ga及び各スペーサGbを、所定の位置(第1溝部Tc1及び第2溝部Tc2)に各々正確に配置される。
【0144】
以上、本発明を具現化する一実施形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0145】
4 撮像手段
4A 第1撮像装置(撮像手段)
4B 第2撮像装置(撮像手段)
100 第1画像データ(画像データ)
200 第2画像データ(画像データ)
Ga 透明部材
Ga10 円柱型透明部材(透明部材)
Ga20 管型透明部材(透明部材)
Ga30 半円柱型透明部材(透明部材)
Ga40 ハーフパイプ型透明部材(透明部材)
La 光
P 頂点座標
S 切断または研磨面
S10 高さ情報取得工程
S21 ステレオ画像データ取得工程
S22 頂点座標検出工程
S23 判定工程
S30 移載工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13