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特開2024-98969マイクロ構造デバイス及び/又はナノ構造デバイス製造用コンポーネント及びその製造方法
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  • 特開-マイクロ構造デバイス及び/又はナノ構造デバイス製造用コンポーネント及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098969
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】マイクロ構造デバイス及び/又はナノ構造デバイス製造用コンポーネント及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240717BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G03F7/20 501
H01L21/30 502C
H01L21/68 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024001232
(22)【出願日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】2033947
(32)【優先日】2023-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】524011443
【氏名又は名称】ズース・マイクロテック・ソリューションズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SUSS MicroTec Solutions GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】サルクレッティ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フォーグラー,ウーヴェ
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
5F146
【Fターム(参考)】
2H197CD02
2H197CD07
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA13
5F131CA08
5F131EA02
5F131EA22
5F131EA23
5F131EA24
5F131EB02
5F146AA31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板を圧縮し又は曲げることなく平面状の真空吸引を可能とし、同時に均質な基板露光を可能にする、真空システムを提供する。
【解決手段】マイクロ構造デバイス及び/又はナノ構造デバイスを製造するためのコンポーネントに関するものであり、コンポーネントは、ベースボディと、実質的に平坦な支持面を形成するマイクロ構造体又はナノ構造体であって、マイクロ構造体又はナノ構造体の間にトレンチが統計分布で延びる、マイクロ構造体又はナノ構造体を有する、表面とを有しており、真空が適用され得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ構造デバイス及び/又はナノ構造デバイスを製造するためのコンポーネントであって、
ベースボディ(33)と、
実質的に平坦な支持面(52)を形成するマイクロ構造体又はナノ構造体(48)であって、前記マイクロ構造体又はナノ構造体(48)の間にトレンチ(54)が統計分布で延びる、マイクロ構造体又はナノ構造体(48)を有する、表面と、
を含んでおり、
真空が適用され得る、コンポーネント。
【請求項2】
前記トレンチ(54)は幅及び/又は幅におけるランダムなバラつきを有する、
請求項1に記載のコンポーネント。
【請求項3】
前記マイクロ構造体又はナノ構造体(48)は、少なくとも略等しい高さのピン(50)の形態である、
請求項1又は2に記載のコンポーネント。
【請求項4】
基板(27)、特にスタンプ若しくはスタンプキャリア(28)、マスク、又はウエハを保持するための、基板ホルダ(35)として構成されており、前記基板(27)を保持するための真空が前記トレンチ(54)に適用され得る、
請求項1から3のいずれか1つに記載のコンポーネント。
【請求項5】
前記コンポーネント(32)は、特にUV光に対して少なくとも部分的に透過性である、
請求項1から4のいずれか1つに記載のコンポーネント。
【請求項6】
ディフューザ(58)として形成されており、前記マイクロ構造体又はナノ構造体(48)が、光、特に、UV光を散乱させるように構成されている、
請求項5に記載のコンポーネント。
【請求項7】
前記平坦な支持面(52)の一部を形成しており、且つ、前記マイクロ構造体又はナノ構造体(48)を取り囲む、エッジ領域(46)を有する、
請求項1から6のいずれか1つに記載のコンポーネント。
【請求項8】
前記エッジ領域(46)が少なくとも1つの真空チャネル(40)を含む、
請求項7に記載のコンポーネント。
【請求項9】
トレンチ(54)と前記マイクロ構造体又はナノ構造体(48)との幅の比が、7/3より大きく、好ましくは10/1より大きく、及び/又は、前記トレンチ(54)と前記マイクロ構造体又はナノ構造体(48)との面積比が100/1より大きい、
請求項1から8のいずれか1つに記載のコンポーネント。
【請求項10】
前記トレンチ(54)とマイクロ構造体又はナノ構造体(48)との幅の比が、3/7より小さく、好ましくは1/10より小さく、及び/又は、前記トレンチ(54)と前記マイクロ構造体又はナノ構造体(48)との面積比が1/100より小さい、
請求項1から8のいずれか1つに記載のコンポーネント。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに係るコンポーネント(32)の製造方法であって、
レーザー(60)によって、好ましくはレーザーアブレーション及び/又はレーザー誘起エッチングによって、実質的に平坦な支持面(52)を形成するマイクロ構造体又はナノ構造体(48)であって、マイクロ構造体又はナノ構造体(48)の間にトレンチ(54)が統計分布で延びる、マイクロ構造体又はナノ構造体(48)を有しており、真空が適用され得る、表面(34)を生じさせるステップを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ構造デバイス及び/又はナノ構造デバイス製造用コンポーネントに関する。本発明はさらに、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ構造デバイス及び/又はナノ構造デバイスの製造では、ウエハ、フィルム、又は薄いガラスなどの基板を保持するために、真空ベースの基板ホルダが頻繁に採用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の基板ホルダは、寸法が典型的にはミリメートル範囲である真空溝を有している。しかしながら、これらは、固有の剛性が低い基板の場合、真空印加中に基板の望ましくない圧縮及び/又は曲げに至る可能性がある。
【0004】
さらに、多くの用途では、例えば構造化のため又は基板上の材料を硬化させるために、基板ホルダを通して基板を露光させることができることが必要である。
【0005】
このような場合、基板ホルダは、基板を確実に、ほとんど変形することなく吸着し、同時に均質に露光するのに適したものとされるべき必要がある。
【0006】
従来のものは、より狭い真空溝と同様に、基板ホルダを透過する光の強度にばらつきが生じることがしばしばある。これは受け入れがたい「着色効果」を引き起こす。
【0007】
一方、サンドブラスト処理された基板ホルダは、平面状の真空と均質な露光とを保証するが、制御が難しい高度な粗さを有する。
【0008】
したがって、本発明の目的は、基板を圧縮し又は曲げることなく平面状の真空吸引を可能とし、同時に均質な基板露光を可能にする、真空システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明によれば、マイクロ構造デバイス又はナノ構造デバイスを製造するためのコンポーネントによって達成され、該コンポーネントは、ベースボディと、実質的に平坦な支持面を形成するマイクロ構造体又はナノ構造体であってその間にトレンチが統計分布で延びるマイクロ構造体又はナノ構造体を有する表面と、を含んでおり、真空が適用され得る。
【0010】
本発明の基本的なアイデアは、平坦な支持面を、特に、画定されたマイクロ構造体又はナノ構造体の密なメッシュ配置によって、形成することである。これは、サンドブラストと比較して、制御された再現性のある表面が製造されることを意味する。
【0011】
基板を平坦な支持面に吸着させることができ、それによって圧縮又は曲げを回避する。このために必要な真空は、トレンチによって提供される。
【0012】
その統計分布により、光がコンポーネントを通過する際の如何なる干渉散乱効果及び/又は非コヒーレント重ね合わせ効果が回避され、特に均質な基板露光を可能とする。
【0013】
特に、統計分布は、トレンチのランダムな配置、及び/又はトレンチのランダムな幅及び/又は深さであってもよい。
【0014】
換言すれば、トレンチは、幅及び/又は深さにおけるランダムなばらつきを有してもよい。
【0015】
例えば、2つのマイクロ構造体の間の1つのトレンチは、幅が5μmであってもよく及び/又は深さが10μmであってもよく、一方で、他の2つのマイクロ構造体の間の別のトレンチは、幅が10μmであってもよく及び/又は深さが20μmであってもよい。
【0016】
最大トレンチ幅が保持される基板の厚さに依存することも考えられる。例えば、トレンチ内への基板の大きな撓み及び/又は曲がりが生じないことを確かにするため、最大トレンチ幅が基板厚さの10分の1未満であることが提供されてもよい。
【0017】
好ましくは、最大トレンチ幅は最大でも20μmである。判明しているように、この値を下まわるトレンチ幅は、最も一般的に使用される基板に対して曲げることなく真空を適用するのによく適している。
【0018】
例えば、トレンチ深さは10μmと100μmとの間、好ましくは10μmと30μmとの間であってもよい。
【0019】
トレンチは、幅がそれぞれ等しく、及び/又は互いに等間隔で離れており、統計分布はトレンチの深さのばらつきのみで構成されていることが、考えられる。
【0020】
また、トレンチが、1つの特定の深さだけでなく、幾つかの深さレベル及び/又は深さプロファイルを有することも、考えられる。これは、コンポーネントを通した露光時の干渉効果を妨げる。
【0021】
もちろん、トレンチが幅と深さの両方において統計的なばらつきを呈することも考えられる。また、2つ以上のトレンチが交差し及び/又は互いに移り変わってもよい。
【0022】
特に、マイクロ構造体の間及び/又はナノ構造体の間には、完全にランダムなトレンチ形状が存在してもよい。
【0023】
マイクロ構造体又はナノ構造体は、好ましくは、少なくとも略等しい高さのピンの形態である。
【0024】
ピンは、例えば、四角形、特に長方形、又は円形であるように形成されてもよい。
【0025】
ピンの長さ及び/又は幅は、好ましくは20μm未満、特に好ましくは0.3μm未満である。
【0026】
ピンの長さ及び/又は幅は、露光に使用される光の波長にも依存してもよい。したがって、ピンは使用される光の波長よりも細くなければならず、例えば、0.4μmの範囲の波長の光での露光に関して、ピンは長さ及び/又は幅を0.3μm未満にするべきである。その結果、透過光における干渉の影響は特にほとんどない。
【0027】
ピンは、特に、ピン間の所定の最大距離を超えないように配置されてもよい。これは、ピンが例えば正方形又は六角形の格子状に配置されることにより実現され得る。ピンは格子状に規則正しく配置されてもよい。
【0028】
しかしながら、ピンが格子位置に対してランダムにオフセットして配置されること、及び/又は格子がセルを含み、ピンが各セルのランダムな位置に配置されることも考えられる。
【0029】
好ましくは、平坦な支持面はピン上面によって形成される。したがって、ピンの高さはできるだけほとんど変化しないべきである。
【0030】
例えば、支持面の平面度が2.5μm未満、好ましくは0.5μm未満であることが提供されてもよい。これは、ピンによって形成される支持面が、理想的な平面からどの点においてもそれぞれ2.5μm又は0.5μmより大きくずれないことを意味する。
【0031】
平面度は、コンポーネントが作られる初期ボディの性質又は品質によってあらかじめ画定されてもよい。特に、トレンチは材料除去によってこの初期ボディに導入されてもよい。ここで、トレンチ間の材料は取り除かれないので、初期ボディの平面度は維持される。
【0032】
一実施形態によれば、コンポーネントは、基板、特にスタンプ又はスタンプキャリア、マスク、又はウエハを保持するための基板ホルダとして構成される。基板を保持するための真空がトレンチに適用され得る。この実施形態によって、例えば、それぞれの基板にさらなる材料を適用し、基板を露光させ、及び/又は基板を構造化するために、前述の基板が曲がることなく確実に保持されることを可能にする。
【0033】
好ましい変形例では、コンポーネント、特にベースボディ及び/又はそのマイクロ構造体又はナノ構造体を有する微細構造表面は、少なくとも部分的に透明であり、特にUV光に対して透明である。これは、保持された基板がコンポーネントを通して直接に露光され得るという利点を有する。このように、実装が複雑な、コンポーネント内の露光チャネル及び/又は横方向への光入射を避けることができる。
【0034】
コンポーネントは、マイクロ構造体又はナノ構造体が光、特にUV光を散乱させるディフューザとして形成されてもよい。これにより、特に均質及び/又は拡散的な基板の照明が、特にコリメートされた光でも達成されることを可能にする。
【0035】
これに関連して、光がベースボディから出る照明角度が特定の用途に適合されてもよいことも考えられる。
【0036】
さらに、コンポーネントは、平坦な支持面の一部を形成し、マイクロ構造体又はナノ構造体を取り囲むエッジ領域を有してもよい。例えば、エッジ領域は非常に滑らかでトレンチがないように形成されてもよい。基板が頂部に配置されている場合、エッジ領域は外側に向かってトレンチを閉鎖するように機能してもよく、このようにして基板の下方に真空を安定させてもよい。
【0037】
好ましい実施形態では、エッジ領域は少なくとも1つの真空チャネルを含む。また、特にエッジ領域に均等に配置され、内側に向かってトレンチに開口している複数の真空チャネルの適用がなされてもよい。この配置により、真空が技術的に簡単な方法でトレンチに適用されることを可能とする。光射出を妨げる可能性のある中央真空チャネルをベースボディ内に設ける必要性はない。
【0038】
特に、基板が吸着されたコンポーネントの、さらなるコンポーネントに対するアライメントを単純化するために、トレンチの幅とマイクロ構造体又はナノ構造体の幅との比が7/3より大きく、好ましくは10/1より大きく、及び/又はトレンチとマイクロ構造体又はナノ構造体の面積比が100/1より大きいことが提供されてもよい。
【0039】
代替的に、トレンチの幅とマイクロ構造体又はナノ構造体の幅との比が3/7より小さく、好ましくは1/10より小さく、及び/又はトレンチとマイクロ構造体又はナノ構造体の面積比が1/100より小さいことも提供されてもよい。
【0040】
換言すれば、トレンチ、又はマイクロ構造体若しくはナノ構造体、のいずれかが、ベースボディの表面の優位を占めてもよい。非優位種はそれぞれ、ベースボディを通過する光にわずかに影響を与えるだけであるので、さらなるデバイスに対するコンポーネントのアライメントがベースボディを通して比較的鮮明な画像で観察され得る。
【0041】
本発明に係るコンポーネントは、例えばスタンプの製造に採用されてもよい。この場合、液状又は粘性のスタンプ材料は、スタンプ複製デバイスに一般に充填され、スタンプキャリア上に塗布され、形状付け部品によって所望の形状にもたらされ、その後硬化される。硬化は、例えば、加熱、又はコンポーネントを通して光に特にUV光を使用して露光することによって、引き起こされ得る。一般的に、露光は加熱よりも早い硬化を達成し得る。
【0042】
この工程では、スタンプキャリア又は完全に硬化したスタンプは、真空によって本発明に係るコンポーネントの支持面に少なくとも一時的に保持される。
【0043】
このコンポーネントはさらに、スタンプを利用して形状付け部品の構造を複製する、後続のインプリント工程に採用されてもよい。ここでも、スタンプは真空によってコンポーネントの所定の位置に固定され、コンポーネントを通して露光される。ここで重要なのは、スタンプが、変形しないように、コンポーネントに対して平らに在ることである。
【0044】
本発明の目的はさらに、本発明に係るコンポーネントの製造方法によって達成され、該方法は、レーザーによって、好ましくはレーザーアブレーション及び/又はレーザー誘起エッチングによって、実質的に平坦な支持面を形成し、その間にトレンチが統計分布で延びる、マイクロ構造体又はナノ構造体を有しており、真空が適用される、表面を作製するステップを有する。
【0045】
表面のレーザー構造化によって、トレンチ間の材料除去を行うことなく、コンポーネントが製造される初期ボディにトレンチを狙い通りに組み込むことを可能とする。
【0046】
このようにして、支持面が形成されるとき、すでに存在する初期ボディの平面度が維持され得る。
【0047】
さらに、レーザー構造化は、所望の用途に特に適した特定の形状、サイズ、及び分布の、マイクロ構造体又はナノ構造体を、簡単且つコスト効率よく実現するために使用され得る。
【0048】
本発明のさらなる利点および特徴は、参照がなされる、以下の説明及び添付図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1はスタンプ複製デバイスを概略的に示している。
図2図2図1のスタンプ複製デバイスの上面図を示している。
図3図3図1及び図2のスタンプ複製デバイスを閉じた状態で示している。
図4図4はスタンプ複製デバイスに採用される本発明に係るコンポーネントの表面の上面図を示している。
図5図5図4からのコンポーネントの表面の側面図を示している。
図6図6は本発明に係るコンポーネントの第2実施形態の表面の上面図を示している。
図7図7図6のコンポーネントの表面を側面図を示している。
図8図8は本発明に係るコンポーネントの第3実施形態の表面の上面図を示している。
図9図9図8からのコンポーネントの表面の側面図を示している。
図10図10は本発明に係るコンポーネントの製造方法の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1図2及び図3は、マイクロ構造デバイス及び/又はナノ構造デバイスを製造するための、スタンプを製造するためのスタンプ複製デバイス10を概略的に示している。スタンプ複製デバイス10は、カバー12とプラットフォーム14とを有している。
【0051】
カバー12は、図3に示されるように、ヒンジ16によってプラットフォーム14に枢動可能に取り付けられており、プラットフォーム14上に載置され得る。
【0052】
スタンプ複製デバイス10が閉鎖状態にあるときにカバー12とプラットフォーム14との間の画定された距離を設定するために、スタンプ複製デバイス10は、距離調整デバイス18を有しており、この距離調整デバイス18は、例えば、3つのマイクロメータねじ20を含んでおり、このマイクロメータねじ20は、好ましくは、プラットフォーム14に向けて方向付けられたその端部が丸くされている。
【0053】
これに対応して、3つの支持領域22a、22b、22cがカバー12を支持するためプラットフォーム14に設けられており、より具体的には、各マイクロメータねじ20に対して1つの支持領域22a、22c、22bが設けられている。支持領域の1つである22aは、3つの自由度を提供しており、他の支持領域である22bは4つの自由度を提供しており、及び/又は支持領域のさらなる1つである22cは5つの自由度を提供する。
【0054】
図2には、支持領域も示されている。支持領域22aは、円錐状の窪みにより形成されている。支持領域22bは、V形状の窪みにより形成されている。支持領域22cは、表面により形成されている。
【0055】
さらに、スタンプ複製デバイス10は、カバー12とプラットフォーム14との間の距離を測定するための測定デバイス24を有している。測定デバイス24は、ここでは距離調整デバイス18とは別個に構成されている。その結果、距離調整デバイス18の作動によってもたらされないカバー12とプラットフォームとの間の距離の変化が検出され得る。これにより、カバー12とプラットフォーム14の間の距離が特に正確に調整されることを可能にする。
【0056】
測定デバイス24は、例えば、少なくとも1つのダイヤル指示器25を有しており、好ましくは、マイクロメータねじ20ごとに1つのダイヤル指示器25有している。各ダイヤル指示器25は、マイクロメータねじ20に関連付けられているが、それとは別個に実装されている。
【0057】
さらに、スタンプ複製デバイス10は、液体スタンプ材料に光、特にUV光を照射するための照射源30を有している。このような照射源30が図3に図示されている。スタンプ複製デバイス10に設けられたスタンプ材料は、照射されることによって硬化され得る。
【0058】
この目的のために、照射源30は、面発光体及び/又はコリメータを有してもよい。面発光体及び/又はコリメータを使用することによってスタンプ材が特に均一に照射されることを可能とし、これは完成したスタンプの品質に大きな影響を与える。
【0059】
カバー12は、例えば、スタンプ材料の照射を可能にするために、少なくとも一部の領域において、光、特にUV光に対して透過性である。
【0060】
図1及び図2は、スタンプ複製デバイス10に挿入された形状付け部品26を示している。形状付け部品26は、製造されるスタンプの形状のネガ像を形成する。形状付け部品26は交換可能であり、それによって異なるスタンプ形状を製造するために様々な形状付け部品26を使用できる。
【0061】
さらに、図1及び図2は、スタンプ複製デバイス10に挿入され、スタンプの製造中にスタンプ材料と取り外し不能に接続されるスタンプキャリア28を示している。
【0062】
スタンプの製造中、形状付け部品26とスタンプキャリア28の両方は、真空によってそれぞれプラットフォーム14上及びカバー12上に保持される。これは、カバー12を旋回させたときにスタンプキャリア28又は完成したスタンプが不注意に脱落するのを防止するため、及び、形状付け部品26が、プラットフォーム14上に保持され、カバー12が揺動して開いたときにスタンプに引っかからないようにすることを確かにするため、に必要である。
【0063】
スタンプキャリア28を所定の位置に保持するために、スタンプ複製デバイス10は、本発明に係るコンポーネント32を有しており、このコンポーネントは、第1の変形例に係る実施形態では、基板27、特にスタンプキャリア28を保持するための基板ホルダ35の形態である。
【0064】
コンポーネント32は、真空表面として構成された微細構造表面34を有するベースボディ33を有する。
【0065】
コンポーネント32、特にベースボディ33は、例えばカバー12に挿入可能なプレート36である。あるいは、ベースボディ33がカバー12又はカバー12の一部を形成してもよい。
【0066】
図示の例示的実施形態では、図2に見られるように、ベースボディ33はフレーム38によって取り囲まれており、フレーム38及びベースボディ33が共にカバー12を形成している。フレーム38は任意である。これは、ベースボディ33及び/又はカバー12に、特に優れた安定性を与える。
【0067】
コンポーネント32、特にベースボディ33及び/又はマイクロ構造体若しくはナノ構造体48を有する微細構造表面34は、ガラス又は石英製であってもよく、その結果、コンポーネント32は、光、例えばUV光、特に波長が250nmから450nmの光に、対して少なくとも部分的に透過性である。
【0068】
形状付け部品26は、既知の方法で、特に同様に真空により保持されてもよい。しかしながら、形状付け部品26を保持するために、微細構造表面34は必要ない。なぜなら、形状付け部品26の保持は、スタンプの品質に全く影響しないか又は評価できるほど影響しないためである。
【0069】
図2は、微細構造表面34を有するコンポーネント32を上面図で示している。微細構造表面34は、例えば、スタンプキャリア28がスタンプ複製デバイス10に意図通りに挿入されるときにスタンプキャリア28がそれを完全に覆うように、スタンプキャリア28の輪郭を有している。スタンプキャリア28は、微細構造表面34を見ることができるように、図2には図示されていない。
【0070】
微細構造表面34で真空を発生させるため、コンポーネント32は、微細構造表面34と流体連通する巨視的真空チャネル40を含む。
【0071】
巨視的真空チャネル40は、導管42を介してスタンプ複製デバイス10の真空源44に接続されている。
【0072】
さらに、コンポーネント32は、微細構造表面34を取り囲むリング状のエッジ領域46を含む。
【0073】
エッジ領域46は、非常に滑らかで平坦に形成されており、微細構造表面34を外部に対して閉鎖するように機能し、それによりスタンプキャリア28の下方の真空を安定させる。真空チャネル40は、エッジ領域46内に少なくとも部分的に延びている。対照的に、微細構造表面34自体の領域には、真空チャネルは設けられておらず、これは、真空チャネルが露光の均質性に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
【0074】
図4は、コンポーネント32の表面34の詳細を大幅に拡大した上面図で示している。図5は、表面34を大幅に拡大した側面図で示している。
【0075】
表面34は、規則的に配列された多数の微細構造体48を含む。換言すれば、微細構造体48は理想的な格子構造に配置されている。
【0076】
例示的な実施形態では、微細構造体48は高さがほぼ等しい矩形のピン50として形成されている。例えば、ピン50は約0.3μmの長さ及び/又は幅を有してもよい。もちろん、これは限定的な意味で理解されるべきではない。他のピン形状、特にナノメートル範囲のピンサイズも考えられる。
【0077】
微細構造体48の上側は、スタンプキャリア28が平坦な状態で在り得る実質的に平坦な支持面52を構成する。例示的な実施形態では、エッジ領域46もこの支持面52の一部を形成している。
【0078】
微細構造体48の間には、トレンチ54が延びており、巨視的真空チャネル40によって真空が適用され得る。
【0079】
示される例示的な実施形態では、トレンチ54はすべて同じ幅である。しかしながら、トレンチ54は深さが異なっている。
【0080】
特に、個々のトレンチ54は、異なる深さの深さプロファイルを有してもよい。トレンチ54間又はトレンチ54内の深さのばらつきは、ここでは統計的に分布している。換言すれば、トレンチ54の深さは、ランダムであり規則的なパターンはない。したがって、トレンチ54は、コンポーネント32を通過する光に干渉効果を全くもたらさないか、又は非常に限定的にもたらす。
【0081】
図6及び図7は、本発明に係るコンポーネント32の第2実施形態の表面34を、大幅に拡大した上面図及び大幅に拡大した側面図で示している。
【0082】
第2実施形態は、図4及び図5に示される第1実施形態に本質的に対応しているので、以下では相違点のみが説明される。同一及び機能的に同一の要素には、同一の参照符号が付されている。
【0083】
図4及び図5に示される表面34とは対照的に、第2実施形態におけるコンポーネント32の表面34は、規則的に配列された微細構造体48を含んでいないが、統計的に分布した微細構造体48を含む。
【0084】
したがって、微細構造体48間のトレンチ54も統計的に分布し、ランダムな幅を有する。
【0085】
第2実施形態では、トレンチ54はすべて同じ深さである。したがって、微細構造表面34は、2つの部分表面、すなわち平坦な支持面52とトレンチ底56に細分化され得る。
【0086】
図6及び図7に示されるように、トレンチ底56は微細構造表面34に対して優性を占めている。
【0087】
例えば、平均トレンチ幅と微細構造体48の幅との比は10/1であってもよい。例えば、トレンチ54と微細構造体48との面積比は、100/1より大きくてもよい。
【0088】
表面34の微細構造体48は、例えば理想的な格子構造のように規則的に配置されているのではなく、統計的に分布しているので、コンポーネント32を通過する光は微細構造体48によって影響をわずかに受けるだけである。これは、周期的な散乱の影響が回避されるので、向上した露光の均質性を結果として生じる。
【0089】
したがって、例えば、スタンプキャリア28は、比較的鮮明な画像でコンポーネント32を通して観察でき、必要に応じて、コンポーネント32自体に対して又は形状付け部品26に対して位置合わせされ得る。
【0090】
代替案として、トレンチ54の幅と微細構造体48の幅との比が3/7より小さく、好ましくは1/10より小さく、及び/又はトレンチ54と微細構造体48の面積比が1/100より小さいことも提供されてもよい。この場合、滑らかな支持面52が微細構造表面34を優位に占める。コンポーネント32を通過する光は、比較的少数の又は小さいトレンチ54によってわずかに影響を受けるだけなので、この場合もコンポーネント32を通して観察することは可能である。
【0091】
図8及び図9は、本発明に係るコンポーネント32の第3実施形態の表面34を、大幅に拡大した上面図及び大幅に拡大した側面図で示している。
【0092】
第3実施形態は、本質的に第1及び第2実施形態に対応するので、以下では相違点のみが説明される。同一及び機能的に同一の要素には、同一の参照符号が付される。
【0093】
第2実施形態と同様に、第3実施形態におけるコンポーネント32の表面34は、統計的に分布した微細構造体48を含む。
【0094】
微細構造体48間のトレンチ54は、第1実施形態と同様に、異なる深さ又は深さの統計的変化を有する。
【0095】
したがって、第3実施形態は、第1及び第2実施形態のハイブリッド形態を構成する。
【0096】
コンポーネント32の第3実施形態は、スタンプキャリア28を保持すると同時に、ディフューザ58としても機能するように構成されている。
【0097】
ランダムに配置された微細構造体48とトレンチ54は、コンポーネント32を通過する光、特にUV光を非常に効果的に散乱させる。
【0098】
これにより、スタンプキャリア28とその上に塗布されたスタンプ材料の特に均質な照明が達成されることを可能にする。
【0099】
図10は、本発明に係るコンポーネント32の製造方法を示す概略図を示している。
【0100】
例示的な実施形態では、この方法の出発点は、板状の平坦なベースボディ33、例えばガラス板又は石英板である。
【0101】
方法ステップでは、微細構造表面34がベースボディ33にレーザー60によって形成される。表面は、上述のマイクロ構造体又はナノ構造体48を呈する。
【0102】
例示的な実施形態では、統計分布を有するトレンチ54が、レーザーアブレーションによってベースボディ33に組み込まれる。対照的に、トレンチ54の間、すなわちマイクロ構造体又はナノ構造体48の領域では、材料除去は行われない。その結果、支持面52においてベースボディ33の平面度が維持される。
【0103】
あるいは、マイクロ構造体又はナノ構造体48が均一にアブレーション(除去)されてもよい。
【0104】
レーザーアブレーションの利点は、所望の微細構造体48を、迅速、高精度、且つほぼ任意の所望のレイアウトで生じさせることができることである。代替案として、トレンチ54はレーザー誘起エッチングによって導入することもでき、従来の方法に対して同様の利点を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】