(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098980
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 3/36 20060101AFI20240717BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20240717BHJP
B41J 3/01 20060101ALI20240717BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B41J3/36 Z
B41J11/42
B41J3/01
B41J5/30 B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059394
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2020064855の分割
【原出願日】2020-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 満
(57)【要約】
【課題】印刷速度の低下を抑制しつつ、印刷結果の不良を検出できる、印刷装置を提供する。
【解決手段】複数のラベルに画像が印刷される場合に、印刷画像が一定の品質を満たしているか否かを検査する検査処理では、複数のラベルの一部、すなわち、1ページ目のラベルから送出方向の上流側に所定数(スキップ数N)おきのラベルが検査対象に決定されて、その検査対象に決定された一部の各ラベルの検査(印刷結果の良否の判定)が行われる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される媒体上の印刷領域に画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部により前記印刷領域に印刷された画像を読み取る読取部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
複数の前記印刷領域にバーコードを含む画像が印刷される場合に、前記バーコードに関する情報と、前記媒体の搬送速度および前記印刷領域の前記搬送方向の長さとに基づいて、その複数の前記印刷領域のうちの一部の前記印刷領域を判定対象に決定する対象決定処理と、
前記対象決定処理にて決定した判定対象の前記印刷領域について、前記読取部に読み取られた画像データから印刷結果の良否を判定する良否判定処理と、を実行する、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記対象決定処理において、画像が印刷される複数の前記印刷領域のうち、特定の前記印刷領域から前記搬送方向の上流側に所定数おきの前記印刷領域を判定対象に決定する、印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記対象決定処理において、画像が印刷される複数の前記印刷領域のうち、前記搬送方向の最下流の前記印刷領域から前記搬送方向の上流側に1または複数の前記印刷領域のそれぞれについて、前記印刷領域に印刷された画像の読取開始から印刷結果の良否の判定までに要する時間を計測し、その計測した時間と前記印刷領域への画像の印刷に要する時間とを比較して、前記所定数を決定する、印刷装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記バーコードに関する情報は、前記バーコードの種類、前記バーコードの数および前記バーコードのサイズを含む、印刷装置。
【請求項5】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される媒体上の印刷領域に画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部により前記印刷領域に印刷された画像を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた画像データを記憶する記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
複数の前記印刷領域に画像が印刷される場合に、その複数の前記印刷領域のうちの一部の前記印刷領域を判定対象に決定する対象決定処理であって、前記記憶部の空き容量から判定対象とする前記印刷領域の数を決定する対象決定処理と、
前記対象決定処理にて決定した判定対象の前記印刷領域について、前記読取部に読み取られた画像データから印刷結果の良否を判定する良否判定処理と、を実行する、印刷装置。
【請求項6】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される媒体上の印刷領域に画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部により前記印刷領域に印刷された画像を読み取る読取部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
複数の前記印刷領域に印刷される画像のデータを順に受信する受信処理と、
前記受信処理で受信するデータを前記印刷部に受信順で印刷させる印刷処理と、を実行し、
さらに、
複数の前記印刷領域に画像が印刷される場合に、その複数の前記印刷領域のうちの一部の前記印刷領域を判定対象に決定する対象決定処理であって、前記受信処理で最後のデータを受信した時点から前記読取部に画像が読み取られる前記印刷領域を判定対象に決定する対象決定処理と、
前記対象決定処理にて決定した判定対象の前記印刷領域について、前記読取部に読み取られた画像データから印刷結果の良否を判定する良否判定処理と、を実行する、印刷装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記対象決定処理において、画像が印刷される複数の前記印刷領域のうち、少なくとも前記搬送方向の最上流の前記印刷領域および最下流の前記印刷領域を判定対象に決定する、印刷装置。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記対象決定処理において、画像が印刷される複数の前記印刷領域のうち、前記搬送方向の最上流の前記印刷領域から前記搬送方向の下流側に1または複数の前記印刷領域と、前記搬送方向の最下流の前記印刷領域から前記搬送方向の上流側に1または複数の前記印刷領域とを判定対象に決定する、印刷装置。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、
複数の前記印刷領域に画像が印刷された後、前記搬送部により前記媒体を前記搬送方向と逆方向に搬送させる巻戻し処理と、
前記巻戻し処理後に前記搬送部により前記媒体を前記搬送方向に搬送させる再搬送処理と、を実行し、
前記搬送方向の最下流の前記印刷領域から前記搬送方向の上流側に1または複数の前記印刷領域に対して、前記良否判定処理において、前記再搬送処理により前記媒体が前記搬送方向に搬送されながら前記読取部に読み取られる所定数の前記印刷領域の画像データから、当該所定数の前記印刷領域の印刷結果の良否を判定する、印刷装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記良否判定処理で前記印刷領域の印刷結果が不良であると判定した場合、前記印刷部による印刷を停止して、印刷結果が不良であると判定した前記印刷領域と最後に印刷結果が良であると判定した前記印刷領域との間に挟まれる前記印刷領域について、前記読取部に読み取られた画像データから印刷結果の良否を判定する不良時処理、を実行する、印刷装置。
【請求項11】
請求項10に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記不良時処理において、印刷結果が不良であると判定した前記印刷領域から前記搬送方向の上流側のすべての前記印刷領域について、前記読取部に読み取られたデータから前記印刷領域の印刷結果の良否を判定する、印刷装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の印刷装置であって、
前記読取部により読み取られた画像データを記憶する記憶部、をさらに備え、
前記制御部は、前記不良時処理において、
良否判定の対象の前記印刷領域の画像データが前記記憶部に記憶されている場合、前記記憶部に記憶されている画像データから印刷結果の良否を判定し、
良否判定の対象の前記印刷領域の画像データが前記記憶部に記憶されていない場合、前記搬送部により前記媒体を前記搬送方向と逆方向に搬送させた後、前記搬送部により前記媒体を前記搬送方向に搬送させ、前記印刷領域に印刷された画像を前記読取部に読み取らせて、前記読取部に読み取られたデータから印刷結果の良否を判定する、印刷装置。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記良否判定処理で前記印刷領域の印刷結果が不良であると判定した場合、前記印刷部による印刷を停止して、少なくとも最後に印刷結果が良であると判定した前記印刷領域から印刷結果が不良であると判定した前記印刷領域までのすべての前記印刷領域の印刷結果を不良と判定する、印刷装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記読取部により読み取られる画像は、バーコードである、印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルプリンタなどの印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置の一種として、長尺の印刷用紙をロール状に巻回したロール紙を使用し、印刷用紙上にその長手方向に並んで設けられたラベル(印刷領域)に画像を印刷するラベルプリンタが知られている。
【0003】
ラベルプリンタにおいては、印刷用紙に画像を印刷する印刷ヘッドの後段に読取装置を設けて、印刷用紙に印刷された画像を読取装置で読み取り、その読み取った画像データから印刷結果の良否を判定するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、すべてのラベルの印刷結果の良否を判定することは、ラベルプリンタの印刷速度を担保するうえで難しい。
【0006】
本発明の目的は、印刷速度の低下を抑制しつつ、印刷結果の不良を検出できる、印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係る印刷装置は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、搬送部により搬送される媒体上の印刷領域に画像を印刷する印刷部と、印刷部により印刷領域に印刷された画像を読み取る読取部と、制御部とを備え、制御部は、複数の印刷領域に画像が印刷される場合に、その複数の印刷領域のうちの一部の印刷領域を判定対象に決定する対象決定処理と、対象決定処理にて決定した判定対象の印刷領域について、読取部に読み取られた画像データから印刷結果の良否を判定する良否判定処理とを実行する。
【0008】
以上のように、複数の印刷領域に画像が印刷される場合に、複数の印刷領域の一部が判定対象に決定されて、その判定対象に決定された一部の各印刷領域の印刷結果の良否が判定される。これにより、画像が形成される複数の印刷領域の全数について、各印刷領域の印刷結果の良否を判定する構成と比較して、印刷結果の良否判定(検査)に要する時間を短縮することができる。そのため、印刷速度の低下を抑制しつつ、印刷結果の不良を検出することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷速度の低下を抑制しつつ、印刷結果の不良を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るラベルプリンタの構成を図解的に示す断面図である。
【
図3】検査処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】検査処理における検査対象のラベルとスキップ対象のラベルとを図解的に示す図である。
【
図5】スキップ数算出処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】種々のラベルの搬送時間と検査時間との大小関係を示す図である。
【
図7】エラー処理について説明するための図である。
【
図8】第2の検査処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】第3の検査処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】第4の検査処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】第2のスキップ数算出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
<ラベルプリンタ>
ラベルプリンタ1(印刷装置の一例)は、
図1に示されるように、長尺のラベル紙P(媒体の一例)に画像を印刷する装置である。印刷済みのラベル紙Pは、ラベルプリンタ1の外殻をなす筐体11の側面に形成された排出口12から排出される。
【0013】
なお、以下の説明で使用するため、ラベルプリンタ1の前後左右については、排出口12が形成されている側面を正面として、ラベルプリンタ1を正面側から見た状態を基準に規定する。また、上下については、ラベルプリンタ1が水平面上に設置された状態で規定する。
図1に示される断面図は、ラベルプリンタ1前後方向に延びる切断面線で切断した断面を右側から見た図である。
【0014】
ラベル紙Pは、長尺の台紙上にラベルがその長手方向に並べて貼られたダイカット紙であってもよいし、長尺の普通紙の印刷面に印刷領域を一定間隔で設定する下地画像が既に印刷された無定長紙(連続紙)であってもよいし、かかる下地画像が印刷されていない普通紙または感熱紙からなる無定長紙であってもよい。ダイカット紙では、各ラベルの粘着面と反対側の印刷面が印刷領域である。下地画像が印刷されていない無定長紙では、印刷領域が予め定まっておらず、その無定長紙に印刷される画像のデータから印刷領域が定まる。すなわち、下地画像が印刷されていない無定長紙における印刷領域は、印刷データに含まれる各ページの画像のデータが印刷される領域である。
【0015】
排出口12は、左右方向に延びる矩形状の開口であり、筐体11の内外を連通している。
【0016】
筐体11内には、ラベル紙PをロールRの状態で保持するロールホルダ13が設けられている。ラベル紙Pは、ロールRの状態において、印刷面を外側に向けてロール芯に巻回されている。ロールホルダ13は、略円柱状をなし、ロールRは、ロール芯がロールホルダ13に外嵌されることによりロールホルダ13に保持される。
【0017】
また、筐体11内には、ロールホルダ13の後上方に、方向変更ローラ14が設けられている。方向変更ローラ14の前側には、ラベル紙Pが搬送される搬送路15が設けられている。搬送路15は、方向変更ローラ14の上側の位置から前側に向かって延び、その前端が排出口12に接続されている。ラベル紙Pは、ロールRから方向変更ローラ14の後側に向けて引き出され、方向変更ローラ14の周面に沿わせることにより前側に方向を変えられて、搬送路15を排出口12に向けて通される。
【0018】
搬送路15上には、ラベル紙Pを搬送する搬送ローラ16,17(搬送部の一例)が設けられている。一方の搬送ローラ16は、方向変更ローラ14に対して前側に間隔を空けて配置されている。他方の搬送ローラ17は、排出口12の後側であって、搬送ローラ16に対して前側に間隔を空けて配置されている。搬送ローラ16,17のローラ間にラベル紙Pが通された状態で、モータM(
図2参照)の正転駆動による動力が搬送ローラ16,17に伝達されて、搬送ローラ16,17が回転することにより、ラベル紙Pが搬送路15に沿って排出口12に向かう送出方向に搬送される。また、モータMの逆転駆動による動力がロールホルダ13に伝達されて、ロールRのロール芯がラベル紙Pの送出方向への搬送時と逆方向に回転されることにより、ラベル紙Pが送出方向と逆方向の巻戻し方向に搬送される。ラベル紙Pが巻戻し方向に搬送されるときには、搬送ローラ16,17は自由回転状態とされる。
【0019】
搬送ローラ16,17間には、印刷ヘッド21(印刷部の一例)およびCIS(Contact Image Sensor)ユニット22(読取部の一例)が送出方向にこの順に並んで設けられている。
【0020】
印刷ヘッド21は、搬送路15に上側から臨んで配置されている。ラベル紙Pがダイカット紙または普通紙からなる無定長紙である場合、印刷ヘッド21は、たとえば、搬送路15を搬送されるラベル紙Pの印刷面にインクジェット記録方式により画像を印刷する。
ラベル紙Pが感熱紙からなる無定長紙である場合には、印刷ヘッド21は、ラベル紙Pの印刷面に感熱方式により画像を印刷する。印刷ヘッド21と上下方向に対向する位置が印刷ヘッド21による印刷が可能な印刷可能位置であり、印刷ヘッド21は、ラベル紙Pの印刷面における印刷可能位置に位置する部分に画像を印刷する。
【0021】
なお、以下の説明において、ダイカット紙の「ラベル」および無定長紙の「印刷領域」を含めて、印刷ヘッド21により画像が印刷される領域を「ラベル」と総称する。
【0022】
CISユニット22は、印刷ヘッド21に対して送出方向の下流側において、搬送路15に上側から臨んで配置されている。CISユニット22は、たとえば、搬送路15を搬送されるラベル紙Pの印刷面を読み取る。具体的には、CISユニット22には、図示されていないが、光源、ロッドレンズアレイおよびリニアイメージセンサが内蔵されており、光源からラベル紙Pの印刷面にライン状の光が照射され、印刷面で反射された光がロッドレンズアレイを通してリニアイメージセンサに入射する。これにより、CISユニット22の読取位置において、原稿が主走査方向に1ライン分読み取られる。リニアイメージセンサは、複数の撮像素子(イメージセンサ)が主走査方向に1列に並べられた構成であり、各撮像素子に読み取られる画像データが1画素の画像データ(画素値)となる。
【0023】
また、搬送ローラ16,17間には、プラテン23が設けられている。プラテン23は、印刷ヘッド21およびCISユニット22に対して搬送路15を挟んで下側から対向するように配置されている。プラテン23は、印刷ヘッド21およびCISユニット22と対向する面、つまり上面が平面に形成され、ラベル紙Pを下側から支持する。プラテン23の上面は、黒色である。CISユニット22の読取ラインの主走査方向の幅は、ラベル紙Pの主走査方向の幅よりも大きいように設定されている。
【0024】
<電気的構成の要部>
ラベルプリンタ1は、
図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32およびRAM(Random Access Memory)33を備えている。
【0025】
CPU31(制御部の一例)は、各種の処理のためのプログラムを実行することにより、印刷ヘッド21およびCISユニット22を制御し、また、搬送ローラ16,17を駆動するモータM(搬送部の一例)を制御する。
【0026】
ROM32は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリである。ROM32には、CPU41によって実行されるプログラムおよび各種のデータなどが記憶されている。
【0027】
RAM33は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリであり、CPU31がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。また、RAM33は、ステップ数カウンタを構成する。ステップ数カウンタは、モータMが1ステップ駆動される度にステップ数をインクリメント(+1)する。CPU31は、ステップ数カウンタによりカウントされるステップ数に基づいてモータMの駆動を制御することにより、ラベル紙Pの位置を制御することができる。
【0028】
ラベルプリンタ1は、PC(Personal Computer)などの外部端末との通信のための通信インタフェース34を備えている。通信インタフェース34は、外部端末とUSB(Universal Serial Bus)ケーブルまたはLAN(Local Area Network)ケーブルなどを介して有線通信する構成であってもよいし、電波などを介して無線通信する構成であってもよい。
【0029】
<印刷処理>
ラベルプリンタ1でシッピングラベルなどの画像をラベル紙Pに印刷する印刷ジョブが実行される際には、たとえば、ラベルプリンタ1に通信可能に接続された外部端末において、1ページ単位でプリンタ制御コマンドが生成される。プリンタ制御コマンドは、画像の印刷のためにラベルプリンタ1を制御するコマンドであって、印刷対象の画像における文字の位置や文字種、図形の位置などの情報を含む印刷データをページ記述言語で記述したものである。印刷ジョブが複数ページにわたる画像をラベル紙Pに印刷する内容である場合、複数ページの各ページのプリンタ制御コマンドが生成される。外部端末でプリンタ制御コマンドが生成されると、外部端末にインストールされたプリンタドライバの機能により、印刷ジョブの実行の指令に続いて、1ページ目のプリンタ制御コマンドから順に、全ページのプリンタ制御コマンドがラベルプリンタ1に送信される。
【0030】
CPU31は、外部端末からプリンタ制御コマンドを通信インタフェース34を介して受信すると、印刷処理を実行する。印刷処理では、CPU31は、モータMを正転駆動する。モータMの正転駆動により、搬送ローラ16,17が回転し、ラベル紙Pが送出方向に搬送される。CPU31は、先頭のラベルが印刷ヘッド21の印刷位置に差し掛かるタイミングで印刷ヘッド21を制御して、印刷ヘッド21にラベル紙Pの印刷面上の先頭のラベルに1ページ目の画像を印刷させる。2ページ目以降も1ページ目と同様に、CPU31は、各ラベルが印刷ヘッド21の印刷位置に差し掛かるタイミングで印刷ヘッド21を制御して、印刷ヘッド21に各ラベルに画像を印刷させる。
【0031】
<検査処理>
ラベルプリンタ1では、CPU31は、印刷処理と並行して、ラベルに印刷された画像(以下、「印刷画像」という、)が一定の品質を満たしているか否かを検査する検査処理を実行する。
【0032】
この検査処理では、画像が印刷されたラベルの全数が検査されるのではなく、検査対象として特定されたラベルが検査される。CPU31は、たとえば、ラベルを所定のスキップ数Nページごとに検査する。そのため、CPU31は、
図3に示されるように、検査処理の開始時に、そのスキップ数Nを算出するスキップ数算出処理を実行する(S1)。スキップ数算出処理は、対象決定処理の一例である。スキップ数算出処理の詳細については、後述する。
【0033】
スキップ数算出処理でのスキップ数Nの算出後、CPU31は、検査をスキップしたラベル数を計数するスキップラベル数カウンタのカウント値Vを0にリセットする(S2)。
【0034】
一方、CPU31は、1ページ目(1枚目)のラベルから順に、各ラベルの印刷画像をCISユニット22に読み取らせる。CISユニット22に読み取られたラベルの印刷画像のデータは、RAM33に一時的に記憶される。RAM33の記憶容量に限りがあるので、印刷画像のデータは、FIFO(First In First Out)方式により、RAM33の所定領域に記憶される。
【0035】
CPU31は、まず、CISユニット22に読み取られたラベルの印刷画像のデータから1ページ目のラベルの印刷画像のデータを取得し(S3)、その1ページ目のラベルの検査を行う(S4)。具体的には、CISユニット22に読み取られたデータ(読取データ)から、ラベルの印刷画像(印刷結果)が一定の品質を満たしている「検査OK」の画像であるか、一定の品質を満たしていない「検査NG」の画像であるかを判定する。たとえば、ラベルに印刷される画像にバーコードシンボルが含まれる場合、CPU31は、読取データから、バーコードシンボルの光学的特性(反射率、反射濃度、PCS(Print Contrast Signal)値など)がJIS規格(日本産業規格)を満たしているか否かを調べる。そして、バーコードシンボルの光学的特性がJIS規格を満たしている場合、CPU31は、そのバーコードシンボルを含む画像が印刷されたラベルの検査結果を「検査OK」とし、バーコードシンボルの光学的特性がJIS規格を満たしていない場合、そのバーコードシンボルを含む画像が印刷されたラベルの検査結果を「検査NG」とする。このラベルの検査のステップは、判定処理の一例である。
【0036】
CPU31は、ラベルの検査結果が「検査OK」であった場合(S5:YES)、次のページのラベルの印刷画像のデータを取得する(S6)。そして、スキップラベル数カウンタのカウント値Vをインクリメント(1を加算)する(S7)。インクリメント後、CPU31は、スキップラベル数カウンタのカウント値Vがスキップ算出処理で算出したスキップ数Nに1を加えた値「N+1」よりも小さいか否かを判断する(S8)。
【0037】
カウント値Vが値「N+1」よりも小さい場合(S8:YES)、CPU31は、ラベルの検査を行わずに、次のページのラベルの印刷画像のデータを取得する(S6)。そして、先のページの場合と同様に、CPU31は、スキップラベル数カウンタのカウント値Vをインクリメントし(S7)、そのインクリメント後のカウント値Vがスキップ数Nに1を加えた値「N+1」よりも小さいか否かを判断する(S8)。
【0038】
そして、印刷画像のデータが取得されて、スキップラベル数カウンタのカウント値Vがインクリメントされていき、インクリメント後のカウント値Vがスキップ数Nに1を加えた値「N+1」に一致すると(S8:NO)、そのインクリメント前の最後に取得した印刷画像のデータから、その印刷画像が印刷されているラベルの検査を行う(S9)。
【0039】
これにより、
図4に示されるように、1ページ目のラベルが検査された後、その1ページ目のラベルからスキップ数Nと同数のラベルがスキップされて、「1+N」ページ目のラベルが検査されることになる。
【0040】
「1+N」ページ目のラベルの検査後、CPU31は、スキップラベル数カウンタのカウント値Vを0にリセットする(S10)。そして、「1+N」ページ目のラベルの検査結果が「検査OK」であった場合(S11:YES)、CPU31は、検査対象のラベルをすべて検査したかを判断する(S12)。検査対象のラベルは、印刷処理でラベル紙Pに印刷される全ページのラベルに対して、1ページ目のラベルからスキップ数Nごとのラベルである。
【0041】
検査対象のラベルの検査が完了していない場合(S12:NO)、CPU31は、次のページのラベルの印刷画像のデータを取得する(S6)。また、CPU31は、スキップラベル数カウンタのカウント値Vをインクリメントし(S7)、そのインクリメント後のカウント値Vがスキップ数Nに1を加えた値「N+1」よりも小さいか否かを判断して(S8)、カウント値Vが値「N+1」よりも小さければ、次のラベルの印刷画像のデータを取得する、といった処理を繰り返し行う。そして、インクリメント後のカウント値Vがスキップ数Nに1を加えた値「N+1」に一致すると(S8:YES)、そのインクリメント前の最後に取得した画像データから、その印刷画像が印刷されているラベルの検査を行う(S9)。
【0042】
したがって、
図4に示されるように、ラベル紙P上の画像が印刷されたラベルは、1ページ目から順に「1+m*N」(m:0または自然数)ページ目のラベルが検査対象とされて、その検査対象のラベルの印刷画像の検査が行われることになる。
【0043】
CPU31は、印刷処理で画像が印刷されたラベルについて、スキップ数Nおきのラベルの検査が完了し、かつ、すべての検査結果が「検査OK」であった場合、検査処理の終了を判断し(S12:YES)、検査処理を終了する。
【0044】
検査処理の途中、CPU31は、ラベルの検査結果を「検査NG」と判定した場合(S5,S11:NO)、エラー処理を行って(S13)、検査処理を終了する。
【0045】
<スキップ数算出処理>
図3のステップS1で実行されるスキップ数算出処理の流れは、
図5に示されているとおりである。
【0046】
スキップ数算出処理では、CPU31は、モータMを制御して、ラベル紙Pの送出方向の搬送を開始する。そして、ラベル紙Pが一定の搬送速度で搬送されつつ、CPU31は、印刷ヘッド21を制御して、その搬送されるラベル紙P上のラベルに1ページ分の画像を印刷させる(S101)。
【0047】
その後、CPU31は、ラベルに印刷された画像をCISユニット22に読み取らせる(S102)。そして、CPU31は、ラベルの検査を開始する(S103)。検査開始に伴い、CPU31は、ラベルの検査に要する時間(検査時間)Tの測定を開始する(S104)。ラベルの検査が終了すると(S105:YES)、検査時間Tの測定を停止する(S106)。
【0048】
検査終了後、CPU31は、たとえば、CISユニット22に読み取られた印刷画像のデータから、1つのラベルの搬送方向の長さであるラベル長を取得する(S107)。そして、CPU31は、ラベル長をラベル紙Pの搬送速度(既知)で除算することにより、ラベル1枚あたりの搬送時間Tm、つまりラベルがラベル長の距離を搬送されるのに要する時間Tmを算出する(S108)。その後、CPU31は、検査時間Tを搬送時間Tmで除算して、その除算値の小数点以下を繰り上げて得られる値をスキップ数Nとして算出する(S109)。
【0049】
なお、CPU31は、ラベルのエッジが所定位置(たとえば、印刷ヘッド21の印刷位置)を通過したことを検知可能である場合、所定位置にラベルの先端(送出方向の下流側の端)が差し掛かってから、所定位置をラベルの後端(送出方向の上流側の端)が抜けるまでに要した時間を測定し、その測定した時間を搬送時間Tmとして取得してもよい。
【0050】
また、1ページ分の画像がラベルに印刷されるとしたが、複数ページ分の画像がそれぞれラベルに印刷されて、各ラベルの検査時間Tが測定されて、それらの平均時間がスキップ数Nの算出に用いられてもよい。
【0051】
ラベル長およびラベルに印刷される画像は、多種多様であり、
図6に示されるように、ラベルによって、ラベルがラベル長の距離を搬送されるのに要する搬送時間Tmとラベルの検査に要する検査時間Tとの大小関係が異なる。たとえば、
図6(a)に示されるラベルでは、印刷画像に3個の二次元コードが含まれており、その印刷画像が有する情報量は多いが、ラベル長が大きいため、検査時間Tは搬送時間Tmよりも短くなる。また、
図6(b)に示されるラベルでは、印刷画像の情報量とラベル長とのバランスから、検査時間Tが搬送時間Tmとほぼ同じになる。一方、
図6(c)に示されるラベルでは、印刷画像に1個のバーコードのみが含まれ、その印刷画像が有する情報量は少ないが、ラベル長が小さいため、検査時間Tが搬送時間Tmよりも長くなる。検査時間Tが搬送時間Tmよりも長いと、ラベルの全数検査はもちろん、その大小関係によっては、適当な数のラベルの検査をスキップしてもなお、ラベルの検査が搬送に間に合わない場合がある。
【0052】
そこで、搬送時間Tmおよび検査時間Tが実測により求められて、ラベルの検査が搬送に間に合うように、すなわち、先のラベルの検査開始から次のラベルの検査開始までの時間がラベルの搬送時間Tmよりも長くなるように、検査処理におけるスキップ数Nが決定される。
【0053】
<エラー処理>
ラベルの検査結果が「検査NG」と判定された場合に行われるエラー処理では、CPU31は、印刷処理を停止して、検査結果が「検査NG」と判定したラベルと最後に検査結果が「検査OK」と判定したラベルとの間に挟まれるラベル、つまり検査をスキップしたラベルの検査を行う。エラー処理は、不良時処理の一例である。
【0054】
たとえば、
図7(a)に示されるように、スキップ数N=3であり、7ページ目のラベルの検査結果が「検査NG」であった場合、その7ページ目のラベルと最後に検査結果が「検査OK」であった4ページ目のラベルとの間に挟まれる5ページ目および6ページ目のラベルが検査対象とされて、5ページ目および6ページ目のラベルが検査される。
【0055】
検査処理では、前述したように、CISユニット22に読み取られた印刷画像のデータは、FIFO方式により、RAM33の所定領域に一時的に記憶される。
【0056】
エラー処理での検査対象のラベル、
図7(a)に示される例では、5ページ目および6ページ目のラベルの印刷画像のデータがRAM33に記憶されている場合には、そのデータを使用して、検査対象のラベルが検査される。
【0057】
スキップ数NとRAM33上の所定領域のサイズとの関係によっては、エラー処理での検査対象のラベルのすべてについて、印刷画像のデータがRAM33に記憶されていない場合がある。この場合、
図7(b)に示されるように、エラー処理での検査対象のラベルの印刷画像をCISユニット22により読取可能な位置までラベル紙Pが巻き戻される。
そして、エラー処理での検査対象のラベルの印刷画像がCISユニット22に読み取られて、その読み取られたデータを使用して、検査対象のラベルの検査が行われる。
【0058】
また、エラー処理では、CPU31は、
図7(c)に示されるように、検査結果が「検査NG」と判定したラベルからラベル紙Pの送出方向の上流側のラベルで画像が印刷済みのものについて、すべてのラベルを検査対象として、ラベルの検査を行う。
【0059】
なお、検査結果が「検査NG」と判定したラベルについては、そのラベルが使用不可であることをユーザに認識させることが可能なVOID画像が「検査NG」の印刷画像に重ねて印刷されてもよい。VOID画像の印刷のためには、エラー処理後に、ラベル紙Pを巻き戻す必要がある。
【0060】
<作用効果>
この構成によれば、複数のラベルに画像が印刷される場合に、印刷画像が一定の品質を満たしているか否かを検査する検査処理では、複数のラベルの一部、すなわち、1ページ目のラベルから送出方向の上流側に所定数(スキップ数N)おきのラベルが検査対象に決定されて、その検査対象に決定された一部の各ラベルの検査(印刷結果の良否の判定)が行われる。これにより、複数のラベルの全数について、各ラベルが検査される構成と比較して、ラベルの検査に要する時間を短縮することができる。そのため、ラベルへの画像の印刷速度(ラベルの搬送速度)の低下を抑制しつつ、印刷結果の不良を検出することができる。
【0061】
また、ラベルがラベル長の距離を搬送されるのに要する搬送時間Tmと、ラベルの検査に要する検査時間Tとが実測により求められて、ラベルの検査が搬送に間に合うように、すなわち、先のラベルの検査開始から次のラベルの検査開始までの時間がラベルの搬送時間Tmよりも長くなるように、検査処理におけるスキップ数Nが決定される。これにより、スキップ数Nを適切に設定することができ、印刷速度を低下させることなく、ラベルにおける印刷結果の不良の検出が可能となる。
【0062】
検査処理でラベルの検査結果が「検査NG」と判定された場合には、エラー処理が行われる。エラー処理では、印刷処理が停止されて、検査結果が「検査NG」と判定されたラベルと最後に検査結果が「検査OK」と判定されたラベルとの間に挟まれるラベルが検査対象とされる。その検査対象のラベルについては、検査処理での検査が行われていないので、エラー処理で検査を行うことにより、ラベルを使用可能であるか不可であるかを正しく判定することができる。
【0063】
また、エラー処理では、検査処理で検査結果が「検査NG」と判定したラベルからラベル紙Pの送出送方向の上流側のラベルで画像が印刷済みのものについて、すべてのラベルが検査対象とされる。検査結果が「検査NG」のラベルが出現した場合、それ以降に印刷された画像についても一定の品質を満たしていない可能性があるので、それらのラベルが検査対象とされることにより、印刷結果の不良の検出漏れを抑制できる。
【0064】
<検査処理の他の例>
図3に示される検査処理に代えて、
図8に示される検査処理が行われてもよい。
図8に示される検査処理では、印刷ヘッド21により画像が印刷されたラベルのうち、送出方向の最下流の1ページ目のラベルから上流側に所定数N1のラベルと、送出方向の最上流の最終ページのラベルから下流側に所定数N2のラベルとが検査される。
【0065】
具体的には、CPU31は、
図8に示されるように、検査したラベル数を計数する検査ラベル数カウンタのカウント値Wを0にリセットする(S21)。つづいて、CPU31は、1ページ目(1枚目)のラベルから順に、各ラベルの印刷画像をCISユニット22に読み取らせる。
【0066】
そして、CPU31は、CISユニット22に読み取られたラベルの印刷画像のデータから、1ページ目のラベルの印刷画像のデータを取得する(S22)。そして、検査ラベル数カウンタのカウント値Wをインクリメントし(S23)、取得した印刷画像のデータから、その印刷画像が印刷されている1ページ目のラベルの検査を行う(S24)。
【0067】
ラベルの検査結果が「検査OK」であった場合(S25:YES)、CPU31は、検査ラベル数カウンタのカウント値Wが所定数N1よりも小さいか否かを判断する(S26)。カウント値Wが所定数N1よりも小さい場合(S26:YES)、CPU31は、次のページのラベルの印刷画像のデータを取得する(S22)。そして、検査ラベル数カウンタのカウント値Wをインクリメントし(S23)、取得した印刷画像のデータから、その印刷画像が印刷されているラベルの検査を行う。
【0068】
こうして、1ページ目のラベルから順に各ラベルが検査されて、検査ラベル数カウンタのカウント値Wが所定数N1に一致すると(S26:YES)、CPU31は、印刷処理で画像が印刷された最終ページのラベルの印刷画像がCISユニット22により読み取られて、CISユニット22による印刷画像の読み取りが終了したか否かを判断する(S27)。
【0069】
最終ページのラベルの印刷画像の読み取りが終了すると(S27:YES)、CPU31は、最終ページのラベルから所定数N2前のページのラベルまでを検査対象として、それらのラベルの印刷画像のデータを取得する。そして、CPU31は、その取得した各印刷画像のデータから、最終ページのラベルから所定数N2前のページのラベルまでの各ラベルを検査する(S28)。
【0070】
最終ページのラベルから所定数N2だけ遡ったラベルまでの各ラベルの検査結果がすべて「検査OK」であれば(S29:YES)、CPU31は、検査処理を終了する。
【0071】
検査処理の途中、CPU31は、ラベルの検査結果を「検査NG」と判定した場合(S25,S29:NO)、エラー処理を行って(S30)、検査処理を終了する。エラー処理については、前述したとおりである。
【0072】
<検査処理の変形例>
RAM33の記憶容量が少ないために、最終ページのラベルから所定数N2前のページのラベルまでの各ラベルの印刷画像のデータをRAM33に記憶させておくことができない場合がある。この場合、
図8に示される検査処理の一部が
図9に示される処理に置き換えられてもよい。
【0073】
図9に示される処理では、1ページ目のラベルから所定数N1のラベルが検査され、検査ラベル数カウンタのカウント値Wが所定数N1に一致すると(S26:YES)、CPU31は、外部端末から印刷終了通知を受信したか否かを判断する(S41)。
【0074】
印刷終了通知を受信してから印刷ヘッド21による印刷動作が停止し、最終ページのラベルがCISユニット22による読取位置に到達するまでには、タイムラグがある。そこで、CPU31は、印刷終了通知を受信したと判断すると(S41:YES)、それ以後にCISユニット22により印刷画像を読み取ることができるページから最終ページまでのラベルを検査対象として、CISユニット22により読み取られる印刷画像のデータから、その検査対象のラベルの検査を行う(S42)。
【0075】
そして、各ラベルの検査結果がすべて「検査OK」であれば(S43:YES)、CPU31は、検査処理を終了する。一方、検査結果が「検査NG」のラベルが存在した場合には(S43:NO)、エラー処理を行って(S30)、検査処理を終了する。エラー処理については、前述したとおりである。
【0076】
<検査処理の他の変形例>
図8に示される検査処理の一部が
図9に示される処理に置き換えられることにより、RAM33の記憶容量が少なくても、最終ページから送出方向の下流側の数ページのラベルを検査することができる。しかし、最終ページのラベルから所定数N2前のページのラベルまでの各ラベルを検査できない場合もある。そこで、RAM33の記憶容量が少なくても、最終ページのラベルから所定数N2前のページのラベルまでの各ラベルの検査が所望される場合には、
図8に示される検査処理の一部が
図10に示される処理に置き換えることも考えられる。
【0077】
図10に示される処理では、1ページ目のラベルから所定数N1のラベルが検査され、検査ラベル数カウンタのカウント値Wが所定数N1に一致すると(S26:YES)、CPU31は、印刷ヘッド21による印刷動作が終了したか否かを判断する(S51)。
【0078】
印刷ヘッド21による印刷動作が終了すると(S51:YES)、CPU31は、CISユニット22による印刷画像の読み取りを停止させる(S52)。そして、CPU31は、モータMを逆転駆動させて、最終ページから所定数N2前のページのラベルの印刷画像をCISユニット22が読取可能な位置まで、ラベル紙Pを巻き戻す(S53)。その後、CPU31は、モータMを正転駆動させて、CISユニット22による画像の読み取りを再開させる(S54)。
【0079】
CPU31は、CISユニット22により読み取られる印刷画像のデータから、各ラベルを検査する(S55)。そして、各ラベルの検査結果がすべて「検査OK」であれば(S56:YES)、CPU31は、検査処理を終了する。一方、検査結果が「検査NG」のラベルが存在した場合には(S56:NO)、エラー処理を行って(S30)、検査処理を終了する。エラー処理については、前述したとおりである。
【0080】
<スキップ数算出処理の他の例>
図5に示されるスキップ数算出処理に代えて、
図11に示されるスキップ算出処理が実行されてもよい。
【0081】
図5に示されるスキップ数算出処理では、ラベルがラベル長の距離を搬送されるのに要する搬送時間Tmと、ラベルの検査に要する検査時間Tとが実測により求められる。これに対し、
図11に示されるスキップ算出処理では、搬送時間Tmおよび検査時間Tが実測ではなく予測される。
【0082】
すなわち、
図11に示されるスキップ算出処理では、CPU31は、ラベルプリンタ1が外部端末から受信するプリンタ制御コマンドを解析して、ラベルに印刷される画像に含まれるバーコードの種類、バーコードの数およびバーコードのサイズを取得する(S111)。そして、その取得したバーコードの種類、バーコードの数およびバーコードのサイズから、CPU31は、検査時間Tを予測する(S112)。
【0083】
画像に含まれるバーコードの種類によって、その画像が印刷されたラベルの検査時のCPU31の処理負荷が変わる。また、画像に含まれるバーコードの数が多いほど、その画像が印刷されたラベルの検査に要する時間が長くなる。さらには、画像に含まれるバーコードのサイズが大きいほど、その画像が印刷されたラベルの検査に要する時間が長くなる。したがって、画像に含まれるバーコードの種類、バーコードの数およびバーコードのサイズをパラメータとして、その画像の検査に要する時間を予め実験により取得しておくことにより、ラベルに印刷される画像に含まれるバーコードの種類、バーコードの数およびバーコードのサイズから検査時間Tを予測することが可能である。
【0084】
また、CPU31は、プリンタ制御コマンドの解析により取得した画像データから、ラベルの搬送方向の長さであるラベル長を取得する(S113)。そして、CPU31は、ラベル長をラベル紙Pの搬送速度(既知)で除算することにより、ラベル1枚あたりの搬送時間Tm、つまりラベルがラベル長の距離を搬送されるのに要する時間Tmを算出する(S114)。その後、CPU31は、検査時間Tを搬送時間Tmで除算して、その除算値の小数点以下を繰り上げて得られる値をスキップ数Nとして算出する(S115)。
【0085】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0086】
たとえば、
図8に示される検査処理では、送出方向の最上流の最終ページのラベルから下流側に所定数N2のラベルが検査対象とされるが、RAM33の記憶容量のうち、ラベルの検査のための印刷画像のデータの記憶に使用可能な空き容量が考慮されて、その空き容量に記憶可能な印刷画像のページ数が所定数N2に決定されてもよい。これにより、ラベル紙Pを巻き戻して、所定数N2のラベルを再度読み取る必要をなくすことができる。
【0087】
また、
図7に示されるエラー処理では、検査結果が「検査NG」と判定されたラベルと最後に検査結果が「検査OK」と判定されたラベルとの間に挟まれるラベルが検査されるとしたが、最後に検査結果が「検査OK」と判定されたラベル以降に画像が印刷されたラベルのすべてについて、検査を行わずに「検査NG」と判定する構成が採用されてもよい。これにより、エラー処理に要する時間を短縮することができる。
【0088】
また、前述の実施形態では、CPU31がラベルプリンタ1における各処理を実行する場合について説明した。しかしながら、ラベルプリンタ1に複数のCPUが設けられて、複数のCPUが協働して各処理を実行してもよい。
【0089】
また、前述の実施形態では、ラベルに印刷されたバーコードシンボルの品質が一定の品質を満たしているか否かを判断していた。しかしながら、バーコードシンボル以外の印刷画像、例えば文字列や画像等の印刷品質を検査するものであってもよい。また、検査方法としては、印刷データと読み取った印刷画像データとを比較照合することで検査してもよい。
【0090】
また、前述の実施形態では、スキップ数Nを予測もしくは算出することにより決定していた。しかしながら、例えば、スキップ数Nは、ラベルプリンタ1を使うユーザによって入力または設定されてもよいし、ラベル紙Pの搬送速度に応じて予め設定されているものであってもよい。
【0091】
読取部としては、CISユニット22でなくてもよく、CCD(Charge Coupled Devices)などの読取デバイスによって画像を読み取る構成のものであってもよい。
【0092】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1:ラベルプリンタ
16,17:搬送ローラ
21:印刷ヘッド
22:CISユニット
31:CPU
33:RAM
M:モータ
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される媒体上の印刷領域に画像を印刷する印刷部と、
通信インターフェースと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記通信インターフェースを介して入力された、バーコードに関する画像を含む画像データに基づいて、前記印刷部を制御して、複数の前記印刷領域にバーコードを含む画像を印刷させる場合に、前記バーコードに関する情報と、前記媒体の搬送速度および前記印刷領域の前記搬送方向の長さとに基づいて、その複数の前記印刷領域のうちの一部の前記印刷領域を判定対象に決定する対象決定処理と、
前記対象決定処理にて決定した判定対象の前記印刷領域を読取部により読み取って得られた画像データに基づいて、印刷結果の良否を判定する良否判定処理と、を実行する、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記対象決定処理において、画像が印刷される複数の前記印刷領域のうち、特定の前記印刷領域から前記搬送方向の上流側に所定数おきの前記印刷領域を判定対象に決定する、印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記対象決定処理において、画像が印刷される複数の前記印刷領域のうち、前記搬送方向の最下流の前記印刷領域から前記搬送方向の上流側に1または複数の前記印刷領域のそれぞれについて、前記印刷領域に印刷された画像の読取開始から印刷結果の良否の判定までに要する時間を計測し、その計測した時間と前記印刷領域への画像の印刷に要する時間とを比較して、前記所定数を決定する、印刷装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記バーコードに関する情報は、前記バーコードの種類、前記バーコードの数および前記バーコードのサイズを含む、印刷装置。
【請求項5】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される媒体上の印刷領域に画像を印刷する印刷部と、
通信インターフェースと、
記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記通信インターフェースを介して入力された、バーコードに関する画像を含む画像データに基づいて、前記印刷部を制御して、複数の前記印刷領域に画像を印刷させる場合に、その複数の前記印刷領域のうちの一部の前記印刷領域を判定対象に決定する対象決定処理であって、前記記憶部の空き容量から判定対象とする前記印刷領域の数を決定する対象決定処理と、
前記対象決定処理にて決定した判定対象の前記印刷領域を読取部により読み取って得られた画像データに基づいて、印刷結果の良否を判定する良否判定処理と、を実行する、印刷装置。
【請求項6】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される媒体上の印刷領域に画像を印刷する印刷部と、
通信インターフェースと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記通信インターフェースを介して、前記印刷領域に印刷される画像に関する画像データを、複数の前記印刷領域分、順に受信する受信処理と、
前記受信処理で受信した画像データを前記印刷部に受信順で印刷させる印刷処理と、を実行し、
さらに、
前記受信処理により受信した複数の画像データに基づいて、前記印刷部を制御して、複数の前記印刷領域に画像を印刷させる場合に、その複数の前記印刷領域のうちの一部の前記印刷領域を判定対象に決定する対象決定処理であって、前記受信処理で最後のデータを受信した時点から読取部により読み取らせる前記印刷領域を判定対象に決定する対象決定処理と、
前記対象決定処理にて決定した判定対象の前記印刷領域を前記読取部により読み取って得られた画像データに基づいて、印刷結果の良否を判定する良否判定処理と、を実行する、印刷装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記対象決定処理において、画像が印刷される複数の前記印刷領域のうち、少なくとも前記搬送方向の最上流の前記印刷領域および最下流の前記印刷領域を判定対象に決定する、印刷装置。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記対象決定処理において、画像が印刷される複数の前記印刷領域のうち、前記搬送方向の最上流の前記印刷領域から前記搬送方向の下流側に1または複数の前記印刷領域と、前記搬送方向の最下流の前記印刷領域から前記搬送方向の上流側に1または複数の前記印刷領域とを判定対象に決定する、印刷装置。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、
複数の前記印刷領域に画像が印刷された後、前記搬送部により前記媒体を前記搬送方向と逆方向に搬送させる巻戻し処理と、
前記巻戻し処理後に前記搬送部により前記媒体を前記搬送方向に搬送させる再搬送処理と、を実行し、
前記搬送方向の最下流の前記印刷領域から前記搬送方向の上流側に1または複数の前記印刷領域に対して、前記良否判定処理において、前記再搬送処理により前記媒体が前記搬送方向に搬送されながら前記読取部に読み取られる所定数の前記印刷領域の画像データから、当該所定数の前記印刷領域の印刷結果の良否を判定する、印刷装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記良否判定処理で前記印刷領域の印刷結果が不良であると判定した場合、前記印刷部による印刷を停止して、印刷結果が不良であると判定した前記印刷領域と最後に印刷結果が良であると判定した前記印刷領域との間に挟まれる前記印刷領域について、前記読取部に読み取られた画像データから印刷結果の良否を判定する不良時処理、を実行する、印刷装置。
【請求項11】
請求項10に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記不良時処理において、印刷結果が不良であると判定した前記印刷領域から前記搬送方向の上流側のすべての前記印刷領域について、前記読取部に読み取られたデータから前記印刷領域の印刷結果の良否を判定する、印刷装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の印刷装置であって、
前記読取部により読み取られた画像データを記憶する記憶部、をさらに備え、
前記制御部は、前記不良時処理において、
良否判定の対象の前記印刷領域の画像データが前記記憶部に記憶されている場合、前記記憶部に記憶されている画像データから印刷結果の良否を判定し、
良否判定の対象の前記印刷領域の画像データが前記記憶部に記憶されていない場合、前記搬送部により前記媒体を前記搬送方向と逆方向に搬送させた後、前記搬送部により前記媒体を前記搬送方向に搬送させ、前記印刷領域に印刷された画像を前記読取部に読み取らせて、前記読取部に読み取られたデータから印刷結果の良否を判定する、印刷装置。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記良否判定処理で前記印刷領域の印刷結果が不良であると判定した場合、前記印刷部による印刷を停止して、少なくとも最後に印刷結果が良であると判定した前記印刷領域から印刷結果が不良であると判定した前記印刷領域までのすべての前記印刷領域の印刷結果を不良と判定する、印刷装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記読取部により読み取られる画像は、バーコードである、印刷装置。