(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098991
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】コルチコステロイドを投与する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/573 20060101AFI20240717BHJP
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A61P 7/10 20060101ALI20240717BHJP
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A61P 1/00 20060101ALI20240717BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240717BHJP
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A61K 9/20 20060101ALI20240717BHJP
A61K 9/24 20060101ALI20240717BHJP
A61K 9/26 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61K31/573
A61K31/4196
A61K31/496
A61P43/00 121
A61P5/44
A61P5/14
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A61P7/06
A61P35/02
A61P7/10
A61P1/04
A61P1/00
A61P13/12
A61K9/48
A61K9/20
A61K9/24
A61K9/26
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024063590
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2021525303の分割
【原出願日】2019-08-14
(31)【優先権主張番号】62/769,932
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521199328
【氏名又は名称】スパロー ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カッツ,デイビッド,エー.
(57)【要約】
【課題】コルチコステロイドを投与する方法に関する。
【解決手段】コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法であって、患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を決定すること;及び患者にHSD1阻害剤を投与することを含む方法が提供される。コルチコステロイドが必要とされる患者へのコルチコステロイド投与に伴う副作用を低減させ、又は予防する方法であって、患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を決定すること;及び患者にHSD1阻害剤を投与することを含む方法も提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法であって、
前記患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
前記コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
前記HSD1阻害剤は、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド若しくは薬学的に許容可能なその塩(化合物A)又はN-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミド(化合物B)であり;
前記HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの前記患者の尿中比を前記標的閾値未満のレベルにおいて維持するために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法。
【請求項2】
コルチコステロイドが必要とされる患者へのコルチコステロイド投与に伴う副作用を低減させ、又は予防する方法であって、
前記患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
前記コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
前記HSD1阻害剤は、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド若しくは薬学的に許容可能なその塩(化合物A)又はN-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミド(化合物B)であり;
前記HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの前記患者の尿中比を前記標的閾値未満のレベルにおいて維持するために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法。
【請求項3】
コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法であって、
前記患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの尿中比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
前記コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
前記HSD1阻害剤は、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド若しくは薬学的に許容可能なその塩(化合物A)又はN-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミド(化合物B)であり;
前記HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの前記患者の尿中比を前記標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法。
【請求項4】
コルチコステロイドが必要とされる患者へのコルチコステロイド投与に伴う副作用を低減させ、又は予防する方法であって、
前記患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの尿中比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている前記患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
前記コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
前記HSD1阻害剤は、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド若しくは薬学的に許容可能なその塩(化合物A)又はN-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミド(化合物B)であり;
前記HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの前記患者の尿中比を前記標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法。
【請求項5】
前記投与は、1日以内に尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの前記患者の尿中比を前記標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記投与は、2~7日以内に尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの前記患者の尿中比を前記標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
前記HSD1阻害剤は、化合物Aである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記HSD1阻害剤は、化合物Bである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記標的閾値は、約0.2である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記標的閾値は、約0.66である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記患者に、前記コルチコステロイドを第1の用量において第1の期間投与する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記コルチコステロイドの第2の用量を前記患者に投与することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コルチコステロイドの前記第2の用量は、前記第1の用量と異なる量である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コルチコステロイドの前記第2の用量は、前記第1の用量と同じ量である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記HSD1阻害剤の第2の用量を、前記患者に投与しない、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記HSD1阻害剤の前記第1の用量は、少なくとも0.2mgである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記HSD1阻害剤の前記第1の用量は、少なくとも0.7mgである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記HSD1阻害剤の前記第1の用量は、少なくとも3mgである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記HSD1阻害剤の前記第1の用量は、3mgである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記HSD1阻害剤の前記第1の用量は、少なくとも4mgである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記HSD1阻害剤の前記第1の用量は、4mgである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記HSD1阻害剤の前記第1の用量は、少なくとも5mgである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記HSD1阻害剤の前記第1の用量は、5mgである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記HSD1阻害剤の前記第1の用量は、6mgである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記HSD1阻害剤の第2の用量を投与することをさらに含む、請求項11及び16~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記HSD1阻害剤の前記第2の用量を投与する前、前記患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比を測定することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの前記患者の比を前記標的閾値未満のレベルにおいて低減させるようにHSD1阻害剤の前記用量を調整することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの前記患者の比を前記標的閾値未満のレベルにおいて維持するようにHSD1阻害剤の前記用量を調整することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記HSD1阻害剤の前記第2の用量は、前記HSD1阻害剤の前記第1の用量と同じである、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記HSD1阻害剤の前記第2の用量は、前記HSD1阻害剤の前記第1の用量よりも多い、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記HSD1阻害剤の前記第2の用量は、前記HSD1阻害剤の前記第1の用量よりも少ない、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記コルチコステロイドを、経口投与する、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記コルチコステロイドを、静脈内又は筋肉内投与する、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記HSD1阻害剤を、経口投与する、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記HSD1阻害剤を、静脈内投与する、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記コルチコステロイドを投与して慢性疾患又は障害を治療する、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記コルチコステロイドを投与して急性疾患又は障害を治療する、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記コルチコステロイドは、アルクロメタゾン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロン、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルチカゾン、フルプレドニデン、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、ウロベタゾール、それらの組み合わせ、薬学的に許容可能なそれらの塩、又はそれらのエステルから選択される、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記コルチコステロイドは、ベタメタゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.5~約20mgの用量において投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記コルチコステロイドは、プレドニゾロン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.5~約200mgの用量において投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記コルチコステロイドは、デキサメタゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.1~約40mgの用量において投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記コルチコステロイドは、ブデソニド又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.25mg~9mgの用量において投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約20~約800mgの用量において投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記コルチコステロイドは、デフラザコート又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.25mg~約1mg/kg/日の用量において投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.4~約240mgの用量において経口投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約10~約40mgの用量において静脈内投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記コルチコステロイドを投与して
内分泌障害、例えば、原発性又は続発性副腎皮質機能低下症、先天性副腎過形成、非化膿性甲状腺炎、及び癌に伴う高カルシウム血症;
リウマチ障害、例えば、乾癬性関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、急性及び亜急性滑液包炎、急性非特異性腱滑膜炎、痛風性関節炎、外傷後変形性関節症、変形性関節症の滑膜炎、急性リウマチ性心炎、皮膚筋炎、側頭動脈炎、多発性筋炎、並びに全身性エリテマトーデス及び上顆炎における(患者に急性エピソード又は増悪を乗り切らさせるための)短期投与のための補助療法;
例えば、全身性エリテマトーデス、全身性皮膚筋炎(多発性筋炎)、及び急性リウマチ性心炎の選択症例における増悪の間又は維持療法としてのコラーゲン疾患;
皮膚疾患、例えば、天疱瘡、ヘルペス状水疱性皮膚炎、重度多形紅斑(スティーヴンス・ジョンソン症候群)、はく離性皮膚炎、はく離性紅皮症、菌状息肉症、重度乾癬、及び重度脂漏性皮膚炎;
アレルギー状態、例えば、慣用の治療の適切な試験に難治性の重度の又は身体機能不全に至るアレルギー病態のコントロール、例えば、季節性又は通年性アレルギー性鼻炎、気管支喘息、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、血清病、輸血反応、及び薬物過敏反応;
眼疾患、例えば、目及びその付属器に関する重度急性及び慢性アレルギー及び炎症性プロセス、例えば、アレルギー性角膜辺縁潰瘍、眼部帯状疱疹、前眼部炎症、びまん性後部ブドウ膜炎及び脈絡膜炎、交感性眼炎、アレルギー性結膜炎、角膜炎、脈絡網膜炎、視神経炎、虹彩炎、局所コルチコステロイドに不応性の眼炎症病態、及び虹彩毛様体炎;
呼吸器疾患、例えば、症候性サルコイドーシス、他の手段により管理不可能なレフレル症候群、ベリリウム症、適切な抗結核化学療法と同時に使用される場合の劇症又は播種性肺結核、特発性好酸球性肺炎、症候性サルコイドーシス、及び誤嚥性肺炎;
血液障害、例えば、成人における特発性血小板減少性紫斑病、成人における続発性血小板減少症、後天性(自己免疫性)溶血性貧血、赤芽球減少症(RBC貧血)、赤芽球癆、及び先天性(赤血球)再生不良性貧血;
例えば、成人における白血病及びリンパ腫並びに小児期の急性白血病の緩和管理のための腫瘍性疾患;
例えば、尿毒症を伴わない特発性型のネフローゼ症候群における、又はエリテマトーデスに起因するタンパク尿の利尿又は寛解を誘導するための浮腫性状態;
例えば、患者に潰瘍性大腸炎又は限局性腸炎における疾患の臨界期を乗り切らさせるための胃腸管疾患;
神経系、例えば、多発性硬化症の急性増悪、原発性若しくは転移性脳腫瘍、又は開頭術に伴う脳浮腫;
例えば、特発性ネフローゼ症候群における、又はエリテマトーデスに起因するタンパク尿の利尿又は寛解を誘導するための腎疾患;並びに
他の疾患又は障害、例えば、適切な抗結核化学療法と同時に使用される場合のくも膜下ブロック、又は切迫したブロックを伴う結核性髄膜炎、及び神経又は心筋病変を伴う旋毛虫病
から選択される疾患又は障害を治療する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記コルチコステロイドを投与して血管炎を治療する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記コルチコステロイドを投与してベーチェット病、中枢神経系血管炎、クリオグロブリン血症、チャーグ・ストラウス症候群、巨細胞性動脈炎、多発血管炎性肉芽腫症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、過敏性血管炎、大動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、リウマチ性血管炎、高安動脈炎、及び蕁麻疹様血管炎から選択される疾患又は障害を治療する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
HSD1阻害剤及びコルチコステロイドを含む医薬製品であって、前記コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;前記HSD1阻害剤は、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド若しくは薬学的に許容可能なその塩(化合物A)又はN-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミド(化合物B)である医薬製品。
【請求項51】
前記HSD1阻害剤及び前記コルチコステロイドが同時配合された組み合わせ製剤を含む、請求項50に記載の医薬製品。
【請求項52】
前記HSD1阻害剤及び前記コルチコステロイドが同時パッケージングされた組み合わせ製剤を含む、請求項50に記載の医薬製品。
【請求項53】
静脈内又は筋肉内投与のための、請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬製品。
【請求項54】
前記HSD1阻害剤は、経口投与のために配合され、前記コルチコステロイドは、静脈内又は筋肉内投与のために投与される、請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬製品。
【請求項55】
経口投与のための、請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬製品。
【請求項56】
前記組み合わせ製剤は、2つ以上の層を有する錠剤であり、HSD1阻害剤及びコルチコステロイドのそれぞれは、異なる層中に存在し、場合によりバリア層により離隔されている、請求項51に記載の医薬製品。
【請求項57】
前記組み合わせ製剤は、コア-シェル構成を有する錠剤であり、前記コアは、HSD1阻害剤を含み、前記シェルは、コルチコステロイドを含み、前記コア及びシェルは、場合によりバリア層により離隔されている、請求項51に記載の医薬製品。
【請求項58】
前記組み合わせ製剤は、コア-シェル構成を有する錠剤であり、前記コアは、コルチコステロイドを含み、前記シェルは、HSD1阻害剤を含み、前記コア及びシェルは、場合によりバリア層により離隔されている、請求項51に記載の医薬製品。
【請求項59】
前記組み合わせ製剤は、HSD1阻害剤及びコルチコステロイドを含有するカプセル剤である、請求項51に記載の医薬製品。
【請求項60】
前記組み合わせ製剤は、HSD1阻害剤を含むミニ錠及びコルチコステロイドを含むミニ錠の組み合わせである、請求項51に記載の医薬製品。
【請求項61】
ツインパックを含む、請求項52に記載の医薬製品。
【請求項62】
HSD1阻害剤を含む第1の部分及びコルチコステロイドを含む第2の部分を含むキットを含む、請求項52に記載の医薬製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コルチコステロイド(CS)は、多様な病態のための治療法レジメンの重要な一部である。コルチコステロイドは、典型的には、炎症性病態を有する広範な患者に処方されるが、それは、呼吸器病態、例えば、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管炎、皮膚疾患、筋骨格病態、及び神経病態を有する患者に高頻度で処方される。しかしながら、コルチコステロイドは、その臨床的成功にかかわらず、広範囲の重度の有害事象、例として、とりわけ骨折、骨粗鬆症、高血糖症、及び肥満に起因して慎重に使用される。
【背景技術】
【0002】
11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)は、グルココルチコイドの細胞内レベルを調節する酵素である。HSD酵素は、2つのアイソフォームからなる:ニコチンアミド-アデニンジヌクレオチドリン酸還元依存性1型(HSD1)は、インビボで一般に不活性コルチゾンを活性コルチゾールに変換し、ニコチンアミド-アデニンジヌクレオチド依存性酸化2型(HSD2)は、コルチゾールをコルチゾンに変換する。
【0003】
HSD1選択的阻害剤の投与は、コルチコステロイドの投与に伴う副作用、例えば、高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、高脂血症、高血圧などを潜在的に改善し得ることが示唆されている。しかしながら、コルチコステロイドの投与に伴う副作用のリスクを低減させる、コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法についての重要な満たされていない必要性が存在する。本開示は、以下の開示を参照して証明されるとおりそれらの及び他の必要性を満たす。
【0004】
リウマチ性多発性筋痛症(PMR)及び巨細胞性動脈炎(GCA)は、50歳以上の者において生じ得る病因不明の関連炎症障害である。PMRは、典型的には、急性で両上肢痛を呈する。GCAは、典型的には、片側性又は両側性頭痛、筋痛、疲労、発熱、体重減少、及び時には急性失明を呈する。PMR及びGCAは、同じ疾患又は重複病態のいずれかの異なる顕在化を表す。GCAは、古典的頭部(側頭)動脈炎、大血管血管炎、又は単一器官動脈炎として現れ得る。GCAと診断された患者の40%~60%はPMRも有し、PMR患者の16%~21%はGCAを有する。PMRは、GCAよりも3~10倍高い頻度で生じる。2008年、推定711000人の米国在住者がPMRを有し、228000人がGCAを有した。PMRの最大発生率は、北欧系の者において生じ、50歳以上の者のうち100000人当たり41~113人の症例に及ぶ。米国において、GCAは、最も高頻度の原発性血管炎であり、100000人当たり18人の発生率である。女性は、男性(PMRについて1.7%及びGCAについて0.5%)よりも高いPMR(2.4%)及びGCA(1.0%)についての生涯リスクを有する(Buttgereit et al., 2016)。経口コルチコステロイド(CS)は、数十年間PMR治療法の中心であり、PMR治療法についてFDAにより示される唯一の医薬である。PMRにおける治療効力(例として、経口CS)についての臨床試験証拠は、かなり限定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の比を標的閾値未満のレベルにおいて維持するために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法が提供される。
【0006】
コルチコステロイドが必要とされる患者へのコルチコステロイド投与に伴う副作用を低減させ、又は予防する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の比を標的閾値未満のレベルにおいて維持するために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0007】
コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの尿中比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の尿中比を標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0008】
コルチコステロイドが必要とされる患者へのコルチコステロイド投与に伴う副作用を低減させ、又は予防する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの尿中比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の尿中比を標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0009】
一部の実施形態において、代替法を使用してHSD1活性又は占有率を決定する。
【0010】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下の詳細な説明の参照時に明らかである。この目的のため、より詳細なある背景情報、手順、化合物、及び組成物を説明する種々の参照文献が本明細書に記載され、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】プラセボ又は化合物Aの単回投与後の臨床試験対象についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比を示す。(a)プラセボ;(b)1mgの化合物A;(c)3mgの化合物A;(d)6mgの化合物A;(e)10mgの化合物A;(f)30mgの化合物A;(g)60mgの化合物A。(i)0~24時間;(ii);24~48時間;(iii)0~最後。より低い値は、肝HSD1の阻害を示す。
【
図2】化合物Aの単回(1日目)及び複数回(5~18日目、毎日)投与前及び後の臨床試験対象についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比を示す。(a)2.0mg及び(b)0.7mgの化合物A。より低い値は、肝HSD1の阻害を示す。横座標は、日数として標識され、-1は、試験薬の初回投与前である。
【
図3】化合物Aの単回(1日目)及び複数回(2~14日目、毎日)投与前及び後の臨床試験対象についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比を示す。(a)0.4mg及び(b)0.2mgの化合物A。より低い値は、肝HSD1の阻害を示す。横座標は、日数として標識され、-1は、試験薬の初回投与前である。
【
図4】4コンパートメント移行吸収、中央コンパートメントからの飽和結合、及び一次排泄を有する化合物Aについての母集団薬物動態モデルの模式図を提供する。
【
図5】化合物Aについての血漿濃度と脳HSD1酵素占有率との間の関係を示す。横座標:log
10(化合物A血漿濃度、ng/mL)、縦座標:脳HSD1酵素占有率(%)。グラフ内の線は、定常状態における(a)0.2mg、(b)0.4mg、(c)0.7mg、及び(d)2.0mgの化合物Aの1日用量に伴う血漿濃度範囲を示す。
【
図6】化合物Aによる患者についてのHSD1阻害のシミュレーションを示す。3mgの初回用量、次いで(a)1mg QD;(b)0.1mg QDの1日用量。横座標は、用量投与の日数として標識される。
【
図7】化合物Aによる患者についてのHSD1阻害のシミュレーションを示す。4mgの初回用量、次いで(a)1mg QD;(b)0.1mg QDの1日用量。横座標は、用量投与の日数として標識される。
【
図8】化合物Aによる患者についてのHSD1阻害のシミュレーションを示す。3回の1mgの1日用量、次いで0.1mg QDの1日用量。横座標は、用量投与の日数として標識される。
【
図9】化合物AによるCS誘導尾かじり挙動の好転を示す。縦軸:尾かじり、秒。
**P、0.01対0用量。(a)CSなし;(b)~(f)CS;化合物Aの投与量(mg/kg):(b)0;(c)0.01;(d)0.03;(e)1;(f)3。
【
図10】化合物Aによる迷路探索挙動のCS誘導欠陥の回復を示す。縦軸:変化率(%)。
*P<0.05;
**P<0.01対0用量。(a)CSなし;(b)~(f)CS;化合物Aの投与量(mg/kg):(b)0;(c)0.01;(d)0.03;(e)1;(f)3。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
以下の説明において、ある具体的な詳細が、種々の実施形態の十分な理解を提供するために記載される。しかしながら、当業者は、それらの詳細なしで本発明を実施することができることを理解する。他の例において、周知の構造は、実施形態の無用に不明瞭な説明を回避するために詳細には示されないし、記載もされない。文脈が特に要求しない限り、以下の本明細書及び特許請求の範囲全体にわたり、語「含む(comprise)」及びその変形、例えば、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、オープンで包含的な意味で、すなわち、「含むが、限定されるものではない」として解釈すべきである。さらに、本明細書に提供される見出しは、便宜上のものにすぎず、特許請求される本発明の範囲も又は意味も解釈するものではない。
【0013】
本明細書全体にわたる「一実施形態」又は「実施形態」又は「一部の実施形態」又は「ある実施形態」の言及は、実施形態と関連して記載される特定の特徴部、構造又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる種々の箇所における語句「一実施形態において」又は「実施形態において」又は「一部の実施形態において」又は「ある実施形態において」の出現は、同じ実施形態を必ずしも全て指しているわけではない。さらに、特定の特徴部、構造、又は特徴は、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせることができる。
【0014】
定義
また、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が特に明確に示さない限り複数の参照対象を含む。
【0015】
本明細書において使用される「化合物A」は、構造:
【化1】
を有する4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミドを指す。
【0016】
本明細書において使用される「化合物B」は、N-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミドを指す。
【化2】
【0017】
本明細書において使用される「同時投与する」及び「同時投与」並びにそれらの変形は、連続的な、同時の、又は結果的に相互に時間的に近い(例えば、同日、若しくは同週又は30日の期間内の)患者への少なくとも2つの薬物の投与を意味する。2つ以上の活性薬剤は、同時投与される場合、同じ組成物の一部として同時配合し、又は別個の配合物として投与することができる。これは、本明細書において「併用」投与又はその変形と称することもできる。
【0018】
本明細書において使用される「患者に投与すること」は、組成物又は剤形を当技術分野において認識される導入の手段を介して患者中に導入するプロセスを指す。
【0019】
本明細書において使用される用語「障害」は、一般に、全てが、正常な機能を損ない、典型的には徴候及び症状を区別することにより顕在化される、ヒト若しくは動物体の、又はその一部の1つの異常な病態を反映するという点で用語「疾患」、「症候群」、及び「病態」(医学的病態の)と同義であるものとし、互換的に使用される。
【0020】
本明細書において使用される「用量」は、患者により1回において服薬されるべき活性薬剤の測定量を意味する。
【0021】
本明細書において使用される「投薬レジメン」は、患者により1回目において服薬される活性薬剤の用量及び活性薬剤の任意の後続の用量が患者により服薬される間隔(時間又は症候性)を意味する。活性薬剤の追加の用量は、1回目において服薬される用量と異なり得る。
【0022】
本明細書において使用される薬剤、化合物、薬物、組成物又は組み合わせの「有効量」及び「治療有効量」は、非毒性であり、対象又は患者(例えば、ヒト対象又は患者)への投与時にいくらかの所望の治療効果の産生に有効である量である。対象についての正確な治療有効量は、例えば、対象のサイズ及び健康、病態の性質及び程度、投与のために選択される治療物又は治療物の組み合わせ、並びに当業者に公知の他の可変要素に依存し得る。所与の状況についての有効量は、定型的な実験により決定され、臨床医の判断の範囲内である。
【0023】
本明細書において使用される「患者」又は「個体」又は「対象」は、治療法が所望されるヒトを意味し、一般に、治療法のレシピエントを指す。
【0024】
本明細書において使用される「薬学的に許容可能な」は、生物学的にも又はそれ以外でも不所望でない材料を指し、すなわち、その材料は、いかなる不所望な生物学的効果も、又はそれが含有される組成物の他の構成成分のいずれかと有害な相互作用も引き起こさずに患者に投与される医薬組成物中に取り込むことができる。用語「薬学的に許容可能な」が医薬担体又は賦形剤を指すために使用される場合、担体又は賦形剤は、毒性学的及び製造検査の要求基準を満たしていること、又はそれはU.S. Food and Drug administrationにより立案されたInactive Ingredient Guideに含まれることが意味される。「薬理学的に活性な」(又は「活性な」)誘導体又は類似体におけるような「薬理学的に活性な」(又は単に「活性な」)は、親化合物と同じタイプの薬理学的活性を、ほぼ同じ程度で有する誘導体又は類似体を指す。用語「薬学的に許容可能な塩」としては、無機酸、例えば、塩酸若しくはリン酸など、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などのような有機酸などと形成される酸付加塩が挙げられる。フリーカルボキシル基と形成される塩は、無機塩基、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化鉄など、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基などから誘導することもできる。
【0025】
本明細書において使用される「リスク」は、医学的治療から生じる有害反応、損傷、又は他の不所望なアウトカムの確率又は可能性を意味する。「許容可能なリスク」は、個体又は群により忍容される医学的治療から生じる損害、損傷、又は疾患のリスクの尺度を意味する。リスクが「許容可能」であるか否かは、個体又は群がそのリスクと引き換えに得られ得ると理解する利点、そのリスクの大きさについてどのような科学的及び他の助言が提供されるのかをそれらが許容するか否か、並びに政治的及び社会的因子の両方の多数の他の因子に依存する。有害反応の「許容可能なリスク」は、その有害反応が、その発生確率が小さく、又はその結果が非常に軽微であり、又はその活性薬剤の(知覚される又は実際の)利益が非常に大きいものであることから、社会における個体又は群が、有害反応が生じ得るというリスクを取り、又はそのリスクに従う意思があることを意味する。有害反応の「許容不能なリスク」は、社会における個体又は群が、その有害反応の発生確率、その有害反応の結果、及びその活性薬剤の(知覚される又は実際の)利益に重きを置くと、その有害反応が生じ得るというリスクを取り、又はそのリスクに従う意思がないことを意味する。「リスクがある」は、高レベルのリスク又は感受性により表される状態又は病態を意味する。リスク評価は、製品の使用に伴うリスクの性質、頻度、及び重症度を同定し、特徴付けることからなる。
【0026】
本明細書において使用される「安全性」は、活性薬剤の投与に伴う有害事象、例として、患者関連因子(例えば、年齢、性別、民族性、人種、標的疾病、腎若しくは肝機能の異常、併発する疾病、遺伝的特性(例えば、代謝状態)、又は環境)、及び活性薬剤関連因子(例えば、用量、血漿レベル、曝露継続時間、又は併用薬)に伴う有害効果の発生率又は重症度を意味する。
【0027】
本明細書において使用される「治療すること」又は「治療」は、障害の進行を遅延させ、若しくは停止させる治療的適用、障害の発生を防止する予防的適用、又は障害の好転を指す。障害の好転は、好転させる方法を用いると、障害の進行を完全に停止させるだけでなく、細胞の挙動がある程度、その障害の不存在下で観察される正常な状態に向かって動くという点で、障害を遅らせ、又は停止させる治療的適用とは異なる。
【0028】
コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の比を標的閾値未満のレベルにおいて維持するために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法が提供される。
【0029】
コルチコステロイドが必要とされる患者へのコルチコステロイド投与に伴う副作用を低減させ、又は予防する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の比を標的閾値未満のレベルにおいて維持するために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0030】
コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの尿中比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の尿中比を標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0031】
コルチコステロイドが必要とされる患者へのコルチコステロイド投与に伴う副作用を低減させ、又は予防する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの尿中比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の尿中比を標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0032】
コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤は、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド若しくは薬学的に許容可能なその塩(化合物A)又はN-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミド(化合物B)であり;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の尿中比を標的閾値未満のレベルにおいて維持するために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0033】
コルチコステロイドが必要とされる患者へのコルチコステロイド投与に伴う副作用を低減させ、又は予防する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤は、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド若しくは薬学的に許容可能なその塩(化合物A)又はN-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミド(化合物B)であり;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の尿中比を標的閾値未満のレベルにおいて維持するために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0034】
コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの尿中比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤は、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド若しくは薬学的に許容可能なその塩(化合物A)又はN-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミド(化合物B)であり;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の尿中比を標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0035】
コルチコステロイドが必要とされる患者へのコルチコステロイド投与に伴う副作用を低減させ、又は予防する方法であって、
患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの尿中比についての標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤は、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド若しくは薬学的に許容可能なその塩(化合物A)又はN-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミド(化合物B)であり;
HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の尿中比を標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0036】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド又は薬学的に許容可能なその塩(化合物A)及びN-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミド(化合物B)、又は薬学的に許容可能なその塩から選択される。
【0037】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、化合物A、又は薬学的に許容可能なその塩である。
【0038】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、化合物B、又は薬学的に許容可能なその塩である。
【0039】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、AMG221((5S)-2-[[(1R,3S,4S)-3-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル]アミノ]-5-メチル-5-プロパン-2-イル-1,3-チアゾール-4-オン)である。
【0040】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、Xanamem((5-(1H-ピラゾール-4-イル)チオフェン-3-イル)((1R,3r,5S)-3-ヒドロキシ-3-(ピリミジン-2-イル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノン)である:
【化3】
【0041】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、それぞれが全ての目的のために参照により全体として本明細書に組み込まれる国際公開第2013191396号、国際公開第2013058258号、国際公開第2012134233号、又は国際公開第2011139107号に開示される化合物である。
【0042】
一部の実施形態において、尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値は、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、及び約0.6から選択される。一部の実施形態において、標的閾値は、約0.2であり、患者は、追加のリスク因子を有する。一部の実施形態において、追加のリスク因子は、糖尿病、高血圧、コレステロールの上昇、トリグリセリドの上昇、非アルコール性脂肪性肝炎、肥満、主要有害心血管事象の病歴、骨粗鬆症、骨壊死、高眼圧症、又は緑内障の病歴から選択される。一部の実施形態において、追加のリスク因子は、年齢である。一部の実施形態において、追加のリスク因子は、性別であり、患者は、女性である。一部の実施形態において、追加のリスク因子は、事前の累積コルチコステロイド曝露である。一部の実施形態において、追加のリスク因子は、コルチコステロイド投与に伴う有害事象の病歴である。
【0043】
一部の実施形態において、尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値は、約0.66である。
【0044】
一部の実施形態において、患者は、HSD1阻害剤が投与される前に一定期間、コルチコステロイドを投与されている。
【0045】
一部の実施形態において、患者は、コルチコステロイドを第1の用量において第1の期間投与されている。
【0046】
一部の実施形態において、本方法は、コルチコステロイドの第2の用量を患者に投与することをさらに含む。
【0047】
一部の実施形態において、コルチコステロイドの第2の用量は、第1の用量と異なる量である。
【0048】
一部の実施形態において、コルチコステロイドの第2の用量は、第1の用量と同じ量である。
【0049】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、経口投与される。
【0050】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、静脈内又は筋肉内投与する。
【0051】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、静脈内投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、静脈内投与し、HSD1阻害剤は、経口投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、静脈内投与し、HSD1阻害剤は、コルチコステロイドの静脈内投与と同時に経口投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、静脈内投与し、HSD1阻害剤は、コルチコステロイドの静脈内投与前に経口投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、静脈内投与し、HSD1阻害剤は、1日又は2日以上の間で行うことができるコルチコステロイドの複数回投与にわたり保護を提供するために十分な様式で経口投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、静脈内投与し、HSD1阻害剤は、静脈内投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイド及びHSD1阻害剤は、静脈内投与のために同時配合する。一部の実施形態において、コルチコステロイド及びHSD1阻害剤は、別個に投与する。
【0052】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、筋肉内投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、1日1回未満の頻度において筋肉内投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、1日おきに筋肉内投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、週2回、筋肉内投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、週1回、筋肉内投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、1週間おきに筋肉内投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、筋肉内投与し、HSD1阻害剤は、筋肉内投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイド及びHSD1阻害剤は、筋肉内投与のために同時配合する。一部の実施形態において、コルチコステロイド及びHSD1阻害剤は、別個に投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、筋肉内投与し、HSD1阻害剤は、経口投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、筋肉内投与し、HSD1阻害剤は、単回負荷用量として経口投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、筋肉内投与し、HSD1阻害剤は、単回負荷用量とそれに続く1つ以上の維持用量として経口投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、筋肉内投与し、HSD1阻害剤は、複数の用量として経口投与し、それらのそれぞれは、同じ量でも又は異なる量でもよい。
【0053】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、アルクロメタゾン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロン、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルチカゾン、フルプレドニデン、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、ウロベタゾール、それらの組み合わせ、薬学的に許容可能なそれらの塩、及びそれらのエステルから選択される。
【0054】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、ベタメタゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.25~約20mgの用量において投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、ベタメタゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.6~約9mgの用量において投与される。
【0055】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、プレドニゾロン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.5~約200mgの用量において投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、プレドニゾロン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.5~80mgの用量において投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、プレドニゾロン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.5~60mgの用量において投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、プレドニゾロン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、プレドニゾロンの等価投与量は、1、2.5、5、10、20、及び30mgから選択される。
【0056】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、デキサメタゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.1~約40mgの用量において投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、デキサメタゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.1~約30mgの用量において投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、デキサメタゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.1~約20mgの用量において投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、デキサメタゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.1~約10mgの用量において投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、デキサメタゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.1~約9mgの用量において投与される。
【0057】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、ブデソニド又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.25mg~9mgの用量において投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、ブデソニド又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、以下から選択される投与量において投与される。
【0058】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルである。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約20~約800mgの用量において投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約20~約240mgの用量において経口投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約20~約500mgの用量において2時間ごとに投与される(例えば、抗炎症用)。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、多発性硬化症の治療のために約20~約800mgの用量において毎日投与される。
【0059】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、デフラザコート又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.25mg~約1mg/kg/日の用量において投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、デフラザコート又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.9mg/kg/日の用量において投与される。
【0060】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約0.4~約240mgの用量において経口投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、約10~約40mgの用量において静脈内投与される。
【0061】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロン又は薬学的に許容可能なその塩若しくはエステルであり、24mg、次いで20、16、12、8、及び4mgの用量において毎日投与される。
【0062】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、1mgのプレドニゾンと等価の用量において投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、2.5mgのプレドニゾンと等価の用量において投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、5mgのプレドニゾンと等価の用量において投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、10mgのプレドニゾンと等価の用量において投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、20mgのプレドニゾンと等価の用量において投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、30mgのプレドニゾンと等価の用量において投与する。
【0063】
一部の実施形態において、コルチコステロイド投与に伴う副作用は、糖尿病、骨折、肥満、クッシング様外観、脂肪肝、高血圧、高脂血症、筋無力症、皮膚萎縮、創傷治癒の損傷、骨粗鬆症/骨壊死、緑内障、及び情緒/記憶の変化から選択される。
【0064】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、少なくとも0.7mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、0.7mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、少なくとも1mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、1mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、少なくとも2mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、2mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、少なくとも2.5mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、2.5mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、少なくとも3mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、3mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、少なくとも4mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、4mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、少なくとも5mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、5mgである。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、6mgである。
【0065】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第1の用量は、尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を達成するために十分である。一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、5mgの単回用量において投与して標的閾値を達成する。一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、6mgの用量において投与して標的閾値を達成する。
【0066】
一部の実施形態において、尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値を達成するために複数回投与が要求される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、2.5mgの用量において2日間投与して標的閾値を達成する。一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、2mgの用量において3日間投与して標的閾値を達成する。一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、1mgの用量において5日間投与して標的閾値を達成する。一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、0.7mgの用量において7日間投与して標的閾値を達成する。
【0067】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第2の用量は、患者に投与しない。
【0068】
一部の実施形態において、本方法は、HSD1阻害剤の第2の用量を投与することをさらに含む。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第2の用量の投与前、本方法は、患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比を測定することをさらに含む。一部の実施形態において、本方法は、尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの患者の比を標的閾値未満のレベルにおいて維持するようにHSD1阻害剤の用量を調整することをさらに含む。
【0069】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第2の用量は、HSD1阻害剤の第1の用量と同じである。
【0070】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第2の用量は、HSD1阻害剤の第1の用量よりも多い。
【0071】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤の第2の用量は、HSD1阻害剤の第1の用量よりも少ない。
【0072】
一部の実施形態において、尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値は、約0.2であり、HSD1阻害剤の第1の用量は、第2の用量と同じ量であり、すなわち、投薬量は一定である。一部の実施形態において、第1及び第2の用量は、2mgである。一部の実施形態において、第1及び第2の用量は、2.5mgである。
【0073】
一部の実施形態において、尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値は、約0.2であり、HSD1阻害剤の第2の用量は、HSD1阻害剤の第1の用量よりも少なく、例えば、第1の用量は、負荷用量であり、第2の用量は、維持用量である。
【0074】
一部の実施形態において、例えば、尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値が0.2である場合、第1の又は負荷用量は、少なくとも3mg、例えば、3mgである。一部の実施形態において、第1の又は負荷用量は、少なくとも4mg、例えば、4mgである。一部の実施形態において、第1の又は負荷用量は、少なくとも5mg、例えば、5mgである。一部の実施形態において、第1の又は負荷用量は、少なくとも6mg、例えば、6mgである。一部の実施形態において、第2の用量は、0.2mgである。一部の実施形態において、第2の用量は、0.1mgである。
【0075】
一部の実施形態において、例えば、尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比についての標的閾値が0.66である場合、第1の又は負荷用量は、少なくとも0.7mg、例えば、0.7mgである。一部の実施形態において、標的閾値が0.66である場合、第1の又は負荷用量は、少なくとも1mg、例えば、1mgである。一部の実施形態において、第1の又は負荷用量は、少なくとも2mg、例えば、2mgである。一部の実施形態において、第1の又は負荷用量は、少なくとも3mg、例えば、3mgである。一部の実施形態において、第1の又は負荷用量は、少なくとも4mg、例えば、4mgである。一部の実施形態において、第1の又は負荷用量は、少なくとも5mg、例えば、5mgである。一部の実施形態において、第1の又は負荷用量は、少なくとも6mgである。一部の実施形態において、第2の用量は、0.2mgである。一部の実施形態において、第2の用量は、0.1mgである。
【0076】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、減少レベルにおいて一定期間、例えば、患者が6、5、4、3、2、及び最後に1つの剤形を連日服薬するメチルプレドニゾロンの6日間の過程にわたり投与し、HSD1阻害剤は、それぞれのコルチコステロイド剤形と少なくとも0.833mgの用量において投与する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロンであり、剤形は、錠剤であり、それぞれの錠剤は、4mgである。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、カプセル剤として配合する。
【0077】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、経口投与する。
【0078】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、コルチコステロイドとの固定用量組み合わせ(「FDC」)錠で提供される。一部の実施形態において、FDC錠は、1日1回投与量のために供給される。一部の実施形態において、1日1回投与の過程が提供される。
【0079】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、コルチコステロイドによる亜慢性治療と一致する投薬レジメンのために提供される。一部の実施形態において、対象は、治療の過程にわたり減少数の錠剤を服薬するように指示される。一部の実施形態において、対象は、6、5、4、3、2、及び1つの錠剤を、6日間の1日1回の治療の過程の1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、及び6日目に服薬するように指示される。
【0080】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、コルチコステロイドによる慢性治療と一致する投薬レジメンのために提供される。一部の実施形態において、対象は、単一錠剤を治療の過程の毎日服薬するように指示される。一部の実施形態において、対象は、2つの錠剤を治療の過程の毎日服薬するように指示される。一部の実施形態において、治療の過程は、2週間、4週間、1か月、2か月、3か月、6か月、及び1年間から選択される。
【0081】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、静脈内投与する。
【0082】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、場合により分割用量で毎日投与する。一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、1日おきに投与する。
【0083】
一部の実施形態において、コルチコステロイドを投与して慢性疾患又は障害を治療する。一部の実施形態において、コルチコステロイドを投与して急性疾患又は障害を治療する。
【0084】
一部の実施形態において、コルチコステロイドを投与して
内分泌障害、例えば、原発性又は続発性副腎皮質機能低下症、先天性副腎過形成、非化膿性甲状腺炎、及び癌に伴う高カルシウム血症;
リウマチ障害、例えば、乾癬性関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、急性及び亜急性滑液包炎、急性非特異性腱滑膜炎、痛風性関節炎、外傷後変形性関節症、変形性関節症の滑膜炎、急性リウマチ性心炎、皮膚筋炎、側頭動脈炎、多発性筋炎、並びに全身性エリテマトーデス及び上顆炎における(患者に急性エピソード又は増悪を乗り切らさせるための)短期投与のための補助療法;
例えば、全身性エリテマトーデス、全身性皮膚筋炎(多発性筋炎)、及び急性リウマチ性心炎の選択症例における増悪の間又は維持療法としてのコラーゲン疾患;
皮膚疾患、例えば、天疱瘡、ヘルペス状水疱性皮膚炎、重度多形紅斑(スティーヴンス・ジョンソン症候群)、はく離性皮膚炎、はく離性紅皮症、菌状息肉症、重度乾癬、及び重度脂漏性皮膚炎;
アレルギー状態、例えば、慣用の治療の適切な試験に難治性の重度の又は身体機能不全に至るアレルギー病態のコントロール、例えば、季節性又は通年性アレルギー性鼻炎、気管支喘息、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、血清病、輸血反応、及び薬物過敏反応;
眼疾患、例えば、目及びその付属器に関する重度急性及び慢性アレルギー及び炎症性プロセス、例えば、アレルギー性角膜辺縁潰瘍、眼部帯状疱疹、前眼部炎症、びまん性後部ブドウ膜炎及び脈絡膜炎、交感性眼炎、アレルギー性結膜炎、角膜炎、脈絡網膜炎、視神経炎、虹彩炎、局所コルチコステロイドに不応性の眼炎症病態、及び虹彩毛様体炎;
呼吸器疾患、例えば、症候性サルコイドーシス、他の手段により管理不可能なレフレル症候群、ベリリウム症、適切な抗結核化学療法と同時に使用される場合の劇症又は播種性肺結核、特発性好酸球性肺炎、症候性サルコイドーシス、及び誤嚥性肺炎;
血液障害、例えば、成人における特発性血小板減少性紫斑病、成人における続発性血小板減少症、後天性(自己免疫性)溶血性貧血、赤芽球減少症(RBC貧血)、赤芽球癆、及び先天性(赤血球)再生不良性貧血;
例えば、成人における白血病及びリンパ腫並びに小児期の急性白血病の緩和管理のための腫瘍性疾患;
例えば、尿毒症を伴わない特発性型のネフローゼ症候群における、又はエリテマトーデスに起因するタンパク尿の利尿又は寛解を誘導するための浮腫性状態;
例えば、患者に潰瘍性大腸炎又は限局性腸炎における疾患の臨界期を乗り切らさせるための胃腸管疾患;
神経系、例えば、多発性硬化症の急性増悪、原発性若しくは転移性脳腫瘍、又は開頭術に伴う脳浮腫;
例えば、特発性ネフローゼ症候群における、又はエリテマトーデスに起因するタンパク尿の利尿又は寛解を誘導するための腎疾患;並びに
他の疾患又は障害、例えば、適切な抗結核化学療法と同時に使用される場合のくも膜下ブロック、又は切迫したブロックを伴う結核性髄膜炎、及び神経又は心筋病変を伴う旋毛虫病
から選択される疾患又は障害を治療する。
【0085】
一部の実施形態において、コルチコステロイドを投与して血管炎、例えば、ベーチェット病、中枢神経系血管炎、クリオグロブリン血症、チャーグ・ストラウス症候群、巨細胞性動脈炎(GCA)、多発血管炎性肉芽腫症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、過敏性血管炎、大動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症(PMR)、リウマチ性血管炎、高安動脈炎、及び蕁麻疹様血管炎を治療する。
【0086】
ある実施形態において、血管炎は、GCA及びPMRから選択される。
【0087】
ある実施形態において、GCAは、初発GCAである。
【0088】
ある実施形態において、GCAは、進行性GCAである。
【0089】
ある実施形態において、PMRは、初発PMRである。
【0090】
ある実施形態において、PRMは、進行性PMRである。
【0091】
ある実施形態において、HSD1阻害剤及びコルチコステロイドの同時投与は、コルチコステロイドの投与から生じる有害効果の緩和において有効である。ある実施形態において、有害効果は、以下の1つ以上から選択される:糖尿病、耐糖能の損傷、インスリン抵抗性、体重増加、脂肪異栄養症、脂肪肝、血圧の上昇、血中脂質の増加、筋萎縮、皮膚萎縮、創傷治癒の損傷、骨折、骨粗鬆症、緑内障、眼圧上昇、記憶障害、情緒の変化、及び視床下部-下垂体-副腎系(HPA)軸抑制。
【0092】
代替法
上記は、患者についての尿中代謝産物比、すなわち、尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比を使用してHSD1活性を測定する方法に焦点を当てた。一部の実施形態において、代替法を使用してHSD1活性を測定する。
【0093】
一部の実施形態において、HSD1活性は、血液、例えば、血漿中の、又は脳脊髄液中の質量標識コルチゾールとコルチゾンとの比を使用して測定する。一部の実施形態において、肝臓及び門脈中のCSレベルを測定する、Basuにより開示される方法が利用される。全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれるBasu, et al. (2009) Diabetes 58: 39-45参照。一部の実施形態において、HSD1活性は、頸部質量標識コルチゾール:コルチゾン比により測定する。一部の実施形態において、HSD1基質[9,12,12-2H3]コルチゾン(D3コルチゾン)及びHSD1産物[9,12,12-2H3]コルチゾール(D3コルチゾール)の前駆体として[9,11,12,12-2H4]コルチゾール(D4コルチゾール)を使用してHSD1阻害を特徴付けする。全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれるKatz, et al. (2013) Transl. Psychiatry 3(8):e295参照。
【0094】
一部の実施形態において、HSD1活性は、血液、例えば、血漿中の、又は脳脊髄液中のコルチコステロイド医薬の活性及び不活性形態の比を使用して測定する。一部の実施形態において、HSD1産物プレドニゾロンの前駆体としてプレドニゾンを使用してHSD1阻害を特徴付けする。
【0095】
一部の実施形態において、HSD1活性は、脂肪生検においてHSD1基質のHSD1産物への変換により測定する。一部の実施形態において、HSD1基質は、質量標識コルチゾンであり、HSD1産物は、質量標識コルチゾールである。一部の実施形態において、HSD1基質は、[9,12,12-2H3]コルチゾン(D3コルチゾン)であり、HSD1産物は、[9,12,12-2H3]コルチゾール(D3コルチゾール)である。一部の実施形態において、HSD1基質は、11-ケトコルチコステロイドであり、HSD1産物は、11-ヒドロキシコルチコステロイドである。一部の実施形態において、HSD1基質は、プレドニゾンであり、HSD1産物は、プレドニゾロンである。
【0096】
一部の実施形態において、HSD1活性でも又は阻害でもなくHSD1占有率を測定する。したがって、コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法であって、
患者についてのHSD1阻害剤による標的HSD1占有率を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与がHSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率を標的閾値未満のレベルにおいて維持するために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0097】
コルチコステロイドが必要とされる患者へのコルチコステロイド投与に伴う副作用を低減させ、又は予防する方法であって、
患者についてのHSD1阻害剤による標的HSD1占有率を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与がHSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率を標的閾値未満のレベルにおいて維持するために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0098】
コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法であって、
患者についてのHSD1阻害剤による標的HSD1占有率を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与がHSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率を標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0099】
コルチコステロイドが必要とされる患者へのコルチコステロイド投与に伴う副作用を低減させ、又は予防する方法であって、
患者についてのHSD1阻害剤による標的HSD1占有率を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;
HSD1阻害剤を、投与がHSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率を標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する方法も提供される。
【0100】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率は、21日以内に標的閾値未満のレベルに低減される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率は、14日以内に標的閾値未満のレベルに低減される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率は、2~11日以内に標的閾値未満のレベルに低減される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率は、5~7日以内に標的閾値未満のレベルに低減される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率は、7日以内に標的閾値未満のレベルに低減される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率は、3~4日以内に標的閾値未満のレベルに低減される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率は、4日以内に標的閾値未満のレベルに低減される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率は、3日以内に標的閾値未満のレベルに低減される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率は、2日以内に標的閾値未満のレベルに低減される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤による患者の標的HSD1占有率は、1日以内に標的閾値未満のレベルに低減される。
【0101】
一部の実施形態において、標的HSD1占有率は、80%である。一部の実施形態において、標的HSD1占有率は、90%である。一部の実施形態において、HSD1占有率は、脳について決定する。一部の実施形態において、HSD1占有率は、脂肪組織について決定する。一部の実施形態において、HSD1占有率は、肝臓について決定する。一部の実施形態において、HSD1占有率は、2つ以上の組織について決定する。一部の実施形態において、HSD1占有率は、イメージング法を使用して決定する。一部の実施形態において、イメージング法は、トレーサーとしての放射標識HSD1リガンドの投与後の陽電子放出断層撮影(「PET」)である。一部の実施形態において、HSD1リガンドは、[11C]AS2471907(3-(2-クロロフェニル)-4-(メチル-11C)-5-[2-[2,4,6-トリフルオロフェノキシ]プロパン-2-イル]-4H-1,2,4-トリアゾール)である。一部の実施形態において、イメージング法は、Gallezot, J.-D. J Nucl. Med. 2019, jnumed-118に開示の方法と同様である。一部の実施形態において、脂肪組織中のHSD1占有率は、脂肪組織の生検から決定する。
【0102】
医薬製品
HSD1阻害剤及びコルチコステロイドを含む医薬製品であって、コルチコステロイドは、プレドニゾンでなく;HSD1阻害剤は、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド若しくは薬学的に許容可能なその塩(化合物A)又はN-[5-(アミノカルボニル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デク-2-イル]-α,α-ジメチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-1-ピペラジンアセトアミド(化合物B)である医薬製品も提供される。
【0103】
一部の実施形態において、医薬製品は、静脈内又は筋肉内投与のためのものである。
【0104】
一部の実施形態において、医薬製品は、経口投与のためのものである。
【0105】
一部の実施形態において、医薬製品は、HSD1阻害剤及びコルチコステロイドが同時配合された組み合わせ製剤を含む。
【0106】
一部の実施形態において、組み合わせ製剤は、2つ以上の層を有する錠剤であり、HSD1阻害剤及びコルチコステロイドのそれぞれは、異なる層中に存在し、場合によりバリア層により離隔されている。
【0107】
一部の実施形態において、組み合わせ製剤は、コア-シェル構成を有する錠剤であり、コアは、HSD1阻害剤を含み、シェルは、コルチコステロイドを含み、コア及びシェルは、場合によりバリア層により離隔されている。
【0108】
一部の実施形態において、組み合わせ製剤は、コア-シェル構成を有する錠剤であり、コアは、コルチコステロイドを含み、シェルは、HSD1阻害剤を含み、コア及びシェルは、場合によりバリア層により離隔されている。
【0109】
一部の実施形態において、組み合わせ製剤は、HSD1阻害剤及びコルチコステロイドを含有するカプセル剤である。
【0110】
一部の実施形態において、組み合わせ製剤は、HSD1阻害剤を含むミニ錠及びコルチコステロイドを含むミニ錠の組み合わせである。
【0111】
一部の実施形態において、医薬製品は、HSD1阻害剤及びコルチコステロイドが、同時パッケージングされた組み合わせ製剤を含む。
【0112】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、経口投与のために配合され、コルチコステロイドは、筋肉内投与のために投与される。
【0113】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、化合物Aであり、経口投与のために配合される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、化合物Bであり、経口投与のために配合される。
【0114】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、経口錠剤として配合される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、経口錠剤として配合され、HSD1阻害剤の投与量は、0.1、0.2、0.4、0.7、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5及び6.0mgから選択される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、化合物Aを有する経口錠剤として配合される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤は、化合物Bを有する経口錠剤として配合される。
【0115】
一部の実施形態において、医薬製品は、ツインパックを含む。
【0116】
一部の実施形態において、医薬製品は、HSD1阻害剤を含む第1の部分及びコルチコステロイドを含む第2の部分を含むキットを含む。一部の実施形態において、医薬製品は、負荷用量におけるHSD1阻害剤の剤形及び維持用量におけるHSD1阻害剤の1つ以上の剤形並びにコルチコステロイドの1つ以上の剤形を含むキットを含む。
【0117】
一部の実施形態において、医薬製品は、以下を含む:(1)初日に投与すべき、ある量のコルチコステロイドを含む6つの剤形と一緒のHSD1阻害剤の負荷用量;(2)2日目に投与すべき、コルチコステロイドを含む5つの剤形と一緒のHSD1阻害剤の維持用量;(3)3日目に投与すべき、コルチコステロイドを含む4つの剤形と一緒のHSD1阻害剤の維持用量;(4)4日目に投与すべき、コルチコステロイドを含む3つの剤形と一緒のHSD1阻害剤の維持用量;(5)5日目に投与すべき、コルチコステロイドを含む2つの剤形と一緒のHSD1阻害剤の維持用量;及び(6)6日目に投与すべき、コルチコステロイドを含む1つの剤形と一緒のHSD1阻害剤の維持用量。
【0118】
一部の実施形態において、HSD1阻害剤の負荷用量は、6つの分割用量として投与され、分割用量の1つは、コルチコステロイドを含む剤形のそれぞれと投与される。一部の実施形態において、分割用量は、コルチコステロイドを含む剤形と同時配合される。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の維持用量は、分割用量として、コルチコステロイドを含む剤形と同時配合された分割用量のそれぞれと投与される。例えば、3日目、HSD1阻害剤の維持用量を4つの分割用量に分け、分割用量のそれぞれをコルチコステロイドの剤形と投与する。一部の実施形態において、HSD1阻害剤の分割維持用量は、コルチコステロイドと同時配合される。
【0119】
一部の実施形態において、医薬製品は、1つ以上の賦形剤をさらに含む。慣用の賦形剤、例えば、結合剤、増量剤、許容可能な湿潤剤、打錠滑沢剤、及び崩壊剤を、経口投与のための錠剤及びカプセル剤において使用することができる。
【0120】
経口投与のための組成物は、液剤、乳濁液剤、水性又は油性懸濁液剤、及びシロップ剤の形態であり得る。或いは、経口投与のための組成物は、使用前に水又は別の好適な液体ビヒクルにより再構成することができる乾燥粉末の形態であり得る。追加の添加剤、例えば、懸濁化剤又は乳化剤、非水性ビヒクル(例として、食用油)、保存剤、並びに香料及び着色剤を添加することができる。静脈内又は筋肉内投与のための組成物は、好適な液体ビヒクル中で化合物を溶解させ、溶液をフィルター滅菌してから適切なバイアル又はアンプルを充填及び密封することにより調製することができる。これらは、経口、静脈内又は筋肉内投与のための組成物を調製する、当技術分野において周知の多くの適切な方法のいくつかの例にすぎない。
【0121】
本開示の実施形態の例は、以下の実施例に提供される。以下の実施例は、説明としてのみ及び本開示の使用において当業者を補助するために提示される。実施例は、決して特に本開示の範囲を限定するものではない。
【実施例0122】
実施例
実施例1:化合物Aによる肝阻害
少なくとも10時間の絶食後、健常成人の多様な人種の男性及び女性対象に、化合物A(ASP3662)又は化合物Aについてのプラセボを240mLの室温の水と投与した。対象は、いかなる食料及び飲料(水は、所望により試験薬投与の1時間前及び1時間後を除き許容された)についても試験薬投与4時間後まで絶食を継続した。コルチゾール、コルチゾン、テトラヒドロコルチゾール(5α,5β)及びテトラヒドロコルチゾンの測定のため、尿試料を回収した。尿中に排泄されたそれぞれの実体の累積量を、それぞれの対象についてゼロ時間~投薬後24時間まで(Ae24)、投薬後24時間~投薬後48時間まで(Ae48)、及びAelastまで計算した。データを
図1に提示する。
【0123】
5α-テトラヒドロコルチゾール+5β-テトラヒドロコルチゾールと尿中テトラヒドロコルチゾンとの比を、HSD-1活性の指標として使用した。化合物Aは、5α-テトラヒドロコルチゾール+5β-テトラヒドロコルチゾールと尿中テトラヒドロコルチゾンとの比を、プラセボと比較して増加用量で低減させ、6mgにおいておよそ80%の阻害をもたらした。6mgを上回る用量の増加は、阻害のレベルを実質的に増加させなかった。
【0124】
健常成人日本人男性及び女性対象に、標準的な朝食後に化合物A又は化合物Aについてのプラセボを毎日投与した。単回用量を1日目に投与し、次いで5日目~18日目まで1日用量を投与した。尿試料を、1日目及び18日目に24時間回収した。10mg、20mg及び50mgの化合物Aの用量は、1及び18日目の両方でHSD-1活性を有意に減少させ、平均比はおよそ0.1~0.2であった。
【0125】
【0126】
健常成人非日本人男性及び女性対象に、標準的朝食後に化合物A又は化合物Aについてのプラセボを投与した。単回用量を1日目に投与し、次いで5日目~18日目まで1日用量を投与した。尿試料を、1日目及び18日目に24時間回収した。20mg及び50mgの化合物Aの用量は、1及び18日目の両方でHSD-1活性を有意に減少させ、平均比はおよそ0.1であった。
【0127】
【0128】
全体的に良好な健常状態の高齢非日本人男性及び女性対象に、標準的朝食後に化合物A又は化合物Aについてのプラセボを投与した。単回用量を1日目に投与し、次いで5日目~18日目まで1日用量を投与した。尿試料を、1日目及び18日目に24時間回収した。20mgの化合物Aの用量は、1及び18日目の両方でHSD-1活性を有意に減少させ、平均比はおよそ0.1であった。
【0129】
【0130】
健常成人非日本人男性及び女性対象に、標準的朝食後に化合物Aを投与した。単回用量を1日目に投与し、次いで7日目~20日目まで(2mg及び0.7mgコホート、
図2)又は2日目~14日目まで(0.4及び0.2mgコホート、
図3)1日用量を投与した。尿試料を複数日に回収した。化合物Aは、HSD-1活性を有意に減少させた。
【0131】
実施例2:化合物Aについての母集団薬物動態モデル
2つの化合物A臨床試験からのデータに基づき、20mgの最大用量を使用して母集団薬物動態モデル(
図4)を開発した。化合物Aの薬物動態を記載するために選択されたモデルは、4コンパートメント移行吸収、中央コンパートメントからの飽和結合、及び一次排泄を有する2コンパートメント消長モデルであった。個体間変動は、クリアランス(CL)、分布容積(V2)、吸収速度定数(kA)、二次会合定数(Kon)、一次解離定数(Koff)、及び飽和結合受容体の総数(R)に対して実行された。このモデルは、十分な適合度及び許容可能な相対標準誤差を有した。
【0132】
CL、kA、R、Kon、及びKoffは、上記に定義される。BAVは、相対バイオアベイラビリティであり、kTRは、移行速度定数(kAに等しい)であり、k23及びk32は、中央及び末梢コンパートメント間の移行速度定数である。
【0133】
探索的共変量分析において、年齢は、BAVに対する統計的に有意な影響を有することが見出された。共変量効果は、中程度であった(36歳対象と比較して88歳対象においてBAVの25%の増加)。体重も、アロメトリックスケーリングを介して化合物Aパラメータに対する影響を有した。
【0134】
【0135】
飽和結合受容体の推定総数は、1.347mgの化合物Aに対応する。
【0136】
実施例3:化合物Aによる脳占有率
化合物Aの単回用量投与後のHSD-1占有率のレベル及び経時変化を、陽電子放射断層撮影(PET)により健常男性対象において評価した。それぞれのPETスキャンのため、[11C]AS2471907を静脈内注入ポンプにより投与し、次いで120分まで動的PETデータ取得を行った。ほとんどの対象は、2回のPETスキャンを受けた。酵素占有率は、特異的結合を有する参照領域を想定しない占有率プロットを使用して決定した。
【0137】
30及び6mgの化合物Aの単回用量は、化合物A投与の2.62~46.75時間後の範囲のスキャン時間において>96%の関心領域サイズ重み付き平均(region of interest size weighted average)(ROIswa)HSD-1占有率を伴った。3mgの化合物Aの単回用量は、化合物A投与の3.25時間後において約90%、19.2~25.43時間後において約86%、42.19~46.24時間後において約60~80%、138.67~139.36時間後において約40%、及び189.15時間後において26%のHSD-1占有率を伴った。対照的に、酵素占有率は、単回2及び1mgの化合物A投与後に検出されなかった。
【0138】
【0139】
実施例4:化合物AによるシミュレートHSD-1阻害
脳酵素占有率のシミュレーションを、初回用量及び維持用量の両方を含む化合物Aについてのいくつかの投薬スケジュールについて実施した。
【0140】
化合物A血漿濃度と、脳中の関心領域サイズ重み付き平均(ROIswa)HSD-1占有率との関係は、直接シグモイドEmaxモデルにより最良に記載された(
図5)。
【0141】
【0142】
実施例1の母集団薬物動態モデルを使用してSPI-62の単回及び複数回投与後の脳HSD-1占有率をシミュレートした。結果を
図6(3mgの初回用量、次いで(a)1mg QD;(b)0.1mg QD)、
図7(4mgの初回用量、次いで(a)1mg QD;(b)0.1mg QD)、及び
図8(3×1mgの初回用量、次いで0.1mg QD)に示す。
【0143】
実施例5:糖尿病患者における中央代謝に対する化合物Aの効果
有痛性糖尿病性末梢神経障害を有する成人を、6週間のSPI-62、SPI-62についてのプラセボ、又はプレガバリン(陽性対照)による処理に無作為化した。150人の対象が処理を完了した後の試験結果の中間レビューは、鎮痛はプラセボ群と比較して化合物Aについてあまり良好でないことを示した。試験を終了させた。血糖管理、血中脂質、血圧、及び体重のパラメータに対する記述分析を実施した。プラセボと比較した化合物Aについての好ましい数値傾向は、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、血漿グルコース、尿中グルコース、コレステロール、及びトリグリセリドに対して観察されたが、収縮期血圧に対しても又は拡張期血圧に対しても又は体重に対しても観察されなかった。これは探索的分析であったため、統計的仮説検定は実施しなかった。結果は、血糖管理及び血中脂質に対する化合物Aのより大きい効果量が、そのようなパラメータがコルチコステロイド医薬により直接影響を受ける場合に観察され得ることを示唆する。結果は、血圧及び体重に対する化合物Aの効果の可能性を、そのようなパラメータがコルチコステロイド医薬により直接、又はより長期間の治療法の間に影響を受ける場合、除外しない。
【0144】
【0145】
実施例6:化合物Aによるコルチコステロイド有害効果の遮断
不安挙動である尾かじりの増加を、マグネシウム欠損マウスにおいてN-メチル-D-アスパラギン酸及びコルチコステロン(CS)の投与により誘導した。尾かじりは、CSの同時投与なしではN-メチル-D-アスパラギン酸により誘導されなかった(
図9(a))。0.3~3mg/kgのSPI-62の単回用量は、尾かじり挙動のCS依存性増加を完全に好転させた(
図9(d)~(f))。
【0146】
マウスは、典型的には、短期記憶を示すとみなされる挙動であるY迷路の新規アームの探索を好む。コルチコステロン(CS)はマウスがY迷路の新規アームに入る回数の割合を減少させ、したがって負の認知効果を有するとみなされる。0.3~3mg/kgの化合物Aの単回用量(
図10(d)~(f))は、より正常な挙動パターンを回復させた。
【0147】
実施例7:臨床実務における用量シナリオ
長期コルチコステロイド処方が適応される患者において、HSD-1阻害剤投与の有限の日数内に完全なHSD-1阻害を達成することが望ましい。例えば、0.4、0.7、及び2mgの化合物Aの用量レベルは、9~11、5~6、及び2回の投与後に完全なHSD-1阻害を達成することが観察された。同様に、1mgの化合物Aの用量レベルは、3~4回の投与後に完全なHSD-1阻害を達成することを予測することができる。このような患者には、最も一般には経口コルチコステロイドが処方されるが、全身コルチコステロイド曝露をもたらす他の投与経路、例えば、吸入、鼻腔内、局所、又は筋肉内経路によるコルチコステロイド医薬も処方することもできる。
【0148】
亜慢性コルチコステロイド処方が適応される患者において、最初のコルチコステロイド用量と同時に完全なHSD-1阻害を達成することが望ましい。例えば、4mg超の化合物A(例えば、6mg)の初回用量、次いで0.1mg超の化合物A(例えば、0.2~2mg)の1日用量を選択することができる。
【0149】
規定の6日間コルチコステロイド処方が適応される患者において、患者は、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、及び6日目に6、5、4、3、2、及び1つの等価のコルチコステロイド剤形を服薬するように指示され、治療の過程全体にわたる完全なHSD-1阻害は、コルチコステロイドとHSD-1阻害剤のある量(N)との固定用量組み合わせにより達成することができ、6Nは、最初のコルチコステロイド用量と同時に完全なHSD-1阻害を達成するために十分である。例えば、6つの剤形中の化合物Aの量が4mg超(例えば、0.7~1mg)であるような固定用量組み合わせを選択することができる。
【0150】
短期コルチコステロイド処方が適応される患者において、コルチコステロイド用量と同時に完全なHSD-1阻害を達成し、コルチコステロイド用量の実質的な薬理学的効果の継続期間にわたり実質的なHSD-1阻害を維持することが望ましい。このような患者は、最も一般には筋肉内、病巣内、又は静脈内コルチコステロイドが処方される。例えば、40~240mgのメチルプレドニゾロンの筋肉内用量又は20~160mgのメチルプレドニゾロンの病巣内用量は、少なくとも5~10日間、実質的な薬理学的効果を有することが予測され得る。4mg超の化合物A(例えば、6mg)の単回経口用量は、完全なHSD-1阻害を急速に達成し、実質的なHSD-1阻害を少なくとも5~10日間維持することが予測され得る。
【0151】
実施例8:1mgの化合物Aを有する錠剤のための投与量配合
以下の表は、1mgの化合物Aのための錠剤投与量を提供する。
【0152】
【0153】
上記の種々の実施形態を組み合わせてさらなる実施形態を提供することができる。本明細書に言及され、及び/又は出願データシートに列記される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物の全ては、参照により全体として本明細書に組み込まれる。種々の特許、出願及び刊行物の概念を用いていっそうさらなる実施形態を提供することが必要な場合、実施形態の態様を改変することができる。
【0154】
これらの及び他の変更は、上記詳述の詳細な説明に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書及び特許請求の範囲に開示される具体的な実施形態に限定するものと解釈すべきでなく、そのような特許請求の範囲が権利を付与される均等物の全範囲とともに全ての考えられる実施形態を含むと解釈すべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示により限定されない。
コルチコステロイドが必要とされる患者にコルチコステロイドを投与する方法における使用のための、4-{5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェノキシ)-1-メチルエチル]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-3-フルオロベンズアミド若しくは薬学的に許容可能なその塩(化合物A)であるHSD1阻害剤を含む組成物であって、
前記方法は、
前記患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比について、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6又は約0.66の標的閾値を決定すること;及び
コルチコステロイドを投与されている患者にHSD1阻害剤を投与すること
を含み、
前記コルチコステロイドは、アルクロメタゾン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロン、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルチカゾン、フルプレドニデン、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルバート、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、ウロベタゾール、それらの組み合わせ、薬学的に許容可能なそれらの塩、及びそれらのエステルから選択され;
前記HSD1阻害剤を、投与が尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの前記患者の尿中比を前記標的閾値未満のレベルにおいて維持するために有効であるように第1の用量において第1の期間投与する、組成物。
前記投与は、1日以内又は2~7日以内に尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの前記患者の尿中比を前記標的閾値未満のレベルにおいて低減させるために有効である、請求項1に記載の使用のための組成物。
前記HSD1阻害剤の前記第2の用量を投与する前、前記患者についての尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの比を測定すること、及び
尿中(テトラヒドロコルチゾール+アロテトラヒドロコルチゾール)と尿中テトラヒドロコルチゾンとの前記患者の比を前記標的閾値未満のレベルにおいて低減させる又は維持するようにHSD1阻害剤の前記用量を調整することをさらに含む、請求項4に記載の使用のための組成物。