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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009902
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】芳香族下層
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20240116BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20240116BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20240116BHJP
   C09D 165/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
C08G61/12
C08L65/00
C09D5/00 D
C09D165/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023174713
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2021157012の分割
【原出願日】2019-08-01
(31)【優先権主張番号】62/719,376
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェン・リュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エフ・キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】シンタロウ ヤマダ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体製造において下層として使用するための材料であって、比較的低い温度で硬化し、一般的な処理溶媒への良好な溶解性を有し、金属触媒、ホウ素、ハロゲンおよび/またはリン汚染の難点がない下層材料を提供する。
【解決手段】2つの2-ナフトール部分を有するモノマーから形成される硬化性ホモポリマーは、半導体製造方法において下層として有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーおよび有機溶媒を含む、コーティング組成物であって、前記ポリマーが式(1’):
【化1】
(式中、Zは、-O-(C5-60-アリーレン-O-)m2であり;Rは、H、C1-20-アルキル、C5-30-アリールおよびC2-20-不飽和脂肪族部分から選択され;各Rおよび各Rは、独立に、H、OR、C1-30-ヒドロカルビル、置換C1-30-ヒドロカルビル、-C(=O)-O-R、SR、S(=O)R、S(=O)R、N(R)(R)およびN(R)C(=O)Rから選択され;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルまたはC5-30-アリールであり;Rは、HまたはRであり;RおよびRは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;a1およびa2の各々は、0~5であり;m2=1であり;およびn=2~1000である)
の繰り返し単位を含む、コーティング組成物。
【請求項2】
前記式(1’)の繰り返し単位が式:
【化2】
および
【化3】
から選択される、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
硬化剤および/または表面均展剤をさらに含む、請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電子デバイスを製造する分野に関し、より具体的には、半導体製造において下層として使用するための材料の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
レジストパターンが非常に高い(高アスペクト比である)場合、使用される現像剤からの表面張力のためにレジストパターンが潰れることがあり得ることは、リソグラフィ方法において公知である。高アスペクト比が望ましい場合にパターン潰れのこの問題に対処することができる多層レジスト方法(例えば3および4層方法)が考案された。このような多層方法は、レジスト上層、1つ以上の中心層および底層(または下層)を使用する。このような多層レジスト方法において、典型的な方法でフォトレジスト上層を画像形成して現像し、レジストパターンを提供する。次に、パターンを典型的にエッチングによって1つ以上の中心層に転写する。異なるプラズマエッチなどの異なるエッチ方法を使用するように各中心層が選択される。最後に、パターンを典型的にエッチングによって下層に転写する。このような中心層は、様々な材料から構成され得るが、下層材料は、典型的に高炭素含有量材料から構成される。下層材料は、所望の反射防止性質、平坦化性質およびエッチ選択率を提供するように選択される。
【0003】
下層の現状の技術には、化学蒸着(CVD)炭素および溶液処理高炭素含有量ポリマーが含まれる。CVD材料は、高い所有コスト、基板上の表面形態の上に平坦化層を形成できないこと、パターン整列のために使用される633nmでの高い吸光度などのいくつかの著しい制限条件を有する。これらの理由のため、産業は、下層として溶液処理高炭素含有量材料を提案している。理想的な下層は、以下の性質を満たす必要がある:スピンコーティング方法によって基板上に流延できること、加熱したときに低いガス発生および昇華で熱硬化(硬化)できること、良好な装置互換性のために一般的な処理溶媒に可溶性であること、現在使用されるシリコンハードマスクおよび裏面反射防止膜(BARC)層と共に作用して、フォトレジストの画像形成のために必要な低い反射能を与える適切なnおよびk値を有すること、後続のCVDプロセス中に損傷されないように>400℃まで熱的に安定していること、例えばオキシ窒化シリコン(SiON)、窒化シリコン酸化シリコン等。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S.Amou et al.“Synthesis of Regiocontrolled Polymer Having 2-Naphthol Unit by CuCl-amine Catalyzed Oxidative Coupling Polymerization,”Journal of Polymer Science:Part A:polymer Chemistry,Vol.37,pp 3702-3709,1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
芳香族構成ブロックは、所望の熱安定性を有する下層材料を提供するために典型的に使用される。しかしながら、高い芳香族炭素含有量を有する下層材料は、一般的な処理溶媒への不十分な溶解性という難点を有する傾向がある。ヒドロキシル基および脂肪族炭素をポリマーに導入する従来のノボラック重合方法を使用して高い芳香族含有量の下層材料を調製する様々な試みがなされている。比較的低い温度で硬化し、一般的な処理溶媒への良好な溶解性を有し、金属触媒、ホウ素、ハロゲンおよび/またはリン汚染の難点がない下層材料が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)電子デバイス基板を提供する工程と、(b)1つ以上の硬化性化合物を含むコーティング組成物の層を電子デバイス基板の表面上にコートする工程であって、1つ以上の硬化性化合物は、式(1)
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、Zは、共有化学結合またはO、C(=O)、S、S(=O)、S(=O)、N(R)、C1-100-ヒドロカルビレン、置換C1-100-ヒドロカルビレン、-O-(C1-20-アルキレン-O-)m1、-O-(C5-60-アリーレン-O-)m2およびC(R)(R)から選択される二価連結基であり;Rは、H、C1-20-アルキル、C5-30-アリールおよびC2-20-不飽和脂肪族部分から選択され;各Rおよび各Rは、独立に、H、OR、C1-30-ヒドロカルビル、置換C1-30-ヒドロカルビル、-C(=O)-O-R、SR、S(=O)R、S(=O)R、N(R)(R)およびN(R)C(=O)Rから選択され;1つのRと、1つのRと、Zとは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルおよびC5-30-アリールから選択され;RおよびRは、それらが結合されている炭素と共に、1つ以上の芳香環に縮合され得、かつ任意選択的に置換されている5または6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルまたはC5-30-アリールであり;Rは、HまたはRであり;RおよびRは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;a1およびa2の各々は、0~5であり;m1およびm2の各々=1~100であり;およびn=2~1000である)
の繰り返し単位を含むポリマーである、工程と、(c)硬化性化合物の層を硬化させて下層を形成する工程と、(d)フォトレジストの層を下層上にコートする工程と、(e)フォトレジスト層を、マスクを通して化学線に露光する工程と、(f)露光されたフォトレジスト層を現像してレジストパターンを形成する工程と、(g)パターンを下層に転写して電子デバイス基板の一部分を露出させる工程とを含む方法を提供する。
【0009】
また、電子デバイス基板であって、電子デバイス基板の表面上に重合単位として1つ以上の硬化性化合物を含むポリマーの層を有する電子デバイス基板を含む電子デバイスであって、1つ以上の硬化性化合物は、式(1)
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、Zは、共有化学結合またはO、C(=O)、S、S(=O)、S(=O)、N(R)、C1-100-ヒドロカルビレン、置換C1-100-ヒドロカルビレン、-O-(C1-20-アルキレン-O-)m1、-O-(C5-60-アリーレン-O-)m2およびC(R)(R)から選択される二価連結基であり;Rは、H、C1-20-アルキル、C5-30-アリールおよびC2-20-不飽和脂肪族部分から選択され;各Rおよび各Rは、独立に、H、OR、C1-30-ヒドロカルビル、置換C1-30-ヒドロカルビル、-C(=O)-O-R、SR、S(=O)R、S(=O)R、N(R)(R)およびN(R)C(=O)Rから選択され;1つのRと、1つのRと、Zとは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルおよびC5-30-アリールから選択され;RおよびRは、それらが結合されている炭素と共に、1つ以上の芳香環に縮合され得、かつ任意選択的に置換されている5または6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルまたはC5-30-アリールであり;Rは、HまたはRであり;RおよびRは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;a1およびa2の各々は、0~5であり;m1およびm2の各々=1~100であり;およびn=2~1000である)
の繰り返し単位を含むポリマーである、電子デバイスが本発明によって提供される。
【0012】
本発明は、式(1)
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、Zは、共有化学結合またはO、C(=O)、S、S(=O)、S(=O)、N(R)、C1-100-ヒドロカルビレン、置換C1-100-ヒドロカルビレン、-O-(C1-20-アルキレン-O-)m1、-O-(C5-60-アリーレン-O-)m2およびC(R)(R)から選択される二価連結基であり;Rは、H、C1-20-アルキル、C5-30-アリールおよびC2-20-不飽和脂肪族部分から選択され;各Rおよび各Rは、独立に、H、OR、C1-30-ヒドロカルビル、置換C1-30-ヒドロカルビル、-C(=O)-O-R、SR、S(=O)R、S(=O)R、N(R)(R)およびN(R)C(=O)Rから選択され;1つのRと、1つのRと、Zとは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルおよびC5-30-アリールから選択され;RおよびRは、それらが結合されている炭素と共に、1つ以上の芳香環に縮合され得、かつ任意選択的に置換されている5または6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルまたはC5-30-アリールであり;Rは、HまたはRであり;RおよびRは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;a1およびa2の各々は、0~5であり;m1およびm2の各々=1~100であり;およびn=2~1000である)
の繰り返し単位を含むポリマーをさらに提供する。
【0015】
また、間隙(またはアパーチャー)を充填するための方法であって、(a)充填される複数の間隙を含むレリーフ画像を基板の表面上に有する半導体基板を提供する工程と、(b)上に記載された1つ以上のポリマーのコーティング層をレリーフ画像の上に適用する工程と、(c)コーティング層を硬化させるために十分な温度でコーティング層を加熱する工程とを含む方法が本発明によって提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
要素が別の要素「上」にあると称されるとき、それが他の要素に直接に隣接し得るか、または介在要素がそれらの間に存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素の「直接上」にあると称されるとき、介在要素は、存在しない。本明細書中で用いられるとき、用語「および/または」は、記載された関連品目の1つ以上の任意のおよび全ての組合せを含む。
【0017】
第1、第2、第3等の用語は、様々な要素、成分、領域、層および/または区域を記述するために本明細書において使用され得るが、これらの要素、成分、領域、層および/または区域は、これらの用語によって限定されるべきでないことも理解されるであろう。これらの用語は、単に1つの要素、成分、領域、層または区域を別の要素、成分、領域、層または区域から区別するために使用される。したがって、以下で論じられる第1の要素、成分、領域、層または区域は、本発明の教示から逸脱せずに第2の要素、成分、領域、層または区域と呼ぶことができる。
【0018】
本明細書にわたって使用されるとき、以下の略語は、文脈が明確に他に指示しない限り、以下の意味を有するものとする:℃=セルシウス度;g=グラム;mg=ミリグラム;L=リットル;mL=ミリリットル;Å=オングストローム;nm=ナノメートル;μm=ミクロン=マイクロメートル;mm=ミリメートル;sec.=秒;min.=分;hr.=時間;DI=脱イオン;およびDa=ダルトン。略語「重量%」は、特に断りがない限り、参照された組成物の全重量に基づく重量パーセントを意味する。特に断りがない限り、全ての量は、重量%であり、全ての比は、モル比である。全ての数値の範囲は、このような数値の範囲が合計100%となるような条件付きであることが明らかである場合を除いて、包含的でありかつ任意の順で組合せ可能である。冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その」は、単数および複数を意味する。
【0019】
「アルキル」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐状および環状アルキルを意味する。「アルケニル」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐状および環状アルケニルを意味する。「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。特に記載しない限り、「アルキル」は、「ヘテロアルキル」を含む。用語「ヘテロアルキル」は、例えば、エーテルまたはチオエーテルにおけるような、基中の1個以上の炭素原子を置換する、窒素、酸素、硫黄、リンなどの1個以上のヘテロ原子を有するアルキル基を意味する。好ましい一実施形態において、「アルキル」は、「ヘテロアルキル」を含まない。任意のアルキルまたはヘテロアルキルについて炭素の数が示されない場合、1~20個の炭素が考えられる。任意のアルケニルまたはアルキニルについて炭素の数が示されない場合、2~20個の炭素が考えられる。「アリール」は、芳香族炭素環および芳香族ヘテロ環を含む。アリール部分が芳香族炭素環であることが好ましい。「置換アリール」は、その水素の1個以上がハロゲン、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキル、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-6-アルコキシ、フェニルおよびフェノキシ、好ましくはハロゲン、C1-6-アルキル、ハロ-C1-4-アルキル、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-4-アルコキシおよびフェニル、より好ましくはハロゲン、C1-6-アルキル、C1-6-アルコキシ、フェニルおよびフェノキシから選択される1個以上の置換基で置換されている任意のアリール部分を意味する。好ましくは、置換アリールは、1~3個の置換基、より好ましくは1または2個の置換基を有する。用語「ヒドロカルビル」および「ヒドロカルビレン」は、飽和および不飽和脂肪族および脂環式部分ならびに芳香族炭化水素部分を意味し、それらの各々は、O、SおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有し得る。好ましい「ヒドロカルビル」部分は、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール部分である。同様に、好ましい「ヒドロカルビレン」部分は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンおよびアリーレンである。用語「任意選択的に置換されたヒドロカルビル」または「任意選択的に置換されたヒドロカルビレン」は、置換および非置換アルキルまたはアルキレン、置換および非置換アルケンまたはアルケニレン、置換および非置換アルキニルまたはアルキニレンならびに置換および非置換アリールまたはアリーレンを意味する。用語「置換ヒドロカルビル」および「置換ヒドロカルビレン」は、その水素の1個以上が1個以上の不活性置換基によって置換されているヒドロカルビルまたはヒドロカルビレン部分を意味する。用語「不活性置換基」とは、本ポリマーを形成するために使用される重合工程中に反応しない任意の置換基を意味する。典型的な不活性置換基は、C1-20-アルコキシ、C5-20-アリール、C1-20-アルキル、C2-20-アルケニル、C2-20-アルキニル、ヒドロキシルおよびハロゲンである。
【0020】
本明細書中で用いられるとき、用語「ポリマー」は、オリゴマーを含む。用語「オリゴマー」は、ダイマー、トライマー、テトラマーおよびさらに硬化させることができる他のポリマー材料を意味する。用語「硬化」とは、本ポリマーの全分子量を増加させるか、または溶解性促進基を本ポリマーから取り除くか、または代わりに全分子量を増加させると共に溶解性促進基を取り除く重合または縮合などの任意のプロセスを意味する。「硬化性」は、特定の条件下で硬化され得る任意の材料を意味する。本明細書中で用いられるとき、「間隙」は、間隙充填組成物が充填されることが意図される半導体基板上の任意のアパーチャーを意味する。
【0021】
電子デバイスの製造において、芳香族下層は、(a)電子デバイス基板を提供する工程と、(b)1つ以上の硬化性化合物を含むコーティング組成物の層を電子デバイス基板の表面上にコートする工程であって、1つ以上の硬化性化合物は、式(1)
【0022】
【化4】
【0023】
(式中、Zは、共有化学結合またはO、C(=O)、S、S(=O)、S(=O)、N(R)、C1-100-ヒドロカルビレン、置換C1-100-ヒドロカルビレン、-O-(C1-20-アルキレン-O-)m1、-O-(C5-60-アリーレン-O-)m2およびC(R)(R)から選択される二価連結基であり;Rは、H、C1-20-アルキル、C5-30-アリールおよびC2-20-不飽和脂肪族部分から選択され;各Rおよび各Rは、独立に、H、OR、C1-30-ヒドロカルビル、置換C1-30-ヒドロカルビル、-C(=O)-O-R、SR、S(=O)R、S(=O)R、N(R)(R)およびN(R)C(=O)Rから選択され;1つのRと、1つのRと、Zとは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルおよびC5-30-アリールから選択され;RおよびRは、それらが結合されている炭素と共に、1つ以上の芳香環に縮合され得、かつ任意選択的に置換されている5または6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルまたはC5-30-アリールであり;Rは、HまたはRであり;RおよびRは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;a1およびa2の各々は、0~5であり;m1およびm2の各々=1~100であり;およびn=2~1000である)
の繰り返し単位を含むポリマーである、工程と、(c)硬化性化合物の層を硬化させて下層を形成する工程と、(d)フォトレジストの層を下層上にコートする工程と、(e)フォトレジスト層を、マスクを通して化学線に露光する工程と、(f)露光されたフォトレジスト層を現像してレジストパターンを形成する工程と、(g)パターンを下層に転写して電子デバイス基板の一部分を露出させる工程とを含む方法によって形成される。次に、基板をパターン化し、パターン化された下層を取り除く。好ましい一実施形態において、フォトレジストの層を下層の直接上にコートする。別の好ましい実施形態において、工程(d)前にシリコン含有組成物、有機反射防止組成物(BARC)およびそれらの組合せの1つ以上の層を下層の直接上にコートし、かつ任意選択的に硬化させて中心層を形成し、次にフォトレジストの層をシリコン含有組成物層、BARC層の1つ以上または各々の層の直接上にコートする。シリコン含有中心層が使用されるとき、工程(f)後かつ工程(g)前にパターンがシリコン含有中心層に転写される。
【0024】
多様な電子デバイス基板、例えばマルチチップモジュール;フラットパネルディスプレイ基板;集積回路基板;有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)のための基板;半導体ウエハー;多結晶シリコン基板等の包装用基板を本発明において使用し得、半導体ウエハーが好ましい。このような基板は、典型的に、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅および金の1つ以上から構成される。適した基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレイ、光集積回路およびLEDの製造において使用されるウエハーのようなウエハーの形態であり得る。本明細書中で用いられるとき、用語「半導体ウエハー」は、シングルチップウエハー、マルチプルチップウエハー、はんだ接続を必要とする様々なレベルのためのパッケージまたは他の組立体など、「半導体基板」、「半導体デバイス」および様々なレベルの相互接続のための様々なパッケージを含むことを意図する。このような基板は、任意の適したサイズであり得る。好ましいウエハー基板の直径は、200mm~300mmであるが、より小さいおよびより大きい直径を有するウエハーが本発明によって好適に使用され得る。本明細書中で用いられるとき、用語「半導体基板」には、半導体デバイスの能動または動作可能部分を任意選択的に含み得る1つ以上の半導体層または構造物を有する任意の基板が含まれる。半導体デバイスは、少なくとも1つのマイクロ電子デバイスが上にバッチ製造されたかまたはされている半導体基板を意味する。
【0025】
任意選択的に、本コーティング組成物の堆積前に接着促進剤の層を基板表面に適用し得、その後、それを硬化させて下層を形成する。接着促進剤が望ましい場合、シラン、好ましくはトリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのオルガノシランまたはガンマ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランカップリング剤など、ポリマーフィルムのための任意の適した接着促進剤を使用し得る。特に適した接着促進剤には、Dow Electronic Materials(Marlborough,Massachusetts)から入手可能である、商品名AP3000、AP8000およびAP9000Sとして販売されている接着促進剤が含まれる。
【0026】
本発明において有用なコーティング組成物は、1つ以上の硬化性化合物を含み、硬化性化合物は、式(1)
【0027】
【化5】
【0028】
(式中、Zは、共有化学結合またはO、C(=O)、S、S(=O)、S(=O)、N(R)、C1-100-ヒドロカルビレン、置換C1-100-ヒドロカルビレン、-O-(C1-20-アルキレン-O-)m1、-O-(C5-60-アリーレン-O-)m2およびC(R)(R)から選択される二価連結基であり;Rは、H、C1-20-アルキル、C5-30-アリールおよびC2-20-不飽和脂肪族部分から選択され;各Rおよび各Rは、独立に、H、OR、C1-30-ヒドロカルビル、置換C1-30-ヒドロカルビル、-C(=O)-O-R、SR、S(=O)R、S(=O)R、N(R)(R)およびN(R)C(=O)Rから選択され;1つのRと、1つのRと、Zとは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルおよびC5-30-アリールから選択され;RおよびRは、それらが結合されている炭素と共に、1つ以上の芳香環に縮合され得、かつ任意選択的に置換されている5または6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルまたはC5-30-アリールであり;Rは、HまたはRであり;RおよびRは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;a1およびa2の各々は、0~5であり;m1およびm2の各々=1~100であり;およびn=2~1000である)
の繰り返し単位を含むポリマーである。Zの好ましいC1-100-ヒドロカルビレン部分は、C1-50-アルキレン、C2-50-アルケニレン、C2-50-アルキニレンおよびC5-30-アリーレン、より好ましくはC1-20-アルキレン、C2-20-アルケニレン、C2-20-アルキニレンおよびC5-30-アリーレンである。Zは、共有化学結合またはO、C(=O)、S、S(=O)、S(=O)、N(R)、C1-50-ヒドロカルビレン、-O-(C1-20-アルキレン-O-)m1、-O-(C5-60-アリーレン-O-)m2およびC(R)(R)から選択される二価連結基であり、より好ましくは共有化学結合またはO、C(=O)、S、S(=O)、C1-50-ヒドロカルビレン、-O-(C5-60-アリーレン-O-)m2およびC(R)(R)から選択される二価連結基であり、さらにより好ましくは共有化学結合、O、C(=O)、S、S(=O)、C5-60-アリーレン、-O-(C5-60-アリーレン-O-)m2およびC(R)(R)から選択され、さらにより好ましくは共有化学結合、O、C(=O)、S、C5-60-アリーレン、-O-(C5-60-アリーレン-O-)m2およびC(R)(R)から選択されることが好ましい。Rは、好ましくは、H、C1-20-アルキルおよびC5-30-アリールから選択される。好ましくは、RおよびRの各々は、独立に、H、ORおよびC1-30-ヒドロカルビル、より好ましくは独立にHまたはC1-30-ヒドロカルビル、さらにより好ましくはC10-15-ヒドロカルビルから選択される。さらにより好ましくは、1つのRと、1つのRと、Zとは、それらが結合されている原子と共に5または6員環を形成する。RおよびRの好ましいC1-30-ヒドロカルビル部分は、C1-30-アルキル、C2-30-アルケニル、C2-30-アルキニルおよびC5-30-アリール、より好ましくはC1-20-アルキル、C1-20-アルケニル、C2-20-アルキニルおよびC5-30-アリールである。a1およびa2の各々=0~2であり、より好ましくは0または1であることが好ましい。好ましい実施形態において、a1=a2であり、さらにより好ましくはa1=a2=0または1である。下付き文字n、m1およびm2の各々は、繰り返し単位の数を意味することを当業者は理解するであろう。好ましくは、m1およびm2の各々は、1~50であり、より好ましくは1~25、さらにより好ましくは1~10である。n=2~500、より好ましくは2~100、さらにより好ましくは2~50、さらにより好ましくは2~20であることが好ましい。
【0029】
式(1)の好ましい化合物は、a1およびa2の各々が0または1であり、Z=単一の共有結合、O、フェニレン、ピレニレン、アントラセニレン、フェナントラセニレン、-O-フェニレン-O-、-O-ナフチレン-O-、-C(R)(R)および-O-フェニレン-C(R)(R)-フェニレン-O-である化合物である。Z=-C(R)(R)-であるときの1つの好ましい二価連結基は、以下の式
【0030】
【化6】
【0031】
(式中、*は、式(1)の部分への結合点を意味する)
のフルオレニル部分である。Z=Oであるとき、1つのRと、1つのRとは、共に6員環縮合複素環を形成し、より好ましくは、1つのRと、1つのRとは、共に以下の式
【0032】
【化7】
【0033】
(式中、*は、式(1)の部分への結合点を意味する)
の部分を形成することがさらに好ましい。
【0034】
本発明の硬化性化合物は、典型的に、触媒として塩化銅-アミン錯体を使用して、2-ナフトール部分を有するモノマーの酸化カップリング重合によって調製される。好ましい触媒は、ジ-μ-ヒドロキソ-ビス-[(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロリドである。このような酸化カップリング重合は、典型的に、室温において空気中で行われる。適した酸化カップリング重合は、(非特許文献1)において開示されている。本硬化性ポリマーを調製するために有用な好ましい2-ナフトール部分を有するモノマーは、式(2)
【0035】
【化8】
【0036】
(式中、R、R、Z、a1およびa2は、式(1)について上に記載された通りであり、1位は、非置換である)
の化合物である。式(2)のモノマーを重合させて、式(1)の繰り返し単位を有する硬化性ポリマーを形成する。式(2)のモノマーは、1位において非置換でなければならない。式(2)のモノマーは、式(1)の繰り返し単位において示されるように、2-ナフトール部分の1位において結合(すなわち重合)する。本硬化性ポリマーは、ポリマーの各末端が未反応2-ナフトール部分を終端とする、ホモポリマーである。式(2)の好ましいモノマーは、式(2-1)
【0037】
【化9】
【0038】
(式中、R、R、Z、a1およびa2は、式(1)について上に記載された通りであり、1位は、非置換である)
のモノマーである。式(2-1)の好ましいモノマーは、式(2a)~(2f)のモノマーである。
【0039】
【化10】
【0040】
モノマー(2a)~(2f)を使用して、繰り返し単位(1a)~(1f)をそれぞれ有するポリマー(各場合のnは、重合度または繰り返し単位数(n=2~1000)を意味する)を調製する。
【0041】
【化11】
【0042】
上に記載された1つ以上の硬化性化合物に加えて、本コーティング組成物は、1つ以上の有機溶媒を任意選択的に含み得、好ましくは含む。適した有機溶媒は、1つ以上の硬化性化合物を溶解する任意の有機溶媒であり、好ましくは電子デバイスの製造において慣例的に使用される有機溶媒である。有機溶媒を単独で使用し得るか、または有機溶媒の混合物を使用し得る。適した有機溶媒には、限定されないが、ケトン、例えばシクロヘキサノンおよび2-ヘプタノン;アルコール、例えば3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノールおよび1-エトキシ-2-プロパノール;エーテル、例えばプロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルおよびジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール;エステル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルラクテート(EL)、メチルヒドロキシイソブチレート(HBM)、エチルピルベート、ブチルアセテート、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、tert-ブチルアセテート、tert-ブチルプロピオネートおよびプロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテルアセテート;ラクトン、例えばガンマ-ブチロラクトンおよび前述のものの任意の組合せが含まれる。好ましい溶媒は、PGME、PGEE、PGMEA、EL、HBMおよびそれらの組合せである。
【0043】
本コーティング組成物は、例えば、硬化剤、架橋剤、表面均展剤など、このようなコーティングにおいて典型的に使用される1つ以上のコーティング添加材も含み得る。このような任意選択的な添加剤およびそれらの量の選択は、当業者の能力の十分に範囲内である。硬化剤は、典型的に、全固形分に基づいて0~20重量%、好ましくは0~3重量%の量において存在する。架橋剤は、典型的に、全固形分に基づいて0~30重量%、好ましくは3~10重量%の量において使用される。表面均展剤は、典型的に、全固形分に基づいて0~5重量%、好ましくは0~1重量%の量において使用される。使用されるこのような任意選択的な添加剤およびそれらの量の選択は、当業者の能力の範囲内である。
【0044】
任意選択的に硬化剤をコーティング組成物において使用して、堆積された硬化性化合物の硬化を促進し得る。硬化剤は、基板の表面上で硬化性化合物の硬化を引き起こす任意の成分である。好ましい硬化剤は、酸および熱酸発生剤である。適した酸には、限定されないが、アリールスルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸;アルキルスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびプロパンスルホン酸;ペルフルオロアルキルスルホン酸、例えばトリフルオロメタンスルホン酸およびペルフルオロアリールスルホン酸が含まれる。熱酸発生剤は、熱暴露したときに酸を遊離する任意の化合物である。熱酸発生剤は、当技術分野で公知であり、一般的に例えばKing Industries(Norwalk,Connecticut)から市販されている。典型的な熱酸発生剤には、限定されないが、アミンブロック化強酸、例えばアミンブロック化ドデシルベンゼンスルホン酸などのアミンブロック化スルホン酸が含まれる。特定の光酸発生剤は、加熱したときに酸を遊離することができ、熱酸発生剤として機能し得ることも当業者によって理解されるであろう。
【0045】
任意の適した架橋剤を本組成物において使用し得るが、ただし、このような架橋剤は、例えば、酸性条件下などの適した条件下で本芳香族樹脂反応生成物と反応することができる少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの部分を有するものとする。典型的な架橋剤には、限定されないが、ノボラック樹脂、エポキシ含有化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、イソシアネート含有化合物、ベンゾシクロブテンなど、好ましくはメチロール、C-C10アルコキシメチルおよびC-C10アシルオキシメチルから選択される2つ以上、好ましくは3つ以上、より好ましくは4つの置換基を有する前述の架橋剤のいずれも含まれる。適した架橋剤の例は、式(3)および(4)によって示される架橋剤である。
【0046】
【化12】
【0047】
このような架橋剤は、当技術分野で公知であり、様々な供給元から市販されている。
【0048】
本コーティング組成物は、任意選択的に、1つ以上の表面均展剤(または界面活性剤)を含有し得る。任意の適した界面活性剤が使用され得るが、このような界面活性剤は、典型的に非イオン性である。典型的な非イオン性界面活性剤は、例えば、エチレンエポキシ、プロピレンオキシまたはエチレンエポキシとプロピレンオキシ結合との組合せなど、アルキレンオキシ結合を含有する非イオン性界面活性剤である。
【0049】
本コーティング組成物は、例えば、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレーディング、カーテンコーティング、ローラーコーティング、噴霧コーティング、浸漬コーティング等の任意の適した手段によって電子デバイス基板上にコートされ得る。スピンコーティングが好ましい。典型的なスピンコーティング方法において、本組成物を15~90秒にわたって500~4000rpmの速度で回転している基板に適用して、電子デバイス基板上にコーティング組成物の所望の層を得る。コーティング組成物層の高さは、スピン速度を変化させることによって調節され得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0050】
基板上にコートされた後、コーティング組成物層を任意選択的に比較的低い温度で焼成して、一切の有機溶媒および他の比較的揮発性の成分を層から取り除く。典型的に、基板を80~150℃の温度で焼成するが、他の適した温度を用い得る。焼成時間は、典型的に10秒~10分、好ましくは30秒~5分であるが、より長いまたはより短い時間を用い得る。基板がウエハーであるとき、このような焼成工程は、ウエハーをホットプレート上で加熱することによって行われ得る。溶媒除去後、基板表面上の硬化性化合物の層、フィルムまたはコーティングが得られる。
【0051】
次に、硬化性化合物層を十分に硬化させて芳香族下層を形成し、フィルムが、芳香族下層の直接上にコートされるフォトレジストまたは他の層など、その後に適用されるコーティング層と混ざらないようにする。下層は、空気などの酸素含有雰囲気中または窒素などの不活性雰囲気中、好ましくは酸素含有雰囲気中で硬化され得る。使用される硬化条件は、下層フィルムの所望の反射防止性質(nおよびk値)、エッチ選択率、間隙充填および平坦化を維持したまま、フォトレジスト層などのその後に適用される有機層と混ざらないようにフィルムを硬化させるために十分な硬化条件である。この硬化工程は、好ましくは、ホットプレート型装置上で行われるが、オーブン硬化を使用して均等な結果を得ることができる。典型的に、このような硬化は、≧150℃、好ましくは≧170℃、より好ましくは≧200℃の硬化温度で下層を加熱することによって行われる。選択される硬化温度は、芳香族下層を硬化させるために十分であり得る。芳香族下層を硬化させるための適した温度範囲は、150~400℃、好ましくは170~350℃、より好ましくは200~250℃である。このような硬化工程は、10秒~10分、好ましくは1~3分、より好ましくは1~2分かかり得るが、他の適した時間を用い得る。
【0052】
溶媒の急速な放出および副生成物の硬化が下層フィルムの品質を損なうことがないように硬化工程が行われる場合、初期焼成工程が必要でない場合がある。例えば、比較的低い温度で始まり、次に≧200℃の温度まで徐々に上昇する傾斜焼成は、許容範囲の結果をもたらすことができる。第1の段階は、150℃未満の低い側の焼成温度であり、第2の段階は、≧200℃の高い側の焼成温度である、二段階硬化プロセスを有することがいくつかの場合に好ましいことがあり得る。二段階硬化プロセスは、既存の基板表面の表面形態の均一な充填および平坦化、例えば溝およびバイアの充填を促進する。
【0053】
下層の硬化後、例えばフォトレジスト、シリコン含有層、ハードマスク層、裏面反射防止コーティング(またはBARC)層等の1つ以上の処理層が硬化下層上にコートされ得る。例えば、フォトレジストは、スピンコーティングなどにより、シリコン含有層または樹脂下層の直接上にある他の中心層の表面の直接上にコートされ得、または代わりに、フォトレジストは、硬化下層の直接上にコートされ得る。多様なフォトレジスト、例えば193nmリソグラフィにおいて使用されるフォトレジスト、例えばDow Electronic Materials(Marlborough,Massachusetts)から入手可能なEpic(商標)ブランドとして販売されているフォトレジストを好適に使用することができる。適したフォトレジストは、ポジティブトーン現像またはネガティブトーン現像レジストのいずれでもあり得る。コーティング後、次にパターン化化学線を使用してフォトレジスト層を画像形成(露光)し、次に適切な現像剤を使用して、露光されたフォトレジスト層を現像してパターン化フォトレジスト層をもたらす。次に、適切なエッチング技術によってパターンをフォトレジスト層から下層に転写する。典型的に、このようなエッチング工程中にフォトレジストも取り除く。次に、当技術分野で公知の適切なエッチング技術により、例えばプラズマエッチングによりパターンを基板に転写し、下層を取り除く。基板のパターン化後、従来の技術を使用して下層を取り除く。次に、従来の手段に従って電子デバイス基板を処理する。
【0054】
硬化下層は、多層レジスト方法の底層として使用され得る。このような方法において、上に記載されたようにコーティング組成物の層を基板上にコートし、硬化させる。次に、1つ以上の中心層を芳香族下層上にコートする。例えば、シリコン含有層またはハードマスク層を芳香族下層の直接上にコートする。シリコン-BARCなどの典型的なシリコン含有層は、下層上にスピンコートする工程と、その後、硬化させる工程とによって堆積され得、またはSiON、SiNもしくはSiOなどの無機シリコン層は、化学蒸着(CVD)によって下層上に堆積され得る。任意の適したハードマスクが使用され得、任意の適した技術によって下層上に堆積され、必要に応じて硬化され得る。任意選択的に、有機BARC層をシリコン含有層またはハードマスク層の直接上に堆積させ、適切に硬化させ得る。次に、193nmリソグラフィにおいて使用されるフォトレジストなどのフォトレジストを(3層方法において)シリコン含有層の直接上にコートするか、または(4層方法において)有機BARC層の直接上にコートする。次に、パターン化化学線を使用してフォトレジスト層を画像形成(露光)し、次に適切な現像剤を使用して、露光されたフォトレジスト層を現像してパターン化フォトレジスト層をもたらす。次に、プラズマエッチングなどの当技術分野で公知の適切なエッチング技術により、パターンをフォトレジスト層からその直下の層に転写し、3層方法においてパターン化シリコン含有層をもたらし、4層方法においてパターン化有機BARC層をもたらす。4層方法が使用される場合、プラズマエッチングなどの適切なパターン転写技術を使用してパターンを有機BARC層からシリコン含有層またはハードマスク層に転写する。シリコン含有層またはハードマスク層がパターン化された後、次にOまたはCFプラズマなどの適切なエッチング技術を使用して芳香族下層をパターン化する。芳香族下層のエッチング中に一切の残りのパターン化フォトレジストおよび有機BARC層を取り除く。次に、例えば適切なエッチング技術により、パターンを基板に転写し、また一切の残りのシリコン含有層またはハードマスク層を取り除き、その後、一切の残りのパターン化芳香族下層を取り除いてパターン化基板をもたらす。
【0055】
本発明の硬化下層は、自己整列二重パターン化方法でも使用され得る。このような方法において、例えばスピンコーティングによって本コーティング組成物の層を基板上にコートする。一切の残りの有機溶媒を取り除き、コーティング組成物層を硬化させて、硬化下層を形成する。シリコン含有層などの適した中心層を硬化下層上にコートする。次に、例えばスピンコーティングにより、適したフォトレジストの層を中心層上にコートする。次に、パターン化化学線を使用してフォトレジスト層を画像形成(露光)し、次に適切な現像剤を使用して、露光されたフォトレジスト層を現像してパターン化フォトレジスト層をもたらす。次に、適切なエッチング技術によってパターンをフォトレジスト層から中心層および硬化下層に転写して、基板の一部分を露出させる。典型的に、このようなエッチング工程中にフォトレジストも取り除かれる。次に、シリコン含有コンフォーマル層を、パターン化された硬化下層上に配置し、基板の一部分を露出させる。このようなシリコン含有層は、典型的に、慣例的にCVDによって堆積されるSiON、SiNまたはSiOなどの無機シリコン層である。このようなコンフォーマルコーティングは、基板表面の露出部分の上および下層のパターンの上にシリコン含有層をもたらし、すなわち、このようなシリコン含有層は、パターン化された下層の側面および上部を実質的に覆う。次に、シリコン含有層を部分的にエッチ(バリ取り)して、パターン化されたポリアリーレン樹脂下層の上部表面と基板の一部分とを露出させる。この部分エッチング工程後、基板上のパターンは、複数の特徴を含み、各々の特徴は、硬化下層の線または柱を含み、シリコン含有層は、硬化下層の各々の特徴の側面に直接に隣接している。次に、硬化下層をエッチングなどによって取り除き、硬化下層のパターンの下にあった基板表面を露出させ、基板表面上にパターン化シリコン含有層を提供し、そこで、このようなパターン化シリコン含有層は、パターン化硬化下層と比べて2倍になる(すなわち線および/または柱が2倍になる)。
【0056】
本発明のコーティング組成物は、集積回路の製造において平坦化層、間隙充填層および保護層を形成するのにも有用である。このような平坦化層、間隙充填層または保護層として使用されるとき、シリコン含有層、他の芳香族樹脂層、ハードマスク層等の1つ以上の介在材料層は、本コーティング組成物の硬化された層と任意のフォトレジスト層との間に典型的に存在する。典型的に、このような平坦化層、間隙充填層および保護層は、最終的にパターン化される。本発明による間隙充填方法は、(a)充填される複数の間隙を含むレリーフ画像を基板の表面上に有する半導体基板を提供する工程と、(b)間隙充填組成物をレリーフ画像の上に適用する工程であって、間隙充填組成物は、式(1)
【0057】
【化13】
【0058】
(式中、Zは、共有化学結合またはO、C(=O)、S、S(=O)、S(=O)、N(R)、C1-100-ヒドロカルビレン、置換C1-100-ヒドロカルビレン、-O-(C1-20-アルキレン-O-)m1、-O-(C5-60-アリーレン-O-)m2およびC(R)(R)から選択される二価連結基であり;Rは、H、C1-20-アルキル、C5-30-アリールおよびC2-20-不飽和脂肪族部分から選択され;各Rおよび各Rは、独立に、H、OR、C1-30-ヒドロカルビル、置換C1-30-ヒドロカルビル、-C(=O)-O-R、SR、S(=O)R、S(=O)R、N(R)(R)およびN(R)C(=O)Rから選択され;1つのRと、1つのRと、Zとは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルおよびC5-30-アリールから選択され;RおよびRは、それらが結合されている炭素と共に、1つ以上の芳香環に縮合され得、かつ任意選択的に置換されている5または6員環を形成し得;RおよびRは、独立に、C1-20-アルキルまたはC5-30-アリールであり;Rは、HまたはRであり;RおよびRは、それらが結合されている原子と共に5~6員環を形成し得;a1およびa2の各々は、0~5であり;m1およびm2の各々=1~100であり;およびn=2~1000である)
の繰り返し単位を含む1つ以上の硬化性化合物と、1つ以上の有機溶媒とを含む、工程と、(c)1つ以上の硬化性化合物を硬化させる温度に間隙充填組成物を加熱する工程とを含む。本組成物は、半導体基板の複数の間隙を実質的に充填する、好ましくは充填する、より好ましくは完全に充填する。
【0059】
本発明の化合物は、良好な間隙充填性を有する。本発明の化合物から形成されるフィルムは、良好な平坦化および耐溶媒性を有する。
【実施例0060】
実施例1。モノマーM-1(4.66g、10mmol)を41.71gのエチルラクテート中に溶解した。この溶液に0.23g(0.5mmol)のジ-μ-ヒドロキソ-ビス-[(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレン-ジアミン)銅(II)]クロリド(Cu-TMEDA)を添加し、反応混合物を室温の空気中で24時間撹拌した。混合物を、1M塩酸を含有するメタノールの混合物(200mL、v/v=20/80)にゆっくりと添加した。沈殿した生成物を濾過によって集め、次にエチルアセテート中に再溶解させた。次に、溶液をメタノールにゆっくりと添加し、沈殿した生成物を集め、2日間真空下で65℃において乾燥させた。ポリマーP-1A(3.2g)が69%の収量で得られた。GPC:M=1.9K、PDI=1.4。この反応は、反応スキーム1に示される。
【0061】
実施例2。実施例1の手順を以下のように繰り返す。モノマーM-1(4.66g、10mmol)を43.80gのエチルラクテート中に溶解した。この溶液に0.46g(1.0mmol)のCu-TMEDAを添加し、反応混合物を24時間室温の空気中で撹拌した。混合物を、1M塩酸を含有するメタノールの混合物(200mL、v/v=20/80)にゆっくりと添加した。沈殿した生成物を濾過によって集め、次にエチルアセテート中に再溶解させた。次に、溶液をメタノールにゆっくりと添加し、沈殿した生成物を集め、2日間真空下で65℃において乾燥させた。ポリマーP-1B(3.61g)が78%の収量で得られた。GPC:M=3.6K、PDI=1.5。この反応は、反応スキーム1に示される。
【0062】
反応スキーム1
【化14】
【0063】
実施例3。モノマーM-2(4.51g、10mmol)を44.73gのエチルラクテート中に溶解した。この溶液に0.46g(1.0mmol)のCu-TMEDAを添加し、反応混合物を24時間室温の開放空気中で撹拌した。混合物を、1M塩酸を含有するメタノールの混合物(200mL、v/v=20/80)にゆっくりと添加した。沈殿した生成物を濾過によって集め、次にエチルアセテート中に再溶解させた。次に、溶液をメタノールにゆっくりと添加し、沈殿した生成物を集め、2日間真空下で65℃において乾燥させて、84%の収量のポリマーP-2(3.79g)を生じさせた。GPC:M=2.2K、PDI=1.6。この反応は、反応スキーム2に示される。
【0064】
反応スキーム2
【化15】
【0065】
実施例4。モノマーM-3(3.94g、10mmol)を17.64gのエチルラクテート中に溶解した。この溶液に0.46g(1.0mmol)のCu-TMEDAを添加し、反応混合物を24時間室温の空気中で撹拌した。混合物を、1M塩酸を含有するメタノールの混合物(200mL、v/v=20/80)にゆっくりと添加した。沈殿した生成物を濾過によって集め、次にエチルアセテート中に再溶解させた。次に、溶液をメタノールにゆっくりと添加し、沈殿した生成物を集め、2日間真空下で65℃において乾燥させて、79%の収量の3.10gのポリマーP-3をもたらした。GPC:M=195K、PDI=19。この反応は、反応スキーム3に示される。
【0066】
反応スキーム3
【化16】
【0067】
実施例5。モノマーM-4(6.35g、10mmol)を27.25gのエチルラクテート中に溶解した。この溶液に0.46g(1.0mmol)のCu-TMEDAを添加し、反応混合物を室温の空気中で24時間撹拌した。混合物を、1M塩酸を含有するメタノールの混合物(200mL、v/v=20/80)にゆっくりと添加した。沈殿した生成物を濾過によって集め、次にエチルアセテート中に再溶解させた。次に、溶液をメタノールにゆっくりと添加し、沈殿した生成物を集め、2日間真空下で65℃において乾燥させて、83%の収量の5.31gのポリマーP-4を生じさせた。GPC:M=3.0K、PDI=1.5。この反応は、反応スキーム4に示される。
【0068】
反応スキーム4
【化17】
【0069】
実施例6:溶解性。溶解性は、本発明の化合物をPGMEおよびPGMEAのそれぞれと固形分5%で混合することによって測定された。それらの混合物を目視検査し、かつ濁度計(Orbeco-Hellige Co)を使用して調べた。濁度値が1未満である場合、化合物は、可溶性であると評価され(「S」)、濁度値が1超である場合、それは、可溶性ではないと評価される(「NS」)。結果を表1に記録する。これらのデータから見ることができるように、本発明の化合物は、全てPGMEおよびPGMEAのそれぞれに可溶性である。
【0070】
【表1】
【0071】
実施例7:熱安定性。本発明の化合物の熱安定性は、TA-Instrument製の熱重量分析器(TGA)Q500を使用して、以下の条件下:N下において10℃/分の増加で700℃まで、かつ空気下において10℃/分の増加で700℃まで測定された。材料がそれらの重量の5%を失った温度(「Td5%」)が表2に記録される。
【0072】
【表2】
【0073】
実施例8。溶媒剥離耐性がフィルム架橋の示度として測定された。本発明の化合物の組成物をPGMEA中において固形分4.5%で調製した。ACT-8 Clean Track(東京エレクトロン株式会社)を使用して、各々の組成物を8インチ(200mm)のシリコンウエハー上に1500rpmの速度でスピンコートし、次に60秒間にわたって350℃で焼成してフィルムを形成した。Therma-Wave Co製のOptiProbe(商標)を使用して初期フィルム厚さを測定した。次に、商用リムーバー、PGMEAを90秒間にわたって各々のフィルムに適用し、その後、60秒間にわたって105℃で剥離後焼成工程を実施した。剥離後焼成後の各々のフィルムの厚さを再び測定して、フィルムの損失厚さの量を求めた。リムーバーとの接触前および後のフィルムの厚さの差が残りのフィルムの厚さのパーセンテージとして表3に記録される。データから見ることができるように、本発明のポリマーP-3およびP-4から形成されたフィルムは、リムーバーと接触した後にそれらの厚さの99%超を保持した。
【0074】
【表3】
【0075】
実施例9。本発明のポリマーを測定して、それらの間隙充填性を求めた。間隙充填テンプレートをCNSE Nano-FAB(Albany,NY)で作った。テンプレートは、100nmのSiOフィルムの厚さならびに様々なピッチおよびパターンを有した。クーポンに本組成物をコートする前にテンプレートクーポンを脱水焼成として60秒間にわたって150℃で焼成した。ACT-8 Clean Track(東京エレクトロン株式会社)スピンコーターを使用して、かつ1500rpm+/-200rpmのスピン速度で各々のコーティング組成物(PGMEA中に4.5%の固形分)をテンプレートクーポン上にコートした。目標フィルム厚さは、硬化後に100nmであり、組成物の稀釈をそれに応じて調節して、硬化後にほぼ目標フィルム厚さをもたらした。ウエハーを60秒間にわたって350℃のホットプレート上に置くことによってフィルムを硬化させた。Hitachi S4800 SEM(日立ハイテクノロジーズ製)を使用して、コートされたクーポンの断面走査電子顕微鏡(SEM)画像を集めた。フィルムの平坦化品質は、バイア上のフィルムの厚さと溝上のフィルムの厚さとの差(ΔFT)を測定することにより、日立オフラインCD測定ソフトウェアまたはCDMソフトウェアを使用してSEM画像から得られた。ΔFT<20nmを有するフィルムは、「良好」な平坦化を有すると考えられ、ΔFT>20nmを有するフィルムは、「不十分な」平坦化を有すると考えられた。間隙充填は、溝パターン内に任意のボイドまたは気泡があるかどうかを、SEM画像を目視検査することによって評価された。溝パターン内にボイドを有さないフィルムは、「良好」な間隙充填を有すると考えられ、および溝パターン内にボイドを有するフィルムは、「不十分な」間隙充填を有すると考えられた。これらの結果を表4に記録する。
【0076】
【表4】