(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009904
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】トリガーパルス薬物放出を有する胃内滞留型RAFT形成システムを含む放出調節薬物粉末組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/14 20060101AFI20240116BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240116BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240116BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240116BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K45/06
A61K47/12
A61K47/32
A61K47/36
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023174925
(22)【出願日】2023-10-10
(62)【分割の表示】P 2020554387の分割
【原出願日】2018-12-18
(31)【優先権主張番号】62/607,141
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520221752
【氏名又は名称】トリス・フアルマ・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,パラス・ラメシュラル
(72)【発明者】
【氏名】チョードリー,サチン・バサント
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少なくとも2つのトリガーパルスを有する胃内滞留型RAFTを形成する、経口投与可能な薬物粉末組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、最低でも、(a)即時放出型パルス放出形態の薬物と、(b)遅延型トリガー放出形態の薬物と、(c)非毒性発泡剤と、(d)RAFTシステムと、を含有し、経口摂取後、本組成物は、その中に封入されている自己集合胃内滞留型RAFTと、(a)および(b)のうちの少なくとも1つの薬物と、非毒性発泡剤によりインサイツで生成されたガスと、を提供し、それにより、2重パルスシステムを有する浮遊性胃内滞留型RAFTを提供し、少なくとも第2のパルスは、トリガーパルスであり、少なくとも約3時間、少なくとも1つの薬物を胃内に保持するが、但し、本組成物がガンマヒドロキシブチレートおよびその塩、水和物、互変異性体、もしくは溶媒和物、またはそれらの複合体を含まないものとする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのトリガーパルスを有する胃内滞留型RAFTを形成する、経口投与可能な薬物粉末組成物であって、
(a)約3時間未満で放出する、少なくとも1つの第1のパルス放出形態の薬物と、
(b)少なくとも1つのトリガー放出形態の薬物と、
(c)少なくとも1つの非毒性発泡剤と、
(d)RAFTシステムと、を含み、
経口摂取後、前記組成物が、その中に封入されている自己集合胃内滞留型RAFTと、(a)および(b)のうちの前記少なくとも1つの薬物と、前記非毒性発泡剤によりインサイツで生成されたガスと、を提供し、それにより、2重パルスシステムを有する浮遊性胃内滞留型RAFTを提供し、少なくとも第2のパルスが、トリガーパルスであり、少なくとも約3時間、前記少なくとも1つの薬物を胃内に保持するが、但し、前記組成物が、ガンマヒドロキシブチレートおよびその塩、水和物、互変異性体、もしくは溶媒和物、またはそれらの複合体を含まないものとする、経口投与可能な薬物粉末組成物。
【請求項2】
前記組成物が、
(a)少なくとも1つの薬物、薬物-イオン交換樹脂複合体、またはそれらの混合物;逆腸溶性コートでコーティングされた有機酸;任意選択的な発泡剤;任意選択的な増量剤と、
(b(a)の粒子上に少なくとも1つのpH非依存性、水不溶性、透水性の拡散バリアコーティングポリマーと、を含む、粒子を含む、S字状pH遅延型トリガーシステムを含み、前記コートが、(a)の前記有機酸の存在下で溶解し、それにより、摂取後に、酸の存在下で、(a)の前記薬物のためのS字状pH遅延型トリガーを含むRAFTが形成される、請求項1に記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項3】
前記組成物が、少なくとも1つの侵食バリア形成ポリマー;任意選択的な発泡剤;少なくとも1つの薬物、薬物-イオン交換樹脂複合体、またはそれらの組み合わせ;および任意選択的な増量剤を含む、侵食遅延型トリガーシステムを含み、それにより、胃酸の存在下で、前記薬物のための前記侵食遅延型トリガーシステムを含むRAFTが形成される、請求項1に記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項4】
前記組成物が、(i)少なくとも1つの薬物、薬物-イオン交換樹脂複合体、またはそれらの複合体、少なくとも1つのpH調整剤、少なくとも1つの膨張剤、少なくとも1つの腸溶性ポリマーでコーティングされた任意選択的な発泡剤を含む顆粒、(ii)任意選択的に、(i)の前記顆粒上の逆腸溶性ポリマーコートを含む、pH膨張遅延型トリガーシステムを有し、それにより、胃酸の存在下で、(i)の前記薬物のための前記pH膨張遅延型トリガーシステムを含むRAFTが形成される、請求項1に記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項5】
前記組成物が、(i)少なくとも1つの薬物もしくは任意の薬物の塩、または薬物-イオン交換樹脂複合体、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つの膨張増強剤、胃酸の存在下で発泡する任意選択的な発泡剤、任意選択的に増量剤を含む、顆粒と、(ii)(i)の前記顆粒上の少なくとも1つの透水性拡散バリアコーティングと、を含む、膨張遅延型トリガーシステムを有し、それにより、胃酸の存在下で、(i)の前記薬物のための前記膨張遅延型トリガーシステムを含むRAFTが形成される、請求項1に記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項6】
前記組成物が、(i)少なくとも1つの薬物もしくは任意の薬物の塩、または薬物-イオン交換樹脂複合体、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つの浸透性物質(osm
ogent)、胃酸の存在下で発泡する任意選択的な発泡剤、任意選択的な増量剤を含む、顆粒と、(ii)(in)の前記顆粒上の少なくとも1つの透水性拡散バリアコーティングと、を含む、浸透遅延型トリガーシステムを有し、それにより、胃酸の存在下で、(i)の前記薬物のための前記浸透遅延型トリガーシステムを含むRAFTが形成される、請求項1に記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項7】
前記RAFTが、2つ以上の異なる遅延型トリガーパルス放出物を有する、請求項1~6のいずれかに記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項8】
前記組成物が、2つ以上の異なる薬物を含む、請求項1~7のいずれかに記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項9】
前記RAFTが、2つ以上の異なる薬物を含む、請求項1~7のいずれかに記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項10】
前記RAFTが、3つ以上の異なる放出形態で同じ薬物を含む、請求項1~9のいずれかに記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項11】
形成された前記RAFTが、最初は少なくとも15mmの大きさである、請求項1のいずれかに記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項12】
前記組成物が、2つ以上の異なるRAFTシステムを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項13】
前記raft形成システムが、少なくとも1つの架橋性多糖と、少なくとも1つの架橋剤と、胃酸と反応して、ガスを形成する少なくとも1つの発泡剤と、を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の経口投与可能な粉末組成物。
【請求項14】
前記架橋性多糖が、グアーガム、コロハガム、またはローカストビーンガムから選択されるガラクトマンナンであり、前記少なくとも1つの架橋剤が、ホウ砂、グルタルアルデヒド、および/またはジルコニウムから選択される、請求項1に記載の経口投与可能な薬物組成物。
【請求項15】
前記RAFTが、前記ゲル化剤を含み、前記ゲル化剤が、室温で液体であり、体温でゲル化し、キシログルカンまたはポロキサマーから選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の経口投与可能な薬物組成物。
【請求項16】
前記RAFTが、立方相形成脂質を含む液晶RAFTである、請求項1~12のいずれか一項に記載の経口投与可能な薬物組成物。
【請求項17】
前記発泡剤が、アルカリもしくはアルカリ土類金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩、亜硫酸塩、またはそれらの組み合わせ、または発泡結合体を生じる酸源とのそれらの組み合わせから選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の経口投与可能な薬物組成物。
【請求項18】
アルカリまたはアルカリ土類金属の前記炭酸塩または炭酸水素塩が、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、グリシン炭酸ナトリウム(sodium glycine carbonate)、炭酸マグネシウム、または炭酸アルミニウムから選択される、請求項17に記載の経口投与可能な薬物組成物。
【請求項19】
前記薬物が、アレルギー性鼻炎、関節リウマチおよび関連障害、喘息、がん、心血管疾患、炎症性障害、ならびに潰瘍のうちの1つ以上を治療するのに有用である、請求項1~18のいずれか一項に記載の経口投与可能な薬物組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の薬物分子は、小腸の上部からの部位特異的吸収を呈する。これらの分子は、胃腸管の上部(胃、十二指腸、および空腸)において吸収がより迅速で多く、胃腸管の下部(回腸、結腸、および直腸)において吸収がより遅く少ない。そのような分子について、剤形が薬物放出の完了前および吸収前に遷移する可能性があるため、従来の長時間作用型液体剤形は、不完全な吸収が原因で低い生物学的利用能を示す可能性がある。WO2016087952A1は、胃内滞留型の持続放出懸濁組成物に関し、この組成物は、報告によれば、少なくとも7日間の貯蔵時のインビトロ溶解放出プロファイルにおいて実質的な変化がないことを特徴とする。その中で考察される持続放出(ER)懸濁液は浸透性物質(osmogent)を含有する。懸濁基剤において生成された高張状態は、持続放出コーティングされたコアから懸濁基剤への活性成分の浸出に影響を及ぼす。報告によれば、この高張状態は、薬物がER構成成分から浸出するのを最小限に抑え、よって、組成物の貯蔵寿命の間中、活性成分の実質的に類似するインビトロ持続放出をもたらす。
【0002】
浮遊性raftに基づく胃内滞留型薬物送達システムは、文献に記載されている。ポリマーおよび発泡剤を含有する、ある特定のraftシステムは浮遊し、胃からのraftシステムのクリアランスを遅延するように設計されている。先行技術において考察された異なるraft形成アプローチには、膨張に基づくraft形成、温度依存性ゲル化に基づくraft形成、pH依存性ゲル化剤に基づくraft形成、イオン架橋に基づくraft形成[Pawar Ashish Yashwantrao et al,A Raft forming system:A Novel approach for gastro-retention,Int.J.Pure App.Biosci.3(4):2015(178-192).]が含まれる。しかしながら、Raft形成は、薬物送達分野において適用されてきたが成果は限られており、胃腸管の上部において部位特異的吸収、ならびに胃腸管および肝臓における飽和性初回通過代謝、非常に短い排泄半減期(<3時間)を呈する、長時間作用型液体形態で生物学的リズムに従う疾患を治療するために使用される、のうちの少なくとも1つを呈する薬物分子に適用される場合、特に成果が限られる。
【0003】
当該技術分野において、胃腸管の上部において部位特異的吸収、ならびに胃腸管および肝臓における飽和性初回通過代謝、非常に短い排泄半減期(<3時間)、長時間作用型粉末および/または懸濁用粉末の形態で生物学的リズムに従う疾患を治療するために使用される、のうちの少なくとも1つを呈する薬物分子を送達する技術を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、長期間胃腸管の上部において剤形を維持しながら、2つの薬物放出パルス:投与直後に第1のパルス、および第1のパルスの2~6時間後に第2のパルスを生成することができる組成物を提供する。
【0005】
一態様では、少なくとも2つのトリガーパルスを有する胃内滞留型RAFTを形成する、経口投与可能な薬物粉末組成物が提供される。組成物は、(a)第1のパルスに少なくとも1つの薬物と、(b)少なくとも1つの遅延型トリガー放出形態の薬物と、(c)RAFTシステムと、を含み、経口摂取後、本組成物は、その中に封入されている自己集合胃内滞留型RAFTと、(a)および(b)のうちの少なくとも1つの薬物と、非毒性発泡剤によりインサイツで生成されたガスと、を提供し、それにより、2重パルスシステムを有する浮遊性胃内滞留型RAFTを提供し、少なくとも第2のパルスは、トリガーパル
スであり、少なくとも約3時間、少なくとも1つの薬物を胃内に保持するが、但し、本組成物が、ガンマヒドロキシブチレートおよびその塩、水和物、互変異性体、もしくは溶媒和物、またはそれらの複合体を含まないものとする。
【0006】
ある特定の実施形態では、本組成物は、第1のパルスに少なくとも1つの薬物、およびS字状pH遅延型トリガーシステムに少なくとも1つの薬物を含む。そのようなトリガーシステムは、(a)少なくとも1つの薬物および/または薬物-イオン交換樹脂複合体;逆腸溶性コートでコーティングされた有機酸;任意選択的な発泡剤;任意選択的な増量剤と、(b)(a)の粒子上に少なくとも1つのpH非依存性、水不溶性、透水性の拡散バリアコーティングポリマー、例えば、メタクリル酸アンモニオコポリマー、タイプA(例えば、Eudragit(登録商標)RL)およびメタクリル酸アンモニオコポリマー、タイプB(例えば、Eudragit(登録商標)RS))と、を含み、該コートは、(a)の有機酸の存在下で溶解し、それにより、摂取後に、酸の存在下で、(a)の薬物のためのS字状pH遅延型トリガーを含むRAFTが形成される。
【0007】
ある特定の実施形態では、本組成物は、第1のパルスに少なくとも1つの薬物、および侵食遅延型トリガーシステムに少なくとも1つの薬物を含む。そのようなトリガーシステムは、少なくとも1つの侵食バリア形成ポリマー;任意選択的な発泡剤;少なくとも1つの薬物および/または薬物-イオン交換樹脂複合体;ならびに任意選択的な増量剤を含み、それにより、胃酸の存在下で、薬物のための侵食遅延型トリガーシステムを含むRAFTが形成される。
【0008】
ある特定の実施形態では、本組成物は、第1のパルスに少なくとも1つの薬物、およびpH膨張遅延型トリガーシステムに少なくとも1つの薬物を含む。そのようなトリガーシステムは、(i)少なくとも1つのpH調整剤、少なくとも1つの腸溶性ポリマーでコーティングされた少なくとも1つの膨張剤を含む顆粒、(ii)任意選択的に逆腸溶性ポリマーコート(例えば、Eudragit(登録商標)EPO)でさらにコーティングされたステップ(i)の顆粒を含み、それにより、胃酸の存在下で、(i)の薬物のためのpH膨張遅延型トリガーシステムを含むRAFTが形成される。
【0009】
ある特定の実施形態では、本組成物は、第1のパルスに少なくとも1つの薬物、および膨張遅延型トリガーシステムに少なくとも1つの薬物。このトリガーシステムは、(i)少なくとも1つの薬物および/または薬物-イオン交換樹脂複合体、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つの膨張増強剤、胃酸の存在下で発泡する任意選択的な発泡剤、任意選択的に増量剤を含む、顆粒と、(ii)(i)の顆粒上の少なくとも1つの透水性拡散バリアコーティングと、を含み、それにより、胃酸の存在下で、(i)の薬物のための膨張遅延型トリガーシステムを含むRAFTが形成される。
【0010】
ある特定の実施形態では、患者を治療するための、第1のパルスに少なくとも1つの薬物およびトリガーパルス放出物に少なくとも1つの薬物を有する、胃内滞留型RAFT形成組成物の使用が提供される。ある特定の実施形態では、本組成物は、アレルギー性鼻炎、関節リウマチおよび関連障害、喘息、がん、心血管疾患、炎症性障害、ならびに潰瘍のうちの1つ以上を治療するために有用な1つ以上の薬物(複数可)を含有する。
【0011】
本発明のこれらおよび他の利点は、以下の発明を実施するための形態から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A-1B】ヒト胃腸系の略図を提供する。
図1Aは、胃、十二指腸、および空腸を含む消化器系の全体像を提供する。
図1Bは、胃の拡大略図を提供し、食道から胃への入口および幽門弁を通って十二指腸に入る胃の出口を図示する。胃内で、「浮遊している」、および幽門弁を通して除去するために薬物放出後に「沈む」ときを含む、胃液上に浮遊しているRAFTが投与後の異なる時間で図示される。
【
図2】懸濁液中の図示的な持続放出グリコピロレートパルス放出粉末(POS)の溶解プロファイルを提供する。累積放出パーセント(%)は、6時間の試験期間にわたる時間に対してグラフ化される。
【
図3】懸濁液中の図示的な持続放出プロメタジンパルス放出粉末(POS)の溶解プロファイルを提供する。累積放出パーセント(%)は、6時間の試験期間にわたる時間に対してグラフ化される。
【
図4】懸濁液中の図示的な持続放出プロプラノロールパルス放出粉末(POS)の溶解プロファイルを提供する。累積放出パーセント(%)は、8時間の試験期間にわたる時間に対してグラフ化される。
【
図5】懸濁液中の図示的な持続放出バルサルタンパルス放出粉末(POS)の溶解プロファイルを提供する。累積放出パーセント(%)は、8時間の試験期間にわたる時間に対してグラフ化される。
【
図6】懸濁液中の図示的な持続放出トラマドールパルス放出粉末(POS)の溶解プロファイルを提供する。累積放出パーセント(%)は、8時間の試験期間にわたる時間に対してグラフ化される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に提供される胃内滞留型(GR)パルス放出(PR)組成物は、投与後に、少なくとも1つの選択された生物学的活性部分の少なくとも2つのパルス放出を提供する。本組成物は、投与時に水で再構成されて、懸濁液またはペーストまたはプディングを形成し得、これはカプセルに充填されてもよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、「生物学的活性部分」または「生物学的に有用な部分」という用語は、「医薬品有効成分」または「API)、栄養補助食品、ビタミン、または他の所望の部分を含み得る。本明細書で使用される場合、APIは、製剤の製造に使用されることが意図され、薬物の生産に使用される場合、製剤の活性成分となる、あらゆる物質または物質の混合物である。よって、APIは、例えば、1つ以上の小分子薬物、がん治療薬、または生物製剤(例えば、ホルモン、酵素、ペプチド、ポリペプチド、抗体、抗体断片、単一ドメイン抗体など))であり得る。小分子薬物は一般に、分子量が約900ダルトン未満であり、遊離塩基もしくは酸薬物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物であり得る。ある特定の実施形態では、生物学的に有用な部分は、粒子または顆粒中にある。ある特定の実施形態では、そのような粒子または顆粒は、1つ以上の薬物-イオン交換樹脂複合体を含有し得る。ある特定の実施形態では、そのような粒子または顆粒は賦形剤を含有する。ある特定の実施形態では、そのような生物学的活性部分(および/または複合体、それを含有する粒子もしくは顆粒)は、コーティングされていないか、または放出調節コーティングでコーティングされ得る。特に指定のない限り、「薬物」という用語が本明細書で使用される場合、別の生物学的活性部分を代わりに用いることができる。特に指定のない限り、2つ以上の薬物を使用することができることをさらに理解されたい。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、ガンマヒドロキシブチレート、その塩、水和物、互変異性体、もしくは溶媒和物、またはそれらの複合体を含まない。ある特定の実施形態では、生物学的活性部分は、最終剤形の総重量に基づいて約0.1重量%~90重量%、より好ましくは約1重量%~75重量%、または約15重量%~60重量%である。ある特定の実施形態では、本組成物は、0.1mg~15gの活性薬物(複数可)を含み得る。
【0015】
「薬物-イオン交換樹脂複合体」は、少なくとも1つの薬物をイオン交換樹脂上に担持することにより生じる産物を指す。そのような複合体を調製するための方法は、例えば、
WO2007/109104およびUS2007/0215511A1(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。ある特定の実施形態では、これは、活性薬物(複数可)およびイオン交換樹脂が水性媒体において一緒に混合されて、薬物の塩とイオン交換樹脂の「イオン」との間の「交換」および複合体の形成を容易にするときに生じる複合体化を説明する。特に指定のない限り、薬物-イオン交換樹脂複合体は、コーティングされなくてもコーティングされてもよい。ある特定の実施形態では、薬物-イオン交換樹脂複合体は、同じイオン交換樹脂に複合された2つ以上の異なる薬物を有し得る。ある特定の実施形態では、薬物-イオン交換樹脂複合体は、ガンマヒドロキシブチレート、その塩、水和物、互変異性体、もしくは溶媒和物、またはそれらの複合体を含有しない。
【0016】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるGR PR組成物は、組成物の投与後約3時間以内に薬物放出の第1のパルス、そして第1のパルスの約2時間~約6時間後に薬物の少なくとも第2のパルスを生成する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「胃内滞留型」または「GR」という用語は、投与後(例えば、経口摂取により)、投与された組成物の少なくとも一部分が胃からの正常な排出時間よりも長い期間の間、すなわち、少なくとも約2時間~最大約24時間、少なくとも約3時間~最大約24時間、約4時間~約16時間、約5時間~約12時間、または約6時間~約8時間、胃に留まることを意味する。胃内滞留の期間を評価するための好適なアッセイの例は、酵素を含まない疑似胃酸(SGF)中での浮遊の開始および期間、ならびにSGF中での完全性/復元性のためのアッセイを含む、本明細書の例において記載される。加えて、胃(および上部GIT)での剤形の保持を実際に視覚化するために、剤形がそこに留まる時間を評価するとともに、ガンマシンチグラフィー研究をヒトにおいて行うことができる。例えば、SS Davis,et al,Alimentary tract and pancreas Transit of pharmaceutical
dosage forms through the small intestine Gut,1986,27,886-892を参照されたい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「パルス」は、完全かつ迅速な薬物放出が時間差に従う様式で、所定量の薬物が放出される薬物放出システムを指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「懸濁用粉末」または「POS」は、患者が経口摂取する前に懸濁基剤に懸濁されるように設計される、粉末として製剤化される組成物を指す。
【0020】
ある特定の実施形態では、胃内滞留型パルス放出(GRPR)POSは特に、(i)胃腸管の上部において部位特異的吸収、ならびに胃腸管および肝臓における飽和性初回通過代謝を呈する、(ii)胃腸管の上部において部位特異的吸収、および非常に短い排泄半減期(<3時間)を呈する、かつ/または(iii)小腸の上部において部位特異的吸収を呈し、生物学的リズムに従う疾患を治療するために使用される、生物学的活性部分と使用するのに非常に好適である。しかしながら、本発明において有用な他の好適な生物学的活性部分は、本明細書に記載されており、かつ/または以下の説明に基づき当業者には明らかであろう。
【0021】
前の段落および本明細書全体を通して使用される、吸収に関する「胃腸管の上部」には、胃、十二指腸、および空腸が含まれる。
【0022】
一般に、胃のpH状態(pH4未満)において溶解性または安定性の問題があるAPIは、本明細書に記載の組成物に好適でない。しかしながら、ある特定の複合されていない薬物が、これらの溶解性もしくは安定性の問題に対処する本明細書に記載される薬物-イオン交換樹複合体に、または顆粒、粒子、もしくは他の形態に設計されてもよい。
【0023】
本明細書に記載のトリガー放出機構は、「Pharmaceutical Compositions Comprising a Floating Interpenetrating Polymer Network Forming System」と題した米国仮特許出願(本明細書と同日に出願され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に詳細に記載の様々なraft形成システムおよび/または新規浮遊IPN形成システムと組み合わせて使用されてもよい。そのようなraftシステムは、以下により詳細に記載される。
【0024】
GR POSからの部分のパルス放出(PR)
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、第1のパルスおよびトリガーパルスである少なくとも第2のパルス、の少なくとも2つのパルスを有するように設計される。任意選択的に、本組成物は、追加のパルス放出を提供し得る。好適に、第1のパルスの活性部分(例えば、1つ以上の薬物)の量:第2のパルスの活性部分(例えば、1つ以上の薬物)の量の比率は、その遊離形態の活性部分の重量に基づいて(すなわち、任意の塩または複合体構成成分の重量を含まない)、2:98~85:15であり得る。ある特定の実施形態では、比率は、約1:10~約10:1、または約1:1、約1:20、約2:1、約1:4、約4:1であり得る。それらの間の値が容易に選択され得る。
【0025】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、3つ以上のパルスを有し得る。そのような実施形態では、典型的には、第1のパルスは即時であり、少なくとも他の1つのパルスは、本明細書に記載されるトリガー放出パルスである。ある特定の実施形態では、本組成物は、同じ薬物の少なくとも2つのパルスを提供する。他の実施形態では、本組成物は、少なくとも第1のパルスまたは少なくとも第2のパルスに含まれ得る、2つ以上の薬物を提供する。そのような場合において、少なくとも第2のパルスの時間調整は、同じ薬物の第1のパルスの時間調整に対して決定される。
【0026】
本組成物にあるように、第1のパルスは、本質的に投与後即時であり得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、遊離薬物(複数可)、薬物-イオン交換樹脂複合体、および/またはそれらの混合物として製剤化される総用量の約10~約80%に対応する第1のパルスを有する薬物を提供する。本明細書に記載されるように、本組成物は、投与後約3時間以内、または投与後約2時間以内、または投与後約1時間以内(例えば、約10分~60分)に第1のパルスを提供するように設計される。
【0027】
本明細書に提供される組成物は、トリガー機構を使用する、少なくとも第2のパルスを提供する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物はトリガー原理として製剤化される総用量の約20~約90%に対応する少なくとも第2のパルスを有する薬物を提供する。異なるトリガー機構は、第1のパルスの約2時間~約6時間後にAPIの第2のパルスを放出するために使用される。第2のパルスは、遊離薬物(複数可)、薬物-イオン交換樹脂複合体、および/またはそれらの混合物を使用することにより含む達成され得る。
【0028】
好適なトリガー機構は、(a)トリガーとしてのpH:S字状放出システム、(b)トリガーとしての侵食、(c)第2のパルスを生成するためのトリガーとしてのpH+膨張、(d)トリガーとしての膨張、これらのシステムの組み合わせ、および/または本明細書で同定されるような他のトリガーシステムとのこれらのシステムのうちの1つ以上の組み合わせを含む。そのようなシステムは、以下により詳細に記載される。
【0029】
「第1のパルス」に関して、生物学的活性部分は、約3時間未満の放出、ある特定の実施形態では、約2時間未満、または約1時間未満の放出に好適な任意の形態で提供され得
ることに留意されたい。ある特定の実施形態では、部分(例えば、薬物)は、遊離塩基もしくは酸API、またはその薬学的に許容される塩として送達される。ある特定の実施形態では、部分は、放出調節コーティングなしの薬物-イオン交換複合体中にある。ある特定の実施形態では、第1のパルスのための部分は、放出調節コーティングなしの粒子、顆粒中にあるか、または球体上に重ねられる。
【0030】
加えて、本明細書に提供される組成物は、少なくとも第2のパルス形態の少なくとも1つの生物学的活性部分を含有する。以下の段落は、組成物における少なくとも第2のパルス形態に好適なトリガーパルス放出を記載する。
【0031】
本明細書に提供される、「発泡剤」は、胃液と接触したときに非毒性ガスを生成する薬剤を指す。好適な発泡剤としては、限定されないが、アルカリもしくはアルカリ土類金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩、例えば、炭酸カリウムもしくは炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムもしくは炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、グリシン炭酸ナトリウム(sodium glycine carbonate)、炭酸マグネシウム、および炭酸アルミニウム、ならびに亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および二亜硫酸ナトリウムが挙げられる。これらの塩は、単独で、または発泡結合体として酸源と組み合わせて使用され得る。本明細書に提供される最終組成物は発泡剤を含む。発泡剤は、トリガーパルスシステム、raft形成組成物のうちの1つ以上に存在するか、または組成物中の他の構成成分のうちの1つ以上と混合され得る。一般に、ガスがGR raftに封入されると、raftの完全性が保持される限り浮遊し続ける。よって、3時間(hr)の浮遊に有効であるガスの同濃度は、より長い時間期間、例えば、12時間の浮遊にも好適である。ある特定の実施形態では、発泡剤は、GR raftの総重量の約1%w/w~約25%w/wの濃度範囲で存在する。好適に、発泡剤は、迅速な開始(約15分未満)、および少なくとも約3時間または約3時間超の浮遊をもたらす。浮遊は、本明細書に記載のものなどの好適なアッセイ、例えば、500mlの酵素を含まない疑似胃酸において、および/または当該技術分野で既知の他のアッセイを使用してインビトロで評価され得る。
【0032】
好適に、GR raftは、直接投与された場合に部分が有するであろう時間期間よりも長い胃での保持期間を有する生物学的に有用な部分(例えば、薬物)を提供する。ある特定の実施形態では、これにより、胃、十二指腸、および/または空腸を含む「胃腸管」における生物学的利用能、吸収、および/または活性が増加する。
【0033】
トリガーとしての膨張
ある特定の実施形態では、本組成物は、少なくとも1つの生物学的活性部分、ならびに(i)ヒドロゲル形成ポリマーから選択される少なくとも1つのゲル化剤、(ii)以下の超崩壊剤の非限定的なリストから選択される少なくとも1つの膨張増強剤、(iii)少なくとも1つの透水性拡散バリアコーティング、(iv)任意選択的に、発泡剤、および(v)任意選択的に、増量剤、例えば、微結晶セルロース(MCC)(例えば、特に、ケイ化MCC、マンニトールを含む)を含有する。
【0034】
少なくとも1つの生物学的活性部分(例えば、APIもしくは薬物-イオン交換樹脂複合体、またはそれらの混合物)、ゲル化剤、および膨張増強剤を含む顆粒は、拡散バリアでコーティングされる。いかなる理論にも拘束されないが、水性媒体と接触すると、膨張増強剤が迅速な水の取り込みをもたらすと考えられる。ゲル化剤によりヒドロゲルの形成および膨張が開始され、コートを押し始める。コア賦形剤とコート厚さの相対的割合は、コートが膨張により2時間後かつ6時間前に完全に除去されるように最適化される。第2のパルスの開始は、膨張増強剤とゲル化剤の相対的割合を調節することにより、およびコート厚さを調節することにより調整される。高い割合の膨張増強剤および低いゲル化剤部
分により、コートが除去されたときの迅速な薬物放出が確実となる。
【0035】
1つ以上のゲル化剤は、水性媒体においてヒドロゲルを形成する親水性ポリマーの非限定的なリストから選択される:カルバメート、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガム、トラガカント、セルロースポリマーおよびそれらの誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、またはそれらの任意の混合物など)、多糖およびそれらの誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンガム、無水マレイン酸コポリマー、デンプンベースのポリマー、架橋ポリアクリル酸、ならびにそれらの組み合わせ。
【0036】
1つ以上の少なくとも1つの膨張増強剤、例えば、超崩壊剤は、超崩壊剤の非限定的なリストから選択される:クロスポビドン、SSG、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム。膨張増強剤は、大量の水性流体の迅速な吸収を促進する。
【0037】
API、ゲル化剤、および膨張増強剤を含む、顆粒を覆う少なくとも1つの透水性拡散バリアコーティング。ある特定の実施形態では、バリアコーティングは、コーティングされた顆粒に約5%w/w~約80%w/wを付加する。
【0038】
拡散バリアコーティングは、少なくとも1つの拡散バリア形成ポリマーシステムを含有する。好適なバリアコーティングには、限定されないが、水不溶性放出調整剤もしくは水溶性放出調整剤、またはそれらの組み合わせが含まれる。用いることができる水不溶性放出調整剤には、ポリマー水不溶性放出調整剤もしくは非ポリマー水不溶性放出調整剤、またはそれらの組み合わせが含まれる。好適なポリマー水不溶性放出調整剤には、限定されないが、セルロースポリマーおよびそれらの誘導体、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸ポリマーならびにそれらの誘導体、マレイン酸コポリマーおよびそれらの誘導体、ポリビニル誘導体など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。一実施形態では、好適なポリマー水不溶性放出調整剤には、限定されないが、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ炭酸ビニル、エチルセルロース、ニトロセルロース、塩化ビニリデン-アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、エチレン酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ビニルピロリドンのコポリマー、ポリ酢酸ビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、例えば、Eudragit(登録商標)L100/S100/L100-55など、またはそれらの混合物を含むポリマーのブレンド、メタクリル酸コポリマー、例えば、Eudragit(登録商標)E100/EPO、Eudragit(登録商標)RL100/RL30D/RLPO、Eudragit(登録商標)RS100/RS30D/RSPOなど、またはそれらの混合物が含まれる。好適な非ポリマー水不溶性放出調整剤には、限定されないが、脂肪、油、ワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリド、長鎖一価アルコールおよびそれらのエステル、リン脂質、テルペン、またはそれらの組み合わせが含まれる。これらのカテゴリーの各々の好適な放出調整剤は、上文に列記されている。
【0039】
一実施形態では、バリアコーティングは、任意選択的に1つ以上の可塑剤を含有し、任意選択的に硬化するpH依存性、水不溶性、透水性バリアコーティングである。任意選択的に、コーティングは、パーセント範囲で使用される可塑剤、またはコーティング層の約2~約50重量%、より好ましくはコーティングされた薬物-イオン交換樹脂複合体上のコーティング層の約2.5重量%~約20重量%の総量に組み合わされる可塑剤の混合物
を含む。好ましくは、コーティングされた複合体に基づいてコーティング層の約5重量%~約10重量%の範囲の可塑剤が最も望ましい特性を提供する。好適な可塑剤は、水溶性および水不溶性である。好適な可塑剤の例は、例えば、セバシン酸ジブチル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリブチル、トリアセチン 、およびSoluphor P、ならびにこれらの混合物を含む。他の可塑剤は、特許出願公開第US2003/0099711A1号、May 29,2003、ページ4(0041)に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
ある特定の実施形態では、pH依存性バリアコーティングシステムは、ある特定の実施形態では、水性コーティング分散液として適用される、ポリ酢酸ビニルポリマーを含有する。ポリ酢酸ビニルは、室温で水に不溶性であり、実質的に純粋な形態で、またはブレンドとしてのいずれかで使用され得る。市販のブレンドは主に、ポリ酢酸ビニルポリマー、安定剤、および少量の界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムを含有する。より具体的には、望ましい水性ベースのコーティング溶液は、KOLLICOAT(登録商標)SR30D(BASF Corporation)であり、その組成は、約27%のポリ酢酸ビニル、約2.7%のポリビニルピロリドン(PVP)、約0.3%のラウリル硫酸ナトリウム(固形分30%w/w)である。一実施形態では、実質的に純粋な形態のPVAが使用される場合、薬物-イオン交換樹脂複合体のコーティング溶液を提供するために、好適な非水性溶媒に溶解され得る。KOLLICOAT(登録商標)SR-30D水性分散液は、約1~約24時間硬化され得る。代替の実施形態では、コーティングは、約4~約16時間、好ましくは約5時間、高温で、例えば、約50℃~約65℃、好ましくは約60℃で硬化される。バリアコーティングがポリ酢酸ビニルを含む場合、ポリ酢酸ビニルは、最終バリアコーティング層の約70%~約90%w/w、最終バリアコーティング層の少なくとも約75%、少なくとも約80%、約85%w/wの量で存在する。バリアコーティングが可塑剤構成成分としてPVPも含む場合(例えば、KOLLICOAT(登録商標)(商標)SR 30Dに存在するように)、最終バリアコーティング層は一般に、約5~約10%w/wのポリビニルピロリドンを含有する。
【0041】
顆粒は、1つ以上の発泡剤をさらに含有する。発泡剤は、胃液と接触すると非毒性ガスを発生し、アルカリもしくはアルカリ土類金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩、例えば、炭酸カリウムもしくは炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムもしくは炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、グリシン炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、および炭酸アルミニウム、ならびに亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および二亜硫酸ナトリウムを含む非限定的なリストから選択される。これらの塩は、単独で、または発泡結合体として酸源と組み合わせて使用され得る。
【0042】
顆粒は、微結晶セルロース、ケイ化MCC、リン酸二カルシウム脱水和物(dehydrate)の非限定的なリストから選択される1つ以上の増量剤をさらに含む。
【0043】
トリガーとしての浸透性物質
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1つの生物学的活性部分、(i)本明細書で定義される少なくとも1つのゲル化剤、(ii)浸透性物質の非限定的なリストからの少なくとも1つの浸透性物質、(iii)少なくとも1つの透水性拡散バリアコーティング、(iv)任意選択的な発泡剤、および(v)任意選択的に増量剤を含有する。
【0044】
少なくとも1つの生物学的活性部分(例えば、少なくとも薬物-イオン交換樹脂複合体)、ゲル化剤、および浸透性物質を含む顆粒は、拡散バリアでコーティングされる。いかなる理論にも拘束されないが、水性媒体と接触すると、浸透性物質が迅速な水の取り込み
を促進すると考えられる。ゲル化剤によりヒドロゲルの形成および膨張が開始され、コートを押し始める。コア賦形剤とコート厚さの相対的割合は、コートが膨張により2時間後かつ6時間前に完全に除去されるように最適化される。第2のパルスの開始は、浸透性物質とゲル化剤の相対的割合を調節することにより、およびコート厚さを調節することにより調整される。高い割合の膨張増強剤および低いゲル化剤部分により、コートが除去されたときの迅速な薬物放出が確実となる。
【0045】
浸透性物質は、大量の水性流体の迅速な吸収を促進する。浸透性物質または薬学的に許容される不活性水溶性化合物の好適な例は、炭水化物、例えば、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、デキストロース、およびラフィノース;無機酸の水溶性塩、例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸水素リチウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、および三塩基性リン酸ナトリウム;有機酸の水溶性塩、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、コハク酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、およびアスコルビン酸ナトリウム;水溶性アミノ酸、例えば、グリシン、ロイシン、アラニン、メチオニン;尿素もしくはその誘導体;プロピレングリコール;グリセリン;ポリエチレンオキシド;キサンタンガム;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;またはそれらの混合物を含む群から選択される。
【0046】
任意選択的に、顆粒は、本明細書全体を通して記載されるものなど、1つ以上の増量剤(あるいは「充填剤」と呼ばれる)をさらに含む。
【0047】
以下の例示的な実施形態では、本組成物は、トリガーシステムのw/wを反映するパーセンテージで提供される。
【0048】
トリガーとしてのpH:S字状放出システム:
このパルストリガーシステムは、少なくとも1つの生物学的活性部分(例えば、API、薬物-イオン交換樹脂複合体、またはそれらの混合物)+(i)逆腸溶性コーティングされた有機酸、(ii)任意選択的な発泡剤、(iii)任意選択的に、増量剤、(iii)少なくとも1つのpH依存性、水不溶性、透水性拡散バリアコーティングポリマー、例えば、メタクリル酸アンモニオコポリマー、タイプA(例えば、Eudragit RL)およびメタクリル酸アンモニオコポリマー、タイプB(例えば、Eudragit RS))を含む。ある特定の実施形態では、このパルストリガーシステムは、薬物-イオン交換樹脂複合体の形態で少なくとも1つの生物学的活性部分(このパルストリガーシステムの約60%w/w、10%w/w~80%w/w)+(i)逆腸溶性コーティングされた有機酸(約8%w/w、3%w/w~25%w/w)、(ii)任意選択的な発泡剤(約5%w/w、0~10%w/w)、(iii)任意選択的に、増量剤(約5%、0~30%w/w)、(iii)少なくとも1つのpH依存性、水不溶性、透水性拡散バリアコーティングポリマー、例えば、メタクリル酸アンモニオコポリマー、タイプB(約20%、10%w/w~60%w/w)を含む。典型的には、希釈剤で造粒した後に、有機酸が逆腸溶性ポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)EPO)でコーティングされる。これらの顆粒は、API(ならびに任意選択的に発泡剤および増量剤)とさらに混合され、造粒される。これらの顆粒は、pH依存性、水不溶性、透水性拡散バリアコーティングポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)RS/RLまたはブレンド)でコーティングされる。理論に拘束されないが、胃液と接触すると、コーティングされた粒子に入る酸性媒体が微小環境pHに影響を及ぼすと考えられる。これにより、有機酸顆粒上の逆腸溶性コートの透過性が増加し、有機酸の放出が可能となる。有機酸のpKaに基づいて、および微小環境pHに基づいて、有機酸が解離される。解離された酸は、バリア
コートに存在するメタクリル酸アンモニオコポリマー、タイプA、メタクリル酸アンモニオ、タイプB、またはその両方(Eudragit RS/RL/両方)と反応し、コートの透過性を増加させ、第2のパルスを発生するS字状薬物放出をもたらす。
【0049】
1つ以上の有機酸は、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸など、およびそれらの混合物の非限定的なリストから選択される。
【0050】
逆腸溶性コーティングは、pH依存性であり、約pH4超または約4.5超のpHで可溶化または膨張しないように設計される。1つの好適な逆腸溶性ポリマーは、アクリレートポリマーまたはコポリマーである。特に好適な逆腸溶性コートは、水性分散液として適用され得るそれらのポリマーを含む。1つの好適な水性分散液は、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ジエチルアミノエチルコポリマーに基づく。そのような逆腸溶性コートの一例は、Kollicoat(登録商標)(登録商標)Smartseal 30Dであり、これは、およそ30%の固形物濃度を有する水性ポリマー分散液である。これは、およそ0.6%のマクロゴールセトステアリルエーテルおよび0.8%のラウリル硫酸ナトリウムで安定化されたメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ジエチルアミノエチルコポリマーを含有する。また他の逆腸溶性ポリマーは、例えば、Eudragit(登録商標)E 100(Evonik)、Eudragit(登録商標)EPO(Evonik)、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ならびにメタクリル酸メチル、2-メタクリル酸ヒドロキシエチル、および4-ビニルピリジンに基づくランダムターポリマーを含む。EUDRAGIT(登録商標)EPOは、1:2:1のポリ(メタクリル酸ブチル-コ-メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)-コ-メタクリル酸メチル)(CAS番号:24938-16-7)、すなわち、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ブチル、およびメタクリル酸メチルに基づくカチオン性コポリマーである。市販のEudragit(登録商標)EPO Ready Mixは、塩基性ブチル化メタクリル酸コポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、およびタルクからなる。しかしながら、他のアニオン性界面活性剤を含む他の界面活性剤を、他の製剤においてラウリル硫酸ナトリウムの代わりに使用してもよい。アニオン性界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウム以外の好適な界面活性剤の例は、当業者に既知である。同様に、ステアリン酸以外の滑沢剤およびタルク以外の滑剤は、当業者に既知であり、選択することができる。また他の逆腸溶性ポリマーが記載され、例えば、US2006/062844(2006)、US2005/0136114、US7294347(それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように作製され得る。存在する場合、これらのコーティングの重量パーセンテージは、添加される重量として、添加される約5重量%~約60重量%、または約5重量%~約20重量%、または約8~約12重量%の量で提供される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの逆腸溶性ポリマーは、Eudragit EPO、Kollicoat(登録商標)Smartseal 30 Dから選択され、それを使用する。
【0051】
生物学的活性部分、コーティングされた酸、任意選択的に増量剤、および発泡剤を含む顆粒を覆う少なくとも1つのpH依存性、水不溶性、透水性拡散バリアコーティングポリマー(例えば、Eudragit RS)、例えば、は、本明細書に定義されている。
【0052】
任意選択的に、顆粒は、1つ以上の増量剤をさらに含む。
【0053】
トリガーとしての侵食
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1つのトリガー侵食システムを含む。このシステムは、(i)少なくとも1つの生物学的活性部分(例えば、API、薬物-イオン交換樹脂複合体、またはそれらの混合物)、(ii)非限定的なリスト:HPMC、HEC、他のセルロースエーテル、グアーガムから選択される少なくとも1つの
侵食バリア形成ポリマー、(iii)任意選択的な発泡剤、(iv)任意選択的に、増量剤を含む。好適に、活性部分および賦形剤は、侵食可能なバリアでコーティングされる。ある特定の実施形態では、侵食可能なトリガーシステムは、(i)少なくとも1つの生物学的活性部分(例えば、API、薬物-イオン交換樹脂複合体、またはそれらの混合物)(約60%w/w、5%w/w~80%/w/w)、(ii)非限定的なリスト:HPMC、HEC、他のセルロースエーテル、グアーガムから選択される少なくとも1つの侵食バリア形成ポリマー(約15%、5%w/w~20%w/w)、(iii)任意選択的な発泡剤(約7%、0~15%w/w)、(iv)任意選択的に、増量剤(約15%w/w、0~75%w/w)を含む。好適に、活性部分および賦形剤は、侵食可能なバリアでコーティングされる。
【0054】
理論に拘束されないが、水性媒体と接触すると、コートが侵食し始めると考えられる。コートの侵食速度は、ポリマーの溶解度、粘度、フィルム厚を調節することにより調整することができる。コートの侵食速度は、異なる溶解度および溶解速度を有するポリマー(複数可)を使用することにより調整することができ、例えば、セルロースエーテルを使用する場合、短い鎖長(エチル、ヒドロキシエチルセルロースHECのような)置換を有するものは、長い鎖長置換(ヒドロキシプロピルセルロースのような)を有するものと比較して、大きい溶解度および速い溶解速度を有する。コーティングポリマーの粘度は、コートの侵食速度を調整する際に重要な役割を果たす。HPMC K100Mのような大きな粘性ポリマーは、HPMC K100LVのような低粘度ポリマーと比較して、緩徐な侵食速度を呈する。コーティングレベルが大きいほど、侵食は緩徐である。よって、侵食速度を遅くするために、高コーティングレベル(>20%w/w)のゆっくり溶解する(例えば、HPC、HPMC)粘性ポリマー(粘度>4000cps)が選択される。
【0055】
トリガーとしてのpH+膨張
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、最低でも、(i)少なくとも1つの生物学的活性部分(例えば、薬物、薬物-イオン交換樹脂複合体、またはそれらの混合物)、(ii)少なくとも1つのpH調整剤、(iii)任意選択的に膨張剤を含有する顆粒を含む。顆粒は、少なくとも1つの腸溶性ポリマーでコーティングされ、コーティングされた顆粒は、任意選択的に逆腸溶性ポリマーでさらにコーティングされる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、最低でも、(i)少なくとも1つの生物学的活性部分(例えば、薬物、薬物-イオン交換樹脂複合体、またはそれらの混合物)(約40%、10%w/w~75%w/w)、(ii)少なくとも1つのpH調整剤(約20%、5%w/w~50%w/w)、(iii)任意選択的に膨張剤(約10%w/w、5%w/w~25%w/w)を含有する顆粒を含む。顆粒は、少なくとも1つの腸溶性ポリマーでコーティングされ、コーティングされた顆粒は、任意選択的に逆腸溶性ポリマーでさらにコーティングされる。
【0056】
理論に拘束されないが、pH調整剤によって作り出されたアルカリ性微小環境pHが腸溶性ポリマーの溶解をもたらすと考えられる。膨張はさらに、周囲の酸性pHにおいても溶解する外側コートの突出をもたらす。様々なアプローチを使用して、例えば、API放出の第2のパルスの時間を調整することを可能にさせる腸溶性コートのレベル、逆腸溶性コートのレベル、膨張剤、およびpH調整剤を含む、2~6時間の間で第2のトリガーパルスの開始を調節することができる。
【0057】
様々な腸溶性コーティングが既知であり、かつ/または市販されている。そのような腸溶性コーティングは、pH依存性であり、より高い小腸(例えば、約7~約9)において溶解するように、胃酸に存在する約1~約3.5~約4のpHで安定するように設計される。例えば、EUDRAGITポリマーファミリーのメンバー、例えば、L、S、およびEポリマー、ならびに市販されているその他を含む、ある特定のpH依存性(腸溶性)ポ
リマーを選択することができる。
【0058】
本明細書に提供される組成物は、第1のパルス放出システムの組み合わせ、前述のトリガーパルス放出システムのうちの1つ以上、ならびに/または第1のパルス放出およびこれらのトリガーパルスシステムのうちの1つ以上とまた別のパルス放出システムとの組み合わせを含有し得る。そのようなパルス放出システムは、他の好適な構成成分とともに本明細書に提供される組成物に組み込まれる。
【0059】
胃内滞留型Raftパルス放出の構成成分
本発明の組成物における少なくとも2つのパルス薬物放出システムに加えて、本組成物は、他の構成成分の中でも、1つ以上の胃内滞留型raft形成システムをさらに含有する。そのようなraft形成システムは、ガスの存在下でインビボ(インサイツ)で形成し、そのうちの少なくとも1つがトリガーパルスシステムである1つ以上のパルスを封入するように設計される。任意選択的に、第1(または即時放出)のパルスは、組成物によって提供されるが、raft内に封入されない。様々なraft形成システムが選択され得る。
【0060】
イオン架橋に基づくraft形成システム
ある特定の実施形態では、イオン架橋に基づくraft形成システムが選択される。このシステムは、raft形成システムの約2%w/w~約75%w/w、または約2%w/w~約50%w/w、または約5%w/w~約40%w/w、または約10%w/w~約30%w/w、または約10%w/w~約75%w/w、または約15%w/w~約65%w/w、または約20%w/w~約55%w/w、または約25%w/w~約45%w/wの量で、少なくとも1つのアニオン性ポリマーを含む。1つ以上のアニオン性ポリマー(複数可)は、以下の非限定的なリストから選択され得る:アルギン酸ナトリウム、カラギーナンI、ペクチン、ゲランガム、アルギン酸、カラギーナンk、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはキサンタンガム;以下の二価および三価の金属塩の非限定的なリストから選択される少なくとも1つの架橋剤:炭酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウムのようなカルシウム塩;マグネシウム塩、第一鉄塩、第二鉄塩、アルミニウム塩、および/または亜鉛塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カルシウム、酸および/もしくは亜硫酸と反応すると二酸化炭素ガスを発生する炭酸ナトリウムのような少なくとも1つの発泡剤;ならびに任意選択的に発泡性結合体(effervescent couple)。
【0061】
理論に拘束されることを望むものではないが、酸性媒体と接触すると、アニオン性ポリマーが架橋剤と架橋されると考えられる。胃酸と反応した後に発泡剤によって生成されたガス(例えば、二酸化炭素)は、架橋されたポリマーに封入され、後者を浮遊させる。任意選択的に、発泡性結合体は、二酸化炭素ガスを遊離させるために使用される。
【0062】
例えば、1つ以上のペクチン、アルギン酸、ゲランガム、カラギーナン、およびキサンタンガム、ならびに/またはこれらの組み合わせを含む、様々なアニオン性ポリマーが選択され得る。ペクチンは、ポリマー骨格が主にα-(1-4)-Dガラクツロン酸残基を含む多糖のファミリーである。遊離カルシウムイオンがガラクツロン酸鎖と架橋し、ペクチン架橋の誘導のために製剤に含まれ得る。有利に、ペクチンは水溶性であるため、有機溶媒は製剤に必要ではない。アルギン酸は、1,4-グリコシド結合によって接合される、β-D-マンヌロン酸およびα-L-グルクロン酸残基からなる直鎖状ブロックコポリマー多糖である。アルギネートの水溶液は、アルギネート鎖のα-L-グルクロン酸ブロックの連続したグルクロン酸残基を伴う協同プロセスにより、二価および三価の金属イオンとの架橋を受ける。ゲランガム(Gelrite(商標)またはKelcogel(商標)として市販されている)は、1つのα-L-ラムノース、1つのβ-D-グルクロン
酸、および2つのβ-D-グルクロン酸残基の四糖反復単位を有するアニオン性脱アセチル化細胞外多糖である。カラギーナンは、直鎖状硫酸化多糖類のファミリーである。硫酸化度が異なる、主に3つの種類のカラギーナンがある。カッパ-カラギーナンは、二糖あたり1つの硫酸基を有し、イオタ-カラギーナンは2つの硫酸基を有し、そしてラムダ-カラギーナンは3つの硫酸基を有する。イオタカラギーナンは二価のカチオンにより架橋されるが、カッパカラギーナンは一価のカチオンにより架橋される。キサンタンガムは、2:2:1のモル比のグルコース、マンノース、およびグルクロン酸を含む互糖反復単位で構成されるアニオン性多糖である。
【0063】
膨張に基づくraft形成システム
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、膨張に基づくraft形成システムを含む。このシステムは、(i)pH依存性膨張剤(例えば、ポリ(アクリル酸)(PAA)(例えば、Carbopol(登録商標)971P)、他のカルボマー、キトサンのような)、pH依存性膨張剤(例えば、polyox、HPMC、他のセルロースエーテルのような)の非限定的なリストから選択される少なくとも1つの膨張剤、(ii)任意選択的に少なくとも1つの発泡剤、(iii)任意選択的に1つ以上のpH調整剤、(iv)任意選択的な発泡性結合体を含む。例えば、1つの膨張raftシステムは、(i)少なくとも1つの膨張剤(raftの約30%、10%w/w~75%w/w)、(ii)少なくとも1つの発泡剤;炭酸水素カリウム(約10%、5%w/w~約30%w/w)、(iii)任意選択的に1つ以上のpH調整剤;端歳水素ナトリウム(約10%w/w、5%w/w~約30%w/w)を含む。例えば別の膨張raftシステムは、(i)少なくとも1つの膨張剤(raftの約30%w/w、10%w/w~約75%w/w)(例えば、約30%のPolyox)、(ii)少なくとも1つの発泡剤(5%w/w~30%w/w、または約10%(例えば、炭酸水素カリウム)を含む。
【0064】
システムにおいてインサイツゲルの形成をもたらす様々なpH依存性ポリマーを使用することができる。PAA(Carbopol(登録商標)、カルボマー)またはその誘導体、ポリビニルアセタルジエチルアミノアセテート(AEA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)およびポリ(エチレングリコール)(PEG)の混合物などの様々なポリマーは、pHの変化によりゾルからゲルへの変化を示す。ヒドロゲルの膨張は、弱酸性(アニオン性)基の場合、外部pHが増加すると増加するが、ポリマーが弱塩基性(カチオン性)基を含有する場合減少する。ポリ(メタクリル酸)(PMA)およびポリ(エチレングリコール)(PEG)の混合物も、ゲル化を達成するためにpH感応システムとして使用されている。pH感応ポリマーは、性質が中性またはイオン性であり得る。アニオン性ネットワークは負に帯電した部分を含有し、カチオン性ネットワークは正に帯電した部分を含有し、中性ネットワークは正および負の両方に帯電した部分を含有する。カルボン酸またはスルホン酸基を含有するアニオン性ポリマーネットワークの場合、外部膨張媒体のpHがそのイオン化可能な部分のpKaを超えるため、イオン化が起こる。
【0065】
Carbopolは、製剤の機械的強度を増加させるが、眼組織との表面相互作用、および結果的に接触時間も増加させる、粘膜付着性ポリマーである。Carbopolは、pHが約5.5のそのpKaより高くなると、水溶液において固体からゲルへの遷移を示す。したがって、投与を容易にするために、酸性pHはcarbopol相遷移の前に必要となるであろう。キトサンは、グルコサミンおよびN-アセチルグルコサミンからなるコポリマーのカチオン性多糖であり、これらはキチンの脱アセチル化により得られる天然ポリマーである。これは、非毒性、生体適合性、生分解性の多糖であり、生体付着性、抗菌活性を有する。キトサン水溶液は、6.2を超えるpHで、沈殿物のような水和ゲルを形成する。
【0066】
温度依存性ゲル化に基づくraft形成システム
ある特定の実施形態では、本組成物は、温度依存性ゲル化raft形成システムを含む。そのようなシステムは、(i)任意選択的に、37℃でゲル化するが、室温で溶解されたままである少なくとも1つのゲル化剤(例えば、raft形成システムの約25%w/w~約80%w/w、30%w/w~約75%w/w、または約40%w/w~約65%w/w、または約45%w/w~約55%w/w)を含み得る。好適なゲル化剤の例としては、以下の非限定的なリスト:キシログルカン、ポロキサマー188、ポロキサマー407、およびそれらの組み合わせから選択され得る。本システムは、(ii)少なくとも1つの発泡剤(例えば、raft形成システムの約10%w/w~約40%w/w、または約15%w/w~約35%w/w、または約20%w/w~約30%w/w)、および加えて、任意選択的な発泡性結合体をさらに含有する。例えば、1つの温度依存性ゲル化に基づくraft形成システムは、ポロキサマー407(raft形成システムの約50%、25%w/w~80%w/w、炭酸水素ナトリウム(約25%、10%w/w~40%w/w)を含む。別の例では、温度依存性ゲル化に基づくraft形成システムは、ポロキサマー188(raft形成システムの40%、205~80%w/w、炭酸水素ナトリウム(約25%、10%w/w~40%w/w)を含む。
【0067】
キシログルカンは、(1-2)-β Dガラクトキシロースで部分的に置換されている(1-6)-α-Dキシロース分岐部を有する(1-4)-β-Dグルカン骨格鎖で構成される多糖である。キシログルカンはβ-ガラクトシダーゼによって部分的に分解され、得られた生成物はロッドのような鎖の横の積み重ねによる熱的に可逆的なゲル化を呈する。ゾル-ゲル遷移温度は、ガラクトースの除去度により異なる。これは、体温に温めると熱的に可逆的なゲルを形成する。経口送達におけるその潜在的な用途は、冷キシログルカン溶液の経口投与後の胃におけるインサイツゲル化を可能にするであろう提案された緩徐なゲル化時間(数分間)を利用する。
【0068】
架橋ガラクトマンナンベースのraft形成システム
ある特定の実施形態では、本組成物は、少なくとも1つの架橋ガラクトマンナンベースのraft形成システムを含む。このシステムは、典型的には、(i)次の非限定的なリスト:グアーガム、コロハガム、ローカストビーンガムから選択され得る、raft形成システムの約30%w/w~約80%w/w、または約30%w/w~約60%w/w、または約35%w/w~約55%w/wの量で、少なくとも1つのガラクトマンナン多糖、(ii)次の非限定的なリスト:ホウ砂、グルタルアルデヒド、二価の金属塩、三価の金属塩から選択され得る、raft形成システムの約5%w/w~約20%w/w、または約5%w/w~約15%w/w、または約10%w/wの量で、少なくとも1つの架橋剤、(iii)任意選択的に、約2%w/w~約20%w/w、または約2%w/w~約15%w/w、または約2%w/w~約10%w/w、または約5%w/w~約20%w/w、または約10%w/w~約20%w/wの量で、少なくとも1つの発泡剤、および(iv)任意選択的に、ガラクトマンナン架橋を促進するために添加され得るpH調整剤を含む。ある特定の実施形態では、架橋されたガラクトマンナンベースのraft形成システムは、グアーガム(約50%w/w、30%w/w~80%w/w)、ホウ砂(約10%、6%w/w~16%w/w)、二塩基性リン酸カルシウム脱水和物(約5%、2%w/w~20%w/w)を含む。ある特定の実施形態では、架橋されたガラクトマンナンベースのraft形成システムは、コロハガム(約50%、30%w/w~80%w/w)、ホウ砂(約10%、6%w/w~16%w/w)、メグルミン(約5%、2%w/w~20%w/w)を含む。
【0069】
ガラクトマンナンは、ガラクトース側基を伴うマンノース骨格(より具体的には、アルファ-D-ガラクトースに結合されたそれらの6位からの分岐点を伴う(1-4)-結合されたベータ-D-マンノピラノース骨格、すなわち、1-6-結合されたアルファ-D-ガラクトピラノース)からなる多糖である。好適なガラクトマンナンの例としては、マ
ンノース対ガラクトース比の数を増加させるために、コロハガム、マンノース:ガラクトース約1:1;グアーガム、マンノース:ガラクトース約2:1;タラガム、マンノース:ガラクトース約3:1;ローカストビーンガムまたはカロブガム、マンノース:ガラクトース約4:1が挙げられる。これらは、有用であり、以下に同定されるものを含む様々な源から得ることができるガラクトマンナンに限定されない。
【表1】
【表2】
【0070】
ガラクトマンナンと使用するのに好適な架橋剤は、次の非限定的なリスト:ホウ砂、グルタルアルデヒド、ホウ酸、オルガノチタネート、他の有機金属架橋剤(Zr、Al、Crを含む)、またはそれらの組み合わせから選択され得る。
【0071】
液晶ベースのraft形成システム。
ある特定の実施形態では、本組成物は、少なくとも1つの液晶ベースのraft形成システムを含む。そのようなシステムは、典型的には、(i)raft形成システムの約30%w/w~約80%w/w、または約35%w/w~約70%w/w、または約40%w/w~約60%w/w、または約50%w/wの量で、少なくとも1つの液晶形成物質、(ii)約10%w/w~約25%w/w、または約15%w/w~約25%w/w、または約10%w/w~約20%w/w、または約15%w/w)の量で、少なくとも1つの発泡剤、およびiii)任意選択的に希釈剤を含む。液晶形成物質の例としては、モノオレイン酸グリセリル(GMO、オレイン酸2,3-ジヒドロキシプロリル)が挙げられる。他の好適な液晶形成物質には、例えば、フィタントリオール(PT,3,7,11,15-テトラメチル-1,2,3-ヘキサデカントリオール)および他の脂質、例えば、モノリノレイン、モノエライジン、ホスファチジルエタノールアミン、オレオイルエタノールアミド、リン脂質、PEG化リン脂質、D-α-ポリエチレングリコール、グリセリン酸アルキル、および糖脂質;グリセリン酸オレイル(OG、2,3-ジヒドロキシプロピオン酸オクタデカ-9-エニルエステル)およびグリセリン酸フィタニル(PG、2,3-ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15-テトラメチル-ヘキサデシルエステル)が含まれ得る。ある特定の実施形態では、液晶ベースのraft形成システムは、D-α-ポリエチレングリコール(TPGS)(raft形成システムの約50%w/w、30%w/w~約80%w/w)、炭酸水素ナトリウム(約15%、10%w/w~25%w/w)を含む。ある特定の実施形態では、液晶ベースのraft形成システムは、GMO(約50%w/w、30%w/w~80%w/w)、炭酸水素ナトリウム(約15%w/w、10%w/w~25%w/w)、微結晶セルロース(MCC)(約15%、10%w/w~約25%w/w)を含む。
【0072】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、2つ以上のRaft形成システムを含み得る。
【0073】
生物学的に活性/有用な部分
本明細書に提供される組成物は、少なくとも1つの生物学的活性部分を送達するのに有用である。それらが本組成物に組み込まれる形態にかかわらず、本組成物に含めるために選択される、選択された生物学的に有用な部分またはそれらの粒子、顆粒、複合体などは、大きさが約500ミクロン未満、好ましくは約425ミクロン未満の平均的大きさを有する。しかしながら、大きさがより大きい部分(粒子、顆粒、複合体など)が、送達される総重量(用量)により、および/または発泡剤の量を調節することにより選択され得る。
【0074】
本発明の組成物に使用するための様々な薬物が選択され得る。特に好適な薬物には、胃腸管の上部において部位特異的吸収、ならびに胃腸管および肝臓において飽和性初回通過代謝を呈するもの、胃腸管の上部において部位特異的吸収、および非常に短い排泄半減期(<3時間)を呈する薬物、かつ/または胃腸管の上部において部位特異的吸収を呈し、生物学的リズムに従う疾患を治療するために使用される薬物が含まれる。
【0075】
パルス放出から利益を得ることができる状態または障害の例としては、限定されないが、アレルギー性鼻炎、抗炎症性障害(例えば、関節リウマチおよび関連する有痛性関節障害)、喘息療法、化学療法(抗悪性腫瘍薬)、心血管療法、および/または潰瘍治療が挙げられる。
【0076】
デキストロメトルファン、アンフェタミン、モルヒネ塩酸塩、トラマドール塩酸塩、バクロフェン、グリコピロレート、プレガバリン、フェニレフリン塩酸塩、ビロキサジン塩酸塩、マジンドール塩酸塩、モンテルカストナトリウム、レルカルニジピン塩酸塩(lercarnidipine hydrochloride)、オフロキサシン、レボフロキサシン、レバミピド、アセブトロール、アセカミド塩酸塩(acecamide hydrochloride)、アセクロフェナク、マレイン酸アセトフェナジン、アセトスルホンナトリウム、アコダゾール塩酸塩、アダタンセリン塩酸塩、アルブテロール塩酸塩、アレンドロン酸ナトリウム、アレンドロン酸、アレンテモール臭化水素酸塩、アレタミン塩酸塩、アルフェンタニル塩酸塩、アロセトロン塩酸塩、アルプレノロール塩酸塩、ピレノキシン塩酸塩、アルレスタチンナトリウム、酒石酸アルタンセリン、アマンタジン塩酸塩、アメダリン塩酸塩、アンフェナクナトリウム、アミフロキサシン、アミホスチン、アミカシン、アミロライド塩酸塩、アミナクリン塩酸塩、アミノ安息香酸カリウム、アミノ安息香酸NAリウム、アミプリロース塩酸塩、アミキンシン塩酸塩、アムロジピン、アモバルビタールナトリウム、アモジアキン、アモジアキン塩酸塩、アモキシシリン、硫酸アンフェタミン、アンホマイシン、アムホテリシンB、アンピシリン、アンピロキシカム、硫酸アムピジン、アポモルヒネ塩酸塩、アプラクロニジン塩酸塩、アプリンジン塩酸塩、アプロスレートナトリウム、アプリン酸、アスピリン、アスポキシシリン、アテノロール、アトルバスタチン、アザランスタット塩酸塩、フマル酸アザロキサン、マレイン酸アザナトル、アザチオプリンナトリウム、アジスロマイシン、アズロシリン、アゾリミン、アゾセミド、アゾトマイシン、アズモレンナトリウム、バカンピシリン塩酸塩、バシトラシン、バクロフェン、バロフロキサシン、硫酸バメタン、バミフィリン塩酸塩、バルニジピン、バタノプリド塩酸塩、マレイン酸バテラピン、ベナプリジン塩酸塩、ベナゼプリル塩酸塩、ベナゼプリラート、メシル酸ベンダカロール、ベニジピン、ベノキサプロフェン、ベノキシネート塩酸塩、塩化ベンゼトニウム、ベンゼチミド塩酸塩、臭化ベンジロニウム、ベンジンドピリン塩酸塩、ベンゾクタミン塩酸塩、ベンジダミン塩酸塩、ベプリジル塩酸塩、ベタキソロール塩酸塩、ベバントロール塩酸塩、ベザフィブラート、ビアラミコール塩酸塩、ビシファジン塩酸塩、ビクロジル塩酸塩、ビペナモール塩酸塩、ビフェナミン塩酸塩、ビソプロロール、ビチオノレートナトリウム(bithionolate sodium)、硫酸ブレオマイシン、ブリフェンタニル塩酸塩、マレイン酸ブロムフェニラミン、ブクリジン塩酸塩、ブデソニド、ブジピン、ブホルミン、ブノロール塩酸塩、ブピバカイン塩酸塩、ブプレノルフィン塩酸塩、ブプロピオン塩酸塩、ブスピロン塩酸塩、
ブタバルビタール、ブタクラモール塩酸塩、ブテドロナート四ナトリウム、ブトプロジン塩酸塩、ブトルファノール、ブトキサミン塩酸塩、ブトリプチリン塩酸塩、カンデサルタン、カンジシジン、カプトプリル、カルバスピリンカルシウム、カルベニシリンカリウム、カルベノキソロンナトリウム、カルビドパ、カルビドパ-レボドパ、マレイン酸カルビノキサミン、カルビフェン塩酸塩、カルブテロール塩酸塩、マレイン酸カルフェナジン、カルプロフェン、カルテオロール塩酸塩、カルビシン塩酸塩、カルモナムナトリウム、カルベジロール、カルボトロリン塩酸塩(carvotroline hydrochloride)、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファパロール、セファトリジン、セファザフルールナトリウム、セファゾリン、セフブペラゾン、セフカペンピボキシル、セフダロキシムペンテキシルトシレート(cefdaloxime pentexil tosilate)、セフジニル、セフジトレンピボキシル、セフェピム、カレタケル(caretaker)、セフェテコール、セフィキシム、セフルプレナム、セフィネノキシム塩酸塩(cefinenoxime hydrochloride)、セフィネタゾール(cefinetazole)、セフミンロックス(cefminlox)、セフォジジム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォラミド(ceforamide)、セフォセリス、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン、セフォチアム、セフォキシチン、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピロム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソン、セフロキシム、セファセトリルナトリウム、セファレキシン、セファログリシン、セタベンナトリウム、塩化セタルコニウム、セタモロール塩酸塩、セチリジン、セトフェニコール、セトラキサート塩酸塩、クロフェジアノール塩酸塩、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロプロカイン塩酸塩、マレイン酸クロルフェニラミン、シラドパ塩酸塩、シラスタチンナトリウム、シナンセリン塩酸塩、マレイン酸シネパゼト、シプロフロキサシン、クラブラン酸カリウム、マレイン酸クレンチアゼム、臭化クリジニウム、クリナフロキサシン、塩酸クロミプラミン、クロニジン、クロロペロン塩酸塩、クロルプレナリン塩酸塩、クロキサシリン、コデイン、コレスチポール塩酸塩、シクロフェナジン塩酸塩、シクロホスファミド、シクロプラタム(cycloplatam)、ダポキセチン塩酸塩、ダルグリタゾンナトリウム、デシプラミン塩酸塩、マレイン酸デクスブロムフェニラミン、マレイン酸デクスクロルフェニラミン、デクスクラモール塩酸塩(dexclamol
hydrochloride)、デクスフェンフルラミン塩酸塩、デキストロアンフェタミン、デキストロメトルファン、デキストロルファン塩酸塩、デキストロチロキシンナトリウム、デクスベラパミル、ジアセトロール塩酸塩、シクラミン酸ジアモカイン、ジアパミド、ジベンゼピン塩酸塩、ジクロフェナクナトリウム、ジクロキサシリン、ジフロキサシン塩酸塩、ジフルアニン塩酸塩、ジレバロール塩酸塩、ジルチアゼム塩酸塩、ジメフリン塩酸塩、ジモキサミン塩酸塩、ジオキサドロール塩酸塩、ジピベフィン塩酸塩(dipivefin hydrochloride)、ジバルプロエクスナトリウム、マレイン酸ジゾシルピン、デュロキセチン塩酸塩、エフェドリン、エピネフリン、エプロサルタン、臭化水素酸エストラジノール、エタクリン酸ナトリウム、エタクリン酸、エタンブトール塩酸塩、エトドラク、フェロジピン、フェノフィブラート、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、フルバスタチン、フルバスタチンナトリウム、ホスカルネットナトリウム、フロセミド、ガベンチン(gabentin)、グリセタニルナトリウム、グリコピロレート、臭化水素酸ホマトロピン、ヒドララジン塩酸塩、重酒石酸ヒドロコドン、ヒドロモルホン塩酸塩、臭化水素酸ヒドロキシアンフェタミン、ヒドロキシジン塩酸塩、イブプロフェン、イミプラミン塩酸塩、インドラプリル塩酸塩、インドメタシンナトリウム、インドプロフェン、ナイアシネート(niacinate)、イソプロテレノール塩酸塩、ケトプロフェン、ケトロラク、ラベタロール塩酸塩、ラモトリギン、レチミド塩酸塩、レボフロキサシン、酒石酸レボルファノール、ロスラジン塩酸塩、メクロフェナム酸ナトリウム、メダゼパム塩酸塩、メフェナム酸、メフロキン塩酸塩、メマンチン塩酸塩、メペリジン塩酸塩、メトホルミン、メチシリンナトリウム、メトトレキサート、メチルフェニ
デート塩酸塩、モンテルカストナトリウム、モルヒネ、硫酸モルヒネ、ナドロール、ナフシリンナトリウム、ナフォキシジン塩酸塩、ニカルジピン塩酸塩、ニフェジピン、重酒石酸ノルエピネフリン、オフロキサシン、オクスプレノロール塩酸塩、塩化オキシブチニン、オキシコドン、オキシモルホン塩酸塩、パパベリン塩酸塩、パルギリン塩酸塩、パロキセチン、ペメドラク(pemedolac)、ペニシリンGカリウム、ペニシリンGナトリウム、ペニシリンVカリウム、フェンメトラジン塩酸塩、フェノキシベンザミン塩酸塩、フェンテルミン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、ピペラシリンナトリウム、マレイン酸ピペラミド、ピタバスタチン、プラゾシン塩酸塩、プレガバリン、プロメタジン塩酸塩、プロパフェノン塩酸塩、プロプラノロール塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、デスロラタジン/硫酸プソイドエフェドリン、ラミプリル、レマセミド塩酸塩、レミフェンタニル塩酸塩、ロピニロール、ロスバスタチン、タシアミン塩酸塩(taciamine hydrochloride)、タクリン塩酸塩、タランピシリン塩酸塩、タロプラム塩酸塩、タメトラリン塩酸塩、Nデスメチルタモキシフェン塩酸塩、フマル酸タンプラミン、タムスロシン塩酸塩、タンダミン塩酸塩、テルミサルタン、テロキサントロン塩酸塩、テルジピン塩酸塩、テマフロキサシン塩酸塩、チアパミル塩酸塩、チアラミド塩酸塩、チオペリドン塩酸塩、チプレノロール塩酸塩、チプロピジル塩酸塩、チキナミド塩酸塩、トラマドール塩酸塩、トラマゾリン塩酸塩、トラゾドン塩酸塩、トラゾドン-hcl、トレベンゾミン塩酸塩、トレフェンタニル塩酸塩、トリフルオペラジン塩酸塩、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸、バルサルタンバルデナフィル、ベンラファキシン、ベラドリン塩酸塩、ベラパミル塩酸塩、ベリロパム塩酸塩、ビロキサジン塩酸塩、ゾフェノプリルカルシウム、ゾラミン塩酸塩、ゾラゼパム塩酸塩から選択される少なくとも1つの薬物を含む、胃内滞留型パルス放出(GRPR)粉末、POS、および懸濁液に好適な薬物の例。他の好適な薬物は当業者に明らかであろう。
【0077】
1つ以上の薬物が少なくとも1つの薬物-イオン交換樹脂複合体において使用され得る。典型的には、これは、化合物(例えば、薬物または鉱物)の酸性塩もしくは塩基性塩をイオン交換樹脂からの対イオンと交換することを伴う。しかしながら、ある特定の薬物の双性イオンまたは非塩形態は、イオン交換樹脂複合体と複合体を形成することができる。そのような複合体は1つ以上の薬物を含有し得る。ある特定の実施形態では、異なる薬物を有する2つ以上の薬物-イオン交換樹脂複合体を、単一組成物において使用することができる。ある特定の実施形態では、異なる放出形態、例えば、即時放出、放出調節(異なる放出調節コーティングを含む)の2つ以上の薬物-イオン交換樹脂複合体を、単一組成物において使用することができる。
【0078】
薬物をイオン交換樹脂と複合する方法は当該技術分野で既知である。例えば、そのような複合体を調製するための好適な方法および好適なイオン交換樹脂の例は、米国特許第8,062,667号、US8287848、US8,202,542(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。製薬用途に好適なイオン交換樹脂は、典型的には、水不溶性であり、好ましくはイオン性であるか、またはそれと複合される薬物(他の部分)とのイオン交換を可能にするために、適切なpH条件下でイオン化することができる官能基を含有する薬理学的に不活性の有機および/または無機マトリックスを含む。有機マトリックスは、合成(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スルホン化スチレン、スルホン化ジビニルベンゼンのポリマーまたはコポリマー)または部分的に合成(例えば、変性セルロースおよびデキストラン)であり得る。無機マトリックスは、好ましくは、イオン基の付加により修飾されたシリカゲルを含む。共有結合イオン基は、強酸性(例えば、スルホン酸、リン酸)、弱酸性(例えば、カルボン酸)、強塩基性(例えば、第一級アミン)、弱塩基性(例えば、第四級アンモニウム)、または酸性および塩基性基の組み合わせであり得る。一般に、イオン交換クロマトグラフィーおよび水の脱イオン化などの用途において使用するのに好適なイオン交換体の種類は、薬物調製の制御放出において使用するのに好適である。そのようなイオン交換体は、Chromatography.(E.
Heftmann,editor),van Nostrand Reinhold Company,New York(1975)の「Principles of Ion
Exchange」(pp:312-343)および「Techniques and
Applications of Ion-Exchange Chromatography」(pp:344-361)においてH.F.Waltonにより記載されている。本発明に使用され得るイオン交換樹脂は、約6ミリ当量(meq)/グラム、好ましくは約5.5meq/グラム以下の交換容量を有する。典型的には、イオン交換粒子の大きさは、約5ミクロン~約750ミクロンであり、好ましくは粒子の大きさは、液体剤形については約40ミクロン~約250ミクロンの範囲内であるが、最大約1,000ミクロンの粒子が固形剤形、例えば、錠剤、ペレット、粉末(懸濁用粉末を含む)、およびカプセルに使用され得る。実質的に下限を下回る粒子の大きさは、一般に、加工の全ステップにおいて取り扱いが困難である。一般に、コーティングされていない薬物-イオン交換樹脂粒子は、この範囲の下端にある傾向があるが、コーティングされた薬物-イオン交換樹脂粒子はこの範囲の上端にある傾向がある。しかしながら、コーティングされていないおよびコーティングされた両方の薬物-イオン交換樹脂粒子がこの大きさの範囲内で設計され得る。
【0079】
製剤において使用される最も一般的な有機樹脂は、架橋ポリスチレンおよびポリメタクリレートポリマーである。イオン交換樹脂は、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂として、大きく2つの主なカテゴリーに分類される。カチオン交換樹脂は、ポリマーに結合するアニオンおよび活性カチオンを含有する。カチオン交換樹脂は、スチレンおよびジビニルベンゼンの共重合により調製され、ベンゼン環の大部分に導入されたスルホン酸基(-SO3H)を有する。強カチオン酸樹脂は、それらの化学挙動が強酸のものと類似するためそのように名付けられる。これらの樹脂は、スルホン酸基(-SO3H)の酸(R-SO3H)および塩(RSO3Na)の両方の形態において高度にイオン化される。強酸樹脂の水素およびナトリウム形態は、高度に解離され、交換可能なNa+およびH+は、pHの全範囲にわたって交換に容易に利用可能である。結果的に、強酸樹脂の交換容量は、溶液のpHと無関係である。例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムUSP(Amberlite IRP 69)。弱酸性カチオン交換樹脂:これらの樹脂は、弱く解離される弱有機酸と同様に挙動する。弱酸樹脂において、イオン化可能基は、強酸樹脂に使用されるスルホン酸基(SO3H)とは反対に、カルボン酸(COOH)である。弱酸樹脂の解離度は、溶液のpHにより強く影響を受ける。結果的に、樹脂容量は、溶液のpHに一部依存する。典型的な弱酸樹脂は、pH6.0を下回る限られた容量を有する。
【0080】
アニオン交換樹脂は、最初に、CH2Cl基を結合するためにスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーのベンゼン環をクロロメチル化し、次いでこれらをトリエチルアミンなどの第三級アミンと反応させることにより調製され得る。強塩基型のアニオン交換樹脂は高度にイオン化され、交換容量はpHにより影響を受けない。ある特定の実施形態では、強い塩基性アニオン交換体は、スチレンおよびジビニルベンゼンコポリマーに結合された第四級アンモニウム基を含有する。強塩基性アニオン交換樹脂の例は、コレスチラミンである。Duolite AP143/1083は、Dow Chemical Companyにより供給されるコレスチラミンUSPである。弱塩基型のアニオン交換樹脂は、pH7を超える最小交換容量を呈する。弱塩基性アニオン交換体の例としては、スチレンおよびジビニルベンゼンに結合されたポリアルキルアミン基が挙げられる。
【0081】
無機イオン交換体には、微孔質のアルミノケイ酸塩鉱物であるゼオライトが含まれる。ゼオライトは、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、およびその他などの多種多様なカチオンを受け入れることができる多孔質構造を有する。これらの陽イオンは、やや緩く保持され、接触溶液において他と容易に交換され得る。より一般的な鉱物ゼオライトのいくつかは、方沸石、りょう沸石、斜プチロル沸石、輝沸石、ソーダ沸石、灰十字沸石、および
束沸石である。ゼオライトの鉱物式の例は、Na2Al2Si3O10 2H2O(ソーダ沸石の式)である。
【0082】
選択されたイオン交換樹脂は、製薬用途または組成物の改善された性能の安全性を最大にするために、製造業者または購入者によってさらに処理され得る。樹脂に存在する不純物は、除去されるか、または複合体化前もしくは複合体化中もしくはその後のいずれかの調製の任意の段階でそれらを組み込むことによる、一般的なキレート剤、酸化防止剤、防腐剤、例えば、エデト酸二ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの使用により中和され得る。これらの不純物は、それらが結合されたそれらのキレート剤とともに、造粒剤および任意選択的な放出調節コーティングでイオン交換樹脂をさらに処理する前に除去され得る。
【0083】
選択された薬物または薬物の組み合わせのイオン交換樹脂への結合は、当該技術分野で既知の方法を使用して達成することができる。結合は、当該技術分野で既知の、例えば、バッチまたはカラムプロセスとして行われてもよい。典型的には、そのように形成された薬物-イオン交換樹脂複合体を、濾過により収集し、適切な溶媒で洗浄して、任意の未結合薬物または副産物を除去する。複合体は、室温または高温で、トレイで、流動床乾燥機もしくは他の好適な乾燥機で、風乾することができる。
【0084】
一例では、薬物-イオン交換樹脂複合体は、薬物(複数可)を脱イオン化水に溶解し、撹拌下でイオン交換樹脂USPを添加し、さらに撹拌し続けることによって調製され得る。撹拌は、15分~20時間、より好ましくは、30分~10時間、より好ましくは1時間~5時間の期間さらに継続される。一実施形態では、薬物-イオン交換樹脂複合体は、限定されないが、ブレンド、スラリー化、混練、粉砕、ふるい分け、充填、圧縮、凍結乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥、または遠心造粒などの当該技術分野で既知の方法を使用して調製することができる。薬物-樹脂結合は、当該技術分野で既知の、例えば、バッチまたはカラムプロセスとして行われてもよい。例示的な一実施形態では、薬物-イオン交換樹脂複合体は、バッチプロセスにおいて調製される。一実施形態では、薬物-樹脂複合体は、薬物の水性スラリーおよびイオン交換樹脂を約0.5時間~約12時間撹拌し、続いて形成された薬物-イオン交換樹脂複合体を濾過および乾燥することにより調製された。複合体(レジネート(resinate)とも称される)における重量比での薬物:イオン交換樹脂は、1:0.1~1:100、より好ましくは1:1~1:10であり得る。樹脂に担持され得る薬物の量は、典型的には、薬物-イオン交換樹脂粒子の約1重量%~約75重量%の範囲である。一実施形態では、薬物-イオン交換樹脂粒子の約10重量%~約40重量%、より望ましくは約15重量%~約30重量%の担持が用いられる。薬物-イオン交換樹脂粒子の約25重量%の典型的な担持が有利に用いられ得る。
【0085】
任意選択的に、薬物-イオン交換樹脂複合体は、製剤および/またはさらなる加工(例えば、コーティング)の調製において、ポリマーで造粒され得る。そのようなポリマーは、任意選択的に、複合体の薬物(複数可)に放出調節特性を提供し得る。好適に、造粒剤は、薬物-イオン交換樹脂複合体上に別個のコーティング層を形成しないが、それとマトリックスを形成する。好適なポリマーシステムの例としては、例えば、ポリ酢酸ビニルポリマーもしくはそれを含有するポリマーの混合物(例えば、KOLLICOAT(登録商標)SR 30D)、酢酸セルロース、エチルセルロースポリマー(例えば、AQUACOAT(商標)ECD-30またはSURELEASE(商標))、アクリル系ポリマーもしくはコポリマー(例えば、アクリル系樹脂のEUDRAGITファミリーにより代表される)、フタル酸セルロース、またはそのような水不溶性ポリマーもしくはポリマーシステムの任意の組み合わせが挙げられる。放出遅延特性を提供し得る1つの好適なポリマーシステムは、本明細書に記載されるポリ酢酸ビニルポリマー、またはEUDRAGITファミリーからのアクリル系ポリマーである。EUDRAGITファミリーからの好適な
アクリル系ポリマーの例としては、例えば、アクリル酸エチルおよびメタクリル酸メチルを含むコポリマー(例えば、EUDRAGIT NE-30D)、またはEUDRAGIT RS、RL30D、RL100、もしくはNE(大部分はpH依存性ポリマー)が挙げられ、あまり望ましくはないが、EUDRAGITポリマーファミリーのある特定のpH依存性メンバー、例えば、L、S、およびEのポリマーを選択してもよい。任意の有意な放出遅延特性を提供しないポリマーおよび/またはポリマーシステムの例としては、例えば、米国特許第4,221,778号および公開された米国特許出願公開第US2003/009971A1号(それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載の含浸剤が挙げられる。好適な含浸剤の具体的な例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(例えば、KOLLIDON(登録商標)K30)マンニトール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびソルビトールが挙げられる。造粒剤の量は、典型的には、コーティングされていない薬物-イオン交換樹脂粒子の約3重量%~約30重量%以上の範囲である。より好ましくは、使用される場合、造粒剤は、コーティングされていない薬物-イオン交換樹脂粒子の約5重量%~約20重量%の範囲、最も好ましくは約10重量%~約15重量%の範囲である。これらの造粒剤は、相当量の複合体形成が起こる前、起こっている最中、または起こった後のいずれかの、薬物-イオン交換樹脂複合体の形成中に添加され得る。より好ましい実施形態では、遅延剤は、薬物-イオン交換樹脂複合体の形成後に添加される。薬物-イオン交換樹脂複合体粒子と造粒剤とを混合したら、混合物を乾燥させ、適切に製粉する。場合によっては、製粉は、複合体を完全に乾燥する前に行い、その後再度さらに乾燥させ、続いて製粉して所望の大きさまたは他の所望の特徴を得ることができる。
【0086】
薬学的に許容される賦形剤
本発明の組成物は、例えば、粉末、懸濁用粉末(POS)、カプセル中の粉末、または懸濁液であり得る。本組成物の賦形剤は適切に選択される。懸濁液および/またはER POS中の賦形剤には、懸濁剤ならびに/または増粘剤、湿潤剤、および/もしくは防腐剤が含まれ得る。賦形剤は後続のセクションにおいて考察される。
【0087】
本明細書に提供される時間調整パルス放出組成物は、一般に、懸濁基剤、好ましは水性懸濁基剤と混合する粉末から懸濁液の形態で投与される。本明細書で使用される場合、水性懸濁液は、懸濁液の液体構成成分の少なくとも約50%v/v、好ましくは約60%w/v超、約80%w/w超、少なくとも約90%~最大100%が水である懸濁液を指す。懸濁基剤は、結合剤、希釈剤、唾液分泌剤(salivating agents)、界面活性剤、風味剤、甘味料、着色料、酸味剤(souring agents)、粘稠剤、滑剤、キレート剤、滑沢剤、可溶化剤、安定剤、懸濁剤、防腐剤、共溶媒、固化防止剤、緩衝液など、またはそれらの組み合わせをさらに含有含み得る。好適な結合剤の例としては、限定されないが、デンプン、アルファ化デンプン、ポリビニルピロリドン、コポビドン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース、ならびにそれらの塩が挙げられる。好適な希釈剤の例としては、限定されないが、デンプン、微結晶セルロース、ラクトース、キシリトール、マンニトール、マルトース、ポリオール、フルクトース、グアーガム、ソルビトール、水酸化マグネシウム、リン酸二カルシウム、共処理されたマンニトールおよびケイ酸カルシウムなど、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。滑沢剤の例としては、限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、およびステアリルフマル酸ナトリウムが挙げられる。好適な滑剤には、限定されないが、コロイド状シリカ、シリカゲル、沈降シリカ、またはそれらの組み合わせが含まれる。好適な唾液分泌剤には、限定されないが、微粒子状ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、または沈降微粒子状シリカが含まれる。可溶化剤の例としては、限定されないが、セトステアリルアルコール、コレステロール、ジエタノールアミ
ン、オレイン酸エチル、パルミトステアリン酸エチレングリコール、グリセリン、モノステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、レシチン、中鎖グリセリド、モノエタノールアミン、オレイン酸、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロオキシエチレンヒマシ油グリコシド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、アルギン酸プロピレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸、ヒマワリ油、トリエタノールミン(triethanolmine)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。酸味剤には、限定されないが、フマル酸一ナトリウムおよび/またはクエン酸が含まれる。本発明の組成物は、限定されないが、薬物-樹脂複合体で上述されるものなどの安定剤も含み得る。用いることができる好適なキレート剤は、本明細書において上で考察されている。好適な粘稠剤には、限定されないが、共処理された微結晶セルロース、例えば、限定されないが、Avicel RC591、Avicel CL-611、D-ソルビトール溶液、ポリアルキレンオキシド、例えば、限定されないが、ポリエチレンオキシド;セルロースエーテル、例えば、限定されないが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース;ガム、例えば、限定されないが、アルギン酸アラビアガム(gum arabic alginates)、アガー、アルギン酸ナトリウムグアーガム、ローカストビーン、カラギーナン、タラ、アラビアガム、トラガカント、ペクチン、キサンタン、ゲラン、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、プスツラン(pusstulan)、ラミナリン、スクレログルカン(scleroglucan)、アラビアガム、イヌリン、カラヤ、ウェラン(whelan);ポリオール、例えば、限定されないが、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ソルビトール、およびグリセロール;carbopol、デンプンおよびデンプンベースのポリマー、例えば、限定されないが、アルファ化デンプン、アクリル酸およびメタクリル酸ポリマー、ならびにそれらのエステル、無水マレイン酸ポリマー、ポリマレイン酸;ポリ(アクリルアミド);ポリ(オレフィンアルコール);ポリ(N-ビニルラクタム);ポリオキシエチレン化糖類;ポリオキサゾリン;ポリビニルアミン;ポリ酢酸ビニル;ポリイミン;ポビドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、およびポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンとの混合物、キチン、シクロデキストリン、ゼラチン、キトサンなど、またはそれらの任意の混合物が含まれる。好適な界面活性剤には、限定されないが、アニオン性、非イオン性、カチオン性、および双性界面活性剤、またはそれらの混合物が含まれる。本組成物に用いられる非イオン性界面活性剤には、限定されないが、エトキシ化脂肪酸エステル、エトキシ化脂肪酸エーテル、エトキシ化ソルビタンエーテル、エトキシ化アルキル-フェノール、グリセロールエステル、グリセロール糖エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレングリセロール、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセロール、ポリオキシエチレン-20-ステアリン酸セチル、ポリオキシエチレン-25-ステアリン酸セチル、ポリオキシエチレン(25)-モノステアリン酸オキシプロピレン、ポリオキシエチレン-20-モノパルミチン酸ソルビタン、ポリ-オキシエチレン-16-tert-オクチルフェノール、ポリオキシエチレン-20-セチルエーテル、ポリエチレングリコール(1000)モノセチルエーテル、エトキシ化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール-ラノリン誘導体、ポリオキシエチレン(25)プロピレングリコールステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、ポリオキシエチレン-20-モノパルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン-16-tert-オクチルフェノール、ポリオキシエチレン-20-セチルエーテル、ウンデシレン酸グリセリル(glycyeryl undecylenate)およびポリソルベート60、capmul(中鎖グリセリド)、peceol(モノオレイン酸グリセリル)、ラウリン酸グリセリルおよびカプリル酸グリセリル(Capmul MCM)、PEGソルビタン脂肪酸エステル様PEG-20モノラウリル酸ソルビタン(Tween 20)、PEG-20モノステアリン酸ソルビ
タン(Tween 60)、PEG-20モノオレイン酸ソルビタン(Tween 80)、ソルビタン脂肪酸エステル様モノラウリン酸ソルビタン(Span 20)、ステアリン酸グリセリル(Cithrol GMS)など、またはそれらの混合物が含まれ得る。好適なカチオン性界面活性剤には、限定されないが、第四級アンモニウム化合物、アルキルアミドアミン、および第四級エステル化合物、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジミリスチルジメチルアンモニウム、塩化ジパルミチルジメチルアンモニウムなど、ならびにそれらの混合物が含まれる。好適なアニオン性界面活性剤には、限定されないが、脂肪アルコールサルフェート、アルファオレフィンスルホネート、スルホスクシネート、リン酸エステル、カルボキシレート、サルコシネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、a-メチルエステルスルホネート、スルホン脂肪酸(sulfonic fatty acids)、アルキルサルフェート、脂肪アルコールエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、混合ヒドロキシエーテルサルフェート、モノグリセリド(エーテル)サルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)サルフェート、スルホスクシネート、スルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミドセッケン、エーテルカルボン酸、イセチオネート、サルコシネート(sarcosinates)、タウリド(taurides)、アルキルオリゴグリコシドサルフェート、アルキル(エーテル)ホスフェートなど、およびそれらの混合物が含まれる。用いられる好適な双性界面活性剤には、限定されないが、N-アルキル-N,N-グリシン酸ジメチルアンモニウム、例えば、グリシン酸ココアルキルジメチルアンモニウム、N-アシルアミノプロピル-N,N-グリシン酸ジメチルアンモニウム、グリシン酸ココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルなど、およびそれらの混合物が含まれる。さらに、本発明の組成物は、限定されないが、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、および安息香酸ナトリウムなどの防腐剤をさらに含み得る。使用され得る好適な共溶媒には、限定されないが、エタノールおよび多価アルコール、例えば、限定されないが、グリセリン、プロピレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物が含まれる。さらに、任意選択的に組み込まれ得る固化防止剤には、限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素、第三リン酸カルシウム、粉末セルロース、三ケイ酸マグネシウム、デンプン、およびそれらの混合物が含まれる。好適な甘味剤には、限定されないが、アスパルテーム、ステビア抽出物、甘草、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファム、スクラロース、グリチルリチン酸二カリウム、ガラクトース、フルクトース、異性化糖、デキストロース、スクロース、糖、マルトース、部分加水分解デンプン、粉あめ、ソルビトール、キシリトール、マンニトールなど、またはそれらの混合物が含まれる。本組成物は、1つ以上の天然および/または人工風味剤、例えば、限定されないが、ミント風味剤、オレンジ風味剤、レモン風味剤、イチゴ香気、バニラ風味剤、ラズベリー香気、サクランボ風味剤、トゥッティフルッティ風味剤、magnasweet 135、キーライム風味剤、ブドウ風味剤、trusil art 511815、および果実抽出物などを含み得る。好適な着色料には、限定されないが、色素および染料、例えば、FD&C Red、FD&C Yellow、FD&C Green、およびFD&C Blueなど、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0088】
少なくとも2つのトリガーパルスを有する胃内滞留型RAFTを形成する組成物であって、本組成物は、(a)少なくとも1つの即時放出型パルス放出形態の生物学的活性部分と、(b)少なくとも1つの遅延型トリガー放出形態の生物学的活性部分と、(c)RAFTシステムと、を含み、経口摂取後、本組成物は、その中に封入されている自己集合胃内滞留型RAFTと、(a)および(b)のうちの少なくとも1つの生物学的活性部分と、非毒性発泡剤によりインサイツで生成されたガスと、を提供し、それにより、2重パルスシステムを有する浮遊性胃内滞留型RAFTを提供し、少なくとも第2のパルスは、トリガーパルスであり、少なくとも約3時間、少なくとも1つの生物学的活性部分を胃内に保持するが、但し、本組成物が、ガンマヒドロキシブチレートおよびその塩、水和物、互
変異性体、もしくは溶媒和物、またはそれらの複合体を含まないものとする。
【0089】
ある特定の実施形態では、本組成物は、(a)少なくとも1つの薬物または薬物-イオン交換樹脂複合体;逆腸溶性コートでコーティングされた有機酸;任意選択的な発泡剤;任意選択的な増量剤と、(b)(a)の粒子上にメタクリル酸アンモニオコポリマー、タイプA(例えば、Eudragit RL)もしくはメタクリル酸アンモニオコポリマー、タイプB(例えば、Eudragit RS)、または両方のコートと、を含む、粒子を含む、S字状pH遅延型トリガーシステムを含み、該コートは、(a)の有機酸の存在下で溶解し、それにより、摂取後に、酸の存在下で、(a)の薬物のためのS字状pH遅延型トリガーを含むRAFTが形成される。ある特定の実施形態では、このパルストリガーシステムは、薬物-イオン交換樹脂複合体の形態で、少なくとも1つの生物学的活性部分(このパルストリガーシステムの約60%w/w、10%w/w~80%w/w)+(i)逆腸溶性コーティングされた有機酸(約8%、3~25%w/w)、(ii)任意選択的な発泡剤(約5%w/w、0~10%w/w)、(iii)任意選択的に、増量剤(約5%、0~30%w/w)、(iv)少なくとも1つのpH依存性、水不溶性、透水性拡散バリアコーティングポリマー(例えば、メタクリル酸アンモニオコポリマー、タイプB)、約20%、トリガーシステムの重量に基づいて10~60%w/w)を含む。
【0090】
ある特定の実施形態では、このパルストリガーシステムは、少なくとも1つの生物学的活性部分(トリガーシステムの約10%、5%w/w~40%w/w)+(i)逆腸溶性コーティングされた有機酸(約3%w/w、1%w/w~10%w/w))(ii)任意選択的な発泡剤(約2%、0~6%w/w)(iii)任意選択的に、増量剤(約10%、5%w/w~25%w/w))(iv)少なくとも1つのpH依存性、水不溶性、透水性拡散バリアコーティングポリマー(例えば、メタクリル酸アンモニオコポリマー、タイプB)、約10%、トリガーシステムの4%w/w~40%w/wを含む。
【0091】
ある特定の実施形態では、本組成物は、少なくとも1つの侵食バリア形成ポリマー;任意選択的な発泡剤;少なくとも1つの薬物または薬物-イオン交換樹脂複合体;および任意選択的な増量剤を含む、侵食遅延型トリガーシステムを含み、それにより、胃酸の存在下で、薬物のための侵食遅延型トリガーシステムを含むRAFTが形成される。ある特定の実施形態では、侵食可能なトリガーシステムは、(i)少なくとも1つの生物学的活性部分(例えば、API、薬物-イオン交換樹脂複合体、またはそれらの混合物)(約60%w/w、5%w/~80%w/w)、(ii)非限定的なリスト:HPMC、HEC、他のセルロースエーテル、グアーガムから選択される少なくとも1つの侵食バリア形成ポリマー(約15%、5%w/w~20%w/w)、(iii)任意選択的な発泡剤(約7%w/s、0~15%w/w)、(iv)任意選択的に、トリガーシステムの増量剤(約15%w/w、0~75%w/w)を含む。好適に、活性部分および賦形剤は、侵食可能なバリアでコーティングされる
【0092】
ある特定の実施形態では、本組成物は、(i)少なくとも1つの薬物または薬物-イオン交換樹脂複合体、少なくとも1つのpH調整剤、少なくとも1つの膨張剤、任意選択的に、少なくとも1つの腸溶性ポリマーでコーティングされる発泡剤を含む顆粒、(ii)(i)の顆粒上の逆腸溶性コートを含む、pH膨張遅延型トリガーシステムを有し、それにより、胃酸の存在下で、(i)の薬物のためのpH膨張遅延型トリガーシステムを含むRAFTが形成される。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、最低でも、(i)少なくとも1つの生物学的活性部分(例えば、薬物、薬物-イオン交換樹脂複合体、またはそれらの混合物)(約40%w/w、10%w/w~75%w/w)、(ii)少なくとも1つのpH調整剤(約20%w/w、5%w/w~50%w/w)、(iii)任意選択的に、トリガーシステムの膨張剤(約10%w/w、5%w/w~25%w/w)を含有する顆粒を含む。顆粒は、少なくとも1つの腸溶性ポリマーでコーティングされ、コ
ーティングされた顆粒は、逆腸溶性ポリマーでさらにコーティングされる。
【0093】
ある特定の実施形態では、本組成物は、(i)少なくとも1つの薬物または薬物-イオン交換樹脂複合体、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つの膨張増強剤、胃酸の存在下で発泡する任意選択的な発泡剤、任意選択的に増量剤を含む、顆粒と、(ii)(i)の顆粒上の少なくとも1つの透水性拡散バリアコーティングと、を含む、膨張遅延型トリガーシステムを有し、それにより、胃酸の存在下で、(i)の薬物のための膨張遅延型トリガーシステムを含むRAFTが形成される。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、最低でも、(i)少なくとも1つの生物学的活性部分(薬物-イオン交換樹脂複合体、トリガーの約20%w/w、10%w/w~50%w/w)、(ii)少なくとも1つのゲル化剤、HPMCK4M(約6%w/w、3%w/w~15%w/w)、(iii)少なくとも1つの膨張増強剤(約20%、10%w/w~50%w/w)、(iv)増量剤、MCC(約20%w/w、10%w/w~50%w/w)を含有する顆粒を含む。顆粒は、トリガーシステムの少なくとも1つの拡散バリアPVA(約15%、10%w/w~40%w/w)でコーティングされる。
【0094】
ある特定の実施形態では、本組成物は、(i)少なくとも1つの薬物-イオン交換樹脂複合体、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つの浸透性物質、胃酸の存在下で発泡する任意選択的な発泡剤、任意選択的な増量剤を含む、顆粒と、(ii)(i)の顆粒上の少なくとも1つの透水性拡散バリアコーティングと、を含む、浸透遅延型トリガーシステムを有し、それにより、胃酸の存在下で、(i)の薬物のための浸透遅延型トリガーシステムを含むRAFTが形成される。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、最低でも、(i)少なくとも1つの生物学的活性部分(薬物-イオン交換樹脂複合体、トリガーの約20%w/w、10%w/w~50%w/w)、(ii)少なくとも1つのゲル化剤、HPMCK4M(約8%w/w、3%w/w~15%w/w)、(iii)少なくとも1つの浸透性物質(約20%、10%w/w~50%w/w)、(iv)トリガーシステムにおける増量剤、MCC(約20%w/w、10%w/w~50%w/w)を含有する顆粒を含む。顆粒は、少なくとも1つの拡散バリアPVA(約15%、10%w/w~40%w/w)でコーティングされる。
【0095】
ある特定の実施形態では、本組成物は、2つ以上の異なる遅延型トリガーパルス放出物を有する。
【0096】
ある特定の実施形態では、組成物は、2つ以上の異なる薬物を含む。
【0097】
ある特定の実施形態では、Raftは、2つ以上の異なる薬物を含む。
【0098】
ある特定の実施形態では、Raftは、3つ以上の異なる放出形態で同じ薬物を含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、形成されたRAFTは、例えば、例に記載の、および参照により本明細書に組み込まれるアッセイを使用してインビトロで測定されるとき、最初は少なくとも約15mmの幅である。
【0100】
ある特定の実施形態では、本組成物は、2つ以上の異なるRAFTシステムを含む。
【0101】
ある特定の実施形態では、raft形成システムは、少なくとも1つの架橋性多糖と、少なくとも1つの架橋剤と、胃酸と反応して、ガスを形成する少なくとも1つの発泡剤と、を含む。ある特定の実施形態では、架橋性多糖は、グアーガム、コロハガム、またはローカストビーンガムから選択されるガラクトマンナンであり、少なくとも1つの架橋剤は、ホウ砂、グルタルアルデヒド、および/またはジルコニウムから選択される。ある特定
の実施形態では、RAFTは、ゲル化剤を含み、このゲル化剤は、室温で液体であり、体温でゲル化し、キシログルカンまたはポロキサマーから選択される。ある特定の実施形態では、RAFTは、立方相形成脂質を含む。
【0102】
使用
好適に、本発明の組成物は、トリガーパルス放出を有するGR Raft形成システムを含有し、このシステムは、酸の存在下(例えば、胃または胃酸)で、インビボで形成される。ある特定の実施形態では、本組成物は、約3時間未満の第1のパルス、トリガーパルスである第2のパルス、および任意選択的に、またはさらに追加のパルスを有する、1つ以上の薬物(複数可)の時間調整パルス放出物を対象に提供する。
【0103】
理論に拘束されることを望むものではないが、酸と反応すると、組成物中の発泡剤(および/または発泡性結合体)は、生物学的活性部分を含有するGR RAFTが少なくとも2時間、好ましくは約3時間~4時間胃に留まることを可能にする非毒性ガスを形成すると考えられる。この保持時間は、少なくとも2時間、幽門弁の大きさを超えるGR Raftによってもたらされると考えられる。よって、本組成物は、この時間の長さの間、幅が少なくとも約15mm、またはより一般的には幅が少なくとも約20mmのGR Raftを形成すると考えられる。
【0104】
本発明の組成物は、様々な状態、障害、および/または疾患を有する対象の治療に非常に適している。ある特定の実施形態では、本組成物は、組成物中の活性部分の胃送達の増加および/またはその生物学的利用能の増加をもたらす。本発明の組成物は、様々な状態、障害、および/または疾患を有する対象の治療に非常に適している。アレルギー性鼻炎、関節リウマチおよび関連障害、喘息、がん、心血管疾患、炎症性障害、ならびに潰瘍のうちの1つ以上。ある特定の実施形態では、本組成物は、GR Raftにおいて1つ以上の薬物(複数可)の調節された放出物を対象に提供し、この調節された放出プロファイルは、少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも3時間~4時間である。
【0105】
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含むこと(comprising)」、ならびに「含有する(contain)」、「含有すること(containing)」、および「含有する(contains)」という用語は、排他的ではなく、包括的であると解釈されるべきである。「なる(consist)」、「なること(consisting)」、およびその変形は、包括的ではなく、排他的であると解釈されるべきである。
【0106】
本明細書に提供される数値に関して本明細書で使用される場合、「約」という用語は、10%の変動を示し得る。
【実施例0107】
本発明は、例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよく、等価物がその要素に代用されてもよいことを当業者は理解するであろう。目的および利点を含む本発明の詳細は、以下の非限定的な例示的実例において提供される。
【0108】
実施例1.トリガーとしての膨張
【表3】
I.薬物-イオン交換樹脂複合体の調製
量を量ったグリコピロレートHBrを1000mlの水に溶解する。量を量った樹脂を、撹拌下で薬物溶液に添加し、4時間の間撹拌をさらに続ける。薬物-樹脂複合体を濾過により単離し、60℃で乾燥させる。薬物-樹脂複合体を#60のスクリーンに通す。
【0109】
II.PR担体組成物の調製
量を量った第2のパルス用の薬物-イオン交換樹脂複合体を、量を量ったMCC、HPMCK4M、クロス-ポビドン、炭酸カルシウムと15分間混合し、10%w/vのPVP K30溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。撹拌下でトリアセチンを精製水に添加し、撹拌し続けて、透明な溶液を得る。トリアセチン溶液をKollicoat(登録商標)(登録商標)SR30D分散液に徐々に添加し、1時間撹拌し続ける。コーティング分散液をふるい#40を通してスクリーンにかける。調製した分散液を使用して、乾燥させた顆粒をコーティングし、コーティングプロセスの間中、撹拌し続ける。Fluid Bed Coaterにおいてコーティングを行い、コーティングした複合体を60℃で乾燥させる。コーティングした複合体を#40のスクリーンに通す。
【0110】
III.GR担体組成物の調製
量を量った第1のパルス用の薬物-イオン交換樹脂複合体を、量を量ったカラギーナン
イオタ、カラギーナンカッパ、クエン酸カリウム、炭酸カルシウムと15分間混合し、10%w/vのコ-ポビドン溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。
【0111】
IV.ステップIIの顆粒およびステップIIIの顆粒を、量を量り、スクリーンに通した(#40)HPMC K100LV、バナナ風味剤、タルク、安息香酸ナトリウム、マンニトール、およびスクラロースと15分間混合する。4.8mgのグリコピロレートHBr等価用量には、160mgのPOSが、投与時に、2gmの精製水を使用して再構成される。
【0112】
インビトロ試験
I.浮遊期間の開始および期間
4.8mgのグリコピロレートHBr用量に等しい懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)に添加する。raftが浮遊するのに必要な時間および浮遊期間が予想される:
【表4】
【0113】
II.raftの復元性
4.8mgのグリコピロレートHBr用量に等しい懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)0.1N HCl溶液に添加する。次に、これを、37℃および75rpmに設定された機械シェーカーを使用して撹拌する。予想所見:raftは、12時間の間完全性を保持する。
【0114】
III.インビトロ放出研究
50rpmおよび37℃に設定されたUSP Apparatus Type II、ならびに媒体として500mlのSGF(酵素なし)を使用して、溶解研究を行う。予想される放出を
図2に図示する。
【0115】
実施例2.トリガーとしての膨張+浸透
【表5】
I.薬物-イオン交換樹脂複合体の調製
量を量ったプロメタジンHClを1000mlの水に溶解する。量を量った樹脂を、撹拌下で薬物溶液に添加し、4時間の間撹拌をさらに続ける。薬物-樹脂複合体を濾過により単離し、60℃で乾燥させる。薬物-樹脂複合体を#60のスクリーンに通す。
【0116】
II.PR担体組成物の調製
量を量った第2のパルス用の薬物-イオン交換樹脂複合体を、量を量ったMCC、HPMCK4M、マンニトール、炭酸カルシウムと15分間混合し、10%w/vのPVP K30溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。撹拌下でトリアセチンを精製水に添加し、撹拌し続けて、透明な溶液を得る。撹拌下でトリアセチン溶液をKollicoat(登録商標)SR30D分散液に徐々に添加し、1時間撹拌し続ける。コーティング分散液をふるい#40を通してスクリーンにかける。調製した分散液を使用して、乾燥させた顆粒をコーティングし、コーティングプロセスの間中、撹拌し続ける。Fluid Bed Coaterにおいてコーティングを行い、コーティングした複合体を60℃で乾燥させる。コーティングした複合体を#40のスクリーンに通す。
【0117】
III.GR担体組成物の調製
量を量った第1のパルス用の薬物-イオン交換樹脂複合体を、量を量ったカラギーナンイオタ、カラギーナンカッパ、クエン酸カリウム、炭酸カルシウムと15分間混合し、10%w/vのコ-ポビドン溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。
【0118】
IV.ステップIIの顆粒およびステップIIIの顆粒を、量を量り、スクリーンに通した(#40)HPMC K100LV、バナナ風味剤、タルク、安息香酸ナトリウム、マンニトール、およびスクラロースと15分間混合する。25mgのプロメタジンHCl等価用量には、318mgのPOSが、投与時に、2gmの精製水を使用して再構成される。
【0119】
インビトロ試験
I.浮遊期間の開始および期間
25mgのプロメタジンHClに等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)に添加する。raftが浮遊するのに必要な時間および浮遊期間が予想される:
【表6】
【0120】
II.raftの復元性
25mgのプロメタジンHCl用量に等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)0.1N HCl溶液に添加する。次に、これを、37℃および75rpmに設定された機械シェーカーを使用して撹拌する。予想所見:raftは、12時間の間完全性を保持する。
【0121】
III.インビトロ放出研究
50rpmおよび37℃に設定されたUSP Apparatus Type II、ならびに25mgのプロメタジンHCl用量に等しい再構成した懸濁液量を使用して、媒体として500mlのSGF(酵素なし)を使用して、溶解研究を行う。予想される溶解曲線を
図3に提供する。
【0122】
実施例3.トリガーとしてのpH、第2のパルスを生成するためのS字状放出システム
【表7】
I.薬物-イオン交換樹脂複合体の調製
量を量ったプロプラノロールHClを1000mlの水に溶解する。量を量った樹脂を、撹拌下で薬物溶液に添加し、4時間の間撹拌をさらに続ける。薬物-樹脂複合体を濾過により単離し、60℃で乾燥させる。薬物-樹脂複合体を#60のスクリーンに通す。
【0123】
II.PR担体組成物の調製
量を量ったフマル酸および20gmのMCCを混合し、2gmのコポビドンを含有する水溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。トリアセチンを使用して可塑化したEudragit EPOを使用して、顆粒をコーティングする。コーティングした顆粒を#40のスクリーンに通す。これらの顆粒を、量を量った第2のパルス用の薬物-イオン交換樹脂複合体および炭酸カルシウムと15分間混合し、10%w/vのコポビドン溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。トリアセチンを使用して可塑化したEudragit RSを使用して、顆粒をコーティングする。Fluid Bed Coaterにおいてコーティングを行い、コーティングした複合体を60℃で乾燥させる。コーティングした顆粒を#40のスクリーンに通す。
【0124】
III.GR担体組成物の調製
量を量ったカラギーナンイオタ、ペクチン、ゲランガム、炭酸水素ナトリウムを15分
間混合し、10%w/vのコ-ポビドン溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。
【0125】
IV.ステップIの量を量った薬物-イオン交換樹脂複合体、ステップIIのPR顆粒、およびステップIIIの顆粒を、量を量り、スクリーンに通した(#40)HPMC K100LV、バナナ風味剤、タルク、安息香酸ナトリウム、マンニトール、およびスクラロースと15分間混合する。80mgのプロプラノロールHClには、708mgのPOSが、投与時に、5gmの精製水を使用して再構成される。
【0126】
インビトロ試験
I.浮遊期間の開始および期間
80mgのプロプラノロールHClに等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)に添加する。raftが浮遊するのに必要な時間および浮遊期間が予想される:
【表8】
【0127】
II.raftの復元性
80mgのプロプラノロールHCl用量に等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)0.1N HCl溶液に添加する。次に、これを、37℃および75rpmに設定された機械シェーカーを使用して撹拌する。予想所見:raftは、12時間の間完全性を保持する。
【0128】
III.インビトロ放出研究
50rpmおよび37℃に設定されたUSP Apparatus Type II、ならびに25mgのプロメタジンHCl用量に等しい再構成した懸濁液量を使用して、媒体として500mlのSGF(酵素なし)を使用して、溶解研究を行う。予想される溶解曲線を
図4に提供する。
【0129】
実施例4.トリガーとしての侵食
【表9】
I.薬物-イオン交換樹脂複合体の調製
量を量ったプレガバリンを1000mlの水に溶解する。量を量った樹脂を、撹拌下で薬物溶液に添加し、4時間の間撹拌をさらに続ける。薬物-樹脂複合体を濾過により単離し、60℃で乾燥させる。薬物-樹脂複合体を#60のスクリーンに通す。
【0130】
II.PR担体組成物の調製
量を量った第2のパルス用の薬物-イオン交換樹脂複合体を、量を量ったMCC、HPMC K4M、炭酸カルシウムと15分間混合し、10%w/vのPVP K30溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。乾燥させた顆粒を、PEG400を使用して可塑化したHPMC K100LV使用して、流動床プロセッサにおいてコーティングする。コーティングした顆粒を60℃で乾燥させる。コーティングした顆粒を#30のスクリーンに通す。
【0131】
III.GR担体組成物の調製
量を量ったカラギーナンイオタ、ペクチン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、およびHPMC K100LVを15分間混合し、造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。
【0132】
IV.量を量った第1のパルス用の薬物-イオン交換樹脂複合体、ステップIIの顆粒、およびステップIIIの顆粒を、量を量り、スクリーンに通した(#40)HPMC K100LV、バナナ風味剤、タルク、安息香酸ナトリウム、マンニトール、およびスク
ラロースと15分間混合する。300mgのプレガバリン等価用量には、3870mgのPOSが、投与時に、30gmの精製水を使用して再構成される。
【0133】
インビトロ試験
I.浮遊期間の開始および期間
300mgのプレガバリンに等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)に添加する。raftが浮遊するのに必要な時間および浮遊期間が以下の通り予想される:
【表10】
【0134】
II.raftの復元性
300mgのプレガバリンに等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)0.1N HCl溶液に添加する。次に、これを、37℃および75rpmに設定された機械シェーカーを使用して撹拌する。予想所見:raftは、12時間の間完全性を保持する。
【0135】
実施例5.トリガーとしてのpH、第2のパルスを生成するためのS字状放出システム
I.溶融顆粒の調製
【表11】
量を量ったPEG 8000およびポロキサマー407を一緒に溶融する。量を量ったバルサルタンを、混合下で溶融塊に添加し、さらに5分間混合し続ける。量を量った微結晶セルロースを混合下で添加する。連続混合下で、全塊を周囲温度まで冷却させる。冷却した塊を#20のスクリーンに通す。
【表12】
【0136】
II.PR担体組成物の調製
量を量ったフマル酸および20gmのMCCを混合し、2gmのコポビドンを含有する水溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。トリアセチンを使用して可塑化したEudragit EPOを使用して、顆粒をコーティングする。コーティングした顆粒を#40のスクリーンに通す。これらの顆粒を、量を量った第2のパルス用のバサルタン(vasartan)溶融顆粒、MCC、および炭酸カルシウムと15分間混合し、10%w/vのコポビドン溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。トリアセチンを使用して可塑化したEudragit(登録商標)RSを使用して、顆粒をコーティングする。Fluid Bed Coaterにおいてコーティングを行い、コーティングした複合体を60℃で乾燥させる。コーティングした顆粒を#40のスクリーンに通す。
【0137】
III.GR担体組成物の調製
量を量ったカラギーナンイオタ、ペクチン、ゲランガム、炭酸水素ナトリウムを15分間混合し、10%w/vのコ-ポビドン溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。
【0138】
IV.量を量った第1のパルス用の溶融顆粒、ステップIIのPR顆粒、およびステップIIIの顆粒を、量を量り、スクリーンに通した(#40)HPMC K100LV、バナナ風味剤、タルク、安息香酸ナトリウム、マンニトール、およびスクラロースと15分間混合する。80mgのバルサルタンには、674mgのPOSが、投与時に、3gm
の精製水を使用して再構成される。
【0139】
インビトロ試験
I.浮遊期間の開始および期間
80mgのバルサルタンに等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)に添加する。raftが浮遊するのに必要な時間および浮遊期間が予想される:
【表13】
【0140】
II.raftの復元性
80mgのバルサルタンに等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)0.1N HCl溶液に添加する。次に、これを、37℃および75rpmに設定された機械シェーカーを使用して撹拌する。予想所見:raftは、12時間の間完全性を保持する。
【0141】
III.インビトロ放出研究
50rpmおよび37℃に設定されたUSP Apparatus Type II、ならびに80mgのバルサルタンに等しい再構成した懸濁液量を使用して、媒体として500mlのSGF(酵素なし)を使用して、溶解研究を行う。予想される溶解曲線を
図5に提供する。
【0142】
実施例6.トリガーとしてのpH、第2のパルスを生成するためのS字状放出システム
【表14】
I.薬物顆粒の調製
量を量ったプロプラノロールHClをMCCと混合し、10%w/vのコポビドン溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。
【0143】
II.PR担体組成物の調製
量を量ったコハク酸および20gmのMCCを混合し、2gmのコポビドンを含有する水溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。トリアセチンを使用して可塑化したEudragit EPOを使用して、顆粒をコーティングする。コーティングした顆粒を#40のスクリーンに通す。これらの顆粒を、量を量った第2のパルス用の薬物-イオン交換樹脂複合体および炭酸カルシウムと15分間混合し、10%w/vのコポビドン溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。トリアセチンを使用して可塑化したEudragit RSを使用して、顆粒をコーティングする。Fluid Bed Coaterにおいてコーティングを行い、コーティングした複合体を60℃で乾燥させる。コーティングした顆粒を#40のスクリーンに通す。
【0144】
III.GR担体組成物の調製
量を量ったカラギーナンイオタ、ペクチン、ゲランガム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸カルシウムを15分間混合し、10%w/vのコ-ポビドン溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。
【0145】
IV.量を量ったステップIの薬物顆粒、ステップIIのPR顆粒、およびステップIIIの顆粒を、量を量り、スクリーンに通した(#40)HPMC K100LV、バナナ風味剤、タルク、安息香酸ナトリウム、マンニトール、およびスクラロースと15分間混合する。80mgのプロプラノロールHClには、454mgのPOSが、投与時に、5gmの精製水を使用して再構成される。
【0146】
インビトロ試験
I.浮遊期間の開始および期間
80mgのプロプラノロールHClに等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)に添加する。raftが浮遊するのに必要な時間および浮遊期間は、以下であると予想される:
【表15】
【0147】
II.raftの復元性
80mgのプロプラノロールHCl用量に等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)0.1N HCl溶液に添加する。次に、これを、37℃および75rpmに設定された機械シェーカーを使用して撹拌する。予想所見:raftは、12時間の間完全性を保持する。
【0148】
実施例7:トリガーとしてのpH+膨張
【表16】
I.第1のパルスにおけるトラマドール塩酸塩顆粒
量を量ったトラマドール塩酸塩をMCCと15分間混合し、水中10%w/vのコ-ポビドン溶液を使用して造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させる。乾燥させた顆粒を#40のスクリーンに通す。
【0149】
II.PR担体組成物の調製
量を量った第2のパルスにおけるトラマドール塩酸塩を、量を量ったリン酸二カルシウム二水和物と混合し、PVP溶液を使用して造粒する。顆粒を乾燥させ、#60のスクリーンに通す。クエン酸トリエチルを使用して可塑化したEudragit L100-55で、顆粒をコーティングする。コーティングした顆粒を、TECによって可塑化されたEudragit EPOでさらにコーティングする。コーティングした顆粒を#40のスクリーンに通す。
【0150】
III.GR担体組成物の調製
量を量ったカラギーナンイオタ、ペクチン、ゲランガム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、HPMC K4Mを15分間混合し、造粒する。湿っている顆粒を60℃で乾燥させ、#40のスクリーンに通す。
【0151】
IV.ステップIの顆粒、ステップIIIのコーティングした顆粒、およびステップIVの顆粒を、量を量り、スクリーンに通した(#40)HPMC K100LV、バナナ風味剤、タルク、安息香酸ナトリウム、マンニトール、およびスクラロースと15分間混
合する。
【0152】
100mgのトラマドール塩酸塩には、415mgのPOSが、投与時に、3gmの精製水を使用して再構成される。
【0153】
インビトロ試験
I.浮遊期間の開始および期間
100mgのトラマドール塩酸塩に等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)に添加する。raftが浮遊するのに必要な時間および浮遊期間が以下の通り予想される:
【表17】
【0154】
II.raftの復元性
100mgのトラマドール塩酸塩に等しい再構成した懸濁液量を、500mlのSGF(酵素なし)0.1N HCl溶液に添加する。次に、これを、37℃および75rpmに設定された機械シェーカーを使用して撹拌する。予想所見:raftは、12時間の間完全性を保持する。
【0155】
インビトロ放出研究
50rpmおよび37℃に設定されたUSP Apparatus Type II、ならびに媒体として500mlのSGF(酵素なし)を使用して、溶解研究を行う。100mgのトラマドール塩酸塩に等しい再構成した懸濁液量を添加する。サンプリング点:1、2、3、4、6、8、10、12時間。予想される溶解曲線を
図6に提供する。
【0156】
本明細書に列記されるすべての特許、特許公開、および他の刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。2017年12月18日に出願された米国特許出願第62/607,141号は、参照により組み込まれる。本発明は、特に好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく修正を行うことができることを理解されたい。そのような修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。