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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099064
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】防災システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
G08B23/00 510A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024080643
(22)【出願日】2024-05-17
(62)【分割の表示】P 2023064593の分割
【原出願日】2018-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】樋口 豊
(72)【発明者】
【氏名】菊池 浩生
(57)【要約】
【課題】防災性を向上させることが可能な防災システムを提供すること。
【解決手段】
複数の居住領域の内の第1の居住領域で異常が発生したか否かを判定する判定部241と、判定部241が第1の居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、複数の居住領域各々に設けられている表示灯装置2を用いて、少なくとも第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行う出力部242と、を備え、出力部242は、第1の居住領域に設けられている表示灯装置2を介して、第1の居住領域における危険物の有無を示す情報を出力する処理、又は、複数の居住領域の内の第1の居住領域の近隣の居住領域に設けられている表示灯装置2を介して、近隣の居住領域における危険物の有無を示す情報を出力する処理、を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の居住領域の内の第1の居住領域で異常が発生したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記第1の居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、前記複数の居住領域各々に設けられている警報装置を用いて、少なくとも前記第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行う出力手段と、を備え、
前記出力手段は、前記第1の居住領域に設けられている前記警報装置を介して、前記第1の居住領域における危険物の有無を示す情報を出力する処理、又は、
前記複数の居住領域の内の前記第1の居住領域の近隣の居住領域に設けられている前記警報装置を介して、前記近隣の居住領域における危険物の有無を示す情報を出力する処理、を行う、
防災システム。
【請求項2】
複数の居住領域の内の第1の居住領域で異常が発生したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記第1の居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、前記複数の居住領域各々に設けられている警報装置を用いて、少なくとも前記第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行う出力手段と、を備え、
前記出力手段は、前記第1の居住領域に設けられている前記警報装置を介して、第1の色の光を出力することにより、前記第1の居住領域で異常が発生したことを報知し、且つ、前記複数の居住領域の内の前記第1の居住領域の近隣の居住領域に設けられている前記警報装置を介して、前記第1の色とは異なる色である第2の色の光を出力することにより、前記第1の居住領域で異常が発生したことを報知する、
防災システム。
【請求項3】
複数の居住領域の内の第1の居住領域で異常が発生したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記第1の居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、前記複数の居住領域各々に設けられている警報装置を用いて、少なくとも前記第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行う出力手段と、を備え、
前記出力手段は、前記複数の居住領域各々に設けられている前記警報装置に関して、前記第1の居住領域から遠い居住領域に設けられている前記警報装置ほど発光周期に対する発光している時間の比率であるDuty比が小さくなる点滅パターンで、前記複数の居住領域各々に設けられている前記警報装置から点滅する光を出力することにより、前記第1の居住領域で異常が発生したことを報知する、
防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住戸内の異常を監視する無線監視システムが知られていた(例えば、特許文献1参照)。この無線監視システムにおいては、住戸内の異常を検出した場合に、屋外に設けられている屋外表示灯を点灯させることにより、異常の発生を報知していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-106995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昨今の高齢化社会の中で、特許文献1の無線監視システム等を含む住戸を監視する技術において、独居老人の住戸における防災性の向上が求められていた。すなわち、居住者である独居老人の住戸にて異常(例えば、火災等)が発生した場合、当該居住者の体力や知力の衰えにより、異常に対して迅速に対応(例えば、通報や救助要請等)することが困難となる可能性があり、防災性の向上が求められていた。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、防災性を向上させることが可能な防災システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の防災システムは、複数の居住領域の内の第1の居住領域で異常が発生したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記第1の居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、前記複数の居住領域各々に設けられている警報装置を用いて、少なくとも前記第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行う出力手段と、を備え、前記出力手段は、前記第1の居住領域に設けられている前記警報装置を介して、前記第1の居住領域における危険物の有無を示す情報を出力する処理、又は、前記複数の居住領域の内の前記第1の居住領域の近隣の居住領域に設けられている前記警報装置を介して、前記近隣の居住領域における危険物の有無を示す情報を出力する処理、を行う。
【0007】
請求項2に記載の防災システムは、複数の居住領域の内の第1の居住領域で異常が発生したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記第1の居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、前記複数の居住領域各々に設けられている警報装置を用いて、少なくとも前記第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行う出力手段と、を備え、前記出力手段は、前記第1の居住領域に設けられている前記警報装置を介して、第1の色の光を出力することにより、前記第1の居住領域で異常が発生したことを報知し、且つ、前記複数の居住領域の内の前記第1の居住領域の近隣の居住領域に設けられている前記警報装置を介して、前記第1の色とは異なる色である第2の色の光を出力することにより、前記第1の居住領域で異常が発生したことを報知する。
【0008】
請求項3に記載の防災システムは、複数の居住領域の内の第1の居住領域で異常が発生したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記第1の居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、前記複数の居住領域各々に設けられている警報装置を用いて、少なくとも前記第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行う出力手段と、を備え、前記出力手段は、前記複数の居住領域各々に設けられている前記警報装置に関して、前記第1の居住領域から遠い居住領域に設けられている前記警報装置ほど発光周期に対する発光している時間の比率であるDuty比が小さくなる点滅パターンで、前記複数の居住領域各々に設けられている前記警報装置から点滅する光を出力することにより、前記第1の居住領域で異常が発生したことを報知する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の防災システムによれば、例えば、防災性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る防災システムが適用される居住領域を示す図である。
図2】防災システムを示すブロック図である。
図3】表示灯装置の設置例を示す図である。
図4】居住領域関連情報を例示した図である
図5】動作条件情報を例示した図である。
図6】連携元側防災処理のフローチャートである。
図7】連携先側防災処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る防災システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、防災システムに関するものである。
【0013】
ここで、「防災システム」とは、防災処理を行うシステムであり、例えば防災処理を行う専用システム、汎用システム(例えば、汎用的に用いられるコンピュータ等を含むシステム)に対して防災処理を行う機能を実装することにより実現されるシステム等を含む概念である。この防災システムは、例えば、判定手段、及び出力手段を備える。
【0014】
また、「判定手段」とは、複数の居住領域の内の第1の居住領域で異常が発生したか否かを判定する手段である。「異常」とは、通常とは異なっていることであり、例えば、火災、及びガス漏れ等を含む概念である。「居住領域」とは、居住者が居住している領域であり、例えば、マンション又はアパートの如き共同住宅における各住戸、仮設住宅、被災者向け住宅、団地における各一戸建て住宅、及びグループホーム(一例としては、複数人の介護を受ける者と介護を行う者とが共に共同生活を行う住宅等)、あるいは、これらの各住戸又は住宅の居室等を含む概念である。「第1の居住領域」とは、複数の居住領域のうちの一部の居住領域であり、具体的には、後述する第2の居住領域以外の居住領域であり、例えば、1個の住戸又は住宅、及び複数の住戸又は住宅等を含む概念である。「第2の居住領域」とは、複数の居住領域のうちの一部の居住領域であり、具体的には、第1の居住領域とは異なる居住領域であり、例えば、「第1の居住領域」と同様な具体例を含む概念である。
【0015】
また、「出力手段」とは、判定手段が第1の居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、少なくとも第1の居住領域についての警報を行う第1の警報装置を介して、表示警報情報を出力する手段であり、具体的には、第1の警報装置とは異なる他の装置と連携して、第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行う手段であり、例えば、第1の警報装置を発光させて、表示警報情報を出力する等を含む概念であり、また、第1の警報装置を介して出力される表示警報情報とは異なる態様で第2の警報装置から異常発生情報を出力させる手段等を含む概念であり、また、第1の警報装置の警報出力手段から、表示警報情報を出力する手段等を含む概念である。なお、「異常発生情報」については後述する。
【0016】
また、「表示警報情報」とは、異常に関する情報であり、具体的には、居住領域の外部又は内部に対して出力される情報であり、例えば、異常の発生が判定された居住領域の警報装置である第1の警報装置を介して出力される情報であり、また、視覚にて認識できる情報であり、一例としては、発光、画像、及びテキスト等にて示される情報等を含む概念である。「表示警報情報」とは、例えば、異常が発生したことを報知するための情報等を含む概念である。また、「異常発生情報」とは、異常に関する情報であり、具体的には、居住領域の外部又は内部に対して出力される情報であり、例えば、第1の警報装置以外の警報装置である第2の警報装置を介して出力される情報であり、また、視覚にて認識できる情報であり、一例としては、発光、画像、及びテキスト等にて示される情報等を含む概念である。また、「異常発生情報」とは、例えば、判定手段が第1の居住領域で異常が発生したものと判定したことを特定する情報等を含む概念である。そして、これらの表示警報情報及び異常発生情報については、出力手段が、相互に同じ態様にて出力したり、あるいは、相互に異なる態様にて出力したりしてもよい。なお、ここでの「態様」とは、情報の出力のありさまであり、例えば、発光のありさまである発光態様等を含む概念である。特に、これらの情報を相互に異なる態様にて出力する場合については、例えば、各情報において発光、画像、又はテキスト等の異なる種類にて出力してもよく、あるいは、同種(例えば、発光)にて異なるありさまで(例えば、発光タイミング、点滅速度、又は発光強度を異ならせて)出力してもよい。
【0017】
また、「第1の警報装置」とは、複数の居住領域の内の少なくとも第1の居住領域について警報を行う装置であり、具体的には、少なくとも第1の居住領域の外部又は内部に対して警報を行う装置であり、また、第1の警報装置の警報出力手段の少なくとも一部が第1の居住領域の外部又は内部に設けられている装置であり、例えば、少なくとも視認可能な警報を行う装置等を含む概念であり、一例としては、発光、画像出力、及びテキスト出力等を行う装置等を含む概念である。また、「第1の警報装置」とは、例えば、第1の居住領域に対応付けられている装置であり、また、第1の居住領域の位置に対応する位置(例えば、第1の居住領域の壁や扉の外面等)に設けられる装置等を含む概念である。また、「警報出力手段」とは、第1の警報装置の一部であり、例えば、情報を出力するための一部の部品等を含む概念である(なお、後述する第2の警報装置の警報出力手段も同様な概念であることとする)。
【0018】
また、「他の装置」とは、第1の警報装置とは異なる他の装置であり、具体的には、同種類の装置及び異種類の装置等を含む概念であり、例えば、第2の警報装置、錠前装置、及び記録装置等を含む概念である。
【0019】
また、「第2の警報装置」とは、複数の居住領域の内の少なくとも第2の居住領域について警報を行う装置であり、具体的には、少なくとも第2の居住領域の外部又は内部に対して警報を行う装置であり、また、第2の警報装置の警報出力手段の少なくとも一部が第2の居住領域の外部又は内部に設けられている装置であり、例えば、第1の警報装置と同種類の装置であって、少なくとも視認可能な警報を行う装置等を含む概念であり、一例としては、発光、画像出力、及びテキスト出力等を行う装置等を含む概念である。また、「第2の警報装置」とは、例えば、第2の居住領域に対応付けられている装置であり、また、第2の居住領域の位置に対応する位置(例えば、第2の居住領域の壁や扉の外面等)に設けられる装置等を含む概念である。
【0020】
また、「錠前装置」とは、第1の居住領域を施錠又は解錠する装置であり、例えば、第1の警報装置と異種類の装置であって、公知の電気錠装置等の技術を用いて実現される装置等を含む概念である。「記録装置」とは、第1の居住領域の居住者に関する情報を記録する装置であり、例えば、第1の警報装置と異種類の装置である。また、「記録装置」とは、例えば、居住者による発話を受け付けて、受け付けた発話に基づいて任意の処理(例えば、家電製品の制御等)を行う装置であって、当該発話に関する情報を居住者に関する情報として記録する装置等を含む概念であり、一例としては、いわゆるスマートスピーカー等の技術を用いて実現される装置等を含む概念である。「第1の居住領域の居住者に関する情報」とは、例えば、第1の居住領域に居住している居住者が記録装置に対して発話した場合における、発話時間、発話内容、発話時の環境情報(室温、湿度、又は室外の天候等)等に関する情報等を含む概念である。
【0021】
また、「他の装置と連携して、第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行う」とは、例えば、防災目的のために他の装置と少なくとも通信を行って、防災処理を行うこと等を含む概念である。
【0022】
また「防災処理」とは、第1の居住領域の防災に関する処理であり、具体的には、他の措置と連携して行われる処理であり、例えば、第1~第4防災処理等を含む概念である。「第1防災処理」とは、第2の警報装置と連携して行われる処理であり、例えば、判定手段が第1の居住領域で異常が発生したものと判定したことを特定する情報である異常発生情報を、第2の警報装置を介して出力させる処理等を含む概念である。「第2防災処理」とは、第2の警報装置と連携して行われる処理であり、例えば、判定手段が異常が発生したものと判定した第1の居住領域を特定する情報である居住領域特定情報を、第2の警報装置を介して出力させる処理等を含む概念である。「第3防災処理」とは、錠前装置と連携して行われる処理であり、例えば、錠前装置により第1の居住領域を施錠又は解錠させる処理等を含む概念である。「第4防災処理」とは、記録装置と連携して行われる処理であり、例えば記録装置に記録されている情報を参照して、居住者の現在の状態を推定し、推定した居住者の状態に応じた警報を行う処理等を含む概念である。
【0023】
そして、以下の実施の形態では、「居住領域」が共同住宅における各住戸であり、また、「異常」が火災である場合において、第1防災処理を行う場合について説明し、第2~第4防災処理については、変形例において説明する。
【0024】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0025】
(構成)
まず、本実施の形態に係る防災システムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る防災システムが適用される居住領域を示す図であり、また、図2は、防災システムを示すブロック図であり、また、図3は、表示灯装置の設置例を示す図である。なお、実際には、居住領域8は4個以上存在するが、図1では、3個の居住領域81~83を代表して図示して説明する。また、これらの居住領域81~83については、相互に区別して説明する場合を除いて、「居住領域8」と総称して説明する(感知器1、表示灯装置2、及び扉7も同様とする)。
【0026】
図2の防災システム900は、例えば、感知器1、及び表示灯装置2を備える。
【0027】
(構成-感知器)
感知器1は、図1の自己が設置されている居住領域8で発生する火災を検出する異常検出手段であり、例えば、外部装置(例えば、表示灯装置2)との間で無線通信を行う装置である。また、感知器1は、例えば、居住領域81の火災を検出する感知器111、居住領域82の火災を検出する感知器121、及び居住領域83の火災を検出する感知器131等を備える。この感知器1の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図1の居住領域8内に設置されており、また、火災で発生する煙を検出することにより火災発生を検出する手段、及び無線通信手段等を備えて構成することができる。
【0028】
(構成-表示灯装置)
表示灯装置2は、警報装置であり、例えば、図1及び図3に示すように、居住領域8における内外を隔てる扉7に設置されているものであり、詳細には、扉71における居住領域81の室外側に設置されているものである。また、表示灯装置2は、居住領域81の扉71に設置されている表示灯装置201、居住領域82の扉72に設置されている表示灯装置202、及び居住領域83の扉73に設置されている表示灯装置203等を備える。この表示灯装置2は、例えば、図2に示すように、通信部21、表示部22、記録部23、及び制御部24を備える。
【0029】
(構成-表示灯装置-通信部)
通信部21は、少なくとも感知器1又は他の表示灯装置2との間で無線通信を行うための通信手段である。この通信部21の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の無線通信回路等を用いて構成することができる。
【0030】
(構成-表示灯装置-表示部)
表示部22は、表示警報情報を出力する警報出力手段である。この表示部22の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、光を出力する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を備えて構成することができ、例えば、居住領域8の外部に設けられている。なお、本実施の形態では、表示部22の全部が居住領域8の外部に設けられている場合について説明するが、一部のみが居住領域8の外部に設けられるように構成してもよい。
【0031】
(構成-表示灯装置-記録部)
記録部23は、表示灯装置2の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのフラッシュメモリ(図示省略)を用いて構成されている。ただし、フラッシュメモリに代えてあるいはフラッシュメモリと共に、ハードディスク、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。この記録部23には、図2に示すように、表示灯装置ID、地図情報、居住領域関連情報、及び動作条件情報が格納されている。
【0032】
(構成-表示灯装置-記録部-表示灯装置ID)
「表示灯装置ID」とは、表示灯装置2を一意に識別する装置識別情報(識別情報を、「ID」とも称する)である。そして、このような表示灯装置IDの具体的な記録手法は任意であるが、例えば、製造時、施工時、あるいは、その他の任意のタイミングに、通信部21を介して入力することにより記録されることとする(地図情報、居住領域関連情報、及び動作条件情報も同様とする)。例えば、表示灯装置201の記録部23には「表示灯装置ID」として「ID201」が記録されており、また、表示灯装置202の記録部23には「表示灯装置ID」として「ID202」が記録されており、また、表示灯装置203の記録部23には「表示灯装置ID」として「ID203」が記録されていることとする。
【0033】
(構成-表示灯装置-記録部-地図情報)
「地図情報」とは、図1の居住領域81~83を含む居住領域8各々における位置を特定可能な地図を特定する情報であり、例えば、居住領域8の建物(例えば、共同住宅であるマンション)についての任意の基準物(例えば、通り芯、壁、梁、又は柱等)を基準とした、居住領域8各々の位置、あるいは、各居住領域に設定されている部材(例えば、扉7等)の位置を示す階数又は平面座標等を特定可能な情報である。
【0034】
(構成-表示灯装置-記録部-居住領域関連情報)
「居住領域関連情報」とは、居住領域8に関連する情報であり、例えば、居住領域8に設置されている装置又は居住領域8の位置を特定する情報である。図4は、居住領域関連情報を例示した図である。居住領域関連情報は、この図4に示すように、例えば、項目「居住領域ID」、項目「感知器ID」、項目「表示灯装置ID」、及び項目「位置情報」と、各項目に対応する情報とを相互に対応付けて格納している。項目「居住領域ID」に対応する情報は、居住領域を一意に識別する居住領域IDである(図4では、図1の居住領域81の居住領域IDとしての「ID81」、居住領域82の居住領域IDとしての「ID82」、及び居住領域83の居住領域IDとしての「ID83」等)。項目「感知器ID」に対応する情報は、各居住領域8に設置されている感知器1を一意に識別する感知器IDである(図4では、感知器111の感知器IDとしての「ID111」、感知器121の感知器IDとしての「ID121」、及び感知器131の感知器IDとしての「ID131」等)。項目「表示灯装置ID」に対応する情報は、前述したように、各居住領域8に設置されている表示灯装置2を一意に識別する表示灯装置IDである(図4では、表示灯装置201の表示灯装置IDとしての「ID201」、表示灯装置202の表示灯装置IDとしての「ID202」、及び表示灯装置203の表示灯装置IDとしての「ID203」等)。項目「位置情報」に対応する情報は、居住領域8の位置を特定する位置情報である。そして、この位置情報としては、図2の地図情報を参照することにより、各居住領域8の相互間の相対的位置関係(例えば、各居住領域8の間の距離等)を特定可能となる情報が格納されていることとする。例えば、図4では、居住領域8の建物内での名称である「101号室」~「103号室」等が記録されており、図2の地図情報を参照することにより、これらの「101号室」~「103号室」等の情報から、各居住領域8の相互間の相対的位置関係を特定可能となっていることとする。
【0035】
(構成-表示灯装置-記録部-動作条件情報)
「動作条件情報」とは、表示灯装置2の動作条件を特定する情報である。図5は、動作条件情報を例示した図である。動作条件情報は、この図5に示すように、例えば、項目「状態情報」、及び項目「発光態様情報」と、各項目に対応する情報とを相互に対応付けて格納している。
【0036】
項目「状態情報」に対応する情報は、表示灯装置2の連携に関する状態を特定する状態情報である。そして、この状態情報としては、表示灯装置2が連携元装置又は連携先装置の何れとして動作しているかを特定し、また、連携先装置である場合において連携元装置に対する当該連携先装置の位置を特定する情報が用いられることとする。
【0037】
なお、「連携元装置」とは、防災のために各表示灯装置2の間で行われる通信における情報の送信元となる表示灯装置2であり、例えば、第1の警報装置に対応しており、また、火災が検出された居住領域8に設置されている表示灯装置2を示している。また、「連携先装置」とは、防災のために各表示灯装置2の間で行われる通信における前述の連携元装置からの情報の送信先となる表示灯装置2であり、例えば、第2の警報装置に対応しており、また、火災が検出されていない居住領域8に設置されている表示灯装置2を示している。
【0038】
そして、図5では、「連携元」、「連携先1」、「連携先2」、「連携先3」、及び「連携先4」が記録されている。なお、「連携元」は、連携元装置として動作している状態を示しており、「連携先1」、「連携先2」、「連携先3」、及び「連携先4」は、連携先装置として動作している状態を示している。特に、「連携先1」、「連携先2」、「連携先3」、及び「連携先4」における数値の「1」、「2」、「3」、及び「4」については、連携元装置に対する位置を示しており、「1」~「3」は連携元装置と同一の階であることを示しており、また、数値が大きくなるにつれて離れること示しており、また、「4」は連携元装置と同一の階でないことを示している。「1」~「3」について詳細には、「1」は、連携先装置の設置位置が、連携元装置が設置されている居住領域8の1つの隣(つまり、隣接)の居住領域8に対応する位置であることを示しており、また、「2」は、連携先装置の設置位置が、連携元装置が設置されている居住領域8の2つ隣の居住領域8に対応する位置であることを示しており、また、「3」は、連携先装置の設置位置が、連携元装置が設置されている居住領域8の3つ以上隣の居住領域8に対応する位置であること示している。
【0039】
項目「発光態様情報」に対応する情報は、表示部22の発光態様を特定する発光態様情報である。この発光態様情報は任意であるが、例えば、図4では、発光態様として、光の強度、及び点滅速度(点滅の時間間隔)を特定することとし、例えば、光の強度が強い程及び点滅速度が速い程、火源に近いことを示すこととする。詳細には、光の強度及び点滅速度が各々5段階ずつ設定されており、図5の「強度:5、速さ:5」等が記録されている場合を例示して説明する。なお、「強度:5、速さ:5」については、光の強度が「5」に対応する強度であり、また、点滅速度が「5」に対応する速度であることを特定していることとする。また、図5に例示されている光の強度及び点滅速度の数値については、大きい程、強度が強く、また、点滅速度が速いことを示していることとする。これらの強度及び点滅速度の具体的な数値は任意であるが、例えば、「強度:5、速さ:5」については、「7000ルーメン~8000ルーメン」程度の光にて、「0.5秒~1秒」間隔程度で点滅することを示し、また、「強度:4、速さ:4」については、「6000ルーメン~6500ルーメン」程度の光にて、「2秒~3秒」間隔程度で点滅すること等を示していることとする。
【0040】
(構成-表示灯装置-制御部)
図2の制御部24は、表示灯装置2を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係るプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して表示灯装置2にインストールされることで、制御部24の各部を実質的に構成する。
【0041】
この制御部24は、機能概念的に、判定部241、及び出力部242を備える。判定部241は、複数の居住領域8の内の第1の居住領域で異常が発生したか否かを判定する判定手段である。出力部242は、判定部241が第1の居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、少なくとも第1の居住領域についての警報を行う第1の警報装置である表示灯装置2を介して、表示警報情報を出力する出力手段であり、具体的には、第1の警報装置とは異なる他の装置と連携して、第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行う手段である。なお、この制御部24の各部により行われる処理については、後述する。
【0042】
(処理)
次に、このように構成され防災システム900によって実行される連携元側防災処理、及び連携先側防災処理について説明する。ここでは、例えば、図1の各表示灯装置2は、火災発生の場所に応じて、連携元装置又は連携先装置として機能するので、連携元側防災処理及び連携先側防災処理の両方を実行するが、特に、居住領域81で火災が発生し、表示灯装置201が連携元装置として機能し、また、表示灯装置202、203が連携先装置として機能する場合を例示して説明する。
【0043】
(処理-連携元側防災処理)
まず、連携元側防災処理について説明する。図6は、連携元側防災処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「連携元側防災処理」とは、概略的には、表示灯装置2が実行する処理であり、具体的には、火災発生を検出して連携元装置として動作するための処理である。この連携元側防災処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、防災システム900の各装置の電源をオンした場合に、起動して実行を開始するものとし、実行が開始されたところから説明する(連携先側防災処理も同様とする)。
【0044】
図6のSA1において判定部241は、火災が発生したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、感知器1が火災発生を検出した場合に発報信号を出力することとし、通信部21を監視することにより、この発報信号を受信したか否かに基づいて判定する。そして、発報信号を受信していない場合、火災が発生していないものと判定し(SA1のNO)、火災が発生したものと判定するまで、繰り返しSA1を実行する。また、発報信号を受信した場合、火災が発生しているものと判定し(SA1のYES)、SA2に移行する。ここでは、例えば、居住領域81で火災が発生した場合、感知器111が火災発生を検出して発報信号を出力し、表示灯装置201の判定部241は、当該発報信号を受信して、火災が発生しているものと判定する。
【0045】
図6のSA2において出力部242は、発光態様を決定する。具体的には任意であるが、例えば、自己が火災発生を判定したので連携元装置として動作することになるが、具体的には、図5の動作条件情報を参照して、状態情報が「連携元」となっている発光態様情報を取得し、取得した発光態様情報が特定する発光態様を、表示灯装置2の発光態様として決定する。ここでは、例えば、表示灯装置201の出力部242は、図5の動作条件情報を参照して、状態情報が「連携元」となっている発光態様情報である「強度:5、速さ:5」を取得し、表示灯装置201の発光態様として、「5」に対応する強度の光を「5」に対応する点滅速度で点滅させることを決定する。
【0046】
図6のSA3において出力部242は、発光を開始することにより、表示警報情報の出力を開始する。具体的には任意であるが、例えば、SA2で決定した発光態様を特定し、図3の表示部22において、当該決定した発光態様での発光を開始する。ここでは、例えば、表示灯装置201の出力部242は、SA2で決定した発光態様である「強度:5、速さ:5」に対応する発光態様を特定し、図3の表示部22において、当該決定した「強度:5、速さ:5」に対応する発光態様での発光を開始する。この場合、表示灯装置201の表示部22は、「7000ルーメン~8000ルーメン」程度の光を「0.5秒~1秒」間隔程度で繰り返し出力するように点滅を開始する。
【0047】
図6のSA4において出力部242は、発報中継信号を送信することにより、他の表示灯装置2と連携する。なお、「発報中継信号」とは、火災を検出したことを伝達するための信号であり、例えば、少なくとも連携元装置の表示灯装置IDを含む信号である。SA4について具体的には任意であるが、例えば、自己の記録部23に記録されている表示灯装置IDを取得し、取得した表示灯装置IDを連携元装置の表示灯装置IDとして付加して発報中継信号を生成し、生成した発報中継信号を送信する。そして、この発報中継信号は、例えば、周辺の表示灯装置2に到達する。
【0048】
ここでは、例えば、表示灯装置201の出力部242は、自己の記録部23に記録されている表示灯装置IDである「ID201」を取得し、取得した「ID201」を連携元装置の表示灯装置IDとして付加して発報中継信号を生成し、生成した発報中継信号を送信する。そして、この発報中継信号は、例えば、周辺の表示灯装置2である表示灯装置202に到達する。
【0049】
図6のSA5において判定部241は、復旧したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、不図示の防災受信機に対する所定操作(復旧させるための動作)を行った場合に、当該防災受信機が復旧信号を出力することとし、通信部21を監視することにより、この復旧信号を受信したか否かに基づいて判定する。そして、復旧信号を受信していない場合、復旧していないものと判定し(SA5のNO)、復旧したものと判定するまで、繰り返しSA5を実行する。また、復旧信号を受信した場合、復旧したものと判定し(SA5のYES)、SA6に移行する。ここでは、例えば、消防隊員が防災受信機に対する所定操作を行った場合、当該防災受信機が復旧信号を出力し、表示灯装置201の判定部241は、当該復旧信号を受信して、復旧したものと判定する。
【0050】
図6のSA6において出力部242は、発光を終了することにより、表示警報情報の出力を終了する。具体的には任意であるが、例えば、図3の表示部22を消灯することにより、発光を終了する。ここでは、例えば、表示灯装置201の出力部242は、表示灯装置201の表示部22における、「7000ルーメン~8000ルーメン」程度の光の「0.5秒~1秒」間隔程度での点滅を終了する。
【0051】
図6のSA7において出力部242は、復旧中継信号を送信することにより、他の表示灯装置2と連携する。なお、「復旧中継信号」とは、復旧したことを伝達するための信号であり、例えば、少なくとも連携元装置の表示灯装置IDを含む信号である。SA7について具体的には任意であるが、例えば、SA4の場合と同様であり、自己の記録部23に記録されている表示灯装置IDを取得し、取得した表示灯装置IDを連携元装置の表示灯装置IDとして付加して復旧中継信号を生成し、生成した復旧中継信号を送信する。そして、この復旧中継信号は、例えば、周辺の表示灯装置2に到達する。
【0052】
ここでは、例えば、表示灯装置201の出力部242は、自己の記録部23に記録されている表示灯装置IDである「ID201」を取得し、取得した「ID201」を連携元装置の表示灯装置IDとして付加して復旧中継信号を生成し、生成した復旧中継信号を送信する。そして、この復旧中継信号は、例えば、周辺の表示灯装置2である表示灯装置202に到達する。これにて、連携元側防災処理を終了する。
【0053】
(処理-連携先側防災処理)
次に、連携先側防災処理について説明する。図7は、連携先側防災処理のフローチャートである。「連携先側防災処理」とは、概略的には、表示灯装置2が実行する処理であり、具体的には、連携元装置との通信に基づいて、連携先装置として動作するための処理である。
【0054】
図7のSB1において制御部24は、他の表示灯装置2が連携元装置として送信した発報中継信号を受信したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、通信部21を監視して、通信部21で受信した発報中継信号に含まれる連携元装置の表示灯装置IDを取得し、また、自己の記録部23の表示灯装置IDを取得した上で、これらの取得した各表示灯装置IDが合致するか否かを判定する。そして、各表示灯装置IDが相互に合致する場合、通信部21で受信した発報中継信号は、自己が連携元装置として送信した発報中継信号を他の表示灯装置2が中継したものであると判断した上で、発報中継信号を受信していないものと判定し(SB1のNO)、発報中継信号を受信したものと判定するまで、繰り返しSB1を実行する。また、各表示灯装置IDが相互に合致しない場合、通信部21で受信した発報中継信号は、他の表示灯装置2が連携元装置として送信したものであると判断した上で、発報中継信号を受信したものと判定し(SB1のYES)、SB2に移行する。ここでは、例えば、表示灯装置202の制御部24は、「ID201」を含む発報中継装置を受信した場合、自己の表示灯装置IDが「ID202」であるので、当該取得した「ID201」と自己の記録部の表示灯装置IDである「ID202」とが相互に合致せず、発報中継信号を受信したものと判定する。
【0055】
図7のSB2において制御部24は、発光態様を決定する。具体的には任意であるが、例えば、自己が火災発生を判定したわけではない(つまり、他の表示灯装置2が火災発生を判定した)ので連携先装置として動作することになるが、具体的には、図5の動作条件情報を参照して、状態情報の「連携先1」~「連携先4」を取得する。次に、図4の居住領域関連情報を参照して、SB1で取得した発報中継信号に含まれる連携元装置の表示灯装置IDに対応する位置情報と、自己の表示灯装置IDに対応する位置情報とを取得し、次に、図2の記録部23の地図情報を参照して、前述の取得した連携元装置の位置情報に対応する居住領域8と、自己の位置情報(つまり、連携先装置の位置情報)に対応する居住領域8との相対的位置関係を特定する。次に、前述の取得した「連携先1」~「連携先4」から、当該特定した相対的位置関係に対応する状態情報を1個選択し、図5の動作条件情報において、当該選択した当該状態情報に対応する発光態様情報を取得し、取得した発光態様情報が特定する発光態様を、表示灯装置2の発光態様として決定する。
【0056】
ここでは、例えば、表示灯装置202の制御部24は、図5の動作条件情報を参照して、状態情報の「連携先1」~「連携先4」を取得する。次に、図4の居住領域関連情報を参照して、SB1で取得した発報中継信号に含まれる連携元装置の表示灯装置IDである「ID201」に対応する位置情報としての「101号室」と、自己の表示灯装置IDである「ID202」に対応する位置情報としての「102号室」とを取得し、次に、図2の記録部23の地図情報を参照して、前述の取得した連携元装置の位置情報である「101号室」に対応する居住領域81と、自己の位置情報(つまり、連携先装置の位置情報)である「102号室」に対応する居住領域82との相対的位置関係を特定する。次に、連携先装置の設置位置が、連携元装置が設置されている居住領域81の1つの隣の居住領域82に対応する位置であるので、前述の取得した「連携先1」~「連携先4」から、「連携先1」を選択し、図5の動作条件情報において、当該選択した「連携先1」に対応する発光態様情報として「強度:4、速さ:4」を取得し、表示灯装置202の発光態様として、「4」に対応する強度の光を「4」に対応する点滅速度で点滅させることを決定する。
【0057】
図7のSB3において制御部24は、発光を開始することにより、異常発生情報の出力を開始する。具体的には任意であるが、例えば、SB2で決定した発光態様を特定し、図3の表示部22において、当該決定した発光態様での発光を開始する。ここでは、例えば、表示灯装置202の制御部24は、SB2で決定した発光態様である「強度:4、速さ:4」に対応する発光態様を特定し、図3の表示部22において、当該決定した「強度:4、速さ:4」に対応する発光態様での発光を開始する。この場合、表示灯装置202の表示部22は、「6000ルーメン~6500ルーメン」程度の光を「2秒~3秒」間隔程度で繰り返し出力するように点滅を開始する。
【0058】
図7のSB4において制御部24は、発報中継信号を送信して中継することにより、他の表示灯装置2と連携する。具体的には任意であるが、例えば、SB1で受信した発報中継信号を、送信して中継する。そして、この発報中継信号は、例えば、周辺の表示灯装置2に到達する。ここでは、例えば、表示灯装置202の制御部24は、連携元装置の表示灯装置IDとして「ID201」を含む発報中継信号を送信して中継する。そして、この発報中継信号は、例えば、周辺の表示灯装置2である表示灯装置203に到達する。
【0059】
図7のSB5において制御部24は、他の表示灯装置2が連携元装置として送信した復帰中継信号を受信したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、通信部21を監視して、通信部21で受信した復帰中継信号に含まれる連携元装置の表示灯装置IDを取得し、また、SB1で取得した発報中継信号に含まれる連携元装置の表示灯装置IDを取得した上で、これらの取得した各表示灯装置IDが合致するか否かを判定する。そして、各表示灯装置IDが相互に合致しない場合、通信部21で受信した復帰中継信号は、SB1で受信した発報中継信号に対応していないものと判断した上で、復帰中継信号を受信していないものと判定し(SB5のNO)、復帰中継信号を受信したものと判定するまで、繰り返しSB5を実行する。また、各表示灯装置IDが相互に合致している場合、通信部21で受信した復帰中継信号は、SB1で受信した発報中継信号に対応しているものと判断した上で、復帰中継信号を受信したものと判定し(SB5のYES)、SB6に移行する。ここでは、例えば、表示灯装置202の制御部24は、「ID201」を含む復帰中継装置を受信した場合、SB1で受信した発報中継信号にも「ID201」含まれていたので、これら相互に一致し、復帰中継信号を受信したものと判定する。
【0060】
図7のSB6において制御部24は、復帰中継信号を送信して中継することにより、他の表示灯装置2と連携する。具体的には任意であるが、例えば、SB5で受信した復帰中継信号を、送信して中継する。そして、この復帰中継信号は、例えば、周辺の表示灯装置2に到達する。ここでは、例えば、表示灯装置202の制御部24は、連携元装置の表示灯装置IDとして「ID201」を含む復帰中継信号を送信して中継する。そして、この復帰中継信号は、例えば、周辺の表示灯装置2である表示灯装置203に到達する。
【0061】
図7のSB7において制御部24は、発光を終了することにより、異常発生情報の出力を終了する。具体的には任意であるが、例えば、図3の表示部22を消灯することにより、発光を終了する。ここでは、例えば、表示灯装置202の制御部24は、表示灯装置202の表示部22における、「6000ルーメン~6500ルーメン」程度の光の「2秒~3秒」間隔程度での点滅を終了する。これにて、連携先側防災処理を終了する。
【0062】
(処理-動作例)
次に、防災システム900の動作例について説明する。ここでは、例えば、前述したように、図1の居住領域81で火災が発生した場合の動作例を説明する。まず、居住領域81で火災が発生した場合、感知器111が当該火災の発生を検出して発報信号を出力するので、表示灯装置201は、図6のSA1のYESの後のSA2にて、図5の「強度:5、速さ:5」に対応する発光態様を決定した上で、SA3にて、当該決定した態様にて発光を開始し、SA4に発報中継信号を送信する。
【0063】
一方、表示灯装置202は、当該発報信号を受信し、図7のSB1のYESの後のSB2にて、「強度:4、速さ:4」に対応する発光態様を決定した上で、SB3にて、当該決定した態様にて発光を開始し、SB4に発報中継信号を中継する。一方、表示灯装置203は、当該発報信号を受信し、図7のSB1のYESの後のSB2にて、「強度:3、速さ:3」に対応する発光態様を決定した上で、SB3にて、当該決定した態様にて発光を開始し、SB4に発報中継信号を中継する。
【0064】
そして、居住領域8の外部のユーザ(例えば、居住者又は消防隊員等)は、各表示灯装置2の表示部22の発光を視認することにより、発光する光の強さ又は点滅速度に基づいて、火災が発生していること及び当該火災の火源が居住領域81であることを認識して、必要な対応をとることが可能となる。
【0065】
この後、不図示の防災受信機に対する所定操作を行った場合、表示灯装置201は、図6のSA5の後のSA5にて発光を終了した後、SA7にて復旧中継信号を送信する。一方、表示灯装置202は、当該復旧中継信号を受信し、図7のSB5のYESの後のSB6にて復旧中継信号を送信した上で、SB7にて発光を終了する。一方、表示灯装置203も表示灯装置202と同様な処理を行って、SB7にて発光を終了する。これにて、動作例の説明を終了する。
【0066】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、第1の警報装置(例えば、表示灯装置201)とは異なる他の装置(例えば、表示灯装置202、203)と連携して、第1の居住領域(例えば、居住領域81)の防災に関する処理である防災処理を行うことにより、例えば、第1の警報装置による単一の警報に関する処理のみでなく、あらゆる角度から防災に関する処理を行うことができるので、多角的に防災を行うことができ、防災性を向上させることが可能となる。
【0067】
また、少なくとも第2の居住領域(例えば、居住領域82、83)についての警報を行う第2の警報装置(例えば、表示灯装置202、203)を介して異常発生情報を出力させることにより、例えば、第2の居住領域側に異常である火災の発生を報知することができるので、例えば、火災を判定した第1の居住領域の近隣の居住者等にも異常の発生を報知し、防災のために必要な措置(例えば、消火や救助等)を迅速に行わせることが可能となる。
【0068】
また、第1の警報装置を介して出力される表示警報情報とは異なる態様で第2の警報装置から異常発生情報を出力させることにより、例えば、第1の警報装置からのみではなく、第2の警報装置からも異常に関する情報を出力することができるので、第1の居住領域での異常を広範囲に報知することが可能となる。また、例えば、第1の警報装置と第2の警報装置とでは、情報の態様が相互に異なっているので、実際に異常が発生している居住領域であるか否かを報知することができ、防災のために必要な措置(例えば、消火や救助等)を迅速に行わせることが可能となる。
【0069】
また、第1の警報装置とは異なる発光態様で第2の警報装置から表示警報情報を出力させることにより、例えば、第1の警報装置からのみではなく、第2の警報装置からも異常に関する情報を発光にて出力することができるので、第1の居住領域での異常を広範囲に報知することが可能となる。また、例えば、第1の警報装置と第2の警報装置とでは、情報の発光態様が相互に異なっているので、実際に異常が発生している居住領域であるか否かを報知することができ、防災のために必要な措置(例えば、消火や救助等)を迅速に行わせることが可能となる。また、例えば、夜間等であっても確実に警報することができるので、防災性を向上させることが可能となる。また、例えば、異常が発生して周辺で混乱が引き起こされて騒然となっている場合であっても、視覚を通じて警報を確実に認識させることが可能となる。
【0070】
また、第1の警報装置を発光させて、表示警報情報を出力することにより、例えば、夜間等であっても確実に警報することができるので、防災性を向上させることが可能となる。また、例えば、火災が発生して周辺で混乱が引き起こされて騒然となっている場合であっても、視覚を通じて警報を確実に認識させることが可能となる。
【0071】
また、表示部22は居住領域8の外部に設けられていることにより、例えば、居住領域8の外部に対して異常の発生を確実に報知することができるので、居住領域8の周辺の者に対して、防災のために必要な措置(例えば、消火や救助等)を迅速に行わせることが可能となる。
【0072】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0073】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0074】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。特に、表示灯装置2の少なくとも一部の機能(例えば、判定部241又は出力部242の機能等)を、不図示の防災受信機を含む任意の装置に設けて、当該任意の装置にて、表示灯装置2を制御してもよい。なお、この場合、実施の形態で説明した処理と同様な処理を行えるように、適宜処理を変更等してもよい。
【0075】
(情報の出力について(その1))
また、上記実施の形態では、図5の動作条件情報に基づいて光の強度及び点滅速度を異ならすことにより、相互に異なる情報を出力する場合について説明したが、これに限らない。例えば、各表示灯装置2が相互に通信可能となるように構成されていることを利用して、各表示灯装置2において、連携先装置における連携元装置から遠い側から当該連携元装置側に向かって光が流れるイメージをユーザに持たせるように、各装置の表示部22を順次点滅させてもよい。この場合、各表示灯装置2のうちの、1つの表示灯装置2(例えば、連携元装置)が各表示灯装置2の点滅タイミングを制御してもよい。あるいは、光が流れるイメージの方向を逆にして、避難誘導を行ってもよい。
【0076】
(情報の出力について(その2))
また、例えば、出力する光の色、又は点滅パターン等を異ならすことにより、相互に異なる情報を出力してもよい。また、例えば、図2の表示部22として、前述のLEDと共に、あるいは、LEDの代わりに、電光掲示板の如きテキストを表示する文字表示手段、あるいは、液晶ディスプレイの如き画像を表示する画像表示手段を設けて、これらの各表示手段を介して、テキスト情報又は画像情報を表示するように構成してもよい。このように構成した場合、例えば、火事が発生した居住領域8の位置を特定する情報(例えば、階数及び名称(101号室等))をテキスト情報又は画像情報として表示してもよい。
【0077】
特に、例えば、テキストを表示する場合、任意の情報を記録部23に登録し、火災が発生した場合に(つまり、火災発報住戸となった場合に、あるいは、近隣で火災発報があった場合に)、表示灯装置2が設置されている住戸の住人(居住者)に関連する居住者情報(一例としては、居住者の年齢、居住者の人数、居住者の要介護度、居住者が災害時要援護者であるか否か)、あるいは、危険物等の有無(危険物有無情報)を表示してもよい。
【0078】
また、例えば、出力する光の色を異ならすことにより、相互に異なる情報を出力する場合、一例として、赤色及び緑色の2色を発光可能なLEDを用いて、火災発報住戸(火災発生が判定された居住領域)に設置されている表示灯装置2のみ赤色で発光させ、また、当該火災発報住戸の近隣の住戸に設置されている表示灯装置2については緑色で発光させてもよい。
【0079】
また、例えば、点滅パターン等を異ならすことにより、相互に異なる情報を出力する場合、一例として、発光周期を共通とした上で、各住戸に設置されている表示灯装置2においてDuty比(発光周期に対する発光している時間の比率)を異ならせることにより(例えば、火災発報住戸から遠ざかるにつれてDuty比を小さくすることにより)、相互に異なる情報を出力してもよい。
【0080】
また、例えば、連携元装置からの電波強度によって、連携先装置の発光を制御してもよい。具体的には、連携元装置が、発報中継信号以外の所定の信号(所定強度の信号)を送信し、連携先装置が当該所定の信号を受信するように構成した上で、連携先装置が、自己が受信した所定の信号の受信電波強度を測定し、測定した受信電波強度に応じて、自己の発光態様を制御するように構成してもよい。詳細には、受信電波強度と発光強度との関係を特定する情報(例えば、受信電波強度が強くなるほど、発光強度が強くなることを特定する情報等)が連携先装置に記録されていることとし、連携先装置が、当該記録されている情報を参照して自己の発光強度を制御するように構成してもよい。
【0081】
(第2防災処理について)
また、上記実施の形態の表示灯装置2について、第2防災処理を行うように構成してもよい。具体的な実装手法は任意であるが、例えば、表示灯装置2の出力部242が、図7のSB3において第2防災処理を行ってもよい。具体的には、SB1で受信した発報中継信号に含まれる連携元装置の表示灯装置IDを取得し、図4の居住領域関連情報において、当該取得した表示灯装置IDに対応する位置情報を特定し、特定した位置情報を居住領域特定情報として出力することにより、第2防災処理を行ってもよい。なお、位置情報の出力手法は任意であるが、例えば、「(情報の出力について(その2))」の技術と組み合わせて、テキスト情報又は画像情報として、位置情報(例えば、「101号室」というテキスト情報、あるいは、101号室を示す地図画像情報)を出力してもよい。このように構成した場合、少なくとも第2の居住領域(例えば、居住領域82、83)についての警報を行う第2の警報装置(例えば、表示灯装置202、203)を介して居住領域特定情報を出力させることにより、例えば、第2の居住領域側に火災の発生源を報知することができるので、例えば、火災を判定した第1の居住領域(例えば、居住領域81)の近隣の居住者等にも火災の発生源を報知し、防災のために必要な措置(例えば、消火や救助等)を迅速に行わせることが可能となる。特に、火災の発生源を特定することが可能となるので、避難が必要な場合、安全な方向(例えば、火災の発生源を避けた方向等)への避難を迅速に行われることが可能となる。
【0082】
(第2防災処理の解釈について)
なお、実施の形態では、図5に示すように、同じ階の連携先装置については、連携元装置に近付くにつれて光の強度が強まり、また、点滅速度が速くなることに着目した場合、複数の連携先装置のこの発光態様の違いにより、連携元装置の位置(つまり、火災が発生した居住領域8)を特定しているものと解釈することできるが、この場合、実施の形態にて第2防災処理が行われているものと解釈してもよい。
【0083】
(第3防災処理について)
また、上記実施の形態の表示灯装置2について、第3防災処理を行うように構成してもよい。具体的な実装手法は任意であるが、例えば、図1の居住領域8の扉7を施錠又は解錠する錠前装置を設けて、表示灯装置2側から当該錠前装置を制御できるように構成した上で、表示灯装置2の出力部242が、当該錠前装置により居住領域8の扉7を施錠又は解錠してもよい。具体的には、火災が発生した場合、迅速に避難する必要があることに着目して、例えば図6のSA3又は図7のSB3を実行する場合に、当該錠前装置を制御することにより、居住領域8の扉7を解錠してもよい。また、火災発生の混乱時に乗じて盗難等の不正が発生することを防止する必要があることに着目して、火源から比較的通り居住領域8(一例としては、火源となっている居住領域8から3つ以上離れた居住領域8や、居住領域8の下の階の居住領域8等)の扉7を施錠してもよい。なお、居住領域8に人感センサ等を設けたり、あるいは、入退室管理装置を設けたりして、居住領域8にユーザが居ないことを確認した上で、扉7を施錠してもよい。また、人感センサや入退室管理装置等を用いて、火源となっている居住領域8の内部に居住者が居ないことの確認がとられた場合、扉7を施錠することにより、外部から火源となっている居住領域8に進入することを禁止してもよい。このように構成した場合、錠前装置により第1の居住領域(例えば、居住領域81)を施錠又は解錠させることにより、例えば、解錠することにより避難を促進したり、あるいは、施錠することにより進入を禁止したりすることができるので、防災性を向上させることが可能となる。また、例えば、異常発生時の防犯性を向上させることが可能となる。
【0084】
(第4防災処理について)
また、上記実施の形態の表示灯装置2について、第4防災処理を行うように構成してもよい。具体的な実装手法は任意であるが、例えば、図1の居住領域8に前述の記録装置(例えば、いわゆるスマートスピーカー等の技術を用いて実現される装置等)を設けて、当該記録装置に、起床又は就寝に関する発話内容(例えば、「おはよう、お湯をわかして」、「おはよう、音楽をつけて」、「おやすみ、照明をオフして」等の発話内容)、及び発話時間等を記録するように構成した上で、表示灯装置2の出力部242が、この記録されている情報を参照して、居住者の現在の状態を推定し、推定した居住者の状態に応じた警報を出力してもよい。具体的には、例えば、「おはよう」や「おやすみ」等のフレーズ及びこれらの発話の時間に基づいて、居住者の平均起床時間及び平均就寝時間を特定し、例えば図6のSA3又は図7のSB3を実行する場合に、現在時間を自己の計時手段(例えば、タイマー等)から取得し、取得した現在時間と、前述の特定した平均起床時間及び平均就寝時間とを比較して、居住者が現在起床状態であるか、就寝状態であるかを判定し、判定結果に基づいて、表示部22を発光させてもよい。具体的には任意であるが、例えば、就寝状態である場合には、居住領域8内の居住者が火災に気づいておらず、逃げ遅れる可能性があるので、起床状態である場合に比べて目立つように、表示部22を発光させてもよい。また、「(情報の出力について(その2))」の技術と組み合わせて、テキスト情報又は画像情報として、就寝状態である場合、「居住者が就寝中の可能性があります。至急救助してください」等の情報を表示してもよい。このように構成した場合、記録装置に記録されている情報を参照して、居住者の現在の状態を推定し、推定した居住者の状態に応じた警報を行うことにより、例えば、居住者の状態に応じて適切に救助等を行うことが可能となる。特に、例えば、居住者が迅速な救助を要する状態であること等を把握して、優先的に救助活動を行うことが可能となる。
【0085】
(表示灯装置について)
また、上記実施の形態では、表示灯装置2を居住領域8の扉7の外面に設けて、居住領域8の外部に向けて発光して表示警報情報又は異常発生情報を出力する場合について説明したが、これに限らず、表示灯装置2を居住領域8の扉7の内面にのみ設けて、居住領域8の内部に向けて発光して各情報を出力するように構成してもよいし、あるいは、表示灯装置2を居住領域8の扉7の外面及び内面の両方に設けて、居住領域8の外部及び内部の両方に向けて発光して各情報を出力するように構成してもよい。
【0086】
(復旧の判定について)
また、上記実施の形態の図5のSA4では、防災受信機が出力する復旧信号に基づいて、復旧したか否かを判定する場合を例示したが、これに限らない。例えば、防災受信機を備えない小規模なシステムも想定され得るが、この場合、例えば、発報した感知器が復旧した場合(煙濃度が閾値以下になった場合)に当該感知器が感知器側復旧信号を出力することとし、この感知器側復旧信号に基づいて復旧したか否かを判定するように構成してもよい。また、例えば、発報した住宅用火災警報器について復旧操作を行ったか否かに基づいて、復旧したか否かを判定するように構成してもよい。
【0087】
(異常及び判定手段について)
また、前述の「異常」については、例えば、火災以外に、ガス漏れ、一酸化炭素発生、不審者侵入、高温高湿、低温低湿等を含む概念であることとしてもよい。具体的には、居住領域にガスセンサ、人感センサ、温度センサ、又は湿度センサを設けて、判定手段が、ガスセンサの検出結果に基づいてガス漏れ又は一酸化炭素発生を検出した場合に、異常が発生したものと判定し、この場合、出力手段が、ガス漏れ又は一酸化炭素発生を特定する情報を表示警報情報として出力してもよい。また、判定手段が、人感センサの検出結果に基づいて不審者の侵入を検出した場合に、異常が発生したものと判定し、この場合、出力手段が、不審者が侵入したことを特定する情報を表示警報情報として出力してもよい。また、判定手段が、温度センサ及び湿度センサの検出結果に基づいて高温高湿を検出した場合に、異常が発生したものと判定し、この場合、出力手段が、熱中症について注意喚起するための情報を表示警報情報として出力してもよい。また、判定手段が、温度センサ及び湿度センサの検出結果に基づいて低温低湿を検出した場合に、異常が発生したものと判定し、この場合、出力手段が、インフルエンザ又は風邪について注意喚起するための情報を表示警報情報として出力してもよい。
【0088】
(通信手法について)
また、図2の表示灯装置2相互間の通信手法、及び感知器1と表示灯装置2との相互間の通信手法は任意であり、例えば、有線通信を行うように構成してもよいし、あるいは、無線通信を行うように構成してもよい。
【0089】
(特徴について)
また、実施の形態の特徴及び変形例の特徴を任意に組み合わせてもよい。
【0090】
(付記)
【0091】
付記1の防災システムは、複数の居住領域の内の第1の居住領域で異常が発生したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記第1の居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、少なくとも前記第1の居住領域についての警報を行う第1の警報装置を介して、表示警報情報を出力する出力手段と、を備え、前記出力手段は、前記第1の警報装置とは異なる他の装置と連携して、前記第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行う。
【0092】
付記2の防災システムは、付記1に記載の防災システムにおいて、前記他の装置は、前記複数の居住領域の内の第2の居住領域についての警報を行う第2の警報装置、を含み、前記出力手段は、前記判定手段が前記第1の居住領域で異常が発生したものと判定したことを特定する情報である異常発生情報を、前記第2の警報装置を介して出力させる処理を、前記防災処理として行う。
【0093】
付記3の防災システムは、付記2に記載の防災システムにおいて、前記出力手段は、前記判定手段が異常が発生したものと判定した前記第1の居住領域を特定する情報である居住領域特定情報を、前記第2の警報装置を介して出力させる処理を、前記防災処理として行う。
【0094】
付記4の防災システムは、付記2又は3に記載の防災システムにおいて、前記第1の警報装置を介して出力される前記表示警報情報とは異なる態様で前記第2の警報装置から前記異常発生情報を出力させる。
【0095】
付記5の防災システムは、付記4に記載の防災システムにおいて、前記出力手段は、前記第1の警報装置を介して出力される前記表示警報情報とは異なる発光態様で前記第2の警報装置から前記異常発生情報を出力させる。
【0096】
付記6の防災システムは、付記1から5の何れか一項に記載の防災システムにおいて、前記他の装置は、前記第1の居住領域を施錠又は解錠する錠前装置、を含み、前記出力手段は、前記錠前装置により前記第1の居住領域を施錠又は解錠させる処理を、前記防災処理として行う。
【0097】
付記7の防災システムは、付記1から6の何れか一項に記載の防災システムにおいて、前記他の装置は、前記第1の居住領域の居住者に関する情報を記録する記録装置、を含み、前記出力手段は、前記記録装置に記録されている情報を参照して、前記居住者の現在の状態を推定し、推定した前記居住者の状態に応じた警報を行う処理を、前記防災処理として行う。
【0098】
付記8の防災システムは、付記1から7の何れか一項に記載の防災システムにおいて、前記出力手段は、前記第1の警報装置を発光させて、前記表示警報情報を出力する。
【0099】
付記9の防災システムは、付記1から8の何れか一項に記載の防災システムにおいて、前記第1の警報装置の警報出力手段の少なくとも一部は、前記第1の居住領域の外部に設けられており、前記出力手段は、前記第1の警報装置の前記警報出力手段から、前記表示警報情報を出力する。
【0100】
付記10の防災システムは、付記1から9の何れか一項に記載の防災システムにおいて、前記異常は、火災である。
【0101】
(付記の効果)
付記1に記載の防災システムによれば、第1の警報装置とは異なる他の装置と連携して、第1の居住領域の防災に関する処理である防災処理を行うことにより、例えば、第1の警報装置による単一の警報に関する処理のみでなく、あらゆる角度から防災に関する処理を行うことができるので、多角的に防災を行うことができ、防災性を向上させることが可能となる。
【0102】
付記2に記載の防災システムによれば、少なくとも第2の居住領域についての警報を行う第2の警報装置を介して異常発生情報を出力させることにより、例えば、第2の居住領域側に異常の発生を報知することができるので、例えば、異常を判定した第1の居住領域の近隣の居住者等にも異常の発生を報知し、防災のために必要な措置(例えば、消火や救助等)を迅速に行わせることが可能となる。
【0103】
付記3に記載の防災システムによれば、少なくとも第2の居住領域についての警報を行う第2の警報装置を介して居住領域特定情報を出力させることにより、例えば、第2の居住領域側に異常の発生源を報知することができるので、例えば、異常を判定した第1の居住領域の近隣の居住者等にも異常の発生源を報知し、防災のために必要な措置(例えば、消火や救助等)を迅速に行わせることが可能となる。特に、異常の発生源を特定することが可能となるので、避難が必要な場合、安全な方向(例えば、異常の発生源を避けた方向等)への避難を迅速に行われることが可能となる。
【0104】
付記4に記載の防災システムによれば、第1の警報装置を介して出力される表示警報情報とは異なる態様で第2の警報装置から異常発生情報を出力させることにより、例えば、第1の警報装置からのみではなく、第2の警報装置からも異常に関する情報を出力することができるので、第1の居住領域での異常を広範囲に報知することが可能となる。また、例えば、第1の警報装置と第2の警報装置とでは、情報の態様が相互に異なっているので、実際に異常が発生している居住領域であるか否かを報知することができ、防災のために必要な措置(例えば、消火や救助等)を迅速に行わせることが可能となる。
【0105】
付記5に記載の防災システムによれば、第1の警報装置とは異なる発光態様で第2の警報装置から表示警報情報を出力させることにより、例えば、第1の警報装置からのみではなく、第2の警報装置からも異常に関する情報を発光にて出力することができるので、第1の居住領域での異常を広範囲に報知することが可能となる。また、例えば、第1の警報装置と第2の警報装置とでは、情報の発光態様が相互に異なっているので、実際に異常が発生している居住領域であるか否かを報知することができ、防災のために必要な措置(例えば、消火や救助等)を迅速に行わせることが可能となる。また、例えば、夜間等であっても確実に警報することができるので、防災性を向上させることが可能となる。また、例えば、異常が発生して周辺で混乱が引き起こされて騒然となっている場合であっても、視覚を通じて警報を確実に認識させることが可能となる。
【0106】
付記6に記載の防災システムによれば、錠前装置により第1の居住領域を施錠又は解錠させることにより、例えば、解錠することにより避難を促進したり、あるいは、施錠することにより進入を禁止したりすることができるので、防災性を向上させることが可能となる。また、例えば、異常発生時の防犯性を向上させることが可能となる。
【0107】
付記7に記載の防災システムによれば、記録装置に記録されている情報を参照して、居住者の現在の状態を推定し、推定した居住者の状態に応じた警報を行うことにより、例えば、居住者の状態に応じて適切に救助等を行うことが可能となる。特に、例えば、居住者が迅速な救助を要する状態であること等を把握して、優先的に救助活動を行うことが可能となる。
【0108】
付記8に記載の防災システムによれば、第1の警報装置を発光させて、表示警報情報を出力することにより、例えば、夜間等であっても確実に警報することができるので、防災性を向上させることが可能となる。また、例えば、異常が発生して周辺で混乱が引き起こされて騒然となっている場合であっても、視覚を通じて警報を確実に認識させることが可能となる。
【0109】
付記9に記載の防災システムによれば、第1の警報装置の警報出力手段の少なくとも一部は第1の居住領域の外部に設けられていることにより、例えば、第1の居住領域の外部に対して異常の発生を確実に報知することができるので、第1の居住領域の周辺の者に対して、防災のために必要な措置(例えば、消火や救助等)を迅速に行わせることが可能となる。
【0110】
付記10に記載の防災システムによれば、異常が火災であることにより、例えば、第1の警報装置による単一の警報に関する処理のみでなく、あらゆる角度から火災に対する防災に関する処理を行うことができるので、多角的に火災に対する防災を行うことができ、防災性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0111】
1 感知器
2 表示灯装置
7 扉
8 居住領域
21 通信部
22 表示部
23 記録部
24 制御部
71 扉
72 扉
73 扉
81 居住領域
82 居住領域
83 居住領域
111 感知器
121 感知器
131 感知器
201 表示灯装置
202 表示灯装置
203 表示灯装置
241 判定部
242 出力部
900 防災システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7