(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099088
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】惣菜容器スタンド、スタンド付き惣菜容器セット及び吊り下げ可能な惣菜容器セット
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20240718BHJP
B65D 33/14 20060101ALI20240718BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20240718BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240718BHJP
B65D 75/56 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B65D25/20 R
B65D33/14 Z
B65D85/50 100
B65D77/04 E
B65D75/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002770
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】505122955
【氏名又は名称】株式会社雅
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 吉明
(72)【発明者】
【氏名】関 光男
(72)【発明者】
【氏名】竹内 昌二
【テーマコード(参考)】
3E035
3E062
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E035AA20
3E035AB10
3E035BA02
3E035BA08
3E035BC01
3E035BC02
3E035CA02
3E062AA03
3E062AB07
3E062AC02
3E062CA05
3E064AA01
3E064HL05
3E067AA11
3E067AB01
3E067BA10B
3E067BA12C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BC07B
3E067CA24
3E067EA17
3E067EB27
3E067EE15
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】駅弁や仕出し弁当などの惣菜容器において、中身を見えやすくする技術を提供する。
【解決手段】
図10(a)に示すように、惣菜容器スタンド40を用いて惣菜容器20を自立させる。惣菜容器スタンド40は、惣菜容器20に付属したままで販売される。
図10(b)に示すように、客は正面を見るだけで、透明な蓋31を通して、惣菜70を目視することができる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が矩形である容器本体及び前記開口を塞ぐ蓋からなる惣菜容器を、起立させる惣菜容器スタンドであって、
前記容器本体は、樹脂成形品であり、惣菜を収納する複数個の収納部を有し、
前記収納部は、収納部底及びこの収納部底の周囲から斜めに立ち上がる収納部壁で構成され、断面が前記蓋に向かって広がる台形形状とされ、
前記蓋は、前記開口の縁に嵌る透明な樹脂成形品であり、
前記惣菜容器スタンドは、前記開口の一辺に対応する長さの長尺物であり、断面が、底部と、この底部の前端から立ち上がる前部立ち上がり部と、前記底部の後端から立ち上がる後部立ち上がり部と、この後部立ち上がり部の上端から前に延びるステー部とからなり、
前記底部は、前記容器本体の底から前記蓋までの長さに相当する長さとされ、
前記前部立ち上がり部は、前記縁の幅に相当する長さとされ、
前記後部立ち上がり部は、起立する前記容器本体にて最も下位の前記収納部を第1段収納部と呼びその上の前記収納部を第2段収納部と呼ぶときに、前記第1段収納部と前記第2段収納部との間まで延びる長さとされ、
前記ステー部は、前記第2段収納部の前記収納部壁のうちで前記第1段収納部に対面する前記収納部壁に沿って延びるように、前下がりとされ、
前記ステー部で、前記惣菜容器を支えるようにしたことを特徴とする惣菜容器スタンド。
【請求項2】
容器本体及びこの容器本体に被せる蓋からなる惣菜容器を、起立させる惣菜容器スタンドであって、
前記容器本体は、樹脂成形品であり、惣菜を収納する複数個の収納部を有し、
前記収納部は、収納部底及びこの収納部底の周囲から斜めに立ち上がる収納部壁で構成され、断面が前記蓋に向かって広がる台形形状とされ、
前記蓋は、透明な樹脂成形品であり、
前記惣菜容器スタンドは、長尺物であり、断面が、底部と、この底部の前端から立ち上がる前部立ち上がり部と、前記底部の後端から立ち上がる後部立ち上がり部と、この後部立ち上がり部の上端から前に延びるステー部とからなり、
前記底部は、前記容器本体の底から前記蓋までの長さに相当する長さとされ、
前記前部立ち上がり部は、前記縁の幅に相当する長さとされ、
前記後部立ち上がり部は、起立する前記容器本体にて最も下位の前記収納部を第1段収納部と呼びその上の前記収納部を第2段収納部と呼ぶときに、前記第1段収納部と前記第2段収納部との間まで延びる長さとされ、
前記ステー部は、前記第2段収納部の前記収納部壁のうちで前記第1段収納部に対面する前記収納部壁に沿って延びるように、前下がりとされ、
前記ステー部で、前記惣菜容器を支えるようにしたことを特徴とする惣菜容器スタンド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の惣菜容器スタンドであって、
この惣菜容器スタンドは、紙製であることを特徴とする惣菜容器スタンド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の惣菜容器スタンドと、前記惣菜容器とからなるスタンド付き惣菜容器セット。
【請求項5】
上部に手の指を通す穴又はフックに掛ける穴を有する樹脂製袋に、請求項4記載のスタンド付き惣菜容器セットを収納してなる吊り下げ可能な惣菜容器セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅弁や仕出し弁当等に供する惣菜容器の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
弁当等の食品販売用箱が、各種提案されてきた(例えば、特許文献1(
図1)参照)。特許文献1で提案される食品販売用箱は、容器本体に相当する身と、この身の内部を仕切る仕切部材と、身の開口を塞ぐ蓋とからなる。
このような食品販売用箱は、主として惣菜を収納するため、以下、惣菜容器と呼ぶことにする。
【0003】
このような惣菜容器は、台に並べて陳列され販売される(例えば、特許文献2(
図2)参照)。特許文献2を次図に基づいて説明する。
【0004】
図17は従来の陳列形態を説明する図であり、水平な台101に複数個の惣菜容器102が並べられている。台101の手前に値段札103が表示され、台101の奥に惣菜の説明書き104が表示される。
客は、説明書き104及び値段札103を参照し、惣菜容器102の中身を目視し、気に入った惣菜容器102を購入する。
【0005】
このような陳列形態は広く採用されているが、次に述べる欠点がある。
先ず、客は首を傾ける又は身体を前に傾けるなどして目線を下げる必要ある。
また、惣菜容器102の陳列数を増やすと、台101の奥行寸法L1が大きくなる。
奥行寸法L1が大きくなるほど、奥の惣菜容器102Bは見えにくくなる。特に、成人に対して目の高さが低い子供や車いす利用者にあっては、手前の惣菜容器102はよく見えるが、奥の惣菜容器102Bは、よく見えないということが起こる。
【0006】
すなわち、従来の陳列法には、奥の惣菜容器102が見えにくいという欠点がある。見えにくいと、惣菜容器102の品定めに時間がかかる。
品定めは迅速に行いたい。そのためには、惣菜容器の中身を見えやすくすることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3171489号公報
【特許文献2】特開2022-93448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、駅弁や仕出し弁当等の惣菜容器において、中身を見えやすくする技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の説明において、「惣菜」は、狭義の「おかず」に留まらず、米飯、赤飯、お握り、デザート(羊羹、大福餅、饅頭など)、飾り(桜花、紅葉、笹葉など)を含む。すなわち、駅弁や仕出し弁当等に詰められる品々を差し、名称、形態、内容は限定されない。
【0010】
請求項1に係る発明は、開口が矩形である容器本体及び前記開口を塞ぐ蓋からなる惣菜容器を、起立させる惣菜容器スタンドであって、
前記容器本体は、樹脂成形品であり、惣菜を収納する複数個の収納部を有し、
前記収納部は、収納部底及びこの収納部底の周囲から斜めに立ち上がる収納部壁で構成され、断面が前記蓋に向かって広がる台形形状とされ、
前記蓋は、前記開口の縁に嵌る透明な樹脂成形品であり、
前記惣菜容器スタンドは、前記開口の一辺に対応する長さの長尺物であり、断面が、底部と、この底部の前端から立ち上がる前部立ち上がり部と、前記底部の後端から立ち上がる後部立ち上がり部と、この後部立ち上がり部の上端から前に延びるステー部とからなり、
前記底部は、前記容器本体の底から前記蓋までの長さに相当する長さとされ、
前記前部立ち上がり部は、前記縁の幅に相当する長さとされ、
前記後部立ち上がり部は、起立する前記容器本体にて最も下位の前記収納部を第1段収納部と呼びその上の前記収納部を第2段収納部と呼ぶときに、前記第1段収納部と前記第2段収納部との間まで延びる長さとされ、
前記ステー部は、前記第2段収納部の前記収納部壁のうちで前記第1段収納部に対面する前記収納部壁に沿って延びるように、前下がりとされ、
前記ステー部で、前記惣菜容器を支えるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、容器本体及びこの容器本体に被せる蓋からなる惣菜容器を、起立させる惣菜容器スタンドであって、
前記容器本体は、樹脂成形品であり、惣菜を収納する複数個の収納部を有し、
前記収納部は、収納部底及びこの収納部底の周囲から斜めに立ち上がる収納部壁で構成され、断面が前記蓋に向かって広がる台形形状とされ、
前記蓋は、透明な樹脂成形品であり、
前記惣菜容器スタンドは、長尺物であり、断面が、底部と、この底部の前端から立ち上がる前部立ち上がり部と、前記底部の後端から立ち上がる後部立ち上がり部と、この後部立ち上がり部の上端から前に延びるステー部とからなり、
前記底部は、前記容器本体の底から前記蓋までの長さに相当する長さとされ、
前記前部立ち上がり部は、前記縁の幅に相当する長さとされ、
前記後部立ち上がり部は、起立する前記容器本体にて最も下位の前記収納部を第1段収納部と呼びその上の前記収納部を第2段収納部と呼ぶときに、前記第1段収納部と前記第2段収納部との間まで延びる長さとされ、
前記ステー部は、前記第2段収納部の前記収納部壁のうちで前記第1段収納部に対面する前記収納部壁に沿って延びるように、前下がりとされ、
前記ステー部で、前記惣菜容器を支えるようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の惣菜容器スタンドであって、
この惣菜容器スタンドは、紙製であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1~3のいずれか1項記載の惣菜容器スタンドと、前記惣菜容器とからなるスタンド付き惣菜容器セットを提供する。
【0014】
請求項5に係る発明は、上部に手の指を通す穴又はフックに掛ける穴を有する樹脂製袋に、請求項4記載のスタンド付き惣菜容器セットを収納してなる吊り下げ可能な惣菜容器セットを提供する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、角形の惣菜容器に好適な惣菜容器スタンドが提供される。すなわち、開口が矩形である容器本体及び開口を塞ぐ蓋からなる惣菜容器を、起立させる惣菜容器スタンドが提供される。
この惣菜容器スタンドにより、惣菜容器を立てることができ、蓋を客に対面させることができる。客は前を向いたままで惣菜容器の中身を目視することができる。
すなわち、客は身体を傾けたり、首を曲げる必要はない。
よって、本発明により、駅弁や仕出し弁当などの惣菜容器において、中身を見えやすくする技術が提供される。
【0016】
請求項2に係る発明では、家形や丸形の惣菜容器に好適な惣菜容器スタンドが提供される。すなわち、容器本体及び蓋からなる惣菜容器を、起立させる惣菜容器スタンドが提供される。
請求項1と同様に、惣菜容器スタンドにより、惣菜容器を立てることができ、蓋を客に対面させることができる。客は前を向いたままで惣菜容器の中身を目視することができる。客は身体を傾けたり、首を曲げる必要はない。
よって、本発明により、駅弁や仕出し弁当などの惣菜容器において、中身を見えやすくする技術が提供される。
【0017】
請求項3に係る発明では、惣菜容器スタンドは、紙製である。紙であれば、プラスチックに比較して、廃棄処分が格段に容易となり、地球環境の保全の一助となる。
【0018】
請求項4に係る発明では、請求項1~3のいずれか1項記載の惣菜容器スタンドと、惣菜容器とからなるスタンド付き惣菜容器セットが提供される。
スタンド付き惣菜容器セットの形態で、惣菜容器を立てることができ、蓋を客に対面させることができる。客は前を向いたままで惣菜容器の中身を目視することができる。
すなわち、客は身体を傾ける必要はなく、首を曲げる必要もない。
よって、本発明により、駅弁や仕出し弁当などの惣菜容器において、中身を見えやすくする技術が提供される。
【0019】
請求項5に係る発明では、上部に手の指を通す穴又はフックに掛ける穴を有する樹脂製袋に、請求項4記載のスタンド付き惣菜容器セットを収納してなる吊り下げ可能な惣菜容器セットが提供される。
客は、購入した惣菜容器を、立てたままで持ち運ぶことができる。
【0020】
また、売り場の壁にフックを設け、このフックに吊り下げることで、立てたままの惣菜容器を陳列することができる。
よって、本発明により、駅弁や仕出し弁当などの惣菜容器において、中身を見えやすくする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係るスタンド付き惣菜容器セットの分解図である。
【
図2】(a)は
図1の2a-2a線断面図であって蓋の断面図であり、(b)は
図1の2b-2b線断面図であって容器本体の断面図であり、(c)は
図1の2c-2c線断面図であって惣菜容器スタンドの断面図である。
【
図5】
図4の5矢視図であり、惣菜容器スタンドの左側面図である。
【
図6】プラスチック製惣菜容器スタンドの作り方を説明する図である。
【
図7】プラスチック製惣菜容器スタンドの斜視図である。
【
図8】(a)、(b)はプラスチック製惣菜容器スタンドの変更例を説明する図である。
【
図9】(a)~(c)は惣菜容器に惣菜容器スタンドをセットする手順を説明する図である。
【
図10】(a)はスタンド付き惣菜容器セットの断面図、(b)は(a)のb矢視図であり正面図である。
【
図11】(a)~(c)は吊り下げ可能な惣菜容器セットを説明する図である。
【
図12】本発明に係るスタンド付き惣菜容器セット及び吊り下げ可能な惣菜容器セットの陳列形態を説明する図である。
【
図13】(a)~(c)は蓋の変更例を説明する図である。
【
図15】本発明に係るスタンド付き惣菜容器セットの変更例を説明する図である。
【
図16】本発明に係るスタンド付き惣菜容器セットの更なる変更例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、請求項1に記載する惣菜容器は主に
図1で説明され、請求項2に記載する惣菜容器は主に
図15及び
図16で説明される。
【実施例0023】
[スタンド付き惣菜容器セット]
図1に示すように、スタンド付き惣菜容器セット10は、角形の惣菜容器20と、惣菜容器スタンド40とからなる。
【0024】
[惣菜容器]
惣菜容器20は、開口が矩形である容器本体21及び開口を塞ぐ蓋31からなる。矩形は正方形と長方形との総称である。
【0025】
なお、スタンド付き惣菜容器セット10は、後述する
図10(a)、(b)の形態で展示され、販売され、
図11(b)の形態で手持ちされる。そのため、惣菜容器スタンド40は、惣菜容器20に付属したままで販売に供される。
【0026】
[蓋]
図2(a)に示す蓋31は、透明な樹脂成形品であり、一般面32と、この一般面32を囲う凹溝部33とからなる。このような蓋31は、市販品で差し支えない。
【0027】
[容器本体]
図2(b)に示す容器本体21は、不透明(又は透明)の樹脂成形品であり、惣菜を収納する複数の収納部23を有する。複数の収納部23は、幅がWの縁22で囲われる。
収納部23は、収納部底24及びこの収納部底24の周囲から斜めに立ち上がる収納部壁25で構成され、断面が蓋31に向かって広がる台形形状とされる。収納部底24は、容器本体21及び惣菜容器20の底を兼ねる。
【0028】
複数の収納部23のうち、立てた形態で最も下のものを第1段収納部26と呼び、この第1段収納部26の上のものを第2段収納部27と呼び、この第2段収納部27の上のものを第3段収納部28と呼んで、位置を区別する。
【0029】
容器本体21が樹脂成形品である場合、以下の理由により、収納部壁25は角度θ1だけ斜めになる。
第1に、金型から樹脂成形品が容易に抜けるように、抜き勾配が設けられる。
第2に、収納部23において蓋31側を大きくして、惣菜が沢山入っているように見せる。
第3に、収納部23の剛性を高めつつ、容器本体21の強度を高める。
【0030】
図2(b)から明らかなように、容器本体21は、自立させることはできない形状である。
この点を克服するために、本発明では、惣菜容器スタンド40を、惣菜容器20に付属する。
【0031】
[惣菜容器スタンド]
図2(c)に示すように、惣菜容器スタンド40は、断面が、底部41と、この底部41の前端から立ち上がる前部立ち上がり部42と、底部41の後端から立ち上がる後部立ち上がり部43と、この後部立ち上がり部43の上端から前に延びるステー部44とからなる。好ましくは、これらにストッパ部45及びステー支え46を付属する。
【0032】
底部41の内寸法は、容器本体21の底から蓋31までの長さ(
図2(b)、符号L2)に相当する長さとされる。
前部立ち上がり部42は、縁22の幅Wに相当する長さ(高さ)とされる。なお、前部立ち上がり部42の高さ寸法は、(0.5~1.0)×Wの範囲で、狭めることは可能である。
【0033】
後部立ち上がり部43は、第1段収納部26と第2段収納部27との間まで延びる長さ(高さ)とされる。
ステー部44は、第2段収納部27の下側の収納壁25(すなわち、第2段収納部27の収納部壁25のうちで第1段収納部26に対面する収納部壁25)に沿って延びるように、前下がりとされる。この例では、水平に対する前下がり角θ2は、約15°である。
【0034】
この前下がり角θ2は、収納部壁25の傾き角θ1と同じ又はほぼ同じに設定する。容器本体21は、市販品で差し支えなく、市販品により傾き角θ1は変化する。前下がり角θ2は、そのときの容器本体21の収納部壁25の傾き角θ1に応じて決定される。
【0035】
惣菜容器スタンド40は、
図1に示すように、容器本体21の開口の一辺の長さL3に相当する長さの長尺物である。この長さL3は蓋31の一辺の長さにも相当する。
このような構造の惣菜容器スタンド40の作り方の一例を、
図3~
図5に基づいて、説明する。
【0036】
[紙製の惣菜容器スタンド]
図3に示すように、適当な品質及び厚さの厚紙50からスタンドモデル51を切り出す。
厚紙50は、0.4~0.6mmの工作用紙、台紙、マット紙が好適であるが、薄い段ボール紙であってもよい。
【0037】
スタンドモデル51は、底部41、前部立ち上がり部42、後部立ち上がり部43、ステー部44、ストッパ部45、ストッパ止め片52、53、ステー支え46及びステー支え止め片54からなる。
【0038】
複数個所の谷折り線55で谷折りする。谷折りの後に、ストッパ止め片52を前部立ち上がり部42に糊付けし、ストッパ止め片52を後部立ち上がり部43に糊付けする。
糊付けは、ステーブル針と称するコ字状の金属針を打込み、両足を折り曲げることで止めことに、変更してもよい。
【0039】
加えて、ステー支え止め片54を後部立ち上がり部43に糊付け(又はステーブル針止め)する。
糊付けは、接着剤付きテープであってもよい。接着剤付きテープは、透明なセロファンテープ又は糊が片面に付いたビニルテープであってもよい。
【0040】
出来上がり姿を、
図4及び
図5に示す。
すなわち、
図5に示すように、ステー支え46により、ステー部44の角度θ2が保たれると共にステー部44が補強される。補強により、ステー部44が下へ曲がりにくくなる。
【0041】
また、
図1に矢印(1)で示すように、惣菜容器スタンド40を、惣菜容器20(正確には、容器本体21の第1段収納部26)に嵌めたときに、ストッパ部45は縁22に当たって止まる。このストッパ部45により、惣菜容器20へ惣菜容器スタンド40をセットする作業が楽になる。加えて、ストッパ部45により、惣菜容器20から惣菜容器スタンド40が脱落しにくくなる。
【0042】
また、ストッパ部45は、
図4に示すように、底部41に前部立ち上がり部42及び後部立ち上がり部43を連結して、惣菜容器スタンド40の下部の剛性を高める補強部材の役割を果たす。
【0043】
惣菜容器スタンド40が紙製であれば、使用後に、燃えるゴミとして容易に処分することができる。紙はプラスチックとは異なり、樹木を原料とするため、自然循環サイクルに組み込まれる。
【0044】
紙製は、少量生産に好適であるが、紙折りの手間が掛かるため大量生産には不向きである。プラスチック製であれば、大量生産向きである。
プラスチック製の惣菜容器スタンド40の例を、
図6~
図7に基づいて説明する。
【0045】
[プラスチック製の惣菜容器スタンド]
図6に示すように、押し出し機60と、ダイ61と、カッタ62と、樹脂材料63とを準備する。ダイ62には、惣菜容器スタンドの断面に相当するダイ孔64が貫通形成されている。
【0046】
樹脂材料63が押し出し機60に投入されると、樹脂材料63は攪拌されつつ軟化し、ダイ61へ押される。すると、ダイ孔64から十分に長い樹脂レール65が押し出される(矢印(2))。この樹脂レール65をカッタ62で長さL3毎に切断する(矢印(3))。
【0047】
結果、
図7に示すように、プラスチック製の惣菜容器スタンド40が、得られる。すなわち、プラスチック製であれば、押し出し成形が可能であり、大量生産ができ、得られる惣菜容器スタンド40は安価となる。プラスチック製の惣菜容器スタンド40は、樹脂製の惣菜容器20と一緒に処分することができる。
よって、惣菜容器スタンド40は、紙製とプラスチック製のいずれであってもよい。ただし、自然環境の保全の観点から、惣菜容器スタンド40が紙製であることは、より好ましい。
【0048】
なお、惣菜容器スタンド40は、紙製やプラスチック製の他、木製や竹製であってもよい。この場合は、薄板を組み、糊付け(又はステーブル針止め)することで、容易に惣菜容器スタンド40を製造することができる。
【0049】
また、押し出し成形によるプラスチック製の場合、惣菜容器スタンド40は、次に述べる構造にすることができる。
図8(a)に示すように、惣菜容器スタンド40に抑え片47を追加する。すなわち、惣菜容器スタンド40は、底部41、前部立ち上がり部42、後部立ち上がり部43、ステー部44、底部41から前部立ち上がり部42に向かって斜めに立ち上がる抑え片47とからなる。
【0050】
抑え片47は図面表裏方向へ連続しているため、
図6に示すダイ孔64に抑え片47のための刻みを追加するだけで、押し出し成形が可能となる。
【0051】
図8(b)に示すように、抑え片47で縁22の裏側を抑える。前部立ち上がり部42と抑え片47とで、蓋31及び縁22を挟むため、惣菜容器スタンド40は、図面表裏方向に移動しにくくなる。結果、ストッパ部(
図5、符号45)は不要となる。
【0052】
以上の構成からなる惣菜容器20へ惣菜を詰める要領、及び惣菜容器20へ惣菜容器スタンド40をセットする要領を、以下に説明する。
図9(a)に示すように、容器本体21の収納部23へ、惣菜70を詰める。
図9(b)に示すように、容器本体21に蓋31を被せる。これで、惣菜70が詰められた惣菜容器20が出来上がる。
【0053】
図9(c)に示すように、第1段収納部26に、図面奥から手前へスライドさせる要領で惣菜容器スタンド40をセットする。ストッパ部45を備えているときは、ストッパ部45が縁22に当たる。当たるとセット作業は終わりである。
【0054】
なお、下位の容器本体21と上位の蓋31とに、透明な樹脂ベルトを巻きつけててもよい。透明であれば、惣菜の目視を妨げない。
容器本体21の縁(
図2、符号22)に、蓋31の凹溝部(
図2、符号33)を嵌めることで、蓋31の外れは防止できるが、ベルト巻きを加えることで、蓋31の外れは防止を強化することができる。
【0055】
[スタンド付き惣菜容器セット]
以上により、惣菜容器20及び惣菜容器スタンド40からなるスタンド付き惣菜容器セット10が得られる。
【0056】
図9(c)で得られたスタンド付き惣菜容器セット10を、図面反時計方向に90°回す。
そして、
図10(a)に示すように、台(又は机)72に、スタンド付き惣菜容器セット10を載せる。台72の上面が載置面となる。惣菜容器20の底を兼ねる容器本体の底が、載置面に直角(ほぼ直角を含む。)になる。
【0057】
このとき、惣菜容器20の重量は縁22を介して、底部41の前部立ち上がり部42近傍に下向き力として加わる。一方、惣菜容器20の回転力(図では時計回りの力)は、ステー部44で支えられる。
底部41の図右端と図左端とに各々下向き力が加わり、惣菜容器スタンド40は安定的に台72に立つ。このような惣菜容器スタンド40で支えられるため、スタンド付き惣菜容器セット10は、台72上に安定的に自立する。
【0058】
図10(a)のb矢視図である
図10(b)に示すように、台72の上面が載置面となり、台72の上に、蓋31が見え、この蓋31を通して惣菜70が目視できる。
【0059】
次に、本発明に係るスタンド付き惣菜容器セット10を、持ち運ぶ形態につき説明する。
図11(a)は比較例を示す図であり、従来の惣菜容器102は、容器専用の樹脂製袋105に入れて、手で下げられつつ運ばれる。
専用の樹脂製袋105は、弁当用ポリ袋と呼ばれるマチ付き袋であり、マチの大きさが惣菜容器20の底面寸法に対応している。結果、惣菜容器20は、水平状態で運搬される。比較例で使用する樹脂製袋105は、安価なマチ無し袋に比べて高価である。
【0060】
[吊り下げ可能な惣菜容器セット]
対して、
図11(b)に示すように、本発明に係る吊り下げ可能な惣菜容器セット75は、上部に手の指を通す穴76を有する安価な樹脂製袋77と、この樹脂製袋77に収納されるスタンド付き惣菜容器セット10とからなり、この収納されるスタンド付き惣菜容器セット10は、惣菜容器20と、惣菜容器スタンド40とからなる。惣菜容器20は、容器本体21と蓋31とからなる。
【0061】
樹脂製袋77は、コンビニ袋とかポリ袋と呼ばれる不透明で安価なマチ無し袋である。
惣菜容器スタンド40の存在により、惣菜容器20は傾くことなく、立った姿勢で運ばれる。樹脂製袋77は、展示を目的とするときは、透明な袋を使用する。
【0062】
また、男性の客であれば、通勤中に書類や本を縦向きに収納する鞄を持ち歩くことが、少なくない。樹脂製袋77を鞄に置き換えることが可能である。すなわち、鞄に、本と一緒にスタンド付き惣菜容器セット10(又は吊り下げ可能な惣菜容器セット75)を縦向きに入れて持ち歩くことができる。
【0063】
鞄は、いわゆる買い物袋、手提げ袋、ビジネスバッグ、リュックサックであってもよい。惣菜容器スタンド40が付属しているため、惣菜容器20は買い物袋などに縦向きに収納される。
【0064】
又は、
図11(c)に示すように、安価な樹脂製袋77は、やや割高な真空パック用袋78に変更してもよい。
真空パック用袋78は、透明であって上部にフックに掛ける穴79を有する。真空パック用袋78であれば、内部の酸素が除去されており、惣菜の長期保存が可能である上に、収縮作用で蓋31が容器本体21へ強く圧縮されるため蓋31が容器本体21からより外れる心配はない。
【0065】
[展示、販売]
図12に示すように、前幕板(天板から床に向かって下がる板)が付いている机81を、売り場に置き、この机81の前幕板にフック82を多数個設け、これらのフック82に、吊り下げ可能な惣菜容器セット75を下げる。
加えて、売り場の壁にフック82を設け、これらのフック82に吊り下げ可能な惣菜容器セット75を下げる。
さらに加えて、机81の上に、スタンド付き惣菜容器20を置く。
【0066】
客は、目線を前に向けたままで、吊り下げ可能な惣菜容器セット75やスタンド付き惣菜容器20の中身(惣菜)を吟味することができる。
そして、スタンド付き惣菜容器20の形態又は吊り下げ可能な惣菜容器セット75の形態で販売される。すると、客は、
図11(b)の形態で吊り下げつつ持ち帰ることができる。
【0067】
また、客が子供や車いす利用者であれば、目の高さが成人よりも格段に低くなる。このように目の高さが低い利用者であっても、
図12の展示形態であれば、容易に且つ確実に吊り下げ可能な惣菜容器セット75やスタンド付き惣菜容器20の中身(惣菜)を目視することができる。
よって、従来の展示形態(
図17)に比べて、本発明の展示形態(
図12)は、見やすさの点で、格段に優れていると言える。
【0068】
なお、机81は、高価なショーケースではなく、安価な市販机や同等品で差し支えない。机81は前幕板の奥が全て物入れとして利用可能であり、販売予定のスタンド付き惣菜容器20を多数個置くことができる。すなわち、従来のショーケースよりも多数のスタンド付き惣菜容器20を保管することができる。
【0069】
ところで、
図1で説明した惣菜容器20は、いわゆる3×3タイプの容器(収納部23が横に3個で縦に3個)である。しかし、惣菜容器20は、2×2タイプの容器、4×4タイプの容器、1×3タイプの容器、1×2タイプの容器であってもよい。
要は、
図2で説明した第1段収納部26と、第2段収納部27とが含まれていればよく、収納部23の段数は2段以上であればその数は任意であり、総数も任意である。
【0070】
また、
図9(a)に示す惣菜70は、立てても形が崩れにくくなるように調理されたものである。しかし、惣菜70の種類によっては、収納部23からはみ出すことがある。その具体例と対策を
図13で説明する。
【0071】
図13(a)に示すように、第2段収納部27に収納されている惣菜70の一部71が、下の第1段収納部26へ張り出すことがある。見栄えの点で対策が望まれる。
【0072】
図13(b)に示すように、第2段収納部27に、内蓋35を嵌める。その上から蓋31を被せる。内蓋35で、惣菜70を第2段収納部27に封じ込める。内蓋35の調達コスト及び取付けの手間が加わるが、惣菜70のはみ出しを効果的に予防することができる。
【0073】
図13(c)に示すように、蓋31に内蓋部36を一体形成してもよい。すなわち、
図2(a)に示す蓋31の一般面32に内蓋部36を一体形成する。蓋31の製造コストが若干嵩むが、別部材である内蓋35が不要となるという利点がある。
【0074】
次に、更なる変更例を、
図14に基づいて説明する。
図14に示すように、容器本体21は、縁22が若干下がったものを採用する。蓋31は、透明な樹脂フィルムであり、エッジに舌状のタブ37を設ける。
【0075】
収納部23に惣菜70を詰めたら、矢印(4)のように、容器本体21に蓋31を載せる。矢印(4)の矢先の部位にて、接着剤により接着する、または電着法により接着する。接着剤は、口に入れても無害であるものを使用する。
【0076】
電着法は電極を当て、通電することによりフィルムを局部的に溶かし、通電を止めることで溶けた部分を凝固させる方法である。凝固によりフィルム状の蓋31が容器本体21に接着される。
蓋31を開けるときには、タブ37を引き上げることで、フィルム状の蓋31を容器本体から21から剥がす。
よって、蓋31の形態は実施例に限定するものではなく、適宜変更して差し支えない。
【0077】
以上に説明した惣菜容器20は、正方形を含む矩形であった。しかし、惣菜容器20は、非矩形であってもよい。その具体例を以下に説明する。
図15に示すように、容器本体21は、第1段収納部26と第2段収納部27とを含む複数の収納部23を有し、家形を呈する。蓋31も家形である。収納部23は抜き勾配を確保するために、図面手前に広がっている。すなわち、収納部23は断面が台形形状を呈する。
容器本体21に蓋31を被せることで、家形(又は山形)の惣菜容器20が出来上がる。
【0078】
また、惣菜容器スタンド40は、紙製とプラスチック製の何れでも差し支えないが、この例ではプラスチック製とした。惣菜容器スタンド40は、矢印のように、スライドさせつつ惣菜容器20にセットすることは、
図1と同じである。
【0079】
セット後に、惣菜容器20と惣菜容器スタンド40とからなるスタンド付き惣菜容器セット10が得られ、このスタンド付き惣菜容器セット10は、
図12に示すように、展示し販売することができる。
【0080】
また、
図16に示すように、容器本体21は、第1段収納部26と第2段収納部27とを含む複数の収納部23を有し、円形を呈する。蓋31も円形である。収納部23は抜き勾配を確保するために、図面手前に広がっている。すなわち、収納部23は断面が台形形状を呈する。
【0081】
容器本体21に蓋31を被せることで、円形(又は丸形)の惣菜容器20が出来上がる。
惣菜容器スタンド40は、紙製とプラスチック製の何れでも差し支えない。惣菜容器スタンド40は、矢印のように、スライドさせつつ惣菜容器20にセットすることは、
図1と同じである。
【0082】
セット後に、惣菜容器20と惣菜容器スタンド40とからなるスタンド付き惣菜容器セット10が得られ、このスタンド付き惣菜容器セット10は、
図12に示すように、展示し販売することができる。
【0083】
なお、惣菜容器スタンド40の長さL5は、容器本体21の外径と同じにする他、(容器本体21の外径)×(0.5~0.9)の計算で得られる長さ、すなわち、容器本体21の水平長さ(水平方向の全幅)より小さくしてもよい。ただし、0.5に近づくほど不安定になるため、0.8倍程度に留めることが望ましい。
【0084】
円形の惣菜容器20であっても、ステー部44が第2段収納部27の下辺(第1段収納部26に対面する第2段収納部27の収納部壁)に当たってこれを支えるため、右又は左へ回転することはない。
樹脂製袋に入れたとき、惣菜容器スタンド40の存在により、円形の惣菜容器20は回転することなく且つ立ち姿勢が維持される。
よって、本発明によれば、惣菜容器20は円形であっても、差し支えない。
【0085】
さらには惣菜容器20は、
図15及び
図16で例示した形に限定されるものではなく、菱形や八角形や楕円形であってもよい。菱形や八角形は、三角形の収納部を複数個配置することで容易に得られる。
10…スタンド付き惣菜容器セット、20…惣菜容器、21…容器本体、22…縁、23…収納部、24…収納部底、25…収納部壁、26…第1段収納部、27…第2段収納部、31…蓋、40…惣菜容器スタンド、41…底部、42…前部立ち上がり部、43…後部立ち上がり部、44…ステー部、70…惣菜、75…吊り下げ可能な惣菜容器セット、76…手の指を通す穴、77…安価な樹脂製袋、79…フックを掛ける穴、82…フック、L2…容器本体の底から蓋までの長さ、L3…開口の一辺の長さ、W…縁の幅、θ2…ステー部の前下がり角。