(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099091
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20240718BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/43 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/20 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/21 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20240718BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240718BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20240718BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20240718BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20240718BHJP
C11D 1/10 20060101ALI20240718BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20240718BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20240718BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q11/00
A61K8/43
A61K8/49
A61K8/41
A61K8/20
A61K8/21
A61K8/35
A61K8/44
A61K8/19
A61K8/86
A61K8/60
C11D3/20
C11D3/48
C11D3/30
C11D3/395
C11D1/10
C11D17/04
C11D1/29
C11D1/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002777
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000149181
【氏名又は名称】株式会社大阪製薬
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲見 浩之
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB051
4C083AB331
4C083AC101
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC581
4C083AC661
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC741
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD551
4C083BB01
4C083CC42
4C083DD08
4C083EE07
4C083EE31
4H003AB10
4H003AB31
4H003AC05
4H003AE05
4H003BA12
4H003BA21
4H003DA02
4H003DA05
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB19
4H003EB46
4H003ED02
4H003EE08
4H003FA04
4H003FA17
4H003FA26
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】 洗浄用組成物を提供する。
【解決手段】 (A)エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、ジクロルイソシアヌール酸塩、第4級アンモニウム塩、次亜塩素酸塩、イソプロピルメチルフェノール、フッ化物、フェノール、チモール、ヒノキチオール、亜塩素酸、塩酸アルキルジアミノグリシン、ラウロイルサルコシンナトリウム、銅クロロフィンナトリウム及び塩酸クロルヘキシジン からなる群より選択される少なくとも1種、(B)界面活性剤、及び(C)水を含有し、義歯又は歯科矯正保定具等の口内装着関連器具を洗浄する為の泡状で適用する為の洗浄用組成物を調製する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、ジクロルイソシアヌール酸塩、第4級アンモニウム塩、次亜塩素酸塩、イソプロピルメチルフェノール、フッ化物、フェノール、チモール、ヒノキチオール、亜塩素酸、塩酸アルキルジアミノグリシン、ラウロイルサルコシンナトリウム、銅クロロフィンナトリウム及び塩酸クロルヘキシジン からなる群より選択される少なくとも1種、(B)界面活性剤、及び(C)水を含有し、口腔内装着関連器具を洗浄する為の洗浄用組成物であって、泡状に吐出する為の洗浄用組成物。
【請求項2】
(B)成分として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルグリコシドを含有する、請求項1に記載の洗浄用組成物。
【請求項3】
前記(A)成分が、イソプロピルメチルフェノール、ジクロルイソシアヌール酸塩又は第4級アンモニウム塩である、請求項1又は2に記載の洗浄用組成物。
【請求項4】
(A)エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、ジクロルイソシアヌール酸塩、第4級アンモニウム塩、次亜塩素酸塩、イソプロピルメチルフェノール、フッ化物、フェノール、チモール、ヒノキチオール、亜塩素酸、塩酸アルキルジアミノグリシン、ラウロイルサルコシンナトリウム、銅クロロフィンナトリウム及び塩酸クロルヘキシジンからなる群より選択される少なくとも1種、(B)界面活性剤、及び(C)水を含有する洗浄用組成物が、泡状に吐出する容器に収容されてなる、口腔内装着関連器具用洗浄製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄用組成物に関する。より詳細には、義歯、歯科矯正保定具、スポーツ用マウスピース、及びそれらの収容容器等を含む口腔内装着関連器具を洗浄する為の洗浄用組成物であって、泡状で適用するのに好適な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔ケアは、生活の質の向上に重要であり、歯周病と関連があるとされる心臓血管疾患や糖尿病等の全身疾患の予防にも有用である。
【0003】
義歯使用者や歯列矯正後の取り外し可能な保定具(リテーナー)を常用する者にとって、義歯や器具の清潔を保持することが、口腔内の清潔の保持と全身の良好な状態にも結びつく。義歯や保定具等を不潔な状態にしておくことは、それらの器具に接する残存歯や歯周組織に悪影響を与え、齲蝕や歯周病の原因となり得る。
【0004】
義歯や保定具汚れには、食物残渣、デンチャー・ペリクル(唾液由来)、デンチャー・プラーク、歯石用沈着物、着色等がある。これに対して、例えば食物残渣の付着防止剤等の義歯ケア組成物(特許文献1)やバイオフィルムに作用する洗浄剤が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-104345号公報
【特許文献2】特開2021-104937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
義歯や保定具に付着する汚れを除去又は防止する洗浄剤は存在しているが、細菌叢に効果的に作用する洗浄剤は十分に提案されているとは言えない状況である。
【0007】
本発明は、口腔内装着関連器具の殺菌作用に優れ、泡状で適用するのに好適な洗浄用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定濃度の殺菌成分を含有させ、泡状で適用することで、優れた殺菌効果を示しながら、口腔内に装着する器具等の洗浄に相応しい安全性も兼ね備える洗浄剤を調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記に掲げる洗浄用組成物を提供する。
項1.
(A)エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、ジクロルイソシアヌール酸塩、第4級アンモニウム塩、次亜塩素酸塩、イソプロピルメチルフェノール、フッ化物、フェノール、チモール、ヒノキチオール、亜塩素酸、塩酸アルキルジアミノグリシン、ラウロイルサルコシンナトリウム、銅クロロフィンナトリウム及び塩酸クロルヘキシジンからなる群より選択される少なくとも1種、(B)界面活性剤、及び(C)水を含有し、口腔内装着関連器具を洗浄する為の洗浄用組成物であって、泡状に吐出する為の洗浄用組成物。
項2.
(B)成分として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルグリコシドを含有する、項1に記載の洗浄用組成物。
項3.
前記(A)成分が、イソプロピルメチルフェノール、ジクロルイソシアヌール酸塩又は第4級アンモニウム塩である、項1又は2に記載の洗浄用組成物。
項4.
(A)エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、ジクロルイソシアヌール酸塩、第4級アンモニウム塩、次亜塩素酸塩、イソプロピルメチルフェノール、フッ化物、フェノール、チモール、ヒノキチオール、亜塩素酸、塩酸アルキルジアミノグリシン、ラウロイルサルコシンナトリウム、銅クロロフィンナトリウム及び塩酸クロルヘキシジンからなる群より選択される少なくとも1種、(B)界面活性剤、及び(C)水を含有する洗浄用組成物が、泡状に吐出する容器に収容されてなる、口腔内装着関連器具用洗浄製品。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、殺菌効果と安全性を兼ね備え、泡状で適用できる口腔内装着関連器具の洗浄用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、塩とは、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;及びこれらの水和物等であり得る。
【0012】
本明細書において、殺菌、滅菌、除菌の対象の菌としては、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans:口腔内に常在する真菌)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans:虫歯の原因菌のひとつであるグラム陽性球菌)、又はポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis:歯周病に関与しているグラム陰性桿菌)が例示されるがこれに限定はされない。
【0013】
[洗浄用組成物]
本発明の洗浄用組成物は、(A)エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、ジクロルイソシアヌール酸塩、第4級アンモニウム塩、次亜塩素酸塩、イソプロピルメチルフェノール、フッ化物、フェノール、チモール、ヒノキチオール、亜塩素酸、塩酸アルキルジアミノグリシン、ラウロイルサルコシンナトリウム、銅クロロフィンナトリウム及び塩酸クロルヘキシジンからなる群より選択される少なくとも1種、(B)界面活性剤、及び(C)水を含有し、泡状で適用するのに好適な、義歯又は歯科矯正保定具等の口腔内装着関連器具を洗浄する為のものである。
【0014】
((A)成分)
本発明の洗浄用組成物には、(A)エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、ジクロルイソシアヌール酸塩、第4級アンモニウム塩、次亜塩素酸塩、イソプロピルメチルフェノール、フッ化物(塩)、フェノール、チモール、ヒノキチオール、亜塩素酸、塩酸アルキルジアミノグリシン、ラウロイルサルコシンナトリウム、銅クロロフィンナトリウム及び塩酸クロルヘキシジン からなる群より選択される少なくとも1種が含まれる。ここで、例えば、フッ化物としては、フッ化ナトリウムが挙げられる。例えば、第4級アンモニウム塩としては、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、又は塩化ベンゼトニウムが挙げられる。
【0015】
(A)成分として、これらの中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。限定はされないが、このうち、イソプロピルメチルフェノール、ジクロルイソシアヌール酸塩、第4級アンモニウム塩が好ましく、イソプロピルメチルフェノール、ジクロルイソシアヌール酸塩、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム又は塩化ベンザルコニウムがより好ましい。
【0016】
本発明の洗浄用組成物の全量に対する(A)成分の含有量は、洗浄用組成物の単位当たりの質量によって、変化し得るが、本発明の効果を発揮する観点から、0.001質量%以上10質量%以下が好ましく、0.001質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.001質量%以上2.0質量%以下がさらに好ましい。
【0017】
((B)界面活性剤)
本発明の洗浄用組成物には、界面活性剤が含まれる。界面活性剤としては、限定はされないが、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び/又は陽イオン界面活性剤のいずれを用いることもできる。
【0018】
好ましい界面活性剤としては、限定はされないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグリコシド、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルりん酸塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、又はグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート80)等が含まれる。ここで、アルキル基の炭素数は、12~15であれば特に限定はされないが、例えばポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(12E.O.)等を用いることができる。
【0019】
界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。好ましくは、例えば、洗浄剤として機能する1種以上の界面活性剤及び起泡剤として機能する1種以上の界面活性剤の少なくとも2種以上の組み合わせであり得る。このような組み合わせとしては、限定はされないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとアルキルグリコシドの組み合わせが挙げられる。
【0020】
本発明の洗浄用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、洗浄用組成物の単位当たりの質量によって、変化し得るが、本発明の効果を発揮する観点から、0.1質量%以上40質量%以下が好ましく、0.5質量%以上35質量%以下がより好ましく、0.8質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。
【0021】
本発明の洗浄用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の割合は、(A)成分1質量部に対して、(B)成分0.4質量部以上30000質量部以下が好ましく、1質量部以上1000質量部以下がより好ましく、2質量部以上100質量部以下がさらに好ましい。
【0022】
((C)水)
本発明の洗浄用組成物は、水が配合された組成物である。水は、イオン交換水等の精製水や、通常の水道水や工業用水等が挙げられる。
洗浄用組成物の全量に対する水の含有量は、50質量%以上95質量%以下が好ましく、60質量%以上90質量以下がより好ましい。
【0023】
(その他の成分)
本発明の効果を阻害しない限り、本発明の洗浄用組成物には、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の他に、任意成分が適宜配合されていても良い。任意成分は、金属封鎖剤、溶剤、pH調整剤、消臭剤、防錆剤、香料、及び/又は色素等であり得る。
【0024】
ここで、pH調整剤としては、例えば、有機酸、リン酸、又はそれらの塩が挙げられ、より詳細には、クエン酸、コハク酸、スルファミン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、マレイン酸、ソルビン酸、フィチン酸又はリン酸、あるいはそれらの塩等が挙げられる。
これらの中から少なくとも1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
限定はされないが、例えばクエン酸、コハク酸、又はスルファミン酸、あるいはこれらの塩が好ましい。
【0025】
(pH)
本発明の洗浄用組成物は、泡で吐出する前の液状の製剤であり、成分の安定性又は安全性の観点等から、例えば、20℃で測定した場合に、pH1~9の溶液であることが好ましく、pH1.5~8.5の溶液であることがより好ましい。pHは、20℃において、市販のpHメーター(例えば株式会社堀場製作所製、F-52(登録商標)型等)を使用して測定できる。
【0026】
(容器)
本発明の洗浄用組成物は、泡吐出容器に収容されてなることが好ましい。泡吐出容器は、好ましくは、スクイーズフォーマー容器、ポンプフォーマー容器、トリガースプレーポンプ又は噴射剤を含む泡吐出用エアゾール容器であり、より好ましくは、ポンプフォーマー容器である。容器には、泡を形成するための多孔質膜が備えられ、液状の洗浄用組成物が多孔質膜を通過することで泡が形成される。
【0027】
本発明の洗浄用組成物を、噴射剤と共に容器に充填する場合、容器からの噴射後に形成する泡を発泡性エアゾール容器を用いることも可能である。噴射剤としては、二酸化炭素(炭酸ガス)、窒素、液化石油ガス(LPG)等を用いることもできる。
【0028】
本発明の洗浄用組成物を充填する容器の材質は特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂、PET樹脂、アクリル酸樹脂、ポリエステル樹脂、エアゾール缶、エアゾール樹脂容器などの容器が挙げられる。
【0029】
(用途等)
本発明の洗浄用組成物は、口腔内装着関連器具の為の洗浄用組成物である。ここで、口腔内装着関連器具とは、義歯、矯正用保定具、スポーツ用マウスピース、及びそれらの収容容器等を言う。
【0030】
本発明の洗浄用組成物は、泡状で適用される為の液体組成物である。本発明の洗浄用組成物は、好ましくは、口腔内装着関連器具に泡状に適用できる。本発明の洗浄用組成物は、泡状で適用することで、泡特有の扱いやすさを備えることができる。限定はされないが、例えば、義歯は、材質として、アクリル樹脂、スルフォン樹脂、セラミック、コバルトクロム、ニッケルクロム、ステンレス、菌、チタン合金などを含み、保定具は、材質として、アクリル樹脂、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PP(ポリプロピレン)、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)を含む。本発明の洗浄用組成物は、このような材質のいずれにも泡状で適用した場合に、優れた泡持続性を発揮し得る。その為、特にこれらの用途に適用した場合に、優れた洗浄力と殺菌力を発揮することができる。
【0031】
また、本発明の洗浄用組成物の使用方法は、例えば以下の方法とできる。即ち、1日1回、3日に1回、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回程度、泡状として適量(例えば、約0.5~20g)を口腔内装着関連器具全体又は特に汚れの付着する部分に適用し、その後は水ですすぐことでよい。本発明の洗浄用組成物は、泡状で適用した後に、例えば水で数秒間から1分間程度洗い流し、その後、口腔内装着関連器具を使用に供する。
【0032】
[製造方法]
本発明の洗浄用組成物は、公知の方法により、原料を混合して製造することができる。必要に応じて、滅菌工程やろ過工程を含めることができる。
【実施例0033】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、表における各成分量の単位は、表中特に断りがない限り、質量%である。
【0034】
表1に記載の成分を混合し、これらを常温にて攪拌調製して洗浄用組成物を得た。
【0035】
[1―1]泡の持続性試験1
泡吐出用容器(100ml容量)に各組成物を100ml充填した。なお、泡吐出用容器は吉野工業所製ポンプフォーマーポンプ及び容器を用いた。
室温、成り行き湿度において、義歯の上に、各組成物を0.9gずつ吐出塗布した。生じた泡について、泡立ちが確認され、義歯から少なくとも3分間はこぼれ落ちない程度に泡が維持されたものを〇、泡立ちが不十分だったものや泡が3分間維持されなかったものを×とした。この結果についても併せて表1に示す。
【0036】
[1―2]泡の持続性試験2
泡吐出用容器(100ml容量)に各組成物を100ml充填した。なお、泡吐出用容器は吉野工業所製ポンプフォーマーポンプ及び容器を用いた。
室温、成り行き湿度において、EVA製のリテーナーの上に、各組成物を0.9gずつ吐出塗布した。生じた泡について、泡立ちが確認され、リテーナーから少なくとも3分間はこぼれ落ちない程度に泡が維持されたものを〇、泡立ちが不十分だったものや泡が3分間維持されなかったものを×とした。この結果についても併せて表1に示す。
【0037】
[2]洗浄力
JIS K 3370試験法を参考にし、さらに改良を行って、モデル汚れを付着させたガラス片(オイルレッド(スダンIII)0.05g、大豆たんぱく0.25g、レシチン2.0g、大豆油5g、モノオレイン0.07gをクロロホルム10gに溶解させ、ガラス片に付着後、風乾させたもの)を作成し、各製剤を、汚れを覆うように塗布し、5分間その状態を保った。その後、水道水で10秒間洗い流し、汚れの落ち具合を観察した。また製剤を塗布せずに水道水で10秒間洗い流したものをコントロールとした。視認により、コントロールと比べて、モデル汚れが明らかに落ちたものを〇、ほとんど変わらないかもしくはほとんど汚れが落ちていないものを×とした。この結果についても併せて表1に示す。
【0038】
[3]除菌力
除菌力の評価は、具体的には以下のようにして行った。
【0039】
(対象菌)
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)
【0040】
(菌培養に用いる培地)
GP寒天培地(グルコースペプトン寒天培地)にレシチン、ポリソルベート80を添加して使用した。
【0041】
(菌液の調製方法)
表1に示す実施例及び比較例の製剤それぞれを約0.9mLを試験管に入れ、試験検体とした。その後、対象菌の菌液を試験検体に対して約105~106cfu/mLとなるように0.1mL添加後よく混和した。その後、25℃で保存し、10分後に試験液中の生菌数を測定した。
【0042】
作用後の菌の量を作用前の菌の量で除して算出し、菌の減少値とした。このように得られた菌の減少について、
生菌数が1/10以下に1/100超:○
生菌数が1/10以下にまで減少しない:×
と評価した。
【0043】
【0044】
評価試験の結果、実施例の組成物では、泡の持続性が良く、かつ高い洗浄効果及び除菌効果が示された。