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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099124
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】半自動切換装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 16/00 20060101AFI20240718BHJP
   F16K 31/44 20060101ALI20240718BHJP
   G05D 16/06 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
G05D16/00 A
F16K31/44 A
G05D16/06 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002829
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】593063703
【氏名又は名称】株式会社ユタカ
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】進藤 真秀
【テーマコード(参考)】
3H063
5H316
【Fターム(参考)】
3H063AA01
3H063BB50
3H063CC04
3H063DA03
3H063DB02
3H063DB31
5H316AA20
5H316BB01
5H316CC07
5H316DD13
5H316DD20
5H316JJ01
5H316JJ13
5H316KK02
5H316LL07
(57)【要約】
【課題】二つの減圧弁を備えた半自動切換装置において、双方の減圧弁を可変切
換弁とした構造とする。
【解決手段】複数のガスボンベを接続可能とし、各ガスボンベにそれぞれ接続可能な供給側圧力調整器10,40と、供給側圧力調整器の1つを選択し排出側圧力調整器2にガスを導く切換手段とを本体に有してガスボンベからのガス供給を自動的に切り換えて連続供給を行う半自動切換装置において、切換手段は、一方の供給側圧力調整器10の圧力調整スプリング20を押圧可能に進退移動する第1歯車32と、他方の供給側圧力調整器40の圧力調整スプリング20を押圧可能に進退移動する第1歯車32と同径の第2歯車52と、第1歯車32及び第2歯車52の間に歯合するように本体に対して固定された切換歯車70と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガスボンベを接続可能とし、前記各ガスボンベにそれぞれ接続可能な供給側圧力調整器と、前記供給側圧力調整器の1つを選択し排出側圧力調整器にガスを導く切換手段とを本体に有して前記ガスボンベからのガス供給を自動的に切り換えて連続供給を行う半自動切換装置において、
前記切換手段は、
一方の供給側圧力調整器の圧力調整スプリングを押圧可能に進退移動する第1歯車と、
他方の供給側圧力調整器の圧力調整スプリングを押圧可能に進退移動する前記第1歯車と同径の第2歯車と、
前記第1歯車及び第2歯車の間に歯合するように前記本体に対して固定された切換歯車と、
を備えたことを特徴とする半自動切換装置。
【請求項2】
前記切換歯車は、第1歯車及び第2歯車と同じ径の一対の歯車で構成し、第1歯車の進退移動は切換歯車と同方向の回転により、第2歯車の進退移動は切換歯車と逆方向の回転により得られるようにした請求項1に記載の半自動切換装置。
【請求項3】
前記切換歯車は、第1歯車及び第2歯車より大径の歯車一個で構成し、第1歯車及び第2歯車の進退移動は、同方向の回転により上方及び下方移動が得られるようにした請求項1に記載の半自動切換装置。
【請求項4】
前記切換歯車の上部にレバーを設け、該レバーの回動により前記供給側圧力調整器を切り換える請求項1に記載の半自動切換装置。
【請求項5】
前記レバーの回動開始及び終了位置は、レバーの180度の回転操作により与えられる請求項4に記載の半自動切換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス供給元(例えば、二つのガスボンベ)から供給されるガスを自動的に切り替える自動切換弁に関し、特に、ガスボンベに接続される供給側圧力調整器の圧力調整スプリングの付勢力を手動で切り換えることで、各ガスボンベからのガスを連続的に供給する半自動切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や研究所等でガスの連続供給が必要な場所では、一対の供給側圧力調整器が接続された半自動切換装置に対して排出側圧力調整器を接続し、一定の圧力のガスが連続して供給されるシステムが使用されている。
【0003】
このシステムは、図7及び図8に示すように、ハウジング110に設けた二次圧力可変減圧弁(可変減圧弁)120及び二次圧力固定減圧弁(固定減圧弁)130と、各減圧弁の二次室となる共通二次圧力室140を設けた半自動切換装置100と、半自動切換装置の共通二次圧力室に連結して任意圧力に調整する圧力調整器200を備えて構成されている。
半自動切換装置の可変減圧弁120及び固定減圧弁130には、それぞれ逆止弁150を介してガスボンベ(図示せず)が連結され、可変減圧弁120は、レバー121の手動操作で圧力調整スプリング122からの圧力調整弁123への付勢力を切り換えることにより、二次圧力を2種類に設定可能に構成されている。
【0004】
上述の構成により、固定減圧弁130にガスボンベ(A側)から供給されたガスは予めセットされた圧力(例えば1.2MPa)への減圧が行われ、可変減圧弁120にガスボンベ(B側)から供給されたガスはレバー操作により設定された圧力への減圧が行われる。例えば、レバー121の位置により、固定減圧弁130でセットされている圧力よりも低い圧力(例えば1.0MPa)か、固定減圧弁130でセットされている圧力よりも高い圧力(例えば1.4MPa)かのどちらかに切り換えることが行われる。
【0005】
可変減圧弁120の二次圧力が固定減圧弁130の二次圧力(1.2MPa)より低い圧力(1.0MPa)に設定されている場合は、二次圧力が高い固定減圧弁130に連結されたガスボンベ(A側)からのガスが共通二次圧力室140に供給され、圧力調整器200により任意の圧力へ減圧されたガスが外部へ流出する(図7)。
【0006】
ガスボンベにおいては、ガスが放出されると放出流量に応じて設定した二次圧力が低下し、また、入口圧力(ボンベの残圧)の変化によりセット圧力が変化する現象が生じる。
【0007】
したがって、ガスボンベ(A側)の残量が減ると固定減圧弁130の二次圧力が1.2MPaから低下し、1.0MPaより低くなると二次圧力が1.0MPaに設定されている可変減圧弁120に接続されたガスボンベ(B側)からのガスが共通二次圧力室140に供給されることになる(図8)。
【0008】
そして、ガスボンベ(B側)からのガスが共通二次圧力室140に供給される状態で、レバー121を操作して設定圧力の切換を行ってからガスボンベ(A側)を新しいガスボンベに交換する。この時、レバー121の操作により、可変減圧弁120の設定圧力は1.4MPaとなる。この状態でガスボンベ(B側)からの供給が続けられ、残量が減ると可変減圧弁120の二次圧力が1.4MPaから低下し、1.2MPaより低くなると二次圧力が1.2MPaに設定されている固定減圧弁130に接続されたガスボンベ(A側)からのガスが共通二次圧力室140に供給されることで、共通二次圧力室140から圧力調整器200へのガスの連続供給が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3215302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した半自動切換装置によれば、1.2MPaの固定減圧弁130に対して、可変減圧弁120の減圧値を上下で設定する必要があり、切換幅(1.0~1.4MPa)が大きくなる傾向がある。一方、可変減圧弁120又は固定減圧弁130の減圧値が高圧(1.0MPa)になると、高圧ガス製造行為となるため所定の製造設備が必要となる。
【0011】
可変減圧弁120の切換幅(上述の例であると、0.4MPa)が大きいと、可変減圧弁120及び固定減圧弁130の減圧値を高圧(1.0MPa)未満に抑えた場合、最終的に得られる排出側圧力が低下するという課題が存在した。
【0012】
本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、半自動切換圧装置における二つの減圧弁の双方について、減圧値を1.0MP未満としつつ排出側圧力を高く設定可能にするため、それぞれを可変切換弁とした構造の半自動切換装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため請求項1は、複数のガスボンベを接続可能とし、前記各ガスボンベにそれぞれ接続可能な供給側圧力調整器(10,40)と、前記供給側圧力調整器の1つを選択し排出側圧力調整器(2)にガスを導く切換手段とを本体に有して前記ガスボンベからのガス供給を自動的に切り換えて連続供給を行う半自動切換装置において、次の構成を含むことを特徴としている。
前記切換手段は、
一方の供給側圧力調整器(10)の圧力調整スプリング(20)を押圧可能に進退移動する第1歯車(32)と、
他方の供給側圧力調整器(40)の圧力調整スプリング(20)を押圧可能に進退移動する前記第1歯車(32)と同径の第2歯車(52)と、
前記第1歯車(32)及び第2歯車(52)の間に歯合するように前記本体に対して固定された切換歯車(70)と、
を備える。
【0014】
請求項2は、請求項1の半自動切換装置において、
前記切換歯車(70)は、第1歯車(32)及び第2歯車(52)と同じ径の一対の歯車(切換歯車70及び伝達歯車80)で構成し、第1歯車の進退移動は切換歯車と同方向の回転により、第2歯車の進退移動は切換歯車と逆方向の回転により得られるようにしたことを特徴としている。
【0015】
請求項3は、請求項1の半自動切換装置において、
前記切換歯車(大径切換歯車85)は、第1歯車(32)及び第2歯車(52)より大径の歯車一個で構成し、第1歯車及び第2歯車の進退移動は、同方向の回転により上方及び下方移動が得られるようにしたことを特徴としている。
【0016】
請求項4は、請求項1の半自動切換装置において、
前記切換歯車の上部にレバー(74)を設け、該レバーの回動により前記供給側圧力調整器を切り換えることを特徴としている。
【0017】
請求項5は、請求項4の半自動切換装置において、
前記レバー(74)の回動開始及び終了位置は、レバーの180度の回転操作により与えられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の半自動切換装置によれば、切換歯車(70)に歯合された第1歯車(32)及び第2歯車(52)を設けることで、切換歯車の回動に対して第1歯車及び第2歯車がそれぞれ供給側圧力調整器の圧力調整スプリング(20)の付勢力を調節する(強める又は弱める)方向へ回動させ、各供給側圧力調整器(10,40)の二次圧力値(減圧値)を同時に変更させることができる。
その結果、供給側圧力調整器の双方について、可変切換弁とした構造を採用することができ、少ない圧力値幅での半自動切換装置を実現することができる。
【0019】
切換歯車を、第1歯車(32)及び第2歯車(52)と同じ径の一対の歯車(切換歯車70及び伝達歯車80)で構成することで、切換歯車(70)の回動に対して、第1歯車(32)と第2歯車(52)とが互いに逆方向に回動する。
【0020】
切換歯車を、第1歯車(32)及び第2歯車(52)より大径の歯車(大径切換歯車85)一個で構成することで、切換歯車の回動に対して、第1歯車(32)と第2歯車(52)とが同方向に回動する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る半自動切換装置を備えた半自動切換装置示す正面説明図である。
図2図1の半自動切換装置の側面説明図である。
図3図1のIII-III線断面説明図である。
図4】(a)(b)は図3の半自動切換装置の切換時における歯車部分の正面説明図である。
図5】半自動切換装置の他の実施例を示すもので、図3に対応する断面説明図である。
図6】(a)(b)は図5の半自動切換装置の切換時における歯車部分の正面説明図である。
図7】従来の半自動切換減圧装置を示すモデル図である。
図8】従来の半自動切換減圧装置を示すモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の半自動切換装置を備えた半自動切換減圧装置の実施形態の一例について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
半自動切換減圧装置は、図1及び図2に示すように、2つの供給側圧力調整器(減圧弁)10,40と、2つの供給側圧力調整器10,40の切換を行う切換装置100とを備えた半自動切換装置1と、供給側圧力調整器10,40の共通二次圧力室に連結して任意圧力に調整する排出側圧力調整器(減圧弁)2と、から構成されている。
各供給側圧力調整器(減圧弁)10,40へは、入口継手7を介してガスが供給される。
【0023】
供給側圧力調整器(減圧弁)10,40の1次圧力室側、及び、圧力調整器(減圧弁)2の1次圧力室側には、それぞれ圧力計3,4,5が装着され、供給側圧力調整器(減圧弁)10の一次圧、供給側圧力調整器(減圧弁)40の一次圧、排出側圧力調整器2の二次圧を測定するようになっている。
【0024】
また、供給側圧力調整器10の一次室には、一次室の圧力が異常に高くなった場合に外部にガスを放出するように、安全弁6が装着されている。
【0025】
各供給側圧力調整器10は、ハウジング11内に形成された一次圧力室12及び共通二次圧力室13を備えるとともに、一次圧力室12内に配置された緩衝スプリング14と、緩衝スプリングにより付勢される調整弁15と、一次圧力室12と共通二次圧力室13を区画し調整弁15が当接する弁座16と、調整弁15により開閉する弁孔17と、調整弁15を案内する調整弁案内18と、共通二次圧力室13を塞ぐダイヤフラム19と、ダイヤフラム19への押圧力を調整する圧力調整スプリング20を具備して構成されている。
【0026】
圧力調整スプリング20を覆うように、ハウジング11に対してカバー部21が固定され、カバー部21の中央孔22にネジ支持部23が固定されている。ネジ支持部23の中央にはネジ山が切られ、ハンドル部30のシャフト部31が螺着されることで、シャフト部31の下端が圧力調整スプリング20の上端に当接するように配置されている。
この構成により、ハンドル部30を回動すると、ネジ支持部23に対するシャフト部31の上下方向の移動で圧力調整スプリング20を押圧して付勢力が変動し、ダイヤフラム19の位置による弁孔17に対する調整弁15の接離により、共通二次圧力室13を設定された二次圧に減圧するように作用する。
【0027】
供給側圧力調整器10のハンドル部30は、シャフト部31と、シャフト部31に固定された第1歯車32とから構成されている。シャフト部31の下方におけるネジ支持部23に対して螺着する部位は、右回りの回転で下方向へ移動する右ネジ山31aが形成され、ネジ支持部23に刻設されたネジ溝24に対して進退可能に配置されている。
第1歯車32は、上方の大径部の側面周囲に凹凸が刻設された歯車32aを備えて構成されている。
【0028】
供給側圧力調整器40についても供給側圧力調整器10と同様の構成を採っており、ハンドル部30に対応するハンドル部50のシャフト部51に固定された第2歯車52及び歯車52aを備えている。
【0029】
各供給側圧力調整器10,40は平板60上に配置され、全体を覆うように立方形状の蓋体61が装着されている。また、平板60に装着された支持枠62には、切換歯車70が回動可能に装着され、この切換歯車70が供給側圧力調整器40の第2歯車52に歯合するように配置されている。切換歯車70のシャフト部71は蓋体61を貫通し、上端に円柱部73が装着され、側面位置に長尺状の切換レバー74が設置されている。
【0030】
切換歯車70は、支持枠62に固定された伝達歯車80に歯合するように配置され、伝達歯車80に対して供給側圧力調整器10の第1歯車32が歯合するように配置されている。
歯車連結部分は4個の歯車から構成し、第1歯車32、第2歯車52、切換歯車70、伝達歯車80の直径は、図4に示すように、全て同じ長さに形成され、切換歯車70へ与える回動角度がそのまま第1歯車32及び第2歯車52に与えられる。
【0031】
この際、切換歯車70の回転方向に対する第1歯車32の回転方向と、第2歯車52の回転方向とが逆になるので、第1歯車32のシャフト部31が右回りで下方向に移動(右ネジ)した場合、第2歯車52のシャフト部51は左回りで上方向に移動することができ、シャフト部31,51に対するネジ支持部23が同じ構造(右ネジ山)の供給側圧力調整器10,40を使用することが可能となる。
【0032】
各供給側圧力調整器10,40は、切換歯車70の180度の回動動作によりシャフト部31,51(ネジ)が進退して調整スプリング20への押圧力を調整し、ダイヤフラム19及び調整弁案内18に与える付勢力を二段階に変化させることで、二次圧力室の圧力を0.85MPa又は0.99MPaのいずれかに設定できるように構成されている。切換レバー74は切換完了時において、入口継手7の繋ぐ線上で止まるようになっている。
【0033】
すなわち、図3は、切換歯車70の切換レバー74を右側位置(図4の下側の図)に動作させた状態を示すもので、この状態では、切換歯車70及び伝達歯車80の鉛直方向位置に対して、第1歯車32が下方に位置し、第2歯車52が上方に位置することで、第1歯車32のシャフト部31が調整スプリング20への押圧力を増加させてダイヤフラム19に与える付勢力を大きくし、供給側圧力調整器10の二次圧力室が0.99MPaになるように設定されている。
一方、供給側圧力調整器40においては、第2歯車52が上方に位置した状態となり調整スプリング20への押圧を緩めることからダイヤフラム19が受ける付勢力が減少し、供給側圧力調整器40の二次圧力室が0.85MPaになるように設定されている。
【0034】
各供給側圧力調整器10,40の一次圧力室12へは、それぞれ逆止弁付入口継手90(入口継手7)を介してガスボンベが接続するように構成されている。供給側圧力調整器10の共通二次圧力室13と、供給側圧力調整器40の共通二次圧力室13は、それぞれハウジング11に穿孔された縦孔11a及び継手81を介して連結され、一方の継手81側に設けた連結孔82から排出側圧力調整器2側へガスが流れるように構成されている。
圧力調整器(排出側圧力調整器)2では、共通二次圧力室13から供給されるガス圧力を設定された任意圧力に調整して外部へ排出するようになっている。
【0035】
上述した各供給側圧力調整器10,40によれば、圧力調整スプリング20による付勢力により調整弁案内18が押されることで、調整弁15が緩衝スプリング14の付勢力に抗してハウジング11の下方に移動して弁孔17が開口状態となり、流入口から弁孔17を通ってガスが流れ、二次圧力室(減圧室)13内の圧力を上昇させる。
【0036】
二次圧力室(減圧室)13のガス圧力が圧力調整スプリング20により設定された設定圧より高くなると、ダイヤフラム19を押圧することで圧力調整スプリング20の付勢力に抗して調整弁案内18が移動し、緩衝スプリング14の存在により調整弁15が押され、弁シートが弁座16に当接して弁孔17が閉塞状態となる。このような動作が繰り返されることにより、二次圧力室(減圧室)13を設定圧(二次圧)に減圧し、この圧力が維持される。
【0037】
続いて上記構造を備えた半自動切換装置1の動作について説明する。
排出側圧力調整器2は、入口継手7に装着されたガスボンベから供給側圧力調整器10又は供給側圧力調整器40を介してガスが供給され、出口継手8に任意圧力に減圧調整されたガスを流出する(図1)。
【0038】
図3に示すように、半自動切換装置1の供給側圧力調整器10,40の各逆止弁付入口継手90(入口継手7)にガスボンベを接続した場合に、半自動切換装置におけるレバー74が右側に位置している状態(図1及び図3)では、切換歯車70に対して第1歯車32が下方に位置して調整スプリング20を押圧するので、供給側圧力調整器10の二次圧力(供給圧力)が0.99MPaに、供給側圧力調整器40の二次圧力(供給圧力)が0.85MPaに設定される。
【0039】
この状態において、供給側圧力調整器10の一次圧力室13に接続される流通路(共通二次圧力室)は0.99MPaになり、供給側圧力調整器40の弁孔17は閉塞され、二次圧力が高く設定された供給側圧力調整器10に接続されたガスボンベからガスが流入し、共通二次圧力室13に流入し設定圧である0.99MPaを維持する。
すなわち、両側にガスボンベを接続した場合、差圧があるため供給圧力が低下しようとすると供給側圧力調整器10で常に0.99MPaを保つようにガスボンベからガスが供給される。この時、供給側圧力調整器40に接続されたガスボンベからはガスは供給されないことになる。
供給側圧力調整器10で減圧されたガスは、継手81から連通路82を介して排出側圧力調整器2に流れ、0.99MPaから所望の圧力に減圧されたガスが出口継手7から流出する。
【0040】
供給側圧力調整器10に接続されたガスボンベからのガス供給が続けられガスボンベの残ガスが少なくなり元圧が低下するにともなってガスの供給が維持できなくなると、供給側圧力調整器10の二次圧が0.99MPaを割り込み、更に0.85MPaよりも低下すると、設定圧が0.85MPaに設定されている供給側圧力調整器40に接続されたガスボンベからガスが供給される。供給側圧力調整器40からガスが供給され始めた時には、供給側圧力調整器10側のガスボンベは殆ど空になっている。
【0041】
この状態で、供給側圧力調整器10のレバー74を180度左側へ反転させ、供給側圧力調整器10側のガスボンベの交換を行う。レバー74を反転させる事で、第1歯車32の位置が上昇するとともに第2歯車52の位置が下降し、第2歯車52のシャフト部51が調整スプリング20への押圧力を増加させてダイヤフラム19に与える付勢力を大きくし、供給側圧力調整器40の二次圧力室13が0.99MPaに設定される。
【0042】
供給側圧力調整器40に接続されたガスボンベからのガス供給が続けられガスボンベの残ガスが少なくなり、二次圧力室(減圧室)13の圧力が設定圧より低下してガスの供給が維持できなくなると、供給側圧力調整器40の二次圧が0.99MPaを割り込み、更に0.85MPaよりも低下すると、供給側圧力調整器10側の取り替えられた新しいガスボンベからガスが供給される。
【0043】
供給側圧力調整器40のガスボンベを交換する際も同様にレバー74を逆側(右側)へ反転させてからボンベ交換を行う。その結果、調整圧力の設定が初期の状態へ戻り、供給側圧力調整器10からの供給になる。
ガスボンベの交換時に上述の作業を行うことで、排出側圧力調整器2に対してガス切れを起こさずにガスの供給をレバー74の切換のみで自動的(半自動)に続けることができる。
【0044】
上述した実施例によれば、供給側圧力調整器10,40の二次圧力を0.85MPa又は0.99MPaで切り換えて動作させるので、従来に比較して少ない圧力値の切換幅で半自動の切換装置を実現することができる。
その結果、供給側圧力調整器10,40の二次圧(減圧値)を0.85MPa又は0.99MPa(1.0MPa未満)に抑えつつ、最終的に得られる排出側圧力を比較的に高い圧力値(0.85MPa以上)とすることが可能となる。
【0045】
図5は、他の実施例を示すもので、図1~4と同様の構成を採用する部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この例では、歯車連結部分を3個の歯車から構成し、第1歯車32及び第2歯車52に対して直径が長い大径切換歯車85を中央に配置して使用する。
大径切換歯車85を回動させた場合、第1歯車32の回転方向と、第2歯車52の回転方向とが同方向(大径切換歯車85に対して逆方向)となるので、第1歯車32のシャフト部31に刻設されたネジ溝33及びネジ支持部23のネジ溝24は右回りで下方向に移動し(右ネジ)、第2歯車52のシャフト部51に刻設されたネジ溝53及びネジ支持部25のネジ溝26は右回りで上方向に移動(左ネジ)するように構成されている。
【0046】
この例によれば、歯車連結部分の歯車の個数を少なくすることで、供給側圧力調整器10と供給側圧力調整器40とを図1~3に示した半自動切換装置と比較してより近くに配置でき、半自動切換装置全体をコンパクトに作製することができる。
【0047】
また、上述の各実施例では、歯車連結部分歯車の個数を3個または4個としたが、より多い歯車で構成してもよい。
【0048】
本発明による半自動切換減圧装置の構成によれば、半自動切換減圧装置における二つの減圧弁(供給側圧力調整器)の双方について、可変切換弁とした構造を採用することができ、圧力値の切換幅を小さくした半自動切換装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…半自動切換装置
2…排出側圧力調整器(減圧弁)
3,4,5…圧力計
6…安全弁
7…入口継手
8…出口継手
10,40…供給側圧力調整器(減圧弁)
11…ハウジング
12…一次圧力室
13…共通二次圧力室
14…緩衝スプリング
15…調整弁
16…弁座
17…弁孔
18…調整弁案内
19…ダイヤフラム
20…圧力調整スプリング
21…カバー部
23…ネジ支持部
24…ネジ溝(右ネジ)
25…ネジ支持部
26…ネジ溝(左ネジ)
30…ハンドル部
31…シャフト部
32…第1歯車
33…ネジ溝(右ネジ)
50…ハンドル部
51…シャフト部
52…第2歯車
53…ネジ溝(左ネジ)
60…平板
61…蓋体
62…支持枠
70…切換歯車
73…円柱部
74…レバー
80…伝達歯車
85…大径切換歯車
90…逆止弁付入口継手
100…切換装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8