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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099127
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】電動車椅子
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240718BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240718BHJP
   B60N 2/75 20180101ALI20240718BHJP
   A61G 5/04 20130101ALI20240718BHJP
   A61G 5/12 20060101ALI20240718BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
B60N2/75
A61G5/04 707
A61G5/12 707
A61G5/12 701
A61G5/12 702
B62B3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002833
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】和久 道信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良祐
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3D050
【Fターム(参考)】
3B084JA06
3B084JC01
3B087AA02
3B087DC04
3B087DE09
3B087DE10
3D050AA03
3D050AA04
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK14
3D050KK15
(57)【要約】
【課題】乗員の身体が誤って操作部に当たることによって電動車椅子が誤って加速するのを抑制することを目的とする。
【解決手段】電動車椅子1は、乗員による操作部70の操作によって移動する電動車椅子である。電動車椅子1は、乗員が着座可能なシート50と、電動車椅子1を移動させるための駆動源(モータ30)と、シート50に設けられ、乗員から情報が入力されるセンサ(圧力センサ81~84)と、センサから情報を取得する制御部100と、を備える。制御部100は、センサから取得した情報に基づいて、操作部70の操作によって電動車椅子1が加速するのを抑制する移動抑制制御を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員による操作部の操作によって移動する電動車椅子であって、
乗員が着座可能なシートと、
前記電動車椅子を移動させるための駆動源と、
前記シートに設けられ、乗員から情報が入力されるセンサと、
前記センサから前記情報を取得する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記センサから取得した前記情報に基づいて、前記操作部の操作によって前記電動車椅子が加速するのを抑制する移動抑制制御を実行することを特徴とする電動車椅子。
【請求項2】
前記制御部は、前記情報に基づいて、乗員が立ち上がるか否かを判定し、立ち上がると判定した場合に、前記移動抑制制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の電動車椅子。
【請求項3】
前記シートは、シートクッションを有し、
前記センサは、前記シートクッションに設けられる第1圧力センサを有し、
前記制御部は、前記第1圧力センサの検出値が第1所定値以下になった場合に、乗員が立ち上がると判定することを特徴とする請求項2に記載の電動車椅子。
【請求項4】
前記第1所定値は、0より大きいことを特徴とする請求項3に記載の電動車椅子。
【請求項5】
前記シートは、シートバックを有し、
前記センサは、前記シートバックに設けられる第2圧力センサを有し、
前記制御部は、前記第1圧力センサの検出値が前記第1所定値以下、かつ、前記第2圧力センサの検出値が第2所定値以下になった場合に、乗員が立ち上がると判定することを特徴とする請求項3に記載の電動車椅子。
【請求項6】
前記シートクッションは、前記第1圧力センサより前に位置する第3圧力センサをさらに有し、
前記制御部は、前記第1圧力センサの検出値が前記第1所定値以下、かつ、前記第3圧力センサの検出値が第3所定値以上になった場合に、乗員が立ち上がると判定することを特徴とする請求項3に記載の電動車椅子。
【請求項7】
前記第1圧力センサは、前記シートクッションの左側と右側のそれぞれに配置され、
前記制御部は、左右の一方の第1圧力センサの検出値が第4所定値以下、かつ、他方の第1圧力センサの検出値が第5所定値以上になった場合、乗員が立ち上がると判定することを特徴とする請求項3に記載の電動車椅子。
【請求項8】
乗員の腕を置くためのアームレストをさらに備え、
前記操作部は、前記アームレストの周囲に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電動車椅子。
【請求項9】
前記制御部は、前記電動車椅子が停止していることを条件として、前記移動抑制制御を実行することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電動車椅子。
【請求項10】
前記制御部は、
前記移動抑制制御を実行していない場合、前記操作部から加速の信号を受けると、前記駆動源を作動させることで前記電動車椅子を加速させ、
前記移動抑制制御を実行する場合、前記操作部から前記加速の信号を受けても前記駆動源を作動させないことで前記電動車椅子を加速させないことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電動車椅子。
【請求項11】
前記操作部をロックするロック位置と、前記操作部のロックを解除する解除位置との間で移動可能なロック部材をさらに備え、
前記制御部は、前記移動抑制制御を実行する場合、前記ロック部材を前記解除位置から前記ロック位置に移動させることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電動車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アームレストの近くに位置する操作ハンドルを乗員が操作することで前後左右に移動する電動車椅子が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/132533号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、止まった状態の電動車椅子から乗員が降りようとして立ち上がる際、乗員の手が操作ハンドルに当たって、電動車椅子が誤って発進するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、乗員の身体が誤って操作部に当たることによって電動車椅子が誤って加速するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る電動車椅子は、乗員による操作部の操作によって移動する電動車椅子である。
電動車椅子は、乗員が着座可能なシートと、電動車椅子を移動させるための駆動源と、シートに設けられ、乗員から情報が入力されるセンサと、センサから情報を取得する制御部と、を備える。
制御部は、センサから取得した情報に基づいて、操作部の操作によって電動車椅子が加速するのを抑制する移動抑制制御を実行する。
【0007】
この構成によれば、制御部は、センサから取得した情報に基づいて、例えば乗員の身体が誤って操作部に当たる可能性がある場合に移動抑制制御を実行することが可能となるので、乗員の身体が誤って操作部に当たることによって電動車椅子が誤って加速するのを抑制することができる。
【0008】
また、制御部は、情報に基づいて、乗員が立ち上がるか否かを判定し、立ち上がると判定した場合に、移動抑制制御を実行してもよい。
【0009】
乗員が立ち上がる場合には乗員の身体が操作部に誤って当たる可能性が高いので、この場合に移動抑制制御を実行することで、乗員の身体が誤って操作部に当たることによって電動車椅子が誤って加速するのを抑制することができる。
【0010】
また、シートは、シートクッションを有し、センサは、シートクッションに設けられる第1圧力センサを有し、制御部は、第1圧力センサの検出値が第1所定値以下になった場合に、乗員が立ち上がると判定してもよい。
【0011】
この構成によれば、乗員が立ち上がるか否かを、シートクッションの第1圧力センサの検出値に基づいて精度よく判定することができる。
【0012】
また、第1所定値は、0より大きくてもよい。
【0013】
この構成によれば、乗員が完全に立ち上がる前に、乗員が立ち上がるか否かを判定することができるので、移動抑制制御を早めに開始することができ、電動車椅子の誤動作をより適切に抑制することができる。
【0014】
また、シートは、シートバックを有し、センサは、シートバックに設けられる第2圧力センサを有し、制御部は、第1圧力センサの検出値が第1所定値以下、かつ、第2圧力センサの検出値が第2所定値以下になった場合に、乗員が立ち上がると判定してもよい。
【0015】
この構成によれば、シートクッションに設けられた第1圧力センサの検出値と、シートバックに設けられた第2圧力センサの検出値の両方を用いて乗員が立ち上がるか否かを判定するので、乗員の立ち上がりをより精度よく判定することができる。
【0016】
また、シートクッションは、第1圧力センサより前に位置する第3圧力センサをさらに有し、制御部は、第1圧力センサの検出値が第1所定値以下、かつ、第3圧力センサの検出値が第3所定値以上になった場合に、乗員が立ち上がると判定してもよい。
【0017】
この構成によれば、乗員がシートから立ち上がるべく前傾姿勢をとったときに、第1圧力センサと第3圧力センサの各検出値に基づいて乗員が立ち上がると判定するので、乗員の立ち上がりをより精度よく判定することができる。
【0018】
また、第1圧力センサは、シートクッションの左側と右側のそれぞれに配置され、制御部は、左右の一方の第1圧力センサの検出値が第4所定値以下、かつ、他方の第1圧力センサの検出値が第5所定値以上になった場合、乗員が立ち上がると判定してもよい。
【0019】
この構成によれば、乗員がシートから立ち上がるべく身体を左右方向に傾けたときに、左右の第1圧力センサの各検出値に基づいて乗員が立ち上がると判定するので、乗員の立ち上がりをより精度よく判定することができる。
【0020】
また、電動車椅子は、乗員の腕を置くためのアームレストをさらに備え、操作部は、アームレストの周囲に配置されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、乗員がシートから立ち上がるべくアームレストに腕をのせた際に手が操作部に誤って当たった場合であっても、電動車椅子が誤って加速するのを移動抑制制御により抑制することができる。
【0022】
また、制御部は、電動車椅子が停止していることを条件として、移動抑制制御を実行してもよい。
【0023】
この構成によれば、電動車椅子の走行中に移動抑制制御が誤って行われるのを抑制することができる。
【0024】
また、制御部は、移動抑制制御を実行していない場合、操作部から加速の信号を受けると、駆動源を作動させることで電動車椅子を加速させ、移動抑制制御を実行する場合、操作部から加速の信号を受けても駆動源を作動させないことで電動車椅子を加速させないように構成されていてもよい。
【0025】
この構成によれば、移動抑制制御を実行するために例えば操作部をロックするロック部材などを設ける必要がないので、簡易な構成で、移動抑制制御を実行することができる。
【0026】
また、電動車椅子は、操作部をロックするロック位置と、操作部のロックを解除する解除位置との間で移動可能なロック部材をさらに備え、制御部は、移動抑制制御を実行する場合、ロック部材を解除位置からロック位置に移動させてもよい。
【0027】
この構成によれば、移動抑制制御によって操作部がロックされるので、乗員が立ち上がる際に、操作部を手すりとして利用することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、乗員の身体が誤って操作部に当たることによって電動車椅子が誤って加速するのを抑制することができる。
【0029】
また、制御部が、乗員が立ち上がると判定した場合に、移動抑制制御を実行する構成とすることで、乗員の身体が操作部に誤って当たる可能性が高い乗員の立ち上がり時において、電動車椅子が誤って加速するのを抑制することができる。
【0030】
また、制御部が、シートクッションに設けられる第1圧力センサの検出値が第1所定値以下になった場合に、乗員が立ち上がると判定する構成とすることで、乗員が立ち上がるか否かを精度よく判定することができる。
【0031】
また、第1所定値を0より大きくすることで、乗員が完全に立ち上がる前に、乗員が立ち上がるか否かを判定することができるので、移動抑制制御を早めに開始することができ、電動車椅子の誤動作を抑制することができる。
【0032】
また、制御部が、シートクッションに設けられた第1圧力センサの検出値と、シートバックに設けられた第2圧力センサの検出値の両方を用いて乗員が立ち上がるか否かを判定することで、乗員の立ち上がりをより精度よく判定することができる。
【0033】
また、制御部が、シートクッションにおいて前後に異なる位置に配置された第1圧力センサと第3圧力センサの各検出値に基づいて乗員の立ち上がりを判定することで、乗員がシートから立ち上がるべく前傾姿勢をとったときに、乗員が立ち上がると判定することができる。
【0034】
また、制御部が、シートクッションの左側と右側のそれぞれに配置される左右の第1圧力センサの各検出値に基づいて乗員の立ち上がりを判定することで、乗員がシートから立ち上がるべく身体を左右方向に傾けたときに、乗員が立ち上がると判定することができる。
【0035】
乗員の腕を置くためのアームレストの周囲に操作部が配置される構成では、乗員がシートから立ち上がるべくアームレストに腕をかけた際に手が操作部に誤って当たりやすいが、この場合でも、電動車椅子が誤って加速するのを移動抑制制御により抑制することができる。
【0036】
また、制御部が、電動車椅子の停止を条件として移動抑制制御を実行することで、電動車椅子の走行中に移動抑制制御の開始条件が満たされて、移動抑制制御が誤って行われるのを抑制することができる。
【0037】
また、制御部が、移動抑制制御を実行する場合、操作部から加速の信号を受けても駆動源を作動させない構成とすることで、移動抑制制御を実行するために例えば操作部をロックするロック部材などを設ける必要がないので、簡易な構成で、移動抑制制御を実行することができる。
【0038】
また、制御部が、移動抑制制御を実行する場合、ロック部材で操作部をロックする構成とすることで、乗員が立ち上がる際に、操作部を手すりとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】第1実施形態に係る電動車椅子を示す斜視図である。
図2】制御部の動作を示すフローチャートである。
図3】起立判定を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態に係る電動車椅子に設けられたロック部材を示す図である。
図5】第2実施形態に係る制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[第1実施形態]
以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、電動車椅子1は、フレーム10と、左右の駆動輪20と、駆動源の一例としての左右のモータ30(1つのみ図示)と、左右のキャスタ40と、シート50と、手押しハンドル60と、操作部70と、制御部100とを備えている。なお、本発明において、前後、左右、上下は、電動車椅子1に座る乗員を基準とする。
【0041】
フレーム10は、電動車椅子1の骨格を構成する部材であり、金属製のパイプまたは板からなる。
左右の駆動輪20は、それぞれ、モータ30を介してフレーム10に支持されている。
【0042】
モータ30は、電動車椅子1を移動させるための駆動源であり、駆動輪20を回転させる。なお、本実施形態のモータ30は、電磁ブレーキ付きのモータとする。
【0043】
キャスタ40は、駆動輪20よりも前に位置する。キャスタ40の車輪は、水平方向に沿った軸を中心に回転可能であるとともに、鉛直方向に沿った軸を中心に回転可能となっている。キャスタ40は、フレーム10に支持されている。
【0044】
シート50は、乗員が着座可能な部材である。シート50は、シートクッション51と、シートバック52と、アームレスト53と、フットサポート54と、レッグサポート55とを有する。
【0045】
シートクッション51およびシートバック52は、ウレタンフォームなどのクッション材からなるパッドが合成皮革や布地などの表皮で覆われることで構成されている。シートクッション51およびシートバック52は、フレーム10に支持されている。
【0046】
シートクッション51の表皮とパッドの間には、第1圧力センサの一例としての臀部圧力センサ81と、第3圧力センサの一例としての大腿圧力センサ83とが設けられている。シートバック52の表皮とパッドの間には、第2圧力センサの一例としての腰圧力センサ82と、背中圧力センサ84とが設けられている。
【0047】
各圧力センサ81~84は、シート50の左右の中心に対して左右対称に1対ずつ設けられている。なお、以下の説明や図面においては、左側に配置される圧力センサ81~84については、符号の末尾に「L」を付し、右側に配置される圧力センサ81~84については、符号の末尾に「R」を付して区別することもある。
【0048】
臀部圧力センサ81は、乗員の臀部からの圧力を測定するためのものである。
大腿圧力センサ83は、臀部圧力センサ81より前に位置する。大腿圧力センサ83は、乗員の大腿の下に位置し、乗員の大腿からの圧力値を測定可能である。
【0049】
腰圧力センサ82は、乗員の腰の後ろに対応する位置に位置し、乗員の腰からの圧力値を測定可能である。
背中圧力センサ84は、腰圧力センサ82より上に位置する。背中圧力センサ84は、乗員の背中に対応する位置に位置し、乗員の背中からの圧力値を測定可能である。
【0050】
アームレスト53は、乗員の腕を置くための部材である。アームレスト53は、例えば、ウレタンフォームなどのクッション材からなるパッドが合成皮革や布地などの表皮で覆われることで構成されている。アームレスト53は、シートバック52の左右に配置され、フレーム10に支持されている。
【0051】
フットサポート54は、乗員の足を支持する部材である。フットサポート54は、樹脂などからなり、フレーム10に固定されている。
【0052】
レッグサポート55は、乗員の脹脛を支持する部材である。レッグサポート55は、布などからなり、フレーム10に固定されている。
【0053】
手押しハンドル60は、乗員とは別の人が電動車椅子1を手で押すためのハンドルである。手押しハンドル60は、ゴムなどからなるグリップであり、フレーム10に固定されている。
【0054】
操作部70は、電動車椅子1を移動させるために乗員によって操作される装置である。操作部70は、右側のアームレスト53の前に配置されている。操作部70は、操作レバー71と、基台72とを備えている。
【0055】
操作レバー71は、電動車椅子1を前後左右に移動させるために乗員によって操作されるレバーである。操作レバー71は、前後左右に傾動可能となるように基台72に支持されている。
【0056】
基台72は、内部に、操作レバー71の傾動を検知するレバーセンサを備えている。基台72は、フレーム10に固定されている。
【0057】
操作部70は、操作レバー71の傾動方向に応じた加速の信号を制御部100に出力する。例えば、操作部70は、操作レバー71が傾動していない場合、つまり、中立位置に位置する場合、加速の信号を出力しない。
【0058】
操作部70は、操作レバー71が中立位置から前に倒された場合、電動車椅子1を前に加速させるための前進信号を出力する。操作部70は、操作レバー71が中立位置から後ろに倒された場合、電動車椅子1を後ろに加速させるための後退信号を出力する。
【0059】
操作部70は、操作レバー71が中立位置から右に倒された場合、電動車椅子1を右に旋回(加速)するための右旋回信号を出力する。操作部70は、操作レバー71が中立位置から左に倒された場合、電動車椅子1を左に旋回(加速)するための左旋回信号を出力する。
【0060】
なお、操作部70は、操作レバー71が中立位置から左斜め前、右斜め前、左斜め後ろ、または、右斜め後ろに倒された場合、操作レバー71が倒れた方向に電動車椅子1を移動させるための斜め移動信号を出力してもよい。
【0061】
制御部100は、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行する。制御部100は、例えば、基台72内に設けられていてもよいし、フレーム10に設けられていてもよい。
【0062】
制御部100は、操作部70からの加速の信号に基づいて左右のモータ30の少なくとも1つを作動させることで、電動車椅子1を加速させる移動制御を実行可能となっている。制御部100は、後述する移動抑制制御を実行していない場合に、移動制御を実行可能となっている。
【0063】
具体的に、制御部100は、操作部70から前進信号を受けると、左右のモータ30をともに正回転させることで、電動車椅子1を前に加速させる。制御部100は、操作部70から後退信号を受けると、左右のモータ30をともに逆回転させることで、電動車椅子1を後ろに加速させる。
【0064】
制御部100は、操作部70から右旋回信号を受けると、例えば左のモータ30のみを正回転させることで、電動車椅子1を右に旋回させる。制御部100は、操作部70から左旋回信号を受けると、例えば右のモータ30のみを正回転させることで、電動車椅子1を左に旋回させる。
【0065】
なお、電動車椅子1を左右に旋回させる処理は、前述の方法に限らない。例えば、左右のモータ30を異なる回転速度で回転させることで旋回させてもよいし、左右の一方のモータ30を正回転、他方のモータ30を逆回転させることで旋回させてもよい。なお、制御部100は、操作部70から斜め移動信号を受けた場合、例えば、左右のモータ30を異なる回転速度で所定時間回転させた後、左右のモータ30を同じ回転速度で回転させてもよい。
【0066】
制御部100は、圧力センサ81~83から取得した情報に基づいて、操作部70の操作によって電動車椅子1が加速するのを抑制する移動抑制制御を実行する機能を有している。本実施形態における移動抑制制御では、制御部100は、操作部70から加速の信号を受けても各モータ30を作動させないことで電動車椅子1を加速させない。
【0067】
制御部100は、電動車椅子1が停止していることを条件として、移動抑制制御を実行する。ここで、車両の停止とは、電動車椅子1の速度が所定速度以下であることを含む。本実施形態では、制御部100は、操作部70から信号を受けていない場合に、電動車椅子1が停止していると判定する。なお、制御部100は、操作部70から信号を受けていない時間が所定時間以上の場合に、電動車椅子1が停止していると判定してもよい。
【0068】
制御部100は、圧力センサ81~83から取得した情報に基づいて、乗員が立ち上がるか否かを判定し、立ち上がると判定した場合に、移動抑制制御を実行する。詳しくは、制御部100は、臀部圧力センサ81の検出値P1が第1所定値TH1以下、かつ、腰圧力センサ82の検出値P2が第2所定値TH2以下になった場合に、乗員が立ち上がると判定する。
【0069】
第1所定値TH1および第2所定値TH2は、シート50に乗員が正しい姿勢で着座しているとき(以下、「正常着座時」ともいう。)において、対応する圧力センサで検出される圧力値よりも小さい値である。例えば、正常着座時において、臀部圧力センサ81から所定の圧力値が検出される場合には、第1所定値TH1は、所定の圧力値よりも小さい値に設定される。第1所定値TH1および第2所定値TH2は、0であってもよいが、本実施形態では、0より大きな値とする。
【0070】
第1所定値TH1および第2所定値TH2は、例えば、電動車椅子1を利用すると想定される様々な人のうち最も体重の軽い人に対応した値を予測し、制御部100の記憶部に予め記憶させておいてもよい。また、第1所定値TH1および第2所定値TH2は、例えば、正常着座時において、対応する圧力センサで検出される圧力値に基づいて、制御部100が設定してもよい。
【0071】
なお、正常着座しているかの判定方法としては、例えば、各圧力センサ81~83の各検出値が0より大きく、かつ、各圧力センサ81~83において左右の検出値が略等しい(差が所定値以下)場合に、正常着座していると判定する方法が挙げられる。
【0072】
第1所定値TH1と比較する検出値P1は、左右のいずれかの臀部圧力センサ81での検出値であってもよいし、左右の臀部圧力センサ81の各検出値のうち小さい方の検出値であってもよいし、左右の臀部圧力センサ81の各検出値の平均値または積算値であってもよい。第2所定値TH2と比較する検出値P2も、検出値P1と同様に、左右のいずれかの腰圧力センサ82での検出値などとすることができる。
【0073】
また、制御部100は、臀部圧力センサ81の検出値P1が第1所定値TH1以下、かつ、大腿圧力センサ83の検出値P3が第3所定値TH3以上になった場合に、乗員が立ち上がると判定する。第3所定値TH3は、正常着座時において大腿圧力センサ83で検出される圧力値よりも大きい値である。第3所定値TH3は、例えば、正常着座時において大腿圧力センサ83で検出される圧力値に基づいて、制御部100が設定してもよい。第3所定値TH3と比較する検出値P3は、検出値P1等と同様に、左右のいずれかの大腿圧力センサ83での検出値などとすることができる。
【0074】
また、制御部100は、左右の一方の臀部圧力センサ81の検出値P1が第4所定値TH4以下、かつ、他方の臀部圧力センサ81の検出値P1が第5所定値TH5以上になった場合に、乗員が立ち上がると判定する。
【0075】
第4所定値TH4は、正常着座時において臀部圧力センサ81で検出される圧力値よりも小さい値である。第4所定値TH4は、0であってもよいが、本実施形態では、0より大きな値とする。第4所定値TH4は、第1所定値TH1と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。第4所定値TH4は、第1所定値TH1の設定方法と同じ方法で設定することができる。
【0076】
第5所定値TH5は、正常着座時において臀部圧力センサ81で検出される圧力値よりも大きい値である。第5所定値TH5は、第3所定値TH3の設定方法と同じ方法で設定することができる。
【0077】
次に、制御部100の動作について詳細に説明する。制御部100は、図2に示す処理を繰り返し実行する。
【0078】
図2に示す処理において、制御部100は、まず、電動車椅子1が停止状態であるか否かを判定する(S1)。ステップS1において電動車椅子1が停止状態であると判定した場合には(Yes)、制御部100は、乗員がシート50から立ち上がろうとしているか否かを判定するための起立判定を行う(S2)。
【0079】
制御部100は、起立判定において乗員が立ち上がろうとしていると判定した場合、起立フラグFを1に設定し、乗員が立ち上がろうとしていないと判定した場合、起立フラグFを0に設定する。なお、起立判定については後述する。
【0080】
ステップS1において電動車椅子1が停止状態でないと判定した場合には(No)、制御部100は、起立フラグFを0にする(S3)。ステップS2またはステップS3の後、制御部100は、操作部70から加速の信号があるか否かを判定する(S4)。
【0081】
ステップS4において加速の信号があると判定した場合には(Yes)、制御部100は、起立フラグFが1であるか否かを判定する(S5)。ステップS5において起立フラグFが1であると判定した場合には(Yes)、制御部100は、操作部70からの加速の信号に関わらず左右のモータ30を停止した状態にして(S6)、本処理を終了する。
【0082】
ステップS5において起立フラグFが1でないと判定した場合には(No)、制御部100は、加速の信号に基づいて左右のモータ30の少なくとも一方を作動させて(S7)、本処理を終了する。ステップS4において加速の信号がないと判定した場合には(No)、制御部100は、そのまま本処理を終了する。
【0083】
図3に示す起立判定において、制御部100は、まず、臀部圧力センサ81の検出値P1が第1所定値TH1以下、かつ、腰圧力センサ82の検出値P2が第2所定値TH2以下であるか否かを判定する(S21)。ステップS21においてP1≦TH1、かつ、P2≦TH2であると判定した場合には(Yes)、制御部100は、起立フラグFを1にして(S24)、本処理を終了する。
【0084】
ステップS21においてP1≦TH1、かつ、P2≦TH2でないと判定した場合には(No)、制御部100は、臀部圧力センサ81の検出値P1が第1所定値TH1以下、かつ、大腿圧力センサ83の検出値P3が第3所定値TH3以上であるか否かを判定する(S22)。ステップS22においてP1≦TH1、かつ、P3≧TH3であると判定した場合には(Yes)、制御部100は、起立フラグFを1にして(S24)、本処理を終了する。
【0085】
ステップS22においてP1≦TH1、かつ、P3≧TH3でないと判定した場合には(No)、制御部100は、左右の一方の臀部圧力センサ81の検出値P1が第4所定値TH4以下、かつ、他方の臀部圧力センサ81の検出値P1が第5所定値TH5以上であるか否かを判定する(S23)。
【0086】
詳しくは、制御部100は、ステップS23において、第1条件または第2条件を満たすか否かを判定する。第1条件は、左の臀部圧力センサ81の検出値P1Lが第4所定値TH4以下、かつ、右の臀部圧力センサ81の検出値P1Rが第5所定値TH5以上であるという条件である。第2条件は、右の臀部圧力センサ81の検出値P1Rが第4所定値TH4以下、かつ、左の臀部圧力センサ81の検出値P1Lが第5所定値TH5以上であるという条件である。
【0087】
ステップS23において第1条件または第2条件を満たすと判定した場合には(Yes)、制御部100は、起立フラグFを1にして(S24)、本処理を終了する。ステップS23において第1条件および第2条件のいずれも満たさないと判定した場合には(No)、制御部100は、起立フラグFを0にして(S25)、本処理を終了する。
【0088】
次に、制御部100の動作の具体例について説明する。
シート50に着座した乗員が立ち上がろうとして、アームレスト53に手をかけて、腰をシートバック52から離れる方向に移動するとともに、臀部をシートクッション51から離れる方向に移動させると、ステップS21の条件が満たされる場合がある。この場合、制御部100は、起立フラグFを1にして移動抑制制御を実行するので、起立時において乗員が操作レバー71に誤って触れて操作部70から加速の信号が出力されても、制御部100は、加速の信号を無視して左右のモータ30を停止状態にする。そのため、電動車椅子1が誤って発進するのを抑えることができる。
【0089】
乗員がシートバック52の腰圧力センサ82のある部分に手を当てながら立ち上がろうとする場合などには、ステップS21の条件が満たされない場合がある。この場合であっても、乗員が立ち上がろうとして上半身を前傾させると、ステップS22の条件が満たされる場合がある。この場合も、制御部100は、起立フラグFを1にして移動抑制制御を実行するので、電動車椅子1の誤発進を抑えることができる。
【0090】
乗員が立ち上がろうとして上半身を前傾させる前に、上半身が左右に傾く場合がある。この場合には、ステップS23の条件が満たされる場合がある。この場合、制御部100は、乗員の上半身が前傾する前(ステップS22の条件が満たされる前)に起立フラグFを1にして移動抑制制御を実行できるので、より迅速に電動車椅子1の誤発進を抑えることができる。
【0091】
以上、第1実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
乗員が立ち上がろうとした場合に移動抑制制御が実行されるので、立ち上がろうとした乗員の身体が誤って操作レバー71に当たることによって電動車椅子1が誤って加速するのを抑制することができる。
【0092】
第1所定値TH1を0より大きな値に設定することで、乗員が完全に立ち上がる前に、乗員が立ち上がるか否かを判定することができるので、移動抑制制御を早めに開始することができ、電動車椅子1の誤動作をより適切に抑制することができる。
【0093】
シートクッション51の臀部圧力センサ81の検出値P1と、シートバック52の腰圧力センサ82の検出値P2の両方を用いて乗員が立ち上がるか否かを判定するので、乗員の立ち上がりをより精度よく判定することができる。
【0094】
乗員がシート50から立ち上がるべく前傾姿勢をとったときに、臀部圧力センサ81と大腿圧力センサ83の各検出値P1,P3に基づいて乗員が立ち上がると判定されるので、乗員の立ち上がりをより精度よく判定することができる。
【0095】
乗員がシート50から立ち上がるべく身体を左右方向に傾けたときに、左右の臀部圧力センサ81の各検出値P1L,P1Rに基づいて乗員が立ち上がると判定されるので、乗員の立ち上がりをより精度よく判定することができる。
【0096】
操作部70がアームレスト53の周囲に配置される構成のように、乗員が起立時に操作レバー71に誤って触れやすい構成であっても、乗員が立ち上がろうとした場合には制御部100が移動抑制制御を実行するので、電動車椅子1の誤動作を抑制することができる。
【0097】
制御部100は、電動車椅子1が停止していることを条件として、移動抑制制御を実行するので、例えば電動車椅子の走行中に移動抑制制御が誤って行われてしまうのを抑制することができる。
【0098】
制御部100が、移動抑制制御を実行する場合に、操作部70からの加速の信号を無視する構成とすることで、例えば移動抑制制御を実行するために操作レバーをロックするロック部材などを設ける必要がないので、簡易な構成で、移動抑制制御を実行することができる。
【0099】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態に係る電動車椅子1の一部の構造を変更したものであるため、第1実施形態と略同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0100】
図4に示すように、第2実施形態に係る電動車椅子1は、操作レバー71をロックするためのロック部材73をさらに備えている。
操作レバー71は、乗員に把持されるグリップ部71Aと、グリップ部71Aの基端部に位置する球状部71Bと、球状部71Bから突出する突出部71Cとを有する。
【0101】
グリップ部71Aは、金属などからなるシャフトをゴムなどの部材で被覆することで構成される。球状部71Bは、基台72に回動可能に支持される。突出部71Cは、球状部71Bからグリップ部71Aとは反対側に突出する。
【0102】
ロック部材73は、操作レバー71の突出部71Cと係合することで、操作レバー71を中立位置にロックする。ロック部材73は、基台72に移動可能に支持されている。ロック部材73は、操作レバー71をロックするロック位置(二点鎖線の位置)と、操作レバー71のロックを解除する解除位置(実線の位置)との間で移動可能となっている。
【0103】
第2実施形態に係る制御部100は、図5に示す処理を繰り返し実行する。図5の処理は、図2の処理の一部を変更したものであるため、図2の処理と同じ処理については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0104】
図2に示すように、制御部100は、ステップS2またはステップS3の後、起立フラグFが1であるか否かを判定する(S41)。なお、ステップS2の起立判定は、前述した図3の起立判定と同じである。
【0105】
ステップS41において起立フラグFが1であると判定した場合には(Yes)、制御部100は、ロック部材73をロック位置に移動させ、操作レバー71をロックする(S42)。つまり、制御部100は、起立フラグFが1である場合、ロック部材73を解除位置からロック位置に移動させる移動抑制制御を実行する。ステップS41において起立フラグFが1でないと判定した場合には(No)、制御部100は、ロック部材73を解除位置に移動させ、操作レバー71のロックを解除する(S43)。
【0106】
ステップS42またはステップS43の後、制御部100は、加速の信号の有無を判定する(ステップS4)。ステップS4において加速の信号があると判定した場合には(Yes)、制御部100は、加速の信号に基づいてモータ30を作動させ(S7)、本処理を終了する。ステップS4において加速の信号がないと判定した場合には(No)、制御部100は、そのまま本処理を終了する。
【0107】
以上、第2実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
移動抑制制御によって操作レバー71がロックされるので、乗員が立ち上がる際に、操作レバー71を手すりとして利用することができる。
【0108】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0109】
センサは、圧力センサに限定されず、乗員から情報が入力されるセンサであればよい。センサは、例えば光センサ、静電容量センサ、カメラなどであってもよい。また、センサは、特開2020-059413号公報に開示されているような自動車のSBRセンサ(着座センサ)であってもよい(例えば、メンブレンスイッチ)。これを利用する場合、自動車と同じように複数のスイッチを組み合わせて論理回路を作ることによって、人と荷物とを区別することも可能になる。
【0110】
センサは、シートクッションのみに設けられていてもよいし、シートバックのみに設けられていてもよい。また、センサは、フットサポートやレッグサポートなどに設けられていてもよい。
【0111】
起立判定は、前記実施形態に限定されない。例えば、前述したステップS21~S23の条件のいずれか1つの条件のみ、または、2つの条件のみで起立判定を行ってもよい。また、制御部は、第1圧力センサの検出値が第1所定値以下になった場合に、乗員が立ち上がると判定してもよい。つまり、シートクッションに設けた1つのセンサのみで、起立判定を行ってもよい。この場合、第1圧力センサは、例えば、大腿圧力センサであってもよい。
【0112】
また、第1圧力センサの検出値が第1所定値以下になっている時間が、所定時間以上になった場合に、乗員が立ち上がると判定してもよい。これによれば、座り直しのために一瞬腰を浮かす場合を排除することができる。
【0113】
移動抑制制御の他の例としては、例えば電動車椅子を制動するためのブレーキ装置がモータとは別に電動車椅子に設けられる場合には、制御部は、移動抑制制御においてブレーキ装置を強制的に作動させてもよい。なお、ブレーキ装置を備える電動車椅子では、駆動源は、電磁ブレーキなしのモータであってもよい。
【0114】
制御部に異常が発生したときには(例えば、ハーネスの断線やソフトウェアの異常などの故障)、制御部は異常を検知し、乗員に安全機能が失われていることを通知してもよい。通知は、例えば、アームレストに設けられた表示部の画像、警告音、音声、光、文字、さらにシートに設けた振動体による振動などで行うことができる。また、乗員の携帯端末(スマートフォンやウェアラブルデバイス)に通知してもよい。この機能が不要な場合は、乗員が自分の意思でオフにすることもできる。機能のオフは、スイッチや表示部への入力により行うことができる。
【0115】
操作部のうち乗員に把持される部分である操作ハンドルは、前述したスティック状の操作レバー71に限らず、例えば、キノコ型の操作ハンドルであってもよい。操作部は、電動車椅子のフレームに着脱可能であってもよい。この場合、操作部は、無線または有線により、制御部と通信可能となっていればよい。操作部は、例えば、ゲームのコントローラのようなものであってもよい。
【0116】
操作部は、操作ハンドルではなく、タッチパネルのような入力式であってもよい。操作部は、アームレストの周囲以外の場所に設けられていてもよい。例えば、操作部は、シートの側部などに設けられていてもよい。
【0117】
操作部は、アームレストの前に限らず、アームレストの周囲に配置されていればよい。例えば、操作部を、アームレストの上、左右、下などに配置してもよい。
【0118】
移動抑制制御は、乗員の起立時に行う場合に限らず、例えば、シート上の乗員の姿勢が正常な姿勢でない場合や、乗員が電動車椅子に座る場合に行ってもよい。
【0119】
第3圧力センサは、背中圧力センサであってもよい
【0120】
電動車椅子は、老人や身体障害者などが乗る一人乗り用のカートであればよく、例えばシニアカーなどであってもよい。
【0121】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 電動車椅子
30 モータ
50 シート
70 操作部
81 臀部圧力センサ
82 腰圧力センサ
83 大腿圧力センサ
84 背中圧力センサ
100 制御部
図1
図2
図3
図4
図5