(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099134
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】扉連結型ロッカー
(51)【国際特許分類】
A47B 55/00 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
A47B55/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002846
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】512331533
【氏名又は名称】株式会社LEC
(74)【代理人】
【識別番号】100148714
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100092668
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100154232
【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 京子
(72)【発明者】
【氏名】山田 輝
(72)【発明者】
【氏名】山田 めぐみ
【テーマコード(参考)】
3B067
【Fターム(参考)】
3B067AA01
3B067AA05
3B067AA11
3B067DA00
(57)【要約】
【課題】扉の連結強度を向上することが可能な扉連結型ロッカーを提供する。
【解決手段】扉連結型ロッカー100は、下段ロッカー100aと、上段ロッカー100bと、下段扉パネル10aと上段扉パネル10bとを連結し、連結本体部40とカバー50と連結部材60とを有する扉連結具30とを具備し、連結本体部は、短溝41と長溝42と貫通孔43とを有し、下段扉パネル及び上段扉パネルは、連結本体部に対向する面に第1及び第2連結穴11a、11bを有し、カバーは、カバー本体部51と、カバー本体部の側面から突出する短突起部53及び長突起部54とを有し、下段扉パネルと上段扉パネルが連結される際、連結部材は第1連結穴、貫通孔及び第2連結穴に差し込まれ、短突起部は短溝に嵌め込まれ、長突起部は長溝に嵌め込まれる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下段扉パネルを有する下段ロッカーと、
前記下段ロッカー上に積み上げて連結され、上段扉パネルを有する上段ロッカーと、
前記下段扉パネルと前記上段扉パネルとを連結し、連結本体部とカバーと連結部材とを有する扉連結具と
を具備し、
前記連結本体部は、前記下段扉パネル及び前記上段扉パネル間に設けられ、短溝と、前記短溝より長い長溝と、貫通孔とを有し、
前記下段扉パネルは、前記連結本体部に対向する面に第1連結穴を有し、
前記上段扉パネルは、前記連結本体部に対向する面に第2連結穴を有し、
前記カバーは、カバー本体部と、前記カバー本体部の側面から突出する短突起部と、前記カバー本体部の前記側面から突出し前記短突起部より幅が長い長突起部とを有し、
前記下段扉パネルと前記上段扉パネルとが連結される際、前記連結部材は前記第1連結穴、前記貫通孔及び前記第2連結穴に差し込まれ、前記カバーの前記短突起部は前記短溝に嵌め込まれ、前記カバーの前記長突起部は前記長溝に嵌め込まれることを特徴とする扉連結型ロッカー。
【請求項2】
前記扉連結具は、第1連結部と、第2連結部とを有し、
前記短溝は、前記第1連結部に位置する第1短溝と、前記第2連結部に位置する第2短溝とを有し、
前記長溝は、前記第1連結部に位置する第1長溝と、前記第2連結部に位置する第2長溝とを有し、
前記第1連結部における前記第1短溝及び前記第1長溝と前記第2連結部における前記第2短溝及び前記第2長溝とは、反対に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の扉連結型ロッカー。
【請求項3】
前記カバーは、前記下段扉パネル及び前記上段扉パネルに対向する面に傾斜部を有し、
前記傾斜部の傾きは、前記下段扉パネル及び前記上段扉パネルの表面の曲線に対応することを特徴とする請求項1に記載の扉連結型ロッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に積み重ねたロッカーの扉を連結した扉連結型ロッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
収容家具は、学校、オフィス、工場、病院、娯楽施設等において広く使用されている。収容家具は、例えば下駄箱、キャビネット、ロッカーのように、主要部材として、天板、地板(底板)、側板、背板を組み合わせて箱形構造に構成され、物品等の収納、保管等に用いられている。
【0003】
このような収容家具では、設置場所や用途によって、様々な大きさのロッカーが利用されている。例えば、貴重品や靴等には小型のロッカーが使用され、コート等の衣類には大型のロッカーが使用されている。このため、ロッカーの大きさに応じて、様々な大きさのロッカーの扉が製造されている。
【0004】
一方、収納スペースの大きさに応じた扉を用いず、上下方向に配列された複数の扉を連結することで1つの扉を形成する例が知られている。このような収納家具の具体例として、特許文献1及び特許文献2に記載されたものがある。特許文献1及び特許文献2には、複数の扉を連結することによって形成された長尺の扉を有する収納家具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6560129号公報
【特許文献2】特開2019-72426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、大型ロッカーの扉は、長尺の金型を用いて製造するため、この大きさに応じた金型を作成しなければならない。このため、生産効率が悪いと共に、コストもかかることが懸念されている。
また、特許文献1及び特許文献2は、複数の扉の連結が簡易的な構造のため、連結強度が乏しい恐れがある。
そこで、本発明は、扉の連結強度を向上することが可能な扉連結型ロッカーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による扉連結型ロッカーは、下段扉パネルを有する下段ロッカーと、前記下段ロッカー上に積み上げて連結され、上段扉パネルを有する上段ロッカーと、前記下段扉パネルと前記上段扉パネルとを連結し、連結本体部とカバーと連結部材とを有する扉連結具とを具備し、前記連結本体部は、前記下段扉パネル及び前記上段扉パネル間に設けられ、短溝と、前記短溝より長い長溝と、貫通孔とを有し、前記下段扉パネルは、前記連結本体部に対向する面に第1連結穴を有し、前記上段扉パネルは、前記連結本体部に対向する面に第2連結穴を有し、前記カバーは、カバー本体部と、前記カバー本体部の側面から突出する短突起部と、前記カバー本体部の前記側面から突出し前記短突起部より幅が長い長突起部とを有し、前記下段扉パネルと前記上段扉パネルとが連結される際、前記連結部材は前記第1連結穴、前記貫通孔及び前記第2連結穴に差し込まれ、前記カバーの前記短突起部は前記短溝に嵌め込まれ、前記カバーの前記長突起部は前記長溝に嵌め込まれる。
【0008】
前記扉連結型ロッカーにおいて、前記扉連結具は、第1連結部と、第2連結部とを有し、前記短溝は、前記第1連結部に位置する第1短溝と、前記第2連結部に位置する第2短溝とを有し、前記長溝は、前記第1連結部に位置する第1長溝と、前記第2連結部に位置する第2長溝とを有し、前記第1連結部における前記第1短溝及び前記第1長溝と前記第2連結部における前記第2短溝及び前記第2長溝とは、反対に配置されてもよい。
【0009】
前記扉連結型ロッカーにおいて、前記カバーは、前記下段扉パネル及び前記上段扉パネルに対向する面に傾斜部を有し、前記傾斜部の傾きは、前記下段扉パネル及び前記上段扉パネルの表面の曲線に対応してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、扉の連結強度を向上することが可能な扉連結型ロッカーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(a)乃至(d)は、本発明の一実施形態に係る扉連結型ロッカーの前面図、背面図、左側面図及び右側面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る扉連結型ロッカーの斜視図を示す。
【
図3】
図3(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るロッカーの連結式扉パネルの内面についての正面図及び分解図を示す。
【
図4】
図4(a)乃至(h)は、本発明の一実施形態に係る連結式扉パネルの連結本体部の上面図、左側面図、外面図、右側面図、底面図、内面図、斜視図及び一部拡大図を示す。
【
図5】
図5(a)乃至(g)は、本発明の一実施形態に係る連結式扉パネルにおけるカバーの上面図、左側面図、内面図、右側面図、底面図及び斜視図を示す。
【
図6】
図6(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る連結本体部へのカバー取り付けを説明するための模式図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る連結本体部にカバーが取り付けられた状態の断面図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る連結式扉パネルの内面の分解図を示す。
【
図9】
図9(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るロッカーの連結式扉パネルの外面及び内面についての連結工程図を示す。
【
図10】
図10(a)及び(b)は、
図9(a)及び(b)に続く、本発明の一実施形態に係るロッカーの連結式扉パネルの外面及び内面についての連結工程図を示す。
【
図11】
図11(a)及び(b)は、
図10(a)及び(b)に続く、本発明の一実施形態に係るロッカーの連結式扉パネルの外面及び内面についての連結工程図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。但し、これらの実施形態はいずれも例示であり、本発明についての限定的解釈を与えるものではない。尚、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、共通する参照符号を付す。
【0013】
[1]扉連結型ロッカー
図1(a)乃至(d)は、本発明の一実施形態に係る扉連結型ロッカーの前面図、背面図、左側面図及び右側面図を示す。
図2は、本発明の一実施形態に係る扉連結型ロッカーの斜視図を示す。以下、本実施形態に係る扉連結型ロッカーについて説明する。
【0014】
図1(a)乃至(d)、
図2に示すように、本実施形態の扉連結型ロッカー100は、下段ロッカー100aと上段ロッカー100b(これらをロッカー100と称することもある)とを有し、これらのロッカー100a及び100bが上下に積み上げられた多段式構造になっている。
【0015】
ロッカー100は、扉パネル10(10a及び10b)、右側面パネル21(21a及び21b)、左側面パネル22(22a及び22b)、背面パネル23(23a及び23b)、底面パネル24、上面パネル25、扉連結具30及びロッカー連結具80を備えている。
【0016】
上述する各パネルは略長方形であり、これらが連結固定され、略直方体のロッカー100を構成する。ここで、「略長方形」とは、完全な長方形に加えて、ロッカー100の機能を発揮できる限りにおいて変更が加えられたもの、例えば一部に曲線部を有するもの等を含むという意味であり、「略直方体」についても同様とする。
【0017】
扉パネル10、右側面パネル21、左側面パネル22及び背面パネル23は、ロッカー100の収容領域の垂直面を構成する方向に(主面が垂直に)配置される。右側面パネル21及び左側面パネル22は、互いに対向して配置される。扉パネル10及び背面パネル23は、互いに対向して配置される。
【0018】
底面パネル24及び上面パネル25は、ロッカー100の収容領域の水平面を構成する方向に(主面が水平に)配置される。底面パネル24及び上面パネル25は、互いに対向して配置される。
【0019】
背面パネル23は、それぞれの辺が、右側面パネル21、左側面パネル22、底面パネル24、上面パネル25の1辺と連結固定することが可能である。
【0020】
ロッカー連結具80は、例えばコの字形状となっており、下段ロッカー100aと上段ロッカー100bとを連結させている。具体的には、ロッカー連結具80は、右側面パネル21a及び21b、左側面パネル22a及び22b、背面パネル23a及び23bを連結させている。
尚、ロッカー100a及び100b間においては、仕切り板(図示せず)の有無は問わない。
【0021】
このような本実施形態におけるロッカー100a及び100bを2段に積み重ねた多段式構造のロッカー100では、下段ロッカー100aの扉パネル10aと上段ロッカー100bの扉パネル10bとの間に扉連結具30が設けられ、この扉連結具30によって下段扉パネル10aと上段扉パネル10bが連結されている。これにより、連結式扉パネル10が構成されている。
【0022】
本実施形態の連結式扉パネル10は、扉連結具30によって連結された下段扉パネル10aと上段扉パネル10bが1枚の扉となり、右側面パネル21側の連結部分を回転軸として開閉可能に設置されている。尚、連結式扉パネル10の回転軸は、左側面パネル22側に設けることも可能である。
【0023】
[2]連結式扉パネル
図3(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るロッカーの連結式扉パネルの内面についての正面図及び分解図を示す。以下、本実施形態に係るロッカーの連結式扉パネルについて説明する。
【0024】
図3(a)及び(b)に示すように、連結式扉パネル10は、下段扉パネル10a、上段扉パネル10b、扉連結具30、支軸70を有している。
扉連結具30及び支軸70が下段扉パネル10a及び上段扉パネル10b間に設けられ、下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bに嵌合されることにより、下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bからなる2枚のパネルが1枚の扉として機能する。
【0025】
[2-1]扉連結具
図3(a)及び(b)に示すように、扉連結具30は、連結本体部40、カバー50、連結部材60を有している。扉連結具30は、第1連結部30a及び第2連結部30bの2箇所において連結されている。但し、扉連結具30の連結部は2箇所に限定されず、種々変更可能である。
【0026】
第1連結部30a及び第2連結部30bは、本実施形態では2箇所設けられているが、全体的に支軸70側に少し寄せて配置されている。これにより、扉の開閉によってがたつきの発生が生じ易い支軸70側を、より強固な連結にすることができる。但し、第1連結部30a及び第2連結部30bは、連結本体部40の長軸方向に均等な間隔で配置することも可能である。
【0027】
[2-1-1]連結本体部
図4(a)乃至(h)は、本発明の一実施形態に係る連結式扉パネルの連結本体部の上面図、左側面図、外面図、右側面図、底面図、内面図、斜視図及び一部拡大図を示す。以下、本実施形態に係るロッカーの扉連結具の連結本体部について説明する。
【0028】
図4(a)乃至(h)に示すように、連結本体部40は、短溝41(41a及び41b)、長溝42(42a及び42b)、貫通孔43、リブ44、係合部45を有している。
【0029】
連結本体部40において、ロッカー100の表側の面は下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bの表面形状と一致するように緩やかな曲線を描いており、ロッカー100の裏側の面は短溝41及び長溝42が形成されている。短溝41及び長溝42は互いに対向する位置に形成され、長溝42は短溝41よりも長い窪みである。
【0030】
具体的には、第1連結部30aにおいて、連結本体部40の下方向に窪む短溝41aと、連結本体部40の上方向に窪む長溝42aとが形成されている。短溝41a及び長溝42aは互いに対向し、それぞれ2つずつ設けられている。
第2連結部30bにおいて、連結本体部40の上方向に窪む短溝41bと、連結本体部40の下方向に窪む長溝42bとが形成されている。短溝41b及び長溝42bは互いに対向し、それぞれ2つずつ設けられている。
【0031】
ここで、連結本体部40の上面40a側において、第1連結部30aでは短溝41aが形成され、第2連結部30bでは長溝42bが形成されている。連結本体部40の下面40b側において、第1連結部30aでは長溝42aが形成され、第2連結部30bでは短溝41bが形成されている。
【0032】
換言すると、第1連結部30a及び第2連結部30bにおいて、短溝41及び長溝42の配置は異なり、反対の配置になっている。従って、連結本体部40の上面40a側には、短溝41a及び長溝42bの異なる深さの溝が設けられ、連結本体部40の下面40b側には、長溝42a及び短溝41bの異なる深さの溝が設けられている。
【0033】
貫通孔43は、第1連結部30a及び第2連結部30bにおいて、それぞれ1つずつ設けられている。貫通孔43は、連結本体部40を連結方向に貫通する。貫通孔43の周辺は、連結本体部40の上面40a及び下面40bよりも突出する貫通孔突出部43aがそれぞれ設けられている。この貫通孔突出部43により、貫通孔43の周囲に段差を形成することができるため、連結部材60を取り付けた際の下段扉パネル10a及び上段扉パネル10の連結穴11a及び11bにかかる負荷を低減することができる。
【0034】
連結本体部40は、中に空洞を有し、複数のリブ44が形成されている。リブ44は、貫通孔43の周辺に多く形成されている。これにより、コストの低減を図りつつ、貫通孔43周辺の強度を高めることができる。
【0035】
リブ44は、貫通孔43の周囲から四方に延びる第1部分44a、短溝41及び長溝42から第1部分44aに延びる第2部分44bを有している。リブ44の第2部分44bは、カバー50の取り付け時のガイドとしても機能し、図示するように折れ曲がっていてもよい。これにより、リブ44の強度を向上することもできる。
【0036】
連結本体部40の支軸70側の端部には、係合部45が形成されている。この係合部45は、連結本体部40の表面から一部が突出した形状を有し、下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bの開閉の回転を妨げすに、支軸70を表面から隠す機能を有している。
【0037】
[2-1-2]カバー
図5(a)乃至(g)は、本発明の一実施形態に係る連結式扉パネルにおけるカバーの上面図、左側面図、内面図、右側面図、底面図及び斜視図を示す。
図6(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る連結本体部へのカバー取り付けを説明するための模式図を示す。
図7は、本発明の一実施形態に係る連結本体部にカバーが取り付けられた状態の断面図を示す。以下、本実施形態に係るロッカーの扉連結具のカバーについて説明する。
【0038】
図5(a)乃至(g)に示すように、カバー50は、カバー本体部51、短突起部53(53a及び53b)、長突起部54(54a及び54b)を有している。このカバー50は、連結本体部40に嵌め込んだ場合、扉パネル10の通気孔13から見えない大きさであることが望ましい。
【0039】
カバー本体部51は、カバー突出部52(52a及び52b)を有している。カバー突出部52はカバー本体部51の両端から垂直方向に突出し、カバー本体部51がコの字型形状となっている。カバー本体部51のカバー突出部52a及び52b間の幅W2は、連結本体部40の幅W1に対応している(
図4(c)及び(f)、
図5(b)及び(d)参照)。
【0040】
カバー突出部52は、傾斜部52c及び湾曲部52dを有している。
カバー突出部52の傾斜部52cは、カバー50を連結本体部40に取り付けた場合に下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bに対向する面に設けられている。傾斜部52cは、下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bの表面の曲線に対応して傾斜している。傾斜部52cは、直線であっても、曲線であってもよい。
カバー突出部52の湾曲部52dは、カバー50を連結本体部40に取り付けた場合に連結本体部40の貫通孔43(連結穴11、連結部材60)を覆う面に設けられている。湾曲部52dは、半円を描くように曲線を有している。但し、この湾曲部52dは、曲線に限定されず、例えば直線になっていてもよい。
【0041】
短突起部53及び長突起部54は、カバー本体部51の第1側面51a及び第2側面51bから垂直方向に突出している。短突起部53及び長突起部54は、カバー突出部52と同じ方向に突出するが、カバー突出部52よりも短い。短突起部53及び長突起部54の突出する長さは、ほぼ同じである。長突起部54は、短突起部53よりも幅が長い。短突起部53及び長突起部54は、1つのカバー50に対してそれぞれ2つずつ設けられている。
【0042】
ここで、カバー本体部51の第1側面51aには、短突起部53a及び長突起部54aが配置され、第2側面51bには、短突起部53b及び長突起部54bが配置されている。短突起部53a及び53bは、カバー本体部51の第1カバー突出部52a側に互いに対向して配置され、長突起部54a及び54bは、カバー本体部51の第2カバー突出部52b側に互いに対向して配置されている。
【0043】
短突起部53及び長突起部54の先端には、カバー本体部51の外側に突出する係合部55がそれぞれ形成されている。短突起部53及び長突起部54の両側面には、カバー本体部51の内側に突出する係合部56がそれぞれ形成されている。
【0044】
このような本実施形態の連結式扉パネル10において、第1連結部30a及び第2連結部30bにカバー50を取り付ける場合、
図6(a)に示すように、2つのカバー50は同じ構造であるが、一方のカバー50を180度回転させ、2つのカバー50の上下を反対にして用いられる。
【0045】
具体的には、第1連結部30aでは、連結本体部40の上面40a側に短溝41a、下面40b側に長溝42aが位置している。このため、カバー50は、短突起部53a及び53bを上方にして連結本体部40に取り付ける。
一方、第2連結部30bでは、連結本体部40の上面40a側に長溝42b、下面40b側に短溝41bが位置している。このため、カバー50は、長突起部54a及び54bを上方にして連結本体部40に取り付ける。
【0046】
このように、第1連結部30a及び第2連結部30bでは、連結本体部40の短溝41及び長溝42の構造は異なるが、2つのカバー50は、上下を反対にすることで、同じ構造のものを用いることができる。
【0047】
上述するように、第1連結部30a及び第2連結部30bにおいて2つのカバー50を上下反対にして嵌め込んだ場合、
図6(b)に示すように、2つのカバー50の傾斜部52cは反対向きの傾斜となる。
【0048】
具体的には、第1連結部30aでは、カバー50の傾斜部52cは左下がりに傾き、第2連結部30bでは、カバー50の傾斜部52cは右下がりに傾いている。このように、2つのカバー50の傾斜部52cの傾きは、扉パネル10(連結本体部40)の表面の曲線の傾きに対応している。これにより、表面に2種類(左下がり及び右下がり)の傾斜がある扉パネル10(連結本体部40)に対して、カバー50を1種類のみで対応ことができ、コストの低減及び取り付けの煩雑さを回避できる。
【0049】
本実施形態の連結式扉パネル10では、カバー50を連結本体部40に嵌め込んだ場合、カバー50の短突起部53は短溝41に嵌め込まれ、長突起部54は長溝42に嵌め込まれる。
この際、第1連結部分30aを例に挙げると、
図7に示すように、短突起部53a及び53bの幅は短溝41aの幅より細くなっている。このため、短溝41aのカバー50の中心側に隙間が生じ、短突起部53a及び53bが短溝41aに嵌め込み易くなっている。そして、短突起部53a及び53bは、カバー50の外側の短溝41aの側面にほぼ接し、カバー50の外側に突出した係合部55が連結本体部40に引っ掛かるようになっている。
尚、長突起部54及び長溝42の構造は、短突起部53及び短溝41と同様である。
【0050】
[2-1-3]連結部材
図8は、本発明の一実施形態に係る連結式扉パネルの内面の分解図を示す。以下、本実施形態に係るロッカーの扉連結具の連結部材について説明する。
【0051】
図8に示すように、連結部材60は、例えばボルト60aであり、ナット60b、ワッシャー60c、60d、スプリングワッシャー60eを含んで構成されている。但し、連結部材60は、これらの構成に限定されず、種々変更可能である。
連結部材60は、貫通孔43、下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bの連結穴11a及び11bを通して連結に用いられる。
【0052】
[2-2]扉パネル
図3(a)及び(b)、
図8に示すように、下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bは、連結穴11(11a及び11b)、取っ手部12(12a及び12b)、通気孔13(13a及び13b)、支軸孔14(14a及び14b)をそれぞれ有している。
【0053】
連結穴11は、下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bにおける連結本体部40に対向するフレーム面にそれぞれ形成されている。連結穴11は、下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bに、例えば2つずつ設けられている。但し、連結穴11の数は、連結部の数に応じて種々変更することが可能である。
【0054】
連結穴11は、連結部材60及び貫通孔突出部43aが通る大きさを有している。これにより、扉連結の際、連結穴11に連結部材60及び貫通孔突出部43aが挿入可能になる。
【0055】
取っ手部12は、扉パネル10の左側(左側面パネル22側)の辺の近傍に配置されている。本実施形態のように2枚の扉パネル10を連結する場合、一方の扉パネル10の取っ手部12を蓋部材で閉じることも可能である(
図1及び
図2参照)。尚、取っ手部12の位置や形状等は、種々変更可能である。
【0056】
通気孔13は、扉パネル10表面の右下部に複数個設けられている。扉パネル10に通気孔13を形成することで、パネル材の使用量を低減することができ、製造コストを低減することができる。また、ロッカー100の内部の通気性が確保され、衣類等の長期保存が可能となる。さらに、複数配置された通気孔13は、ロッカー100の意匠性にも寄与し、例えば、本実施形態のように桜の花びら模様にすることで意匠性を向上させることができる。また、ロッカー100の内部に保存する内容物によって通気孔13の形成パターンを変えることで、扉パネル10を開けることなく内容物の特定が可能となる。
【0057】
支軸孔14は、扉パネル10のフレームの支軸70側の端部に形成されている。例えば、支軸孔14aは開口しており、支軸孔14bは凹部で構成されている。この支軸孔14により、支軸70が着脱可能になっている。
【0058】
扉パネル10の表面は、中央がやや膨らんだ曲線状の形状を有している。この扉パネル10の表面の曲線に対応するように、カバー50の傾斜部52cの傾きが規定されている。
【0059】
[2-3]支軸
図8に示すように、支軸70は、軸対称形状(円柱)をなし、連結式扉パネル10の連結部分を構成する。支軸70の一端70aは、径が細くなっている。支軸70は、扉パネル10と一体成形せず、別部品として構成されている。支軸70は、下段扉パネル10a及び上段扉パネル10b間の端部に設けられた支軸孔14a、14bに着脱可能で嵌め込まれる。
【0060】
支軸70を支軸孔14a、14bにそれぞれ嵌合することで、連結式扉パネル10が構成され、この扉パネル10は、回動可能に底面パネル24及び上面パネル25に連結される。従って、利用者は、取っ手部12を把持し、扉パネル10における支軸70側を回転軸として扉パネル10を開閉することが可能である。
【0061】
尚、扉パネル10は、必要に応じて施錠機構を備えてもよい。また、ロッカー100の内部の通気性については、必要に応じ、扉パネル10及び背面パネル23以外のパネルにも貫通孔を設けてもよい。
【0062】
[3]その他のパネル
図2に示すように、右側面パネル21(21a及び21b)は、凹部21-1を有している。凹部21-1は、右側面パネル21の表面に設けられている。凹部21-1は、ロッカー100を持ち運ぶ際に手を引っ掛けることで運びやすさを向上させることができる。凹部21-1の数は、1つでも複数でもよく、本実施形態のように例えば3つ設けることで、利用者の身体の大きさに応じて、手を掛ける位置を選択することが可能となっている。凹部21-1の位置は、図示する配置に限定されず、種々変更可能である。
尚、左側面パネル22(22a及び22b)も、右側面パネル21と同様の構造である。
【0063】
図1(b)に示すように、背面パネル23(23a及び23b)は、貫通孔23-1を有している。貫通孔23―1は、背面パネル23に複数個設けられている。背面パネル23に貫通孔23―1を形成することで、パネル材の使用量を低減することができ、製造コストを低減することができる。また、ロッカー100の内部の通気性が確保され、衣類等の長期保存が可能となる。
尚、本実施形態において、例えば建物の壁等に接して配置する場合等、壁を背面パネル23として利用することで、背面パネル23を省略することも可能である。
【0064】
図2に示すように、上面パネル25は、溝部25―1を有している。溝部25―1は、上面パネル25の上面における左右及び背面側の端に設けられている。溝部25―1は、上段に積層するロッカー100と固定するためのジョイント部材(図示せず)が嵌め込まれてもよい。但し、多段式の最上段のロッカー100等では、上面パネル25の溝部25―1に溝隠し用の蓋部材(図示せず)を取り付けてもよい。
尚、底面パネル24も、上面パネル25と同様の構造を有している。
【0065】
[4]ロッカー材料
本実施形態のロッカー100を構成する各パネル(扉パネル10、右側面パネル21、左側面パネル22、背面パネル23、底面パネル24及び上面パネル25)、扉連結具30の連結本体部40及びカバー50、支軸70の材質としては、例えば、スチール、アルミニウム、銅等の金属、木材を用いることもできるが、ABS樹脂やPH樹脂等の合成樹脂を用いることが好ましい。
【0066】
このようにすることで、軽量で耐久性に優れ、組立作業の負担が軽減され、廃棄も容易となる。また、このような樹脂のプラスチック製のロッカー100は錆びることがないため、プール施設、水を扱う工場、学校や銭湯等の水場付近での使用にも適している。プラスチック製の各パネルは、例えば、環境に配慮した再生資源を含むプラスチックや再生可能プラスチック、生分解プラスチック等を用いることが好ましい。
【0067】
[5]連結式扉パネルの連結方法
本実施形態のロッカー100は、ロッカー100を複数個(例えば2個)縦方向に積み上げ、扉パネル10を連結している。
【0068】
図9(a)及び(b)、
図10(a)及び(b)、
図11(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るロッカーの連結式扉パネルの外面及び内面についての連結工程図を示す。以下、本実施形態に係るロッカーの連結式扉パネルの連結方法について説明する。
【0069】
まず、
図9(a)及び(b)に示すように、連結式扉パネル10として、下段扉パネル10a、上段扉パネル10b、扉連結具30(連結本体部40、カバー50、連結部材60)、支軸70が用意される。
【0070】
次に、
図10(a)及び(b)は、連結本体部40と下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bとが連結部材60で連結固定され、カバー50が嵌め込まれる前の状態を示す。
この状態では、まず、支軸70の両端が支軸孔14a、14bにそれぞれ挿通される。連結本体部40の貫通孔突出部43aが連結穴11a及び11bにそれぞれ挿入される。そして、連結部材60のボルト60aが、ワッシャー60c、上段扉パネル10bの連結穴11b、連結本体部40の貫通孔43、下段扉パネル10aの連結穴11a、ワッシャー60d、スプリングワッシャー60e、ナット60bに挿通され、ナット60bでボルト60aを固定することで扉連結が行われる。
【0071】
次に、
図11(a)及び(b)は、連結固定がされた連結式扉パネル10にカバー50が嵌め込まれた後の状態を示す。つまり、連結本体部40の短溝41及び長溝42に、カバー50の短突起部53及び長突起部54が嵌め込まれる。
【0072】
この際、第1連結部30a及び第2連結部30bにおいて、2つのカバー50は上下を反対にして用いられる。
具体的には、
図6(a)に示すように、第1連結部30aでは、連結本体部40の上面40a側に短溝41aが位置しているため、カバー50は、短突起部53a及び53bを上方にして、短溝41aに短突起部53a及び53bが嵌め込まれ、長溝42aに長突起部54a及び54bが嵌め込まれる。
一方、第2連結部30bでは、連結本体部40の上面40a側に長溝42bが位置しているため、カバー50は、長突起部54a及び54bを上方にして、長溝42bに長突起部54a及び54bが嵌め込まれ、短溝41bに短突起部53a及び53bが嵌め込まれる。
【0073】
ここで、カバー50の係合部55は、短溝41及び長溝42に係合する。これにより、扉パネル10の開閉時に振動が生じても、カバー50が外れることを防止することができる。
このような連結式扉パネル10の連結方法により、下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bからなる2枚のパネルが1枚の扉として機能する連結式扉パネル10が完成する。
【0074】
尚、本実施形態では、2段のロッカー100a及び100bを積み上げ、2枚の扉パネル10a及び10bの連結について説明したが、これに限定されない。例えば、3段のロッカーを積み上げ、3枚の扉パネルを連結することも可能である。また、3段のロッカーを積み上げ、そのうちの2枚の扉パネルだけを連結することも可能である。
また、本実施形態の連結式扉パネル10では、カバー50を取り付けずに使用することも可能である。
【0075】
[5]効果
本実施形態に係る扉連結型ロッカー100は、下段のロッカー100aと、この下段のロッカー100a上に積み上げて連結された上段のロッカー100bとを有する多段式ロッカーである。このロッカー100において、扉連結具30により、下段扉パネル10aと上段扉パネル10bとが連結され、1枚の扉が構成されている。これにより、通常の大きさの扉を連結することで大型ロッカーの扉として機能させることができるため、大型の扉の金型を用いることなく、大型ロッカーを作ることができる。従って、生産効率を向上でき、コストも低減することができる。さらに、大型ロッカーの場合であっても大きな扉を用いる必要がないため、梱包及び運搬の効率性を向上できる。
【0076】
また、本実施形態に係る連結式扉パネル10では、連結部材60のボルト60aを、上段扉パネル10bの連結穴11b、連結本体部40の貫通孔43、下段扉パネル10aの連結穴11aに挿通し、下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bを連結固定させている。従って、下段扉パネル10aと上段扉パネル10bとを容易かつ強固に連結させることができ、連結強度の高い連結型扉を形成することできる。
【0077】
また、本実施形態に係る連結式扉パネル10では、連結本体部40の短溝41及び長溝42にカバー50の短突起部53及び長突起部54を嵌め込んでいる。これにより、下段扉パネル10aと上段扉パネル10bとの連結をより強固にすることが可能になる。また、ロッカー100の長期の使用や振動等によって下段扉パネル10a及び上段扉パネル10bの連結が緩むことを防止することができる。
【0078】
また、本実施形態に係る連結式扉パネル10では、ボルト60a及びナット60b等を覆うようにカバー50を嵌め込んでいる。つまり、カバー50のカバー突出部52a及び52bでボルト60a及びナット60b等が隠されている。これにより、ロッカー100の内側における美観性も向上できる。
【0079】
また、本実施形態では、2枚の扉を連結する例を挙げたが、種々変更可能であり、3枚以上の扉を連結することも可能である。このため、扉サイズのバリエーションも向上できる。
【0080】
尚、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0081】
10…連結式扉パネル
10a…下段扉パネル
10b…上段扉パネル
11、11a、11b…連結穴
12、12a、12b…取っ手部
13、13a、13b…通気孔
14、14a、14b…支軸孔
21、21a、21b…右側面パネル
21-1…凹部
22、22a、22b…左側面パネル
23、23a、23b…背面パネル
23-1…貫通孔
24…底面パネル
25…上面パネル
25―1…溝部
30…扉連結具
30a…第1連結部
30b…第2連結部
40…連結本体部
41、41a、41b…短溝
42、42a、42b…長溝
43…貫通孔
43a…貫通孔突出部
44…リブ
45…係合部
50…カバー
51…カバー本体部
52、52a、52b…カバー突出部
52c…傾斜部
52d…湾曲部
53、53a、53b…短突起部
54、54a、54b…長突起部
55、56…係合部
60…連結部材
60a…ボルト
60b…ナット
60c、60d…ワッシャー
60e…スプリングワッシャー
70…支軸
70a…支軸の一端
80…ロッカー連結具
100…扉連結型ロッカー
100a…下段ロッカー
100b…上段ロッカー