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  • 特開-紙製収容体の製造方法及び紙製収容体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099138
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】紙製収容体の製造方法及び紙製収容体
(51)【国際特許分類】
   B31C 7/08 20060101AFI20240718BHJP
   B65D 3/06 20060101ALI20240718BHJP
   B31C 3/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B31C7/08
B65D3/06 A
B31C3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002850
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000106151
【氏名又は名称】株式会社サンエー化研
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】難波 睦雄
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA08
3E075BA72
3E075BA73
3E075CA01
3E075DC63
3E075DD12
3E075DD32
3E075DD43
3E075GA03
(57)【要約】
【課題】錐状、或いは、筒状に形成され、十分な強度を確保することが可能な紙製収容体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の紙製収容体の製造方法は、紙製基材10の表面にヒートシール層を形成する工程と、ヒートシール層が形成された紙製基材10を、円錐形状の金型30に対して巻回できるように裁断する工程と、裁断された紙製基材10を、金型30に対して巻回する工程と、金型30に巻回された紙製基材10を熱溶着する工程と、を有し、金型30を取り外して円錐形状の収容体を形成する、ことを特徴とする。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製基材の一方の面又は両方の面にヒートシール層を形成する工程と、
前記ヒートシール層が形成された紙製基材を、錐形状又は筒形状の金型に対して巻回できるように裁断する工程と、
前記裁断された紙製基材を、前記金型に対して巻回する工程と、
前記金型に巻回された紙製基材を熱溶着する工程と、
を有し、
前記金型を取り外して錐形状又は筒形状の収容体を形成する、ことを特徴とする紙製収容体の製造方法。
【請求項2】
前記紙製基材は帯状に裁断されており、
前記金型に対して巻回する工程では、前記帯状に裁断された紙製基材を、重ね代を持たせながら螺旋状に巻回することを特徴とする請求項1に記載の紙製収容体の製造方法。
【請求項3】
前記紙製基材の両面にヒートシール層を形成し、前記帯状に裁断された表面と裏面ヒートシール層が対向して前記重ね代が熱溶着される、ことを特徴とする請求項2に記載の紙製収容体の製造方法。
【請求項4】
前記熱溶着する工程は、前記金型を加熱した状態で、巻回されている紙製基材を表面側から押圧することで溶着する、ことを特徴とする請求項1に記載の紙製収容体の製造方法。
【請求項5】
前記熱溶着する工程は、前記金型に巻回されている紙製基材を、表面側から加熱しながら押圧することで溶着する、ことを特徴とする請求項1に記載の紙製収容体の製造方法。
【請求項6】
前記熱溶着する工程は、前記紙製基材が巻回されている金型に対し、加熱された状態のロールバーを前記金型に対して相対回転させることで溶着する、ことを特徴とする請求項1に記載の紙製収容体の製造方法。
【請求項7】
前記ヒートシール層は、紙製基材に対して印刷によって塗工されている、ことを特徴とする請求項1に記載の紙製収容体の製造方法。
【請求項8】
表面にヒートシール層が形成された紙製基材が、錐形状又は筒形状となるように、巻回されており、
前記巻回されて重なった部分のヒートシール層が熱溶着されることで錐形状又は筒形状に保形されていることを特徴とする紙製収容体。
【請求項9】
前記紙製基材は、帯状に裁断されて、重ね代を持たせて螺旋状に巻回されており、
前記重ね代部分のヒートシール層が熱溶着されることで錐形状又は筒形状に保形されていることを特徴とする請求項8に記載の紙製収容体。
【請求項10】
前記紙製基材の両面にヒートシール層が形成されている、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の紙製収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製の収容体を製造する紙製収容体の製造方法、及び、紙製収容体に関する。なお、ここでの収容体とは、紙製基材にヒートシール剤が塗布されてものであり、この基材をヒートシール剤部分で熱溶着することで、錐状に形成されたもの、或いは、筒状に形成されたものが該当する。このような収容体は、例えば、食品や日用品などの収容物を収容(部分的に収容するものも含む)して収容物を保護したり、収容物に手が直接、触れることがないように被着されるものが該当する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソフトクリームは、略三角形状に裁断した基材を円錐型の収容体に湾曲加工し、これをコーン部分に被着することが行われている(コーンスリーブとも称されている)。通常、このような用途に用いられる基材は、紙製のものが用いられ、様々な模様などが印刷されたものもある。また、一般的に知られているソフトクリームを、アイスクリーム型にして販売することも行われている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
このように、ソフトクリームをアイスクリーム型にすると、長時間にわたって冷凍されることから、コーン部分についてはアルミ箔やプラスチック製のフィルム等で覆うことが行なわれている。また、最近では、非特許文献1で紹介されている商品に見られるように、環境問題、廃棄上の分別処理問題などを考慮して、紙製基材を所定の形状に裁断し、端部同士を接着することでコーンスリーブ(収容体)を形成するようにしている。この収容体は、例えば、図7(a)又は(b)に示すように、紙製基材100を略扇形の形状に裁断し、端部101,102を重ね、この重なり部分を接着することでコーンスリーブ200を形成している。或いは、図8(a)~図8(c)で示すように、紙製基材100を略半円形状に裁断し、その端部101,102を折り重なるように湾曲させて、端部領域を重ねて接着することでもコーンスリーブ200を形成することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.glico.com/jp/product/ice/giantcone/37789/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、収容体を紙製基材で形成することで、アルミ箔やプラスチック製のフィルム等を主材料とした基材と比較すると、環境に配慮した構成になるものの、紙製基材には十分なコシがなく、接着する重合部分も少ないため、十分な強度を確保できていないという問題がある。すなわち、紙製基材(シート材)を所定形状に裁断し、ソフトクリームのコーン部分を被着するように湾曲させて端部領域を接着(糊付け)するだけでは、収容体として十分な強度が確保されていない。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、錐状、或いは、筒状に形成され、十分な強度を確保することが可能な紙製収容体の製造方法及び紙製収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係る紙製収容体の製造方法は、紙製基材の一方の面又は両方の面にヒートシール層を形成する工程と、前記ヒートシール層が形成された紙製基材を、錐形状又は筒形状の金型に対して巻回できるように裁断する工程と、前記裁断された紙製基材を、前記金型に対して巻回する工程と、前記金型に巻回された紙製基材を熱溶着する工程と、を有し、前記金型を取り外して錐形状又は筒形状の収容体を形成する、ことを特徴とする。
【0008】
上記した製造方法によれば、紙製基材で形成された錐形状又は筒形状の紙製の収容体が得られる。前記紙製の収容体は、紙製基材を所定の形状に裁断し、錐形状又は筒形状の金型に巻回し、その状態で熱溶着して形成されるため、熱溶着部分の強度が高まり、紙製の素材でありながら、十分な強度を確保した錐形状又は筒形状の収容体を容易に製造することが可能となる。
また、本発明は、上記した製造方法によって得られる錐形状又は筒形状の収容体であることを特徴とする。このような収容体は、紙製基材を巻回した構成となっており、ヒートシール層が全面に形成されて重なった部分が熱溶着されるので十分な強度を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、錐形状又は筒形状の紙製の収容体について、十分な強度を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る紙製収容体に収容される収容物の一例を示す図であり、ソフトクリーム型のアイスクリームの一構成例を示す図。
図2】紙製の収容体を構成する紙製基材の断面を示す図。
図3】円錐形状の収容体を形成するために、紙製基材を裁断した例を示す図。
図4】(a)は、アイスクリームのコーンに、紙製基材によって形成された収容体を被着した構成を示す図、(b)は、コーンから紙製基材を剥離する状態を示す図。
図5】(a)から(d)は、それぞれ円錐形状の収容体を製造する方法を説明する図。
図6】(a)から(d)は、それぞれ円筒形状の収容体を製造する方法を説明する図。
図7】(a)及び(b)は、紙製基材の別の裁断例を示しており、それぞれ円錐形状の収容体を構成する紙製基材の裁断例を示す図。
図8】紙製基材の更に別の裁断例を示しており、(a)は円錐形状の収容体を構成する紙製基材の裁断例を示す図、(b)は収容体を形成する途中の工程を示す図、(c)は(b)の状態から熱溶着によって収容体を形成した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、紙製基材を用いて形成される紙製収容体が利用される収容物の一例を示す図であり、ソフトクリーム型のアイスクリームの一構成例を示す図である。
【0012】
本実施形態の紙製収容体は、アイスクリーム1を構成する円錐形状のコーン3の表面を覆うように形成される。この場合、紙製収容体については、コーン3に加え、クリーム5の部分を覆う(アイスクリーム全体を覆う)ように形成されたものであっても良く、両者の境目にミシン目等を形成して、クリーム5を覆っている部分をミシン目から剥離し、コーン3を覆っている部分については、そのまま被着された状態となるように構成しても良い。
【0013】
図2は、紙製収容体を構成する紙製基材の断面を示す図である。
紙製基材10はシート状に構成されており、厚い紙、具体的には、収容体に加工した際の保形性を考慮して、例えば180g/m2以上のものが用いられる。また、紙を構成する具体的な素材については、特に限定されることはなく、例えば、木材パルプのような植物性の天然由来のレーヨン紙等を不織布にしたものを用いることが可能である。紙製基材の材質や厚さは、用いられる収容体に応じて適宜、変形することが可能であり、収容体の用途によっては、180g/m2よりも小さい薄い紙を用いても良い。
なお、紙製基材10については、以下のヒートシール層が形成される前段階では、平板状に形成されたものであっても良いし、ロール状に巻回された構成(原反)であっても良い。
【0014】
前記紙製基材10に対しては、表面(一方の面でも良いが、両面であることが好ましい)にヒートシール層12が形成され、このヒートシール層12については、ヒートシール剤を印刷等、塗装することで形成することが可能である。ヒートシール剤を塗布する(印刷する)塗工方法としては、例えば、グラビア印刷塗工法、水性フレキソ塗工法、ロールコーター、チャンバーコーター、その他のコーター等(例えば、エアーコーター、エアーナイフ、シェルクなど)を挙げることができる。
【0015】
前記ヒートシール層12を構成するヒートシール剤については、ポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂剤であっても良いが、環境を考慮して水系のもの(水性化された樹脂)が用いられることが好ましい。具体的には、水溶性型の水系樹脂、水分散型の水系樹脂等を用いることができる。水性化される樹脂剤としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂等を用いることができ、これらを水媒体に分散したもの(ディスパージョン型)や、乳化したもの(エマルジョン型)がヒートシール剤として紙製基材10の表面に塗布される。このような水系のヒートシール剤については、各種、汎用化されたものを用いることが可能であり、紙製基材10の材質、重量(目付)などに応じて、適切なものを選択して用いれば良い。
【0016】
なお、前記紙製基材10については、ヒートシール層を形成する前に、模様、色彩などを印刷して装飾層を形成しても良い。また、前記ヒートシール層12を構成するヒートシール剤については、耐水耐油・バリア剤などを添加して、収容物の構成に応じて別途、機能を付加することも可能である。
【0017】
上記したように構成された紙製基材10は、図1に示した収容物である円錐形状のコーン3の表面を覆う形に裁断される(図3参照)。この裁断の仕方については、円錐形状のコーン3の表面を螺旋状に巻回して覆うことができる帯状形状にされたものであれば良く、例えば、前記ヒートシール層が形成された紙製基材10を多数枚、積層し、公知の裁断機によってカットすることで形成することが可能である。
この場合、紙製基材の裁断形状10Aについては、コーン3に対する巻回数が3巻回以上確保されることが好ましい。これは、巻回数を3巻回未満にすると、後述するように、重ね代部分を熱溶着して円錐形状に保形した際、十分な強度を保つことができないためである。
【0018】
具体的に、本実施形態の裁断形状10Aは、図3で示すように、所定幅の基端縁(巻き始め位置)10aと、この部分からコーン3の開口3aに沿う端部縁10bと、端部縁10bからコーンの表面に螺旋状に沿うように湾曲する湾曲部10cと、最終的にコーン3の先端となる先端部10dと、を備えている。
【0019】
螺旋状に巻回される部分の幅については、裁断される湾曲部10cの幅で特定されることから、幅を狭くすることで巻回数を多くすることができ、幅を広くすることで巻回数を少なくすることができる。また、先端部10dについては、コーンの先端部分に対応しており、最終的に円錐形状の収容体としたとき、或いは、実際にコーン3に被着したときに潰される部分となる。
【0020】
図4(a)は、実際にアイスクリーム1のコーンに、紙製基材10によって形成された収容体20を被着した構成を示す図であり、図4(b)は、コーン3から紙製基材10を剥離する状態を示す図である。
【0021】
本実施形態の収容体20は、上記したように裁断された紙製基材10を、重ね代Pを持たせつつ螺旋状に巻回し、巻回された部分全体を熱溶着することで重ね代Pが熱溶着され、内部が空洞状になった円錐形状の収容体が形成される。具体的には、紙製基材10の表面(本実施形態では両側の表面)には、ヒートシール層12が形成されており、図3に示すように裁断された螺旋状の紙製基材を、後述の図5に示すような円錐形状の金型に、重ね代Pを持たせながら巻回し、表面を加熱・圧着すると、円錐形状の収容体20を形成することが可能である。
【0022】
ここで、図5(a)を参照して、円錐形状の収容体を製造する方法(第1の例)について説明する。
上記したように、ヒートシール層が形成されて図3に示すように裁断された紙製基材10は、円錐形状に形成された金型30の外表面に、重ね代Pを持たせながら螺旋状に巻回される(巻回工程)。次に、紙製基材10が巻回された金型30を加熱すると共に、その外側から金型30の表面を覆うように形成された断面略半円形状の割り型40,41をプレスすることで、重ね代Pを表面側から熱溶着する(熱溶着工程)。そして、金型30を矢印D1方向に抜き、割り型40,41を離間することで、重ね代Pが溶着された円錐形状の収容体20が、保形された状態で形成される(収容体形成工程)。
【0023】
このように形成される円錐形状の収容体20は、帯状に裁断された紙製基材30を螺旋状に巻回し、重ね代Pを熱溶着しているため、従来のように1枚のシート材の端部を接着することで形成された収容体と比較すると、全面に積層されたヒートシール層でコシが強くなると共に、螺旋状になった重ね代P部分において変形し難くなり、強度の向上が図れるようになる。特に、紙製基材10の両面にヒートシール層12を形成すると、紙製基材の強度が更に向上して熱溶着部分の強度も高まるため、収容体としての強度の向上が図れるようになる。
【0024】
図5(b)は、円錐形状の収容体を製造する第2の例を示す図である。この第2の例の製造方法は、図5(a)に示した製造方法とは異なり、金型30を加熱するのではなく、割り型40,41を加熱しながら、螺旋状に巻回された紙製基材10を圧着することで重ね代Pを表面側からプレスして熱溶着するようにしたものである。このような方法においても、図5(a)で示した方法と同様、強度が向上した円錐形状の収容体を製造することができる。
【0025】
図5(c)は、円錐形状の収容体を製造する第3の例を示す図である。この第3の例の製造方法は、紙製基材10が螺旋状に巻回されている金型30に対し、加熱された状態のロールバー45を圧着しながら金型30に対して相対回転させることで重ね代Pを溶着するようにしている。この場合、回転するのは、金型30であっても良いし(矢印D2方向の回転)、ロールバー45であっても良い。或いは、金型30及びロールバー45の双方を回転駆動しても良い。また、金型30側を加熱した構成であっても良い。
このような方法においても、上記した製造方法と同様、強度が向上した円錐形状の収容体を製造することができる。
【0026】
図5(d)は、円錐形状の収容体を製造する第4の例を示す図である。この第4の例の製造方法は、紙製基材10が巻回されている金型30に対し、小型の加熱された状態のロールバー45aを圧着しながら金型30に対して相対回転させることで重ね代Pを溶着するようにしている。このように圧着するロールバーを小型にする場合、熱溶着しながらロールバー45a、及び/又は、金型30を軸方向に移動させることで、軸方向に連続する重ね代Pの全てを熱溶着することが可能である。
このような方法においても、上記した製造方法と同様、強度が向上した円錐形状の収容体を製造することができる。
【0027】
図6(a)から図6(d)に示す金型30A、及び、割り型40A,41Aは、円筒形状(筒形状)の収容体を製造する方法を示す図であり、それぞれ図5(a)から図5(d)と同様な方法によって収容体を製造する方法を示す図である(図面では、図5と同様な構成部分については同じ参照符号を付してある)。
【0028】
図6(a)~図6(d)に示す例では、帯状の紙製基材30を、重ね代Pを持たせながら螺旋状に巻回する金型30Aを円柱状に構成しており、割り型を用いて熱溶着する製造方法では、図6(a)~図6(b)に示すように、割り型40A,41Aを半円筒形状に形成している。
このような製造方法によれば、円筒形状(筒状)の収容体についても、強度が向上した構成を得ることができる。
【0029】
図7(a)及び(b)は、紙製基材の別の裁断例を示しており、それぞれ円錐形状の収容体を構成する紙材の裁断例を示す図である。収容体200を構成する紙製基材100は、上記した実施形態と同様、一方の面、又は、両方の面の全面にヒートシール層(図2参照)が形成されており、これを略扇形の形状に裁断したものである。このような紙製基材100は、端部101,102を重ね、図5に示したような金型30に巻回して表面から割り型40,41で熱溶着することで収容体(でコーンスリーブ200)を形成することが可能である。
【0030】
或いは、図8(a)~図8(c)で示すように、一方の面又は両方の面(両面が好ましい)の全面にヒートシール層を備え、略半円形状に裁断された紙製基材100についても、その端部101,102を折り重なるように湾曲させて端部領域を重ね、図5に示したような金型30に巻回して表面から割り型40,41で熱溶着することで収容体(でコーンスリーブ200)を形成することが可能である。
【0031】
これらの実施形態においても、所定の形状に裁断された紙製基材100の全面にヒートシール層が形成されており、この紙製基材100を略円錐形状となるように保形しながら金型を用いて熱溶着するため、紙製基材そのものの強度が強く、また、熱溶着時に、重なっている部分が熱溶着されることから、従来のように、端部のみを接着した紙製の収容体と比べると十分な強度が確保される。
【0032】
また、上記したようなヒートシール層が全面(両面が好ましい)に形成された紙製基材を、略円筒形状となるように熱溶着した収容体についても、十分な強度を確保することが可能である。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
前記収容体の全体形状は、円錐形状、円筒形状以外にも、断面多角形状に構成されていても良いし、円錐台のような錐台形状であっても良い(各種の錐形状や筒形状であっても良い)。また、ヒートシール層12が積層された紙製基材10の裁断形状については、収容体の形状に応じて適宜変形することができ、例えば、螺旋状に巻回するように帯状に裁断した紙製基材では、その重ね代Pの幅についても適宜変形することができる。また、重ね代Pの幅は、収容体の全てにおいて同一幅にされなくても良く、部分的に幅広部分、又は、幅狭部分が存在していても良い、また、螺旋状の軸方向に対して傾斜する角度についても適宜変形することが可能であり、部分的に0°(軸方向に垂直)に巻回される領域が含まれていても良い。
【0034】
前記紙製基材10,100については、液体の浸透防止(耐水及び耐油)作用、防臭作用、調湿作用、ガスバリア作用を有するような保護フィルム(保護層)が被着されてヒートシール層12が積層されていても良い。或いは、保護フィルムを被着するのではなく、ヒートシール層12を構成するヒートシール剤又はニスに、同様な作用を発揮する材料を添加しても良い。また、そのようなヒートシール剤は、紙製基材の全面に亘って形成する必要はなく、少なくとも重ね代P部分に塗布されていても良い。さらに、ヒートシール剤は、例えば、ドット状に塗布する等、様々な印刷パターンで印刷することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 板材
10,100 紙製基材
12 ヒートシール層
20,200 収容体
30,30A 金型
40,40A,41,41A 割型
P 重ね代
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8