(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099149
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】食品秤量搬送装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20240718BHJP
A47J 27/14 20060101ALI20240718BHJP
B65G 65/34 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
G01G19/387 C
A47J27/14 B
B65G65/34 C
G01G19/387 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002872
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】501489018
【氏名又は名称】株式会社 キョーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100188248
【弁理士】
【氏名又は名称】丹生 哲治
(72)【発明者】
【氏名】井手上 清治
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 信孝
(72)【発明者】
【氏名】井手上 慎司
【テーマコード(参考)】
3F075
4B054
【Fターム(参考)】
3F075BA01
3F075BB05
3F075CA09
3F075CB01
3F075CB12
3F075CC12
3F075CD10
3F075CD14
4B054AA16
4B054CE13
4B054CG10
(57)【要約】
【課題】装置の大型化および設備コストの高騰を抑制しながら、秤量器付きのバケットの台数を従来の2倍に増加でき、より高精度な目標重量の食品が得られて、パイプフィーダによる食品の切り出しを開始するまでの待ち時間も短縮できる食品秤量搬送装置を提供する。
【解決手段】各第1,2の計量バケット16A,16B内の食品12のうち、切り出す目標重量に最も近い組み合わせになる複数を選択して排出する食品秤量搬送装置10で、各筒体14の先端と各食品振分け手段50との間に配されて、各筒体14から投下された食品12を一旦ストックする複数のストックバケット80と、各ストックバケット80内の食品12を各食品振分け手段50に投下させる複数の蓋開閉シリンダ83とを有した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を貯留して、下部に該食品の排出部が複数設けられたホッパと、
該ホッパの各排出部に回転可能な複数の筒体の基端部がそれぞれ連通されて、前記ホッパ内の前記食品を各切り出す複数のパイプフィーダと、
該パイプフィーダ毎に、前記各筒体の先端から投下された前記食品をそれぞれ収納する複数の第1の計量バケットおよび複数の第2の計量バケットと、
前記各第1の計量バケットに収納された前記食品を秤量する複数の第1の秤量器と、
前記各第2の計量バケットに収納された前記食品を秤量する複数の第2の秤量器と、
前記各筒体の先端の直下に配されて、該各筒体の先端から投下された前記食品を、前記各第1の計量バケットと前記各第2の計量バケットとに振り分ける複数の食品振分け手段とを備え、
前記各第1の計量バケット内および前記各第2の計量バケット内の前記食品のうち、切り出す目標重量に最も近い組み合わせになる複数を選択して排出する食品秤量搬送装置であって、
前記各筒体の先端と前記各食品振分け手段との間に配されて、前記各筒体から投下された前記食品を一旦ストックする複数のストックバケットと、
該各ストックバケット内の前記食品を前記各食品振分け手段に投下させる複数のストック食品投下手段とを有したことを特徴とする食品秤量搬送装置。
【請求項2】
前記各ストック食品投下手段は、
前記各ストックバケットに配設されて、前記食品を投下する各投下口を塞ぐ複数の蓋体と、
対応する蓋体を開閉操作する蓋用アクチュエータとを有したことを特徴とする請求項1に記載の食品秤量搬送装置。
【請求項3】
前記各パイプフィーダは、前記食品を連続して定量搬送するもので、
前記各筒体の先端から前記各ストックバケットに投下される前記食品の投下量をタイマ制御するフィーダ制御部を有したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品秤量搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホッパから切り出された食品を秤量して搬送する食品秤量搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インスタントラーメンのかやくなどの食品を搬送して秤量する食品秤量搬送装置として、例えば、特許文献1のものが知られている。
この従来装置は、食品を収納し、かつ前壁の下部に複数の排出部が左右方向へ所定ピッチで配設されたホッパと、各排出部に対応する筒体の基端部が連通されて、このホッパ内の食品を切り出す複数のパイプフィーダと、各パイプフィーダから投下された食品を受ける複数の計量バケットと、各計量バケットが受けた食品を秤量する複数の秤量器とを備えたものである。なお、各筒体の基端部には、ホッパ内に配されて食品を切り出す複数の爪付きアタッチメントが着脱自在に連結されている。
【0003】
この従来装置は、各パイプフィーダの筒体を回転させることで、ホッパの下部内の食品を各爪付きアタッチメントにより切り出して各排出部からそれぞれ排出し、その後、各筒体の先端から投下された食品を各計量バケットが受け、ここで各秤量器により対応する食品の重さを秤量してから、各計量バケットよりそれぞれ食品を排出する。
【0004】
ところで、特許文献1の従来装置を使用し、目標重量(例えば30g)の食品を複数に小分け(例えば10g)した群(例えば5つ)の中から、この目標重量に最も近い組み合わせのもの(例えば3つ)を選出し、その後、これらを一つに纏めて排出することで、高精度に秤量された食品を袋詰めすることが行われている。
【0005】
具体的には、ホッパの下部に5本のパイプフィーダの筒体をそれぞれ連通し、各筒体の先端の直下に、秤量器付きの計量バケットを5台配設する。
装置運転時には、ホッパの下部内の食品を各排出部から5台のパイプフィーダにより切り出し、各筒体の先端から5台の計量バケットに投下して行く。このとき、各計量バケットへの食品の投入量が10gに達したことを各秤量器が検知すると、対応するパイプフィーダがそれぞれ停止する。
【0006】
次に、こうして10gずつに小分けされた5個の食品群の中から、目標重量30gに最も近い組み合わせの3つを選出し、これら3つの小分け食品を、対応する計量バケットから排出して一纏めにすることにより、高精度に計量された30gの食品が得られる。
【0007】
しかしながら、このように従来装置では、各パイプフィーダと、各秤量器付きの計量バケットとが、それぞれ1対1の関係にあった。そのため、袋詰めされる食品の秤量の精度を高めるために食品の小分け数を増やせば、その分だけ秤量器付きの計量バケットだけでなく、ホッパのサイズに影響を与えるパイプフィーダの本数も増加してしまい、食品秤量搬送装置が大型化していた。
【0008】
そこで、発明者は、1本のパイプフィーダに対して、計量バケットおよび秤量器を2つずつ配置し、対応する筒体の先端から投下された食品を食品振分け手段により2つの計量バケットに振り分けて各秤量するようにすれば、装置の大型化を抑制しながら、秤量器付きの計量バケットの台数を従来の2倍に増やすことができ、これにより、さらに高精度な目標重量の食品が得られることを知見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、この食品秤量搬送装置では、2つの計量バケットに食品が計量・充填されて、目標重量に最も近い組み合わせとして選択・排出されるのを待機している間、パイプフィーダも待機状態となって食品が切り出せない。そのため、食品秤量搬送装置の食品搬送の能力が低下することが懸念された。
【0011】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、各パイプフィーダと各食品振分け手段との間に、各パイプフィーダから排出された食品を一旦ストックするストックバケットをそれぞれ配置し、何れかの計量バケットからの食品の排出後、すぐに対応するストックバケットの食品を空の計量バケットに投下するように構成すれば、パイプフィーダによる食品の切り出し開始までの待ち時間の短縮化が図れることを知見し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、装置の大型化および設備コストの高騰を抑制しながら、秤量器付きの計量バケットの台数を従来の2倍に増やすことができ、これにより、より高精度な目標重量の食品を得ることができるとともに、パイプフィーダによる食品の切り出しを開始するまでの待ち時間の短縮が可能な食品秤量搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、食品を貯留して、下部に該食品の排出部が複数設けられたホッパと、該ホッパの各排出部に回転可能な複数の筒体の基端部がそれぞれ連通されて、前記ホッパ内の前記食品を各切り出す複数のパイプフィーダと、該パイプフィーダ毎に、前記各筒体の先端から投下された前記食品をそれぞれ収納する複数の第1の計量バケットおよび複数の第2の計量バケットと、前記各第1の計量バケットに収納された前記食品を秤量する複数の第1の秤量器と、前記各第2の計量バケットに収納された前記食品を秤量する複数の第2の秤量器と、前記各筒体の先端の直下に配されて、該各筒体の先端から投下された前記食品を、前記各第1の計量バケットと前記各第2の計量バケットとに振り分ける複数の食品振分け手段とを備え、前記各第1の計量バケット内および前記各第2の計量バケット内の前記食品のうち、切り出す目標重量に最も近い組み合わせになる複数を選択して排出する食品秤量搬送装置であって、前記各筒体の先端と前記各食品振分け手段との間に配されて、前記各筒体から投下された前記食品を一旦ストックする複数のストックバケットと、該各ストックバケット内の前記食品を前記各食品振分け手段に投下させる複数のストック食品投下手段とを有したことを特徴とする食品秤量搬送装置である。
【0014】
食品秤量搬送装置の構造は、ホッパ内の食品を複数のパイプフィーダにより切り出して各第1,2の計量バケットに投下し、各計量バケット内に投入された食品を対応する第1,2の秤量器によりそれぞれ秤量してから搬出するものであれば限定されない。
食品の種類は任意である。例えば、お茶漬け、ふりかけ、インスタントラーメンのかやく、刻み海苔等の粉粒状物や刻み状物といった乾燥食品などを採用することができる。その他、粒状のチーズなどの半生食品でもよい。
ホッパの形状やサイズは任意である。ホッパの下部には、食品の排出部(排出口)が複数配設されている。
各排出部の形成数は、2つでも3つ以上でもよい。
【0015】
各パイプフィーダとしては、例えば、回転モータにより筒体を回転させて食品の切り出しが可能なものであれば任意である。例えば、スクリュー式のパイプフィーダなどでもよい。
パイプフィーダの本数は複数であれば限定されない。2本でも3本以上もよい。
特に、パイプフィーダの本数を多くするほど、各第1,2の計量バケット内に小分けされた食品(以下、小分け食品)群の中から、目標重量に最も近い組み合わせとなるものを選出し易くなり、これらの小分け食品を、対応するバケットから各々排出して一纏めにすることにより、さらに高精度な目標重量の食品を得ることができる。
【0016】
各第1,2の計量バケットの形状は、切り出された食品の投入口と、秤量後の食品を排出する排出口とを有していれば任意である。
また、各第1,2の計量バケットのサイズも任意である。
第1,2の計量バケットの個数は、1本のパイプフィーダに対して2つずつである。例えば、パイプフィーダが5本ある場合、第1,2の計量バケットは5つずつ、合計は10個となる。
各第1,2の計量バケットの配置は任意である。例えば、水平方向に離反状態で配置しても、垂直方向に離反状態で配置してもよい。
各第1,2の計量バケットには、食品の排出口をそれぞれ自動開閉する開閉手段を配設してもよい。
この場合、各開閉手段の種類は任意である。例えば、ソレノイド、エアシリンダ、電動シリンダなどにより蓋を開閉させるものなどを採用することができる。
【0017】
各第1,2の秤量器の種類は任意である。例えば、ロードセルなどを採用することができる。
第1,2の秤量器の使用数は、対応する第1,2の計量バケットの使用数と同じである。
各食品振分け手段の構成は任意である。例えば、電動モータやソレノイドなどの各種のアクチュエータにより、シュートやガイド板などの各種の振分け部材を移動(回動を含む)させることで、各パイプフィーダの筒体の先端から投下された食品を、各第1,2の計量バケットに同時または所定の順序で振り分けるようにしたものでもよい。
【0018】
具体的な食品振分け手段としては、例えば、対応する筒体の先端から投下された食品を、対応する第1の計量バケット内へガイドする第1の斜面と、第2の計量バケット内へガイドする第2の斜面とを有した山形振分け部材と、この山形振分け部材を移動させることで、第1の斜面と第2の斜面とを、対応する筒体の先端の直下に所定の順序で配置させる食品振分けアクチュエータとを有したものなどを採用することができる。
【0019】
ここでの山形振分け部材の素材は任意である。例えば、各種の金属でも、各種のプラスチックでもよい。
また、第1の斜面と第2の斜面との傾斜角度は限定されない。例えば、10°~80°でもよい。
さらに、第1の斜面と第2の斜面との長さも任意である。
これらの第1,2の斜面の傾斜角度や長さは、互いに同じでも、それぞれ異なってもよい。
各食品振分けアクチュエータの種類は任意である。例えば、エアシリンダ、電動シリンダ、ねじ送り装置、ソレノイドなどを採用することができる。
【0020】
各ストックバケットの形状は、各筒体の先端から投下された食品の投入口および投下口を有していれば任意である。
また、各ストックバケットのサイズも任意である。
各ストック食品投下手段の種類は限定されない。例えば、対応するストックバケットの食品の投下口を自動開閉させるものを採用することができる。その他、各ストックバケットを上下自動反転させて、各ストックバケット内の食品を投下させるものでもよい。この場合、食品の投入口は投下口を兼ねる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、前記各ストック食品投下手段は、前記各ストックバケットに配設されて、前記食品を投下する各投下口を塞ぐ複数の蓋体と、対応する蓋体を開閉操作する蓋用アクチュエータとを有したことを特徴とする請求項1に記載の食品秤量搬送装置である。
前記各蓋体の形状は任意である。
各蓋用アクチュエータの種類は任意である。例えば、ソレノイド、エアシリンダ、電動シリンダなどを採用することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明は、前記各パイプフィーダは、前記食品を連続して定量搬送するもので、前記各筒体の先端から前記各ストックバケットに投下される前記食品の投下量をタイマ制御するフィーダ制御部を有したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品秤量搬送装置である。
【0023】
フィーダ制御部による各パイプフィーダからの食品投下量の具体的な制御方法は任意である。例えば、ホッパの下部からの各筒体による食品の切り出し制御でも、各筒体の回転制御や各筒体の傾斜角の制御などでもよい。
パイプフィーダをタイマ制御して得られる筒体からの食品投下量は、秤量器の秤量時に比べて精度が劣る。しかしながら、予め食品秤量搬送装置を長時間試験運転して、目標の食品投下量が得られる時間を求めておけば、この秤量器による秤量時とさほど大差がないタイマ制御が可能となる。
殊に、本発明は、複数対配置される第1,2の計量バケット内の食品のうち、切り出す目標重量に最も近い複数の組み合わせのものを選択して排出するため、タイマ制御した場合と秤量器を採用した場合との差異はさらに小さくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、各パイプフィーダの筒体を回転させることで、ホッパの下部内の食品をそれぞれ切り出し、切り出された食品は、各筒体を通過してその先端から対応するストックバケットを介して各食品振分け手段にそれぞれ投下され、ここでそれぞれ対応する第1の計量バケットと第2の計量バケットとに振り分けられる。
振り分けられた食品は、各第1の計量バケット内のものが各第1の秤量器により秤量され、各第2の計量バケット内のものが各第2の秤量器により秤量される。
【0025】
このように、1本のパイプフィーダに対して、計量バケットおよび秤量器を2つずつ配置し、各筒体の先端から投下された食品を、対応する食品振分け手段によって各2つの計量バケットに振り分けて秤量するようにしたため、装置の大型化および設備コストの高騰を抑制しながら、秤量器付きの計量バケットの台数を従来の2倍に増やすことができる。
その結果、各第1,2の計量バケットに収納した食品群の中から、目標重量に近いものを選出して排出することで、より高精度な目標重量の食品を得ることができる。
【0026】
また、各パイプフィーダと各食品振分け手段との間には、各パイプフィーダから排出された食品を一旦ストックするストックバケットを配設したため、各第1,2の計量バケット内の食品のうち、目標重量に最も近い組み合わせのものが選択・排出された後に、対応するストックバケット内の食品を空の計量バケットに投下することができる。その結果、各パイプフィーダによる食品の切り出し開始までの待ち時間を短縮することができる。
【0027】
特に、請求項2に記載の発明によれば、各ストックバケットの投下口を塞ぐ蓋体を対応する蓋用アクチュエータにより開閉するようにしたため、各ストックバケットの投下口の開閉を簡単な構成で確実に行うことができる。
【0028】
また、請求項3に記載の発明によれば、各パイプフィーダとして、各パイプフィーダとして、食品を連続して定量搬送するものを採用するとともに、フィーダ制御部により各パイプフィーダをタイマ制御するようにしたため、各筒体の先端から各ストックバケットに投下される食品の投下量を、高価な秤量器を使用せずとも概ね設定値とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施例1に係る食品秤量搬送装置の側面図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る食品秤量搬送装置の正面図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る食品秤量搬送装置の要部拡大側面図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る食品秤量搬送装置の一部を構成する1本のパイプフィーダの周辺機器であるメカニカルユニットの制御系統を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る食品秤量搬送装置の全体の制御系統を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施例1に係る食品秤量搬送装置の第1の計量バケットへの食品投入状態を示す要部拡大側面図である。
【
図7】本発明の実施例1に係る食品秤量搬送装置の第2の計量バケットへの食品投入状態を示す要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、食品として即席カップ麺に封入されるかやくを16個の計量バケットに小分けして各第1,2の秤量器により秤量し、その中から合計重量が最も目標重量に近い5つを選出した後、袋詰め工程へ搬送するための食品秤量搬送装置を例に説明する。なお、明細書中の前後左右等の方向は、本装置上の方向である。
【実施例0031】
図1~
図3において、10は本発明の実施例1に係る食品秤量搬送装置である。この食品秤量搬送装置10は、外装ケーシングCが搭載された架台11と、食品(ここではかやく)12が貯留されて、下部に食品12の排出部13aが左右方向に所定ピッチで8つ配設されたホッパ13と、ホッパ13の各排出部13aに、回転可能な筒体14の基端部がそれぞれ連通されて、ホッパ13内の食品12を切り出す8本のパイプフィーダ15と、パイプフィーダ15毎に、各筒体14の先端から投下された食品12をそれぞれ収納する8つの第1の計量バケット16Aおよび8つの第2の計量バケット16Bと、各第1の計量バケット16Aに収納された食品12を秤量する8つの第1のロードセル(秤量器)17Aと、各第2の計量バケット16Bに収納された食品12を秤量する8つの第2のロードセル(秤量器)17Bと、各筒体14の先端の直下に配されて、対応する筒体14の先端から投下された食品12を、対応する第1の計量バケット16Aと第2の計量バケット16Bとに所定の順序で振り分ける8台の食品振分け手段50と、各筒体14の先端と各食品振分け手段50との間に配されて、各筒体14の先端から投下された食品12を、一旦ストックする8つのストックバケット80と、各ストックバケット80内の食品12を各食品振分け手段50に投下させる8つのストック食品投下手段81とを備えている。
【0032】
以下、これらの構成部品を具体的に説明する。
外装ケーシングCは大型の矩形ボックスで、その上部に、食品12を充填するホッパ13が設けられている。
この外装ケーシングCの前部の下方には、架台11の天板11aの前部付近に上端開口部が連結された排出シュート105が設けられている。
【0033】
架台11は、外装ケーシングCより小型の矩形ボックスで、その内部には食品秤量搬送装置10を制御する、制御盤101が内設されている。
ホッパ13は食品12を貯留するための左右方向へ長い下すぼみ状の容器で、架台11の天板11aの中央後部付近に、取付枠台110を介して固定されている。ホッパ13の下部の前側には、左右方向へ所定ピッチで、8つの円形の前記排出部13aがそれぞれ形成されている(
図3を参照)。
【0034】
架台11の天板11aの中央部付近には、取付枠台110を介して、左右方向へ所定ピッチで円筒状の8本の筒体14が、ベアリング付きの前後一対のパイプホルダを利用して、軸線を前方へ下方傾斜した状態でそれぞれ軸支されている。各筒体14の基端部(後端部)は、ホッパ13の各排出部13aにそれぞれ挿入されている。また、各筒体14の基端部には、ホッパ13内の食品12の切り出しを行なう短尺な円筒状の爪付アタッチメント26がそれぞれ外嵌されている。
【0035】
また、外装ケーシングCの中央部付近には、左右方向へ所定ピッチで、対応する筒体14を跨ぐように8つのモータ取付板103が、取付枠台110を介して配設されている。各モータ取付板103には、対応する筒体14を周方向へ回転駆動させる電動モータ18がそれぞれ搭載されている。各電動モータ18の後方へ延びる出力軸28には、駆動ギア29がそれぞれ固着されている。この駆動ギア29は、筒体14の外周面に固着された従動ギヤ30に噛合されている。
【0036】
外装ケーシングCの前下部付近には、各筒体14の下方にあって、各ストックバケット80を介して、対応する筒体14から落下した食品12を振り分ける食品振分け手段50が、それぞれ取付枠台110を介して配設されている。
各ストックバケット80は、食品12の投入口が上面に形成され、かつ食品12の投下口80aが下窄み状の前側下部に形成されたステンレス板製の容器である。各ストックバケット80には、対応する投下口80aを開閉する8つのストック食品投下手段81が配設されている。
【0037】
各ストック食品投下手段81は、長さ方向の中間部により投下口80aを塞ぐとともに、側面視して略三角形状の両端部が、短尺な一対の水平軸80bを介して、対応するストックバケット80の左,右側板の上端部に軸支された門形の蓋体82と、各蓋体82を、各水平軸80bを中心にして垂直回動させることで、各ストックバケット80の投下口80aを開閉させる8つの蓋開閉シリンダ(蓋用アクチュエータ)83とを有している。各蓋体82の一側部には、対応する蓋開閉シリンダ83のロッド83aの先端部が当接されて、ストックバケット80を開閉操作するための板片80cが突設されている。
【0038】
各食品振分け手段50は、対応するストックバケット80の直下に配されて、前後方向に長いステンレス製の矩形板枠51と、矩形板枠51の長さ方向の中間部に設けられて、対応するストックバケット80から投下された食品12を、第1の計量バケット16A内へガイドする第1の斜面(前側の斜面)aと、第2の計量バケット16B内へガイドする第2の斜面(後側の斜面)bとを有したステンレス板製の山形振分け部材52と、山形振分け部材52を前後方向へ移動させることで、第1の斜面aと第2の斜面bとを、対応するストックバケット80の直下に所定の順序で配置させるエア式の食品振分けシリンダ53とをそれぞれ有している。
【0039】
食品振分けシリンダ53は、外装ケーシングCの下部中央付近に配されて、取付枠台110に固定されたものである。食品振分けシリンダ53は、後方へ延びる振分けロッド54を有しており、このロッド先端には、上方へ延びる連結小板55を介して、前後方向へ長い左右一対の駆動側ガイドロッド56の各後端が連結されている。
各駆動側ガイドロッド56の前端は、矩形板枠51の後板51bの下部にそれぞれ固定されている。なお、各駆動側ガイドロッド56は、前記取付枠台110の一部を構成する断面コの字状の駆動ロッド支持板57の下面に固定された左右一対の駆動側リニアブッシュ58を介して、それぞれ前後方向へスライド自在に軸支されている。
【0040】
一方、矩形板枠51の前板51aの下部には、前後方向へ長い左右一対の従動側ガイドロッド59の後端がそれぞれ固定されている。各従動側ガイドロッド59は、前記取付枠台110の別の一部を構成する断面コの字状の従動ロッド支持板60の下面に固定された左右一対の従動側リニアブッシュ61を介して、それぞれ前後方向へスライド自在に軸支されている。
【0041】
食品振分けシリンダ53の振分けロッド54を突没させると、連結小板55を介して、各駆動側リニアブッシュ58をガイドにして左右一対の駆動側ガイドロッド56がそれぞれ前後方向へスライドする。これに伴い、各従動側リニアブッシュ61をガイドにして各従動側ガイドロッド59が各々前後方向へスライドする。その結果、各山形振分け部材52付きの矩形板枠51が、対応する第1の斜面aと第2の斜面bとを、対応する筒体14の先端の直下に所定の順序で配置するように、前後方向へ移動する。
【0042】
また、架台11の天板11aには、排出シュート105の前側近傍に、左右方向へ所定ピッチで5つの第1のロードセル17Aが配設されている。各第1のロードセル17Aはベンディングビーム型(ロバーバル型)ロードセルで、これらの後端部(測定部)には、対応する第1の計量バケット16Aを載置した第1の載置ブラケット104Aがそれぞれ立設されている。
各第1の計量バケット16Aは、食品12の投入口が上面に形成され、かつ食品12の排出口16aが下窄み状の後側下部に形成されたステンレス板製の容器である。各第1の計量バケット16Aには、対応する排出口16aを開閉する5つの第1の開閉手段62が配設されている。
【0043】
各第1の開閉手段62は、長さ方向の中間部により排出口16aを塞ぐとともに、先細り状の両端部が、短尺な一対の水平軸32を介して、対応する第1の計量バケット16Aの左,右側板の略中央部に軸支された門形の第1の開閉蓋33Aと、対応する第1の開閉蓋33Aを、各一対の水平軸32を中心にして垂直回動させることで、各第1の計量バケット16Aの排出口16aを開閉させる8つの第1のソレノイド63Aとを有している。各第1の開閉蓋33Aは、その先細り状の両端部の先部分が、各第1の計量バケット16Aの前板より前方に配されている。対配置された突出部分間には、左右方向へ延びた第1の操作ロッド64Aが横架されている。
【0044】
各第1のソレノイド63Aは、架台11の天板11aのうち、対応する第1のロードセル17Aより前側部分に、各第1のロッド66を上方へ向けてそれぞれ固定されている。各第1のロッド66の先端には、対応する第1の操作ロッド64Aを水平に押し下げ、または、押し下げ解除することで、各第1の開閉蓋33Aを開閉方向に回動させる、前後方向へ延びた8つの第1の操作部材67の基端部がそれぞれ固定されている。
【0045】
一方、架台11の天板11aには、排出シュート105の後側近傍に、左右方向へ所定ピッチで8つの第2のロードセル17Bが配設されている。各第2のロードセル17Bはベンディングビーム型ロードセルで、これらの前端部(測定部)には、対応する第2の計量バケット16Bを載置した第2の載置ブラケット104Bがそれぞれ立設されている。
各第2の計量バケット16Bは、食品12の投入口が上面に形成され、かつ食品12の排出口16aが下窄み状の前側下部に形成されたステンレス板製の容器である。各第2の計量バケット16Bには、対応する排出口16aを開閉する8つの第2の開閉手段65が配設されている。
【0046】
各第2の開閉手段65は、長さ方向の中間部により排出口16aを塞ぐとともに、先細り状の両端部が、短尺な一対の水平軸32を介して、対応する第2の計量バケット16Bの左,右側板の略中央部に軸支された門形の第2の開閉蓋33Bと、対応する第2の開閉蓋33Bを、各一対の水平軸32を中心にして垂直回動させることで、各第2の計量バケット16Bの排出口16aを開閉させる8つの第2のソレノイド63Bとを有している。各第2の開閉蓋33Bは、その先細りの両端部の先部分が、各第2の計量バケット16Bの後板より後方に配されており、これらの突出部分には、左右方向へ延びた第2の操作ロッド64Bが横架されている。
【0047】
各第2のソレノイド63Bは、架台11の天板11aのうち、対応する第2のロードセル17Bより後側に、各第2のロッド68を上方へ向けてそれぞれ固定されている。各第2のロッド68の先端には、対応する第2の操作ロッド64Bを下方回動、または、上方回動させることで、各第2の開閉蓋33Bを開閉方向に回動させる、前後方向へ延びた8つの第2の操作部材69の基部がそれぞれ連結されている。
【0048】
次に、
図4および
図5のブロック図を参照して、前記制御盤101について説明する。ここでは、説明の都合上、
図4のブロック図に基づき、1本のパイプフィーダ15の周辺に配された、例えば第1,2のロードセル17A,17Bなどの複数種類のメカニカル要素(以下、メカニカルユニット)のみの制御について説明する。一方、
図5のブロック図に基づき、8本のパイプフィーダ15の周辺機器を示す第1~第8のメカニカルユニットM1~M8を含む、装置全体の制御について説明する。
【0049】
図4のブロック図に示すように、制御盤101は、食品秤量搬送装置10の全体を制御するための中央演算装置(CPU)70を有している。この中央演算装置70には、1本のパイプフィーダ15の周辺に配された1つのメカニカルユニット(ここでは、第1のメカニカルユニットM1とする)が接続されている。
すなわち、この中央演算装置70に配された複数の接続端子には、第1のメカニカルユニットM1を構成する第1のロードセル17Aと、第2のロードセル17Bと、電動モータ18と、第1のソレノイド63Aと、第2のソレノイド63Bと、食品振分けシリンダ53と、ストックバケット80の蓋体82を開閉操作する蓋開閉シリンダ83がそれぞれ接続されている。
【0050】
パイプフィーダ15の筒体14は、中央演算装置70からの指令に基づき、電動モータ18によって所定の回転速度で回転する。これにより、ホッパ13の下部内から食品12を切り出して下流へと排出する。その後、筒体14の下端から落下した食品12は、ストックバケット80を介して、食品振分け手段50により、第1,2の計量バケット16A,16Bに振り分けられる。
【0051】
次に、
図5のブロック図を参照して、食品秤量搬送装置10の全体制御について説明する。
すなわち、制御盤101の中央演算装置70の接続端子には、8本のパイプフィーダ15の各周辺機器である第1~第8のメカニカルユニットM1~M8と、予め設定された目標重量および小分け重量が記憶された記憶部71と、各第1,2の計量バケット16A、16Bにそれぞれ小分け重量が投入されたかを判定する小分け重量判定部72と、目標重量に最も近い第1,2の計量バケット16A、16B内の食品12の組み合わせを選出する組み合わせ選出部73と、選出された第1,2の計量バケット16A、16B内から各食品12をそれぞれ排出して一纏めにすることで、目標重量の食品12を得る選択搬出部74と、タイマTと、各筒体14の先端から各ストックバケット80に投下される食品12の投下量をタイマ制御するフィーダ制御部84がそれぞれ接続されている。なお、第1~第8のメカニカルユニットM1~M8は、それぞれ同一構成体からなる。
【0052】
記憶部71は、それぞれ予め設定された、袋詰めされる食品12の目標重量(ここでは50g)と、各第1,2の計量バケット16A、16Bにそれぞれ小分けされる食品12の小分け重量(ここでは10g)と、小分け重量と実測重量との差異の許容値(ここでは±0.5g)と、予め各パイプフィーダ15を所定時間だけ試験運転して求めた、各筒体14の先端からの目標の食品投下量が得られるフィーダ運転時間(例えば2秒間)などを記憶するメモリである。
小分け重量判定部72は、記憶部71に記憶された小分け重量と、各第1,2のロードセル17A,17Bが秤量した各第1,2の計量バケット16A、16Bに収納された食品12の重量とが設定範囲(ここでは±0.5g)内かを判定するプログラムである。
【0053】
組み合わせ選出部73は、合計16個の第1,2の計量バケット16A、16Bに投入された各食品12の実測重量のうち、目標重量に最も近い5つの組み合わせを選出するプログラムである。
選択搬出部74は、組み合わせ選出部73により選出された各実測重量の食品12を収納した各第1,2の計量バケット16A、16Bに対して、各第1,2のソレノイド63A、63Bを開蓋方向に作動させて、対応する第1,2の開閉蓋33A,33Bをそれぞれ開くことで、各排出口16aから食品12を各排出するプログラムである。
【0054】
フィーダ制御部84は、タイマTを使用して、各筒体14の先端から各ストックバケット80に投下される食品12の投下量(小分け重量)をタイマ制御するプログラム(ロジック)である。
具体的には、フィーダ制御部84からの指令に基づき、対応する5つの蓋開閉シリンダ83のロッド83aを突没させることで、組み合わせに選出されて空となった5つの第1,2の計量バケット16A,16Bに向かって、対応するするストックバケット80から略小分け重量の食品12を投下する。
【0055】
次に、
図1~
図7を参照して、本発明の実施例1に係る食品秤量搬送装置10の動作を説明する。
図1~
図3に示すように、まず、上部ホッパからホッパ13に食品12を投入し、その後、各電動モータ18を駆動することで、各出力軸28の回転力が各駆動ギア29、各従動ギヤ30を経て各筒体14へとそれぞれ伝達され、これらの筒体14が同一方向へ同期回転する。
これにより、ホッパ13の下部内の食品12は、各筒体14の基端部に固定された各爪付アタッチメント26により切り取られ、対応する筒体14の基端開口から各筒体14の上流部にそれぞれ導入される。その後、各導入された食品12は、回転中の各筒体14の内周面に沿って徐々に下流へ移送されて行く。
【0056】
次いで、
図1および
図3に示すように、食品12は各筒体14を通過してその先端から投下され、各ストックバケット80を介して、各食品振分け手段50により、対応する第1の計量バケット16Aと第2の計量バケット16Bとに順次振り分けられる。
【0057】
すなわち、
図4,
図5のブロック図および
図6に示すように、各パイプフィーダ15の筒体14から、各ストックバケット80を介して、対応する第1の計量バケット16Aに食品12をそれぞれ投入する際には、中央演算装置70の指令に基づき、まず各蓋開閉シリンダ83のロッド83aを突出させて、各ストックバケット80の開閉蓋82を常開させる。
【0058】
その後、中央演算装置70の指令に基づき、各食品振分けシリンダ53の振分けロッド54が突出して、各矩形板枠51とともに各山形振分け部材52が後方へスライドして、各第1の斜面aが対応する筒体14の下端の直下に配される。その結果、各筒体14の先端から投下された食品12は、各第1の斜面aにガイドされて対応する第1の計量バケット16Aに投入(収納)される。
こうして、各第1の計量バケット16Aに投入された食品12は、対応する第1のロードセル17Aにより常時秤量されて、それらの結果が中央演算装置70にそれぞれ送られる。
【0059】
一方、各第2の計量バケット16Bに食品12を投入する際には、各ストックバケット80の開閉蓋82を常開したまま、中央演算装置70の指令に基づき、各食品振分けシリンダ53の振分けロッド54を引き込ませ、各矩形板枠51とともに各山形振分け部材52を前方へスライドさせことで、各第2の斜面bが対応する筒体14の下端の直下に配される。その結果、各筒体14の先端から投下された食品12は、各第2の斜面bにガイドされて対応する第2の計量バケット16Bに収納される。
こうして、各第2の計量バケット16Bに投入された食品12は、対応する第2のロードセル17Bにより常時秤量されて、それらの結果が中央演算装置70にそれぞれ送られる。
【0060】
次に、食品秤量搬送装置10の全体制御について説明する。
第1~8のメカニカルユニットM1~M8において、各第1の計量バケット16Aへの食品12の投入中、各第1のロードセル17Aにより得られた食品12の実測重量は、制御盤101の小分け重量判定部72において、予め記憶部71に記憶された小分け重量(10g)と常時対比される。ここで、実測重量が予め設定された小分け重量との差異の許容値(例えば±0.5g)に達した時、上述したように中央演算装置70からの指令により、対応する食品振分けシリンダ53の振分けロッド54が引き込められて、それの山形振分け部材52が前方へスライドする。これにより、その第2の斜面bが筒体14の先端の直下に配置されて、対応する第2の計量バケット16Bへの食品12の投入が開始される。
【0061】
次いで、第1~8のメカニカルユニットM1~M8における、各第2の計量バケット16Bへの食品12投入中には、各第2のロードセル17Bにより食品12の重さがそれぞれ秤量される。各秤量結果は中央演算装置70に常時送られ、小分け重量判定部72において、予め記憶部71に記憶された小分け重量と常に対比される。ここで、実測重量が前記許容値に達した時、中央演算装置70からの指令により、対応する電動モータ18が止まって、その筒体14の先端からの食品12の投下が停止する。こうして、全て(合計16個)の第1,2の計量バケット16A,16B内には、目標重量(50g)の約5分の1の小分け重量となる、10g前後の食品12がそれぞれ収納されることとなる。
【0062】
次に、組み合わせ選出部73により、合計16個の第1,2の計量バケット16A、16Bに投入された各食品12の実測重量のうち、目標重量に最も近い5つの組み合わせを選出する。
その後、選択排出部74によって、組み合わせ選出部73により選出された5つの実測重量の食品12を収納する各第1,2の計量バケット16A、16Bに配された、対応する第1,2のソレノイド63A、63Bを開蓋方向にそれぞれ作動させる。
【0063】
具体的には、
図3に示すように、第1のソレノイド63Aの第1のロッド66を引き込ませることで、第1の操作部材67を水平に引き下げて第1の操作ロッド64Aを押し下げる。これにより、第1の開閉蓋33Aが各水平軸32を中心にして開蓋方向へ回動し、第1の計量バケット16Aの排出口16aが開く。
一方、第2のソレノイド63Bの第2のロッド68を引き込ませることで、第2の操作部材69が、その基端部を中心にして下方回動し、この第2の操作部材69の先端部により第2の操作ロッド64Bを押し下げる。これにより、第2の開閉蓋33Bが各水平軸32を中心にして開蓋方向へ回動し、第2の計量バケット16Bの排出口16aが開く。
【0064】
こうして、選出された第1,2の計量バケット16A,16Bの第1,2の開閉蓋33A,33Bが開くことで、対応する排出口16aから約10gの食品12が5つ、一纏めになって排出シュート105へとそれぞれ排出される。
その後、排出された目標重量(約50g)の食品12は、図示しない後工程の袋詰め工程へ送られて袋詰めされる。
【0065】
このように、食品振分け手段50として、山形振分け部材52とこれを移動させる食品振分けシリンダ53とを有するものを採用したため、簡単かつ低コストで確実に動作する食品振分け手段50を得ることができる。
また、1本のパイプフィーダ15に対して、バケットおよび秤量器を2つずつ配置し、筒体14の先端から投下された食品12を、食品振分け手段50によって第1,2の計量バケット16A、16Bに振り分けるようにしたため、食品秤量搬送装置10の大型化および設備コストの高騰を抑制しながら、秤量器付きのバケットの台数を従来の2倍に増やすことができる。その結果、合計10個の第1,2の計量バケット16A、16Bに収納した食品群の中から、目標重量に近い5つを選出して排出することで、より高精度な目標重量の食品12を得ることができる。
【0066】
次に、
図4,
図6および
図7を参照して、各ストックバケット80を利用し、各第1,2の計量バケット16A,16B内の食品12のうち、目標重量に最も近い組み合わせのものを選択・排出した直後、対応するストックバケット80内の食品12を空の第1,2の計量バケット16A,16Bに投下して補充する制御について説明する。
【0067】
具体的には、まず、各第1,2の計量バケット16A,16Bに食品12が計量・充填されて、目標重量に最も近い組み合わせとして選択・排出されるのを待機している間に、フィーダ制御部84からの指令に基づき、閉蓋状態の全部のストックバケット80に対して、食品12を連続して定量搬送中の各筒体14から、記憶部71に記憶されたフィーダ運転時間(2秒間)だけそれぞれ食品12を投下する。これにより、各ストックバケット80には、略小分け重量(約10g)の食品12がそれぞれ充填される。
【0068】
その後、上述したように選出された5つの第1,2の計量バケット16A,16Bから各食品12が排出シュート105に投下されると、選択搬出部74からの食品投下信号に基づき、中央演算装置70により対応する5つのストックバケット80用の蓋開閉シリンダ83のロッド83aがそれぞれ突出し、各板片80cを介して、対応する蓋体82をそれぞれ上方回動させる。これにより、5つのストックバケット80の投下口80aが開蓋して、各食品12が対応する食品振分け手段50にそれぞれ投下されることで、空の第1,第2の計量バケット16A,16Bに略小分け重量(約10g)の食品12を、それぞれ充填することができる。
【0069】
その直後、各蓋開閉シリンダ83のロッド83aは引き戻されて、5つのストックバケット80の蓋体82が各々閉蓋される。
次いで、フィーダ制御部84からの指令により、前記5つのパイプフィーダ15の筒体14がフィーダ運転時間だけ回転を再開する。これにより、各々空となったストックバケット80に略小分け重量の食品12が投下・充填され、次の組み合わせの選出に向けて待機状態となる。
【0070】
このように、実施例1では、各パイプフィーダ15と各食品振分け手段50との間に、各パイプフィーダ15から排出された食品12を一旦ストックするストックバケット80を配設したため、各第1,2の計量バケット16A,16B内の食品12のうち、目標重量に最も近い組み合わせのものが選択・排出された後は、すぐに対応するストックバケット80の食品12を空の計量バケット16A,16Bに投下することができる。その結果、各パイプフィーダ15による食品12の切り出し開始までの待ち時間を短縮することができる。
【0071】
また、各ストックバケット80の投下口80aを塞ぐ蓋体82を、対応する蓋開閉シリンダ83により開閉操作するようにしたため、各ストックバケット80の投下口82の開閉を、簡単かつ低コストとなる構成で確実に行うことができる。
さらに、各パイプフィーダ15として、食品12を連続して定量搬送するものを採用するとともに、フィーダ制御部84により各パイプフィーダ15をタイマ制御するようにしたため、各筒体14の先端から各ストックバケット80に投下される食品12の投下量を、高価な秤量器を使用せずとも、略設定値(小分け重量)とすることができる。
【0072】
ここで、実際に実施例1の食品秤量搬送装置10を使用し、予め投入されたストックバケット80内の食品12を、食品振分け手段50を介して、組み合わせ選出による食品12の排出により空となった第1の計量バケット16Aに投入・充填し、その後、充填された食品12を第1のロードセル17Aによって秤量するまでの時間を測定した試験例1の結果を報告する。なお、比較のために、ストックバケット80を使用しない比較例1の測定結果も示す。
【0073】
(試験例1)
実施例1において、まず食品振分けシリンダ53の振分けロッド54を突出させて、山形振分け部材52の第1の斜面aを、0.1秒間でストックバケット80の直下に配置させた。
この状態で、蓋開閉シリンダ83のロッド83aを突没させて蓋体82を0.2秒間だけ開き、ストックバケット80の投下口80aから略小分け重量の食品12を落下させた。
【0074】
落下した食品12は、第1の斜面aに当接して第1の計量バケット16Aに投入され、第1の計量バケット16Aの安定時間(1秒間)を経て、第1のロードセル17Aによる食品12の秤量を行った。このとき、秤量に要した判定時間は0.7秒間であった。
これにより、試験例1では、ストックバケット80にストックされた食品12を、食品振分け手段50を介して第1の計量バケット16Aに投入し、ここで食品12の秤量を完了するまでに、合計2秒の時間がかかった。
なお、その後、第1の計量バケット16A内の食品12は、組み合わせ選出の待機状態とされる。この待機中、パイプフィーダ15の筒体14からストックバケット80に、略小分け重量の食品12が2秒間で補充される。
【0075】
(比較例1)
ストックバケット80がない比較例1において、まず食品振分けシリンダ53の振分けロッド54を突出させて、山形振分け部材52の第1の斜面aを、0.1秒間でストックバケット80の直下に配置させた。
この状態で、パイプフィーダ15の筒体14を2秒間だけ回転させ、筒体14の先端から略小分け重量の食品12を落下させた。
【0076】
落下した食品12は、第1の斜面aに当接して第1の計量バケット16Aに投入され、第1の計量バケット16Aの安定時間(1秒間)を経て、第1のロードセル17Aによる食品12の秤量を行った。このとき、秤量に要した判定時間は0.7秒間であった。
これにより、比較例1では、筒体14の先端から落下した食品12を、食品振分け手段50を介して、第1の計量バケット16Aに投入し、ここで食品12の秤量を完了するまでに、合計3.8秒の時間がかかった。
【0077】
以上の結果から明らかなように、比較例1に比べて試験例1の方が、組み合わせ選出により食品12が排出されて空となった第1の計量バケット16Aに、略小分け重量の食品12を投入・充填し、これを第1のロードセル17Aを用いて秤量するまでの時間は、約半分に短縮された(実際の短縮時間は1.8秒間)。